1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
図1に示すように、第1形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50に取付けられた遊技盤2(図7参照)とを備えている。遊技機枠50は、図2に示すように、外枠51と内枠52と前枠53とを備えている。外枠(基枠部に相当)51は、パチンコ遊技機1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠52は、外枠51の内側に配置されていて、遊技盤2を取付ける縦長方形状の枠体である。前枠(前枠部に相当)53は、外枠51及び内枠52の前面側に配置されていて、遊技盤2を保護する縦長方形状のものである。
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えて構成されている。このヒンジ部54により、前枠53は、外枠51及び内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は、外枠51及び前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。前枠53の中央には開口部53aが形成されていて、遊技者が後述する遊技領域3を視認できるように透明のガラス板55が開口部53aに取付けられている。なお、開口部53aに取り付けられたガラス板55のうち開口部53aの内側に位置する部分は、遊技領域3を視認可能な「窓部」を構成する。ガラス板55の代わりに透明な合成樹脂板等を用いてもよい。すなわち窓部は、前方から遊技領域3を視認可能であればよい。
前枠53は、図3に示すように、ベース枠56と、上側装飾ユニット200と、左側装飾ユニット210と、右側装飾ユニット220と、操作機構ユニット230とを備えて構成されている。ベース枠56は、表面側(前面側)で上側装飾ユニット200と左側装飾ユニット210と右側装飾ユニット220と操作機構ユニット230とを着脱可能に取付ける枠体である。ベース枠56の上側の左右にはスピーカ67が設けられていて、ベース枠56のうち下側の左方には遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61が設けられている。またベース枠56の下端には遊技球を後述する遊技領域3へ打ち出すための打球発射機構57が設けられている。
なお、図3中では打球供給皿61はベース枠56に付いているが、操作機構ユニット230にユニット化されているものである。打球供給皿61を含めた操作機構ユニット230を、「遊技媒体貯留皿部」と称することとする。なお、遊技媒体貯留皿部は、打球供給皿61を除いた操作機構ユニット230にて構成されるものでもよい。
上側装飾ユニット200は、ベース枠56の上側に配されるものであり、当該上側装飾ユニット200と左側装飾ユニット210と右側装飾ユニット220と操作機構ユニット230とがベース枠56に取付けられている状態(図6参照)で、最も前方に突出している。つまり、上側装飾ユニット200の前後方向の寸法は、ベース枠56に取付けられるどのユニットの前後方向の寸法よりも長くなっている。これにより、本形態の前枠53では、上側装飾ユニット200が強調されていて、従来の前枠に比べて大きなインパクトを与えるようになっている。上側装飾ユニット200の詳細な構成については、後に説明する。
左側装飾ユニット210は、ベース枠56の左側に配されるものであり、左側装飾部材211等を備えている。右側装飾ユニット220は、ベース枠56の右側に配されるものであり、右側装飾部材221等を備えている。また右側装飾ユニット220には、剣の形を模した剣部材222が配されていて、遊技の進行に伴って実行される演出時等に遊技者が剣部材222を下方向に押し込むことができるようになっている。
操作機構ユニット230は、ベース枠56の下側に配されるものであり、右側の下端に回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60を備え、ハンドル60の左側に打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62を備えている。また操作機構ユニット230の上側には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63やセレクトボタン(十字キー)68が設けられている。
本形態のパチンコ遊技機1では、図4に正面図が示され、図5に平面図が示され、図6に右側面図が示されている。ここで、図4及び図6に示すように、遊技場の島設備において鉛直方向に起立した垂直壁面SHのうちパチンコ遊技機1の上方には、データカウンタ150が配されている。データカウンタ150は、垂直壁面SHに固定されている固定部材151と、この固定部材151に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられているデータ表示装置152とを備えている。
データ表示装置152は、後述する大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等を表示する略直方体形状のものである。またデータ表示装置152は、遊技者がホールの従業員を呼ぶための呼び出しボタン等を有している。図4に示すように、データ表示装置152の左右方向の寸法は約300mmであり、データ表示装置152の上下方向の寸法は約200mmである。
このデータカウンタ150では、垂直壁面SHに対するデータ表示装置152の前傾角度θを15度から25度まで可変できるようになっている。なお、図6では、データ表示装置152の前傾角度θが最大の25度になっている状態が示されている。本形態では、データ表示装置152の前方上端位置152aから垂直壁面SHまでの距離は約130mmであり、データ表示装置152の前方下端位置152bから垂直壁面SHまでの距離は約80mmになっている。
次に、図7を参照して遊技盤2について説明する。図7に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図36参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(符号省略)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7が設けられている。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの可変表示を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄8L,8C,8Rを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図9参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技(特別遊技の一例)に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留画像表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留画像9A,9Bの表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図9参照)にて表示される第1特図保留の記憶数、及び後述の第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左下方には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。またセンター装飾体10の上部には、後述する盤可動体15が格納状態にて配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定始動口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
遊技領域3における第1始動口20の右上方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図35参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変始動口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、可動部材23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図35参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときのみ遊技球が入球可能となる。なお、電チュー22は、可動部材23が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口21への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口21への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(第2特別入賞口開閉部材、羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図35参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図8(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。なお、振分部材71は、遊技盤2に対して左右方向に移動するものであり、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける退状態(第1の状態)をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける進状態(第2の状態)をとる。
図8(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図8(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1の状態にある。振分部材71が第1の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図8(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図8(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2の状態にある。振分部材71が第2の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71の上面を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置31には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
図7に戻り、遊技領域3の下部には、普通入賞口27や、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと、右側の右遊技領域3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、左打ちにて第1始動口20への入賞を狙うことができる。一方、右打ちにてゲート28への通過、第2始動口21、第1大入賞口30、および第2大入賞口35への入賞を狙うことができる。
また図7に示すように、遊技盤2の右側中央には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図9に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報)は、特図保留記憶部85(図35参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図35参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図35参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43は、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図9参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図35参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.上側装飾ユニットの構成
次に図10〜図31に基づいて、上側装飾ユニット200の構成を説明する。図10に示すように、上側装飾ユニット200は、前枠53のベース枠56に図示しないビスにより着脱可能になっている。そして本形態の上側装飾ユニット200は、左側装飾ユニット210及び右側装飾ユニット220のベース枠56に対する取付状態に拘わらず、独立して着脱可能になっている。
即ち、上側装飾ユニット200の取付けは、左側装飾ユニット210及び右側装飾ユニット220をベース枠56に取付ける前、又は取付けた後のいずれであっても行うことができる。また上側装飾ユニット200の取外しも、左側装飾ユニット210及び右側装飾ユニット220をベース枠56から取外す前、又は取付けした後のいずれであっても行うことができる。こうして、本形態の上側装飾ユニット200では、他の部材と連係(係合)せずに着脱可能であるため、故障や点検の際に容易に交換することが可能である。
上側装飾ユニット200は、図11に示すように、外側カバー300と内側カバー400と駆動プレート500と左側可動体600Lと右側可動体600Rとを備え、これらが一体としてユニット化されたものである。本形態の上側装飾ユニット200では、後述するように左側可動体600Lと右側可動体600Rとが、遊技機枠50よりも上方に移動可能に構成されている点に特徴がある(図32参照)。なお、左側可動体600Lと右側可動体600Rとをまとめて枠可動体(可動部材に相当)600と称することとする。以下、上側装飾ユニット200の各構成部材について順に説明する。
まず外側カバー300について、図12(A)(B)及び図13に基づいて説明する。図12(A)は外側カバー300の平面図であり、図12(B)は外側カバー300の底面図である。また、図13は外側カバー300を右斜め下方から見たときの斜視図である。外側カバー300は、図12(A)(B)及び図13に示すように、上方と後方とが開口している略箱型形状をしていて、内側カバー400と左側可動体600Lと右側可動体600Rとを収容するものである。外側カバー300は、合成樹脂で構成されていて、平面視で略台形形状の底壁部310と、底壁部310の左端から起立している左側壁部320と、底壁部310の右端から起立している右側壁部330と、底壁部310の前端から起立している前壁部340とを備えている。
底壁部310は、後述する内側カバー400の底面部410を載置する部分である。この底壁部310には、図12(A)に示すように、左端部310cにおける前後方向のほぼ中央と、右端部310dにおける前後方向のほぼ中央とに、上下方向に貫通する貫通孔311が形成されている。各貫通孔311は、後述する内側カバー400を外側カバー300に組み付けた状態において内側カバー400の底面部410の貫通孔411と連通するものであり、内側カバー400に入れられた水、ジュース、コーヒー等の液体や遊技球、ゴミ、埃等を上側装飾ユニット200外へ排出するためのものである。各貫通孔311の形状は略円形であり、内側カバー400の底面部410の貫通孔411と略同じ形状になっていて、その開口径d1は遊技球の直径9mmよりも大きく、本形態では13mm〜15mm程度である。貫通孔311の効果については後に詳しく説明する。
図12(A)に示すように、底壁部310の上面310a(内側カバー400が組み付けられた状態では表に現れない面)には、補強板312が取付けられている。補強板312は、前後方向に延びる直線部312aと、直線部312aの後端から起立した起立部312b(図10参照)とを有していて、上側装飾ユニット200の強度(剛性)を向上させる鋼鈑である。つまり、上述したように上側装飾ユニット200は、前枠53の設けられている他のユニットよりも前方に突出していて比較的大きなものであり、他の部材と連係せずに独立してベース枠56に取付けられている。そのため、ユニットとして強度不足が生じるおそれがある。そこで本形態では、補強板312の直線部312aが底壁部310の上面310aに固定され、補強板312の起立部312bがベース枠56に固定されることで、上側装飾ユニット200としての強度を十分大きくしている。
また図12(B)及び図13に示すように、底壁部310の下面310b(上側装飾ユニット200の表面を形成する面、上側装飾ユニット200の下面でもある)の前縁部310b1には、ゴムから成る緩衝部材313が取付けられている。緩衝部材313は、底壁部310の下面310bの前縁部310b1で左右方向に延びていて、左右両端部313aが後方へ湾曲している。つまりこの左右両端部313aは、下面310bの左縁部および右縁部の前方側に位置している。
ここで本形態のパチンコ遊技機1は、上側装飾ユニット200が前枠53に設けられている他のユニットよりも前方に突出している(図6参照)。具体的には、外側カバー300の底壁部310の前端位置P1(図6参照)が、操作機構ユニット230の前縁230a(特に最前方位置P2、図6参照)よりも前方に位置している。そのため、遊技者が遊技中に操作機構ユニット230のハンドル60、打球供給皿61、演出ボタン63、セレクトボタン68等に意識を集中した後に立ち上がると、遊技者の頭が底壁部310の下面310bの前縁部310b1に衝突するおそれがある。
特に本形態では、図13に示すように、底壁部310の下面310bは、その中央に取り付けられた飾り部318を除けば、中央がこれを囲む縁よりも上方に窪み、縁が中央よりも下方に突出している。つまり、中央が上に膨らむように湾曲した湾曲面となっている。さらに言い換えれば、前縁部310b1がこれに内側で隣接する内側隣接部310b2よりも下方に突出している。ここでいう内側とは、下面310bの縁に対する内側、つまり前縁部310b1に対する後方側という意味である。内側隣接部310b2を、後方側隣接部310b2ともいう。
従って、特に前縁部310b1に頭をぶつけやすい構造となっている。そこで本形態では、少なくとも前縁部310b1には緩衝部材313を設けて、万一遊技者の頭が底壁部310の下面310bの前縁部310b1に衝突しても、緩衝部材313によって衝撃を緩和できるようにしている。また本形態では、この緩衝部材313によって、外側カバー300の搬送時等に、底壁部310の下面310bの前縁部310b1に破損や傷を生じ難くすることが可能となっている。
なお、本形態では底壁部310の下面310bの前縁部310b1に左右方向に延びる緩衝部材313を取付けたが、緩衝部材313の取付け位置及び形状は適宜変更可能である。例えば、底壁部310の下面310bの全域に取り付けてもよい。また、前縁部310b1だけでなく、左縁部や右縁部にも取り付けることとしても良い。このようにすることで遊技者が怪我等をしてしまうおそれを一層抑えることが可能となる。特に底壁部の下面を平坦面とした場合には、その下面の前縁部以外にも頭をぶつける可能性が強まるため、下面における緩衝部材の配置面積を大きくするとよい。
また底壁部310の下面310bに取付けられる緩衝部材は1つに限られるものではなく、複数であっても良い。さらに緩衝部材313の素材はゴムに限られるものではなく、一定以上の弾性を有する部材(外側カバー300を構成する合成樹脂よりも柔らかいもの)であれば適宜変更可能である。例えば柔らかい合成樹脂やスポンジ等であっても良い。
また図13に示すように、外側カバー300の前壁部340には、枠ランプ66が設けられている。具体的には、枠ランプ66は、左側から右側に向かって順番に第1発光部341と第2発光部342と第3発光部343と第4発光部344とによって構成されている。これら発光部341,342,343,344は、遊技の進行に伴って発光し得るものであり、遊技者等から特に目立つように外側カバー300の前壁部340に設けられている。第1発光部341は正面視で「L」字状であり、第2発光部342は正面視で「O」字状であり、第3発光部343は正面視で「G」字状であり、第4発光部344は正面視で「O」字状である。これら発光部341,342,343,344により、上側装飾ユニット200が「LOGO」から成る一連の意味ある文字として発光するようになっている。なお「LOGO」とは、本パチンコ遊技機1の機種名ロゴを意味している。
また図12(A)に示すように、左側壁部320の上端の後方側に左側タッチセンサ321が取付けられていて、左側壁部320の上端及び前壁部340の上端の左側に、長尺状の左側タッチ電極322が取付けられている。左側タッチセンサ321は、左側タッチ電極322に対する人体の接触を検出するものであり、具体的には高周波発振回路を利用する静電容量式のタッチセンサである。つまり、人体が左側タッチ電極322に接触すると、人体の大地に対する静電容量(人体容量)に基づいて高周波発振回路が発振する高周波正弦波電圧が減少する。左側タッチセンサ321は、この高周波正弦波電圧の減少を検出して、人体が左側タッチ電極322に接触したか否かを検出するようになっている。左側タッチ電極322は、左側タッチセンサ321の検出範囲を広くするために、外側カバー300の上側の縁部のほぼ左半分で広範囲に配されている。
また図12(A)に示すように、右側壁部330の上端の後方側に右側タッチセンサ331が取付けられていて、右側壁部330の上端及び前壁部340の上端の右側に、長尺状の右側タッチ電極332が取付けられている。右側タッチセンサ331は、右側タッチ電極332に対する人体の接触を検出するものであり、具体的には高周波発振回路を利用する静電容量式のタッチセンサである。右側タッチセンサ331が人体を検出する方法は、上述した左側タッチセンサ321が人体を検出する方法と同様であるため、説明を省略する。右側タッチ電極332は、右側タッチセンサ331の検出範囲を広くするために、外側カバー300の上側の縁部のほぼ右半分で広範囲に配されている。なお、左側タッチ電極322の右端322aと右側タッチ電極332に左端332aとは、接触しないように左右方向に離間している。
こうして、左側タッチセンサ321が左側タッチ電極322に対する人体の接触を検出した場合、又は右側タッチセンサ331が右側タッチ電極332に対する人体の接触を検出した場合には、後述する左側可動体600L及び右側可動体600Rが移動(回転)しないようになっている。即ち、人体が左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に接触しているときには、後述する左側可動体600L及び右側可動体600Rが移動することができない。左側タッチセンサ321による検出又は右側タッチセンサ331による検出の効果については、後に詳しく説明する。
また図12(B)及び図13に示すように、外側カバー300の左側壁部320には、可動体復帰ボタン(第1操作部及び第2操作部に相当)323が設けられている。可動体復帰ボタン323は、遊技者の操作により後述する左側可動体600L及び右側可動体600Rをそれぞれの回転待機位置に復帰させるためのボタンである。可動体復帰ボタン323の効果については後に詳しく説明する。なお、図10に示すように、外側カバー300には、後方側の上方を塞ぐように塞ぎ板350が取付けられるようになっている。
次に内側カバー400について、図14(A)(B)に基づいて説明する。図14(A)は内側カバー400の平面図であり、図14(B)は図14(A)に示した内側カバー400を矢印Y方向から見た背面図である。内側カバー400は、図14(A)(B)に示すように、上方と後方が開口している略箱型形状をしている。内側カバー400は、平面視で略台形形状の底面部410と、底面部410の左端から起立している左側面部420と、底面部410の右端から起立している右側面部430と、底面部410の前端から起立している前面部440とを備えている。
この内側カバー400は、外側カバー300の内側に組み付けられて、外側カバー300とともに、左側可動体600Lと右側可動体600Rとを収容する収容部290(図4〜図6参照)を構成するものである。内側カバー400が外側カバー300に組み付けられた状態では、内側カバー400の底面部410と外側カバー300の底壁部310とにより収容部290の底壁部291(図4及び図6参照)が構成される。また、内側カバー400の左側面部420と外側カバー300の左側壁部320とにより収容部290の左側壁部292(図4及び図5参照)が構成される。また、内側カバー400の右側面部430と外側カバー300の右側壁部330とにより収容部290の右側壁部293(図4〜図6参照)が構成される。また、内側カバー400の前面部440と外側カバー300の前壁部340とにより収容部290の前側壁部294(図4〜図6参照)が構成される。
図14(A)に示すように、底面部410は、後述する左側可動体600L及び右側可動体600Rを載置する部分であり、この底面部410には、左端部410cの後方寄りの位置と、右端部410dの後方寄りの位置とに上下方向に貫通する貫通孔411が形成されている。各貫通孔411の形状は略円形であり、その開口径d2は遊技球の直径9mmよりも大きく、本形態では13mm〜15mm程度である。なお本形態では、貫通孔411は、外側カバー300の貫通孔311よりも開口径が若干(1mm程度)小さくなっている。
各貫通孔411は、内側カバー400が外側カバー300の上に載置された状態で上述した外側カバー300の各貫通孔311に連通するものである。つまり、外側カバー300の貫通孔311と内側カバー400の貫通孔411とによって、収容部290の内部空間(内側カバー400の内部空間SP(収容空間に相当)、図14(B)参照)と上側装飾ユニット200の外部とを連通させる連通孔295(図13参照)が形成されることとなる。この連通孔295によって、収容部290内(つまり内部空間SP)に入れられた水、ジュース、コーヒー等の液体や、遊技球、ゴミ、埃等の異物を収容部外に排出することが可能となっている。
