JP6712795B2 - 藻類の培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、藻類の培養方法に関し、詳しくは屋外の圃場で効率よく藻類を培養する方法に関する。
藻類は、ビタミン類やアミノ酸などの有用物質を生産することから、従来より、これを大量に培養する技術が研究されており、近年は、新たなバイオマス資源としても注目されている。
藻類の培養装置に必要な環境或いは装備として、光、温度、栄養分、二酸化炭素があり、屋外の圃場における培養装置として、大気に開放した開放型のものと、密閉型のものと、が知られている。
このうち開放型の培養装置は、光、温度、栄養分等の生育環境の制御以上に、異種の混入が問題となるため、強アルカリなどの特殊環境下で生育する種でなければ、生産が難しい。
一方、密閉型の培養装置では、開放型の培養装置にみられる上記のような問題は生じないものの、藻類培養の限界水温(液温)は42℃程度とされており、夏期に液温がこれ以上に上昇し過ぎて、培養のトラブルが発生するなどという問題がある。
そこで、例えば透明なドーム形状などをした密閉型の培養装置において、空気や炭酸ガスの導入部材および培養液の排出部材、さらに冷却水を散水するための散水用部材などが設けられているものが提案されている(特許文献1参照)。
この培養装置によれば、冷却水により、培養液の温度を調節することが可能となっている。
しかしながら、この装置の場合、冷却水を散水するための散水用部材の他、散水を受けるための散水受器が必要となるなど、培養装置がかなり大掛かりなものとなってしまう。
また、密閉型と開放型のいずれにしろ、従来型の屋外の圃場における培養装置では、大掛かりな土木工事を必要としたり、或いは新規に構造物を建設したりする必要があり、初期投資が多額となるばかりか、これを農地に戻すことが困難であるなど、農業面との親和性が薄いという欠点があった。
WO99/50384号公報
本発明は、上記従来の課題を解消し、大掛かりな土木工事を必要としたり、或いは新規に構造物を建設したりする必要がなく、屋外の圃場で藻類を安価で大量に培養する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、夏期に液の温度が上昇し過ぎて、培養のトラブルが発生するなどという問題の抑止された培養方法を提供することを目的とするものである。
即ち、本発明は、次の(1)〜(5)を提供するものである。
(1):藻類を培養するにあたり;
圃場の地表面に、畝立て機、溝掘機、溝切り機又は培土板を用いて、細長状であり、かつ畝状をした凹みの溝を掘り;
前記溝に、透光性軟質フィルムからなる細長状のチューブをその長手方向が前記溝の長手方向と接触するように敷設し;
前記チューブ内に、藻類と、培養液とを、前記培養液の液位が全体として地表面以下となるようにして封入し;
この封入の際に、又は封入した後に、前記チューブ内に二酸化炭素を含む気体を取り込み、前記チューブの内部圧力を大気圧よりも高め前記チューブを膨張・変形させ、前記チューブと前記溝とを両者間に隙間がなくなる程度に密に接触させて培養を行う;
ことを特徴とする、藻類の培養方法に関するものである。

(2):前記溝の断面形状が、略半円状乃至略半楕円状である、前記(1)に記載の藻類の培養方法に関するものである。

(3):前記藻類が、光合成を行うオイル生産藻類又はクラミドモナスである、前記(1)又は前記(2)に記載の藻類の培養方法に関するものである。

(4):前記透光性軟質フィルムが、ポリエチレンフィルムである、前記(1)〜前記(3)のいずれかに記載の藻類の培養方法に関するものである。

(5):前記チューブ内に取り込む二酸化炭素を含む気体が、空気である、前記(1)〜前記(4)のいずれかに記載の藻類の培養方法に関するものである。
本発明によれば、大掛かりな土木工事を必要としたり、或いは新規に構造物を建設したりする必要がなく、屋外の圃場で藻類を安価で大量に培養し増殖させる方法が提供される。
また、本発明によれば、夏期における液温の上昇を抑制することができ、夏期に液の温度が上昇し過ぎて、培養のトラブルが発生するなどという問題の抑止された培養方法が提供される。
さらに、本発明によれば、冬期の低温時に、水温低下を抑制することができることから、夏期における液温の上昇の抑制と相俟って、屋外での生育期間を拡大することができる。
本発明の方法では、畝立て機などを使用して地表面に細長状の溝を掘り、この溝に透光性軟質フィルムからなる細長状のチューブを敷設して藻類の培養を行うものであることから、遊休農地などを活用して培養することが可能である。
