JP6685443B2 - 音響装置、欠落帯域推定装置、信号処理方法及び周波数帯域推定装置 - Google Patents

音響装置、欠落帯域推定装置、信号処理方法及び周波数帯域推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、音響装置、欠落帯域推定装置、信号処理方法及び信号処理プログラム、並びに、当該信号処理プログラムが記録された記録媒体、及び、周波数帯域推定装置に関する。
近年、デジタル形式で記録された音響コンテンツを再生する音響装置が広く普及している。こうした音響コンテンツのデータは、多くの場合に、ファイルサイズを縮小するために、MP3(MPEG(Moving Picture Expert Group) Audio Layer-3)等の方式によってデジタル圧縮処理が施されている。かかるデジタル圧縮処理が行われて生成された圧縮音声データを解凍して得られる圧縮音声信号は、圧縮処理前の音声データを得る際に採用されたサンプリング周波数(FS)によって制限される帯域よりも更に高音帯域が制限された音声信号となっている。そして、圧縮処理により制限される高音帯域は、同一方式による圧縮処理であれば、ビットレートが低くなるほど(すなわち、圧縮率が高くなるほど)広くなる。
このため、ビットレートに応じた、すなわち、圧縮率の応じた圧縮処理に起因して信号成分が欠落することになった高音帯域を補間する技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」という)。この従来例の技術では、判別手段が、圧縮音声データを解凍して得られる圧縮音声信号とは分離されているビットレート等の情報を読み取る。引き続き、当該判別手段が、読み取られたビットレート等に基づいて、高調波発生手段が発生した高調波信号を通過させるハイパスフィルタのカットオフ周波数を設定することにしている。こうしてカットオフ周波数が設定されたハイパスフィルタを通過した信号が圧縮音声信号と合成されることにより、高音帯域の信号成分が補間される。
特開2004―317622号公報
上述した従来例の技術では、判別手段が、高調波発生手段が発生した高調波信号に対してハイパスフィルタリング処理を施すハイパスフィルタのカットオフ周波数を適切に設定するために、圧縮音声データとは分離されているビットレート等の情報を読み取るようになっている。すなわち、従来例の技術では、判別手段が、圧縮音声データ及びビットレート等の情報が記憶された記憶装置にアクセスできるようになっている。
ところで、近年においては、圧縮音声データ及びビットレート等の情報は、小型の携帯端末装置により、音響コンテンツとして、ネットワーク上のサーバからダウンロードされる場合が多い。このため、小型の携帯端末装置により生成される圧縮音声信号を、別の音響装置へ送り、当該音響装置により高音帯域の補間を行った高品質な音声信号とした上で、音声出力をすることがある。
かかる場合に従来例の技術を適用する際には、圧縮音声信号の経路とは異なる経路を介して、携帯端末装置から別の音響装置へビットレート等の情報を送信することが必要となる。したがって、携帯端末装置における機能の追加が必要となり、簡易な構成で高音帯域の補間を行った高品質な音声を出力できるとはいい難かった。
このため、簡易な構成で高音帯域の補間を行った高品質な音声を出力できる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
本発明は、第1の観点からすると、入力された音声信号の高調波を生成する高調波生成部と;カットオフ周波数が可変であり、前記高調波生成部が生成した前記高調波の高域成分を抽出する可変ハイパスフィルタ部と;第1のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第1のハイパスフィルタ部と;前記第1のカットオフ周波数よりも高い第2のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第2のハイパスフィルタ部と;前記第1のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルと、前記第2のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルとに基づいて、前記可変ハイパスフィルタ部のカットオフ周波数を制御する制御部と;を備えることを特徴とする音響装置である。
