JP6716023B2 - アンドロゲン受容体拮抗薬の結晶形及びその製造方法並びに用途 - Google Patents

アンドロゲン受容体拮抗薬の結晶形及びその製造方法並びに用途 Download PDF

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Description

本発明は医薬結晶技術の分野に関する。具体的には、アンドロゲン受容体拮抗薬の結晶形及びその製造方法並びに用途に関する。
前立腺癌は男性の健康を脅かす重要な疾患となっており、その発生率は欧米諸国で高くて年々増加し、過去に発生率の低いアジア諸国においても、近年患者数が増加している。前立腺癌の臨床治療に一般的に使用される方法としては、外科的切除、放射線療法、およびアンドロゲンを遮断する内分泌療法などが挙げられる。アンドロゲンは前立腺の成長および前立腺癌の発生と密接に関連しているので、内分泌療法は前立腺癌を治療するための効果的な方法となっている。この方法は、精巣摘除術、エストロゲン療法、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体による治療、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬による治療、抗アンドロゲン治療などを含み、中でも、抗アンドロゲン治療は単独で早期前立腺癌の治療に使用できるとともに、手術の補助療法としても利用可能であり、前立腺癌の臨床治療における主な方法の一つとなっている。また、アンドロゲンの生物学的作用の標的であるアンドロゲン受容体は、生物医学研究の重要な対象となっている。
臨床試験では、前立腺癌患者に外因性アンドロゲンを投与すると、患者の病状が悪化するのに対して、精巣を摘除することにより患者のアンドロゲン濃度を低下させると、病状が緩和され、つまり、アンドロゲンは前立腺癌の進行に重要な影響を与えることが判明した。受容体理論によると、アンドロゲンはアンドロゲン受容体(AR)に結合しないと、その後の生理学的および病理学的作用を引き起こすことができない。それは前立腺癌の治療におけるアンドロゲン受容体(AR)拮抗薬の適用の理論的基礎となる。インビトロ実験は、AR拮抗薬が前立腺細胞増殖を阻害し、アポトーシスを促進し得ることを実証した。AR拮抗薬の化学構造に応じて、ステロイド系AR拮抗薬と非ステロイド系AR拮抗薬に分類できる。非ステロイド薬は抗アンドロゲン活性が優れ、ステロイド薬のようなホルモン様の副作用がないため、より一層、前立腺癌の治療に適する。
ODM−201(BAY−1841788)は非ステロイド系経口アンドロゲン受容体(AR)拮抗薬であり、臨床研究において前立腺癌の治療に用いられる。ODM−201は、ARに対して高い親和性および阻害効果を有し、Ki=11nMで、IC50=26nMである。Kiは、ODM−201とARとの複合体の解離定数であり、値が小さいほど、親和性が強いことを意味する。IC50(half maximal inhibitory concentration)とは、測定された半阻害濃度のことであり、ある生物学的プロセスを阻害するある薬物または物質(阻害剤)の半分の量を示し、値が低いほど、薬物の阻害能力が強い。さらに、ODM−201は血液脳関門を通過せず、てんかんなどの神経系関連の副作用を軽減することができる。バイエル社は、臨床試験においてODM−201の有効性と安全性を実証しており、それを前立腺癌の治療に使用する可能性が示されている。
ODM−201の化学名は、N−((S)-1-(3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)−プロパン-2-イル)-3-(1-ヒドロキシエチル))-1H-ピラゾール-5-カルボキサミドであり、この化学名にはその互変異性体であるN−((S)-1-(3-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)−プロパン-2-イル)-5-(1-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミドが含まれることは当業者に知られており、CAS番号は1297538−32−9であり、構造式は式(I)のとおりである。
固体の化学薬物は、結晶形によって、溶解性、安定性、流動性及び圧縮性などが異なる可能性があり、その違いは、この化合物を含有する医薬品の安全性及び有効性に影響を及ぼし(K.Knapman,Modern Drug Discovery,3,53−54,57,2000.参照)、臨床上の薬効の差につながる。医薬有効成分の新しい結晶形(無水物、水和物、溶媒和物などを含む)は、例えば、より良い生物学的利用能、貯蔵安定性、加工容易性、精製容易性、または他の結晶形態への変換を促進する中間結晶形態としての利用など、より多くの加工上の利点またはより優れた物理化学的特性を有し得る。薬学的に有用な化合物の新しい結晶形は、薬物性能の改善にも役立ち、製剤学的に使用され得る原材料のタイプも拡張される。
