JP6709704B2 - 加工装置、加工制御装置および加工条件決定方法 - Google Patents

加工装置、加工制御装置および加工条件決定方法 Download PDF

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Description

本開示は、被加工部材に対する加工処理を行うための加工装置、当該加工装置を制御する加工制御装置、当該加工処理の加工条件を決定するための加工条件決定方法と関係する。
被加工部材に対して複数回にわたって加工処理を行う加工プロセスの途中段階では、途中段階であるがゆえに被加工部材全体の目標最終形状が定義されておらず、被加工部材の全体をまんべんなく加工処理し終わった後でないと、被加工部材全体の形状が目標最終形状へ近づいているか判断できない。そのため、場合によっては修正加工処理にて形状修正するための作業回数が増えてしまい、加工時間増加を招いてしまう。
以下の特許文献1に開示された加工支援システムでは、設計段階において得られた目標加工形状と実加工により得られる実加工形状との間の誤差を抑制するために、実加工の際に加工現場で得られた情報を用いて設計段階において加工シミュレーションを行うことによって、加工精度を高めている。また当該加工支援システムでは、実加工作業において熟練者が決定した作業条件や加工結果から加工制御補正値を取得し、これらの情報をデータベースに蓄積する。そして当該加工支援システムでは、このデータベースを用いて、一般の作業者が実加工作業を行う際に熟練者のノウハウを活用することが可能となる。
特開2001−219341号公報
しかしながら、特許文献1記載の加工支援システムでは、目標加工形状と実加工により得られる実加工形状との間の誤差を抑制しようとする際に、以下のような問題が生じる。例えば、上述した加工シミュレーションは、加工プロセス全体にわたる加工制御条件や作業条件を事前に一括して検討する。しかしながら、上述した粗曲げプレスのような一部の加工プロセスでは、被加工部材の全体をまんべんなく加工処理し終わった後でないと、被加工部材全体の形状が目標加工形状へ近づいているか判断できない。そのため、加工プロセス全体(例えば、粗曲げプレス作業の開始から完了までのプロセス全体)にわたる加工制御条件や作業条件を事前に一括して適正化することは困難である。以上より、特許文献1記載の加工支援システムでは粗曲げプレス作業における目標加工形状と実加工形状との間の誤差を抑制することが困難である。
以上の問題点に鑑み、本発明に係る幾つかの実施形態は、被加工部材の加工プロセスの途中段階においても、加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が目標加工形状へ近づくように加工条件を決定可能である加工装置を得ることを目的とする。
(1)本発明の幾つかの実施形態に係る加工装置は、
被加工部材に対して加工処理を行うための加工処理部と、
複数回にわたって前記加工処理を前記加工処理部に実行させるように構成された制御部と、
前記複数回の加工処理のうちの少なくとも一つである対象加工処理における加工条件を決定する加工条件決定部と、を備え、
前記加工条件決定部は、前記対象加工処理より以前に実行された1以上の前記加工処理による前記被加工部材の形状情報および前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の目標加工形状に少なくとも基づいて前記加工条件を決定し、
前記制御部は、前記加工条件決定部によって決定された前記加工条件に従って前記加工処理を行うように前記加工処理部を制御するよう構成されたことを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、加工プロセスの途中段階において加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が目標最終形状へ近づくように加工条件を決定可能である。その結果、被加工部材の全体をまんべんなく加工処理し終わった後でないと、被加工部材全体の形状が目標加工形状へ近づいているか判断できないような加工プロセスにおいても、加工プロセスの進捗と並行して、目標加工形状と実加工形状との間の誤差を効果的に抑制することができる。
(2)例示的な一実施形態では、上記(1)の構成において、前記加工処理部は、前記被加工部材における複数の加工位置の各々において少なくとも1回ずつ前記加工処理を行うように構成され、
前記加工条件決定部は、少なくとも、直前の前記加工処理が行われた第1加工位置における前記被加工部材の形状と、今回の前記加工処理が行われる第2加工位置における前記被加工部材の目標形状と、に基づいて、前記第2加工位置に対する今回の前記加工処理の前記加工条件を決定するように構成されたことを特徴とする。
複数の加工位置において加工処理を行う場合、ある加工位置で行った直前の加工処理で得られた形状が、別の加工位置における次の加工処理の望ましい加工条件に影響を及ぼし得る。
上記(2)の構成では、直前の加工位置における被加工部材の実測形状と現在の加工位置における被加工部材の目標形状に基づいて現在の加工位置における加工条件を決定する。従って、上記(2)の構成によれば、各加工位置での加工処理後に得たい被加工処理の目標形状を実現することができ、被加工部材の目標最終形状に効果的に近づけることができる。
(3)例示的な一実施形態では、上記(2)の構成において、前記制御部は、前記第1加工位置における前記被加工部材の形状と前記第1加工位置における前記目標形状との間の誤差が許容範囲内に収まるまで、前記第1加工位置において修正加工処理を前記加工処理部に実行させるように構成されたことを特徴とする。
上記(3)の構成によれば、複数の加工位置の各々に対して加工処理を実行してゆく過程で、各加工位置において被加工部材の実測形状と目標形状との間の誤差が許容範囲内に収まるまで各加工位置における修正加工処理を実行するようにしている。従って、上記(3)の構成によれば、被加工部材の複数の加工位置に対して加工処理をそれぞれ実行してゆくことにより被加工部材を最終形状へと段階的に加工してゆくような加工プロセスにおいて、各加工位置での必要な加工精度を担保しながら加工プロセスを進めることができる。以上より、上記(3)の構成によれば、目標加工形状と実加工形状との間の誤差をより一層効果的に抑制することができる。
(4)例示的な一実施形態では、上記(3)の構成において、前記加工条件決定部は、
