JP6704551B1 - 溶融混合物、溶融混合物の製造方法、組成物、組成物の製造方法並びに成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマス材料の利用により環境特性に優れ、かつ衝撃強度の低下が少なく、低比重にして高剛性で成形外観に優れた樹脂組成物を提供する。【解決手段】特定の平均繊維径及び平均繊維長を有するナノ天然高分子と特定の分子量の範囲にあるスチレン樹脂とを混合、粉末化した粉末状ナノ天然高分子、ならびにこれを樹脂等へ特定量配合した樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、溶融混合物、溶融混合物の製造方法、組成物、組成物の製造方法並びに成形品に関する。
近年、環境保護の観点からバイオマス材料が注目されており、自動車、OA・電気電子分野向け材料として天然由来の有機充填材やバイオポリマーとの複合材料が、使用され始めている。また、剛性等の機械的強度や耐熱性を向上させる目的で、樹脂組成にガラス繊維等の無機充填剤を配合する方法が検討されている。しかしこれらの無機充填剤は、無機充填剤そのものの比重が大きいため、或いは大量に加える必要があるため、成形品の比重が増大し、又はさらに焼却又は廃棄時にゴミとなる残留物が増加して環境に負荷がかかる等の問題がある。
特許文献1には、芳香族ポリカーボネート樹脂に脂肪族ポリエステルと天然由来の有機充填材を配合して機械特性及び難燃性に優れた樹脂組成物とするために、天然由来の有機充填材としてジュート繊維やレーヨン繊維を用いて樹脂組成物と複合化した技術が開示されている。
特許文献2には、セルロースナノファイバーなどのナノファイバーの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいはゴムからなるマトリックス成分中での分散性を高めることができる粉末状ナノファイバー、この粉末状ナノファイバーをマトリックス成分(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゴム)に配合した組成物に関する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている天然由来の有機充填材としてジュート繊維やレーヨン繊維を用いて樹脂組成物と複合化して得られる樹脂組成物は、衝撃強度の低下が大きかったり、成形外観が不十分であったりし、また着色が大きく、成形時の熱安定性も十分ではない。また、特許文献2に記載されている粉末状セルロースナノファイバーは、マトリックス成分中に分散させる点に関し、役に立ちうる発明である。しかしながら、その製造方法や得られる樹脂組成物の物性値等について更なる改良が依然として必要とされている。
特開2010−215791号公報 特許第6189559号
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑み、樹脂等のマトリックス成分中での分散性を高めることができる溶融混合物と、その製造方法、ならびにこのナノ天然高分子を樹脂等のマトリックス成分中に均一に分散させることで、環境特性に優れ、かつ衝撃強度の低下が少なく、低比重にして高剛性で成形外観に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、着色が抑えられた樹脂組成物を提供することをさらなる目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の平均繊維径及び平均繊維長を有するナノ天然高分子と特定の分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重量平均分子量が2200〜3800である重合体とを溶融混合して得られる溶融混合物を樹脂等へ特定量配合することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明の溶融混合物は、セルロースナノファイバーと、セルロースナノファイバー1質量部に対して、重量平均分子量が2200〜3800であるスチレン系重合体を0.05〜5質量部含む溶融混合物であって、溶融混合物のYI値が24.93以下であることを特徴とする。

本発明により、樹脂等のマトリックス成分中での分散性を高めることができる溶融混合物と、衝撃強度の低下が少なく、高剛性で成形外観に優れた樹脂組成物が提供される。また、樹脂組成物自体の着色を抑えることのできる溶融混合物並びに着色が抑えられた樹脂組成物が提供される。
CNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。 他のCNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。 図2におけるCNFの製造(解繊処理)装置の一部を拡大して示す概念図である。 ACC法によるCNFの模式図である。 本願発明による組成物の製造方法の模式図である。 パンクチャー衝撃試験結果の破壊形態を示した図である。 実施例38によるパンクチャー衝撃試験の試験結果を示す写真である。 実施例39によるパンクチャー衝撃試験の試験結果を示す写真である。 実施例40によるパンクチャー衝撃試験の試験結果を示す写真である。 比較例18によるパンクチャー衝撃試験の試験結果を示す写真である。 実施例41による動的粘弾性測定による測定結果を示す図である。 実施例42による動的粘弾性測定による測定結果を示す図である。
[(A)ナノ天然高分子]
本発明に用いるナノ天然高分子としては、直径が1〜1000nm未満の繊維状物質であり、長さが直径の100倍以上である天然高分子ナノファイバー、又は直径が10〜50nm、長さが100〜500nm以下の棒状、あるいは紡錘形をした超微細結晶である天然高分子ナノクリスタルである。
本発明に用いる天然高分子としては、特に限定しないが、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類、コラーゲン、ゼラチン等のタンパク質、ポリ乳酸、ポリカプロラクタム等が挙げられる。
本発明においてナノ天然高分子の結晶化度は50%以上の範囲にあるものを使用することが好ましい。結晶化度が低いナノ天然高分子を使用した場合には、ナノ天然高分子の比表面積が低下することにより樹脂への担持する能力が劣り、強度、弾性及びチキソ性の低下によって樹脂成形品の能力及び作業性(樹脂の流動性、樹脂成型品の保形性)が劣るからである。また結晶化度が低いと腐敗もしやすくなる。
本発明においてナノ天然高分子の平均重合度は400〜900の範囲にあるものを使用することが好ましい。平均重合度900より高い重合度のものは、ナノ天然高分子の比表面積が低下することにより樹脂への担持する能力が劣り、樹脂の補強効果が劣るためである。平均重合度が400未満の場合は、解繊に必要な工程が増加するため、ナノ天然高分子製造時のコストが増加する。
次いで、天然高分子としてセルロースを用いたセルロースナノファイバー及びセルロースナノクリスタル水溶液の調製方法について説明する。本発明において、CNFとしては例えば、木材繊維、広葉樹、針葉樹、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維、葉繊維、海藻類等の天然の植物を含む多糖由来のCNFが挙げられ、これらCNFは一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。また、バガス、稲わら、茶殻、果汁の搾り粕等の植物の葉、花、茎、根、外皮等に由来する作物残渣から産出されるものであっても良い。これらCNFは一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。また多糖としてはα−セルロース含有率60%〜99質量%のパルプを用いるのが好ましい。α−セルロース含有率60質量%以上の純度であれば繊維径及び繊維長さが調整しやすくなって繊維同士の絡み合いを抑えることができ、α−セルロース含有率60質量%未満のものを用いた場合に比べ、溶融時の熱安定性が高く、衝撃強度の低下を引き起こすことがないほか、着色抑制効果が良好であり、本発明の効果をより優れたものとすることができる。一方、99質量%以上のものを用いた場合、繊維をナノレベルに解繊することが困難になる。
本発明におけるCNFは、以下の解繊処理行うことによりCNF分散液(以下、含水状態のCNFということもある。)として得られる。
解繊処理は、図1に示した水中対向衝突法(以下、ACC法と言うこともある。)を用いて行う。これは、水に懸濁したパルプをチャンバー(図1:107)内で相対する二つのノズル(図1:108a,108b)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である。図1に示される装置は液体循環型となっており、タンク(図1:109)、プランジャ(図1:110)、対向する二つのノズル(図1:108a,108b)、必要に応じて熱交換器(図1:111)を備え、水中に分散させた微粒子を二つのノズルに導入し高圧下で合い対するノズル(図1:108a,108b)から噴射して水中で対向衝突させる。
前記解繊処理を実施する前に、前処理装置を使用して解繊処理を実施してもよい(図2、図3)。また、その他の解繊方法として、かかる前処理装置を使用してもよい。前記前処理装置を使用した解繊処理は、0.5〜10質量%の水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させて行う。これは例えば図2に示す製造装置1を用いて行うことができる。製造装置1は、一のチャンバー2に対して多糖スラリを供給可能に配置される第1の液状媒体供給経路であるところの多糖スラリ供給経路3と、例えば水である非多糖スラリを一のチャンバー2を介して循環させる第2の液状媒体供給経路4とよりなる。一のチャンバー2内には第2の液状媒体供給経路4の非多糖スラリを多糖スラリ供給経路3からの多糖スラリ供給方向と交差する方向にオリフィス噴射するオリフィス噴射部5を備える。多糖スラリ供給経路3は、多糖スラリを一のチャンバー2を介して循環可能にされる。
多糖スラリ供給経路3と第2の液状媒体供給経路4とは一のチャンバー2内に相互の交差部6を有する。
多糖スラリ供給経路3は多糖スラリ供給部であり多糖スラリを貯留するタンク7、ポンプ8を循環路9に配置してなり、一方、第2の液状媒体供給経路4はタンク10、ポンプ11、熱交換器12、プランジャ13を循環路である液状媒体供給経路4に配置してなる。
