JP6682514B2 - 半公開市場のためのシステム及び方法 - Google Patents

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Description

本願は、著作権、マスクワーク、及び/又は知的財産保護による保護を受ける内容を含む。この知的財産権の所有者は、本開示を特許庁ファイル/レコードにおける公開公報において、ファクシミリコピーすることにつき異議はない。その他の場合においては、全ての権利を留保する。
関連出願に対する相互参照
本出願は、米国仮出願番号第61/700,094号(2012年9月12日出願)、第61/753,857号(2013年1月17日出願)、第61/758,508号(2013年1月30日出願)及び第61/876,200号(2013年9月11日出願)の優先権を主張して2013年9月12日に出願されたPCT国際出願第PCT/US13/59558号「TRANSMISSION LATENCY LEVELING APPARATUSES, METHODS AND SYSTEMS」に関連している。これらの特許出願の全ては、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示される本発明は、包括的には、電子取引及び/又はオークションのための装置、方法、及びシステムに関する。詳しくは、本発明は、半公開市場のためのシステム及び方法に関する。
消費者は、オークションに基づくシステムを使用して、価値のある商品の売買を行う。このようなオークションベースのシステムは、オンラインショッピングサイト、オンラインチケット予約システム、電子市場、又は他の取引交換所を含むことができる。
金融投資の分野において、個人投資家及びトレーダは、電子取引プラットフォーム上で有価証券(株式及び債券等)、外貨及び金融派生商品を売買することができる。NASDAQ、NYSE Arca、Globex、ロンドン証券取引所、BATS Direct Edge、Chi−XGlobal、TradeWeb、ICAP、シカゴ商品取引所等のよく知られた電子取引プラットフォームは、買い手及び売り手が金融商品を売買するための情報技術インフラを有する。典型的には、トレーダは、パーソナルコンピュータユーザインタフェース等の電子端末を介して電子取引プラットフォームにビッドを提出し、電子取引プラットフォームは、通信ネットワークを介して、異なる取引エンティティのコンピュータ端末に金融商品のリアルタイム価格付けを反映するビッド及びアスク情報を送信する。
金融業界では、買い側投資家が、高頻度トレーダ(high frequency traders)のような市場の他のプレイヤによって利用されることなく、取引注文をルーティングし、約定できるように、市場センタ及び/又は取引所での電子取引システムの効率性と公正性を向上させる努力が行われている。多くの投資家は、証券市場における略奪的取引行為について十分な知識を有しておらず、ブローカまたはブローカ会社に完全に委託されている取引注文に対して何らかの支配権を行使できることを自覚していない場合がある。
更に、既存の私的及び公的市場センタ又は取引所が市場参加者に配信する取引情報は、少なすぎたり多すぎたりする傾向がある。この結果、幾つかの市場では、透明性が失われ、他の市場では、市場データが過剰供給され、何れの場合も投資家に対して不公正取引行為の機会が生じ、マーケットプレイスの信頼性が揺らぐ可能性がある。
また、既存の電子取引プラットフォームは、ブローカ又は証券会社が、顧客投資家にサービスを提供する際に、リスクがあるポジションを引き受けなくてはならない特定の状況において、リスクを緩和するのに役立つ効率的なメカニズムを欠いている。このようなサービス及び/又は関連する取引の多くは、手作業で及び/又は場当たり的に処理されるため、ブローカ及び/又は証券会社が不要に長く市場リスクに晒される可能性がある。
以上のように、電子取引のための現在のツール及び方法に関連する重大な問題及び欠点が存在することは、明らかである。
先行技術における上述及びこの他の問題及び欠点を克服するために、本出願は、電子取引を改善するための多くの技術を開示する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、電子取引システムは、各参加者の取引注文が所定の閾値価格及び/又は閾値サイズ、又は他のパラメータを満たすか否かに応じて、取引参加者にオーダブックを選択的に開示し、又は隠すことができる。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下では、本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。当業者は、本明細書の教示によって、更なる実施例、修正及び実施形態、並びに他の使用分野を想到でき、これらは、本明細書に記載された本発明の範囲内にあり、これらに関して、本発明は、重要な有用性を有する。
本発明をより明瞭にするために、添付の図面を参照して説明を行い、これらの図面において、同様の要素には、同様の符合を付している。これらの図面は、本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、単なる例示であることが意図される。
本発明の実施形態に基づく未約定注文再割当の側面を表す例示的な例を示す図である。 本発明の実施形態に基づく未約定注文再割当の側面を表す例示的な例を示す図である。
本発明の実施形態に基づく注文ルーティングの未約定注文充足のためのマーケットチェックの側面を表す例示的な例を示す図である。
本発明の実施形態に基づく最小数量注文取引の側面を表す例示的な例を示す図である。
本発明の実施形態に基づくレインテンシーアービトラージを抑制する側面を表す例示的な例を示す図である。
本発明の一実施形態に基づくオーダブックアービトラージを抑制する側面を表す例示的な例を示す図である。