少なくとも、前記修正加工処理の実行前における前記第1加工位置の前記被加工部材の形状と、前記第1加工位置における前記被加工部材の目標形状と、に基づいて、前記修正加工処理の条件をさらに決定するように構成されている。
上記(4)の構成では、各加工位置において修正加工処理の実行前に実測された被加工部材の形状とその加工位置における目標形状とに基づいて修正加工処理の条件を決定している。従って、上記(4)の構成によれば、各加工位置において、修正加工処理の実行前と比べて被加工部材の形状が確実に目標形状に近づくように修正加工処理の条件を決定することができる。以上より、上記(4)の構成によれば、上記(3)で述べた加工プロセスにおいて、各加工位置での必要な加工精度を一層確実に担保しながら加工プロセスを進めることができる。
(5)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(4)の構成において、前記加工条件決定部は、少なくとも、前記被加工部材の材質パラメータをさらに考慮して前記対象加工処理を実行する際の前記加工条件を決定するように構成されることを特徴とする。
上記(5)の構成によれば、上記(1)〜(4)で述べた加工プロセスにおいて、被加工部材の材質のバラつきをさらに考慮して、目標加工形状と実加工形状との間の誤差をより一層効果的に抑制することができる。
(6)例示的な一実施形態では、上記(5)の構成において、前記材質パラメータは、前記被加工部材の板厚と降伏応力を少なくとも含むことを特徴とする。
上記(6)の構成によれば、上記のような板材の降伏応力や板厚のバラつきをさらに考慮して、曲面版の目標加工形状と実加工形状との間の誤差をより一層効果的に抑制することができる。
(7)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(6)の構成において、前記加工条件決定部は、少なくとも、直前の前記加工処理を行った後の前記被加工部材の形状と、前記目標加工形状と、を独立変数とする回帰分析により、前記加工条件を決定するように構成されたことを特徴とする。
上記(7)の構成によれば、被加工部材における直近の加工後形状と目標加工形状に基づいて加工条件を決定する際に、任意の演算手段により自動的に実行可能な回帰分析の結果を利用するので、作業者の経験や勘により決定された作業条件や加工条件を用いる必要がない。以上より、上記(7)の構成によれば、当該加工条件を作業者の個性(属人性)に左右されずに自動化された手段により決定することができる。
(8)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(7)の構成において、直前の前記加工処理を行った後の前記被加工部材の形状および前記目標加工形状と、前記対象加工処理において採用すべき前記加工条件と、の相関関係を記録したデータベースをさらに備え、
前記加工条件決定部は、
前記相関関係に基づいて、前記対象加工処理における前記加工条件を決定するように構成されたことを特徴とする。
上記(8)の構成では、被加工部材に対して直前に行った加工処理により得られた形状と目標加工形状を上述した相関関係に適用して加工条件を決定することが可能である。このように、上記(8)の構成によれば、被加工部材における直近の加工後形状と目標加工形状に基づいて加工条件を決定する際に、データベース内に蓄積されたデータ集合を利用するので、作業者の経験や勘により決定された作業条件や加工条件を用いる必要がない。以上より、上記(8)の構成によれば、当該加工条件を作業者の個性(属人性)に左右されずに自動化された手段により決定することができるだけでなく、データベース内に蓄積されたデータ量の増加に伴ってより適切な加工条件を決定できるようになる。
(9)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(8)の構成において、前記加工処理部は、前記被加工部材に対して前記加工処理としてのプレス成型を行うように構成され、
前記加工条件決定部は、前記被加工部材に対して行われる複数回の前記プレス成型のうち少なくとも一つについて、前記加工条件としてのプレス条件を決定するように構成されたことを特徴とする。
上記(9)の構成によれば、被加工部材が金属製の板材であり、当該板材上の複数のプレス位置をプレス加工することで所望の最終形状に加工する「逐次プレス成形」を行う際にも、上記(1)〜(8)の構成に従って加工プロセスを実行することができる。その結果、板材として形成された被加工部材に上述した逐次プレス成型を行う場合にも、加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が目標加工形状へ近づくように加工条件を決定可能であり、当該加工条件を作業者の個性に左右されずに決定することができる。
(10)例示的な一実施形態では、上記(9)の構成において、前記加工条件決定部は、少なくとも、以前の1以上の前記プレス成型の実行後における前記被加工部材の被加工面の曲率半径を含む前記形状情報と、前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の被加工面の目標曲率半径を含む前記目標加工形状と、前記プレス条件を決定するように構成されたことを特徴とする。
上記(10)の構成によれば、上述した逐次プレス成形の第1段階である「粗曲げプレス」にて金属製の板材を曲面形状となるように曲げ加工を施すことでLNG運搬船球形タンクを構成する曲面板を製造する際にも、上記(1)〜(8)の構成に従って加工プロセスを実行することができる。その結果、板材として形成された被加工部材に粗曲げプレスを行う場合にも、加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が理想とする曲面形状へ近づくように加工条件を決定可能である。従って、粗曲げプレスに続く「修正プレス作業」において、粗曲げプレス後の板材を目標とする曲面形状に応じて是正する修正プレス作業の回数を小さくすることができる。
(11)例示的な一実施形態では、上記(10)の構成において、前記プレス条件は、
前記プレス成型におけるプレス荷重、プレス深さ、複数のプレス位置間におけるプレス順の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
上記(11)の構成によれば、上記(9)および(10)の構成において、プレス成型におけるプレス荷重、プレス深さ、複数のプレス位置間におけるプレス順を含む多種多様な観点からプレス条件を調整することが可能となる。従って、上記(11)の構成によれば、被加工部材の形状が目標加工形状へ近づくようにプレス条件を決定する際に、適切なプレス条件を決定することが可能となる。