従って、より一層安価に屋外で藻類を培養できるものと期待される。
本発明の方法を行っている状態を示す写真像図である。 培養液内の藻類量の指標として測定した、660nmの吸光度を示すグラフである。 実施例1における、夏期の高温時の液温変化の一例を気温の変化と共に示すグラフである。 実施例1における、冬期の低温時の液温変化の一例を気温の変化と共に示すグラフである。
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の方法を行っている状態の一例を示す写真像図である。図1中、符号1は地表面、符号2は溝、符号3は細長状のチューブ、をそれぞれ示している。
本発明は、藻類の培養方法に関するものであって、藻類を培養するにあたり;地表面1に細長状の溝2を掘り;溝2に、透光性軟質フィルムからなる細長状のチューブ3をその長手方向が溝2の長手方向と接触するように敷設し;チューブ3内に、藻類と、培養液と、を封入し;この封入の際に、又は封入した後に、チューブ3内に二酸化炭素を含む気体を取り込み、チューブ3の内部圧力を大気圧よりも高めチューブ3を膨張・変形させて培養を行う;ことを特徴とするものである。
本発明においては、まず圃場などの地表面1に細長状の溝2を掘る。この溝は、いわば「畝状をした凹み」とも言えるものである。
溝2としては、好ましくはその断面形状が、略半円状乃至略半楕円状のものである。
ここで、略半円状乃至略半楕円状とは、略半円状から略半楕円状までの間の形状を含むものである。
ここで溝2の断面形状が、略半円状乃至略半楕円状のものでなく、例えば溝2の断面形状が長方形状のものであったりすると、このような溝2に後記する細長状のチューブ3を敷設し、さらにこのチューブ3の内部圧力を大気圧よりも高めチューブ3を膨張・変形させて、チューブ3と溝2との接触部位を密に接触させるようにしたとしても、どうしても溝2と細長状のチューブ3との間の隅に隙間が生じやすくなり、雨が降ったときなどにこの隙間に雨水が溜まり、夏期などに液の温度が上昇し過ぎて、培養のトラブルが発生するおそれがある。
溝2の深さについては、藻類の培養ということで、最も深い位置まで光が透過して届く必要があるため、深くとも500mm(0.5m)未満とすることが好ましい。
また、溝2の幅などについては、この溝2に敷設する細長状のチューブ3の大きさを考慮して適宜決定すればよいが、一般的には400mm(0.4m)程度である。
このような溝2の成型は、例えば畝立て機、溝堀機、溝切り機、培土板などを用いて行うことができる。
本発明においては、このような溝2に、細長状のチューブ3を、その長手方向が溝2の長手方向と接触するように敷設する。細長状のチューブ3の敷設は、ロール状に巻かれたチューブを、例えばマルチャーと呼ばれるマルチフィルム敷設機などを用いることによって行うことができる。また、巻き取り機などを用い、巻き取り機に巻かれているチューブ3を引っ張り出すことによって敷設することもできる。
細長状のチューブ3の大きさについては特に制限されないが、藻類の培養量や、上記した500mm未満という溝2の深さ等を適宜考慮して選定すればよい。
ここで細長状のチューブ3としては、培養液の封入や二酸化炭素を含む気体の取込み口を設置するための加工(ヒートシール)ができること;培養液を入れると自重で変形し地表面1(土壌面)に密着する柔軟さを有すること;太陽光を透過する透明度を有すること;地表面1(土壌面)と接触し熱が移動する程度の薄さであること;培養期間を通して屋外の気象条件に耐えられる強度があること;などの条件を備えることが必要であることから、透光性のある軟質フィルムからなるものが用いられ、より具体的にはポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムから選ばれる1種が好ましく、特にポリエチレンフィルムが最も好ましく用いられる。
透光性軟質フィルムの厚さは、0.05〜0.2mm程度、一般に0.1mm程度であるが、これに制限されるものではない。
そして、この細長状のチューブ3内に、藻類と、培養液と、を入れる(封入する)。
ここで藻類としては、光合成を行う藻類であれば特に制限されないが、光合成を行うオイル生産藻類、又は、クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii;和名:コナミドリムシ)が好ましい。
光合成を行うオイル生産藻類としては例えば、ボトリオコッカス(Botryococcus)属に属する藻類などが挙げられ、より具体的には、オイル生産能力の高いボトリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)などが好ましく用いられる。
