図1(a)(b)は、それぞれ、本発明の電動スクリーン装置の一実施形態を示した一部切欠正面図、側面図である。図2(a)(b)は、それぞれ、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置の正面側の断面図、側面側の断面図である。図11(a)(b)(c)は、それぞれ、図1(a)(b)に示した制御部を拡大して示した正面図、A−A断面図、B−B断面図である。図14(a)(b)(c)は、それぞれ、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置に備えられた充電バッテリーの一形態を示した一部切欠正面図、側面図、背面図である。
図1(a)(b)および図2(a)(b)に示したように、電動スクリーン装置1は、対向配置された中空な一対のスクリーン取付枠部2a、2bと、スクリーン取付枠部2a、2b間に取り付けられたスクリーン3と、スクリーン取付枠部2a、2bの取付側ではないスクリーン3の両端部付近に設けられた一対のスライドガイド枠部4a、4bとを備えている。少なくとも一方のスクリーン取付枠部2aはスライド可能である。スクリーン3は、スクリーン取付枠部2a、2b間で収縮および展開可能である。スライドガイド枠部4a、4bは、少なくとも一方のスクリーン取付枠部2a、2bの内部に収納および引出可能とされ、少なくとも一端に自由端5a、5bを有している。
また、電動スクリーン装置1は、スクリーン取付枠部2aの内部に設けられた張力部材6と、張力部材6が掛け回されて張力部材6に張力を付与する2つの折返部7a、7bとを備えている。張力部材6は、スライドガイド枠部4a、4bをその自由端5a、5bにおいて相互に連結している。また、張力部材6はループを形成している。折返部7a、7bは、スライドガイド枠部4a、4bをはさんでスクリーン3の取付側と反対側の位置に設けられている。
また、電動スクリーン装置1は、スクリーン取付枠部2aを自動的にスライドさせる電動モータ8と、電動モータ8の動作を制御する制御部12と、制御部12に電源を供給する充電バッテリー89とを備えている。電動スクリーン装置1では、充電バッテリー89からの電源供給によって制御部12は電動モータ8の動作を制御し、制御部12による制御にしたがって電動モータ8は動作する。電動モータ8は回転軸8aを有し、回転軸8aの回転により発生するトルクによってスクリーン取付枠部2aがスライドしてスクリーン3が自動開閉する。このため、電動スクリーン装置1は、現行のスクリーン装置の構成や構造などに大きな変更を加えることなく実現され、かつ現行のスクリーン装置の特徴をそのまま生かすことができる。したがって、電動スクリーン装置1は汎用性の高いものであると予想される。
また、電動スクリーン装置1では、充電バッテリー89は、制御部12に対して着脱自在に設けられている。制御部12への電源供給を簡便とする充電バッテリー89の充電もまた簡便となる。
このような電動スクリーン装置1では、制御部12は、スクリーン取付枠部2aのいずれか一方の表裏面部の少なくともいずれか一方に取り付けられていることが好ましい。ユーザーによる電動スクリーン装置1の操作が簡便可能となる。
また、電動スクリーン装置1では、図11(a)に示したように、制御部12は、充電バッテリー89との電気的な接続を可能とする第1端子90を有していることが好ましい。また、図14(a)に示したように、充電バッテリー89は、制御部12が有する第1端子90と電気的に接続可能な第2端子110を有していることが好ましい。第1端子90と第2端子110の電気的な接続によって充電バッテリー89から制御部12への電源供給が可能となる。
この場合、充電バッテリー89は、引っ掛けとその解除が可能な爪部111を有し、制御部12は、爪部111が引っ掛かる凹所112を有することが好ましい。また、爪部111が凹所112に引っ掛かったとき、充電バッテリー89は制御部12に接続され、かつ第1端子90および第2端子110が電気的に接続することが好ましい。凹所112への爪部111の引っ掛かりが解除されたとき、充電バッテリー89は制御部12との接続が解除可能となり、かつ第1端子90および第2端子110の電気的接続も解除可能となる。
また、この場合、充電バッテリー89は、図14(a)(b)(c)に示したように、充電バッテリー本体113と、充電バッテリー本体113を収納する中空なバッテリーケース114とを備えることが好ましい。また、バッテリーケース114は、その内部に回動軸115を有し、爪部111は、回動軸115の周りを回動自在に設けられ、かつ爪部111は回動を操作する操作部116を有することが好ましい。操作部116がバッテリーケース114の内側向きに押圧されたとき、爪部111は、バッテリーケース114の内側向きに回動して、図11(a)に示した制御部12の凹所112への引っ掛かりが解除可能となる。また、爪部111は、バッテリーケース114の外側向きへの回動も可能であり、爪部111は、バッテリーケース114の外側向きに回動して制御部12の凹所112への引っ掛かりが可能となる。
さらに、この場合、バッテリーケース114は、その内部において回動軸115の付近に爪部111に接触する弾性部材117を有し、弾性部材117の弾性力は、爪部111に対してバッテリーケース114の外側向きに回動させるように作用することが好ましい。爪部111は、操作部116の押圧解除にともなって初期状態に自動復帰可能となる。
そして、電動スクリーン装置1では、電動モータ8が有する回転軸8aに歯車9が取り付けられ、歯車9は、2つの折返部7a、7bの内の1つである折返部7aを形成することが好ましい。また、電動スクリーン装置1では、張力部材6の少なくとも一部が、歯車9と噛み合い可能な歯部10を複数有する歯付ベルト11から形成され、電動モータ8の回転軸8aの回転により発生するトルクが歯車9および歯部10を通じて歯付ベルト11に伝達されることが好ましい。
この場合、電動モータ8が有する回転軸8aの回転により発生するトルクが張力部材6に伝達し、折返部7a、7bに掛け回された状態で張力部材6を移動させる。電動スクリーン装置1は、張力部材6のその移動によって、スクリーン取付枠部2aを自動的にスライドさせ、スクリーン3の自動開閉を実現する。歯車9および歯付ベルト11の採用は、電動モータ8の回転軸8aの回転により発生するトルクを張力部材6に簡便かつ確実に伝達することを可能にし、スクリーン3のより確実でスムーズな開閉に寄与する。
また、電動スクリーン装置1では、制御部12は電動モータ8の動作時の電流を監視し、その電流の上昇があらかじめ設定した閾値を超えたとき、制御部12は電動モータ8を停止させることが好ましい。
制御部12による上記のとおりの電動モータ8の動作制御は、スクリーン取付枠部2aが所定の移動限界に到達した時、スライドを自動停止させることができ、スクリーン3の自動開閉をスムーズに実現する。また、その動作制御は、万一スクリーン取付枠部2aのスライドに支障をきたした時、たとえば、スクリーン取付枠部2aが何かに衝突した時などにスクリーン取付枠部2aのスライドを強制的に自動停止させることができる。電動スクリーン装置1の安全性が確保可能となる。
以下、電動スクリーン装置1について詳しく説明する。
電動スクリーン装置1は、図1(a)(b)に示したように、たとえば建物の開口部などに、その横幅方向にスクリーン3が開閉自在として設置することができる。右側のスクリーン取付枠部2bは、前記開口部などの右側縁にタッピンねじによって固定することができる。左側のスクリーン取付枠部2aは、スクリーン3と同じように前記開口部などをその横幅方向にスライド可能とされ、左方向にスライドさせることによってスクリーン3を展開させることができる。このとき、前記開口部などはスクリーン3によって閉鎖される。一方、スクリーン取付枠部2aを右方向にスライドさせることによってスクリーン3を収縮させることができる。このとき、前記開口部などは開放される。
また、スクリーン取付枠部2aには、前記開口部の左側面部にモヘア14aなどの緩衝材14を設けることができる。モヘア14aは、電動スクリーン装置1の左側における前記開口部との間に隙間が形成されるのを抑制する。隙間形成の抑制は、前記建物の外部からの光漏れや風の吹き込み、また、虫などの侵入を抑制するのに有効となる。一方、緩衝材14は、スクリーン3の展開時にスクリーン取付枠部2aが万一前記開口部を出入りするユーザーや何らかの障害物などと接触したときの当たりを和らげることができる。
スクリーン取付枠部2aの下端部には、図2(a)に示したように、回転軸を中心として回転自在とされた車輪15を設けることができる。この場合、車輪15は、その下端側の一部がスクリーン取付枠部2aの下端から下方に突出するように設ける。このため、車輪15は、図1(a)(b)に示したボトムレール16上で回転することができる。ボトムレール16は、前記開口部などの下端縁にその長さ方向に沿って設けることができ、ボトムレール16の上端面は平坦面とすることができる。したがって、スクリーン取付枠部2aのスライドは、ボトムレール16に案内され、かつ車輪15の回転をともなうものであるので、よりスムーズに実現される。
