本実施形態は、認知機能評価装置、認知機能評価方法、およびプログラムに関する。より詳細には、本実施形態は、人の認知機能を評価する認知機能評価装置、認知機能評価方法、およびプログラムに関する。
以下に説明する認知機能評価装置は、人の発話に基づいて認知機能を評価するように構成されている。認知機能評価装置は、人の音声の瞬時音圧に基づいて認知機能の評価を行う。そのため、認知機能評価装置は、発話内容を理解することなく人の認知機能を評価することが可能である。
本実施形態において人の認知機能の評価とは、MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知機能障害)の程度(進行度合)の評価、および認知障害の程度(進行度合)の評価である。
認知機能評価の対象者は、主として高齢者を想定しているが、若年性アルツハイマー症の疑いがある人でもよい。認知機能評価の対象となる高齢者としては、福祉施設に入居している高齢者、デイサービスセンターを利用する高齢者、独居の高齢者、あるいはサービス付き高齢者向け住宅に居住する高齢者などが想定されている。以下、認知機能評価の対象者を、単に対象者と称す。
図1は、認知機能評価システム10の構成を示す。認知機能評価システム10は、認知機能評価装置1と、マイクロホン21と、通信インターフェース22とを備える。なお、通信インターフェース22は、以降、通信I/F22と略称する。
認知機能評価装置1は、取得部11と、データ変換部12と、第1平均算出部13と、第2平均算出部14と、積分部15と、第1比較部16と、第2比較部17と、評価部18と、評価通知部19と、対象識別部110とを備える。
マイクロホン21は、対象者の音声を集音して電気信号に変換し、この電気信号をアナログの音声データとして出力する。すなわち、マイクロホン21が出力する音声データは、アナログの電気信号である。
図2は、マイクロホン21が集音する音声波形200の一例を示す。音声波形200は、瞬時音圧の時間変動を示す。音声波形200は、音圧が静圧201より大きい状態と、音圧が静圧201より小さい状態とを交互に繰り返す。
ここで、認知機能が正常な人の音声は、標準的な韻律(イントネーション、アクセント、リズム、ポーズなど)となる。しかし、認知機能が衰えた人の音声は、韻律が乱れて、正常な人の韻律とは異なる傾向にある。特に、認知機能が衰えた人の音声は、イントネーションに変化が現れやすいが、アクセント、リズム、ポーズなどにも変化が現れることがある。そして、認知機能が衰えて韻律が乱れた人の音声は、音圧に対して以下の具体的な特徴が現れる。
音声波形200は、静圧201に対して正側および負側に交互に振れる振動波形となる。認知機能が正常な人の音声は、瞬時音圧が正側に振れる状態と瞬時音圧が負側に振れる状態とがほぼ平衡している。すなわち、認知機能が正常な人の音声は、瞬時音圧が正側に振れる状態と瞬時音圧が負側に振れる状態とが、ほぼ同じ割合で発生する。一方、認知機能が衰えた人の音声は、瞬時音圧が正側に振れる状態と瞬時音圧が負側に振れる状態とが不平衡になりやすい。すなわち、認知機能が衰えた人の音声は、音圧が正側に振れる状態と音圧が負側に振れる状態とのいずれか一方が発生しやすくなる。
そこで、認知機能評価装置1は、上述の知見に基づいて認知機能の評価を行う。図3は、認知機能評価装置1の認知機能の評価処理を示すフローチャートである。
取得部11は、音声データを対象期間T1(所定期間)に亘ってマイクロホン21から取得する(S1)。対象期間T1は、たとえば1秒〜10秒程度である。取得部11は、マイクロホン21から入力されるアナログの音声データを監視しており、瞬時音圧の実効値が予め決められた所定値以上になる集音可能状態になった場合、音声データの取得処理を開始する。なお、取得部11は、集音可能状態が所定時間以上継続した場合に、音声データの取得処理を開始してもよい。
音声データの取得処理を開始した取得部11は、アナログの音声データをデジタルの音声データに変換する(A/D変換機能)。そして、取得部11は、音声データの取得処理を開始した後、対象期間T1が経過した時点で音声データの取得処理を終了する。取得部11は、デジタルの音声データをデータ変換部12へ出力する。すなわち、取得部11は、対象者の音声データを取得して、音声データを後段へ引き渡すインターフェース機能を有する。取得部11が出力する音声データは、デジタルの電気信号であり、音声データのフォーマットは、たとえばWAVE、またはMP3などが用いられる。取得部11は、A/D変換のサンプリング周波数として、たとえば8kHzに設定されている。しかし、サンプリング周波数は8kHz以外であってもよく、サンプリング周波数の具体的な値は特定の値に限定されない。
なお、マイクロホン21は、デジタルの音声データを出力してもよい。この場合、取得部11は、デジタルの音声データを入力されて、デジタルの音声データをデータ変換部12へ引き渡す。
データ変換部12は、デジタルの音声データのフォーマットを、第1平均算出部13、第2平均算出部14などで利用可能なフォーマットに変換する(S2)。データ変換部12は、たとえばWAVEまたはMP3などのフォーマットで生成された音声データを、CSV(Comma Separated Values)形式の音声データに変換する。
