JP6690048B1 - バナジウムの回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、レアメタル再利用の必要性が高まっている現状において、廃棄物や廃液からレアメタルを回収することは重要な課題である。
塩浴材の原料としては、ホウ砂(Na2B4O7)、五酸化バナジウム(V2O5)、および炭化ホウ素(B4C)を選択することで、高硬度かつ、耐摩耗性や耐腐食性などに優れた膜物性を発現することができるとともに、欠陥の少ない炭化物被膜を得ることができるため、好ましい。上記組み合わせの場合、各原料の配合量は、五酸化バナジウム100質量部に対して、ホウ砂が500質量部、炭化ホウ素が25質量部であることがより好ましい。
また、塩浴材の融点、被処理材の耐熱温度、溶融塩の酸化劣化および粘度などの関係から、溶融塩の温度は1000℃程度の温度が好ましい。
水浴6は電気ヒータにより加熱され、その浴温度は80℃以上である。80℃以上の熱水とすることで、塩溶液と不溶物の分取が行いやすく、塩浴材の洗浄工程で発生する廃液から、バナジウムを効率的に回収することができる。また、加熱をしていない冷水に比べて塩浴材の溶解性が高いため、洗浄時間を短縮することができる。
洗浄槽5の水浴6の温度は、バナジウムの回収の効率や作業性の観点から、102〜106℃であることがさらに好ましい。 後述するように、洗浄槽5から排出された溶液は、室温まで冷却されると大量の塩が析出することにより固形化する。洗浄槽5の水浴6の温度が102℃よりも低い場合、室温へ冷却後に塩の析出が起こりにくくなるため、固形化しにくくなる。この固形化は、後に行われる廃棄物処理の観点から利便性が良いため、水浴6の温度は102℃以上であることが好ましい。
また、洗浄槽5の水浴6の温度が106℃よりも高い場合、水浴6中の塩濃度が高まるため、水浴6中に塩が析出しやすくなる。また、水浴表面からの水分の蒸発速度も大きくなるため、洗浄槽5の縁に塩が析出しやすくなり、洗浄工程の作業性が低下するおそれがある。上記の理由から、洗浄槽5の水浴6の温度は、102〜106℃であることが好ましい。
具体的には、冷却工程後の被処理材1を、最初の洗浄槽である洗浄槽5に浸漬して被処理材1に付着している塩浴材の大半を除去した後、さらに洗浄槽10、洗浄槽11、洗浄槽12の順番に被処理材1を浸漬して洗浄する。各洗浄槽の水浴の塩濃度、およびバナジウム量は洗浄槽5、洗浄槽10、洗浄槽11、洗浄槽12の順に低下していく。
具体的には、洗浄槽5の水浴の水は、洗浄槽10から供給され、洗浄槽10の水浴の水は、洗浄槽11から供給され、洗浄槽11の水浴の水は、洗浄槽12から供給される。なお、洗浄槽12の水浴の水は、例えば、水道水から供給される。このように、各洗浄槽の水浴は、洗浄工程における最初の洗浄槽へ向かって順繰りにつぎ足していくことで、各洗浄槽の水浴の塩濃度およびバナジウム量は、洗浄槽12から洗浄槽5に向かって濃縮されていく。そのため、洗浄槽5で後述する回収工程を行うことで、ロスを低減しつつ、一括してバナジウムを回収することができる。
具体的には、洗浄工程(S3)での被処理材の水浴への浸漬時に、本組成の塩は水への溶解性が高く、速やかに水浴に溶解する。それにより、作業時間の短縮につながり、効率的にバナジウムを回収できる。さらに、表面欠陥の少ない炭化物被膜を得ることができる。
塩溶液6aを排出するための排出口8は、洗浄槽5の底部から所定の高さの位置に設けられる。例えば、洗浄槽5の深さHに対して、底部から0.1H〜0.3Hの高さに設けられる。洗浄槽5のサイズにもよるが、具体的な数値として、排出口8は、洗浄槽5の底部より5〜10cm、例えば8cmの位置に設けられる。また、排出口8には、不溶物7が塩溶液6aとともに流出しないようにメッシュ状の流出防止網(図示省略)を設けてもよい。
洗浄工程終了後、最初に被処理材を洗浄する洗浄槽から、浴温度102〜106℃の状態で、塩溶液を排出した。その後、当該洗浄槽下部の不溶物を、排出されずに残った少量の塩溶液とともに、洗浄槽底面に備えられた取り出し口から回収容器へ抜き出した。回収容器中の不溶物は、上澄みの塩溶液を排出することにより取り出した。取り出された不溶物は、水道水で洗浄後、風乾することで、黒色粉末を得た。
一方で、洗浄槽下部の不溶物を、洗浄して得られた黒色粉末(図3)中のバナジウムの比率は約56%という高い値を示し、バナジウムを高濃度で含有していることが分かった。この結果より、本発明のバナジウムの回収方法は、高濃度のバナジウム含有物を効率的に回収することができる。
2 溶融ポット
3 溶融塩
4 冷却容器
5 洗浄槽
6 水浴
6a 塩溶液
7 不溶物
8 排出口
9 取り出し口
10 洗浄槽
11 洗浄槽
12 洗浄槽
13 回収容器
14 回収容器
Claims (5)
- バナジウムを含有する溶融塩中に被処理材を浸漬する浸漬工程と、浸漬した前記被処理材を冷却する冷却工程と、冷却した前記被処理材を洗浄槽の水浴中で洗浄する洗浄工程とを含むバナジウムカーバイドによる被処理材の表面処理において、
前記洗浄工程は、前記洗浄槽にて80℃以上の浴温度で前記被処理材を洗浄する工程を含み、前記被処理材の洗浄後、前記洗浄槽中の塩溶液を排出し、前記洗浄槽の下部に沈降した、バナジウムを含有する不溶物を回収することを特徴とするバナジウムの回収方法。 - 前記洗浄工程において、前記浴温度が102〜106℃であることを特徴とする請求項1記載のバナジウムの回収方法。
- 前記溶融塩の塩浴材が、Na2B4O7、V2O5、およびB4Cを原材料とする塩浴材であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のバナジウムの回収方法。
- 前記洗浄工程は、前記洗浄槽を用いた洗浄後、さらに複数の洗浄槽で順番に前記被処理材を洗浄する工程であり、
前記各洗浄槽の水浴の水は、前記洗浄工程において、前記被処理材を最後に洗浄する洗浄槽から最初に洗浄する洗浄槽へ向けて順繰りに供給されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のバナジウムの回収方法。 - 前記不溶物の蛍光X線測定によるバナジウム含有率が50質量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のバナジウムの回収方法。
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