本発明の実施形態に基づくアービトラージを低減するためのTLLポイントオブプレゼンス(POP)メカニズムの例示的なインフラを示す比較図である。 本発明の実施形態に基づくアービトラージを低減するためのTLLポイントオブプレゼンス(POP)メカニズムの例示的なインフラを示す比較図である。
本発明の実施形態に基づくTLL買いデータ収集のための、TLLプラットフォームと、これに関連するエンティティとの間のデータフローを示すデータフロー図である。
本発明の実施形態に基づくレインテンシーアービトラージを低減するためのPOPルーティングの側面を示す論理フロー図である。
本発明の実施形態に基づくTLLの例示的なユーザインタフェースを示す図である。 本発明の実施形態に基づくTLLの例示的なユーザインタフェースを示す図である。
本発明の実施形態に基づくTLLネットワークインフラの側面を示す例示的なデータ図である。 本発明の実施形態に基づくTLLネットワークインフラの側面を示す例示的なデータ図である。 本発明の実施形態に基づくTLLネットワークインフラの側面を示す例示的なデータ図である。
本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。 本発明の実施形態に基づく追加のデータ送信レインテンシーを引き起こすネットワークアクセスポイントを介したレインテンシーアービトラージ及びオーダブックアービトラージの管理の様々なシナリオを示す例示的な図である。
本発明の更なる実施例を示すデータフロー図である。
本発明の実施形態に基づく最悪ケースに最適化されたバイナリサーチツリー、時間決定的挿入、及び有限キー空間における検索動作の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態に基づく最悪ケースに最適化されたバイナリサーチツリー、時間決定的挿入、及び有限キー空間における検索動作の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態に基づく最悪ケースに最適化されたバイナリサーチツリー、時間決定的挿入、及び有限キー空間における検索動作の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態に基づく最悪ケースに最適化されたバイナリサーチツリー、時間決定的挿入、及び有限キー空間における検索動作の実施形態を示す図である。
本発明の一実施形態に基づくTLLコントローラの例示的な側面を示すブロック図である。
本発明の一実施形態にしたがって、投資家が取引設定することを補助する方法のフローチャートである。
本発明の一実施形態における取引設定の指示シートの例を示す図である。
本発明の一実施形態に基づくファシリテーションクロスオーダの例を示す図である。 本発明の一実施形態に基づくファシリテーションクロスオーダの例を示す図である。 本発明の一実施形態に基づくファシリテーションクロスオーダの例を示す図である。
本発明の一実施形態に基づく半公開市場をインプリメントする例示的な方法を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に基づく半公開市場における情報の選択的分布を示す例示的なオーダブックを示す図である。
通信レインテンシー平準化(TLL)及びTLLポータル
通信レインテンシー平準化(transmission latency leveling)技術(以下、「TLL」)の実施形態は、「ポイントオブプレゼンス(point-of-presence:POP)」等の電子取引注文管理インフラを提供し、同インフラは、ネットワークアクセスポイントにおいて、通信媒体を介して、異なる取引エンティティからの電子取引注文を受信及びルーティングし、取引注文が電子市場センタに到着し、約定される前に、ある程度の通信レインテンシーを生じさせ、これにより、高頻度取引参加者が利用する可能性があるオーダブックアービトラージを抑制する。TLL/POPインフラは、レインテンシーアービトラージ等の不公正取引を抑制するために、発信される市場データの更新にある程度の通信レインテンシーを課してもよい。
幾つかの実施例では、TLLにより、投資家は、アプリケーション(ウェブサイト、デスクトップ等)から様々な注文処理命令を選択でき、アプリケーションは、(例えば、電子取引のためのFinancial Information eXchange(FIX)プロトコルにしたがって)選択された命令を、任意の媒体を介してブローカ(又はベンダ)に送ることができる。安全なログインの後に表示される(ログインを省略してもよい)指示ビデオは、注文処理の選択のコンテキストを提供する。選択のタイプ及び/又は注文処理指示は、広範囲に及ぶ場合があるが、少なくとも、注文ルーティングの優先傾向(preference)及びシーケンスを含み、所与の取引地に対する未約定注文フローの割当の割合の優先傾向を含む。
幾つかの実施例では、TLLは、シーケンサ、メモリ管理、回復性/冗長性(resiliency/redundancy)に関する取引システム内の技術的機能を提供する。幾つかの実施形態では、TLLは、ウェブフォームと共に、以下を補助するための一連の教育用ビデオを提供する。(A)投資家に対して、包括的に市場における特定のプラクティスに関する通知を行う。(B)一連のオプションから投資家にオプションを選択させて、ブローカからの注文ルーティングとアルゴリズムの設定を調整することを要求するための指示セットを生成することを補助する。
一実施例では、Point−of−Presence(POP)アクセスポイントがインストールされ、マーケット参加者からの取引注文を受け取り、この注文をデータ取引所に渡して約定させるように構成される。POPに対する又はPOPからの送信により、通信レインテンシーが更に増える可能性がある。これは、市場参加者の場所(例えば、伝送距離等)、通信媒体(例えば、ケーブル、マイクロ波等)、回路抵抗、その他の情報技術インフラ及び/又は他の送信速度等による。例えば、POPとデータ取引所又は市場参加者端末を接続するために必要なケーブル長は、通信レインテンシーを生じさせるために利用することができる。このような通信レインテンシーは、通信ケーブル長を調整することによって制御できる。
