JP6700852B2 - 電子部品、めっき方法、及びめっき装置 - Google Patents

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Description

本発明は、めっき処理が施された電子部品、この電子部品のめっき方法及びめっき装置に関する。
従来、めっき層として、例えば特許文献1に開示されるように、硬度が高く、耐食性並びに耐摩耗性に優れたNi−W合金めっき(ニッケルタングステン合金めっき)が知られている。このNi−W合金めっきは、例えば銅合金等の金属基材上に形成される。そして、銅合金上に形成されたNi−W合金めっき上に、例えばAu合金のフラッシュめっきが施される。このように、金属基材としての銅合金上にNi−W合金めっきを施すことにより、めっきの緻密性を確保することができ、めっき中に形成されるピンホールの数を少なくすることができる。
また、上述のように金属基材としての銅合金上にNi−W合金めっきを施す際の手法として、例えば特許文献2及び特許文献3には、順方向パルスと逆方向パルスとを交互に印加する手法、いわゆるPPR(Pulse Periodic Reverse)を用いてめっきを行うことが開示されている。PPRを用いためっき処理では、周期的にパルスの方向が逆転する。この手法によれば、Ni−W合金めっきを更に緻密にすることができるとともに、Ni−W合金めっきに発生するクラックを抑制することができる。また、この手法によれば、Ni−W合金めっきの厚さを全体的に均一にすることができる。
特許3985904号公報 特開2015−165053号公報 特表2012−532988号公報
ところで、Ni−W合金めっきを銅合金の表面に形成する際、上述したPPRを用いて行うと、金属基材としての銅合金に含まれる銅がめっき液中に溶出してしまう。そうすると、その銅が不純物としてNi−W合金めっきに含まれ、Ni−W合金めっきに相当数のピンホールが形成されるため、Ni−W合金めっきの特性が劣化してしまう。その結果、Ni−W合金めっきが施された端子等の電子部品の特性も劣化してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、電子部品に形成されるNi−W合金めっきの特性の劣化を防止することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る電子部品は、金属基材と、前記金属基材の表面に形成された第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層と、前記第1めっき層の表面に形成された第2めっき層としてのNi−W合金めっき層と、を備えている。
この構成では、金属基材の表面に、第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層が形成される際、金属基材に含まれる金属(例えば銅)がめっき液中に溶出する場合がある。そうすると、その金属が不純物として第1めっき層に含まれてしまうため、該第1めっき層に相当数のピンホールが形成されてしまう場合がある。
一方、その第1めっき層の表面に、第2めっき層としてのNi−W合金めっき層が形成される際、第1めっき層に含まれる不純物としての前記金属がめっき液中に溶出する場合がある。しかしながら、第1めっき層に含まれる金属は、金属基材中に含まれる金属と比べて僅かであるため、第1めっき層に含まれる金属のめっき液中への溶出量は僅かである。すなわち、Ni−W合金めっき層を形成するためのめっき液中には、前記金属が僅かな量だけ含まれているため、Ni−W合金めっき層には、僅かな数のピンホールのみが形成される。
従って、この構成によると、電子部品に形成されるNi−W合金めっき層の特性の劣化を防止できる。
(2)好ましくは、前記電子部品は、前記第2めっき層の表面に形成された第3めっき層としての金合金めっき層を更に備えている。
この構成によれば、比較的導電率が高い金を第3めっき層に用いることにより、電子部品の電気特性(例えば接触抵抗)を向上することができる。
ところで、従来のめっき構造(金属基材表面にNi−W合金めっき層が形成され、更にその表面に金合金めっき層が形成された構成)では、Ni−W合金めっき層に形成された相当数のピンホールを封止するために、例えば金合金めっき層の厚さが厚く形成されていた。しかしそうすると、比較的高価な材料である金の使用量が増大し、電子部品が高コストとなっていた。
この点につき、この構成によれば、電子部品の電気特性を維持しつつ、第2めっき層の表面に形成される金合金めっき層に用いられる金の使用量を低減することが可能となる。具体的には、この構成によれば、Ni−W合金めっき層のピンホールの数を少なくすることができるため、従来のめっき構造において行われていたように金合金めっき層を厚くする必要がなくなる。これにより、比較的高価な金の使用量を低減することができ、電子部品を低コスト化できる。
(3)更に好ましくは、前記電子部品では、前記金属基材として銅合金が用いられている。
この構成によれば、比較的導電率が高い銅を金属基材に用いることにより、電子部品の電気特性(例えば導電性)を向上することができる。
ところで、例えば従来のめっき構造(金属基材表面にNi−W合金めっき層が形成され、更にその表面に金合金めっき層が形成された構成)では、Ni−W合金めっき層に相当数のピンホールが形成されやすい。そうなると、金属基材に含まれる銅がそのピンホールを介して金合金めっき層に入り込んで拡散する。そうすると、金合金めっき層中で銅と金とが合金化してしまい、金合金めっき層の特性(例えば接触抵抗等の電気特性)が大きく劣化してしまう。すなわち、ここで説明した従来のめっき構造では、良好な電気特性を有する電子部品を製造するために金属基材として銅合金及び最表層のめっき層として金合金を用いた場合、その結果として、金合金の特性が劣化するおそれがある。
