JP6704365B2 - 燃料電池発電システムの制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池発電システムの制御方法に関し、特に、燃料電池に使用する燃料の量が限定された閉鎖系での燃料電池発電システムの制御方法に関する。
従来より、水素(H2)と酸素(O2)により発電する燃料電池を備えた燃料電池発電システムでは、水素を含有する水素ガスと酸素を含有する酸素ガスとを燃料電池の各電極に供給し、燃料電池内で水素と酸素とが電気化学的に反応することによって、水の生成と共に発電している。
このようなシステムの一つとして、例えば、ガスボンベ等を用い、一定量の水素及び酸素を消費しきる閉鎖系の燃料電池発電システムでは、水素と酸素を有効利用することが要求されている。しかしながら、水素ガスボンベや酸素ガスボンベ中には、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)等の不純物ガスが混入している。この不純物ガスが水素及び酸素の各電極への供給を阻害することにより、システムの発電性が低下することがあった。
このようなシステムとしては、循環供給する水素ガスの濃度や分圧の値を求め、前記値が閾値以下になった際に、水素ガスを循環供給しながら系外へ排出する操作により不純物ガスの排出を図り、水素ガス中の不純物ガスの濃度の上昇を抑えるシステムが知られている(例えば、特許文献1、2)。
特開2003−317752号公報 特開2004−349215号公報
前記した従来の燃料電池発電システムでは、水素ガスの濃度等が閾値以下となった際に、水素ガスを系内で循環しながら排出している。また、水素ガスを比較的多く排出することによって水素ガス中の不純物ガスの濃度を大きく低下させており、不純物ガスを系外へ排出する効率が悪いという問題がある。
本発明は、前記事情に照らして、不純物ガスをシステムの系外へ効率よく排出して、水素と酸素の排出量を低減することができる燃料電池発電システムの制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、一つの側面にて、燃料電池発電システムの制御方法である。前記制御方法は、一定量の酸素と水素とを循環させて使い切る閉鎖系の燃料電池発電システムの制御方法であって、水素を少なくとも含む水素ガスと酸素を少なくとも含む酸素ガスを燃料電池本体に供給し、前記燃料電池本体で未反応の水素ガスと酸素ガスを前記燃料電池本体に再度供給して循環利用する循環工程と、新しい水素ガスと酸素ガスを前記燃料電池本体内へ供給しながら、前記未反応の水素ガスと酸素ガスの循環利用を止めることにより、前記燃料電池本体内にて前記水素ガスと酸素ガス中の不純物ガスを濃縮する濃縮工程と、前記燃料電池本体内の前記水素ガスと酸素ガスを前記システムの系外へ排出する排出工程とを少なくとも含み、前記濃縮工程では、前記水素ガス中の不純物の濃度を前記燃料電池本体の電流値によって制御し、前記排出工程では、前記酸素ガスの排出量を前記水素ガスの排出量よりも少なくすることとしている。
本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法は、その一実施の形態で、前記排出工程で、前記水素ガスのみを排出することとしている。
また、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法は、他の一実施の形態で、前記排出工程で、前記燃料電池本体の電圧が許容値に達した際又は前記許容値に達せずに所定の設定時間に達した際に、前記水素ガスと酸素ガス又は前記水素ガスの排出を開始することとしている。また、別の実施の形態で、前記排出工程で、前記燃料電池本体の電圧が目標とした最低電圧以上となった際に前記水素ガスと酸素ガス又は前記水素ガスの排出を停止することとしている。
また、前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を0.08A/cmを超えて設定することが好適であり、前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を0.15A/cm以上とすることができる。
さらに、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法では、前記水素ガスを純水素とし、前記酸素ガスを純酸素とし、前記不純物ガスを窒素とすることができる。
また、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法は、前記燃料電池本体の電量を充電する二次電池をさらに備え、前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を、前記二次電池の充電可能量に基づいて制御する形態として実施することができる。
また、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法は、予め設定した電流値以上での運転が所定の時間継続した際に、前記燃料電池内の前記水素ガスを前記システムの系外へ排出するメンテナンス工程をさらに備える形態とすることができる。
本発明によれば、不純物ガスをシステムの系外へ効率よく排出して、水素と酸素の排出量を低減することができる燃料電池発電システムの制御方法を提供される。