特許CN102596910BにはODM−201の製造方法は開示されているが、結晶形の情報は一切開示されていない。特許WO2016120530A1には式(I)(CAS番号:1297538−32−9)で表される結晶形I、式(Ia)(CAS番号:1976022−48−6)で表される結晶形I’、および式(Ib)(CAS番号:1976022−49−7)で表される結晶形I”が開示されている。文献Expert Rev.Anticancer Ther.15(9),(2015)では、ODM−201は、割合1:1の2つのジアステレオマー(Ia)と(Ib)からなるものであり、つまり式(I)で表される構造であると報告されている。したがって、ODM−201の結晶形に関するこれまでの報告は結晶形Iのみであった。
しかしながら、結晶形Iは溶解度が低く、吸湿性が高く、そして結晶形Iの製造には、毒性の高いアセトニトリル溶媒を使用する必要がある。アセトニトリルは動物発癌性を有し、プロセス開発段階で管理する必要のある区分2の溶媒である。結晶形Iの製造方法は複雑で、製造期間が長く、プロセスにおいて加熱が必要で、工業的製造コストが高くなるため、工業的製造の観点では好ましくない。上述した欠点を解決すべく、当業界では式(I)で表されるODM−201の他の結晶形に関する体系的かつ全面的な開発、その製造方法の簡素化が求められており、さらに、その薬学上の発展を実現して更なる可能性を見出し、この医薬有効成分を含むより良い製剤の製造を促進することが期待されている。
本発明者らは実験により本発明の結晶形B及び結晶形Cを見出し、さらに、本発明の結晶形B及び結晶形Cが従来の技術よりも優れる特性を有することを知見した。溶解は薬物吸収の前提条件であり、溶解度の向上は薬物の生物学的利用能を改善するのに役立ち、薬物の医薬可能性を向上させる。本発明の結晶形B及び結晶形Cは、従来の技術よりも溶解度が高く、医薬開発の観点から好適である。本発明の結晶形B及び結晶形Cはさらに、従来の技術よりも低い吸湿性を有する。吸湿性の高い薬物結晶形は、水分を多く吸着して重量が変わるため、原料の結晶形成分の含有量は判断しにくくなる。さらに、原薬の結晶形は高い吸湿性のため水分吸収および凝集が発生すると、製剤プロセスにおける試料の粒度分布や製剤における原薬の均一性に影響を与え、さらに試料の溶出及び生物学的利用能にも影響を及ぼす。本発明の結晶形B及び結晶形Cは種々の湿度条件において水分含有量がほぼ一定であり、高い吸湿性による欠点を解決し、医薬品の長期貯蔵、材料貯蔵および品質管理のコスト削減に寄与する。
さらに、本発明は、安定性、流動性に優れ、適切な粒径及び均一な分布を有する、式(I)で表されるODM−201の結晶形B及び結晶形Cを提供する。本発明の結晶形B及び結晶形Cの製造方法において使用される溶媒は、毒性が低く、環境に優しい工業生産の観点から好適であり、また、毒性溶媒の残留による医薬品リスクを回避することができ、医薬製剤を製造する上で有利である。本発明による新しい結晶形は、製造方法が簡単で、加熱が不要であり、製造期間が短く、工業生産におけるコスト管理の観点から好適である。本発明の結晶形B及び結晶形Cは、ODM−201を含有する医薬品の製造について新規でより良い選択肢を提供し、医薬開発の観点から非常に重要な価値を有する。
本発明の主な目的は、ODM−201の結晶形及びその製造方法並びに用途を提供することにある。
本発明の目的によれば、本発明は式(I)で表されるODM−201の結晶形B(以下、「結晶形B」という。)を提供する。
前記結晶形Bは、16.2°±0.2°、9.0°±0.2°、22.5°±0.2°の回折角2θに、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
さらに、前記結晶形Bは、24.7°±0.2°、11.9°±0.2°、18.1°±0.2°のうちの1つ又は2つ又は3つの回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。好ましくは、前記結晶形Bは、24.7°±0.2°、11.9°±0.2°、18.1°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
さらに、前記結晶形Bは、14.7°±0.2°、23.5°±0.2°、27.8°±0.2°のうちの1つ又は2つ又は3つの回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。好ましくは、前記結晶形Bは、14.7°±0.2°、23.5°±0.2°、27.8°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
1つの好ましい実施形態において、前記結晶形Bは、16.2°±0.2°、9.0°±0.2°、22.5°±0.2°、24.7°±0.2°、11.9°±0.2°、18.1°±0.2°、14.7°±0.2°、23.5°±0.2°、27.8°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
特に限定するものではないが、本発明の一実施形態において、結晶形Bの粉末X線回折スペクトルは図1のとおりである。
本発明の目的によれば、本発明はさらに、前記結晶形Bの製造方法を提供する。前記製造方法は、1)ODM−201をアルコール系又はケトン系又はこれらの混合溶媒に溶かし、固体が析出するまで、水を貧溶媒として滴下すること、又は、
