JP6704365B2 - 燃料電池発電システムの制御方法 - Google Patents
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Description
1.1.燃料電池発電システム
図1Aに示すように、第一の実施の形態に係る燃料電池発電システムは、単セルをセパレータを介して複数積層してなる燃料電池本体10と、ガス供給流路20、30と、ガス排出流路40、50と、ガス循環流路60、70と、排水経路65、75と、制御装置100とを少なくとも備えている。なお、図中では、便宜上、一つのセル10Aの両側にセパレータを備えた燃料電池本体10を例示している。
また、水素極11及び酸素極12の外気側では、供給する水素ガスと酸素ガスが燃料電池本体10のガス供給口及びガス流出口以外から流入しないように、電解質13と水素系及び酸素系セパレータ14、15にパッキンシール16を介在させている。パッキンシールとしては、例えば、フッ素系のゴム材料からなるパッキンシールが挙げられる。
また、燃料電池本体10には、水素ガス及び酸素ガスの温度をそれぞれ計測するための温度計17、18を設けている。また、燃料電池本体10は、その電流値(電流密度)を測定する電流計80とその電圧値を測定するための電圧計90と電気的に接続している。なお、電圧計90は、燃料電池本体10を構成する複数のセルの各電圧を測定できるように構成されている。
また、酸素極12は、その電解質膜13側に位置して導電性及びガス透過性を有すると共に酸素系触媒を含有する触媒層と、その酸素系セパレータ15側に位置して導電性及びガス透過性を有するガス拡散層とを有する。酸素系触媒としては、例えば、白金合金を担持したカーボン材料からなる触媒等が挙げられる。
また、電解質膜13は、プロトン伝導性を有し、かつ不純物ガスを透過できる膜であればよく、例えば、ナフィオン膜等の固体高分子電解質膜である。
また、ガス供給流路30は、酸素ガスを燃料電池本体10内に供給するために、一定量の酸素ガスを貯蔵した酸素ガスボンベ31と燃料電池本体10のガス供給口(以下、酸素ガス供給口ともいう。)とに連通している。ガス供給流路30には、酸素ガスボンベ31側から順に、酸素ガスボンベ31からの酸素ガスの積算流量を計測するための積算流量計32と、酸素ガスボンベ31からの酸素ガスの流量を計測するための流量計33とを設けている。
また、ガス排出流路50は、酸素ガスと共に酸素ガス中の不純物ガス(以下、酸素系不純物ガスともいう。)を燃料電池発電システムの系外へ排出するために、その一端が燃料電池本体10のガス流出口(以下、酸素ガス流出口ともいう。)と連通し、その他端がシステムの系外へ連通している。ガス排出流路50は、燃料電池本体10側から順に、酸素ガスの圧力を計測するための圧力計51と、酸素ガスを排出するための排出開閉弁52と、燃料電池発電システムの系外へ排出する酸素ガスを分析するためのガス分析計53とを設けている。
また、ガス循環流路70は、燃料電池本体10内で未反応の酸素ガスを再利用するために、その一端が圧力計51と排出開閉弁52との間でガス排出流路50と連通し、その他端が流量計33と燃料電池本体10の酸素ガス供給口との間でガス供給流路30と連通している。ガス循環流路70は、燃料電池本体10の酸素ガス流出口側から順に、循環開閉弁71と、酸素ガスから水(H2O)を分離する気水分離器72と、循環ブロア73とを設けている。気水分離器72は、酸素ガスから分離した水を系外へ排水するために、排水開閉弁74を設けた排水流路75の一端と連通している。
制御装置100は、電流計80、電圧計90、温度計17、18、積算流量計22、32、流量計23、33、圧力計41、51、ガス分析計43、53等からの情報に基づいて、排出開閉弁42、52、循環開閉弁61、71、排水開閉弁64、74等の開閉状態や循環ブロア63、73等の運転を調整制御することができるように構成されている。また、制御装置100は、水素ガスの情報及びそれに基づく制御と酸素ガスの情報及びそれに基づく制御とをそれぞれ独立して実施できるように構成されている。
次に、以上の第一実施の形態に係る燃料電池発電システムについて、その作動形態を説明することによって、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法の第一実施の形態を以下に説明する。第一実施の形態に係る燃料電池発電システムの制御方法は、循環工程と、濃縮工程と、電流制御工程と、排出工程とを少なくとも備える。
また、燃料電池本体10内で発電反応に寄与せずに燃料電池本体10の酸素ガス流出口から流出した未反応の酸素ガスを、循環ブロア73により、ガス循環流路70を介して気水分離器72へ送給して水を分離し、酸素ガスボンベ31からの新しい酸素ガスに合流させ、燃料電池本体10の酸素ガス供給口へ再び供給する。これにより、燃料電池本体10にて未反応の酸素ガスを燃料電池本体10に循環供給して、発電のために再利用する。
また、水素ガスボンベ21からの新しい水素ガスを、ガス供給流路20を介して燃料電池本体10の水素ガス供給口からその内部のセル10Aの水素極14に供給すると共に、酸素ガスボンベ31からの新しい酸素ガスを、ガス供給流路30を介して燃料電池本体10の酸素ガス供給口からその内部のセル10Aの酸素極15に供給して、発電に利用する。
