<Nパスフィルタを用いた帯域除去フィルタの構成例>
図1は、Nパスフィルタを用いた帯域除去フィルタの構成例を示すブロック図である。
図1の帯域除去フィルタは、8パスのNパスフィルタ(8パスフィルタ)で構成され、入力信号Vinとしての差動信号に対して、その差動信号の一部の帯域(の周波数成分)を除去し、その除去後の差動信号を、出力信号Voutとして出力する。
図1において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11、抵抗12及び13、差動Nパスフィルタ部14、抵抗15、差動出力端子16、並びに、クロック発振器17を有する。
差動入力端子11は、正相信号及び逆相信号で構成される差動信号のうちの正相信号が入力される正相入力端子11Aと、その差動信号のうちの逆相信号が入力される逆相入力端子11Bとを有する。
抵抗12は、正相側の信号源抵抗であり、一端は、正相入力端子11Aに接続され、他端は、差動Nパスフィルタ部14の後述する正相信号入力線71Aに接続されている。
抵抗13は、逆相側の信号源抵抗であり、一端は、逆相入力端子11Bに接続され、他端は、差動Nパスフィルタ部14の後述する逆相信号入力線71Bに接続されている。
なお、抵抗12及び13としては、同一の抵抗値RS/2の抵抗が採用されている。
差動Nパスフィルタ部14は、差動入力端子11に入力される差動信号をフィルタリングすることで、その差動信号の一部の帯域を除去し、その除去後の差動信号を、後述する正相信号出力線72A及び逆相信号出力線72Bから出力する。
抵抗15は、差動Nパスフィルタ部14が出力する差動信号の負荷となる、抵抗値がRLの差動負荷抵抗である。抵抗15の一端は、正相信号出力線72Aに接続され、他端は、逆相信号出力線72Bに接続されている。
差動出力端子16は、差動信号のうちの正相信号が出力される正相出力端子16Aと、その差動信号のうちの逆相信号が出力される逆相出力端子16Bとを有する。
正相出力端子16Aは、差動Nパスフィルタ部14の正相信号出力線72Aと抵抗15との接続点に接続されている。逆相出力端子16Bは、差動Nパスフィルタ部14の逆相信号出力線72Bと抵抗15との接続点に接続されている。
クロック発振器17は、所定の周波数のクロックCLKを生成し、差動Nパスフィルタ部14の後述するリングカウンタ(Ring Counter)20に供給する。
差動Nパスフィルタ部14は、リングカウンタ20、キャパシタ21ないし28、並びに、スイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68を有する。
さらに、差動Nパスフィルタ部14は、正相信号入力線71A及び逆相信号入力線71B、並びに、正相信号出力線72A及び逆相信号出力線72Bを有する。
リングカウンタ20は、クロック発振器17から供給されるクロックCLKをカウントすることにより、異なるタイミングでHレベルになる8相の駆動パルスphi(φ)1ないしphi8を生成する。そして、リングカウンタ20は、各相の駆動パルスphiを、必要なスイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68に供給する。
キャパシタ21ないし28のそれぞれは、スイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68のうちの必要なスイッチがオンすることによって、信号が通る信号パスとして、適宜選択される。キャパシタ21ないし28のそれぞれが適宜選択されることにより、信号パスとなるキャパシタが時間的に切り替えられる。
なお、キャパシタ21ないし28は、同一の容量(静電容量)Cのキャパシタである。
スイッチ31は、駆動パルスphi1に従い、キャパシタ21と正相信号入力線71Aとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ32は、駆動パルスphi5に従い、キャパシタ21と逆相信号入力線71Bとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ33は、駆動パルスphi5に従い、キャパシタ22と正相信号入力線71Aとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ34は、駆動パルスphi1に従い、キャパシタ22と逆相信号入力線71Bとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ35は、駆動パルスphi1に従い、キャパシタ21と正相信号出力線72Aとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ36は、駆動パルスphi5に従い、キャパシタ22と正相信号出力線72Aとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ37は、駆動パルスphi5に従い、キャパシタ21と逆相信号出力線72Bとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ38は、駆動パルスphi1に従い、キャパシタ22と逆相信号出力線72Bとの間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ41ないし48は、キャパシタ23及び24に対して、キャパシタ21及び22に対するスイッチ31ないし38と同様に構成される。
スイッチ51ないし58は、キャパシタ25及び26に対して、キャパシタ21及び22に対するスイッチ31ないし38と同様に構成される。
スイッチ61ないし68は、キャパシタ27及び28に対して、キャパシタ21及び22に対するスイッチ31ないし38と同様に構成される。
但し、スイッチ41,44,45、及び、48は、駆動パルスphi2に従ってオン又はオフになり、スイッチ42,43,46、及び、47は、駆動パルスphi6に従ってオン又はオフになる。
また、スイッチ51,54,55、及び、58は、駆動パルスphi3に従ってオン又はオフになり、スイッチ52,53,56、及び、57は、駆動パルスphi7に従ってオン又はオフになる。
さらに、スイッチ61,64,65、及び、68は、駆動パルスphi4に従ってオン又はオフになり、スイッチ62,63,66、及び、67は、駆動パルスphi8に従ってオン又はオフになる。
正相信号入力線71Aの一端は、抵抗12を介して、正相入力端子11Aに接続されている。正相信号入力線71Aには、抵抗12を介して、正相入力端子11Aから、正相信号が入力される。
正相信号入力線71Aの他端は、スイッチ31を介して、キャパシタ21の一端に接続されるとともに、スイッチ33を介して、キャパシタ22の一端に接続されている。
さらに、正相信号入力線71Aの他端は、スイッチ41を介して、キャパシタ23の一端に接続されるとともに、スイッチ43を介して、キャパシタ24の一端に接続されている。
また、正相信号入力線71Aの他端は、スイッチ51を介して、キャパシタ25の一端に接続され、スイッチ53を介して、キャパシタ26の一端に接続され、スイッチ61を介して、キャパシタ27の一端に接続され、スイッチ63を介して、キャパシタ28の一端に接続されている。
逆相信号入力線71Bの一端は、抵抗13を介して、逆相入力端子11Bに接続されている。逆相信号入力線71Bには、抵抗13を介して、逆相入力端子11Bから、逆相信号が入力される。
逆相信号入力線71Bの他端は、スイッチ34を介して、キャパシタ22の一端に接続されるとともに、スイッチ32を介して、キャパシタ21の一端に接続されている。
さらに、逆相信号入力線71Bの他端は、スイッチ44を介して、キャパシタ24の一端に接続されるとともに、スイッチ42を介して、キャパシタ23の一端に接続されている。
また、逆相信号入力線71Bの他端は、スイッチ54を介して、キャパシタ26の一端に接続され、スイッチ52を介して、キャパシタ25の一端に接続され、スイッチ64を介して、キャパシタ28の一端に接続され、スイッチ62を介して、キャパシタ27の一端に接続されている。