2)室温下においてODM−201をハロゲン化炭化水素とアルコール系溶媒との混合溶媒、若しくはエーテル系と水との混合溶媒に溶かし、当該透明な溶液を、固体が析出するまで、室温下において揮発させること、を含む。
ここで、
前記アルコール系溶媒はメタノール、エタノール又はこれらの混合物である。
好ましくは、前記アルコール系溶媒はメタノールである。
前記ハロゲン化炭化水素系溶媒は塩素化アルカンである。
好ましくは、前記塩素化炭化水素系溶媒はジクロロメタンである。
前記ケトン系溶媒は飽和脂肪族ケトンである。
好ましくは、前記ケトン系溶媒はアセトンである。
前記エーテル系溶媒は環状エーテル化合物である。
好ましくは、前記エーテル系溶媒はテトラヒドロフランである。
好ましくは、前記反応温度又は操作温度は10〜40℃であり、より好ましくは室温である。
好ましくは、前記晶析時間は36〜72時間であり、より好ましくは48時間である。
本発明の目的によれば、本発明はさらに、式(I)で表されるODM−201の結晶形C(以下、「結晶形C」という。)を提供する。
前記結晶形Cは、9.4°±0.2°、14.1°±0.2°、12.1°±0.2°の回折角2θに、Cu−Kα線による粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
さらに、前記結晶形Cは、15.1°±0.2°、15.8°±0.2°、19.9°±0.2°のうちの1つ又は2つ又は3つの回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。好ましくは、前記結晶形Cは、15.1°±0.2°、15.8°±0.2°、19.9°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
さらに、前記結晶形Cは、23.7°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
1つの好ましい実施形態において、前記結晶形Cは、9.4°±0.2°、14.1°±0.2°、12.1°±0.2°、15.1°±0.2°、15.8°±0.2°、19.9°±0.2°、23.7°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有する。
特に限定するものではないが、本発明の一実施形態において、結晶形Cの粉末X線回折スペクトルは図8のとおりである。
本発明の目的によれば、本発明はさらに、酢酸と他の有機溶媒との所定の体積比の混合系にODM−201を加え、所定の温度に加熱した後、冷却して晶析させることを含む結晶形Cの製造方法を提供する。
ここで、
前記他の有機溶媒としては、イソプロパノール、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン及び酢酸エチルが挙げられる。好ましくは、前記他の有機溶媒はイソプロパノール又はメチルtert−ブチルエーテルである。
前記加熱温度としては、40〜60℃が挙げられる。好ましくは、前記加熱温度は50℃である。
前記体積比としては、2:1〜1:2が挙げられる。
本発明の結晶形B及び結晶形Cの製造方法において、
前記ODM−201遊離塩基又はODM−201とは、式(I)化合物の固体、半固体、ワックスまたは油の形態を意味する。
前記「室温」は正確な温度値ではなく、10〜30℃の温度範囲を意味する。
前記「揮発」は当業界の一般的な方法で実施する。例えば、緩速揮発は、密封フィルムで容器を密封し、孔を開き、静置して揮発させる。急速揮発は、容器を開放して揮発させる。
本発明において、「結晶」又は「結晶多形」とは、示されるX線回折パターンの特徴によって確認されるものを指す。当業者なら、本発明において言及する物理化学的性質は特定可能なものであり、その実験誤差は機器の条件、試料の準備および試料の純度に依存することを理解できる。特に、X線回折パターンが一般に装置の条件によって変化することは、当業者には周知である。特に、X線回折パターンの相対強度も実験条件によって変化し得るため、ピーク強度の順番は唯一のまたは決定的な要素として考えるべきではない。実際に、XRPDパターンにおける回折ピークの相対強度は、結晶の優先配向に関係しているため、本発明に示されるピーク強度は、説明的なものであり、絶対的な比較に用いられない。また、ピーク角度の実験誤差は通常5%以下であり、これらの角度の誤差も考慮に入れなければならず、通常±0.2°の誤差が許容される。さらに、試料の高さなどの実験的要素により、ピーク角度の全体的なオフセットが生じる可能性があり、通常はある程度のオフセットを許容する。したがって、本発明における結晶形のX線回折パターンが、本明細書で言及する例のX線回折パターンと必ずしも一致しないことは、当業者には理解できる。本明細書でいう「XRPDパターンが同一である」とは、絶対的同一を意味せず、同じピークの位置が±0.2°異なってもよく、ピーク強度についてある程度の可変性を許容する意味である。これらのスペクトルにおける特徴ピークと同一または類似のパターンを有する結晶形であれば、本発明の範囲に属する。当業者は、本発明のスペクトルと未知の結晶形のスペクトルを比較することにより、2組のスペクトルにより表されるものが同じ結晶形か、異なる結晶形かを確認することができる。
