JP6690048B1 - バナジウムの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理材の表面にバナジウムカーバイドを形成する表面処理において、塩浴材の洗浄工程で発生する廃液から、バナジウムを効率的に回収するバナジウムの回収方法を提供する。【解決手段】バナジウムの回収方法は、バナジウムを含有する溶融塩3中に被処理材1を浸漬する浸漬工程と、浸漬した被処理材1を冷却する冷却工程と、冷却した被処理材1を洗浄槽5の水浴6中で洗浄する洗浄工程とを含むバナジウムカーバイドによる被処理材1の表面処理において、洗浄工程は、洗浄槽5にて80℃以上の浴温度で被処理材1を洗浄する工程を含み、被処理材1の洗浄後、洗浄槽5中の塩溶液を排出し、洗浄槽5の下部に沈降した、バナジウムを含有する不溶物7を回収する。【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物中のバナジウムを再利用するため、バナジウムを効率的に回収することができるバナジウムの回収方法に関し、特にバナジウムカーバイドによる表面処理で発生する洗浄液からバナジウムを回収するためのバナジウムの回収方法に関する。
従来より、金属部品などの鋼材表面に硬度、耐摩耗性、耐食性、耐酸化性などを付与するために各種表面処理が行われている。表面処理としては例えば、PVD、CVD、イオン窒化法など、海外からの技術導入にて実用化した技術や、国産技術である溶融ホウ砂浴浸漬法のTDプロセス(Toyota Diffusion Coating Process)が知られている。TDプロセスは、炭化物、ホウ化物、固溶体および化合物相などを形成させる広範囲の技術であり、その適応範囲も広い(特許文献1参照)。
TDプロセスでは、800〜1100℃のホウ酸溶融塩の塩浴中にバナジウム、ニオブまたはクロムなどを溶解させ、この塩浴中に被処理材である鋼材を浸漬保持する。それにより、鋼材表面に拡散浸透したVC(バナジウムカーバイド)、NbC(炭化ニオブ)、CrC(炭化クロム)などを主体とする炭化物被膜を形成させることができる。本手法は、複雑な形状の加工物でも均一に高硬度の炭化物被膜を形成できることから、金型業界における主要な表面改質技術のうちの一つである。TDプロセスで用いられる炭化物の中でもバナジウムカーバイドは、優れた硬度を有するほか、種々の特性が優れていることから、広く利用されている。
上述のように、TDプロセスでは、バナジウムなどを塩浴材の主要原料として用いる。これらの非鉄金属は、地殻中の存在量が比較的少なかったり、採掘と精錬のコストが高かったりする理由で流通・使用量が少ないことから、レアメタルとも呼ばれる。レアメタルは、電子材料や、磁性材料、工具などの必須原料であるとともに、排ガス浄化用の触媒や光触媒などの機能性材料としても利用されており、産業上重要な材料である。しかし、レアメタルは前述のように希少であると同時に、資源の産出地域や抽出技術の所在が偏っており、各国の消費量が拡大するなか、安定的な確保が課題となっている。また、国際政治の影響などもあり、レアメタルの価格は高騰している。こうした背景から、レアメタルを有効利用するために、使用量の低減技術の開発、廃棄物や廃液からの回収など、種々の取り組みが行われている。
特公昭47−19844号公報
TDプロセスでは、前述のとおり、バナジウムなどのレアメタルを使用するが、塩浴材として供給したバナジウム量のうち、炭化物被膜として消費されるバナジウムは一部である。残りは、後続の冷却工程や洗浄工程でロスしており、これらの工程で発生する廃棄物や廃液は、廃棄処理されていた。
一方で、レアメタル再利用の必要性が高まっている現状において、廃棄物や廃液からレアメタルを回収することは重要な課題である。
本発明は、被処理材の表面にバナジウムカーバイドを形成する表面処理において、塩浴材の洗浄工程で発生する廃液から、バナジウムを効率的に回収するバナジウムの回収方法を提供することを目的とする。
本発明のバナジウムの回収方法は、バナジウムを含有する溶融塩中に被処理材を浸漬する浸漬工程と、浸漬した上記被処理材を冷却する冷却工程と、冷却した上記被処理材を洗浄槽の水浴中で洗浄する洗浄工程とを含むバナジウムカーバイドによる被処理材の表面処理において、上記洗浄工程は、上記洗浄槽にて80℃以上の浴温度で上記被処理材を洗浄する工程を含み、上記被処理材の洗浄後、上記洗浄槽中の塩溶液を排出し、上記洗浄槽の下部に沈降した、バナジウムを含有する不溶物を回収することを特徴とする。