なお非多糖スラリは、例えば水であり、当初タンク10に収納され、その後セルロースナノ繊維の製造装置1の作動に伴い交差部6を通過してタンク10に収納されたナノ微細化された多糖を操業の度合いに応じた濃度で含むことになった状態のものをも、包括的に指称する。
図3に示すようにチャンバー2を貫通する態様で多糖スラリ供給経路3の循環路9が配置され、これと交差する方向に非多糖スラリをオリフィス噴射して循環路9を貫通させることができるように第2の液状媒体供給経路4のプランジャ13に接続されるオリフィス噴射部5のオリフィス噴射口15がチャンバー2内側において開口する。チャンバー2のオリフィス噴射口15と対向する位置にチャンバー2の排出口16が設けられ、このチャンバー2の排出口16に第2の液状媒体供給経路4の循環路が接続されて、第2の液状媒体供給経路4が構成される。
一方、多糖スラリ供給経路3の循環路9は例えばビニルホース、ゴムホース、アルミパイプ等を用いて形成され、その循環路9のチャンバー2への入り側にはチャンバー2方向にのみ開弁される一方向弁17が取りつけられる。さらに循環路9のチャンバー2からの出側にはチャンバー2からの排出方向にのみ開弁される一方向弁18が取りつけられる。加えてチャンバー2と一方向弁18の間の循環路9にはエア吸入弁19が取りつけられ、このエア吸入弁19は外部から循環路9へエアを吸入する方向にのみ開弁される。
以上のセルロースナノ繊維の製造装置によれば以下のようにしてセルロースナノファイバーが製造される。
非多糖スラリを、チャンバー2を介して第2の液状媒体供給経路4を循環させる。具体的にはポンプ11を用いてタンク10内の非多糖スラリを熱交換器12、プランジャ13を通過させて液状媒体供給経路4内を循環させる。一方、多糖スラリを、チャンバー2を介して多糖スラリ供給経路3内を循環させる。具体的にはポンプ8を用いてタンク7内の多糖スラリをビニルホース、ゴムホース等を用いて形成された循環路9内を循環させる。
これにより、多糖スラリ供給経路3内を循環してチャンバー2内を流通する多糖スラリに対して第2の液状媒体供給経路4を循環する非多糖スラリがオリフィス噴射される。具体的にはプランジャ13に接続されるオリフィス噴射口14にプランジャ13から高圧水が供給され、これがオリフィス噴射口15から循環路9に向けて50〜400MPa程度の高圧でオリフィス噴射される。
その結果、例えばビニルホース、ゴムホース、アルミパイプ等を用いて形成された循環路9に予め形成された貫通孔27a、bを通過して、循環路9と交差する方向に循環路9内側を通過した非多糖スラリが循環路9内を循環する多糖スラリを巻き込みながらチャンバー2の排出口16に向けて排出され、第2の液状媒体供給経路4に流入する。これによって、非多糖スラリが第2の液状媒体供給経路4内を再度循環する。
以上のプロセスを反復する過程で多糖スラリ供給経路3内を循環してチャンバー2内を流通する多糖スラリ及び第2の液状媒体供給経路4を循環する非多糖スラリ中の多糖が徐々に解繊されて、用途に応じた解繊度合の均一性の高いCNF分散液が得られる。
パルプ繊維からCNFへの解繊度合は、CNF分散液の粘度値により評価することが出来る。すなわち、解繊度を高めたCNF分散液に含まれるCNFは繊維長さが短いものであるため、粘度値が低いものとなる。したがって、解繊度が高いCNF分散液は、粘度が低いものとなる。一方、これより粘度値が高いCNF分散液は、係るCNF分散液に含まれるCNFは繊維長さが長いものであるため、その粘度値が高いものとなる。したがって、前記CNF分散液と比較して解繊度が低いものとなる。
また、解繊後の繊維径に対する繊維長の比(アスペクト比)がパルプ繊維毎に異なるので、CNF分散液の粘度値はそれぞれ異なるものとなる。
さらに、例えば、異なる種類のパルプ繊維を組み合わせることにより、又は、前記解繊度合を調製することにより、CNF水分散液1wt%における粘度を概ね300〜10000mPa・sの範囲で調整することができる。
以上のようにして得るCNFは、天然セルロース繊維間の相互作用のみを解裂させることによってナノ微細化を行うためセルロース分子の構造変化がなく、以下の化学式1に表わされる構造式を有する。換言すると、本願発明で用いるCNFは、化学式1中のセロビオースユニット内に水酸基6個を有し、化学修飾されていないことを意味する。これは、FT-IRを使用してセルロースのIRスペクトルと本願発明に使用するCNFとを比較することで確認することができる。 本ACC法により、セルロース繊維の平均粒子長を10μmにまで粉砕することができ、その結果、平均太さ3〜200nmであり、平均長さ0.1μm以上であるCNFが得られる。
本発明におけるセルロースナノクリスタルは、ACC法により得られたセルロースファイバーに、硫酸などの酸を用いる酸加水分解などの化学的処理を施すことにより、若しくは、ACC法による微細化処理の前のパルプに、硫酸等の酸加水分解等の化学的処理を施した後、ACC法により微細化処理を行うことにより得られる。また、セルロースナノクリスタルは、セルロースナノウィスカーとも呼ばれる。
平均太さと平均繊維長さの測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等を適宜選択し、CNFを観察・測定し、得られた写真から20本以上を選択し、これをそれぞれ平均化することにより求める。一方で、対向衝突処理においては、加えられるエネルギーが共有結合を切断するエネルギーには、はるかに及ばず(推定1/300以下)、セルロースの重合度の低下は生じにくい。本ACC法によって得られたセルロースナノファイバーは、親水サイトと疎水サイトが共存し、両親媒性を示す。
なお、本発明においては、他のセルロースナノファイバーの製造方法として公知であるTEMPO酸化触媒、リン酸エステル化処理、オゾン処理、酵素処理、マレイン酸処理、無水アルケニルコハク酸による疎水変性、アルキルケテンダイマーによる疎水変性、アセチル化による疎水変性などの化学的処理をする方法によって得られるセルロースナノファイバー又はグラインダー(石臼型粉砕機)、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナーなどの機械的作用を利用する湿式粉砕でセルロース系繊維を細くする物理的方法によって得られるセルロースナノファイバーであっても、本発明においてCNF分散液として使用することができる。また、化学的処理及び物理的処理を併用する方法によって得られたセルロースナノファイバーをもCNF分散液として利用することができる。
以上の様にして得るナノ天然高分子は、溶媒分散状態における固形分濃度が20%以上とすることによって分散剤との馴染みが改善し、凝集物を生成しにくい。そのため樹脂に対して効率的に分散することができる。固形分濃度が20%未満である場合には、セルロースナノ繊維同士で凝集物を生成しやすいため、その凝集物が樹脂中での分散性の悪化要因となる。さらに、混練時の樹脂温度の低下により混練時の不均一なせん断力を招く結果となり、そのため混練過程での均一分散の障害となっており好ましくない。さらには、混練装置の温度上昇を妨げるため熱エネルギーのロスを招くことになる。
[(B)特定の分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重合体
特定の分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重合体は、ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体であり、ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を挙げることができ、好ましくは、スチレンである。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−アクリル酸−スチレン、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体のオリゴマー、また、その水素化物等が代表的なものである。このなかでも特に物性面、コスト面から、スチレン重合体、アクリロニトリル−スチレン重合体が好ましい。なお、スチレン系重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明で用いられるスチレン系重合体は、有機溶媒中でフリーデルクラフツ型触媒存在下、スチレンモノマーを特殊な条件下、重合してえられる重量平均分子量が2200〜3800、重量平均分子量/数平均分子量の比が1.6〜2.1、Z平均分子量/重量平均分子量の比が1.6〜2.0、軟化点が60〜160℃、好ましくは、80〜130℃、更に好ましくは、95〜120℃のスチレン重合体である。軟化点がこのような範囲にあることで、粉末化する手段の加熱温度を低くでき、さらに、エネルギーコスト削減にも寄与することとなる。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の値をいう。
スチレン系重合体は、市販品として入手することも可能であり、市販品としては、例えば、東亜合成社製、商品名「アルフォン(登録商標)UP−1150」、ヤスハラケミカル社製、商品名「YSレジンSX−100」等が好ましく挙げられる。
(溶融混合物中のスチレン系重合体とCNFの割合)
本発明の溶融混合物は、(A)ナノ天然高分子1質量部に対し、(B)スチレン系重合体を好ましくは固形換算で0.05〜5質量部、好ましくは0.1質量部〜1質量部、さらに好ましくは0.2質量部〜0.6質量部である。スチレン系重合体は0.05質量部未満では、セルロースナノ繊維の分散性に効果は無く、5質量部より多いと強度物性が著しく低下するとともにブリード等による成形品表面の問題が発生する。
(溶融混合物の製造方法)
本発明の溶融混合物は、(A)ナノ天然高分子分散体と(B)スチレン系重合体とをミキサー等で混合し、ナノ天然高分子混合体とし、これを二軸押出機、加圧ニーダー等を用いて加熱し、剪断及び水分除去をすることによって得られる。このようにすることで、ナノ天然高分子の水酸基とスチレン系重合体とが結合し、ナノ天然高分子が水素結合することなく、ナノ天然高分子として存在する。
この製造方法は、まず、(A)ナノ天然高分子分散体と(B)スチレン系重合体とを混合する混合工程を行う。混合に用いる装置は、タンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー等で代表される高速ミキサーを用いることができる。
次いで、得られたナノ天然高分子混合体を加熱するとともに剪断力を加えて、前記混合物の水分を除去し、粉末化する工程を行う。