「結晶形」、「結晶多形」及び他の関連用語は、本発明において、固体化合物が結晶構造中に特定の結晶状態で存在することを意味する。結晶多形の物理化学的特性の相違は、貯蔵安定性、圧縮性、密度、溶出速度などに反映され得る。極端な場合には、溶解度または溶出速度の違いは、薬物の非効率性、ひいては毒性さえも引き起こす可能性がある。
いくつかの実施形態において、本発明の新しい結晶形B又は結晶形Cは、純粋で単一なものであり、他の結晶形を実質的に含まないものである。本発明において、新しい結晶形に関して「実質的に含まない」とは、この結晶形に含まれる他の結晶形が20%(重量)未満であること、特に10%(重量)未満であること、さらに5%(重量)未満であること、さらに1%(重量)未満であることを意味する。
なお、本発明に記載の数値及び数値範囲は、数値又は数値範囲そのものとして狭義に解釈されるべきではなく、具体的な技術の環境に応じて、本発明の趣旨及び原則から逸脱しない限り、かかる数値付近で若干変動してもよいことは、当業者には理解されるところである。本発明では、当業者が予見できるこのような変動の範囲は、「約」という用語によって表現されることが多い。
従来の技術と比較して、本発明の結晶形B及び結晶形Cは以下の利点を有する。
本発明の結晶形B及び結晶形Cは、80%相対湿度での重量増加がそれぞれ1.07%、0.93%であり、低吸湿性に該当する。従来の技術と比較して、本発明の結晶形は吸湿性が低く、医薬製剤及び/又は貯蔵などの過程における結晶形の不安定性、環境水分などの外的要因によって引き起こされる製剤の加工不可能性に十分に対抗することができ、製剤製造時の正確な定量化及びその後の輸送や貯蔵に有利である。
安定性試験によれば、本発明の結晶形Bは25℃/60%相対湿度及び40℃/75%相対湿度の条件下で3ヵ月保管した結果、結晶形の変化はなかった。したがって、本発明の結晶形Bは安定性に優れ、試料貯蔵及び製剤安定化の観点から好適である。
本発明の結晶形B及び結晶形Cは、従来の特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iと比較して、溶解性を顕著に改善でき、薬物の生物学的利用能を向上するのに役立つ。
本発明の結晶形Bは結晶形Iよりも狭い粒径分布及びより小さい粒径を有する。均一な粒径は、製剤プロセスの後処理工程の簡素化に寄与し、例えば、結晶の磨砕を減少させ、コストを節約し、磨砕における結晶化度の変化及び結晶転移の可能性を低減させ、品質管理を改善することができる。より狭い粒径分布は、製剤中の原薬成分の均一性を改善するとともに、例えば、より均一な溶出など、製剤の異なるバッチ間のバラツキを低減させることができる。より小さな結晶粒径は、薬物の比表面積を増大させ、薬物の溶出速度を向上させることができ、薬物の吸収に寄与し、生物学的利用能を改善することができる。
本発明の結晶形Cは結晶形Iよりも高い磨砕安定性を有する。製剤加工において、原薬の磨砕・粉砕が必要になる場合が多く、高い磨砕安定性は、製剤加工における原薬結晶形の結晶化度の変化及び結晶転移の可能性を低減させることができる。
さらに、本発明は、治療上及び/又は予防上有効な量の本発明の結晶形B、結晶形C又はこれらの任意の混合と、少なくとも一種の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、アンドロゲン受容体拮抗薬製剤を製造するためのODM−201の結晶形B、結晶形C又はこれらの任意の混合の使用を提供する。
さらに、本発明は、癌治療薬製剤を製造するためのODM−201の結晶形B、結晶形C又はこれらの任意の混合の使用を提供する。
さらに、本発明は、前立腺癌治療薬製剤を製造するためのODM−201の結晶形B、結晶形C又はこれらの任意の混合の使用を提供する。
本発明によるODM−201の新しい結晶形B又は結晶形Cは、低い吸湿性、良好な安定性、優れる流動性、良好な磨砕安定性、適切な粒径寸法及び均一な分布、さらに従来よりも高い溶解度といった有利な特性を有する。
図1は本発明の実施例1で得られた結晶形Bの粉末X線回折パターンである。 図2は本発明の実施例2で得られた結晶形Bの粉末X線回折パターンである。 図3は本発明の実施例2で得られた結晶形BのDSCパターンである。 図4は本発明の実施例2で得られた結晶形BのTGAパターンである。 図5は本発明の実施例3で得られた結晶形Bの粉末X線回折パターンである。 図6は本発明の実施例3で得られた結晶形Bの水素核磁気共鳴パターンである。 図7は本発明の実施例4で得られた結晶形Bの粉末X線回折パターンである。 図8は本発明の実施例5で得られた結晶形Cの粉末X線回折パターンである。 図9は本発明の実施例6で得られた結晶形Cの粉末X線回折パターンである。 図10は本発明の結晶形BのDVSパターンである。 図11は本発明の結晶形BのDVS前のXRPDパターンとDVS後のXRPDパターンとの比較を示す(下図はDVS前のXRPDパターンであり、上図はDVS後のXRPDパターンである)。 図12は本発明の結晶形CのDVSパターンである。 図13は本発明の結晶形CのDVS前のXRPDパターンとDVS後のXRPDパターンとの比較を示す(下図はDVS前のXRPDパターンであり、上図はDVS後のXRPDパターンである)。 図14は従来の結晶形IのDVSパターンである。 