正相信号出力線72Aの一端は、正相出力端子16Aに接続されている。正相信号出力線72Aからは、差動Nパスフィルタ部14でのフィルタリング後の差動信号のうちの正相信号が出力され、正相出力端子16Aに供給される。
正相信号出力線72Aの他端は、スイッチ35を介して、キャパシタ21の他端に接続されるとともに、スイッチ36を介して、キャパシタ22の他端に接続されている。
さらに、正相信号出力線72Aの他端は、スイッチ45を介して、キャパシタ23の他端に接続されるとともに、スイッチ46を介して、キャパシタ24の他端に接続されている。
また、正相信号出力線72Aの他端は、スイッチ55を介して、キャパシタ25の他端に接続され、スイッチ56を介して、キャパシタ26の他端に接続され、スイッチ65を介して、キャパシタ27の他端に接続され、スイッチ66を介して、キャパシタ28の他端に接続されている。
逆相信号出力線72Bの一端は、逆相出力端子16Bに接続されている。逆相信号出力線72Bからは、差動Nパスフィルタ部14でのフィルタリング後の差動信号のうちの逆相信号が出力され、逆相出力端子16Bに供給される。
逆相信号出力線72Bの他端は、スイッチ38を介して、キャパシタ22の他端に接続されるとともに、スイッチ37を介して、キャパシタ21の他端に接続されている。
さらに、逆相信号出力線72Bの他端は、スイッチ48を介して、キャパシタ24の他端に接続されるとともに、スイッチ47を介して、キャパシタ23の他端に接続されている。
また、逆相信号出力線72Bの他端は、スイッチ58を介して、キャパシタ26の他端に接続され、スイッチ57を介して、キャパシタ25の他端に接続され、スイッチ68を介して、キャパシタ28の他端に接続され、スイッチ67を介して、キャパシタ27の他端に接続されている。
以上のように構成される帯域除去フィルタでは、駆動パルスphiに従って、スイッチ31ないし38,41ないし48,51ないし58、及び、61ないし68が、適宜、一時的にオンになる。
例えば、駆動パルスphi1に従い、スイッチ31,34,35、及び、38が一時的にオンになった場合、正相入力端子11Aから抵抗12を介して正相信号入力線71Aに入力された正相信号が、スイッチ31、キャパシタ21、及び、スイッチ35の信号パスを通り、正相信号出力線72Aから出力される。さらに、逆相入力端子11Bから抵抗13を介して逆相信号入力線71Bに入力された逆相信号が、スイッチ34、キャパシタ22、及び、スイッチ38の信号パスを通り、逆相信号出力線72Bから出力される。
また、例えば、駆動パルスphi5に従い、スイッチ32,33,36、及び、37が一時的にオンになった場合、正相入力端子11Aから抵抗12を介して正相信号入力線71Aに入力された正相信号は、スイッチ32、キャパシタ22、及び、スイッチ36の信号パスを通り、正相信号出力線72Aから出力される。さらに、逆相入力端子11Bから抵抗13を介して逆相信号入力線71Bに入力された逆相信号は、スイッチ32、キャパシタ21、及び、スイッチ37の信号パスを通り、逆相信号出力線72Bから出力される。
他のスイッチ41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68が、適宜、一時的にオンになった場合も、同様の処理が行われる。これにより、正相信号入力線71Aに入力された正相信号と、逆相信号入力線71Bに入力された逆相信号とで構成される差動信号は、差動Nパスフィルタ部14でフィルタリングされる。
そして、フィルタリング後の差動信号のうちの正相信号が、正相信号出力線72Aから出力され、正相出力端子16Aに供給される。さらに、フィルタリング後の差動信号のうちの逆相信号が、逆相信号出力線72Bから出力され、逆相出力端子16Bに供給される。
図2は、クロック発振器17が生成するクロックCLKと、リングカウンタ20が生成する8相の駆動パルスphi1ないしphi8との例を示す波形図である。
駆動パルスphi1ないしphi8は、パルス幅tau(τ)がクロックCLKの周期に等しく、周期TSがパルス幅tauの8(=N)倍に等しく、パルスの位置がパルス幅tauずつシフトした8(=N)相のパルスである。
スイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68は、駆動パルスphiがH(High)レベルのときに、オンになり、駆動パルスphiがL(Low)レベルのときに、オフになる。
図1の帯域除去フィルタの伝達関数は、式(1)で表される。
図1の帯域除去フィルタでは、Nは、8である。また、式(1)において、tau=1/108.48MHz,TS=1/13.56MHz,RS/2=5kΩ,RL=10kΩ、及び、C=4pFとする。
この場合、図1の帯域除去フィルタの周波数特性は、図3に示すようになる。
すなわち、図3は、図1の帯域除去フィルタの周波数特性の例を示す図である。
図1の帯域除去フィルタの周波数特性は、1/TS=13.56MHzにノッチのある帯域除去の特性になる。
図4は、図1の差動Nパスフィルタ部14の機能的な構成を示すブロック図である。
図4において、差動Nパスフィルタ部14は、ミキサ14A、HPF(High Pass Filter)14B、及び、ミキサ14Cから構成される。
ミキサ14Aは、スイッチ31ないし34,41ないし44,51ないし54、及び、61ないし64に相当する。
ミキサ14Aは、正相信号入力線71Aからの正相信号、及び、逆相信号入力線71Bからの逆相信号のそれぞれに、周波数が1/TSのLO(Local Oscillator)信号を乗算することにより、正相信号及び逆相信号の周波数を1/TSだけ下げる周波数変換を行う。
ミキサ14Aでの周波数変換の結果得られる正相信号及び逆相信号は、HPF14Bに供給される。
HPF14Bは、キャパシタ21ないし28に相当する。
HPF14Bは、ミキサ14Aからの正相信号及び逆相信号のそれぞれをフィルタリングすることにより低域成分をカットし、その結果得られる正相信号及び逆相信号を、ミキサ14Cに供給する。
ミキサ14Cは、スイッチ35ないし38,45ないし48,55ないし58、及び、65ないし68に相当する。
ミキサ14Cは、HPF14Bからの正相信号及び逆相信号のそれぞれに、周波数が1/TSのLO信号を乗算することにより、正相信号及び逆相信号の周波数を1/TSだけ上げる周波数変換を行う。
ミキサ14Cでの周波数変換の結果得られる正相信号は、正相信号出力線72Aを介して、正相出力端子16Aから出力される。また、ミキサ14Cでの周波数変換の結果得られる逆相信号は、逆相信号出力線72Bを介して、逆相出力端子16Bから出力される。
図4の差動Nパスフィルタ部14では、正相信号及び逆相信号で構成される差動信号について、ミキサ14Aで、周波数を1/TSだけ下げる周波数変換が行われる。そして、HPF14Bで低域成分がカットされた後、ミキサ14Cで、周波数を1/TSだけ上げる周波数変換が行われることで、元の周波数帯の信号に戻される。
以上のような差動Nパスフィルタ部14によれば、差動信号に含まれる、LO信号の周波数1/TS付近の周波数成分(スペクトル成分)が、HPF14Bで除去される。そのため、差動Nパスフィルタ部14、ひいては、図1の帯域除去フィルタの周波数特性は、中心周波数を1/TSとして、その周波数1/TS付近の周波数成分を除去する帯域除去の特性となる。
図5は、図1の帯域除去フィルタの減衰量ATTと、差動Nパスフィルタ部14の信号パス(となるキャパシタ)のパス数Nとの関係を示す図である。
ここで、図5において、横軸は、パス数Nを表し、縦軸は、減衰量ATTを表す。
図5の減衰量ATTとパス数Nとの関係は、式(2)で表される。
図5によれば、例えば、N=6では、約20dBの減衰量ATTを実現することができ、N=8では、約25dBの減衰量ATTを実現することができる。
また、図5によれば、例えば、40dBの減衰量ATTを実現するためには、パス数Nが18だけ必要になる。したがって、40dBの減衰量ATTを実現する場合には、20dBの減衰量ATTを実現する場合の3倍のパス数Nが必要となる。
