JP6704209B2 - 難燃性防護繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接溶断作業等において発生する火花やのろの遮断ならびに鉄板や鋼材などの金属材料の鋭利な部分で発生する人体の創傷防止に有効な難燃性防護織物、及びそれを用いた難燃性防護繊維製品に関する。
さらに詳しくは、自動車や機械製品等の製造、組み立て、修理などの溶接作業及び船内や船外で作業を行う造船所などの溶接作業において、自動車や自動車部品、機械や機械部品を溶接火花から保護するとともに、鉄板や鋼材などの金属材料の鋭利な端部から人体の創傷を防止し、溶接溶断火花に対する難撚性があり軽量且つ柔軟で動きやすく、また抗折性が高く耐久性があり、摩擦摩耗によるホコリの発生が少ない難燃性防護織物、及びそれを用いた溶接溶断火花防止シート、難燃性防護作業服、難燃性防護エプロン、難燃性防護腕カバー、難燃性防護スパッツ等の難燃性防護繊維製品に関する。
従来、溶接及び溶断火花に対する難燃性能を持った建築用工事用シートの素材として、不燃性素材であるガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維などの無機繊維や、ポリアクリル繊維を前躯体として酸化処理した耐炎化繊維(限界酸素指数LOI=40〜60)が用いられてきた。これらの素材を織物やマット等の布帛となしたものは、建築、土木工事及び既存の建物における配管等の溶接作業等において、ガス溶接や電気溶接による溶接溶断火花が可燃物に付着して起こる火災防止のために、火花養生シート、耐火カーテン、火花受け、などとして使用されている。自動車修理工場等においては、飛び散った溶接溶断火花による火災防止も重要であるが、一方で自動車のように審美性が価値として重要視される分野においては、飛び散った溶接溶断火花が窓ガラスやプラスチック部品が使用されているドアミラーを損傷したり、塗装されている外装、或いは、シートやインナーパネルなどの内装に付着したりすることも避けねばならない。
そこで、火花養生シート、耐火カーテン、火花受け等に使用されている建築工事用シートを用いて、修理車の溶接溶断部分以外の外装部や窓ガラス、座席シート、ハンドル、インナーパネルなどの内装部をカバーすることが行われている。また、修理車の溶接溶断時に発生する火花が飛び散り、修理車近傍の自動車に付着して自動車が損傷することを避けるために、修理車と他の自動車との間にカーテンのようにシートを吊るしたり、近傍の自動車の内装や外装をシートでカバーすることも行われている。
この様な作業では、溶接溶断火花防止シートで自動車を一時的に又は部分的にカバーし、作業後は取り外して小さく畳んで保管することが繰り返されるので、抗折性の低いガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維などの無機繊維や、耐炎化繊維製の建築用工事用シートでは、折り畳み部分が劣化して最終的に穴あきに至る。そのため、抗折性に優れる耐久性の高い溶接溶断火花防止シートが求められている。
また、この様な用途においては、柔軟性が無く剛性の高い溶接溶断火花防止シートでは、傾斜部分や凹凸面に沿わせて覆うとシートがずり落ち、また狭い空間での作業空間が確保されないなど作業性の面からの問題があった。さらに、溶接溶断火花防止シートで一時的に製品をカバーし、作業後に取り外して小さく畳んで保管することが繰り返されるので、重量の高い溶接溶断作業用の建築用工事用シートでは取り扱いにくいという問題があった。
特許文献1には、ガラスクロス等の無機繊維織物或いは不織布に、ハロゲン化アクリル等の樹脂を含浸させ柔軟性を改善した溶接溶断火花防止シートが開示されている。しかしながら、ガラス繊維や無機繊維は抗折性が低いので、これらの繊維から作られた溶接溶断火花防止シートは、作業のために広げられたり、折り畳まれたりすることで、折り曲げ部の繊維が切断して毛羽立ちが発生し、また摩擦により擦り切れが起こる等により寿命が短いという問題がある。さらに離脱した繊維が周囲の機械や部品、作業員に付着するという問題がある。布帛を樹脂コーティングすると毛羽の離脱について多少の改善は見込まれるが、重量が増加して扱いにくくなるという問題がある。さらに、無機繊維は比重が大きいため、該繊維からなる溶接溶断火花防止シートは重く扱いにくい。
特許文献2には、耐炎化繊維を繻子織で織成した耐炎性布帛が開示されている。また、同耐炎性布帛に金属水酸化物、酸化物、又はそれらの混合物、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、又はバーミキュライト等のコーティング剤でコーティングした耐炎性布帛も開示されている。しかしながら、耐炎化繊維は無機繊維同様、もろく抗折性が低く“ポキッ”と折れる性質があるので、折り曲げ部の繊維が切断して毛羽立ちが発生し、また摩擦により擦り切れが起こる等により寿命が短いという問題がある。また、折り曲げ部で発生した繊維毛羽や摩耗によって発生した繊維が離脱して周辺の機械部品や製品に付着したり、作業員に対してかゆみなどの皮膚刺激を与えたりする。また樹脂コーティングをしても、抗折性の改善効果は小さく、樹脂コーティングにより柔軟性を損なうので、凹凸のある製品たとえば車体全体やその一部、内装全体やその一部をカバーする溶接溶断火花防止シートとしては問題があった。
特許文献3には、抗折性が低いために紡織性に難点のあるセラミック繊維、高炉スラグや玄武岩を溶融して繊維化したロックウール、アルミナファイバー、シリカファイバー等の無機繊維質に、珪酸含有レーヨン繊維を混合(混綿)して紡織性を改善した、溶接溶断火花受け等に使用する耐火クロスが記載されている。しかしながら、この耐火クロスは、もろく抗折性が低い無機繊維を含むので、特許文献1、2で記載したシートや布帛と同様、折り畳まれたりすると折り曲げ部の繊維が切断して毛羽立ちが発生し、また摩擦により擦り切れが起こる等により、寿命が短いという問題がある。
さらに、溶接作業では、溶接溶断火花防止シートの他に、作業服、作業エプロン、腕カバー、スパッツと言った作業衣も必須である。該作業衣の素材としては、ポリアクリル繊維を前躯体として酸化処理した耐炎化繊維の他に、難燃加工した木綿や、豚皮、牛皮などの皮革が用いられている(例えば、特許文献4、5参照)。これらは、飛び散った溶接溶断火花によって作業衣に着火することを防ぐことを目的としていたが、溶接作業においては、溶接溶断火花が作業衣を貫通し人体を火傷させる危険がある。特に自動車の裏側や、造船所の身の丈以上の組み立て作業、狭い船内での壁面上部などでは、上向きの溶接作業となるが、溶接溶断火花がふりかかりやすく危険性が高い。この様に溶接作業衣においては、溶接溶断火花による着火を防止する機能と貫通を防止する機能とが求められる。その一方で、取り扱う鉄板や鋼材などの金属材料の鋭利な部分で人体を創傷することもあるため、創傷防止機能も求められる。
