JP6695860B2 - 粉末コーティングにおけるポリエステルポリオールおよびその使用 - Google Patents

粉末コーティングにおけるポリエステルポリオールおよびその使用 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2014年9月2日付け出願の米国特許仮出願第62/044,801号の優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に援用される。
ポリエステルポリオールを含有する粉末コーティング組成物、それを生成し使用する方法を包括的に開示する。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールおよび架橋剤を含む粉末コーティング組成物を開示する。
ポリエステルポリオールは様々な異なる応用に用いられる。一般的に、このような化合物は特定の応用に望ましくない融点を持つ。例えば、一般的に入手できるポリエステルポリオールは融点が低いため粉末コーティングへの使用には適切ではない。
したがって、高い融点という特性を有し、それ故に粉末コーティングへの応用にさらに適するポリエステルポリオールを開発することが望ましい。
第一の態様において、本開示は、数ある特徴の中でも、特に、下記式(I)で表される構成単位を1または2以上含むポリエステルポリオールを提供する。
式(I)中、XはC8−36アルキレン、C8−36アルケニレン、C8−36ヘテロアルキレン、またはC8−36ヘテロアルケニレンであって、それぞれがRから独立に選択される置換基によって随意に1回または2回以上置換され、
はハロゲン原子、−OH、−NH、C1−6アルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6ヘテロアルケニル、C3−10シクロアルキル、またはC2−10ヘテロシクロアルキルである。
第二の態様において、本開示は第一の短鎖ジオール、および二酸またはそのエステルを含む反応混合物から生成されるポリエステルポリオールを提供する。幾つかの実施形態において、前記二酸またはそのエステルはC11−24脂肪族直鎖二酸またはそのエステルである。幾つかの他の実施形態において、前記二酸またはそのエステルはC14−24脂肪族直鎖二酸またはそのエステルである。
第三の態様において、本開示は前記第一の態様または前記第二の態様のポリエステルポリオール、および架橋剤を含む粉末コーティング組成物を提供する。
第四の態様において、本開示はポリエステルポリオールの融点(Tg)を低下させる方法を開示し、その方法では、ポリエステルポリオールを準備し、該ポリエステルポリオールを架橋剤と接触させ、例えばポリエステルポリオールの融点を低下する。
さらなる態様および実施形態は、下記の図面、詳細な説明、および請求項により説明される。
下記図面を、本明細書に開示される組成物および方法の様々な実施形態を説明するために提供する。図面は説明のためだけに提供され、好適な組成物または好適な方法の記載を意図するものではなく、また、本発明範囲に対する限定の根源としての機能を果たすものではない。
図1は、本明細書に開示するポリエステルポリオールの特定の実施形態に含まれる少なくとも1つの構成単位の一例を示す。式中、XはC8−36アルキレン、C8−36アルケニレン、C8−36ヘテロアルキレン、またはC8−36ヘテロアルケニレンであり、それぞれ随意に置換される。
下記の説明は本明細書に開示される発明の様々な態様および実施形態を記述する。特定の実施形態によって本発明範囲を定めることを意図しない。むしろ、実施形態は本発明の範囲内に含まれる様々な組成物および方法の非限定的な例を提供する。説明は当業者の観点から読まれるべきである。したがって、当業者に周知の情報は、必ずしも含まれれていない。
[定義]
下記の用語および語句は、本明細書に別段の定めのない限り、以下に示す意味を有する。本開示は、本明細書に明確に定義されていない他の用語および語句を用い得る。そのような用語および語句は、当業者に対し本開示の文脈の範囲内でそれらが備えるであろう意味を有する。場合によっては、用語または語句は単数形または複数形である。そのような場合、特に明確に記載されていない限り、いずれの単数形の用語もその複数形の用語を含むことができ、逆もまた同様であると理解される。
本明細書において、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。例えば「a substituent」(置換基)への言及は、1つの置換基を包含すると共に、2つ以上の置換基なども包含する。
本明細書において、「for example」、「for instance」、「such as」、または「including」は、より一般的な事項をさらに明確にする例の導入を意図している。明確に記載されいない限り、このような例は本開示に例示されている実施形態を理解するための一助としてのみ提供され、いずれかの形態への限定を意図しない。また、これらの語句は開示されている実施形態の優先度を示すものではない。
本明細書において、「ポリマー」は、ポリマーの分子量と比べて比較的低い分子量の物質からなる構成単位の多重繰り返しを含む化学構造を有する物質を指す。用語「ポリマー」は、繰り返し単位の鎖を有する可溶性および/または易融性分子を含み、また、不溶性および不融性のネットワークを含む。
本明細書において、「モノマー」は、重合反応を受けることのできる物質を指し、ポリマーの化学構造の構成単位に寄与する物質を指す。
本明細書において、「プレポリマー」は、さらなる反応を受けることができ、異なるポリマーの化学構造の構成単位に寄与るポリマーを指す。
本明細書において、「ポリマー配列」は、一般的に、モノマーの反応によって生成する任意の化学種を指す。場合によっては、「ポリマー配列」は、例えばホモポリマーまたは交互コポリマーなどの、ポリマー分子またはコポリマー分子全体を指す。他の場合、「ポリマー配列」は例えばブロックコポリマー中のブロックなど、ポリマー分子の一部を指す。
本明細書において、「コポリマー」は、2種類以上のモノマーから形成される構成単位を有するポリマーを指す。
本明細書において、「ポリエステル」は、2つ以上のエステル結合を含むポリマーを指す。しかしながら、他の結合の種類が含まれてもよい。幾つかの実施形態において、ポリエステル中、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の結合がエステル結合である。この用語はポリマー分子全体を指し、またはブロックコポリマー中のブロックなど特定のポリマー配列を指す。
本明細書において、「反応」および「化学反応」は、物質から生成物への転換を意味し、関与する試薬または機構に関係しない。
本明細書において、「反応生成物」は、1つ以上の反応物質の化学反応から生成される物質を指す。
用語「基」は分子実体中の原子の結合集合または単一原子を指し、分子実体とは、構造的または同位体的に明確に異なる原子、分子、イオン、イオン対、ラジカル、ラジカルイオン、錯体、配座異性体などであり、別々の識別可能な実体と確認できる。特定の化学変換によって「生成されるformed by」基の説明は、基を含む分子実体の生成にこの化学変換が伴うことを意味しない。
用語「官能基」は水素およびsp炭素原子以外の1つまたは複数の原子を含む基を指す。官能基の例は限定しないが、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、エーテル、ケトン、エステル、カルボン酸、シアノ、アミド、イソシアネート、ウレタン、尿素、保護アミノ、チオール、スルホン、スルホキシド、ホスフィン、ホスファイト、ホスフェート、ハライドなどである。
本明細書において、「混合するmix」、「混合したmixed」、または「混合物mixture」は、2つ以上の組成物の組み合わせを広く指す。2つ以上の組成物は同じ物理的状態である必要はなく、したがって固体が液体と「混合して」例えばスラリー、懸濁物、溶液を生成する。さらに、これらの用語は組成物のいずれの程度の均一性または均質性を必要としない。したがって、このような「混合物mixtures」は均一でも不均一でもよく、均質でも不均質でもよい。さらに、これらの用語は、産業用ミキサーのような、混合を実行するための特定装置の使用を必要としない。
本明細書において、「メタセシス触媒」は、オレフィンメタセシス反応に触媒作用を及ぼすいずれの触媒または触媒系を意味する。
本明細書において、「天然油」、「天然原料」、または「天然油原料」は、植物または動物原料由来の油を指す。これらの用語は、特に記載のない限り、天然油誘導体を含む。これらの用語はさらに改質された植物または動物原料(例えば、遺伝子組み換え植物または動物原料)も含む。天然油の例は、植物油、藻類油、魚油、動物性脂肪、トール油、これら油の誘導体、これら油のいずれか組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。植物油の非限定的な代表例は、なたね油(キャノーラ油)、やし油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、落花生油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、からし油、グンバイナズナ油、カメリナ油、麻実油、およびヒマシ油である。動物性脂肪の非限定的な代表例は、ラード、獣脂、家禽脂、黄色油脂、および魚油である。トール油は木材パルプ製造の副産物である。幾つかの実施形態において、天然油または天然油原料は1つ以上の不飽和グリセリド(例えば、不飽和トリグリセリド)を含む。幾つかのそのような実施形態において、天然油原料は該天然油原料の総重量を基準として少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも99%重量%の1または2以上の不飽和トリグリセリドを含む。
本明細書において、「天然油誘導体」は、当技術分野で公知の方法のいずれか一つまたは組み合わせを用いて得られる天然油由来の化合物または化合物の混合物を意味する。このような方法は、ケン化、油脂分解、エステル交換、エステル化、水素化(部分、選択、または完全)、異性化、酸化、および還元を含むが、これらに限定されない。非限定的な天然油誘導体の代表例は、ガム、リン脂質、ソーダ油さい、ダーク油、留出物または留出残留物、脂肪酸および脂肪酸アルキルエステル(限定されない例として、2−エチルヘキシルエステルなど)、天然油のこれらのヒドロキシ置換されたバリエーションである。例えば、天然油誘導体は天然油のグリセリド由来の脂肪酸メチルエステル(「FAME」)である。幾つかの実施形態において、原料はキャノーラまたは大豆油であり、限定されない例として、精製、脱色、および脱臭された大豆油(すなわちRBD大豆油)である。大豆油は一般的に約95重量%以上(例えば、99重量%以上)の脂肪酸のトリグリセリドを含む。大豆油のポリオールエステル中の主要な脂肪酸は、非限定的な例として、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)およびステアリン酸(オクタデカン酸)などの飽和脂肪酸、並びに非限定的な例としてオレイン酸(9−オクタデセン酸)、リノール酸(9,12−オクタデカジエン酸)、およびリノレン酸(9,12,15−オクタデカトリエン酸)などの不飽和脂肪酸を含む。