培養液としては、藻類の培養に用いることができるものであればよく、C培地、AF-6培地などの藻類用の液体培地の他、液肥などを用いることもできる。
なお、細長状のチューブ3内には、二酸化炭素を含む気体を取り込むことができるように、空隙ができる程度に培養液を入れておくことが必要であり、通常、培養液が細長状のチューブ3の断面の半分程度まで入っているようにする。
溝2に敷設されている細長状のチューブ3内に培養液を封入すると、その自重で細長状のチューブ3は溝2内に固定されることになる。
このため、細長状のチューブ3については、特段の固定具を必要とせず、風対策を必要としない。
細長状のチューブ3内に、藻類と、培養液と、を封入する際に、又はこれらを封入した後に、細長状のチューブ3内に二酸化炭素を含む気体を取り込み、細長状のチューブ3の内部圧力を大気圧よりも高めて細長状のチューブ3を膨張・変形させ、これにより細長状のチューブ3と溝2との接触部位を(両者間に隙間がなくなる程度に)密に接触させる。
細長状のチューブ3内への二酸化炭素を含む気体の取り込みは、細長状のチューブ3に、二酸化炭素を含む気体の取込み口を設置したりすることなどによって行うことができる。
細長状のチューブ3内には、二酸化炭素を含む気体が取り込まれ、藻類の増殖に利用される。二酸化炭素を含む気体としては、二酸化炭素単体を用いたり、空気を用いたり、或いは、空気に二酸化炭素を混合して二酸化炭素濃度を高めたものなどを用いることができるが、入手のしやすさなどから、空気を用いることが最も好ましい。
細長状のチューブ3内への二酸化炭素を含む気体の取り込みや封入には、ボンベやエアーポンプの他、アスピレータを使用することができるが、エアーポンプが最も手軽であり最も好ましい。
また、内部圧力の調整は、細長状のチューブ3に、ベントフィルター、好ましくはHEPAベントフィルターを取付けることにより行うことができる。特に、HEPAベントフィルターを取付けることにより、目的株以外のコンタミネーションを回避することができる。
このように、細長状のチューブ3にベントフィルターを取付けることにより、通気を確保し、内部圧力を調整しながら、密閉性をも確保することができる。
このようにして、細長状のチューブ3内に二酸化炭素を含む気体を取り込み、細長状のチューブ3の内部圧力を大気圧よりも高めて細長状のチューブ3を膨張・変形させる。
この結果、細長状のチューブ3の断面は、略楕円形となる。
このように細長状のチューブ3の内部圧力を大気圧よりも高めて細長状のチューブ3を膨張・変形させることで、降雨や降雪等の場合にも、細長状のチューブ3上に水溜まりができることがない。また、砂ほこり等も溜まりにくいばかりか、降雨や降雪等のたびに洗われ、清浄な状態を保つことができる。
このような意味から、細長状のチューブ3を膨張・変形させる程度は、雨が降ったときに、細長状のチューブ3上に水溜まりができない程度であって、しかも大気圧で細長状のチューブ3が破裂しない程度までということになる。
さらに、細長状のチューブ3内に二酸化炭素を含む気体を取り込み、細長状のチューブ3の内部圧力を大気圧よりも高めて細長状のチューブ3を膨張・変形させる結果、細長状のチューブ3の断面は、略楕円形となるが、細長状のチューブ3はその自重で溝2内に固定されるため、細長状のチューブ3と溝2とは、両者間に隙間がなくなる程度に、密に接触する。この結果、地中温度(地温)を利用することができ、地温に近い溝2の内部と、細長状のチューブ3との間で、接触熱交換を行うことができる。この結果、特に夏期における培養液の液温の上昇を抑制することができるという特長がある。
即ち、気温が高い夏期には、細長状のチューブ3内の培養液等は、気温よりも低く安定している地温の影響を受けて冷却され、効率よく水温(液温)上昇を抑制することができる。このとき、特に細長状のチューブ3内部の培養液の量を、細長状のチューブ3の断面の半分程度とし、培養液の液位を全体として地表面1以下となるようにすることで、より一層水温(液温)上昇を抑制することができ好ましい。
一方、気温が低い冬期には、細長状のチューブ3内の培養液等は、気温よりも高く安定している地温の影響を受け、水温(液温)低下を抑制することができ、特に夜間の水温(液温)をより高く維持することができる。
このようにして、細長状のチューブ3を膨張・変形させ、細長状のチューブ3と溝2とを、両者間に隙間がなくなる程度に、密に接触させて、藻類の培養を行う。