粉末化する手段は、加熱するとともに、剪断力を加えることができれば特に制限されない。具体的には、単軸押出機、二軸押出機、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー、往復式混練機、ロール混練機等を例示することができる。ここで、二軸混練機等の連続式押出機を用いると、樹脂等への混練工程まで連続して作業を行うことができるため効率性が良く特に好ましい。また、粉末化工程において発生する水分その他の揮発分を除去するため、脱気設備等を用いてもよい。なお、ナノ天然高分子混合体への加熱条件としては、前記スチレン系重合体の軟化点を含む温度であれば、その加熱温度及び加熱時間等の加熱条件は特には制限されない。
このとき、ナノ天然高分子とスチレン系重合体の配合率を変えることにより、溶融混合物の形態を粉末状の溶融混合物或いはペレット状の溶融混合物とすることができる。また、押出機などにTダイを設置すれば、シート状の溶融混合物とすることができる。
[(C)樹脂成分]
本発明の組成物に用いられる(C)樹脂成分としては、(C−1)熱可塑性樹脂、(C−2)熱硬化性樹脂、あるいは(C−3)ゴムが挙げられる。
(C−1)熱可塑性樹脂:
ここで、熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形を行う樹脂を言う。その具体例としては、ポリエチレン(HDPE、MDPE、LDPE)、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂(ポリスチレンとアクリルニトリルの共重合体)、メタクリル樹脂等の汎用プラスチック、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタラート、超高分子用ポリエチレンなどの汎用エンプラ又は、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリイミド、液晶ポリマー、フッ素樹脂等のスーパーエンプラの各群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。PVAやポリエチレングリコールといった水に可溶や常温で液体である特長を持つ液体で用いることができる樹脂も利用できる。なお、これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(C−2)熱硬化性樹脂
本発明の樹脂組成物において、(C)マトリックス成分として、(C−2)熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化性樹脂は、本発明の樹脂組成物において、セルロースナノファイバーと均一に分散した状態で存在している。熱硬化性樹脂の種類に特に制限はない。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ジリアフタレート樹脂などが挙げられる。ジシクロペンタジエン樹脂といった水に可溶や常温で液体である特長を持つ液体で用いることができる樹脂も利用できる。なお、これらの熱硬化性樹脂は1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(C−3)ゴム
使用するゴムとしては、例えば天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、エチレン−ブテン−1共重合ゴム、エチレン−ヘキセン共重合ゴム、エチレン−オクテン共重合ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、部分水添スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンゴム、スチレングラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−グラフト−エチレン−プロピレン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレン共重合ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴムがなど挙げられる。なお、これらのゴムは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
更に、上記の(C−1)、(C−2)の樹脂に、これらゴムを配合してなるポリマーアロイを用いてもよい。ラテックスゴムといった液体で用いることができるゴムも利用できる。なお、ポリマーアロイ中のゴムの含量は、樹脂の特性に新たな特性を付加するという観点から、50質量%以下であることが好ましい。
(樹脂組成物中の各成分の割合)
本発明の組成物は、(A)ナノ天然高分子が0.5〜50質量%、(B)スチレン系重合体が0.025〜30質量%、(C)樹脂成分が20〜99.475質量%、[ただし、(A)+(B)+(C)=100質量%]である。
(A)成分が0.5%未満では、得られる組成物の強度、樹脂単体との差別化が困難となり、一方50質量%を超えると溶融粘度が高くなり得られる樹脂組成物の成形性が劣る。
また、(B)スチレン系重合体が0.025質量%未満では、セルロースナノファイバーなどの(A)ナノ天然高分子の分散が悪くなり、(C)樹脂成分との相溶性が低下することになり、一方30質量%を超えると、樹脂成分中に分散剤のみが溶解し、機械的特性などの物性が低下する。
さらに、(C)樹脂成分20質量%未満では、成形性が劣り、また組成物の混練工程にて複合体が得られなくなり、一方、99.475質量%を超えると樹脂成分単体との差別化が困難となる。
(樹脂組成物の製造方法)
<組成物の製造方法>
本発明の組成物は、上記のようにして得られる粉末状ナノ天然高分子と熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいはゴムを用いて組成物を製造することができる。
この場合、本発明の組成物の製造方法は、(A)ナノ天然高分子と(B)スチレン系重合体を主成分とする粉末状ナノ天然高分子を、(C)樹脂成分と混練することによって得られる。
この混練は、以上のようにして得られる粉末状ナノ天然高分子と(C)マトリックス成分とを混練しながら複合化する工程である。
混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー、往復式混練機、ロール混練機等、公知の混練装置を使用する事ができる。
本発明の組成物の製造における、溶融混練時の温度は、(C)マトリックス成分の溶融温度に応じて適宜設定されるが、例えば、(C)成分の融点に20〜30℃を加えた範囲内とされる。融点を下回る場合、混練すべき樹脂が溶融せず、実質的に製造する事が不可能である。この範囲を上回る場合、製造に供した(A)ナノ天然高分子が熱によるダメージを受けて分子鎖の断裂、酸化劣化、変性等が発生し、機械物性を低下させるばかりでなく、不快な臭気の発生や変色につながる。
なお、(C)マトリックス成分として、(C−2)熱硬化性樹脂を用いる場合には、この溶融混練時には、硬化触媒あるいは硬化剤を加えずに、この溶融混練時に熱硬化が生じないようにする手立てを講じる必要がある。
[添加剤]
本発明の溶融混合物又は組成物は、その物性を損なわない限りにおいて又は耐衝撃性、エネルギー吸収性等の機能性を付与することを目的として、その混合時、成形時又は製造時に他の樹脂、添加剤、例えば、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、1,2-BR系又はフッ素系等の各種熱可塑性エラストマー、相溶化剤、界面活性剤、でんぷん類、多糖類、ゼラチン、ニカワ、天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末、顔料、染料、強化剤、充填剤、耐熱剤、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、着色剤、香料、レベリング剤、可塑剤、流動性改良剤、導電剤、帯電抑制剤等、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤又は金属石鹸を添加することができる。
任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されても良いが、例えば、溶融混合物においては、溶融混合物中50質量%以下であることが望ましい。また、組成物においては、組成物中15質量%程度以下が好ましく、10質量%程度以下がより好ましい。
本発明における熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントからなる重合体とソフトセグメントからなる重合体との混合物や、ハードセグメントからなる重合体とソフトセグメントからなる重合体との共重合物等を挙げることができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしては、例えば、ポリスチレンからなるセグメント等を挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、例えば、ポリブタジエン、水素添加されたポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加されたポリイソプレンからなるセグメント等を挙げることができる。より具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)共重合体、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)共重合体等のブロック共重合体を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ポリオレフィン系エラストマーは、ハードセグメントとしては、ポリプロピレンやプロピレン−エチレンの共重合体、ポリエチレン等からなるセグメント等を挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、たとえば、ポリエチレンや、エチレンと共に少量のジエン成分を共重合したものを挙げることができる。より具体的には、エチレン・ブテン共重合体、EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、変性エチレン・ブテン共重合体、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、変性EEA、変性EPR、変性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、アイオノマー、α−オレフィン共重合体、変性IR(イソプレンゴム)、変性SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、ハロゲン化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸変性体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びその酸変性物、及びそれらを主成分とする混合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてポリエステル構造を、ソフトセグメントとしてポリエーテルあるいはポリエステル等を共重合したものを挙げることができる。