図1Aは、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法を採用することのできるシステムについて、その構成の第一実施の形態を示す概略図である。 図1Bは、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法を採用することのできるシステムについて、その構成の第一実施の形態を示す概略図である。 図1Cは、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法を採用することのできるシステムについて、その構成の第一実施の形態を示す概略図である。 図2は、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法で採用することのできるシステムについて、その構成の第二実施の形態を示す概略図である。 図3は、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法について、燃料電池の電流密度に対する水素ガス中の不純物の濃度と酸素ガス中の不純物の濃度の比を示すグラフである。 図4(A)は、水素ガス中の窒素の濃度に対する燃料電池内のセルの最低電圧を示すグラフであり、図4(B)は、酸素ガス中の窒素の濃度に対する燃料電池内のセルの最低電圧を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法の実施の形態について、詳細に説明する。本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されない。また、添付図面は、本実施の形態の概要を説明するための図であり、付属する機器を一部省略している。
1.第一実施の形態
1.1.燃料電池発電システム
図1Aに示すように、第一の実施の形態に係る燃料電池発電システムは、単セルをセパレータを介して複数積層してなる燃料電池本体10と、ガス供給流路20、30と、ガス排出流路40、50と、ガス循環流路60、70と、排水経路65、75と、制御装置100とを少なくとも備えている。なお、図中では、便宜上、一つのセル10Aの両側にセパレータを備えた燃料電池本体10を例示している。
燃料電池本体10は、水素極(燃料極)11と酸素極(酸化極)12とで電解質膜13を挟持してなるセル10Aを備えている。また、セル10Aの水素極11側と酸素極12側には、それぞれ、水素ガスが流通する流路を形成して導電性を有する水素系セパレータ14と酸素ガスが流通する流路を形成して導電性を有する酸素系セパレータ15とを配置している。
また、水素極11及び酸素極12の外気側では、供給する水素ガスと酸素ガスが燃料電池本体10のガス供給口及びガス流出口以外から流入しないように、電解質13と水素系及び酸素系セパレータ14、15にパッキンシール16を介在させている。パッキンシールとしては、例えば、フッ素系のゴム材料からなるパッキンシールが挙げられる。
また、燃料電池本体10には、水素ガス及び酸素ガスの温度をそれぞれ計測するための温度計17、18を設けている。また、燃料電池本体10は、その電流値(電流密度)を測定する電流計80とその電圧値を測定するための電圧計90と電気的に接続している。なお、電圧計90は、燃料電池本体10を構成する複数のセルの各電圧を測定できるように構成されている。
水素極11は、その電解質膜13側に位置して導電性及びガス透過性を有すると共に水素系触媒を含有する触媒層と、その水素系セパレータ14側に位置して導電性及びガス透過性を有するガス拡散層と有する。水素系触媒としては、例えば、白金合金を担持したカーボン材料からなる触媒等が挙げられる。
また、酸素極12は、その電解質膜13側に位置して導電性及びガス透過性を有すると共に酸素系触媒を含有する触媒層と、その酸素系セパレータ15側に位置して導電性及びガス透過性を有するガス拡散層とを有する。酸素系触媒としては、例えば、白金合金を担持したカーボン材料からなる触媒等が挙げられる。
また、電解質膜13は、プロトン伝導性を有し、かつ不純物ガスを透過できる膜であればよく、例えば、ナフィオン膜等の固体高分子電解質膜である。
ガス供給流路20は、水素ガスを燃料電池本体10内に供給するために、一定量の水素ガスを貯蔵した水素ガスボンベ21と燃料電池本体10のガス供給口(以下、水素ガス供給口ともいう。)とに連通している。ガス供給流路20は、水素ガスボンベ21側から順に、水素ガスボンベ21からの水素ガスの積算流量を計測するための積算流量計22と、水素ガスボンベ21からの水素ガスの流量を計測するための流量計23とを設けている。
また、ガス供給流路30は、酸素ガスを燃料電池本体10内に供給するために、一定量の酸素ガスを貯蔵した酸素ガスボンベ31と燃料電池本体10のガス供給口(以下、酸素ガス供給口ともいう。)とに連通している。ガス供給流路30には、酸素ガスボンベ31側から順に、酸素ガスボンベ31からの酸素ガスの積算流量を計測するための積算流量計32と、酸素ガスボンベ31からの酸素ガスの流量を計測するための流量計33とを設けている。