(12)本発明の幾つかの実施形態に従い、加工処理部により被加工部材に対して複数回にわたって行われる加工処理を制御する加工制御装置は、
複数回にわたって前記加工処理を前記加工処理部に実行させる反復実行手段と、
複数回の加工処理のうちの少なくとも一つである対象加工処理より以前に実行された1以上の前記加工処理による前記被加工部材の形状情報を取得する形状取得手段と、
前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の目標加工形状を取得する目標加工形状取得手段と、
前記形状情報及び前記目標加工形状に少なくとも基づいて加工条件を決定し、前記対象加工処理における前記加工条件を決定する加工条件決定手段と、
前記加工条件決定手段により決定した前記加工条件に従って前記加工処理部が行う前記加工処理を制御する加工処理制御手段と、
を備えることを特徴とする。
上記(12)の構成によれば、加工プロセスの途中段階において加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が目標加工形状へ近づくように加工条件を決定可能である。その結果、被加工部材の全体をまんべんなく加工処理し終わった後でないと、被加工部材全体の形状が目標加工形状へ近づいているか判断できないような加工プロセスにおいても、加工プロセスの進捗と並行して、目標加工形状と実加工形状との間の誤差を効果的に抑制することができる。
(13)本発明の幾つかの実施形態に従い、加工処理部により被加工部材に対して複数回にわたって行われる加工処理の加工条件を決定する加工条件決定方法は、
複数回の加工処理工程のうちの少なくとも一つである対象加工処理より以前に実行された1以上の前記加工処理による前記被加工部材の形状情報を取得するステップと、
前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の目標加工形状を取得するステップと、
前記形状情報及び前記目標加工形状に少なくとも基づいて加工条件を決定し、前記対象加工処理における前記加工条件を決定するステップ、
を備えることを特徴とする。
上記(13)の方法によれば、加工プロセスの途中段階において加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が目標加工形状へ近づくように加工条件を決定可能である。その結果、被加工部材の全体をまんべんなく加工処理し終わった後でないと、被加工部材全体の形状が目標加工形状へ近づいているか判断できないような加工プロセスにおいても、加工プロセスの進捗と並行して、目標加工形状と実加工形状との間の誤差を効果的に抑制することができる。
以上より、本発明に係る幾つかの実施形態によれば、被加工部材の加工プロセスの途中段階においても、加工プロセスの進捗に応じて被加工部材の形状が目標加工形状へ近づくように加工条件を決定することができ、当該加工条件を作業者の個性に左右されずに決定する仕組みを実現することができる。
本発明の幾つかの実施形態に係る加工処理部の拡大図である。 逐次プレス成型について説明する図である。 本発明の幾つかの実施形態に係る加工装置の全体構成を示す図である。 データベース内に蓄積されるデータのデータ構造を示す図である。 本発明の幾つかの実施形態に係る粗曲げプレス処理の流れを示すフロー図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る粗曲げプレス処理の詳細な的な流れを示すフロー図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
以下、最初に、幾つかの実施形態に係る加工装置を説明するのに先立って、本発明に係る幾つかの実施形態の適用対象となる加工プロセスの一例として、逐次プレス成型について図1および図2を参照して説明する。続いて、当該加工装置の構成について図3および図4を参照して説明し、最後に当該加工装置の加工処理内容について図5および図6を参照して説明する。
本発明に係る幾つかの実施形態の適用対象となる加工プロセスは、被加工部材に対して複数回にわたって加工処理を行う加工プロセスであり、当該加工プロセスは以下のような特性を有する。すなわち、当該加工プロセスの途中段階では、途中段階であるがゆえに、被加工部材全体の最終形状が定まっておらず、被加工部材の全体をまんべんなく加工処理し終わった後でないと、被加工部材全体の形状が理想とする目標最終形状へ近づいているか判断できない。このような加工プロセスに一例として、図1を用いて後述する逐次プレス成型がある。
逐次プレス成型とは、被加工部材を板材とし、板材上の複数のプレス位置をプレス加工することで曲面板とするプレス成型処理である。従来から行われていた逐次プレス成形においては、最初の工程として、粗曲げプレス処理が行われる。従来の粗曲げプレス処理では、同一種類、同一寸法の板材であればプレス位置やプレス位置毎のプレス荷重を一律に設定して複数のプレス位置を順番にプレス加工してゆく。この粗曲げプレス処理では同一種類、同一寸法の板材において降伏応力や板厚のバラつきが存在するにもかかわらず、プレス位置やプレス位置毎のプレス荷重を一律に設定している。その結果、上記のような降伏応力や板厚のバラつきに起因して、粗曲げプレス後の形状にもバラつきが生じ、目標とする最終形状との間に誤差が生じてしまう。そこで、逐次プレス成形の第2工程として修正プレス処理が行われ、粗曲げプレス後の板材形状に応じて、目標とする最終形状との間における誤差の是正を行う。この修正プレスは作業者の経験や技能に大きく依存する作業であるが、プレス作業回数をできるだけ小さくしないと加工時間増加を招いてしまう。以下、逐次プレス成型について図1および図2に示す具体例を使用して説明する。
逐次プレス成型は、図1に示すオス金型3a、メス金型3bおよび駆動部3cにより構成されるプレス機を用いて板材2に対して行われる。図2(a)を参照すると、被加工部材である板材2を曲面形状にプレスするための凹面形状を備えるメス金型3bが示され、メス金型3bの上には板材2が載置されている。図2(a)に示すように、メス金型3bの長手方向は方向dで表され、メス金型3bの短手方向は方向wで表される。板材2が載置されるメス金型3bの上面は上述した方向dと方向wの2方向に湾曲した凹面形状として形成されている。一方、オス金型3aは、方向wを長手方向とする縦長の形状を有し、方向wに沿って凸状に湾曲しているプレス面を有する。オス金型3aの方向wに沿った長手方向幅は板材2の幅とほぼ等しい。そして、方向wに沿って凸状に湾曲した形状を有するオス金型3aが方向dに沿って移動しながら複数のプレス位置50(1)から50(n)まで順番に押し付けられることにより、板材2が順にプレスされてゆく。その際、図2に示す駆動部3cがオス金型3aを下方向に向かって板材2に押し付けるように作動することでプレスが行われ、駆動部3cは、油圧シリンダ等で構成されてもよい。各プレス位置で曲面形状にプレスされた後の板材の断面は、図2(a)に示す長手方向wから見た場合、図2(b)に示すような断面形状となる。