この点につき、この構成によれば、Ni−W合金めっき層にごく僅かな数のピンホールのみが形成される。言い換えれば、この構成によれば、従来と比べて、金属基材に含まれる銅が金合金めっき層に入り込む際に通過する通路としてのピンホールの数を大幅に低減できる。そうすると、金合金めっき層中における銅の拡散量を少なくすることができるため、金合金の特性劣化を防止できる。すなわち、この構成によれば、良好な電気特性を有する電子部品を製造するために金属基材として銅合金及び最表層めっきとして金合金を用いた場合に従来問題となっていた最表層めっきの特性劣化を防止できる、という大きな効果を得ることができる。
(4)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るめっき方法は、金属基材にめっき処理を施すためのめっき方法であって、前記金属基材の表面に第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層を形成する工程と、前記第1めっき層を形成する工程で形成された前記第1めっき層の表面に第2めっき層としてのNi−W合金めっき層を形成する工程と、を含んでいる。
この方法では、金属基材の表面に、第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層が形成される際、金属基材に含まれる金属(例えば銅)がめっき液中に溶出する場合がある。そうすると、その金属が不純物として第1めっき層に含まれてしまうため該第1めっき層に相当数のピンホールが形成されてしまう場合がある。
一方、その第1めっき層の表面に、第2めっき層としてのNi−W合金めっき層が形成される際、第1めっき層に含まれる不純物としての前記金属がめっき液中に溶出する場合がある。しかしながら、第1めっき層に含まれる金属は、金属基材中に含まれる金属と比べて僅かであるため、第1めっき層に含まれる金属のめっき液中への溶出量は僅かである。すなわち、Ni−W合金めっき層を形成するためのめっき液中には、前記金属が僅かな量だけ含まれているため、Ni−W合金めっき層には、僅かな数のピンホールのみが形成される。
従って、この方法によると、電子部品に形成されるNi−W合金めっき層の特性の劣化を防止できる。
(5)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るめっき装置は、複数の金属基材を有するフープ材を所定方向に搬送しながら各前記金属基材にめっき処理を施すめっき装置であって、前記所定方向に搬送される前記フープ材が浸漬されるめっき液であって、前記金属基材の表面に第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層を形成するための第1めっき液、が溜められる第1めっき槽と、前記第1めっき層が形成された前記フープ材が浸漬されるめっき液であって、前記第1めっき層の表面に第2めっき層としてのNi−W合金めっき層を形成するための第2めっき液、が溜められ、前記第1めっき槽よりも前記所定方向における下流側に設けられた第2めっき槽と、を備えている。
この構成では、複数の前記金属基材を有するフープ材を所定方向に搬送しながら、第1めっき層及び第2めっき層を順次、形成することができる。これにより、めっき処理が施された電子部品等を、複数、連続的に形成することができる。
また、この構成では、金属基材の表面に、第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層が形成される際、金属基材に含まれる金属(例えば銅)が第1めっき液中に溶出する場合がある。そうすると、その金属が不純物として第1めっき層に含まれてしまうため該第1めっき層に相当数のピンホールが形成されてしまう場合がある。
一方、その第1めっき層の表面に、第2めっき層としてのNi−W合金めっき層が形成される際、第1めっき層に含まれる不純物としての前記金属が第2めっき液中に溶出する場合がある。しかしながら、第1めっき層に含まれる金属は、金属基材中に含まれる金属と比べて僅かであるため、第1めっき層に含まれる金属の第2めっき液中への溶出量は僅かである。すなわち、第2めっき液中には、前記金属が僅かな量だけ含まれているため、Ni−W合金めっき層には、僅かな数のピンホールのみが形成される。
従って、この構成によると、電子部品に形成されるNi−W合金めっき層の特性の劣化を防止できる。
ところで、従来のめっき構造(金属基材表面にNi−W合金めっき層が形成され、更にその表面に金合金めっき層が形成された構成)を有する端子等を製造する場合、Ni−W合金めっき層を形成するためのめっき液中への金属基材に含まれる金属の溶出量が比較的多く、その金属の濃度が許容限界を超えると、そのめっき処理が中断されていた。
この点につき、この構成によれば、第2めっき液中に溶出する前記金属の溶出量を低減することができる。そうすると、第2めっき液中に含まれる前記金属の濃度が許容限界を超えにくくなるため、従来のようにめっき処理が頻繁に中断されることがない。従って、この構成によれば、めっき処理が頻繁に中断されることなく、めっき処理を連続的に行うことができる。
本発明によれば、電子部品に形成されるNi−W合金めっきの特性の劣化を防止できる。
本発明の実施形態に係る端子の斜視図である。 図1に示す端子のコンタクト部を、図1における矢印II方向から視た図である。 図2におけるIII部の断面図であって、端子表面部分のめっき構造について説明するための図である。 めっき処理が施される前の金属基材が複数形成されたフープ材の一部の斜視図である。 本発明の実施形態に係るめっき装置を側方から視た模式図である。 図5に示すめっき装置20を上方から視た模式図である。 各めっき処理部で印加されるパルス状の電圧を模式的に示す図である。 フープ材に第1から第3のめっき層を形成する際の工程を示すフローチャートである。 比較例に係る試験片のめっき構造を模式的に示す断面図である。 ピンプローブ状に形成された試験片の形状を模式的に示す図である。 硝酸ばっき試験後における試験片A1のAu−Coめっき層の表面写真である。 硝酸ばっき試験後における試験片B1のAu−Coめっき層の表面写真である。 複合ガス中に放置した後の試験片A2のAu−Coめっき層の表面写真である。 複合ガス中に放置した後の試験片B2のAu−Coめっき層の表面写真である。 複合ガス中に放置した後の試験片A3と試験片A4との間の接触抵抗試験結果を示すグラフである。 複合ガス中に放置した後の試験片B3と試験片B4との間の接触抵抗試験結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、端子等の電子部品、この電子部品のめっき方法及びめっき装置に広く適用できる。