また、前記開口部などの上端縁には、断面がU字型の形状を有する中空なトップレール17を設けることができる。この場合、トップレール17の内部にスクリーン取付枠部2aの上端部を挿入する。この挿入によって、スクリーン取付枠部2aのスライドは、ボトムレール16に加え、トップレール17によっても案内されるため、さらにスムーズとなり、かつ安定化する。また、トップレール17は、スクリーン3におけるスクリーン取付枠部2a、2bへの取付側ではない上端部付近、より具体的には、スクリーン3の上端より上側に、スクリーン取付枠部2aから引き出されるスライドガイド枠部4aが露出するのを抑制することができる。トップレール17は、電動スクリーン装置1の外観の向上にも寄与する。
なお、電動モータ8は、図1(a)に示したように、たとえば、スクリーン取付枠部2aの上端に設けることができる。この場合、電動モータ8も、スクリーン取付枠部2aの上端部と同様にトップレール17の内部に挿入することができる。このような電動モータ8のトップレール17の内部への挿入によって、電動モータ8は露出しない。このため、電動スクリーン装置1の外観のより一層の向上を図ることができ、加えてトップレール17は、電動モータ8を水濡れや埃の付着などから保護することに有効ともなる。
電動モータ8をスクリーン取付枠部2aの上端に設ける場合、スクリーン取付枠部2aの上端部を形成する上部案内ブロック18の上端に、図2(a)に示したように、電動モータ8の横置きを可能とする程度の大きさを有する受け部19を設ける。この場合、受け部19は、電動モータ8の回転やこの回転にともなうスクリーン取付枠部2aのスライドによっても電動モータ8が安定して配置可能となる適当な構造を採用することが好ましい。採用可能な前記構造は特に限定されない。
スライドガイド枠部4a、4bについては、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置1の場合、スライドガイド枠部4aを電動スクリーン装置1の上側に、スライドガイド枠部4bを電動スクリーン装置1の下側に、スクリーン3の収縮および展開がスムーズに行われるように配置する。
スライドガイド枠部4a、4bの自由端5a、5bではない他端は、たとえば固定端5c、5dとすることができる。この場合、固定端5c、5dはスクリーン取付枠部2bの上下の端部にそれぞれ固定し、スライドガイド枠部4a、4bの収納および引出しは、スクリーン取付枠部2aのみで可能となる。上部案内ブロック18は、基本的に、スクリーン取付枠部2aへのスライドガイド枠部4aの収納および引出しを案内する部材である。スクリーン取付枠部2aは、スライドガイド枠部4bの収納および引出しを案内することもできる。この場合、スクリーン取付枠部2aの下端部を下部案内ブロック20によって形成することができる。図2(a)に示したように、上部案内ブロック18および下部案内ブロック20のそれぞれには、スライドガイド枠部5a、5bの収納および引出しをスムーズに案内するために、凹状に湾曲する案内面21が設けられる。案内面21は、スクリーン取付枠部2aのスライドにともなってスライドガイド枠部4a、4bがスクリーン取付枠部2aの内部に収納または引出されるとき、スライドガイド枠部4a、4bを横方向から縦方向または縦方向から横方向に屈曲させる。
また、電動スクリーン装置1では、上部案内ブロック18に折返点7aとしての歯車9を設けることができる。この場合、歯車9は、前記のとおり、スクリーン取付枠部2aにおいてスライドガイド枠部4a、4bをはさんでスクリーン3の取付側と反対側の位置に配置されるように、たとえば、受け部19に隣接する上部案内ブロック18の左側端部に設けることができる。同様に、下部案内ブロック20には折返点7bを設けることができる。折返点7bには、たとえば、プーリーなどの平面視で円形形状を有する部材を採用することができ、このような部材は、回転軸によって回転可能に下部案内ブロック20で支持することができる。張力部材6は、歯車9および折返点7bに掛け回されてループを形成し、スライドガイド枠部4a、4bの連動と移動距離の均等化とを実現する。張力部材6のループは、電動スクリーン装置1では交差する8の字状とすることができるが、前記ループは必ずしも交差するループに限られない。すなわち、前記ループは、後述の図10に例示することができる、交差しない、正面視で長円状のループとすることもできる。また、歯車9を折返点7aとして設ける場合、張力部材6の少なくとも一部には、後述するような、歯車9と噛み合い可能な歯部10を複数有する歯付ベルト11を採用することができる。
スクリーン3については、その素材として、たとえば、布、ネット、樹脂製シートなどを例示することができる。また、その形態としては、収縮および展開が容易に実現されるように、複数のプリーツが形成されたものを好ましく例示することができる。複数のプリーツが形成されたスクリーン3の場合、たとえば風圧などを考慮し、スクリーン3の展開時の面強度を高めるために、スクリーン3をその横幅方向に貫通する補強部材22を設けることができる。補強部材22にはたとえばコードやワイヤーなどを採用することができる。補強部材22の本数は、スクリーン3の横幅方向や高さ方向の長さに応じて適宜決めることができる。また、補強部材22は必ずしも複数本とする必要はなく、1本の補強部材22をスクリーン3の左右両端でUターンさせ、スクリーン3の高さ方向の複数位置でスクリーン3を貫通させることもできる。
このようなスクリーン3では、スクリーン取付枠部2a、2bの取付側の左右両端部に、スクリーン3の高さ方向に延びる、長尺なセッティングプレート23a、23bを設けることができる。セッティングプレート23a、23bは、スクリーン取付枠部2a、2bに対して取付けおよび取外し可能とされる。このため、スクリーン3は、汚れたり、破れたりした場合、スクリーン取付枠部2a、2bから取り外すことができ、新品のスクリーン3との交換が可能となる。セッティングプレート23a、23bの素材としては、たとえば樹脂やアルミニウムなどの軽金属を例示することができる。
セッティングプレート23a、23bには、その上下方向に一定の間隔で複数の案内部材24a、24bを設けることができる。案内部材24aは、補強部材22をスクリーン3から引出し、下方または上方へと導くガイドとして機能する。一方、案内部材24bは、補強部材22の一端部を固定することもできる部材である。案内部材24a、24bの個数はスクリーン3に設ける補強部材22の本数と同数である。案内部材24aの外側には、断面がU字状の形状を有する、中空で長尺なカバー25を取り付けることができる。この場合、カバー25は、案内部材24aと、左側のセッティングプレート23a上に取り付けられ、補強部材22においてスクリーン3から引き出された部分とをカバー25の内部に収納することができる。このため、カバー25は、補強部材22においてスクリーン3から引き出された部分が、スクリーン取付枠部2aの内部に配置される他の部材と絡まるのを抑制する。
セッティングプレート23aに案内部材24aが設けられる場合、第1張力調整部材26を備えた方向転換部材27はセッティングプレート23aの下端部に設ける。第1張力調整部材26は、補強部材22においてスクリーン3から引き出された部分を上方に折り返すための部材である。第1張力調整部材26は、たとえば、円筒状の形状を有する部材とすることができ、回転軸によって回転可能に方向転換部材27で支持することができる。この場合、円筒状の第1張力調整部材26における円筒部の一部に、その下側から補強部材22においてスクリーン3から引き出された部分を掛け回し、上方に折り返すことによって補強部材22に適当な張力を付与することができる。
また、補強部材22においてスクリーン3から引き出された部分の端部、すなわち、補強部材22の他端部には第1コネクタ28を設けることができる。この場合、スクリーン取付枠部2aの内部には、第1コネクタ28と連結可能なジャンプ部材29を設ける。
ジャンプ部材29には、補強部材22と同様に、たとえばコードやワイヤーなどを採用することができ、適当な張力を付与可能とした部材である。ジャンプ部材29では、その一端がスライドガイド枠部4aの一端部5aの付近に連結され、他端は、スクリーン取付枠部2aの内部においてスクリーン3の取付側、具体的にはカバー25側に配置される。前記一端と前記他端の間に第2張力調整部材30を設ける。第2張力調整部材30も第1張力調整部材26と同様に、円筒状の形状を有する部材とすることができる。第2張力調整部材30は、回転軸によって回転可能に設けることができ、たとえば、上部案内ブロック18の下端部で支持することができる。この場合、円筒状の第2張力調整部材30における円筒部の一部に、その上側からジャンプ部材29を掛け回すことができる。このため、ジャンプ部材29を、その一端側から他端側にかけて上方から下方に折り返すことができ、この折返しによってジャンプ部材29に適当な張力が付与される。