ウレタン系エラストマーは、ハードセグメントとしては、例えば、ジイソシアナート類と鎖延長剤である短鎖ジオール類等との反応により生成するポリウレタンを挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、例えば、ポリエステルジオール類、ポリエーテルジオール類、ポリカーボネートジオール類等のポリマージオールが挙げられる。
本発明における相溶化剤としては、セルロースと親和性の高い極性基と樹脂と親和性の高い疎水性基からなる化合物が挙げられる。より具体的には極性基としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、グリシジルメタクリレートが例示され、疎水性基としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等が例示される。
本発明における金属石鹸としては、脂肪族カルボン酸の金属塩、脂環式カルボン酸の金属塩、芳香族のカルボン酸の金属塩等が挙げられ、好ましくは炭素数35以下の脂肪族カルボン酸の金属塩であり、より好ましくは炭素数35以下のモノカルボン酸の金属塩、さらに好ましくは炭素数10〜32のモノカルボン酸の金属塩である。金属塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛等の塩が挙げられ、これらの中では亜鉛が好ましい。
本発明における結晶核剤は、特に限定されないが、樹脂組成物の耐衝撃性と成形性の観点から、分子中に水酸基とアミド基を有する化合物、フェニルホスホン酸金属塩、フタロシアニン、リン酸エステルの金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、ロジン酸アミド、カルボヒドラジド類、N-置換尿素類、メラミン化合物の塩、ウラシル類、及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明における界面活性剤の例としては以下のものをあげることができる。イオン性界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤、モノソープ系アニオン性界面活性剤、エーテルサルフェート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエチルなどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールなどのエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルジブチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルビスフェニルエーテル、ポリオキシアルキルクミルフェニルエーテル等の芳香族系非イオン性界面活性剤があげられる。上記において、アルキルとは炭素数が1−20から選択されるアルキルであって良い。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
本発明において、「溶融混合物」及び「組成物」の発明を、その特定事項として製造方法によっても特定している。以下、その理由を図4、図5を参照しながら説明する。
図4に示すようにACC法によって得られるCNFは疎水面と親水面とを有することを特徴としている。この特徴は、以下のように説明される。
ACC 噴出圧 200MPa ではグルカンシート中の水素結合を開裂させるエネルギーには至らず、集積シート間のファンデルワールス力のみを開裂させることができると推定される。その結果、新たにグルカンシートの疎水性部位がナノファイバー表面に露出されることになる。
図5(a)による組成物の製造方法、すなわち、本発明による製造方法は、CNFに相溶化剤、界面活性化剤、熱可塑性エラストマー等と共に溶融混練し溶融混合物を得る工程と、得られた溶融混合物と樹脂とを溶融混練する工程とによって得られるものである。一方、図5(b)による組成物の製造方法は、CNFと相溶化剤、界面活性化剤、熱可塑性エラストマー、樹脂等を溶融混練する工程によって得られるものである。
この両者の製造工程の違いは、得られた組成物中のCNFの周辺に存在する相溶化剤等に現れる。すなわち、図5(a)による方法では、先にCNFに相溶化剤等を被覆させているから、必然的に、組成物中のCNFの周辺に相溶化剤等が存在することになり、CNFと相溶化剤等の界面接着をより強固にする事ができ、組成物の物性値を効果的に上げることができる。一方、図5(b)による方法では、CNFと相溶化剤等とを一度に溶融混練させるため、組成物中のCNFの周辺に必ずしも、相溶化剤等が存在することにはならず、図5(a)と比較し、CNF周辺に相溶化剤等が存在する確率は低いものとなる。
ここで、図5(a)による製造方法によって得られる組成物を、一概に特定することは困難である。これは、組成物中のCNFの周りにいずれの成分がどれくらいの割合で存在しているかを解析するには、本願出願時における解析技術からして、不可能である。仮に、電子顕微鏡等を用いて組成物の内部を表出させるなどして、当該組成物中の状態を測定したとしても、その特定の状態が判明するだけであり、組成物中の状態を全て明らかにすることは現実的ではない。さらに、図5(a)の出発原料において疎水面と親水面とがどれくらいの割合で存在するか及び溶融混合物中にいずれの成分がどれくらいの割合でCNF表面に存在するかを解析するには、本願出願時における解析技術からして、前述の理由と同様の理由により不可能である。
本願発明のように得られる溶融混合物及び組成物をその構造又は特性により直接特定するためには、特定する作業を行うことに著しく過大な経済的支出時間を要するため、出願時に一義的に特定することは事実上困難である。
そこで本願発明では、溶融混合物及び組成物において製造方法を発明特定事項としている。
<成形>
以上のようにして得られる本発明の樹脂組成物は、各種の成形方法で成形品とされるが、成形方法は、熱可塑性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物、さらにはゴム組成物により異なる面があり、以下の成形方法から適宜使い分けて成形すればよい。
すなわち、本発明の組成物から板状の製品を製造するのであれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、異形押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。また、フィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造することができる。特に、液状の熱可塑性樹脂にセルロースナノファイバーを添加する場合には、成形材料をプリプレグ化してプレスやオートクレーブにより加圧加熱する成形法が挙げられ、この他にもRTM(Resin Transfer Molding)成形、VaRTM(Vaccum assist Resin Transfer Molding)成形、FW(Filament Winding)成形、積層成形、ハンドレイアップ成形等が挙げられる。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例に記載の平均重合度は以下の測定方法により測定した。
(CNFの重合度測定)
CNF固形分量0.15gを30mLの0.5M銅エチレンジアミン溶液に溶解させ、キャノン・フェンスケ動粘度管を用いて、CNF・銅エチレンジアミン溶液の粘度ηを測定し、0.5M銅エチレンジアミン溶液の粘度をη0として、下記のSchulz−Blaschke式から極限粘度[η]を求めて、下記のMark−Houwink−Sakurada式から重合度DPを算出した。
比粘度 ηsp=η/η0−1
極限粘度[η]=ηsp/{c(1+A×ηsp)}
η0は0.5M銅エチレンジアミン溶液の粘度であり、cはCNF濃度(g/mL)であり、Aは溶液の種類によって決まる固有値であって0.5M銅エチレンジアミン溶液の場合にはA=0.28である。
重合度DP=[η]/Ka
Kとaは高分子と溶媒の種類によって決まる固有値であって、銅エチレンジアミン溶液に溶解したセルロースの場合としてK=0.57、a=1とした。
(実施例1)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)との割合を7:3(1:0.4)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系重合体混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を135℃とした。
(実施例2)
竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)との割合を9:1(1:0.1)として混合したこと以外はすべて実施例1と同様にして、粉末状セルロースナノファイバーを得た。
(比較例1)
竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製:YSポリスターT130)との割合を7:3(1:0.4)として混合したこと以外はすべて実施例1と同様にして、粉末状セルロースナノファイバーを得た。
(比較例2)
竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製:YSポリスターT130)との割合を9:1(1:0.1)として混合したこと以外はすべて実施例1と同様にして、粉末状セルロースナノファイバーを得た。
(実施例3)
