JP6703237B1 - 防護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のエアバッグ装置のような軽量化を実現でき、設置や配備などを容易に構成させることができるとともに、運動エネルギーが高い飛翔体等が防護対象物に向かってくるような場合に、この飛翔体の衝突防止、若しくは衝突時の被害の軽減を可能とする防護装置を提供する。【解決手段】防護対象物11に接近する弾12に対して、弾12から所定の距離を検知した際に、防護対象物11との間で膨張展開し、弾12の弾道14を含む着弾面5を形成する膨張体2と、着弾面5の略全面に設けられ弾12の接触時に爆発する爆薬層3と、膨張体2を展開可能に折り畳んだ状態で収容する筐体4と、を具備する。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、防護対象物に向かって弾丸や破片などが飛んできたときに、防護対象物を防護可能な防護装置に関する。
一般に、防護対象物に対し衝撃等を緩和する装置として、エアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、コンパクトに折り畳まれたエアバッグに瞬間的に気体を入れてこのエアバッグを膨らませ、これにより、主に対象物が受ける衝撃を緩和するために使用される。従来、防護対象物として人体とする場合に、人体を守るための上記のようなエアバッグ装置技術は様々あった。その中でも自動車に搭載された物がよく知られている。自動車に搭載されたエアバッグは当該自動車が衝突等を起こすと加速度センサがそれを検知しハンドルや座席の前部(ダッシュボード)、座席の横(サイド)に配設されたエアバッグが瞬間的に膨張展開し、これにより、搭乗者を保護するものである。このようなエアバッグは化学繊維を用いた織物でできており、自動車が衝突した際に搭乗者の保護を行うが、着座状態の搭乗者を、車内において、車内の各部に衝突させないように、これら各部に設けられるエアバッグを膨らませ、人体に起こる急激な運動エネルギーをエアバッグが受け止めて吸収、或いは衝撃緩和を行うものである。
これに対し、防護対象物に対して向かってくる何らかの物体等に対する衝撃等の緩和を行う装置として、すなわち上記のような人体を守るとする場合に、人体に迫る衝撃を、人体側に装着されたエアバッグが展開し、人体に受ける衝撃を緩和,吸収するものとして下記特許文献1のようなものが開示されている。このエアバッグ装置は、人体に装着され、使用者の音声を検知する音声検知手段を備えており、例えば使用者が建設現場などで高所作業時に転落した場合などに使用者の音声によってエアバッグが展開して使用者を覆い、落下による衝撃を吸収するものである。
特開2003−126283号公報
しかしながら、上述した従来のエアバッグ装置では、人体に対する衝撃の緩和であり、車体等に対する防護には適用できず、例えば、車体に対して飛翔体が衝突してくるような際に、この飛翔体に対しての防護を行うことは不可能であった。特に、飛翔体の運動エネルギーが高いような場合には、上記した密度や強度の低い織物製のエアバッグでは全く防護が不可能となり、すなわち、飛翔体がエアバッグを貫通してしまい、防護装置としての効果を得ることができないものである。
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、従来のエアバッグ装置のような軽量化を実現でき、設置や配備などを容易に構成させることができるとともに、運動エネルギーが高い飛翔体等が防護対象物に向かってくるような場合に、この飛翔体の衝突防止、若しくは衝突時の被害の軽減を可能とする防護装置を提供することを目的としている。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の防護装置は、防護対象物11に接近する弾12に対して、該弾12から所定の距離を検知した際に、前記防護対象物11との間で膨張展開し、前記弾12の弾道14を含む着弾面5を形成する膨張体2と、
前記着弾面5の略全面に設けられ前記弾12が接触することで爆発する爆薬層3と、
前記膨張体2を展開可能に折り畳んだ状態で収容する筐体4と、