さらに、データ変換部12は、デジタルの音声データに適用する瞬時音圧のスケール(以降、音圧スケールと略称する)を、第1平均算出部13、第2平均算出部14などで利用可能な音圧スケールに変換する(S3)。
具体的に、データ変換部12に入力される音声データには、図2に示す対数目盛の音圧スケールが適用されている。データ変換部12に入力される音声データは、静圧201に対して正側にとり得る瞬時音圧の最大値を0(dB)とし、静圧201に対して負側にとり得る瞬時音圧の最大値を0(dB)としている。そして、データ変換部12は、音声データに適用する音圧スケールを、図2に示す対数目盛の音圧スケールから、図4に示すリニア目盛の音圧スケールに変換する。図4は、図2の音圧スケールの正側の0(dB)を「1」、負側の0(dB)を「−1」、静圧201を「0」に置き換え、さらに音圧スケール「−1〜1」の間にリニア目盛を設定している。すなわち、データ変換部12は、静圧201より大きい瞬時音圧が正値となり、静圧201より小さい瞬時音圧が負値となるように、スケール変換を行う。このとき、音声データによって表される音声波形200自体には変換処理が施されず、音圧スケールのみが上述のように変換される。すなわち、図2と図4とは、音声データによって表される音声波形200自体は共通であり、音圧スケールの設定のみが互いに異なる。この結果、音声波形200の瞬時音圧は、+1〜−1の範囲内の値で表される。
また、データ変換部12による音圧スケールの変換処理は、デジタルの音声データに対して施されるが、説明の便宜上、図2のアナログ波形を用いて説明している。なお、以降の説明においてもデジタルの音声データに対して各処理が施されるが、説明の便宜上、図5、図6の各アナログ波形を用いて説明する。
また、取得部11は、アナログの音声データからA/D変換したデジタルの音声データに対して図4の音圧スケールを適用し、このデジタルの音声データを出力してもよい。この場合、取得部11の後段にデータ変換部12を設ける必要はなくなる。
次に、第1平均算出部13は、スケール変換されたデジタルの音声データをデータ変換部12から入力される。第1平均算出部13は、スケール変換されたデジタルの音声データに基づいて、対象期間T1における瞬時音圧の平均値を第1平均値Av1として求める(S4)。具体的には、第1平均算出部13は、[数1]にしたがって、第1平均値Av1を求める。なお、iは、音声データのサンプル番号であり、Xiは、図4におけるサンプル番号iの瞬時音圧であり、mは、対象期間T1における総サンプル数である。
次に、第2平均算出部14は、データ変換部12によってスケール変換されたデジタルの音声データ、および第1平均算出部13が算出した第1平均値Av1のデータに基づいて、第2平均値Av2を求める(S5)。
まず、第2平均算出部14は、対象期間T1において第1平均値Av1との大小関係が所定関係となる瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求める。具体的に、第2平均算出部14は、瞬時音圧と第1平均値Av1との大小関係が所定関係となる対象領域を設定し、この対象領域内の音声波形200による瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求める。図5Aに示すように、第1平均値Av1が正値である場合、第2平均算出部14は、瞬時音圧が第1平均値Av1未満となる領域を対象領域301とする。また、図5Bに示すように、第1平均値Av1が負値である場合、第2平均算出部14は、瞬時音圧が第1平均値Av1を上回る領域を対象領域302とする。
すなわち、第2平均算出部14は、第1平均値Av1が正値であれば、第1平均値Av1の負側に対象領域301を設定する。また、第2平均算出部14は、第1平均値Av1が負値であれば、第1平均値Av1の正側に対象領域302を設定する。
そして、第2平均算出部14は、第1平均値Av1が正値である場合、対象領域301内の音声波形200による瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求める(図5A参照)。また、第2平均算出部14は、第1平均値Av1が負値である場合、対象領域302内の音声波形200による瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求める(図5B参照)。
具体的には、第2平均算出部14は、[数2]にしたがって、第2平均値Av2を求める。なお、第1平均値Av1が正値である場合、jは、瞬時音圧が第1平均値Av1未満となるサンプル番号であり、Xjは、サンプル番号jの音圧であり、mは、瞬時音圧が第1平均値Av1未満となるサンプル数である。また、第1平均値Av1が負値である場合、jは、瞬時音圧が第1平均値Av1を上回るサンプル番号であり、Xjは、サンプル番号jの音圧であり、mは、瞬時音圧が第1平均値Av1を上回るサンプル数である。