続いて、図2(c)を参照しながら上述した粗曲げプレス処理について説明すると、まず、プレス位置50(1)から矢印d1の方法に沿ってオス金型3aがプレス位置50(k−1)まで移動しながら順に板材へとプレスを行ってゆく。続いて、オス金型3aがプレス位置50(k−1)まで来ると、オス金型3aはプレス位置50(k)へと移動し、矢印d2に沿ってオス金型3aがプレス位置50(n)まで移動しながら順に板材へとプレスを行ってゆく。
続いて、図2(d)を参照しながら上述した修正プレス処理について説明する。修正プレス処理では、粗曲げプレス処理後の板材2の曲がり形状に応じて作業者が複数のプレス位置51(1)〜51(n)をその場で決定しながら、オス金型3aを移動させながら複数のプレス位置51(1)〜51(n)に対して順番にプレスを行ってゆく。その際、プレス位置51(1)〜51(n)の各々におけるプレス荷重も板材2の曲がり形状に応じて作業者がその場で指示する。
以上のような逐次プレス成型は、例えば、LNG運搬船球形タンクを構成する曲面板を製造するのに応用され、このような曲面板は、金属製の板材を被加工部材とし、当該板材を「逐次プレス成形」にて曲面形状となるように曲げ加工を施すことで製造される。
次に、図3および図4を参照して幾つかの実施形態に係る加工装置1の構成について説明する。図2に示すように、加工装置1は、被加工部材である板材2に対して加工処理pを行うための加工処理部3と、加工処理部3を移動させる移動機構4と、各加工処理後の板材の曲面形状を計測するための形状計測手段5を備える。以下において詳しく述べるように、加工処理部3は、板材2に対して複数回の加工処理p(1)〜p(n)を実行する。その際、形状計測手段5は、加工処理p(1)〜p(n)の各々が行われた際の板材2の加工後形状r(1)〜r(n)を計測し、後述する加工制御装置10に出力するように構成されてもよい。また、加工処理部3は、複数回の加工処理p(1)〜p(n)の各々を板材2上における複数の加工位置L(1)〜L(n)の各々において実行するようにしてもよい。
例示的な一実施形態では、加工装置1が備える加工処理部3は、図1および図2を参照しながら上述したオス金型3a、メス金型3bおよび駆動部3cにより構成されるプレス機であってもよい。この実施形態では、加工処理部3は、板材2に対して加工処理pとしてのプレス成型qを行うように構成されてもよい。その場合、複数回のプレス成型q(1)〜q(n)が板材2上の複数のプレス位置K(1)〜K(n)に対して行われるようにしてもよい。また、加工処理部3が上記のようなプレス機である場合には、プレス成型q(1)〜q(n)の各々が行われた後の板材2のプレス後形状を曲面形状に曲げられた板材2の曲率半径によって表し、形状計測手段5は、当該曲率半径を形状r(1)〜r(n)として計測するようにしてもよい。
また、図3に示す加工装置1は、形状計測手段5からの形状計測結果を使用して加工処理部3および移動機構4を制御する加工制御装置10および加工制御装置10によってアクセスされるデータベース6をさらに備える。また、加工制御装置10は、複数回にわたって加工処理を加工処理部3に実行させるように構成された制御部11と、複数回の加工処理p(1)〜p(n)のうちの少なくとも一つである対象加工処理p(ε)における加工条件c(ε)を決定する加工条件決定部12と、加工制御装置10に接続されたデータベース6を管理するように構成されたデータベース管理部14と、を備えている。
以下において詳しく述べるように、加工条件決定部12は、対象加工処理c(ε)より以前に実行された1以上の加工処理p(1)〜p(i)(i<δ)による板材2の形状情報f_histおよび対象加工処理によって得ようとする被加工部材の目標加工形状R(ε)に少なくとも基づいて加工条件を決定するように構成されていてもよい。一例においては、形状情報f_histは、対象加工処理c(ε)より以前に実行された1以上の加工処理p(1)〜p(i)(i<δ)により、板材2の形状がどのように変化してきたかを表現する形状変化履歴の情報であってもよい。また、制御部11は、加工条件決定部12によって決定された加工条件に従って加工処理を行うように加工処理部3を制御するように構成されていてもよい。
また、制御部11は、加工処理部3を移動させる移動機構4を制御することにより、加工処理部3が加工処理を行う加工位置を複数の加工位置L(1)〜L(n)の各々へと位置決めするように構成されている。その結果、加工処理部3は、板材2における複数の加工位置L(1)〜L(n)の各々において少なくとも1回ずつ加工処理を行うように構成されることとなる。
一実施形態では、1≦j≦nとするならば、加工条件決定部12は、少なくとも、直前の加工処理p(j−1)が行われた第1加工位置L(j−1)における板材2の形状r(j−1)と、今回の加工処理p(j)が行われる第2加工位置L(j)における板材2の目標形状R(j)と、に基づいて、第2加工位置L(j)に対する今回の加工処理の加工条件c(j)を決定するように構成されていてもよい。また、加工条件決定部12は、少なくとも、板材2の材質パラメータをさらに考慮して対象加工処理を実行する際の加工条件を決定するように構成されてもよく、その場合、材質パラメータは、板材2の板厚と降伏応力を少なくとも含むようにしてもよい。
加工処理部3が加工処理pとして上記のようなプレス成型qを行うプレス機として構成される実施形態においては、加工条件決定部12は、板材2に対して行われる複数回のプレス成型q(1)〜q(n)のうち少なくとも一つq(ε)について、加工条件c(ε)としてのプレス条件g(ε)を決定するように構成されてもよい。この場合のプレス成型q(ε)は、上述した対象加工処理p(ε)に対応するプレス成型であるので、以下においては、対象プレス成型と呼ぶこととする。また、この実施形態では、複数回のプレス成型q(1)〜q(n)について決定されるプレス条件g(1)〜g(n)は、プレス成型におけるプレス荷重、プレス深さ、複数のプレス位置間におけるプレス順の少なくとも一つを含むようにしてもよい。
