JP6684599B2 - 流路切換弁 - Google Patents

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Description

本発明は、流路切換弁に係り、特に、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくすることのできる三方切換弁等の流路切換弁に関する。
従来から、小型化、大容量化、省電力化等を図るべく、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくして、弁体の駆動トルクを低減した各種の流路切換弁が提案されている。
この種の流路切換弁の一例として、特許文献1には、内部流路を有する筒状の弁体と、該弁体が摺動自在に収容される弁室が画成された弁本体と、前記弁室内で前記弁体を軸心方向に移動させる駆動部とを備え、前記弁体の側部に、前記内部流路に開口する連通口が形成され、前記弁本体に、前記弁室内で前記弁体が移動する際に前記弁体の前記連通口を介して前記内部流路と連通する流入口と、前記弁体の一端側開口及び他端側開口を介して前記内部流路と連通する第1流出口及び第2流出口とが形成されたものが開示されている。
特開2015−094460号公報
ところで、上記従来の流路切換弁では、弁体の移動による流路切換時に弁体の移動方向(軸心方向)に作用する力をバランス(差圧をキャンセル)させることにより、流路切換時に弁体に作用する荷重を小さくできるものの、弁体(の外周面)と弁本体(の内周面)との間にOリング等のシール部材が介装されており、流路切換時に、シール部材と弁体もしくは弁本体が摺接するため、その摺動摩擦抵抗によって、流路切換時に弁体に作用する荷重が大きくなり、弁体の駆動トルクが増加するといった課題がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくして、弁体の駆動トルクを低減でき、もって、更なる小型化、大容量化、省電力化等を図ることのできる流路切換弁を提供することにある。
上記する課題を解決するために、本発明に係る流路切換弁は、弁室、該弁室に開口する第1入出口、第2入出口、及び第3入出口、並びに、前記第1入出口と前記第2入出口との間に設けられた上部弁座、及び前記第1入出口と前記第3入出口との間に設けられた下部弁座を有する弁本体と、前記弁室に昇降可能に配在されるとともに、前記第1入出口、前記第2入出口、及び前記第3入出口の間の流れ方向を切り換えるべく、前記上部弁座と前記下部弁座に選択的に接離する上部弁体と下部弁体が昇降方向に離間して設けられた弁軸と、前記弁軸を昇降させるための、雄ねじ及び雌ねじを用いたねじ送り機構を有する昇降駆動部と、を備え、前記弁本体に、上端側開口が前記上部弁座とされ、下端側開口が前記下部弁座とされた筒状の弁座部材が内挿固定され、前記弁座部材の上端及び下端の外周に、前記第2入出口に取り付けられた導管継手及び前記第3入出口に取り付けられた導管継手の端部に対向する段部を備え、前記弁座部材は、前記第1入出口に取り付けられた導管継手の端部に対向する段部を備えるとともに、前記第1入出口に連通する連通口を有し、前記上部弁体が、前記弁本体に連結固定された筒状保持部材に昇降可能に遊嵌されるとともに、前記上部弁体と前記筒状保持部材との間にシール部材が介装され、前記上部弁体の上側に画成された背圧室の室径、前記上部弁座の口径、及び前記下部弁座の口径が同一に設定されるとともに、前記弁軸内に、前記下部弁体の下側に形成される下部空間と前記背圧室とを連通する均圧通路が設けられ、前記背圧室において前記均圧通路の上端側がボール受座によって閉塞され、前記昇降駆動部の回転昇降軸と前記ボール受座との間にボールが介在していることを特徴としている。
別の好ましい態様では、前記上部弁体と前記下部弁体とが連結軸を介して連結される。
本発明の流路切換弁によれば、弁体(上部弁体及び下部弁体)の移動による流路切換時に弁体の移動方向(弁軸の軸線方向)に作用する力をバランス(差圧をキャンセル)させられることに加えて、上記従来のものと比べて、弁体(上部弁体及び下部弁体)と弁本体との間にOリング等のシール部材を介装させる必要がないので、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくして、弁体の駆動トルクをより効果的に低減でき、もって、更なる小型化、大容量化、省電力化等を図ることができる。