本明細書において、「メタセシス化するmetathesize」または「メタセシス化metathesizing」は、メタセシス触媒の存在下、原料を反応させて新規のオレフィン化合物を含む「メタセシス生成物」、すなわち「メタセシス化した」化合物を生成することを意味する。メタセシス化は特定種のオレフィンメタセシスに何ら限定されず、クロスメタセシス(すなわち共メタセシス)、自己メタセシス、開環メタセシス、開環メタセシス重合(「ROMP」)、閉環メタセシス(「RCM」)、および非環状ジエンメタセシス(「ADMET」)を指し得る。幾つかの実施形態において、メタセシス化は天然原料中に存在する2つのトリグリセリドをメタセシス触媒の存在下で反応させること(自己メタセシス)を指し、各トリグリセリドは不飽和炭素−炭素二重結合を有し、トリグリセリド二量体を含み得るオレフィンおよびエステルの新規な混合物を生成する。このようなトリグリセリド二量体は2つ以上のオレフィン結合を有してよく、したがって高次オリゴマーを生成し得る。加えて、幾つかの他の実施形態において、メタセシス化はエチレンなどのオレフィンと、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合を有する天然原料中のトリグリセリドとの反応を指してもよく、これにより新規なオレフィン分子と共に新規なエステル分子を生成し得る(クロスメタセシス)。
用語「メタセシス天然油」はメタセシス触媒の存在下での天然油のメタセシス反応生成物を指し、メタセシス生成物は新規なオレフィン化合物を含む。メタセシス天然油は、メタセシス触媒の存在下、天然原料中の2つのトリグリセリドの反応生成物(自己メタセシス)を含み、各トリグリセリドは不飽和炭素−炭素二重結合を有し、反応生成物は、1または2以上のメタセシスモノマー、メタセシス二量体、メタセシス三量体、メタセシス四量体、メタセシス五量体、および高次メタセシスオリゴマー(例えば、メタセシス六量体)を含むオレフィンとエステルとの新規な混合物を有する「天然油オリゴマー」を含む。メタセシス天然油はの2以上の天然油原料(例えば、大豆油とパーム油の混合物)を含む天然油の反応生成物を含んでよい。メタセシス天然油は天然油および天然油誘導体の混合物を含む天然油の反応生成物を含んでもよい。
本明細書において、「エステル」および「エステル類」は、一般式:R−COO−R’で表される化合物を指し、式中RおよびR’はヘテロ原子含有置換基を有する有機基を含む任意の有機基(例えばアルキル基、アリール基、またはシリル基)を示す。特定の実施形態において、RおよびR’はアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルコール基を示す。特定の実施形態において、用語「エステル類」は、上記一般式で表され、異なる炭素長を有する化合物群を指す。
本明細書において、「アルコール」または「アルコール類」は、一般式:R−OHで表される化合物を指し、式中Rはヘテロ原子含有置換基を有する任意の有機質部分(例えばアルキル基、アリール基、またはシリル基)を示す。特定の実施形態において、Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルコール基を示す。特定の実施形態において、用語「アルコール」または「アルコール類」は、上記一般式で表され、異なる炭素長を有する化合物群を意味する。用語「ヒドロキシル」は−OH部分を意味する。幾つかの場合、アルコールは3またはそれ以上のヒドロキシル基を有し得る。本明細書において、「ジオール」および「ポリオール」は2以上のヒドロキシル基を有するアルコールを指す。「ポリエステルポリオール」は2以上のヒドロキシル基を有するポリエステルポリマーまたはプレポリマーである。
本明細書において、「アミン」または「アミン類」は、一般式:R−N(R’)(R”)で表される化合物を指し、式中R、R’、およびR''は水素または任意の有機質部分(例えばアルキル基、アリール基、またはシリル基)を示し、ヘテロ原子含有置換基を有するものを含む。特定の実施形態において、R、R’、およびR''は水素もしくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルコール基を示す。特定の実施形態において、用語「アミン類」は、上記一般式で表され、異なる炭素長を有する化合物群を指す。用語「アミノ」は−N(R)(R’)部分を表す。幾つかの場合、アルコールは3またはそれ以上のアミノ基を有し得る。本明細書において、「ジアミン」および「ポリアミン」は、2以上のアミノ基を有するアミン類である。
本明細書において、「イソシアネート」または「イソシアネート類」は、一般式:R−NCOで表される化合物を指し、式中Rは任意の有機質部分(例えばアルキル基、アリール基、またはシリル基)を示し、ヘテロ原子含有置換基を有するものを含む。特定の実施形態において、Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアルコール基を示す。特定の実施形態において、用語「イソシアネート」または「イソシアネート類」は、上記一般式で表され、異なる炭素を有する化合物群を指す。用語「イソシアナート」は−NCO部分を指す。幾つかの場合、イソシアネートは3またはそれ以上のイソシアナート基を有し得る。本明細書において、「ジイソシアネート」および「ポリイソシアネート」は2以上のイソシアナート基を有するイソシアネート類である。
本明細書において、「炭化水素」は、炭素および水素から構成される(composed of)有機基を指し、飽和でも不飽和でもよく、芳香族基も含み得る。用語「ヒドロカルビル」は一価または多価(例えば二価以上)の炭化水素部分を意味する。場合によっては、二価ヒドロカルビル基は「ヒドロカルビレン」基と称する。
本明細書において、「オレフィン」または「オレフィン類」は、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合を有する化合物を指す。特定の実施形態において、用語「オレフィン類」は、異なる炭素長を有する不飽和炭素−炭素二重結合化合物の群を指す。特に記載のない限り、用語「オレフィン」または「オレフィン類」は「多価不飽和オレフィン類」または「ポリオレフィン類」を包含し、2以上の炭素−炭素二重結合を有する。本明細書において、用語「一価不飽和オレフィン類」または「モノオレフィン類」は炭素−炭素二重結合を1つだけ有する化合物を意味する。
場合によっては、オレフィンは「アルケン」であってもよく、2〜30個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合とを有する直鎖または分岐鎖非芳香族炭化水素を指し、随意に置換されてもよく、本明細書でさらに説明するように、多重置換も可能である。「一価不飽和アルケン」は1つの炭素−炭素二重結合を有するアルケンを指し、「多価不飽和アルケン」は2つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有するアルケンを指す。本明細書において用いられる「低級アルケン」は2〜8個の炭素原子を有するアルケンを指す。
本明細書において、「α−オレフィン」は、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(先に定義のとおり)を意味する。幾つかの実施形態において、α−オレフィンは末端アルケンであり、それは末端に炭素−炭素二重結合を有するアルケン(先に定義のとおり)である。追加の炭素−炭素二重結合が存在してもよい。
本明細書において、「アルキル」は、1〜30個の原子数を有する直鎖または分岐鎖飽和炭化水素を指し、随意に置換され得り、本明細書でさらに説明するように、多重置換も可能である。本明細書において用いられる「アルキル」の例は、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、および2−エチルヘキシルを含む。アルキル基の炭素原子の数は表現「Cx−yアルキル」で表され、本明細書で定義されたアルキル基を指し、x〜y個(境界を含む)の炭素原子を含有する、。したがって、「C1−6アルキル」は1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を表し、限定されないが、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、ネオペンチル、およびn−ヘキシルを含む。場合によっては、「アルキル」基は二価であってもよく、その場合は代わりに「アルキレン」基と称する。さらに場合によっては、アルキル基またはアルキレン基の1つ以上の炭素原子は、ヘテロ原子(例えば、実現可能な場合、N−オキシド、硫黄酸化物、二酸化硫黄を含む窒素、酸素、または硫黄から選択される)で置換され、「ヘテロアルキル」基または「ヘテロアルキレン」基と称する。場合によっては、アルキル基またはアルキレン基の1つ以上の炭素原子は酸素原子で置換されてもよく、「オキシアルキル」基または「オキシアルキレン」基と称する。
本明細書において、「アルケニル」は、2〜30個の炭素原子と、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖非芳香族炭化水素を指し、随意に置換され得り、本明細書でさらに説明するように多重置換も可能である。本明細書において用いられる「アルケニル」の例は、限定されないが、エテニル、2−プロペニル、2−ブテニル、および3−ブテニルを含む。アルケニル基の炭素原子の数は表現「Cx−yアルケニル」で表され、本明細書で先に定義したアルケニル基であり、x〜y個(境界を含む)の炭素原子を含有する。したがって、「C2−6アルケニル」は炭素数2〜6のアルケニル鎖を表し、限定されないが、例えばエテニル、2−プロペニル、2−ブテニル、および3−ブテニルである。場合によっては、「アルケニル」基は二価であってもよく、その場合は代わりに「アルケニレン」基と称する。さらに場合によっては、アルケニル基またはアルケニレン基の1つ以上の炭素原子は、ヘテロ原子(例えば、実現可能な場合、N−オキシド、硫黄酸化物、二酸化硫黄などを含む窒素、酸素、または硫黄から選択される)で置換され、「ヘテロアルケニル」基または「ヘテロアルケニレン」基と称する。場合によっては、アルケニル基またはアルケニレン基の1つ以上の炭素原子は酸素原子で置換されてもよく、「オキシアルケニル」基または「オキシアルケニレン」基と称する。
本明細書において、「シクロアルキル」は、3員〜24員環式炭化水素環を意味し、随意に置換され得り、本明細書でさらに説明するように多重置換も可能である。このような「シクロアルキル」基は単環式または多環式である。本明細書において用語「シクロアルキル」は、芳香環を含有する環構造は含まないが、1つ以上の不飽和を含有する環構造は含む。本明細書において用いられる「シクロアルキル」基の例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1−ノルボルニル、2−ノルボルニル、7−ノルボルニル、1−アダマンチル、および2−アダマンチルを含む。場合によっては、「シクロアルキル」基は二価であってもよく、その場合は代わりに「シクロアルキレン」基と称する。さらに場合によっては、シクロアルキル基またはシクロアルキレン基の1つ以上の炭素原子は、ヘテロ原子(例えば、実現可能な場合、N−オキシド、硫黄酸化物、二酸化硫黄などを含む窒素、酸素、または硫黄から選択される)で置換され、「ヘテロシクロアルキル」基または「ヘテロシクロアルキレン」基と称する。