本発明は、第2の観点からすると、第1のカットオフ周波数を有し、入力された音声信号の高域成分を抽出する第1のハイパスフィルタ部と;前記第1のカットオフ周波数よりも高い第2のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第2のハイパスフィルタ部と;前記第1のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルと、前記第2のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルとに基づいて、前記入力された音声信号において信号成分が欠落している高音帯域を推定する推定部と;を備えることを特徴とする欠落帯域推定装置である。
本発明は、第3の観点からすると、入力された音声信号の高調波を生成する高調波生成部と;カットオフ周波数が可変であり、前記高調波生成部が生成した前記高調波の高域成分を抽出する可変ハイパスフィルタ部と;第1のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第1のハイパスフィルタ部と;前記第1のカットオフ周波数よりも高い第2のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第2のハイパスフィルタ部と;を備える音響装置において使用される信号処理方法であって、前記第1のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルと、前記第2のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルとを取得する取得工程と;前記取得工程における取得結果に基づいて、前記可変ハイパスフィルタ部のカットオフ周波数を制御する制御工程と;を備えることを特徴とする信号処理方法である。
本発明は、第4の観点からすると、音響装置が有するコンピュータに、本発明の信号処理方法を実行させる、ことを特徴とする信号処理プログラムである。
本発明は、第5の観点からすると、音響装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、本発明の信号処理プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
本発明は、第6の観点からすると、第1のカットオフ周波数を有し、入力された音声信号の高域成分を抽出する第1のハイパスフィルタ部と;前記第1のカットオフ周波数よりも高い第2のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第2のハイパスフィルタ部と;前記第1のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルと、前記第2のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルとに基づいて、前記入力された音声信号の周波数帯域を推定する推定部と;を備えることを特徴とする周波数帯域推定装置である。
本発明の一実施形態に係る音響装置の構成を概略的に示すブロック図である。 図1の音響装置に入力されるビットレートごとの圧縮音声信号の平均的なスペクトルを示す図である。 図1の欠落帯域推定装置の構成を示すブロック図である。 図3の2種のハイパスフィルタ(HPF)部のフィルタリング特性を説明するための図である。 3つのビットレートごとに、図3の2種のレベル検出部の検出対象に対応する信号成分を説明するための図である。 図1の合成部の構成を説明するためのブロック図である。 図1の装置による高域補間を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。なお、図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[構成]
図1には、一実施形態に係る音響装置100の概略的な構成が、ブロック図にて示されている。この図1に示されるように、音響装置100は、圧縮音声解凍装置(CADD)200及び音出力装置300と接続されている。
ここで、上記の圧縮音声解凍装置200は、MP3規格等の所定の標準規格に準拠して生成された圧縮音声データを解凍して、圧縮音声信号(音声信号)CADを生成する。こうして生成された圧縮音声信号CADが、音響装置100へ送られる。