また、上部弁体が、弁本体に連結固定された筒状保持部材に若干の昇降可能に遊嵌されており、上部弁体が上部弁座に着座したとき又は該上部弁体に連結軸を介して連結された下部弁体が下部弁座に着座したときに、上部弁体が上部弁座に対して又は下部弁体が下部弁座に対して調芯されるので、その着座時のシール性を高められるといった効果もある。
本発明に係る流路切換弁の一実施形態の、流体が流入口から第1流出口に流される状態を示す縦断面図。 図1に示される流路切換弁の、流体が流入口から第2流出口に流される状態を示す縦断面図。
以下、本発明に係る流路切換弁の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下では、主に、弁体を昇降させるための昇降駆動部としてステッピングモータを用いた電動式の流路切換弁を採用しているが、例えば昇降駆動部としてソレノイド等を用いた電磁式の流路切換弁を採用してもよいことは勿論である。
図1及び図2は、本発明に係る流路切換弁の一実施形態を示す縦断面図であり、図1は、流体が流入口から第1流出口に流される状態、図2は、流体が流入口から第2流出口に流される状態を示す縦断面図である。
なお、本明細書において、上下、左右、前後等の位置、方向を表わす記述は、説明が煩瑣になるのを避けるために図面に従って便宜上付けたものであり、実際の使用状態での位置、方向を指すとは限らない。
また、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、各構成部材の寸法に比べて大きくあるいは小さく描かれている場合がある。
図示実施形態の流路切換弁1は、主として、板金製の筒状基体6を有する弁本体5と、弁本体5に固着されたキャン58と、弁本体5及びキャン58によって画成された内部空間で弁本体5に固定配置された支持部材19と、支持部材19により支持されて前記内部空間に昇降可能に配置された弁体(上部弁体21及び下部弁体22)を有する弁軸20と、弁軸20を昇降させるべく弁本体5の上方に取り付けられたステッピングモータ(昇降駆動部)50と、を備えている。
弁本体5の筒状基体6の下部開口には、例えば金属製の蓋状部材6Aが、溶接、かしめ、ろう付け等により気密的に取り付けられ、その内部に弁室7が画成されるとともに、その側部に弁室7に開口する横向きの第1流出口(第2入出口)11a及び第2流出口(第3入出口)12aが軸線O方向(昇降方向)に離間して形成され、第1流出口11aと第2流出口12aとの間に横向きの流入口(第1入出口)10aが形成されている。流入口10a、第1流出口11a、及び第2流出口12aにはそれぞれ、導管継手10、11、12がろう付け等により取り付けられている。
なお、本例では、流入口10aと第1流出口11a及び第2流出口12aとが、平面視(すなわち、軸線O方向)で視た際に反対側に(180度の角度間隔をあけて)形成されているが、流入口10a、第1流出口11a、及び第2流出口12aの周方向での位置は、流路切換弁1の適用箇所等に応じて適宜に変更できる。例えば、流入口10a、第1流出口11a、及び第2流出口12aを、平面視で視た際に90度の角度間隔をあけて形成してもよい。また、本例では、下側に位置する第2流出口12aが、筒状基体6の側部に形成されているが、例えば、当該第2流出口12a(及び導管継手12)を、筒状基体6の下部開口に固着された蓋状部材6Aに形成してもよい。
また、弁本体5の筒状基体6における第1流出口11aと第2流出口12aとの間の内周には、流入口10aに連通する連通口8aを有する円筒状の弁座部材8が、溶接、かしめ、ろう付け等により内挿固定されている。
