JP6689112B2 - 溶接情報出力システム - Google Patents
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Description
前記特定手段にて特定された時間変化量に基づいて、前記溶接機による溶接の不具合を検知する検知手段と、を備え、前記出力手段は、前記検知手段にて溶接の不具合を検知した場合、当該不具合に関する通知を行う通知手段を備える。
また、測定手段にて測定された電流値の実効値を算出し、当該算出した実効値に基づいて電流値の時間変化量を特定するので、交流周波数による時間変化量を除去でき、溶接状態のみに伴う時間変化量に基づいて、溶接不具合を容易に検知することができる。
また、溶接不具合に関する通知を行う通知手段を備えるので、溶接不具合の発生を作業者がリアルタイムで認識することができ、溶接不具合に対して迅速な処置が可能となる。
また、一次側電力又は二次側電力のうち電流値の小さい方の電流値を測定するので、高い電流値に対応していない簡易な測定手段により、容易に測定を行うことができる。
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、溶接の不具合(以下、単に「不具合」)に関する情報を出力する溶接情報出力システムに関する。ここで、「溶接」とは、2つ以上の被溶接物に対して熱、若しくは圧力、又はこれらの両方を加えることにより被溶接物同士を接合する方法であって、連続的な溶接を示す。「連続的な溶接」とは、連続的に溶接箇所を形成していくことであり、例えば溶接機又は被溶接物を所定の速度で動かしていく公知の様々な溶接方法を採用できる。なお、本実施の形態の「溶接」とは、2つのローラ電極により熱及び圧力を被溶接物に対して同時に加えていく「シーム溶接」であるものとして説明する。また、「情報を出力する」とは、不具合の発生を人が判断可能なように何等かのアウトプットを行うことであり、以下では、「不具合を検知した場合に、不具合の発生を通知すること」として説明するが、これに限らず、例えば溶接の良否を示すパラメータ等を表示しても良い。
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
初めに、図1は、本実施の形態に係る溶接機1、溶接情報出力システム100、及び被溶接物10を概略的に示す図である。ここで、溶接機1は、上述したように溶接を行う機材であり、図1に示すように、概略的に、ローラ電極2、及び変圧器3を備えて構成されており、商用電源9からの電力が供給されている。以下では、必要に応じて、各図におけるX−X’方向を「幅方向」又は「厚み方向」と称し、特にX方向を「右方向」、X’方向を「左方向」と称する。また、Y−Y’方向を「奥行き方向」と称し、特にY方向を「前方向」、Y’方向を「後方向」と称する。また、Z−Z’方向を「高さ方向」と称し、特にZ方向を「上方向」、Z’方向を「下方向」と称する。なお、溶接機1の躯体や車輪は公知のものを適用できるため、図1において図示を省略している。
ローラ電極2は、被溶接物10の溶接を行う溶接手段である。このローラ電極2は、幅方向に沿って所定の間隔で2つ並列されており、これらのローラ電極2の相互間に被溶接物10が挟まれている。なお、2つのローラ電極2の間隔は、被溶接物10の厚みに応じて任意に設定変更できるようになっている。そして、溶接機1に対して溶接指示(例えば溶接スイッチON)が入力されると、2つのローラ電極2が間隔を狭めて被溶接物10に対して加圧すると共に、一方のローラ電極2から被溶接物10を介して他方のローラ電極2に至るように電流を流して溶接を行う。なお、このようなローラ電極2の構成については公知の構成を採用できるため、詳細な説明を省略する。
変圧器3は、商用電源9からの電力を変圧する変圧手段である。このように、本実施の形態の溶接機1は変圧器3を備えており、商用電源9の一次側電力から変圧された二次側電力により溶接を行う。なお、本実施の形態では、一次側電力の電流値は100A、二次側電力の電流値は5500A程度とするが、これに限らず、溶接に適した各種の値を適用できる。
次に、溶接情報出力システム100について説明する。溶接情報出力システム100は、上述したように溶接の不具合に関する情報を出力するシステムであり、測定部4、及び制御部5を備えて構成されている。
測定部4は、溶接機1から被溶接物10に流れる溶接電流の電流値を測定する測定手段である。この測定部4は、電流値を測定可能な公知の電流計(例えば、電磁誘導式のクランプ型電流計)を用いることができる。ここで、この測定部4は、一次側電流(一次側電力における電流)又は二次側電流(二次側電力における電流)のいずれを測定しても構わない。ただし、より好ましくは、一次側電流又は二次側電流のうち、電流値の小さい方(本実施の形態では、一次側電流)を測定することが好ましい。すなわち、このように電流値の小さい方を測定することにより、高い電流値に対応していない簡易な測定器を用いて測定を行うことができ、測定を安価かつ簡易に行うことができる。また、測定部4は制御部5と接続されており、測定部4で測定されて得られた測定データは、制御部5に送信され、不具合の検知に用いられる。