また、上述したように、この実施形態においても、プレス成型q(1)〜q(n)の各々によって曲面形状に曲げられた後の板材2の形状を、板材2の曲率半径によって表すことが可能である。その場合、加工条件決定部12は、少なくとも、以前の1以上のプレス成型q(1)〜q(j)の実行後における板材2の被加工面の曲率半径を含む形状情報f_histと、対象加工処理q(ε)によって得ようとする板材2の被加工面の目標曲率半径を含む目標加工形状R(ε)と、プレス条件g(ε)を決定するように構成されてもよい。
一実施形態では、図4を参照しながら後述するように、加工条件決定部12は、少なくとも、直前のプレス成型q(j−1)を行った後の板材2の形状r(j−1)と、目標加工形状R(j)と、を独立変数とする回帰分析により、プレス条件g(j)を決定するようにさらに構成されてもよい。この実施形態では、対象プレス成型q(ε)において採用すべきプレス条件g(ε)を決定するために、以下のように構成されていてもよい。すなわち、加工条件決定部12は、対象プレス成型q(ε)の直前の加工処理q(ε−1)を行った後の板材2の形状r(ε−1)および目標加工形状R(ε)と、プレス条件g(ε)と、の相関関係を記憶部13に記録するように構成されていてもよい。その場合、加工条件決定部12は、この相関関係に基づいて、対象プレス成型q(ε)におけるプレス条件g(ε)を決定するように構成されていてもよい。以下、図1および図2を用いて上述した粗曲げプレス処理を板材2に対して行うと想定して、図4に示す実施形態について詳しく説明する。
図4は、データベース6内に蓄積されたデータ集合のデータ構造を示す。このデータ集合は、複数のデータレコード70(1)〜70(m)、81および82を含んで構成される。データレコード70(1)〜70(m)、81および82の各々は、m+2個の板材2の各々について、加工データの計測値と材質パラメータの計測値を記録したものである。
データレコード70(1)〜70(m)、81および82の各々は、複数のデータ項目71(1)〜71(n)、72および73を含んで構成される。データ項目71(1)〜71(n)の各々は、複数のプレス位置K(1)〜K(n)の各々に対応する。また、データ項目71(1)〜71(n)の各々は、以下に述べる2つのフィールドを含んで構成される。すなわち、データ項目71(i)(1≦i≦n)は、プレス位置K(i)における板材2のプレス後形状r(i)を表すデータを含むフィールド71A(i)とプレス位置K(i)において板材2に加えたプレス荷重の大きさP(i)を表すデータを含むフィールド71B(i)とから構成される。また、データ項目72は、板材2の板厚tを表すデータを含み、データ項目73は、板材2の降伏応力σyを表すデータを含む。
この実施形態では、データレコード70(1)〜70(m)は、後述する回帰分析のための基礎情報として用いられる。データレコード70(1)〜70(m)は、板材2に対する加工シミュレーションを繰り返し(m回)実行した結果として生成されてもよい。また、データレコード70(1)〜70(m)は、過去に粗曲げプレス処理を行ったm個の板材2についての加工データの計測値と材質パラメータの計測値をデータベース6上に蓄積したものであってもよい。また、データレコード81は、粗曲げプレス処理を行った後の最終形状が理想とする目標最終形状に最も近かった板材2についてデータレコード70(1)〜70(m)と同様の加工データの計測値と材質パラメータの計測値を記録したデータレコードである。また、データレコード82は、粗曲げプレス処理を現在実行中の板材2について、データレコード70(1)〜70(m)と同様の加工データの計測値と材質パラメータの計測値を格納するためのデータレコードである。
図4に示す実施形態では、制御部11は、データレコード70(1)〜70(m)を含むデータ集合の上で重回帰分析を行う。今、対象プレス成型q(ε)におけるプレス荷重の大きさP(ε)を加工条件g(ε)とすると、この重回帰分析の結果、対象プレス成型q(ε)の直前の加工処理q(ε−1)を行った後の板材2の形状r(ε−1)および目標加工形状R(ε)と、プレス荷重の大きさP(ε)と、の相関関係が以下のようにして得られる。
[数1]
P(ε)=a×R(ε)+b×r(ε−1)+c×σy+d×t+e 式(1)
つまり、上述した重回帰分析によって上記式(1)における重み係数a、b、c、dと定数eの値が決定され、これらの係数と定数の値が決定した上記式(1)により、上述した相関関係が規定される。このようにして規定された相関関係を表す情報は、制御部11によって記憶部13内に記録しておくようにしてもよい。また、新たなデータレコード70’がデータベース6に蓄積されるたびに、上述した重回帰分析を再実行し、上記式(1)を更新することによって上述した相関関係を更新し、更新後の相関関係を表す情報で記憶部13上の古い相関関係を更新するようにしてもよい。
また、図4に示す実施形態では、粗曲げプレス処理を現在実行中の板材2のプレス位置K(ε−1)における形状r(ε−1)の計測値が形状計測手段5から加工条件決定部12に入力されると、加工条件決定部12は以下のような処理動作を行う。まず、データベース6からデータベース管理部14を介してデータレコード81を読み出し、データレコード81のデータ項目71A(ε)からプレス位置K(ε)における目標加工形状R(ε)の値を読み取る。
続いて、加工条件決定部12は、r(ε−1)の計測値と目標加工形状R(ε)の値を上述した相関関係に適用することによって、対象プレス成型q(ε)におけるプレス荷重の大きさP(ε)を加工条件c(ε)として算出する。例えば、加工条件決定部12は、記憶部13から上述した相関関係を表す情報を読み出すことで、上記式(1)の定義内容を取得し、上記式(1)に対してr(ε−1)の計測値と目標加工形状R(ε)の値を代入することで、プレス荷重の大きさP(ε)を算出するようにしてもよい。
次に、図3に示す加工装置1が一実施形態に従って逐次プレス成型を実行する際の処理の流れについて図5のフロー図を参照して説明する。図5のフロー図を参照すると、粗曲げプレス処理のプロセス全体100において、最初のプレス位置1(1)から最後のプレス位置K(n)までの各プレス位置でそれぞれ実行されるプレス成型100(1)〜100(n)が示されている。図5に示す実施形態では、最初のプレス位置K(1)で行われる最初のプレス成型100(1)のプレス条件g(1)として、1発目のプレス荷重の大きさP(1)が以下のように算出される。1発目のプレス荷重の大きさP(1)を求める処理は、図5において処理ブロックS1で表される。