ここで、後述するように、左側可動体600L及び右側可動体600Rは、内側カバー400(収容部290)に収容されている待機位置(非演出状態)から、上方に移動することにより内側カバー400外(収容部290外)に露出している動作位置(演出状態)へ変位できるようになっている。そのため、左側可動体600L及び右側可動体600Rが内側カバー400外に位置する状態では、左側可動体600L及び右側可動体600Rを収容していた内部空間SPが露出することとなる(図33参照)。なお本形態で「収容状態」とは、枠可動体600(左側可動体600L,右側可動体600R)が収容部290に収容され待機位置(回転待機位置)にある状態をいう。また、「非収容状態」とは、可動体600が図33に示す動作位置(回転動作位置)にある状態をいう。
左側可動体600L及び右側可動体600Rがそれぞれ非収容状態にあり内部空間SPが露出しているときには、遊技者等が内側カバー400内(収容部290内)に悪戯等で水、ジュース、コーヒー等の液体を入れることができてしまう。しかし本形態では、収容部290に連通孔295が形成されているため、収容部290内に液体が入り込んでも、連通孔295を通してその液体を上側装飾ユニット200の外部に排出することが可能である。そのため、ホールの従業員等の管理者が知らない間に収容部290内に液が溜まり、上側装飾ユニット200に含まれる枠可動体600や枠ランプ66等の電気部品が故障するのを効果的に防止することが可能となっている。
また内部空間SPが露出しているときには、遊技者等が内側カバー400内に悪戯等で遊技球を入れることができてしまう。内側カバー400内に遊技球が入って溜まってしまうと、左側可動体600L及び右側可動体600Rを内側カバー400に収容できなくなるおそれがある。しかし本形態では、連通孔295の開口径が遊技球の直径よりも大きいため、内側カバー400内に入り込んだ遊技球を連通孔295から上側装飾ユニット200の外へ排出することが可能である。そのため、内側カバー400内に遊技球が溜まって、左側可動体600L及び右側可動体600Rの内側カバー400内への収容が阻害されるのを防ぐことが可能となっている。
ここで本形態では、連通孔295は、前枠53に取り付けられたガラス板55の前面55a(図1参照)よりも前方であって、操作機構ユニット230の前縁230aよりも後方に位置している。よって、内側カバー400内に入り込んだ遊技球を遊技者に返すことが可能となっている。
そして本形態の内側カバー400では、図14(B)に示すように、底面部410の床面410aには、左右方向の中央から左右両端の貫通孔411(連通孔295)に向かって下方に傾斜する傾斜面410bが形成されている。この傾斜面410bによって、内側カバー400に入り込んだ液体や遊技球、埃等の異物を貫通孔411に案内することが可能となっている。よって、内側カバー400に入り込んだ異物が貫通孔411(連通孔295)を通って上側装飾ユニット200の外へ排出され易くなっている。なお本形態では、各貫通孔411及び各貫通孔311の形状が略円形であるが、直径9mmである遊技球が通過できる形状(直径9mmである円形の断面よりも大きい形状)であれば適宜変更可能であり、例えば四角形状等であっても良い。
また内部空間SPが露出しているときには、遊技者等が内側カバー400内に悪戯等で火が付いたタバコを入れることができてしまう。そのため本形態では、内側カバー400がタバコの火で燃え上がらないような素材で構成されている。具体的に内側カバー400はポリカーボネイトで構成されている。よって、万一内側カバー400内に火が付いたタバコが入れられても、内側カバー400から他の部材へすぐに火が燃え移るのを防ぐことが可能となっている。なお内側カバー400の素材はポリカーボネイトに限られるものではなく、適宜変更可能であり、例えば熱で溶け難い熱硬化性樹脂や繊維強化プラスチック等の耐熱素材で内側カバー400を構成するとなお良い。
なお本形態では、可動体600L,600Rは、上側に開放した箱状の収容部290から上方に突出するものであるため、遊技機に正対して座っている遊技者からは収容部290内には手が届き難い。つまり、遊技機枠50における他の位置に可動体600L,600R及び収容部290が設けられている構成とするよりも、本形態は内部空間SPに異物が詰め込まれるおそれは低くなっている。
また図14(A)(B)に示すように、内側カバー400の前面部440のうち左右方向中央の上端には、前後方向に延びる回転軸441が設けられている。この回転軸441は、後述する左側可動体600L及び右側可動体600Rを回転可能に取付けるものである。但し回転軸441は、前後方向に延びていても、水平方向(鉛直方向と直交する方向)に沿うように延びているわけではなく、前方に向かって斜め下方に傾斜している(図11参照)。この理由については後述する。
続いて駆動プレート500について、図15(A)(B)に基づいて説明する。図15(A)は駆動プレート500の正面図であり、図15(B)は駆動プレート500の背面図である。駆動プレート500は、左側可動体600L及び右側可動体600Rを回転駆動させるためのプレートであり、上側装飾ユニット200のうち後方側に起立した状態で配されている(図11参照)。即ち、外側カバー300及び内側カバー400は、後方が開口している略箱型形状であるため、駆動プレート500は外側カバー300及び内側カバー400の後方側を塞ぐように配されるものである。
駆動プレート500は、図15(A)(B)に示すように、左右方向中央の上端に、回転支持部501が設けられている。この回転支持部501は、前後方向に延びる挿入孔501aを有し、この挿入孔501aに内側カバー400の回転軸441の先端(前端)441aが取付けられる。また、駆動プレート500の左側には、左側回転ガイド孔502Lが形成されていて、駆動プレート500の右側には、右側回転ガイド孔502Rが形成されている。左側回転ガイド孔502Lと右側回転ガイド孔502Rとは、左右一対で略L字状に形成されていて、前後方向に貫通している。
左側回転ガイド孔502Lには、後述する左側リンク部材630Lの中間部632に設けられている丸軸部632a(図19参照)が挿通される。これにより、左側リンク部材630Lの移動が左側回転ガイド孔502Lによってガイドされることとなる(図23(A)(B)(C)参照)。同様に、右側回転ガイド孔502Rには、後述する右側リンク部材630Rの丸軸部632aが挿通される。これにより、右側リンク部材630Rの移動が右側回転ガイド孔502Rによってガイドされることとなる。左側リンク部材630L及び右側リンク部材630Rの動作については、後に詳しく説明する。
図15(A)に示すように、駆動プレート500の正面510のうち、左側回転ガイド孔502Lの左下方に左側従動ギヤ511Lが設けられている。左側従動ギヤ511Lは駆動プレート500に回転可能に取付けられていて、径外方端に左側連結部材512Lが一体的に設けられている。左側連結部材512Lは、後述する左側リンク部材630Lの一端部631に設けられている挿通孔631a(図19参照)に連結するものである。そのため、左側従動ギヤ511Lが回転すると、左側連結部材512L及び左側リンク部材630Lの一端部631が左側従動ギヤ511Lの径外方端で一体に回転するようになっている(図23(A)(B)(C)参照)。
また図15(A)に示すように、左側従動ギヤ511Lの左上方に左側駆動ギヤ513Lが設けられている。左側駆動ギヤ513Lは、駆動プレート500に回転可能に取付けられていて、左側従動ギヤ511Lと噛合している。そして図15(B)に示すように、駆動プレート500の背面520の左側には、左側回転用モータ521Lが設けられている。この左側回転用モータ521Lは、その出力軸に左側駆動ギヤ513Lを取付けていて、駆動によって左側駆動ギヤ513Lを回転させるものである。そのため、左側回転用モータ521Lが駆動すると、左側駆動ギヤ513Lが回転し、左側駆動ギヤ513Lと噛合している左側従動ギヤ511Lが回転するようになっている。
そして図15(A)に示すように、駆動プレート500の正面510のうち、左側回転ガイド孔502Lの下端502Laの下方には、左側第1フォトセンサ531Lが設けられている。左側第1フォトセンサ531Lは、後述する左側リンク部材630Lの中間部632に設けられている第1遮蔽部632b1(図18参照)を検出するためのものである。また、左側回転ガイド孔502Lの上端502Lbの左方には、左側第2フォトセンサ532Lが設けられている。
左側第2フォトセンサ532Lは、左側リンク部材630Lの第2遮蔽部632b2(図18参照)を検出するためのものである。なお、左側第1フォトセンサ531L及び左側第2フォトセンサ532Lは、光を発光する発光部と、発光部から光を受光する受光部とを有している。そして、これら発光部と受光部との間で発光部からの光が左側リンク部材630Lの第1遮蔽部632b1又は第2遮蔽部632b2によって遮られると、左側リンク部材630Lの位置を検出するようになっている。
ここで、駆動プレート500のうち左側の構成と右側の構成は、左右対称であって同様の構成である。つまり、上述した左側回転ガイド孔502L、左側従動ギヤ511L、左側連結部材512L、左側駆動ギヤ513L、左側回転用モータ521L、左側第1フォトセンサ531L、左側第2フォトセンサ532Lの構成と、図15(A)(B)に示す右側回転ガイド孔502R、右側従動ギヤ511R、右側連結部材512R、右側駆動ギヤ513R、右側回転用モータ521R、右側第1フォトセンサ531R、右側第2フォトセンサ532Rの構成とは、左右対称であって同様であるため、対応する部位に「R」の符号を付して詳細な説明は省略する。
次に左側可動体600L及び右側可動体600Rについて、図16〜図28に基づいて説明する。図16(A)は左側可動体600L及び右側可動体600Rを示した正面図であり、図16(B)は図16(A)の平面図である。図16(A)に示すように、左側可動体600Lの表面部601Lは、犬の顔の左半分を模した形状になっていて、右側可動体600Rの表面部601Rは犬の顔の右半分を模した形状になっている。
また図16(B)に示すように、左側可動体600Lの上側には平板状のベース板612が設けられている。このベース板612の右端には、2つの円筒状の取付部603Lが前後方向に離れて設けられている。また右側可動体600Rの上側には平板状のベース板612が設けられている。このベース板612の左端には、2つの円筒状の取付部603Rが前後方向に離れて設けられている。これら左側可動体600Lの各取付部603L及び右側可動体600Rの各取付部603Rは、上述した内側カバー400の回転軸441に挿通されるものである。
こうして、左側可動体600Lの各取付部603L及び右側可動体600Rの各取付部603Rを内側カバー400の回転軸441に挿通し、この回転軸441の先端441aを駆動プレート500の回転支持部501の挿入孔501aに挿入して、左側可動体600L及び右側可動体600Rを収容した内側カバー400を外側カバー300内に載置することで、外側カバー300と内側カバー400と駆動プレート500と左側可動体600Lと右側可動体600Rとがユニット化された上側装飾ユニット200が構成される。
ここで、左側可動体600L及び右側可動体600Rは、図16(A)に示した状態で内側カバー400内に収容されている。左側可動体600Lは、図16(A)に示した状態から回転軸441周りに時計方向に90度回転可能になっている。そこで、左側可動体600Lの図16(A)に示した位置を、「左側回転待機位置」と呼ぶこととする。つまり、左側可動体600Lが内側カバー400内に収容されている位置が、左側回転待機位置である。一方、左側可動体600Lが図16(A)に示した状態から時計方向に90度回転した位置(図31(C)(D)参照)を、「左側回転動作位置」と呼ぶこととする。
同様に、右側可動体600Rは、図16(A)に示した状態から回転軸441周りに反時計方向に90度回転可能になっている。そこで、右側可動体600Rの図16(A)に示した位置を、「右側回転待機位置」と呼ぶこととする。つまり、右側可動体600Rが内側カバー400内に収容されている位置が、右側回転待機位置である。一方、右側可動体600Rが図16(A)に示した状態から反時計方向に90度回転した位置を、「右側回転動作位置」と呼ぶこととする。こうして、本形態では、左側可動体600Lが左側回転動作位置にあると共に、右側可動体600Rが右側回転動作位置にあるとき、左側可動体600Lの表面部601Lと右側可動体600Rの表面部601Rとによって、犬の顔(一つの装飾形態)が形成されるようになっている(図32参照)。
ところで、左側可動体600Lと右側可動体600Rとは、各取付部603L,603Rの位置が異なること以外、左右対称で同様の構成である。そのため、以下では左側可動体600Lの構成について説明し、右側可動体600Rの構成については説明を適宜省略する。なお以下の説明において、左側可動体600Lの構成部材と左右一対になっている右側可動体600Rの構成部材について述べる場合、その構成部材の名称を「左側」から「右側」に替えて述べることとし、符号を「L」から「R」に替えて述べることとする。
図17(A)は左側可動体600Lを僅かに上方から見たときの斜視図であり、図17(B)は図17(A)を右方から見たときの斜視図であり、図17(C)は図17(A)を後方から見たときの斜視図である。また図18は、左側可動体600Lが左側回転動作位置にあるときの分解斜視図である。左側可動体600Lは、図18に示すように、左側顔部610Lと、左側鬣部620Lと、左側リンク部材630Lとを備えている。なお図18には、左側リンク部材630Lの一端部631と、上述した駆動プレート500の左側連結部材512Lとが連結している状態が示されている。
左側顔部610Lは、図17(A)に示すように、前方側(正面側)に上述した表面部601Lを形成する顔カバー611を備え、上方側に上述したベース板612を備え、右方側に透明板613を備えている。左側顔部610Lの後方は開口しているが、後述する左側鬣部620Lの取付プレート621によって塞がれている。顔カバー611は、犬の顔の左半分を形成するために凹凸を有する立体形状になっていて、一部で光を透過可能になっている。一方、ベース板612と透明板613とは、互いに直交するように配されている。
これにより、左側顔部610L(左側可動体600L)が左側回転待機位置にあると共に右側顔部610R(右側可動体600R)が右側回転待機位置にあるとき、言い換えると左側顔部610L及び右側顔部610Rが内側カバー400内に収容されているときには、左側顔部610Lの透明板613と右側顔部610Rの透明板613とが鉛直方向に延びて対向する(図23(A)参照)。そして、左側顔部610Lのベース板612と右側顔部610Rのベース板612とが同じ平面方向に延びて、これらベース板612の外側面(上面)612bが、上側装飾ユニット200(前枠53)の上壁面の一部を形成することとなる(図10参照)。即ち、左側顔部610L及び右側顔部610Rが内側カバー400内に収容されているとき、左側顔部610Lのベース板612の外側面(係合面)612bと右側顔部610Rのベース板612の外側面(係合面)612bとが、遊技機枠50の上壁面の一部を形成している。
なお、透明板613は透明になっているため、図17(B)に示すように、左側顔部610Lの内部に配されている構成部材(左側直動用モータ641L,第1ギヤ642,第2ギヤ643)を視認できるようになっている。左側顔部610Lのその他の構成については後に詳しく説明するが、左側顔部610Lの顔カバー611の後端は、左側鬣部620Lの取付プレート621に対して、ビス604で取付けられている(図17(C)参照)。
次に左側鬣部620Lの構成について、図19及び図20に基づいて説明する。図19は、図18に示す左側鬣部620Lの分解斜視図であり、図20は、図19で示す左側鬣部620Lを前後方向の逆側から見たときの分解斜視図である。なお図19及び図20では、左側鬣部620Lの他に左側リンク部材630Lが示されている。図19及び図20に示すように、左側鬣部620Lは、取付プレート621と、揺動部材622と、鬣部材623と、コイルスプリング624とを備えている。
取付プレート621は、左側顔部610Lを取付けた状態で、左側リンク部材630Lを介して駆動プレート500の左側連結部材512Lに取付けられるものである(図18参照)。図19に示すように、取付プレート621の左側の下端には、前後方向に延びる挿通孔621aが形成されている。そして、揺動部材622は、下端部に後方に延びる円形軸部622aを有している。また左側リンク部材630Lは、他端部(図19の下端部)633に、前方に延びる筒状突部633aを有している。
こうして、左側リンク部材630Lの筒状突部633aを取付プレート621の挿通孔621aに挿通し、揺動部材622の円形軸部622aを取付プレート621の挿通孔621aと左側リンク部材630Lの筒状突部633aとに挿通することで、左側リンク部材630Lと取付プレート621と揺動部材622とが円形軸部622a周りに回転可能に連結する。
また図20に示すように、揺動部材622の長手方向(図20の上下方向)のほぼ中間部に、後方に突出する円形凸部622bが形成されている。そして取付プレート621のうち挿通孔621aの上方には、左右方向に延びる揺動ガイド孔621bが形成されている。揺動ガイド孔621bは、挿通孔621aを中心とする円弧状に形成されていて、揺動部材622の円形凸部622bを挿通するためのものである。こうして、上述したように取付プレート621と揺動部材622とが回転可能に連結した状態で、揺動部材622の円形凸部622bが取付プレート621の揺動ガイド孔621bに挿通されると、揺動部材622が揺動ガイド孔621bに沿って移動(揺動)可能となる。
また図20に示すように、取付プレート621には、略J字状に形成されている直動ガイド孔621cが形成されている。この直動ガイド孔621cは、直線状に長い直線部分621c1と、直線部分621c1の下端から僅かに湾曲している湾曲部分621c2とを有していて、後述する後側プレート615の円形突部615a(図24参照)を挿通するためのものである。直動ガイド孔621cと円形突部615aとの関係については後に詳しく説明する。
鬣部材623は、鬣を模した形状になっていて、図20に示すように、ビス625によって揺動部材622の前側に取付けられるものである。揺動部材622には、図19及び図20に示すように、左側の上端に保護片622cが取付けられている。この保護片622cは、後述するように内側カバー400の傾斜面410bに当接し(図22(A)参照)、鬣部材623が内側カバー400の傾斜面410bに直接当接しないようにすることで、鬣部材623が破損するのを防ぐものである。
コイルスプリング624は、揺動部材622に付勢力を付与するものである。図19に示すように、コイルスプリング624の一端部624aは、取付プレート621のうち挿通孔621aの上方に設けられている係止部621dに取付けられる。一方、コイルスプリング624の他端部624bは、揺動部材622のうち円形軸部622aの上方に設けられている係止部(図示省略)に取付けられる。これにより、揺動部材622及び鬣部材623が、コイルスプリング624を介して取付プレート621に弾発的に支持される。このとき、揺動部材622の円形凸部622bは、揺動ガイド孔621bに沿う範囲でしか移動できなくて、コイルスプリング624は予め伸長している状態で取付けられている。
ここで、図21(A)は、左側顔部610Lが内側カバー400内に収容されているときに、鬣部材623及び揺動部材622とコイルスプリング624との関係を示した正面図である。一方、図21(B)は、左側顔部610Lが内側カバー400内に収容されていないときに、鬣部材623及び揺動部材622とコイルスプリング624との関係を示した正面図である。また、図22(A)は図21(A)の背面図であり、図22(B)は図21(B)の背面図である。
左側顔部610Lが内側カバー400内に収容されているときには、図21(A)に示すように、揺動部材622の保護片622cが内側カバー400の傾斜面410bに当接(係合)する。この当接により、コイルスプリング624は比較的大きく伸長し、図22(A)に示すように、揺動部材622の円形凸部622bが、揺動ガイド孔621bの上端まで移動する。つまり、揺動部材622及び鬣部材623が揺動ガイド孔621bに沿って上方へ揺動している状態になる。
一方、左側顔部610Lが内側カバー400内に収容されなくなると、図21(B)に示すように、揺動部材622の保護片622cが内側カバー400の傾斜面410bに当接しなくなる。これにより、コイルスプリング624は大きな伸長状態から僅かな伸長状態へ復帰し、図22(B)に示すように、揺動部材622の円形凸部622bが、揺動ガイド孔621bの下端まで移動する。つまり、揺動部材622及び鬣部材623が揺動ガイド孔621bに沿って下方へ揺動している状態になる。
次に左側リンク部材630Lについて、図19及び図20に基づいて説明する。左側リンク部材630Lは取付プレート621を回転させるための部材であり、図19及び図20に示すように、長手方向の一端部(図19の上端部)631に挿通孔631aを有している。挿通孔631aは、上述したように、駆動プレート500の左側従動ギヤ511Lに設けられている左側連結部材512Lと連結するためのものである(図18参照)。
また左側リンク部材630Lは、長手方向の中間部632に、後方に突出する丸軸部632aと、左右一対で薄板状の第1遮蔽部632b1及び第2遮蔽部632b2とを有している(図20参照)。丸軸部632aは、駆動プレート500の左側回転ガイド孔502Lに挿通されて、取付プレート621の回転に伴って左側回転ガイド孔502Lに沿って移動するものである(図23(A)(B)(C)参照)。各遮蔽部632b1,632b2は、上述したように、左側第1フォトセンサ531L又は左側第2フォトセンサ532Lに検出されるものである。また左側リンク部材630Lは、長手方向の他端部(図19の下端部)633に、前方に突出する筒状突部633aを有している。筒状突部633aは、揺動部材622の円形軸部622aに挿通されるものである。
続いて図23に基づいて、左側リンク部材630Lと右側リンク部材630Rの動作について説明する。なお、以下の説明において、左側可動体600Lに関する名称と、右側可動体600Rに関する名称との両方を説明する場合には、「左側」及び「右側」の名称を適宜省略して、総称で説明する。例えば、左側可動体600L及び右側可動体600Rについては「可動体600L,600R」として説明し、左側回転待機位置及び右側回転待機位置については「回転待機位置」として説明する。
図23(A)に示すように、可動体600L,600R(顔部610L,610R)が回転待機位置にあるとき、リンク部材630L,630Rがほぼ水平状で左右方向に延びていて、リンク部材630L,630Rの第1遮蔽部632b1が第1フォトセンサ531L,531Rに検出されている。言い換えると、第1フォトセンサ531L,531Rがリンク部材630L,630Rの第1遮蔽部632b1を検出しているときには、可動体600L,600Rが回転待機位置にあることになる。
そして、図23(A)に示す状態から、駆動プレート500の回転用モータ521L,521Rが駆動すると、駆動ギヤ513L,513R及び従動ギヤ511L,511Rが回転して、リンク部材630L,630Rの丸軸部632aが、回転ガイド孔502L,502Rの下端502La,502Raから回転ガイド孔502L,502Rに沿って移動し始める。これにより、図23(B)に示すように、リンク部材630L,630Rが斜め略45度に傾斜した状態になる。このとき、左側可動体600Lは、図23(A)に示す状態から回転軸441周りに時計方向へ略45度回転していて、右側可動体600Rは、図23(A)に示す状態から回転軸441周りに反時計方向へ略45度回転している。
さらに、図23(B)に示す状態から、駆動プレート500の回転用モータ521L,521Rが駆動すると、リンク部材630L,630Rの丸軸部632aが、回転ガイド孔502L,502Rの上端502Lb,502Rbまで移動する。これにより、リンク部材630L,630Rがほぼ鉛直方向に延びて、リンク部材630L,630Rの第2遮蔽部632b2が第2フォトセンサ532L,532Rに検出される。このとき、左側可動体600Lは、図23(A)に示す状態から回転軸441周りに時計方向へ90度回転していて、右側可動体600Rは、図23(A)に示す状態から回転軸441周りに反時計方向へ90度回転している。つまり、可動体600L,600Rが回転動作位置にある。言い換えると、第2フォトセンサ532L,532Rがリンク部材630L,630Rの第2遮蔽部632b2を検出しているときには、可動体600L,600Rが回転動作位置にあることになる。
次に、図24〜図28に基づいて、左側顔部610Lの構成について説明する。図24は、図18に示した左側顔部610Lを後方から見たときの背面図である。左側顔部610Lは、図24に示すように、主に顔カバー611と、ベース板612と、透明板613と、耳部材614と、後側プレート615と、直動機構640と、揺動機構650とを備えている。
顔カバー611は、内部に耳部材614と後側プレート615と直動機構640と揺動機構650とを収容するものである。顔カバー611の前方側は、犬の顔の左半分を模した形状になっていて、上述した左側可動体600Lの表面部601Lになっている。顔カバー611の左方側には上述したベース板612が設けられていて、顔カバー611の下方側には上述した透明板613が設けられている。なおベース板612の内側面(顔カバー611の内部側の面)にはLED基板616が取付けられていて、LED基板616には遊技の進行に伴って発光可能なLED616aが実装されている。また顔カバー611の上側は、耳部材614が顔カバー611の外側へ出ないように、上壁状の頭頂部611aになっている。