水素ガスボンベ及び酸素ガスボンベ21、31に予め混入している不純物ガスの量は、予め分析が可能であり、燃料電池本体10の内部への侵入量を予測することができる。また、水素ガスボンベ21内の水素ガスと酸素ガスボンベ31内の酸素ガスの純度は、高い程好ましく、99%以上がより好ましく、純水素及び純酸素として99.9999%であることがより好ましい。これにより、水素ガス及び酸素ガスボンベ21、31に予め混入している不純物ガスの影響を防ぎ、燃料電池発電システム系外へ排出する不純物ガスの対象を窒素のみに限定することができる。また、燃料電池本体10の系外から侵入する不純物ガスのうちのの酸素は、酸化剤として燃料電池本体10内の酸素極12で消費される。このため、燃料電池本体10の系外から侵入し、燃料電池発電システム系外へ排出する不純物ガスの対象は、主に窒素とすることができる。
電流制御工程では、水素ガス中の不純物の濃度を、燃料電池本体10の電流値により制御する。燃料電池本体10の電流値を所定の制御範囲に制御することにより、燃料電池本体10内にて酸素系不純物ガスを水素ガス中に移動させる。なお、このように、燃料電池発電システムの電流値を制御することにより、燃料電池本体10内にて酸素ガス中の不純物ガスを水素ガス中に移動することは、本発明者らが見出した知見である。この結果、水素系不純物ガスの濃度を酸素系不純物ガスの濃度よりも高くすることができる。電流値の制御は、電流計、電流制御器(図示せず)等を用いて、燃料電池本体10に加わる電流を所定値とすることで行うことができる。
A)水素ガスボンベから供給する水素ガス中の不純物ガスの場合
TA=(V×Ccri/100)/(Cg/100×Q)
TA: 供給ガス中の不純物ガスによる不純物ガスの濃度閾値を与える設定時間(hr)
V: 燃料電池系内の水素ガス系容積(m3)
Ccri: 不純物ガスの濃度閾値(%)
Cg: 使用する水素ガスから求めた水素ガス中の不純物濃度(%)
Q:水素ガス供給量(m3/hr)
B)燃料電池本体10の系外から侵入する不純物ガスの場合
TB=(V×Ccri/100)/Qout
TB: 燃料電池本体10内に侵入する不純物ガスの濃度閾値を与える設定時間(hr)
V: 燃料電池系内の水素系容積(m3)
Ccri: 不純物ガスの濃度閾値(%)
Qout: 系外から燃料電池本体10への不純物の侵入量(m3/hr)
具体的には、以下の1)〜8)の手順を実施することにより、水素ガス及び酸素ガスの排出量と制御する開閉弁を決定することが好ましい。
1)現在運転中の電流値を電流計80により計測する。
2)その電流値での目標最低電圧を制御装置100内のデータベースより読み込む。
3)目標最低電圧以下となる水素系不純物ガスの濃度、酸素系不純物ガスの濃度を制御装置100内のデータベースより読み込む。
4)前記所定の設定時間を計算し、又は燃料電池本体10の電圧を電圧計90にて計測し、不純物ガスの排出の要否を制御装置100で判断する。
5)制御装置100にて排出が必要と判断した場合、排出工程を開始する。
6)運転電流値を電流計80にて再計測し、以下の7a)〜7c)の場合により、水素系不純物ガスと酸素系不純物ガスとの濃度比を決定し、水素ガス及び/又は酸素ガスの排出量を決定する。
7a)運転電流値が第一下限値以下の場合は、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比が1であることより、排出開閉弁42、52を開き、燃料電池発電システム系内の水素ガスの内容量の1〜5倍の水素ガスを排出すると共に、燃料電池発電システム系内の酸素ガスの内容量の1〜5倍の酸素ガスを排出する。
7b)運転電流値が第一下限値を超えて第二下限値以下の場合は、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比が5であることより、排出開閉弁42、52を開き、燃料電池発電システム系内の水素ガスの内容量の1〜5倍の水素ガスを排出すると共に、前記排出した水素ガスの1/5倍の酸素ガスを排出する。
7c)運転電流値が第二下限値以上の場合は、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比が5以上であることより、排出開閉弁42のみを開き、燃料電池発電システム系内の水素ガスの内容量の1〜5倍の水素ガスのみを排出する。
8)排出終了後に電圧計90にて電圧を計測し、前記電圧が目標最低電圧以上であれば排出工程を完了し、前記電圧が目標最低電圧以下であれば、7A)〜7B)の手順を再度実施する。
2.1.燃料電池発電システム
図2に示すように、本実施の形態に係る燃料電池発電システムは、制御装置200と第一実施の形態の燃料電池発電システムにて生じた電力を充電できる二次電池210とをさらに備えている。
本実施の形態に係る燃料電池発電システムの制御方法は、電流制御工程にて、燃料電池本体10の電流値を、二次電池210の充電可能量に基づいて制御する。
3.1.燃料電池発電システム
本実施の形態に係る燃料電池発電システムの構成は、第一実施の形態及び第二実施の形態の構成を好適に採用することができる。