そして、第1比較部16は、第2平均値Av2の絶対値を予め決められた第1閾値K1と比較する(S6)。評価部18は、第1比較部16の比較結果に基づいて、対象者の認知機能を評価する(S7)。この場合、評価部18は、第2平均値Av2の絶対値が第1閾値K1以上であれば、対象者の認知機能が低下している可能性があると評価する(S8)。認知機能が低下している可能性があると評価された場合、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する(S9)。
また、第2平均値Av2の絶対値から第1閾値K1を引いた差分が大きいほど、認知機能の低下度合が大きいと考えられる。そこで、評価部18は、認知機能の低下度合に応じて、複数の認知機能レベルからいずれかを選択してもよい。たとえば、評価部18は、第2平均値Av2の絶対値から第1閾値K1を引いた差分が大きいほど、認知機能レベルを低く評価する。評価通知部19は、この認知機能レベルの情報も認知機能の評価結果に含めておく。
また、第2平均値Av2の絶対値が第1閾値K1未満であれば、積分部15は、音声波形200による瞬時音圧と第1平均値Av1との差分の絶対値を積分(対象期間T1に亘る時間積分)した値を、積分値Int1として求める(S10)。
具体的には、第1平均値Av1が正値である場合、図6Aに示すように、瞬時音圧が第1平均値Av1を上回る領域を積分領域303とする。積分部15は、積分領域303内の音声波形200による瞬時音圧から第1平均値Av1を差し引いた差分の絶対値を積分(対象期間T1に亘る時間積分)した値を、積分値Int1として求める。すなわち、積分部15は、積分領域303内において、音声波形200と第1平均値Av1とに囲まれた領域の面積を求めている。また、積分値Int1は、積分領域303内の音声波形200による瞬時音圧から第1平均値Av1を差し引いた差分の絶対値を積算した値であるともいえる。
また、第1平均値Av1が負値である場合、図6Bに示すように、瞬時音圧が第1平均値Av1未満となる領域を積分領域304とする。積分部15は、積分領域304内の音声波形200による瞬時音圧と第1平均値Av1との差分の絶対値を積分(対象期間T1に亘る時間積分)した値を、積分値Int1として求める。すなわち、積分部15は、積分領域304内において、音声波形200と第1平均値Av1とに囲まれた領域の面積を求めている。また、積分値Int1は、積分領域304内の音声波形200による瞬時音圧から第1平均値Av1を差し引いた差分の絶対値を積算した値であるともいえる。
そして、第2比較部17は、積分値Int1を予め決められた第2閾値K2と比較する(S11)。評価部18は、第2比較部17の比較結果に基づいて、対象者の認知機能を評価する(S12)。この場合、評価部18は、積分値Int1が第2閾値K2以上であれば、対象者の認知機能が低下している可能性があると評価する(S8)。認認知機能が低下している可能性があると評価された場合、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する(S9)。
また、積分値Int1から第2閾値K2を引いた差分が大きいほど、認知機能の低下度合が大きいと考えられる。そこで、評価部18は、認知機能の低下度合に応じて、複数の認知機能レベルからいずれかを選択してもよい。たとえば、評価部18は、積分値Int1から第2閾値K2を引いた差分が大きいほど、認知機能レベルを低く評価する。評価通知部19は、この認知機能レベルの情報も認知機能の評価結果に含めておく。
また、評価部18は、積分値Int1が第2閾値K2未満であれば、対象者の認知機能は正常であると評価する(S13)。認知機能が正常であると評価された場合、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する(S9)。
なお、上述の第1閾値K1、第2閾値K2は、認知機能評価の実験、試験などによって求められた経験値である。一例として、第1閾値K1=0.044、第2閾値K2=2960に設定される。
また、認知機能評価装置1は、第2比較部17を備えていなくてもよい。この場合、評価部18は、第1比較部16の比較結果のみを用いて、認知機能を評価する。
認知機能評価装置1は、福祉施設、デイサービスセンター、サービス付き高齢者向け住宅、対象者の住宅などの屋内に設置される。屋内には、屋内ネットワークNT1が構築されて、通信I/F22は、屋内ネットワークNT1に接続する。通信I/F22は、屋内ネットワークNT1に対して有線で接続される構成、屋内ネットワークNT1に対して無線で接続される構成のいずれであってもよい。たとえば、通信I/F22が屋内ネットワークNT1に対して無線で接続される場合、屋内ネットワークNT1に無線ルータを設けて、通信I/F22は無線ルータを介して屋内ネットワークNT1に接続することができる。通信I/F22が用いる無線通信の仕様としては、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などから適宜に選択されればよく、無線通信の仕様は限定されない。