この顔カバー611には、左上方に向かって延びる角部611bが形成されていて、この角部611bと頭頂部611aとの間に、耳部材614が顔カバー611の外側へ出るための開口部611cが形成されている。また角部611bと透明板613との間が、左右方向に開放していて、鬣部材623の右側を顔カバー611内に収容可能にする開放部611dになっている。顔カバー611の後方側は開口していて、上述した取付プレート621が取付けられるようになっている(図18参照)。
また図24に示すように、顔カバー611には、後述する左側直動用モータ641Lの前方(図24の紙面に直交する方向の奥側)に、左側第3フォトセンサ661Lが設けられている。左側第3フォトセンサ661Lは、後述する組付部材646に設けられている第3遮蔽部646c(図26(B)参照)を検出するためのものである。また、顔カバー611の開口部611cの下方には、左側第4フォトセンサ662Lが設けられている。左側第4フォトセンサ662Lは、後述する組付部材646に設けられている第4遮蔽部646d(図26(B)参照)を検出するためのものである。
左側第3フォトセンサ661L及び左側第4フォトセンサ662Lは、光を発光する発光部と、発光部から光を受光する受光部とを有している。そして、これら発光部と受光部との間で発光部からの光が組付部材646の第3遮蔽部646c又は第4遮蔽部646dによって遮られると、組付部材646(耳部材614)の位置を検出するようになっている。なお、左側可動体600Lに左側第3フォトセンサ661L及び左側第4フォトセンサ662Lが設けられているのと同様に、右側可動体600Rにも右側第3フォトセンサ661R及び右側第4フォトセンサ662Rが設けられている。
直動機構640は、耳部材614を直動させるための機構であり、図25に示すように、左側直動用モータ641Lと、第1ギヤ642(図17(B)参照)と、第2ギヤ643と、ネジ軸644と、取付部材645と、組付部材646とを備えている。左側直動用モータ641Lは、駆動によって耳部材614を直動させるものであり、その出力軸に第1ギヤ642を連結していて、顔カバー611内に固定されている。なお、左側可動体600Lに左側直動用モータ641Lが設けられているのと同様に、右側可動体600Rには右側直動用モータ641Rが設けられている。
第1ギヤ642は、図17(B)に示すように、第2ギヤ643と噛合している。第2ギヤ643は、図25に示すように、ネジ軸644の下端部に一体回転可能に取付けられている。そのため、左側直動用モータ641Lが駆動すると第1ギヤ642が回転し、第1ギヤ642の回転に伴って第2ギヤ643及びネジ軸644が回転するようになっている。
ネジ軸644の周面には、螺旋状で且つ溝状の雄ネジ644aが形成されている。このネジ軸644の上端には取付部材645が組付けられていて、ネジ軸644は取付部材645を介して顔カバー611内に取付けられるようになっている。なおネジ軸644は、取付部材645に対して回転可能になっている。
組付部材646は、図26(A)に示すように、耳部材614をネジ軸644に組付けるためのものである。即ち耳部材614は、組付部材646を介してネジ軸644に組付けられる。組付部材646は、図26(B)に示すように前側(図26(B)の上側)に、ネジ軸644を挿通可能な円環状部646aを有し、この円環状部646aの内周面に螺旋状で且つ突状の雌ネジ646bが形成されている。
こうして、ネジ軸644が組付部材646の円環状部646aに挿通されると、円環状部646aの雌ネジ646bとネジ軸644の雄ネジ644aとが螺着して、所謂送りネジ機構が構成される。この送りネジ機構により、ネジ軸644が正方向に回転すると、組付部材646がネジ軸644に沿って上方に移動(直動)し、ネジ軸644が正方向と逆である逆方向に回転すると、組付部材646がネジ軸644に沿って下方に移動するようになっている。
また図26(B)に示すように、組付部材646の右側には、前方に突出する第3遮蔽部646cが形成されている。第3遮蔽部646cは、上述したように左側第3フォトセンサ661Lによって検出されるものである。また組付部材646の左側には、上方に突出する第4遮蔽部646dが形成されている。第4遮蔽部646dは、上述したように左側第4フォトセンサ662Lによって検出されるものである。
耳部材614は、図25に示すように、略三角錐形状になっていて、後方が開口している。耳部材614の後方側には、図26(A)に示すように、平板状の後側プレート615が図示しないビスによって取付けられている。後側プレート615には、後方に突出する円形突部615aが設けられていて、この円形突部615aが、取付プレート621の直動ガイド孔621cに挿通される(図30(A)(B)(C)参照)。
耳部材614の左方の下端には、後述する揺動軸651を挿通するための円筒部614aが形成されている。揺動軸651は、図26(B)に示すように、組付部材646から前方に向かって延びている。耳部材614は、円筒部614aと揺動軸651とを介して組付部材646に組付けられていて、揺動軸651周りに回転(揺動)可能になっている。
こうして直動機構640では、左側直動用モータ641Lの駆動により、ネジ軸644が正方向に回転すると、耳部材614及び組付部材646がネジ軸644に沿って上方へ直動することができる。一方、左側直動用モータ641Lの駆動により、ネジ軸644が逆方向に回転すると、耳部材614及び組付部材646がネジ軸644に沿って下方へ直動することができる。
揺動機構650は、耳部材614を揺動軸651周りに揺動させるための機構であり、揺動軸651と、コイルスプリング652とを備えている。揺動軸651は、図26(B)に示すように、ネジ軸644が延びる方向と直交する方向(前後方向)に延びている。コイルスプリング652は、初期状態から伸長することにより耳部材614に付勢力を付与するものであり、図27(A)(B)に示すように、コイルスプリング652の一端部652aは、耳部材614の内部に係止されていて、コイルスプリング652の他端部652bは、組付部材646に係止されている。
ここで、図27(A)は、コイルスプリング652が初期状態(付勢力を発揮していない状態)であるときの耳部材614の位置を示した図である。図27(A)に示すように、コイルスプリング652の初期状態では、耳部材614の先端部614bがベース板612から比較的大きく離れていて、耳部材614の先端部614bよりも上方には顔カバー611の開口部611cが位置している(図29(B)参照)。
そのため、耳部材614は、左側直動用モータ641Lの駆動によって上方に直動して、開口部611cから顔カバー611外へ突出できるようになっている。図27(A)に示すように、コイルスプリング652が初期状態であるときの耳部材614の位置を「非ロック位置」と呼ぶこととする。
一方、図27(B)は、コイルスプリング652が伸長状態(収縮するための付勢力を発揮している状態)であるときの耳部材614の位置を示した図である。後述するように、揺動部材622の右側に設けられている半円状の係合部622dが耳部材614(後側プレート615)を押圧すると、図27(A)に示す状態から図27(B)に示すように、耳部材614がコイルスプリング652の付勢力に抗して揺動軸651周りに反時計方向へ揺動する。これにより、図27(B)に示す状態では、耳部材614の先端部614bがベース板612に近づいて、耳部材614の先端部614bよりも上方には、顔カバー611の頭頂部611aが位置することとなる(図24参照)。
そのため、耳部材614は、左側直動用モータ641Lの駆動によって上方へ直動しようとしても、顔カバー611の頭頂部611aによって顔カバー611の外側へ突出できないようになっている。図27(B)に示すように、コイルスプリング652が伸長状態であるときの耳部材614の位置を「ロック位置」と呼ぶこととする。なお揺動部材622の係合部622dが耳部材614を押圧しなくなると、図27(B)に示す状態から図27(A)に示すように、コイルスプリング652が初期状態に復帰して、耳部材614が「非ロック位置」に戻ることとなる。
ここで、図28(A)は、左側顔部610L及び右側顔部610Rのベース板612に顔カバー611と透明板613とLED基板616とが取付けられている状態を示した模式図である。一方図28(B)は、左側顔部610L及び右側顔部610Rのベース板612から顔カバー611と透明板613とLED基板616とを取外した状態を示した模式図である。
図28(B)に示すように、左側顔部610Lのベース板612の縁部612aには、上下方向に離れた2つの永久磁石617L,618Lが取付けられている。同様に、右側顔部610Rのベース板612の縁部612aには、上記した永久磁石617L,618Lと左右対称の位置に永久磁石617R,618Rが取付けられている。
左側顔部610Lの永久磁石617Lと右側顔部610Rの永久磁石617Rとは、磁力によって互いに吸引するようになっている。また左側顔部610Lの永久磁石618Lと右側顔部610Rの永久磁石618Rとは、磁力によって互いに吸引するようになっている。後述するように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるとき、左側顔部610Lのベース板612の外側面612bと右側顔部610Rのベース板612の外側面612bは、互いに鉛直方向に延びて係合する。
そのとき、永久磁石617Lと永久磁石617Rとが左右方向に隣り合って互いに吸着し合うと共に、永久磁石618Lと永久磁石618Rとが左右方向に隣り合って互いに吸着し合う。そのため、永久磁石617L,617Rと永久磁石618L,618Rによって、左側顔部610Lのベース板612の外側面612bと右側顔部610Rのベース板612の外側面612bとの係合状態を外れ難くすることが可能となる。なお、この係合状態においては、両外側面612b,612bは可動体600L,600Rの表面に露出せず内側に隠れている。
なお、永久磁石617Lと永久磁石617Rとにおいて、何れか一方が永久磁石であって、何れか他方が永久磁石に吸引される強磁性体(鉄、コバルト、ニッケル)であっても良い。同様に永久磁石618Lと永久磁石618Rとにおいて、何れか一方が永久磁石であって、何れか他方が永久磁石に吸引される強磁性体であっても良い。また永久磁石に限られるものではなく、電磁石であっても良い。
次に、図29〜図31に基づいて、左側可動体600Lの各構成部材の動作について説明する。図29(A)は、左側可動体600Lが左側回転待機位置にあるときの左側可動体600Lの背面図である。図29(A)に示す状態では、左側可動体600Lは内側カバー400内に収容されていて、揺動部材622の保護片622cが内側カバー400の傾斜面410bに当接(係合)している。これにより、揺動部材622及び鬣部材623が上方へ揺動していて、この揺動に伴って揺動部材622の係合部622dが後側プレート615に押圧(係合)している。そのため、後側プレート615及び耳部材614が上方へ揺動している。その結果、耳部材614の先端部614bよりも左方に顔カバー611の頭頂部611aが位置していて、耳部材614が仮に左方に直動しても顔カバー611の外側へ突出できないようになっている。このときには図23(A)に示すように、左側第1フォトセンサ531Lが左側リンク部材630Lの第1遮蔽部632b1を検出している。
図29(A)に示す状態から左側可動体600Lが回転軸441周りに回転し始めると、揺動部材622の保護片622cが内側カバーの傾斜面410bに当接しなくなる。これにより、揺動部材622及び鬣部材623がベース板612から離れるように揺動し(図22(B)参照)、この揺動に伴ってコイルスプリング652が伸長状態から初期状態へ復帰する。そのため、耳部材614及び後側プレート615がベース板612から離れるように揺動軸651周りに揺動する(図27(A)参照)。こうして、左側可動体600Lは図29(A)に示す状態から回転軸441周りに反時計方向へ90度回転する。つまり図23(C)に示すように、左側第2フォトセンサ532Lが左側リンク部材630Lの第2遮蔽部632b2を検出するまで、左側可動体600Lが回転する。
図29(B)は、左側可動体600Lが左側回転動作位置にあるときの左側可動体600Lの背面図である。図29(B)に示す状態では、耳部材614の先端部614bよりも上方には顔カバー611の開口部611cが位置している。このときには、組付部材646の第3遮蔽部646c(図26(B)参照)が、左側第3フォトセンサ661Lに検出されている。即ち、左側第3フォトセンサ661Lが組付部材646の第3遮蔽部646cを検出しているときには、耳部材614全体が顔カバー611内に位置していることとなり、この耳部材614の位置を「非突出位置」と呼ぶこととする。こうして、左側第3フォトセンサ661Lが組付部材646の第3遮蔽部646cを検出しているときに、上述したように左側可動体600Lが左側回転動作位置へ到達した後、左側直動用モータ641Lが駆動し始める。これにより、図29(B)に示す状態から、耳部材614が顔カバー611の開口部611cから外側へ突出するように、ネジ軸644に沿って直動する。
図29(C)は耳部材614の先端部614bが顔カバー611の外側へ最も突出しているときの左側可動体600Lの背面図である。図29(C)に示す状態では、耳部材614及び組付部材646がネジ軸644に沿って直動できる範囲のうち最も上方に位置している。この耳部材614の位置を「突出位置」と呼ぶこととする。またこのときには、組付部材646の第4遮蔽部646d(図26(B)参照)が、左側第4フォトセンサ662Lに検出されている。即ち、左側直動用モータ641Lは、左側第4フォトセンサ662Lが組付部材646の第4遮蔽部646dを検出するまで、駆動することとなる。
なお、左側可動体600Lが図29(C)に示す状態から図29(B)に示す状態へ変化する際の動作については、左側直動用モータ641Lが上記した駆動と逆の駆動を行うだけであるため、詳細な説明は省略する。また、左側可動体600Lが図29(B)に示す状態から図29(A)に示す状態へ変化する際の動作については、左側回転用モータ521Lが上記した駆動と逆の駆動を行うだけであるため、詳細な説明は省略する。
図30(A)は、図29(A)に示した状態において、揺動部材622の円形凸部622b及び後側プレート615の円形突部615aの位置関係を示した図である。図30(A)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置にあるときには、揺動部材622が上方へ揺動しているため、揺動部材622の円形凸部622bが取付プレート621の揺動ガイド孔621bの上端へ移動している。また後側プレート615も上方へ揺動していて、後側プレート615の円形突部615aが取付プレート621の直動ガイド孔621cの湾曲部分621c2に位置している。つまり、耳部材614がロック位置にいるときには、円形突部615aが直動ガイド孔621cの湾曲部分621c2に位置している。従って、この状態から仮に後側プレート615(耳部材614)が直動しようとしても、円形突部615aが湾曲部分621c2に引っ掛かっていることにより、耳部材614が直動できないようになっている。
図30(B)は、図29(B)に示した状態において、揺動部材622の円形凸部622b及び後側プレート615の円形突部615aの位置関係を示した図である。図30(B)に示すように、左側可動体600Lが左側回転動作位置にあるときには、揺動部材622が左方へ揺動しているため、揺動部材622の円形凸部622bが取付プレート621の揺動ガイド孔621bの左端へ移動している。また後側プレート615も左方へ揺動していて、後側プレート615の円形突部615aが直動ガイド孔621cの直線部分621c1に位置している。つまり、耳部材614が非ロック位置にいるときには、円形突部615aが直動ガイド孔621cの直線部分621c1に位置している。従って、この状態から後側プレート615(耳部材614)が上方へ直動すると、円形凸部622bが直線部分621c1にガイドされるようになっている。
図30(C)は、図29(C)に示した状態において、揺動部材622の円形凸部622b及び後側プレート615の円形突部615aの位置関係を示した図である。図30(C)に示すように、揺動部材622の円形凸部622bは揺動ガイド孔621bの左端に位置したままである。そして、後側プレート615の円形突部615aは、直動ガイド孔621cの直線部分621c1の上端まで移動している。
続いて、図31(A)〜(D)に示す正面図に基づいて、左側可動体600Lの一連の動作について説明する。図31(A)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置にあるときには、揺動部材622と内側カバー400の傾斜面410bとの係合(当接)により、鬣部材623が顔カバー611の開放部611dの内側(図31(A)の上方)へ揺動されている。そのため、鬣部材623の一部のみが顔カバー611の開放部611dの外側へ露出している。
そして、図31(A)に示す状態から、左側回転用モータ521Lが駆動し始めると、揺動部材622と内側カバー400の傾斜面410bとの係合(当接)が解除され、鬣部材623が顔カバー611の開放部611dの外側へ揺動し始める。これにより、図31(B)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置から回転軸441周りに反時計方向へ45度回転しているときには、鬣部材623の大部分が顔カバー611の開放部611dの外側へ露出している。
続いて、図31(C)に示すように、左側可動体600Lが左側回転動作位置に到達したときには、未だ耳部材614の先端部614bが顔カバー611内に位置している。その後、左側直動用モータ641Lが駆動し始めると、耳部材614の先端部614bが顔カバー611の開口部611cから上方へ突出し始めて、図31(D)に示すように、顔カバー611の外側へ最も突出する。以上、左側可動体600Lの動作について説明したが、左側可動体600Lの動作と右側可動体600Rの動作とは左右対称であること以外同様であるため、右側可動体600Rの動作については説明を省略する。
次に図32〜図34に基づいて、遊技機枠50の効果について説明する。図32は、可動体600L,600Rが回転動作位置にあり且つ耳部材614が突出位置にあるときの遊技機1の正面図である。また図33は図32を前方正面側の斜め上方から見たときの斜視図であり、図34は図32の右側面図である。
本形態では、遊技機枠50(上側装飾ユニット200)に設けられている可動体600L,600Rが、図4に示すように遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uよりも下方に位置する回転待機位置(単に「待機位置」ともいう)から、図32に示すように遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に位置する回転動作位置(単に「動作位置」ともいう)に変位(移動)可能となっている。そのため、従来に比べて遊技機枠50に設けられている可動体による演出のインパクトを強めることが可能となり、遊技者に驚きを与えることが可能となる。なお遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uとは、遊技機枠50の外郭を構成する上下左右の枠縁(上縁50U,下縁50D,左縁50L,右縁50R)のうち、遊技機枠50の上端で左右方向に延びる縁を意味する。
そして遊技機1がホールに設置された状態において、遊技機枠50よりも上方は、遊技機枠50よりも下方、左方、右方に比べて大きなスペースがあって、比較的遊技を邪魔し難い場所である。従って、可動体600L,600Rを遊技機枠50よりも上方へ大きく突出させることが可能となり、可動体600L,600Rとして比較的大きくてインパクトを与えるものになっている。
一方、可動体600L,600Rは、遊技機枠50の上縁50Uよりも下側である回転待機位置で待機することができるため、遊技機枠50としての外形寸法を従来と同じにすることができる。そのため、遊技機枠50を生産する際に既存の生産ラインを使用することが可能であり、且つ遊技機枠50を輸送する際にコンテナ等も現行のものを使用することが可能となる。よって、生産時や輸送時に不具合が生じるのを防止することが可能である。
また本形態では、図4に示すように、可動体600L,600Rが外側カバー300及び内側カバー400内に収容されているときには、可動体600L,600Rの各ベース板612の外側面612bが上側装飾ユニット200(前枠53)の上壁面の一部を形成している。これに対して、図32に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときには、各ベース板612の外側面612bが係合して、可動体600L,600Rの各顔カバー611によって一つの装飾形態(犬の顔)が形成される。そのため、上側装飾ユニット200の上壁面が変形するかのような斬新な演出を行うことが可能となり、遊技機枠50(上側装飾ユニット200)が変形しないと考えている遊技者にとって、強いインパクトを与えることが可能となる。
また本形態では、2つの可動体600L,600Rが、回転動作位置にあるときには一つの装飾形態(犬の顔)を形成し、回転待機位置にあるときにはその装飾形態を形成しない。つまり、一つの装飾形態を形成する2つの可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置へ変位する際には、左側可動体600Lを回転軸441周りに反時計方向へ90度回転させるのに対して、右側可動体600Rを回転軸441周りに時計方向へ90度回転させる。そのため、回転待機位置では2つの可動体600L,600Rを外側カバー300及び内側カバー400内にコンパクトに収容することが可能となる。
即ち、仮に本形態のような大きな装飾形態を一つの可動体で構成すると、その可動体を外側カバー300及び内側カバー400内に収容することが難しくなる。これに対して本形態のように2つの可動体600L,600Rを独立して移動(回転)させることにより、外側カバー300及び内側カバー400内にコンパクトに収容することができる。よって、遊技機枠50という配置スペースの限られた構成部品に可動体を設ける場合に、独立して移動可能な2つの可動体600L,600Rを用いることにより、回転待機位置では2つの可動体600L,600Rをコンパクトに待機させつつ、回転動作位置では大きな装飾形態を形成することが可能となる。
また本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置まで回転した後、耳部材614が、顔カバー611の内側である非突出位置から、顔カバー611の外側である突出位置まで突出する(図31(A)〜(D)参照)。つまり、可動体600L,600Rは2段階で上方に向かって移動する。そのため、可動体600L,600Rは、より大きな一つの装飾形態を形成することができ、装飾効果を高めることが可能となる。そして耳部材614は、非突出位置では顔カバー611内に収納可能になっているため、可動体600L,600Rをコンパクトにしつつ、突出位置では大きな装飾形態を形成できるようになっている。
また本形態では、大きな装飾形態を形成する可動体600L,600Rを外側カバー300及び内側カバー400内に収容することができる。そのため、可動体600L,600Rが、輸送時の衝撃や遊技時の悪戯等によって破損するのを防止することが可能となる。特に、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rは悪戯され易いものであるところ、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rを外側カバー300及び内側カバー400内に完全に隠れるように収容することができる。即ち、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rを外側へ露出させないことができる。そのため、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rで悪戯され難くすることが可能となる。
ところで本形態では、上述したように比較的大きな可動体600L,600Rを収容している上側装飾ユニット200が、図34に示すように、他のユニット(左側装飾ユニット210,右側装飾ユニット220,操作機構ユニット230)よりも前方に突出している。
具体的には、上側装飾ユニット200の前後方向の寸法(前枠53のベース枠56から上側装飾ユニット200の最前端位置P3までの距離)X1は、約255mmになっている。また上側装飾ユニット200の最前端位置P3から上側装飾ユニット200の塞ぎ板350の前端位置(図10参照、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときの後側下端位置)P4までの距離X2は約160mmであり、上記した前端位置P4から前枠53のベース枠56までの距離X3は約110mmになっている。そして上側装飾ユニット200の上下方向の寸法X4は約140mmになっている。なお操作機構ユニット230の前後方向の寸法(前枠53のベース枠56から操作機構ユニット230の前縁230aまでの距離)X5は、165mm程度になっており、上側装飾ユニット200と操作機構ユニット230との前後方向の寸法差は操作機構ユニット230の前後方向の寸法X5の1/3を超えている。
このように本形態では、上側装飾ユニット200は前方に長くて大きいものであるため、前枠53自体が従来に比べて強いインパクトを与えるものになっている。また、このように前方に長い上側装飾ユニット200により、従来よりもホール内の照明装置等が発している光が画像表示装置7の表示画面7aに差し込むのを遮ることが可能となっているため、ホール内の照明装置等が発している光が表示画面7aに映り込んで表示画面7aに表示している画像が見にくくなるのを抑制することが可能となっている。
