JP6713607B2 - グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法 - Google Patents
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キストリンホスホリラーゼとも呼ばれる。
1)。GPの基質に対する結合特異性は非常に高いため、この反応ではα1,4結合が選択的
に生成する。この特徴を利用して、スクロースとマルトオリゴ糖を原料とし、リン酸の存在下でスクロースホスホリラーゼ(酵素番号EC 2.4.1.7。以下、「SP」と略すことがある。)とGPを同時に作用させることにより、種々の重合度のアミロース(グルコースがα1,4結合のみで重合した多糖)を合成する方法が報告されている(特許文献1)。同様に、
セロビオースとマルトオリゴ糖を原料として、セロビオースホスホリラーゼ(酵素番号EC
2.4.1.20)とGPを組み合わせることによるアミロースの合成も報告されている(特許文
献2)。
うなGlc1Pを基質として利用する酵素を製造するにあたり、PGM活性の除去が必須である(特許文献3)。耐熱性酵素は、通常耐熱性微生物を培養することにより製造することが可能である。しかしながら、微生物の生産する酵素の安定性はその微生物の生育環境温度近辺にあることが多いため、同じ微生物の生産するGPとPGMの耐熱性は近いことが多い。そ
のため、遺伝子組換え法による耐熱性酵素の生産のように、熱処理による付随酵素の失活処理によって、PGM活性が低減されたGP酵素製剤を製造する方法は知られていなかった。
(1)グリコーゲンホスホリラーゼとホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又は菌体の抽出液を、50℃〜70℃の温度で熱処理する、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法。
(2)前記熱処理の条件が、下記のいずれかである、前記方法:
(a)熱処理温度が52℃〜57℃、熱処理時間が30分〜10時間、
(b)熱処理温度が57℃〜62℃、熱処理時間が10分〜4時間。
(3)前記熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率が、前記グリコーゲンホスホリラーゼでは60%以上であり、ホスホグルコムターゼでは5%以下である、前記方法。
(4)前記熱処理前に対する熱処理後のグリコーゲンホスホリラーゼ活性の残存率が、熱処理前に対する熱処理後のホスホグルコムターゼ活性の残存率に比べて10倍以上である、前記方法。
(5)前記グリコーゲンホスホリラーゼが内在性である、前記方法。
(6)前記細菌がビフィドバクテリウム属に属する、前記方法。
(7)前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、及び、ビフィドバクテリウム・アニマリスからなる群から選ばれる、前記方法。
(8)前記ビフィドバクテリウム・ロンガムがビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムであり、前記ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスである、前記方法。
(9)前記ビフィドバクテリウム属細菌が、さらにスクロースホスホリラーゼを産生する、前記方法。
(10)前記ビフィドバクテリウム属細菌の菌体が、スクロースを炭素源として培養され
たものである、前記方法。
(11)前記(1)〜(8)のいずれかの方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤とスクロースホスホリラーゼ、又は、(9)もしくは(10)の方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を、リン酸の存在下でスクロース、及びマルトオリゴ糖に作用させてアミロースを生成させる、アミロースの製造方法。
)を産生する微生物から、PGM活性が低減されたGP製剤を、遺伝子組換え技術を用いずに
、簡便な操作により製造することができる。本発明により製造されるGP製剤は、マルトオリゴ糖とグルコース1−リン酸を原料とする、より重合度の大きいマルトオリゴ糖の製造や、スクロースホスホリラーゼ(SP)と組み合わせたアミロースの製造に用いることができる。
本発明は、グリコーゲンホスホリラーゼとホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又は菌体の抽出液を、50℃〜70℃の温度で熱処理する、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法である。
グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)とホスホグルコムターゼ(PGM)を産生する細菌と
しては、GPとPGMを産生し、かつ、GPの熱安定性(耐熱性)がPGMよりも高く、細菌の菌体又はその抽出液を熱処理することによって、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に
低下するものであれば、特に制限されない。尚、PGM活性の低下とは、熱処理後のPGMの残存活性が、熱処理前のPGM活性よりも低いことを意味するが、熱処理によってPGM活性がほぼ又は完全に消失することも含む。
ときに、熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率が、GPでは好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、PGMでは好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以
下である細菌が好ましい。
また、本発明に用いる細菌は、熱処理前に対する熱処理後のGP活性の残存率が、熱処理前に対する熱処理後のPGM活性の残存率に比べて好ましくは10倍以上、より好ましくは
30倍以上、特に好ましくは60倍以上である細菌が好ましい。
熱処理については後述する。
ドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス
(Bifidobacterium animalis)等が挙げられる。