ジャンプ部材29の他端部には第2コネクタ31が設けられる。第2コネクタ31は第1コネクタ28と連結およびその解除が可能である。第1コネクタ28と第2コネクタ31の連結方式には種々の態様が採用可能である。たとえば、一方を他方に嵌め込むなどの連結方式は簡便であり、好ましい。連結の解除は、前記のとおりのスクリーン3の交換を想定して採用される。
前記のとおり、スクリーン3の収縮および展開はスクリーン取付枠部2aのスライドにともなって生じる。スクリーン3が収縮および展開するとき、前記開口部に現れるスクリーン3の横幅方向の長さが変化する。このため、全長としては変化しないが、スクリーン3を貫通する部分の補強部材22の長さも変化する。第1コネクタ28と第2コネクタ31の連結は、補強部材22においてスクリーン3を貫通していない部分のスクリーン取付枠部2aの内部への引込みを実現する。また、スクリーン取付枠部2aの内部への補強部材22の引込みおよび引出しをスクリーン取付枠部2aのスライドに連動可能とする。
ジャンプ部材29の一端はスライドガイド枠部4aの一端部5a付近に連結され、スクリーン取付枠部2aの内部へのスライドガイド枠部4aの収納および引出しはスクリーン取付枠部2aのスライドと連動する。このため、スライドガイド枠部4aがスクリーン取付枠部2aの内部に収納されると、ジャンプ部材29の一端側が下方に引き下げられ、ジャンプ部材29の他端側は上方に引き上げられる。その結果、第2コネクタ31はスクリーン取付枠部2aの内部を上方に移動し、第2コネクタ31と連結している第1コネクタ28も上方へ移動する。このような第1コネクタ28の上方への移動によって、補強部材22においてスクリーン3を貫通していない部分がスクリーン取付枠部2aの内部に引き込まれる。スライドガイド枠部4aがスクリーン取付枠部2aの内部から引き出される場合は、第2コネクタ31および第1コネクタ28は下方に移動し、スクリーン取付枠部2aの内部に引き込まれていた部分の補強部材22がスクリーン取付枠部2aの外部に引き出される。したがって、スクリーン取付枠部2aの内部への補強部材22の引込みおよび引出しがスクリーン取付枠部2aのスライドと連動する。また、展開するスクリーン3の横幅方向の長さに見合った補強部材22がスクリーン3を貫通し、補強部材22によるスクリーン3の面強度の補強は適切に実現される。
スライドガイド枠部4a、4bには、たとえば、複数の剛性ユニット32が連結されて形成されたものを好ましく採用することができる。
図3は、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置のスライドガイド枠部の一形態を部分的に示した斜視図である。
図3に示した剛性ユニット32は、対向配置された一対の側壁部33と、側壁部33を相互に連結する架橋部34とを備える。また、剛性ユニット32は、側壁部33の一端部において外側に突出して設けられた突起35と、側壁部33の他端部において表裏を貫通して形成された貫通孔36と、回動規制手段37とを備える。
剛性ユニット32は、貫通孔36に突起35が嵌め込まれて連結され、スライドガイド枠部4a、4bを形成する。スライドガイド枠部4a、4bでは、剛性ユニット5は、隣り合う2つの間で突起35を回動軸として回動自在であり、剛性ユニット32の回動によってスライドガイド枠部4a、4bは屈曲性を発現する。一方、スライドガイド枠部4a、4bは回動規制手段37によって直線性を保持する。
たとえば、側壁部33については、平面視において、競技場のトラックに類似する外形形状を有する板状のものなどを例示することができる。突起35が設けられる側壁部33の一端部は、側壁部33をその厚さ方向に円形に切り欠くことができ、この場合、剛性ユニット32同士を連結したときの側壁部33の外面をスライドガイド枠部4a、4bの全体にわたって面一とすることができる。また、突起35については、円筒状の形状を有するものを例示することができ、この場合、貫通孔36の形状は、突起35の平面形状に対応する円形とすることができる。また、貫通孔36の大きさは、突起35の外形と等しいまたは若干大きなものとすることができる。
架橋部34については、平面視で矩形の板状のものなどを例示することができる。また、架橋部34は、図1(a)(b)に示したボトムレール16と接触しないように、一対の側壁部33の上側に配置することができる。
剛性ユニット32の回動規制手段37には、たとえば、小突起38および長孔39の組合せを採用することができる。この場合、小突起38は、平面視で円弧状の形状を有するものとし、突起35の隣で側壁部33から外方に突出させて形成することができる。長孔39は、小突起38の差込みが可能であり、かつ小突起38の平面視の長さよりも長い三日月状の形状を有するものとすることができる。また、長孔39は、貫通孔36の隣に側壁部33の表裏を貫通して形成することができる。このような回動規制手段37は、小突起38が長孔39に差し込まれた状態で機能する。すなわち、隣り合う2つの剛性ユニット32の間で、小突起38が長孔39の一端に接触するとき、剛性ユニット32の回動を抑制する。この回動の制止によって、スライドガイド枠部4a、4bの直線性の保持が可能となる。
このような剛性ユニット32は、スライドガイド枠部4a、4bの軽量化も考慮して比較的硬質な樹脂製とすることが好ましい。
なお、スライドガイド枠部4a、4bは、少なくとも一方のスクリーン取付枠部2a、2bの内部に収納および引出可能である限り、その構成および構造は特に限定されない。電動スクリーン装置1では、図3に示した剛性ユニット32の複数を連結して形成したもの以外もスライドガイド枠部4a、4bとして採用することができる。
図2(a)(b)に示した張力部材6については、電動スクリーン装置1が、図3に示した剛性ユニット32が複数連結されて形成されたスライドガイド枠部4aを採用する場合、以下のような構成および構造を採用することができる。
図4(a)(b)は、それぞれ、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置の張力部材の一形態を部分的に示した正面図である。より具体的には、図4(a)(b)は、張力部材6のスライドガイド枠部4aへの固定側の部分を示している。
張力部材6の少なくとも一部を形成する歯付ベルト11は、図1(a)に示した電動モータ8の回転軸8aに取り付けられる歯車9と噛み合うことができる複数の歯部10を表面部に有する。歯付ベルト11は、歯部10を歯車9と噛み合わせて歯車9に掛け回すことができ、その結果、折返部7aへの掛け回しを可能とする。歯付ベルト11の材質には、歯部10の形成が容易であり、かつ電動モータ8から伝達されるトルクに耐え得るような強度を有しながらも軽量である樹脂、ゴムなどを例示することができる。歯付ベルト11の幅は歯車9の大きさを考慮して適宜決めることができ、歯付ベルト11の長さは、図1(a)(b)および図2(a)(b)に示したスクリーン取付枠部2aのスライド距離を考慮して適宜決めることができる。歯付ベルト11の一端部は、スライドガイド枠部4aの自由端5aに位置する剛性ユニット32に固定することができる。剛性ユニット32における歯付ベルト11の固定部位は、たとえば架橋部34の表面とすることができる。
図5は、図4(a)(b)に示した歯付ベルトの一端部を、スライドガイド枠部の自由端に位置する剛性ユニットに固定するための固定構造の一形態を示した要部分解斜視図である。
前記固定構造は、たとえば、ベルト固定部材40、コイルスプリング41、固定治具42およびコイルスプリング保持部材43を備えることができる。この固定構造の場合、ベルト固定部材40は、コイルスプリング41の内径よりも細く、コイルスプリング41を外周に配置可能とした胴部44を有する。胴部44の長さはコイルスプリング41の長さよりも長い。胴部44の一端に、胴部44よりも外側に突出する、たとえば円錐形状などとすることのできる鍔部45が設けられる。鍔部45の大きさはコイルスプリングの外形と同じまたは多少大きめとする。胴部44の他端には、コイルスプリング41を配置したときにコイルスプリング41よりも外側に突出するベルト連結部46が設けられる。ベルト連結部46は板状形状を有し、その長さ方向の一方の面部に歯部47が複数設けられる。歯部47は歯付ベルト11の歯部10と噛み合い可能である。ベルト連結部46において前記一方の面と対向して配置される他方の面部には、鍔部45から最も遠い位置に爪48が設けられる。爪48は前記他方の面部から突出し、突出方向は歯部47と反対であり、かつ鍔部45側に向かう。このようなベルト固定部材40はたとえば軽量化などを考慮して樹脂製などとすることができ、この場合、胴部44、鍔部45、ベルト連結部46、歯部47および爪48を一体的に成形することができる。