前記弁座部材8は、例えばSUS等の金属材料で作製されており、その上端側開口が上部弁座9aとされ、その下端側開口が下部弁座9bとされ、その中腹部に前記連通口8aが形成されている。また、弁座部材8の上端部及び下端部には、前記上部弁座9a及び下部弁座9bに連接する上部テーパ面9c及び下部テーパ面9dが形成されている。ここで、上部弁座9a及び下部弁座9bの口径φa(つまり、円筒状の弁座部材8の内径)は、上部弁体21の上側に画成された背圧室30の室径φbと略同一に設定されている(後で詳述)。
弁本体5の筒状基体6の上部開口には、段付きの筒状基台13が取り付けられ、その筒状基台13の下面により前記弁室7の天井面が形成されている。筒状基台13の上端部には、天井部付き円筒状のキャン58の下端部が溶接等により接合されている。
支持部材19は、隔壁14c付き筒状保持部材14及び雌ねじ15i付き軸受部材15を有し、前記筒状基台13の内側に、筒状保持部材14がその隔壁14cより下側の部分である円筒状のスリーブ部(上部弁体21が遊嵌される部分)14dを弁室7に突出させるようにして圧入等により固定されている。そして、筒状保持部材14の上部に、内周下半部に雌ねじ15iが螺設された筒状の軸受部材15がかしめ等により固定されている。また、筒状保持部材14の隔壁14cと軸受部材15との間にばね室14aが画成され、該ばね室14aに、弁軸20を上方に付勢する圧縮コイルばね25が収納されている。軸受部材15の内周のうち雌ねじ15iより上側部分は、後述する減速機構40の出力軸46の下部が嵌挿される嵌挿穴15aとされている。
一方、ステッピングモータ50は、ヨーク51、ボビン52、コイル53、樹脂モールドカバー54等からなるステータ55と、キャン58の内部に該キャン58に対して回転自在に配置され、ロータ支持部材56がその上部内側に固着されたロータ57と、を有している。ステータ55は、キャン58に外嵌固定されている。また、ロータ57の内周側には、ロータ支持部材56に一体に形成された太陽歯車41、筒状保持部材14の上部に固着された筒状体43の上端に固定された固定リング歯車47、太陽歯車41と固定リング歯車47との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車42、遊星歯車42を回転自在に支持するキャリア44、遊星歯車42に外側から歯合する有底リング状の出力歯車45、出力歯車45の底部に形成された孔にその上部が圧入等によって固着された出力軸46等からなる不思議遊星歯車式減速機構40が設けられている。ここで、固定リング歯車47の歯数は、出力歯車45の歯数とは僅かに異なるように設定されている。
出力軸46の上部の中心部には孔が形成され、該孔には太陽歯車41(ロータ支持部材56)とキャリア44の中心部を挿通した支持軸49の下部が挿通されている。この支持軸49の上部は、キャン58の内径と略同一の外径を有し、ロータ支持部材56の上側でキャン58に内接して配置される支持部材48の中心部に形成された孔に挿通されている。ロータ57自体は、支持部材48等によってキャン58の内部で上下動しないようになっており、キャン58に外嵌固定されたステータ55との位置関係が常に一定に維持されている。
減速機構40の出力軸46の下部は、雌ねじ15i付き軸受部材15の上部に形成された嵌挿穴15aに回転自在に嵌挿され、出力軸46の下部には、その中心を通るように横方向に延びるスリット状の嵌合部46aが形成されている。軸受部材15の内周に螺設された雌ねじ15iと螺合する雄ねじ17aが螺設された回転昇降軸17の上端には板状部17cが突設され、板状部17cがスリット状の嵌合部46aに摺動自在に嵌合されている。出力軸46がロータ57の回転に応じて回転すると、出力軸46の回転が回転昇降軸17に伝達され、軸受部材15の雌ねじ15iと回転昇降軸17の雄ねじ17aのねじ送りによって回転昇降軸17が回転しながら昇降する。
回転昇降軸17の下方には、該回転昇降軸17の下方への推力がボール18、ボール受座16を介して伝達される弁軸20が軸線O(昇降方向)に沿って配置されている。
ここで、上述のように、筒状保持部材14の隔壁14cより上側のばね室14aに収納された圧縮コイルばね25は、その下端を隔壁14cに当接させた状態で配置されるとともに、この圧縮コイルばね25の付勢力(引き上げ力)を弁軸20に伝達すべく、上下に鍔状の引っ掛け部を有する引き上げばね受け体28が配在されている。引き上げばね受け体28の上側の引っ掛け部は圧縮コイルばね25の上部に載置され、下側の引っ掛け部は弁軸20(の推力伝達軸23の大径上部23aの下端段差面)に掛止される。また、筒状保持部材14には、前記ばね室14aとキャン58の内部を連通する連通孔14eが形成されている。