・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(B. longum subsp. infantis)が挙
げられる。また、ビフィドバクテリウム・アニマリスとしては、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(B. animalis subsp. animalis)、及び、
ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス(B. animalis subsp. lactis)が挙げられる。これらの中では、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブス
ピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスが好ましい。
、B. pseudolongum JCM1205、B. animalis subsp. animalis ATCC25527、B. longum subsp. longum JCM1217-GLN1等の菌株が挙げられる。JCM番号が付された菌株は、JCM(国立研究開発法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室(〒305-0074 茨城県つくば市高野台3-1-1))から入手できる。JCM1217-GLN1は、親株であるJCM1217から、1,3-βガラクトシル-N-アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.211)の活性が
高い変異株として取得された菌株である(特開2014-187886)。同株は、2013年2月13日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818 千葉
県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)にNITE P-1540の受託番号で寄託されている。ATCC25527は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(America Type Culture Collection、住所 P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, United States of America)から分譲を受けることができる。
トースを生成する酵素である。GPとSPを産生する細菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス、及び、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス等が挙げられる。本発明者により、熱安定性の高いGPを保持する細菌が産生するSPもまた、PGMよりも熱安定性が高い傾向があることが見出された。
上記のようなGPとPGMを産生する細菌の菌体又はその抽出液を、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下する温度、例えば50℃〜70℃の温度で熱処理すると、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下した酵素製剤が得られる。
例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスにはグルコース又はスクロースを、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガムにはグルコース、スクロース又はデキストリンを用いることが好ましい。
点から、好ましい場合がある。菌体を熱処理するには、菌体懸濁液を熱処理すればよい。
くはpH 6〜7.5である。
こうして得られるGP製剤は、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下している
。好ましい形態では、熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率は、GPでは好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、PGMでは
好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。また、他の形態では、前記性質に加えて、又はそれとは独立に、熱処理前に対する熱処理後のGP活性の残存率は、熱処理前に対する熱処理後のPGM活性の残存率に比べて、好ましくは1
0倍以上、より好ましくは30倍以上、特に好ましくは60倍以上である。
記条件で熱処理すると、GP及びSPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下した酵素
製剤が得られる。
本発明のGP製剤は、GP反応(マルトオリゴ糖を加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸を生成する反応、又はその逆反応)を生じさせる酵素製剤として利用することができる。例えば、マルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸を原料として、GP反応により原料のマルトオリゴ糖よりも重合度が1高いマルトオリゴ糖を製造することができる。この反応系に過剰のα−グルコース1−リン酸を供給すると、反応が連続して起こり、より重合度の高いマルトオリゴ糖を得ることができる。
オリゴ糖の重合度が高くなり、アミロースが生成する。GP反応で生じるリン酸は、SP反応に用いられ得るが、反応を進行させるためには、反応系にある程度のリン酸を存在させることが好ましい。
1.ビフィドバクテリウム属細菌(ビフィズス菌)の培養