さらに、差動Nパスフィルタ部14では、図2で説明したように、リングカウンタ20において、パルス幅tauがクロックCLKの周期に等しく、周期TSがパルス幅tauのN倍に等しく、パルスの位置がパルス幅tauずつシフトしたN相の駆動パルスphiが生成される。
したがって、クロックCLKは、駆動パルスphiの周波数1/TSのN倍(以上)の周波数のクロックである必要がある。
また、差動Nパスフィルタ部14では、中心周波数を周波数1/TSとする帯域が除去される。
以上から、例えば、NFCの13.56MHzの信号(13.56MHzを中心周波数とする信号)を、40dBの減衰量ATTだけ減衰させる場合には、クロックCLKとして、13.56MHzの18倍の224.08MHzの周波数のクロックが必要になる。
さらに、パス数Nは、N=6の場合の3倍の18パスが必要であり、単純には、帯域除去フィルタの回路規模が、N=6の場合の3倍になる。
BANの受信機は、携帯端末やウェアラブルデバイス等に組み込まれ、他の回路と一緒に動作するため、クロックCLKの周波数はできるだけ低く抑えて低消費電力にすることが要請される。
しかしながら、帯域除去フィルタのクロックCLKとして、224.08MHzという高い周波数のクロックが必要で、18パスという回路規模の大きな帯域除去フィルタが必要な場合には、低消費電力を実現することが困難になる。
また、図1の帯域除去フィルタでは、帯域除去が行われる(帯域の)中心周波数は、クロックCLKの周波数の1/Nに固定される。したがって、クロックCLKの周波数の1/Nから少し離れた周波数を中心周波数としたい場合には、クロックCLKの周波数を変化させる必要がある。
クロックCLKの周波数を変化させることができない場合には、例えば、クロック発振器17とリングカウンタ20との間に、可変分周器を設け、駆動パルスphiのパルス幅tauを、1クロック分だけ増減させることで、中心周波数を微小量だけ変化させることができる。
しかしながら、可変分周器において、駆動パルスphiのパルス幅tauを増減させるのに、M+1又はM-1分周が行われるときには、クロックCLKとして、可変分周器を設けない場合のM倍という高周波数のクロックが必要になる。さらに、可変分周器において、M+1又はM-1分周のいずれかを行うかを制御する制御ブロック(デコーダ)も必要になる。
したがって、可変分周器を用いて、中心周波数を変化させる場合には、その可変分周器の他に、高周波数のクロックCLKと、制御ブロックとが必要になり、そのため、消費電力が大になる。
そこで、本技術では、帯域除去フィルタについて、容易に、所望の周波数特性を得ることができるようにする。すなわち、本技術では、クロックCLKの周波数を高くすることなく、帯域除去フィルタの減衰量を増加させることや、中心周波数を、高い周波数(上方)又は低い周波数(下方)に変化させることを、容易に可能にする。
<帯域除去フィルタの第1実施の形態>
図6は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図1の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図6において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11、抵抗12、抵抗13、差動Nパスフィルタ部14、抵抗15、差動出力端子16、クロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する。
したがって、図6の帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17を有する点で、図1の場合と共通する。
但し、図6の帯域除去フィルタは、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114が新たに設けられている点で、図1の場合と相違する。
差動Nパスフィルタ部114は、リングカウンタ20に相当するブロックが設けられていないことを除いて、差動Nパスフィルタ部14と同様に構成される。
したがって、差動Nパスフィルタ部114は、そこに入力される差動信号を、差動Nパスフィルタ部14と同様にフィルタリングして出力する。
差動Nパスフィルタ部114は、キャパシタ121ないし128、スイッチ131ないし138、141ないし148、151ないし158、及び、161ないし168、正相信号入力線171A及び逆相信号入力線171B、並びに、正相信号出力線172A及び逆相信号出力線172Bを有する。
差動Nパスフィルタ部114のキャパシタ121ないし逆相信号出力線172Bは、差動Nパスフィルタ部14のキャパシタ21ないし逆相信号出力線72Bと、それぞれ同様に構成される。
したがって、差動Nパスフィルタ部114のスイッチ131ないし138、141ないし148、151ないし158、及び、161ないし168は、差動Nパスフィルタ部14のスイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68とそれぞれ同様に、リングカウンタ20が出力する図2の駆動パルスphiに従ってオン又はオフになる。
図6では、差動Nパスフィルタ部14と114とが縦続に接続されている(差動Nパスフィルタ部14と114とが2段の縦続接続になっている)。
すなわち、差動Nパスフィルタ部14の正相信号出力線72Aと、差動Nパスフィルタ部114の正相信号入力線171Aとが接続されている。さらに、差動Nパスフィルタ部14の逆相信号出力線72Bと、差動Nパスフィルタ部114の逆相信号入力線171Bとが接続されている。
また、図6では、差動Nパスフィルタ部114の正相信号出力線172Aが、抵抗15の一端が接続された正相出力端子16Aに接続されている。さらに、差動Nパスフィルタ部114の逆相信号出力線172Bが、抵抗15の他端が接続された逆相出力端子16Bに接続されている。
そして、図6では、キャパシタ81が、差動Nパスフィルタ部14と114との接続点に、差動Nパスフィルタ部14と114との間に挿入される段間容量として挿入されている。
すなわち、差動Nパスフィルタ部14の正相信号出力線72Aと次段の差動Nパスフィルタ部114の正相信号入力線171Aとの接続点と、差動Nパスフィルタ部14の逆相信号出力線72Bと次段の差動Nパスフィルタ部114の逆相信号入力線171Bとの接続点との間に、キャパシタ81が挿入されている。
以上のように構成される帯域除去フィルタでは、差動Nパスフィルタ部14において、正相入力端子11Aから抵抗12を介して正相信号入力線71Aに入力される正相信号と、逆相入力端子11Bから抵抗13を介して逆相信号入力線71Bに入力される逆相信号とで構成される差動信号がフィルタリングされる。
差動Nパスフィルタ部14でフィルタリングされた差動信号のうちの正相信号は、正相信号出力線72Aから出力され、差動Nパスフィルタ部114の正相信号入力線171Aに入力される。また、差動Nパスフィルタ部14でフィルタリングされた差動信号のうちの逆相信号は、逆相信号出力線72Bから出力され、差動Nパスフィルタ部114の逆相信号入力線171Bに入力される。
差動Nパスフィルタ114では、正相信号入力線171Aに入力される正相信号と、逆相信号入力線171Bに入力される逆相信号とで構成される差動信号がフィルタリングされる。
そして、フィルタリング後の差動信号のうちの正相信号が、正相信号出力線172Aから出力され、正相出力端子16Aに供給される。さらに、フィルタリング後の差動信号のうちの逆相信号が、逆相信号出力線172Bから出力され、逆相出力端子16Bに供給される。
以下、クロックCLKの周波数N/Tsを108.48MHz(=8×13.56MHz)と、抵抗12及び13の抵抗値Rs/2を5kΩと、抵抗15の抵抗値RLを10kΩと、キャパシタ21ないし28及び121ないし128の容量Cを4pFと、それぞれした場合の、図6の帯域除去フィルタの特性について説明する。