なお、本実施形態では、圧縮音声信号CADは、「BR1」、「BR2(>BR1)」及び「BR3(>BR2)」の3種類のビットレートのいずれかに対応する圧縮音声信号となっている。
また、上記の音出力装置300は、スピーカSPを備えて構成されている。この音出力装置300は、音響装置100から送られた高域補間後の信号HIDを受ける。そして、音出力装置300は、高域補間後の信号HIDに従った音をスピーカSPから出力する。
<音響装置100の構成>
上記の音響装置100は、高調波生成部(HMG)110と、欠落帯域推定装置(MBE)120を備えている。また、音響装置100は、可変ハイパスフィルタ(HPF)部130と、合成部140とを備えている。
上記の高調波生成部110は、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CADを受ける。引き続き、高調波生成部110は、圧縮音声信号CADの所定の周波数帯域(0〜FH)の成分の第1〜第N次の高調波を生成する。そして、生成された高調波のうち、サンプル周波数FSで定まる圧縮前音声の帯域の最高周波数FMAX(=FS/2)以下の成分が、信号HMDとして、可変HPF部130へ送られる。
上記の欠落帯域推定装置120は、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CADを受ける。引き続き、欠落帯域推定装置120は、圧縮音声信号CADに基づいて、圧縮音声信号CADにおいて信号成分が欠落している高音帯域(以下、「欠落帯域」とも呼ぶ)を推定する。そして、欠落帯域推定装置120は、当該推定された欠落帯域の最低周波数を指定したカットオフ周波数指定HPCを可変HPF部130へ送る。
ここで、圧縮音声信号CADにおける欠落帯域を推定することは、圧縮音声信号CADの周波数帯域を推定することに他ならない。このため、欠落帯域推定装置120は、圧縮音声信号CADの周波数帯域を推定する周波数帯域推定装置としての機能も有しているといえる。
なお、欠落帯域推定装置120の構成の詳細については、後述する。
上記の可変HPF部130は、高調波生成部110から送られた信号HMDを受ける。また、可変HPF部130は、欠落帯域推定装置120から送られたカットオフ周波数指定HPCを受ける。そして、可変HPF部130は、カットオフ周波数指定HPCで指定された周波数をカットオフ周波数とするハイパスフィルタリング処理を信号HMDに対して施す。このハイパスフィルタリング処理の結果が、信号HBDとして合成部140へ送られる。
上記の合成部140は、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CADを受ける。また、合成部140は、可変HPF部130から送られた信号HBDを受ける。そして、合成部140は、圧縮音声信号CADと信号HBDとの合成を行い、高域補間後の信号HIDを生成する。こうして生成された高域補間後の信号HIDは、音出力装置300へ送られる。
なお、合成部140の構成の詳細については、後述する。
ここで、ビットレートと圧縮音声の帯域との関係を説明する。図2(A)には、サンプル周波数FSでサンプリングされて生成されたデジタル楽曲音に対応する圧縮前音声の平均的なスペクトルが模式的に示されている。この図2(A)に示されるように、圧縮前音声の帯域の上限周波数は、最高周波数FMAX(=FS/2)となっている。
かかる圧縮前音声のデータを圧縮して得られる上述したビットレートBR1〜BR3の圧縮音声データを解凍して得られる圧縮音声の信号帯域が図2(B)〜(D)に示されている。ここで、図2(B)には、ビットレートBR1の圧縮音声の信号帯域が示されている。この図2(B)に示されるように、ビットレートBR1の圧縮音声は、信号帯域の上限周波数が周波数FBR1であり、周波数帯域(FBR1〜FMAX)が、圧縮前音声と比べて、信号成分の欠落帯域となっている。
また、図2(C)には、ビットレートBR2(>BR1)の圧縮音声の信号帯域が示されている。この図2(C)に示されるように、ビットレートBR2の圧縮音声は、信号帯域の上限周波数が周波数FBR2(>FBR1)であり、周波数帯域(FBR2〜FMAX)が、圧縮前音声と比べて、信号成分の欠落帯域となっている。
また、図2(D)には、ビットレートBR3(>BR2)の圧縮音声の信号帯域が示されている。この図2(D)に示されるように、ビットレートBR3の圧縮音声は、信号帯域の上限周波数が周波数FBR3(>FBR2)であり、周波数帯域(FBR3〜FMAX)が、圧縮前音声と比べて、信号成分の欠落帯域となっている。
