JP6686835B2 - サイレージフィルムおよびサイレージフィルムの製造方法 - Google Patents

サイレージフィルムおよびサイレージフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はサイレージフィルムに関し、特に、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層を有するサイレージフィルム、およびサイレージフィルムの製造方法に関するものである。
従来、牧草から家畜の飼料となるサイレージを作成するために、塔型サイロを用いるのが一般的であった。しかし、塔型サイロは規模が大きく、また牧草の詰め込みに大きな労力がかかるため、仕事量、経済的負担が共に大きかった。そのため、近年は熱可塑性樹脂フィルムを用いた簡易型サイロが普及している。
例えば具体的には、丘陵地の斜面を削ってコンクリートを張り、そこに牧草等の材料を敷き詰め、上部を熱可塑性樹脂フィルムで覆うバンカーサイロ;地中に穴を掘り、コンクリートや木材で壁をつくり、そこに牧草等を敷き詰めて上部を熱可塑性樹脂フィルムで覆う地下型(もしくは半地下型)サイロ;熱可塑性樹脂フィルムで作成された大型バッグに材料を詰め込んで封をするバッグサイロ;熱可塑性樹脂チューブを用い、専用機械を用いて高密度の詰め込みが可能となるチューブサイロ;地上に材料を堆積させシートで被覆するスタックサイロ;刈り取った牧草を大型機械でまとめて円筒形(ロールベール)や直方体形(スクエアベール)に整形し、かかる整形物を幅広の熱可塑性樹脂製フィルムでラッピングするラップサイロ等が上げられる。
中でも、特にラップサイロが広く普及している。ラップサイロは整形した牧草をフィルムで巻き上げて密閉包装するため、フィルム内の酸素量が低下して嫌気性条件に変わり、サイレージが調整されるというものである。
このような簡易型サイロに用いる熱可塑性樹脂フィルム(以下、サイレージフィルムと称する)として、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと称することがある)を用いる技術が知られている。たとえば、エチレン含有量20〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物およびエチレン含有量70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B)の配合割合が、重量比にて(A)/(B)=99/1〜70/30である樹脂組成物層を少なくとも1層有することを特徴とするサイレージフィルムが知られている(特許文献1参照)。
かかるEVOHは、高分子側鎖に水酸基を豊富に有する熱可塑性樹脂であり、かかる水酸基が水素結合するために、結晶性が高く、さらに非晶部分においても分子間力が高いという特性を有するため、優れたガスバリア性を示す。したがって、かかるEVOHを用いる上記サイレージフィルムを用いてサイレージを作成する場合、カビ発生が抑制される。
また、EVOHに対し分子量が200以下であり、分子量に対する1分子中の水酸基数の日が0.02〜0.03の範囲であり、融点が23℃以上の水酸基含有化合物を3〜15質量%含有させることで、高い酸素バリア性と延伸性(ラッピング適性)を有するサイレージフィルムが知られている(特許文献2参照)。
特開2011−046929号公報 国際公開第2016/84840号
特にラップサイロにおいては、牧草の塊をラップする際に破断し難く、同時に密着性よくラップする目的で、さらに高いラッピング特性(延伸性)が求められている。特に、茎が太い牧草を用いてラップサイロを作成する場合には、前記茎の硬度が高く、突き刺しによりフィルムが破断し、サイロ作成の作業効率が低下するリスクが高まるため、従来よりもさらに破断耐性の高いフィルムが求められていた。
本発明者らは上記事情に鑑み鋭意検討の結果、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層を有するサイレージフィルムにおいて、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を含有するポリオレフィン系樹脂(1)層を有し、前記ポリオレフィン系樹脂(1)層におけるエチレン−酢酸ビニル系共重合体の濃度を特定少量とすることによって、ラッピング特性(延伸性)がよく、かつ破断耐性が強いサイレージフィルムを提供することが可能となった。
すなわち、本発明の要旨は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を含有するポリオレフィン系樹脂組成物(1)層と、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(2)層とを有し、
前記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層におけるエチレン−酢酸ビニル系共重合体の濃度が、0.1〜10重量%であることを特徴とするサイレージフィルムに存する。
また、本発明はサイレージフィルムの製造方法も提供する。
本発明のサイレージフィルムは、上記のような層構成とすることにより、牧草の塊をラップする際に破断し難く、密着性よくラップ可能であるという高いラッピング特性(延伸性)を有し、かつ破断耐性が高いサイレージフィルムを提供することが可能となった。
本発明のサイレージフィルムは上記構成とすることにより、ポリオレフィン樹脂層内に、エチレン−酢酸ビニル系共重合体が特定少量にて分散性良く存在するために、ポリオレフィン系樹脂層が適度な柔軟性を有し、かつ破断耐性が向上したものと推測される。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
はじめに本発明のサイレージフィルムに用いる各層について説明する。
〔EVOH(2)層の説明〕
本発明のサイレージフィルムが有するEVOH層について説明する。該EVOH層は主としてEVOHからなる層であり、通常EVOH層の50重量%超がEVOHである。好ましくは70〜100重量%であり、特に好ましくは75〜90重量%がEVOHである。