しかしながら、木綿は、限界酸素指数(LOI)が18で、本来非常に燃えやすい素材であり、難燃加工を施した紡績糸が作業服に使用されているものの、飛び散った溶接溶断火花によって焦げ、焦げ穴を発生する。また、刃物で切れやすく、金属材料の鋭利な部分に対する創傷防止機能が低い。豚皮や牛皮などで作られた作業服やエプロンも用いられているが、皮革製の作業服は重くかつ着用時は暑いため夏季は着用しづらいことから、特に造船所の狭い船内での夏季作業などでは、軽量の難燃性防護作業服が切望されている。一方、耐炎化繊維(限界酸素指数LOI=40〜60)製織物は、燃えにくい素材であるため溶接溶断火花に対する防護機能は優れているが、抗折性が低く、着用の際に折りたたまれた部分が劣化するため、耐久性に問題がある。また、金属材料の鋭利な部分に対する創傷防止機能が不十分である。
このように、溶接作業現場では、溶接溶断火花による着火防止機能と貫通防止機能があり、軽量且つ柔軟で動きやすく、抗折性が高く耐久性があり、さらには創傷防止機能のある、作業服、作業エプロン、腕カバー、スパッツなどの難燃性防護繊維製品が求められていた。
特許文献6には、A.ウール:10〜45重量%、B.難燃レーヨン:15〜45重量%、C.難燃アクリル:20〜50重量%、を経糸と緯糸に含む織物を縫製した耐熱難燃作業服が提案されている。しかし、該繊維素材は、刃物で切れやすく創傷防止に問題があり、また溶接溶断火花対して焦げ穴が発生するので火傷に対する防護性は不十分である。
特許文献7には、一方の表面を含むA層がフィブリル化していないアラミド繊維などの液晶性高分子繊維を含み、他方の表面を含むB層がフィブリル化したアラミド繊維などの液晶性高分子繊維を含んで構成された、多層構造であることを特徴とする防護布帛からなる、溶接作業等にも使用しうる防護衣料が提案されている。しかし、この防護布帛は、創傷防止機能に優れているが、編織物を縫製や接着剤で接合して多層構造としているので、柔軟性に欠ける。また、フィブリル加工がなされているので、摩擦等によってホコリが発生し、溶接する製品や作業環境を汚染する恐れがある。さらに、特殊なフィブリル加工や接合工程などの加工工程が多いのでコスト面で問題がある。
以上のように溶接作業に好適で、溶接溶断火花に対する着火防止機能と貫通防止機能を併有し、軽量且つ柔軟で動きやすく、また抗折性が高く耐久性があって、摩擦摩耗によるホコリの発生が少なく、さらには創傷防止機能を有する、難燃性防護繊維製品は現在のところ得られていない。
特開平10−266071号公報 特開2004−339625号公報 特開平8−120541号公報 特開2004−211207号公報 特開2004−316034号公報 特開2008−208509号公報 特開2009−241365号公報
本発明はかかる従来技術の背景に鑑み、創傷防止機能があって、溶接溶断火花に対する着火防止機能と貫通防止機能があり、軽量で扱いやすく、柔軟性があって防護すべき製品の凹凸面に沿わせやすく動きやすく、また抗折れ性が高く折り畳みによる劣化が少なく耐久性があり、摩擦摩耗によるホコリの発生が少ない難燃性防護織物、及びそれを用いた溶接溶断火花防止シートや溶接作業衣等の難燃性防護繊維製品を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)溶接作業に用いられる難燃性防護繊維製品であって、前記難燃性防護繊維製品が、溶接溶断火花防止シート、作業服、作業エプロン、腕カバーまたはスパッツであり、
前記難燃性防護繊維製品が、流体加工前の難燃性有機フィラメント繊維の嵩高性に対する流体加工後の難燃性有機フィラメント繊維糸条の嵩高性(R特性値)の増加率が15〜25%の範囲である、流体加工された限界酸素指数25以上の難燃性有機フィラメント繊維からなる繊度500〜10,000dtexの繊維糸条を、経糸及び緯糸に使用してなる難燃性防護織物から構成され、
前記難燃性防護織物は、目付けが250〜460g/mであり、かつ、下記a,b,c及びdで示される耐折れ強さ、剛軟度、難燃性及び耐切創性を同時に満足することを特徴とする難燃性防護繊維製品。
a.JIS P 8115 で測定される耐折れ強さが50,000回以上。
b.JIS L 1096 8.21 B法(スライド法)で測定される剛軟度が70(mN・cm)以下。
c.JIS A 1323 建築工事用シートの溶接及び溶断火花に対する難燃性試験方法において、少なくともC種に合格する難燃性能を持つ。
d.EN388 6.2 Blade Cut Resistance で測定される対刃切創抵抗インデックスが5.0以上。
(2)流体加工された難燃性有機フィラメント繊維からなる繊維糸条が、下記式で求められる撚り係数が0〜3,600である前記(1)に記載の難燃性防護繊維製品。
撚り係数 K=T×(F/ρ)1/2
(ここで、K:撚り係数、T:撚り数(回/m)、F:繊度(dtex)、ρ:繊維の比重(g/cm)である。)
(3)流体加工前の難燃性有機フィラメント繊維の引張り強度が16cN/dtex以上である前記(1)または(2)に記載の難燃性防護繊維製品
(4)難燃性有機フィラメント繊維が、パラ系アラミド繊維である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性防護繊維製品。
(5)パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である前記(4)に記載の難燃性防護繊維製品。
(6)難燃性防護織物全体の80質量%以上が、流体加工された限界酸素指数25以上の難燃性有機フィラメント繊維で構成される請求項1〜(5)のいずれかに記載の難燃性防護繊維製品。
本発明によれば、流体加工された限界酸素指数25以上の難燃性有機フィラメント繊維を使用することで、従来では得られなかった、耐創傷性、難撚性(溶接溶断火花に対する着火防止機能と貫通防止機能)、軽量性、抗折性、柔軟性、低発塵性を全て満たす難燃性防護織物を提供できる。また、前記織物を用いて、溶接溶断火花防止シート等の資材製品や、難燃性防護作業服、難燃性防護エプロン、難燃性防護腕カバー、難燃性防護スパッツ等の衣料製品などの難燃性防護繊維製品を提供することができる。
本発明に係る流体加工した難燃性有機フィラメント繊維の製造方法の一例を示す概略図である。 溶接溶断火花防止シートの一例を示す説明図である。
本発明の難燃性防護織物を構成する糸条の形態は、難燃性有機フィラメント繊維(長繊維)が好適である。フィラメント繊維に対して、繊維長30mmから150mmの短繊維は、高いレベルの撚りを加えて単繊維を収束し紡績糸とすることで織物用糸条として使用できるが、撚りの影響で織物の柔軟性が損なわれる、或いは、多数の繊維端が摩擦等によって離脱して毛羽やホコリとなって浮遊し、溶接作業対象の自動車や、その近くに置かれる自動車等の製品や部品等に付着する、などの問題がある。