ガス排出流路40は、水素ガスと共に水素ガス中の不純物ガス(以下、水素系不純物ガスともいう。)を燃料電池発電システムの系外へ排出するために、その一端が燃料電池本体10のガス流出口(以下、水素ガス流出口ともいう。)と連通し、その他端がシステムの系外へ連通している。ガス排出流路40は、燃料電池本体10側から順に、水素ガスの圧力を計測するための圧力計41と、水素ガスを排出するための排出開閉弁42と、燃料電池発電システムの系外へ排出する水素ガスを分析するためのガス分析計43とを設けている。
また、ガス排出流路50は、酸素ガスと共に酸素ガス中の不純物ガス(以下、酸素系不純物ガスともいう。)を燃料電池発電システムの系外へ排出するために、その一端が燃料電池本体10のガス流出口(以下、酸素ガス流出口ともいう。)と連通し、その他端がシステムの系外へ連通している。ガス排出流路50は、燃料電池本体10側から順に、酸素ガスの圧力を計測するための圧力計51と、酸素ガスを排出するための排出開閉弁52と、燃料電池発電システムの系外へ排出する酸素ガスを分析するためのガス分析計53とを設けている。
ガス循環流路60は、燃料電池本体10内で未反応の水素ガスを再利用するために、その一端が圧力計41と排出開閉弁42との間でガス排出流路40と連通し、その他端が流量計23と燃料電池本体10の水素ガス供給口との間でガス供給流路20と連通している。ガス循環流路60は、燃料電池本体10の水素ガス流出口側から順に、循環開閉弁61と、水素ガスから水(H2O)を分離する気水分離器62と、循環ブロア63とを設けている。気水分離器62は、水素ガスから分離した水を系外へ排水するために、排水開閉弁64を設けた排水流路65の一端と連通している。
また、ガス循環流路70は、燃料電池本体10内で未反応の酸素ガスを再利用するために、その一端が圧力計51と排出開閉弁52との間でガス排出流路50と連通し、その他端が流量計33と燃料電池本体10の酸素ガス供給口との間でガス供給流路30と連通している。ガス循環流路70は、燃料電池本体10の酸素ガス流出口側から順に、循環開閉弁71と、酸素ガスから水(H2O)を分離する気水分離器72と、循環ブロア73とを設けている。気水分離器72は、酸素ガスから分離した水を系外へ排水するために、排水開閉弁74を設けた排水流路75の一端と連通している。
また、制御装置100が、燃料電池発電システム内の各測定機器及び各制御機器に電気的に接続している。すなわち、制御装置100は、制御点として、電流計80、電圧計90、温度計17、18、積算流量計22、32、流量計23、33、圧力計41、51、ガス分析計43、53、排出開閉弁42、52、循環開閉弁61、71、排水開閉弁64、74、循環ブロア63、73等と電気的に接続している。
制御装置100は、電流計80、電圧計90、温度計17、18、積算流量計22、32、流量計23、33、圧力計41、51、ガス分析計43、53等からの情報に基づいて、排出開閉弁42、52、循環開閉弁61、71、排水開閉弁64、74等の開閉状態や循環ブロア63、73等の運転を調整制御することができるように構成されている。また、制御装置100は、水素ガスの情報及びそれに基づく制御と酸素ガスの情報及びそれに基づく制御とをそれぞれ独立して実施できるように構成されている。
また、本実施の形態に係る燃料電池発電システムは、閉鎖系の燃料電池発電システムである。本明細書にて、「閉鎖系」は、一定量の水素ガス中の水素と一定量の酸素ガス中の酸素とを循環利用して消費し尽くすことを意図する系を意味し、例えば、本明細書に記載の水素ガスボンベや酸素ガスボンベを用いて、ガスボンベ内の水素及び酸素を循環利用して全て消費することを意図する系である。
1.2.燃料電池発電システムの制御方法
次に、以上の第一実施の形態に係る燃料電池発電システムについて、その作動形態を説明することによって、本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法の第一実施の形態を以下に説明する。第一実施の形態に係る燃料電池発電システムの制御方法は、循環工程と、濃縮工程と、電流制御工程と、排出工程とを少なくとも備える。
先ず、循環工程では、図1Aに示すように、制御装置100に発電運転の開始命令を入力することにより、又は制御装置100からの制御信号により、排出開閉弁42、52を閉じ、循環開閉弁61、71を開き、循環ブロア63、73を作動させる状態とする。すなわち、ガス排出流路40、50を封鎖すると共に、ガス循環流路60、70を解放する。これにより、発電に寄与せずに燃料電池本体10から排出された未反応の水素ガスと酸素ガスとが、それぞれガス循環流路60、70を介して燃料電池本体10に循環することとなる。
具体的には、燃料電池本体10内で発電反応に寄与せずに燃料電池本体10の水素ガス流出口から流出した未反応の水素ガスを、循環ブロア63により、ガス循環流路60を介して気水分離器62へ送給して水を分離し、水素ガスボンベ21からの新しい水素ガスに合流させ、燃料電池本体10の水素ガス供給口へ再び供給する。これにより、燃料電池本体10にて未反応の水素ガスを燃料電池本体10に循環供給して、発電のために再利用する。
また、燃料電池本体10内で発電反応に寄与せずに燃料電池本体10の酸素ガス流出口から流出した未反応の酸素ガスを、循環ブロア73により、ガス循環流路70を介して気水分離器72へ送給して水を分離し、酸素ガスボンベ31からの新しい酸素ガスに合流させ、燃料電池本体10の酸素ガス供給口へ再び供給する。これにより、燃料電池本体10にて未反応の酸素ガスを燃料電池本体10に循環供給して、発電のために再利用する。