かかるEVOHは、ガスバリア性を有する公知の非水溶性の熱可塑性樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体を、ケン化することによって得られる。エチレン−ビニルエステル系共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。ビニルエステル系モノマーとしては、代表的には酢酸ビニルである。
本発明に用いられるEVOHのエチレン含有量とは、ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有量が通常20〜60モル%である。そして、好ましくは25〜55モル%、さらに好ましくは35〜50モル%、特に好ましくは38〜48モル%である。エチレン構造単位の含有量が少なすぎると、フィルムの柔軟性が低下する傾向にある。一方、エチレン構造単位の含有量が高くなりすぎると、ガスバリア性が不十分となる傾向にある。
また、ビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、通常95モル%以上であり、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。ケン化度が低くなると、ガスバリア性が低下する傾向にあるからである。
さらに、EVOHのメルトフローレート(MFR)においては、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分であり、特に好ましくは1〜20g/10分である。MFRの値が小さすぎる場合、押出成形時にトルクが高くなりすぎたり、得られるフィルムに縦スジが発生するという傾向があり、一方、MFRの値が大きすぎる場合、押出成形性が不安定になったり、得られるフィルムの膜厚がばらついたりする傾向がある。
本発明に用いられるEVOHとしては、上記要件を充足するEVOHであれば、エチレン含有量、ケン化度、MFRが異なる2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明に用いられるEVOHとしては、共重合体中に更に少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3―ブテン―1,2―ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーを共重合したものであっても差し支えない。さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化、エポキシ化等「後変性」されていても差し支えない。
特にヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOHは、成形性や延伸性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオールを側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
本発明で用いられるEVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲において、あらかじめ一般にEVOHに配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ土類金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、周期律表第4周期dブロックに属する金属塩(亜鉛、銅等)などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ土類金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、周期律表第4周期dブロックに属する金属塩(亜鉛、銅等)などの塩等の添加剤を添加してもよい。これらのうち、特に、酢酸、リン酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。
酢酸を添加する場合、その添加量は、EVOH100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。酢酸の添加量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると厚みや外観が均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
リン酸を添加する場合、その添加量は、EVOH100重量部に対して(硫酸と硝酸で加熱分解してリン酸根を原子吸光度法にて分析)通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。リン酸の添加量が少なすぎると、リン酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると厚みや外観が均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、ホウ素化合物を添加する場合、その添加量は、EVOH100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。ホウ素化合物の添加量が少なすぎると、ホウ素化合物の添加効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると厚みや外観が均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の添加量としては、EVOH100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると得られるフィルムが着色したり臭気が発生したりする傾向がある。尚、EVOHに2種以上の塩を添加する場合は、その総量が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
本発明のサイレージフィルムにおけるEVOH層には、エチレン含有量70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(以下、かかる成分を高エチレンEVOHと称することがある。)を含むことが好ましい。かかる高エチレンEVOHを用いることで、EVOHのガスバリア性を損なうことなく、かつ突き刺し強度や引っ張り伸び性が良好となる傾向がある。
