JP6701321B2 - 装着式歩容検知装置、歩行能力改善システム及び装着式歩容検知システム - Google Patents

Description

本発明は、装着者の日常の歩行状態に基づいて認知症や小脳機能障害を予防するための装着式歩容検知装置、歩行能力改善システム及び装着式歩容検知システムに関する。

近年、認知症を患う人の数が増加傾向にあり、厚生労働省の発表によれば、65歳以上の高齢者の数は2012年の時点で全国で約462万人と推計されており、2025年には全国で700万人を超えると推計されている。

認知症の症状を周囲が気づく前の早期段階で発見する方法として、歩行の繰り返しリズム運動の周期に基づいてパーキンソン病等の病状変化を評価するもの提案されている（引用文献１参照）。

また対象者の足のソールに加速度センサ及び床反力センサを設けておき、足の加速度と足裏反力とに基づいて足の筋力バランスを推定し、当該筋力バランスに基づく歩容改善のための情報を生成する情報処理方法が提案されている（引用文献２参照）。

さらに対象者の靴に足底力センサを設けておき、歩行中における対象者の足の重心位置とその足底上の領域と組合せに基づいて、足底における神経障害等の病変領域を推定し、その病変に関するメッセージを通知する歩容評価システムが提案されている（引用文献３参照）。

特登４９１１２５９号公報 特開２００９−１２５５０６号公報 特開２０１３−１８３８０９号公報

しかし、上述の引用文献１〜３のように、センサ搭載の靴を装着した対象者が日常の歩行動作をしながら、その歩容に基づいて種々の疾病の重症度や病状変化を検知する案件は存在するが、単に歩行状態の異変を検知するに過ぎず、認知症や小脳機能障害などの脳への発現症状を早期に発見するに至る方法としては十分ではなかった。

さらに脳への発現症状を早期発見した場合でも、その兆候を捉えて適切なタイミングで本人にフィードバックすることにより、症状の進行を抑えたり、回復に向かわせるなどの工夫をしたものは、これら引用文献１〜３には見当たらなかった。

本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、装着者の歩行時に脳への発現症状を早期に検知して本人に感覚伝達することができる装着式歩容検知装置、歩行能力改善システム及び装着式歩容検知システムを提案しようとするものである。

かかる課題を解決するため本発明においては、装着者が左右一対の靴を装着した状態で歩容を検知する装着式歩容検知装置において、各靴の内側底部に取り付けられ、装着者の足の裏面の荷重を測定する荷重測定部と、各靴の所定位置に搭載され、足の移動時における加速度及び角速度のいずれか一方または両方を検出する足動作検出部と、荷重測定部により測定された各荷重の変化に基づいて、各足の重心位置を算出する重心位置算出部と、足動作検出部により検出された各加速度及び／又は各角速度に基づいて、各足の移動軌跡を算出する移動軌跡算出部と、算出された各足の重心位置及び移動軌跡とに基づいて、当該各足の重心変動の特異性に応じた脳への発現症状を認識する発現症状認識部と、発現症状認識部の認識結果に基づいて、装着者への感覚としてフィードバック伝達させる感覚出力部とを設けるようにした。

この結果、装着者は、感覚出力部を通じた感覚フィードバックにより、自己の脳への発現症状に起因する歩行障害を早期に認識することができる。

また本発明においては、発現症状認識部が所定の発現症状を認識している場合であって、各足の重心変動の特異性の度合いに応じて、装着者に伝達させる感覚の大きさ及び伝達パターンを設定する感覚刺激生成部を備え、感覚出力部は、感覚刺激生成部により設定された感覚の大きさ及び伝達パターンにて前記装着者に対して感覚的にフィードバック伝達させるようにした。

この結果、装着者は自己の歩行障害の度合いが高い場合には、非常に強い感覚フィードバックが伝達されるため、認知症障害や小脳機能障害による歩行転倒の可能性を低減させることができる。