このとき、上記したように、細長状のチューブ3内の培養液の液位を全体として地表面以下となるようにして培養することが好ましい。
この結果、大掛かりな土木工事を必要としたり、或いは新規に構造物を建設したりする必要がなく、圃場で藻類を安価で大量に培養し増殖させることができる。
本発明では、野外の太陽光、特に夏期の太陽光を利用して、藻類の大量培養が可能となる。
また、本発明によれば、夏期に液の温度が上昇し過ぎて、培養のトラブルが発生するなどという問題も解消される。
さらに、冬期の低温時に、液温低下を抑制することも可能である。
また、本発明の方法は、密閉系であるため、野外からの微生物の混入といったおそれがなく、単一藻類の大量培養が可能となる。
本発明は、基本的には積極的な温度調節を行うことなく、液温をある程度自然に調節することができ、特に夏期における液温の上昇を抑制することができたりするのであるが、特に夏期における培養液の温度が高くなりすぎないようにするために、必要に応じて温度低下手段を組合せて行うことができる。具体的には例えば、細長状のチューブ3を敷設した周囲の土壌中に点滴したり、細長状のチューブ3の表面に散水したりすることが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
試験例1(チューブの敷設と藻類の培養試験)
(1)チューブの敷設
藻類の培養槽の材料として、成型しロール状に巻かれた細長状のポリエチレンチューブ3(ポリエチレンフィルム製;厚さ0.1mm×径0.4m×長さ5m)を用意した。
茨城県つくば市の作付け後の圃場(畑地)を、ロータリーで静置して作成した平らな圃場の地表面1に、溝掘機で、断面が略半楕円状で、かつ細長状の溝2(上記細長状のポリエチレンチューブ3が丁度入る程度の溝2;具体的には、幅0.4m、深さ0.2m程度の溝)を掘り、この溝2に、上記の如き成型しロール状に巻かれた細長状のポリエチレンチューブ3を、細長状の溝2の末端に設置した巻き取り機から、溝2の長手方向に引っ張り出し、溝2の長さにあわせてカットし、細長状のポリエチレンチューブ3の長手方向が溝2の長手方向と接触するように敷設した。
敷設後、この細長状のポリエチレンチューブ3の一端はヒートシールして封止し、他端には藻類と培養液の導入口となると共にガス(気体)の導入口ともなる導入口を設け、さらに排気用チューブの末端にフィルターを取付けた。
即ち、敷設後、チューブ3の一端はヒートシールして封止し、もう一端についてはポリエチレンチューブ3の末端から約0.5mのところに、ねじ込み式の導入口をチューブ3の内側からと外側からチューブ3を挟み込むようにしてパッキンとともに取り付けた後に、末端をヒートシールして封止した。
導入口のフタには、内側に、酸素供給用のエアストーンを取り付けた吸気用のエアポンプチューブ;HEPAベントフィルターを取り付けた排気用のチューブ;温度センサ;をそれぞれ取り付けた。
(2)藻類の培養
設置後、導入口のフタを開けて、チューブ3内に培養液(園芸用の液肥;肥料成分がN-P-K=6-10-5のもの)と藻類(茨城県つくば市の水場で採取した藻類を継代培養したもの;クラミドモナスが主体)を150L注入し、所定の量となったところでフタを閉めた。エアポンプを稼動させることで、エアストーンから培養液内に気泡が発生し、チューブ3内に空気が入り、そのうちにチューブ3が膨らみ、溝と密着した。
このようにして、チューブ3内に空気を導入し、チューブ3の内部圧力を大気圧よりも高め、チューブ3を膨張・変形させ、チューブ3と溝2とを、両者間に隙間がなくなる程度に、密に接触させ、この状態で藻類の培養を行った。
このとき、細長状のチューブ3内の培養液の液位を、全体として地表面以下となるようにして培養を行った。
図1は、このようにして、本発明の方法を行っている状態を示す写真像図である。
図1によれば、細長状のポリエチレンチューブ3内に培養液や空気を封入することで、溝2の形状に合わせて、自重により溝2に密着して固定されていることが分かる。
即ち、本発明の方法では、細長状のチューブ3内に培養液とガス(気体)を封入して内部圧力を大気圧よりも高めることで、細長状のチューブ3は、地表面1の微細な凹凸に対しても自重で密着しながら形状を保ち、細長状のチューブ3内の液体の動きや強風に対しても安定していた。
上記のようにして、本発明の方法により培養した結果、藻類は良好に生育した。
図2に、藻類のクロロフィル含量と相関が高いことから、培養液内の藻類量の指標として測定した、660nmの吸光度(OD660)の経時変化を示す。
図2に示されるように、吸光度が培養時間の経過につれて明らかに上昇しており、本発明の方法によれば、藻類が増殖し、藻類量が増加していることが確認された。