かかる高エチレンEVOHは、エチレン含有量70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル系共重合体の酢酸ビニル成分をケン化することによって得られるものであり、エチレン含有量においてEVOHとは異なるものである。
上記高エチレンEVOHは、エチレンおよび酢酸ビニルを公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により製造し、公知の方法でケン化したものである。かかる高エチレンEVOHのエチレン含有量は、ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有量が70モル%以上であり、その上限は通常98モル%以下である。かかるエチレン含有量について、好ましくは75〜95モル%、より好ましくは80〜95モル%である。エチレン含有量が少なすぎた場合、突き刺し強度や引っ張り破断伸び性の向上効果が低下する傾向にある。
また、上記高エチレンEVOHのケン化度としては、JIS K6726に基づいて測定した値で、通常20モル%以上であり、好ましくは40〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%である。上記ケン化度が低すぎた場合、EVOHとの親和性が低下し、フィルム外観が悪化したり突き刺し強度や引っ張り破断伸び性の向上効果が十分に得られない傾向がある。
上記高エチレンEVOHのメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)としては、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、より好ましくは2〜30g/10分であることが、分散性に優れ本発明の効果に優れる点で好ましい。
また、上記高エチレンEVOHの密度は通常500〜1500kg/m3、好ましくは800〜1200kg/m3、特に好ましくは900〜1100kg/m3である。
上記高エチレンEVOHは、本発明の趣旨を阻害しない範囲で、上記EVOH樹脂と同様の、共重合可能な他のモノマーを共重合していてもよい。
上記高エチレンEVOHは、本発明の趣旨を阻害しない範囲で不飽和カルボン酸またはその無水物を、付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性体であってもよい。かかる変性量は、例えば具体的には10モル%以下が好ましい。上記不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸や、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸やその無水物、ハーフエステル等があげられ、中でも、無水マレイン酸が好適に用いられる。
本発明で用いられる高エチレンEVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲において、あらかじめ、一般に熱可塑性樹脂に配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記高エチレンEVOHは、上記の範囲内においてエチレン含有量、ケン化度、分子量、MFR、密度、変性基やその変性量等の異なる高エチレンEVOHを2種以上併せて用いることができる。
〔配合比率〕
本発明のサイレージフィルムに用いるEVOH(2)層が高エチレンEVOHを含む場合、その配合割合はEVOHと高エチレンEVOHの総和に対する高エチレンEVOHの重量比にて通常1〜40重量%であり、さらに好ましくは1〜30重量%であり、より好ましくは5〜25重量%であり、さらに好ましくは10〜28重量%であり、さらに好ましくは15〜25重量%である。
EVOHを主成分とし、高エチレンEVOHを配合することにより、優れたガスバリア性を保持したまま、突き刺し強度や引っ張り破断伸び性を向上させることが可能となる。
〔その他の成分〕
上記EVOH層には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば通常樹脂組成物の20重量%未満、好ましくは1〜10重量%)にて、上記EVOH、高エチレンEVOH以外の熱可塑性樹脂や添加剤を含有していても良い。
上記高エチレンEVOH以外の熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂;ビニルエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ビニルエステル系樹脂にマレイン酸等の不飽和カルボン酸を付加反応またはグラフト反応することによって得られるカルボキシル基含有樹脂などが挙げられ、中でもカルボキシル基含有エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が好ましい。
上記添加剤としては、例えば酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等が挙げられる。
〔ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層〕
本発明のサイレージフィルムを構成するポリオレフィン系樹脂組成物(1)層について説明する。かかるポリオレフィン系樹脂組成物(1)は、主としてポリオレフィン系樹脂からなる層であり、通常ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層の50重量%超がポリオレフィン系樹脂である。好ましくは70〜100重量%であり、特に好ましくは75〜90重量%がポリオレフィン系樹脂である。
ポリオレフィン系樹脂としては、EVOH以外のポリオレフィン系樹脂を意味し、例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超低密度直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類(各々メタロセン触媒製を含む)、およびエチレン−αオレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン等;これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、環状ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン等が挙げられる。