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(B. longum subsp. longum)JCM1217、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(B. pseudocatenulatum )JCM1200、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B. pseudolongum)JCM1205、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(B. animalis subsp. animalis)ATCC25527、および、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM1217-GLN1(NITE P-1540)を、グルコースまたはスクロースを炭素源とし
た以下の培地組成Aに基づく培地5.0 mLに植菌し、アネロパックケンキ(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気性条件下において37℃、24時間静置培養を行った。
培養終了後、培地を攪拌し波長600 nmで濁度を測定することにより菌体の増殖度を測定した。
炭素源(グルコース/スクロース/デキストリン) 0.5%
普通ブイヨン 1.6%
酵母エキス 0.5%
リン酸水素二カリウム 0.3%
Tween 80 *1 0.1%
アスコルビン酸ナトリウム 1.0%
システイン塩酸塩 0.05%
*1:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート
上記の各菌株の培養液1 mLを遠心分離することにより菌体を回収した。培養液1 mL分の菌体を0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させ、氷冷下で超音波処
理を行い、菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離して上清を回収して、菌体抽出液を得た。菌体抽出液に対して60℃、30分の熱処理を行い、熱処理菌体抽出液を調製した。それぞれの熱処理菌体抽出液についてグリコーゲンホスホリラーゼ(GP)、SP、およびPGMの
活性を測定した。
、測定した。具体的には、以下のようにして行った。終濃度10 mg/mLデキストリン(和光純薬株式会社製:カタログ番号044-00585)、0.025 mMグルコース1,6-ビスリン酸、0.25 mMチオNAD、2.5 mM MgCl2、5 U/mL PGM、5 U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50 mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に試料を適量加えて、200 μLの反応液を96穴マイクロプレートのウェル中で調製し、30℃にて所定の時間インキュベートして酵素反応を行い、マイクロプレートリーダーで波長400 nmの吸光度を連続的に測定し、その増加速度を求めることにより、酵素活性を測定した。上記条件下で1分間に1マイクロモルのGlc1Pを生成するGPの活性を、1単位(U)と定義した。
下のようにして行った。終濃度10 mMスクロース、0.025 mMグルコース1,6-ビスリン酸、0.25 mMチオNAD、2.5 mM MgCl2、5 U/mL PGM、5 U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50 mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に試料適量を加えて、200 μLの反応液を96穴マイクロプレートのウェル中で調製し、30℃にて所定の時間インキュベートして酵素反応を行い、マイクロプレートリーダーで波長400 nmの吸光度を連続的に測定し、その増加速度を求めることにより、酵素活性を測定した。上記条件下で1分間に1マイクロモルのGlc1Pを生成するSPの活性を、1単位(U)と定義した。
ーゼを添加し、反応により生じるグルコース6-リン酸を指標として測定した。具体的には、以下のようにして行った。終濃度1 mM Glc1P、0.25 mMチオNAD、2.5 mM MgCl2、5 U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50 mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に試料適量を加えて、200 μLの反応液を96穴マイクロプレートのウェル中で調製し、30℃
にて所定の時間インキュベートして酵素反応を行い、マイクロプレートリーダーで波長400 nmの吸光度を連続的に測定し、その増加速度を求めることにより活性を測定した。上記条件下で1分間に1マイクロモルのグルコース6-リン酸を生成するPGMの活性を、1単位
(U)と定義した。
前の2%以下にまで低下した。また、SP活性も、熱処理後に最低でも73%以上の活性が残
存した。
実施例1で調製したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJC
M1217スクロース培地培養菌体懸濁液、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタムJCM1200デキストリン培地培養菌体懸濁液に対して、60℃、30分の熱処理を行った。また、これらの菌体の抽出液に対して、55℃、3時間の熱処理を行った。各々の熱処理後の酵素
活性を、熱処理前の菌体抽出液、及び菌体抽出液の60℃、30分での熱処理後の活性と併せて、表2に示した。
その結果、熱処理した菌体抽出液と同様に、熱処理した菌体から調製した抽出液でも、GP活性及びSP活性は維持されたが、PGM活性は著しく低下した。また、55℃、3時間の熱処理を行った菌体抽出液でも、GP活性及びSP活性は維持され、PGM活性は著しく低下した。
、菌体抽出液を熱処理した方が、少なくとも本実施例の条件下では、好ましいと考えられる。
実施例1で調製したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM1217スクロース培地培養菌体、および、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタ
ムJCM1200デキストリン培地培養菌体の各々培養液1 mL分を、0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させた。各菌体懸濁液に対して、60℃、30分の熱処理を行った。熱処理後、氷冷下で各懸濁液を超音波処理し、菌体を破砕した。各菌体破砕液を遠心