弁軸20は、基本的に、ボール18及びボール受座16を介して前記回転昇降軸17に連結される段付き円筒状の推力伝達軸23と、前記弁座部材8の内側に挿通される円筒状の連結軸24とを有するとともに、推力伝達軸23と連結軸24との間に合成樹脂製かつ円筒状の上部弁体21が連結され、連結軸24の下端部(下部小径部24c)に合成樹脂製かつ短円筒状の下部弁体22が外嵌されて連結されている。
推力伝達軸23は、上側から、内周に前記ボール受座16が嵌め込まれる大径上部23a、筒状保持部材14の隔壁14cに形成された中心孔に挿通される中間胴部23b、上部弁体21の中央に設けられた中央穴21aに嵌挿されて圧入、ろう付け等により固定される前記中間胴部23bより小径の小径下部23cから構成され、その内部には、弁軸20内に設けられた均圧通路32の上部を構成する縦向きの貫通孔23d及び後述する背圧室30に開口する複数個の横孔23eが形成されている。なお、貫通孔23dの上端開口はボール受座16によって閉塞されている。
上部弁体21は、筒状保持部材14のスリーブ部14dより若干小径に形成されており、その下部をスリーブ部14dから突出させるようにして当該スリーブ部14dに若干の隙間をあけて昇降可能に内挿(遊嵌)されており、その中央穴21aには、推力伝達部材23の小径下部23cが上側から嵌合されて一体的に連結されている。この上部弁体21の上端面と推力伝達軸23の中間胴部23bの下端段差面との間には、小径下部23cの圧入時において押さえ部材21Aが挟み込まれて固定され、この押さえ部材21Aと上部弁体21の上端外周に形成された段差部とで形成される環状溝に、上部弁体21(の外周面)とスリーブ部14d(の内周面)との間(に形成される隙間)をシールするOリング等のシール部材21Bが装着されている。また、シール部材21Bの外側には、スリーブ部14dに対する上部弁体21の摺動抵抗を低減すべく、PTFE(テフロン(登録商標))等からなるリング状のパッキン(キャップシールともいう)21Cが装着されている。
ここでは、上部弁体21の下端外周部が、弁座部材8の上部弁座9aに(上側から)着座する上部弁体部とされている。
連結軸24は、上側から、上部弁体21の中央穴21aに嵌挿されて圧入、ろう付け等により固定される上部小径部24a、上部小径部24aより若干大径の中間軸部24b、下部弁体22が外嵌される下部小径部24cから構成され、その内部には、弁軸20内に設けられた均圧通路32の下半部を構成する縦向きの貫通孔24dが形成されている。連結軸24の上部小径部24aは、上部弁体21の中央穴21aに下側から嵌合されて一体的に連結されている。
下部弁体22は、前記上部弁体21と略同径に形成されており、気密性を確保するために、内周側にOリング等のシール部材22Bを装着した状態で、間にC型止め輪等からなる抜け止め部材22Cを挟んで、皿ばね22Aとともに下部小径部24cにかしめ等により固定されている。なお、下部弁体22は、下部小径部24c(の下端)に全周溶接等により気密的に固定してもよい。
ここでは、下部弁体22の上端外周部が、弁座部材8の下部弁座9bに(下側から)着座する下部弁体部とされている。
そして、推力伝達軸23の横孔23e及び貫通孔23d、上部弁体21の中央穴21a、連結軸24の貫通孔24dによって、上部弁体21の上側に画成される背圧室30(詳細には、上部弁体21の押さえ部材21Aとスリーブ部14dと隔壁14cとで囲まれる空間)と下部弁体22の下側に形成される下部空間31とを連通する均圧通路32が構成されている。また、閉弁状態において弁軸20に作用する押し下げ力と弁軸20に作用する押し上げ力とをバランス(差圧をキャンセル)させるべく、背圧室30の室径φb(つまり、スリーブ部14dの内径)は、前記上部弁座9a及び下部弁座9bの口径φa(つまり、円筒状の弁座部材8の内径)と略同一に設定されている。
