JP6712694B1 - 閉塞物除去方法 - Google Patents

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Abstract

閉塞物除去方法は、被処理液が導入される流路を有する熱交換器と、熱交換器を通過した被処理液を超臨界水によって分解する反応器と、を備える超臨界水反応装置に対する閉塞物除去方法である。閉塞物除去方法は、溶解工程と、ブロー工程と、を含む。溶解工程では、超臨界水反応装置の起動時又は停止時において、流路に水を供給し、流路の内部又は内壁の温度が所定温度であり且つ流路の内部の圧力が所定圧力である状態を所定時間に亘って保持する。ブロー工程では、流路の水を超臨界水反応装置の外部に排出する。所定温度は、250℃以上400℃以下である。所定圧力は、20MPa以上である。

Description

本発明は、超臨界水反応装置に用いられる閉塞物除去方法に関する。
バイオマス(焼酎残渣又は下水汚泥等)を超臨界水でガス化する技術が知られている。超臨界水反応装置には、内管及び外管を有する二重管式熱交換器が用いられる。バイオマスを含む被処理液が内管に供給され、被処理液を加熱するための熱媒が外管に供給される。例えば特許文献1には、二重管式熱交換器が用いられた装置の一例が記載されている。なお、非特許文献1には、蒸気温度とシリカ溶解度の関係を示すグラフが記載されている。
特開2014−189589号公報
「火力原子力発電必携」、第5版、社団法人火力原子力発電技術協会、平成8年3月15日、350頁
しかし、二重管式熱交換器の内管が固形物の堆積によって閉塞することがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物を除去できる閉塞物除去方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る閉塞物除去方法は、被処理液が導入される流路を有する熱交換器と、前記熱交換器を通過した前記被処理液を超臨界水によって分解する反応器と、を備える超臨界水反応装置に対する閉塞物除去方法であって、前記超臨界水反応装置の起動時又は停止時において、前記流路に水を供給し、前記流路の内部又は内壁の温度が所定温度であり且つ前記流路の内部の圧力が所定圧力である状態を所定時間に亘って保持する溶解工程と、前記流路の水を前記超臨界水反応装置の外部に排出するブロー工程と、を含み、前記所定温度は、250℃以上400℃以下であり、前記所定圧力は、20MPa以上である。
流路に付着した閉塞物は、無機物を含む。溶解工程によって、無機物を含む閉塞物が水に溶解する。これにより、閉塞物が流路から固体の状態で剥れやすくもなる。その後、ブロー工程において、閉塞物は、水に溶解したり、水の流れによって流路から固体の状態で剥されたりして、流路の外に排出される。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物を除去できる。
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記所定温度は、300℃以上375℃以下である。これにより、溶解工程において、無機物を含む閉塞物の水への溶解がより促進される。また、流路の内壁から無機物を含む閉塞物がより剥離しやすくなる。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置における熱交換器の内管の閉塞物をより除去できる。
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記溶解工程において、前記流路の長手方向の中間よりも前記反応器側の部分の内部の温度が前記所定温度に保持され、前記所定温度は、300℃以上350℃以下である。流路において、長手方向の中間よりも反応器側で閉塞物が生じやすい傾向がある。閉塞物が生じやすい部分の温度が所定温度に保持されることによって、溶解工程における閉塞物の水への溶解がより促進される。また、流路の内壁から無機物を含む閉塞物がより剥離しやすくなる。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物をより除去できる。
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記所定時間は、30分以上である。これにより、溶解工程において、無機物を含む閉塞物の水への溶解がより促進される。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物をより除去できる。