本明細書において、「アルコキシ」基は−ORを指し、Rはアルキル基(先に定義のとおり)である。アルキル基の炭素原子数は表現「Cx−yアルコキシ」で表され、本明細書で定義したアルキル基を有するアルコキシ基を指し、x〜y(境界を含む)個の炭素原子を含有する。
本明細書において、「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素を指す。幾つかの実施形態において、これらの用語はフッ素および/または塩素を意味する。本明細書において、「ハロアルキル」または「ハロアルコキシ」はそれぞれ1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基またはアルコキシ基を意味する。用語「ペルフルオロアルキル」または「ペルフルオロアルコキシ」はそれぞれ、利用可能な全ての水素がフッ素で置換されているアルキル基およびアルコキシ基を意味する。
本明細書において、「置換」は、置換によって安定または化学的に実現可能な化合物が生じるのであれば、指定された部分の1つ以上の水素を1つ以上の指名した置換基で置換することを意味し、特に記載のない限り多重置換も可能である。安定化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分または他の化学的反応条件が不存在下で少なくとも1週間、約−80℃〜約+40℃の温度で保持した場合に、化学構造が実質的に変化しないものである。本明細書において、表現「1つ以上の、、、で置換された」または「1回以上の、、、で置換された」とは、上記安定性および化学的実現性の条件が満たされる限り、利用可能な結合部位の数に基づき可能性のある置換基の1〜最大数の置換基数を指す。
本明細書において、「随意に(optionally)」は、その後に記載されたイベントが生じてもよいし、生じなくてもよいことを意味する。幾つかの実施形態において、随意のイベントは生じない。幾つかの他の実施形態において、随意のイベントは1回または2回以上生じる。
本明細書において、「comprise」、「comprises」、「comprising」、または「comprised of」は、開かれた群を意味し、それは明確に記載している要素に追加の要素を群が包含し得ることを意味する。例えば、表現「comprises A」はAが必ず存在し、他の要素も存在し得ることを意味する。用語「include」、「have」、「composed of」、またはこれらの文法上の異綴語は同じ意味を有する。その一方、「consist of」、「consists of」、または「consisting of」は閉鎖的な群を示す。例えば、表現「consists of A」はAが存在し、Aのみが存在することを意味する。
本明細書において、「またはor」は、最も広く合理的な解釈がなされ、二者択一に制限されるものではない。したがって、表現「comprising A or B」は、Aが存在しBは存在しないことを意味するか、Bが存在しAは存在しないことを意味するか、あるいは、AおよびBが存在することを意味する。さらに、もし例えばAがAおよびAなど複数要素を有する集合を意味する場合、この集合には1または2以上の要素が共に存在してよい。
本明細書において、表記の種々の官能基は、ハイフン、ダッシュ(−)、またはアスタリスク(*)を有する官能基において結合点を有すると理解される。つまり、−CHCHCHの場合、結合点は左端のCH基である。基にアスタリスクまたはダッシュが記載されていない場合、当該記載された基の一般的かつ通常の意味で結合点を示す。
本明細書において、多核二価化学種を左から右へと読む。例えば、明細書または請求項にA−D−Eの記載があり、Dは−OC(O)−と定義される場合、Dで置換された結果生じる基はA−OC(O)−Eであり、A−C(O)O−Eではない。
他の用語は、本節に含まれていなくても、本明細書の別の場所で定義されている。
[ポリエステルポリオール]
少なくとも1つの態様において、本開示は1つ以上の繰り返し構成単位の一部として、長鎖脂肪族基を含有するポリエステルポリオールを提供する。幾つかの実施形態において、長鎖脂肪族基を有する構成単位は二塩基酸またはそのエステル由来である。幾つかのそのような実施形態において、ポリエステルポリオールは他の構成単位、例えば1または2以上のジオール由来の構成単位を含み、二塩基酸/エステルと反応しポリエステルを生成する。
幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは二塩基酸またはそのエステル由来の構成単位を含む。幾つかのそのような実施形態において、ポリエステルポリオールは数ある特徴の中で下記式(I)で表される構成単位を1以上含む。
ここで、式(I)中、XはC8−36アルキレン、C8−36アルケニレン、C8−36ヘテロアルキレン、またはC8−36ヘテロアルケニレンであって、それぞれがRから独立に選択される置換基によって随意に1回または2回以上置換され、
はハロゲン原子、−OH、−NH、C1−6アルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6ヘテロアルケニル、C3−10シクロアルキル、またはC2−10ヘテロシクロアルキルである。
幾つかの実施形態において、XはC10−36アルキレン、C10−36アルケニレン、C10−36ヘテロアルキレン、またはC10−36ヘテロアルケニレンであり、それぞれRから独立して選択された置換基で随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC12−36アルキレン、C12−36アルケニレン、C12−36ヘテロアルキレン、またはC12−36ヘテロアルケニレンであり、それぞれRから独立に選択される置換基で随意に1回または2回以上置換される。
幾つかの実施形態において、XはC8−36アルキレン、C8−36アルケニレン、またはC4−36オキシアルキレンであり、それぞれハロゲン原子、−OH、−O(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)からなる群から選択された置換基で随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC10−36アルキレンまたはC10−36アルケニレンであり、それぞれハロゲン原子、−OH、−O(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)からなる群から選択された置換基で随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC12−36アルキレンまたはC12−36アルケニレンであり、それぞれハロゲン原子、−OH、−O(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)からなる群から選択された置換基で随意に1回または2回以上置換される。
幾つかの実施形態において、XはC8−36アルキレン、C8−36アルケニレン、またはC4−36オキシアルキレンであり、それぞれ−OHで随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC10−36アルキレンまたはC10−36アルケニレンであり、それぞれ−OHで随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC12−36アルキレンまたはC12−36アルケニレンであり、それぞれ−OHで随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC12−36アルキレンであり、−OHで随意に1回または2回以上置換される。
幾つかの実施形態において、Xは−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CH11−、−(CH12−、−(CH13−、−(CH14−、−(CH15−、−(CH16−、−(CH17−、−(CH18−、−(CH19−、−(CH20−、−(CH21−、または−(CH22−である。幾つかの実施形態において、Xは−(CH−、−(CH12−、または−(CH16−である。幾つかの実施形態において、Xは−(CH16−である。
本開示のポリエステルポリオールは追加の構成単位も含む。幾つかの実施形態において、追加の構成単位はジオール由来の構成単位を含む。したがって、幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは下記式(II)で表される構成単位をさらに1つ以上含む。
ここで、式(II)中、XはC2−18ヒドロカルビレンであり、ヒドロカルビレン基の1つまたは2つ以上の飽和炭素原子が酸素、窒素、硫黄、またはケイ素で随意に置換される。
幾つかの実施形態において、XはC2−18アルキレン、C2−18アルケニレン、C2−18ヘテロアルキレン、またはC2−18ヘテロアルケニレンであり、それぞれハロゲン原子、−OH、−NH、C1−6アルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6ヘテロアルケニル、C3−10シクロアルキル、およびC2−10ヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択される置換基によって随意に1回または2回以上置換される。
幾つかの実施形態において、XはC2−18アルキレン、C2−18アルケニレン、またはC2−18オキシアルキレンであり、それぞれハロゲン原子、−OH、−O(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)からなる群から選択される置換基によって随意に1回または2回以上置換される。幾つかのそのような実施形態において、XはC2−18アルキレンまたはC2−18アルケニレンであり、それぞれハロゲン原子、−OH、−O(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)からなる群から選択される置換基によって随意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC2−18アルキレンであり、ハロゲン原子、−OH、−O(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)からなる群から選択される置換基で随意に1回以上置換される。
幾つかの実施形態において、XはC2−18アルキレン、C2−18アルケニレン、またはC2−18オキシアルキレンであり、それぞれ−OHで任意に1回または2回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC2−18アルキレンまたはC2−18アルケニレンであり、それぞれ−OHで任意に1回以上置換される。幾つかの実施形態において、XはC2−18アルキレンであり、−OHで任意に1回以上置換される。
幾つかの実施形態において、Xは−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CH11−、−(CH12−、−(CH13−、−(CH14−、−(CH15−、または−(CH16−である。幾つかの実施形態において、Xは−(CH−、−(CH−、または−(CH−である。