また、本発明の難燃性防護織物に用いられる難燃性有機フィラメント繊維糸条は、流体加工糸であることが重要であり、流体加工によって難燃性有機フィラメント繊維糸条にふくらみが付与され、柔軟性のある織物が得られる。難燃性有機フィラメント繊維の流体加工糸に用いられる原糸は、限界酸素指数(LOI)25以上であることが重要である。即ち、一時的に自動車や機械部品等の製品をカバーし、作業後に取り外して小さく畳んで保管することを繰り返す溶接溶断火花防止シートや腕や足腰及び体全体の曲げを繰り返す作業や、着用前後に折りたたみ保管する難燃性防護作業衣は、耐久性の観点から、抗折性が求められる。ガラス繊維やシリカ繊維、セラミック繊維などの無機繊維や耐炎化繊維に比べると、有機繊維は抗折性において格段に優れているため、本発明の耐熱性織物の素材として好適である。限界酸素指数(LOI)は、素材が燃えるために必要な最低の酸素濃度を示す数値で、数値が高いほど難燃性が高いこと表す。空気中には酸素が約21%含まれるので、この値(LOI)が21以下の素材は空気中で燃え易い。
本発明の溶接溶断火花防止シート、難燃性防護作業衣等の難燃性防護繊維製品は、それ自身が溶接火花によって燃焼してはならないので、難燃性防護繊維製品用の難燃性防護織物を製造する上では、難燃性有機フィラメント繊維の限界酸素指数は25以上であることが重要で、さらに望ましくは27以上である。限界酸素指数25未満の繊維では、難燃性防護織物をより燃焼しにくくするために、難燃性防護織物の織物密度を高くして緻密な織物にしたり、難燃樹脂加工する必要があるが、このような場合は柔軟性が損なわれる、或いは重量が増加するなどの問題がある。
本発明の難燃性防護織物は、着脱や作業による折り曲げ折りたたみを繰り返すことによる劣化を考慮すると、流体加工前の難燃性有機フィラメント繊維の引張強さは、流体加工前の原糸の特性として、JIS L 1013 8.5に準じて測定した引張強度が、3cN/dtex〜35cN/dtex程度であることが好ましく、耐久性の観点からは、16cN/dtex〜35cN/dtex程度であることがより好ましい。原糸の引張強さが3cN/dtex未満では、本発明の溶接溶断火花防止シートや難燃性防護作業衣の摩擦や折り曲げ折りたたみを繰り返す耐久性において望ましくなく、一方、引張強さ35cN/dtexを超える高強力繊維は、入手が困難であるか、高価であるため実用面で劣る。
本発明の難燃性防護織物を製織する場合に用いる、経糸及び緯糸の繊度(太さ)は、本発明の溶接火花受けシート用の織物として必要な厚さや強度を得る目的で適宜選択すればよいが、500〜10,000dtexが望ましい。より好ましくは800〜7,000dtexであり、さらに好ましくは1,000〜4,000dtexである。経糸及び緯糸として500dtex未満の糸条を、平織や綾織等の一般的な一重織物組織で製織すると薄地の織物となり、本発明の溶接溶断火花防止シートや作業衣用の織物として必要な難燃性が得られにくい。但し、500dtex未満の原糸糸条であっても、複数の糸条の引きそろえや合撚などにより500dtex以上の太さにして経糸及び緯糸として織機に供給する場合は、本発明の難燃性防護織物を得ることができる。一方、経糸及び緯糸の繊度が10,000dtexを超えると、織物の経糸と緯糸の単位長さ当たりの交差点が減少し、事実上経糸及び緯糸が、それぞれが長く浮いた織物構造となるので摩耗による劣化が起こり易く、耐久性が低下する懸念がある。
難燃性有機フィラメント繊維糸条を構成するフィラメント単繊維の繊度は、0.3〜6dtexが好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.5dtexである。0.3dtex未満では単繊維の強力が低く、自動車修理工場や造船所等で使用される本発明の難燃性防護繊維製品の摩耗による劣化が懸念される。一方、6dtexを超えると、本発明の難燃性防護繊維製品の柔軟性が損なわれる恐れがある。
難燃性有機フィラメント繊維の具体例としては、メタ系アラミド繊維(ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維、デュポン社製 商品名「Nomex」、帝人テクノプロダクツ社製 商品名「Conex」)、パラ系アラミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、東レ・デュポン社製、商品名「Kevlar」、コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維、帝人テクノプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)、ポリアリレート繊維(クラレ社製、商品名「ベクトラン」)、PBO繊維(東洋紡社製、商品名「ザイロン」)等があげられる。これらの難燃性有機フィラメント繊維は、一種単独で用いてもよいし、二種以上の繊維を組合せて用いてもよい。なかでも、熱分解開始温度が400℃以上、かつ限界酸素指数(LOI)が25以上であり、本発明の溶接溶断火花防止シート、難燃性防護作業衣用途としての観点から、難燃性及び柔軟性に優れているパラ系アラミド繊維が望ましい。さらに好ましくは、高温での収縮率が低く熱収縮安定性に優れているという理由でポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が望ましい。
本発明の難燃性防護織物では、該織物の性能を損なわない範囲で、難燃性有機フィラメント繊維以外の有機繊維や、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維などの無機繊維や、耐炎化繊維を混合してもよい。混合の方法は、流体加工工程での混合でもよいし、撚糸等による混合でもよい。また、製織時に経糸や緯糸として混合する交織でもよい。難燃性防護織物全体の50質量%以上が難燃性有機フィラメント繊維であることが望ましく、さらに望ましくは80質量%以上である。
一般的に、織物の柔軟性を向上させる手段としては、織物の経緯糸密度を少なくする、織物組織の経緯糸の浮き数の多い組織とする、などの方法が考えられるが、いずれも極端な場合にメズレを起こすルーズな織物となりやすい。本発明では、難燃性有機フィラメント糸条に流体加工を施すことにより嵩高性を付与し、平織のようなしっかりした織物組織であっても、溶接溶断火花防止シートや難燃性防護作業衣に適した柔軟性のある織物が得られる点に特徴がある。なかでもパラ系アラミド繊維等のように引張強度が16cN/dtex以上の繊維は、引張弾性率も高いので剛性の高い織物になりやすいが、流体加工を施すことで嵩高性を付与できるため、溶接溶断火花防止シートや難燃性防護作業衣に適した柔軟性のある織物が得られる。