実施例1において得られた粉末状セルロースナノファイバーを、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J105G、ホモPP、MFR9)に対して、5wt%となるように配合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、210℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型式:NPX7−IF)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
得られた試験片を用いて性能を各種試験によって評価し、その結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1において得られた粉末状セルロースナノファイバーを、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J105G、ホモPP、MFR9)に対して、10wt%となるように配合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、210℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型式:NPX7−IF)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
(比較例3)
比較例1において得られた粉末状セルロースナノファイバーを、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J105G、ホモPP、MFR9)に対して、5wt%となるように配合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、210℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型式:NPX7−IF)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
(比較例4)
比較例1において得られた粉末状セルロースナノファイバーを、ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J105G、ホモPP、MFR9)に対して、10wt%となるように配合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、210℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型式:NPX7−IF)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
(比較例5)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J105G、ホモPP、MFR9)のみを用いて、実施例1と同様にして、短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
(実施例5)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)との割合を7:3(1:0.4)とし、この混合物と熱可塑性エラストマーとを75:25の割合にて混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を135℃とした。
(実施例6)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)との割合を7:3(1:0.4)とし、この混合物と熱可塑性エラストマーとを88:12の割合にて混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を135℃とした。
(物性値測定)
複合化によって得られたポリオレフィン樹脂組成物の強度物性は、曲げ強度測定(曲げ弾性率、曲げ応力)、引張強度測定(引張弾性率、引張応力、引張ひずみ)を行った。いずれも小型卓上試験機(株式会社島津製作所製 型式:Ex−LX)を用い、曲げ強度測定では、短冊試験片を用いて、曲げ試験速度2.0mm/minにおいて、引張強度測定では、ダンベル試験片1BAを用いて、引張試験速度 10mm/minにおいて実施した。
(シャルピー衝撃試験)
JIS K7111−1:2012に従い、デジタル衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所、型式:DG−VB2、ハンマー容量:4.0J)を用いて衝撃試験を行った。
(粉末状セルロースナノファイバーの黄色度評価)
実施例1、2、5、6及び比較例1、2で得られた粉末状セルロースナノファイバーについて、測色色差計(日本電色工業株式会社製 型式:ZE6000、光源C/2)を用いて、JIS K 7373に従い、黄色度測定及び黄変度評価を行った。測定方法は、パウダー専用丸セルに粉体CNFを空隙がないように適度に詰め、1サンプルにつき3回測定を行った。
上記測定により得られた三刺激値X、Y、Z値から下記式を用いて黄色度(YI0)を算出した。
YI0=100(1.2769X−1.0592Z)/Y
次いで、黄変度評価(ΔYI)は、30%セルロースナノファイバーの三刺激値X、Y、Z値から上記式を用いて黄色度を算出し、この値を基準として、下記式を用いてそれぞれのΔYIを算出した。
ΔYI=YI−YI0
(樹脂組成物の黄色度評価)
実施例3、4及び比較例3、4で得られた樹脂組成物について、測色色差計(日本電色工業株式会社製 型式:ZE6000、光源C/2)を用いて、JIS K 7373に従い、黄色度測定及び黄変度評価を行った。
上記測定により得られた三刺激値X、Y、Z値から下記式を用いて黄色度(YI0)を算出した。測定方法は、1gでシートを作成(0.2mm)し、これを5枚重ね、さらにコピー用紙を3枚重ね測定した
YI0=100(1.2769X−1.0592Z)/Y
次いで、黄変度の評価(ΔYI)は、コピー用紙、ポリプロピレンの三刺激値X、Y、Z値から上記式を用いて黄色度を算出し、この値を基準として、下記式を用いてそれぞれのΔYIを算出した。
ΔYI=YI−YI0
結果を表1、表2及び表3に示す。表2により、全ての実施例において曲げ弾性率(MPa)、曲げ応力(MPa)、引張弾性率(MPa)及び引張応力(MPa)引張ひずみ(%)が良好であることがわかった。また、表1、表2及び表3により、全ての実施例において黄変度が低減しており、着色が抑えられていることがわかった。
(実施例7)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)とを70:30(質量%比)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系重合体混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表4に示す。
(実施例8)
実施例7における竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体とを90:10(質量%比)とした以外は、実施例7と同様にして物性値測定を行った。
(実施例9)
実施例7における竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体とを95:5(質量%比)とした以外は、実施例7と同様にして物性値測定を行った。
(実施例10)
実施例7における竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)とを90:5:5(質量%比)とした以外は、実施例7と同様にして物性値測定を行った。
(比較例6)
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
表4より、全ての実施例において曲げ弾性率及び引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
(実施例11)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを43:19:23:5:10(質量%比)として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表5に示す。
(実施例12)
実施例11において、熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)を熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)としたこと以外は、実施例11と同様にして物性値測定を行った。
(実施例13)
実施例11において、熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)を熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)とし、質量比を43:19:11.5:11.5:5:10としたこと以外は、実施例11と同様にして物性値測定を行った。
(比較例7)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
表5より、全ての実施例において曲げ弾性率及び引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
(実施例14)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)とを70:30(質量%比)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系重合体混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表6に示す。
(実施例15)
実施例14において、竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体を竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを47:15:23.5:4.9:9.6(質量%比)とした以外は、実施例14と同様にして物性値測定をおこなった。
(実施例16)
実施例14において、竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体を竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを50:10:25:5:10(質量%比)とした以外は、実施例14と同様にして物性値測定をおこなった。