さらに、屋内ネットワークNT1には、情報機器3が接続する。したがって、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して屋内の情報機器3へ送信できる。情報機器3には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話などが用いられる。情報機器3は、屋内の介護士、家族などが所持しており、対象者の認知機能の評価結果を取得して、画面上に表示できる。
さらに、屋内ネットワークNT1は、ルータ4を介してインターネットを含む広域ネットワークNT2に接続する。そして、通信I/F22は、屋内ネットワークNT1から、ルータ4、広域ネットワークNT2、移動通信網などを経由して、遠隔地の情報機器5と通信できる。したがって、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して遠隔地の情報機器5へ送信できる。情報機器5には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話などが用いられる。情報機器5は、遠隔地の家族などが所持しており、対象者の認知機能の評価結果を取得して、画面上に表示できる。
評価通知部19は、たとえば対象者の認知機能の評価結果を通知するプッシュ通知またはメールを作成する。情報機器3、5のそれぞれのデバイス情報またはメールアドレスなどは、評価通知部19に予め登録されている。通知内容は、第1平均値Av1、第2平均値Av2、積分値Int1の各値、認知機能レベルなどが含まれる。
また、認知機能評価装置1が複数の対象者を評価対象としている場合、対象者毎に評価結果の通知先を変更することが好ましい。そこで、対象識別部110は、取得部11が取得した音声データを発した対象者を識別する機能を有している。具体的に、対象識別部110は、対象者毎の声紋データを予め記憶しており、取得部11が取得した音声データから声紋データを抽出して、対象者毎の声紋データと照合する。対象識別部110は、照合結果に基づいて、音声データに対応する対象者を特定できる。
評価通知部19には、対象者毎の通知先の情報(デバイス情報またはメールアドレスなど)が予め登録されている。評価通知部19は、対象識別部110によって特定された対象者に対応して登録されている通知先を選択し、この選択した通知先に評価結果を通知する。したがって、認知機能評価装置1が複数の対象者を評価対象としている場合であっても、認知機能評価装置1は、対象者を特定できるので、特定された対象者に関係する通知先のみに評価結果を通知できる。なお、特定された対象者に関係する通知先とは、特定された対象者の家族、介護士などが所持する情報機器3,5である。
次に、認知機能評価装置1の変形例1について説明する。
図7は、変形例1における認知機能評価装置1の構成を示す。図7の認知機能評価装置1は、加算部121、第3比較部122をさらに備える。図8は、図7の認知機能評価装置1の評価処理を示すフローチャートであり、図3の評価処理にステップS21〜S23の各処理が付加されている。
そして、ステップS12において積分値Int1が第2閾値K2未満である場合、加算部121は、第2平均値Av2の絶対値に100を乗じた値と積分値Int1との加算値Add1を求める(S21)。具体的には、加算部121は、[数3]にしたがって、加算値Add1を求める。
第3比較部122は、加算値Add1を予め決められた第3閾値K3と比較する(S22)。評価部18は、第3比較部122の比較結果に基づいて、対象者の認知機能を評価する(S23)。この場合、評価部18は、加算値Add1が第3閾値K3未満であれば、対象者の認認知機能が低下している可能性があると評価する。認認知機能が低下している可能性があると評価された場合、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する(S9)。
また、第3閾値K3から加算値Add1を引いた差分が大きいほど、認知機能の低下度合が大きいと考えられる。そこで、評価部18は、認知機能の低下度合に応じて、複数の認知機能レベルからいずれかを選択してもよい。たとえば、評価部18は、第3閾値K3から加算値Add1を引いた差分が大きいほど、認知機能レベルを低く評価する。評価通知部19は、この認知機能レベルの情報も認知機能の評価結果に含めておく。
一方、評価部18は、加算値Add1が第3閾値K3以上であれば、対象者の認知機能は正常であると評価する(S13)。認知機能が正常であると評価された場合、評価通知部19は、評価部18による認知機能の評価結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する(S9)。
したがって、認知機能評価装置1は、第2平均値Av2の絶対値と第1閾値K1との比較結果、積分値Int1と第2閾値K2との比較結果に加えて、加算値Add1と第3閾値K3との比較結果も用いることで、認知機能の評価精度がさらに向上する。
なお、上述の第3閾値K3は、認知機能評価の実験、試験などによって求められた経験値である。一例として、第3閾値K3=850に設定される。
また、加算部121の加算処理において、第2平均値Av2の絶対値に乗じる係数は、100に限定されることはなく、正値に適宜設定されればよい。また、加算部121の加算処理において、積分値Int1に係数を乗じる処理がなされてもよい。すなわち、加算部121の加算処理において、第2平均値Av2の絶対値および積分値Int1の少なくとも一方に係数を乗じる処理がなされることが好ましい。