本発明の難燃性有機フィラメント繊維の流体加工では、流体として気体や液体を用いることができる。気体の場合は空気や水蒸気が好適である。難燃性有機フィラメント繊維の流体加工には、公知の流体加工技術を応用することができる。繊維の流体加工は広く行われており、例えば、昭和62年(1987年)10月30日社団法人日本繊維学会発行の繊維工学(III)“糸の製造・性能及び物性”442頁〜443頁には、流体を利用して繊維に嵩高性を付与するいわゆるタスラン加工糸の技術が記載されている。
図1に、本発明に係る難燃性有機フィラメント繊維の流体加工方法の一例を示す。難燃性有機フィラメント繊維糸条1は、フィードローラー2から流体加工ノズル3に供給され、同流体加工ノズル3に別の流入口4から供給された流体と合流して流体加工ノズル3から噴出され、デリベリローラー5を経て巻き取りボビン7に巻き取られる。難燃性有機フィラメント繊維糸条1は、一個の原糸ボビンから供給されてもよいし、複数の原糸ボビンから供給されてもよい。難燃性有機フィラメント繊維糸条は、一種類でも良いし、異なる二種類以上の素材を流体加工ノズルに供給して複合してもよい。
この様な流体加工では、オーバーフィード率、糸条の太さ、ノズルの形状や流体の圧力、加工速度などの加工条件の選択をすることによりループ状の毛羽を持った嵩高性の高い加工糸から、ループ毛羽を持たない軽度の嵩高糸まで用途に応じて種々の加工糸が得られる。一般に衣料用に用いられる糸条は細く、25dtex〜150dtexであって、流体加工によって強い撹乱を受けるのでループ糸が形成され嵩高性の高い加工糸が得られる。本発明に用いる難燃性有機フィラメント繊維は、糸条繊度が太く流体加工による撹乱を受けにくいのでループは形成されにくいが、流体加工によりマルチフィラメントそれぞれがウエーブ状のたるみ形状をなすふくらみを持った嵩高性の加工糸となる。得られた難燃性有機フィラメント繊維の加工糸は、柔軟性のある難燃性防護織物の製造に好適である。
500dtex以上の難燃性有機フィラメント繊維糸条をオーバーフィード率0〜10%、200m/分以上の高速で加工することにより、本発明の難燃性防護織物に好適な嵩高性を持った加工糸を得ることができる。オーバーフィード率は、フィードローラー2とデリベリローラー5の表面速度の差で表わされる。
オーバーフィード率(%)=(Vf−Vd)×100/Vd
Vf:フィードローラー2の表面速度
Vd:デリベリローラー5の表面速度
難燃性有機フィラメント繊維糸条を構成するマルチフィラメントは、流体加工前は直線状で引きそろえられているが、流体加工により単繊維が撹乱されてウエーブ状のたるみ形状をなし、互いに絡み合って嵩高性のある糸条となる。本発明では、流体加工糸の嵩高性を示す指標として、独自の測定方法によるR特性値を採用する(詳細は、実施例のR特性値を参照)。本発明では、流体加工前のR特性値に比べ流体加工後のR特性値の増加率を15〜25%の範囲にすることが好ましく、15%未満では嵩高性が不足し難燃性防護織物の柔軟性が得られにくくなり、25%を超えると難燃性防護織物の表面に毛羽状のたるみが生じ摩擦により遊離毛羽を発生する恐れがある。
流体加工前の難燃性有機フィラメント繊維糸条は、それを構成する単繊維フィラメントそれぞれがまっすぐに引きそろえられ、たるみの無い状態であり、必要に応じて軽度の撚りを加えて各単繊維を引きそろえて引張試験を行って引張強力を測定する。しかし、流体加工ノズルによって加工された流体加工糸は、難燃性有機フィラメント繊維糸条を構成する単繊維フィラメントそれぞれが流体によって撹乱され、ウエーブ状のたるみを生じており流体加工糸条の引張試験結果による見かけ上の引張強力は低い。
なお、流体加工糸から取り出した難燃性有機フィラメント糸の単繊維の引張強度は、流体加工前の引張強度に近い強度を維持していることを、測定により確認している。
この様にして得られた難燃性有機フィラメント繊維の流体加工糸を、レピア織機、シャットル織機、プロジェクタイル織機、エヤージェット織機、ウォータージェット織機などによる通常の方法で製織することにより、本発明の難燃性防護織物が得られる。なかでもレピア織機は、1,000dtex以上の太い糸でも容易に製織できるので本発明の難燃性防護織物の製織に適している。
難燃性有機フィラメント繊維の流体加工糸は、無撚りでも製織できるし、製織性向上のために撚りを入れる場合でも、ごく少ない撚りレベルでよい。撚り係数で表わすと、多くても紡績糸の撚り係数の2分の1以下である。本発明の難燃性防護織物を製織する場合の糸の撚り係数は、0〜3,600が望ましく、より望ましくは2,700以下である。撚り係数3,600を超えると、本発明の難燃性防護織物の柔軟性が損なわれる恐れがある。
撚り係数は次の計算により求められる。
撚り係数 K=T×(F/ρ)1/2
ここで、F:繊度(dtex)
K:撚り係数
T:撚り数(回/m)
ρ:繊維の比重(g/cm
なお、製織性の観点から必要であれば流体加工糸に経糸糊付けを行っても良い。
織物組織は、平織、綾織、繻子織、変化織などどのような織物組織でもよいが、平織は耐摩耗性に優れ、経糸緯糸が互いにずれ難いしっかりした生地となる。織物組織の飛び数を多くすることにより、柔軟性は向上する。飛び数を多くすると耐摩耗性が低下したり、メズレを起こしたりする傾向が高くなるので、織物の完全組織における最大飛び数は1飛び、2飛び、又は3飛び程度が望ましい。すなわち織物組織としては、平織(1飛び)、1/2綾(2飛び)、2/2綾(2飛び)、4枚繻子(3飛び)などが望ましいが、用途に応じて選択すればよいのでこの限りではない。織密度は、経糸及び緯糸糸条の繊度、織物組織、単位面積当たりの質量により決定するのがよい。
本発明の難燃性防護織物の単位面積当たりの質量は、250〜460(g/m)が好ましく、さらに好ましくは250〜400(g/m)である。250(g/m)以上とすることで、難燃性防護織物として十分な耐創傷性と難撚性が得られ易くなり、460(g/m)以下とすることで、作業性に支障の無い難燃性防護作業服等に好適な織物が得られる。また、従来品に比べて25%以上軽量の溶接溶断火花防止シートが得られる。
本発明の難燃性防護織物は、経糸糊付けをした場合の糊おとしや、繊維油剤、汚れなどの除去のために必要に応じて精練を行ってもよい。精練は、用途に応じて実施してもしなくてもよい。
本発明の難燃性防護織物は、a.抗折性に関して、JIS P 8115 紙及び板紙耐折強さ試験方法に準拠した耐折れ強さが20,000回以上であることが肝要である。好ましくは30,000回以上であり、さらに好ましくは50,000回以上である。20,000回未満では、難燃性防護織物及びそれを用いた難燃性防護繊維製品の着用や作業時の、折りたたみ、屈曲および摩擦摩耗による耐久性が低下するので、好適とはいえない。なお、本測定方法は、紙及び板紙の耐折れ強さの測定方法として定められた試験方法であり、本発明に関する難燃性防護織物及び比較品の耐折性試験に適用した。