さらに本発明においては、各靴の先端に取り付けられ、装着者の歩行時に足元の障害物を検知する物体検知部をさらに備え、感覚刺激生成部は、発現症状認識部が所定の発現症状を認識している場合のみ、物体検知部の検知結果である所定の警告信号を感覚出力部に送出し、感覚出力部は、警告信号に基づいて、装着者への感覚をフィードバック伝達させるようにした。

この結果、装着者は足元の障害物により無意識につまずいて転ぶ確率が低減されることから、転倒による危険を未然回避することができる。

さらに本発明における装着式歩容検知装置と、当該装着式歩容検知装置に設けられ、発現症状認識部による各足の重心変動を表すデータを送信する送信部と、装着式歩容検知装置と別体に設けられ、送信部から送信されるデータを受信する受信部と、当該受信部を介して受信したデータを通信回線を介して管理サーバに送信するデータ端末装置とを設けるようにした。

この結果、長期間にわたって装着者の歩容状態を各足の重心（床反力中心）の軌跡としてデータ蓄積しておき、歩行中の重心変動により脳への発現症状と判断された場合に、早期に装着者本人に伝えることで、歩行時に留意させることが可能となる。

さらに本発明において、感覚出力部は、一対の靴及びデータ端末装置のいずれか一方又は両方に設けられているようにした。

この結果、装着者は靴を通じる感覚のみならず、携帯しているデータ端末装置からの感覚からも歩行障害を表すフィードバックを受けることが可能となる。

さらに本発明においては、発現症状認識部は、データ端末装置を介して管理サーバから読み出されたデータに基づいて、装着者の脳への発現症状の進行度合いを把握し、感覚刺激生成部は、発現症状認識部において把握された装着者の脳への発現症状の進行度合いに応じて、装着者に伝達させる感覚の大きさ及び伝達パターンを設定し、感覚出力部は、感覚刺激生成部により設定された感覚の大きさ及び伝達パターンにて装着者に対して感覚的にフィードバック伝達させるようにした。

この結果、長期間にわたる自己の蓄積データに基づいて、脳への発現症状の進行度合いを早期に把握することができ、当該進行度合いに応じた感覚フィードバックを受けることで歩行時に認識することが可能となる。

さらに本発明においては、装着式歩容検知システムにおいて、上記装着式歩容検知装置とは別体に設けられ、電源から供給される電力を所定の給電方式により非接触で供給可能な給電装置と、前記装着式歩容検知装置の一対の靴にそれぞれ内蔵され、前記給電装置から給電される電力を前記給電方式に基づいて受電し、当該各靴内の回路全体の動作電力を供給する充電可能なバッテリに供給する受電装置とを設けるようにした。

この結果、装着式歩容検知装置の靴を給電装置に載置しておくだけで自動的に靴のバッテリを充電することができる。従って、給電装置を装着者の自宅の玄関先や靴箱に敷設しておくことにより、日常生活上の違和感なく装着者が充電を行うことができる。

本発明によれば、装着者の歩容に基づいて脳への発現症状を早期に検知して予防に講じることが可能な装着式歩容検知装置、歩行能力改善システム及び装着式歩容検知システムを実現することができる。

本実施形態に係る歩行能力改善システムの概略構成図である。 本実施形態に係る歩行能力改善システムの全体構成図である。 本実施形態に係る装着式歩容検知装置の内部構成図である。 重心（床反力中心）の軌跡が反映されたリサージュ図形を表す図である。 重心（床反力中心）の軌跡が反映されたリサージュ図形を表す図である。 他の実施形態に係る装着式歩容検知システムの説明に供する斜視図である。 他の実施形態に係る装着式歩容検知システムの説明に供するブロック図である。

以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。

〔歩行能力改善システムの全体構成〕
図１及び図２は、本発明形態に係る歩行能力改善システム１を示し、各種センサ群が搭載された一対の靴２Ａ、２Ｂからなる装着式歩容検知装置２と、無線通信回線を通じて外部ネットワークに接続された管理サーバ４との通信が可能な情報端末装置３とから構成されており、当該一対の靴２Ａ、２Ｂを装着する装着者の歩容状態を検知するようになされている。