次に、認知機能評価装置1の変形例2について説明する。
図9は、変形例2における認知機能評価装置1の構成を示す。図9の認知機能評価装置1は、履歴記憶部131、傾向分析部132、傾向通知部133をさらに備える。
履歴記憶部131は、評価部18による認知機能の評価結果が順次格納されており、評価結果の履歴(評価履歴)を記憶している。各評価結果に対応する対象者は対象識別部110によって特定されるので、履歴記憶部131には、評価履歴が対象者毎に対応付けて格納されている。
傾向分析部132は、対象者毎の評価履歴に基づいて、対象者毎の評価結果の時間変化を抽出し、認知機能の変化傾向を対象者毎に分析できる。傾向分析部132は、定期的、あるいは対象者の評価回数が所定回数に達した場合などに、この分析処理を実行する。
たとえば、評価結果が正常であっても、認知機能レベルが徐々に低下している状態であれば、傾向分析部132は、認知機能が低下傾向にあると分析する。この場合、傾向通知部133は、認知機能が低下傾向にあるという分析結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する。このとき、傾向通知部133は、分析結果以外に、認知機能の低下に注意する旨のメッセージ、認知機能の改善方法、認知機能の低下を抑制する方法などを通知先へ通知することが好ましい。
また、認知機能レベルが短時間で低下している状態であれば、傾向分析部132は、認知機能が急速に悪化していると分析する。この場合、傾向通知部133は、認知機能が急速に悪化しているという分析結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する。このとき、傾向通知部133は、緊急メッセージとして分析結果を通知することが好ましい。
また、認知機能レベルが上昇している状態であれば、傾向分析部132は、認知機能が改善されていると分析する。この場合、傾向通知部133は、認知機能が改善されているという分析結果を、通信I/F22を介して予め決められた通知先へ通知する。このとき、傾向通知部133は、さらなる改善を促すメッセージを付加して通知することが好ましい。
なお、傾向分析部132による分析結果は、上述の分析結果以外であってもよい。傾向分析部132は、認知機能レベルの低下量、認知機能レベルの低下の傾き、認知機能レベルの上昇量、認知機能レベルの上昇の傾きなどに基づいて、認知機能の変化傾向を分析することが好ましい。
認知機能評価装置1を備えた認知機能評価システム10は、たとえばペンダントなどの装飾品の内部に収納されてもよい。この場合、対象者の介護士または家族などは、この装飾品を身に着ける。したがって、介護士または家族などが対象者と会話することで、対象者に意識させることなく対象者の音声が集音されて、認知機能評価装置1は、認知機能の評価を行うことができる。
また、認知機能評価装置1を備えた認知機能評価システム10は、たとえばスマートフォン、タブレット端末などの通話可能な携帯端末の内部に収納されてもよい。携帯端末には、認知機能評価用のアプリケーションプログラム(アプリ)がインストールされており、携帯端末に内蔵されているコンピュータがこのプログラムを実行する。マイクロホン21および通信I/F22は、携帯端末に設けられているマイクロホンおよび通信I/Fが用いられる。この結果、携帯端末は、認知機能評価システム10として動作する。そして、対象者が携帯端末を用いて通話することで、対象者に意識させることなく対象者の音声が集音されて、認知機能評価装置1は、認知機能の評価を行うことができる。また、対象者が、自身が所有している携帯端末を用いることで、独居老人を対象者とする認知機能評価も容易に行うことができる。
図10は、認知機能評価の機能を備えたロボット61のブロック構成を示す。ロボット61は、コミュニケーションロボットであり、対象者と対話を行うことができる。
ロボット61は、認知機能評価装置1と、マイクロホン21と、通信I/F22と、対話機能部23と、スピーカ24とを備える。
対話機能部23は、音声認識部231、対話制御部232、音声合成部233、対話データ記憶部234を備える。
対話データ記憶部234には、様々な単語の音声データが予め格納されている。音声認識部231は、マイクロホン21が集音した音声データを、対話データ記憶部234の音声データと照合することで、対象者が話した内容を認識することができる。対話制御部232は、対象者が話した内容に対して、会話を成立させるための応答を導き出す。対話制御部232は、導き出した応答に対応する音声データを対話データ記憶部234から読み出し、音声合成部233に引き渡す。音声合成部233は、受け取った音声データを合成して、スピーカ24から音声として出力させる。このように、ロボット61は、対象者が話した内容を認識し、会話を成立させるための応答を音声出力することで、対象者との対話を行うことができる。そして、対象者がロボット61と対話することで、対象者に意識させることなく対象者の音声が集音されて、認知機能評価装置1は、認知機能の評価を行うことができる。