本発明の方法による培養終了時の藻類の増加量を求めたところ、0.91g/L・7daysであった。
培養期間中の気温は、最低気温が12.5℃であり、最高気温は29.1℃であった。細長状のポリエチレンチューブ3内の水温は、最高37.4℃まで上昇し、平均27.2℃であった。
試験例2(チューブの耐久性と液温変化の調査試験)
試験例1と同様にしてチューブの敷設を行い、チューブの耐久性と液温変化を調べた(本発明区)。
試験は、2013年6月末から2014年3月1日まで行った。
この間、積算降水量は910mmであったが、降雨時にも、本発明区の細長状のポリエチレンチューブ3の表面には水溜まりがほとんどみられなかった。
また、試験終了時においても細長状のポリエチレンチューブ3は形状を維持していた。
なお、比較のために、上記本発明区において、溝2を掘ることなく、平らな圃場の地表面1に、細長状のポリエチレンチューブ3を敷設したこと以外は、本発明区と同様にして行い、これを比較対照区とした。
次に、この試験期間の夏期の高温時の液温変化と、冬期の低温時の液温変化と、を調べた。
図3に、試験例2における、夏期の高温時の液温変化の一例を気温の変化と共に示す。
図3中、○印で示したものが、本発明区の液温変化を示すグラフである。
また、図3中、■印で示したものは、比較対照区の液温変化を示すグラフである。
図3からは、夏期において、最高47℃程度にもなる比較対照区に比べて、本発明区では、日中の液温が、最高で41〜42℃程度と5℃程度も低く、藻類培養の限界水温以内に納まっており、液温の上昇が有効に抑制されたことが分かる。
従って、夏期の高温時に液の温度が上昇し過ぎて、培養のトラブルが発生するなどという問題が解消されることが期待される。
また、図4に、冬期の低温時の液温変化の一例を気温の変化と共に示す。
図4中、○印で示したものが、本発明区の液温変化を示すグラフである。
また、図4中、■印で示したものは、比較対照区の液温変化を示すグラフである。
図4からは、冬期において、比較対照区に比べて本発明区では、夜間の液温を比較対照区より高く維持することができることが分かる。即ち、冬期の低温時に、液温低下を抑制することができることが分かる。
また、前作が水稲の水田に溝を掘り、同様の実験を行ったが、圃場(畑地)と同様に、藻類を良好に増殖させることができた。
従って、作付けが可能な国内の農地であれば、本発明の方法を実施することが可能である。
以上の結果より、本発明の方法によれば、藻類の培養に関し、屋外での生育期間を拡大することができることが分かる。
即ち、本発明の方法(本発明区)によれば、気温よりも安定した地温の影響を受け、比較対照区の液温よりも、夏期には低温となり、冬期には高温となり、屋外での栽培可能期間を長く確保することができる。
本発明の方法により、遊休農地などを利用した藻類バイオマスの生産が可能であり、安価で大規模な生産体制を整えることが可能となる。
それ故、本発明は、新たなバイオマス資源として有用な藻類の培養に有効に利用される。
1:地表面
2:溝
3:細長状のチューブ

Claims (5)

  1. 藻類を培養するにあたり;
    圃場の地表面に、畝立て機、溝掘機、溝切り機又は培土板を用いて、細長状であり、かつ畝状をした凹みの溝を掘り;
    前記溝に、透光性軟質フィルムからなる細長状のチューブをその長手方向が前記溝の長手方向と接触するように敷設し;
    前記チューブ内に、藻類と、培養液とを、前記培養液の液位が全体として地表面以下となるようにして封入し;
    この封入の際に、又は封入した後に、前記チューブ内に二酸化炭素を含む気体を取り込み、前記チューブの内部圧力を大気圧よりも高め前記チューブを膨張・変形させ、前記チューブと前記溝とを両者間に隙間がなくなる程度に密に接触させて培養を行う;
    ことを特徴とする、藻類の培養方法。
  2. 前記溝の断面形状が、略半円状乃至略半楕円状である、請求項1に記載の藻類の培養方法。
  3. 前記藻類が、光合成を行うオイル生産藻類又はクラミドモナスである、請求項1又は2に記載の藻類の培養方法。
  4. 前記透光性軟質フィルムが、ポリエチレンフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載の藻類の培養方法。
  5. 前記チューブ内に取り込む二酸化炭素を含む気体が、空気である、請求項1〜4のいずれかに記載の藻類の培養方法。
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