処理ブロックS1では、最初の処理ステップS11として、プレス位置K(1)における目標加工形状R(1)がデータベース6内のデータレコード81から加工条件決定部12によって取得される。続いて、処理ステップS12において、粗曲げプレス処理を現在実行中の板材2の板厚tと降伏応力σyがデータベース6内のデータレコード82から加工条件決定部12によって取得される。続いて、処理ステップS13において、目標加工形状R(1)、板厚tおよび降伏応力σyから1発目のプレス荷重の大きさP(1)が加工条件決定部12によって算出され、制御部11に出力される。目標加工形状R(1)、板厚tおよび降伏応力σyと1発目のプレス荷重の大きさP(1)との間の相関関係が使用されてもよい。この相関関係は、図4を参照しながら上述した手法と同様の手法に従って制御部11によって事前に算出しておいたものであってもよい。なお、1発目のプレス荷重の大きさP(1)を受け取った制御部11は、プレス位置K(1)において、加工処理部3が板材2に対してプレス荷重P(1)でプレスを行うように加工処理部3を制御する。
次に、図5に示す実施形態では、2番目のプレス位置K(2)で行われる第2のプレス成型100(2)のプレス条件g(2)として、2発目のプレス荷重の大きさP(2)が以下のように算出される。2発目のプレス荷重の大きさP(2)を求める処理は、図5において処理ブロックS2で表される。
処理ブロックS2では、最初の処理ステップS21として、直前のプレス位置K(1)におけるプレス後の板材2の形状を形状計測部5が計測して得られる値r(1)を加工条件決定部12が形状計測手段5から受信する。続いて、処理ステップS22では、プレス位置K(2)における目標加工形状R(2)がデータベース6内のデータレコード81から加工条件決定部12によって取得される。また、処理ステップS23では、粗曲げプレス処理を現在実行中の板材2の板厚tと降伏応力σyがデータベース6内のデータレコード82から加工条件決定部12によって取得される。
続いて、処理ステップS24では、目標加工形状R(2)、板厚tおよび降伏応力σyから2発目のプレス荷重の大きさP(2)が加工条件決定部12によって算出され、制御部11に出力される。一実施形態では、2発目のプレス荷重の大きさP(2)を求める際に、直前のプレス位置K(1)における板材2のプレス後形状の計測値r(1)、目標加工形状R(2)、板厚tおよび降伏応力σyと1発目のプレス荷重の大きさP(1)との間の相関関係が使用されてもよい。この相関関係は、図4を参照しながら上述した手法と同様の手法に従って制御部11が事前に求めておいたものであってもよい。なお、2発目のプレス荷重の大きさP(2)を受け取った制御部11は、プレス位置K(2)において、加工処理部3が板材2に対してプレス荷重P(2)でプレスを行うように加工処理部3を制御する。
上述した処理は、3番目のプレス位置K(3)から最後のプレス位置K(n)までの各プレス位置で行われる各プレス成型100(3)〜100(n)についても同様に繰り返し実行される。その結果、各プレス成型100(3)〜100(n)において採用すべきプレス荷重の大きさP(3)〜P(n)が算出される。以上のようにして、粗曲げプレス処理100の実行が終わると、図5のフロー図に示す処理はステップ150に進み、粗曲げプレス処理後の板材2の曲面形状が理想とする目標最終形状から見て所定の誤差範囲内に収まっているか否かが判定される。粗曲げプレス処理後の板材2の曲面形状が所定の誤差範囲内に収まっているならば、図5のフローの実行は終了する。粗曲げプレス処理後の板材2の曲面形状が所定の誤差範囲内に収まっていないならば、ステップ200において修正プレス処理が実行され、再びステップ150に戻り、修正プレス処理後の板材2の曲面形状が所定の誤差範囲内に収まっているかが判定される。
次に、加工装置1がさらに別の実施形態に従って逐次プレス成型を実行する際の処理の流れについて図6のフロー図を参照して説明する。図6を参照しながら後述する実施形態は、以下の点で図5を参照しながら上述した実施形態と異なる。すなわち、複数のプレス位置1(i)(1≦i≦n)の各々に対してプレス成型q(i)を実行してゆく過程で、各プレス位置K(i)において板材2の実測形状r(i)と目標加工形状R(i)との間の誤差が許容範囲内に収まるまで各プレス位置K(i)における修正プレス処理を実行するようにしている。従って、この実施形態によれば、板材2の複数のプレス位置K(i)(1≦i≦n)に対してプレス成型q(i)(1≦i≦n)をそれぞれ実行してゆくことにより板材2を最終形状へと段階的に加工してゆくような加工プロセスにおいて、各プレス位置K(i)での必要な加工精度を担保しながら加工プロセスを進めることができる。
図6に示す実施形態では、最初のプレス位置K(1)で行われる最初のプレス成型100(1)のプレス条件g(1)として、1発目のプレス荷重の大きさP(1)が以下のように算出される。1発目のプレス荷重の大きさP(1)を求める処理は、図6において処理ブロックS1で表される。処理ブロックS1において実行される処理の流れは、図5を参照して上述した実施形態と同様であるため、説明を省略する。処理ブロックS1においては、1発目のプレス荷重の大きさP(1)が加工条件決定部12によって算出され、制御部11に出力される。なお、1発目のプレス荷重の大きさP(1)を受け取った制御部11は、プレス位置K(1)において、加工処理部3が板材2に対してプレス荷重P(1)でプレスを行うように加工処理部3を制御する。
次に、図6に示す実施形態では、2番目のプレス位置K(2)で行われる第2のプレス成型100(2)のプレス条件g(2)として、2発目のプレス荷重の大きさP(2)が以下のように算出される。2発目のプレス荷重の大きさP(2)を求める処理は、図6において処理ブロックS2で表される。
処理ブロックS2では、最初の処理ステップS21として、直前のプレス位置K(1)におけるプレス後の板材2の形状を形状計測部5が計測して得られる値r(1)を加工条件決定部12が形状計測部5から受信する。続いて、処理ステップS26では、直前のプレス位置K(1)における板材2のプレス後形状の計測値r(1)が充分な加工精度を達成しているかが判定される。充分な加工精度を達成しているなら、図6のフローの処理は処理ステップS29に進み、充分な加工精度を達成していないなら、図6のフローの処理は処理ステップS27に進む。