中でも機械的強度や成形加工性の点で、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
特に、フィルムの突き刺し強度や引っ張り破断強度を向上するために、超低密度直鎖状ポリエチレン、メタロセン触媒製低密度直鎖状ポリエチレン、ポリオレフィン・プラストマーからなる少なくとも1種を低密度ポリエチレンと共に使用することが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分であり、特に好ましくは0.5〜20g/10分である。MFRの値が小さすぎる場合、押出成形時にトルクが高くなりすぎたり、得られるフィルムに縦スジが発生するという傾向があり、一方、MFRの値が大きすぎる場合、押出成形性が不安定になったり、得られるフィルムの膜厚がばらついたりする傾向がある。また、EVOH樹脂組成物のMFRとの差が小さいほうが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂の融点は、通常150〜300℃である。
本発明のサイレージフィルムは、上記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層において、エチレン−酢酸ビニル系共重合体(以下、EVAと称することがある)を特定少量にて含有することが特徴である。かかる成分を配合することにより、高いラッピング特性(延伸性)を有し、破断耐性の高いサイレージフィルムとなる。
かかるEVAは、非水溶性の樹脂であり、エチレンと酢酸ビニルを共重合体することによって得られる。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造される。
本発明に用いられるEVAのエチレン含有量とは、ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有量が通常70モル%以上である。そして、好ましくは75〜95モル%、さらに好ましくは75〜90モル%である。エチレン構造単位の含有量が少なすぎると柔軟性が低下する傾向にある。一方、エチレン構造単位の含有量が高くなりすぎるとEVOHとの親和性が低下する傾向にある。
なお、水酸基を豊富に有さないためにガスバリア性を有さない点で上記EVOHとは全く異なる樹脂である。かかるEVAのケン化度は通常0〜10%であり、好ましくは0%である。
上記EVAは、カルボキシル基、スルホン酸基などの酸性基を有していることも好ましい。かかる酸性基を有することで、樹脂の極性が向上しEVOHとの相溶性が向上するという傾向がある。かかる酸性基の含有量(モル%)としては通常0.1〜5%である。かかる含有量が大きすぎる場合、EVOHとのゲル化反応が促進されるという傾向があり、小さすぎる場合、EVOHとの親和性が低下する傾向がある。
さらに、EVAのメルトフローレート(MFR)においては、190℃、荷重2160g条件下で、通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分であり、特に好ましくは1〜20g/10分である。MFRの値が小さすぎる場合、押出成形時にトルクが高くなりすぎたり、得られるフィルムに縦スジが発生するという傾向があり、一方、MFRの値が大きすぎる場合、押出成形性が不安定になったり、得られるフィルムの膜厚がばらついたりする傾向がある。
本発明に用いられるEVAとしては、上記要件を充足するEVAであれば、エチレン含有量、MFRが異なる2種以上を混合して用いてもよい。
〔配合比率〕
本発明におけるポリオレフィン系樹脂組成物(1)における、EVAの含有量は、0.1〜10重量%であり、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1.5〜6重量%、特に好ましくは2〜5重量%である。かかる配合量が多すぎる場合ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層の物性が低下するという傾向があり、小さすぎる場合ポリオレフィン系樹脂組成物(1)に含まれる各樹脂の親和性が低下するという傾向がある。
〔その他の成分〕
上記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば通常樹脂組成物の5重量%未満、好ましくは1〜3重量%)にて、上記ポリオレフィン系樹脂や、EVA以外の熱可塑性樹脂や添加剤を含有していても良い。
上記高エチレンEVOH以外の熱可塑性樹脂としては、例えばビニルエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂、ビニルエステル系樹脂にマレイン酸等の不飽和カルボン酸を付加反応またはグラフト反応することによって得られるカルボキシル基含有樹脂などが挙げられる。
上記添加剤としては、例えば酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等が挙げられる。
〔疎水性樹脂層〕
本発明のサイレージフィルムは、上記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層において、EVA量が上記を満たさない疎水性樹脂層を有してもよい。
そして、上記の疎水性熱可塑性樹脂には、耐紫外線剤や粘着性成分を配合することが好ましい。耐紫外線剤としては、例えば紫外線吸収剤(具体的にはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤等)、光安定剤(具体的にはヒンダートアミン系光安定剤、ニッケル系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤)、着色剤等が挙げられ、紫外線吸収材は光安定剤と併用することにより、連鎖開始阻害剤とラジカル補足剤としての相乗効果が得られるため好ましい。
かかる耐紫外線剤の配合量は上記疎水性熱可塑性樹脂に対して通常1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。かかる配合量が少なすぎた場合、紫外線によって疎水性熱可塑性樹脂が劣化しやすくなるが、多く配合するほど耐紫外線効果が比例して向上するとは限らない。
