以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態の内視鏡の外観を示す図である。
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、該挿入部2の基端に連設された操作部3と、該操作部3から延出されたユニバーサルコード6と、該ユニバーサルコード6の延出端に設けられたコネクタ4とを具備して主要部が構成されている。尚、コネクタ4を介して、内視鏡1は、制御装置や照明装置等の外部装置と電気的に接続される。
操作部3に、挿入部2の後述する湾曲部12を、例えば上下左右の4方向のいずれかに湾曲させるジョイスティック型の湾曲操作部材50が設けられている。尚、湾曲操作部材50は、レバー型やノブ型等から構成されていても構わない。また、以下、ジョイスティックにも符号50を付す。
また、操作部3内に、後述する各牽引ワイヤ20u〜20lに張力を付与する後述する張力付与機構100が設けられている。
挿入部2は、先端側から順に、先端部11と湾曲部12と可撓管または硬質パイプからなる筒状部13とを具備して構成されており、細長に形成されている。
湾曲部12は、ジョイスティック50の傾倒動作に伴い、上下左右の4方向のいずれかに湾曲自在となるよう構成されている。
具体的には、挿入部2内及び操作部3内には、挿入部2の円周方向に略90°づつずれて4本の牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lが挿通されている。また、各牽引ワイヤ20u〜20lの先端側が、湾曲部12を構成する図示しない複数の湾曲駒の内、最も先端に位置する湾曲駒に連結され、各牽引ワイヤ20u〜20lの基端側が、ジョイスティック50に連結されている。
このことにより、ジョイスティック50が上方向に傾倒されると、牽引ワイヤ20uが延在方向Eの後方E2(以下、単に後方E2と称す)に牽引され、牽引ワイヤ20uに対向する牽引ワイヤ20dが延在方向Eの前方E1(以下、単に前方E1と称す)に弛緩されることにより、湾曲部12は上方向に湾曲される。
また、ジョイスティック50が下方向に傾倒されると、牽引ワイヤ20dが後方E2に牽引され、牽引ワイヤ20dに対向する牽引ワイヤ20uが前方E1に弛緩されることにより、湾曲部12は下方向に湾曲される。
さらに、ジョイスティック50が右方向に傾倒されると、牽引ワイヤ20rが後方E2に牽引され、牽引ワイヤ20rに対向する牽引ワイヤ20lが前方E1に弛緩されることにより、湾曲部12は右方向に湾曲される。
また、ジョイスティック50が左方向に傾倒されると、牽引ワイヤ20lが後方E2に牽引され、牽引ワイヤ20lに対向する牽引ワイヤ20rが前方E1に弛緩されることにより、湾曲部12は左方向に湾曲される。
即ち、牽引ワイヤ20u〜20lは、各基端側のいずれかがジョイスティック50によって牽引されることにより、湾曲部12を上下左右の4方向のいずれかに湾曲させるものである。
湾曲部12は、上下左右の4方向のいずれかに湾曲されることにより、先端部11内に設けられた図示しない観察光学系の観察方向を可変したり、被検体内における先端部11の挿入性を向上させたりするものである。
尚、湾曲部12は、上下の2方向のいずれかまたは左右の2方向のいずれかに湾曲自在な構成であっても構わない。
さらには、湾曲部12は、挿入部2内及び操作部3内に牽引ワイヤが1本のみ挿通されていることにより、上下左右の4方向の内、いずれか1方向のみに湾曲自在な構成であっても構わない。
さらに、筒状部13は、湾曲部12の基端側に連設されている。
次に、操作部3内に設けられた張力付与機構100について、図1の一部と図2を用いて説明する。
図2は、図1の操作部内に設けられた張力付与機構を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図である。
図1、図2に示すように、操作部3内に設けられた張力付与機構100は、各牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lの中途位置にそれぞれ固着されるとともに操作部3内に位置する第1固定部であるジョイント25u、25d、25r、25lを具備している。
言い換えれば、ジョイント25uは、牽引ワイヤ20uにおけるジョイント25uよりも先端側の部位20uaと、基端側の部位20ubとを連結している。
尚、先端側の部位20uaの先端は湾曲部12に連結されており、基端側の部位20ubの基端は、ジョイスティック50の牽引部に連結されている。また、部位20uaの外周には、既知のワイヤガイド21uが被覆されている。