処理ステップS27では、目標加工形状R(2)、板厚tおよび降伏応力σyから修正プレス処理用のプレス荷重の大きさP(m)が加工条件決定部12によって算出され、制御部11に出力される。このとき、目標加工形状R(2)の値および板材2の板厚tと降伏応力σyの値は、処理ステップS22および処理ステップS23によって事前に取得され、処理ステップS27に渡されるようにしてもよい。すなわち、処理ステップS27と並行して、処理ステップS22では、プレス位置K(2)における目標加工形状R(2)がデータベース6内のデータレコード81から加工条件決定部12によって取得される。また、処理ステップS27と並行して、処理ステップS23において、粗曲げプレス処理を現在実行中の板材2の板厚tと降伏応力σyがデータベース6内のデータレコード82から加工条件決定部12によって取得される。
一実施形態では、処理ステップS27では、プレス荷重の大きさP(m)を求める際に、直前のプレス位置K(1)における板材2のプレス後形状の計測値r(1)、目標加工形状R(2)、板厚tおよび降伏応力σyと修正プレス処理において採用すべきプレス荷重の大きさP(m)との間の相関関係が使用されてもよい。ここで、上述した相関関係は制御部11が重回帰分析によって事前に求めておいたものであってもよい。ただし、この実施形態において用いられる重回帰分析は、図4を用いて上述した重回帰分析とは異なり、反復実行される修正プレス処理の各段階におけるプレス荷重Pと各修正プレス処理後の板材2の形状rをそれぞれ含む複数のデータレコードの集合上で実行されるものである。この重回帰分析の結果、修正プレス処理のために採用すべきプレス荷重の大きさP(m)を加工条件g(ε)とすると、修正プレス処理を行った後の板材2の形状rおよび目標加工形状R(ε)と、修正プレス処理において採用すべきプレス荷重の大きさP(m)と、の相関関係が以下のようにして得られる。
[数2]
P(m)=a’×R(ε)+b’×r+c’×σy+d’×t+e’ 式(2)

つまり、上述した重回帰分析によって上記式(2)における重み係数a’、b’、c’、d’と定数e’の値が決定され、これらの係数と定数の値が決定した上記式(2)により、上述した相関関係が規定される。
また、加工条件決定部12は、r(ε)の計測値と目標加工形状R(ε)の値を上述した相関関係に適用することによって、修正プレス処理用のプレス荷重の大きさP(m)を算出する。例えば、加工条件決定部12は、記憶部13から上述した相関関係を表す情報を読み出すことで、上記式(2)の定義内容を取得し、上記式(2)に対してr(ε)の計測値と目標加工形状R(ε)の値を代入することで、修正プレス処理用のプレス荷重の大きさP(m)を算出するようにしてもよい。
処理ステップS27において、プレス荷重の大きさP(m)を加工条件決定部12から受け取った制御部11は、プレス位置K(1)において、加工処理部3が板材2に対してプレス荷重P(m)でプレスを行うように加工処理部3を制御する。こうして、プレス荷重P(m)で修正プレス処理が実行された後に、図6の処理フローは処理ステップS28に進み、加工条件決定部12は、修正プレス処理後の板材2の形状rの計測値を形状計測手段5から受信する。続いて、図6の処理フローは処理ステップS26へと戻り、修正プレス処理後の板材2の形状rが充分な加工精度を達成しているかが判定される。
一方、直前のプレス位置K(1)における板材2のプレス後形状の計測値r(1)が充分な加工精度を達成していると処理ステップS26で判定されたならば、図6のフローの処理は処理ステップS29 に進み、以下の処理動作が実行される。処理ステップS29では、目標加工形状R(2)、板厚tおよび降伏応力σyから2発目のプレス成型q(2)のためのプレス荷重の大きさP(2)が加工条件決定部12によって算出され、制御部11に出力される。このとき、目標加工形状R(2)の値および板材2の板厚tと降伏応力σyの値は、処理ステップS24および処理ステップS25によって予め取得され、処理ステップS29に渡されるようにしてもよい。処理ステップS24および処理ステップS25の処理内容は、処理ステップS22および処理ステップS23と同様であるため説明を省略する。
処理ステップS29では、プレス荷重の大きさP(2)を求める際に、直前のプレス位置K(1)における板材2のプレス後形状の計測値r(1)、目標加工形状R(2)、板厚tおよび降伏応力σyと2発目のプレス成型q(2)において採用すべきプレス荷重の大きさP(2)との間の相関関係が使用されてもよい。なお、プレス荷重の大きさP(2)を受け取った制御部11は、プレス位置K(2)において、加工処理部3が板材2に対してプレス荷重P(2)でプレスを行うように加工処理部3を制御する。
上述した処理は、3番目のプレス位置K(3)から最後のプレス位置K(n)までの各プレス位置で行われる各プレス成型100(3)〜100(n)についても同様に繰り返し実行される。その結果、各プレス成型100(3)〜100(n)において採用すべきプレス荷重の大きさP(3)〜P(n)が算出される。以上のようにして、粗曲げプレス処理100の実行が終わると、図5のフロー図に示す処理はステップ150に進み、粗曲げプレス処理後の板材2の曲面形状が理想とする目標最終形状から見て所定の誤差範囲内に収まっているか否かが判定される。粗曲げプレス処理後の板材2の曲面形状が所定の誤差範囲内に収まっているならば、図5のフローの実行は終了する。粗曲げプレス処理後の板材2の曲面形状が所定の誤差範囲内に収まっていないならば、ステップ200において修正プレス処理が実行され、再びステップ150に戻り、修正プレス処理後の板材2の曲面形状が所定の誤差範囲内に収まっているかが判定される。
1 加工装置
2 板材
3 加工処理部
3a オス金型
3b メス金型
3c 駆動部
4 移動機構
5 形状計測手段
6 データベース
10 加工制御装置
11 制御部
12 加工条件決定部
13 記憶部
14 データベース管理部
70,81,82 データレコード
71,72,73 データ項目
71A,71B フィールド
L 加工位置
K プレス位置
P プレス荷重
r 加工後の実測形状
R 目標加工形状
c 加工条件
g プレス条件
p 加工処理
q プレス成型

Claims (12)

  1. 被加工部材に対して加工処理を行うための加工処理部と、
    複数回にわたって前記加工処理を前記加工処理部に実行させるように構成された制御部と、
    前記複数回の加工処理のうちの少なくとも一つである対象加工処理における加工条件を決定する加工条件決定部とを備え、