一実施例において、POPは、非インテリジェントネットワークハードウェアを備える。同ハードウェアは、注文を受け取る入力ポートに接続する少なくとも1つの通信リンク、及び受信した注文をデータ取引所及び/又はこの他のエンティティへ送信する出力ポートに接続する通信リンクを含む。他の実施例において、POPは、プロセッサが命令セットを実施するためのコンピュータ実行可能命令を格納したコンピュータ読取可能媒体を備える。
なお、本明細書で説明する実施例は、金融商品取引のための市場データセンタ及びデータ取引所を含んでいるが、TLLは、任意のオークションベースシステム又は電子市場に対して適用することができる。例えば、証券、通貨、この他の金融商品の取引所又はダークプール、代替取引システム、Electronic Communication Networks(ECNs)、マッチングエンジン、アドエクスチェンジ(ディスプレイ、モバイル、ラジオ、検索、ビデオ等)、オンライン航空チケット/ホテル予約システム、オンラインオークションショッピングシステム、電子市場、MMORG内におけるバーチャルワールドゲーム内市場等に対して適用することができるが、これらに限らない。
更に、TLLは、レインテンシー及び/又はリソースアクセスを考慮する必要がある任意の電子メッセージングシステムに対して適用することができる。例えば、プレイヤがメッセージを送受信する速度によって、ゲームの状況を理解し反応することができる速度が決定されるオンラインビデオゲームにおいては、他のプレイヤよりも先に反応して、アクションを登録することができるプレイヤが有利になり、ゲームに勝つことができる。したがって、TLLは、オークションベースのシステムにおいて、情報及びリソースへの画一化された公平なアクセスを提供することができる。
TLL/POPインフラによって提供される市場センタ又は電子取引所は、通常、取引注文や約定指示を投資家から直接受け取ることはないが、ブローカ又は証券会社を介して注文/命令を受け取る必要がある。これらブローカは、投資家に対して、注文ルーティングや取引ストラテジの柔軟性を提供することに関心がないか、又はその能力を有していない場合がある。TLL/POPインフラの効率性及び公平性の利点を全て享受するためには、情報及び教育的なポータルを投資家に提供することが有用である。このポータルは、略奪的な取引行為からのリスクを説明するのみならず、投資家がルーティング及び取引優先傾向を調整することを補助する。幾つかの実施形態によれば、TLLポータルは、投資家の取引優先傾向を収集し、投資家が取引を実行するブローカに対して伝える指示を生成する。これに代えて、他の実施形態によれば、投資家は、TLLシステムに対して取引ルーティング及び約定設定を直接送信する。これを図4Bに示す。TLLシステムは、これを当該投資家の注文と取引に対して適用する。
図1A〜図1Bは、TLLの実施形態における未約定注文再割当の例を表す。幾つかの実施例では、市場参加者(例えば、投資家)は、ブローカに対して注文を出し、ブローカは、参加者に対して取引アルゴリズム及び市場に関する幾つかの選択肢を提供する。これら取引アルゴリズムと市場についての市場参加者の選択又は優先傾向は、例えば、TLLポータル上で直接設定してもよく、生成された指示に基づきTLLポータルからブローカに提供してもよい。
投資家の設定は、注文ルーティングと取引優先傾向及び/又はシーケンスを含むことができる。例えば、公開(lit)市場対ダークプール、注文ピング対注文未約定対分割未約定(バランス再割当)、所与の取引ベニューに対する未約定注文フローの割当割合、注文ルーティング前に未約定注文充足の市場チェックを行うか否か等を含む。
例えば、取引市場は、公開市場及び/又はダークプール等の取引所である。参加者が取引アルゴリズムを優先傾向にしたがってカスタマイズする場合もある。例えば、市場参加者は、取引市場における注文のピング及び/又は未約定のストラテジを選択する。幾つかの実施例では、市場をピングすることを参加者が選択すると、注文は、取引を発見するために、市場に対して暗黙的に送信される。但し、これら実施形態において、参加者の注文は、サイズ取引しようとしている及び/又は取引シグナルをおびき寄せるため複数株式(例えば、100株)の略奪的ストラテジを用いている他の投資家に直面することがある。殆どの市場における平均取引サイズは、200株未満なので(Financial Industry Regulatory Authority(FINRA)、ATS Transparency Data、FINRA、2014年8月18日による)、これら実施形態においては、他の投資家は、上述の略奪的(高頻度取引)ストラテジを採用する傾向を有する。幾つかの実施例では、参加者は、市場における注文を未約定とし、すなわち市場に注文を出しながら、取引の約定を待機することを選択することができる。幾つかの実施形態では、TLLは、略奪的ストラテジの影響が減少した高信頼市場を提供することができる。幾つかの実施形態において、投資家及び/又はブローカ等の他の市場参加者が高信頼市場において、注文を未約定とすると、通常の取引参加者(例えば、略奪的ストラテジを採用していない参加者)が互いを発見する可能性が増し、略奪的ストラテジに晒される可能性が減少する。
幾つかの実施形態では、注文は、複数の異なる市場間で分割未約定状態(split-rested)になる。例えば、投資家のブローカは、ブローカが未約定注文を出す優先市場を有し、注文は、TLLによって提供されるような信頼できる市場及びブローカの優先市場との間で分割してもよい。幾つかの実施例では、市場参加者は、未約定注文が約定されていない市場から約定されている市場へ注文を再割当することにより、最良市場から利益を得ることができる。例えば、バランス再割当法(balanced re-allocation method)を利用して、注文を2以上の取引市場へ分割未約定とすることができ、選択した市場の何れかで注文が完全に充足され約定されると、残りの市場取引可能な株は、即座に当該市場に対して送信され、取引が試みられる。幾つかの実施例では、実施例において、妥当な時間が経過した後、未約定注文は、選択した市場間でバランスして再配信される。他の例として、未約定注文を等分割し、選択した市場間で割り当ててもよく、ある市場における未約定注文を充足してもよい。これら実施形態において、残株は、市場間で均等に再割当される。
