JP6710556B2 - コンクリートコアの採取装置 - Google Patents
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Description
コンクリート構造物からコンクリートコアを採取する際には、先ず、コンクリート構造物の表面にコアドリルをセットし、穿孔することで、環状の溝(以下、環状溝という)を形成する。これにより、環状溝に囲まれ、環状溝の底部(即ち、コンクリート構造物の表面から見て環状溝内の最奥部)において、環状溝外部のコンクリート構造物に連結したコア部が形成される。
次に、たがね等を用いて、コンクリート構造物からコア部を折り取り、略円柱形状のコンクリートコアを得る。コンクリートコアをコンクリート構造物から外部へ取り出すことで、コンクリートコアが回収される。
即ち、コンクリートコアが長尺であると、短尺のコンクリートコアを採取することを想定して製造された採取装置を用いてコア部に打撃を加えた際に、打撃による衝撃が伝達目標の箇所であるコア部の基端側(即ち、コンクリート構造物の表面から見てコア部の最奥部)以外の位置に加わり、コンクリートコアの破損や破断が生じ易い。そのため、環状溝を深く形成し、コア部の長さ寸法を増やしても、コア部が途中位置で折れて破断することがあった。また、深く形成した環状溝の底部側で、コンクリート構造物からコンクリートコアを折り取ることができたとしても、コンクリートコアをコンクリート構造物から取り出す際に自重や衝撃が局所的に負荷されることでコンクリートコアの破損や破断が生じることがあった。
特に、放射性物質で汚染された可能性がある環境や作業者が立ち入れない環境において、遠隔でコンクリート構造物からコンクリートコアを採取する際には、長尺のコンクリートコアが途中で折れてしまうと、コンクリートコアの回収は困難になる。
これまでに、遠隔によって、長さ寸法100mm程度の比較的短尺なコンクリートコアを採取した例はあるが、長尺なコンクリートコアを採取した例は見られない。
請求項3記載のコンクリートコアの採取装置では、前記押し上げ部材の前記環状溝への挿入方向の先端部の厚み寸法は前記環状溝への挿入方向の奥側に向かう程、小とされていることが好ましい。
図2及び図3では、環状溝T1への挿入方向Iに沿って厚肉部12の厚み寸法が均一になっている。なお、図4に示すように、厚肉部12の厚み寸法は、環状溝T1への挿入方向の奥側に向かう程、大とされていてもよい。このように厚肉部12が所謂テーパー形状とされることで、後述する押し上げ部材22が厚肉部12とコア部T2との間により円滑に挿入可能になり、押し上げ部材22の先端部22cが環状溝T1の最奥まで進入し易くなる。
なお、厚肉部12は支持体11と一体的に形成されていてもよい。
図1に示すように、基端部22aは、環状溝T1への押し上げ部材22の挿入時においてコンクリート構造体Tの外部に位置し、さらに支持体11の基端部11aの外部に位置している。基端部22aには、押し上げ部材22の使用時に衝撃力(即ち、押し上げ部材22を環状溝T1の長手方向Xに沿って挿入するための力)が入力される端部22eが設けられている。端部22eの端面は衝撃力を確実に受け止めるために環状溝T1の中心軸Lに直交している。端部22eと基端部22aとの間には、補強部22fが設けられている。
その後、コアビットを環状溝T1から取り出し、駆動部15により、支持体11、押し上げ部材22をコンクリート構造物Tの外部の環状溝T1に対応する位置に配置する。
コア部T2を基端部T2aで折り取る際に、駆動部15において、押し上げ部材22の先端部22cを厚肉部12とコア部T2との間に押し入れる速度や力を適宜調節することで、コア部T2やコンクリートコアCの上部がコンクリート構造物に衝突すること等をより確実に防止することができる。
支持体11の支持部11bにコンクリートコアCが載置された後、駆動部15により、コンクリート構造物Tの環状溝T1の外周壁により構成される穴から、支持体11及び押し上げ部材22を穴の中心軸に沿って抜出方向D2に引き抜く。これにより、下方が支持体11及び押し上げ部材22により保護された状態で、長尺のコンクリートコアCをコンクリート構造物Tから引き抜くことができる。