かかる構成の流路切換弁1では、ステッピングモータ50のロータ57を回転駆動させると、回転昇降軸17が回転しながら昇降するが、回転昇降軸17と弁軸20との間にボール18を介在させることにより、回転昇降軸17から弁軸20へ下方への推力のみが伝達されて(回転力は伝達されない)、回転昇降軸17と弁軸20とが一体となって軸線O方向へ昇降する。これにより、弁軸20に設けられた上部弁体21と下部弁体22が弁座部材8の上部弁座9aと下部弁座9bに選択的に(交互に)接離して、流入口10a、第1流出口11a、及び第2流出口12aの間の流れ方向(流路)が切り換えられる。
すなわち、ステッピングモータ50のロータ57を一方向に回転駆動させると、減速機構40の出力軸46を介してロータ57の回転が回転昇降軸17に減速されて伝達され、軸受部材15の雌ねじ15iと回転昇降軸17の雄ねじ17aによるねじ送りによって回転昇降軸17が回転しながら例えば上昇され、それに伴い弁軸20が圧縮コイルばね25の付勢力によって引き上げられ、上部弁体21(の上部弁体部)が上部弁座9aから離れるとともに、最終的には下部弁体22(の下部弁体部)が下部弁座9bに着座して弁座部材8の下端開口が閉じられる。これにより、流体(冷媒)が、流入口10aに接続された導管継手10から、弁座部材8の連通口8a→弁座部材8の内側→弁座部材8の上端開口(上部弁座9a)を介して、第1流出口11aに接続された導管継手11へ流される(図1参照)。
それに対し、ステッピングモータ50のロータ57を他方向に回転駆動させると、減速機構40の出力軸46を介してロータ57の回転が回転昇降軸17に減速されて伝達され、前記雌ねじ15iと雄ねじ17aによるねじ送りによって回転昇降軸17が回転しながら例えば下降され、回転昇降軸17の推力により弁軸20が圧縮コイルばね25の付勢力に抗して押し下げられ、下部弁体22(の下部弁体部)が下部弁座9bから離れて弁座部材8の下端開口が開かれるとともに、最終的には上部弁体21(の上部弁体部)が上部弁座9aに着座して弁座部材8の上端開口が閉じられる。これにより、流体(冷媒)が、流入口10aに接続された導管継手10から、弁座部材8の連通口8a→弁座部材8の内側→弁座部材8の下端開口(下部弁座9b)を介して、第2流出口12aに接続された導管継手12へ流される(図2参照)。
ここで、本実施形態では、下部弁体22(の下部弁体部)が下部弁座9bに着座したとき(図1に示される状態)及び上部弁体21(の上部弁体部)が上部弁座9aに着座したとき(図2に示される状態)に、弁軸20内に設けられた均圧通路32を介して、上部弁体21の上側(下部弁体22とは反対側)に画成される背圧室30と下部弁体22の下側(上部弁体21とは反対側)に形成される下部空間31とが常時連通している。言い換えれば、前記上部弁体21の上向きの面(背圧室30側の面)と前記下部弁体22の下向きの面(下部空間31側の面)とが均圧されている。また、背圧室30の室径φb(つまり、スリーブ部14dの内径)と、上部弁座9a及び下部弁座9bの口径φa(つまり、円筒状の弁座部材8の内径)とが略同一に設定されている。
そのため、弁体(上部弁体21及び下部弁体22)の軸線O方向への移動による流路切換時に弁体の移動方向(弁軸20の軸線O方向)に作用する力(弁体に作用する押し下げ力と押し上げ力)をバランス(差圧を全てキャンセル)させられることに加えて、弁体(上部弁体21及び下部弁体22)と弁本体5との間にOリング等のシール部材を介装させる必要がないので、流路切換時に弁体に作用する荷重を可及的に小さくでき、ステッピングモータ50による弁体の駆動トルクをより効果的に低減することができる。
また、弁本体5には、上端側開口が上部弁座9aとされ、下端側開口が下部弁座9bとされた筒状の弁座部材8を内挿固定すればよいので、比較的シンプルな構成でもって上述した流れ方向(流路)の切り換えを実現することができる。