図1B(c)及び図10Aのフローチャートに示すように、投資家が注文ルーティング/取引優先傾向を調整し、これをブローカに対して伝えることを補助することが望ましい。
ステップ1002において、TLLポータルを訪問又はログインした投資家に対して教育コンテンツを提示する。教育コンテンツは、対話型ユーザインタフェースを介して提示することができる。教育コンテンツは、TLLプラットフォームの公平性と透明性の利点を説明すると共に、略奪的取引行為とHFTプレイヤの危険性を説明する1以上のテキスト、オーディオ、及び/又はビデオ教材を含むことができる。例えば、TLLポータルは、TLL/POP手法と利用可能なルーティング及び取引ストラテジを説明するユーザガイド、ホワイトペーパ、証明、図画、ビデオクリップを提示し、又はこれらに対するリンクを有することができる。
ステップ1004において、TLLシステムは、ルーティング優先傾向及び/又は取引ストラテジについての一連の質問に対する投資家の回答を収集する。一連の質問は、相互的なQ&Aセッションにおいて提示し、又は相互性の低い質問フォームのリストによって提示することができる。例えば、投資家は、TLL対応市場センタにおいて、未約定状態とする受動非表示注文の割合を選択するよう促される。投資家は、更に、自身の元の注文指値と整合する指値を用いて、注文を未約定状態にするか否かを指定してもよい。投資家は、更に、2以上のプールにおける注文の分割未約定のバランス再割当手法を用いるか否かを決定することを促される。投資家は、選択した何れかのプールにおける注文が完全充足すると、残り全ての市場取引可能株を当該プールに即座に送信して、取引を試みるような設定を要求することができる。投資家は、更に、図1Cで詳細説明する市場チェック機能を用いることを選択できる。
次に、ステップ1006において、投資家の回答(及び選択)を取引設定セットに統合する。この取引設定セットは、TLLシステムがステップ1010において、投資家及び/又は投資家の取引注文と関連付けて自身のデータベース内に記録することができる。TLLポータルユーザインタフェース上の質問と回答は、口語体であってもよいが、統合された取引設定は、通常、より正確で投資プロが用いるやや技術的な用語によって形成されている。例えば、設定は、FIX(Financial Information eXchange)プロトコル又はその他のデジタルデータ交換フォーマットにしたがって形成してもよい。
ステップ1008において、当該投資家のための1以上の指示シート又は仕様文書が生成され、これにより当該投資家のブローカ又はブローカファームに対して取引設定を提供する。例えば、画面上のボタンをクリックすることにより、投資家は、指示シート又は仕様書を生成させることができる。指示シート又は仕様書は、例えば、Portable Document Format(PDF)形式、eXtensible Markup Language(XML)形式、又はその他の形式であってもよい。図10Bは、本発明の一実施形態に基づく取引設定の指示シート例を示す。本例において、指示は、IEXグループの取引システムによってコンパイルされ、投資家の取引注文を出すブローカに向けられる。図示するように、この指示シートは、「非表示未約定について」、「IEXチェック」fill−or−kill(FOK)注文タイプ、「ブローカルーティングストラテジを含む」といった投資家の優先傾向を含む。これら指示により、投資家は、(ブローカを介して)取引注文が約定される場所と方法を制御することができる。
上述のように、投資家とTLLポータルとのやり取りにより、当該投資家固有の取引設定をデータベースに記録することができる。その後、記録した設定に基づき、TLLシステムは、ステップ1012において、投資家の取引がプリセット取引設定にしたがってルーティングされ、及び/又は約定されたか否かを確認することができる。
図1Cは、TLLの実施形態において、注文ルーティング前の未約定注文充足に対する市場チェックの例を示す。幾つかの実施形態では、高信頼市場において、未約定注文を出す投資家とブローカからのネットワーク効果により、当該市場において、利用可能な取引の受動的流動性を高めることができる。但し、幾つかの実施例では、市場参加者は、即座に充足すべき積極的注文を出すことを望む場合がある。また、注文を未約定状態にしないことを選択する場合がある。これにより、高信頼市場において、利用可能な受動的流動性を逃す可能性がある。幾つかの実施形態では、TLLは、市場のチェックを提供することができる。このチェックは、例えば、all−or−none注文タイプ又はimmediate−or−cancel注文タイプである。この実施形態において、市場参加者の注文は、完全充足されるか全く充足されないかの何れかである。これにより、一部充足が略奪的取引ストラテジに対してシグナルを送信するリスクを排除することができる。幾つかの実施形態において、注文が高信頼市場で充足されない場合、TLLによりブローカは、待機又は遅延なく自身のルーティングプロセスを継続することができる。
幾つかの実施例では、市場参加者のルーティングストラテジは、ダークマーケットと公開市場のルーティングの組み合わせを含む場合がある。幾つかの実施例では、投資家及び/又はブローカは、通常ルーティングプロセスをTLLによりチェックすることを含む場合があり、これにより自身がTLLによって利用可能となった流動性に対してアクセスできるようにする。例えば、ブローカ及び/又は投資家は、積極注文を公開市場及び任意の外部流動性宛先に対してルーティングする前にTLLによるチェックを利用することができる。この宛先は、利用可能であればブローカ自身のプールを含む。幾つかの実施例では、ブローカは、ブローカ自身の計らい(discretion)でTLLを用いることができる。幾つかの実施形態において、投資家やブローカ等の他の市場参加者がTLLを介して受動注文や積極注文をルーティングすると、自然取引参加者(例えば、略奪的ストラテジを採用していない参加者)の注文が合致する可能性が上がり、略奪的ストラテジに対して晒される可能性が減少する。幾つかの実施形態では、TLLスマート注文ルータ(Smart Order Router)を公開取引所(例えば、利用可能な11箇所)のみに接続し、公開市場における流動性を積極的に利用するために使用する。他の実施形態は、非表示流動性ソースに対してアクセスすることを含む。