装着式歩容検知装置２の各靴２Ａ（２Ｂ）には、靴底に床反力センサ１０が敷き詰められ、先端にＰＳＤ（Position Sensitive Detector）からなる光位置センサ１１が搭載されている。また各靴２Ａ（２Ｂ）の中央上部には、３軸加速度センサ及び３軸角速度センサ（ジャイロセンサ）からなる６軸モーションセンサ１２が取り付けられている。

また各靴２Ａ（２Ｂ）における足の甲に相当する部位には、ＬＥＤ光源、スピーカ及びバイブレータ（振動モータ）が備えられた感覚出力部１３が搭載されている。

各靴２Ａ（２Ｂ）の後端には、制御部２０、メモリ２１及び通信部２２からなる制御ユニット１４が搭載され、上述した床反力センサ１０、６軸モーションセンサ１２及び光位置センサ１１からの検知結果がそれぞれ入力されるとともに、感覚出力部１３に所定信号を出力する。

このように一対の靴２Ａ、２Ｂを装着した装着者は、歩行中に認知症や小脳機能障害などの脳への症状を発現し始めたことに起因して、歩容状態の異変を各種センサ結果から推定するとともに、必要に応じて光や音、振動等により装着者自身への感覚としてフィードバック伝達するようになされている。

また情報端末装置３は、装着式歩容検知装置２における制御ユニット１４の通信部２２から無線送信される各種センサ群１０〜１１のデータを通信部３１を介して受信し、制御部３０が関連情報を表示部３２に表示させるとともに通信部３１及び無線通信回線を介してネットワーク上の外部の管理サーバ４に送信するようになされている。このとき装着式歩容検知装置２の通信部２２と情報端末装置３の通信部３１との間は、Bluetooth（登録商標）やＲＦ−ＩＤなどの近距離無線通信方式によって接続されてデータの送受信が行われる。

管理サーバ４には、装着者の各足の歩容状態に関連する各種センサ出力のデータが蓄積され、装着者が装着式歩容検知装置２に係る一対の靴２Ａ、２Ｂを履いて歩行するごとに、情報端末装置３を介して読み出されて制御ユニット１４に送信され、脳への発現症状の進行度合いを把握し得るようになされている。

なお情報端末装置３には、装着式歩容検知装置２と同様に、ＬＥＤ光源、スピーカ及びバイブレータ（振動モータ）が備えられた感覚出力部３３を有し、当該装着式歩容検知装置２に代えて又はこれとともに装着者への感覚フィードバックを伝達し得るようになされている。

〔装着式歩容検知装置の内部構成〕
図３は、装着式歩容検知装置２に搭載される制御ユニット１４のうち制御部２０についての構成図である。制御部２０はマイクロコンピュータを主体として構成され、重心位置算出部４０、足移動軌跡算出部４１、障害物検知部４２、発現症状認識部４３、感覚刺激生成部４４を機能ブロックとして有する。

重心位置算出部４０は、床反力センサ１０から検知された各足の裏面の荷重の測定結果を受けて、当該各荷重の変化に基づく各足の重心位置（床反力中心位置）を算出する。かかる重心位置算出部４０の構成としては、権利者が本願出願人と同一である特許第４９９７６１４号に開示されているような、重心位置検出装置と同一構成のものを援用することが望ましい。

足移動軌跡算出部４１は、６軸モーションセンサ１２である３軸加速度センサ及び３軸角速度センサから検知された各足の移動時における加速度及び角速度を受けて、各足の移動軌跡を算出する。

発現症状認識部４３は、重心位置算出部４０により算出された各足の重心位置と、足移動軌跡算出部４１により算出された各足の移動軌跡とに基づいて、各足の重心変動を重心（床反力中心）の軌跡として演算する。

メモリ２１には、装着者の正常時における歩行中の各足の重心（床反力中心）の軌跡を表すデータが記憶されており、リサージュ図形（歩行周期単位の振動波形をＸＹ平面上に閉鎖曲線にて表現したもの）として表現することができる。

