JP6711136B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール圧縮機に関する。
従来より、流体を圧縮する圧縮機として、固定スクロールと可動スクロールとを備えたスクロール圧縮機が知られている。
例えば特許文献1に開示のスクロール圧縮機は、ケーシングの内部に電動機と、圧縮機構と、ハウジングとが収容されている。電動機が駆動軸を回転駆動すると、可動スクロールが旋回運動を行い、可動スクロールと固定スクロールとの間の圧縮室でれいば流体が圧縮される。圧縮室で圧縮された流体は、ガスガイドによって所定の方向へ案内される。
具体的には、ガスガイドを通過する冷媒の一部は、電動機のコアカットの内部へ案内され、電動機の下側の下部空間へ流出する。この冷媒は、主に電動機の固定子と回転子との間にある通路(エアギャップ、回転子風穴等)を流れ、電動機の上側の上部空間へ送られる。また、ガスガイドを通過する冷媒の残りは、ケーシングの内周壁に沿った周方向の流れとなり、上部空間へ送られる。この際、冷媒中の油(冷凍機油)は遠心力によって分離される。このようにして油が分離された上部空間の冷媒は、吐出管に流入し、冷媒回路へと吐出される。
特開2012−97575号公報
ところで、上述のように冷媒中の油を遠心分離したとしても、上部空間における冷媒中の油を完全に取り除くことは困難である。このため、上部空間に残存する油が吐出管に流入してしまうと、油上がり率が増大してしまい、スクロール圧縮機の内部の油量が不足してしまう可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上部空間から吐出管へ流入する油の量を効果的に低減できるスクロール圧縮機を提供することである。
第1の発明は、スクロール圧縮機において、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に収容される電動機(20)と、該電動機(20)の上方に配置され、該電動機(20)に駆動される圧縮機構(40)と、該圧縮機構(40)と上記電動機(20)との間に配置されるハウジング(24)と、上記圧縮機構(40)で圧縮された流体を、上記ケーシング(11)と上記電動機(20)と上記ハウジング(24)との間の環状の上部空間(18)に案内する案内部材(60)と、上記ハウジング(24)側に向かって開口する流入口(17a)を有し、該上部空間(18)の流体が流入する吐出管(17)と、上記電動機(20)及び上記圧縮機構(40)を連結するとともに、カウンタウェイト(33)を有する駆動軸(30)とを備え、上記上部空間(18)は、上記ケーシング(11)と上記ハウジング(24)と上記カウンタウェイト(33)との間の空間のうち、上記電動機(20)のコイル部(21a)と上記ケーシング(11)との間の隙間、上記コイル部(21a)とカウンタウェイト(33)との間の隙間、及び上記ハウジング(24)の下端と上記カウンタウェイト(33)との間の隙間を含まない空間であり、上記上部空間(18)の周方向に直角な断面視において、上記吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと、該上部空間(18)の重心Cとの距離が、該吐出管(17)の流入口(17a)の内径Dの1/2以下であり、上記案内部材(60)は、冷媒をケーシング(11)の内壁に沿うように案内する中間流路(76)を形成し、上記吐出管(17)は、上記中間流路(76)の下流側で且つ該中間流路(76)と上記ケーシング(11)の周方向に重なる位置にあり、上記吐出管(17)の流入口(17a)は、上記中間流路(76)よりも上記駆動軸(30)の軸心に近い位置にあることを特徴とする。
第1の発明では、ケーシング(11)の内壁と電動機(20)とハウジング(24)との間に環状の上部空間(18)が形成される。圧縮機構(40)で圧縮された流体は、案内部材(60)に案内されて上部空間(18)に案内される。上部空間(18)では、流体がケーシング(11)の内壁に沿って旋回することで、流体中に含まれる油が分離される。
第1の発明では、吐出管(17)の流入口(17a)が径方向内方を向くように開口している。上部空間(18)の周方向に直角な断面視において、流入口(17a)の中心Pは、上部空間(18)の重心Cの近くに位置する。具体的に、吐出管(17)の流入口(17a)の内径をDとすると、中心Pと重心Cとの距離は、1/2×D以下となるように、吐出管(17)が配置される。このように、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと上部空間(18)の重心Cとを近づけると、油上がり率を効果的に低減できることが実験的に確認された。従って、この関係を満たすことで、上部空間(18)から吐出管(17)に流入してしまう油の量を効果的に低減できる。