上記洗浄工程において、上記浴温度が102〜106℃であることを特徴とする。
上記溶融塩の塩浴材が、Na、V、およびBCを原材料とする塩浴材であることを特徴とする。
上記洗浄工程は、上記洗浄槽を用いた洗浄後、さらに複数の洗浄槽で順番に上記被処理材を洗浄する工程であり、上記各洗浄の水浴の水は、上記洗浄工程において、上記被処理材を最後に洗浄する洗浄槽から最初に洗浄する洗浄槽へ向けて順繰りに供給されることを特徴とする。
上記不溶物の蛍光X線測定によるバナジウム含有率が50質量%以上であることを特徴とする。
本発明のバナジウムの回収方法は、浸漬工程と、冷却工程と、洗浄工程とを含むバナジウムカーバイドによる被処理材の表面処理において、洗浄工程は、洗浄槽にて80℃以上の浴温度で被処理材を洗浄する工程を含み、被処理材の洗浄後、洗浄槽中の塩溶液を排出し、洗浄槽の下部に沈降した、バナジウムを含有する不溶物を回収するので、塩溶液と不溶物の分取が行いやすく、塩浴材の洗浄工程で発生する廃液から、バナジウムを効率的に回収することができる。
洗浄工程において、浴温度が102〜106℃であるので、回収時の作業性が向上し、容易にバナジウムを回収することができる。
バナジウムを含有する溶融塩の塩浴材が、Na、V、およびBCを原材料とする塩浴材であるので、表面欠陥が少ない炭化物被膜の形成ができるとともに、洗浄工程での塩浴材の良好な溶解性が作業時間の短縮につながり、効率的にバナジウムを回収することができる。
洗浄工程は、洗浄槽を用いた洗浄後、さらに複数の洗浄槽で順番に被処理材を洗浄する洗浄工程であり、各洗浄の水浴の水は、洗浄工程において、被処理材を最後に洗浄する洗浄槽から最初に洗浄する洗浄槽へ向けて順繰りに供給されるので、最初に洗浄する洗浄槽にバナジウムが集まりやすく、また水の使用量を節約することができる。これにより、低コストで効率的にバナジウムを回収することができる。
不溶物の蛍光X線測定によるバナジウム含有率が50質量%以上であるので、より効率的にバナジウムの回収を行うことができる。
本発明に係るTDプロセスによる表面処理の簡略図である。 本発明に係る回収工程の簡略図である。 実施例における黒色粉末の写真である。 実施例における灰色固体の写真である。 実施例における塩浴材の破片の写真である。
本発明のバナジウムの回収方法に係るTDプロセスは、バナジウムを含有する溶融塩中に被処理材を浸漬する浸漬工程と、浸漬した被処理材を冷却する冷却工程と、冷却した被処理材を洗浄槽の水浴中で洗浄する洗浄工程の、大きく3つの工程から構成される。
炭化物被膜が形成される被処理材は金属製であり、炭素を含む鉄鋼、合金などであれば、被処理材として用いることができる。浸漬前の被処理材の表面は、付着物や汚れなどが無い清浄な表面状態である必要があり、事前に脱脂しておくことが好ましい。これにより、表面欠陥が少なく、基材との密着性が良好な炭化物被膜を形成することができる。
被処理材の溶融塩への浸漬処理前には、被処理材を予熱炉にて溶融塩の温度に近い温度まで加熱しておく。それにより、溶融塩への浸漬時に被処理材表面への炭素成分の拡散浸透が起こりやすくなり、基材との密着性が良好な炭化物被膜を得ることができる。
以下、まずは、本発明におけるTDプロセスによる炭化物被膜の形成について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、本発明に係るTDプロセスは、浸漬工程(S1)と、冷却工程(S2)と、洗浄工程(S3)とを有する。
浸漬工程(S1)で用いる塩浴材としては、ホウ酸塩とともに、バナジウム、炭素を含有する原料を選択することができる。これらを溶融ポット2に投入し、電熱炉、またはガス加熱炉で加熱することにより、溶融塩3を調製する。溶融塩3の温度は、800〜1100℃の範囲で適宜選択することができる。
塩浴材の原料としては、ホウ砂(Na)、五酸化バナジウム(V)、および炭化ホウ素(BC)を選択することで、高硬度かつ、耐摩耗性や耐腐食性などに優れた膜物性を発現することができるとともに、欠陥の少ない炭化物被膜を得ることができるため、好ましい。上記組み合わせの場合、各原料の配合量は、五酸化バナジウム100質量部に対して、ホウ砂が500質量部、炭化ホウ素が25質量部であることがより好ましい。