図15は本発明の結晶形Bの25℃/60%相対湿度における保管前及び保管後のXRPDパターン(下図は保管前のXRPDパターンであり、上図は保管後のXRPDパターンである)。 図16は本発明の結晶形Bの40℃/75%相対湿度における保管前及び保管後のXRPDパターン(下図は保管前のXRPDパターンであり、上図は保管後のXRPDパターンである)。 図17は本発明の結晶形Cの25℃/60%相対湿度における保管前及び保管後のXRPDパターン(下図は保管前のXRPDパターンであり、上図は保管後のXRPDパターンである)。 図18は本発明の結晶形Bの粒径分布パターンである。 図19はWO2016120530A1公開の結晶形Iの粒径分布パターンである。 図20は本発明の結晶形Cの磨砕前と磨砕後のXRPD比較を示す(下図は磨砕前のXRPDパターンであり、上図は磨砕後のXRPDパターンである)。 図21はWO2016120530A1に記載の結晶形Iの磨砕前と磨砕後のXRPD比較を示す(下図は磨砕前のXRPDパターンであり、上図は磨砕後のXRPDパターンである)。
本発明をさらに以下の実施例により説明する。下記の実施例は本発明の結晶形の製造及び使用方法を詳細に説明するものである。本発明の範囲から逸脱しない限り、材料及び方法の両方を適宜変更して実施し得ることは当業者には明白である。
データの収集に使用する装置及び方法は下記のとおりである。
本発明における粉末X線回折パターンはPanalytical Empyrean粉末X線回折装置により収集したものである。本発明における粉末X線回折の測定条件は下記のとおりである。
X線放射条件:CuKα
Kα1(Å):1.540598;Kα2(Å):1.544426
Kα2/Kα1強度比:0.50
電圧:45千ボルト(kV)
電流:40ミリアンペア(mA)
走査範囲:3.0〜40.0度
本発明における示差走査熱量測定(DSC)パターンは、TA Q2000により収集したものである。本発明における示差走査熱量測定(DSC)の測定条件は下記のとおりである。
走査速度:特に断りがない限り10℃/min
パージガス:N
本発明における熱重量分析(TGA)パターンは、TA Q500により収集したものである。本発明における熱重量分析(TGA)の測定条件は下記のとおりである。
走査速度:10℃/min
パージガス:N
水素核磁気共鳴スペクトルデータ(HNMR)は、Bruker Avance II DMX 400MHZ核磁気共鳴分光計により収集したものである。1〜5mgの試料を量り、0.5mLの重水素化ジメチルスルホキシドで溶解し、2〜10mg/mLの溶液とした。
本発明における高速液体クロマトグラフィー(HPLC)データはAgilent 1260により収集したものであり、使用した検出器はダイオードアレイ検出器(DAD)であった。本発明における溶解度測定用HPLCの測定条件は下記のとおりである。
1.カラム:Agilent Infinity Lab Poroshell 120EC−C18 150*3.0mm、2.7μm
2.移動相:A:KHPO水溶液25mmol/L
B:アセトニトリル溶液
グラジエント勾配は下記のとおりである。
3.流速:0.7ml/min
4.注入量:5μl
5.測定波長:220nm
6.カラム温度:40℃
7.希釈剤:50%アセトニトリル
本発明における粒径分布結果はMicrotrac社製S3500型レーザー粒度分析装置により収集したものである。Microtrac S3500は、SDC(Sample Delivery Controller)注入システムが付いている。この測定は湿式法を採用し、分散媒はIsopar Gであった。上記レーザー粒度分析装置の測定条件は下記のとおりである。
以下の実施例は、特記しない限り、室温で操作した。
以下の実施例において使用した原料ODM−201は、例えばCN102596910B特許などの先行技術に記載の方法により製造できる。
以下の実施例において使用した結晶形Iは、WO2016120530A1に記載の方法により製造されたものである。
結晶形Bの製造方法
ODM−201固体29.5mgを、ジクロロメタンとメタノールとの体積比1:1の混合溶媒1.0mLに加え、室温下において透明な溶液を得、当該澄清溶液を室温下において約5日間揮発させ、固体が析出した。
分析した結果、得られた結晶固体は本発明に記載の結晶形Bであることが分かり、その粉末X線回折データを図1、表1に示す。
結晶形Bの製造方法
ODM−201固体31.6mgをジクロロメタンとメタノールとの体積比1:2の混合溶媒1.2mLに加え、室温下において透明な溶液を得、当該澄清溶液を室温下において約5日間揮発させ、固体が析出した。
分析した結果、本実施例で得られた固体は結晶形Bであることが分かり、その粉末X線回折データを図2、表2に示す。
当該結晶形のDSCは図3に示すように、1つの吸熱ピークを有し、162℃付近に吸熱ピークが現れ、当該吸熱ピークは融解吸熱ピークであった。
当該結晶形のTGAは図4に示すように、150℃に加熱した時に、約1.0%の質量損失があった。
結晶形Bの製造方法
ODM−201固体20.3mgをアセトン溶液0.8mLに溶かし、水4.0mLを滴下で添加し、固体が析出した。