第2の発明は、第1の発明において、上記上部空間(18)の周方向に直角な断面視において、上記吐出管(17)の中心Pと、該上部空間(18)の重心Cとの距離が、上記吐出管(17)の内径Dの1/4以下であることを特徴とする。
第2の発明では、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと、上部空間(18)の重心Cとが更に近くなるように吐出管(17)が配置される。このようにすると、油上がり率を効果的に低減できることが実験的に確認された。従って、この関係を満たすことで、上部空間(18)から吐出管(17)に流入してしまう油の量を更に効果的に低減できる。
本発明によれば、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pが、上部空間(18)の重心に近い位置に配置されるため、上部空間(18)から吐出管(17)に流入されてしまうことを効果的に防止できる。この結果、スクロール圧縮機の油上がりを防止できるので、圧縮機構(40)や軸受け等の摺動部の潤滑不良を防止でき、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供できる。
図1は、実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図2は、実施形態に係るガスガイドを内側から視た斜視図である。 図3は、実施形態に係るガスガイドを外側から視た斜視図である。 図4は、実施形態に係るスクロール圧縮機の吐出管の周辺を拡大した縦断面図である。 図5は、図1のV−V断面図である。 図6は、吐出管の流入口の位置と油上がり率の関係を検証した4つの実験の条件を表した表である。 図7は、条件Aの運転において、吐出管の流入口の位置と油上がり率の関係を表した分布グラフである。 図8は、条件Bの運転において、吐出管の流入口の位置と油上がり率の関係を表した分布グラフである。 図9は、条件Cの運転において、吐出管の流入口の位置と油上がり率の関係を表した分布グラフである。 図10は、条件Dの運転において、吐出管の流入口の位置と油上がり率の関係を表した分布グラフである。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態に係るスクロール圧縮機(10)は、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(図示省略)に接続され、流体である冷媒を圧縮するものである。
〈スクロール圧縮機の全体構成〉
図1に示すように、スクロール圧縮機(10)は、密閉容器であるケーシング(11)に圧縮機構(40)と電動機(20)とが収容された全密閉型圧縮機である。スクロール圧縮機(10)は、空気調和装置や冷却装置などの冷凍装置の冷媒回路に接続される。冷媒回路では、スクロール圧縮機(10)で圧縮された冷媒が、凝縮器で凝縮し、蒸発器で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
ケーシング(11)は、起立した円筒状に形成された圧力容器である。このケーシング(11)は、ケーシング本体(12)と、上壁部(13)と、底壁部(14)とによって構成されている。ケーシング本体(12)は、上下方向に延びる軸線を有する円筒状の胴部である。上壁部(13)は、上方に突出した凸面を有する椀状に形成され、ケーシング本体(12)の上端部に気密状に溶接される。底壁部(14)は、下方に突出した凸面を有する椀状に形成され、ケーシング本体(12)の下端部に気密状に溶接される。
ケーシング(11)の上壁部(13)には、冷媒回路の冷媒を圧縮機構(40)へ導入するための吸入管(16)が設けられている。また、ケーシング本体(12)には、ケーシング(11)内の冷媒をケーシング(11)外に導出するための吐出管(17)が設けられている。ケーシング(11)の底部には、潤滑油が貯留された油溜まり部(13a)が形成されている。