また、ジョイント25dは、牽引ワイヤ20dにおけるジョイント25dよりも先端側の部位20daと、基端側の部位20dbとを連結している。
尚、先端側の部位20daの先端は湾曲部12に連結されており、基端側の部位20dbの基端は、ジョイスティック50の牽引部50sに連結されている。また、部位20daの外周には、既知のワイヤガイド21dが被覆されている。
尚、ジョイント25rは、牽引ワイヤ20rにおけるジョイント25rよりも先端側の部位20raと、基端側の部位20rbとを連結している。
尚、先端側の部位20raの先端は湾曲部12に連結されており、基端側の部位20rbの基端は、ジョイスティック50の牽引部50sに連結されている。また、部位20raの外周には、既知のワイヤガイド21r(図示されず)が被覆されている。
さらに、ジョイント25lは、牽引ワイヤ20lにおけるジョイント25lよりも先端側の部位20laと、基端側の部位20lbとを連結している。
尚、先端側の部位20laの先端は湾曲部12に連結されており、基端側の部位20lbの基端は、ジョイスティック50の牽引部50sに連結されている。また、部位20laの外周には、既知のワイヤガイド21l(図示されず)が被覆されている。
また、張力付与機構100は、操作部3内において、各牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lの外周にそれぞれ被覆された弾性部材30u、30d、30r、30lを具備している。
弾性部材30uは、延在方向Eの一端がジョイント25uに固定され、延在方向Eの他端がジョイント25uよりも先端側に位置する第2固定部である操作部3の外装3gfに固定されており、牽引ワイヤ20uの外側に同軸状に設けられている。
また、弾性部材30dは、延在方向Eの一端がジョイント25dに固定され、延在方向Eの他端が外装3gfに固定されており、牽引ワイヤ20dの外側に同軸状に設けられている。
さらに、弾性部材30rは、延在方向Eの一端がジョイント25rに固定され、延在方向Eの他端が外装3gfに固定されており、牽引ワイヤ20rの外側に同軸状に設けられている。
また、弾性部材30lは、延在方向Eの一端がジョイント25lに固定され、延在方向Eの他端が外装3gfに固定されており、牽引ワイヤ20lの外側に同軸状に設けられている。
弾性部材30u〜30lは、各牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbを前方E1に引っ張る引っ張りバネから構成されていることにより、各基端側の部位20ub〜20lbに前方E1への張力F1をそれぞれ付与するものである。
尚、弾性部材30u〜30lによって基端側の部位20ub〜20ulに付与される張力F1が大きすぎるとジョイスティック50の傾倒力量が大きくなってしまい、傾倒動作が行い難くなってしまうことから、弾性部材30u〜30lに用いる引っ張りバネに対しては、バネ定数が適切なものを選択する必要がある。具体的には、バネ定数0.01〜3N/mm程度の引っ張りバネが用いられる。
よって、各牽引ワイヤ20u〜20lの先端側の部位20ua〜20laに対しては、弾性部材30u〜30lによる後方E2への張力F2は付与されない。
尚、その他の内視鏡1の構成は、従来と同じであるため、その説明は省略する。
このように、本実施の形態においては、操作部3内に設けられる張力付与機構100は、各牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lの中途位置にそれぞれ固着されるとともに操作部3内に位置するジョイント25u、25d、25r、25lを具備していると示した。
また、張力付与機構100は、操作部3内において、各牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lの外周に各牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lとそれぞれ同軸状となるよう被覆されるとともに、延在方向Eの各一端がジョイント25u、25d、25r、25lに固定され、延在方向Eの各他端が外装3gfに固定された弾性部材30u、30d、30r、30lを具備していると示した。
このことによれば、弾性部材30u〜30lは、ジョイント25u〜25lを介して牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbのみに対して前方E1に張力F1を付与する。
このことから、牽引ワイヤ20u〜20lには、弾性部材30u〜30lにより常に張力F1が付与されることから、湾曲部12が非湾曲状態においても、ジョイスティック50に所謂アソビが発生してしまうことを防ぐことができる。