[メス端子の概略構成]
図1は、本発明の実施形態に係るメス端子10の斜視図である。また、図2は、図1に示すメス端子10のコンタクト部11を拡大して示す図である。
図1に示すメス端子10は、図示しないコネクタに用いられる端子である。メス端子10の先端部分は、一対の板バネで構成されたコンタクト部11として設けられている。当該コンタクト部11に相手側コネクタのオス端子(図示省略)が挿入され、挟まれて保持されることにより、コネクタと相手側コネクタとが電気的に接続される。
[めっき層の構成]
図3は、図2におけるIII部の断面図であって、メス端子10の表面部分のめっき構造について説明するための図である。
メス端子10の表面には、複数のめっき層が形成されている。具体的には、メス端子10は、金属基材12と、該金属基材12の表面に形成された第1めっき層13、第2めっき層14、及び第3めっき層15と、を備えている。
金属基材12は、板状の金属部材がプレス加工によって折り曲げられることにより形成された部分である。金属基材12の形状は、図1に示すメス端子10の形状と概ね同じである。本実施形態では、電気伝導率の観点から、金属基材12として銅合金が用いられている。
第1めっき層13は、金属基材12の表面に形成されためっき層である。第1めっき層13は、ニッケル、又はNi−Co合金によって構成されている。第1めっき層13の厚さは、例えば0.3〜1.5μmの範囲内である。
第2めっき層14は、第1めっき層13の表面に形成されためっき層である。第2めっき層14は、Ni−W合金によって構成されている。第2めっき層14の厚さは、例えば0.6〜1.5μmの範囲内である。しかし、これに限らず、第2めっき層14の厚さは1.5μm以上であってもよい。
第3めっき層15は、第2めっき層14の表面に形成されためっき層である。第3めっき層15は、例えばAu−Co合金のフラッシュめっきである。第2めっき層14の厚さは、例えば0.06〜1.3μmの範囲内である。
[フープ材の構成]
図4は、めっき処理が施される前の金属基材12が複数形成されたフープ材1の一部の斜視図である。
フープ材1は、細長い帯状に形成された帯状部2と、帯状部2に沿って等間隔に並んだ複数の金属基材12と、帯状部2と金属基材12とを連結する連結部3とを有し、これらが一体に形成されている。フープ材1は、細長いフープ状の金属板がプレス加工されることにより形成される。フープ材1は、金属基材12を構成する材料(本実施形態の場合、銅合金)で構成されている。本実施形態に係るメス端子10は、詳しくは後述するが、所定方向に沿って搬送されるフープ材1に第1めっき層13、第2めっき層14、及び第3めっき層15が順に形成された後、連結部3が切除されることにより、形成される。
[めっき装置]
図5は、本発明の実施形態に係るめっき装置20を側方から視た模式図である。また、図6は、図5に示すめっき装置20を上方から視た模式図である。メス端子10は、図5及び図6に示すめっき装置20によって形成される。めっき装置20では、図示しない巻取りリールが、該めっき装置20における下流側に設けられている。そして、めっき装置20では、巻取りリールがフープ材1を巻き取ることにより、該フープ材1が上流側から下流側へ(具体的には、図5及び図6の矢印A方向側へ)順次搬送されながら、以下で詳しく説明するように、該フープ材1にめっき処理が施される。
めっき装置20は、第1めっき処理部25と、第2めっき処理部30と、第3めっき処理部35と、を備えている。
第1めっき処理部25は、第1めっき槽26と、第1めっき用給電部27と、第1めっき用カソード28とを有している。
第1めっき槽26は、第1めっき層13を形成するための第1めっき液W1が内部に溜められた槽である。第1めっき液W1は、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、メタンスルホン酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、塩化コバルト、炭酸コバルト、及びグルコン酸コバルトから選択される1種又は2種以上の成分を有している。
図7は、各めっき処理部25,30,35で印加されるパルス状の電圧を模式的に示す図である。第1めっき処理部25では、第1めっき用給電部27と第1めっき用カソード28との間で、図7に示すような順方向パルスと逆方向パルスとが周期的に印加される。すなわち、第1めっき処理部25では、PPR(Pulse Periodic Reverse)を用いてめっき処理が行われる。これにより、第1めっき層の厚さを概ね均一にすることができる。
第2めっき処理部30は、第2めっき槽31と、第2めっき用給電部32と、第2めっき用カソード33とを有している。
第2めっき槽31は、第2めっき層14を形成するための第2めっき液W2が内部に溜められた槽である。第2めっき液W2は、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、メタンスルホン酸ニッケル、硫酸ニッケル、臭化ニッケル、塩化コバルト、炭酸コバルト、及びグルコン酸コバルトから選択される1種又は2種以上の成分と、硫酸コバルト、スルファミン酸コバルト、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、ジニトロジアンミンパラジウム、ビスマス酸ナトリウム、塩化イリジウム、及び硫酸マンガンから選択される1種又は2種以上の成分と、を有している。