ケーシング(11)の内部には、電動機(20)、駆動軸(30)、ハウジング(24)、及び圧縮機構(40)が収容されている、電動機(20)は、圧縮機構(40)の下方に配置される。圧縮機構(40)と電動機(20)とは、その軸心が上下方向に延びる姿勢で配置された駆動軸(30)によって連結される。
電動機(20)は、固定子(21)と回転子(22)とにより構成されている。固定子(21)は、焼嵌め等によってケーシング本体(12)に固定されている。回転子(22)は、固定子(21)の内側に配置され、駆動軸(30)の主軸部(31)に固定されている。この回転子(22)は、主軸部(31)と実質的に同軸に配置されている。
駆動軸(30)は、主軸部(31)と、偏心軸部(32)と、カウンタウェイト(33)とを備えている。偏心軸部(32)は、比較的短い軸状に形成され、主軸部(31)の上端に突設されている。偏心軸部(32)の軸心は、主軸部(31)の軸心と実質的に平行であり、この軸心に対して偏心している。カウンタウェイト(33)は、後述する可動スクロール(46)や偏心軸部(32)等と動的バランスを取るために、主軸部(31)に設けられている。
駆動軸(30)の内部には、給油通路(36)が形成されている。駆動軸(30)の下部には、油ポンプ(37)が設けられる。油ポンプ(37)は、油溜まり部(13a)に浸漬されている。油ポンプ(37)は、油溜まり部(13a)に溜まった油を給油通路(36)へ搬送する。給油通路(36)に搬送された油は各摺動部へ供給される。
ケーシング(11)内の下部には、下部軸受部材(23)が設けられている。下部軸受部材(23)は、ケーシング本体(12)の下端付近に固定されている。下部軸受部材(23)の中央部には貫通孔が形成され、この貫通孔に駆動軸(30)が挿通されている。そして、下部軸受部材(23)は、駆動軸(30)の副ジャーナル部(35)を回転自在に支持する。
ハウジング(24)は、圧縮機構(40)と電動機(20)との間に設けられる。ハウジング(24)は、中央が凹陥した皿状に形成されている。ハウジング(24)は、環状部(25)と、該環状部(25)の下部中央から下方に膨出した膨出部(26)とを備えている。環状部(25)の上部中央には、凹部(27)が形成される。
ハウジング(24)は、ケーシング本体(12)の上端縁に圧入固定されている。具体的に、ハウジング(24)の環状部(25)の外周面は、ケーシング本体(12)の内周面と全周に亘って密着している。ハウジング(24)は、ケーシング(11)の内部空間を、ハウジング(24)の上側の低圧あるいは中間圧の空間と、ハウジング(24)の下側の高圧空間とに仕切っている。この高圧空間は、電動機(20)の上側の上部空間(18)と、電動機(20)の下側の下部空間(19)とに仕切られる。
膨出部(26)には、凹部(27)の底部から下端に貫通する貫通孔(28)が形成されている。貫通孔(28)には、軸受メタル(29)が挿入されている。この軸受メタル(29)には、駆動軸(30)が挿通されている。ハウジング(24)の膨出部(26)は、駆動軸(30)の上端部を回転自在に支持する軸受部を形成している。
圧縮機構(40)は、固定スクロール(41)と、可動スクロール(46)とを備えている。ハウジング(24)は、ケーシング本体(12)に固定されている。固定スクロール(41)は、ハウジング(24)の上面に配置されている。可動スクロール(46)は、固定スクロール(41)とハウジング(24)との間に配置されている。
固定スクロール(41)は、固定側鏡板部(42)と、固定側ラップ(43)と、外周壁部(44)とを備えている。固定側ラップ(43)は、インボリュート曲線を描く渦巻き壁状に形成され、固定側鏡板部(42)の前面(図1における下面)から突出している。外周壁部(44)は、固定側ラップ(43)の外周側を囲むように形成され固定側鏡板部(42)の前面から突出している。固定側ラップ(43)の先端面と外周壁部(44)の先端面とは略面一になっている。また、固定スクロール(41)は、ハウジング(24)に固定されている。
可動スクロール(46)は、可動側鏡板部(47)と、可動側ラップ(48)と、ボス部(49)とを備えている。可動側鏡板部(47)は、概ね円形の平板状に形成されている。固定側ラップ(43)は、インボリュート曲線を描く渦巻き壁状に形成され、可動側鏡板部(47)の前面から突出している。ボス部(49)は、円筒状に形成され、可動側鏡板部(47)の背面(57)の中央部に配置されている。