幾つかの実施形態において、Xは脂肪族環式基を含む。したがって、幾つかの実施形態において、XはC5−10シクロアルキレン、"−(C1−4アルキレン)−(C5−10シクロアルキレン)−"、"−(C5−10シクロアルキレン)−(C1−4アルキレン)−"、または"−(C1−4アルキレン)−(C5−10シクロアルキレン)−(C1−4アルキレン)−"である。幾つかの実施形態において、XはC5−10シクロアルキレンまたは"−(C1−4アルキレン)−(C5−10シクロアルキレン)−(C1−4アルキレン)−"である。幾つかの実施形態において、Xは"−(C1−4アルキレン)−(C5−10シクロアルキレン)−(C1−4アルキレン)−"である。幾つかのそのような実施形態において、Xは"−CH−(1,4−シクロヘキシレン)−CH−"である。
他の構成単位も含まれてよい。しかし、本開示のポリエステルポリオールは、エステル基、例えばジオールと二塩基酸またはそのエステルの縮合反応で生成するエステル基、、によって結合された構成単位から主として構成される。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオール中の構成単位の総数を基準として、ポリエステルポリオール中の構成単位の少なくとも70%、構成単位の少なくとも80%、構成単位の少なくとも85%、構成単位の90%、構成単位の少なくとも95%、または構成単位の少なくとも97%が、エステル結合によって1つ以上の構成単位に結合される。
幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは少なくとも2つの遊離ヒドロキシ基を含み、例えば他の基(酸、イソシアネートなど)と自由に反応してグラフトコポリマーまたはブロックコポリマーを生成する。幾つかのそのような実施形態において、2または3以上の遊離ヒドロキシ基の少なくとも2つは第一級炭素に結合している、すなわち、ヒドロキシルはただ1つの他の炭素原子に結合した炭素原子に連結することを意味し、換言すれば、−CH−OH部分の一部である。
ポリエステルポリオールは任意の適切な方法で生成できる。幾つかの実施形態において、数ある中で特に短鎖ジオールなどのジオールと、二塩基酸(またはそのエステル)とを含む反応混合物から生成される。幾つかのそのような実施形態において、ポリオールエステルは縮合反応で生成することができる。
任意の適切な酸またはエステルが使用できる。幾つかの実施形態において、酸またはエステルは1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,13−トリデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,15−ペンタデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,17−ヘプタデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,19−ノナデカン二酸、1,20−イコサン二酸、1,21−ヘンイコサン二酸、1,22−ドコサン二酸、1,23−トリコサン二酸、1,24−テトラコサン二酸、またはこれらの任意のエステル、または前述のいずれかの任意の混合物である。幾つかのさらなる実施形態において、酸またはエステルは1,12−ドデカン二酸、1,13−トリデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,15−ペンタデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,17−ヘプタデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,19−ノナデカン二酸、1,20−イコサン二酸、1,21−ヘンイコサン二酸、1,22−ドコサン二酸、1,23−トリコサン二酸、1,24−テトラコサン二酸、またはこれらのエステル、または前述のいずれかの任意の混合物である。幾つかのさらなる実施形態において、酸またはエステルは1,14−テトラデカン二酸、1,15−ペンタデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,17−ヘプタデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,19−ノナデカン二酸、1,20−イコサン二酸、1,21−ヘンイコサン二酸、1,22−ドコサン二酸、1,23−トリコサン二酸、1,24−テトラコサン二酸、またはこれらのエステル、または前述のいずれかの任意の混合物である。幾つかの実施形態において、酸またはエステルは1,11−ウンデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、またはこれらの任意のエステルである。幾つかの実施形態において、酸またはエステルは1,18−オクタデカン二酸、またはその任意のエステルである。
上述の酸のいずれかの遊離酸またはエステル化の形態を用いることができる。幾つかの実施形態において、遊離酸が用いられる。幾つかの他の実施形態において、上述の酸のエステル化された形態(例えば、一塩基性エステルまたは二塩基性エステル)が用いられる。幾つかのそのような実施形態において、上述の酸の二塩基性エステルが用いられる。任意の適切なエステルを用いてよい。幾つかの実施形態において、エステルはC1−8アルキルエステルなどのアルキルエステルである。幾つかのそのような実施形態において、エステルはメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソアミルエステル、ネオペンチルエステル、ヘキシルエステル、2−エチルヘキシルエステル、またはこれらの任意の混合物である。幾つかの実施形態において、エステルはメチルエステルまたはエチルエステルである。
幾つかの実施形態において、反応混合物は一塩基酸またはそのエステルを実施的に含まない。本明細書において、「一塩基酸」は、単一の酸基を有する化合物を指し、酸基る官能基を有さない(例えば、単純カルボン酸エステル、カルボン酸塩、無水塩など)。一塩基酸の限定されない例はデカン酸、ドデカン酸などを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、二塩基酸(またはそのエステル)対一塩基酸(またはそのエステル)の重量対重量比は、それぞれの酸/エステルの酸部分の総重量を基準にして、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも150:1、少なくとも200:1、または少なくとも300:1である。
幾つかの実施形態において、反応混合物中の酸またはエステルは、主に単鎖長(single chain length)の酸またはエステルを含んでよい。例えば、幾つかの実施形態において、反応混合物中の酸またはエステルは、大部分を1,18−オクタデカン二酸またはそのエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、またはイソプロピルエステルなどのアルキルエステル)とすることができる。幾つかのそのような実施形態において、反応混合物の二塩基酸(またはそのエステル)の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも97重量%は、1,18−オクタデカン二酸またはそのエステルである。幾つかのそのような実施形態において、反応混合物中の他の二塩基酸(またはそのエステル)の炭素鎖長は主に1,18−オクタデカン二酸の炭素鎖長より大きく、例えば1,20−イコサン二酸である。したがって、幾つかの実施形態において、反応混合物は1,18−オクタデカン二酸の炭素鎖長より小さい炭素鎖長を有する二塩基酸(またはそのエステル)(1,16−ヘキサデカン二酸など)を実質的に含まない。幾つかのそのような実施形態において、1,18−オクタデカン二酸(およびそのエステル)対1,18−オクタデカン二酸の炭素鎖長より小さい炭素鎖長を有する二塩基酸(およびそのエステル)の重量対重量比は、それぞれの酸/エステルの二塩基酸部分の総重量を基準にして少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも65:1、または少なくとも100:1である。
上述のとおり、反応混合物は短鎖ジオールなどの1または2以上のジオールを含んでもよい。本明細書において、「短鎖ジオール」とは、1〜18個の炭素原子を有するジオールを指す。幾つかの実施形態において、短鎖ジオールはC2−18ヒドロカルビレンジオールであり、ヒドロカルビレン基の1つ以上の飽和炭素原子が酸素、窒素、硫黄、またはケイ素で随意に置換される。幾つかの他の実施形態において、短鎖ジオールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、もしくはp−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、またはこれらの任意の混合物である。幾つかの他の実施形態において、短鎖ジオールは1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、またはこれらの任意の混合物である。幾つかのさらなる実施形態において、短鎖ジオールは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、またはこれらの任意の混合物である。幾つかのさらなる実施形態において、短鎖ジオールは1,4−ブタンジオールである。幾つかの実施形態において、短鎖ジオールは1,6−ヘキサンジオールである。幾つかの実施形態において、短鎖ジオールは1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは2または3以上のジオールの組み合わせを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、またはこれらの任意の混合物の、2または3以上の混合物を含む。幾つかのさらなる実施形態において、前記短鎖ジオールは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、または1,10−デカンジオールである。例えば、幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは1,6−ヘキサンジオールと、別のジオール(例えば1,4−ヘキサンジオール)との混合物から生成する。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−ヘキサンジオールの混合物から生成され、1,6−ヘキサンジオール対1,4−ブタンジオールモル比は1:5〜5:1、1:3〜3:1、1:2〜2:1、または1:1.5〜1.5:1である。
反応混合物は、その化学種が二塩基酸/エステルとジオールとの縮合反応を実質的に妨げない限り、任意の数の他の化学種を含むことができる。幾つかの実施形態において、反応混合物は、所定量の酸および/または塩基を含んで、反応混合物のpHを調整することができる。さらに、幾つかの実施形態において、所定量の不均一系または均一系触媒を存在させて、反応を促進することができる。適切な触媒の例は限定されないが、有機酸または塩基、有機金属化合物、酵素などが含まれる。
任意の適切な媒体を反応混合物中で使用することができる。幾つかの実施形態において、媒体は水媒体である。幾つかの実施形態において、水媒体は、水に加えて、メタノール、エタノール、およびアセトンなど水と実質的に混和する1つ以上の他の溶媒を所定量含む。