また、水素ガスボンベ21からの新しい水素ガスを、ガス供給流路20を介して燃料電池本体10の水素ガス供給口からその内部のセル10Aの水素極14に供給すると共に、酸素ガスボンベ31からの新しい酸素ガスを、ガス供給流路30を介して燃料電池本体10の酸素ガス供給口からその内部のセル10Aの酸素極15に供給して、発電に利用する。
このように、水素ガスボンベ21からの新しい水素ガス及び酸素ガスボンベ31からの新しい酸素ガスと、燃料電池本体10にて未反応である水素ガス及び酸素ガスとを燃料電池本体10に供給する。これにより、供給された水素ガス中の水素と酸素ガス中の酸素とが燃料電池本体10内で電気化学的に反応して燃料電池本体10から電力が生じ、燃料電池発電システムが発電する。
また、循環工程では、任意選択的に、制御装置100に排水命令を入力することにより、又は制御装置100からの制御信号により、排水開閉弁64、74を開いた状態として、水を燃料電池発電システムの系外へ排出する(排水工程)。後述する濃縮工程では、ガス循環流路60、70を封鎖するため、燃料電池本体10内に水が多く貯留する。したがって、前記排水工程では、システムの系外へ水を効率よく排出することができる。
以上のように、水素ガスボンベ21からの水素ガスと酸素ガスボンベ31からの酸素ガスを燃料電池本体10に供給すると共に、燃料電池本体10にて未反応であった水素ガスと酸素ガスとを燃料電池本体10に再度供給しながら、燃料電池発電システムの発電運転を継続していく。このような運転を継続していくと、燃料電池発電システム系内の水素ガスの濃度と酸素ガスの濃度が次第に低下すると共に、水素ガス中の不純物ガスの濃度と酸素ガス中の不純物ガスの濃度とが次第に高くなる。
そして、続く濃縮工程では、図1Bに示すように、不純物ガスの濃度が許容値に達した際又は所定の設定時間を経過した際に、燃料電池本体10の電圧または各セル電圧、運転時間等の測定値に基づく制御装置100からの制御信号により、循環開閉弁61、71を閉じて、ガス循環流路60、70を封鎖する。これにより、燃料電池本体10からの未反応の水素ガスと酸素ガスを循環して再利用することを止め、水素ガスボンベ21からの新しい水素ガスと酸素ガスボンベ31からの新しい酸素ガスとを燃料電池本体10内のセル10Aへ供給する状態としながら、発電運転を継続する。
前記不純物ガスの濃度の許容値は、図3に示すように、各電流値における不純物ガスの濃度と発電電圧との相関をデータベース化することにより決定することができる。
前記所定の設定時間は、供給水素ガス中の不純物ガスの濃度×供給水素ガス量、供給酸素ガス中の不純物ガスの濃度×供給酸素ガス量、燃料電池本体10の周囲から燃料電池本体10の内部に侵入する不純物ガスの侵入速度×運転時間の要素を考慮することにより決定することができる。
以上のような状態で発電運転を継続していくと、ガス循環流路60に残留した水素系不純物ガス及び水素ガスボンベ21からの水素系不純物ガスと、ガス循環流路70に残留した酸素系不純物ガス及び酸素ガスボンベ31からの酸素系不純物ガスとが、燃料電池本体10の内部に残留蓄積していくこととなる。
燃料電池本体10の内部に残留蓄積する不純物ガスとしては、水素ガスボンベ及び酸素ガスボンベ21、31に予め混入している不純物ガスがある。また、燃料電池本体10の内部に残留蓄積する不純物ガスとしては、運転中の燃料電池本体10の系外からパッキンシール16の内部を拡散することにより若しくはパッキンシール16の面とセパレータ14、15の面との間の微小空間を通過することにより燃料電池本体10の内部に侵入してくる不純物ガスがある。水素ガスボンベ及び酸素ガスボンベ21、31に予め混入している不純物ガスとしては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)等が挙げられる。また、運転中の燃料電池本体10の系外から燃料電池本体10の内部に侵入してくる不純物ガスとしては、雰囲気ガスに依存するものの、空気が侵入する場合には、窒素、酸素(O2)等が挙げられる。
水素ガスボンベ及び酸素ガスボンベ21、31に予め混入している不純物ガスの量は、予め分析が可能であり、燃料電池本体10の内部への侵入量を予測することができる。また、水素ガスボンベ21内の水素ガスと酸素ガスボンベ31内の酸素ガスの純度は、高い程好ましく、99%以上がより好ましく、純水素及び純酸素として99.9999%であることがより好ましい。これにより、水素ガス及び酸素ガスボンベ21、31に予め混入している不純物ガスの影響を防ぎ、燃料電池発電システム系外へ排出する不純物ガスの対象を窒素のみに限定することができる。また、燃料電池本体10の系外から侵入する不純物ガスのうちのの酸素は、酸化剤として燃料電池本体10内の酸素極12で消費される。このため、燃料電池本体10の系外から侵入し、燃料電池発電システム系外へ排出する不純物ガスの対象は、主に窒素とすることができる。
電流制御工程は、以上のような前記循環工程又は濃縮工程の後に、又は、後述するように前記循環工程、濃縮工程及び後述する排出工程を繰り返しながら前記循環工程又は濃縮工程の後に実施することができる。