可動スクロール(46)の可動側ラップ(48)は、固定スクロール(41)の固定側ラップ(43)と噛み合わされている。そして、圧縮機構(40)では、固定スクロール(41)の固定側鏡板部(42)及び固定側ラップ(43)と、可動スクロール(46)の可動側鏡板部(47)及び可動側ラップ(48)とに囲まれた圧縮室(50)が形成される。
固定スクロール(41)の外周壁部(44)には、吸入ポート(51)が形成されている。吸入ポート(51)には、吸入管(16)の下流端が接続されている。吸入管(16)は、ケーシング(11)の上壁部(13)を貫通し、ケーシング(11)の外部へ伸びている。また、固定スクロール(41)の固定側鏡板部(42)の中央には、固定側鏡板部(42)を貫通する吐出口(54)が形成されている。
固定側鏡板部(42)の背面(図1における上面)の中央には、高圧チャンバ(53)が形成されている。高圧チャンバ(53)には、吐出口(54)が開口している。
固定スクロール(41)には、高圧チャンバ(53)に連通する第1流通路(55)が形成されている。第1流通路(55)は、高圧チャンバ(53)から固定側鏡板部(42)の背面において径方向外方に延び、固定側鏡板部(42)の外周部において外周壁部(44)内を延び、外周壁部(44)の下面に開口している。ハウジング(24)の環状部(25)には、上下に延びる第2流通路(56)が貫通するように形成される。第2流通路(56)は、第1流通路(55)と上部空間(18)とを連通させている。圧縮室(50)から高圧チャンバ(53)へ吐出されたガス冷媒は、第1流通路(55)と第2流通路(56)を順に通り、ケーシング(11)の上部空間(18)へ流入する。
〈ガスガイド〉
図1に示すように、ケーシング本体(12)の内周壁の近傍には、ハウジング(24)と電動機(20)の間にガスガイド(60)が設けられている。ガスガイド(60)は、圧縮機構(40)から吐出された流体を所定の方向へ案内する案内部材を構成する。
図2及び図3に示すように、ガスガイド(60)は、凹陥部(61)と、該凹陥部(61)の両側の側端部から連続する一対の湾曲板部(71,72)とを有する。凹陥部(61)は、一対の湾曲板部(71,72)の曲率中心側へ窪んだ部分であって、一対の湾曲板部(71,72)の間に形成されている。
凹陥部(61)は、上側凹部(62)と下側凹部(63)と傾斜部(64)とによって構成されている。上側凹部(62)はガスガイド(60)の上寄りに、下側凹部(63)はガスガイド(60)の下寄りにそれぞれ形成されている。上側凹部(62)の底部(62a)は、ハウジング(24)の膨出部(26)の外周面に沿って湾曲した板状となっている。下側凹部(63)の底部(63a)は、湾曲した板状となっている。下側凹部(63)の深さは、上側凹部(62)の深さよりも浅い。傾斜部(64)は、上側凹部(62)の底部(62a)の下端から下側凹部(63)の底部(63a)の上端に亘る部分であって、上側凹部(62)および下側凹部(63)の底部(62a,63a)に対して傾斜している。
一対の湾曲板部(71,72)は、凹陥部(61)の周方向の一方の側端(図3の右端)に形成される第1湾曲板部(71)と、凹陥部(61)の周方向の他方の側端(図3の左端)に形成される第2湾曲板部(72)とで構成される。
第1湾曲板部(71)は、その外周面の全域がケーシング本体(12)と密着している。第1湾曲板部(71)の周方向の幅は、第2湾曲板部(72)の周方向の幅よりも小さい。
第2湾曲板部(72)は、上側湾曲部(73)と、下側湾曲部(74)と、中間凹部(75)とで構成されている。上側湾曲部(73)は、第2湾曲板部(72)の上部に形成され、下側湾曲部(74)は、第2湾曲板部(72)の下部に形成される。上側湾曲部(73)と下側湾曲部(74)とは、それらの外周面の全域がケーシング本体(12)と密着している。
中間凹部(75)は、第2湾曲板部(72)の曲率中心側へ窪んだ部分であって、上側湾曲部(73)と下側湾曲部(74)の間に形成されている。中間凹部(75)は、第2湾曲板部(72)の周方向の両端に亘って形成される。中間凹部(75)の底部(75a)は、ケーシング本体(12)と所定の間隔を置くようにケーシング本体(12)に沿って湾曲している。これにより、中間凹部(75)とケーシング本体(12)の間には、周方向に延びる中間流路(76)が形成される。中間流路(76)の始端は凹陥部(61)の内部と連通し、中間流路(76)の終端は上部空間(18)と連通する。ガスガイド(60)に案内される冷媒の一部は、中間流路(76)を流れて上部空間(18)へ流出する。つまり、ガスガイド(60)は、冷媒をケーシング本体(12)の内壁に沿うように周方向へ案内する。