第2めっき処理部30では、第2めっき用給電部32と第2めっき用カソード33との間で、図7に示すような順方向パルスと逆方向パルスとが周期的に印加される。すなわち、第2めっき処理部30では、第1めっき処理部25の場合と同様、PPR(Pulse Periodic Reverse)を用いてめっき処理が行われる。これにより、第2めっき層の厚さを概ね均一にすることができる。
第3めっき処理部35は、第3めっき槽36と、第3めっき用給電部37と、第3めっき用カソード38とを有している。
第3めっき槽36は、第3めっき層15を形成するための第3めっき液W3が内部に溜められた槽である。第3めっき液W3は、シアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウム、シアン化金アンモニウム、シアン化銀カリウム、硝酸銀、シアン化銀、塩化白金酸アンモニウム、及び塩化イリジウム酸アンモニウムから選択される1種又は2種以上の成分と、硫酸コバルト、スルファミン酸コバルト、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、塩化イリジウム、及び硫酸マンガンから選択される1種又は2種以上の成分と、を有している。
第3めっき処理部35では、第3めっき用給電部37と第3めっき用カソード38との間で、図7に示すような順方向パルスと逆方向パルスとが周期的に印加される。すなわち、第3めっき処理部35では、第1めっき処理部25及び第2めっき処理部30の場合と同様、PPR(Pulse Periodic Reverse)を用いてめっき処理が行われる。これにより、第3めっき層の厚さを概ね均一にすることができる。
なお、図5及び図6での図示は省略したが、めっき装置20は、酸洗処理部、脱脂処理部、乾燥処理部等を適宜、備えている。酸洗処理部は、例えば各めっき処理部の上流側に設けられている。各酸洗処理部は、上流側から搬送されてきたフープ材1に対して酸洗処理を行うことにより、フープ材1の表面に形成された酸化皮膜層、或いはフープ材1の表面に形成されためっき層の表面に形成された酸化皮膜層を除去する。脱脂処理部は、例えば第1めっき処理部25の上流側に設けられ、フープ材1表面に付着した汚れを除去する。乾燥処理部は、例えば第3めっき処理部35の下流側に設けられ、水分が付着したフープ材1の表面を乾燥する。
なお、ここでは、各めっき処理部25,30,35の全てでPPRによるめっき処理が行われる例を挙げて説明したが、これに限らず、本実施形態に係るめっき装置20によれば、各めっき処理部25,30,35において、順方向パルスのみを周期的に印加することもできる。すなわち、めっき装置20によれば、任意のめっき処理部25,30,35においてPPRによるめっき処理を行うことができる。また、めっき装置20によれば、各めっき処理部25,30,35の電流についても、個別に任意に設定することが可能である。
[めっき方法]
図8は、フープ材1に第1から第3のめっき層を形成する際の工程を示すフローチャートである。図8を参照して、本実施形態に係るめっき方法について説明する。
まず、ステップS1では、めっき装置20が起動される。そうすると、図示しない巻取りリールがフープ材1を巻き取ることにより、該フープ材1が上流側から下流側へ順次搬送される。また、めっき装置20が起動されると、各給電部27,32,37と対応する各カソード28,33,38との間で、図7に示すような順方向パルスと逆方向パルスとが周期的に印加される。
次に、ステップS2では、フープ材1の表面に第1めっき層13が形成される。具体的には、ステップS2では、フープ材1が、パルス状の電圧が印加された第1めっき液W1中を順次通過することにより、その表面に第1めっき層13が形成される。
次に、ステップS3では、上述したステップS2によってフープ材1の表面に形成された第1めっき層13の表面に、第2めっき層14が形成される。具体的には、ステップS3では、フープ材1が、パルス状の電圧が印加された第2めっき液W2中を順次通過することにより、第1めっき層13の表面に第2めっき層14が形成される。
次に、ステップS4では、上述したステップS3によって形成された第2めっき層14の表面に、第3めっき層15が形成される。具体的には、ステップS4では、フープ材1が、パルス状の電圧が印加された第3めっき液W3中を順次通過することにより、第2めっき層14の表面に第3めっき層15が形成される。
以上のようにして3層のめっき層13〜15が形成されたフープ材1は、乾燥処理等が行われた後、巻取りリールによって巻き取られる。その後、めっき処理が完了したフープ材1における連結部3(図4参照)が切断されることにより、メス端子10が完成する。
[実施例]
次に、本実施形態に係るメス端子10と同じめっき構造を有する試験片A1〜A4について性能評価試験を行った結果について説明する。以下では、各性能評価試験で用いられる試験片の構成について説明する。そしてその後、性能評価試験結果について説明する。
[実施例に係る試験片、及び比較例に係る試験片の構成]
本実施例に係る試験片A1〜A4は、図3を参照して、金属基材12としての銅合金、第1めっき層13としてのニッケルめっき層、第2めっき層14としてのNi−W合金めっき層、及び第3めっき層15としてのAu−Coめっき層、を備えている。なお、試験片A1〜3の金属基材12は、片状に形成されており、試験片A4の金属基材12は、以下で詳しく説明するピンプローブ状に形成されている。
図9は、比較例に係る試験片B1〜B4のめっき構造を模式的に示す断面図である。上述した実施例に係る試験片A1〜A4の比較対象となる比較例に係る試験片B1〜B4は、図9に示すように、金属基材12としての銅合金、該金属基材12の表面に形成されたニッケルめっき層13、該ニッケルめっき層13の表面に形成されたAu−Coめっき層15、を備えている。すなわち、比較例に係る試験片B1〜B4は、実施例に係る試験片A1〜A4と比べて、Ni−W合金めっき層が省略された構成となっている。なお、試験片B1〜3の金属基材12は、片状に形成されており、試験片B4の金属基材12は、以下で詳しく説明するピンプローブ状に形成されている。