また粘着性成分とは、例えばポリイソブテン等の脂肪族飽和炭化水素系樹脂や、脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられ、上記疎水性熱可塑性樹脂に対して通常1〜30重量%、好ましくは2〜22重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。かかる配合量が適切であればサイレージを本発明のフィルムにて覆う際にフィルム同士が圧着され、密封しやすく、フィルム同士が剥離されにくくなる。少なすぎる場合、フィルムが剥離して隙間が発生し、サイロ内に空気が流入する危険性が高くなり、多すぎる場合、フィルムのブロッキングが起こり、巻きつけ時に不具合が起こりやすくなる傾向がある。
〔接着性樹脂層〕
接着性樹脂層を構成する接着性樹脂としては特に限定されず、公知の接着性樹脂を用いればよい。一般的には、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(前述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれる1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。かかる接着性樹脂は上記疎水性熱可塑性樹脂層における疎水性熱可塑性樹脂には含まない。
〔任意層〕
また、本発明のサイレージフィルムは、これらの樹脂層の他に、紙、金属箔、1軸又は2軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面、アルミやシリカ蒸着と組み合わせた層を有してもよい。
<サイレージフィルム>
本発明のサイレージフィルムは、上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体を含有するポリオレフィン系樹脂組成物層(1)と、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層(2)とを有し、前記ポリオレフィン系樹脂組成物層(1)におけるエチレン−酢酸ビニル系共重合体の濃度が、0.1〜10重量%であることを特徴とする。
EVOHを用いるサイレージフィルムを用いてサイレージを作成する場合、EVOHの持つ高度なガスバリア性によりカビ発生が抑制される傾向がある。一方、EVOHは水分の存在によりガスバリア性が低下するため、本発明のサイレージフィルムは、水のバリア性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物層(1)または疎水性熱可塑性樹脂層にて、EVOH層を接着性樹脂層を介して挟持する構成の多層構造体が好ましく用いられる。
EVOHを用いるサイレージフィルムを用いてサイレージを作成する場合、EVOHの持つ高度なガスバリア性によりカビ発生が抑制される傾向がある。一方、EVOHは水分の存在によりガスバリア性が低下するため、本発明のサイレージフィルムは、水のバリア性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物層(1)または疎水性熱可塑性樹脂層にて、EVOH層を接着性樹脂層を介して挟持する構成の多層構造体が好ましく用いられる。
本発明のサイレージフィルムの層構成は、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層を(1)、EVOH(2)層を(2)、接着性樹脂層をa、疎水性熱可塑性樹脂層をbとするとき、通常3〜20層、好ましくは3〜15層、特に好ましくは5〜10層である。うち、EVOH層は経済性およびガスバリア性維持の観点から、通常1層である。
例えば具体的には、(2)/a/(1)、(1)/a/(2)/a/(1)、b/a/(2)/a/(1)、b/(1)/a/(2)/a/b、b/(1)/a/(2)/a/(1)/b等任意の組み合わせが可能である。
該サイレージフィルムを製造する過程で発生する端部や不良品等の回収物を再溶融成形して得られる、リサイクル層を設けても良い。
上記の中でも、疎水性熱可塑性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層/接着性樹脂層/EVOH(2)層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層/疎水性熱可塑性樹脂層という構成の多層構造体とすることが最も好ましい。
<サイレージフィルムの製造方法>
本発明のサイレージフィルムの製造方法としては、EVOHを溶融した状態で成形する方法(溶融成形法)と、EVOHを溶媒に溶解して成形する方法(例えば溶液コート法)等に大別される。中でも生産性の観点から、溶融成形法が好ましい。
具体的には、例えば、EVOHの成形品(例えばフィルムやシート)にポリオレフィン系樹脂組成物(1)層と接着性樹脂を溶融押出する方法、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)のフィルムやシートに接着性樹脂およびEVOHを溶融押出する方法、EVOH層とポリオレフィン系樹脂組成物(1)を接着性樹脂を介して共押出する方法が挙げられ、詳細にはT−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、異型押出等が採用される。特に、インフレーション押出法を採用する場合、サイレージフィルムの機械強度の点からそのブローアップ比は、通常1〜10であり、好ましくは2〜8である。
ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層中のEVAの濃度を調節する方法としては公知の方法でよく、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)とEVAをドライブレンドしてもよいし、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)とEVAをあらかじめ溶融混合して例えばペレット状とし、かかるペレットを使用してもよい。
また、製造コスト削減の観点から、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)の原料としてサイレージフィルムの廃棄物や端部、不良品等の回収物を用いることが好ましい。