図４Ａに示すように、正常時のリサージュ図形は、各足の重心の軌跡が規則的な周期を描き、ほぼ一定となる。これは歩行時の各足が同じ動きを繰り返しており、重心移動が一定となるからである。

これに対して図４Ｂに示すように、装着者が認知症のような脳への機能障害を発症した状況になると、各足の重心変動が生じて、重心の軌跡が不規則な周期となり、左右のバランスも崩れる状態となる。これは認知症のような脳への発現症状に起因して、装着者の自意識にかかわらず、歩容が乱れることによる。

発現症状認識部４３は、メモリ２１に記憶してある装着者の正常時の重心の軌跡を表すデータを読み出して、現在の当該装着者における各足の重心の軌跡と比較し、当該比較結果（特異性）に基づいて、脳への発現症状の種類（認知症や小脳機能障害など）やその進行度合いを評価する。

実際に人間の脳に種々の疾患が起きると、姿勢異常や筋張力の低下、運動速度の低下、情動機能や平衡機能への影響が大きくなるため、外部観察により歩行障害が明確になる前の歩容の変化を早期に把握することが望ましい。

例えば認知症において、高齢者に多く見られる特発性正常圧水頭症は、治療により症状が改善する可能性のある疾患であり、早期に出やすい症状として歩行障害が挙げられる。この歩行障害は、両足の開きがやや大きく、歩幅が狭く、すり足で歩くようになり、歩く方向を変えるときにバランスを崩して転倒も多くなる傾向が高い。

一般的に歩行障害の種類として、認知症以外にも、痙性片麻痺歩行（コンパス歩行）、痙性対麻痺歩行（はさみ足歩行）、パーキンソン様歩行（小刻み歩行）、失調性歩行、鶏足歩行、動揺性歩行（アヒル様歩行）、間欠性跛行が挙げられる。これらの特徴的な歩行状態から疾患の種類をおおよそ特定することが可能となる。

このうち脳への疾患に起因する傾向が高い歩行としては、痙性片麻痺歩行（コンパス歩行）、痙性対麻痺歩行（はさみ足歩行）、パーキンソン様歩行（小刻み歩行）、失調性歩行が相当する。

「痙性片麻痺歩行（コンパス歩行）」は、錐体外路及び上位運動ニューロンの障害に起因して、麻痺側の関節が十分に動かず、下肢が伸展し、つま先が垂れていることが多い特徴がある。該当する疾患は、脳血管障害や脱髄班による多発性硬化症、頸椎症性脊髄症である。

「痙性対麻痺歩行（はさみ足歩行）は、両大脳半球や脳幹・脊髄側索の両側錐体外路障害に起因して、屈み込んだ姿勢で足がやや内側に彎曲しており、足や膝が交差又はぶつかりながら歩行する特徴がある。該当する疾患は、家族性痙性対麻痺、脳性麻痺、HTLV-1関連脊髄症（ＨＡＭ）である。

「パーキンソン様歩行（小刻み歩行）」は、錐体外路障害に起因して、前かがみであまり手を振らず、特有な小幅歩行をし、症状が加速すると加速歩行や突進現象を起こす特徴がある。該当する疾患は、パーキンソン病やその症候群である。

「失調性歩行」のうちの小脳性酩酊様歩行は、小脳や前庭神経の障害に起因して、平衡障害のために両足を開き酔っ払ったように全身動揺させる特徴がある。該当する疾患は、脊髄小脳変性症（オリーブ橋小脳萎縮症、皮質性小脳萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症）、ウェルニッケ脳症、前庭神経炎である。

このような歩行障害の特徴は、各足の重心変動の特異性として対応付けることが可能であり、当該特徴と症状の関係も加えて、予めメモリ２１に記憶されている。

すなわち歩行障害の特徴について、各足の重心（床反力中心）の軌跡を歩行周期単位の振動波形とした２次元座標系の閉鎖曲線（リサージュ図形）として表現しておき、当該座標系の曲線データを歩行障害ごとに対応してメモリ２１に記憶しておく。