分析した結果、本実施例で得られた固体は結晶形Bであることが分かり、その粉末X線回折データを図5、表3に示す。液体核磁気共鳴により生成物の化学構造を確認した結果、核磁気共鳴データは、H NMR(400MHz,DMSO)δ13.10(s,1H),8.26(d,J=8.6Hz,1H),8.15(s,1H),8.08-7.85(m,3H),7.00(d,J=2.1Hz,1H),6.46(s,1H),5.48(d,J=4.6Hz,1H),4.86(s,1H),4.55-4.31(m,3H),1.44(d,J=6.4Hz,3H),1.17(d,J=6.3Hz,3H)であり、その水素核磁気共鳴スペクトルを図6に示す。
結晶形Bの製造方法
ODM−201固体26.5mgをテトラヒドロフランと水との体積比4:1の混合溶媒1.8mLに加え、室温下において透明な溶液を得、当該澄清溶液を室温下において約5日間揮発させ、固体が析出した。
分析した結果、本実施例で得られた固体は結晶形Bであることが分かり、その粉末X線回折データを図7、表4に示す。
結晶形Cの製造方法
33.7mgのODM−201を酢酸とイソプロパノールとの体積比1:2の混合溶媒2.0mLに加え、50℃の条件下で5時間静置し、ろ過して速やかに低温4℃の条件下に移して冷却させ、白色の結晶固体を得た。
分析した結果、得られた結晶固体は本発明の結晶形Cであることが分かり、その粉末X線回折データを図8、表5に示す。
結晶形Cの製造方法
29.5mgのODM−201を酢酸とイソプロパノールとの体積比1:1の混合溶媒2.0mLに加え、50℃の条件下で5時間静置し、ろ過して速やかに低温4℃の条件下に移して冷却させ、白色の結晶固体を得た。
分析した結果、本実施例で得られた固体は結晶形Cであることが分かり、その粉末X線回折データを図9、表6に示す。
結晶形Cの製造方法
ODM−201遊離塩基12.45mgを酢酸とメチルtert−ブチルエーテルとの体積比1:2の混合溶媒0.2mLに加え、50℃の条件下で5時間静置し、ろ過して速やかに低温4℃下に移して冷却させ、白色の結晶固体を得た。分析した結果、本実施例で得られた固体は結晶形Cであることが分かった。
結晶形B、結晶形Cと従来の結晶形Iとの吸湿性比較試験
本発明の結晶形B、結晶形C及び従来の結晶形Iをそれぞれ約10mg量り取って動的水分吸着(DVS)装置により吸湿性を測定した。実験結果を表7に示す。結晶形Bの吸湿性実験のDVSパターンを図10に示し、DVS前とDVS後のXRPDパターンの比較を図11に示す。結晶形Cの吸湿性実験のDVSパターンを図12に示し、DVS前とDVS後のXRPDパターンの比較を図13に示す。従来の結晶形IのDVSパターンを図14に示す。
吸湿性は薬物結晶形の重要な特性の一つである。吸湿性の高い薬物結晶形は、水分を多く吸着して重量が変わるため、原料の結晶形成分の含有量は判断しにくくなる。さらに、原薬の結晶形は高い吸湿性のため水分吸収および凝集が発生すると、製剤プロセスにおける試料の粒度分布や製剤における原薬の均一性に影響を与え、さらに試料の溶出及び生物学的利用能にも影響を及ぼす。吸湿性の高い原薬は、包装及び貯蔵条件を厳しく求めるため、医薬品の製造コストを増加させる。したがって、低い吸湿性を有する薬物結晶形の製造は医薬製造では極めて重要である。
結果によれば、本発明の結晶形B及び結晶形Cは従来の結晶形よりも低い吸湿性を有し、また、本発明の結晶形B及び結晶形CはDVS前とDVS後に変化がなく、上記薬物結晶形の高い吸湿性による欠点を解決でき、本発明の結晶形B及び結晶形Cを含む医薬の製造及び後処理工程を簡素化することができる。例えば、製剤において環境湿度を管理する必要がなく、包装及び貯蔵条件を特に求めず、コスト節約が可能になり、工業生産及び医薬品の長期保管が容易になる。貯蔵条件は特に求めないので、材料の保管及び品質管理コストが大幅に削減され、経済的価値が高く、より医薬用に適する。
[吸湿性特徴の記述と吸湿性重量増加の定義](中国薬典2015年版通則9103 「薬物吸湿性試験指導原則」、実験条件:25℃±1℃、80%の相対湿度)
潮解:十分な水分を吸収すると、液体となる。
高吸湿性:吸湿による重量増加が15%以上である。
吸湿性有り:吸湿による重量増加が15%未満で2%以上である。
低吸湿性:吸湿による重量増加が2%未満で0.2%以上である。
吸湿性無し又は実質的に吸湿性無し:吸湿による重量増加が0.2%未満である。
結晶形B及び結晶形Cの安定性試験
結晶形Bの試料をそれぞれ25℃/60%相対湿度と40℃/75%相対湿度において開放状態で3ヵ月保管した。サンプリングしてXRPDパターンを測定し、保管前及び保管後のXRPDパターンを図15、図16に示し、結果を表8に示す。
本発明の結晶形Bは、25℃/60%相対湿度及び40℃/75%相対湿度条件において3ヵ月保管した結果、結晶形の変化はなかった。上述した試験結果から、本発明の結晶形Bは安定性に優れることが分かった。
結晶形Cの試料を25℃/60%相対湿度において開放状態で1ヵ月保管した。サンプリングしてXRPDパターンを測定し、保管前及び保管後のXRPDパターンを図17に示し、結果を表9に示す。
本発明の結晶形Cは、25℃/60%相対湿度において1ヵ月保管した結果、結晶形の変化はなかった。この結果から、結晶形Cは安定性に優れることが分かった。