固定治具42は筒状の部材であり、たとえば角筒状の部材とすることができる。固定部材42はその全長にわたって中空とされる。固定治具42の中空部49の大きさは、ベルト固定部材40のベルト連結部46と歯付ベルト11が歯部47、10同士が噛み合ったときの外形の大きさと同じまたは多少大きめである。固定治具42も軽量化などを考慮して樹脂製などとすることができる。
コイルスプリング保持部材43は、剛性ユニット32の架橋部34の表面側に設けられる。架橋部34におけるコイルスプリング保持部材43の位置には特に制限はなく、たとえば、剛性ユニット32の一方の側壁部33に沿ってコイルスプリング保持部材43を配置することができる。コイルスプリング保持部材43の外形にも特に制限はなく、たとえば断面を矩形状とすることができる。コイルスプリング保持部材43には、コイルスプリング41の外径よりも若干大きい内径を有する中空部50が形成される。中空部50は、コイルスプリング保持部材43をその長さ方向に貫通し、一端は外部に完全に開放される。一方、他端は座ぐり穴51とされる。座ぐり穴51における外部に開放される開口の大きさは、ベルト固定部材40のベルト連結部46の大きさよりも大きい一方、コイルスプリング41の外形よりも小さく、かつ固定治具42の大きさよりも小さい。中空部50の断面形状には特に制限はなく、たとえば、コイルスプリング41の外形に対応させて円形などとすることができる。このようなコイルスプリング保持部材43は、たとえば剛性ユニット32との一体成形などによって形成することができる。
前記固定構造によるスライドガイド枠部4aの自由端5aへの歯付ベルト11の固定作業は、以下の手順にしたがって実行することができる。
まず、コイルスプリング41の内部にベルト固定部材40を通し、胴部44の外周にコイルスプリング41を配置する。次に、ベルト固定部材40をコイルスプリング41とともにコイルスプリング保持部材43の中空部50の内部に外部に完全に開放された側から挿入する。このとき、コイルスプリング41においてベルト連結部46側に位置する一端は座ぐり穴51に当接する。一方、ベルト固定部材40のベルト連結部46は座ぐり穴51の開口からコイルスプリング保持部材43の外側に突出する。
歯付ベルト11は固定治具42の中空部49に通しておき、先端部を中空部49の外側に突出させておく。この状態においてコイルスプリング保持部材43の座ぐり穴51の開口から外側に突出したベルト連結部46の歯部47と、固定治具42の中空部49の外側に突出した歯付ベルト11の先端部の歯部10とを噛み合わせる。次いで、固定治具42をコイルスプリング保持部材43側にスライドさせ、座ぐり穴51よりも遠くに位置する固定治具42の一端に爪48を引っ掛ける。このときの状態を示したのが図6である。
図6は、図5に示した固定構造によるスライドガイド枠部の自由端への歯付ベルトの固定状態を示した要部斜視図である。
前記のとおり、固定治具42の一端に爪48が引っ掛かることによって、歯付ベルト11の一端部が、スライドガイド枠部4aの自由端5aに位置する剛性ユニット32に固定される。この固定状態では、コイルスプリング41は、その一端が座ぐり穴51に当接し、他端はベルト固定部材40の鍔部45に当接する。このため、コイルスプリング41は、ベルト固定部材40の胴部44の外周に保持される。
このような固定構造による歯付ベルト11の固定は、たとえばドライバーなどの工具が不要であり、固定作業を容易とする。また、図4(a)(b)に示したように、図1(a)に示した電動モータ8を作動させ、回転軸8aに発生するトルクを歯車9および歯部10を通じて歯付ベルト11に伝達する際には、前記トルクはコイルスプリング41を介してスライドガイド枠部4aに伝達する。スクリーン取付枠部2aをスライドさせてスクリーン3を展開させる場合、歯車9は図4(a)図中に示した矢印方向に回転し、歯付ベルト11は図6図中に示した矢印方向に引っ張り上げられる。このときの引上げ力は、直接スライドガイド枠部4aの自由端5aに位置する剛性ユニット32に作用することはない。一旦ベルト固定部材40の鍔部45を介してコイルスプリング41に作用し、図4(b)に示したようにコイルスプリング41を圧縮させる。この圧縮によってコイルスプリング41に発生する弾性力がコイルスプリング保持部材43において座ぐり穴51が形成された前記他端に作用し、その結果、スライドガイド枠部4aに前記引上げ力が間接的に作用する。
電動スクリーン装置1では、図1(a)に示した電動モータ8の回転軸8aに発生するトルクを張力部材6に伝達するため、歯付ベルト11も含め張力部材6には、電動モータ8の始動時やスクリーン取付枠部2aが前記開口部の左側面部に接触する瞬間に大きな力が加わる。このように大きな力は、たとえば、図2(a)(b)に示した歯付ベルト11とスライドガイド枠部4aの自由端5aとの連結部に集中しやすく、電動スクリーン装置1の開閉の回数が多くなるにつれて前記連結部が劣化し、前記連結部が解除されるなどの耐久性の問題が想定される。この耐久性の問題を解消する上でも前記固定構造は有効となる。図4(a)(b)に示したようにコイルスプリング41を介在させているため、前記大きな力は、コイルスプリング41に吸収され、弾性力に変換された後、徐々にスライドガイド枠部4aの自由端5aに加わる。したがって、前記連結部に集中しがちな大きな力を緩和させることができ、張力部材6とスライドガイド枠部4aの自由端5aとの連結を電動スクリーン装置1の開閉の頻度にかかわらず安定に保持することができる。
図2(b)に示したように、歯付ベルト11によって張力部材6の一部を形成する場合、残りの部分にはコード52を採用することができる。この場合、コード52の一端部を、歯付ベルト11においてスライドガイド枠部4aへの連結側ではない他端部に連結する。なお、コード52は、ワイヤーなどの他の張力部材に置換することが可能である。
図7は、図2(a)(b)に示した張力部材におけるコードと歯付ベルトの他端部とを連結するための連結構造の一形態を示した要部分解斜視図である。なお、前記連結構造に関し、図5に示した固定構造と共用される部材については図7において同一の符号を付し、以下の説明ではその詳細を省略する。
前記連結構造は、たとえば、ベルト連結部材53、コイルスプリング41、固定治具42およびクリップ54を備えることができる。ベルト連結部材53では、その基本的な構成および構造は図5に示したベルト固定部材40と共通させることができる。すなわち、ベルト連結部材53は、胴部44と、胴部44の端部に設けられる鍔部45およびベルト連結部46とを備えることができる。一方、ベルト連結部材53は、以下の2点においてベルト固定部材40と構成および構造が異なる。相違点の一つは、ベルト連結部材53は、胴部44においてベルト連結部46側の一部に、平面視で長方形状などとすることができる2つの長片55が間隔をあけて対向して配置された二股部56を有する点である。他の一つは、ベルト連結部材53は、鍔部45および二股部56に到るまでの胴部44に形成された貫通穴57を有する点である。
このようなベルト連結部材53もベルト固定部材40と同様に樹脂製の部材とすることができ、一体成形が可能であり、この場合、二股部56は、2つの長片55により形成されるため、弾性を有する。貫通穴57は、コード52を鍔部45側から二股部56の内部に通すための部位であり、このため、貫通穴57の大きさはコード52の太さよりも大きめとする。
クリップ54は、たとえば角筒状などとすることができる筒状の本体58と、本体58の一端部の対向面上に取り付けられ、本体58の外側に突出する一対の案内片59とを備える。本体58は両端が完全に開放された中空部60を有する。中空部60はその内部にコード52を通すための部位であり、中空部60の大きさはコード52の太さよりも大きめとする。2つの案内片59において互いに対向する面は、ベルト連結部材53の二股部56を形成するそれぞれの長片55の端面に沿って移動することができるような平滑面となっている。また、案内片59では、本体58側に位置する端面が、コイルスプリング41の一端と接触可能な大きさを有している。このようなクリップ54も軽量化などを考慮して樹脂性とすることができ、この場合、一体成形が可能である。
前記連結構造による歯付ベルト11およびコード52の連結作業は、以下の手順にしたがって実行することができる。
まず、コード52における歯付ベルト11との連結側に位置する部分を、ベルト連結部材53の鍔部45から貫通穴57に通し、胴部44の二股部56の内側に引き出す。次いで、コイルスプリング41の全長にわたってその内部に通し、さらに、クリップ54の本体58の中空部60の内部を通し、コード52を中空部60の外側にある程度の長さだけ引き出す。引き出したコード52はその一部で結び、このときの結び目61は中空部60の大きさよりも大きくする。この状態において、コイルスプリング41の内部にベルト連結部材53を通し、胴部44の外周にコイルスプリング41を配置する。この後の連結作業の工程は図8(a)(b)(c)(d)(e)に示したとおりである。