(実施例17)
実施例14において、竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体を竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系オリゴマー(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを51.9:7:25.8:5.1:10.2(質量%比)とした以外は、実施例14と同様にして物性値測定をおこなった。
(比較例8)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
(実施例18)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを43:19:23:5:10(質量%比)として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度180℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表6に示す。
(実施例19)
実施例18において、熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)を熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1062)とした以外は、実施例18と同様にして物性値測定をおこなった。
(実施例20)
実施例18において、熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)を熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)とした以外は、実施例18と同様にして物性値測定をおこなった。
(実施例21)
実施例18において、熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)を熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製、製品名:タフマーDF610)とした以外は、実施例18と同様にして物性値測定をおこなった。
(実施例22)
実施例18において、熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)を熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製、製品名:タフマーDF811)とした以外は、実施例18と同様にして物性値測定をおこなった。
(比較例9)
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度180℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
表6より、全ての実施例において曲げ弾性率及び引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
(実施例23)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)とを70:30(質量%比)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系重合体混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度180℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表7に示す。
(実施例24)
実施例23において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.05質量%加えたこと以外は、実施例23と同様にして物性値測定を行った。
(実施例25)
実施例23において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.25質量%加えたこと以外は、実施例23と同様にして物性値測定を行った。
(実施例26)
実施例23において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.50質量%加えたこと以外は、実施例23と同様にして物性値測定を行った。
(比較例10)
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度180℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
(実施例27)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)とを70:30(質量%比)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系重合体混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表7に示す。
(実施例28)
実施例27において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.05質量%加えたこと以外は、実施例27と同様にして物性値測定を行った。
(実施例29)
実施例27において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.1質量%加えたこと以外は、実施例27と同様にして物性値測定を行った。
(実施例30)
実施例27において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.20質量%加えたこと及びシリンダー温度を175℃としたこと以外は、実施例27と同様にして物性値測定を行った。
(実施例31)
実施例27において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.30質量%加えたこと及びシリンダー温度を175℃としたこと以外は、実施例27と同様にして物性値測定を行った。
(比較例11)
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
(比較例12)
比較例11において、ポリプロピレンをポリプロピレンと結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)の質量比を99.95:0.05としたこと以外は、比較例11と同様にして物性値測定を行った。
(比較例13)
比較例11において、ポリプロピレンをポリプロピレンと結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)の質量比を99.85:0.15としたこと以外は、比較例11と同様にして物性値測定を行った。
(比較例14)
比較例11において、ポリプロピレンをポリプロピレンと結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)の質量比を99.70:0.3としたこと以外は、比較例11と同様にして物性値測定を行った。
表7より、全ての実施例において曲げ弾性率及び引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
(実施例32)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを45:19:22:7:7(質量%比)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系重合体混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表8に示す。
(実施例33)
実施例32において、竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)に結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を加えて、44.1:19:22:7:7:0.9(質量%比)とした以外は実施例32と同様にして物性値測定を行った。
(実施例34)
実施例32において、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレンに結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を0.20質量%加えたこと以外は、実施例32と同様にして物性値測定を行った。
(実施例35)
実施例32において、竹パルプ由来のCNF水混合物とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)に結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)を加えて、53:10:22:7:7:1(質量%比)とした以外は実施例32と同様にして物性値測定を行った。
(比較例15)
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
表8より、全ての実施例において引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
(実施例36)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と金属石鹸(日東化成工業株式会社製:ZS−6)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)と結晶核剤(新日本理化株式会社製、製品名:NU−100)とを48.1:6.1:6.1:23.5:7.4:7.4:1.4として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J466HP、ホモPP、MFR3.1)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表8に示す。
(比較例16)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J466HP、ホモPP、MFR3.1)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及び多目的試験片A1を作製した。