薬物の安定性は極めて重要である。特に市販品の有効期間における良好な安定性を維持することにより、結晶形の変化に起因して薬物の溶出速度や生物学的利用能が変わる可能性を低減することができ、薬物の有効性及び安全性を確保し、薬物有害反応の発生を防止する上で重要な意味を有する。より安定する結晶形は、結晶化プロセスにおいて管理がより容易になり、結晶多形の混合が生じにくく、製剤プロセス及び貯蔵において他の結晶形に変わりにくいため、製剤製品の溶出曲線が貯蔵時間によって変わることがなく、試料の品質の一致性を確保することができる。
結果によれば、本発明の結晶形B及び結晶形Cは安定性に優れ、結晶形に関する薬物使用上及び製剤工程上の厳しい要件を満足できる。
本発明の結晶形Bと従来の結晶形Iとの溶解度比較試験
溶解度は薬物の重要な特性の一つであり、体内での薬物の吸収に直接影響する。結晶形によって、溶解度が著しく異なる可能性があり、体内での動的吸収状態も変化し得、その結果、生物学的利用能に差が生じ、最終的に薬物の臨床的安全性及び有効性に影響を与える。
特に難溶性薬物の場合、溶解度を高くすることがより重要になる。溶解度の向上は薬物の生物学的利用能を改善するのに役立ち、薬物の医薬可能性を向上させる。さらに、溶解度が高くなると、製剤プロセス開発の難しさも低くなる。十分に高い溶解度を有する結晶形は、従来の製剤プロセスにより開発できるのに対して、溶解度の低い結晶形の場合には、所望の生物学的利用能を達成するために、より複雑な製剤プロセスの採用が必要になる。さらに、溶解度の向上により、薬物の有効性を確保しながら薬の用量を減らすことができ、それにより薬物の副作用を減少させ、薬物の安全性を改善することができる。
本発明の結晶形Bの溶解性を測定するために、発明者らは以下の実験を行った。
本発明による結晶形B及び特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iの試料をそれぞれpH1.8SGF(模擬胃液)、pH5.0FeSSIF(摂食状態の模擬腸液)、pH6.5FaSSIF(空腹状態の模擬腸液)で飽和溶液とし、1時間後、4時間後の飽和溶液における試料の含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。実験結果を表10に示す。
結果から、SGF、FaSSIF、FeSSIF内で1時間後、4時間後、本発明の結晶形Bの溶解度は特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iの溶解度より顕著に高いことが分かった。
溶解は薬物吸収の前提条件である。実験結果によれば、結晶形Iの溶解度は低いため、結晶形の溶解度を高くすることは極めて重要である。従来の技術と比較して、本発明の結晶形Bは溶解度が著しく改善され、医薬開発の観点から好適である。
本発明の結晶形Cと従来の結晶形Iとの溶解度比較試験
本発明による結晶形C及び特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iの試料をそれぞれpH5.0FeSSIF(摂食状態の模擬腸液)、pH6.5FaSSIF(空腹状態の模擬腸液)で飽和溶液とし、1時間後、4時間後の飽和溶液における試料の含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。実験結果を表11に示す。
結果から、FeSSIF内で1時間後、FaSSIF内で1時間後、4時間後、本発明の結晶形Cの溶解度は先行特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iの溶解度より高いことが分かった。従来の技術と比較して、本発明の結晶形Cは溶解度がより高く、医薬開発の観点から好適である。
本発明の結晶形Bと従来の結晶形Iとの粒径分布の比較
本発明の結晶形B及び特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iの試料に対する粒径分布試験をそれぞれ実施した。粒径分布結果を表12に示す。
(備考)
MV:体積基準による平均粒径。
D10:粒径分布(体積分布)において10%を占める粒径。
D50:粒径分布(体積分布)において50%を占める粒径、つまりメジアン径。
D90:粒径分布(体積分布)において90%を占める粒径。
結晶形Bの粒径分布(PSD)パターンを図18に示し、特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iの粒径分布(PSD)パターンを図19に示す。図から、結晶形Bは単分散の正規分布、均一な粒径及び狭い分布を有することが分かる。従来の結晶形Iは粒径分布が二峰性分布となり、粒径分布の均一性が劣っている。
結晶形によって、粒子特性が異なるため、圧縮性、かさ密度、流動性、そして磨砕、圧力及び粉砕に対する安定性も異なる可能性があり、製剤プロセスに影響を及ぼし得る。例えば、より狭い粒径分布は、製剤中の原薬成分の均一性を改善するとともに、例えば、より均一な溶出など、製剤の異なるバッチ間のバラツキを低減させることができる。より小さな結晶粒径は、薬物の比表面積を増大させ、薬物の溶出速度を向上させることができ、薬物の吸収に寄与し、生物学的利用能を改善することができる。一方、凝集した大きな結晶はしばしば残留溶媒や他の不純物を閉じ込めやすい。さらに、製剤の製造において、大きな結晶粉末は均一に分散できず、賦形剤と均一に混合することが困難であるため、製剤製造の観点から好ましくない。