〈上部空間〉
図1、図4、及び図5に示すように、ケーシング(11)の内部には、ハウジング(24)と電動機(20)との間に上部空間(18)が形成される。ここで、上部空間(18)は、図4の太線で囲んだ領域の縦断面Aを有する環状の空間である。つまり、縦断面Aは、上部空間(18)の周方向(図5の矢印Bで示す方向)に直角な断面といえる。より厳密にいうと、上部空間(18)は、ケーシング本体(12)の内周壁と、ハウジング(24)の環状部(25)の下面と、ハウジング(24)の膨出部(26)の外周面と、電動機(20)のコイル部(21a)の上端面と、カウンタウェイト(33)の上端面とに囲まれた空間である。ここで、図4に示すように、ケーシング本体(12)の内周壁と電動機(20)のコイル部(21a)の間の環状の隙間(S1)や、ハウジング(24)とカウンタウェイト(33)との間の環状の隙間(S2)は、上部空間(18)には含まれないものとする。
〈吐出管〉
図1、図4、及び図5に示すように、スクロール圧縮機(10)は、ケーシング(11)の内部の冷媒が流出する吐出管(17)を有している。吐出管(17)は、ケーシング本体(12)を貫通し、ケーシング(11)ないし駆動軸(30)の軸心に向かって径方向に延びている。吐出管(17)は、所定の内径Dを有する円管によって構成される。図5に示すように、吐出管(17)は、ガスガイド(60)によって形成される中間流路(76)の下流側であって、駆動軸(30)の軸心を挟んで第1湾曲板部(71)の反対側に位置している。
吐出管(17)の先端には、上部空間(18)の冷媒が流入する流入口(17a)が形成される。流入口(17a)は、ハウジング(24)側に向かって側方に開口している。より厳密には、流入口(17a)は、ケーシング(11)ないし駆動軸(30)の軸心に向かって開口している。図5に示すように、吐出管(17)の流入口(17a)は、ガスガイド(60)の中間凹部(75)の底部(75a)よりも径方向内方に位置している。つまり、吐出管(17)の流入口(17a)は、上部空間(18)において中間流路(76)よりも駆動軸(30)の軸心に近い位置にある。
図4に示すように、吐出管(17)の流入口(17a)の位置は、上部空間(18)の領域Aの重心に基づいて定められている。具体的に、吐出管(17)のうち、冷媒が流入する流入口(17a)(円形の開口端)の中心をPとし、この流入口(17a)の内径をDとする。吐出管(17)は、上部空間(18)の周方向に直角な断面視(縦断面A)において、その流入口(17a)の中心Pと、上部空間(18)の重心Cとの距離が、吐出管(17)の流入口(17a)の内径Dの1/2以下になるように構成される。
−運転動作−
スクロール圧縮機(10)の運転動作について説明する。
〈圧縮動作〉
電動機(20)を作動させると、圧縮機構(40)の可動スクロール(46)が駆動軸(30)によって駆動される。可動スクロール(46)は、駆動軸(30)の軸心を中心に旋回する。可動スクロール(46)が旋回すると、吸入管(16)から流入した低圧ガス冷媒が圧縮機構(40)の圧縮室(50)へ吸入されて圧縮される。
圧縮が完了した冷媒(即ち、高圧ガス冷媒)は、固定スクロール(41)の吐出口(54)から高圧チャンバ(53)へ吐出される。高圧チャンバ(53)へ流入した高圧のガス冷媒は、固定スクロール(41)の第1流通路(55)と、ハウジング(24)の第2流通路(56)とを順に通り、ガスガイド(60)の内部へ流入する。この冷媒の一部は、ガスガイド(60)の凹陥部(61)の内部を下方へ流れ、固定子(21)のコアカット(21b)を通過する。
ところで、カウンタウェイト(33)の回転はポンプ作用を生じるため、下部空間(19)に対し、上部空間(18)におけるカウンタウェイト(33)の外周近傍が負圧となる。従って、ガスガイド(60)の凹陥部(61)からの冷媒は、電動機(20)の下側の下部空間(19)を流れ、油分離板(38)に衝突後、主に固定子(21)と回転子(22)との間の通路(いわゆるエアギャップや回転子風穴(図示せず)等)を上方に流れ、カウンタウェイト(33)外周とコイル部(21a)内周との間を通って上部空間(18)へ送られる。この冷媒は、さらにハウジング(24)の膨出部(26)の外周面に沿って上昇した後、ハウジング(24)の環状部(25)の下面を半径方向外側に流れ、やがてケーシング(12)の内壁面に沿って、下方の流れとなる。固定子コアカット(21c)付近では、この下方の流れが、そのまま下部空間(19)までの流れを生じることになり、その結果、下部空間(19)→エアギャップあるいは回転子風穴→上部空間(18)→固定子コアカット(21c)→下部空間(19)の循環流れとなる。このようにして、ガスガイド(60)より下方へ送られた冷媒は、電動機(20)の冷却に利用される。