(欠落帯域推定装置120の構成)
次に、上記の欠落帯域推定装置120の構成について説明する。
欠落帯域推定装置120は、図3に示されるように、パイパスフィルタ(HPF)部1211,1212と、減算部122とを備えている。また、欠落帯域推定装置120は、レベル検出部1231,1232と、推定部124とを備えている。
上記のHPF部1211は、カットオフ周波数FC1でハイパスフィルタリング処理を行う。このHPF部1211は、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CADを受ける。そして、HPF部1211は、カットオフ周波数FC1のハイパスフィルタリング処理を圧縮音声信号CADに対して施す。このハイパスフィルタリング処理の結果が、信号HPD1として減算部122へ送られる。
上記のHPF部1212は、カットオフ周波数FC2(>FC1)でハイパスフィルタリング処理を行う。このHPF部1212は、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CADを受ける。そして、HPF部1212は、カットオフ周波数FC2のハイパスフィルタリング処理を圧縮音声信号CADに対して施す。このハイパスフィルタリング処理の結果が、信号HPD2として減算部122及びレベル検出部1232へ送られる。
上記の減算部122は、HPF部1211から送られた信号HPD1を受ける。また、減算部122は、HPF部1212から送られた信号HPD2を受ける。そして、減算部122は、信号HPD1から信号HPD2を差し引く。こうして算出された結果が、信号SBDとしてレベル検出部1231へ送られる。
上記のレベル検出部1231は、減算部122から送られた信号SBDを受ける。そして、レベル検出部1231は、信号SBDのパワーレベルを検出する。レベル検出部1231による検出結果は、検出レベルDL1として推定部124へ送られる。
上記のレベル検出部1232は、HPF部1212から送られた信号HPD2を受ける。そして、レベル検出部1232は、信号HPD2のパワーレベルを検出する。レベル検出部1232による検出結果は、検出レベルDL2として推定部124へ送られる。
上記の推定部124は、レベル検出部1231から送られた検出レベルDL1を受ける。また、推定部124は、レベル検出部1232から送られた検出レベルDL2を受ける。そして、推定部124は、検出レベルDL1と検出レベルDL2との比R(=DL1/DL2)に基づいて、圧縮音声信号CADにおける欠落帯域を推定する。
引き続き、推定部124は、推定された欠落帯域の下限周波数を指定したカットオフ周波数指定HPCを生成する。こうして生成されたカットオフ周波数指定HPCは、可変HPF部130へ送られる。
なお、HPF部1211及びHPF部1212のフィルタリング特性の例が図4に示されている。ここで、図4(A)には、HPF部1211のフィルタリング特性の例が示されている。また、図4(B)には、HPF部1212のフィルタリング特性の例が示されている。
ここで、HPF部1212のフィルタリング特性は、ビットレートが「BR1」,「BR2」,「BR3」のいずれであっても、比Rの算出に際して、推定部124における除算資源がオーバフローを起こさないように設定される。
また、HPF部1211及びHPF部1212の検出対象に対応する信号成分が図5に模式的に示されている。なお、図5では、HPF部1211の検出対象に対応する信号成分が横線ハッチで示されるとともに、HPF部1212の検出対象に対応する信号成分が縦線ハッチで示されている。
ここで、図5(A)には、ビットレートBR1の場合に、HPF部1211及びHPF部1212の検出対象に対応する信号成分が模式的に示されている。また、図5(B)には、ビットレートBR2の場合に、HPF部1211及びHPF部1212の検出対象に対応する信号成分が模式的に示されている。また、図5(C)には、ビットレートBR3の場合に、HPF部1211及びHPF部1212の検出対象に対応する信号成分が模式的に示されている。
図5(A)〜(C)を相互に比較して分るように、ビットレートが異なると、算出される比Rが異なるようになっている。このため、算出された比Rの値に基づいて圧縮音声信号CADにおける欠落領域が推定できるので、ビットレートに対する欠落帯域が一義的に決まっている場合は、推定部124は、圧縮音声信号CADのビットレートを推定することができる。