また、認知機能評価装置1の機能を備える機器は、上述の装飾品、ロボット61に限定されない。たとえば、認知機能評価装置1あるいは認知機能評価システム10をパーソナルコンピュータで構成することも可能である。また、パーソナルコンピュータで、認知機能評価装置1および通信I/F22を構成し、マイクロホン21をパーソナルコンピュータに接続する構成であってもよい。また、認知機能評価装置1の機能を備えた専用機器、あるいは認知機能評価システム10の機能を備えた専用機器であってもよい。
上述のように、認知機能評価装置1は、取得部11と、第1平均算出部13と、第2平均算出部14と、評価部18とを備えることを特徴とする。取得部11は、対象者の音声の対象期間T1(所定期間)における瞬時音圧の時間変動を表すデータを音声データとして取得する。第1平均算出部13は、音声データに基づいて、対象期間T1における瞬時音圧の平均値を第1平均値Av1として求める。第2平均算出部14は、対象期間T1において第1平均値Av1との大小関係が所定関係となる瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求める。評価部18は、第2平均値Av2の絶対値と第1閾値K1(閾値)との比較結果を用いて対象者の認知機能を評価する。
したがって、認知機能評価装置1は、音声の瞬時音圧の平均値を閾値と比較することで、対象者の認知機能を評価しており、事前準備が不要で、かつ短時間に認知機能の評価結果を得ることができる。
従来、認知機能の評価方法としては、音声分析による評価、血液検査による評価、質問および回答による評価、嗅覚機能による評価、行動パターンの分析による評価などが用いられている。
音声分析による評価方法は、音声データから抽出される複数種類の韻律特徴量を予め学習データとして記憶し、この学習モデルを用いることによって、認知機能障害の危険度を算出していた。しかし、従来の音声分析による評価方法では、学習モデルを用いることによって、認知機能障害の危険度を算出するまでの要する時間が長くなっていた。さらに、従来の音声分析による評価方法では、事前に発話者の音声データを収集して、学習データを生成する必要があり、手間がかかっていた。
血液検査による評価方法は、血液検査によって特定のバイオマーカを検出することで、認知機能を評価する。しかし、血液検査による評価方法は、評価に長時間を要し、血液検査の後、評価結果が出るまで2〜3週間程度かかる。
質問および回答による評価方法には、MMSE(Mini Mental State Examination)、HDS−R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)などがあり、予め決められた質問に対して対象者が回答、応答し、回答内容および応答状況などに基づいて認知機能を評価する。しかし、質問および回答による評価方法は、対象者が回答した後、評価結果が出るまで10分〜1時間程度かかる。さらに、質問および回答による評価方法は、質問が予め決まった定形的な質問であり、同じ対象者に繰り返し実施することで、評価精度が低下する可能性がある。
また、嗅覚機能による評価方法は、対象者が匂いを嗅ぎ、解答用紙に匂いについて回答するテストを行うことで、認知機能を評価する。しかし、嗅覚機能による評価方法は、テストを行った後、評価に長時間を要し、評価結果が出るまで2〜3週間程度かかる。
また、行動パターンの分析による評価方法も、評価に長時間を要してしまう。
このように、従来の認知機能の評価方法は、評価に長時間を要していた。さらに従来の認知機能の評価方法は、血液検査の設備、嗅覚機能の検査器具などが必要であり、検査を容易に行うことができなかった。また、従来の認知機能の評価方法では、同じ対象者を繰り返し評価した場合に、評価の精度を保証できない場合があった。
一方、認知機能評価装置1は、音声の瞬時音圧の平均値を閾値と比較することで、対象者の認知機能を評価している。すなわち、認知機能評価装置1は、事前に対象者の音声データを収集して、学習データを生成する必要がなく、さらに学習モデルを用いないので、事前準備が不要で、かつ短時間に認知機能の評価結果を得ることができる。具体的に、認知機能評価装置1は、音声データを取得した後、評価に要する時間を1秒程度にすることができる。そして、認知機能評価装置1は、対象者の音声を集音しながらリアルタイムに評価を実行することができる。
また、認知機能評価装置1は、対象者の音声を分析して韻律の乱れを特徴量として抽出する。しかしながら、対象者は、自分の韻律を意識的に調整することは困難である。また、対象者が自分の韻律を意識的に調整したとしても、その状態を継続させることは困難であり、対象者は、無意識に自分の認知機能に応じた韻律で話す傾向が強くなる。したがって、認知機能評価装置1は、同じ対象者に検査を繰り返し行った場合でも、検査の精度が低下することなく、検査精度を維持することができる。
また、認知機能評価装置1は、対象者の音声データとして、定型文の音声データを用いる必要がなく、対象者の日常会話、電話の音声などを対象者に意識させずに集音して、認知機能を評価することができる。