図8(a)(b)(c)(d)(e)は、それぞれ、図7に示した連結構造による歯付ベルトおよびコードの連結作業を工程順に示した要部斜視図である。
図8(a)に示したように、コイルスプリング41における鍔部45側に位置する他端を鍔部45の端面に当接させ、かつコイルスプリング41を圧縮させて、ベルト連結部材53の二股部56をコイルスプリング41の一端から外側に突出させる。次いで、クリップ54を二股部56の内側に押し入れる。二股部56を形成する長片55は弾性を有するため、クリップ54の押込みにともない外側に撓む。この撓みをスムーズに実現するために、クリップ54の案内片59における前記平滑面と反対側に位置する面は、たとえば円弧状に湾曲する湾曲面とするのが好ましい。
クリップ54は押込みによって、図8(b)に示したように、二股部56に嵌り、案内片59の平滑面は長片55の端面上に配置される。このとき、長片55は初期状態に復帰する。次いで、図8(c)に示したように、コード52を図8(c)図中に示した矢印方向に引っ張る。このコード52の引張りにともない、コード52の結び目61は、二股部56の内部に収納され、かつクリップ54の本体58の端面に当接する。この後、図8(d)に示したように、コイルスプリング41の圧縮を解除する。このとき、コイルスプリング41は初期状態に復帰するように伸長するが、その一端はクリップ54の2つの案内片59の端面に当接し、他端はベルト連結部材53の鍔部45の端面に当接したままとなる。したがって、コイルスプリング41は、鍔部45とガイド片59の間でベルト連結部材53の胴部44の外周に保持される。
次いで、図8(e)に示したように、歯付ベルト11の前記他端部をベルト連結部材53のベルト連結部にそれぞれの歯部11、47を噛み合わせて重ね合わせる。その後、図7に示した固定治具42を案内片59側にスライドさせ、ベルト連結部46の爪48を案内片59よりも遠くに位置する固定治具42の一端に引っ掛ける。固定治具42のスライドおよび爪48の固定治具42の一端への引っ掛かりは、図5に示した固定構造によるスライドガイド枠部4aの自由端5aへの歯付ベルト11の固定作業と同じである。爪48の固定治具42の一端への引っ掛かりによって、歯付ベルト11およびコード52の連結作業が完了する。
このような連結構造による歯付ベルト11とコード52の連結は、図5に示した固定構造と同様に、たとえばドライバーなどの工具が不要であり、連結作業を容易とする。また、図9(a)(b)に示したように、図1(a)に示した電動モータ8を作動させ、回転軸8aに発生するトルクを歯車9および歯部10を通じて歯付ベルト11に伝達する際には、前記トルクはコイルスプリング41を介してコード52に伝達する。
図9(a)(b)は、(a)(b)は、それぞれ、図4(a)(b)と同様に張力部材の一形態を部分的に示した正面図である。より具体的には、図9(a)(b)は、張力部材6のスライドガイド枠部4bへの固定側の部分を示している。
スクリーン取付枠部2aをスライドさせてスクリーン3を収縮させる場合、歯車9は図9(a)図中に示した矢印方向に回転し、張力部材6の一部である歯付ベルト11は図9(a)図中に示した矢印方向に引っ張り上げられる。このときの引上げ力は、直接コード52に作用することはない。一旦ベルト連結部材53の鍔部45を介してコイルスプリング41に作用し、図9(b)に示したように、クリップ54が長片55に沿って下方に移動し、コイルスプリング41を圧縮させる。この圧縮によってコイルスプリング41に発生する弾性力がガイド片59を介してクリップ54に作用する。その結果、コード52に前記引上げ力が間接的に作用する。
電動スクリーン装置1では、図1(a)に示した電動モータ8の回転軸8aに発生するトルクを張力部材6に伝達するため、張力部材6には、電動モータ8の始動時やスクリーン取付枠部2aがスクリーン取付枠部2bに接触する瞬間に大きな力が加わる。このように大きな力は、図2(a)(b)に示した歯付ベルト11とスライドガイド枠部4aの自由端5aとの連結部ばかりでなく、歯付ベルト11とコード52の連結部にも集中しやすい。しかしながら、歯付ベルト11とコード52の間にコイルスプリング41を介在させているため、前記大きな力は、コイルスプリング41に吸収され、弾性力に変換された後、徐々にコード52に加わる。したがって、前記連結部に集中しがちな大きな力を緩和させることができ、歯付ベルト11とコード52の連結を、電動スクリーン装置1の開閉の頻度にかかわらず安定に保持することができる。前記連結部が劣化し、解除されるなどの耐久性の問題を解消する上でも前記連結構造は有効となる。
なお、コード52は、図2(a)(b)に示したように、スライドガイド枠部4bの自由端5bに固定され、折返部7bに掛け回され、かつ歯付ベルト11との連結側ではない他端部においてスライドガイド枠部4aの自由端5aに固定される。張力部材6は、歯付ベルト11およびコード52によって8の字状のループを形成する。
また、電動スクリーン装置1では、図5に示したベルト固定部材40と図7に示したベルト連結部材53とが類似の構成および構造を有するため、図5に示したように、ベルト固定部材40はベルト連結部材53で代用することが可能である。前記固定構造では、2つの長片55による二股部56および貫通穴57は不要であるが、二股部56および貫通穴57が存在しても、歯付ベルト11の一端部をスライドガイド枠部2aの自由端5aに位置する剛性ユニット32に固定することにほとんど支障はない。したがって、電動スクリーン装置1の部品数を減らし、在庫管理を容易とするなどのために、ベルト固定部材40へのベルト連結部材53の適用は有効である。
図10は、図1(a)(b)に適用可能な張力部材の他の一形態を部分的に示し、かつ張力部材とスライドガイド枠部の固定構造を示した要部斜視図である。
図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置1には、図10に示した張力部材6aを適用可能である。張力部材6aは、歯付ベルト11のみから形成され、図2に示した張力部材6とはコード52を一構成要素として採用していない点で基本的に相違している。図10には、図5に示した固定構造と共通する部分には同一の符号を付し、同一符号を付した部位についてはその説明を省略する。
歯付ベルト11のみから形成される張力部材6aを採用する場合、2つの折返部7a、7bにはともに歯車9が採用される。また、張力部材6aは交差しない、平面視で長円状のループに変更される。このため、張力部材6a、言い換えると、歯付ベルト11を、スライドガイド枠部4a、4bの自由端5a、5bに固定するために、図5に示した固定構造とは異なる固定構造が採用される。この固定構造では、具体的には、歯付ベルト11を自由端5a、5bに位置する剛性ユニット32の架橋部34に固定するための固定治具62が用いられる。固定治具62としては、本体63と留め具64を備え、本体63と留め具64はビス65による留め付けが可能なものが例示される。
この場合、本体63は、剛性ユニット32の一方の側壁部33との間で歯付ベルト11を挟み込み、剛性ユニット32に歯付ベルト11を固定することができるものを採用することができる。このような本体63の場合、本体63は、歯付ベルト11の歯部10と噛み合い可能な歯部66を備え、かつ裏面が、スライドガイド枠部4a、4bのいずれかの一方の剛性ユニット32では架橋部34の表面上に、また、他方の剛性ユニット32では架橋部34の裏面上に載置可能なものが例示される。このような本体63は、歯部66側の厚さが他の部位に比べて厚い板状形状を有し、その一側端面部に歯部66を形成することができる。
留め具64については、その表面が架橋部34の表面または裏面に当接可能な平板状の形状を有するものが例示される。この場合、本体63の裏面が架橋部34の表面または裏面に載置され、留め具64の表面が架橋部34の裏面または表面に当接した状態においてビス65を本体63側より留め具64に向けてねじ込むことによって本体63と留め具64は結合する。この結合は、本体63および留め具64による架橋部34の挟み込みと、歯部66が歯部10と噛み合い、一方の側壁部33および本体63による歯付ベルト11の挟み込みとを実現する。このため、歯付ベルト11は、スライドガイド枠部4aの自由端5aと、スライドガイド枠部4bの自由端5bとに固定される。前記のとおりの結合を可能とするためには、本体63にはビス65が挿通可能な、表裏方向に貫通する挿通穴67を、留め具64にはビス65のねじ込みが可能なねじ穴68を形成する。同じく架橋部34にもビス65が挿通可能な、表裏方向に貫通する挿通穴67を形成する。挿通穴67については、ビス65の挿通が容易となり、また、歯付ベルト11である張力部材6aの張力の調節を可能とするなどのために、架橋部34の長さ方向と同じ方向に延びる長穴とすることが好ましい。