また、塩浴材の融点、被処理材の耐熱温度、溶融塩の酸化劣化および粘度などの関係から、溶融塩の温度は1000℃程度の温度が好ましい。
浸漬工程(S1)では、所定温度の溶融塩3中に被処理材1を浸漬する。図1では被処理材として複数の鋼材が設置されたかご状の集合体を浸漬する。浸漬工程(S1)では、被処理材表面と溶融塩との界面に、炭素とバナジウムを主成分とするバナジウムカーバイドが炭化物被膜として形成される。当該炭化物被膜の形成の際に、炭素成分が被処理材表面近傍に拡散・浸透することから、TDプロセスは炭化物被膜が高い密着性を発現すると考えられている。炭化物被膜は、溶融塩の温度が高いほど、また、浸漬時間が長いほど、その膜厚は厚くなる。
冷却工程(S2)は、溶融塩3から取り出した被処理材1を、冷却容器4に入れて冷却する工程である。冷却工程(S2)は、雰囲気、冷却温度、冷却時間、冷却方法の設定により、被処理材1の焼入れ処理も兼ねることができる。冷却の間、溶融状態の塩浴材の一部は冷却容器4内に落下する。冷却工程の雰囲気は、大気下のような酸素が存在する雰囲気、または窒素やアルゴンなどの不活性気体で満たされた不活性雰囲気から選択することができる。炭化物被膜が酸化などにより組成変化する可能性があるため、窒素やアルゴンなどの不活性気体で満たされた不活性雰囲気であることが好ましい。
洗浄工程(S3)は、冷却された被処理材1を、洗浄槽5の水浴6中で所定時間洗浄する工程を含む。洗浄槽5での洗浄時間は、被処理材1に付着している塩浴材を適度に洗浄することができれば、自由に選択することができる。なお、表面欠陥の少ない炭化物被膜を得るためには、2時間〜12時間であることが好ましい。また、洗浄槽5内では、マグネチックスターラーや撹拌羽根により水浴を撹拌してもよい。
水浴6は電気ヒータにより加熱され、その浴温度は80℃以上である。80℃以上の熱水とすることで、塩溶液と不溶物の分取が行いやすく、塩浴材の洗浄工程で発生する廃液から、バナジウムを効率的に回収することができる。また、加熱をしていない冷水に比べて塩浴材の溶解性が高いため、洗浄時間を短縮することができる。
洗浄工程(S3)において、洗浄槽5の水浴の温度は、洗浄速度の観点から、100℃以上であることが好ましい。沸騰状態の熱水とすることにより、沸騰状態に伴う振動などによって被処理材1に付着している塩浴材がはがれ落ちて、被処理材1が洗浄される。この際、塩浴材のうち、ナトリウムを主成分とする水溶性の塩は熱水へ溶解し、バナジウムを含有する不溶物7は洗浄槽5の下部へ沈降する。
洗浄槽5の水浴6の温度は、バナジウムの回収の効率や作業性の観点から、102〜106℃であることがさらに好ましい。 後述するように、洗浄槽5から排出された溶液は、室温まで冷却されると大量の塩が析出することにより固形化する。洗浄槽5の水浴6の温度が102℃よりも低い場合、室温へ冷却後に塩の析出が起こりにくくなるため、固形化しにくくなる。この固形化は、後に行われる廃棄物処理の観点から利便性が良いため、水浴6の温度は102℃以上であることが好ましい。
また、洗浄槽5の水浴6の温度が106℃よりも高い場合、水浴6中の塩濃度が高まるため、水浴6中に塩が析出しやすくなる。また、水浴表面からの水分の蒸発速度も大きくなるため、洗浄槽5の縁に塩が析出しやすくなり、洗浄工程の作業性が低下するおそれがある。上記の理由から、洗浄槽5の水浴6の温度は、102〜106℃であることが好ましい。
洗浄工程(S3)では、1つの洗浄槽を用いて洗浄してもよいが、均一な炭化物被膜の形成や、品質管理の観点から、図1に示すように、複数の洗浄槽を用いて洗浄することが好ましい。図1の洗浄工程(S3)では、洗浄槽5を用いた洗浄後、さらに複数の洗浄槽10〜12を用いた洗浄を行う。洗浄槽10〜12では、100℃未満の浴温度、例えば、80〜98℃の温度で洗浄が行われる。なお、洗浄槽10〜12での洗浄時間は、それぞれ1〜3時間が好ましい。
具体的には、冷却工程後の被処理材1を、最初の洗浄槽である洗浄槽5に浸漬して被処理材1に付着している塩浴材の大半を除去した後、さらに洗浄槽10、洗浄槽11、洗浄槽12の順番に被処理材1を浸漬して洗浄する。各洗浄槽の水浴の塩濃度、およびバナジウム量は洗浄槽5、洗浄槽10、洗浄槽11、洗浄槽12の順に低下していく。