ちなみに、ポリアクリル繊維を前躯体として酸化処理した耐炎化繊維織物の耐折れ強さは、経糸方向1,292回である(比較例4を参照)。本発明の難燃性防護織物は、耐折れ強さは20,000回以上であり、ポリアクリル繊維を前躯体として酸化処理した耐炎化繊維織物の10倍以上の耐折れ強さを持つ。市販の溶接火花受けシートの場合、自動車修理工場での溶接作業で、溶接火花受けシートを1日に6回の折りたたみを行うと市販品の耐久日数は、1,292/6=215(延べ日数)であるが、同様の使用条件で対比すると、本発明の耐熱性織物の耐久日数は、20,000/6=3,333(延べ日数)であり、既存品の10倍以上の耐久性を示す。
本発明の難燃性防護織物は、b.柔軟性に関して、JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法 8.21 剛軟度 B法(スライド法)で測定される剛軟度が、経糸方向及び緯糸方向の平均値として、70(mN・cm)以下であることが肝要である。好ましくは50(mN・cm)以下である。剛軟度70(mN・cm)を超えると、自動車及びその他の機械全体あるいはそれらの部分もしくはそれらの部品を、溶接火花から防護するにあたり、凹凸面に沿わせ難くなるため、取り扱いに支障をきたす恐れがある。また、難燃性防護織物を用いた難燃防護作業服、難燃防護作業エプロン等の難燃性防護繊維製品の着用時に強い張り感、すなわちゴワゴワ感が感じられ作業性を阻害する恐れがある。
本発明の難燃性防護織物は、c.難燃性に関して、JIS A 1323 建築工事用シートの溶接及び溶断火花に対する難燃性試験方法において、C種合格又はそれ以上の性能を持つことが肝要である。自動車修理工場等で溶接溶断作業をする場合、溶接溶断火花による火災発生の危険があるので、使用する溶接溶断火花防止シートは少なくともこの様な火災発生を防ぐ性能が必要である。建築工事用シートとは、建築、土木工事及び既存の建物における配管等の溶接作業等の作業において、ガス溶接や電気溶接による溶接溶断火花が可燃物に付着して起こる火災防止のために、火花養生シート、耐火カーテン、火花受け、などとして用いられる難燃性シートである。
当該難燃性試験方法は、溶接溶断に伴う火花の発生が原因となる火災事故を防ぐ観点から制定されており、溶接溶断火花によって建築工事用シートが着炎せず、且つ溶接溶断火花という高温微粒子が火花防止シートを貫通し、シートの裏面又は下部にある可燃物に堆積した場合、これに着火しない性能を評価している。
JIS A 1323に示される難燃性試験方法の概略は次の通りである。
幅約90cm長さ約150cmの試験体を長辺の中央部が谷となるU字溝形状とし、火花発生用鋼板の下面から試験体の谷底までが50cmとなるように試験機に取り付ける。試験体の谷底から約50cm下にグラスウールに紙を貼った貫通孔測定用マットを設置する。
厚さ3.2mmの火花発生用鋼板を用い700mm/分の速度で切断長さ400mmをガス溶断する。落下した火花で試験体が発炎せず、かつ火花による試験体貫通孔から落下した火花で貫通孔測定用マット紙が発炎しないときC種合格となる。
厚さ4.5mmの火花発生用鋼板を用い650mm/分の速度で切断長さ400mmをガス溶断する。落下した火花で試験体が発炎せず、かつ火花による試験体の貫通孔から落下した火花で貫通孔測定用マット紙が発炎しないときB種合格となる。
本試験法では、B種合格はC種合格より難燃性が高いことを示す。即ち、少なくともC種に合格すれば、溶接溶断火花に対する着火防止機能と貫通防止機能があると見なすことができる。
本発明の難燃性防護織物は、切れにくさを示すd.対刃切創抵抗インデックスに関して、英国規格EN388 Protective gloves against mechanical risks(物理的危険に対する防護手袋)6.2 Blade Cut Resistance(対刃切創抵抗)で測定される対刃切創抵抗インデックスが5.0以上の性能を持つことが、望ましい。
英国規格EN388では、物理的危険性に対する防護手袋の性能を、パフォーマンスレベル1〜5に分類している。数値レベルが大きいほど防護性能が高いことを示す。表1に、EN388で規定される、防護手袋のそれぞれのパフォーマンスレベルにおける対刃切創抵抗インデックスの最小値を示す。
Figure 0006704209
労働災害防止のための耐創傷性を防止するには、パフォーマンスレベル3以上を安定して得られることが必要であり、鋭利な端部を持つ金属等を扱う作業という観点では、パフォーマンスレベル3に対応する対刃切創抵抗インデックスが5.0以上であれば十分である。
本発明の難燃性防護織物は、必要な大きさに裁断して本発明の溶接溶断火花防止シートとして使用できるが、裁断縫製加工をして本発明の溶接溶断火花防止シートに仕立てることもできる。図2に本発明の溶接溶断火花防止シートの一例を示す。周辺は折り返して端から約2cmのところを三巻き縫いする。本発明の溶接溶断火花防止シート21は、さまざまな形状の自動車や機械及びそれらの一部をカバーするように設置されるので、一時的にシートを固定するための引っ掛け用ループ22を備えるとよい。引っ掛け用ループは、例えば、ナイロン繊維製の幅2cm、長さ9cmの細幅織物を半分に折り曲げて溶接溶断火花防止シートに縫い付けることで具備される。23は縫い目を示している。
さらに、本発明の難燃性防護織物は、通常の裁断縫製加工により、例えば、難燃性防護作業服、難燃性防護エプロン、難燃性防護腕カバー、難燃性防護スパッツなどの難燃性防護作業衣とすることが可能である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
各物性等の評価方法は、次の方法に依拠した。
[抗折性(耐折れ強さ)]
JIS P 8115:2001 紙及び板紙耐折強さ試験方法−MIT試験機法に準拠して測定した。試験片幅15mm、長さ110mm、曲げ角度135度、試験速度90cpm、試験片に加える荷重を19.6N(2kgf)に設定して試験片が切断するまでの曲げ回数を測定した。数値が高いほど抗折性が高いことを示す。
[柔軟性]
JIS L 1096:2010 織物及び編み物の生地試験方法 8.21 剛軟度 B法(スライド法)で剛軟度を測定した。スライド型試験機本体と移動台の上面が一致するようにしてから幅2cm、長さ15cmの試験片とウエイトを試験機に取り付ける。ウエイトは試験片上に試験機本体と移動台の境界からわずかに移動台側に出るように置く。移動台を降下させ、試験片の自由端が移動台から離れるときの移動台の降下長さを読み取り、試験片の単位面積当たりの質量を用いて、剛軟度を計算する。剛軟度は、試験片の単位幅について単位曲げ度に対する曲げモーメントを表わし、数値が低いほど試験片は曲げやすく、柔軟性が高いことを示す。