図7は、キャパシタ81を設けていない場合の図6の帯域除去フィルタの周波数特性を示す図である。
キャパシタ81が設けられていない場合、図6の帯域除去フィルタの周波数特性は、周波数が13.56MHzにおける減衰量が約26dBの帯域除去の特性になる。
したがって、図6に示したように、差動Nパスフィルタ部14と114とを2段の縦続接続にしても、キャパシタ81を設けない場合には、図3に示した、差動Nパスフィルタ部14の1段だけを有する帯域除去フィルタの周波数特性とそれほど変わらない周波数特性となる。
すなわち、差動Nパスフィルタ部14と114とを2段の縦続接続にしても、キャパシタ81を設けない場合には、2段にした効果がほとんど認められない。
図8は、キャパシタ81を設けていない場合の図6の帯域除去フィルタの入力反射係数(Sパラメータ)S11を示す図である。
図8の入力反射係数S11は、正相入力端子11Aと逆相入力端子11Bとの間の電圧を、Vinとするとともに、正相信号入力線71Aと逆相信号入力線71Bとの間の電圧を、V1とすると、式(3)に従って求めることができる。
図8によれば、キャパシタ81を設けていない場合の図6の帯域除去フィルタの入力反射係数S11は、10MHzの差動信号Vinに対して、約-10dB程度になり、良好なインピーダンス整合が図られているとは言い難い。
図9は、キャパシタ81が設けられた状態の図6の帯域除去フィルタの周波数特性を示す図である。
キャパシタ81が設けられている場合、図6の帯域除去フィルタの周波数特性は、周波数が13.56MHzにおける減衰量が約55dBの帯域除去の特性になる。
したがって、キャパシタ81が設けられている場合には、周波数が13.56MHzにおける減衰量は、キャパシタ81が設けられていない場合に比較して、約2倍以上になる。
図10は、キャパシタ81が設けられた状態の図6の帯域除去フィルタの入力反射係数S11を示す図である。
図10によれば、キャパシタ81が設けられた状態の図6の帯域除去フィルタの入力反射係数S11は、10MHzの差動信号Vinに対して、約-23dB程度になり、良好なインピーダンス整合が図られている。
以上のように、差動Nパスフィルタ部14と114とを2段の縦続接続にして、その差動Nパスフィルタ部14と114との間に、キャパシタ81を設けることで、インピーダンス整合を向上させることができる。その結果、帯域除去フィルタの入力反射係数S11を小さくし、帯域除去フィルタの減衰量を大幅に増大させることができる。
また、帯域除去フィルタの減衰量を大幅に増大させるにあたって、縦続接続する差動Nパスフィルタ部14と114とのそれぞれについて、パス数Nを増やす必要がない。したがって、差動Nパスフィルタ部14と114のそれぞれの回路規模を大きくすることなく、かつ、クロックCLKの周波数を上げずに、帯域除去フィルタの減衰量を大幅に増大させることができる。
<帯域除去フィルタの第2実施の形態>
図11は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図1の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図11において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17を有する。
したがって、図11の帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17を有する点で、図1の場合と共通する。
さらに、図11の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14が、リングカウンタ20、キャパシタ21ないし28、並びに、スイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68を有する点で、図1の場合と共通する。
但し、図11の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14において、キャパシタ91及び92が新たに設けられている点で、図1の場合と相違する。
キャパシタ91は、帯域除去フィルタの中心周波数をシフトさせる周波数シフト容量として、正相信号入力線71Aと正相信号出力線72Aとの間に挿入されている。
すなわち、キャパシタ91の一端は、正相信号入力線71Aに接続され、キャパシタ91の他端は、正相信号出力線72Aに接続されている。これにより、キャパシタ91は(正相接続キャパシタとして)、正相信号入力線71Aと正相信号出力線72Aとを接続している。
キャパシタ92は、周波数シフト容量として、逆相信号入力線71Bと逆相信号出力線72Bとの間に挿入されている。
すなわち、キャパシタ92の一端は、逆相信号入力線71Bに接続され、キャパシタ92の他端は、逆相信号出力線72Bに接続されている。これにより、キャパシタ92は(逆相接続キャパシタとして)、逆相信号入力線71Bと逆相信号出力線72Bとを接続している。
以下、クロックCLKの周波数N/Tsを108.48MHz(=8×13.56MHz)と、抵抗12及び13の抵抗値Rs/2を5kΩと、抵抗15の抵抗値RLを10kΩと、キャパシタ21ないし28の容量Cを4pFと、それぞれした場合の、図11の帯域除去フィルタの特性について説明する。
図12は、キャパシタ91及び92を設けていない場合の図11の帯域除去フィルタの周波数特性を示す図である。
キャパシタ91及び92が設けられていない場合、図11の帯域除去フィルタの周波数特性は、中心周波数が13.56MHzの帯域除去の特性になる。
図13は、キャパシタ91及び92を設けた状態の図11の帯域除去フィルタの周波数特性を示す図である。
なお、図13では、キャパシタ91及び92の容量CShiftDownとして、300fFが採用されている。
図13によれば、帯域除去フィルタの中心周波数が、13.33MHzになっている。
したがって、キャパシタ91及び92を設けることにより、帯域除去フィルタの中心周波数を、13.56MHzから13.33MHzに下げる(下方にシフトする)ことができる。
すなわち、正相信号入力線71Aと正相信号出力線72Aとを接続するキャパシタ91と、逆相信号入力線71Bと逆相信号出力線72Bとを接続するキャパシタ92とを設けることで、クロックCLKの周波数を変化させることなく、中心周波数を、下方にシフトすることができる。
<帯域除去フィルタの第3実施の形態>
図14は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図1の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図14において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17を有する。
したがって、図14の帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17を有する点で、図1の場合と共通する。
さらに、図14の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14が、リングカウンタ20、キャパシタ21ないし28、並びに、スイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68を有する点で、図1の場合と共通する。
但し、図14の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14において、キャパシタ93及び94が新たに設けられている点で、図1の場合と相違する。
キャパシタ93は、周波数シフト容量として、正相信号入力線71Aと逆相信号出力線72Bとの間に挿入されている。
すなわち、キャパシタ93の一端は、正相信号入力線71Aに接続され、キャパシタ93の他端は、逆相信号出力線72Bに接続されている。これにより、キャパシタ93は(正相逆相接続キャパシタとして)、正相信号入力線71Aと逆相信号出力線72Bとを接続している。