前記のとおりの固定構造の場合、本体63が、架橋部34の表面または裏面において歯付ベルト11を挟み込まない側に張り出さないようにすることが好ましい。それというのも、スライドガイド枠部4a、4bの自由端5a、5bでは、ここに固定されていない部分の歯付ベルト11はスライドガイド枠部4a、4bの長さ方向に移動するからである。本体63の張り出しを抑えることは歯付ベルト11の前記移動をスムーズに実現するために有効となる。この場合、本体63として、歯部66が形成された一端面部からこの一端面部に対向して位置する他端面部にかけて斜めに下る傾斜部68aを有するものが例示される。この場合、挿通穴67は傾斜部68aに形成することができ、挿通穴67は、傾斜部68aの表面に対し垂直にまたは歯部66が形成された一端面部と平行に形成することができる。
また、本体63の張り出しの抑制によっても、前記結合の結合力が十分となるように、かつ、本体63が比較的小型の部材となるが、結合の作業性が良好となるように、本体63の裏面に複数の歯部69を形成するのが有効である。この場合、本体63の裏面が載置される架橋部34の表面または裏面には歯部69と噛み合う複数の歯部70を形成する。歯部69、70の噛み合いによって、前記結合の結合力が十分となり、また、結合作業が良好となる。
なお、図10に示した固定構造では、本体63の裏面は、歯部69が形成された部分が平行に配置される一方、歯部66が形成された一端面部から前記他端面部にかけての部分は斜めに下る傾斜面71とすることができる。傾斜面71には歯部69は形成されていない。この場合、傾斜面11の安定した載置が可能となるように、架橋部34の表面または裏面にも傾斜面72を形成することができ、傾斜面72には歯部70は形成されない。傾斜面71、72の傾斜度は同一とする。傾斜面71、72の有無や傾斜面71、72への歯部69、70の有無は適宜に選択可能である。
また、本体63では、歯部66が形成された一端面部側の表面部をその一端面部よりも外側まで張り出し、鍔部73を設けることができる。この場合、鍔部73の裏面には歯部69を形成せず、前記結合に際して鍔部73の裏面が歯付ベルト11の端面上に載置可能とするのが好ましい。鍔部73の裏面の歯付ベルト11の端面上の載置によって前記結合による歯付ベルト11の固定力がより高まり、効果的となる。
図11(a)(b)(c)は、それぞれ、図1(a)(b)に示した制御部を拡大して示した正面図、A−A断面図、B−B断面図である。
図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置1では、スクリーン取付枠部2a、2bの表裏面部に溝部74を形成することができる。制御部12は、溝部74を利用してスクリーン取付枠部2aの表裏面のそれぞれに一つずつ取り付けることができ、また、制御部12と電動モータ8を電気的に接続する電気配線75についても溝部74を通じて配線することができる。
図11(b)に示したように、制御部12としては、電動モータ8の作動を制御するための各種の電気素子が実装されたメインボード76と、メインボード76に電源を供給する電源ケーブル77と、後に電気配線75となる制御ケーブル78とを内部に有するものが例示される。また、制御部12は、躯体として、中空なケース79と、ケース79の裏面側の開口部を部分的に覆う蓋80とを有するものが例示される。この場合、ケース79の表面には、図11(a)にも示したように、スイッチカバー81を設けることができる。スイッチカバー81には、たとえば、スクリーン取付枠部2aのスライドを停止させる停止スイッチ82と、電動スクリーン装置1を開ける開スイッチ83と、電動スクリーン装置1を閉める閉スイッチ84とを備えることができる。また、スイッチカバー81には、電動スクリーン装置1を一旦開けた後閉める往復スイッチ85を備えることができる。各スイッチ82、83、84、85はユーザーが指などによって押すことができるものであり、押したときにメインボード76に実装された電気素子が前記動作に対応した電気信号を生成する。この電気信号は、制御ケーブル78から電気配線75を通じて電動モータ8に入力される。電動スクリーン装置1の開動作は電動モータ8の正回転に対応させ、閉動作は逆回転に対応させることができる。
また、ケース79は、その上端部に鍔部86を有するものとすることができる。鍔部86にはその中央部に表裏方向に貫通する貫通穴を形成することができる。蓋80は、少なくとも上下2箇所においてケース79にねじ87によって固定可能である。この場合、蓋80の上端は、スイッチカバー81に設けられた停止スイッチ82のほぼ直上に対向させて配置することができ、また、蓋80の下端部は、ケース79の下端よりも下方に配置することができる。蓋80の下端部は鍔部88とすることができる。鍔部88にもその中央部に表裏方向に貫通する貫通穴を形成することができる。蓋80の上端を停止スイッチ82のほぼ直上に対向させて配置する場合、蓋80の上端より上側に位置するケース79の裏面部が開放され、この開放によって形成される開口部を通じて制御ケーブル78をケース79の外側に引き出すことができる。引き出した制御ケーブル78は、たとえば複数本の場合、束ねて1本の電気配線75とすることができる。
制御部12への電源供給は、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置1では充電バッテリー89により実現される。充電バッテリー89は、たとえば、制御部12の直下に配置して制御部12に接続することができる。この場合、充電バッテリー89は、制御部12が取り付けられた、スクリーン取付枠部2aの表裏面部の少なくとも一方において、制御部12との接続が可能である。したがって、充電バッテリー89は、防水性、耐水性の高いなどのものであっても水濡れを避けることが好ましい。また、図11(a)(b)に示したように、制御部12の直下に充電バッテリー89を配置して制御部12と充電バッテリー89を接続する場合には、たとえば、ケース79の下端部の左右両側に、電源ケーブル77と電気的に接続された金属製の第1端子90を設けることができる。第1端子90としては、たとえば、コイルスプリング状の形状などの弾性を発現するものが好ましく例示される。
なお、第1端子90は、安全性などを考慮し、ケース79の下端から突出することがないように、スイッチカバー81によって前方から覆うのが好ましい。
制御部12を、前記のとおり、スクリーン取付枠部2aの表裏両面または表面のみに取り付ける場合、図11(b)(c)に示したように、取付治具91を用いることができる。取付治具91は、たとえば平板状の部材とすることができ、スクリーン取付枠部2aへの固定部92と、制御部12の取付部93とを備えることができる。固定部92は、その裏面全面において、スクリーン取付枠部2aの表裏両面または表面のみにおける溝部74に隣接する部分に当接可能である。また、固定部92は表裏に貫通する貫通穴を有する。一方、取付部93は、その表面全面が制御部12の鍔部86、88の裏面に当接可能であり、裏面は、スクリーン取付枠部2aの表面両面または表面のみにおける溝部74に直近する部分にのみ当接可能である。また、取付部93は表裏を貫通するねじ穴を有する。
制御部12をスクリーン取付枠部2aに取り付ける際には、鍔部86、88に対応する位置においてスクリーン取付枠部2aに開口を形成するか、またはあらかじめ形成しておく。次いで、取付治具91を、固定部92の裏面全面がスクリーン取付枠部2aにおける前記部分に当接し、かつ取付部93の裏面が前記部分に当接するように配置する。この後、固定部92の貫通穴とスクリーン取付枠部2aの前記開口とを一致させ、固定部92側からリベット94を打ち込み、取付治具91をスクリーン取付枠部2aに固定する。そして、鍔部86、88に形成された前記貫通穴を取付部93の前記ねじ穴に一致させ、制御部12の蓋80の表面がスクリーン取付枠部2aの表裏両面または表面のみに当接させて配置する。次いで、ねじ95を鍔部86、88から取付部93に向けてねじ込む。ねじ95のねじ込みによって制御部12は、スクリーン取付枠部2aの表裏両面または表面のみに取り付けられる。ねじ95の長さは、そのようなねじ込み後に先端が溝部74の内部に留まる長さとする。
このような取付治具91を用いた制御部12のスクリーン取付枠部2aへの固定方式では、ねじ95が溝部74の内部に留まり、スクリーン取付枠部2aの内部には貫通しない。取付治具91はリベット94によってスクリーン取付枠部2aに取り付けられるので、ねじ95は比較的短いものであっても、制御部12のスクリーン取付枠部2aへの取付強度は十分となり、脱落などは抑制される。また、ねじ95は溝部74の内部に留まるので、スクリーン取付枠部2aの内部へのスライドガイド枠部4a、4bの収納および引出しの障害となることはない。