[耐創傷性]
EN388:2003 Protective gloves against mechanical risks 6.2 Blade Cut Resistance により対刃切創抵抗インデックスを測定した。
[難燃性]
JIS A 1323:1995 建築工事用シートの溶接及び溶断火花に対する難燃性試験方法により測定した。
[糸条の引張強さ]
JIS L 1013:2010 化学繊維フィラメント糸試験方法 8.5.1 引っ張り強さ及び伸び率・標準時、に準じて定速伸長型試験機で測定した。
[単繊維の引張強さ]
JIS L 1015:2010 化学繊維ステープル試験方法 8.7.1 引張り強さ及び伸び率・標準時試験、により単繊維引張り強力を測定した。測定条件は、定速伸長型試験機、掴み間隔20mm、引張り速度20mm/分である。
[R特性値]
流体加工糸の嵩高性を示す指標としてR特性値を測定した。
22,000dtex相当分にあたる糸の綛をつくり25cmの長さで糸束にする。その糸束に4.9N(500gf)の荷重下で1回/1cmの撚りを加え、糸束の直径をマイクロメーターで測定する。試験片を4個作成し、1試験片当たり10箇所測定しその平均値をR特性値とする。
[厚さ]
織物の厚さは、マイクロメーターで測定した。
(実施例1)
東レ・デュポン(株)製パラ系アラミドフィラメント糸(商品名Kevlar)(LOI=28,繊度1,670dtex、フィラメント数1,000、引張強度20.3cN/dtex、引っ張り弾性率499cN/dtex、破断伸度3.6%、比重1.44g/cm、単糸繊度1.7dtex、撚り係数0)を、図1に示された流体加工装置を用いたタスラン方式により次の条件で流体加工して、パラ系アラミドフィラメント流体加工糸を得た。
流体:スチーム
スチーム圧力:0.69MPa(7.0kgf/cm
加工速度:280m/分
オーバーフィード率:4%
(ノズルは、0.59MPaの元圧時の流量が、145NL(ノルマルリッター)/分のものを用いた。)
パラ系アラミドフィラメント流体加工糸の加工前後の物性は次の通りであった。
流体加工前のR特性値:1.39(mm)
流体加工後のR特性値:1.67(mm)
R特性値の増加率:(1.67−1.39)×100/1.39=20.1(%)
流体加工糸の引張強度:12.53(cN/dtex)
流体加工糸の破断伸度:3.5(%)
流体加工糸の単繊維の引張り強度:18.0(cN/dtex)
得られた流体加工糸は、加工前に対し加工後のR特性値が20.1%増加しており、嵩高性が付与されたことが確認された。
流体加工糸は、難燃性有機フィラメント糸を構成する単繊維フィラメントそれぞれが流体によって撹乱されて乱れ、ウエーブを生じており流体加工糸の見かけ上の引張強力は低い。流体加工糸から取り出した難燃性有機フィラメント糸の単繊維の引張強度の測定値は、18.0(cN/dtex)であり、単繊維は高い強度を維持していることを確認した。
この様にして得られたパラ系アラミドフィラメント流体加工糸に、効率よく製織する目的で60回/m(撚り係数K=2,043)の撚りを加え、これを経糸と緯糸に用いてレピア織機で製織し、織り上げ幅200cmの難燃性防護織物を得た。製織した織物の物性は次の通りであった。
糸密度(経糸×緯糸):23×21(本/2.54cm)
組織:平織
厚さ:0.49(mm)
質量:292(g/m
耐折れ強さ:経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)で切断しなかった。
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):41.0(mN・cm)
難燃性(C種):合格
難燃性(B種):不合格
対刃切創抵抗インデックス:6.07
(比較例1)
流体加工処理をしていない、東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミドフィラメント糸(商品名Kevlar)1,670dtex原糸を用いたほかは、実施例1と全く同じ方法で難燃性防護織物を製織した。製織した織物の物性は次の通りであった。
パラ系アラミドフィラメント糸の物性
R特性値:1.39(mm)
糸密度(経糸×緯糸):23×21(本/2.54cm)
組織:平織
厚さ:0.46(mm)
質量:290(g/m
耐折れ強さ:経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)で切断しなかった。
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):191.6(mN・cm)
難燃性(C種):合格
難燃性(B種):不合格
対刃切創抵抗インデックス:4.91
抗折性は、経糸方向緯糸方向いずれも耐折れ強さ50,000(回)で折りたたみ耐久性の優れた織物であるが、対刃切創抵抗インデックスは4.91で5未満であるので耐創傷性が不十分であった。また、剛軟度が高く(191.6 mN・cm)柔軟性に劣るので、自動車修理工場等で用いる溶接溶断火花防止シートとしては扱いにくく問題があった。作業服、エプロン、腕カバー、スパッツとしては、着用時に強い張り感、すなわちゴワゴワ感が感じられ作業性を阻害した。この織物は、自動車修理工場や造船所等で用いる難燃性防護衣に用いる織物としては好適ではなかった。
(実施例2)
織物組織を2/2綾織とし、緯糸織り密度を28(本/2.54cm)に変更した以外は実施例1と同じ方法で難燃性防護織物を製織した。製織した織物の物性は次の通りであった。
糸密度(経糸×緯糸):23×28(本/2.54cm)
組織:2/2綾織
厚さ:0.51(mm)
質量:360(g/m
耐折れ強さ:経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)で切断しなかった。
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):30.9(mN・cm)
難燃性(C種):合格
難燃性(B種):合格
対刃切創抵抗インデックス:6.14
織物組織を飛び数の多い2/2綾織としたので、実施例1(平織)より緯糸密度を高くすることができ、織物重量が約20%増加したので難燃性は実施例1より1ランク上のB種合格であった。対刃切創抵抗インデックスは5.0より上位の6.14であった。織物重量が増加して厚手の織物となったにもかかわらず、平織より飛び数の多い2/2綾織であったので、剛軟度は実施例1より低い30.9(mN・cm)で柔軟性に優れていた。この難燃性防護織物は、自動車修理工場や造船所等で使用する難燃性防護作業衣に好適に用いることができた。