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記所定温度は、325℃以上375℃以下であり、前記溶解工程における前記流路の内部又は内壁の温度が250℃から375℃の間の昇温速度は、15℃/分以下である。これにより、本開示の閉塞物除去方法は、溶超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物をより除去できる。また超臨界水を用いて被処理液を分解中であって超臨界水反応装置1の温度が高い場合に、前記溶解工程における前記流路の内部又は内壁の温度を250℃から375℃の間になるまで温度を低下させる速度は、15℃/分以下である。これにより、本開示の閉塞物除去方法は、溶超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物をより除去できる。
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記所定温度は、325℃以上375℃以下であり、前記溶解工程における前記流路の内部又は内壁の温度が250℃から375℃の間の温度降下速度は、15℃/分以下である。これにより、本開示の閉塞物除去方法は、溶超臨界水反応装置における熱交換器の流路の閉塞物をより除去できる。
本発明によれば、超臨界水反応装置における熱交換器の内管の閉塞物を除去できる。
図1は、本実施形態に係る超臨界水反応装置の模式図である。 図2は、本実施形態に係る熱交換器の模式図の一例である。 図3は、本実施形態に係る閉塞物除去方法を示すフローチャートである。 図4は、本実施形態に係る閉塞物除去方法で洗浄している時の超臨界水反応装置の一例の模式図である。 図5は、本実施形態に係る閉塞物除去方法で洗浄している時の熱交換器の一例の模式図である。 図6は、閉塞物のサンプルが含む元素を分析した結果を示す図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る超臨界水反応装置の模式図である。図2は、本実施形態に係る熱交換器の模式図の一例である。本実施形態に係る超臨界水反応装置1は、加水分解によってバイオマスを、水素、メタン、エタン、一酸化炭素及び二酸化炭素等を含むガスに変化させるための装置である。バイオマスは、例えば焼酎残渣又は下水汚泥等である。
図1に示すように、超臨界水反応装置1は、調整タンク11と、破砕機12と、主ポンプ13と、熱交換器3と、予熱器14と、反応器15と、冷却器16と、減圧器17と、気液分離器18と、ガスタンク19と、触媒回収器20と、水タンク22と、補助ポンプ25と、第1弁41と、第2弁42と、第3弁43と、第2減圧器27と、を備える。
調整タンク11は、バイオマス、水及び触媒を混合するための容器である。触媒は、例えば粉末状の活性炭である。調整タンク11は、被処理液(バイオマス、水及び触媒の懸濁液)を作製する。反応物は破砕機12に送られる。
破砕機12は、被処理液の中のバイオマスを破砕するための装置である。破砕機12は、バイオマスの粒径を小さくし且つ実質的に均一にする。バイオマスの粒径のばらつきは小さい方が好ましい。
主ポンプ13は、バイオマスが破砕された後の被処理液に圧力を加えるための装置である。図1に示すように主ポンプ13は、配管101を介して熱交換器3に接続されている。
熱交換器3は、反応前の被処理液と、反応器15で生成された生成物との間で熱交換するための装置である。図2に示すような熱交換器3は、内管31と、内管31の外側に配置された外管32と、を備える。この場合、熱交換器3は二重管式熱交換器である。反応前の被処理液が内管31に供給される。反応器15で生成された生成物が外管32に供給される。外管32は断熱材で覆われている。熱交換器3は、例えば溶接によって形成された複数の管がねじ込み継手で接合されることで形成されている。熱交換器3の長さは例えば100m程度である。
予熱器14は、熱交換器3を通過した被処理液の温度を所定の温度まで上昇させるための装置である。予熱器14は、配管103で熱交換器3の内管31と接続されている。予熱器14には、例えば燃料、酸素及びガスタンク19に貯留されたガスが供給される。燃料は例えば液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等である。燃料及びガスタンク19のガスが燃焼することで予熱器14の温度が上昇する。なお、必ずしもガスタンク19に貯留されたガスが予熱器14に供給されなくてもよい。また、燃料はガスに限らない。燃料は石油や石炭等でもよい。また、電気ヒータや高温蒸気によって、被処理液の温度を所定の温度まで上昇させてもよい。