図1Dは、TLLの実施形態において、最小量注文取引を示す例である。幾つかの実施形態では、一部のトレーダは、反対側取引について選択できるようにするため、取引の最小量注文条件を用いることができる。例えば、取引シグナルを誘起するためある個数の株(例えば、100株)を用いる略奪的ストラテジを回避しようとしている取引者は、そのストラテジを回避するため最小量注文指示を希望する場合がある。幾つかの実施例では、TLLは、略奪的取引からトレーダの注文を保護し、取引機会を最大化するように設計され、最小数量注文命令の処置を含む対策を組み込んだシステムを提供することができる。例えば、TLLは、限られたティアセットにおいて、利用可能な最小量を作成する。幾つかの実施形態において、これにより所与のティア内に収まる注文間の干渉可能性が高まる。幾つかの実施例では、注文が現在の最小数量ティアを下回ると、注文は、次の下位のティアに組み込まれる。
幾つかの実施例では、TLLは、複合プロセスを提供する。これは、到着注文よりも小さい未約定注文を複合して到着注文の最小量要件を充足させることにより、到着注文を充足させることができるものである。幾つかの実施形態では、小注文の組み合わせは、注文干渉を促し、小注文を用いて取引シグナルを探索する略奪的ストラテジから市場を保護することができる。
幾つかの実施形態において、TLLは、参加者プロセスで未約定注文を最小量指示とマッチングさせることにより、注文干渉を増やすことができる。例えば、1,000株最小量買い注文が、その1,000株に対して時間優先を有する200株買い注文と同じプール内にある場合がある。この例において、1,000株売り注文がプールに到着すると、到着した1,000株売り注文は、初めに200株買い注文と取引し、800株が残る。幾つかの実施例では、TLLは、その800株売り注文を未約定1,000株買い注文と取引することができる。800株売り注文は、1,000株買い注文の最小量要件を充足するからである。この実施形態では、TLLは、取引者の希望を反対側取引に対して選択的にしつつ、取引機会を増やすことができる。
図1Eは、TLLの実施形態におけるレインテンシーアービトラージを抑制する例を示す。一実施例において、一部の金融商品取引市場の参加者は、情報技術インフラを利用してマーケットデータフィードを他の市場参加者よりも速く取得することができ、これにより他の市場参加者が市場変化に対して反応する前に取引ストラテジを形成して注文を約定させることができる。
例えば、一実施例において、市場参加者からの注文が約定される場所は、注文が受け付けられる場所でもあり、ここから相場レポート、約定済取引、その他の市場データが一般に配信される。同じ場所及び/又は市場センタ近傍において、取引エンティティの位置を確定する(例えば、同一場所に配置する)ことにより、市場参加者は、市場データ更新を、データ配信時間がより長くかかるその他の市場参加者よりも先に受け取ることができる。一実施例において、この市場データ送信アドバンテージは、様々な要因によって生じる。例えば、位置的アドバンテージ(例えば、送信距離がより短い)、送信媒体(例えば、ケーブル、マイクロ波等)、回路抵抗、その他の情報技術インフラのアドバンテージ、及び/又は送信速度アドバンテージ等であるが、これに限られない。
一実施例において、市場データは、相場、最終取引フィード、及び/又はその他の市場情報を含む。一実施例において、市場センタ120は、任意種類の取引所、市場データ配信者、代替取引システム、Electronic Communication Network(ECN)、データプール等を含む。一実施例において、市場センタは、取引注文を約定させるデータ取引所を備える。別実施例において、市場センタは、マッチングエンジンとスマートルータを備える。スマートルータは、1以上のデータ取引所と注文をマッチングし、1以上のデータ取引所に注文をルーティングし、及び/又は再ルーティングする。このデータ取引所は、市場センタと提携しているものであってもよく、又は他の市場センタに位置しているものであってもよい。
高頻度取引(high frequency trading:HFT)参加者等であるが、これに限定されない市場参加者は、高速データ通信のアドバンテージにより、「レインテンシーアービトラージ」として知られるストラテジを取ることができる。図1Eに示すように、一実施例において、例えば、取引システムを市場センタ120近くに配置する等により、HFT参加者102cは、市場データ(例えば、「Coca Cola株」の価格更新103等)を、取引システムが市場センタ120からより離れている他の市場参加者102a〜bよりも早く受け取ることができる。HFT参加者102cは、次に、他の参加者がCoca Cola株価の市場データ103を受け取るよりも前に、新たに受け取った市場データに基づき取引を約定させ、例えば、Coca Cola株を購入する(104)。この結果、市場センタ120と同じ位置にいない又は取引システムを市場センタ12の近くに設けていない参加者102a〜bは、古くなったデータに対して取引を行うことを余儀なくされ、例えば、参加者102a〜bは、Coca Cola株価変化103に基づき注文を生成及び約定させることになり、一方でHFT参加者103cは、既にCoca Cola株の取引104を送信しているので、新たな価格変化が生じる可能性がある。一実施例において、HFT参加者以外の市場参加者、例えば、ブローカ、個人投資家、その他の自身の取引端末でデータ送信アドバンテージを享受する取引エンティティは、意図するか否かを問わずレインテンシーアービトラージのアドバンテージを得ることができる場合がある。