このメモリ２１には、装着者の正常時の歩行についても、各足の重心（床反力中心）の軌跡を歩行周期単位の振動波形とした２次元座標系の閉鎖曲線（リサージュ図形）を表すデータが記憶されている。

発現症状認識部４３は、算出した装着者の各足における重心（床反力中心）の軌跡について、上述の２次元座標系の閉鎖曲線データを表す波形パターンを算出した後、正常時の曲線データを表す波形パターンを読み出して比較する。

そして発現症状認識部４３は、当該比較結果である波形パターンの相違点を、メモリ２１に記憶された歩行障害ごとの波形パターン（曲線データ）に基づいて、どの歩行障害の特徴に最も近いかを判定するとともに、上述の波形パターンの相違点の度合い（すなわち各足の重心変動の特異性の度合い）を歩行障害の度合いとして判断する。

発現症状認識部４３は、この判定結果が脳への発現症状に起因すると認識した場合のみ、該当する発現症状及び進行度合いを感覚刺激生成部４４に信号出力する。

感覚刺激生成部４４は、発現症状認識部４３からの出力信号を受けると、装着者の脳への発現症状の種類（歩行障害の種類）とその進行度合いに応じて、装着者に伝達させる感覚の大きさ及び伝達パターンを設定した後、当該設定信号を感覚出力部に送出する。

感覚出力部１３は、感覚刺激生成部４４から得られた設定信号に基づいて、ＬＥＤ素子、スピーカ及びバイブレータのうち少なくとも１つ以上を所定のレベル（大きさ）及び出力パターンにて駆動させることにより、装着者に対して光、音及び振動のいずれか又は組み合わせにて感覚的に伝達させる。

また障害物検知部４２は、装着者の歩行中における手前10〜80cmの範囲で光位置センサ１１が障害物（地面からの高さが例えば５cm以上）を検知すると、当該検知結果を感覚刺激生成部４４に送信する。感覚刺激生成部４４は、発現症状認識部４３が所定の発現症状を認識している場合のみ、感覚出力部１３に対して所定の警告信号を送出する。感覚出力部１３は、警告信号に基づいて、所定パターンにて光、音、振動及び電気刺激のいずれか又はその組み合わせで装着者に感覚的に伝達する。

〔本実施例による動作〕
以上の構成において、歩行能力改善システム１において、装着式歩容検知装置２の制御部２０は、一対の靴２Ａ、２Ｂを履いている装着者が歩行中に、各足の重心位置及び移動軌跡を検知しながら、当該各足の重心（床反力中心）の軌跡を算出する。

続いて制御部２０は、各足の重心（床反力中心）の軌跡を表す波形パターンを、予め記憶されている当該各足の重心変動（床反力中心の軌跡）の正常な波形パターンと比較し、当該比較結果に基づいて、脳への発現症状に起因する歩行障害の特徴に最も近いかを判定する。そして制御部２０は、歩行障害の進行度合いに応じて、感覚出力部１３の出力方法（光、音、振動のいずれかまたはそれらの組み合わせ）を制御する。

この結果、装着者は、感覚出力部１３を通じた感覚フィードバックにより、自己の脳への発現症状に起因する歩行障害を早期に認識することができる。

〔変形例〕
本発明において、装着式歩容検知装置２を図１のように、制御ユニット１４や各種センサ群等１０〜１３を一対の靴２Ａ、２Ｂにそれぞれ所定位置に搭載した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、床反力センサ１０及び光位置センサ１１以外は、靴２Ａ（２Ｂ）における装着者が所望する位置に装着自在に自由に搭載するようにしても良い。床反力センサ１０も靴の中敷として着脱自在に取り付けても良く、光位置センサ１１も着脱自在にして取り付け有無を装着者の選択にしても良い。

また本発明の装着式歩容検知装置２において、感覚出力部１３は、ＬＥＤ光源、スピーカ及びバイブレータ（振動モータ）から構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バイブレータに代えて、刺激用センサを用いて電気刺激を与えるようにしても良い。

また３軸加速度センサ及び３軸角速度センサからなる６軸モーションセンサ（足動作検出部）１２を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、各足の移動軌跡を算出することができれば、足の移動時における加速度及び角速度のいずれか一方のみ測定するようにしても良い。