本発明の結晶形Bは規則的な形状を有し、均一で小さな粒径により、製剤プロセスの後処理工程の簡素化に寄与し、例えば、結晶の磨砕を減少させ、コストを節約し、磨砕における結晶化度の変化及び結晶転移の可能性を低減させ、品質管理を改善することができる。さらに、結晶形Bは、より狭い粒径分布により、製剤中の原薬成分の均一性を改善でき、より小さな結晶粒径により、薬物の比表面積を増大させ、薬物の溶出速度を向上させることができ、薬物の吸収に寄与し、生物学的利用能を改善することができる。
本発明の結晶形Cの磨砕安定性に関する研究
本発明の結晶形Cと特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iをそれぞれ約20mg取ってすり鉢に入れ、手動で5分間磨砕し、磨砕前及び磨砕後に試料のXRPD分析を実施した。結晶形Cの分析結果を図20(下図は磨砕前、上図は磨砕後)に示し、結晶形Iの分析結果を図21(下図は磨砕前、上図は磨砕後)に示す。図から、本発明の結晶形Cは磨砕後の結晶化度も良好であるのに対して、結晶形Iは結晶化度が著しく低下したことが分かる。つまり、本発明の結晶形Cは特許WO2016120530A1に記載の結晶形Iより磨砕安定性に優れている。
上述した結果によれば、結晶形Cは後段のプロセスにおいて求められる機械的安定性に優れ、より多くの選択肢を後段の製剤プロセスに提供する。例えば、後段の乾式磨砕法により結晶形Cを磨砕することで、より小さな粒径の粒子を取得することができる。
以上の実施例は、当業者が本発明を理解して実施することができるように、本発明の技術的思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で行われる同等の変形や改善はすべて、本発明の権利範囲に含まれる。

Claims (11)

  1. 16.2°±0.2°、9.0°±0.2°、22.5°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有することを特徴とする、式(I)で表されるODM−201の結晶形Bの結晶
  2. 24.7°±0.2°、11.9°±0.2°、18.1°±0.2°のうちの1つ又は2つ又は3つの回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の結晶形Bの結晶
  3. 14.7°±0.2°、23.5°±0.2°、27.8°±0.2°のうちの1つ又は2つ又は3つの回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の結晶形Bの結晶
  4. 1)ODM−201をアセトンに溶かし、固体が析出するまで、水を貧溶媒として滴下すること、又は、2)室温下においてODM−201をジクロロメタンメタノールとの混合溶媒、若しくはテトラヒドロフランと水との混合溶媒に溶かして得られる透明な溶液を、固体が析出するまで、室温下において揮発させることを含むことを特徴とする、式(I)で表されるODM−201の結晶形Bの結晶の製造方法。
  5. 9.4°±0.2°、14.1°±0.2°、12.1°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有することを特徴とする、式(I)で表されるODM−201の結晶形Cの結晶
  6. 15.1°±0.2°、15.8°±0.2°、19.9°±0.2°のうちの1つ又は2つ又は3つの回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有することを特徴とする請求項に記載の結晶形Cの結晶
  7. 23.7°±0.2°の回折角2θに、粉末X線回折パターンにおける特徴ピークを有することを特徴とする請求項に記載の結晶形Cの結晶
  8. 酢酸と、イソプロパノール又はメチルtert−ブチルエーテルとを、体積比2:1〜1:2で含有する混合系にODM−201を加え、40〜60℃に加熱した後、冷却して晶析させることを含むことを特徴とする、式(I)で表されるODM−201の結晶形Cの結晶の製造方法。
  9. 治療上有効な量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶形Bの結晶又は請求項5〜7のいずれか一項に記載の結晶形Cの結晶と、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物。
  10. アンドロゲン受容体拮抗薬製剤を製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶形Bの結晶又は請求項5〜7のいずれか一項に記載の結晶形Cの結晶の使用。
  11. 前立腺癌治療薬製剤を製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶形Bの結晶又は請求項5〜7のいずれか一項に記載の結晶形Cの結晶の使用。
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