反応器15は、予熱器14を通過した被処理液を、超臨界水を用いて分解するための装置である。反応器15は、配管104で予熱器14と接続されている。超臨界水は、水の臨界温度(374℃)以上の温度及び水の臨界圧力(22.064MPa)以上の圧力を有する水蒸気である。例えば、反応器15における超臨界水の温度は約600℃である。反応器15における超臨界水の圧力は約25MPaである。超臨界水の誘電率は、2以上30以下程度である。また、超臨界水は、高いイオン積([H][OH])を有する。反応器15には、例えば燃料、酸素及びガスタンク19に貯留されたガスが供給される。燃料及びガスタンク19のガスが燃焼することで生じた熱により超臨界水が生成される。なお、必ずしもガスタンク19に貯留されたガスが反応器15に供給されなくてもよい。また、燃料はガスに限らない。燃料は石油や石炭等でもよい。また、電気ヒータや高温蒸気によって、被処理液の温度を所定の温度まで上昇させてもよい。反応器15で生成された生成物(ガス、灰分、活性炭及び水の混合物)は、配管105を介して熱交換器3の外管32に送られる。
熱交換器3の外管32に供給された生成物は、内管31を通過する被処理液と熱交換する。すなわち、外管32に供給された生成物は、被処理液を加熱する熱媒である。外管32を通過したガスの生成物は、例えば約120℃まで下がる。
冷却器16は、熱交換器3を通過した生成物の温度を所定の温度まで低下させるための装置である。冷却器16は、配管106で熱交換器3の外管32と接続されている。
減圧器17は、冷却器16を通過した生成物の圧力を降下させるための装置である。減圧器17は、配管107で冷却器16と接続されている。
気液分離器18は、生成物を灰分、活性炭及び水を含む液体成分と、ガスとに分離するための装置である。気液分離器18は、配管108で減圧器17に接続されている。
ガスタンク19は、気液分離器18で液体成分と分離されたガスを貯留する容器である。ガスタンク19は、予熱器14及び反応器15に接続されており、ガスを予熱器14及び反応器15に供給することができる。
触媒回収器20は、気液分離器18でガスと分離された液体成分から触媒を回収するための装置である。触媒回収器20は、例えば触媒と灰分との間の沈降速度(終端速度)の違いを利用して液体成分から触媒を分離する。
水タンク22は、主ポンプ13に接続されたタンクである。水タンク22は、清水を貯留している。被処理液が反応器15に送られている時、水タンク22の清水は、使用されない。水タンク22の清水は、熱交換器3を清掃する時に使用される。なお、水タンク22は、補助ポンプ25に接続されていてもよい。
補助ポンプ25は、冷却器16を通過した生成物の圧力を調整するためのポンプである。補助ポンプ25は、超臨界水反応装置1の圧力調整ポンプであるといえる。補助ポンプ25は、配管107に接続されている。補助ポンプ25は、必要に応じて配管107を流れる生成物の圧力を増加させる。
第1弁41、第2弁42及び第3弁43は、三方弁である。第1弁41及び第2弁42は、配管101に設けられる。第2弁42は、第1弁41に対して熱交換器3側に配置される。第3弁43は、配管106に設けられる。第1弁41と第3弁43とは、配管102で接続される。反応器15で被処理液が分解されている時、被処理液は、主ポンプ13から第1弁41及び第2弁42を経て熱交換器3に至る。第3弁43は、内管31の中の流体を外部に排出する時に用いられる弁である。第3弁43は、ブロー弁である。なお、第1弁41、第2弁42及び第3弁43について、弁の種類は特に限定されない。第1弁41、第2弁42及び第3弁43は、必ずしも三方弁でなくてもよい。配管101及び配管106において、第1弁41、第2弁42及び第3弁43の他にも弁が設けられてもよい。
第2減圧器27は、流体の圧力を降下させるための装置である。第2減圧器27は、例えばキャピラリーチューブである。つまり、第2減圧器27として、金属で形成された毛細管が用いられる。キャピラリーチューブは、前後の圧力差によって所定量の流体を通過させる。第2減圧器27は、配管101から分岐する配管109に設けられる。配管109は、第2弁42を介して配管101に接続される。配管109の一端は、開放されている。第2減圧器27は、第2弁42に対して熱交換器3とは反対側(下流側)に配置される。