ポリエステルポリオールは任意の適切な分子量を有する。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの分子量は500Da〜100,000Da、500Da〜50,000Da、1,000Da〜20,000Da、1,000Da〜10,000Da、2,000Da〜7,500Da、または3,000Da〜5,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの分子量は約4,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの分子量は500Da〜20,000Da、500Da〜10,000Da、500Da〜4,000Da、または500Da〜3,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの分子量は約1,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの分子量は約2,000Daである。
複数のポリエステルポリオールが生成する実施形態において、得られる組成物は平均分子量、例えば組成物中のポリエルテルポリオールの数平均分子量(M)で特徴づけられる。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの数平均分子量は500Da〜100,000Da、500Da〜50,000Da、1,000Da〜20,000Da、1,000Da〜10,000Da、2,000Da〜7,500Da、または3,000Da〜5,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの数平均分子量は約4,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの数平均分子量は500Da〜20,000Da、500Da〜10,000Da、500Da〜4,000Da、または500Da〜3,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの数平均分子量は約1,000Daである。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの数平均分子量は約2,000Daである。
幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは架橋の潜在的な位置となる特定の単位を含むことができる。このような架橋位置は、少量の前駆体を反応混合物に添加することによってポリエステルポリオール内に取り込むことができ、ジオールおよび/または酸/エステルのいずれか一方または両方と反応させ、それにより鎖中に取り込まれる。あるいは、幾つかの実施形態において、架橋剤を導入して架橋位置を形成することができ、この架橋剤はポリエステルポリオール鎖に存在する官能基と反応し得る、2つ以上の官能基を有する物質を含むことができる。
場合によっては、本開示のポリエステルポリオールをその融点で特徴づけることは有用である。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは120℃以下、110℃以下、100℃以下、90℃以下、85℃以下、または80℃以下の融点を有する。
場合によっては、本開示のポリエステルポリオールをその加水分解安定性で特徴づけることは有用である。本明細書において、「加水分解安定性」とは、ポリエステルポリオールが特定の保管条件の間に経時的に分解する程度を指す。一般的に、分解はポリエステルポリオール1gから生じる酸を中和するために必要な水酸化カリウム(mg)の重量である「酸価」で測定される。分解は経時的に測定され、ポリエステルポリオールは3pph(ポリエステルポリオールに対する重量)の水を含む組成物中に120℃(約1atmの圧力)で保管される。酸価は7日目、14日目、21日目、および28日目に測定される。測定は密封容器内で行われる。幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの酸価は保管7日目から21日目で、50%以下の増加、40%以下の増加、30%以下の増加、20%以下の増加、または10%以下の増加がみられる。
幾つかの他の実施形態において、ポリエステルポリオールは特定の融点(Tg)を有するとして特徴づけられる。したがって、幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールは少なくとも40℃、少なくとも50℃、または少なくとも60℃のTgを有する。
幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールの少なくとも一部は再生可能資源由来、例えば天然油またはその誘導体由来である。例えば、幾つかの実施形態において、短鎖ジオールの少なくとも一部は再生可能資源由来である。幾つかの実施形態において、二塩基酸(またはそのエステル)の少なくとも一部は再生可能資源由来である。二塩基酸およびそのエステルを生成する方法は、例えば米国特許出願公開第2009/0264672号明細書および米国特許出願公開第2013/0085288号明細書に記載され、両特許文献は本明細書に全文記載されたかの如く、これらの全体を本明細書に援用する。再生可能資源から化学化合物を生成する方法(例えば、オレフィンメタセシスを用いて)を、下記にさらに詳細に説明する。
[再生可能原料由来のポリマー成分]
石油系材料が再生不能であるため、特定の再生可能原料からポリマーの幾つかの成分を得ることが望ましい。例えば、幾つかの実施形態において、ポリマーの1つ以上の成分は天然油およびその誘導体など特定の再生可能原料から得られる。
オレフィンメタセシスは、特定の天然油原料をオレフィンおよびエステルに転換する1つの可能な手段を提供し、様々な応用に用いることができ、あるいは、化学的にさらに改質して様々な応用に用いることができる。幾つかの実施形態において、組成物(または組成物の成分)は、再生可能原料、例えば天然油および/またはその脂肪酸や脂肪酸エステル誘導体のメタセシス反応で生成する再生可能原料から生成される。メタセシス触媒の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物はメタセシス反応を受けると、幾つかまたは全ての元の炭素−炭素二重結合が壊れ、新たな炭素−炭素二重結合を形成する。このようなメタセシス反応の生成物は、異なる位置に炭素−炭素二重結合を含み、有用な化学的性質を有する不飽和有機化合物を提供することができる。
他の技術を用いて、再生可能原料をポリマーの成分として有用な化合物に転換してもよい。例えば、発酵または特定の生物有機体を用いて天然油を分解し、オレフィンおよびエステルを放出させることができ、これをポリマー材料に用いる、あるいはこれを改質すてポリマー材料に用いることができる。
[オレフィンメタセシス]
幾つかの実施形態において、1つ以上の不飽和モノマーは天然油または天然油誘導体のメタセシス反応で生成できる。用語「メタセシス」または「メタセシス化」は様々な異なる反応を指し、その例は限定されないが、クロスメタセシス、自己メタセシス、開環メタセシス、開環メタセシス重合(「ROMP」)、閉環メタセシス(「RCM」)、および非環状ジエンメタセシス(「ADMET」)である。所望の生成物または生成物の混合物に応じて、任意の適切なメタセシス反応を用いればよい。
幾つかの実施形態において、天然油原料を随意に任意の前処理をした後、天然油原料をメタセシス触媒の存在下、メタセシス反応器の中で反応させる。幾つかの他の実施形態において、不飽和エステル(例えば、不飽和トリグリセリドなど不飽和グリセリド)をメタセシス触媒の存在下、メタセシス反応器の中で反応させる。これらの不飽和エステルは天然油原料の成分でよく、または他の原料由来、例えば、先に行われたメタセシス反応で生じたエステル由来でもよい。特定の実施形態において、メタセシス触媒の存在下、天然油または不飽和エステルは自身との自己メタセシス反応を起こす。他の実施形態において、天然油または不飽和エステルは低分子量のオレフィンまたは中分子量のオレフィンとクロスメタセシス反応を起こす。自己メタセシスおよび/またはクロスメタセシス反応はメタセシス生成物を生成し、メタセシス生成物はオレフィンおよびエステルを含む。
幾つかの実施形態において、低分子量オレフィンはC2−6の範囲内である。限定されない例として、1つの実施形態において、低分子量オレフィンは少なくともエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン、シクロペンテン、1,4−ペンタジエン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、4−メチル−2−ペンテン、2−メチル−3−ペンテン、およびシクロヘキセンのうち、少なくとも1つを含んでよい。場合によっては、より高分子量のオレフィンを用いてもよい。
幾つかの実施形態において、メタセシスは、メタセシス触媒の存在下、天然油原料(または他の不飽和エステル)を反応させることを含む。幾つかのそのような実施形態において、メタセシスは、(上記のように)メタセシス触媒の存在下、天然油原料中の1つ以上の不飽和グリセリド(例えば、不飽和トリグリセリド)を反応させることを含む。幾つかの実施形態において、不飽和グリセリドはオレイン酸、リノール酸、リノール酸、またはこれらの組み合わせの1つ以上のエステルを含む。幾つかの他の実施形態において、不飽和グリセリドは他の不飽和グリセリドの部分水素化および/またはメタセシスの生成物である。幾つかのそのような実施形態において、メタセシスは上記のいずれかの不飽和トリグリセリド種と、他のオレフィン(例えばアルケン)とのクロスメタセシスである。幾つかのそのような実施形態において、クロスメタセシスに用いられるアルケンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテンなど低級エチレンである。幾つかの実施形態において、アルケンはエチレンである。幾つかの他の実施形態において、アルケンはプロピレンである。幾つかのさらなる実施形態において、アルケンは1−ブテンである。さらにさらなる幾つかの実施形態において、アルケンは2−ブテンである。
本開示の方法を用いた場合、メタセシス反応は種々の有用な生成物を提供する。例えば、他の価値ある組成物に加えて、末端オレフィンおよび内部オレフィンも天然油原料から得られる。さらに、幾つかの実施形態において、数多くの価値ある組成物が、メタセシス触媒の存在下、天然油原料の自己メタセシス反応、または天然油原料と低分子量オレフィンもしくは中分子量オレフィンとのクロスメタセシス反応を介して目的にできる。このような価値ある組成物は、燃料組成物、洗剤、界面活性剤、および他の特殊な化学製品を含む。加えて、交換エステル生成物(すなわち、アルコールの存在下、エステルをエステル交換することで生じる生成物)も目的にできる。限定されない例は:脂肪酸メチルエステル類(「FAMEs」);バイオディーゼル;9−デセン酸(「9DA」)エステル類,9−ウンデセン酸(「9UDA」)エステル類および/または9−ドデセン酸(「9DDA」)エステル類;9DA、9UDA、および/または9DDA;9DA、9UDA、ならびに/または9DDAのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩;エステル交換生成物の二量体;ならびにこれらの混合物である。