実施例に係る試験片A1では、硝酸ばっき後、Au−Coめっきの表面状態が確認された。試験片A1では、第1めっき層(ニッケルめっき層)の厚さと第2めっき層(Ni−W合金めっき層)の厚さとを足した値が1.125μmとなっている。また、第3めっき層(Au−Co合金めっき層)の厚さは、0.063μmである。
比較例に係る試験片B1は、実施例に係る試験片A1の比較対象となる試験片である。比較例に係る試験片B1では、硝酸ばっき後、Au−Coめっきの表面状態が確認された。試験片B1のニッケルめっき層の厚さは3.088μm、Au−Coめっき層の厚さは0.988μmである。
実施例に係る試験片A2では、複合ガス中に放置された後、Au−Coめっきの表面の状態が確認された。試験片A2では、第1めっき層(ニッケルめっき層)の厚さと第2めっき層(Ni−W合金めっき層)の厚さとを足した値が1.125μmとなっている。また、第3めっき層(Au−Coめっき層)の厚さは、0.063μmである。
比較例に係る試験片B2は、実施例に係る試験片A2の比較対象となる試験片である。比較例に係る試験片B2では、複合ガス中に放置された後、Au−Coめっきの表面状態が確認された。試験片B2のニッケルめっき層の厚さは2.913μm、Au−Coめっき層の厚さは0.935μmである。
実施例に係る試験片A3,A4は、複合ガス中に放置した後の接触抵抗試験に用いられるものである。この接触抵抗試験のN数は、6である。すなわち、接触抵抗試験では、試験片A3,A4が、それぞれ6つずつ用いられた。試験片A3,A4では、第1めっき層(ニッケルめっき層)の厚さと第2めっき層(Ni−W合金めっき層)の厚さとを足した値が1.125μmとなっている。また、第3めっき層(Au−Coめっき層)の厚さは、0.060〜0.100μmの範囲内である。なお、試験片A4は、図10に示すピンプローブ状に形成されている。
比較例に係る試験片B3,B4は、それぞれ、実施例に係る試験片A3,A4のそれぞれの比較対象となるものである。比較例に係る試験片B3,B4は、複合ガス中に放置した後の接触抵抗試験に用いられるものである。試験片B3,B4のニッケルめっき層の厚さは3.000〜4.000μmの範囲内である。また、試験片B3,B4のAu−Coめっき層の厚さは、0.300〜0.400μmの範囲内である。なお、試験片B4は、図10に示すピンプローブ状に形成されている。
[硝酸ばっき後のAu−Coめっきの表面状態確認結果]
図11は、硝酸ばっき試験後における試験片A1のAu−Coめっき層15の表面写真である。また、図12は、硝酸ばっき試験後における試験片B1のAu−Coめっき層15の表面写真である。硝酸ばっき試験は、試験片A1及び試験片B1の双方において、同条件で行った。図11及び図12では、Au−Coめっき層15における腐食した部分が、楕円枠E内における濃い色で示されている。
図11に示すように、試験片A1のAu−Coめっき層15には腐食部分が確認されなかった、一方、図12に示すように、試験片B1のAu−Coめっき層15には、複数の腐食部分C(図12の楕円枠内における黒色の部分)が確認された。これにより、本実施形態に係るめっき構造の方が、従来から知られているめっき構造よりも、硝酸ばっき試験における耐腐食性の観点において優れていることが確認できた。
[複合ガス中に放置した後のAu−Coめっきの表面状態確認結果]
図13は、複合ガス中に放置した後の試験片A2のAu−Coめっき層15の表面写真である。また、図14は、複合ガス中に放置した後の試験片B2のAu−Coめっき層15の表面写真である。複合ガスとしては、3種の複合ガス(0.5±0.1ppmのHS、2.0±0.2ppmのSO、1.0±0.2ppmのNO)を用いた。複合ガス試験では、各試験片A2,B2が、35℃、湿度75%の条件下で、上述した3種の複合ガス中に648時間放置された。
図13に示すように、複合ガス中に放置した後の試験片A2のAu−Coめっき層15には、比較的細かい腐食部分Cが複数、確認された。複合ガス中に放置した後の試験片A2のAu−Coめっき層15の腐食面積率(楕円枠E内の面積に対する、楕円枠E内に含まれる腐食部分Cの面積のパーセンテージ)は、10.59%であった。一方、複合ガス中に放置した後の試験片B2のAu−Coめっき層15には、比較的面積が広い腐食部分が複数、確認された。試験片B2のAu−Coめっき層15の腐食面積率は、30%であった。これにより、本実施形態に係るめっき構造の方が、従来から知られているめっき構造よりも、複合ガス試験における耐腐食性の観点において優れていることが確認できた。
[複合ガス中に放置した後の接触抵抗試験結果]
図15は、複合ガス中に放置した後の試験片A3と試験片A4との間の接触抵抗試験結果を示すグラフである。また、図16は、複合ガス中に放置した後の試験片B3と試験片B4との間の接触抵抗試験結果を示すグラフである。接触抵抗試験では、一対の試験片A3,A4、及び一対の試験片B3,B4がそれぞれ6つ、準備される。そして、接触抵抗試験では、試験片A3,B3の表面に、ピンプローブ状に形成された試験片A4,B4の接触部Ct(図10参照)が所定の荷重となるように押し当てられ、その状態で一対の試験片の間の接触抵抗が測定される。
なお、図15における符号P1_maxは、荷重X時において、6つの一対の試験片A3,A4のうち最も接触抵抗が高い試験片A3,A4の接触抵抗値を示す点であり、符号P1_mimは、荷重X時において、6つの一対の試験片A3,A4のうち最も接触抵抗が低い試験片A3,A4の接触抵抗値を示す点である。また、符号P2_maxは、荷重X時において、6つの一対の試験片A3,A4のうち最も接触抵抗が高い試験片A3,A4の接触抵抗値を示す点であり、符号P2_mimは、荷重X時において、6つの一対の試験片A3,A4のうち最も接触抵抗が低い試験片A3,A4の接触抵抗値を示す点である。また、符号P3_maxは、荷重X時において、6つの一対の試験片A3,A4のうち最も接触抵抗が高い試験片A3,A4の接触抵抗値を示す点であり、符号P3_mimは、荷重X時において、6つの一対の試験片A3,A4のうち最も接触抵抗が低い試験片A3,A4の接触抵抗値を示す点である。