また、弾性部材30u〜30lは、牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbのみに対して前方E1に張力F1を付与している。即ち、弾性部材30u〜30lは、牽引ワイヤ20u〜20lの先端側の部位20ua〜20laに対しては、従来のような牽引ワイヤ20u〜20lを延在方向Eに略直交する方向に引っ張る構成のように、後方E2への張力F2を付与しない。
このことから、先端側の部位20ua〜20laに対しては、後方E2への張力F2を付与しないため、湾曲部12を構成する複数の湾曲駒が張力F2により延在方向Eの後方に圧縮されてしまうことを防ぐことができ、先端側の部位20ua〜20laへの張力F2の付与により発生する湾曲部12の蛇行を防ぐことができる。
また、弾性部材30u〜30lは、牽引ワイヤ20u〜20lの外周において、牽引ワイヤ20u〜20lと同軸状に設けられている。
このことから、従来のように、操作部3内に牽引ワイヤ20u〜20lを延在方向Eに略直交する方向に引っ張るバネを配置するスペースを確保する必要がない。よって、操作部3内に弾性部材30u〜30lを省スペースにて配置することができるとともに、操作部3の小型化を実現することができる。
さらに、弾性部材30u〜30lの各他端が、外装3gfに固定されていることにより、弾性部材30u〜30lの各他端の支点が同じ位置になる。
このため、弾性部材30u〜30lからジョイント25u〜25lに付与される負荷もそれぞれ同じになることから、湾曲部12の非湾曲状態における形状が安定しやすくなる。また、挿入部2内における各牽引ワイヤ20u〜20lの走行軌跡を自然な状態に維持出来、各牽引ワイヤ20u〜20lの座屈等も防ぐことができるばかりか、各ワイヤ20u〜20lの挙動も安定する。
尚、以上の効果は、操作部3内に湾曲動作に伴うジョイスティック50の操作力量を低減させる既知の湾曲力量低減機構が設けられている構成において特に有効である。
以上から、非湾曲状態における湾曲部12の蛇行を防ぐとともに牽引ワイヤ20u〜20lの緩みを除去できる構成を具備する内視鏡1を提供することができる。
(第2実施の形態)
図3は、本実施の形態の内視鏡における操作部内に設けられた張力付与機構を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図である。
この第2実施の形態の内視鏡の構成は、上述した図1、図2に示した第1実施の形態の内視鏡と比して、操作部内において弾性部材が設けられている位置が異なる。
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態においては、張力付与機構100は、各牽引ワイヤ20u、20d、20r、20lの外周にそれぞれ被覆された弾性部材40u、40d、40r、40l(弾性部材40r、40lは図示されず)を具備している。
弾性部材40uは、延在方向Eの一端がジョイント25uに固定され、延在方向Eの他端がジョイント25uよりも基端側に位置する第2固定部であるジョイスティック50の牽引部50sに固定されており、牽引ワイヤ20uの外側に同軸状に設けられている。即ち、弾性部材40uは、基端側の部位20ubの外周に被覆されている。
また、弾性部材40dは、延在方向Eの一端がジョイント25dに固定され、延在方向Eの他端が牽引部50sに固定されており、牽引ワイヤ20dの外側に同軸状に設けられている。即ち、弾性部材40dは、基端側の部位20dbの外周に被覆されている。
さらに、図示しないが、弾性部材40rは、延在方向Eの一端が図示しないジョイント25rに固定され、延在方向Eの他端が牽引部50sに固定されており、牽引ワイヤ20rの外側に同軸状に設けられている。即ち、弾性部材40rは、図示しない基端側の部位20rbの外周に被覆されている。
また、図示しないが、弾性部材40lは、延在方向Eの一端が図示しないジョイント25lに固定され、延在方向Eの他端が牽引部50sに固定されており、牽引ワイヤ20lの外側に同軸状に設けられている。即ち、弾性部材40lは、図示しない基端側の部位20lbの外周に被覆されている。
弾性部材40u〜40lは、各牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbを、各ジョイント25u〜25lを介して前方E1に付勢する圧縮バネから構成されていることにより、各基端側の部位20ub〜20lbに前方E1への張力F1をそれぞれ付与するものである。
尚、弾性部材40u〜40lによって基端側の部位20ub〜20ulに付与される張力が大きすぎるとジョイスティック50の傾倒力量が大きくなってしまい、傾倒動作が行い難くなってしまうことから、弾性部材40u〜40lに用いる圧縮バネに対しては、バネ定数が適切なものを選択する必要がある。具体的には、バネ定数0.01〜3N/mm程度の圧縮バネが用いられる。