一方、各洗浄槽の水浴は、例えば、洗浄工程において、被処理材を最後に洗浄する洗浄槽から最初に洗浄する洗浄槽へ向けて供給される。
具体的には、洗浄槽5の水浴の水は、洗浄槽10から供給され、洗浄槽10の水浴の水は、洗浄槽11から供給され、洗浄槽11の水浴の水は、洗浄槽12から供給される。なお、洗浄槽12の水浴の水は、例えば、水道水から供給される。このように、各洗浄槽の水浴は、洗浄工程における最初の洗浄槽へ向かって順繰りにつぎ足していくことで、各洗浄槽の水浴の塩濃度およびバナジウム量は、洗浄槽12から洗浄槽5に向かって濃縮されていく。そのため、洗浄槽5で後述する回収工程を行うことで、ロスを低減しつつ、一括してバナジウムを回収することができる。
また、表面欠陥の少ない炭化物被膜を得るためには、清浄な熱水への浸漬が必要であるが、各洗浄の後に毎回水浴の水を入れ替えることは、プロセス負荷が大きく、コスト的にも好ましくない。図1の洗浄方法とすることで、水浴の水の入れ替え頻度を低減でき、複数回連続して洗浄することができるため、バナジウム回収効率の向上とともに、プロセス負荷の低減や、コスト削減にも繋がる。
塩浴材の原料としては、上述の通り、ホウ砂(Na)、五酸化バナジウム(V)、および炭化ホウ素(BC)を選択することにより、優れた膜物性の炭化物被膜を得られることから好ましい。また、塩浴材にこれらを使用することで、被処理材に付着している塩浴材の、洗浄工程(S3)での洗浄性を向上させ、バナジウムの回収効率の向上に寄与する。
具体的には、洗浄工程(S3)での被処理材の水浴への浸漬時に、本組成の塩は水への溶解性が高く、速やかに水浴に溶解する。それにより、作業時間の短縮につながり、効率的にバナジウムを回収できる。さらに、表面欠陥の少ない炭化物被膜を得ることができる。
なお、洗浄工程(S3)によって洗浄された被処理材がTD処理品として得られる。
次に、洗浄槽下部に沈降したバナジウムを含む不溶物を回収する、バナジウムの回収工程(S4)を、図2を参照して説明する。
回収工程(S4)では、まず、洗浄工程(S3)を終えた洗浄槽5から塩溶液6aを回収容器13に排出する。塩溶液6aの排出時には、その温度が102〜106℃であることが好ましい。また、不溶物7を沈降させるために、洗浄槽5から被処理材(図示省略)を取り出した後、1時間以上静置することが好ましい。
塩溶液6aを排出するための排出口8は、洗浄槽5の底部から所定の高さの位置に設けられる。例えば、洗浄槽5の深さHに対して、底部から0.1H〜0.3Hの高さに設けられる。洗浄槽5のサイズにもよるが、具体的な数値として、排出口8は、洗浄槽5の底部より5〜10cm、例えば8cmの位置に設けられる。また、排出口8には、不溶物7が塩溶液6aとともに流出しないようにメッシュ状の流出防止網(図示省略)を設けてもよい。
続いて、不溶物7を洗浄槽5の下部に残った少量の塩溶液6aとともに洗浄槽5から回収容器14に取り出す。不溶物7を取り出す方法は、図2に示すように洗浄槽5下部に設けた取り出し口9から重力により下方へ取り出してもよい。洗浄槽5の上部から各種道具を用いて取り出すこともできるが、洗浄槽5の下部に設けた取り出し口9から下方へ取り出す方法が、作業性の観点から好ましい。
洗浄槽5から取り出した不溶物7は、そのまま回収物としてもよく、また、後処理を行ってもよい。回収物を水で洗浄後、濾過することにより、ナトリウムを主成分とする塩などの水溶成分が除去されるので、不溶物7におけるバナジウム含有比率を高めることができる。上記方法により、効率的にバナジウムを回収することができる。
また、作業効率の面から、回収工程(S4)は、洗浄槽5にて被処理材を複数回洗浄した後に行うことが好ましい。
電熱炉中の溶融ポットへ、ホウ砂(Na)5kg、五酸化バナジウム(V)1kg、炭化ホウ素(BC)0.25kgを投入し、炉蓋をした状態で1000℃に加熱し溶融塩を調製した。別途、500〜800℃で予熱を与えた鋼製の被処理材を溶融塩中に2時間〜12時間浸漬した。浸漬後、被処理材を取り出し、被処理材の温度が200℃前後(または100〜300℃)になるまで冷却した。その後、温度管理された容量180Lの洗浄槽中に浸漬し、102〜106℃の浴温度で2時間洗浄した。さらに、3つの洗浄槽にて、80〜98℃の浴温度で各2時間ずつ洗浄することで、炭化物被膜が形成された被処理材を得た。