また、図16における符号Q1_maxは、荷重X時において、6つの一対の試験片B3,B4のうち最も接触抵抗が高い試験片B3,B4の接触抵抗値を示す点であり、符号Q1_mimは、荷重X時において、6つの一対の試験片B3,B4のうち最も接触抵抗が低い試験片B3,B4の接触抵抗値を示す点である。また、符号Q2_maxは、荷重X時において、6つの一対の試験片B3,B4のうち最も接触抵抗が高い試験片B3,B4の接触抵抗値を示す点であり、符号Q2_mimは、荷重X時において、6つの一対の試験片B3,B4のうち最も接触抵抗が低い試験片B3,B4の接触抵抗値を示す点である。また、符号Q3_maxは、荷重X時において、6つの一対の試験片B3,B4のうち最も接触抵抗が高い試験片B3,B4の接触抵抗値を示す点であり、符号Q3_mimは、荷重X時において、6つの一対の試験片B3,B4のうち最も接触抵抗が低い試験片B3,B4の接触抵抗値を示す点である。
図15及び図16を参照して、試験片A3と試験片A4との間の荷重が比較的大きい場合(荷重X及び荷重Xの場合)には、複合ガス中に放置した後の試験片A3及びA4の間の接触抵抗と、複合ガス中に放置した後の試験片B3及びB4の間の接触抵抗との間には、大きな差は確認できなかった。しかし、試験片A3と試験片A4との間の荷重が小さい場合(荷重Xの場合)には、試験片A3及びA4の間の接触抵抗の方が、試験片B3及びB4の間の接触抵抗よりも小さいことが確認できた。すなわち、本実施形態に係るめっき構造の方が、従来から知られているめっき構造よりも、複合ガス試験後の低接触抵抗の観点において優れていることが確認できた。
[本実施形態のめっき構造が耐腐食性及び接触抵抗の観点で優れている理由の考察]
以下では、本実施形態のめっき構造が耐腐食性及び接触抵抗の観点において、既知のめっき構造(具体的には、上述した試験片B1〜B4が有するめっき構造)よりも優れている理由について説明する。しかしその前に、本実施形態のめっき構造におけるニッケルめっき層及びNi−W合金めっき層に形成されるピンホールの数、及び、既知のめっき構造におけるニッケルめっき層に形成されるピンホールの数について説明する。
例えば既知のめっき構造を有する端子を製造する場合、以下のような手法がある。具体的には、銅合金等の金属基材上にニッケルめっき層を形成し、更にその表面に金合金めっき層を形成する手法がある。この手法において、例えばニッケルめっき層を形成する際にPPRを用いてめっき処理を行うことにより、ニッケルめっき層を、金属基材の表面全体に亘って均一な厚さに形成することができる。
しかしながら、PPRを用いてめっき処理を行うと、逆方向パルスが印加された場合に金属基材中に含まれる銅がめっき液中に溶出する。そうすると、めっき液中に溶出した銅が不純物としてニッケルめっき層に含まれてしまい、ニッケルめっき層中に相当数のピンホールが形成される。
一方、本実施形態では、銅合金等の金属基材上にPPRによりニッケルめっき層が形成された後、その表面に、同じくPPRによりNi−W合金めっき層が形成される。
PPRを用いてニッケルめっき層を形成すると、逆方向パルスが印加された場合に金属基材中に含まれる銅が、ニッケルめっき用のめっき液中に溶出する。そうすると、めっき液中に溶出した銅が不純物としてニッケルめっき層に含まれてしまい、ニッケルめっき層に相当数のピンホールが形成される。
その後、PPRを用いてNi−W合金めっき層を形成すると、逆方向パルスが印加された場合に、ニッケルめっき層に不純物として含まれる銅が、Ni−W合金めっき用のめっき液中に溶出する。しかしながら、ニッケルめっき層に不純物として含まれる銅は、銅合金に含まれる銅に比べれば僅かであるため、Ni−W合金めっき層に形成されるピンホールの数は、ごく僅かである。
以上のように、既知のめっき構造におけるニッケルめっき層には相当数のピンホールが形成される一方、本実施形態のめっき構造におけるNi−W合金めっき層にはごく僅かな数のピンホールのみが形成される。
上述のような相当数のピンホールが形成された既知のめっき構造を有する試験片B1〜B4にガス試験(上述した硝酸ばっき試験、及び複合ガス試験)を行うと、金属基材の銅がピンホールを介して金合金めっき中に拡散し、該銅と金合金めっき中の金とが合金化する。そうすると、金合金めっきの接触抵抗が増大してしまう。
これに対して、上述のようなごく僅かな数のピンホールのみが形成された本実施形態のめっき構造を有する試験片A1〜A4にガス試験を行うと、試験片B1〜B4の場合と同様、金属基材の銅がピンホールを介して金合金めっき中に拡散する。しかしながら、本実施形態のめっき構造に含まれるNi−W合金めっき層には、ごく僅かな数のピンホールしか形成されていないため、金合金めっき中における銅と金とが合金化する量もごく僅かである。従って、既知のめっき構造の場合と比べて、金合金めっきの接触抵抗の増大を大幅に抑制することができる。
[省金化について]
本実施形態に係るメス端子10では、最表層の部分がAu−Co合金めっき層で構成されている。金めっきの原材料として用いられる金は比較的高価であるため、低コスト化の観点において、金合金めっき層に用いられる金の使用量を低減することが求められている。
この点につき、本実施形態に係るめっき構造によれば、従来と比べて大幅に金の使用量を低減することができる。
[硝酸ばっき試験結果から算出される省金化率]
硝酸ばっき試験で用いられた実施例の試験片A1のAu−Co合金めっき層の厚さは0.063μmであり、比較例の試験片B1のAu−Co合金めっき層の厚さは0.988μmである。上述した通り、硝酸ばっき試験結果によれば、実施例の試験片A1の方が比較例の試験片B1よりも優れているため、硝酸ばっき試験結果の観点からすると、{(0.988−0.063)/0.988}×100=93.6%以上、金の使用量を低減することができる。