一実施例において、TLLインフラは、「point of presence(POP)」構造110を提供し、レインテンシーアービトラージを緩和し、より多くの参加者が浩平な市場にアクセスできるようにする。例えば、図1Eに示すように、TLLは、市場の約定センタ120から、注文受付と市場データフィードの公開ソースを分離する。一実施例において、TLLは、注文を市場センタ120へ直接送信することを許可せず、取引注文をPOP110へ送信又は再ルーティングすることを要求する。一実施例において、相場価格(例えば、103)を受け取り又は取引が約定されると、そのデータは、市場センタ120からPOP110へ送信され、POP110は、これを公開配信する。同様に取引注文は、POP110において、再ルーティングされる(例えば、105)。
一実施例において、POP110は、ハードウェアアクセスポイントを備える。このハードウェアアクセスポイントは、プロセッサ、メモリユニット、1以上のデータI/Oポート等を備え(図6等を参照)、ケーブル、無線、マイクロ波等様々な通信媒体を介して市場センタ120及び/又は市場参加者、取引データ端末等に接続される。一実施例において、POPアクセスポイントは、市場センタ120のマッチングエンジンから物理的に分離してもよく、分離しなくてもよい。マッチングエンジンは、注文を約定させ、及び/又はマッチングと他の市場センタへのルーティングを実施する。例えば、POPアクセスポイントが市場センタの外に配置されている場合、POPアクセスポイント110と市場センタ120との間の距離は、データ信号を通信する余分な通信時間を生じさせる。他の実施例において、POPアクセスポイントは、市場センタ内に配置され、POPアクセスポイント周りに追加ケーブルが取り付けられ、これによりPOPアクセスポイントから市場センタへデータ信号が到着するための余分な通信時間を生じさせる。図2は、POPアクセスポイント110のその他の物理的仕様(例えば、通信媒体タイプ(例えば、ケーブル、無線、マイクロ波等)、ケーブル長、抵抗等の電気回路パラメータ、通信時間測定)を示している。
別実施例において、ユーザインタフェース等を介して、POPアクセスポイントのケーブル長、回路抵抗、及び/又はその他のハードウェアパラメータを調整することができる。これにより、POPアクセスポイントが生じさせる通信レインテンシーを調整することができる。
一実施例において、TLL/POP構造は、HFT参加者102cが同一場所に存在することによるアドバンテージを減少させる。取引システムをPOPに配置しているHFT参加者102cは、POP110から市場センタ120への往復レインテンシーによって遅延したデータフィードを受け取る。したがって、低レインテンシーフィードのアドバンテージに基づくHFTストラテジ(例えば、104)を用いようとしても、他の参加者102a〜bが市場データを受け取る前の市場データに基づき約定されるとは限らない(例えば、108)。
別実施例において、図1Hに示すように、データ取引所122bは、取引注文を第2のベニュー(他の取引所、ECN等)へルーティングする。この場合、市場センタ120からPOP110へのレインテンシー(例えば、市場センタ120がPOPを介して最終取引フィードを含む市場データを公開するよう要求することにより生じる追加レインテンシー)と、POPから第2のベニューへのレインテンシー(例えば、HFT参加者がPOPを介して注文を送信するよう要求することにより生じる追加レインテンシー)との合計が、市場センタ120から第2のベニューへのレインテンシーを超過していれば、市場センタからの注文は、HFT参加者による干渉なしで安全に第2のベニューへルーティングされる。システムに追加のレインテンシーを導入することによって、レインテンシーアービトラージの不公平な利点が低減される。
図1Fは、TLLの実施形態において、オーダブックアービトラージを抑制する例を示す。一実施例において、図1Eで説明したように、HFT参加者102cは、市場データフィードを他の参加者102bよりも速く受け取り、他の市場参加者102bが市場フィードに対して反応し又はこれを受け取ることができるよりも前にHFT参加者102cが取引を約定できるようにしようとする。このようなHFT取引ストラテジの例として、オーダブックアービトラージストラテジがある。オーダブックアービトラージは、市場情報を伝搬する際の遅延によるアドバンテージを利用して、市場センタが市場情報を処理する前に市場情報を処理して市場情報に反応し、これによって、市場センタがより新しい情報を有していれば約定させなかったはずの取引を約定させる。
例えば、多くの市場センタは、参加者が「ミッドポイントペッグ」で注文できるようにしている。その指値は、市場センタによって動的に調整され、常に全米最良気配(national best bid and offer:NBBO)価格の中間となる(例えば、121)。ミッドポイントペッグ注文は、現在のNBBOの中間価格でのみ約定するよう意図されている。例えば、注文が古いNBBOに基づき値付けされている場合、注文価格は、最新NBBOの中間価格ではなく、注文は、取引されないか又は最新ミッドポイント価格よりも劣る価格で取引されることになる。