キャパシタ94は、周波数シフト容量として、逆相信号入力線71Bと正相信号出力線72Aとの間に挿入されている。
すなわち、キャパシタ94の一端は、逆相信号入力線71Bに接続され、キャパシタ94の他端は、正相信号出力線72Aに接続されている。これにより、キャパシタ94は(逆相接続キャパシタとして)、逆相信号入力線71Bと正相信号出力線72Aとを接続している。
以下、クロックCLKの周波数N/Tsを108.48MHz(=8×13.56MHz)と、抵抗12及び13の抵抗値Rs/2を5kΩと、抵抗15の抵抗値RLを10kΩと、キャパシタ21ないし28の容量Cを4pFと、それぞれした場合の、図14の帯域除去フィルタの特性について説明する。
キャパシタ93及び94を設けていない場合の図14の帯域除去フィルタの周波数特性は、図12に示したように、中心周波数が13.56MHzの帯域除去の特性になる。
図15は、キャパシタ93及び94を設けた状態の図14の帯域除去フィルタの周波数特性を示す図である。
なお、図15では、キャパシタ93及び94の容量CShiftUpとして、200fFが採用されている。
図15によれば、帯域除去フィルタの中心周波数が、13.73MHzになっている。
したがって、キャパシタ93及び94を設けることにより、帯域除去フィルタの中心周波数を、13.56MHzから13.73MHzに上げる(上方にシフトする)ことができる。
すなわち、正相信号入力線71Aと逆相信号出力線72Bとを接続するキャパシタ93と、逆相信号入力線71Bと正相信号出力線72Aとを接続するキャパシタ94とを設けることで、クロックCLKの周波数を変化させることなく、中心周波数を、上方にシフトすることができる。
<帯域除去フィルタの第4実施の形態>
図16は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第4実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図6、図11、図14の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図16において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する。
したがって、図16の帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する点で、図6の場合と共通する。
さらに、図16の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14が、リングカウンタ20、キャパシタ21ないし28、並びに、スイッチ31ないし38、41ないし48、51ないし58、及び、61ないし68を有する点で、図6の場合と共通する。
但し、図16の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14において、図11のキャパシタ91及び92が新たに設けられている点で、図6の場合と相違する。
また、図16の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部114が、キャパシタ121ないし128、並びに、スイッチ131ないし138、141ないし148、151ないし158、及び、161ないし168を有する点で、図6の場合と共通する。
但し、図16の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部114において、図14のキャパシタ93及び94が新たに設けられている点で、図6の場合と相違する。
以上のように、図16では、キャパシタ93及び94が、Nパスフィルタ部14ではなく、Nパスフィルタ部114に設けられている。
すなわち、キャパシタ93は、周波数シフト容量として、正相信号入力線71Aと逆相信号出力線72Bとの間に挿入されている。
具体的には、キャパシタ93の一端は、正相信号入力線171Aに接続され、キャパシタ93の他端は、逆相信号出力線172Bに接続されている。これにより、キャパシタ93は(正相逆相接続キャパシタとして)、正相信号入力線171Aと逆相信号出力線172Bとを接続している。
また、キャパシタ94は、周波数シフト容量として、逆相信号入力線171Bと正相信号出力線172Aとの間に挿入されている。
具体的には、キャパシタ94の一端は、逆相信号入力線171Bに接続され、キャパシタ94の他端は、正相信号出力線172Aに接続されている。これにより、キャパシタ94は(逆相接続キャパシタとして)、逆相信号入力線171Bと正相信号出力線172Aとを接続している。
以下、クロックCLKの周波数N/Tsを108.48MHz(=8×13.56MHz)と、抵抗12及び13の抵抗値Rs/2を5kΩと、抵抗15の抵抗値RLを10kΩと、キャパシタ21ないし28及び121ないし128の容量Cを4pFと、それぞれした場合の、図16の帯域除去フィルタの特性について説明する。
図17は、キャパシタ91ないし94を設けた状態の図16の帯域除去フィルタの周波数特性を示す図である。
なお、図17では、キャパシタ91及び92の容量CShiftDownとして、250fFを採用するとともに、キャパシタ93及び94の容量CShiftUpとして、400fFを採用している。
図17において、点線は、キャパシタ91ないし94を設けていない状態の図16の帯域除去フィルタの周波数特性を表し、実線は、キャパシタ91ないし94を設けた状態の図16の帯域除去フィルタの周波数特性を表す。
図17によれば、キャパシタ91ないし94を設けることで、キャパシタ91ないし94を設けない場合よりも、減衰する周波数の帯域幅を拡大することができる。
なお、図17では、キャパシタ91ないし94を設けていない状態の図16の帯域除去フィルタの中心周波数f0を基準として、その中心周波数f0よりもやや低い周波数fLと、やや高い周波数fHに減衰量のピークが存在する。
周波数fLのピークは、キャパシタ91及び92により、周波数f0のピークが下方にシフトされて形成されたピークである。また、周波数fHのピークは、キャパシタ93及び94により、周波数f0のピークが上方にシフトされて形成されたピークである。
以上のように、キャパシタ91及び92や、キャパシタ93及び94によれば、クロックCLKの周波数を変化させることなく、かつ、可変分周器を設けずに、帯域除去フィルタの中心周波数を微小範囲で変化させることや、減衰する周波数の帯域幅を拡大することができる。
なお、図16では、キャパシタ91及び92を有する差動Nパスフィルタ部14が、1段目のNパスフィルタになっており、キャパシタ93及び94を有する差動Nパスフィルタ部114が、2段目のNパスフィルタになっているが、差動Nパスフィルタ14と114との2段の縦続接続での並び順は、逆にすることができる。
すなわち、差動Nパスフィルタ部114を、1段目のNパスフィルタとし、差動Nパスフィルタ部14を、2段目のNパスフィルタとすることができる。
また、図16では、差動Nパスフィルタ14と114との接続点に、キャパシタ81が設けられているが、図16の帯域除去フィルタは、キャパシタ81なしで構成することができる。
図16の帯域除去フィルタを、キャパシタ81なしで構成した場合、その帯域除去フィルタの周波数特性は、図17の場合と同様に、周波数fLとfHのそれぞれに、減衰量のピークが存在する特性となる。但し、減衰量は、キャパシタ81がある場合に比較して、小さくなる。
<帯域除去フィルタの第5実施の形態>
図18は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第5実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図18において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図18の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部114において、キャパシタ93及び94が設けられていない点で、図16の場合と相違する。