[複合ガス試験結果から算出される省金化率]
複合ガス試験で用いられた実施例の試験片A2のAu−Co合金めっき層の厚さは0.063μmであり、比較例の試験片B2のAu−Co合金めっき層の厚さは0.935μmである。上述した通り、複合ガス試験結果によれば、実施例の試験片A2の方が比較例の試験片B2よりも優れているため、複合ガス試験結果の観点からすると、{(0.935−0.063)/0.935}×100=93.2%以上、金の使用量を低減することができる。
[接触抵抗試験から算出される省金化率]
複合ガス試験後、接触抵抗試験が行われた実施例の試験片A3,A4のAu−Co合金めっき層の厚さは0.060〜0.100μmの範囲内であり、比較例の試験片B3,B4のAu−Co合金めっき層の厚さは0.300〜0.400μmの範囲内である。上述した通り、接触抵抗試験結果によれば、実施例の試験片A3,A4の方が比較例の試験片B3,B4よりも優れている。本試験から省金化率を算出するにあたり、上述した場合と同様の式により省金化率を算出するために、試験片A3,A4のAu−Co合金めっき層の厚さを0.080μmとし、試験片B3,B4のAu−Co合金めっき層の厚さを0.350μmとする。そして、省金化率を算出すると、{(0.350−0.080)/0.350}×100=77.1%となる。すなわち、接触抵抗試験結果の観点からすると、77.1%以上、金の使用量を低減することができる。
[効果]
以上のように、本実施形態に係るメス端子10では、金属基材の表面に、第1めっき層13としてのニッケルめっき層が形成される際、金属基材12に含まれる銅が第1めっき液W1中に溶出する場合がある。そうすると、銅が不純物として第1めっき層13に含まれてしまうため該第1めっき層13に相当数のピンホールが形成されてしまう場合がある。
一方、その第1めっき層13の表面に、第2めっき層14としてのNi−W合金めっき層が形成される際、第1めっき層13に含まれる不純物としての銅が第2めっき液W2中に溶出する場合がある。しかしながら、第1めっき層13に含まれる銅は、金属基材12中に含まれる銅と比べて僅かであるため、第1めっき層13に含まれる銅の第2めっき液W2中への溶出量は僅かである。すなわち、Ni−W合金めっき層を形成するための第2めっき液W2中には、銅が僅かな量だけ含まれているため、Ni−W合金めっき層には、僅かな数のピンホールのみが形成される。
従って、メス端子10によると、メス端子10に形成されるNi−W合金めっき層の特性の劣化を防止できる。
また、メス端子10によれば、比較的導電率が高い金を第3めっき層15に用いることにより、メス端子10の電気特性(例えば接触抵抗)を向上することができる。
ところで、従来のめっき構造(金属基材表面にNi−W合金めっき層が形成され、更にその表面に金合金めっき層が形成された構成)では、Ni−W合金めっき層に形成された相当数のピンホールを封止するために、例えば金合金めっき層の厚さを厚くしていた。しかしそうすると、比較的高価な材料である金の使用量が増大し、メス端子10が高コストとなっていた。
この点につき、メス端子10によれば、該メス端子10の電気特性を維持しつつ、第2めっき層14の表面に形成されるAu−Coめっき層15に用いられる金の使用量を低減することが可能となる。具体的には、この構成によれば、Ni−W合金めっき層のピンホールの数を少なくすることができるため、従来のめっき構造において行われていたように金合金めっき層を厚くする必要がなくなる。これにより、比較的高価な金の使用量を低減することができ、メス端子10を低コスト化できる。
また、メス端子10によれば、比較的導電率が高い銅を金属基材12に用いることにより、メス端子10の電気特性(例えば導電性)を向上することができる。
ところで、例えば従来のめっき構造(金属基材表面にNi−W合金めっき層が形成され、更にその表面に金合金めっき層が形成された構成)では、Ni−W合金めっき層に相当数のピンホールが形成されやすい。そうなると、金属基材に含まれる銅がそのピンホールを介して金合金めっき層に入り込んで拡散する。そうすると、金合金めっき層中で銅と金とが合金化してしまい、金合金めっき層の特性(例えば接触抵抗等の電気特性)が大きく劣化してしまう。すなわち、ここで説明した従来のめっき構造では、良好な電気特性を有するメス端子10を製造するために金属基材として銅合金及び最表層のめっき層として金合金を用いた場合、金合金の特性が劣化するおそれがある。
この点につき、メス端子10によれば、Ni−W合金めっき層にごく僅かな数のピンホールのみが形成される。言い換えれば、メス端子10によれば、従来と比べて、金属基材12に含まれる銅が金合金めっき層に入り込む際に通過する通路としてのピンホールの数を大幅に低減できる。そうすると、金合金めっき層中における銅の拡散量を少なくすることができるため、金合金の特性劣化を防止できる。すなわち、メス端子10によれば、良好な電気特性を有するメス端子を製造するために金属基材として銅合金及び最表層めっきとして金合金を用いた場合に従来問題となっていた最表層めっきの特性劣化を防止できる、という大きな効果を得ることができる。
また、メス端子10のめっき方法では、金属基材12の表面に、第1めっき層13としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層が形成される際、金属基材12に含まれる銅が第1めっき液W1中に溶出する場合がある。そうすると、銅が不純物として第1めっき層13に含まれてしまうため該第1めっき層13に相当数のピンホールが形成されてしまう場合がある。
一方、その第1めっき層13の表面に、第2めっき層14としてのNi−W合金めっき層が形成される際、第1めっき層13に含まれる不純物としての銅が第2めっき液W2中に溶出する場合がある。しかしながら、第1めっき層13に含まれる銅は、金属基材12中に含まれる銅と比べて僅かであるため、第1めっき層13に含まれる銅の第2めっき液W2中への溶出量は僅かである。すなわち、Ni−W合金めっき層を形成するための第2めっき液W2中には、銅が僅かな量だけ含まれているため、Ni−W合金めっき層には、僅かな数のピンホールのみが形成される。