を具備することを特徴とする。
本発明の請求項2記載の防護装置は、請求項1記載の防護装置であって、
前記爆薬層3は、シート状に形成される爆薬シートよりなり、前記着弾面5に貼着されていることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の防護装置は、請求項1または2記載の防護装置であって、
前記膨張体2の膨張展開を行う気体が、可燃性ガスよりなることを特徴とする。
本発明の請求項4記載の防護装置は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の防護装置であって、
該筐体4には前記弾12に向かって飛翔させる飛翔手段13を具備することを特徴とする。
本発明に係る請求項1記載の防護装置によれば、膨張展開する膨張体に接近する弾が爆薬層に接触することで、弾はその爆発による勢いで弾道に対して弾の姿勢を傾けさせるなど弾自体の持つエネルギーを低下させることが可能となり、これにより防護対象物に対する弾の着弾が不確実なものとなり、弾による防護対象物への妨害となって、防護対象物への衝突の回避または防止、或いは衝突被害の軽減となる効果がある。
また、この防護装置は、従来のエアバッグと同様に折り畳まれた膨張体が膨張展開される構造であることから、装置として小型化を実現でき、且つ金属などの剛性や重量のある素材ではないので、軽量に構成することができる。
本発明に係る請求項2記載の防護装置によれば、着弾面への爆薬層の形成が容易になる効果がある。
本発明に係る請求項3記載の防護装置によれば、膨張体を膨張展開させるとともに、爆薬層の爆発を引き金に膨張体自体も爆発することとなり、爆薬層の爆発の勢いにさらに可燃性ガスの爆発が加わることとなり、弾の弾道に対する弾の姿勢の傾きなど弾自体の持つエネルギーの低下をさらに確実なものとして、防護対象物に対する防護を高めることとなる。
本発明に係る請求項4記載の防護装置によれば、向かってくる弾に対し、迎え撃つこととなり、防護対象物から十分に離れた位置で、弾に対する爆薬層および可燃性ガスによる上記した効果を得ることができ、防護対象物に対する防護を向上させることができる。
本発明による防護装置の一実施形態を示す概略図である。 同防護装置を背面より見た斜視図である。 同防護装置を背面より見た動作状態の斜視図である。 図3における正面より見た斜視図である。 (a),(b),(c)は同防護装置の作動状態を順に示した概略図である。 (a),(b),(c)は同防護装置の作動状態を順に示した概略図である。
本発明の防護装置は、例えば、車両などに対して飛来してくる弾としての徹甲弾やりゅう弾、携帯型ロケット弾など弾丸などの飛翔体に対する脅威に対する防護を行うもので、飛来する脅威を検知し迎撃装置を作動させて対処する所謂アクティブ防御システムにおけるハードキル方式の迎撃装置として用いられる。
特に、徹甲弾は、車両に向けて貫通させ車両の破壊を目的とした運動エネルギー弾であり、この徹甲弾からの脅威、すなわち貫徹力を軽減或いは無効化させるために本発明の防護装置が有効となる。
以下に、本発明の防護装置について説明する。
図1は本発明による防護装置の一実施形態を示す概略図である。
防護装置1は、膨張体2と、爆薬層3と、筐体4とで大略構成される。
膨張体2は、アラミド繊維やポリアミド繊維など軽量で強靱な繊維材質よりなる布体とされ、さらに布体に樹脂層などを形成し気密性を高めた布地などとしてもよい。
この膨張体2は、内部に気体を充填した状態で袋状に膨張し、図3,4に示すように、円板形状などの所望の立体的な形状の袋体となる。
膨張体2は、気体を充填されない状態では、コンパクトに折り畳まれる。また、折り畳まれた状態から気体を充填することで、容易に所定形状に膨張し展開する。すなわち、展開しやすいように折り畳まれる。
膨張し展開した状態の膨張体2の表面は、着弾面5となる。この着弾面5には、図4に示すように、略全面に爆薬層3が設けられる。この爆薬層3は、爆薬が塗布などの手段によって形成されることとしても良いが、好ましくは爆薬シートを貼着することで形成される。すなわち、予めシート状に形成されている爆薬であり、容易に着弾面5に爆発層3を形成することができる。