ここで、図17で説明したように、図16の帯域除去フィルタの周波数特性において、周波数fLのピークは、キャパシタ91及び92により、周波数f0のピークが下方にシフトされて形成されたピークである。また、周波数fHのピークは、キャパシタ93及び94により、周波数f0のピークが上方にシフトされて形成されたピークである。
図18の帯域除去フィルタには、周波数fHのピークを形成するキャパシタ93及び94が設けられていないので、その周波数特性は、周波数f0とfLとのそれぞれに減衰量のピークが存在する特性になる。
なお、周波数f0のピークの大きさ、すなわち、減衰量は、キャパシタ91ないし94を設けていない状態の帯域除去フィルタの周波数特性(図17において点線で示される周波数特性)の場合よりもやや小さくなる(ピークとしての谷の深さが浅くなる)。
<帯域除去フィルタの第6実施の形態>
図19は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第6実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図19において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図19の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部14において、キャパシタ91及び92が設けられていない点で、図16の場合と相違する。
ここで、図17で説明したように、図16の帯域除去フィルタの周波数特性において、周波数fLのピークは、キャパシタ91及び92により、周波数f0のピークが下方にシフトされて形成されたピークである。また、周波数fHのピークは、キャパシタ93及び94により、周波数f0のピークが上方にシフトされて形成されたピークである。
図19の帯域除去フィルタには、周波数fLのピークを形成するキャパシタ91及び92が設けられていないので、その周波数特性は、周波数f0とfHとのそれぞれに減衰量のピークが存在する特性になる。
なお、周波数f0のピークの大きさ、すなわち、減衰量は、キャパシタ91ないし94を設けていない状態の帯域除去フィルタの周波数特性(図17において点線で示される周波数特性)の場合よりもやや小さくなる。
<帯域除去フィルタの第7実施の形態>
図20は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第7実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図20において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図20の帯域除去フィルタは、差動Nパスフィルタ部114において、キャパシタ93及び94に代えて、キャパシタ193及び194が設けられている点で、図16の場合と相違する。
キャパシタ193は、差動Nパスフィルタ部14におけるキャパシタ91と同様に、差動Nパスフィルタ部114において(正相接続キャパシタとして)、正相信号入力線171Aと正相信号出力線172Aとを接続している。
キャパシタ194は、差動Nパスフィルタ部14におけるキャパシタ92と同様に、差動Nパスフィルタ部114において(逆相接続キャパシタとして)、逆相信号入力線171Bと逆相信号出力線172Bとを接続している。
ここで、図17で説明したように、図16の帯域除去フィルタの周波数特性において、周波数fLのピークは、キャパシタ91及び92により、周波数f0のピークが下方にシフトされて形成されたピークである。
差動Nパスフィルタ部114のキャパシタ193及び194によれば、キャパシタ91及び92の場合と同様に、周波数f0のピークが下方の周波数fLにシフトされたピークが形成される。
また、図20の帯域除去フィルタには、差動Nパスフィルタ部14と114との間に、入力反射係数S11を低下させ、インピーダンス整合を図る効果を奏するキャパシタ81が設けられている。
以上により、図20の帯域除去フィルタの周波数特性は、周波数fLに減衰量の大きなピークが存在する特性になる。
<帯域除去フィルタの第8実施の形態>
図21は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第8実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図21において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図21の帯域除去フィルタは、差動Nパスフィルタ部14において、キャパシタ91及び92に代えて、キャパシタ191及び192が設けられている点で、図16の場合と相違する。
キャパシタ191は、差動Nパスフィルタ部114におけるキャパシタ93と同様に、差動Nパスフィルタ部14において(正相逆相接続キャパシタとして)、正相信号入力線71Aと逆相信号出力線72Bとを接続している。
キャパシタ194は、差動Nパスフィルタ部114におけるキャパシタ94と同様に、差動Nパスフィルタ部14において(逆相正相接続キャパシタとして)、逆相信号入力線71Bと正相信号出力線72Aとを接続している。
ここで、図17で説明したように、図16の帯域除去フィルタの周波数特性において、周波数fHのピークは、キャパシタ93及び94により、周波数f0のピークが上方にシフトされて形成されたピークである。
差動Nパスフィルタ部14のキャパシタ191及び192によれば、キャパシタ93及び94の場合と同様に、周波数f0のピークが上方の周波数fHにシフトされたピークが形成される。
また、図21の帯域除去フィルタには、差動Nパスフィルタ部14と114との間に、入力反射係数S11を低下させ、インピーダンス整合を図る効果を奏するキャパシタ81が設けられている。
以上により、図21の帯域除去フィルタの周波数特性は、周波数fHに減衰量の大きなピークが存在する特性になる。
<帯域除去フィルタの第9実施の形態>
図22は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第9実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図6の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図22において、帯域除去フィルタは、差動入力端子11、抵抗12及び13、差動Nパスフィルタ部14、抵抗15、差動出力端子16、クロック発振器17、キャパシタ81及び82、並びに、差動Nパスフィルタ部114及び214を有する。
したがって、図22の帯域除去フィルタは、差動入力端子11ないしクロック発振器17、キャパシタ81、及び、差動Nパスフィルタ部114を有する点で、図6の場合と共通する。
但し、図22の帯域除去フィルタは、キャパシタ82、及び、差動Nパスフィルタ部214が新たに設けられている点で、図6の場合と相違する。
差動Nパスフィルタ部214は、差動Nパスフィルタ部114と同様に構成される。
したがって、差動Nパスフィルタ部214は、そこに入力される差動信号を、差動Nパスフィルタ部114と同様にフィルタリングして出力する。
差動Nパスフィルタ部214は、キャパシタ221ないし228、スイッチ231ないし238、241ないし248、251ないし258、及び、261ないし268、正相信号入力線271A及び逆相信号入力線271B、並びに、正相信号出力線272A及び逆相信号出力線272Bを有する。
差動Nパスフィルタ部214のキャパシタ221ないし逆相信号出力線272Bは、差動Nパスフィルタ部114のキャパシタ121ないし逆相信号出力線172Bと、それぞれ同様に構成される。