(実施例37)
実施例36において、シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件をシリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件としたこと以外は、実施例36と同様にして物性値測定を行った。
(比較例17)
比較例13において、シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件をシリンダー温度170℃、金型温度80℃の条件としたこと以外は、比較例13と同様にして物性値測定を行った。
表9より、全ての実施例において引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
(パンクチャー衝撃試験)
(実施例38)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを45:19:22:7:7(質量%比)として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが30質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
次いで、得られたペレットとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが5質量%となる割合で混合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、180℃で溶融混練し、ペレット化した。
次いで、射出成形機を用いて、158mm×120mm×3.7mmtの平板とした。該平板を、JIS K7211−2に準拠し、パンクシャ衝撃試験機(株式会社島津製作所製、型式:HITS−P10)により、試験温度25℃において、ストライカー径:φ10mm、支持台径:φ100mm、打ち抜き速度:4.4m/secの条件で、パンクチャー衝撃試験を行い、破壊形態を評価した。
破壊形態YDは深絞りによって起こる降伏、破壊形態YSは安定き裂成長によって起こる降伏であり、破壊形態YUは不安定き裂成長によって起こる降伏であり、破壊形態NYは不安定き裂成長によって起こる降伏しない破壊であることを示す。測定結果を表10、表11及び図7〜図10に示す。
(実施例39)
実施例38において、得られたペレットとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合したこと以外は、実施例38と同様にしてパンクチャー衝撃試験を行い、破壊形態を評価した。
(実施例40)
実施例38において、得られたペレットとポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが15質量%となる割合で混合したこと以外は、実施例38と同様にしてパンクチャー衝撃試験を行い、破壊形態を評価した。
(比較例18)
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:BC04BW、射出成形グレード、MFR5)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、190℃で溶融混練し、ペレット化した。
次いで、射出成形機を用いて、158mm×120mm×3.7mmtの平板とした。該平板を、JIS K7211−2に準拠し、パンクシャ衝撃試験機(株式会社島津製作所製、型式:HITS−P10)により、試験温度25℃において、ストライカー径:φ10mm、支持台径:φ100mm、打ち抜き速度:4.4m/secの条件で、パンクチャー衝撃試験を行い、破壊形態を評価した。
表10より、実施例における破壊形態は全てYSとなった。この結果より、実施例38〜40においては、割れが生じていないから、外部からの衝撃エネルギーを吸収することができたといえる。
本願発明に係る組成物は、図5における模式図に表したとおり、組成物中のCNF周辺にスチレン系重合体、相溶化剤、熱可塑性エラストマー、界面活性剤等が存在しているから、外部からの衝撃による内部構造のずれをこれらの成分が吸収することにより、結果的に、外部からの衝撃エネルギーを吸収した(すなわち、振動エネルギー吸収性能を有する)ものと推測される。
(振動エネルギー吸収性能測定(動的粘弾性測定))
本発明の組成物の振動エネルギー吸収性能は、動的粘弾性測定で得られるtanδの温度依存性から求めることができる。すなわち、組成物の振動エネルギー吸収性能は、tanδのピーク値で評価される。tanδのピーク値が高いほど、振動エネルギー吸収性能に優れ、そのことにより高い制振性、防音性を実現できる物品を製造することが可能となる。
(実施例41)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)とを70:30(質量%比)として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して試験片を作製した。
次いで、損失正接(tanδ)の温度依存性を動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、型式:E-4000-DVE)を用いて下記の方法により測定した。測定結果を図11に示す。
(i)厚さ1.0mmの試験片から長さ17mm×幅3.3mmの短冊片を切り出し、動的粘弾性測定用の試験片とした。
(ii)引張モードにて、試験片を加振しながら昇温過程−80℃〜+150℃における材料の損失弾性率(E’’)および貯蔵弾性率(E’)を測定した。加振周波数は10Hz、昇温速度は2℃/分とした。
(iii)損失正接(tanδ)は貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E’’)の比から求めた。
(比較例19)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して試験片を作製した。
次いで、損失正接(tanδ)の温度依存性を動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、型式:E-4000-DVE)を用いて実施例41と同様に測定した。
(実施例42)
図11の測定結果より50℃において、tanδの値に有意差が見られたので、下記の方法により試験片を作成し、次いで、損失正接(tanδ)の周波数依存性を動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、型式:E-4000-DVE)を用いて下記の方法により測定した。測定結果を図12に示す。
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)とを70:30(質量%比)として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが30質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して試験片を作製した。
次いで、損失正接(tanδ)の温度依存性を動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、型式:E-4000-DVE)を用いて下記の方法により測定した。測定結果を図12に示す。
(i)動的粘弾性測定用の試験片の大きさを3.3×0.39×10(幅×厚み×長さ(mm))とした。
(ii)引張モードにて、試験片を加振しながら、温度を50℃とし、周波数0.10Hz〜900Hzにおける材料の損失弾性率(E’’)および貯蔵弾性率(E’)を測定した。
(iii)損失正接(tanδ)は貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E’’)の比から求めた。
(比較例20)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、真空射出成形機(株式会社ソディック製、型式:MS100)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して試験片を作製した。
次いで、損失正接(tanδ)の温度依存性を動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、型式:E-4000-DVE)を用いて実施例42と同様に測定した。
図12の測定結果より、周波数0.1〜1000Hzの範囲のtanδにより、減衰への寄与が確認され、内部摩擦よるエネルギーロスが発生していることが分かった。したがって、本願発明に係る組成物は吸音特性を有していることが分かった。これは、前述したパンクチャー衝撃試験の結果と同様の理由によるものと推測される。すなわち、本願発明に係る組成物は、図5における模式図に表したとおり、組成物中のCNF周辺にスチレン系重合体、相溶化剤、熱可塑性エラストマー、界面活性剤等が存在しているから、外部からのエネルギーによる内部構造のずれをこれらの成分が吸収することにより、結果的にエネルギーを吸収したもの(すなわち、振動エネルギー吸収性能を有する)と推測される。
(実施例43)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH−75B/I)を用いて、竹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)と熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)と界面活性剤(太陽化学株式会社製、製品名:チラバゾールP−4)と相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)とを50:30:10:5:5(質量%比)として混合した。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を140℃とした。
次いで、得られた粉末状セルロースナノファイバーとポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)とを、得られる組成物中のセルロースナノファイバーが10質量%となる割合で混合し、 二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型式:NPX7−1F)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