被処理液が熱交換器3で加熱される過程において、例えばチャー又はタール等を含む副生成物が生成される。また、副生成物には、Mg(マグネシウム)、P(リン)、Ca(カルシウム)、K(カリウム)等の無機物が含まれることが多い。チャー又はタール、及び無機物を含む副生成物は、被処理液が通過する流路の内壁(二重管式熱交換器であれば内管31の内壁)に付着する。特に、内管31の内壁にある溶接のビード又は内管31の屈曲部周辺で副生成物が堆積しやすい。また、高温部(被処理液の流れ方向の下流側)においては、低温部(被処理液の流れ方向の上流側)よりも副生成物の生成速度が早いので、副生成物が堆積しやすい。被処理液が高温部に達するまでに、微粒子が集合するために必要な時間が経過するため、高温部において副生成物が沈降しやすい。また、超臨界水反応装置1が停止してから再び起動する時に、熱交換器3が加熱される。熱交換器3の温度が上昇する過程においても、副生成物が生成される。内管31の内壁に堆積した副生成物の量が多くなると、副生成物が内管31の閉塞物39となり、内管31が閉塞する可能性がある。
仮に内管31が副生成物によって閉塞した場合、超臨界水反応装置1は停止させられる。超臨界水反応装置1が停止すると、被処理液の流れが停止する一方、熱交換器3の温度は、ある程度の時間において高いままである。このため、被処理液が過熱され炭化が進行する。また、内管31内の圧力低下に伴い水分が蒸発しやすくなるので、被処理液が触媒(活性炭)と共に固形化する。また、閉塞物39が内管31の一部(溶接のビード又は内管31の屈曲部周辺等)に集積し、閉塞物39の圧密が生じることがある。このため、閉塞物39を除去するための清掃が必要となる。
図3は、本実施形態に係る閉塞物除去方法を示すフローチャートである。図4は、本実施形態に係る閉塞物除去方法で洗浄している時の超臨界水反応装置の一例の模式図である。図5は、本実施形態に係る閉塞物除去方法で洗浄している時の熱交換器の一例の模式図である。
内管31に堆積した副生成物は、超臨界水反応装置1の起動時又は停止時に、本実施形態の閉塞物除去方法によって除去される。超臨界水反応装置1の起動時又は停止時とは、被処理液が反応器15へ送られ始める時、又は被処理液を反応器15に送ることを停止する時である。図3に示すように、本実施形態に係る閉塞物除去方法は、溶解工程P1と、ブロー工程P2と、を含む。
溶解工程P1において、作業者は、内管31に水蒸気を供給し、内管31の温度が所定温度であり且つ内管31の内部の圧力が所定圧力である状態を所定時間に亘って保持する。溶解工程P1は、図1の状態で行われてもよいし、図4の状態で行われてもよい。溶解工程P1が図4の状態で行われる場合、作業者は、図4に示すように、配管101と配管106との間の流体の流れが許容される状態を形成する。これにより、主ポンプ13によって、図5に示すように反応器15の水蒸気が内管31に導入される。反応器15は、燃料及びガスタンク19のガスによって加熱されている。反応器15の水蒸気は高温であるため、内管31に導入される水蒸気によって内管31が加熱される。内管31は、水蒸気によって所定温度まで加熱される。所定温度は、250℃以上400℃以下である。所定温度は、300℃以上375℃以下であることがより望ましい。さらに、図5に示す内管31の長手方向の中間Cよりも反応器15側の部分Aの内部の温度が300℃以上350℃以下に保持されることがより望ましい。内管31の長さが100mである場合、中間Cは、被処理液の流れ方向における内管31の上流端部から50m移動した位置である。内管31の長さが100mである場合、部分Aは、中間Cから被処理液の流れ方向における内管31の下流端部までの部分である。また、内管31の内部の温度が250℃から375℃の間の昇温速度は、15℃/分以下であることが望ましい。また超臨界水を用いて被処理液を分解中であって超臨界水反応装置1の温度が高い場合に、溶解工程P1における内管31の内部又は内壁の温度を250℃から375℃の間になるまで温度を低下させる速度は、15℃/分以下であることが望ましい。内管31の内部の圧力は、主ポンプ13によって所定圧力まで上昇させられる。所定圧力は、例えば20MPa以上である。所定圧力は、水の臨界圧力近傍の22MPa以上であることがより望ましい。所定時間は、例えば30分以上である。
