JP6708449B2 - 直線変位測定装置のスケール保持構造 - Google Patents
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Description
この構成により、基台91に対するステージ92の相対変位が精密に測定される。
スケール部200は、長手状のスケール210(図2参照)と、スケール210を収容するスケールホルダ220と、を備える。スケール210は、主としてガラス基板で構成されており、測長軸方向に目盛りが形成されている。光電式の例でいうと目盛りは回折格子である。
スケール210は、スケールホルダ220の内部において、スケールホルダ220に形成されたスケール保持用の溝240(以後、スケール保持溝と称する)に嵌め込まれた状態で保持されている。
スライダ300は、スケール210上をスケール210に沿って走行する走行体400と、スケールホルダ220の外部にあってスケール部200に沿ってスライド移動するキャリッジ部310と、走行体400とキャリッジ部310とを連結する連結手段500と、を備える。
一方、スケール210は主としてガラス基板で構成されている。
スケール210とスケールホルダ220とでは材質が異なるわけであるから熱膨張係数が異なる。例えば、長尺のスケール210を考えると、保障温度内でも両者にはミリメートル単位の伸縮差が生じる。
近年ではスケール210が3mを超えるような長尺化の傾向にある。直線変位測定装置100の保管保障温度は−20℃から70℃の範囲であるが、この場合、保障温度内でも両者には両端で1.5mm程度の伸縮差が生じる。
したがって、スケール210をスケールホルダ220に取り付けるにあたっては、完全に固定しまうのではなく、ある程度伸縮差を許容できるようにしておく必要がある。
また、図3のIV−IV線断面図を図4に示した。
前述の通り、スケール210は、スケールホルダ220に形成されたスケール保持溝240に嵌め込まれた状態で保持されている。このとき、細い円柱状の丸ゴム250がスケールホルダ220とスケール210との間に押し込まれる。
図4に示されるように、丸ゴム250は測長方向に所定のピッチPで配設される。
ゴム250の弾性によって、スケール210がスケールホルダ220に押し付けられ(付勢され)、スケール210がスケールホルダ220にしっかりと保持される。このとき、ゴム250は弾性変形できるので、スケールホルダ220とスケール210との間の伸縮差が許容される。
ここで、計算通りに丸ゴム250を配置すれば耐衝撃性を確保できるのであるが、別の問題が発生することが分かった。
これは、おそらく、スケール210とスケールホルダ220とが伸縮するとき、スケール210とゴム250との間、あるいは、スケールホルダ220とゴム250との間にわずかな滑りが発生し、これが歪みとして残るためと考えられる。特に、スケール210とスケールホルダ220との伸縮差が大きいと、この滑りが発生しやすくなると考えられる。
スケール210の歪みは測定誤差の要因となり、看過することはできない。しかし、単純にゴム250の数を減らすことはできない。
ゴム250の数を減らしてしまうと耐衝撃性が不十分となり、スケール210がスケールホルダ220から浮き上がったりすると、やはり測定誤差の原因になる。
長手状のスケール部と、前記スケール部に対して相対的にスライド移動可能に設けられたスライダと、を備え、前記スケール部に対する前記スライダの相対変位量あるいは相対位置を検出する直線変位測定装置であって、
前記スケール部は、長手状のスケールと、前記スケールを収容するスケールホルダと、を備え、前記スケールは、前記スケールホルダの内部において、前記スケールホルダに形成されたスケール保持用の溝に嵌め込まれた状態で保持されており、
前記スケール保持用の溝内において、前記スケールホルダと前記スケールとの間には、ゴムと接着剤とが配置され、
前記接着剤は前記ゴムと前記ゴムとの間にあって、前記ゴムと前記接着剤とはそれぞれ所定のピッチで配置されている
ことを特徴とする。
前記ゴムと前記接着剤とは交互に配置されている
ことが好ましい。
前記ゴムは、所定長さの細長い丸ゴムであり、
1つの前記接着剤の長さは、前記ゴムの配置ピッチの二分の一以下であり、
前記接着剤は前記ゴムと干渉しない
ことが好ましい。
前記ゴムの弾性定数は、5〜10[N/mm]であり、
前記接着剤の弾性定数は15〜20[N/mm]である
ことが好ましい。