しかし、上側装飾ユニット200に比較的大きな可動体600L,600Rを設けて、それら大きな可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uよりも上方へ変位する場合、以下の問題点が生じるおそれがある。即ち図6に示すように、パチンコ遊技機1の上方には、データカウンタ150が配されていて、上述したようにデータ表示装置152が固定部材151に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられている。そのため、仮に可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uから真上(鉛直方向の上向き)へ移動すると、可動体600L,600Rがデータ表示装置152に干渉(当接)するおそれがある。
そこで本形態では、図34に示すように、可動体600L,600Rが、側面視で前方に向かって斜め上向きに突出するようになっている。つまり、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときには、ベース板612が前方に向かって斜め下方に傾斜していて(図6参照)、可動体600L,600Rを回転可能に支持する回転軸441も、前方に向かって斜め下方に傾斜していて(図6参照)、可動体600L,600Rの後方に配されている取付プレート621が前方に向かって斜め上向きに傾斜している。そのため、図34に示すように、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ90度回転する際に、取付プレート621は、当該取付プレート621が傾斜している平面方向(仮想鉛直面に対して前方に向かって斜め上向きに延びる前傾面)に沿って回転し、可動体600L,600Rが前方に向かって斜め上向きに突出することになる。つまり、可動体600L,600Rは、上下左右方向に沿う仮想鉛直面よりも前方に傾斜した仮想前方傾斜面に略沿って変位することとなる。その結果、可動体600L,600Rがデータ表示装置152と干渉するのを防止することが可能となる。
さらに、可動体600L、600Rは、回転動作位置であるときに前方に向かって斜め上向きの前傾姿勢になっている。即ち、可動体600L,600Rの上側が、可動体600L,600Rの下側よりも前方に位置することとなる。そのため、可動体600L,600Rが前方に向かって斜め上向きに突出することと併せて、可動体600L,600Rとデータ表示装置152との干渉をより回避できるようになっている。なお本形態では、図34に示すように、可動体600L,600Rは、垂直壁面SHに対する取付プレート621の前傾角度φが25度になるように、前方に向かって斜め上向きに突出する。
ここで、可動体600L,600Rが突出する方向を正確に定義すると以下の通りである。即ち、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに重心よりも上方に位置する任意の部位(上方特定部位、例えば図34に示した可動体600L,600Rが形成する犬の目)について、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときの当該上方特定部位の位置を示す第1点S1(図34参照)から、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときの当該上方特定部位の位置を示す第2点S2(図34参照)までのベクトルBKの向きが、側面視で(左右方向から見たときに)前方に向かって斜め上向きである。
ところで、近年ホールに配されるデータカウンタは大型化しているため、将来的に非常に大きなデータカウンタが遊技機1の上方に設置される可能性を完全に否定できるものではない。そこで本形態の上側装飾ユニット200は、駆動源である回転用モータ521L,521R及び直動用モータ641L,641Rを含めて、外側カバー300と内側カバー400と駆動プレート500と可動体600L,600Rとが一体としてユニット化されたものになっていて、前枠53に対して他の部材と連係(係合)せずに容易に着脱可能になっている。
そのため、大きさが異なる複数種類の可動体を備える上側装飾ユニットを用意することで、ホールの様々な状況に柔軟に対応することが可能となる。つまり、仮にホールに設置されているデータカウンタが非常大きいものである場合には、比較的コンパクトな可動体を備えた上側装飾ユニットを前枠53に取付けて、その可動体がデータカウンタに干渉するのを回避できる。また、データカウンタが比較的小さいものである場合には、大きな可動体を備えた上側装飾ユニットを前枠53に取付けて、可動体によるインパクトを大きくできる。こうして、データカウンタの大きさに合わせて様々な上側装飾ユニット(可動体)を用意すれば、ホールに適した上側装飾ユニットに容易に交換することが可能である。
上述したように本形態では、比較的大きな可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uよりも上向きに突出することになるが、以下の新たな問題点が起こり得る。即ち、図34に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるとき、データカウンタ150のデータ表示装置152と遊技者との間に、大きな可動体600L,600Rが位置するため、図32に示すように、遊技者がデータ表示装置152に表示されている大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等をほとんど視認できなくなる。そのため、回転動作位置にある大きな可動体600L,600Rを遊技者が邪魔に感じることが起こり得る。
そこで本形態では、外側カバー300の左側壁部320に、可動体復帰ボタン323が設けられている。可動体復帰ボタン323は、上述したように、遊技者の操作により可動体600L,600Rを回転待機位置に復帰させるためのボタンである。そのため、図32に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに遊技者が可動体復帰ボタン323を操作(押圧)すると、可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置に向かって90度回転し、回転待機位置に復帰する。
詳細には、可動体復帰ボタン323が操作されると、まず耳部材614が顔カバー611の外側へ突出している突出位置から、顔カバー611内の非突出位置まで直動する(図31(D)(C)参照)。こうして、耳部材614が顔カバー611内に収容された後、可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置に向かって回転し始める(図31(C)(B)参照)。これにより、可動体600L,600Rが回転待機位置まで回転したときには、鬣部材623が内側カバー400の傾斜面410bによって顔カバー611の内側の方(図31(A)の上方)へ揺動されながら、可動体600L,600Rが内側カバー400内に収容される(図31(B)(A)参照)。
このように、回転動作位置にある大きな可動体600L,600Rを遊技者が邪魔に感じたとしても、可動体復帰ボタン323の操作により、データ表示装置152と遊技者との間に大きな可動体600L,600Rが位置しないようにできる。こうして、遊技者の意向に応じて、データ表示装置152を視認することが可能となる。なお本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ至る途中や、耳部材614が非突出位置から突出位置に至る途中で、可動体復帰ボタン323が操作された場合でも、可動体600L,600Rを回転待機位置へ復帰させるように構成している。但し、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに可動体復帰ボタン323が操作された場合に限って、可動体600L,600Rを回転待機位置へ復帰させるように構成してもよい。
また本形態では、上述したように外側カバー300に左側タッチセンサ321(図12参照)及び右側タッチセンサ331(図12参照)が設けられている。そこで、左側タッチセンサ321による検出又は右側タッチセンサ331による検出の効果について説明する。先ず遊技者が外側カバー300を触っている状況で、仮に可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ移動しようとすると、可動体600L,600Rが遊技者の手等に勢い良く当接するおそれがある。
また、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときには、内側カバー400で可動体600L,600Rを収容していた内部空間SP(図33参照)が露出するため、遊技者が内部空間SPを覗き込もうとして、遊技者の手が外側カバー300を触る状況が考えられる。この状況において、仮に可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置へ移動しようとすると、移動する可動体600R,600Lと内側カバー400の内側とで遊技者の手が挟まれるおそれがある。
そこで本形態では、左側タッチセンサ321及び右側タッチセンサ331の少なくとも一方が人体による接触を検出したときには、可動体600L,600Rの両方が移動できないようになっている。特に、上述したように遊技者が外側カバー300を触っている状況とは、遊技者の手が外側カバー300の上側の縁部に触っている状況が考えられる。そのため本形態では、図12に示すように、遊技者が比較的触り易い外側カバー300の上側の縁部に、左側タッチ電極322及び右側タッチ電極332が配されている。
これにより、遊技者が左側タッチ電極322を触っている状況では、左側タッチセンサ321が、左側タッチ電極322に人体が接触していることを検出して、可動体600L,600Rの両方が移動しない。同様に、遊技者が右側タッチ電極332を触っている状況では、右側タッチセンサ331が、右側タッチ電極332に人体が接触していることを検出して、可動体600L,600Rの両方が移動しない。こうして、遊技者が左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に触っているとき、回転動作位置へ移動しようとする可動体600L,600Rが遊技者の手等に勢い良く当接するのを防止することが可能となる。また、回転待機位置へ移動しようとする可動体600R,600Lと内側カバー400の内側とで遊技者の手が挟まれるのを防止することが可能となる。
また本形態では、可動体600L,600Rが回転動作位置又は回転待機位置で停止している場合に限らず、回転動作位置と回転待機位置との間で移動している場合に、左側タッチセンサ321及び右側タッチセンサ331の少なくとも一方が人体による接触を検出したときには、可動体600L,600Rの両方が移動できないようになっている。そのため、可動体600L,600Rの移動中であっても、可動体600L,600Rが遊技者等に勢い良く当接するのを防止して、高い安全性を確保している。
ところで本形態では、可動体600L,600Rは、それぞれ顔カバー611を回転させるための回転用モータ521L,521Rを備えると共に、耳部材614を直動させるための直動用モータ641L,641Rを備えている。そして、耳部材614は顔カバー611の内側から外側へ突出できるように、顔カバー611内に収容されている。ここで仮に直動用モータ641L,641Rが誤作動や故障等によって駆動すると、耳部材614が顔カバー611内で予定外の動作をするおそれがある。
万一、耳部材614が顔カバー611内で予定外の動作をすると、顔カバー611が破損したり、顔カバー611を回転させるための機構(駆動プレート500等)が破損して、可動体600L,600R全体が故障するおそれがある。つまり、可動体600L,600Rは、回転用モータ521L,521R及び直動用モータ641L,641Rの二つの駆動源を用いて、2段階の移動を行うものであるため、万一直動用モータ641L,641Rに誤作動や故障等が生じると、故障の影響が大きくなるおそれがある。
そこで本形態では、図30(A)に示すように、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときには、揺動部材622の係合部622dが耳部材614(後側プレート615)に係合する。なお本形態において、揺動部材622の係合部622dと耳部材614の係合とは、係合部622dと耳部材614とが接触するという意味ではなく、耳部材614が揺動部材622の係合部622dによって付勢力(押圧力)が付与されることを意味する。この係合によって、耳部材614はコイルスプリング652の付勢力に抗してロック位置にあって(後側プレート615の円形突部615aが直動ガイド孔621cの湾曲部分621c2に位置し)、耳部材614が非突出位置から突出位置へ直動不能になっている。
こうして本形態では、揺動部材622の係合部622dと耳部材614との係合と、コイルスプリング652の耳部材614への付勢を利用することにより、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときに、耳部材614の直動が規制される。よって、万一直動用モータ641L,641Rが誤作動や故障等によって駆動しても、耳部材614の予定外の動作によって故障の影響が大きくなるのを防止することが可能となる。
なお図30(A)に示す状態から図30(B)に示すように、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ移動(回転)する際には、揺動部材622の係合部622dと耳部材614との係合が解除される。つまり、耳部材614は揺動部材622の係合部622dによって付勢力(押圧力)が付与されなくなる。これにより、耳部材614はコイルスプリング652の付勢力により非ロック位置に復帰して(後側プレート615の円形突部615aが直動ガイド孔621cの直線部分621c1に位置して)、耳部材614が非突出位置から突出位置へ直動可能となる。
3.遊技機の電気的構成
次に図35〜図37に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図35〜図37に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備えていればよい。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82が含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路(I/Oポート部)87を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROM83は外付けであってもよい。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の貸球モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため貸球センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。
さらに、払出制御基板110には、前枠53の開放を検知する前枠開放スイッチ58(開放検知手段に相当)と内枠52の開放を検知する内枠開放スイッチ59とが接続されている。前枠53が開放されると、前枠開放スイッチ58からの信号(前枠開放スイッチ58の「ON」状態を示す信号)が払出制御基板110を介して主制御基板80に入力され、さらに主制御基板80からサブ制御基板90に入力される。また、内枠52が開放されると、内枠開放スイッチ59からの信号(内枠開放スイッチ59の「ON」状態を示す信号)が払出制御基板110を介して主制御基板80に入力され、さらに主制御基板80からサブ制御基板90に入力される。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図36に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92が含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路(I/Oポート部)95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107、枠中継基板99(図37参照)が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。つまり演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66や盤ランプ5などのランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に接続された盤可動体15(図7参照)を動作させる。盤可動体15は、センター装飾体10の上部に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。盤可動体15は、表示画面7aの周辺部(本形態では上部)でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態(図7参照)から、その折り畳みを解除されて表示画面7aの中央部を含む略全域の前方で露出している露出状態に変位可能なものである。
図37に示すように、枠中継基板99には、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW(スイッチ)63aが接続されると共に、可動体復帰ボタン323(図32参照)が押下操作されたことを検出する可動体復帰ボタン検出スイッチ323aが接続されている。従って、演出ボタン63が押下されると、演出ボタン検出SW63aから枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に対してスイッチ信号が出力され、可動体復帰ボタン323が押下されると、可動体復帰ボタン検出スイッチ323aから枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に対してスイッチ信号が出力される。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200の外側カバー300に設けられている左側タッチセンサ321(図12参照)及び右側タッチセンサ331が接続されている。従って、左側タッチ電極322(図12参照)に人体が接触すると、左側タッチセンサ321から枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に検出信号が出力され、右側タッチ電極332に人体が接触すると、右側タッチセンサ331から枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に検出信号が出力される。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200に設けられているモータ類が接続されている。このモータ類とは、上述したように可動体600L,600Rを回転させる左側回転用モータ521L及び右側回転用モータ521Rと、耳部材614を直動させる左側直動用モータ641L及び右側直動用モータ641Rである。そのため、サブ制御基板90から枠中継基板99の入出力回路96を介してモータ類に駆動信号が出力されると、モータ類が駆動する。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200の駆動プレート500に設けられているフォトセンサ類に接続されている。フォトセンサ類とは、上述したように左側リンク部材630L(図23参照)の位置を検出するための左側第1フォトセンサ531L及び左側第2フォトセンサ532Lと、左側可動体600Lの耳部材614(組付部材646)の位置を検出するための左側第3フォトセンサ661L及び左側第4フォトセンサ662Lと、右側リンク部材630R(図23参照)の位置を検出するための右側第1フォトセンサ531R及び右側第2フォトセンサ532Rと、右側可動体600Rの耳部材614の位置を検出するための右側第3フォトセンサ661R及び右側第4フォトセンサ662Rである。そのため、フォトセンサ類の検出信号は、枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に出力される。
なお、演出制御用マイコン91は、盤可動体15や、枠可動体600(可動体600L,600R)の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15や枠可動体600の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御を実行させてもよい。また、ランプ制御基板107に枠可動体600を接続して、ランプ制御基板107に枠可動体600の動作制御をさせてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
4.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図38及び図39に示す通りである。図38及び図39に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(Vロング大当たりとVショート大当たり)ある。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。この14R及び16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、また、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このVショート大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また、Vショート大当たりにおける14Rと16Rでは第2大入賞口35が開放されるものの、その開放時間が極めて短く、第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける14R及び16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2の状態(図8(B)参照)から第1の状態(図8(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
なお、図38に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。すなわち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずVロング大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「大当たり種別乱数」に基づいて行われる。図40(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。大当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および大当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(装飾図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図40(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
5.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図41(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図42参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図41(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図41(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図43参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図43参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特定遊技状態」という。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図7参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図7参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
6.遊技制御用マイコン81の動作
次に、図44〜図57に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明し、図58〜図66に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン81の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン81は、図44に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン81は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種類を決めるための大当たり種別乱数、装飾図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。
次に、遊技制御用マイコン81は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図35参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。