制御部5は、溶接機1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、不具合に関する情報を出力するための溶接情報出力プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して制御部5にインストールされることで、制御部5の各部を実質的に構成する。
次に、被溶接物10について説明する。被溶接物10としては、溶接機1により溶接できる形状又は素材のものである限り任意のものを適用できるが、本実施の形態の被溶接物10は、吊子20、及び屋根板30であって、これらは建築物40の頂部に配置されている。
吊子20は、屋根板30を固定するために用いられる固定手段である。この吊子20は、建築物40の頂部に、幅方向(X−X´方向)に沿って一定の間隔(屋根板30の幅と一致する間隔)で並列されていると共に、奥行き方向(Y−Y´方向)にも沿って一定の間隔(例えば、1m間隔)で並列されている。なお、吊子20は、奥行き方向(Y−Y´方向)には間隔を空けず、各吊子20の前端と後端とが密接するように敷き詰めても構わない。
屋根板30は、建築物40の頂部を防水加工するための防水手段である。この屋根板30は、図示のように各吊子20の吊子鉛直部22の相互間のスペースに収まるように配置されており、この相互間のスペースには、吊子20の並設方向(Y−Y´方向)に沿って複数の屋根板30が並設されている。なお、このようにY−Y´方向に沿って並列された屋根板30同士は、隙間が無いように相互に密着しており、必要に応じて屋根板30同士が溶接されていたり、屋根板30同士の隙間に防水材が充填されていたりしても良い。
続いて、本実施の形態に係る溶接作業について説明する。まず、作業員は、建築物40の頂部における予め定められた位置に吊子20を設置していく。ここで、吊子20の配置は、屋根板30の幅等を考慮して適切に決定する。そして、吊子20の吊子水平部21から建築物40に至るようにボルト(図示省略)を挿通することにより、吊子20を建築物40に対して固定する。
続いて、本実施の形態に係る溶接情報出力システム100にて実行される溶接情報出力処理について説明する。この溶接情報出力処理の開始タイミングは任意で、例えば溶接機1の溶接開始スイッチがONになった際に実行されても良い。
まずは、パターン1(吊子20の端部において被溶接物10の厚みが変化することに伴う溶接の不具合)に関して説明する。図2は、不具合の発生箇所の一例を示す平面図である。すなわち、吊子20は奥行き方向(Y−Y´方向)に所定の間隔で配置されているため、溶接機1を奥行き方向に自走させると、図2に示すように、吊子20が配置されている厚い部分と、配置されていない薄い部分を連続的に溶接することになる。そのため、厚い部分から薄い部分へとローラ電極2が移行する際、又は薄い部分から厚い部分へとローラ電極2が移行する際に、不具合が生じ易い。例えば図2では吊子20の後端部(Y´方向端部)付近に不具合が生じている。以下では、図1及び図2を適宜参照しながら当該溶接情報出力処理について説明する。
続いて、パターン2(2つの屋根板30の相互間に異物が混入してしまうことに伴う溶接の不具合)に関して説明する。図8は、不具合の発生箇所の一例を示す平面図である。ここで、「異物」とは、被溶接物10以外のものであり、例えば木片や紙片等の絶縁体を含むが、以下では「木片」50とする。また、「異物が混入」とは、2つの被溶接物10の間や、被溶接物10とローラ電極2との間に異物が挟まってしまうことであるが、本実施の形態では、図8に示すように「2つの屋根板30の間に木片50が挟まってしまうこと」とする。以下では、図1及び図8を適宜参照しながら当該溶接情報出力処理について説明する。なお、図8では、2つの屋根板30同士を相互に直接溶接しており、吊子20については図示していない。なお、溶接情報出力処理の具体的な処理の内容については、上述したパターン1に関する内容と同様であるため適宜説明を省略し、各処理における結果のみを以下では端的に説明する。なお、後述する図9から図13の各グラフは、上述した図3から図7の各グラフにそれぞれ対応する。
このような本実施の形態に係る溶接情報出力システム100によれば、溶接機1から被溶接物10に流れる溶接電流の電流値変化量に基づく情報の出力を行うので、溶接不具合の発生の判断材料となる情報を、作業者が溶接を行いながらリアルタイムで取得でき、溶接不具合の検知作業に要する手間を省略することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決する場合や、上述した効果の一部のみを奏することがある。
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。例えば本実施の形態の溶接情報出力システム100は、溶接機1に対して別個に取り付けられているものとして説明したが、これに限らず、溶接機1と一体に形成しても構わず、具体的には、溶接機1のCPUに、溶接の不具合に関する情報を出力するための各種プログラムを組み込んで溶接情報出力システム100として構成しても構わない。