また、例えば、接着剤の弾性定数を16〜18[N/mm]、より具体的には17.2[N/mm]にしてもよい。
前記接着剤の伸び率は、180〜220[%]である
ことが好ましい。
前記スケールホルダは、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金で形成され、
前記スケールはガラスで構成されている
ことが好ましい。
直線変位測定装置のスケール部において、スケールホルダの内部にスケールを保持するスケール保持構造であって、
前記スケールは、前記スケールホルダの内部において、前記スケールホルダに形成されたスケール保持用の溝に嵌め込まれた状態で保持されており、
前記スケール保持用の溝内において、前記スケールホルダと前記スケールとの間には、ゴムと接着剤とが配置され、
前記接着剤は前記ゴムと前記ゴムとの間にあって、前記ゴムと前記接着剤とはそれぞれ所定のピッチで配置されている
ことを特徴とする。
(第1実施形態)
図5は、スケール保持構造を示す図である。
図5は、図4に対応する図であり、スケール210はスケールホルダ220のスケール保持溝240に嵌っている。
ただし、丸ゴム250だけでスケール210を保持するのではなく、接着剤270を併用している点に特徴がある。すなわち、スケール210をスケールホルダ220に押し付けて保持するのにはゴム250の弾性が必要であるから必要な個数のゴム250も使い、併せて、弾性が小さい接着剤270をスケール保持溝240に配置してスケール210とスケールホルダ220との間を接着することとする。
これにより、要求される耐衝撃性に対し、すべてをゴム250の押し付け力(付勢力)でカバーするのではなく、耐衝撃性の一部はゴム250でカバーしつつも、残りを接着剤270で持たせるようにする。この接着剤270はスケール保持を補強する役目をもつことから、この接着剤270を補強接着剤270と称することにする。
参考としてKE−4897の特性を表に示す。
硬化したときの伸び率が180〜220[%]程度あることが好ましい。
スケール210とスケールホルダ220とに伸縮差が発生した場合でもスケール210に軸方向の過剰な力が掛からないようにするためである。
弾性定数が15〜20[N/mm]であることが好ましい。
補強接着剤270とゴム250とによってスケール210とスケールホルダ220とを保持する必要があるが、単に堅固に保持すればよいわけではなく、両者の伸縮差を許容する必要がある。
例えば、スケール210とスケールホルダ220との間が全面的に補強接着剤270で接着されてはいけない。これでは両者の伸縮差が許容されず、スケールホルダ220の伸縮に伴ってスケール210に軸方向に過剰な力が掛かってしまう。
前述のように、長尺のスケール210にあっては末端で1.5mmの伸縮差が生じることがあるが、全面的に接着剤が付着してしまってはこれだけの伸縮差を許容することはできない。
そのため、力学的な計算に基づき、ゴム250および補強接着剤270の配置はある程度決まってくる。
なお、ゴム250の硬度を50°、スケール210はガラス基板で幅が4.8mmのものとした。
このように、ゴム250と補強接着剤270とは交互にそれぞれ所定のピッチで配置され、1つの補強接着剤270の長さもある程度決まってくる。したがって、補強接着剤270はある程度の粘性を有し、設計通りの位置に留まる必要がある。
逆に、粘性が低すぎて流れてしまうようではいけない。
スケール210の長さが一義的に決まっていれば、好適な特性の接着剤を選んでくることも可能かもしれないが、長尺のスケール210としては、1mから3m、さらにはそれ以上の長さがあるのであり、スケール210の長さごとに接着剤の種類を変えるというのは融通が利かない。それよりは、本実施形態のように、ゴム250と接着剤270とを併用し、それぞれのピッチや接着剤長さを変化させることで対応した方が製造工程を考える上で実際的である。
第2に、スケール保持溝240の底に全面的に接着剤を流しこむと、これを硬化させることが極めて難しくなる。
したがって、本実施形態においても、スケール210の前面とスケール保持溝240の側面との間に補強接着剤270を配置しているのである。
補強接着剤270はスケール保持溝240に配設されるのであるので、空気に触れにくく乾燥しにくい。場合によっては、熱硬化性や光(紫外線)硬化性があってもよいし、嫌気性接着剤でもよい。
ゴム250の数が少なくなるので、仮にゴム250に残留歪みが残ったとしても、ゴム250の残留歪みに起因してスケール210の軸方向に過剰な力が掛かることはない。