電流制御工程では、水素ガス中の不純物の濃度を、燃料電池本体10の電流値により制御する。燃料電池本体10の電流値を所定の制御範囲に制御することにより、燃料電池本体10内にて酸素系不純物ガスを水素ガス中に移動させる。なお、このように、燃料電池発電システムの電流値を制御することにより、燃料電池本体10内にて酸素ガス中の不純物ガスを水素ガス中に移動することは、本発明者らが見出した知見である。この結果、水素系不純物ガスの濃度を酸素系不純物ガスの濃度よりも高くすることができる。電流値の制御は、電流計、電流制御器(図示せず)等を用いて、燃料電池本体10に加わる電流を所定値とすることで行うことができる。
前記電流値(電流密度)の制御範囲は、例えば0.08A/cm以上とすることができる。具体的には、電流値の下限値については、第一下限値として0.08A/cmを超えることが好ましく、第二下限値として0.15A/cm以上が好ましく、第三下限値として0.25A/cm以上がより好ましく、0.55A/cm以上がさらに好ましい。電流値を第一下限値の0.08A/cmを超えるまで制御すると、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比の濃度を高くすることができ、電流値を第二下限値の0.15A/cm以上とすると、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比を1:5とすることができ、電流値を第三下限値の0.25A/cm以上とすると、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比を1:10とすることができ、電流値を第四下限値の0.55A/cm以上とすると、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比を1:20程度とすることができる。
このように、濃縮工程ではガス排出流路40、50とガス循環流路60、70とを封鎖することにより、燃料電池本体10内にて水素系不純物ガスと酸素系不純物ガスを濃縮して、燃料電池本体10内の水素系不純物ガスの濃度と酸素系不純物ガスの濃度を高める。さらに、電流制御工程により電流を制御し、燃料電池本体10内にて酸素系不純物ガスを水素ガス中に移動させて、水素ガス中に水素系不純物ガスと酸素系不純物ガスを集めることにより、水素ガス中の不純物ガスの濃度をさらに高める。
また、以上の状態で発電運転を継続していくと、燃料電池本体10の内部への不純物ガスの残留蓄積により、不純物ガスの濃度(分圧)が急速に上昇すると共に、前記水素ガス及び酸素ガスの濃度(分圧)が急速に低下する。このため、燃料電池本体10の電圧値は、当初の値から急速に低下する。水素ガスは、酸素ガスと比較して、不純物ガスの濃度(分圧)を高くしても電圧の低下を抑制することができる。このため、電流制御工程では、電圧の低下を抑制しながら、水素ガス中の不純物ガスを高めることができる。
次いで、排出工程では、図1(C)に示すように、燃料電池本体10の電圧が許容値に達した際又は前記許容値に達せずに所定の設定時間に達した際に、電流計80、電圧計90の測定値、循環開閉弁61、71、排水開閉弁64、74の開閉状態等の情報に基づく制御装置100からの制御信号により排出開閉弁42、52を開き、ガス排出流路40、50を開放する。これにより、燃料電池本体10内の水素ガス及び酸素ガスを、ガス排出流路40、50を介して燃料電池発電システムの系外へ排出することにより、水素系不純物ガスと酸素系不純物ガスとを系外に排出する。
前記電圧の許容値は、燃料電池本体10の目標とした最低電圧(目標最低電圧)を考慮して設定する。具体的には、現在運転中の電流値を電流計80により計測し、計測した電流値での目標最低電圧を制御装置100内のデータベースより読み込み、目標最低電圧以下となる水素系不純物ガスの濃度と酸素系不純物ガスの濃度とを制御装置100内のデータベースより読み込むことにより、決定する。前記目標最低電圧は、燃料電池本体10の複数のセルのうちの最低のセルの電圧であり、例えば、図4に示すように、0.25A/cm及び0.08A/cmの電流値での目標最低電圧は0.75Vとすることができる。また、目標最低電圧が0.75V以下となる場合、水素系不純物ガスの濃度は、例えば30%とすることができ、酸素系不純物ガスの濃度は、例えば3%や1%とすることができる。
また、所定の設定時間については、目標最低電圧から不純物ガスの濃度閾値(Ccri)を決定し、下記のように、A)ガスボンベから供給するガス中の不純物ガスの場合とB)燃料電池本体10の系外から侵入する不純物ガスの場合とに分けて決定する。なお、下記では、水素系内のみを示す。
A)水素ガスボンベから供給する水素ガス中の不純物ガスの場合
=(V×Ccri/100)/(C/100×Q)
: 供給ガス中の不純物ガスによる不純物ガスの濃度閾値を与える設定時間(hr)
V: 燃料電池系内の水素ガス系容積(m)
cri: 不純物ガスの濃度閾値(%)
: 使用する水素ガスから求めた水素ガス中の不純物濃度(%)
Q:水素ガス供給量(m/hr)

B)燃料電池本体10の系外から侵入する不純物ガスの場合
=(V×Ccri/100)/Qout
: 燃料電池本体10内に侵入する不純物ガスの濃度閾値を与える設定時間(hr)
V: 燃料電池系内の水素系容積(m)
cri: 不純物ガスの濃度閾値(%)