また、静圧より大きい瞬時音圧を正値とし、静圧より小さい瞬時音圧を負値とする。この場合、第1平均値Av1が正であれば、第2平均算出部14は、対象期間T1において第1平均値Av1未満となる瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求めることが好ましい。第1平均値Av1が負であれば、第2平均算出部14は、対象期間T1において第1平均値Av1を上回る瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求めることが好ましい。
この場合、認知機能評価装置1は、第1平均値Av1の正負によって第2平均値Av2の算出方法を変えることで、認知機能の評価精度が向上する。
また、認知機能評価装置1は、積分部15と、第1比較部16と、第2比較部17とをさらに備えることが好ましい。積分部15は、対象期間T1における瞬時音圧と第1平均値Av1との差分の絶対値の積分値Int1を求める。第1比較部16は、第2平均値Av2の絶対値を第1閾値K1と比較する。第2比較部17は、積分値Int1を第2閾値K2と比較する。そして、積分部15は、第1平均値Av1が正値であれば、対象期間T1において瞬時音圧が第1平均値Av1を上回る領域(積分領域303)において積分値Int1を求める。また、積分部15は、第1平均値Av1が負値であれば、対象期間T1において瞬時音圧が第1平均値Av1未満となる領域(積分領域304)において積分値Int1を求める。評価部18は、第1比較部16および第2比較部17の各比較結果によって対象者の認知機能を評価する。
上述のように、認知機能評価装置1は、第2平均値Av2の絶対値と第1閾値K1との比較結果と、積分値Int1と第2閾値K2との比較結果との両方を用いることで、認知機能の評価精度がさらに向上する。
また、評価部18は、第1比較部16の比較結果によって対象者の認知機能が正常であると評価した場合に、第2比較部17の比較結果によって対象者の認知機能を評価することが好ましい。
一般に、第1比較部16の比較結果を用いた評価によって大部分の対象者の認知機能の異常が検出される。そこで、認知機能評価装置1は、第1比較部16の比較結果を用いた評価、第2比較部17の比較結果を用いた評価の実施順序を上述のように設定する。したがって、認知機能評価装置1は、対象者の認知機能の異常が検出された場合に不要な処理を実行することなく、より短時間に評価を行うことができる。
また、認知機能評価装置1は、積分部15と、加算部121と、第1比較部16と、第2比較部17と、第3比較部122とをさらに備えることが好ましい。積分部15は、対象期間T1における瞬時音圧と第1平均値Av1との差分の積分値Int1を求める。加算部121は、第2平均値Av2の絶対値に比例した値と積分値Int1との和である加算値Add1を求める。第1比較部16は、第2平均値Av2の絶対値を第1閾値K1と比較する。第2比較部17は、積分値Int1を第2閾値K2と比較する。第3比較部122は、加算値Add1を第3閾値K3と比較する。そして、積分部15は、第1平均値Av1が正値であれば、対象期間T1において瞬時音圧が第1平均値Av1を上回る領域(対象領域302)において積分値Int1を求める。また、積分部15は、第1平均値Av1が負値であれば、対象期間T1において瞬時音圧が第1平均値Av1未満となる領域(対象領域301)において積分値Int1を求める。評価部18は、第1比較部16、第2比較部17、および第3比較部122の各比較結果によって対象者の認知機能を評価する。
上述のように、認知機能評価装置1は、第2平均値Av2の絶対値と第1閾値K1との比較結果、積分値Int1と第2閾値K2との比較結果、加算値Add1と第3閾値K3との比較結果を用いることで、認知機能の評価精度がさらに向上する。
また、評価部18は、第1比較部16の比較結果によって対象者の認知機能が正常であると評価した場合に、第2比較部17の比較結果によって対象者の認知機能を評価することが好ましい。さらに、評価部18は、第2比較部17の比較結果によって対象者の認知機能が正常であると評価した場合に、第3比較部122の比較結果によって対象者の認知機能を評価することが好ましい。
一般に、第1比較部16の比較結果を用いた評価によって大部分の対象者の認知機能の異常が検出される。また、第2比較部17の比較結果を用いた評価によって残りの大部分の対象者の認知機能の異常が検出される。そこで、認知機能評価装置1は、第1比較部16の比較結果を用いた評価、第2比較部17の比較結果を用いた評価、第3比較部122の比較結果を用いた評価の実施順序を上述のように設定する。したがって、認知機能評価装置1は、対象者の認知機能の異常が検出された場合に不要な処理を実行することなく、より短時間に評価を行うことができる。
また、認知機能は所定レベル未満であると評価部18が評価した場合、予め決められた通知先に評価部18による評価結果を通知する評価通知部19をさらに備えることが好ましい。
この場合、介護士、家族などが対象者の認知機能の異常に気付くことができる。したがって、対象者に対して、認知機能を改善するための対策を早期に施すことができ、認知機能の異常の早期発見、認知機能の早期改善が可能となる。