さらにＰＳＤからなる光位置センサ（物体検知部）１１を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、装着者の歩行時に足元の障害物を検知することができれば、超小型のＲＧＢカメラやレーザレンジセンサなど種々のセンサを適用することができる。

さらに本発明の歩行能力改善システム１においては、装着者への感覚フィードバックを一対の靴２Ａ、２Ｂに搭載された感覚出力部１３を通じて伝達するようにしたが、これに限らずまたはこれに加えて、情報端末装置３の感覚出力部３３により装着者への感覚フィードバックを伝達するようにしても良い。装着者に対して各足の甲からのみならず、携帯している情報端末装置３そのものからも音、光や振動などが与えれた方が認識確率が高くなる。

さらに本発明の装着式歩容検知装置２に充電可能なバッテリ（２次電池）を内蔵しておき、非接触（ワイヤレス）で電力を供給可能な給電システムを構築するようにしてもよい。給電方式には、コイル内蔵の電磁誘導方式及び磁界共鳴方式や、電極内蔵による電界共振方式などが挙げられる。

この実施形態では、磁界共鳴型の伝送方式による非接触給電方式を採用して、給電時の位置合わせ（送受コイル間の位置合わせ）を比較的ラフにし得るようにする。

給電システムは、図５Ａ及び図５Ｂに示すように、装着式歩容検知装置２の各靴２Ａ（２Ｂ）にそれぞれ内蔵される受電装置５０Ａ（５０Ｂ）と、当該各靴２Ａ（２Ｂ）を載置するとともにワイヤレスで電力を供給可能な給電プレート５１とから構成される。

給電プレート５１は、一対の靴２Ａ，２Ｂを同時に載置可能な平面プレート形状を有し、送電素子部６０、送電回路６１及びＡ／Ｄ変換器６２が内蔵されている。Ａ／Ｄ変換器６２は、商用電源ＣＰＳからＡＣケーブル（図示せず）を介して供給される交流電力（ＡＣ）を直流電力（ＤＣ）に変換する。

送電回路６１は、Ａ／Ｄ変換器６２から供給される直流電力に基づいてワイヤレス電力伝送のための高周波電力を発生する。送電素子部６０は、給電素子としての給電コイルと、電磁誘導により共鳴する共鳴素子としての共振コイルを有する。

受電装置５０Ａ（５０Ｂ）は、受電素子部７０、整流回路７１、電圧安定化回路７２及びバッテリ（２次電池）７３を有し、各靴２Ａ（２Ｂ）の底部に内蔵されている。受電素子部７０は、給電素子としての給電コイルと、電磁誘導により共鳴する共鳴素子としての共振コイルとを有する。送電素子部６０の共振コイルと受電素子部７０の共振コイルとの自己共振周波数が一致したときに磁界共鳴関係となり電力を効率良く供給する。

整流回路７１は、受電素子部７０から受電した交流電力を整流して直流（ＤＣ）電力として電圧安定化回路７２に供給する。電圧安定化回路７２は、整流回路７１により供給されるＤＣ電力を、所定のＤＣ電圧に変換してバッテリ７３に供給して充電させる。バッテリ７３は、制御部２０の制御の下、装着式歩容検知装置２の装置全体の駆動電源を供給する。

このように装着式歩容検知装置２では、一対の靴２Ａ，２Ｂを給電プレート５１に載置しておくだけで、自動的に靴２Ａ，２Ｂに内蔵されている各バッテリ７３を充電することができる。給電プレート５１を装着者の自宅の玄関先や靴箱に敷設しておけば、日常生活上の違和感なく装着者が充電作業を行うことが可能となる。

１……歩行能力改善システム、２……装着式歩容検知装置、３……情報端末装置、４……管理サーバ、１０……床反力センサ、１１……光位置センサ、１２……６軸モーションセンサ、１３……感覚出力部、１４……制御ユニット、２０、３０……制御部、２１……メモリ、２２、３１……通信部、４０……重心位置算出部、４１……足移動軌跡算出部、４２……障害物検知部、４３……発現症状認識部、４４……感覚刺激生成部、５０Ａ，５０Ｂ……受電装置、５１……給電プレート、７３……バッテリ。