したがって、差動Nパスフィルタ部214のスイッチ231ないし238、241ないし248、251ないし258、及び、261ないし268は、差動Nパスフィルタ部114のスイッチ131ないし138、141ないし148、151ないし158、及び、161ないし168とそれぞれ同様に、リングカウンタ20が出力する図2の駆動パルスphiに従ってオン又はオフになる。
図22では、3個のNパスフィルタとしての差動Nパスフィルタ部14,114、及び、214が、3段の縦続接続になっている。
すなわち、図22では、差動Nパスフィルタ部14と114とは、図6で説明したように接続されている。
さらに、図22では、差動Nパスフィルタ部114の正相信号出力線172Aと、差動Nパスフィルタ部214の正相信号入力線271Aとが接続されている。さらに、差動Nパスフィルタ部114の逆相信号出力線172Bと、差動Nパスフィルタ部214の逆相信号入力線271Bとが接続されている。
また、図22では、差動Nパスフィルタ部214の正相信号出力線272Aが、抵抗15の一端が接続された正相出力端子16Aに接続されている。さらに、差動Nパスフィルタ部214の逆相信号出力線272Bが、抵抗15の他端が接続された逆相出力端子16Bに接続されている。
そして、図22では、キャパシタ81が、図6で説明したように、差動Nパスフィルタ部14と114との接続点に、段間容量として挿入されている。
さらに、図22では、キャパシタ82が、差動Nパスフィルタ部114と214との接続点に、段間容量として挿入されている。
すなわち、差動Nパスフィルタ部114の正相信号出力線172Aと次段の差動Nパスフィルタ部214の正相信号入力線271Aとの接続点と、差動Nパスフィルタ部114の逆相信号出力線172Bと次段の差動Nパスフィルタ部214の逆相信号入力線271Bとの接続点との間に、キャパシタ82が挿入されている。
以上のように構成される帯域除去フィルタでは、差動入力端子11から入力された差動信号が、図6で説明したように、差動Nパスフィルタ部14でフィルタリングされ、さらに、差動Nパスフィルタ部114でフィルタリングされる。
差動Nパスフィルタ部114でフィルタリングされた差動信号のうちの正相信号は、正相信号出力線172Aから出力され、差動Nパスフィルタ部214の正相信号入力線271Aに入力される。また、差動Nパスフィルタ部114でフィルタリングされた差動信号のうちの逆相信号は、逆相信号出力線172Bから出力され、差動Nパスフィルタ部214の逆相信号入力線271Bに入力される。
差動Nパスフィルタ214では、正相信号入力線271Aに入力される正相信号と、逆相信号入力線271Bに入力される逆相信号とで構成される差動信号がフィルタリングされる。
そして、フィルタリング後の差動信号のうちの正相信号が、正相信号出力線272Aから出力され、正相出力端子16Aに供給される。さらに、フィルタリング後の差動信号のうちの逆相信号が、逆相信号出力線272Bから出力され、逆相出力端子16Bに供給される。
差動Nパスフィルタ部14,114、及び、214が3段の縦続接続になっている図22の帯域除去フィルタによれば、差動Nパスフィルタ部14及び114が2段の縦続接続になっている図6の帯域除去フィルタよりも、減衰量を増大させることができる。
なお、図22において、差動Nパスフィルタ部14,114、及び、214のうちの1以上のNパスフィルタには、図11で説明したキャパシタ91及び92を設けることができる。
また、図22において、差動Nパスフィルタ部14,114、及び、214のうちの1以上のNパスフィルタには、図14で説明したキャパシタ93及び94を設けることができる。
さらに、図22において、差動Nパスフィルタ部14,114、及び、214のうちの1以上のNパスフィルタには、図11で説明したキャパシタ91及び92を設け、他の1以上のNパスフィルタには、図14で説明したキャパシタ93及び94を設けることができる。
また、帯域除去フィルタは、図6や図22で説明したように、2個や3個のNパスフィルタ(差動Nパスフィルタ部14や、114,214)を縦続に接続して構成する他、4個以上のNパスフィルタを縦続に接続して構成することができる。
<帯域除去フィルタの第10実施の形態>
図23は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第10実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図23の帯域除去フィルタは、第1ないし第10実施の形態と同様に、8パスのNパスフィルタ(8パスフィルタ)で構成される。
但し、図23の帯域除去フィルタでは、差動信号ではなく、シングルエンド信号が、入力信号Vinとして入力され、そのシングルエンド信号に対して、その一部の帯域(の周波数成分)を除去するフィルタリングが施される。そして、フィルタリング後のシングルエンド信号が、出力信号Voutとして出力される。
図23において、帯域除去フィルタは、シングルエンド入力端子311、抵抗312、Nパスフィルタ部314、抵抗315、シングルエンド出力端子316、クロック発振器317、キャパシタ381、及び、Nパスフィルタ部414を有する。
シングルエンド入力端子311は、シングルエンド信号が入力される入力端子311Aと、GND(ground)に接続されるGND端子311Bとを有する。
抵抗312は、抵抗値がRsの信号源抵抗であり、一端は、入力端子311Aに接続され、他端は、Nパスフィルタ部314の後述する入力線371に接続されている。
Nパスフィルタ部314は、シングルエンド入力端子311に入力されるシングルエンド信号をフィルタリングすることで、そのシングルエンド信号の一部の帯域を除去し、その除去後のシングルエンド信号を、後述する出力線372から出力する。
抵抗315は、Nパスフィルタ部414が出力するシングルエンド信号の負荷となる、抵抗値がRLの負荷抵抗である。抵抗315の一端は、出力端子316Aに接続され、他端は、GNDに接続されている。
シングルエンド出力端子316は、シングルエンド信号が出力される出力端子316Aと、GNDに接続されるGND端子316Bとを有する。
クロック発振器317は、図1のクロック発振器17と同様に、所定の周波数のクロックCLKを生成し、Nパスフィルタ部314の後述するリングカウンタ320に供給する。
Nパスフィルタ部314は、リングカウンタ320、キャパシタ321ないし328、及び、スイッチ331ないし338を有する。
さらに、Nパスフィルタ部314は、入力線371及び出力線372を有する。
リングカウンタ320は、クロック発振器317から供給されるクロックCLKをカウントすることにより、図1のリングカウンタ20と同様の8相の駆動パルスphi1ないしphi8を生成する。そして、リングカウンタ320は、駆動パルスphi1ないしphi8を、スイッチ331ないし338に、それぞれ供給する。
キャパシタ321ないし328は、スイッチ331ないし338がオンすることによって、信号が通る信号パスとして、それぞれ選択される。キャパシタ321ないし328のそれぞれが選択されることにより、信号パスとなるキャパシタが時間的に切り替えられる。
なお、キャパシタ321ないし328は、同一の容量Cのキャパシタである。
スイッチ331は、駆動パルスphi1に従い、キャパシタ321と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ332は、駆動パルスphi2に従い、キャパシタ322と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ333は、駆動パルスphi3に従い、キャパシタ323と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ334は、駆動パルスphi4に従い、キャパシタ324と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ335は、駆動パルスphi5に従い、キャパシタ325と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ336は、駆動パルスphi6に従い、キャパシタ326と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ337は、駆動パルスphi7に従い、キャパシタ327と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