(合成部140の構成)
次いで、上記の合成部140の構成について説明する。
合成部140は、図6に示されるように、遅延部141と、乗算部1421,1422を備えている。また、合成部140は、加算部143を備えている。
上記の遅延部141は、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CAD(=D0(T)(T:時刻))を受ける。そして、遅延部141は、圧縮音声信号CADを、高調波生成部110及び可変HPF部130における位相遅延に対応する時間TDLだけ遅延させた信号DLD(=D(T))を生成する。ここで、信号D(T)と圧縮音声信号D0(T)との関係は、次の(1)式で表される。
D(T)=D0(T−TDL) …(1)
この結果、信号DLDと、上述した可変HPF部130から出力される信号HBDとの同期が図られるようになっている。こうして生成された信号DLDは、乗算部1421へ送られる。
上記の乗算部1421は、遅延部141から送られた信号DLDを受ける。そして、乗算部1421は、信号DLDをK1倍して信号MLDを生成する。こうして生成された信号MLDは、加算部143へ送られる。
上記の乗算部1422は、可変HPF部130から送られた信号HBDを受ける。そして、乗算部1422は、信号HBDをK2倍して信号MHDを生成する。こうして生成された信号MHDは、加算部143へ送られる。
なお、値K1と値K2との比は、適切な高域補間の観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて予め定められる。
上記の加算部143は、乗算部1421から送られた信号MLDを受ける。また、加算部143は、乗算部1422から送られた信号MHDを受ける。そして、加算部143は、信号MLDと信号MHDとを加算して高域補間後の信号HIDを生成する。こうして生成された高域補間後の信号HIDは、音出力装置300へ送られる。
上述のようにして生成された信号MHDのスペクトルが図7に示されている。ここで、図7(A)には、ビットレートBR1の圧縮音声信号CADに対応して生成された信号MHDのスペクトルが、破線にて示されている。また、図7(B)には、ビットレートBR2の圧縮音声信号CADに対応して生成された信号MHDのスペクトルが、破線にて示されている。さらに、図7(C)には、ビットレートBR3の圧縮音声信号CADに対応して生成された信号MHDのスペクトルが、破線にて示されている。なお、図7(A)〜(C)では、信号DLDをK1倍した信号MLD(ひいては、圧縮音声信号CADをK1倍した信号)のスペクトルが、実線にて示されている。
図7(A)〜(C)に示されるように、信号HMDは、圧縮音声信号CADにおける信号成分の欠落帯域を、適切に補間する信号となっている。
[動作]
次に、上記のように構成された音響装置100の動作について、圧縮音声信号CADに基づく信号HBD(図1参照)の生成処理に主に着目して説明する。
圧縮音声解凍装置200が圧縮音声信号CADの供給を開始すると、音響装置100では、高調波生成部110及び欠落帯域推定装置120が圧縮音声信号CADを受ける。また、音響装置100では、合成部140が圧縮音声信号CADを受ける(図1参照)。
圧縮音声信号CADを受けると、高調波生成部110は、圧縮音声信号CADの所定の周波数帯域の成分の高調波を生成する。そして、高調波生成部110は、生成された高調波のうち、サンプル周波数FSで定まる圧縮前音声の帯域の最高周波数FMAX以下の成分を、信号HMDとして、可変HPF部130へ送る(図1参照)。
一方、圧縮音声信号CADを受けると、欠落帯域推定装置120は、上述の高調波生成部110による高周波発生と並行して、圧縮音声信号CADに基づいて、圧縮音声信号CADにおける欠落帯域を推定する。かかる欠落帯域の推定に際して、欠落帯域推定装置120では、圧縮音声信号CADを受けたHPF部1211が、カットオフ周波数FC1のハイパスフィルタリング処理を圧縮音声信号CADに対して施す。そして、HPF部1211は、ハイパスフィルタリング処理の結果を、信号HPD1として減算部122へ送る(図3参照)。