out: 系外から燃料電池本体10への不純物の侵入量(m/hr)
排出工程では、ガス排出流路40、50から系外へ排出する酸素ガスの排出量を水素ガスの排出量よりも少なくしたり、ガス排出流路40のみから水素ガスのみを系外へ排出する。前記電流制御工程により、水素ガス中に水素系不純物ガスと酸素系不純物ガスとを集め、水素ガス中の不純物ガスの濃度をさらに高めたので、不純物ガスを効率よく排出して、燃料電池本体10の電圧を回復することができる。
具体的には、以下の1)〜8)の手順を実施することにより、水素ガス及び酸素ガスの排出量と制御する開閉弁を決定することが好ましい。
1)現在運転中の電流値を電流計80により計測する。
2)その電流値での目標最低電圧を制御装置100内のデータベースより読み込む。
3)目標最低電圧以下となる水素系不純物ガスの濃度、酸素系不純物ガスの濃度を制御装置100内のデータベースより読み込む。
4)前記所定の設定時間を計算し、又は燃料電池本体10の電圧を電圧計90にて計測し、不純物ガスの排出の要否を制御装置100で判断する。
5)制御装置100にて排出が必要と判断した場合、排出工程を開始する。
6)運転電流値を電流計80にて再計測し、以下の7a)〜7c)の場合により、水素系不純物ガスと酸素系不純物ガスとの濃度比を決定し、水素ガス及び/又は酸素ガスの排出量を決定する。
7a)運転電流値が第一下限値以下の場合は、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比が1であることより、排出開閉弁42、52を開き、燃料電池発電システム系内の水素ガスの内容量の1〜5倍の水素ガスを排出すると共に、燃料電池発電システム系内の酸素ガスの内容量の1〜5倍の酸素ガスを排出する。
7b)運転電流値が第一下限値を超えて第二下限値以下の場合は、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比が5であることより、排出開閉弁42、52を開き、燃料電池発電システム系内の水素ガスの内容量の1〜5倍の水素ガスを排出すると共に、前記排出した水素ガスの1/5倍の酸素ガスを排出する。
7c)運転電流値が第二下限値以上の場合は、酸素系不純物ガスに対する水素系不純物ガスの濃度比が5以上であることより、排出開閉弁42のみを開き、燃料電池発電システム系内の水素ガスの内容量の1〜5倍の水素ガスのみを排出する。
8)排出終了後に電圧計90にて電圧を計測し、前記電圧が目標最低電圧以上であれば排出工程を完了し、前記電圧が目標最低電圧以下であれば、7A)〜7B)の手順を再度実施する。
なお、前記排出工程にて、運転電流値が第一下限値以下の場合は、前述したように、電流制御工程を前記循環工程、濃縮工程及び後述する排出工程を繰り返しながら前記循環工程又は濃縮工程の後に実施する。この場合、最初の排出工程では、運転電流値が第一下限値以下となるものの、排出工程を複数回実施するうちに電流制御工程を実施することにより、運転電流値が第一下限値を超える。これにより、酸素ガスの排出量を水素ガスの排出量よりも少なくすることができる。
また、排出工程では、任意選択的に、ガス分析計43、53により、排出したガス中の不純物ガスの濃度、水素ガスの濃度及び/又は酸素ガスの濃度を計測し、系内のガスの純度が目標値になっていることを確認することができる。また、ガス循環流路60、70内に設置した図示しない系内ガス分析計により、系内の不純物の濃度、水素ガスの濃度及び/又は酸素ガスの濃度を計測し、電圧の低下が不純物に起因することを確認できる。
本実施の形態によれば、一度の排出により、燃料電池本体の内部から燃料電池発電システムの系外へ排出する水素系不純物ガスの濃度と酸素系不純物ガスの濃度を大きくして排出できるので、燃料電池発電システムの系外へ排出する水素と酸素の量を大幅に削減することができる。
また、本実施の形態によれば、酸素ガスの排出量を低減しても、水素ガスを排出するだけで、不純物ガスを効率よく排出して、燃料電池本体の電圧を回復することができる。このため、酸素ガスを排出する頻度を低減して、システム系外へ排出する酸素の量をさらに削減することができる。したがって、燃料電池発電システムの系外へ排出する酸素の量をさらに削減することができる。
さらに、本実施の形態によれば、水素ガスは、酸素ガスと比較して、不純物ガスの濃度を高くしても電圧の低下を抑制することができる。このため、燃料電池本体の電圧の低下を抑制しつつ、水素ガスにより高い濃度の不純物ガスを含有することができる。したがって、燃料電池発電システムの系外へ排出する水素の量をさらに削減することができる。
2.第二実施の形態
2.1.燃料電池発電システム
図2に示すように、本実施の形態に係る燃料電池発電システムは、制御装置200と第一実施の形態の燃料電池発電システムにて生じた電力を充電できる二次電池210とをさらに備えている。
制御装置200は、第一実施の形態の制御装置の構成に加えて、二次電池210と電気的に接続しており、二次電池210の充電量を取得し、二次電池210の充電の開始と停止を制御するように構成されている。
2.2.燃料電池発電システムの制御方法
本実施の形態に係る燃料電池発電システムの制御方法は、電流制御工程にて、燃料電池本体10の電流値を、二次電池210の充電可能量に基づいて制御する。