よって、各牽引ワイヤ20u〜20lの先端側の部位20ua〜20laに対しては、弾性部材40u〜40lによる後方E2への張力F2は付与されない。
尚、その他の内視鏡1の構成は、上述した第1実施の形態と同じであるため、その説明は省略する。
このように、本実施の形態においても、弾性部材40u〜40lは、ジョイント25u〜25lを介して牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbのみに対して前方E1に張力F1を付与することから、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
尚、以下、変形例を、図14を用いて示す。図14は、図3の各弾性部材の他端が、操作部の外装内に設けられた隔壁に固定された変形例を概略的に示す図である。
図14に示すように、外装3g内に、該外装3g内の空間を2つに分ける隔壁3gzが設けられており、各弾性部材40u、40d、40r、40lの他端が、隔壁3gzに固定され、各牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbが、隔壁3gzに延在方向Eに沿って設けられた図示しない貫通孔を通過した後、各基端が牽引部50sにそれぞれ固定されていても構わない。
このような構成によっても、弾性部材40u〜40lは、ジョイント25u〜25lを介して牽引ワイヤ20u〜20lの基端側の部位20ub〜20lbのみに対して前方E1に張力F1を付与することから、上述した第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
尚、上述した第1、第2実施の形態においては、挿入部2に湾曲部12を有する内視鏡1を例に挙げて示したが、これに限らず、挿入部に湾曲部を有する内視鏡以外の他の挿入機器においても適用可能であるということは云うまでもない。
また、以下、第1、第2実施の形態の他にも、上述した第1、第2実施の形態と同様の効果を得るため、下記図4、図5に示す張力付与機構100の構成が考えられる。
図4は、本構成の内視鏡における操作部内に設けられた張力付与機構を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図、図5は、図4のジョイスティックが傾倒操作され、上方向牽引ワイヤが牽引された状態を概略的に示す図である。
この本構成の内視鏡は、上述した図1、図2に示した第1実施の形態の内視鏡、図3に示した第2実施の形態の内視鏡と比して、操作部内における張力付与機構の構成が異なるのみであることから、第1、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
尚、図4、図5及び以下の説明においては、湾曲部12を右方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20r、左方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20lの構成は省略して示す。
図4、図5に示すように、それぞれ対向するワイヤ20u、20dは、操作部3内において、一部がワイヤガイド21ua、21ub、21da、21dbから露出されている。
また、張力付与機構100は、一端62u、62dがワイヤ20u、20dの露出部位にそれぞれ固定されており、他端61u、61dが、操作部3内において延在方向Eに沿って設けられたフレーム8u、8dにそれぞれ延在方向Eの前後に移動自在に接続された延在方向Eに略直交する方向Cに延在する引っ張りバネ60u、60dを有している。
尚、引っ張りバネ60u、60dは、図4に示すように、ワイヤ20u、20dの各露出部位を、方向Cにおいてフレーム8u、8d側に張力C1により引っ張っている。
このことにより、従来と同様に、ワイヤ20u、20dの一端62u、62dよりも先端側の部位20ua、20daには、後方E2への張力F2が付与されており、基端側の部位20ub、20dbには、前方E1への張力F1が付与されている。
このような構成においては、図5に示すように、湾曲部12を上方向に湾曲させるため、ジョイスティック50が上方向に傾倒された際、牽引ワイヤ20uは、牽引部50sにより、後方E2に張力F2によって牽引される。
この際、引っ張りバネ60uの他端61uは、方向Cに引っ張りバネ60uが少しだけ伸びた状態で後方E2に移動し、引っ張りバネ60dの他端61dは、方向Cに引っ張りバネ60dがほぼ伸びていない状態において前方E1に移動する。