ガスガイド(60)に流入した残りの冷媒は、中間凹部(75)の内部の中間流路(76)を流れ、上部空間(18)へ流出する。上部空間(18)へ流出した冷媒は、周方向へ流れる旋回流となる。このため、冷媒中に含まれる油が遠心分離される。分離された油は、下方へと流れ落ち、油溜め部(13a)に回収される。上部空間(18)の冷媒は、吐出管(17)の流入口(17a)に流入し、冷媒回路へ吐出される。
−吐出管の位置と油上がり率の評価−
本実施形態では、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと、上部空間(18)の径方向断面視における重心Cとが、1/2D以下の距離にある。これにより、スクロール圧縮機(10)の油上がり率を低減できる。この点を検証した結果について、図6〜図10を参照しながら詳細に説明する。
本検証では、図6に示す4つの運転条件において、上部空間(18)における吐出管(17)の流入口(17a)の位置と油上がり率の関係を評価している。条件A及び条件Bは、電動機(20)の運転周波数(回転速度)を中間速(例えば100rps)から最高速の範囲とし、運転差圧(即ち、冷媒回路の高低差圧)を比較的大きくした。また、条件C及びDは、電動機(20)の運転周波数(回転速度)を最高速とし、運転差圧を中程度とした。条件A及びCは、圧縮機構(40)の圧縮室(50)へ供給される給油量を比較的少なくし、条件B及びDは、圧縮機構(40)の圧縮室(50)へ供給される給油量を比較的多くした。
ここで、油上がり率αは、以下の(1)式によって求められる。
α=mo/(mo+mr)・・・(1)
ここで、moは冷凍サイクル中を循環する油の質量循環量[kg/sec]であり、mrは冷凍サイクル中を循環する冷媒の質量循環量[kg/sec]である。
図7は条件Aにおいて、吐出管(17)の流入口(17a)の位置に応じた油上がり率αを合計12箇所で求めている。図7〜図10にプロットした指標aは、基準となる油上がり率αsに対する測定した油上がり率αの割合(a=α/αs)をパーセントで表したものである。ここで、基準となる油上がり率αsは、吐出管(17)の流入口(17a)が縦断面Aの重心Cに最も近い測点での油上がり率であり、この測点での指標aが100%となる。
同様にして、図8は条件Bに、図9は条件Cに、図10は条件Dにそれぞれ対応している。更に、これらの12箇所の油上がり率に基づき、吐出管(17)の流入口(17a)の位置に応じた油上がり率の分布を求めている。これらの結果から、油上がり率は、吐出管(17)の流入口(17a)が、重心Cから遠くなればなるほど増大する傾向にあることが明確に把握できる。つまり、上部空間(18)では、縦断面Aにおける吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pが、該縦断面Aの重心Cに近づくほど油上がり率が小さくなり、遠くなるほど油上がり率が大きくなる傾向にある。
前述のように、上部空間(18)では、ガスガイド(60)による周方向のガス流れによる旋回流と共に、軸方向の循環流れが存在する。その結果、同じ縦断面でみた場合、重心Cの近傍にて、この循環流れ(例えば図4の破線矢印を参照)の流速が最も低下する。従って、冷媒の流速が遅くなる重心Cの近くに吐出管(17)の流入口(17a)を位置させると、流入口(17a)に流入する油量を低減できる効果が得られると推察できる。
実際に本検証では、図7〜図10に示す4つの条件のいずれにおいても、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pが最も重心Cに近い運転において、油上がり率αが最低となる結果が得られている。