この浸漬工程から、洗浄工程までの一連の操作を9回繰り返した。すなわち、同形状の被処理材のTD処理を合計9回実施した。その間、各洗浄槽の水浴は入れ替えをせず、被処理材を最後に洗浄する洗浄槽から最初に洗浄する洗浄槽へ順繰りに供給した。
洗浄工程終了後、最初に被処理材を洗浄する洗浄槽から、浴温度102〜106℃の状態で、塩溶液を排出した。その後、当該洗浄槽下部の不溶物を、排出されずに残った少量の塩溶液とともに、洗浄槽底面に備えられた取り出し口から回収容器へ抜き出した。回収容器中の不溶物は、上澄みの塩溶液を排出することにより取り出した。取り出された不溶物は、水道水で洗浄後、風乾することで、黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末の蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、型式:Niton XL3t−98S)での測定結果を表1に示す。また、比較として、冷却工程において被処理材の表面から採取した塩浴材の破片、および回収工程で排出した塩溶液を乾固して得られた灰色固体についての測定結果も表1に併せて示す。単位は、質量%である。
また、上述の黒色粉末、灰色固体、および塩浴材の破片の写真を図3〜5に示す。
表1に示すように、塩浴材の破片(図5)中のバナジウムの比率は約9%であった。この値は、溶融ポットへ投入した各原料の比率から算出されるバナジウムの質量%(計算値:9.0質量%)とほぼ一致した値であり、溶融塩中のバナジウム含有比率を表しているといえる。また、排出した塩溶液を乾固して得られた灰色固体(図4)中のバナジウムの比率は約1%であった。これより、塩溶液中に存在しているバナジウムは極少量であることが確認された。
一方で、洗浄槽下部の不溶物を、洗浄して得られた黒色粉末(図3)中のバナジウムの比率は約56%という高い値を示し、バナジウムを高濃度で含有していることが分かった。この結果より、本発明のバナジウムの回収方法は、高濃度のバナジウム含有物を効率的に回収することができる。
本発明は、被処理材の表面にバナジウムカーバイドを形成する表面処理において、塩浴材の洗浄工程で発生する廃液から、バナジウムを効率的に回収することができるので、金属表面処理の分野において好適に利用することができる。
1 被処理材
2 溶融ポット
3 溶融塩
4 冷却容器
5 洗浄槽
6 水浴
6a 塩溶液
7 不溶物
8 排出口
9 取り出し口
10 洗浄槽
11 洗浄槽
12 洗浄槽
13 回収容器
14 回収容器

Claims (5)

  1. バナジウムを含有する溶融塩中に被処理材を浸漬する浸漬工程と、浸漬した前記被処理材を冷却する冷却工程と、冷却した前記被処理材を洗浄槽の水浴中で洗浄する洗浄工程とを含むバナジウムカーバイドによる被処理材の表面処理において、
    前記洗浄工程は、前記洗浄槽にて80℃以上の浴温度で前記被処理材を洗浄する工程を含み、前記被処理材の洗浄後、前記洗浄槽中の塩溶液を排出し、前記洗浄槽の下部に沈降した、バナジウムを含有する不溶物を回収することを特徴とするバナジウムの回収方法。
  2. 前記洗浄工程において、前記浴温度が102〜106℃であることを特徴とする請求項1記載のバナジウムの回収方法。
  3. 前記溶融塩の塩浴材が、Na、V、およびBCを原材料とする塩浴材であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のバナジウムの回収方法。
  4. 前記洗浄工程は、前記洗浄槽を用いた洗浄後、さらに複数の洗浄槽で順番に前記被処理材を洗浄する工程であり、
    前記各洗浄の水浴の水は、前記洗浄工程において、前記被処理材を最後に洗浄する洗浄槽から最初に洗浄する洗浄槽へ向けて順繰りに供給されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のバナジウムの回収方法。
  5. 前記不溶物の蛍光X線測定によるバナジウム含有率が50質量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のバナジウムの回収方法。
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