溶解工程P1が図1の状態で行われる場合、超臨界水ガス化時と同様に、水蒸気が反応器15から外管32へ導入される。反応器15の水蒸気は高温であるため、外管32が加熱されることによって内管31の温度が上昇する。また、主ポンプ13によって水タンク22から水が内管31に供給される。
ブロー工程P2において、作業者は、内管31の水蒸気を排出する。ブロー工程P2は、図1の状態で行われてもよいし、図4の状態で行われてもよい。ブロー工程P2が図4の状態で行われる場合、作業者は、図4に示すように、熱交換器3と配管109との間の流体の流れが許容される状態を形成する。これにより、内管31の水蒸気は、配管109の開放端に向かって放出される。内管31の水蒸気は第2減圧器27を通過して放出される。ブロー工程P2が図1の状態で行われる場合、内管31の水蒸気は、反応器15及び外管32を通過し、気液分離器18から放出される。
図1の状態で溶解工程P1が行われる場合、溶解工程P1において、内管31の水蒸気が気液分離器18を介して超臨界水反応装置1の外部に排出される。図4の状態で溶解工程P1が行われる場合、溶解工程P1において、内管31の水蒸気が第2減圧器27を介して超臨界水反応装置1の外部に排出される。このため、本実施形態において、ブロー工程P2は、溶解工程P1と同時に行われるといえる。
なお、内管31に水を供給する方法は、特に限定されない。例えば、溶解工程P1において、水タンク22の純水が内管31に供給されてもよい。水タンク22の純水は、内管31に配管103側から供給されてもよいし、内管31に配管101側から供給されてもよい。また、主ポンプ13に代えて補助ポンプ25によって、水が内管31に供給されてもよい。内管31の内部の圧力は、主ポンプ13に代えて補助ポンプ25によって、所定圧力に上昇させられてもよい。また、溶解工程P1において、必ずしも反応器15の水蒸気が内管31に供給されなくてもよい。内管31が所定温度でありかつ且つ内管31の内部の圧力が所定圧力である状態となるよう、内管31に高温高圧の蒸気を直接供給してもよい。配管101へ高温高圧蒸気を直接送ることができるボイラを設置し、高温高圧蒸気を内管31に供給してもよい。
内管31を加熱する方法は、特に限定されない。溶解工程P1において、内管31は、必ずしも反応器15の水蒸気によって加熱されなくてもよい。例えば、内管31は、外管32の周囲に配置されたヒータ等によって加熱されてもよい。また、内管31は、別置きのボイラから高温蒸気を外管32に供給することによって加熱されてもよい。
図6は、閉塞物のサンプルが含む元素を分析した結果を示す図である。図6は、熱交換器3から採取した閉塞物39のサンプルの組成を示す。複数のサンプルは、異なる時期に熱交換器3から採取された。サンプルを構成する元素は、蛍光X線分析によって特定された。図6に示すように、サンプルには、O(酸素)とともにMg(マグネシウム)、P(リン)、Ca(カルシウム)、K(カリウム)が一定量以上含まれていた。このため、閉塞物39には、無機物が含まれる。無機物としては、MgO(酸化マグネシウム)、P(五酸化二リン)、CaO(酸化カルシウム)、KO(酸化カリウム)が挙げられる。
非特許文献1に示すように、シリカは、20MPa以上の圧力下であって250℃以上400℃以下である状態において、水への溶解度が高くなる。さらに、シリカは、20MPa以上の圧力下であって300℃以上375℃以下である状態において、水への溶解度がより高くなる。このため、シリカ以外の無機物も、上記の圧力及び温度において、水への溶解度が高くなると考えられる。このため、熱交換器3の閉塞物39が水に接した状態で上記の圧力及び温度が保持されると、閉塞物39が溶解しやすくなる。
超臨界水ガス化試験起動時の内管31の内部の昇温速度の影響について実験が行われた。実験では、純水を反応器15に送り始めてから昇温途中における内管31の出口の温度が測定された。第1実験から第6実験までが行われた。第1実験から第6実験は、溶解工程P1における内管31の250℃から375℃までの昇温速度がそれぞれ異なる。第1実験の昇温速度は、28.96℃/分である。第2実験の昇温速度は、24.27℃/分である。第3実験の昇温速度は、26.29℃/分である。第4実験の昇温速度は、35.50℃/分である。第5実験の昇温速度は、3.32℃/分である。第6実験の昇温速度は、14.14℃/分である。各実験の後で内管31へ送られる流体が、純水から被処理液へ切り替えられて、超臨界水ガス化試験が引き続き行われた。