さらに、幾つかの実施形態において、本開示の方法は多重メタセシス反応を含み得る。幾つかの実施形態において、多重メタセシス反応は同じ反応器内で逐次に生じる。例えば、リノール酸を含有するグリセリドは末端低級アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど)とのメタセシス反応により1,4−デカジエンを生成し、2回目の末端低級アルケンとのメタセシス反応により1,4−ペンタジエンを生じる。しかしながら、他の実施形態において、多重メタセシス反応は逐次ではなく、少なくとも1つの他の工程(例えば、エステル交換、水素化など)が第一のメタセシス工程および次のメタセシス工程の間で実施されてもよい。これらの多重メタセシス手順を用いて、入手可能な出発原料を用いた単独メタセシス反応では容易に得られない生成物を得ることができる。例えば、幾つかの実施形態において、多重メタセシスは自己メタセシス、続いてクロスメタセシスを経て、メタセシス二量体、三量体などを得ることができる。幾つかの他の実施形態において、多重メタセシスは、天然油トリグリセリドと、典型的な低級アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテンなど)との単独メタセシス反応では達成できない長さのオレフィンおよび/またはエステル成分を得るために用いられる。このような多重メタセシスは、異なるアルケンを用いるために反応器を改良するよりも、多重メタセシスを実施する方が簡単であり、産業規模の反応器に有用である。
メタセシスプロセスは所望のメタセシス生成物を生成するために適切な任意の条件下で実施されてよい。例えば、当業者は化学量論、雰囲気、溶媒、温度、および圧力を選択して、所望の生成物を生成し、望まれない副産物を最小限にできる。幾つかの実施形態において、メタセシスプロセスは不活性雰囲気下で実施され得る。同様に、試薬(reagent)がガスとして供給される実施形態において、不活性ガス希釈剤をガス流に用いてよい。そのような実施形態において、不活性雰囲気または不活性ガス希釈剤は一般的に不活性ガスであり、ガスがメタセシス触媒と相互作用せず触媒作用を実質的に妨げることはない。例えば、不活性ガスの限定されない例は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、および窒素であり、個別にまたはこれらのガスや他の不活性ガスと一緒に用いられる。
メタセシス反応の反応器の設計は、限定されないが反応の規模、反応条件(加熱、圧力など)、触媒の種類、反応器で反応させる材料の種類、用いる原料の性質など様々な因子によって異なる。適切な反応器は、関連する因子によって当業者が設計でき、本開示のように精製工程などに組み入れることができる。
本開示のメタセシス反応は通常1つ以上のメタセシス触媒の存在下で実施される。このような方法は任意適切なメタセシス触媒を用いてよい。この反応でのメタセシス触媒はメタセシス反応を促進させる任意の触媒または触媒系を含んでよい。任意の公知のメタセシス触媒を用いてよく、単独または1つ以上の他の触媒と組み合わせて用いてもよい。メタセシス触媒および反応条件の例は、米国特許出願公開第2011/0160472号明細書に開示されており、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。ただし、この開示または定義が本明細書と矛盾している場合、本明細書の開示または定義が優先するものとみなす。米国特許出願公開第2011/0160472号明細書に開示されている幾つかのメタセシス触媒はMateria, Inc.(パサデナ、CA)で現在市販されている。
幾つかの実施形態において、メタセシス触媒はグラブス型オレフィンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は第一世代グラブス型オレフィンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は第二世代グラブス型オレフィンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は第一世代ホベイダ−グラブス型オレフィンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は第二世代ホベイダ−グラブス型オレフィンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒はMateria, Inc.(パサデナ、CA)が販売する1つまたは複数のルテニウムカルベンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質である。Materia, Inc.から入手できる本開示で用いられる代表的なメタセシス触媒は、限定されないが、下記製品番号で販売されているものおよびこれらの組み合わせを含む:製品番号C823(CAS No. 172222-30-9)、製品番号C848(CAS No. 246047-72-3)、製品番号C601(CAS No. 203714-71-0)、製品番号C627(CAS No. 301224-40-8)、製品番号C571(CAS No. 927429-61-6)、製品番号C598(CAS No. 802912-44-3)、製品番号C793(CAS No. 927429-60-5)、製品番号C801(CAS No. 194659-03-9)、製品番号C827(CAS No. 253688-91-4)、製品番号C884(CAS No. 900169-53-1)、製品番号C833(CAS No. 1020085-61-3)、製品番号C859(CAS No. 832146-68-6)、製品番号C711(CAS No. 635679-24-2)、および製品番号C933(CAS No. 373640-75-6)である。
幾つかの実施形態において、メタセシス触媒はモリブデンおよび/もしくはタングステンカルベン錯体、ならびに/またはこれらの錯体から得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒はシュロック型オレフィンメタセシス触媒および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は高酸化状態のモリブデンのアルキリデン錯体および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は高酸化状態のタングステンのアルキリデン錯体および/またはこれから得られる物質を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒はモリブデン(VI)を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒はタングステン(VI)を含む。幾つかの実施形態において、メタセシス触媒は1つ以上の下記文献に記載されているモリブデン−および/またはタングステン−含有アルキリデン錯体を含む。(a)Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 2003, 42, 4592-4633;(b)Chem. Rev., 2002, 102, 145-179;および/または(c) Chem. Rev., 2009, 109, 3211-3226は、それぞれ本明細書に参照により組み込まれる。ただし、これらの開示または定義が本明細書と矛盾している場合、本明細書の開示または定義が優先するものとみなす。
特定の実施形態において、メタセシス触媒を、メタセシス反応を実施する前に溶媒に溶解する。このような特定の実施形態において、選択される溶媒はメタセシス触媒に対して実質的に不活性であるよう選別され得る。例えば、実質的に不活性な溶媒は限定されないが:ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族溶媒;およびジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素化アルカンである。幾つかの実施形態において、溶媒はトルエンを含む。
他の実施形態において、メタセシス触媒を、メタセシス反応を実施する前に溶媒に溶解させない。代わりに、触媒を例えば天然油または不飽和エステルとスラリー化し、天然油または不飽和エステルは液体状態である。これらの条件下では、溶媒(例えば、トルエン)を工程から排除し、溶媒から分離するときの下流でのオレフィン損失を防ぐことができる。他の実施形態において、メタセシス触媒は天然油または不飽和エステルに固体の状態(スラリー化せず)で添加され得る(例えば、オーガー式供給)。
メタセシス反応温度は、場合によっては、律速変数であり、所望の生成物を許容速度で提供するように温度が選択される。特定の実施形態において、メタセシス反応温度は−40℃より高く、−20℃より高く、0℃より高く、または10℃より高い。特定の実施形態において、メタセシス反応温度は200℃未満、150℃未満、または120℃未満である。幾つかの実施形態において、メタセシス反応温度は0℃〜150℃、または10℃〜120℃である。
メタセシス反応は所望の任意圧力下で行われる。場合によっては、クロスメタセシス試薬を溶液中に保持するのに十分な高さの全圧を維持することが望ましい。したがって、クロスメタセシス試薬の分子量の増加するにつれて、クロスメタセシス試薬の沸点が増加するため、一般的に圧力範囲の下限が低下する。全圧は0.1atm(10kPa)より高く、0.3atm(30kPa)より高く、または1atm(100kPa)より高くなるように選択され得る。幾つかの実施形態において、反応圧力は約70atm(7000kPa)以下、または約30atm(3000kPa)以下である。幾つかの実施形態において、メタセシス反応の圧力は約1atm(100kPa)〜約30atm(3000kPa)である。
[再生可能原料のオレフィンメタセシス]
上述のとおり、オレフィンメタセシスを用いて、本明細書に開示されるポリマーに使用され得る1つ以上のモノマーを生成することができる。幾つかの実施形態において、1つ以上のこれらのモノマーは天然油のメタセシスで得られる。任意の適切な天然油または天然油誘導体を使用できる。天然油の例は、限定されないが、植物油、藻類油、魚油、動物性脂肪、トール油、これら油の誘導体、これら油のいずれかの組み合わせなどである。植物油の代表的な限定されない例は、なたね油(キャノーラ油)、やし油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、落花生油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、からし油、グンバイナズナ油、カメリナ油、麻実油、およびヒマシ油を含む。動物性脂肪の代表的な限定されない例は、ラード、獣脂、家禽脂、黄色油脂、および魚油を含む。トール油は木材パルプ製造の副産物である。幾つかの実施形態において、天然油または天然油原料は1つ以上の不飽和グリセリド(例えば、不飽和トリグリセリド)を含む。幾つかのそのような実施形態において、天然油原料は天然油原料の総重量を基準として、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも99%重量%の1つ以上の不飽和トリグリセリドを含む。