すなわち本発明のサイレージフィルムの製造方法として、ポリオレフィン系樹脂層と、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層とを有するサイレージフィルムを回収する工程、前記サイレージフィルムの回収物、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を用い、前記エチレン−酢酸ビニル系共重合体の濃度が、0.1〜10重量%であるポリオレフィン系樹脂組成物(1)を調整する工程、上記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層、およびエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(2)層を含むフィルムを成形する工程を含む製造方法を採用することが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)中のEVA量を調節する目的で、改質剤として、EVAおよびエチレン含有量70モル%以上のEVOHを含有する樹脂組成物であって、エチレン含有量70モル%以上のEVOHの含有量が、EVA100重量部に対して、1〜30重量部である樹脂組成物を用いることも好ましい。
本発明のサイレージフィルムの厚みとしては、その全厚みが、通常5〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μm、特に好ましくは20〜50μmである。
また、サイレージフィルム中のEVOH(2)層の厚みは、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。かかる厚みが厚すぎる場合にはフィルムの機械物性が低下する傾向であり、薄過ぎる場合にはガスバリア性が大幅に低下するという傾向がある。
ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層の厚みは、通常5〜20μm、好ましくは8〜17μm、特に好ましくは10〜15μmである。そして、EVOH(2)層にするポリオレフィン系樹脂組成物(1)層の厚み比は、各層が複数ある場合は同種層の厚みの総和同士の比(ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層/EVOH(2)層)にて、通常1〜20であり、好ましくは5〜15であり、特に好ましくは8〜12である。かかるポリオレフィン系樹脂組成物(1)層の厚みが厚すぎる場合には破断耐性が低下する傾向であり、薄過ぎる場合にはフィルムの柔軟性が低下するという傾向がある。
本発明のサイレージフィルムが疎水性熱可塑性樹脂層を有する場合、その厚みは、疎水性熱可塑性樹脂層が複数ある場合は全て足し合わせた厚みにて、通常0.5〜200μm、好ましくは1〜100μm、特に好ましくは10〜100μmである。接着性樹脂層の厚みは、特に限定しないが、通常0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜5μmである。
また、サイレージフィルム中の疎水性熱可塑性樹脂層が複数ある場合には、それぞれの層の厚みが、通常0.5〜100μm、好ましくは1〜10μmである。
本発明のサイレージフィルムにおける上記疎水性熱可塑性樹脂層/上記EVOH層の厚み比は、疎水性熱可塑性樹脂への水分混入を抑制する目的から、疎水性熱可塑性樹脂層のほうが厚いことが好ましい。各層が複数ある場合は同種層の厚みの総和同士の比で、通常1超〜200であり、好ましくは2〜10である。
本発明のサイレージフィルムにおける上記接着性樹脂層/上記EVOH層の厚み比は、各層が複数ある場合は最も薄い層同士の比で通常0.1〜2であり、好ましくは0.2〜1、特に好ましくは0.2〜0.9である。生産性の点で接着性樹脂層のほうが薄いことが好ましい。
本発明のサイレージフィルムは、通常、上記のように、疎水性熱可塑性樹脂や接着性樹脂、EVOHと積層したのみであり、延伸処理を行わないフィルムであるが、必要に応じて延伸処理されていてもよい。
なお、延伸については、公知の延伸方法でよく、例えば、一軸延伸、二軸延伸等が挙げられる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸方法としては、例えばテンター式延伸やダブルバブル式延伸などが挙げられる。延伸温度は、多層構造体の温度(多層構造体近傍温度)で、通常50〜200℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。本発明のサイレージフィルムは、サイレージのラップ時に常温にて延伸する場合があるため、本延伸工程においては、延伸倍率を、後ほど常温延伸する余地が残る程度にとどめるほうがよい。
〔サイレージの作成方法〕
本発明のサイレージフィルムを用いたサイレージの作成方法は特に限定するものではない。
サイレージ原料としては、常用される原料が適宜用いられ、通常は牧草である。例えば具体的には、オーチャードグラス、チモシー、ペレニアンライグラス、イタリアンライグラス、ケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、スーダングラス、ワラ等のイネ科植物;シロクローバー、アカクローバー、アルファルファ等のマメ科植物;トウモロコシ類;その他あぜ草、野草、野菜屑等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用してもよい。
また、オールインサイレージのように、上記の牧草に、0.1〜30重量%にて穀類、ぬか類、大豆、大豆粕、ビール粕、などの濃厚飼料や未利用・低利用飼料資源などの副資材を一緒に混ぜてサイレージ化することも可能である。
本発明のサイレージフィルムは、牧草サイレージ用として用いることが好ましく、特には牧草を70〜99.9重量%にて含有するサイレージを包装するフィルムとして用いることが好ましい。
サイレージ化の方法としては、通常のサイレージを作る方法を採用する。たとえば、原料を必要に応じて適度な水分含量(通常、30〜70重量%)に乾燥し、これを、各種のサイロ形状に応じて密封条件下におく。
このとき、サイレージ原料を細断したり、踏圧したりしてサイレージ原料密度を上げ、フィルム内の酸素残存量を少なくするようにした場合、好気性細菌の活動やカビの発生が抑制され、良いサイレージが得られる傾向がある。
上記のようにサイレージを各種サイロに密封し、嫌気性条件下で貯蔵し、発酵させればよい。かかる貯蔵期間は、通常1〜36ヶ月、さらには2〜24ヶ月である。