また、圧縮音声信号CADを受けると、HPF部1212が、上述のHPF部1211によるハイパスフィルタリング処理と並行して、カットオフ周波数FC2のハイパスフィルタリング処理を圧縮音声信号CADに対して施す。そして、HPF部1212は、ハイパスフィルタリング処理の結果を、信号HPD2として減算部122及びレベル検出部1232へ送る(図3参照)。
HPF部1211から送られた信号HPD1、及び、HPF部1212から送られた信号HPD2を受けると、減算部122は、信号HPD1と信号HPD2との差分を算出する。そして、減算部122は、算出された差分を、信号SBDとしてレベル検出部1231へ送る(図3参照)。
減算部122から送られた信号SBDを受けると、レベル検出部1231は、信号SBDのパワーレベルを検出する。そして、レベル検出部1231は、検出結果を、検出レベルDL1として推定部124へ送る(図3参照)。
HPF部1212から送られた信号HPD2を受けると、レベル検出部1232は、信号HPD2のパワーレベルを検出する。そして、レベル検出部1232は、検出結果を、検出レベルDL2として推定部124へ送る(図3参照)。
レベル検出部1231から送られた検出レベルDL1、及び、レベル検出部1232から送られた検出レベルDL2を受けると、推定部124は、検出レベルDL1及び検出レベルDL2に基づいて、カットオフ周波数指定HPCを生成する。かかるカットオフ周波数指定HPCの生成に際して、推定部124は、まず、検出レベルDL1と検出レベルDL2との比R(=DL1/DL2)を算出する。
引き続き、推定部124は、算出された比Rに基づいて、圧縮音声信号の欠落帯域を推定する。
次に、推定部124は、推定された欠落帯域の下限周波数を指定したカットオフ周波数指定HPCを生成する。そして、推定部124は、生成されたカットオフ周波数指定HPCは、可変HPF部130へ送る(図3参照)。
欠落帯域推定装置120(より詳しくは、推定部124)から送られたカットオフ周波数指定HPCを受けると、可変HPF部130は、カットオフ周波数指定HPCで指定された周波数をカットオフ周波数とするハイパスフィルタリング処理を、高調波生成部110から送られた信号HMDに対して施して、信号HBDを生成する。そして、可変HPF部130は、生成された信号HBDを合成部140へ送る(図1参照)。
可変HPF部130から送られた信号HBDを受けると、合成部140は、信号HBDと、圧縮音声解凍装置200から送られた圧縮音声信号CADとの合成を行う。かかる合成に際して、合成部140では、遅延部141が、圧縮音声信号CADを、高調波生成部110及び可変HPF部130における位相遅延に対応する時間TDLだけ遅延させて、信号HBDとの同期が図られ信号DLDを生成する。そして、遅延部141は、生成された信号DLDを乗算部1421へ送る(図6参照)。
遅延部141から送られた信号DLDを受けると、乗算部1421は、信号DLDをK1倍して信号MLDを生成する。そして、乗算部1421は、生成された信号MLDを加算部143へ送る(図6参照)。
一方、乗算部1422は、信号HBDをK2倍して信号MHDを生成する。そして、乗算部1422は、生成された信号MHDを加算部143へ送る(図6参照)。
乗算部1421から送られた信号MLD、及び、乗算部1422から送られた信号MHDを受けると、加算部143は、信号MLDと信号MHDとを加算して、高域補間がなされた信号HIDを生成する。そして、加算部143は、生成された高域補間後の信号HIDを音出力装置300へ送る(図6参照)。
すなわち、合成部140は、信号HBDと圧縮音声信号CADとの同期を図ったうえで、適切な高域補間ができる混合比で重み付け加算して、信号HBDと圧縮音声信号CADとの合成を行う。かかる合成の結果として生成された高域補間後の信号HIDが、音出力装置300へ送られるようになっている。
音響装置100(より詳しくは、合成部140)から送られた高域補間後の信号HIDを受けると、音出力装置300は、高域補間後の信号HIDに従った音をスピーカSPから出力する。この結果、圧縮音声信号CADのビットレートに対応して適切に高域補間が行われた高品質の音声が、音出力装置300から出力される。
以上説明したように、本実施形態では、高域補間に際して、まず、高調波生成部110が、入力された圧縮音声信号CADの高調波を生成する。こうした高調波の生成と並行して、欠落帯域推定装置120が圧縮音声信号CADにおける欠落帯域を推定する。