(比較例2)
東レ・デュポン(株)製パラ系アラミドフィラメント糸(商品名Kevlar、繊度440dtex、単糸繊度1.7dtex、撚り係数0)を用いたほかは、実施例1と同じ方法で流体加工糸を得た。流体加工後のパラ系アラミドフィラメント流体加工糸の物性は次の通りであった。
R特性値:1.67(mm)
流体加工糸の引張強度:11.64(cN/dtex)
流体加工糸の破断伸度:3.5(%)
流体加工糸の単繊維の引張り強度:19.2(cN/dtex)
得られたパラ系アラミドフィラメント流体加工糸に136回/m(撚り係数K=2,377)の撚りを加え、これを経糸と緯糸に用いてレピア織機で製織して、実施例1の織物のカバーファクター(Cf)1498とほぼ同じ、カバーファクター(Cf)1503である難燃性防護織物を製織した。製織した織物の物性は次の通りであった。
糸密度(経糸×緯糸):45×41(本/2.54cm)
組織:平織
厚さ:0.25(mm)
質量:157(g/m
耐折れ強さ:経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)で切断しなかった。
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):38.9(mN・cm)
難撚性(C種):不合格
対刃切創抵抗インデックス:4.31
織物を構成するパラ系アラミドフィラメント糸の質量が少なく、織物が薄いため難撚性(C種)は、不合格であった。また、対刃切創抵抗インデックスは4.31で、耐創傷性も不十分であった。
織物のカバーファクター(Cf)は、下記式で求められる値である。
Cf=Wd×(Wf/Wρ)1/2 + Fd×(Ff/Fρ)1/2
Wd:織物の経糸密度(本/2.54cm)
Wf:経糸の繊度(dtex)
Wρ:経糸の比重(g/cm
Fd:織物の緯糸密度(本/2.54cm)
Ff:緯糸の繊度(dtex)
Fρ:緯糸の比重(g/cm
(比較例3)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維(商品名Kevlar)製ステープル(1.7dtex、繊維長52mm)の紡績糸を、経糸及び緯糸に用いてレピア織機で次の織物を製織した。製織した織物の物性は次の通りであった。
経糸・緯糸繊度:295dtex/6本合撚糸(綿番手20/6s=1,770dtex)
紡績糸単糸部分295dtexの撚り数:512回/m(撚り係数K=7,326)
組織:平織
織物密度(経糸×緯糸):33×25(本/2.54cm)
厚さ:0.69(mm)
質量:430(g/m
耐折れ強さ:経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)で切断しなかった。
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):74.9(mN・cm)
難燃性(C種):合格
難燃性(B種):合格
対刃切創抵抗インデックス:4.83
得られた織物は、難燃性はB種合格で、かつ耐折れ強さは、経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)と折りたたみ耐久性の優れた織物であるが、対刃切創抵抗インデックスは4.83であって耐創傷性が不十分であった。また、剛軟度が高く柔軟性に劣るので自動車修理工場や造船所等で着用する難燃性防護作業衣に用いる難燃性防護織物としては使い勝手が悪かった。さらに、紡績糸織物であるので多数の繊維端が摩擦等によって離脱して毛羽やホコリとなって浮遊し自動車等の製品に付着するなどの問題があった。
(比較例4)
ポリアクリル繊維を前躯体として酸化処理した耐炎化繊維を用いた市販の溶接火花受けシートに用いられる難燃性織物である。織物物性は次の通りであった。
耐炎化繊維のLOI:50
経糸・緯糸繊度:耐炎化繊維の紡績糸 884dtex/2本合糸
組織:1/3杉綾
織物密度(経糸×緯糸):32×19(本/2.54cm)
樹脂加工:両面シリコン樹脂加工
厚さ:0.78(mm)
質量:708(g/m
耐折れ強さ:経糸方向1,292回、緯糸方向43回
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):126.0(mN・cm)
難燃性(C種):合格
難燃性(B種):合格
対刃切創抵抗インデックス:1.31
質量が高く重い、耐折れ強さが低いので折りたたみを繰り返すことで折れ目が劣化し毛羽立ちや穴あきをおこす、剛軟度が高く柔軟性に欠けるなど、自動車修理工場等で一時的に製品をカバーし、作業後とり外して小さくたたんで保管することを繰り返す溶接溶断火花防止シートとしては不具合がある。
難燃性はC種以上合格であるが、対刃切創抵抗インデックスは1.31であって、耐創傷性が低い。また、質量が高く重い、耐折れ強さが低いので着脱や屈曲作業を繰り返すことで折れシワの劣化や、ひじ、ひざなどの摩擦部分が劣化し毛羽立ちや穴あきをおこす、剛軟度が高く作業衣料として柔軟性に欠けるなど、難燃性防護作業衣に用いる難燃性防護織物には適さない。
(比較例5)
シリカ繊維を用いた市販の溶接火花受けシートに用いる難燃性織物である。織物物性は次の通りであった。
シリカ繊維のLOI:不燃
経糸・緯糸繊度:シリカ繊維1,830dtex
組織:8枚繻子
織物密度(経糸×緯糸):46×31(本/2.54cm)
樹脂加工:なし
厚さ:0.45(mm)
質量:611(g/m)耐折れ強さ:経糸方向522回、緯糸方向90回
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):42.3(mN・cm)
難燃性(C種):合格
難燃性(B種):合格
対刃切創抵抗インデックス:2.96
シリカ織物の対刃切創抵抗インデックス測定においては、シリカにより回転刃の刃先が過度に摩耗されるので、シリカテスト試験片の測定後の標準試験片Cn+1の測定値がCnに比べはなはだしく高い値となるため、本例のシリカ織物に限り、Cn+1=Cnを用いてインデックスを計算した。(回転刃は、シリカ織物の測定1回で使用できなくなるので、試験ごとに新規の刃に交換した。)
質量が高く重い、耐折れ強さが低いので折りたたみを繰り返すことで折れ目が劣化し毛羽立ちを起こす、シリカ繊維の毛羽は皮膚に付着するとちくちくする、織物組織が飛び数の多い8枚繻子であってメズレを起こし穴が開きやすいなどの問題があるので、自動車修理工場等で一時的に製品をカバーし、作業後とり外して小さくたたんで保管することをくりかえす溶接溶断火花防止シートとしては不具合がある。