本発明のサイレージフィルムを用いるサイロの形態としては、特に限定されるものではなく、例えば上記したようなバンカーサイロ、地下型(もしくは半地下型)サイロ、バッグサイロ、チューブサイロ、スタックサイロ、ラップサイロ等、種々の形態が挙げられる。
特に、ラップサイロを作成する場合には、まず牧草を所望の容量(例えば0.1〜50m3、好ましくは1〜30m3)に牧草を整形する。たとえば円筒状のロールベールサイロの場合、その大きさは通常直径0.5〜3m、好ましくは1〜2m、高さは通常0.5〜3m、好ましくは1〜2mである。
そして、整形した牧草に通常のラップ巻きつけ機を使用して本発明のサイレージフィルムを巻きつけ、サイレージを密封する。かかるフィルムを上記牧草に巻きつける際には、サイレージ中に残存する空気を可能な限り減少させることが好ましいため、フィルムに張力をかけて延伸しながら巻きつけ、サイレージに対してフィルムを密着させることが好ましい。
かかる延伸倍率は通常1.1〜5倍であり、好ましくは1.3〜3倍であり、特に好ましくは1.5〜2倍である。
また、サイレージフィルムの巻きつけ回数は、通常2〜10重、好ましくは2〜8重、特に好ましくは2〜5重である。
本発明のサイレージフィルムは、牧草の塊をラップする際に破断し難く、密着性よくラップ可能であるという高いラッピング特性(延伸性)を有し、かつサイレージ作成後、開封時にはフィルムを破断することにより容易に開封可能となる易破袋性を有するため、サイレージ作成時のフィルムとして有用であり、特にラップサイロ用途に有用である。
サイレージ化した飼料は、そのまま飼料として与えても良いし、穀類、ぬか類、大豆などの蛋白質含量の高い濃厚飼料を添加して混合飼料として調整をしても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、実施例中「部」「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔評価方法〕
(1)延伸性(ラッピング適性)
得られたサイレージフィルムを用いて、下記の条件にて破断点応力および破断伸度を測定した。その結果を表1に示す。
装置 :島津製作所製 オートグラフAGS−H
サンプル:15mm短冊形(n=5;上記フィルムをMD/TD方向に切り出したもの)
条件 :チャック間距離50mm 引張速度500mm/分
環境 :23℃、50%RH
(2)破断耐性
得られたサイレージフィルムを用いて、下記の条件にて破断耐性を測定した。かかる値が高いほど、フィルムが破断し難くサイレージ作成作業効率に優れることを意味する。その結果を表1に示す。
装置 :安田精機製作所 エルメンドルフ形引裂度試験機
サンプル:幅63mm、長さ76mm
条件 :ISO6383−2準拠
環境 :23℃、50%RH
実施例1
疎水性熱可塑性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂組成物層(1)/接着性樹脂層/EVOH(2)層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂組成物層(1)/疎水性熱可塑性樹脂層=厚み6μm/14μm/1μm/1μm/1μm/14μm/6μm(全厚43μm)という層構成を有するサイレージフィルムを作成した。
EVOH(2)層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン含有量44モル%、ケン化度99.7モル%、MFR(210℃、2160g)3.5g/10分)を用いた。
接着性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(デュポン社製 Bynel4140)を10%、ポリエチレン系樹脂(αオレフィンーエチレンコポリマー)90%のブレンド物を用いた。
疎水性熱可塑性樹脂層として、直鎖状ポリエチレン系樹脂組成物 90部、低密度ポリエチレン 10部をドライブレンドした疎水性熱可塑性樹脂組成物を用いた。
ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層として、上記疎水性熱可塑性樹脂組成物に対し、上記EVOHを上記接着性樹脂を介して上記疎水性熱可塑性樹脂組成物にて挟持した多層フィルム(厚み 20μ/1μ/1.5μ/1μ/20μ:全厚43.5μm)を15重量%、EVA(酢酸ビニル含有量28モル%)を2.64重量%、高エチレン含有EVOH(エチレン含有量72モル%、酢酸ビニル含有量28モル%、けん化度100%)0.06重量%含有する樹脂組成物を用いた。
〔サイレージフィルムの作製〕
上記構造のサイレージフィルムを下記条件で製膜し、幅 750mm、全厚43μmのサイレージフィルムを得た。
ダイ:450mm、設定温度220℃
フィルム引取速度:45m/分
比較例1
実施例1において、サイレージフィルムのポリオレフィン系樹脂組成物(1)層を用いず、疎水性熱可塑性樹脂層(II)/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/疎水性熱可塑性樹脂層(II))=厚み 20μm/1μm/1μm/1μm/20μm (全厚 43μm)とした以外は同様に行い、得られたサイレージフィルムを同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006686835
表1の結果より、EVAを特定少量にて用いたポリオレフィン系樹脂組成物(1)層を有するサイレージフィルムを用いた実施例1においては、破断点応力と破断伸度が共に向上し、優れた延伸性を有することがわかった。さらに、破断耐性が高く優れた値となったため、作業効率が高いことがわかった。
すなわち、本発明のサイレージフィルムは、高いラッピング特性(延伸性)を有し、かつ破断耐性をも有する優れたサイレージフィルムであることがわかった。
実施例2
疎水性熱可塑性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂組成物層(1)/接着性樹脂層/EVOH(2)層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂組成物層(1)/疎水性熱可塑性樹脂層=厚み5μm/5μm/2μm/1μm/2μm/5μm/2μm(全厚20μm)という層構成を有するサイレージフィルムを作成した。