二次電池の充電可能量は、燃料電池の充電値×設置電流値の燃料電池電圧×各電流値での必要保持時間によって算出する。設置電流値の燃料電池電圧と各電流値での必要保持時間は、予め試験によりデータを取得しておき、制御装置100の記憶部に入力しておく。二次電池充電可能量と燃料電池電流値を設定することができ、その電流値によって所定の時間で燃料電池発電システムを運転することにより、不純物ガスを効率よく排出することができる。
本実施の形態によれば、不純物ガスの排出を効率的に行う場合は、電流値を大きく設定し、この電流値を二次電池の可能充電量により決定することにより、電力の消費を抑制することができる。また、燃料電池発電システムの出力及び出力の変化、すなわち負荷変化に対して、燃料電池のみ以外の構成によって効率よく対応することができる。例えば、燃料電池発電システムには、常時高い出力が要求しているとは限らない。この場合、電流値を高くして、出力を大きくしても、無駄な電力を発生するだけである。本実施の形態によれば、このような課題を解決できる。
3.第三実施の形態
3.1.燃料電池発電システム
本実施の形態に係る燃料電池発電システムの構成は、第一実施の形態及び第二実施の形態の構成を好適に採用することができる。
3.2.燃料電池発電システムの制御方法
本実施の形態に係る燃料電池発電システムの制御方法は、予め設定した電流値以上での運転が所定の時間継続した際に、前記燃料電池内の前記水素ガスを前記システムの系外へ排出するメンテナンス工程をさらに備えている。
予め設定した電流値は、前記第一及び第二実施の形態にて記載した電流値の制御範囲を好適に採用することができる。
本実施の形態によれば、燃料電池発電システムを高い電流値で所定の時間運転した際には、酸素ガスの不純物ガスが水素ガスに移動しているため、水素ガスに不純物ガスが濃縮しやすい状態となっている。発電電圧に関わらずに、その時点で水素ガスを排出することにより、水素系及び酸素系不純物ガスの濃度の上昇を抑制できる。
なお、前述した実施形態においては、ガス循環流路60、70を備える閉鎖系のシステムにより、燃料電池本体10内で発電反応に寄与しなかった水素ガス及び/又は酸素ガスを、燃料電池本体10に再度供給することにより、再利用する循環工程を備えた制御方法を例示した。本発明はこれに限定されない。例えば、水素ガスのガス循環流路60及び/又は酸素ガスのガス循環流路70を除いた構成とすることができる。また、この構成により、水素ガス及び/又は酸素ガスに対する循環工程を書略し、水素ガスのガス供給流路20及び/又は酸素ガスのガス供給流路30を介して水素ガス及び/又は酸素ガスを、燃料電池本体10に対して発電反応に使用されるだけ、すなわち前記発電反応で消費されるだけ供給した場合であっても、前述した実施形態の場合と同様にして濃縮工程と排出工程を適応することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。本発明に係る燃料電池発電システム及び燃料電池発電システムの制御方法は、下記実施例によって制限されない。
[試験例1]
先ず、燃料電池本体の電流値(A)による酸素系不純物ガス(窒素)に対する水素系不純物ガスの濃度比を検討した。前記第一実施の形態に記載した燃料電池発電システム内で、下記表1に示す運転条件で運転した。電流値を変えて運転し、それぞれ電圧が低下する際に排出した水素ガスと酸素ガスとを採取した。水素系不純物ガスとして水素ガス中の窒素(以下、水素系窒素ともいう。)及び酸素系不純物ガスとして酸素ガス中の窒素(以下、水素系窒素ともいう。)について、それぞれガスクロマトグラフィで分析した。結果を図3に示す。
Figure 0006704365
図3に示すように、電流値が0.08A/cmまでは水素系窒素の濃度と酸素系窒素の濃度とは、ほぼ同量である。電流値が0.08A/cmよりも大きくなると、酸素系窒素に対する水素系窒素の濃度比は大きくなり、水素ガス中の窒素の濃度が高くなることがわかった。具体的には、電流値が0.15A/cm程度になると、酸素系窒素に対する水素系窒素の濃度比は、1:5となり、電流値が0.25A/cmになると、酸素系窒素に対する水素系窒素の濃度比は、1:10となり、電流値が0.55A/cmになると、酸素系窒素に対する窒素の濃度比は、1:20となった。また、純度の高い水素と酸素とを用いて、不純物ガスとして排出する対象を窒素とすれば、好適であることがわかった。
また、電流値の上昇と共に、酸素系不純物ガスの濃度が低下することを確認した。これらの結果より、燃料電池発電システムの運転中に、電流値を高くすると、燃料電池本体内で、酸素ガス中の不純物、特に窒素が水素ガスに移動したと推測できる。
[試験例2]
続いて、水素系不純物ガスの濃度と燃料電池本体のセルの電圧との関係及び酸素系不純物ガスの濃度と燃料電池本体のセルの電圧との関係を検証した。第一実施の形態に記載した燃料電池発電システム内で、試験例1と同じ運転条件で運転した。本例では、電流値を所定値として燃料電池発電システムを運転した場合の、水素系及び酸素系不純物ガスの濃度が上昇する際に、燃料電池本体内の各セルの電圧を測定した。結果を図4(A)及び図4(B)に示す。
図4(A)に示すように、電流値を0.25A/cmとして燃料電池発電システムを運転した場合、水素系窒素の濃度が20%となるまでは、複数のセルのうちの最低の電圧が0.8Vから0.75Vまで低下し、水素系窒素の濃度が20%以上となると、複数のセルのうちの最低の電圧が0.75Vから0.3Vまで大きく低下した。