続いて遊技制御用マイコン81は、後述の始動口センサ検出処理(S103)を実行し、次いで普通動作処理(S104)を実行する。普通動作処理(S104)では、始動口センサ処理(S103)にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図41(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通図柄当たりに当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図43参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
続いて遊技制御用マイコン81は、後述する特別動作処理(S105)および特定領域センサ検出処理(S106)を実行する。その後、遊技制御用マイコン81は、上述の各処理においてセットしたコマンド等をサブ制御基板90等に出力する出力処理(S107)を行う。
[始動口センサ検出処理]図45に示すように、始動口センサ検出処理(S103)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していなければ(S201でNO)、ステップS205に進む。遊技球が通過していれば(S201でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAM84に設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4以上であるか否か判定する(S202)。そして、普通図柄保留球数が4以上であれば(S202でYES)、ステップS205に進む。一方、普通図柄保留球数が4以上でなければ(S202でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S203)、普通図柄乱数取得処理(S204)を行う。普通図柄乱数取得処理(S204)では、普通図柄乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Hの値、図40(B))を取得し、その取得乱数値をRAM84の普図保留記憶部86のうち現在の普通図柄保留球数に応じた記憶領域に格納する。
ステップS205では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S205でNO)にはステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S205でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否か判定する(S206)。そして、特図2保留球数が4個に達している場合(S206でYES)には、ステップS209に進むが、特図2保留球数が4個未満である場合には(S206でNO)、特図2保留球数に「1」を加算する(S207)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S208)を行う。特図2関係乱数取得処理(S208)では、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図40(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた記憶領域に格納する。
ステップS209では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否か判定する。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S209でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否か判定する(S210)。そして、特図1保留球数が4個に達している場合(S210でYES)には、処理を終えるが、特図1保留球数が4個未満である場合には(S210でNO)、特図1保留球数に1を加算する(S211)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S212)を行う。特図1関係乱数取得処理(S212)では、特図2関係乱数取得処理(S208)と同様に、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図40(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた記憶領域に格納する。
[特別動作処理]図46に示すように特別動作処理(S105)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S1301でYES)、特別図柄待機処理(S1302)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S1301でNO、S1303でYES)、特別図柄変動中処理(S1304)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S1301,S1303で共にNO、S1305でYES)、特別図柄確定処理(S1306)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S1301,S1303,S1305の全てがNO)、大当たり遊技としての特別電動役物処理(S1307)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]図47に示すように、特別図柄待機処理(S1302)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1401)。特図2保留球数が「0」である場合(S1401でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1407)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1407でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定し(S1413)、そうであれば(S1413でYES)処理を終え、そうでなければ(S1413でNO)、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする(S1414)。
ステップS1401において特図2保留球数が「0」でない場合(S1401でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1402)及び特図2変動パターン選択処理(S1403)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1404)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1405)。このようにして、第2特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1406)を実行する。特図2変動開始処理(S1406)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1406)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1402)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1403)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1401でYES且つS1407でNO)、即ち、特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1408)及び特図1変動パターン選択処理(S1409)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1410)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1411)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1412)を実行する。特図1変動開始処理(S1412)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1412)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1408)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1409)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1401でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選の方が、第1特図保留に基づく抽選よりも、遊技者にとって利益の大きい大当たり(Vロング大当たり)に当選しやすくなっている(図38参照)。
[特図2大当たり判定処理(特図1大当たり判定処理)]特図2大当たり判定処理(S1402)と特図1大当たり判定処理(S1408)とは、処理の流れが同じであるため図48に基づいてまとめて説明する。図48に示すように、特図2大当たり判定処理(S1402)又は特図1大当たり判定処理(S1408)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Aの値)を読み出す(S1501)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1402)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bの第1記憶領域(即ち第2特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図1大当たり判定処理(S1408)では、RAM84の第1特図保留記憶部85aの第1記憶領域(即ち第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
次に、大当たり判定テーブル(図41(A))のアドレスをセットする(S1502)。次いで、確変フラグがONか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1503)。そして、高確率状態でなければ(S1503でNO)、すなわち通常確率状態(非高確率状態)であれば、大当たり判定テーブル(図41(A))のうち非高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「0」〜「164」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1504)。一方、高確率状態であれば(S1503でYES)、大当たり判定テーブル(図41(A))のうち高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「0」〜「649」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1505)。
大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「大当たり」であれば、大当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図38に示す大当たり種別判定テーブルに基づいて大当たり種別を判定する(S1506)。大当たり種別を判定(S1506)した後は、大当たりフラグをONするとともに(S1507)、大当たり種別に応じた特図停止図柄データ(図38参照)をRAM84に設けた大当たり種別バッファにセットして(S1508)処理を終える。一方、大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「ハズレ」であれば、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)をセットして(S1508)処理を終える。
[特図2変動パターン選択処理(特図1変動パターン選択処理)]特図2変動パターン選択処理(S1403)と特図1変動パターン選択処理(S1409)とは、処理の流れが同じであるため図49及び図50に基づいてまとめて説明する。図49及び図50に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1403)又は特図1変動パターン選択処理(S1409)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1601)。そして、時短状態でなければ(S1601でNO)、すなわち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1602)。ONであれば(S1602でYES)、さらに当選した大当たりの種別がVロング大当たりであるか否かを、セットされている特図停止図柄データに基づいて判定する(S1603)。Vロング大当たりである場合には(S1603でYES)、非時短状態中Vロング大当たりテーブル(図42に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つVロング大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1604)。
具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP1又はP2が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)ではP21が選択されることとなる。なお、変動パターンP1は、特図停止図柄データが「11H」(図38参照)である場合に選択される変動パターンであり、装飾図柄の変動演出における最終的な停止図柄を金図柄(Vロング大当たりである場合にしか選択されない図柄、具体的には「3」,「5」又は「7」の図柄)とする変動パターンである。これに対して、変動パターンP2は、特図停止図柄データが「12H」(図38参照)である場合に選択される変動パターンであり、装飾図柄の変動演出における最終的な停止図柄を銀図柄(Vロング大当たりであってもVショート大当たりであっても選択される図柄、具体的には「1」,「2」,「4」,「6」又は「8」の図柄)とする変動パターンである。
ここで図42に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また、リーチになる場合にそのリーチがノーマルリーチとなるのかスーパーリーチ(SPリーチとも表記する)となるのかも決まる。スーパーリーチとは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
図49のステップS1603において、Vロング大当たりでなければ(S1603でNO)、Vショート大当たりに当選しているので、非時短状態中Vショート大当たりテーブル(図42に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つVショート大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1605)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP3が選択されることとなる。なお、特図2の抽選ではVショート大当たりに当選することはない。
またステップS1602において、大当たりフラグがONでなければ(S1602でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1606)。なお、図41(B)に示すように、リーチ成立乱数値は非時短状態であれば「0」〜「13」であり、時短状態であれば「0」〜「5」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1606でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図42に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1607)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP4(SPリーチハズレ)又はP5(ノーマルリーチハズレ)が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)ではP22(SPリーチハズレ)又はP23(ノーマルリーチハズレ)が選択されることとなる。
リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1606でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図42に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1608)。このリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP6又はP7が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)ではP24又はP25が選択されることとなる。
またステップS1601において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1601でYES)には、図50に示すように、参照する変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(図42に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は、上記ステップS1602〜S1608と同様の流れで処理(S1609〜S1615)を行う。すなわち、Vロング大当たりであれば図42の時短状態中且つVロング大当たりに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1611)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP11が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)では変動パターンP31が選択されることとなる。
またVショート大当たりであれば、図42の時短状態中且つVショート大当たりに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1612)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP12が選択される。なお、特図2の抽選ではVショート大当たりに当選することはない。またリーチ有りハズレであれば、図42の時短状態中且つリーチ有りハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1614)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP13(SPリーチハズレ)が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)では変動パターンP32(SPリーチハズレ)が選択されることとなる。またリーチ無しハズレであれば、図42の時短状態中且つリーチ無しハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1615)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP14又はP15が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)では変動パターンP33又はP34が選択されることとなる。
なお、時短状態中の変動パターン判定テーブル(図42に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無しハズレ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」〜「4」のときに働く。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、短縮変動としての変動時間は、時短状態中の方が非時短状態中よりも短くなっている。すなわち、時短状態中の変動パターン判定テーブルは、非時短状態中の変動パターン判定テーブルよりも特別図柄の変動時間が短くなるようなテーブルとなっている。
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図49に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1616)、本処理を終える。セットした変動パターンの情報は変動開始コマンドに含められて、出力処理(S101)によりサブ制御基板90に送られる。
[特別図柄変動中処理]図51に示すように、特別図柄変動中処理(S1304)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1403又はS1409で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図42参照)が経過したか否かを判定する(S1701)。経過していなければ(S1701でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過していれば(S1701でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1702)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1703)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1704)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]図52に示すように、特別図柄確定処理(S1306)ではまず、後述の遊技状態管理処理(S1801)を行う。次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1802)。大当たりフラグがONであれば(S1802でYES)、当選した大当たりの種類に応じた開放パターン(詳しくは図38及び図39を参照)をセットする(S1803)。なおこのときに、大当たり遊技中に実行した単位開放遊技(ラウンド遊技)の回数をカウントするラウンドカウンタの値を、当選した大当たりの種類に応じたラウンド数にセットする。
遊技制御用マイコン81は、ステップS1803に続いて、後述の遊技状態リセット処理を行う(S1804)。その後、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンド(図38参照)をセットするとともに(S1805)、大当たり遊技のオープニングを開始し(S1806)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1807)。
また、ステップS1802において大当たりフラグがONでなければ(S1802でNO)、大当たり遊技を開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1808)処理を終える。
[遊技状態管理処理]図53に示すように、遊技状態管理処理(S1801)ではまず、確変フラグがONか否か判定し(S2001)、ONであれば、高確率状態中に実行した特別図柄変動の回数をカウントする確変カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S2002)、確変カウンタの値が「0」か否か判定して(S2003)、「0」であれば確変フラグをOFFする(S2004)。ステップS2001又はS2003の判定結果がNOであれば、ステップS2005に進む。なお、本パチンコ遊技機1では、高確率状態への移行時には確変カウンタの値が「160」にセットされるようになっている。この点については後述する。
続いて、時短フラグがONか否か判定し(S2005)、ONであれば、時短状態中に実行した特別図柄変動の回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S2006)、時短カウンタの値が「0」か否か判定して(S2007)、「0」であれば時短フラグをOFFする(S2008)。ステップS2005又はS2007の判定結果がNOであれば、ステップS2009に進む。なお、本パチンコ遊技機1では、時短状態への移行時には低確高ベース状態であれば時短カウンタの値が「100」にセットされ、高確高ベース状態であれば時短カウンタの値が「160」にセットされるようになっている。この点については後述する。
その後、遊技制御用マイコン81は、現在の遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットして(S2009)、本処理を終える。
[遊技状態リセット処理]図54に示すように、遊技状態リセット処理(S1804)ではまず、確変フラグがONか否かを判定し(S2101)、ONであれば確変フラグをOFFする(S2102)。また、時短フラグがONか否かを判定し(S2103)、ONであれば時短フラグをOFFする(S2104)。つまり、大当たり遊技の実行中は、非高確率状態且つ非時短状態に制御される。本形態では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当たり遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