天然油はキャノーラまたは大豆油を含み、、例えば精製、脱色、および脱臭した大豆油(すなわちRBD大豆油)である。大豆油は一般的に約95重量%以上(例えば、99重量%以上)の脂肪酸のトリグリセリドを含む。大豆油中のポリオールエステル中の主要な脂肪酸は、限定されない例として、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)およびステアリン酸(オクタデカン酸)などの飽和脂肪酸、および限定されない例としてオレイン酸(9−オクタデセン酸)、リノール酸(9,12−オクタデカジエン酸)、およびリノレン酸(9,12,15−オクタデカトリエン酸)などの不飽和脂肪酸を含む
メタセシス天然油の例は、限定されないが、メタセシス植物油、メタセシス藻類油、メタセシス動物性脂肪、メタセシストール油、これら油のメタセシス誘導体、またはこれらの混合物である。例えば、メタセシス植物油は、メタセシスキャノーラ油、メタセシスなたね油、メタセシスやし油、メタセシストウモロコシ油、メタセシス綿実油、メタセシスオリーブ油、メタセシスパーム油、メタセシス落花生油、メタセシスサフラワー油、メタセシスゴマ油、メタセシス大豆油、メタセシスひまわり油、メタセシスアマニ油、メタセシスパーム核油、メタセシスきり油、メタセシスジャトロファ油、メタセシスからし油、メタセシスカメリナ油、メタセシスグンバイナズナ油、メタセシスヒマシ油、これら油のメタセシス誘導体、またはこれらの混合物である。他の例として、メタセシス天然油は、メタセシスラード、メタセシス獣脂、メタセシス家禽脂、メタセシス魚油などのメタセシス動物性脂肪、これら油のメタセシス誘導体、またはこれらの混合物である。
このような天然油は、様々な不飽和脂肪酸のトリグリセリドなどのエステルを含有することができる。このような脂肪酸の同一性および濃度は、油の原料に応じて変化し、場合によっては、種類に依存する。幾つかの実施形態において、天然油はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸の1つ以上のエステル、またはこれらの任意の組み合わせを含む。このような脂肪酸エステルがメタセシス化すると、新たな化合物が生成する。例えば、メタセシスが特定の短鎖オレフィン(エチレン、プロピレン、または1−ブテンなど)を用い、天然油がオレイン酸のエステルを含む実施形態において、他の生成物の中、、所定量の1−デセンが生成する。例えば、アルキルアルコールとのエステル交換後、所定量の9−デセン酸メチルが生成する。幾つかのそのような実施形態では、メタセシスおよびエステル交換の間に分離工程が生じ得、アルケンはエステルから分離される。幾つかの他の実施形態において、エステル交換はメタセシス前に行われ、エステル交換生成物をメタセシス化する。
[メタセシスで二塩基酸を生成する方法]
特定の態様において、本開示は、二塩基酸の生成方法を提供する。この方法では、メタセシス触媒の存在下、第一のオレフィンエステルおよび第二のオレフィンエステルを反応させて、第一のアルケンおよび不飽和二塩基酸エステルを生成し;不飽和二塩基酸エステルを水素化して飽和二塩基酸エステルを生成し;および飽和二塩基酸エステルを飽和二塩基酸に転換する。
この方法では、第一のオレフィンエステルを第二のオレフィンエステルと反応させて不飽和二塩基酸エステルを生成する。オレフィンエステルの反応による不飽和二塩基酸エステルの生成は、国際公開第2008/140468号明細書、米国特許出願公開第2009/0264672号明細書、および米国特許出願公開第2013/0085288号明細書に一般的に記載されており、3つの文献の全ての内容が本明細書に参照により組み込まれる。
上記の文献は、メタセシス反応を用いて不飽和二塩基酸エステルを生成する異なる方法を記載している。しかしながら、場合によっては、2つ以上の異なる生産的なメタセシス反応が同時に生じているかもしれない。例えば、第一のオレフィンエステルが末端オレフィンエステルであり第二のオレフィンエステルが内部オレフィンエステルである実施形態において、末端オレフィンエステルおよび内部オレフィンエステルはそれぞれ同じ化合物の他の分子と反応し、2つの自己メタセシス反応がクロスメタセシス反応と競合することがある。また、幾つかの実施形態において、末端オレフィンエステルは内部オレフィンエステルから生じ、例えば、メタセシス触媒の存在下、内部オレフィンエステルおよび末端アルケンを反応させる。または、幾つかの他の実施例において、内部オレフィンエステルは末端オレフィンから生じ、例えば、メタセシス触媒の存在下、末端オレフィンエステルと内部アルケンを反応させる。末端オレフィンエステルおよび内部オレフィンエステルのクロスメタセシス反応が速度論的に有利で、単独オレフィンエステルのみが存在する場合、このようなプロセスを用いて異なるオレフィンエステルを生成することは有利であり、自己メタセシスではなくクロスメタセシスが生じるようになる。
この方法では、不飽和二塩基酸エステルを水素化して飽和二塩基酸エステルを生じさせることを含む。水素化は任意の適切な方法で実施することができる。特定の実施形態において、水素化触媒の存在下、水素ガスを不飽和二塩基酸エステルと反応させて、例えば水素化反応器内で飽和二塩基酸を生成する。
任意の適切な水素化触媒を用いてよい。幾つかの実施形態において、水素化触媒はニッケル、銅、パラジウム、白金、モリブデン、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、またはイリジウムを個々に、あるいはこれら任意の組み合わせで含む。このような触媒は、不均一系でも均一系でもよい。幾つかの実施形態において、触媒はニッケルまたはスポンジニッケル型触媒に担持される。幾つかの実施形態において、水素化触媒は、水素で化学的に還元されて活性状態のニッケル(すなわち還元ニッケル)を含み、これは担体に担持される。担体はポーラスシリカ(例えば、珪藻土、滴虫土、珪藻類、または珪質土)またはアルミナを含む。触媒は、ニッケルの単位gあたりのニッケルの大表面積が特徴的である。担持ニッケル水素化触媒の市販品の例は、商標NYSOFACT、NYSOSE、およびNI 5248 D(BASF Catalysts LLC製、イズリン、NJ)である。ニッケル担持水素化触媒のさらなる例は、市販されている商標名PRICAT Ni 62/15 P、PRICAT Ni 55/5、PPRICAT 9910、PRICAT 9920、PRICAT 9908、およびPRICAT 9936(ジョンソン・マッセイ製、ウォードヒル、MA)である。
担持ニッケル触媒は、米国特許第3,351,566号明細書、米国特許第6,846,772号明細書、欧州特許出願公開第0168091号明細書、および欧州特許出願公開第0167201号明細書に記載され、それぞれその全体が本明細書に参照により組み込まれる。水素化はバッチまたは連続プロセスで実施され、部分水素化または完全水素化であってもよい。特定の実施形態において、温度範囲は約50℃〜約350℃、約100℃〜約300℃、約150℃〜約250℃、または約100℃〜約150℃である。所望温度は、例えば水素ガス圧力によって変化する。一般的に、高いガス圧力では低い温度を要する。水素ガスを反応槽に投入して所望のHガス圧力を達成する。特定の実施形態において、Hガス圧力範囲は約15psig(1barg)〜約3000psig(204.1barg)、約15psig(1barg)〜約90psig(6.1barg)、または約100psig(6.8barg)〜約500psig(34barg)である。圧力増加とともに、特殊な高圧処理装置が必要となる。特定の実施形態において、反応条件は「穏和」であり、温度はおよそ50℃〜およそ100℃、およびHガス圧力はおよそ100psigより低い。他の実施形態において、温度は約100℃〜約150℃、および圧力は約100psig(6.8barg)〜約500psig(34barg)である。所望の水素化度に達する時点で、反応物を所望の濾過温度まで冷却する。
水素化触媒の量は一般的に、例えば用いる水素化触媒の種類、用いる水素化触媒の量、水素化される物質の不飽和度、所望する水素化速度、所望する水素化度(例えば、ヨウ素価(IV)で表される)、試薬の純度、およびHガスの圧力など幾つかの因子を考慮して選択される。幾つかの実施形態において、水素化触媒は約10重量%以下、例えば約5重量%以下、または約1重量%以下の量で用いられる。
(上記の)メタセシスの後、得られる組成物は様々な不純物を含有し得る。これらの不純物は、様々な種類の非生産的なメタセシスによって生成する化合物であり得る。あるいは、場合によっては、不純物は原料化合物に存在する不純物であり得る。いずれにしても、幾つかの実施形態において、これらの不純物を除去および/または蒸留して取り除くことが望ましい。幾つかのそのような実施形態において、除去および/または蒸留は、メタセシスの後であるものの、水素化の前に行われる。幾つかの代替的実施形態において、除去および/または蒸留はメタセシスおよび水素化の両方の後に行われ得る。これらの不純物は、炭化水素より多くのエステルを含有し得る(例えば、一塩基酸エステル)。これは、例えば、アルケン不純物の低い沸点のために、特定のアルケン不純物がメタセシス反応中に反応器から放出されるからである。もちろん、場合によっては、これらのアルケン不純物は、特定のメタセシス反応に関与するのに十分な時間反応器内に存在し、他の不純物(例えば、追加のアルケン不純物および追加のエステル不純物)を生じる。パラフィン不純物も存在し得るが、例えば水素化後、除去および/または蒸留で取り除くことができる。
幾つかの実施形態において、除去は特定量の第一のオレフィンエステルおよび/または第二のオレフィンエステルの排出を引き起こす可能性がある。幾つかのそのような実施形態において、これらの除去した反応物を回収し、さらなるメタセシス反応に用いてもよい。
幾つかの実施形態において、転換前に飽和二塩基酸エステルをさらに精製することが望ましい。例えば、幾つかの実施形態において、飽和二塩基酸エステルを再結晶化する。再結晶化は任意の適切な技術で実施される。一般的に、例えば加熱しながら溶媒系に溶解し、その後、飽和二塩基酸エステルの固体の結晶が現れるまで冷却する。この方法は、例えば、短鎖一塩基酸および二塩基酸エステル、および/または酸など、飽和二塩基酸エステルよりも溶媒系への溶解度がより高い不純物を取り除くのに適切な手法である。
この方法では、飽和二塩基酸エステルを飽和二塩基酸に転換する。転換は任意の手段で実施できる。幾つかの実施形態において、飽和二塩基酸エステルは上記したいずれかの実施形態に従い加水分解される。幾つかの他の実施形態において、飽和二塩基酸エステルはけん化し、その後酸性化により飽和二塩基酸に転換される。
得られる飽和二塩基酸は、上記実施形態のいずれかによる二塩基酸であり得る。幾つかの実施形態において、二塩基酸は式:H−OOC−Y−COO−Hで表される化合物であり、式中Yは任意の有機化合物(ヒドロカルビル基またはシリル基など)を表し、ヘテロ原子含有置換基を有する有機化合物も含む。幾つかのこうした実施形態において、Yは二価のヒドロカルビル基であり、様々なヘテロ原子含有置換基で随意に置換されてよく、あるいは、その炭素原子は1つ以上のヘテロ原子で置換されてよい。このような二価ヒドロカルビル基は置換または非置換のアルキレン、アルケニレン、およびオキシアルキレン基を含み得る。