その後、適宜、駆動部15により、コンクリートコアCを支持した状態で、移動体を所定の位置まで移動させることで、コンクリート構造物Tから折り取られた長尺のコンクリートコアCを回収し、コンクリート構造物TからコンクリートコアCを採取する工程を完了する。
また、駆動部15により、支持体11を環状溝T1に挿入すると共に、押し上げ部材22を環状溝T1の奥部T1a側に配置できる。そして、押し上げ部材22の先端部22cを支持体11の先端部11cに設けられた厚肉部12とコア部T2との間に押し入れるだけで、コア部T2の基端部T2aをより正確に押し上げ、押圧することができる。これにより、環状溝T1及びコア部T2の各長手方向に沿った寸法と略同等である所望の長さ寸法を有する長尺なコンクリートコアCを折り取ることができるので、上述のコンクリートコアCの採取工程を略自動的に、遠隔操作によって行うことができる。
そのため、例えば放射性物質で汚染されたコンクリート構造物Tの強度調査を行う場合等にも、ロボットによる作業で長尺のコンクリートコアCを無人の領域で遠隔操作により採取することができる。
この構成によれば、厚肉部12と押し上げ部材22の先端部22cとの少なくとも一方が所謂テーパー形状とされていることで、押し上げ部材22の先端部22cが環状溝T1への挿入方向Iの奥側に挿入される程、コア部T2の奥側と厚肉部12との間隔を漸次広げ、押し上げ部材22がより円滑に奥側へと進入することができる。従って、支持体11に対してコア部T2の奥側を徐々に押し上げ、コンクリートコアCへの衝撃や負荷を軽減しつつ、コンクリートコアCを折り取ることができる。さらに、駆動部15によって、押し上げ部材22の先端部22cを厚肉部12とコア部T2との間に押し入れる速度や力を容易に制御することで、コア部T2への衝撃等をより低減することができる。
例えば、図10及び図11に示すように、厚肉部12の厚み寸法が環状溝T1への挿入方向Iの奥側に向かう程、大とされている場合は、押し上げ部材22の先端部22cの厚み寸法は均一でも構わない。図11に示すように、コア部T2を折り取るときの押し上げ部材22と厚肉部12との接触具合を考慮し、角度θ12は厚肉部12における長手方向Xの長さ寸法等をふまえて適切に設定されていることが好ましい。
図10及び図11には、先端部22cの傾斜面の勾配に相当する先端部22cの上面と側面とのなす角度θ22が直角である場合を例示したが、角度θ12は直角でなくてもよい。
15 駆動部
20 採取装置(コンクリートコアの採取装置)
22 押し上げ部材
C コンクリートコア
T1 環状溝
T2 コア部
T コンクリート構造体
X 長手方向
Claims (3)
- コンクリート構造物に中心軸を横方向に向けて形成した環状溝に囲まれたコア部を折り取るとともに、折り取られたコンクリートコアを前記コンクリート構造物の外部に採取するコンクリートコアの採取装置であって、
前記環状溝の内部、且つ前記コア部の上下方向の少なくとも下方に挿抜可能に構成され、前記環状溝への挿入時に前記環状溝の長手方向の3/4より奥側に到達可能に構成され、且つ前記環状溝への挿入方向の先端部が該先端部より手前の部分に対して前記コア部の径方向内側に突出している支持体と、
前記環状溝に挿入した状態の前記支持体の前記先端部と、該先端部に対向配置された前記コア部との間に挿入可能に構成され、前記コア部の奥側に進む程、前記コア部を前記支持体から離間する方向に押し上げ可能に構成された押し上げ部材と、
前記支持体及び前記押し上げ部材を前記環状溝の長手方向に沿って移動させる駆動部と、
を備える、
コンクリートコアの採取装置。 - 前記支持体における前記先端部の厚み寸法は、前記環状溝への挿入方向の奥側に向かう程、大とされている請求項1に記載のコンクリートコアの採取装置。
- 前記押し上げ部材の前記環状溝への挿入方向の先端部の厚み寸法は前記環状溝への挿入方向の奥側に向かう程、小とされている請求項1又は請求項2に記載のコンクリートコアの採取装置。
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