[特別電動役物処理]図55に示すように、特別電動役物処理(S1307)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2201)。大当たり終了フラグは、実行中の大当たり遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2201でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中か否か(すなわち大入賞装置の開放中か否か)を判定する(S2202)。開放中でなければ(S2202でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して初回のラウンド遊技における開放開始の時間に至ったか、又は、一旦閉鎖した大入賞口を再び開放させるまでのインターバル時間(閉鎖時間)が経過して開放開始の時間に至ったか否かを判定する(S2203)。
ステップS2203の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2203の判定結果がYESであれば、現在実行中の大当たり遊技がVロング大当たりとしての大当たり遊技か否かを判定する(S2204)。そして、Vロング大当たりでなければステップS2207に進むが、Vロング大当たりであれば、第2大入賞口35を開放させる第14ラウンド若しくは第16ラウンドを開始するタイミングであるか否か、すなわちラウンドカウンタの値が「3」若しくは「1」であるか否かを判定する(S2205)。第2ラウンドを開始するタイミングでなければ(S2205でNO)、そのままステップS2207に進む。これに対して、第2ラウンドを開始するタイミングであれば(S2205でYES)、V有効期間設定処理(S2206)を行う。
V有効期間設定処理(S2206)では、Vロング大当たりの第14ラウンド及び第16ラウンドにおける第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するV有効期間に設定する。なお本形態ではこれ以外の期間(大当たり遊技を実行していないときも含む)を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するV無効期間に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONする(後述の特定領域センサ検出処理(図57)を参照)ということである。また、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONしないということである。なお、V有効期間に第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を含めているのは、第2大入賞口35の閉塞直前に第2大入賞口35へ遊技球が入賞することがあるのを考慮したものである。
すなわち本形態では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。なお、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる、すなわち大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(図54)を参照)。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち高確率状態に設定されることのないようにしている。
ステップS2207では、大当たりの種類に応じた開放パターン(図38及び図39参照)に従って大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる。なお、振分部材71は、大当たり遊技(又はラウンド遊技)の開始から常に一定の動作で動いている。Vロング大当たりの開放パターン(Vロング開放パターン)では、第14ラウンド及び第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞した遊技球が余裕をもって特定領域39を通過できるように開閉部材37が開放される。これに対して、Vショート大当たりの開放パターン(Vショート開放パターン)では、第14ラウンド及び第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞することがほぼできないように開閉部材37が開放される。また、Vショート開放パターンにおいては、仮に遊技球が第2大入賞口35に入賞できたとしても特定領域39を通過することができないように、振分部材71の動作に対する開閉部材37の開放タイミングが設定されている。
続くステップS2208では、ラウンド指定コマンド送信判定処理を行う。ラウンド指定コマンド送信判定処理(S2208)では、ステップS2207での大入賞口の開放が1回のラウンド遊技中での初めての開放か否かを判定し、そうであれば、実行中の大当たり遊技のラウンド数の情報を含むラウンド指定コマンド(図38参照)を、RAM84の出力バッファにセットする。なお本形態では、1回のラウンド遊技中に複数回の大入賞口の開放がなされることはない。そのため、このステップS2208では、必ずラウンド指定コマンドがセットされることとなる。
特別電動役物処理(図55)のステップS2202において、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中であれば(S2202でYES)、大入賞口の閉鎖条件が成立しているか否かを判定する(S2209)。本形態では、閉鎖条件は、そのラウンド遊技における大入賞口への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では1ラウンド当たり8個)に達したこと、又は、大入賞口を閉鎖させる時間に至ったこと(すなわち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図39参照)が経過したこと)のいずれかが満たされていることである。そして、大入賞口の閉鎖条件が成立していなければ(S2209でNO)、処理を終える。
これに対して、大入賞口の閉鎖条件が成立している場合(S2209でYES)には、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖(閉塞)する(S2210)。そして、ステップS2210の閉鎖によって1回のラウンド遊技が終了する場合には(S2211でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2212)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2213)。「0」でなければ(S2213でNO)、次のラウンド遊技を開始するためにそのまま処理を終える。
一方「0」であれば(S2213でYES)、大当たり遊技を終了させる大当たり終了処理として、大当たりのエンディングコマンド(図38参照)をセットするとともに(S2214)、大当たりのエンディングを開始する(S2215)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2216)。
またステップS2201において大当たり終了フラグがONであれば(S2201でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2217)、エンディング時間が経過していなければ(S2217でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2217でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2218)、大当たりフラグをOFFし(S2219)、特別動作ステータスを「1」にセットする(S2220)。これにより、次回のメイン側タイマ割り込み処理において、特別動作処理(図46)として再び特別図柄待機処理(S1302)が実行されることになる。その後、後述の遊技状態設定処理(S2221)を行って本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図56に示すように、遊技状態設定処理(S2221)ではまず、VフラグがONか否かを判定する(S2301)。VフラグがONでなければ(S2301でNO)、時短フラグをONするとともに(S2302)、時短カウンタに「100」をセットして(S2303)、ステップS2309に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が100回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
一方、ステップS2301においてVフラグがONであれば、確変フラグをONするとともに(S2304)、確変カウンタに「160」をセットする(S2305)。その後、VフラグをOFFする(S2306)。続いて、時短フラグをONするとともに(S2307)、時短カウンタに「160」をセットして(S2308)、ステップS2309に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が、高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が160回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
ステップS2309では、遊技制御用マイコン81は、今設定した遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。そして、遊技状態設定処理を終える。
[特定領域センサ検出処理]図57に示すように特定領域センサ検出処理(S106)では、遊技制御用マイコン81はまず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。なお本形態では、特定領域センサ39aによる遊技球の検知は、振分部材71が第1の状態(図8(A))に制御されているときのみなされる。ステップS2401にて検知がなければ(S2401でNO)処理を終了するが、検知があれば(S2401でYES)V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間は、前述の特別電動役物処理(図55)におけるV有効期間設定処理(S2206)にて設定される期間である。V有効期間は、Vロング大当たりの第14ラウンド及び第16ラウンド中の期間として設定される。
ステップS2402でV有効期間中であると判定した場合には(S2402でYES)、VフラグをONするとともに(S2403)、V通過コマンドをセットして(S2404)、本処理を終える。V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知を行わせるためのコマンドである。
7.演出制御用マイコン91の動作
以上の遊技制御用マイコン81における処理と並行して、演出制御用マイコン91は図58〜図66に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン91の動作について説明する。
[サブ側タイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図58に示すようなサブ側タイマ割り込み処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割り込み処理ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4301)、スイッチ処理(S4302)、及び枠可動体任意駆動処理(S4303)を行う。
続いて演出制御用マイコン91は、コマンド送信処理(S4304)及び駆動制御処理(S4305)を行う。コマンド送信処理(S4304)では、受信コマンド解析処理等でRAM94の出力バッファにセットした各種コマンドを画像制御基板100に送信する。コマンド送信処理が実行されると、各種コマンドを受信した画像制御基板100は、画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)、客待ち演出など)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたりする。
駆動制御処理(S4305)では、演出に合うタイミングで盤可動体15や枠可動体600を駆動させるべく、駆動データ(盤可動体15や枠可動体600の駆動ためのデータ)の作成や出力を行う。後述の受信コマンド解析処理(S4301)、スイッチ処理(S4302)、及び枠可動体任意復帰処理(S4303)でセットした枠可動体駆動データに従った枠可動体600の駆動も行う。例えば、実行中の変動演出等の演出に合うタイミングで可動体600L,600Rを回転待機位置から回転動作位置に変位させると共に、耳部材614を非突出位置から突出位置に変位させる。
[受信コマンド解析処理]図59に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)では演出制御用マイコン91はまず、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば後述する変動演出開始処理(S4402)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば変動演出終了処理(S4404)を行う。変動演出終了処理(S4404)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4405)、受信していれば後述するオープニング演出選択処理を行う(S4406)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば後述するラウンド演出選択処理を行う(S4408)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していれば後述するエンディング演出選択処理を行う(S4410)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4411)、受信していればV通過報知演出開始処理を行う(S4412)。V通過報知演出開始処理(S4412)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示画面7aに表示する演出である。なお、V通過報知演出は、特別の効果音をスピーカ67から出力するなど、他の態様であってもよい。
続いて、その他の処理(S4413)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、遊技状態の把握ために遊技状態指定コマンドに基づき現在の遊技状態を示す遊技状態ステータスの値を設定する処理等)を行って、受信コマンド解析処理を終える。
[変動演出開始処理]図60に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S4701)。変動開始コマンドには、変動パターン選択処理(図49)でセットされた変動パターンの情報が含まれている。変動パターンの情報には、特図1の変動開始であるか特図2の変動開始であるかの情報や、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報、特図1又は特図2の大当たり判定処理の判定結果としての図柄を指定する図柄情報等が含まれている(図42参照)。なお、ここで演出制御用マイコン91が取得した遊技状態情報や図柄情報等は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能である。
続いて演出制御用マイコン91は、変動演出パターンの選択を行う(S4702)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類(図42のP1等)に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。これにより、枠可動体600や盤可動体15の可動の有無やそのタイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタンを利用する演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。
次に演出制御用マイコン91は、選択した変動演出パターンが、枠可動体600の駆動を伴う変動演出パターンであるか否かを判定する(S4703)。枠可動体600の駆動を伴うものでなければ、ステップS4705に進む。これに対して枠可動体600の駆動を伴うものであれば、枠可動体600を駆動させるための枠可動体駆動データをRAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S4704)、ステップS4705に進む。ステップS4705では、ステップS4702で選択した変動演出パターンで変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。
ステップS4705でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4304)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。また、ステップS4704で枠可動体駆動データがセットされると、演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4305)にてその枠可動体駆動データに従った枠可動体600の駆動を行う。
ここで、変動演出において最終的に停止表示される装飾図柄の組み合わせについて説明する。変動演出における最終的な停止図柄の組み合わせとしては、Vロング大当たりへの当選時は、第1装飾図柄(金図柄)のゾロ目、又は、第2装飾図柄(銀図柄)のゾロ目が選択されるようになっている。第1装飾図柄のゾロ目とは、「333」、「555」、および「777」といった特定の奇数図柄のゾロ目のことである。また、第2装飾図柄のゾロ目とは、「111」といった特定の奇数図柄ではない奇数図柄のゾロ目や、「222」、「444」、「666」、および「888」といった偶数図柄のゾロ目のことである。本形態では、第1装飾図柄は金色で表示され、第2装飾図柄は銀色で表示される。そのため、第1装飾図柄を「金図柄」と称し、第2装飾図柄を「銀図柄」と称する。金図柄は、Vロング大当たりへの当選時に限って表示される図柄である。銀図柄は、Vショート大当たりへの当選時にも表示される図柄である。変動演出における最終的な停止図柄の組み合わせが金図柄のゾロ目であれば、遊技者はVロング大当たりに当選したことを知ることとなる。これに対して銀図柄のゾロ目であれば、Vロング大当たりかVショート大当たりかわかないということとなる。
また、変動演出における最終的な停止図柄の組み合わせとしては、Vショート大当たりへの当選時には、必ず第2装飾図柄(銀図柄)のゾロ目が選択されるようになっている。また、リーチ有りハズレの場合は「787」などのバラケ目、リーチ無しハズレの場合は「635」などのバラケ目が選択されるようになっている。なお、上述の装飾図柄の停止表示の態様は一例であり、大当たり抽選の結果に対して装飾図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
次に図67に基づいて、SPリーチを実行する変動パターンが選択されている場合における変動演出パターンの選択について具体的に説明する。図67に示すように、変動パターンP1(非時短状態における特図1の抽選でVロング大当たりに当選し、最終的に停止表示する装飾図柄を金図柄とする場合の変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S101又はS102が選択される。
変動演出パターンS101とS102では、ノーマルリーチからSPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させるか否かが異なっている。変動演出パターンS101が選択された場合には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させる。ここでは、枠可動体600を動作位置に所定時間(例えば3秒)にわたって維持させた後、待機位置に復帰させる。そして、装飾図柄の最終的な停止表示時(遊技者に対する大当たり報知時)に、枠可動体600を再び動作位置に変位させる。つまり、装飾図柄の最終的な停止表示に伴う枠可動体600の駆動は大当たり確定報知としての意味を成している。
また変動演出パターンS101が選択された場合には、金図柄のゾロ目を最終的に停止表示させる。よって遊技者にはVロング大当たりへの当選であることが報知される。後述するが、この場合には、大当たり遊技のOPの開始後も、枠可動体600を動作位置に位置させ続ける(図67の備考欄参照)。枠可動体600を待機位置へ復帰させるのは、大当たり遊技のEDの開始時である。つまり、大当たり確定報知として変動演出中に動作位置に制御された枠可動体600は、大当たり遊技のEDが開始されるまでの間、継続して動作位置に制御され続けることとなる。よって本形態によれば、大当たり遊技が開始される前に枠可動体600が待機位置に復帰することにより遊技者の気分の高揚が抑えられてしまうのを防ぐことが可能となっている。
一方、変動演出パターンS102が選択された場合には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させない。それ以外は、変動演出パターンS101が選択された場合と同じである。なお、Vロング大当たりへの当選時には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させる変動演出パターンS101の方が、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させない変動演出パターンS102よりも選択され易くなっている。これに対して、ハズレ時(変動パターンP4の欄参照)には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動しない変動演出パターンS401の方が、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動する変動演出パターンS402よりも選択され易くなっている。このようにすることで、SPリーチへの発展時の枠可動体600の駆動が大当たり期待度が高いことを報知し得るようにしている。
また、変動パターンP2(非時短状態における特図1の抽選でVロング大当たりに当選し、最終的に停止表示する装飾図柄を銀図柄とする場合の変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S201又はS202が選択される。変動演出パターンS201が選択された場合には、SPリーチへの発展時にも、装飾図柄の最終的な停止表示時にも、枠可動体600を駆動させる。
但し、変動演出における最終的な停止図柄は銀図柄である。この場合には、大当たり遊技のOPの開始に伴って、枠可動体600を待機位置に復帰させ始める(図67の備考欄参照、後に詳述)。そして、所定のラウンド数のラウンド遊技中(特定ラウンドとしてのラウンド遊技中)に、枠可動体600を再び動作位置に変位させる。これにより、遊技者に対してVロング大当たりに当選していることを報知する。つまり、ここでの枠可動体600の駆動は、Vロング大当たりへの当選報知を意味する。本形態では、このようなラウンド遊技中の演出により、大当たり遊技中の遊技興趣を高めている。
一方、変動演出パターンS202が選択された場合には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させない。それ以外は、変動演出パターンS201が選択された場合と同じである。なお、銀図柄で大当たり当選が報知される場合には、金図柄で大当たりへの当選が報知される場合よりも、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させる変動演出パターンが選択される割合が低くなっている。このようにすることで、SPリーチへの発展時の枠可動体600の駆動によって、金図柄でのSPリーチの演出が一層盛り上がるようにしている。
また、変動パターンP3(非時短状態における特図1の抽選でVショート大当たりに当選した場合の変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S301又はS302のいずれかが選択される。変動演出パターンS301が選択された場合には、SPリーチへの発展時も、装飾図柄の最終的な停止表示時も枠可動体600を駆動させる。一方、変動演出パターンS302が選択された場合には、SPリーチへの発展時には枠可動体600を駆動させないが、装飾図柄の最終的な停止表示時には枠可動体600を駆動させる。
これらの場合も、変動演出における最終的な停止図柄は銀図柄である。よって、これらの場合にも、大当たり遊技のOPの開始に伴って、枠可動体600を待機位置に復帰させ始める(図67の備考欄参照、後に詳述)。但し、待機位置に復帰させたあとラウンド遊技中に再び動作位置に変位させることはしない。Vロング大当たりへの当選ではないからである。これにより、上述のラウンド遊技中の枠可動体600の駆動がVロング大当たりへの当選報知としての意味をもつようにしている。
また、変動パターンP4(非時短状態における特図1の抽選にてハズレたがSPリーチを実行する変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S401又はS402のいずれかが選択される。
変動演出パターンS401が選択された場合には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させる。一方、変動演出パターンS402が選択された場合には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させない。但しどちらの場合も、装飾図柄の最終的な停止表示時には、枠可動体600を駆動させない。大当たりに当選していないからである。これにより、装飾図柄の最終的な停止表示時における枠可動体600の駆動が大当たり当選報知としての意味をもつようにしている。