例えば、市場Aにおいて、NBBOは、$0.10×$0.12で計算され(すなわちNBBは、$0.10、NBOは、$0.12)、ミッドポイントは、$0.11となる。市場が新たなNBBO$0.11×$0.13へ移動した場合、新たなミッドポイントは、$0.12となり、取引注文データをこれにしたがって更新して有効なミッドポイントペッグストラテジとなるようにする必要がある。市場Aが必要な更新時間よりも前にHFT参加者が新たなミッドポイント($0.12)を取得すると、HFT参加者は、市場Aにおいて、株式を$0.11で購入し、即座に/同時にこれを他の市場において、$0.12で売却する可能性がある。これは、$0.01の「リスクなし」アービトラージである。このシナリオは、市場Aにおいて、NBBOが$0.10×$0.12で計算されると共に、市場Aが$0.09におけるビッドを有する再値付けされる注文(例えば、U.S.Securities and Exchange Commission’s Regulation NMS(Regulation NMS)等の法規に基づくもの)とは異なる。市場が動いて新たなNBBOが$0.09×$0.11となり、市場Aにおける更新が間に合わない場合、市場Aは、未約定の$0.09の買い注文と$0.09の売り注文のマッチングを許可しない(Regulation NMSが$0.10ビッドを禁止するため)。これに代えて、市場Aのビッドに対してペッグされた注文があり、NBBOが$0.10×$0.12で計算される場合、市場が動いてNBBOが$0.09×$0.11となり市場Aが更新するのが間に合わなければ、ビッド$0.10にペッグされた注文を有していることになる。このようにHFT参加者は、$0.10で売り、即座に他の市場において、$0.09で買うことを試みる。
一実施例において、ペッグされている指値は、市場センタがアクセス可能な市場データを参照して定める。市場センタが連結市場データフィードを用いてNBBOを判定すると共に、例えば、市場センタと同じ位置にいるHFT参加者102cが専用市場データフィード(例えば、専用又はサードパーティのティッカプラント(ticker plants)、例えば、Exegy、Redline、Wombat等)を用いる場合、HFT参加者102cは、市場センタがNBBO更新を処理し終える前に、NBBO更新を処理し、注文を送信し、ミッドポイントペッグ注文を約定させることができる(例えば、114参照)。
例えば、NBBOが$0.10×$0.12から$0.08×$0.10に変化した場合、HFT参加者102cは、ミッドポイント指値売り注文を即座に送信して$0.11(元のNBBOのミッドポイント)で約定させることを試みることにより、そのオーダブックストラテジ130を実行する。データフィードが遅い市場センタがNBBO変化を未だ知らない場合、HFT102cミッドポイント売り注文に対してミッドポイントペッグ買い注文を取引する可能性がある。このときの価格は、最新NBBOよりも劣っている。したがって、ペッグ注文は、現在のNBBOの外で約定され、注文の意図から外れることになる。市場センタがHFT参加者と同じ更新されたNBBOを有していれば、ペッグ注文は、新たなNBBOのミッドポイント($0.09)に再値付けされ、HFT参加者は、ペッグ注文を約定させることができない。このアービトラージストラテジは、その他の注文タイプのアドバンテージを得るため同様に用いられる場合もある。例えば、更新後NBBOよりも積極的に値付けされるが、従前はNBBOの範囲内であった「hidden」注文である。
一実施例において、TLLは、図1Eと同様のインフラを採用し、オーダブックアービトラージを抑制することができる。例えば、取引注文は、市場センタに対して直接送信されない。これに代えて、取引注文は、POP110に対して送信され、ここから市場センタに対して送信される。一方、市場センタは、直接専用データフィードを用いて自身の市場データを更新する。このように全ての市場参加者102bは、NBBO更新117を受け取ることができ、自身の取引端末インタフェース119を介して最新のミッドポイントペッグデータに基づきビッド/オファー要求を約定させることができる。
例えば、HFT参加者121が市場データ更新135を受け取り処理する時間をtaとし、HFT参加者121がアービトラージストラテジ注文を市場センタに対して送信する時間をtbとし、市場センタが市場データ更新を受け取り処理する時間をtcとすると、HFT参加者102cは、不等式ta+tb<tcが成り立つ限りアービトラージを実施できる。HFT参加者102cがtcに対してta及びtbを減少させる手法は、様々ある。例えば、市場データは、全市場センタからのデータを含む連結市場データフィードを介して配信されるが、多くの市場センタは、自身の取引と値付けデータの専用データフィードも提供している。連結プロセスの性質により、連結市場データフィードは、一般に専用フィードと比較して遅延する。したがって、市場センタが連結市場データフィードを用い、HFT参加者102cが専用フィードを用いる場合、taは、遅延がなくtcよりも遥かに小さくなる。第3項tbも「同一場所(co-location)」によって減少させることができる。例えば、HFT参加者102cは、自身のサーバを市場センタに対して物理的に近い場所に配置し、送信時間の遅延を抑制することができる。
一実施例において、市場センタは、専用フィードとより高速な技術を用いることによってtcを減少させてアービトラージストラテジが起こり得る不等式を反転させることを試みるが、技術の進歩速度は、速く、結果として参加者と市場センタがレインテンシーを相手方の最新進歩よりも小さくすることを続ける、終わりのない「せめぎ合い」が起こるに過ぎない。したがって、これは、市場センタにとってコスト効率のよいビジネスストラテジではない。したがって多くは、HFT参加者の技術と競争することを試みることはない。これに代えて、TLLは、tcを抑制する高コストな技術競争ではなく、tbを増やすことによりアービトラージ機会をなくすインフラを、例えば、POPを介して提供する。
一実施例において、tbは、POP110から市場センタへのレインテンシーにより増え、ta+tb>tcとなる。これにより、図1Fで説明したオーダブックアービトラージストラテジのようなアービトラージストラテジは、このインフラにおいては、有効性が格段に低くなる。HFT参加者がデータ更新を処理して市場センタに対し注文を送信するのにかかる時間は、少なくとも専用データフィードからPOP110までのレインテンシーと、POP110から市場センタまでのレインテンシーとの合計となる。これら2つのレインテンシーの合計は、専用データフィードから市場センタへの直接ルートのレインテンシーよりも大きいので、市場センタは、同じデータに基づきHFT参加者から注文を受け取る前に、新たなデータを受け取り処理することができる。このようにして、市場センタは、HFT参加者とシステム速度で競争することなしに、HFT参加者がオーダブックアービトラージを実施する能力を大幅に減殺することができる。