第1実験から第4実験の後において行われた超臨界水ガス化試験では内管31の差圧が徐々に上昇した。測定された差圧は、700kPa程度であった。差圧が大きくなっていることは、超臨界水ガス化試験起動時の昇温速度が速すぎたため内管31に堆積していた閉塞物が除去できなかったことを意味する。すなわち、第1実験から第4実験においては、被処理液を反応器15に送り始めてから十数時間後に、内管31の詰まりを生じさせるほどの閉塞物が重ねて堆積する結果となった。これに対して、第5実験と第6実験の後おいて行われた超臨界水ガス化試験では内管31の差圧は安定していた。第5実験において測定された差圧は、被処理液を反応器15に送り始めてから18時間後において150kPa程度であった。第6実験において測定された差圧は、被処理液を反応器15に送り始めてから24時間後において200kPa程度であった。第5実験及び第6実験においては、昇温速度が適正であったため内管31の詰まりを生じさせる閉塞物の堆積が超臨界水ガス化試験の直前に除去された。第5実験及び第6実験においては、被処理液を反応器15に送り始めてから十数時間後でも、内管31の詰まりを生じさせるほど閉塞物が重ねて堆積しなかった。つまり、第5実験及び第6実験においては、超臨界水ガス化試験起動時の溶解工程P1及びブロー工程P2によって、閉塞物が十分に除去されている。この実験から、溶解工程P1における昇温速度が15℃/分以下であれば、閉塞物がより除去されやすいことがわかる。
以上で説明したように、本実施形態の閉塞物除去方法は、被処理液が導入される流路(内管31)を有する熱交換器3と、熱交換器3を通過した被処理液を超臨界水によって分解する反応器15と、を備える超臨界水反応装置1に対する閉塞物除去方法である。閉塞物除去方法は、溶解工程P1と、ブロー工程P2と、を含む。溶解工程P1では、超臨界水反応装置1の起動時又は停止時において、流路(内管31)に水を供給し、流路(内管31)の内部の温度が所定温度であり且つ流路(内管31)の内部の圧力が所定圧力である状態を所定時間に亘って保持する。ブロー工程P2では、流路(内管31)の水を超臨界水反応装置1の外部に排出する。所定温度は、250℃以上400℃以下である。所定圧力は、20MPa以上である。
流路(内管31)に付着した閉塞物は、無機物を含む。溶解工程P1によって、無機物を含む閉塞物が水に溶解する。これにより、閉塞物が流路(内管31)から固体の状態で剥れやすくもなる。その後、ブロー工程P2において、閉塞物は、水に溶解したり、水の流れによって内管31から固体の状態で剥されたりして、水の排出とともに流路(内管31)の外に排出される。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物を除去できる。
本実施形態の閉塞物除去方法では、所定温度は、300℃以上375℃以下であることが望ましい。これにより、溶解工程P1において、無機物を含む閉塞物の水への溶解がより促進される(非特許文献1参照)。また、流路(内管31)の内壁から無機物を含む閉塞物がより剥離しやすくなる。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物をより除去できる。
本実施形態の閉塞物除去方法では、溶解工程P1において、流路(内管31)の長手方向の中間Cよりも反応器15側の部分Aの内部の温度が所定温度に保持され、且つ所定温度は、300℃以上350℃以下であることが望ましい。流路(内管31)において、長手方向の中間Cよりも反応器15側で閉塞物が生じやすい傾向がある。閉塞物が生じやすい部分の温度が所定温度に保持されることによって、溶解工程P1における閉塞物の水への溶解がより促進される。また、流路(内管31)の内壁から無機物を含む閉塞物がより剥離しやすくなる。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物をより除去できる。
本実施形態の閉塞物除去方法では、所定時間は、30分以上であることが望ましい。これにより、溶解工程P1において、無機物を含む閉塞物の水への溶解がより促進される。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物をより除去できる。