次いで、得られた試験片を用いて物性値測定を行った。測定結果及び処方量を表12に示す。
(実施例44)
実施例43において、熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)を熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)としたこと以外は、実施例43と同様にして物性値測定を行った。
(実施例45)
実施例43において、竹パルプ由来のCNF水混合物の割合を60、熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)の割合を5とし、相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)を配合しなかったこと以外は、実施例43と同様にして物性値測定を行った。
(実施例46)
実施例43において、竹パルプ由来のCNF水混合物の割合を60とし、熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル・カンパニー社製、製品名:エンゲージ8842)を熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、製品名:タフテックH1052)とし、これの割合を5とし、相溶化剤(化薬ヌーリオン株式会社製、製品名:カヤブリッド002PP)を配合しなかったこと以外は、実施例43と同様にして物性値測定を行った。
(比較例21)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製:J707G、ホモPP、MFR9)を二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供給し、175℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥させ後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型式:NPX7−1F)シリンダー温度190℃、金型温度50℃の条件で射出成形して短冊形試験片及びダンベル試験片1BAを作製した。
表12より、全ての実施例において曲げ弾性率及び引張弾性率が比較例と比較して向上していることがわかった。
本発明の溶融混合物は、樹脂への均一分散性、樹脂とのなじみ性、界面接着性に優れているので、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいはゴム成分に容易に均一にブレンドすることができる。また射出成形などの一般の樹脂成形法によりさまざまな用途の部品を得ることも出来る。例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品(例えば外板、シャシー、空力部材、タイヤ、座席など)、船舶部材(例えば船体、座席など)、航空関連部品(例えば、座席、内装材など)、宇宙航空機・人工衛星部材(モーターケース、アンテナなど)、電子・電気部品、摺動部材(歯車、ギア、ベアリング、メタルなど)、建築・土木材料・水処理材料(防振免振材、支承など)、塗料・インク、接着剤・シール剤・コート剤・バインダ剤、梱包・包装・フィルム材等にも好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. セルロースナノファイバーと、セルロースナノファイバー1質量部に対して、重量平均分子量が2200〜3800であるスチレン系重合体を0.05〜5質量部含む溶融混合物であって、
    溶融混合物のYI値が24.93以下であることを特徴とする溶融混合物。
  2. 前記溶融混合物に、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、1,2-BR系又はフッ素系の各種熱可塑性エラストマー、相溶化剤、界面活性剤、でんぷん類、多糖類、ゼラチン、ニカワ、天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末、顔料、染料、強化剤、充填剤、耐熱剤、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、着色剤、香料、レベリング剤、可塑剤、流動性改良剤、導電剤、帯電抑制剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤、金属石鹸から選ばれる1又は2以上の添加剤を配合してなることを特徴とする請求項1に記載の溶融混合物であって、溶融混合物のYI値が24.93以下であることを特徴とする溶融混合物。
  3. セルロースナノファイバーと重量平均分子量が2200〜3800であるスチレン系重合体を混合して混合物を得る工程と、
    得られた混合物を加熱するとともに剪断力を加えて、前記混合物の水分を除去する工程を含む溶融混合物の製造方法であって、
    得られた溶融混合物のYI値が24.93以下であることを特徴とする溶融混合物の製造方法。
  4. セルロースナノファイバーとスチレン系重合体とスチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、1,2-BR系又はフッ素系の各種熱可塑性エラストマー、相溶化剤、界面活性剤、でんぷん類、多糖類、ゼラチン、ニカワ、天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末、顔料、染料、強化剤、充填剤、耐熱剤、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、着色剤、香料、レベリング剤、可塑剤、流動性改良剤、導電剤、帯電抑制剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤、金属石鹸から選ばれる1又は2以上の添加剤を混合して混合物を得る工程と、
    得られた混合物を加熱するとともに剪断力を加えて、前記混合物の水分を除去する工程を含む溶融混合物の製造方法であって、
    得られた溶融混合物のYI値が24.93以下であることを特徴とする溶融混合物の製造方法。
  5. 少なくとも、セルロースナノファイバーと重量平均分子量が2200〜3800であるスチレン系重合体を混合して混合物を得る工程を含む溶融混合物であって、
    溶融混合物のYI値が24.93以下であることを特徴とする溶融混合物。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の溶融混合物と熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びゴムから選ばれた1又は2以上の成分とを含む組成物であることを特徴とする組成物。
  7. 請求項1又は請求項2に記載の溶融混合物と熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びゴムから選ばれた1又は2以上の成分とを含む組成物であって、
    振動エネルギー吸収性能を有することを特徴とする組成物。
  8. セルロースナノファイバーと重量平均分子量が2200〜3800であるスチレン系重合体とスチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、1,2-BR系又はフッ素系の各種熱可塑性エラストマー、相溶化剤、界面活性剤、でんぷん類、多糖類、ゼラチン、ニカワ、天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末、顔料、染料、強化剤、充填剤、耐熱剤、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、着色剤、香料、レベリング剤、可塑剤、流動性改良剤、導電剤、帯電抑制剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤、金属石鹸から選ばれる1又は2以上の添加剤を混合して混合物を得る工程と、
    得られた混合物を加熱するとともに剪断力を加えて、前記混合物の水分を除去する工程を含む工程によりYI値が24.93以下である溶融混合物を得る工程と、
    前記溶融混合物と熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びゴムから選ばれた1又は2以上の成分とを溶融混練する工程を含むことを特徴とする組成物の製造方法。
  9. 少なくとも、セルロースナノファイバーと重量平均分子量が2200〜3800であるスチレン系重合体とスチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、1,2-BR系又はフッ素系の各種熱可塑性エラストマー、相溶化剤、界面活性剤、でんぷん類、多糖類、ゼラチン、ニカワ、天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末、顔料、染料、強化剤、充填剤、耐熱剤、酸化抑制剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、着色剤、香料、レベリング剤、可塑剤、流動性改良剤、導電剤、帯電抑制剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤、金属石鹸から選ばれる1又は2以上の添加剤を混合して混合物を得る工程を含む組成物であって、
    振動エネルギー吸収性能を有することを特徴とする組成物。
  10. 請求項6又は請求項7又は請求項9に記載の組成物を成型してなる、成形品。
  11. JIS K7211−2に準拠し、ストライカー直径が10mm、サンプルサポート直径が100mm、打ち抜き速度が4.4m/sec、サンプル厚み3.7mmにて実施したパンクチャー衝撃試験において、破壊形態がYSであることを特徴とする請求項6又は請求項7又は請求項9に記載の組成物。
  12. JIS K7211−2に準拠し、ストライカー直径が10mm、サンプルサポート直径が100mm、打ち抜き速度が4.4m/sec、サンプル厚み3.7mmにて実施したパンクチャー衝撃試験において、破壊形態がYSであることを特徴とする請求項8に記載の組成物の製造方法。
  13. 振動エネルギー吸収性能を有することを特徴とする請求項8に記載の組成物の製造方法。
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