したがって、長尺の直線変位測定装置100でありながらも、温度保障範囲が広く、かつ、高い精度保障もできる直線変位測定装置100とできる。
ゴム250の位置をある程度固定しておくため、ゴム250に接着剤を付けてもよい。すなわち、ゴム250とスケール210との間、あるいは、ゴム250とスケールホルダ220との間を接着剤でとめるようにしてもよい。
この接着剤は、ゴム250が動かないようにすればよいのであるから特段に材質は限定されないが、例えば、信越化学工業株式会社のシリコーン系接着剤であるKE−4897(製品番号)を使用してもよい。
1つ飛ばしや2つ飛ばしで補強接着剤270を配置すれば補強接着剤270を付ける場所が少なくなるのであるから、その分補強接着剤270を付ける作業工程が少なくなるというメリットがある。
図6に例示したようにゴム250とゴム250との間に1つ飛ばしで補強接着剤270を配置すれば、図5(第1実施形態)の場合に比べて補強接着剤270を付ける作業は略半分になると期待できる。
また、長尺スケール210に掛かる衝撃をバランスよく吸収する効果をできる限り高めるようにするには、力学的バランスの観点においてもできる限りゴム250および補強接着剤270の配置を分散させることが好ましいといえる。
したがって、ゴム250と補強接着剤270とを交互に配し、ゴム250とゴム250との間に少しずつ補強接着剤270があるようにすることが好ましい。
200…スケール部、210…スケール、
220…スケールホルダ、222…スリット、
240…スケール保持溝、250…ゴム、260…固定点接着剤、270…補強接着剤、
300…スライダ、310…キャリッジ部、
400…走行体、
500…連結手段。
Claims (5)
- 長手状のスケール部と、前記スケール部に対して相対的にスライド移動可能に設けられたスライダと、を備え、前記スケール部に対する前記スライダの相対変位量あるいは相対位置を検出する直線変位測定装置であって、
前記スケール部は、長手状のスケールと、前記スケールを収容するスケールホルダと、を備え、前記スケールは、前記スケールホルダの内部において、前記スケールホルダに形成されたスケール保持用の溝に嵌め込まれた状態で保持されており、
前記スケール保持用の溝内において、前記スケールホルダと前記スケールとの間には、ゴムと接着剤とが配置され、
前記ゴムは、所定長さの細長い丸ゴムであり、
前記接着剤は前記ゴムと前記ゴムとの間にあって、前記ゴムと前記接着剤とはそれぞれ所定のピッチで配置され、
前記ゴムと前記接着剤とは交互に配置されていて、
1つの前記接着剤の長さは、前記ゴムの配置ピッチの二分の一以下であり、前記接着剤は前記ゴムと干渉しない
ことを特徴とする直線変位測定装置。 - 請求項1に記載の直線変位測定装置において、
前記ゴムの弾性定数は、5〜10[N/mm]であり、
前記接着剤の弾性定数は、15〜20[N/mm]である
ことを特徴とする直線変位測定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の直線変位測定装置において、
前記接着剤の伸び率は、180〜220[%]である
ことを特徴とする直線変位測定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の直線変位測定装置において、
前記スケールホルダは、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金で形成され、
前記スケールはガラスで構成されている
ことを特徴とする直線変位測定装置。 - 直線変位測定装置のスケール部において、スケールホルダの内部にスケールを保持するスケール保持構造であって、
前記スケールは、前記スケールホルダの内部において、前記スケールホルダに形成されたスケール保持用の溝に嵌め込まれた状態で保持されており、
前記スケール保持用の溝内において、前記スケールホルダと前記スケールとの間には、ゴムと接着剤とが配置され、
前記ゴムは、所定長さの細長い丸ゴムであり、
前記接着剤は前記ゴムと前記ゴムとの間にあって、前記ゴムと前記接着剤とはそれぞれ所定のピッチで配置され、
前記ゴムと前記接着剤とは交互に配置されていて、
1つの前記接着剤の長さは、前記ゴムの配置ピッチの二分の一以下であり、前記接着剤は前記ゴムと干渉しない
ことを特徴とするスケール保持構造。
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