よって、この引っ張りバネ60dの他端61dの前方への移動により、引っ張りバネ60dは方向Cに伸びる量が少なくなることから、牽引ワイヤ20dの先端側の部位20daに、後方E2への張力F2が発生し難い。
よって、湾曲部12の非湾曲状態の際に、湾曲部12に蛇行が発生してしまうことを上述した第1、第2実施の形態と同様に、効果的に防止することができる。尚、その他の効果は、上述した第1、第2実施の形態と同じである。
尚、以上の構成、効果は、ワイヤ20dを牽引する場合や、それぞれ対向するワイヤ20r、20lにおいても同様である。
尚、以下、本構成の変形例を、図6、図7を用いて示す。
図6は、本構成の内視鏡における操作部内に設けられた張力付与機構の変形例の構成を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図、図7は、図6のジョイスティックが傾倒操作され、上方向牽引ワイヤが牽引された状態を概略的に示す図である。
尚、図6、図7及び以下の説明においても、湾曲部12を右方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20r、左方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20lの構成は省略して示す。
図6、図7に示すように、本変形例の張力付与機構100の構成においては、ワイヤガイド21ub、21dbが、ワイヤガイド21ua、21daよりも方向Cにおいて操作部3の中央領域側に位置している。
その結果、牽引部50sに接続される牽引ワイヤ20u、20dの基端側の部位20ub、20dbが、先端側の部位20ua、20daよりも方向Cにおいて操作部3の中央領域側に位置している。
よって、操作部3内において、牽引ワイヤ20u、20dの露出部位は、ワイヤガイド21ua、21daの基端から、ワイヤガイド21ub、21dbの先端に向けて、方向Cにおける操作部3の中央領域側に傾斜して延在している。
尚、その他の張力付与機構100の構成は、図4、図5に示す張力付与機構100の構成と同じであるため、その説明は省略する。
このような構成においては、図7に示すように、湾曲部12を上方向に湾曲させるため、ジョイスティック50が上方向に傾倒された際、牽引ワイヤ20uは、牽引部50sにより、後方E2に張力F2によって牽引される。
この際、引っ張りバネ60uの他端61uは、方向Cに引っ張りバネ60uが少しだけ伸びた状態で後方E2に移動し、引っ張りバネ60dの他端61dは、方向Cに引っ張りバネ60dがほぼ伸びていない状態において前方E1に移動する。
よって、この引っ張りバネ60dの他端61dの前方への移動により、引っ張りバネ60dは方向Cに自然長状態まで縮まることから、牽引ワイヤ20dの先端側の部位20daに、後方E2への張力F2が、図4、図5の構成に比べより発生し難い。
即ち、図6、図7に示す張力付与機構100の構成においては、前方E1に移動する引っ張りバネ60uの他端61u、引っ張りバネ60dの他端61dのいずれかが、引っ張りバネ60u、60dのいずれかが縮むことにより、ワイヤガイド21ua、21daの基端のいずれかに方向Cにおいて近接するよう、ワイヤガイド21ua、21daがそれぞれ位置している。
よって、湾曲部12の非湾曲状態の際に、湾曲部12に蛇行が発生してしまうことを図4、図5に示す張力付与機構100の構成よりも効果的に防止することができる。尚、その他の効果は、上述した図4、図5と同じである。
尚、以上の構成、効果は、ワイヤ20dを牽引する場合や、それぞれ対向するワイヤ20r、20lにおいても同様である。
尚、以下、本構成の別の変形例を、図8、図9を用いて示す。
図8は、本構成の内視鏡における操作部内に設けられた張力付与機構の図6、図7とは別の変形例の構成を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図、図9は、図8のジョイスティックが傾倒操作され、上方向牽引ワイヤが牽引された状態を概略的に示す図である。
尚、図8、図9及び以下の説明においても、湾曲部12を右方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20r、左方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20lの構成は省略して示す。
図8、図9に示すように、本変形例の張力付与機構100の構成においては、図4、図5に示す張力付与機構100の構成に対し、引っ張りバネ60u、60dの各他端61u、60dが、各一端62u、62dよりも延在方向Eの前方E1において、各フレーム8u、8dに対して非移動状態にて固定されている。