難燃性は優れているが、一方で質量が高く重い、耐折れ強さが極めて低く、着脱や屈曲作業を繰り返すことによってできる折れシワや、ひじ、ひざなどの摩擦部分が劣化し毛羽立ちや穴あきをおこす。このとき発生するシリカ繊維の毛羽が皮膚に付着すると、人によってはちくちく感やかゆみを生ずることがある。また、対刃切創抵抗インデックスが2.96であって耐創傷性が低い。このような問題があるので、難燃防護作業服、難燃防護作業エプロン等の難燃性防護繊維製品に用いる難燃性防護織物には適さない。
(比較例6)
綿100%紡績糸を、経糸と緯糸に用いてレピア織機でつぎの織物を製織した。製織した織物の物性は次の通りであった。
綿のLOI:18
経糸繊度:590dtex/2本合撚糸(綿番手10/2s=1,180dtex)
緯糸繊度:590dtex(綿番手10s)
組織:平織
織物密度:42×39(本/2.54cm)
厚さ:0.65(mm)
質量:322(g/m
耐折れ強さ:経糸方向緯糸方向いずれも50,000(回)で切断しなかった。
剛軟度(経糸方向緯糸方向の平均値):27.8(mN・cm)
難燃性(C種):不合格
対刃切創抵抗インデックス:1.51
当該綿織物は、難燃性(C種)不合格であるので、溶接溶断火花防止シートとして適さない。当該綿織物は、難燃性(C種)不合格でかつ対刃切創抵抗インデックスが1.51であって耐創傷性が低いので、難燃性防護作業衣に用いる難燃性防護織物には適さない。
以上の実施例および比較例の結果を、表2にまとめて示す。
Figure 0006704209
(実施例3)
実施例1で得られた難燃性防護織物を、図2に示す溶接溶断火花防止シートに縫製加工して、自動車修理工場の溶接作業で使用した。
修理車の破損した天井外板を新品と交換し、新品天井外板をボディに溶接する作業にあたり、修理車の溶接部分以外の外装部と窓ガラス、座席シートやハンドル、インナーパネルなどの内装部を、溶接溶断火花防止シートで覆った。また、修理車と隣に並ぶ自動車との間にカーテンのようにシートを吊した。
溶接作業は火花の飛び散りやすい電気パルス溶接であったが、火花は溶接溶断火花防止シートで遮られ、自動車の窓ガラスやサイドミラー、及び外鋼板に異常はなかった。カーシートやインナーパネルなどの内装品の損傷も無かった。また、飛び散った溶接火花はカーテンのように吊るしたシートにより遮られ、修理車の隣に置いた自動車にも異常は無かった。
溶接作業後溶接溶断火花防止シートを取り外し、折りたたんで保管棚に収納した。この様な作業を一日当たり6回繰り返し、1ヶ月間行ったが、本発明の溶接溶断火花防止シートは柔軟で軽量であり、また折りたたみによる劣化が無く、従来使用していた耐炎化繊維織物に樹脂加工した溶接溶断火花防止シートよりも各段に使い勝手がよかった。
(実施例4)
実施例1で得られた難燃性防護織物で難燃性防護作業衣を縫製し、自動車修理工場の作業者がこれを着用して溶接作業をした。
修理車の破損した天井外板を外し、新品天井外板をボディに溶接する作業において、外した天井外板をひざや腕で支えながら搬出する作業及び、新品天井外板をひざや腕で支えながら搬入する作業、新品天井外板を自動車ボディに電気パルス溶接する作業を行った。こうした作業を1ヶ月間おこなった。
鋭利な周縁部を持つ天井外板であったが、運搬時にこれを支える腕やひざへの創傷は無かった。また、火花の飛び散りやすい電気パルス溶接であったが、火花が作業衣を通して人体に及ぶことはなかった。従来使用していた木綿の作業服に比べて、難燃性が高く、切創抵抗が高い素材であるので安全性において優れていた。また、本発明の難燃性防護作業衣は柔軟で軽量であり、従来使用していた木綿の作業服と同等の着用感であったので作業性は良好であった。
(実施例5)
実施例1で作成した難燃性防護織物を用いて、難燃性防護作業服、難燃性防護エプロン、難燃性防護腕カバー、脚部をカバーする難燃性防護スパッツを作成した。いずれも柔軟性があって着用感に優れ、作業性が良好であった。
本発明の難燃性防護織物は、創傷を防止する機能を持ち、溶接溶断火花に対する難撚性があり、抗折れ性、柔軟性、軽量性を併せ持ち、摩耗等により発生するホコリの発生が少ないので、溶接溶断火花防止シート、難燃性防護作業衣、難燃性防護作業服、難燃性防護エプロン、難燃性防護腕カバー、難燃性防護スパッツ等の難燃性防護製品として好適に使用できる。
1 難燃性有機フィラメント糸条
2 フィードローラー
3 流体加工ノズル
4 流体流入口
5 デリベリローラー
6 巻き取りローラー
7 巻き取りボビン
21 溶接溶断火花防止シート
22 引っ掛け用ループ
23 縫い目

Claims (6)

  1. 溶接作業に用いられる難燃性防護繊維製品であって、前記難燃性防護繊維製品が、溶接溶断火花防止シート、作業服、作業エプロン、腕カバーまたはスパッツであり、
    前記難燃性防護繊維製品が、流体加工前の難燃性有機フィラメント繊維の嵩高性に対する流体加工後の難燃性有機フィラメント繊維糸条の嵩高性(R特性値)の増加率が15〜25%の範囲である、流体加工された限界酸素指数25以上の難燃性有機フィラメント繊維からなる繊度500〜10,000dtexの繊維糸条を、経糸及び緯糸に使用してなる難燃性防護織物から構成され、
    前記難燃性防護織物は、目付けが250〜460g/mであり、かつ、下記a,b,c及びdで示される耐折れ強さ、剛軟度、難燃性及び耐切創性を同時に満足することを特徴とする難燃性防護繊維製品
    a.JIS P 8115 で測定される耐折れ強さが50,000回以上。
    b.JIS L 1096 8.21 B法(スライド法)で測定される剛軟度が70(mN・cm)以下。
    c.JIS A 1323 建築工事用シートの溶接及び溶断火花に対する難燃性試験方法において、少なくともC種に合格する難燃性能を持つ。
    d.EN388 6.2 Blade Cut Resistance で測定される対刃切創抵抗インデックスが5.0以上。
  2. 流体加工された難燃性有機フィラメント繊維からなる繊維糸条が、下記式で求められる撚り係数が0〜3,600である請求項に記載の難燃性防護繊維製品
    撚り係数 K=T×(F/ρ)1/2
    (ここで、K:撚り係数、T:撚り数(回/m)、F:繊度(dtex)、ρ:繊維の比重(g/cm)である。)
  3. 流体加工前の難燃性有機フィラメント繊維の引張り強度が16cN/dtex以上である請求項1または2に記載の難燃性防護繊維製品
  4. 難燃性有機フィラメント繊維が、パラ系アラミド繊維である請求項1〜のいずれかに記載の難燃性防護繊維製品
  5. パラ系アラミド繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項に記載の難燃性防護繊維製品
  6. 難燃性防護織物全体の80質量%以上が、流体加工された限界酸素指数25以上の難燃性有機フィラメント繊維で構成される請求項1〜のいずれかに記載の難燃性防護繊維製品
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