また、本実施形態においては、上部弁体21が、弁本体5に連結固定された筒状保持部材14のスリーブ部14dに若干の隙間をあけて昇降可能に内挿(遊嵌)されるとともに、弁軸20の推力伝達軸23も、筒状保持部材14の隔壁14cに形成された中心孔に若干の隙間をあけて挿通されている。そのため、下部弁体22(の下部弁体部)が下部弁座9bに着座したとき(図1に示される状態)又は上部弁体21(の上部弁体部)が上部弁座9aに着座したとき(図2に示される状態)に、ボール18とボール軸受16との接点が支点となり、下部弁体22が下部弁座9bに対して又は上部弁体21が上部弁座9aに対して調芯されるので、その着座時のシール性を高められるといった効果もある。
なお、上記実施形態では、上部弁体21が上部弁座9aに対して上側から接離し、下部弁体22が下部弁座9bに対して下側から接離するものを採用したが、例えば、上部弁体21が上部弁座9aに対して下側から接離し、下部弁体22が下部弁座9bに対して上側から接離するものでもよいことは言うまでも無い。
また、上記実施形態では、流体(冷媒)が流入口(第1入出口)10aに接続された導管継手10から第1流出口(第2入出口)11aに接続された導管継手11や第2流出口(第3入出口)12aに接続された導管継手12へ流れるものとしたが、当該流体(冷媒)を、第1流出口(第2入出口)11aに接続された導管継手11や第2流出口(第3入出口)12aに接続された導管継手12から流入口(第1入出口)10aに接続された導管継手10へ流す場合、あるいは、流入口(第1入出口)10aに接続された導管継手10から第1流出口(第2入出口)11aに接続された導管継手11及び第2流出口(第3入出口)12aに接続された導管継手12の双方へ同時に流す場合でも、上記と同様の作用効果が得られることは勿論である。
1 流路切換弁
5 弁本体
6 筒状基体
7 弁室
8 弁座部材
9a 上部弁座
9b 下部弁座
10、11、12 導管継手
10a 流入口(第1入出口)
11a 第1流出口(第2入出口)
12a 第2流出口(第3入出口)
14 筒状保持部材
15 軸受部材
17 回転昇降軸
19 支持部材
20 弁軸
21 上部弁体
22 下部弁体
23 推力伝達軸
24 連結軸
30 背圧室
31 下部空間
32 均圧通路
40 不思議遊星歯車式減速機構
50 ステッピングモータ(昇降駆動部)
55 ステータ
57 ロータ
58 キャン

Claims (2)

  1. 弁室、該弁室に開口する第1入出口、第2入出口、及び第3入出口、並びに、前記第1入出口と前記第2入出口との間に設けられた上部弁座、及び前記第1入出口と前記第3入出口との間に設けられた下部弁座を有する弁本体と、
    前記弁室に昇降可能に配在されるとともに、前記第1入出口、前記第2入出口、及び前記第3入出口の間の流れ方向を切り換えるべく、前記上部弁座と前記下部弁座に選択的に接離する上部弁体と下部弁体が昇降方向に離間して設けられた弁軸と、
    前記弁軸を昇降させるための、雄ねじ及び雌ねじを用いたねじ送り機構を有する昇降駆動部と、を備え、
    前記弁本体に、上端側開口が前記上部弁座とされ、下端側開口が前記下部弁座とされた筒状の弁座部材が内挿固定され、
    前記弁座部材の上端及び下端の外周に、前記第2入出口に取り付けられた導管継手及び前記第3入出口に取り付けられた導管継手の端部に対向する段部を備え、
    前記弁座部材は、前記第1入出口に取り付けられた導管継手の端部に対向する段部を備えるとともに、前記第1入出口に連通する連通口を有し、
    前記上部弁体が、前記弁本体に連結固定された筒状保持部材に昇降可能に遊嵌されるとともに、前記上部弁体と前記筒状保持部材との間にシール部材が介装され、
    前記上部弁体の上側に画成された背圧室の室径、前記上部弁座の口径、及び前記下部弁座の口径が同一に設定されるとともに、前記弁軸内に、前記下部弁体の下側に形成される下部空間と前記背圧室とを連通する均圧通路が設けられ
    前記背圧室において前記均圧通路の上端側がボール受座によって閉塞され、
    前記昇降駆動部の回転昇降軸と前記ボール受座との間にボールが介在していることを特徴とする流路切換弁。
  2. 前記上部弁体と前記下部弁体とが連結軸を介して連結されていることを特徴とする請求項に記載の流路切換弁。
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