なお、取付治具91の取付部93の左右両側端部には、その裏面から外側に突出するガイド片96を設けることができる。この場合、ガイド片96を金属または樹脂製とし、溝部74の内側から溝部74の左右両側端面に当接するようにすると、ガイド片96が有する弾性を利用して取付治具91を固定位置に仮固定することが可能である。制御部12の取付作業が容易となる。
図14(a)(b)(c)は、それぞれ、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置に備えられた充電バッテリーの一形態を示した一部切欠正面図、側面図、背面図である。
充電バッテリー89は、前記のとおり、充電バッテリー本体113と、充電バッテリー本体113を収納する中空なバッテリーケース114とを備えている。充電バッテリー本体113には、AC100Vなどと電気的に接続して充電可能なものが例示される。バッテリーケース114は、樹脂やアルミニウム合金などの軽量な材料から形成可能である。回動軸115は、たとえば、バッテリーケース114の内部における上端部、すなわち、充電バッテリー本体113よりも上側において、左右の両端部に設けることができる。爪部111は、それぞれの回動軸115の周りに一つずつ回動自在に設けることができる。この場合、爪部111は、その下端部において回動軸115に支持可能である。また、爪部111は、その上端部に、下方に傾斜する爪118を備えることができる。この場合、爪118の先端部は、バッテリーケース114の左右両側面から側方に突出させる。操作部116は、それぞれの爪部111において爪118と回動軸115の間に配置することができ、爪118と同様にバッテリーケース114の左右両側面から側方に突出させる。
操作部116は、ユーザーにより操作可能である。ユーザーは、バッテリーケース114を片手で持ち、手指で左右の操作部116をバッテリーケース114の内側向きに押圧することができる。操作部116がバッテリーケース114の内向きに押圧されると、爪部111は、回動軸115を回動の中心としてバッテリーケース114の内側向きに回動する。その結果、バッテリーケース114の側面からの爪118の突出代が小さくなる。
また、弾性部材117は、前記のとおり、バッテリーケース114の内部において回動軸115の付近に設けられるが、たとえば、操作部116と反対側に配置することができる。弾性部材117は、たとえば、コイルスプリングなどの圧縮によって弾性力が発生するものが好ましく例示される。このような弾性部材117は、爪部111に接触しているため、操作部116がバッテリーケース114の内側向きに押圧されると、前記弾性力は、爪部111に対してバッテリーケース114の外側向きに作用する。したがって、ユーザーによる操作部116の押圧が解除されると、すなわち、ユーザーが操作部116から手指を離すと、爪部111は初期状態に自動復帰し、爪118の先端部は、再びバッテリーケース114の左右両側面から側方に十分に突出する。
また、充電バッテリー89は、前記のとおり、図11(a)に示した第1端子90と電気的に接続可能な第2端子110を備えている。図14(a)に示したように、第2端子110は、たとえば、バッテリーケース114の上端において左右両側に配置することができる。つまり、第2端子110は、図11(a)に示した第1端子90の下端と接触可能な位置に配置することができる。また、第2端子110は、爪部111との配置関係では爪部111の上側が例示される。第2端子110は、バッテリー本体113とリード線119を介して接続することができる。
このような充電バッテリー89は、バッテリーケース114において操作部116よりも上側の部分の横幅を、図11(b)に示したケース79の横幅より狭くすることが好ましい。この場合、前記上側の部分が、制御部12との接続時に、図11(a)に示したスイッチカバー81によって外側から覆われ、第1端子90と第2端子110の接続部が外部に露出せずに済み、水濡れなどの問題が解消され、安全性を確保することができる。
なお、前記のとおりの凹所112は、ケース79の内部において、制御部12と充電バッテリー89の接続時に爪118に対向する位置に形成することができる。このため、爪部111、具体的には爪118が凹所112に引っ掛けとその解除が可能となる。
図15は、図14(a)(b)(c)に示した充電バッテリーの、図11(a)(b)(c)に示した制御部への着脱を示した要部分解斜視図である。図16(a)(b)(c)は、それぞれ、図14(a)(b)(c)に示した充電バッテリーを、図11(a)(b)(c)に示した制御部と接続する作業工程を示した一部切欠正面図である。
制御部12への充電バッテリー89の接続およびその解除は、図15に示したように、制御部12の下方で行うことができる。接続する際には、バッテリーケース114において操作部116よりも上側の部分をケース79の内部にその下側から挿入する。このとき、図16(a)に示したように、ユーザーは、バッテリーケース114を片手で持ち、手指で左右の操作部116をバッテリーケース114の内側向きに押圧する。押圧にともなって爪部111は、回動軸115を回動の中心としてバッテリーケース114の内側向きに回動する。バッテリーケース114からの爪118の突出代が小さくなり、バッテリーケース114の前記上側の部分がケース79の内部における下側の部分に挿入される。または、爪118は、下方に傾斜しているため、ユーザーは手指で左右の操作部116を押圧しなくとも、爪118の傾斜面がケース79の下端部における内面と接触したときに、前記内面によって爪118がバッテリーケース114の内側向きに押圧される。この場合も、ユーザーが操作する場合と同様に、バッテリーケース114からの爪118の突出代が小さくなり、バッテリーケース114の前記上側の部分がケース79の内部における下側の部分に挿入される。
そのように爪部111がバッテリーケース114の内側向きに押圧されると、弾性部材117は、図16(b)に示したように、圧縮され、バッテリーケース114の外側向きの弾性力が発生する。そして、図16(c)に示したように、ケース79の内部におけるバッテリーケース114の挿入限界に達したとき、爪118は凹所112に対向して配置され、弾性部材117の弾性力が解放されて爪部111がバッテリーケース114の外側向きに回動する。なお、ユーザーが操作部116を操作する場合は、前記挿入限界においてユーザーは操作部116から手指を離すと、爪部111の回動が前記と同様に起こる。そして、爪部111、具体的には爪118が凹所112に引っ掛かり、充電バッテリー89は制御部12の直下に接続される。このとき、第2端子110は、第1端子90と接触し、場合によっては図16(c)に示したように、第1端子90に下方より圧接する。その結果、第1端子90と第2端子110は電気的に接続し、充電バッテリー89から制御部12への電源供給が可能となる。
充電バッテリー89の充電などのために制御部12と充電バッテリー89の接続を解除する場合には、ユーザーが手指で操作部116をバッテリーケース114の内側向きに押圧する。すると、前記のとおりの爪部111の回動によって凹所112への引っ掛かりが解除可能となる。このとき、充電バッテリーは制御部12との接続が解除可能となり、かつ第1端子90および第2端子110の電気的接続も解除可能となる。この状態において、ユーザーはバッテリーケース114を手に持って制御部12の下方に引き下げると、第1端子90および第2端子110の電気的接続が解除され、かつ充電バッテリー89は制御部12との接続が解除される。爪部111は、弾性部材117の弾性力の解放によって初期状態に自動復帰し、爪118の先端部は、バッテリーケース114の左右両側面から側方に十分に突出する。
なお、充電バッテリー89では、図14(b)(c)に示したように、制御部12への接続時の位置決めや接続状態の安定化などのために、バッテリーケース114の背面の上下に背面より外側に突出する突片120を設けることができる。突片120は、たとえば、平面視で正方形などの形状を有するものとすることができ、また、その横幅は、図1(a)(b)に示した溝部74の横幅と同一とすることができる。このような突片120は、充電バッテリー89を制御部12と接続する際に、溝部74の内部に挿入することができる。溝部74の内部への突片120の挿入によって、制御部12に対する充電バッテリー89の位置が決まり、また、ケース79の内部への下方からの挿入がガイドされる。また、突片120の前記挿入によってスクリーン取付枠部2aに対する充電バッテリー89のぐらつきが抑えられ、制御部12と充電バッテリー89の接続状態が安定化する。
図12は、図1(a)(b)に示した電動スクリーン装置の制御部に備えることができる電気回路の構成の一形態を示したブロック図である。