尚、各他端61u、61dは、操作部3の外装における延在方向Eに沿った側壁3gsに直接、非移動状態にて固定されていても構わない。
即ち、各引っ張りバネ60u、60dは、各他端61u、61dから各一端62u、62dに向けて、後方E2に向かうに従い、操作部3の中央領域に向かって方向Dに沿って傾斜している。
また、引っ張りバネ60u、60dは、図8に示すように、ワイヤ20u、20dの各露出部位を、方向Dにおいてフレーム8u、8d側に張力D1により引っ張っている。
このことにより、従来と同様に、ワイヤ20u、20dの一端62u、62dよりも先端側の部位20ua、20daには、後方E2への張力F2が付与されており、基端側の部位20ub、20dbには、前方E1への張力F1が付与されている。
尚、その他の張力付与機構100の構成は、図4、図5に示す張力付与機構100の構成と同じであるため、その説明は省略する。
このような構成においては、図9に示すように、湾曲部12を上方向に湾曲させるため、ジョイスティック50が上方向に傾倒された際、牽引ワイヤ20uは、牽引部50sにより、後方E2に張力F2によって牽引される。
この際、引っ張りバネ60uは、方向Dに沿って大きく伸びる。また、引っ張りバネ60dは、牽引ワイヤ20dが前方E1に弛緩されて移動することにより、一端62dと他端61dの延在方向Eにおける位置が略等しくなる。
よって、この牽引ワイヤ20dの前方への移動により、引っ張りバネ60dは方向Cに自然長状態まで縮まることから、牽引ワイヤ20dの先端側の部位20daに、後方E2への張力F2が、図4、図5の構成に比べより発生し難い。
即ち、図8、図9に示す張力付与機構100の構成においては、引っ張りバネ60uの他端61u、引っ張りバネ60dの他端61dのいずれかが、牽引ワイヤ20u、20dのいずれかが前方に移動した際、引っ張りバネ60u、60dのいずれかが縮むよう、引っ張りバネ60uの一端62u、引っ張りバネ60dの一端62dのいずれかに方向Cにおいて近接するよう、各他端61u、61dが各フレーム8u、8dにそれぞれ固定されている。
よって、湾曲部12の非湾曲状態の際に、湾曲部12に蛇行が発生してしまうことを図4、図5に示す張力付与機構100の構成よりも効果的に防止することができる。
また、本構成においては、フレーム8u、8dに対して他端61u、61dは延在方向Eに移動することがない。このことから、移動に伴い異音が発生してしまうことが無く、またフレーム8u、8dに対して他端61u、61dの接続が外れてしまうことがないことから、信頼性の高い張力付与機構100を提供することができる。尚、その他の効果は、上述した図4、図5と同じである。
尚、以上の構成、効果は、ワイヤ20dを牽引する場合や、それぞれ対向するワイヤ20r、20lにおいても同様である。
尚、以下、本構成の別の変形例を、図10、図11を用いて示す。
図10は、本構成の内視鏡における操作部内に設けられた張力付与機構の図8、図9とは別の変形例の構成を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図、図11は、図10のジョイスティックが傾倒操作され、上方向牽引ワイヤが牽引された状態を概略的に示す図である。
尚、図10、図11及び以下の説明においても、湾曲部12を右方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20r、左方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20lの構成は省略して示す。
図10、図11に示すように、本変形例の張力付与機構100の構成においては、図8、図9に示す張力付与機構100の構成に対し、ワイヤガイド21ub、21dbが、ワイヤガイド21ua、21daよりも方向Cにおいて操作部3のフレーム8u、8d側に位置している。その結果、牽引部50sに接続される牽引ワイヤ20u、20dの基端側の部位20ub、20dbが、先端側の部位20ua、20daよりも方向Cにおいて操作部3のフレーム8u、8d側に位置している。
よって、操作部3内において、牽引ワイヤ20u、20dの露出部位は、ワイヤガイド21ua、21daの基端から、ワイヤガイド21ub、21dbの先端に向けて、方向Cにおける操作部3のフレーム8u、8d側に傾斜して延在している。尚、その他の張力付与機構100の構成は、図8、図9に示す張力付与機構100の構成と同じであるため、その説明は省略する。
また、本構成においても、各他端61u、61dは、操作部3の外装における延在方向Eに沿った側壁3gsに直接、非移動状態にて固定されていても構わない。