本実施形態の閉塞物除去方法では、所定温度は、325℃以上375℃以下であることが望ましい。溶解工程P1における流路(内管31)の内部又は内壁の温度が250℃から375℃の間の昇温速度は、15℃/分以下であることが望ましい。これにより、本実施形態の閉塞物除去方法は、上述した実験結果が示すように、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物をより除去できる。また超臨界水を用いて被処理液を分解中であって超臨界水反応装置1の温度が高い場合に、溶解工程P1における流路(内管31)の内部又は内壁の温度を250℃から375℃の間になるまで温度を低下させる速度は、15℃/分以下であることが望ましい。これにより、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物をより除去できる。
本実施形態の閉塞物除去方法では、所定温度は、325℃以上375℃以下であることが望ましい。溶解工程P1における流路(内管31)の内部又は内壁の温度が250℃から375℃の間の温度降下速度は、15℃/分以下であることが望ましい。これにより、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の流路(内管31)の閉塞物をより除去できる。
なお、本実施形態では二重管式熱交換器を用いた場合で説明したが、全く別の型式の熱交換器を用いてもよい。例えば、プレート式熱交換器を用いてもよい。その場合の二重管の内管の内壁に該当するのは、被処理液が通過する流路のプレートの内壁である。また、例えば、シェルアンドチューブ式熱交換器を用いてもよい。その場合の二重管の内管の内壁に該当するのは、被処理液が通過する流路であるチューブの内壁である。このように、本実施形態の閉塞物除去方法は熱交換器の型式にかかわらず適用することができる。また、熱源として燃料の燃焼ガス、高温蒸気、又は電気ヒータを用いて、予熱器又は反応器を加熱してもよい。その場合でも本実施形態の閉塞物除去方法を用いれば、被処理液が通過する流路の内壁に付着した無機物をより除去することができる。
1 超臨界水反応装置
3 熱交換器
11 調整タンク
12 破砕機
13 主ポンプ
14 予熱器
15 反応器
16 冷却器
17 減圧器
18 気液分離器
19 ガスタンク
20 触媒回収器
22 水タンク
25 補助ポンプ
27 第2減圧器
31 内管
32 外管
39 閉塞物
41 第1弁
42 第2弁
43 第3弁
101、102、103、104、105、106、107、108、109 配管
C 中間
P1 溶解工程
P2 ブロー工程

Claims (6)

  1. 被処理液が導入される流路を有する熱交換器と、前記熱交換器を通過した前記被処理液を超臨界水によって分解する反応器と、を備える超臨界水反応装置に対する閉塞物除去方法であって、
    前記超臨界水反応装置の起動時又は停止時において、前記流路に水を供給し、前記流路の内部又は内壁の温度が所定温度であり且つ前記流路の内部の圧力が所定圧力である状態を所定時間に亘って保持する溶解工程と、
    前記流路の水を前記超臨界水反応装置の外部に排出するブロー工程と、
    を含み、
    前記所定温度は、250℃以上400℃以下であり、
    記所定圧力は、20MPa以上であり、
    前記溶解工程において、前記流路の長手方向の中間よりも前記反応器側の部分の内部の温度が300℃以上350℃以下に保持され、
    前記被処理液が前記熱交換器で加熱される過程において生成される副生成物には、マグネシウム、リン、カルシウム、及びカリウムが含まれる
    閉塞物除去方法。
  2. 前記所定温度は、300℃以上375℃以下である
    請求項1に記載の閉塞物除去方法。
  3. 前記熱交換器は、内管と、前記内管の外側に配置された外管と、を備え、
    反応前の前記被処理液は、前記内管に供給され、
    前記内管は、内壁に溶接のビードを備え、
    前記溶解工程において、前記内管に水が供給される
    請求項1又は2に記載の閉塞物除去方法。
  4. 前記所定時間は、30分以上である
    請求項1から3のいずれか1項に記載の閉塞物除去方法。
  5. 前記所定温度は、325℃以上375℃以下であり、
    前記溶解工程における前記流路の内部又は内壁の温度が250℃から375℃の間の昇温速度は、15℃/分以下である
    請求項1から4のいずれか1項に記載の閉塞物除去方法。
  6. 前記所定温度は、325℃以上375℃以下であり、
    前記溶解工程における前記流路の内部又は内壁の温度が250℃から375℃の間の温度降下速度は、15℃/分以下である
    請求項1から4のいずれか1項に記載の閉塞物除去方法。
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