筐体4は、本実施形態では、図2に示すように例えば方形箱状に形成され、前方半部に収容部6が構成される。この収容部6には、上述した膨張体2が折り畳まれた状態で収容される(図1中一点鎖線で示す)。また、筐体4の後方半部は展開制御部7とされ、展開装置8と制御部9とが設けられる。
展開装置8は、膨張体2に連結されており、所定のガスなどの気体を発生させて膨張体2内へ急速に送り込み、折り畳まれた膨張体2内にガスを充填させて膨らませる。例えば、薬剤に火薬にて点火し爆発させることでガスを発生させ、膨張体2内に瞬時にガスを送り込み、膨張体2を膨張させる。
展開装置8により膨張体2に送り込まれる気体は、好ましくは可燃性ガスとされる。この可燃性ガスが膨張体2内に充填されることで、膨張体2自体が爆発しやすいようになる。
制御部9は、本実施形態では、上記展開装置8に対し信号を送り、膨張体2へのガスの充填を開始させる制御を行う回路基板などよりなる。また、後述するが、信号受信部を備え、外部から送られてくる信号を受信し、展開装置8へのガス充填開始信号を発信する。
なお、筐体4の前半部の収容部6は、膨張体2が展開容易に折り畳まれた状態で収容している状態では、略方形などの箱体構造となっており膨張体2を覆うようになっているが、膨張体2にガスが送り込まれて膨張し展開する際には容易に損壊し、その外形を保つ必要はないよう構成されている。
また、この防護装置1には、検知装置10を具備している。この検知装置10は、図1に示すように、防護対象物11とは別体として構成してもよく、防護対象物11に配設されることとしてもよい。
検知装置10は、防護対象物11に対して飛来する徹甲弾12などが所定の距離に近接したことを検知する飛来物検知部と、この飛来物検知部が徹甲弾12などを検知した際に、制御部9の信号受信部へ検知信号を送出する送信部を備えている。なお、送信部における制御部9の信号受信部に対する信号送信手段としては、有線,無線のいずれの方法でも良い。
このように構成された防護装置1は、例えば飛翔手段13を具備する構成とされる。すなわち迎撃弾として、防護対象物11に対して飛来してくる徹甲弾12に対し、その弾道に向けて発射される。
なお、この防護装置1は、防護対象物11の近傍に配備される構成としてもよい。この場合には、防護対象物11から所定距離の地上などの位置に配置され、飛来する徹甲弾12などに対して防護を行う。さらに、この防護装置1は、防護対象物11の表面に取り付けられる構成としてもよい。例えば車両外板に所定間隔ごとに配置し取り付ける構成や、建築物の外壁に設ける構成としてもよい。
次に、上述した構成の防護装置の動作手順について説明する。
なお、この例では、弾としての飛翔体は運動エネルギー弾である徹甲弾12とされ、この徹甲弾12が車両などの防護対象物11に飛来してくる際に、防護装置11が迎撃として飛翔手段13にて発射される例を示す。
図5(a)に示すように、徹甲弾12の飛来を検知すると、飛翔手段13によって防護装置1が発射される。徹甲弾12の弾道14に対し、その弾道14を含む方向で発射され、図5(b)に示すように検知装置10が徹甲弾12の接近を監視する。
図5(c)に示すように、検知装置10が徹甲弾12の接近を検知すると、それを防護装置1に発信する。防護装置1は、検知信号を受信するとと同時に展開装置8を作動させる。
展開装置8が作動することで、折り畳まれている膨張体2内に可燃性ガスが急速に送り込まれる。
膨張体2は、筐体4の収容部6を破り瞬時に膨張し、図6(a)に示すように、円形に展開する。この展開形状には、上記徹甲弾12の弾道14が含まれる。展開された膨張体2は、着弾面5を前面に形成し、徹甲弾12を迎える。
図6(b)に示すように、徹甲弾12が着弾面5に接触すると、爆薬層3を構成する爆薬シートが爆発し、この爆発と同時に膨張体2内の可燃性ガスに引火して膨張体2自体が爆発する。
すると、徹甲弾12は、その爆発の勢い、すなわち爆発エネルギーを受け、弾道14に対して真っ直ぐに向いている弾頭の向き(軸線15)が変向される。