    前記加工条件決定部は、前記対象加工処理より以前に実行された1以上の前記加工処理による前記被加工部材の形状情報および前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の目標加工形状に少なくとも基づいて前記加工条件を決定し、
    前記制御部は、前記加工条件決定部によって決定された前記加工条件に従って前記加工処理を行うように構成され
    前記複数回の加工処理は、前記被加工部材における複数のプレス位置においてプレス加工を実施する逐次プレス成型の複数回のプレス成型であり、
    前記加工条件決定部は、少なくとも、直前の前記加工処理を行った後の前記被加工部材の形状と、前記目標加工形状と、を独立変数とする回帰分析の結果を用いて、前記加工条件を決定するように構成された
    ことを特徴とする加工装置。
  2. 前記加工処理部は、前記被加工部材における複数の加工位置の各々において少なくとも1回ずつ前記加工処理を行うように構成され、
    前記加工条件決定部は、少なくとも、直前の前記加工処理が行われた第1加工位置における前記被加工部材の形状と、今回の前記加工処理が行われる第2加工位置における前記被加工部材の目標形状と、に基づいて、前記第2加工位置に対する今回の前記加工処理の前記加工条件を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の加工装置。
  3. 前記制御部は、前記第1加工位置における前記被加工部材の形状と前記第1加工位置における前記目標形状との間の誤差が許容範囲内に収まるまで、前記第1加工位置において修正加工処理を前記加工処理部に実行させるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載された加工装置。
  4. 前記加工条件決定部は、
    少なくとも、前記修正加工処理の実行前における前記第1加工位置の前記被加工部材の形状と、前記第1加工位置における前記被加工部材の目標形状と、に基づいて、前記修正加工処理の条件をさらに決定するように構成された請求項3に記載の加工装置。
  5. 前記加工条件決定部は、少なくとも、前記被加工部材の材質パラメータをさらに考慮して前記対象加工処理を実行する際の前記加工条件を決定するように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の加工装置。
  6. 前記材質パラメータは、前記被加工部材の板厚と降伏応力を少なくとも含むことを特徴とする請求項5記載の加工装置。
  7. 直前の前記加工処理を行った後の前記被加工部材の形状および前記目標加工形状と、前記対象加工処理において採用すべき前記加工条件と、の相関関係を記録した記憶部をさらに備え、
    前記加工条件決定部は、
    前記相関関係に基づいて、前記対象加工処理における前記加工条件を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載された加工装置。
  8. 前記加工処理部は、前記被加工部材に対して前記加工処理としてのプレス成型を行うように構成され、
    前記加工条件決定部は、前記被加工部材に対して行われる複数回の前記プレス成型のうち少なくとも一つについて、前記加工条件としてのプレス条件を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載された加工装置。
  9. 前記加工条件決定部は、少なくとも、以前の1以上の前記プレス成型の実行後における前記被加工部材の被加工面の曲率半径を含む前記形状情報と、前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の被加工面の目標曲率半径を含む前記目標加工形状と、前記プレス条件を決定する
    ように構成されたことを特徴とする請求項記載の加工装置。
  10. 前記プレス条件は、
    前記プレス成型におけるプレス荷重、プレス深さ、複数のプレス位置間におけるプレス順の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項記載の加工装置。
  11. 複数回にわたって加工処理を加工処理部に実行させる反復実行手段と、
    複数回の加工処理のうちの少なくとも一つである対象加工処理より以前に実行された1以上の前記加工処理による被加工部材の形状情報を取得する形状取得手段と、
    前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の目標加工形状を取得する目標加工形状取得手段と、
    前記形状情報及び前記目標加工形状に少なくとも基づいて加工条件を決定し、前記対象加工処理における前記加工条件を決定する加工条件決定手段と、
    前記加工条件決定手段により決定した前記加工条件に従って前記加工処理部が行う前記加工処理を制御する加工処理制御手段と、
    を備え
    前記複数回の加工処理は、前記被加工部材における複数のプレス位置においてプレス加工を実施する逐次プレス成型の複数回のプレス成型であり、
    前記加工条件決定手段は、少なくとも、直前の前記加工処理を行った後の前記被加工部材の形状と、前記目標加工形状と、を独立変数とする回帰分析の結果を用いて、前記加工条件を決定するように構成された
    ことを特徴とする加工制御装置。
  12. 工処理部により被加工部材に対して複数回にわたって行われる加工処理の加工条件を決定する加工条件決定方法であって、
    複数回の加工処理工程のうちの少なくとも一つである対象加工処理より以前に実行された1以上の前記加工処理による前記被加工部材の形状情報を取得するステップと、
    前記対象加工処理によって得ようとする前記被加工部材の目標加工形状を取得するステップと、
    前記形状情報及び前記目標加工形状に少なくとも基づいて加工条件を決定し、前記対象加工処理における前記加工条件を決定するステップ
    を備え
    前記複数回の加工処理工程は、前記被加工部材における複数のプレス位置においてプレス加工を実施する逐次プレス成型の複数回のプレス成型であり、
    前記加工条件を決定するステップでは、少なくとも、直前の前記加工処理を行った後の前記被加工部材の形状と、前記目標加工形状と、を独立変数とする回帰分析の結果を用いて、前記加工条件を決定する
    ことを特徴とする加工条件決定方法。
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