このような構成においては、図11に示すように、湾曲部12を上方向に湾曲させるため、ジョイスティック50が上方向に傾倒された際、牽引ワイヤ20uは、牽引部50sにより、後方E2に張力F2によって牽引される。
この際、引っ張りバネ60uは、方向Dに沿って大きく伸びるが、牽引ワイヤ20uの露出部位がフレーム8u側に傾斜しているため、伸び量が図9よりも小さくなる。このため、湾曲部12を上方向に湾曲させる際に操作されるジョイスティック50の上方向への傾倒力量を図9よりも小さくすることができる。
即ち、図10、図11に示す張力付与機構100の構成においては、ワイヤガイド21ub、21dbが、フレーム8u、8dに方向Cにおいて近付くよう操作部3内に配置されていることから、ジョイスティック50の傾倒力量を小さくすることができる。
また、引っ張りバネ60dは、牽引ワイヤ20dが前方E1に弛緩されて移動することにより、一端62dと他端61dの延在方向Eにおける位置が略等しくなる。
よって、この牽引ワイヤ20dの前方への移動により、引っ張りバネ60dは方向Cに自然長状態まで縮まることから、牽引ワイヤ20dの先端側の部位20daに、後方E2への張力F2が、図4、図5の構成に比べより発生し難い。尚、その他の効果は、上述した図8、図9と同じである。
尚、以上の構成、効果は、ワイヤ20dを牽引する場合や、それぞれ対向するワイヤ20r、20lにおいても同様である。
また、以下、第1、第2実施の形態の他にも、上述した第1、第2実施の形態と同様の効果を得るため、下記図12、図13に示す張力付与機構100の構成が考えられる。
図12は、本構成の内視鏡における操作部内に設けられた張力付与機構を、操作部及び挿入部の一部とともに概略的に示す図、図13は、図12のジョイスティックが傾倒操作され、上方向牽引ワイヤが牽引された状態を概略的に示す図である。
この本構成の内視鏡は、上述した図1、図2に示した第1実施の形態の内視鏡、図3に示した第2実施の形態の内視鏡と比して、操作部内における張力付与機構の構成が異なるのみであることから、第1、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
尚、図12、図13及び以下の説明においては、湾曲部12を右方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20r、左方向に湾曲させるために牽引されるワイヤ20lの構成は省略して示す。
図12、図13に示すように、それぞれ対向するワイヤ20u、20dは、操作部3内において、一部がワイヤガイド21ua、21ub、21da、21dbから露出されている。
また、張力付与機構100は、引っ張りバネ70u、70dを有している。引っ張りバネ70u、70dは、一端72u、72dがワイヤ20u、20dの露出部位にそれぞれ固定されており、他端71u、71dが、操作部3の外装の延在方向Eに沿った側壁3gsにおいて、ジョイスティック50側に、プーリ150u、150dを介して固定されている。
尚、引っ張りバネ70u、70dは、図12に示すように、ワイヤ20u、20dの各露出部位を、方向Gにおいてプーリ150u、150dを介して張力G1により引っ張っている。
このことにより、従来と同様に、ワイヤ20u、20dの一端72u、72dよりも先端側の部位20ua、20daには、後方E2への張力F2が付与されており、基端側の部位20ub、20dbには、前方E1への張力F1が付与されている。
このような構成においては、図13に示すように、湾曲部12を上方向に湾曲させるため、ジョイスティック50が上方向に傾倒された際、牽引ワイヤ20uは、牽引部50sにより、後方E2に張力F2によって牽引される。
この際、引っ張りバネ70uは、方向Gに沿って大きく伸びる。また、引っ張りバネ70dは、牽引ワイヤ20dが前方E1に弛緩されて移動する。このことにより、方向Gに自然長状態まで縮まることから、牽引ワイヤ20dの先端側の部位20daに、後方E2への張力F2が発生し難い。
よって、湾曲部12の非湾曲状態の際に、湾曲部12に蛇行が発生してしまうことを上述した第1、第2実施の形態と同様に、効果的に防止することができる。
また、各引っ張りバネ70u、70dの他端71u、71dは、操作部3の外装3gの側壁3gsにおいて、ジョイスティック50側に固定されていることから、操作部3内において、挿入部2側の外装3gfに固定する必要がない。このため、固定位置の自由度が増す他、操作部3内において、挿入部2側の径Wを小さくすることができる。よって、操作者が操作部3の図示しない鉗子口を介して行う鉗子操作が行いやすくなる。
尚、その他の効果は、上述した第1、第2実施の形態と同じである。
尚、以上の構成、効果は、ワイヤ20dを牽引する場合や、それぞれ対向するワイヤ20r、20lにおいても同様である。