かかる欠落帯域の推定に際して、欠落帯域推定装置120では、カットオフ周波数FC1を有するハイパスフィルタ部1211が、圧縮音声信号CADの高域成分を抽出するとともに、カットオフ周波数FC2(>FC1)を有するハイパスフィルタ部1212が、圧縮音声信号CADの高域成分を抽出する。引き続き、欠落帯域推定装置120では、推定部124が、ハイパスフィルタ部1211(第1のハイパスフィルタ部)から出力された信号HPD1からハイパスフィルタ部1212(第2のハイパスフィルタ部)から出力された信号HPD2を差し引いた差信号SBDのレベルと、信号HPD2とのレベルとの比Rを算出する。なお、圧縮音声信号CADのビットレートが異なると、比Rが異なるように、ハイパスフィルタ部1211,1212のフィルタリング特性が設定される。
次に、推定部124が、算出された比Rに基づいて、圧縮音声信号CADの欠落帯域を推定する。そして、推定部124が、推定された欠落帯域の下限周波数を指定したカットオフ周波数指定HPCを可変HPF部130へ送ることにより、可変HPF部130によるハイパスフィルタリング処理を制御する。
かかる制御もとで、可変HPF部130は、カットオフ周波数指定HPCで指定された周波数をカットオフ周波数とするハイパスフィルタリング処理を、高調波生成部110から送られた信号HMDに対して施して、信号HBDを生成する。そして、合成部140により、圧縮音声信号CADと信号HBDとが合成される。
したがって、本実施形態によれば、簡易な構成で高音帯域の補間を適切に行った高品質な音声を出力できる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1のハイパスフィルタ部から出力された信号から第2のハイパスフィルタ部から出力された信号を差し引いた差信号のレベルと、第2のハイパスフィルタ部から出力された信号のレベルとの比に基づいて、入力された圧縮音声信号の欠落帯域を推定するようにした。これに対し、第1のハイパスフィルタ部から出力された信号のレベルと、第2のハイパスフィルタ部から出力された信号のレベルとの比に基づいて、入力された圧縮音声信号の周波数帯域を推定するようにしてもよい。そして、推定された周波数帯域の上限周波数を指定したカットオフ周波数指定を、可変HPF部に対して行うようにしてもよい。
また、圧縮音声信号のビットレートが異なると、第1のハイパスフィルタ部から出力された信号のレベルと、第2のハイパスフィルタ部から出力された信号のレベルとの比が異なるのであれば、上記の実施形態で例示したハイパスフィルタ部の特性以外のフィルタリング特性を有するハイパスフィルタ部を採用してもよい。
また、上記の実施形態では、圧縮音声信号の高域補間に本発明を適用するようにしたが、圧縮音声信号以外の音声信号の高域補間に本発明を適用してもよい。
また、上記の実施形態では、音響装置とは別の装置として圧縮音声解凍装置及び音出力装置が配置される構成とした。これに対し、音響装置が圧縮音声解凍装置の機能を備えるようにしてもよいし、また、音響装置が音出力装置の機能を備えるようにしてもよい。
なお、上記の実施形態の音響装置を、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
100 … 音響装置
110 … 高調波生成部
120 … 欠落帯域推定装置(周波数帯域推定装置)
1211 … ハイパスフィルタ(第1のハイパスフィルタ)
1212 … ハイパスフィルタ(第2のハイパスフィルタ)
124 … 推定部(制御部)
130 … 可変ハイパスフィルタ部
140 … 合成部

Claims (1)

  1. 入力された音声信号の高調波を生成する高調波生成部と;
    カットオフ周波数が可変であり、前記高調波生成部が生成した前記高調波の高域成分を抽出する可変ハイパスフィルタ部と;
    第1のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第1のハイパスフィルタ部と;
    前記第1のカットオフ周波数よりも高い第2のカットオフ周波数を有し、前記入力された音声信号の高域成分を抽出する第2のハイパスフィルタ部と;
    前記第1のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルと、前記第2のハイパスフィルタ部の出力信号のレベルとに基づいて、前記可変ハイパスフィルタ部のカットオフ周波数を制御する制御部と;
    を備えることを特徴とする音響装置。
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