本実施の形態に係る燃料電池発電システムの制御方法は、予め設定した電流値以上での運転が所定の時間継続した際に、前記燃料電池内の前記水素ガスを前記システムの系外へ排出するメンテナンス工程をさらに備えている。
先ず、燃料電池本体の電流値(A)による酸素系不純物ガス(窒素)に対する水素系不純物ガスの濃度比を検討した。前記第一実施の形態に記載した燃料電池発電システム内で、下記表1に示す運転条件で運転した。電流値を変えて運転し、それぞれ電圧が低下する際に排出した水素ガスと酸素ガスとを採取した。水素系不純物ガスとして水素ガス中の窒素(以下、水素系窒素ともいう。)及び酸素系不純物ガスとして酸素ガス中の窒素(以下、水素系窒素ともいう。)について、それぞれガスクロマトグラフィで分析した。結果を図3に示す。
続いて、水素系不純物ガスの濃度と燃料電池本体のセルの電圧との関係及び酸素系不純物ガスの濃度と燃料電池本体のセルの電圧との関係を検証した。第一実施の形態に記載した燃料電池発電システム内で、試験例1と同じ運転条件で運転した。本例では、電流値を所定値として燃料電池発電システムを運転した場合の、水素系及び酸素系不純物ガスの濃度が上昇する際に、燃料電池本体内の各セルの電圧を測定した。結果を図4(A)及び図4(B)に示す。
11 水素極(燃料極)
12 酸素極(酸化極)
13 電解質膜
14 水素系セパレータ
15 酸素系セパレータ
16 パッキンシール
17、18 温度計
20、30 ガス供給流路
21 水素ガスボンベ
22、32 積算流量計
23、33 流量計
31 酸素ガスボンベ
40、50 ガス排出流路
41、51 圧力計
42、52 排出開閉弁
43、53 ガス分析計
60、70 ガス循環流路
61、71 循環開閉弁
62、72 気水分離器
63、73 循環ブロア
64、74 排水開閉弁
65、75 排水流路
80 電流計
90 電圧計
200 制御装置
210 二次電池
Claims (8)
- 一定量の酸素と水素とを循環させて使いきる閉鎖系の燃料電池発電システムの制御方法であって、
水素を少なくとも含む水素ガスと酸素を少なくとも含む酸素ガスを燃料電池本体に供給し、前記燃料電池本体で未反応の水素ガスと酸素ガスを前記燃料電池本体に再度供給して循環利用する循環工程と、
新しい水素ガスと酸素ガスを前記燃料電池本体内へ供給しながら、前記未反応の水素ガスと酸素ガスの循環利用を止めることにより、前記燃料電池本体内にて前記水素ガスと酸素ガス中の不純物ガスを濃縮する濃縮工程と、
前記燃料電池本体内の前記水素ガスと酸素ガスを前記システムの系外へ排出する排出工程と
を少なくとも含み、
前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記水素ガス中の不純物の濃度を前記燃料電池本体の電流値によって制御し、前記排出工程では、前記酸素ガスの排出量を前記水素ガスの排出量よりも少なくし、
前記不純物ガスは、前記水素ガス及び酸素ガスの供給元中に含まれる不純物ガス又は前記燃料電池本体の系外から侵入する不純物ガスである燃料電池発電システムの制御方法。 - 前記排出工程では、前記水素ガスのみを排出する、請求項1に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
- 前記排出工程では、前記燃料電池本体の電圧が許容値に達した際又は前記許容値に達せずに所定の設定時間に達した際に、前記水素ガスと酸素ガス又は前記水素ガスの排出を開始し、前記燃料電池本体の電圧が目標とした最低電圧以上となった際に前記水素ガスと酸素ガス又は前記水素ガスの排出を停止する、請求項1又は2に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
- 前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を0.08A/cm2以上とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
- 前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を0.15A/cm2以上とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法
- 前記水素ガスが純水素であり、前記酸素ガスが純酸素であり、前記不純物ガスが窒素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
- 前記燃料電池本体で生じた電力を充電する二次電池をさらに備え、
前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を、前記二次電池の充電可能量に基づいて制御する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。 - 予め設定した電流値以上での運転が所定の時間継続した際に、前記燃料電池内の前記水素ガスを前記システムの系外へ排出するメンテナンス工程をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
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