スイッチ338は、駆動パルスphi8に従い、キャパシタ328と入力線371との間の接続をオン又はオフにする。
入力線371の一端は、抵抗312を介して、入力端子311Aに接続されている。入力線371には、抵抗312を介して、入力端子311Aから、シングルエンド信号が入力される。
入力線371の他端は、スイッチ331を介して、キャパシタ321の一端に接続されるとともに、スイッチ332を介して、キャパシタ322の一端に接続されている。
さらに、入力線371の他端は、スイッチ333を介して、キャパシタ323の一端に接続されるとともに、スイッチ334を介して、キャパシタ324の一端に接続されている。
また、入力線371の他端は、スイッチ335を介して、キャパシタ325の一端に接続されるとともに、スイッチ336を介して、キャパシタ326の一端に接続されている。
さらに、入力線371の他端は、スイッチ337を介して、キャパシタ327の一端に接続されるとともに、スイッチ338を介して、キャパシタ328の一端に接続されている。
出力線372の一端は、Nパスフィルタ部414の後述する入力線471に接続されている。出力線372からは、Nパスフィルタ部314でのフィルタリング後のシングルエンド信号が出力される。
出力線372の他端は、キャパシタ321ないし328それぞれの他端に接続されている。
キャパシタ381は、Nパスフィルタ部314と414との接続点に、段間容量として挿入されている。
すなわち、Nパスフィルタ部314の出力線372と次段のNパスフィルタ部414の入力線471との接続点と、GNDとの間に、キャパシタ381が挿入されている。
Nパスフィルタ部414は、リングカウンタ320に相当するブロックが設けられていないことを除いて、Nパスフィルタ部314と同様に構成される。
したがって、Nパスフィルタ部414は、そこに入力されるシングルエンド信号を、Nパスフィルタ部314と同様にフィルタリングして出力する。
Nパスフィルタ部414は、キャパシタ421ないし428、スイッチ431ないし438、入力線471、及び、出力線472を有する。
Nパスフィルタ部414のキャパシタ421ないし出力線472は、Nパスフィルタ部314のキャパシタ321ないし出力線372と、それぞれ同様に構成される。
したがって、Nパスフィルタ部414のスイッチ431ないし438は、Nパスフィルタ部314のスイッチ321ないし338とそれぞれ同様に、リングカウンタ320が出力する図2の駆動パルスphiに従ってオン又はオフになる。
Nパスフィルタ部414は、Nパスフィルタ部314の後段に縦続に接続されている(Nパスフィルタ部314と414とが2段の縦続接続になっている)。
すなわち、Nパスフィルタ部414の入力線471は、Nパスフィルタ部314の出力線372と接続されている。
そして、上述したように、Nパスフィルタ部314の出力線372とNパスフィルタ部414の入力線471との接続点には、一端がGNDに接続されたキャパシタ381が接続されている。
Nパスフィルタ部414の出力線472は、出力端子316Aに接続されている。
以上のように構成される帯域除去フィルタでは、Nパスフィルタ部314において、入力端子311Aから抵抗312を介して入力線371に入力されるシングルエンド信号がフィルタリングされる。
Nパスフィルタ部314でフィルタリングされたシングルエンド信号は、出力線372から出力され、Nパスフィルタ部414の入力線471に入力される。
Nパスフィルタ414では、入力線471に入力されるシングルエンド信号がフィルタリングされる。
そして、フィルタリング後のシングルエンド信号が、出力線472から出力され、出力端子316Aに供給される。
以上のように、シングルエンド信号をフィルタリングする帯域除去フィルタにおいて、Nパスフィルタ部314と414とを2段の縦続接続にして、そのNパスフィルタ部314と314との間に、キャパシタ381を設けることで、差動信号をフィルタリングする図6の帯域除去フィルタの場合と同様に、インピーダンス整合を向上させることができる。その結果、帯域除去フィルタの入力反射係数S11を小さくし、帯域除去フィルタの減衰量を大幅に増大させることができる。
なお、図23では、Nパスフィルタ部314及び414の2個のNパスフィルタを縦続に接続して、帯域除去フィルタを構成したが、帯域除去フィルタは、3個以上のNパスフィルタを縦続に接続し、Nパスフィルタどうしの接続点に、キャパシタを挿入して構成することができる。
<帯域除去フィルタの第11実施の形態>
図24は、本技術を適用した帯域除去フィルタの第11実施の形態の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図23の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図24において、帯域除去フィルタは、シングルエンド入力端子311、抵抗312、Nパスフィルタ部314、抵抗315、シングルエンド出力端子316、及び、クロック発振器317を有する点で、図23の場合と共通する。
但し、図24の帯域除去フィルタは、キャパシタ391が新たに設けられている点で、図23の場合と相違する。
さらに、図24の帯域除去フィルタは、Nパスフィルタ部414が設けられていない点で、図23の場合と相違する。
以上のように、図24の帯域除去フィルタでは、Nパスフィルタ部414が設けられていないので、Nパスフィルタ314の出力線372は、一端がGNDに接続された抵抗315と、出力端子316Aとに接続されている。
キャパシタ391は、図11のキャパシタ91と同様に、帯域除去フィルタの中心周波数をシフトさせる周波数シフト容量として、入力線371と出力線372との間に挿入されている。
すなわち、キャパシタ391の一端は、入力線371に接続され、キャパシタ391の他端は、出力線372に接続されている。これにより、キャパシタ391は、入力線371と出力線372とを接続している。
図24の帯域除去フィルタでは、キャパシタ91及び92が設けられた図11の帯域除去フィルタの場合と同様に、中心周波数が、キャパシタ391が設けられていない場合よりも下がる(下方にシフトする)。
すなわち、図24の帯域除去フィルタによれば、クロックCLKの周波数を変化させることなく、中心周波数を、キャパシタ391が設けられていない場合の中心周波数から下方にシフトすることができる。
ここで、図24のキャパシタ391は、図23のNパスフィルタ部314及び414の一方又は両方に設けることができる。キャパシタ391を、図23のNパスフィルタ部314及び414の両方に設けた場合には、図20の場合と同様に、中心周波数を下方にシフトし、減衰量の大きな周波数特性を得ることができる。キャパシタ391を、図23のNパスフィルタ部314及び414の一方に設けた場合には、図18の場合と同様に、減衰する周波数の帯域幅を拡大することができる。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、Nパスフィルタ部14等のNパスフィルタのパス数Nとして、8パスを採用することとしたが、パス数Nは、8パスに限定されるものではない。
また、本技術の帯域除去フィルタは、例えば、BANの受信機において、NFCの13.56MHzの干渉妨害波を除去する場合、その他の無線通信において、妨害波を除去する場合に適用することができる。
さらに本技術の帯域除去フィルタは、任意の装置において、任意の周波数成分を除去する場合に適用することができる。
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。