以上、非時短状態における特図1の抽選において、SPリーチが実行される場合の変動演出パターンの選択について説明した。非時短状態における特図2の抽選や、時短状態における特図1及び特図2の抽選におけるSPリーチが実行される場合の変動演出パターンの選択については、図67に示している通りである。なお、時短状態では、SPリーチへの発展時に枠可動体600が駆動されることはなく、枠可動体600の駆動が必ず大当たりへの当選の報知となるようになっている。なお、非時短状態中であってもSPリーチへの発展時に枠可動体600が駆動されることがないように構成してもよい。
[オープニング演出選択処理]図61に示すように、オープニング演出選択処理(S4406)ではまず、オープニングコマンド(図38参照)を解析する(S5501)。続いて、オープニングコマンドの解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択するオープニング演出パターン選択処理を行う(S5502)。そして、演出制御用マイコン91は、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをセットする(S5503)。
続いて演出制御用マイコン91は、オープニングコマンドに基づいて、変動演出において最終的に停止表示された装飾図柄が金図柄であるか否かを判定する(S5504)。なお、この判定は、大当たり遊技の開始前に選択された変動演出パターンの情報に基づいて行ってもよい。この場合には、最終的に停止表示された装飾図柄の情報がオープニングコマンドに含まれるようにする必要はない。
最終的に停止表示された装飾図柄が金図柄であれば(S5504でYES)、本処理を終える。これにより、大当たり遊技前の変動演出において金図柄で大当たり当選が報知された場合には、特別図柄の変動表示中から大当たり遊技の実行中にわたって枠可動体600が待機位置に位置し続けることとなる。
これに対して、最終的に停止表示された装飾図柄が金図柄でなければ(S5504でNO)、すなわち銀図柄であれば、枠可動体600を動作位置から待機位置に復帰させるための枠可動体駆動データ(退避駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S5505)、本処理を終える。ステップS5505でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4305)がなされると、枠可動体600の復帰動作が開始される。つまり本形態では、大当たり遊技前の変動演出において銀図柄で大当たり当選が報知された場合には、大当たりのオープニングの開始に伴って枠可動体600が待機位置への復帰動作を開始することとなる。
[ラウンド演出選択処理]図62に示すように、ラウンド演出選択処理(S4408)ではまず、ラウンド指定コマンド(図38参照)を解析する(S5701)。続いて、現在実行中の大当たりが「Vロング大当たり」か否かを判定する(S5702)。現在実行中の大当たりの種類に関する情報(当選した大当たりの種類を示す図柄情報)は、ラウンド指定コマンドに含まれている。なお現在実行中の大当たりの種類に関する情報を、変動開始コマンドの解析時に取得した図柄情報を参照して取得してもよい。
ステップS5702においてVロング大当たりであれば、続いて、現在実行中のラウンド遊技が13R目のラウンド遊技か否かを判定する(S5703)。13R目のラウンド遊技であれば、V打込報知演出を伴うラウンド演出を選択し(S5704)、そのラウンド演出を実行するためのラウンド演出開始コマンドをセットして(S5709)、ステップS5710に進む。V打込報知演出とは、特定領域39を通過させるように遊技球を打ち込むべき旨を報知する演出である。本形態では、V打込報知演出は、V打込報知画像(例えば特定領域39の位置を示す矢印の画像)を表示画面7aに表示する演出である。
一方、ステップS5702又はS5703でNOであれば、つまり、Vロング大当たりでない場合又はVロング大当たりであっても13R目のラウンド遊技でない場合は、続いて、この大当たり遊技の開始前の変動演出で最終的に停止表示された装飾図柄が銀図柄か否かを判定する(S5705)。銀図柄であれば続いて、現在実行中のラウンド遊技が特定ラウンド(本形態では11R)のラウンド遊技であるか否かを判定する(S5706)。この判定の結果がYESであれば、当たり種別報知演出のラウンド演出パターンを選択し(S5707)、当たり種別報知演出を実行するためのラウンド演出開始コマンドをセットして(S5709)、ステップS5710に進む。
つまり本形態では、銀図柄での大当たり当選報知を経て開始された大当たり遊技の特定ラウンドにおいて、当たり種別報知演出を行うこととしている。当たり種別報知演出とは、当選した大当たりの種別を報知する演出である。具体的には本形態では、当たり種別報知演出として、ヒーローキャラ(第1キャラクタ)と敵キャラ(第2キャラクタ)とがバトルを行うバトル演出を表示画面7aにて実行する。Vロング大当たりに当選していて実行される当たり種別演出では、ヒーローキャラが敵キャラに勝利する演出画像を表示画面7aに表示する。これに対して、Vショート大当たりに当選していて実行される当たり種別報知演出では、ヒーローキャラが敵キャラに敗北する演出画像を表示画面7aに表示する。つまり、この当たり種別報知演出では、ヒーローキャラの勝利がVロング大当たりへの当選報知を意味し、ヒーローキャラの敗北がVショート大当たりへの当選報知を意味することとなる。
ステップS5705又はS5706でNOであれば、その他のラウンド演出を選択し(S5708)、そのラウンド演出を実行するためのラウンド演出開始コマンドをセットして(S5709)、ステップS5710に進む。
ステップS5710では現在実行中の大当たりが、銀図柄で当選を報知されたVロング大当たりであるか否かを判定し、この判定結果がYESであれば続いて、現在実行中のラウンド遊技が特定ラウンドのラウンド遊技であるか否かを判定する(S5711)。そして特定ラウンドのラウンド遊技であれば、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるための枠可動体駆動データ(出現駆動データ)を、RAM94の駆動データバッファにセットして(S5712)本処理を終える。一方、ステップS5710又はS5711において判定結果がNOであれば、ステップS5712を実行することなく本処理を終える。
ステップS5712でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4305)がなされると、枠可動体600の出現動作が開始される。つまり本形態では、大当たり遊技前の変動演出において銀図柄で大当たり当選が報知された場合であっても、当選している大当たりがVロング大当たりであれば、特定ラウンド(本形態では11R)におけるラウンド演出(当たり種別報知演出)に合わせて枠可動体600が待機位置から動作位置に変位することとなる。なお、枠可動体600が動作位置に変位を開始するタイミングは、ヒーローキャラの勝利画像の表示タイミングと略同じである。つまりこの場合の枠可動体600の動作位置への変位は、当選した大当たりの種別がVロング大当たりであることの報知という意味をもつこととなる。
[エンディング演出選択処理]図63に示すように、エンディング演出選択処理(S4410)ではまず、エンディングコマンド(図38参照)を解析する(S5801)。次いで演出制御用マイコン91は、いま終了させようとしている大当たり遊技が、「初当たり」としての大当たり遊技であるか否かを判定する(S5802)。そして、初当たりであれば、解析したエンディングコマンドに基づいてエンディング演出のパターン(内容)を選択するにあたり、可動体復帰ボタン323の操作説明を含むエンディング演出パターンを選択する(S5803)。一方、初当たりでなければ、可動体復帰ボタン323の操作説明のないその他のエンディング演出パターンを選択する(S5804)。
なお、本形態における「初当たり」とは、通常遊技状態にて当選した大当たりのことである。大当たり当選時の遊技状態の情報は、エンディングコマンドに含まれているように構成してもよいし、変動開始コマンドの解析時に取得した遊技状態情報を参照して取得してもよい。また、エンディング演出とは、大当たり遊技のエンディング中に実行する演出のことである。また、可動体復帰ボタン323の操作説明とは、枠可動体600が待機位置に位置していないときに可動体復帰ボタン323を操作することによって任意に枠可動体600を待機位置に復帰させ得ることの説明である。
続いて演出制御用マイコン91は、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをセットする(S5805)。エンディング演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4304)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定のエンディング演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示させる。
具体的には、可動体復帰ボタン323の操作説明を含むエンディング演出パターンが選択されていた場合には、画像制御基板100のCPU102は、図68(a)(b)に示すような可動体復帰ボタン323の操作説明の画像を表示画面7aに表示させる。図68(a)に示す画像は、可動体復帰ボタン323の位置を報知する画像であり、図68(b)に示す画像は、可動体復帰ボタン323を押せば枠可動体600が待機位置に復帰することを示す画像である。このような画像の表示により、可動体復帰ボタン323を操作すれば枠可動体600を待機位置に復帰させ得ることを遊技者に示すことが可能となっている。
ステップS5805に続いて演出制御用マイコン91は、枠可動体600を動作位置から待機位置に変位させるための枠可動体駆動データ(退避駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S5806)本処理を終える。ステップS5806でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4305)がなされると、動作位置にある枠可動体600の復帰動作が開始される。つまり本形態では、Vロング大当たりとしての大当たり遊技であっても、エンディングの開始に伴って枠可動体600が待機位置への復帰動作を開始することとなる。なお本形態では、ステップS5806の実行の際に既に枠可動体600が待機位置にある場合であっても退避駆動データをセットするが、この場合には別段、枠可動体600が動作することはない。ちなみに枠可動体600が待機位置にあるか否かを確認し、あればステップS5806の処理を行わないようにしてもよい。
また、ステップS5806の実行前に、特図保留(好ましくは第2特図保留)の中に事前判定結果が大当たりであると判定されているものがあるか否かを判定し、そのような特図保留がある場合には、退避駆動データをセットしない(S5806の処理を実行しない)ようにしてもよい。つまり、大当たり遊技のエンディングが開始されても、枠可動体600を待機位置に復帰させないようにしてもよい。このように構成すれば、所謂保留連がある場合には複数の大当たり遊技にわたって枠可動体600が動作位置に位置し続けることとなるため、枠可動体600を用いた演出の演出効果をさらに向上させ、大当たり遊技の興趣性を一層高めることが可能となる。さらにこの場合には、保留連の前の大当たり遊技と保留連としての大当たり遊技とで一連の大当たり演出を表示画面7aにて行うとよい。遊技者に対して1つの特別な大当たりに当選したかのような印象を与えることが可能となり、大当たり遊技の興趣性をさらに向上させることが可能となるからである。なお、上述したオープニング演出、ラウンド演出、及びエンディング演出を、所謂シナリオ制御(シナリオタイマによる演出時間管理の下でシナリオデータに従って各演出を順次実行していく制御)によって実現するようにしてもよい。
[スイッチ処理]図64に示すように、スイッチ処理(S4302)ではまず、演出ボタン63(遊技者により演出に関する操作が可能な操作手段)を用いた演出(SW演出)の実行中か否か、すなわち、SW演出における演出ボタン63の有効期間中か否かを判定する(S7001)。SW演出中でなければ、処理を終える。一方、SW演出中であれば、後述するSW演出処理を行う(S7002)。その後、SW演出における演出ボタン63の有効期間を計測するSWタイマの値が「0」より大きいか否かを判定し(S7003)、大きければSWタイマを減算して(S7004)、本処理を終える。なおSW演出は、本形態では例えば、変動演出の一部の演出(SPリーチ中の演出等)として実行される。
[SW演出処理]図65に示すように、SW演出処理(S7002)ではまず、演出ボタン63が操作されたか否か、すなわち演出ボタン検出スイッチ63aがONされたか否かを判定する(S7101)。そしてONされたと判定しなかった場合には(S7101でNO)処理を終えるが、ONされたと判定した場合には(S7101でYES)、SW演出の一つである枠可動体駆動演出中かを判定する(S7102)。SW演出としての枠可動体駆動演出は、本形態ではSPリーチ中の演出(より詳細には装飾図柄の最終的な停止表示時の演出)である。
そして枠可動体駆動演出中でなければ(S7102でNO)、その他のSW演出に応じた処理を行って(S7104)本処理を終えるが、枠可動体駆動演出中であれば(S7102でYES)、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるための枠可動体駆動データ(出現駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S7103)本処理を終える。ステップS7103でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4305)がなされると、枠可動体600は待機位置から動作位置に変位する。なお、ステップS7103における枠可動体駆動データのセットは、大当たり当選時のみなされる。
ここで枠可動体駆動演出について詳しく述べれば、枠可動体駆動演出とは、演出ボタン63の押下操作を指示する画面を表示画面7aに表示し、その指示に従って演出ボタン63が操作された場合には、枠可動体600を駆動させるという演出である。本形態では、変動演出におけるSPリーチ内でこの枠可動体駆動演出を実行するようにしている。但し、ハズレ変動に伴ってSPリーチが実行された場合には、SPリーチ内で枠可動体600を作動させることはないので(図67参照)、演出ボタン63が操作されても枠可動体600を作動させない。このような演出ボタン63を利用したSW演出によれば、遊技者に遊技への参加感を強く与えることが可能であり、遊技興趣を向上させることが可能である。
なお、枠可動体600に代えて又は枠可動体600と共に、盤可動体15を格納状態から露出状態に変位させるようにしてもよい。枠可動体600に代えて盤可動体15を演出ボタン63の操作に応じて変位させることにした場合には、盤可動体15を所定時間(例えば3秒程度)にわたって露出状態に制御したあと格納状態に復帰させるタイミングで、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるように構成してもよい。
[枠可動体任意駆動処理]図66に示すように、枠可動体任意駆動処理(S4303)のステップS7201にて枠可動体600が駆動中か否かの判定を行う。この判定は、枠可動体600の原点位置(待機位置)を検知する左側第1フォトセンサ531L及び右側第1フォトセンサ531R(図37参照)の検知信号を確認することで行えばよい。枠可動体600が駆動中であると判定した場合には(S7201でYES)、続いて、可動体復帰ボタン検出スイッチ323aがONされたか否かを判定する(S7202)。そして、ONされていなければ(S7202でNO)本処理を終えるが、ONされていれば(S7202でYES)、枠可動体600を待機位置に復帰させる枠可動体駆動データ(退避駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットする(S7203)。
ステップS7203でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4305)がなされると、待機位置になかった枠可動体600の待機位置への復帰が行われる。本形態では、図32に示すように、枠可動体600(左側可動体600Lおよび右側可動体600R)が遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に突出するため、ホール内に設置されているデータカウンタ150(データ表示装置152)の前方に位置することとなってしまい、遊技者がデータ表示装置152を視認することができなくなることがある。しかしながら、このように可動体復帰ボタン323の操作を行えば、遊技者はデータ表示装置152を良好に視認することが可能となる。
特に本形態では、大当たり遊技前の変動演出にて最終的な停止図柄の組み合わせが金図柄のゾロ目である場合には、その変動演出にて動作位置に変位した枠可動体600は、大当たり遊技のエンディングまで動作位置に位置し続けることとなる(図67参照)。つまり、遊技者が長時間にわたってデータ表示装置152を視認しにくくなる状況が起こり得る。よって、このような可動体復帰ボタン323の操作によって枠可動体600を復帰させ得るようにして、遊技の便宜を図っている。なお、遊技機の上方にデータ表示装置152ではなく遊技説明書(遊技機の仕様や大当たりの振り分け、モード移行、演出紹介などを記載したもの)が置かれているホールでは、この可動体復帰ボタン323の操作によって、遊技説明書の良好な視認を得ることが可能となる。つまり、可動体復帰ボタン323は、動作位置にある枠可動体600の後方の視認性を確保するためのものである。
なお可動体復帰ボタン323の操作は、遊技機枠50が開放されている状態(前枠53や内枠52が開放されている状態)であっても可能である。すなわち前枠53の開放を検知する前枠開放スイッチ58や内枠52の開放を検知する内枠開放スイッチ59によって枠開放が検知されている場合であっても、枠可動体600が待機位置にない場合に可動体復帰ボタン323の操作がなされれば、枠可動体600は待機位置に復帰される。
一方、枠可動体任意駆動処理(S4303)のステップS7201にて枠可動体600が駆動中でないと判定した場合には(S7201でNO)、続いて、開放検知手段である前枠開放スイッチ58(図35参照)がONか否かを判定する(S7204)。そして、ONでなければ(S7204でNO)本処理を終えるが、ONであれば(S7204でYES)、続いて、可動体復帰ボタン検出スイッチ323aが3秒以上ONされているか否かを判定する(S7205)。そして、ONされていなければ(S7205でNO)本処理を終えるが、ONされていれば(S7205でYES)、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させる枠可動体駆動データ(出現駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S7206)本処理を終える。なお本形態では、可動体復帰ボタン323を3秒間以上継続して押したことに伴って可動体復帰ボタン検出スイッチ323aが3秒以上ONされる。
ステップS7206でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4305)がなされると、待機位置にある枠可動体600の動作位置への変位が行われる。このような枠可動体600の出現制御は、本形態では遊技機枠50の開放中に限って実行できることであり、その目的は、ホールの従業員による上部装飾ユニット200のメンテナンス(枠可動体600の収容部290の掃除等)である。つまり本形態では、枠可動体600が動作位置にあるときには、枠可動体600を収容していた上部装飾ユニット200の内部空間SPが露出する(図33参照)。そのため、内部空間SPに異物を詰め込まれるなどの悪戯がなされる可能性もある。そのようなことが起きた場合のメンテナンスを考慮して、本形態ではステップS7204〜S7206の処理を行うようにしている。
なお、枠可動体600を動作位置に変位させて掃除等のメンテナンスを行っても対処できないような不具合が生じてしまった場合には、上部装飾ユニット200を新しいものと交換すればよい。本形態では、上部装飾ユニット200の交換がし易いように、他のユニット(左側装飾ユニット210、右側装飾ユニット220、及び操作機構ユニット230)をベース枠56から外すことなく、上部装飾ユニット200をベース枠56から取り外すことができるようになっている(図3参照)。
8.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1では、所定の管理操作条件の成立中(すなわち、ホール従業員等の前枠53の開放に伴い、ステップS7204において前枠開放スイッチ58のON状態を検知しているとき)に、可動体復帰ボタン323の操作(具体的には、可動体復帰ボタン323を3秒間以上継続して押圧)に基づき枠可動体600を収容状態から非収容状態に変位させ得る。そのため、枠可動体600の収容部290内に埃などが溜まったり、ホール来店者による悪戯等により収容部290内に異物(遊技球等やジュース等の液体)が詰め込まれたりした場合であっても、ホール従業員等が、収容部290内や枠可動体600を適宜掃除したり、メンテナンスしたりすることが可能となる。
また本形態のパチンコ遊技機1では、前枠53の開放中に可動体復帰ボタン323を操作すれば枠可動体600を収容状態から非収容状態に変位させ得る。前枠53を開放することができるのは、通常、ホールの従業員に限られるので、遊技者等の来店客が前枠53を開放することはできない。よって、遊技者等のホール従業員以外の者の操作によって枠可動体300を収容状態から非収容状態に変位させられてしまうのを防ぐことが可能となる。つまり、収容部290や枠可動体600のメンテナンスを可能にしつつも、かえって収容部290や枠可動体600に対する悪戯が容易になってしまうのを防ぐことが可能となる。
また本形態のパチンコ遊技機1では、遊技の進行中に収容部290内に異物が入り込んでしまった場合でも、このパチンコ遊技機1の電源を再投入したりすることなく遊技機枠50を開放するだけで、収容部290内の異物を取り除くことが可能となる。
また本形態のパチンコ遊技機1では、収容部290や枠可動体600の清掃やメンテナンスが終了次第、ホールの従業員等が可動体復帰ボタン323を操作することにより、非収容状態にある枠可動体600を収容状態に復帰させることが可能となる。また、遊技者等が可動体復帰ボタン323を操作することにより、非収容状態にある枠可動体600を収容状態に復帰させることが可能となる。つまり、非収容状態にある枠可動体600の後方を視認したい等の遊技者等の意向に応じて、枠可動体600による演出を適宜解除することが可能となる。特に本形態では、上方設置物(例えばデータカウンタや遊技説明書など)と遊技者との間に枠可動体600が位置して上方設置物の視認が困難となることがあり得るが、それを解消できる。
また本形態のパチンコ遊技機1では、枠可動体600を収容状態から非収容状態に変位させるための操作部と、枠可動体600を非収容状態に変位させるための操作部とが共通の可動体復帰ボタン323であるため、これらの操作のための操作部を可動体復帰ボタン323の他に設ける必要がなく、製造コストを抑えることが可能となる。また、1つの操作部を用いて行うことができるので、枠可動体600に関する上記操作が複雑になるのを防ぐことが可能となる。
また従来の遊技機では、遊技機枠に設けられた可動部材は、例えば本形態でいう遊技機枠50の上下左右の枠縁(50U,50D,50L,50R)の内側で変位するにとどまっていた。これに対し、本形態のパチンコ遊技機1では、枠可動体600が遊技機枠50の枠縁のうちの上縁50Uの内側から外側へ変位するものであるため、従来に比して枠可動体600による演出のインパクトを強めることが可能となる。
また本形態のパチンコ遊技機1では、比較的大きなスペースの空いている遊技機枠50の上方に枠可動体600が変位するため、枠可動体600の動きを大きなものにしたり、枠可動体600自体を大きく構成したりすることが可能となる。つまり、より演出効果の高い枠可動体600を設けることが可能となる。
9.第2形態
次に、図69および図70に基づいて第2形態の遊技機について説明する。第2形態の遊技機は、スロットマシンである。図69および図70に示すように、スロットマシン900は、前面が開口する筐体910と、この筐体910の側端に回動自在に取り付けられた前面扉920(前枠部に相当)とを備えている。なお、筐体910における上下左右の壁部910aは、枠状の基枠部に相当する。本形態では、筐体910と前面扉920により遊技機枠が構成されている。前面扉920を筐体910に対して開放すると、開放検知手段(具体的には、第1形態の前枠開放スイッチ58と同じような前面扉開放スイッチ(図示せず))によってその開放が検知される。
筐体910の内部には、外周面に複数種類の図柄が配列されたリール930L,930C,930R(以下、左リール930L、中リール930C、右リール930Rともいう)が左右方向に並設されている。各リール930には、それぞれ、各リール930を駆動する駆動モータ(図示せず)と、各リール930の回転位置および停止位置を検出する位置検出器(図示せず)が取り付けられている。なお、リール930L,930C,930Rは、図柄表示部を構成する。