また、図4(B)に示すように、電流値を0.25A/cmとして燃料電池発電システムを運転した場合、酸素系窒素の濃度が3%程度となるまでは、複数のセルのうちの最低の電圧が0.8Vから0.75Vまで低下し、酸素系窒素の濃度が4%以上となると、複数のセルのうちの最低の電圧が0.75Vから0.3Vまで大きく低下した。続いて、電流値を0.08A/cmとして燃料電池発電システムを運転した場合、酸素系窒素の濃度が1%程度となった時点で、1つのセルの電圧が特異的に低下し、0.8Vから0.3Vまで大きく低下してしまった。
結果より、水素ガスは、酸素ガスと比較して、ガス中の不純物ガスに対して耐性があり、不純物の濃度が高くなっても電圧の低下量が小さいことがわかった。また、好適には、電圧値が0.75V以上であれば、水素ガス中の不純物ガスの濃度に起因した電圧の低下を防げることがわかった。
本発明に係る燃料電池発電システムの制御方法によれば、不純物ガスをシステムの系外へ効率よく排出して、水素と酸素の排出量を低減することができる。
10 燃料電池本体
11 水素極(燃料極)
12 酸素極(酸化極)
13 電解質膜
14 水素系セパレータ
15 酸素系セパレータ
16 パッキンシール
17、18 温度計
20、30 ガス供給流路
21 水素ガスボンベ
22、32 積算流量計
23、33 流量計
31 酸素ガスボンベ
40、50 ガス排出流路
41、51 圧力計
42、52 排出開閉弁
43、53 ガス分析計
60、70 ガス循環流路
61、71 循環開閉弁
62、72 気水分離器
63、73 循環ブロア
64、74 排水開閉弁
65、75 排水流路
80 電流計
90 電圧計
200 制御装置
210 二次電池

Claims (8)

  1. 一定量の酸素と水素とを循環させて使いきる閉鎖系の燃料電池発電システムの制御方法であって、
    水素を少なくとも含む水素ガスと酸素を少なくとも含む酸素ガスを燃料電池本体に供給し、前記燃料電池本体で未反応の水素ガスと酸素ガスを前記燃料電池本体に再度供給して循環利用する循環工程と、
    新しい水素ガスと酸素ガスを前記燃料電池本体内へ供給しながら、前記未反応の水素ガスと酸素ガスの循環利用を止めることにより、前記燃料電池本体内にて前記水素ガスと酸素ガス中の不純物ガスを濃縮する濃縮工程と、
    前記燃料電池本体内の前記水素ガスと酸素ガスを前記システムの系外へ排出する排出工程と
    を少なくとも含み、
    前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記水素ガス中の不純物の濃度を前記燃料電池本体の電流値によって制御し、前記排出工程では、前記酸素ガスの排出量を前記水素ガスの排出量よりも少なくし、
    前記不純物ガスは、前記水素ガス及び酸素ガスの供給元中に含まれる不純物ガス又は前記燃料電池本体の系外から侵入する不純物ガスである燃料電池発電システムの制御方法。
  2. 前記排出工程では、前記水素ガスのみを排出する、請求項1に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
  3. 前記排出工程では、前記燃料電池本体の電圧が許容値に達した際又は前記許容値に達せずに所定の設定時間に達した際に、前記水素ガスと酸素ガス又は前記水素ガスの排出を開始し、前記燃料電池本体の電圧が目標とした最低電圧以上となった際に前記水素ガスと酸素ガス又は前記水素ガスの排出を停止する、請求項1又は2に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
  4. 前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を0.08A/cm以上とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
  5. 前記循環工程及び/又は前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を0.15A/cm以上とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法
  6. 前記水素ガスが純水素であり、前記酸素ガスが純酸素であり、前記不純物ガスが窒素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
  7. 前記燃料電池本体で生じた電力を充電する二次電池をさらに備え、
    前記濃縮工程では、前記燃料電池の電流値を、前記二次電池の充電可能量に基づいて制御する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
  8. 予め設定した電流値以上での運転が所定の時間継続した際に、前記燃料電池内の前記水素ガスを前記システムの系外へ排出するメンテナンス工程をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムの制御方法。
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