分離し、上清を回収することにより、酵素の抽出を行った。
実施例1で調製したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM1217スクロース培地培養菌体、および、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタ
ムJCM1200デキストリン培地培養菌体の各々培養液1 mL分を合わせて、0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させた。各菌体懸濁液に対して、60℃、30分の熱処理を行った。熱処理後、氷冷下で超音波処理を行い、菌体破砕液を遠心分離し、上清を回収することにより、菌体抽出液を調製した。この菌体抽出液に対して60℃、30分の熱処理を行った後に、スクロース69 mg、マルトヘキサオース1 mgを溶解した水0.5 mLを加え、
スクロース200 mM、マルトヘキサオース1 mM、リン酸25 mM濃度の反応液1 mLを調製した
。該反応液を50℃に保ち、40時間反応を行った。この時点で、薄層クロマトグラフィー分析を行い、反応液に加えたスクロースの80%程度が消費されていることを確認した。反応
液に500 μLのエタノールを加え、生成したアミロースを沈殿させた。沈殿を1 mLの水で
3回洗浄後真空乾燥させ、アミロース18 mgを得た。
スクロースを炭素源として培養したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM 1217-GLN1の菌体抽出液について、60℃の熱処理前後におけるGP活性、SP活性、PGM活性の経時変化を調べた。結果を図1に示した。
GP及びSPの活性低下はほとんど観測されなかったが、PGMは時間経過につれて急速に活
性が消失した。また、熱処理温度を変えて30分熱処理した各菌体抽出液のGP及びSPの残存活性を調べたところ、両酵素とも60℃までは90%以上の残存活性を示した(図2)。一方、65℃以上では活性の低下が観察されたが、この活性低下は熱処理時間を短縮することによって防ぐことができる。
セルビブリオ・ギルバス(Cellvibrio gilvus)ATCC13127株を、トリプトン 5 g/L、酵母エキス 5 g/L、塩化ナトリウム5 g/L、リン酸水素2カリウム5 g/L、スクロース5 g/Lの組成からなる培地2.5 mlに植菌し、好気条件下30℃において48時間振盪培養を行った。培養液の濁度(600 nm)は2.20であった。培養液1 mLを遠心分離することにより菌体を調製した。培養液1 mL分の菌体に0.5 mLの50 mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させ、氷冷下で超音砕処理を行い、菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離して、上清を回収することにより菌体抽出液を調製した。この菌体抽出液のGP活性及びPGM活性を実施例1
に記載の方法で測定したところ、培養液あたりそれぞれ、11.8 U/mLおよび110 U/mLであ
った。
上記菌体抽出液に対して種々の温度(45℃、50℃、55℃、60℃)で、30分の熱処理を行うことにより熱処理菌体抽出液を調製した。この熱処理菌体抽出液についてGPおよびPGM
の活性を同様にして測定した。結果を表3に示す。その結果、GP及びPGMともに50℃まで
は90%以上の残存活性を示したが、55℃では両酵素ともに失活がみられた。そして、60℃では両酵素ともに残存活性は測定限界以下になり、GP活性のみを効率的に維持できる温度条件は存在しなかった。
Claims (9)
- グリコーゲンホスホリラーゼとホスホグルコムターゼを産生する、ビフィドバクテリウム属に属する細菌の菌体又は菌体の抽出液を、下記のいずれかの条件で熱処理する、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法。
(a)熱処理温度が52℃〜57℃、熱処理時間が30分〜10時間
(b)熱処理温度が57℃〜62℃、熱処理時間が10分〜4時間 - 前記熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率が、前記グリコーゲンホスホリラーゼでは60%以上であり、ホスホグルコムターゼでは5%以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記熱処理前に対する熱処理後のグリコーゲンホスホリラーゼ活性の残存率が、熱処理前に対する熱処理後のホスホグルコムターゼ活性の残存率に比べて10倍以上である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記グリコーゲンホスホリラーゼが内在性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、及び、ビフィドバクテリウム・アニマリスからなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ビフィドバクテリウム・ロンガムがビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムであり、前記ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスである、請求項5に記載の方法。
- 前記ビフィドバクテリウム属細菌が、さらにスクロースホスホリラーゼを産生する、請
求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ビフィドバクテリウム属細菌の菌体が、スクロースを炭素源として培養されたものである、請求項7に記載の方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤とスクロースホスホリラーゼ、又は、請求項7もしくは8に記載の方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を、リン酸の存在下でスクロース、及びマルトオリゴ糖に作用させてアミロースを生成させる、アミロースの製造方法。
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