制御部12は、モータドライバ97とマイクロコンピュータ98を備えることができる。モータドライバ97は、Hブリッジ99を備えることができ、この場合、Hブリッジ99を電動モータ8と電気的に接続する。Hブリッジ99は電動モータ8を正逆回転および停止させることができる。図1(a)などに示した充電バッテリー89や家庭用電源などを直流に変換した直流電源89aは、モータドライバ97とマイクロコンピュータ98と電気的に接続することができる。
マイクロコンピュータ98は、パルス幅を変調し、変調した電気信号(以下、PWM信号と記す)を生成するPWM生成部100と、コンパレータ101と、デジタル−アナログ変換器(以下、DACと記す)102と、メモリー103とを備えることができる。PWM生成部100はPMW停止部104を備えることができる。PMW生成部100はモータドライバ97と電気的に接続される。コンパレータ101は、シャント抵抗107の電圧値と、メモリー103にあらかじめデジタル信号として設定しておいた閾値とを比較し、比較結果を電気信号としてPMW停止部104に出力するものである。したがって、コンパレータ101は、Hブリッジ99およびPWM停止部104と電気的に接続される。なお、シャント抵抗107は、Hブリッジ99を流れる電流を電圧に変換して検出する変換器であり、グランド105に分岐して電気的に接続することができる。DAC102は、メモリー103に設定された条件に関するデジタル値をアナログの電圧値に変換してコンパレータ101に出力する。したがって、DAC102は、コンパレータ101およびメモリー103と電気的に接続されている。マイクロコンピュータ98のメモリー103には、ショートブレーキなどに必要な値をあらかじめ設定しておくことができる。
また、制御部12では、Hブリッジ99とコンパレータ101の間にオペアンプ106を介在させることができる。オペアンプ106はシャント抵抗107の電圧を増幅させるためのものである。
図12に示した電気回路を有する制御部12は、以下のように動作して電動モータ8の動作を制御し、電動スクリーン装置1の開閉を制御することができる。
制御部12に直流電源89aが接続されると、モータドライバ97とマイクロコンピュータ98に直流電源89aから電源が供給される。図11(a)に示した開スイッチ83、閉スイッチ84または往復スイッチ85のいずれか一つが押されると、モータドライバ97に、スイッチ入力に対応した回転方向信号がマイクロコンピュータ98から入力され、かつPWM生成部100が生成するPWM信号が入力される。この2つの電気信号にしたがってHブリッジ99が駆動し、Hブリッジ99は電動モータ8に電源を供給する。この電源供給により電動モータ8は正回転または逆回転をする。このとき、電動モータ8に流れる電流の一部が、Hブリッジ99およびシャント抵抗107を経由してグランド105に流れる。このため、シャント抵抗107には電動モータ8に流れる電流に比例する電圧が発生する。この電圧は、比較的低いが、オペアンプ106によって増幅され、増幅された電圧が電気信号としてコンパレータ101に入力される。メモリー103に設定された閾値は、シャント抵抗107に発生する電圧の上限値に関するデジタル値であり、DAC102によってアナログの電圧値に変換され、コンパレータ101に入力される。コンパレータ101は、入力された、シャント抵抗107の電圧値と、前記閾値に関する電圧値とを比較し、シャント抵抗107に発生した電圧が前記閾値を超えたとき、PWM停止部104に電気信号を出力する。この電気信号がPWM停止部104に入力されると、PWM生成部100はPWM信号の出力を停止する。その結果、電動モータ8への電源の供給が停止する。また、モータドライバ97にはPWM信号が入力されなくなるため、モータドライバ97は、マイクロコンピュータ98のメモリー103に設定されたショートブレーキに必要な値によって電動モータ8の惰性による正回転または逆回転を阻止し、停止させる。通常の電動モータ8の動作制御はメモリー103にあらかじめプログラムしておいたプログラムに基づいて行われるが、制御部12は、前記プログラムとは別に、前記のとおりの電動モータ8の停止を行うことができる。
また、電動モータ8の停止は即座に行うことができ、この場合、たとえば、電動スクリーン装置1、1aが開き切った時または閉じ切った時、スクリーン取付枠部2aのスライドが直ちに停止する。電動スクリーン装置1、1aが開動作の途中においてスクリーン取付枠部2aがユーザーなどの障害物と接触する場合にも同様に直ちに停止する。スクリーン取付枠部2aに加わる過負荷が抑制され、かつ電動スクリーン装置1、1aの安全性が確保される。このような電動モータ8の停止は、図11(a)に示した往復スイッチ85を押したときにも同様に行うことができる。
コンパレータ101から出力された電気信号に基づくスクリーン取付枠部2aの停止後、電動スクリーン装置1、1aは、マイクロコンピュータ98のメモリー103にプログラムされたプログラムによって通常動作に復帰することができる。この場合、マイクロコンピュータ98は、スクリーン取付枠部2aの停止からの時間を計測するタイマを備えることができ、メモリー103以外の前記メモリーにはスクリーン取付枠部2aの停止から通常動作への復帰までの時間もあらかじめ設定しておくことができる。そして、設定時間が経過した後、前記ショートブレーキが解除され、電動スクリーン装置1、1aは、図11(b)に示した開スイッチ83、閉スイッチ84または往復スイッチ85のいずれか一つが押されるのを待機する。
図13は、図12に示したマイクロコンピュータのメモリーにプログラムすることが可能なプログラムの一形態を示したフローチャートである。
制御部12に電源89aが電気的に接続されるなどによって電動モータ8の電源が供給されると、制御部12に備えた各電気機器の動作が一旦初期化され、図11(a)に示した開スイッチ83、閉スイッチ84または往復スイッチ85からの電気信号の検出待ちの状態となる。次に、ステップS1において、いずれかの一つのスイッチ83、84、85からの電気信号を検出する。開スイッチ83からの電気信号を検出した場合、電動モータ8を正回転させる。電動モータ8の正回転時には、ステップS2において、図13に示した電気回路による電動モータ8に流れる電流の超過の検出、停止スイッチ82からの電気信号の入力の有無、または故障の検出が行われる。故障の判断は、たとえば、電動モータ8に電流が流れない、開動作に要する所要時間を経過しても、電源89aからの電動モータ8への電源の供給停止のコマンドを生成することができない、電源89aの電圧が下限値以下となる、モータドライバ97が何らかの警告に関する電気信号を出力するなどによって行うことができる。また、メモリー103のプログラムにマイクロコンピュータ98の自己診断機能を追加する場合には、マイクロコンピュータ98自身の異常を検知したときも故障と判断することができる。電流超過が検出されたり、停止スイッチ82から電気信号が入力されたり、または故障が検出された場合には、電動モータ8は動作を停止する。電動モータ8の停止後は、各スイッチ83、84、85からの電気信号の検出待ちの状態に戻る。
また、ステップS1において、閉スイッチ84から電気信号を検出した場合、電動モータ8を逆回転させる。この後の制御は、開スイッチ83からの電気信号を検出した場合の制御と同じとすることができる。
さらに、ステップS1において、往復スイッチ85からの電気信号を検出した場合、開スイッチ83と同様な制御を行うことができる。一方、この場合の制御では、ステップS3において、電流超過が検出された場合、電動モータ8は動作を停止するが、前記タイマで停止時間を計測し、前記設定時間を経過した後には閉スイッチ84からの電気信号を検出した場合の制御と同じにすることができる。ステップS3において、停止スイッチ82からの電気信号を検出したり、または故障が検出されたりした場合には、電動モータ8の動作を停止する。電動モータ8の停止後は、各スイッチ83、84、85からの電気信号の検出待ちの状態に戻る。
以上、実施形態に基づいて本発明の電動スクリーン装置を説明したが、本発明の電動スクリーン装置に採用可能なスクリーン取付枠部、スライドガイド枠部、剛性ユニット、張力部材、電動モータ、制御部などの構成および構造に関する細部は、実施形態に限定されることはない。
たとえば、電動モータは、必ずしもスライド可能なスクリーン取付枠部の上端部に取り付ける必要はない。電動モータの回転軸の回転により発生するトルクが張力部材に伝達される限り、配置位置は限定されない。たとえば、スライド可能なスクリーン取付枠部の表面に取り付けたり、建物などの開口部側に取り付けたりすることもできる。前者の場合は、張力部材の一部はスライド可能なスクリーン取付枠部の外側に引き出せばよい。後者の場合は、適宜な動力伝達機構、たとえば、ベルト、チェーンや複数の歯車を備えた減速または増速機構などを電動モータの回転軸と張力部材の間に介在させればよい。
また、制御部はスイッチ入力ではなく、赤外線などを利用する人体感知センサによる入力方式に替えるまたは付加することも可能である。