従って、本実施形態に係るめっき方法によると、メス端子10に形成されるNi−W合金めっき層の特性の劣化を防止できる。
また、めっき装置20では、複数の金属基材12を有するフープ材1を所定方向に搬送しながら、第1めっき層13及び第2めっき層14を順次、形成することができる。これにより、めっき処理が施されたメス端子10を、複数、連続的に形成することができる。
また、めっき装置20では、金属基材12の表面に、第1めっき層13としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層が形成される際、金属基材12に含まれる銅が第1めっき液W1中に溶出する場合がある。そうすると、銅が不純物として第1めっき層13に含まれてしまうため該第1めっき層13に相当数のピンホールが形成されてしまう場合がある。
一方、その第1めっき層13の表面に、第2めっき層14としてのNi−W合金めっき層が形成される際、第1めっき層13に含まれる不純物としての銅が第2めっき液W2中に溶出する場合がある。しかしながら、第1めっき層13に含まれる銅は、金属基材12中に含まれる銅と比べて僅かであるため、第1めっき層13に含まれる銅の第2めっき液W2中への溶出量は僅かである。すなわち、第2めっき液W2中には、銅が僅かな量だけ含まれているため、Ni−W合金めっき層には、僅かな数のピンホールのみが形成される。
従って、本実施形態に係るめっき装置20によると、メス端子10に形成されるNi−W合金めっき層の特性の劣化を防止できる。
ところで、従来のめっき構造(金属基材表面にNi−W合金めっき層が形成され、更にその表面に金合金めっき層が形成された構成)を有する端子等を製造する場合、Ni−W合金めっき層を形成するためのめっき液中への金属基材に含まれる金属の溶出量が比較的多く、その金属の濃度が許容限界を超えると、そのめっき処理が中断されていた。
この点につき、めっき装置20によれば、第2めっき液W2中に溶出する銅の溶出量を低減することができる。そうすると、第2めっき液W2中に含まれる銅の濃度が許容限界を超えにくくなるため、従来のようにめっき処理が頻繁に中断されることなく、連続してめっき処理を行うことができる。従って、めっき装置20によれば、めっき処理が頻繁に中断されることなく、めっき処理を連続的に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例]
(1)上述した実施形態では、本発明の適用例としてコネクタのメス端子10を例に挙げて説明したが、この限りでなく、その他の電子部品に適用することもできる。例えば、本発明は、コネクタのオス端子、或いはリレーに適用することもできる。
(2)上述した実施形態では、金属基材として銅合金を用いる例を挙げて説明したが、これに限らず、その他の金属が用いられてもよい。例えば一例として、ステンレス鋼が用いられてもよい。
(3)上述した実施形態では、第1めっき層としてニッケルめっき層を例に挙げて説明したが、これに限らず、第1めっき層として、Ni−Co合金めっき層が用いられてもよい。
本発明は、めっきが施される端子等の電子部品に広く適用することができる。
1 フープ材
10 メス端子(電子部品)
12 金属基材
13 第1めっき層
14 第2めっき層
15 第3めっき層
20 めっき装置
26 第1めっき槽
31 第2めっき槽

Claims (4)

  1. 金属基材と、
    前記金属基材の表面に形成された第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層と、
    前記第1めっき層の表面に形成された第2めっき層としてのNi−W合金めっき層と、
    前記第2めっき層の表面に形成された第3めっき層としての金合金めっき層と、
    を備えていることを特徴とする、電子部品。
  2. 請求項に記載の電子部品において、
    前記金属基材として銅合金が用いられていることを特徴とする、電子部品。
  3. 金属基材にめっき処理を施すためのめっき方法であって、
    前記金属基材の表面に第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層を形成する工程と、
    前記第1めっき層を形成する工程で形成された前記第1めっき層の表面に第2めっき層としてのNi−W合金めっき層を形成する工程と、
    前記第2めっき層を形成する工程で形成された前記第2めっき層の表面に第3めっき層としての金合金めっき層を形成する工程と、
    を含んでいることを特徴とする、めっき方法。
  4. 複数の金属基材を有するフープ材を所定方向に搬送しながら各前記金属基材にめっき処理を施すめっき装置であって、
    前記所定方向に搬送される前記フープ材が浸漬されるめっき液であって、前記金属基材の表面に第1めっき層としてのニッケルめっき層又はNi−Co合金めっき層を形成するための第1めっき液、が溜められる第1めっき槽と、
    前記第1めっき層が形成された前記フープ材が浸漬されるめっき液であって、前記第1めっき層の表面に第2めっき層としてのNi−W合金めっき層を形成するための第2めっき液、が溜められ、前記第1めっき槽よりも前記所定方向における下流側に設けられた第2めっき槽と、
    前記第2めっき層が形成された前記フープ材が浸漬されるめっき液であって、前記第2めっき層の表面に第3めっき層としての金合金めっき層を形成するための第3めっき液、が溜められ、前記第2めっき槽よりも前記所定方向における下流側に設けられた第3めっき槽と、
    を備えていることを特徴とする、めっき装置。
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