Claims (7)

1. 装着者が左右一対の靴を装着した状態で歩容を検知する装着式歩容検知装置において、
   前記各靴の内側底部に取り付けられ、前記装着者の足の裏面の荷重を測定する荷重測定部と、
   前記各靴の所定位置に搭載され、前記足の移動時における加速度及び角速度のいずれか一方または両方を検出する足動作検出部と、
   前記荷重測定部により測定された各荷重の変化に基づいて、前記各足の重心位置を算出する重心位置算出部と、
   前記足動作検出部により検出された各加速度及び／又は各角速度に基づいて、前記各足の移動軌跡を算出する移動軌跡算出部と、
   算出された前記各足の重心位置及び移動軌跡とに基づいて、当該各足の重心変動の特異性に応じた脳への発現症状を認識する発現症状認識部と、
   前記発現症状認識部の認識結果に基づいて、前記装着者への感覚としてフィードバック伝達させる感覚出力部と
   を備えることを特徴とする装着式歩容検知装置。
2. 前記発現症状認識部が所定の発現症状を認識している場合であって、前記各足の重心変動の特異性の度合いに応じて、前記装着者に伝達させる感覚の大きさ及び伝達パターンを設定する感覚刺激生成部を備え、
   前記感覚出力部は、前記感覚刺激生成部により設定された感覚の大きさ及び伝達パターンにて前記装着者に対して感覚的にフィードバック伝達させる
   ことを特徴とする請求項１に記載の装着式歩容検知装置。
3. 前記各靴の先端に取り付けられ、前記装着者の歩行時に足元の障害物を検知する物体検知部をさらに備え、
   前記感覚刺激生成部は、前記発現症状認識部が所定の発現症状を認識している場合のみ、前記物体検知部の検知結果である所定の警告信号を前記感覚出力部に送出し、
   前記感覚出力部は、前記警告信号に基づいて、前記装着者への感覚をフィードバック伝達させる
   ことを特徴とする請求項２に記載の装着式歩容検知装置。
4. 請求項１乃至３のいずれかに記載の装着式歩容検知装置と、
   当該装着式歩容検知装置に設けられ、前記発現症状認識部による前記各足の重心変動を表すデータを送信する送信部と、
   前記装着式歩容検知装置と別体に設けられ、前記送信部から送信される前記データを受信する受信部と、当該受信部を介して受信した前記データを通信回線を介して管理サーバに送信するデータ端末装置と
   を備えることを特徴とする歩行能力改善システム。
5. 前記感覚出力部は、前記一対の靴及び前記データ端末装置のいずれか一方又は両方に設けられている
   ことを特徴とする請求項４に記載の歩行能力改善システム。
6. 前記発現症状認識部は、前記データ端末装置を介して前記管理サーバから読み出された前記データに基づいて、前記装着者の脳への発現症状の進行度合いを把握し、
   前記感覚刺激生成部は、前記発現症状認識部において把握された前記装着者の脳への発現症状の進行度合いに応じて、前記装着者に伝達させる感覚の大きさ及び伝達パターンを設定し、
   前記感覚出力部は、前記感覚刺激生成部により設定された感覚の大きさ及び伝達パターンにて前記装着者に対して感覚的にフィードバック伝達させる
   ことを特徴とする請求項４または５に記載の歩行能力改善システム。
7. 請求項１乃至３のいずれか一項に記載の装着式歩容検知装置と、
   当該装着式歩容検知装置とは別体に設けられ、電源から供給される電力を所定の給電方式により非接触で供給可能な給電装置と、
   前記装着式歩容検知装置の一対の靴にそれぞれ内蔵され、前記給電装置から給電される電力を前記給電方式に基づいて受電し、当該各靴内の回路全体の動作電力を供給する充電可能なバッテリに供給する受電装置と
   を備えることを特徴とする装着式歩容検知システム。

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