また、認知機能評価装置1は、履歴記憶部131と、傾向分析部132とをさらに備えることが好ましい。履歴記憶部131は、評価部18による評価結果の履歴である評価履歴を記憶する。傾向分析部132は、評価履歴に基づいて、対象者の認知機能の変化傾向を求める。
この場合、認知機能評価装置1は、中期的または長期的な認知機能の変化に基づいて、対象者の認知機能の変化傾向を把握することができる。したがって、評価結果が正常であっても、認知機能評価装置1は、認知機能レベルが徐々に低下している状態であれば、認知機能が低下傾向にあることを把握できる。
また、認知機能評価装置1は、傾向分析部132による分析結果を予め決められた通知先に通知する傾向通知部133をさらに備えることが好ましい。
この場合、認知機能評価装置1は、対象者の認知機能の変化傾向を介護士、家族などに通知することができる。したがって、介護士、家族などは、中期的または長期的な観点から適した対策を対象者に対して施すことができ、認知機能の改善、認知機能の低下抑制につながる。
また、対象期間T1(所定期間)の時間長さは、予め一定値に設定されていることが好ましい。
この場合、評価部18の評価対象となる音声データの時間長さが一定になるので、評価部18が用いる評価アルゴリズムが簡易になる。
さらに、上述のように、認知機能評価方法は、以下の各ステップを備えることを特徴とする。
・取得部11が、対象者の音声の対象期間T1(所定期間)における瞬時音圧の時間変動を表すデータを音声データとして取得するステップ(S1)。
・第1平均算出部13が、音声データに基づいて、対象期間T1における瞬時音圧の平均値を第1平均値Av1として求めるステップ(S4)。
・第2平均算出部14が、対象期間T1において第1平均値Av1との大小関係が所定関係となる瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求めるステップ(S5)。
・評価部18が、第2平均値Av2の絶対値と第1閾値K1(閾値)との比較結果を用いて対象者の認知機能を評価するステップ(S7)。
したがって、本実施形態の認知機能評価方法は、音声の瞬時音圧の平均値を閾値と比較することで、対象者の認知機能を評価しており、事前準備が不要で、かつ短時間に認知機能の評価結果を得ることができる。
また、図1の認知機能評価装置1は、取得部11と、データ変換部12と、第1平均算出部13と、第2平均算出部14と、積分部15と、第1比較部16と、第2比較部17と、評価部18と、評価通知部19と、対象識別部110とを一体に備えている。しかし、認知機能評価装置1は、上述の各部を分散して備えて、各部の間をネットワークなどで通信可能に接続してもよい。この場合、認知機能評価装置1は、たとえばクラウドコンピューティングの技術を利用して実現される。あるいは、複数のサーバ装置によって認知機能評価装置1が構成されてもよい。
また、認知機能評価装置1は、マイクロコンピュータ等で構成されたコンピュータを搭載しており、このコンピュータがプログラムを実行することによって、認知機能評価装置1の各機能が実現されている。なお、認知機能評価装置1に搭載されるコンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサおよびインターフェースを主なハードウェア構成として備える。この種のプロセッサとしては、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等を含み、プログラムを実行することによって認知機能評価装置1の機能を実現することができれば、その種類は問わない。
また、プログラムの提供形態としては、コンピュータに読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク等の記録媒体に予め格納されている形態、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給される形態等がある。
すなわち、上述のプログラムは、コンピュータを認知機能評価装置1として機能させることを特徴とする。プログラムは、コンピュータを、取得部11と、第1平均算出部13と、第2平均算出部14と、評価部18として機能させる。取得部11は、対象者の音声の対象期間T1(所定期間)における瞬時音圧の時間変動を表すデータを音声データとして取得する。第1平均算出部13は、音声データに基づいて、対象期間T1における瞬時音圧の平均値を第1平均値Av1として求める。第2平均算出部14は、対象期間T1において第1平均値Av1との大小関係が所定関係となる瞬時音圧の平均値を第2平均値Av2として求める。評価部18は、第2平均値Av2の絶対値と第1閾値K1(閾値)との比較結果を用いて対象者の認知機能を評価する。
したがって、本実施形態のプログラムは、音声の瞬時音圧の平均値を閾値と比較することで、対象者の認知機能を評価しており、事前準備が不要で、かつ短時間に認知機能の評価結果を得ることができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。