幾つかの実施形態において、飽和二塩基酸はウンデカン二酸である。幾つかの実施形態において、二塩基性エステルはテトラデカン二酸である。幾つかの実施形態において、二塩基性エステルはオクタデカン二酸である。
幾つかの実施形態において、飽和二塩基酸をさらに精製することができる。幾つかの実施形態において、精製は上記に記載の再結晶化を用いて行われる。
上述のいずれかの二塩基酸を用いて本開示のポリエステルポリオールを生成することができる。幾つかの実施形態において、二塩基性エステルから二塩基酸への転換(例えば、加水分解、またはけん化の後酸性化)が行われない場合、精製二塩基性エステルが得られ、これを用いて本開示のポリエステルポリオールを生成することができる。幾つかの他の実施形態において、精製二塩基酸を(例えば、アルコールと)反応させると精製二塩基性エステルを生じさせ、これを用いて本開示のポリエステルポリオールを生成することができる。
[ポリエステルポリオールを含む組成物]
本開示のポリエステルポリオールは特定の組成物に含まれてよい。幾つかの実施形態において、組成物は本開示のいずれかの実施形態に従うポリエステルポリオールおよびキャリアを含む。幾つかの実施形態において、組成物は分散系である。幾つかのそのような実施形態において、キャリヤは水を含む。幾つかの実施形態において、組成物はさらに、追加の溶媒、補助溶剤、界面活性剤、補助界面活性剤、乳化剤、天然または人工着色料、天然または人工香料、酸化防止剤、腐食防止剤、または抗菌剤を含む。
[ポリエステルポリオールを含む粉末コーティング組成物]
特定の態様において、本開示は上記態様または実施形態のいずれかのポリエステルポリオールおよび架橋剤を含む粉末コーティング組成物を提供する。幾つかのそのような実施形態において、架橋剤はポリエステルポリオールの溶融特性を向上し、コーティングの形成時に、加熱により流れを良くする。
任意の適切な架橋剤を用いることができる。架橋剤の選択はポリエステルポリオールがアルコールまたは酸基で封鎖(終端)されているかによる。
例えば、幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールはカルボン酸基で封鎖されている。このような実施形態において、架橋剤は1つ以上(例えば2つ以上)のエポキシ基を含有する化合物である。限定されない例はトリグリシジルイソシアヌレートである。幾つかの他の実施形態において、架橋剤は1つ以上(例えば2つ以上)のヒドロキシ基を含有する化合物である。限定されない例は、ジエタノールアミンのビスアミドなどのβ−ヒドロキシアルキルアミド、およびコハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの短鎖ジカルボン酸である。
幾つかの他の実施形態において、ポリエステルポリオールはヒドロキシル基で封鎖されている。幾つかのそのような実施形態において、架橋剤は様々なブロックイソシアネートなどイソシアネート基を含有する化合物である。幾つかの他の実施形態において、架橋剤は1つ以上のカルボン酸、無水物、アミド、または尿素(環状)基を有する化合物であり、例えばテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルである。
[ポリエステルポリオールの融点を低下する方法]
特定の態様において、本開示はポリエステルポリオールの融点(Tg)を低下する方法を提供する。この方法では、上記態様および実施形態のいずれかのポリエステルポリオールを提供し、このポリエステルポリオールと架橋剤を接触させる。
任意の適切な架橋剤を用いてよい。架橋剤の選択は、ポリエステルポリオールがアルコールまたは酸基で封鎖されているかに依る。
例えば、幾つかの実施形態において、ポリエステルポリオールはカルボン酸基で封鎖されている。このような実施形態において、架橋剤は1つ以上(例えば2つ以上)のエポキシ基を含有する化合物である。限定されない例はトリグリシジルイソシアヌレートである。幾つかの他の実施形態において、架橋剤は1つ以上(例えば2つ以上)のヒドロキシ基を含有する化合物である。限定されない例は、ジエタノールアミンのビスアミドなどのβ−ヒドロキシアルキルアミドや、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの短鎖ジカルボン酸である。
幾つかの他の実施形態において、ポリエステルポリオールはヒドロキシル基で封鎖されている。幾つかのそのような実施形態において、架橋剤は様々なブロックイソシアネートなどのイソシアネート基を含有する化合物である。幾つかの他の実施形態において、架橋剤 は1つ以上のカルボン酸、無水物、アミド、または尿素(環状)基を有する化合物であり、例えばテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルである。
(実施例1:ポリエステル合成)
1Lの四つ口フラスコに加熱マントル、機械式攪拌機、凝縮器、DSトラップ、分縮器、熱電対、および窒素(N)ガスの導入口を設置した。その後、149.8gの1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を60℃のオーブンで溶融した。次に、409.5gの1,18−オクタデカン二酸(ODDA)をフラスコに入れて135℃で溶解した。ODDAが溶解した後、溶融したCHDMを0.78gのエチルヘキサノエートスズ(II)(Sn(II) ethyl hexanoate)触媒とともにフラスコに投入した。生じた混合物を185℃まで加熱した。水をディーンスタークトラップで除去した。反応混合物を約4時間加熱し、その後90℃まで冷却した。冷却後、反応混合物を保管用の瓶に入れた。ポリマーの融点を測定したところ、55℃であった。
(実施例2:粉末コーティング配合物)
初めに、実施例1のポリマー250gを温度90℃まで加熱して、樹脂を溶融した。その後、29.9gのトリグリシジルイソシアヌレートおよび10gのイルガジンレッド(Irgazin Red L3660)を溶融樹脂に添加し、110℃で10分間加熱し、一定の撹拌下混合した。
(実施例3:コーティング)
実施例2の配合物3gに0.3重量%のトリフェニルホスフィンを混合し、混合物を薄膜コーティング(厚さ2.5mm)としてアルミニウムおよびCRSパネルに塗布した。その後、220℃で30分間加熱した。得られたフィルムは150℃で不粘着、60℃での光沢は73であり、優れた機械的および化学的性質を有する。コーティングはT−曲げ試験(T-bend test)において0Tを記録し、高い耐溶剤性を示した。

Claims (14)

  1. ポリエステルポリオールを含む粉末コーティング組成物であって、
    該ポリエステルポリオールは下記式(I)で表される構成単位を1または2以上含み、
    前記式(I)中、X−(CH 16 であって、それぞれがRから独立に選択される置換基によって任意に1回または2回以上置換され、
    はハロゲン原子、−OH、−NH、C1−6アルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6ヘテロアルケニル、C3−10シクロアルキル、またはC2−10ヘテロシクロアルキルであり、
    前記ポリエステルポリオールは部分的にカルボン酸基で封鎖されている、粉末コーティング組成物。
  2. 前記ポリエステルポリオールは下記式(II)で表される構成単位を1または2以上さらに含み、
    式(II)中、XはC2−18ヒドロカルビレンであり、ヒドロカルビレン基の1または2以上の飽和炭素原子が酸素、窒素、硫黄、またはケイ素で任意に置換される、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  3. は−(CH−、−(CH−、または−(CH−である、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  4. は−CH−(1,4−シクロヘキシレン)−CH−である、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  5. 前記ポリエステルポリオールは、第一の短鎖ジオール、および二酸またはそのエステルを含む第一の反応混合物から生成される、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末コーティング組成物。
  6. 前記二酸は1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,13−トリデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,15−ペンタデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,17−ヘプタデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,19−ノナデカン二酸、1,20−イコサン二酸、1,21−ヘンエイコサン二酸、1,22−ドコサン二酸、1,23−トリコサン二酸、1,24−テトラコサン二酸、もしくはこれらのエステル、または前述のいずれかの任意の混合物である、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  7. 前記二酸は1,11−ウンデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、もしくはこれらのエステル、または前述のいずれかの任意の混合物である、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  8. 前記二酸は1,18−オクタデカン二酸、またはそのエステルである、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  9. 前記第一の短鎖ジオールはC2−18ヒドロカルビレンジオールであって、該ヒドロカルビレン基の1または2以上の飽和炭素原子が酸素、窒素、硫黄、またはケイ素で任意に置換される、請求項のいずれの1項に記載の粉末コーティング組成物。
  10. 前記第一の短鎖ジオールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、もしくはp−ジ−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、またはこれらの任意の混合物である、請求項に記載の粉末コーティング組成物。
  11. 前記ポリエステルポリオールの分子量が500Da〜100,000Daである、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末コーティング組成物。
  12. 前記ポリエステルポリオールの融点が100℃以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の粉末コーティング組成物。
  13. 前記第一の反応混合物中の二酸対1または2以上の一酸不純物の重量比が少なくとも100:1である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の粉末コーティング組成物。
  14. 架橋剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の粉末コーティング組成物。
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