発明の詳細な説明や図面で説明した溶接情報出力システム100の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。
本実施の形態においては、被溶接物10は動かず、溶接機1を動かしていくことにより溶接を行ったが、これに限らず、例えば溶接機1を動かさず、非溶接物を一定速度で動かすことにより溶接を行っても良い。
本実施の形態では、電流値を測定して、測定値に基づいて実効値を算出してから、電流値変化量を求めたが、これに限らず、電流値の測定値から電流値変化量を直接求めても構わない。
本実施の形態では、通知部8は、溶接の不具合があった際に、不具合が発生した旨をスピーカーやディスプレイにて通知を行ったが、不具合のより具体的な情報を通知しても良い。例えば、不具合の「種類」(吊子20の端部による不具合、又は、異物混入による不具合)を電子音声やテキスト表示等で通知しても良いし、不具合の発生した「時刻」や「位置」を通知しても良い。ここで、不具合の「種類」を特定する方法は任意で、一例としては、電流値変化量が第一閾値(例えば0.4)以上かつ第二閾値(例えば1.0)未満である場合、吊子20の端部による不具合と判断し、第二閾値以上である場合、異物混入による不具合と判定しても良い。また、不具合の発生した「時刻」や「位置」を特定する方法も任意で、一例としては、図7や図13のグラフを参照し、所定の計時手段(図示省略)から取得した溶接開始時刻と、図7や図13のグラフで電流値変化量が閾値を超えた際における、溶接開始からの時間(横軸)と、に基づいて「時刻」を特定したり、当該特定した時刻と、溶接機1の走行速度との関係性に基づいて「位置」を特定したりしても良い。
本実施の形態では、特定部6にて特定された電流値変化量に基づいて、検知部7が不具合の有無を検知し、この検知結果を出力したが、この検知部7を省略しても良い。すなわち、特定部6にて特定された電流値変化量を、そのまま出力しても構わない。例えば、電流値変化量の波形を公知のデータロガーに表示して、作業者がこの表示を見て自ら不具合の発生を検知しても良い。または、データロガーに代えて、電流値変化量を複数段階(例えば、10段階)で表示するインジケータを備え、溶接の最中に不具合の指標となる閾値(例えば7段目)を超えるか否かを作業者が確認することにより、不具合の発生を検知しても良い。
本実施の形態では、電流値変化量の出力をリアルタイムで行ったが、これに限らず、不具合の位置を示す情報と共に電流値変化量を所定の記録手段(図示省略)に記録しておき、任意のタイミング(例えば溶接機1の走行を停止させた際)に出力しても構わない。
付記1の溶接情報出力システムは、溶接機から被溶接物に流れる溶接電流の電流値を測定する測定手段と、前記測定手段にて測定された電流値の時間変化量を特定する特定手段と、前記特定手段にて特定された時間変化量に基づく情報の出力を行う出力手段と、を備える。
2 ローラ電極
3 変圧器
4 測定部
5 制御部
6 特定部
7 検知部
8 通知部
9 商用電源
10 被溶接物
20 吊子
21 吊子水平部
22 吊子鉛直部
30 屋根板
31 屋根板水平部
32 屋根板鉛直部
40 建築物
50 木片
100 溶接情報出力システム
T 溶接跡
Claims (3)
- 溶接機から被溶接物に流れる溶接電流の電流値を測定する測定手段と、
前記測定手段にて測定された電流値の時間変化量を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された時間変化量に基づく情報の出力を行う出力手段と、を備え、
前記特定手段は、前記測定手段にて測定された電流値の実効値を算出し、当該算出した実効値に基づいて前記電流値の時間変化量を特定する、
溶接情報出力システム。 - 溶接機から被溶接物に流れる溶接電流の電流値を測定する測定手段と、
前記測定手段にて測定された電流値の時間変化量を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された時間変化量に基づく情報の出力を行う出力手段と、
前記特定手段にて特定された時間変化量に基づいて、前記溶接機による溶接の不具合を検知する検知手段と、を備え、
前記出力手段は、前記検知手段にて溶接の不具合を検知した場合、当該不具合に関する通知を行う通知手段を備える、
溶接情報出力システム。 - 溶接機から被溶接物に流れる溶接電流の電流値を測定する測定手段と、
前記測定手段にて測定された電流値の時間変化量を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された時間変化量に基づく情報の出力を行う出力手段と、を備え、
前記溶接機は、一次側電力から変圧された二次側電力により溶接を行い、
前記測定手段は、前記一次側電力又は前記二次側電力のうち、電流値の小さい方を測定する、
溶接情報出力システム。
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JP2016066448A JP6689112B2 (ja) | 2016-03-29 | 2016-03-29 | 溶接情報出力システム |
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