EVOH(2)層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン含有量44モル%、ケン化度99.7モル%、MFR(210℃、2160g)3.5g/10分)を80部、高エチレンEVOHとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、東ソー社製”メルセンH0051K“エチレン含有量89モル%、ケン化度99モル%、MFR(190℃、2160g)6.5g/10分、密度970kg/m3)を17部、カルボキシル基含有エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製 フサボンドC190)を3部用いた。
かかる樹脂組成物をドライブレンドし、下記条件で溶融混練してストランド状に押し出した。かかるストランドをペレタイザーでカットして、円柱形ペレット状のEVOH樹脂組成物を得た。得られたEVOH樹脂組成物のペレットをEVOH(2)層に用いた。
接着性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(デュポン社製 Bynel4140)を10部、ポリエチレン系樹脂(αオレフィンーエチレンコポリマー)90部のブレンド物を用いた。
疎水性熱可塑性樹脂層として、直鎖状ポリエチレン系樹脂組成物 90部、低密度ポリエチレン 10部をドライブレンドした疎水性熱可塑性樹脂組成物を用いた。
ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層として、上記疎水性熱可塑性樹脂組成物に対し、上記EVOH樹脂組成物を上記接着性樹脂を介して上記疎水性熱可塑性樹脂組成物にて挟持した多層フィルム(厚み 20μ/1μ/1.5μ/1μ/20μ:全厚43.5μm)を15重量%、EVA(酢酸ビニル含有量28モル%)を2.64重量%、高エチレン含有EVOH(エチレン含有量72モル%、酢酸ビニル含有量28モル%、けん化度100%)を0.06重量%含有する樹脂組成物を用いた。なお、このときポリオレフィン系樹脂組成物(1)層中の上記EVAおよびカルボキシル基含有エチレン−酢酸ビニル共重合体の濃度は2.68重量%であった。結果を表2に示す。
〔サイレージフィルムの作製〕
上記構造のサイレージフィルムを下記条件で製膜し、幅 750mm、全厚43μmのサイレージフィルムを得た。
ダイ:450mm、設定温度220℃
フィルム引取速度:45m/分
比較例2
実施例2において、サイレージフィルムのポリオレフィン系樹脂組成物(1)層を用いず、疎水性熱可塑性樹脂層(II)/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/疎水性熱可塑性樹脂層(II))=厚み 20μm/1μm/1μm/1μm/20μm (全厚 43μm)とした以外は同様に行い、得られたサイレージフィルムを同様に評価した。結果を表2に示す。
比較例3
実施例2において、ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層として、上記疎水性熱可塑性樹脂組成物に対し、上記EVOH樹脂組成物を上記接着性樹脂を介して上記疎水性熱可塑性樹脂組成物にて挟持した多層フィルム(厚み 20μ/1μ/1.5μ/1μ/20μ:全厚43.5μm)を15重量%含有する樹脂組成物を用いた以外は同様に行い、得られたサイレージフィルムを同様に評価した。なお、このときポリオレフィン系樹脂組成物(1)層中の上記カルボキシル基含有エチレン−酢酸ビニル共重合体の濃度は0.04重量%であった。結果を表2に示す。
Figure 0006686835
表2の結果より、EVAを特定少量にて用いたポリオレフィン系樹脂組成物(1)層を有するサイレージフィルムを用いた実施例2においては、EVAを特定少量にて用いないポリオレフィン層を用いた比較例2および比較例3と比較して破断点応力、破断伸度共に数値が向上し、優れた延伸性を有することがわかった。さらに、作業効率性においても、破断耐性が向上し優れた値となった。
すなわち、本発明のサイレージフィルムは、高いラッピング特性(延伸性)を有し、かつ破断耐性をも有する優れたサイレージフィルムであることがわかった。

Claims (4)

  1. エチレン−酢酸ビニル系共重合体を含有するポリオレフィン系樹脂組成物(1)層と、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(2)層とを有し、
    前記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層における上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体の濃度が、0.1〜10重量%であることを特徴とするサイレージフィルム。
  2. 前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(2)層が、エチレン含有量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物を含有することを特徴とする請求項1に記載のサイレージフィルム。
  3. 全厚みが10〜300μmであることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のサイレージフィルム。
  4. ポリオレフィン系樹脂層と、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層とを有するサイレージフィルムを回収する工程、
    前記サイレージフィルムの回収物、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体を用い、前記エチレン−酢酸ビニル系共重合体の濃度が、0.1〜10重量%であるポリオレフィン系樹脂組成物(1)を調整する工程、
    上記ポリオレフィン系樹脂組成物(1)層、およびエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(2)層を含むフィルムを成形する工程
    を含むことを特徴とするサイレージフィルムの製造方法。
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