以上より、吐出管(17)の流入口(17a)の内径をDとすると、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと重心Cとの距離は、(1/2)×D以下であることが好ましい。本実施形態の吐出管(17)の流入口(17a)の内径Dは、例えば8mmである。従って、この例では、中心Pと重心Cとの距離を4mm以下とすればよい。これにより、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pは、上部空間(18)の縦断面視において、重心Cを中心とした半径4mmの領域(一点鎖線a1で囲んだ領域)の範囲内に位置する。この結果、中心Pが重心Cに近づくので、油上がり率を効果的に低減できる。更に、中心Pと重心Cとの距離を、(1/4)×D以下とすると、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pは、上部空間(18)の縦断面視において、重心Cを中心とした半径2mmの領域(一点鎖線a2で囲んだ領域)の範囲内に位置する。この結果、中心Pが重心Cに更に近づくので、油上がり率を更に効果的に低減できる。
また、図7〜図10から明らかなように、中心Pが重心Cよりも径方向外方に離れると、油上がり率が比較的増大し易い。一方、中心Pが重心Cよりも径方向内方に離れても、油上がり率はさほど低下しない。このことから、吐出管(17)の中心Pを、上部空間(18)の重心Cよりも径方向内側に配置するのもよい。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、図4に示すように、吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと、上部空間(18)の縦断面Aにおける重心Cとの距離が、1/2×D以下となっているため、図7〜図10に示すように、油上がり率を効果的に低減できる。更に、この距離を1/4以下とすることで、油上がり率を更に低減できる。この結果、油上がりを防止でき、信頼性の優れたスクロール圧縮機(10)を提供できる。
以上説明したように、本発明は、スクロール圧縮機について有用である。
10 スクロール圧縮機
11 ケーシング
17 吐出管
17a 流入口
18 上部空間
20 電動機
24 ハウジング
40 圧縮機構
60 ガスガイド(案内部材)

Claims (2)

  1. ケーシング(11)と、
    上記ケーシング(11)内に収容される電動機(20)と、
    上記電動機(20)の上方に配置され、該電動機(20)に駆動される圧縮機構(40)と、
    上記圧縮機構(40)と上記電動機(20)との間に配置されるハウジング(24)と、
    上記圧縮機構(40)で圧縮された流体を、上記ケーシング(11)と上記電動機(20)と上記ハウジング(24)との間の環状の上部空間(18)に案内する案内部材(60)と、
    上記ハウジング(24)側に向かって開口する流入口(17a)を有し、該上部空間(18)の流体が流入する吐出管(17)と
    上記電動機(20)及び上記圧縮機構(40)を連結するとともに、カウンタウェイト(33)を有する駆動軸(30)とを備え、
    上記上部空間(18)は、上記ケーシング(11)と上記ハウジング(24)と上記カウンタウェイト(33)との間の空間のうち、上記電動機(20)のコイル部(21a)と上記ケーシング(11)との間の隙間、上記コイル部(21a)とカウンタウェイト(33)との間の隙間、及び上記ハウジング(24)の下端と上記カウンタウェイト(33)との間の隙間を含まない空間であり、
    上記上部空間(18)の周方向に直角な断面視において、上記吐出管(17)の流入口(17a)の中心Pと、該上部空間(18)の重心Cとの距離が、該吐出管(17)の流入口(17a)の内径Dの1/2以下であり
    上記案内部材(60)は、冷媒をケーシング(11)の内壁に沿うように案内する中間流路(76)を形成し、
    上記吐出管(17)は、上記中間流路(76)の下流側で且つ該中間流路(76)と上記ケーシング(11)の周方向に重なる位置にあり、
    上記吐出管(17)の流入口(17a)は、上記中間流路(76)よりも上記駆動軸(30)の軸心に近い位置にある
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記上部空間(18)の周方向に直角な断面視において、上記吐出管(17)の中心Pと、該上部空間(18)の重心Cとの距離が、上記吐出管(17)の内径Dの1/4以下である
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
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