前面扉920の上下方向の略中央に配置されている前面パネル921には、透明の樹脂パネルで形成されたリール窓部922が設けられている。リール窓部922は、各リール930の外周面に描かれた複数種類の図柄(実施形態では各リールそれぞれ21個)のうち連続する複数の図柄(実施形態では各リールそれぞれ3個)を、正面から視認可能としている。なお本形態では、筐体910内部のリール930L,930C,930Rが配されている領域(リール配置領域)が、所定の領域に相当する。このスロットマシン900では、リール930に加えて又はリール930に代えて、液晶表示装置等の画像表示装置を配してもよい。リール930に代えて画像表示装置を配する場合には、画像表示装置によって図柄を表示すればよい。
ここで、スロットマシン900は、入賞役に当選し、かつ、左リール930Lに描かれた図柄、中リール930Cに描かれた図柄、及び右リール930Rに描かれた図柄が、有効化された入賞ラインL1〜L5に沿って、所定の図柄の組み合わせで揃った場合(以下「入賞」ともいう)に、当選した入賞役に対して設定されている特典(遊技媒体(本形態ではメダル)の払い出しなど)を遊技者に与えるものである。入賞役としては、例えば、大量の遊技媒体が獲得可能なレギュラーボーナス(以下「RB」ともいい、大当たりの一例である)、レギュラーボーナスよりもさらに大量の遊技媒体が獲得可能なビッグボーナス(以下「BB」ともいい、大当たりの一例である)、少量の遊技媒体が付与される小役、新たに遊技媒体の賭数を設定することなく次回の遊技を可能にするリプレイなどがある。
また図69に示すように、前面扉920のリール窓部922の下方側には、メダルを投入可能なメダル投入部940が設けられている。また、クレジット(スロットマシン900に記憶されている遊技者所有のメダルの枚数の記憶)を用いてその範囲内において所定の最大賭数(本形態では「3」)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ942、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ(スタートレバー)943、各リール930L,930C,930Rの回転を停止する際に操作されるストップスイッチ(ストップボタン)944L,944C,944Rが遊技者により操作可能に設けられている。
なお、メダル投入部940の上方には、複数桁の7セグメントLED表示器で構成されたクレジット表示部941が設けられている。クレジット表示部941は、クレジットとしてカウントされているメダルの枚数を表示する。
また、前面扉920におけるストップスイッチ944等の下方には、スロットマシン900を装飾する装飾パネル946が設けられている。また、前面扉920の最下部には、メダルが払い出されるメダル払出口950と、メダル払出口950から払い出されたメダルを受けるメダル受皿部952と、ゲームの進行等に伴って音声を出力するスピーカ960が配されている。
また、前面扉920における前面パネル921の上方には、上側装飾ユニット200が取り付けられている。上側装飾ユニット200は、前述の第1形態と同様の収容部290、及び、この収容部290に収容された収容状態(図69参照)と、収容部290外へ露出している非収容状態(図70参照)とをとる枠可動体600(左側可動体600L,右側可動体600R)を備えている。なお「収容状態」とは、枠可動体600(左側可動体600L,右側可動体600R)が収容部290に収容され前述した待機位置(回転待機位置)にある状態である(図69参照)。また、「非収容状態」とは、可動体600が図70の破線に示す動作位置(回転動作位置)にある状態である。枠可動体600(左側可動体600L,右側可動体600R)は所定のタイミングで待機位置から動作位置に変位する。また上側装飾ユニット200の前面200aは、メダル受皿部952の前縁952aよりも前方に突出している(図70参照)。また、上側装飾ユニット200には、可動体復帰ボタン323も設けられている(図69参照)。この上側装飾ユニット200の構成は、第1形態のものと同様である。
本形態のスロットマシン900においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部940から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ942を操作すればよい。最大賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図69参照)が有効となり、スタートスイッチ943の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ943が操作されると、スタート信号が筐体910内部に配された主制御部(図示せず)に入力される。スタート信号が主制御部に入力されると、主制御部は入賞役の抽選(大当たりの当否判定)を行うとともに、各リール930L,930C,930Rを回転させる。これにより、各リール930L,930C,930Rの図柄が変動表示される。
この状態でいずれかのストップスイッチ944L、944C、944Rが操作されると、主制御部は対応するリール930L,930C,930Rの回転を所定の停止制御に従って停止させる。これによりリール窓部922に、表示結果が導出表示される。
そして全てのリール930L,930C,930Rが停止されると、1ゲーム終了となる。このとき、有効化されている入賞ラインL1〜L5上に、予め定められた図柄の組み合せが各リール930L,930C,930Rの表示結果として導出表示された場合には、入賞となり、入賞役に応じて定められている枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。つまり、導出表示された図柄によって入賞役の抽選の結果が示される。
なお、クレジットが上限数(本形態では「50」)に達した場合には、メダル払出口950からメダルが払い出される。また、有効化され入賞ラインL1〜L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組み合せが各リール930L,930C,930Rの表示結果として導出表示された場合には、その図柄の組み合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。例えばレギュラーボーナスやビッグボーナスに入賞した場合には、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態に移行する。
ここで、上側装飾ユニット200に設けられている可動体600L,600Rは、主制御部(図示せず)による入賞役の抽選の結果、各種の入賞役の中でも特に特典の大きい入賞役(例えばビッグボーナス)に当選した場合に、主制御部(遊技制御部)からの信号を受けたサブ制御部(演出制御部)によって待機位置から動作位置に駆動制御される。上述したように、この可動体600L,600Rを含む上側装飾ユニット200の構成は、第1形態と同様である。よって、第2形態の遊技機においても、第1形態のパチンコ遊技機1と同様の効果を奏することが可能である。また、第2形態の遊技機(スロットマシン900)においても、開放検知手段による前面扉920の開放検知中(つまり所定の管理操作条件の成立中)の可動体復帰ボタン323の操作に基づいて、枠可動体600を出現させることが可能である。従って、枠可動体600の収容部290内に埃などが溜まったり、ホール来店者による悪戯等により収容部290内に異物が詰め込まれたりした場合であっても、ホール従業員等が、収容部290内や枠可動体600を適宜掃除したり、メンテナンスしたりすることが可能となる。
なお、ここではスロットマシンとして、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機を例として説明したが、小役に頻繁に入賞可能なARTやAT等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であってもよい。この場合、ARTやAT中の状態を特別遊技状態と称することとする。
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記の第1形態のパチンコ遊技機1や第2形態のスロットマシン900と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
上記の第1形態及び第2形態では、「所定の管理操作条件の成立中」を、「遊技機1(900)を設置しているホールの従業員等による前枠53(920)の開放中に伴い、ステップS7204で前枠開放スイッチ58のON状態を検知しているとき(期間)」とした。しかしそれ以外に、例えば遊技機に電源が投入されたときや、主制御基板80のRAM84のデータをクリアしたときとしてもよい。つまり所定の管理操作条件とは、ホール従業員等のホール管理者のみが操作可能となる条件であれば、前枠53の開放検知中以外の条件でもよい。
遊技機に電源が投入されたときとして、例えば、遊技機の電源投入に伴う遊技制御用マイコンのCPUの起動から、このCPUが前述のメイン側タイマ割り込み処理(図44参照)を開始するまでの所定の起動処理を行う期間が挙げられる。所定の起動処理として、例えばCPUがRAMのデータをクリアするか否かを判断して実行する処理が挙げられる。具体的には、RAMに記憶されたバックアップデータが無効な場合(例えば、電源断時に電源断処理が正常に行われなかった場合やノイズ等によって異常が生じた場合)、及び、バックアップデータは有効でも、RAM内に作成したチェックサムがバックアップデータのものと同値でない場合、RAMをクリアする。一方、バックアップデータが有効で、かつ、RAM内に作成したチェックサムがバックアップデータのものと同値である場合には、CPUは、電源断時の直前の状態に遊技機を起動させる。また例えば、CPUがクリア後のRAMにおける所定の作業領域(例えば、普通図柄乱数カウンタ、大当たり乱数カウンタ、当たり種別乱数カウンタ、リーチ乱数カウンタ、変動パターン乱数カウンタ等の乱数カウンタや、大当たり種別バッファ、出力バッファ等のバッファや、スタックポインタなど)に初期値を設定するための処理や、サブ制御基板、画像制御基板などを初期化するための処理が挙げられる。また、セキュリティーチェックのための処理や、内蔵デバイスレジスタ、内蔵デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ)及びPIO(パラレル入出力ポート)のいずれかを初期化するための処理が挙げられる。また、所定の起動処理を行う期間において、CPUが、起動後すぐにメイン側タイマ割り込み処理を一旦禁止して、所定の期間が経過した後(例えば上述した処理の少なくともいずれかを行った後)にメイン側タイマ割り込み処理を許可してもよい。
また各制御基板上のRAMのデータをクリアしたときとして、例えば、RAMクリアスイッチを用いてRAMをクリアしてからの所定の期間が挙げられる。なお「RAMクリアスイッチを用いてRAMをクリア」とは、具体的に例えば、主制御基板80に設けたRAMクリアスイッチを押すことでRAMクリアスイッチから信号(ラムクリア信号)が発信される。この信号を受信したCPU82がRAM84のデータをクリアすることをさす。上記所定の期間を、例えば、CPU82がRAM84のデータをクリアしたことを作業者に報知するための報知期間としてもよい。なお報知する態様としては、例えば、画像表示装置7に、RAMクリアを実行中である旨を示す画像を表示する態様が挙げられる。RAMクリアの際にCPU82から出力されたコマンドを、サブ制御基板90を通じて受信した画像制御基板100が、例えば「RAMクリア中です」などの文字画像を画像表示装置7に所定の期間中表示させる。また例えば、盤ランプ5及び枠ランプ66を全点灯させる態様が挙げられる。CPU82からのコマンドを受信したサブ制御基板90が、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5及び枠ランプ66を所定の期間中全点灯させる。また、報知期間としては、作業者にRAM84のクリアを十分に認識させることが可能な期間であればよく、但し長期間に及ぶとホールの営業に影響する場合(例えば、遊技機が開店時間を過ぎても上述した報知の態様のままである場合)も考慮すると、1〜300秒間が好ましく、さらには30〜120秒間がより好ましい。また、RAM84のデータをクリアする手法として、上述したRAMクリアスイッチを用いる手法の他に、例えば、遊技機の前枠部または内枠部を開放させつつ、電源を投入する手法が挙げられる。
また上記の第1形態及び第2形態では、開放検知手段を前枠開放スイッチ58としたが、例えば内枠開放スイッチ59を開放検知手段としてもよい。内枠開放スイッチ59は、内枠52が前枠53と共に外枠51に対して開放されているのを検知するものだからである。前枠53と同様、内枠52を開放できるのはホール従業員に限られるので、第1形態及び第2形態と同様に、ホール従業員以外の者(遊技者等)の操作によって枠可動体300を収容状態から非収容状態に変位させられてしまうのを防ぐことが可能となる。
また上記の第1形態及び第2形態では、枠開放が検知されているときに待機位置にある枠可動体600を動作位置に変位させるための操作部(第1操作部)と、収容状態にない枠可動体600を待機位置に復帰させるための操作部(第2操作部)とを、共通の可動体復帰ボタン323とした。しかしながら、第1操作部と第2操作部とを別の操作部としてもよい。また、可動体復帰ボタン323以外の、例えば演出ボタン63やセレクトボタン68を共通の操作部としてもよい。また、上記の第1形態及び第2形態では、可動体復帰ボタン323を上側装飾ユニット200に設けたが、操作機構ユニット230や左側装飾ユニット210、右側装飾ユニット220など他の箇所に設けてもよい。また、第2操作部(可動体復帰ボタン323)を遊技者でも操作可能な位置に設けたが、第2操作部を、遊技機の前枠部または内枠部を開放したときに初めて操作可能な位置に設けてもよい。前枠部及び内枠部を開放できるのはホール従業員に限られるため、ホール従業員以外の者(遊技者等)の操作によって枠可動体300を収容状態から非収容状態に変位させられてしまうのを防ぐことが可能となりより好ましい。また、枠可動体任意駆動処理(S4303)のステップS7205では、可動体復帰ボタン323の操作として3秒以上連続して押したか否かを判断した。しかしこの操作の他に、例えば、可動体復帰ボタンを複数回(例えば5回)以上連打したか否かを判断してもよい。
また上記の第1形態では、可動体復帰ボタン323の操作説明の画像(図68参照)をエンディング演出として表示画面7aに表示したが、客待ち演出や、オープニング演出、変動演出に伴う予告演出等、他の表示タイミングで表示画面7aに表示してもよい。
また可動部材は収容状態において、必ずしもその全体が収容空間内に位置するものでなくてもよい。また、非収容状態において、その全部が収容空間外に位置するものでなくてもよい。つまり、収容状態よりも収容空間外に位置している部分が多いものであればよい。
また上記の第1形態及び第2形態では、枠可動体600は、前後方向に沿う回転軸441を回転中心として回転することにより待機位置と動作位置との間を移動するものであったが、左右方向に沿う回転軸を回転中心として変位するものであってもよい。また、枠可動体は回転動作によって変位するものでなくてもよく、例えば、スライダ機構等により直動するものであってもよい。また、枠可動体600は、複数の可動体(左側可動体600Lと右側可動体600R)により構成されたものであったが、単一の可動体から構成されるものであってもよい。
また、枠可動体は、遊技機枠50の上部以外の位置に設けてもよい。つまり、上側装飾ユニット200以外の他のユニット(左側装飾ユニット210、右側装飾ユニット220、又は操作機構ユニット230)に設けてもよい。例えば、左側装飾ユニット210に設けた場合には、遊技機枠50の左縁50Lよりも左方へ突出するように構成することができる。
また上記の第1形態及び第2形態では、枠可動体600は、遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に突出するものとして構成したが、上側装飾ユニット200から下方へ突出するものであってもよい。つまり、ガラス板55の前方に変位するものであってもよい。又は、上側装飾ユニット200の前面(外側カバー300の前面340a)よりも前方に変位するものであってもよい。
また上記の第1形態及び第2形態では、枠可動体600は、犬の顔の装飾形態を有するギミックであったが、パトランプや演出用操作ボタンなどを枠可動体としてもよい。パトランプを枠可動体とした場合には、待機位置では格納しておき、動作位置にて出現させて発光させるようにするとよい。また、演出用操作ボタンを枠可動体とした場合には、待機位置では操作不可能な状態で格納しておき、動作位置に出現すると操作可能な状態となるようにするとよい。
また上記の第1形態では、枠可動体600の2/3以上の部分が動作位置では遊技機枠50の枠縁(上縁50U)よりも外方に位置していたが(図32参照)、枠可動体の少なくとも一部が動作位置で遊技機枠50の枠縁よりも外方(外側)に位置するのであれば、枠可動体の駆動演出により遊技者に与える印象を従来にない斬新なものとすることは十分可能である。但し、遊技者に対して斬新さや演出としてのインパクトを強く与えるためには、枠可動体の半分程度が遊技機枠50の枠縁の外側に位置することが望ましい。
また、枠可動体600は、ホールにおけるデータカウンタ150との干渉回避のため、前方に向かって斜め上方に傾斜した仮想前方傾斜面に略沿って変位するよう構成したが、枠可動体600の大きさ等の条件により、データカウンタ150等のホール設置物(上方設置物)との干渉のおそれがない場合には、鉛直方向に沿って移動するものや、待機位置よりも動作位置が後方にあるものでもよい。
また上記の第1形態及び第2形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるとき、可動体600L,600Rのうちベース板612が上方に露出していて、これらベース板612が前枠53(遊技機枠50)の上壁面の一部を形成したが、ベース板612が上方に露出しないように可動体全体が上側装飾ユニット200の内部に収容されていても良い。
また上記の第1形態及び第2形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置まで回転した後、耳部材614が非突出位置から突出位置まで突出した(図31(A)〜(D)参照)。つまり、可動体600L,600Rは2段階で上方に向かって移動するように構成した。しかしながら、新たに可動部材を設けて、可動体が3段階で移動するように構成しても良い。この場合には、可動体の移動によるインパクトをさらに強めることが可能となる。一方可動体600L,600Rに耳部材614を設けずに、1段階で移動するように構成しても良い。この場合には、可動体が故障した場合の影響を小さくすることが可能となる。
また上記の第1形態及び第2形態では、収容部290は、内側カバー400と外側カバー300との2重構造としたが、内側と外側とを兼ねる単一の部材により構成してもよい。
また上記の第1形態では、特定領域39への遊技球の通過に基づいて高確率状態に移行させるパチンコ遊技機として説明したが、特別図柄の種類に応じて高確率状態に移行させるパチンコ遊技機や、所謂1種2種混合機、2種タイプの遊技機(羽根物タイプの遊技機)等、他の種類の遊技機として構成してもよい。
また上記の第1形態では、操作機構ユニット230(遊技媒体貯留皿部)が前枠53に設けられていたが、操作機構ユニット(遊技媒体貯留皿部)が内枠に取り付けられて遊技機枠の前面に臨んでいる構成であってもよい。この場合、内枠に取り付けられた操作機構ユニット(遊技媒体貯留皿部)は、本発明の「前枠部」に含まれるものとする。
なお、この[発明を実施するための形態]における上記までの記載内容には、以下の手段1〜6の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記までの記載内容における対応する構成名や表現、図面に使用した符号等を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
手段1に係る発明は、
枠状の基枠部(外枠51)と、前記基枠部の前面側に位置する前枠部(前枠53)とを含む遊技機枠(50)を備え、
前記遊技機枠は、
収容空間(内部空間SP)を形成している収容部(290)と、
前記収容部に収容された収容状態(図1参照)と、前記収容部に収容されておらず、前記収容空間を露出させつつ前記収容部外へ露出している非収容状態(図33参照)とをとる可動部材(枠可動部600)と、を備え、
前記可動部材は、遊技の進行に伴って実行される演出として駆動されるものである遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
少なくとも所定の管理操作条件の成立中に操作が有効な第1操作部(可動体復帰ボタン323)と、
前記所定の管理操作条件の成立中における前記第1操作部の操作に基づいて、前記可動部材を前記収容状態から前記非収容状態に変位させる可動部材駆動手段(ステップS7206等を行う演出制御用マイコン91)と、を備えていることを特徴とする遊技機である。
手段1に係る発明によれば、所定の管理操作条件の成立中における第1操作部の操作に基づいて可動部材を収容状態から非収容状態に変位させ得る。そのため、遊技機枠の収容部内に埃などが溜まったり、ホール来店者によるいたずら等により収容部内に異物(遊技球等やジュース等の液体)が詰め込まれたりした場合であっても、遊技機が設置されているホールの従業員等が、収容部内や可動部材を適宜掃除したり、メンテナンスしたりすることが可能となる。
手段2に係る発明は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記基枠部に対する前記前枠部の開放を検知する開放検知手段(前枠開放スイッチ58)を備え、
前記所定の管理操作条件は、前記開放検知手段により前記前枠部の開放が検知されていることであることを特徴とする遊技機である。
手段2に係る発明によれば、前枠部の開放中に第1操作部を操作すれば可動部材を収容状態から非収容状態に変位させ得る。前枠部を開放することができるのは、通常、ホールの従業員に限られ、遊技者等の来店客は前枠部を開放することはできない。よって、遊技者等のホール従業員以外の者の操作によって可動部材を収容状態から非収容状態に変位させられてしまうのを防ぐことが可能となる。つまり、収容部や可動部材のメンテナンスを可能にしつつも、かえって収容部や可動部材に対する悪戯が容易になってしまうのを防ぐことが可能となる。
手段3に係る発明は、
手段1又は手段2に記載の遊技機であって、
遊技者による操作が可能な第2操作部(可動体復帰ボタン323)と、
前記可動部材が前記収容状態にないときに前記第2操作部が操作されたことに基づいて、前記可動部材を前記収容状態に制御する可動部材復帰手段(ステップS7203等を行う演出制御用マイコン91)と、を備えていることを特徴とする遊技機である。
手段3に係る発明によれば、収容部や可動部材の清掃やメンテナンスが終了次第、ホールの従業員等が第2操作部を操作することにより、非収容状態にある可動部材を収容状態に復帰させることが可能となる。また、遊技者等が第2操作部を操作することにより、非収容状態にある可動部材を収容状態に復帰させることが可能となる。つまり、非収容状態にある可動部材の後方を視認したい等の遊技者等の意向に応じて、可動部材による演出を適宜解除することが可能となる。
手段4に係る発明は、
手段3に記載の遊技機であって、
前記第1操作部と前記第2操作部とは共通の操作部であることを特徴とする遊技機である。
手段4に係る発明によれば、可動部材を収容状態から非収容状態に変位させるための操作部(第1操作部)と、可動部材を非収容状態に変位させるための操作部(第2操作部)とが共通であるため、製造コストを抑えることが可能となる。また、可動部材に関する操作が複雑になるのを防ぐことが可能となる。
手段5に係る発明は、
手段1から手段4までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記可動部材は、前記収容状態にあるときには前記遊技機枠の上下左右の枠縁(上縁50U,下縁50D,左縁50L,右縁50R)の内側に位置する一方、前記非収容状態にあるときには少なくとも一部が前記枠縁の外側に位置するものであることを特徴とする遊技機である。
手段5に係る発明によれば、可動部材が遊技機枠の枠縁の内側から外側へ変位するものであるため、従来に比して可動部材による演出のインパクトを強めることが可能となる。なお従来は、遊技機枠に設けられた可動部材は、遊技機枠の枠縁の外側に変位することはなかった。
手段6に係る発明は、
手段5に記載の遊技機であって、
前記収容部は、上側に開放した箱状であり、前記遊技機枠の上縁(50U)側に設けられており、
前記可動部材は、前記非収容状態にあるときには少なくとも一部が前記枠縁のうちの前記上縁よりも上方に位置するものであることを特徴とする遊技機である。
手段6に係る発明によれば、比較的大きなスペースの空いている遊技機枠の上方に可動部材が変位するため、可動部材の動きを大きなものにしたり、可動部材自体を大きく構成したりすることが可能となる。つまり、より演出効果の高い可動部材を設けることが可能となる。
なお、本発明の「収容状態」とは、本形態では、枠可動体600(左側可動体600L,右側可動体600R)が収容部290に収容され待機位置(回転待機位置)にある状態である。また、「非収容状態」とは、可動体600が図33に示す動作位置(後述する回転動作位置)にある状態である。
また、本発明の「所定の管理操作条件の成立中」とは、本形態では、遊技機1(900)を設置しているホールの従業員等による前枠53(920)の開放中に伴い、ステップS7204で前枠開放スイッチ58のON状態を検知しているとき(期間)である。
また、本発明の「可動部材が前記収容状態にないとき」とは、本形態では、可動体600L,600Rが図33に示す状態(非収容状態)にあるときに限らず、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置、または、回転動作位置から回転待機位置に至る途中や、可動体600L,600Rが回転動作位置のうち耳部材614が非突出位置から突出位置、または、突出位置から非突出位置に至る途中であるときも含む概念である。