徹甲弾12は、自身の進行方向である弾道14に沿って防護対象物11に向かうものの、図6(c)に示すように、姿勢が変えられてしまい、これにより防護対象物11への貫徹力を失い、すなわち弾頭が防護対象物11に対して傾いた状態で防護対象物11に着弾する。或いは徹甲弾12の運動エネルギーを減少させ、弾道14を変えることが可能となれば、被弾が免れる。
このことから、防護対象物11は、被弾状況が大幅に軽減、すなわち徹甲弾12の持つ貫徹力が発揮されないことになり、徹甲弾12の目的が達成されず防護対象物11は被害が軽減される。
このように、本願発明の防護装置1によれば、飛来などで防護対象物11に接近する徹甲弾などの弾12に対し、その接近を検知した直後にコンパクトに折り畳まれた膨張体2を瞬時に膨張展開して、弾12の弾道14を含む着弾面5を形成し、爆薬シートよりなる爆薬層3を展開して、この爆薬層3に弾12を接触させて爆発を起こし、これにより弾12の姿勢や弾道14などを傾けさせ、弾12に対する妨害を行い、着弾を軽減、或いは衝突を防止させることが可能となる。また、防護装置1に飛翔手段13を具備することで、弾12との接触位置である会合位置を、防護対象物11から十分に離れた位置で設定でき、防護対象物11に対する貫徹力等をさらに軽減可能となる。さらに、膨張体2内に充填される気体を可燃性ガスにすることで、爆薬シート(爆薬層3)の爆発に加え、さらに爆発エネルギーを弾12に対して与えることが可能となり、防護を増強させることが可能となる。
このことから、鉄鋼材料やセラミック材料を用いずに、すなわち装甲などの構造を必要とせず、より軽量な装置で、防護対象物11を弾丸等の飛翔体から防護可能となる。
なお、上述した実施形態では、飛来する弾12についてを徹甲弾である運動エネルギー弾の例について説明したが、弾12が榴弾である場合には、膨張体2の爆薬層3に接触と同時にお互いが爆発することとなり、すなわち、榴弾が爆薬層3の爆発で起爆してしまい、防護対象物11からの起爆距離を十分に稼げることとなる。このことから榴弾から発生するジェットや破片の威力を軽減させることが可能となる。特に、膨張体2に可燃性ガスが充填されている構成とした場合には、この可燃性ガスの爆発による爆発エネルギーで榴弾からのジェットや破片の拡散をさらに助長し、防護対象物への被害を軽減させる。
また、上述した実施形態においては、防護装置1の外形状となる筐体4の形状について、方形箱型として例を述べたが、この筐体4の形状については円筒形状や砲弾形状など、その他の形状でも良く、少なくとも膨張体2を折り畳んだ状態で収容可能であり、且つ膨張体2が容易に膨張展開が可能であれば、その形状に限定は無い。
また、上記実施形態では、検知装置10を別体で構成した例を示したが、検知装置10を防護装置1と一体として構成することとしてもよい。この場合、弾12を検知した信号は有線で制御部に送られ、展開装置8を作動させることが可能となる。
さらに、上述した実施形態では、防護対象物11に対して飛来する飛翔体などを弾12として説明したが、これに限らず、弾12については飛翔以外の手段で接近するものとしても上記効果を得ることができるものである。
1…防護装置
2…膨張体
3…爆薬層
4…筐体
5…着弾面
11…防護対象物
12…弾(徹甲弾)
13…飛翔手段
14…弾道

Claims (4)

  1. 防護対象物に接近する弾に対して、該弾から所定の距離を検知した際に、前記防護対象物との間で膨張展開し、前記弾の弾道を含む着弾面を形成する膨張体と、
    前記着弾面の略全面に設けられ前記弾が接触することで爆発する爆薬層と、
    前記膨張体を展開可能に折り畳んだ状態で収容する筐体と、
    を具備することを特徴とする防護装置。
  2. 前記爆薬層は、シート状に形成される爆薬シートよりなり、前記着弾面に貼着されていることを特徴とする請求項1記載の防護装置。
  3. 前記膨張体の膨張展開を行う気体が、可燃性ガスよりなることを特徴とする請求項1または2記載の防護装置。
  4. 該筐体には前記弾に向かって飛翔させる飛翔手段を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の防護装置。
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