図1Gは、TLLの実施形態において、アービトラージを抑制するTLL POPメカニズムのインフラ例を示す比較図である。一実施例において、図1G(a)に示すように、TLL/POPインフラがない場合、HFT参加者121は、市場データが生成され配信されるデータ取引所122a〜bに近いか又は同じ場所に位置しており、取引注文は、例えば、取引所A122a及び取引所B122bで約定される。
例えば、ブローカ125が、クライアント130(例えば、HFTではない取引エンティティ)に代わって取引注文131をデータセンタ1 120aにおける取引所122aに対して送信し、第2注文132をデータセンタ2 120bにおける取引所122bに対して送信したとする。物理的位置のアドバンテージにより、HFT121は、ブローカ125が送信した注文131に関する注文約定情報131を含む市場データ135を、取引所122aから受け取ることができる。HFT121は、内部的にこの情報と同期し、市場データに対して反応することができる。例えば、HFT121は、注文131の約定に関して取得した情報に基づき、注文3を生成し、及び/又は取引所B122bにおけるペンディング注文をキャンセル(133)する。したがって、ブローカ125とデータセンタ2 120bとの間の距離に起因して、HFT121は、注文1 131が約定された後、注文2 132が取引所B122bに到着する前に、更新後の市場情報に対して行動することができる。これにより注文2 132は、古くなった(例えば、注文1が約定される前の)市場データに基づく不利益な取引注文となる。
他の実施例において、図1G(b)に示すTLL POPインフラにより、TLLは、注文受領と市場データフィードの公開ソースを、市場の約定センタ122aから分離することができる。一実施例において、全ての取引注文は、POPアクセスポイント110に対して送信しなければならず、POPは、取引注文を約定のための取引所TLLに送信し(122a)、例えば、ブローカ125は、注文1 131をPOP110に送信し、TLLにおいて、注文131を約定させる。一実施例において、TLLは、市場データ135(例えば、注文1の約定を反映した更新後データを含む)をPOP110経由で配信し、POP110は、その市場データ135をHFT121に対して引き渡す。
一実施例において、注文1 131の約定を反映した更新後市場データ135をHFT121がPOP110経由で取得すると、HFT121が市場変化に対して即座に反応したとしても、HFT121は、注文をデータセンタ2 120bにおける取引所122bに対してルーティングすることになる。このように、余剰送信時間、例えば、データセンタ1におけるHFT121からデータセンタ2におけるHFT121までの送信時間により、HFT注文のレインテンシーが増加する。注文1の約定131を反映した市場データ135に基づきデータセンタ2 120bにおけるHFT121が注文3 133を送信及び/又はキャンセルすることができる時刻までに、ブローカ125の注文2 132は、データセンタ2 120bに到着し(例えば、注文2 132は、TLLにおいて約定することを意図してないので、データセンタ120bに対して直接送信される)、取引所B122bにおいて、約定されている。したがって、注文3は、注文2 132に対して、更新後市場データに関連するアドバンテージを何ら有さない。
例えば、ブローカ125からデータセンタ2 120bまで注文2 132を送信する時間は、89msであるとする。一方、POPアクセスポイント110によって生じる送信時間レインテンシー(例えば、追加ケーブル長、回路抵抗等)は、市場データ135をTLL122aからPOP110、更にHFT121へ送信する時間30msを含み、HFT121からデータ取引所B 122bへの送信時間が60msであるとすると、合計レインテンシーは、90msとなる。一実施例において、POP及び/又はTLLは、注文が送信され及び/又は受信されたタイミングを推測し、測定し、及び/又はシグナリングする必要はない。これに代えて、POPの物理構成が上述の追加レインテンシーを生じさせてもよい。したがって、注文3は、注文2が到着した後に取引所Bへ到着する。
図1Hは、TLLの実施形態において、注文予測におけるレインテンシーアービトラージを抑制する別実施例を示す。一実施例において、TLL122aは、最新市場に基づき注文を動的にルーティングする。TLL122aから取得した市場データ135は、最終取引フィードを含む。HFT121は、これを利用して注文を予測する。例えば、図1H(b)に示すように、HFT121がTLL122aから市場データ135を取得して最新約定注文を得たとき、TLL122aは、注文134を他のデータセンタ(例えば、データセンタ2 120b)へルーティングするので、HFT121は、データセンタ2 120bにおけるデータ取引所122bにルーティングされ約定される注文134を予測することができる。POPアクセスポイント110がない場合、図1H(a)に示すように、HFT121は、ルーティングされた注文134に対して有利な注文133を即座に生成し、その注文133をデータ取引所122bに対して送信する。これによりルーティングされた注文134は、不利となる。例えば、注文134に含まれているビッド/オファーは、成功せず、不利な価格で約定される。
他の実施例において、図1H(b)に示すように、POPアクセスポイント110がある場合、注文1の約定による更新を含む市場データ135は、POP110に対して送信され、POP110は、市場データ135をHFT121に対して送信する。ルーティングされた注文134に対して有利となるようにHFTが生成した注文133は、データ取引所122bに対してルーティングする必要がある。POP110を介してHFT121に対して最新市場データ135を配信するレインテンシー及び/又は注文1 133の送信時間により、注文133がデータ取引所122bに到着する時刻までに、注文134は、データ取引所122bに到着して約定され、したがって、不利にならない。
なお、図1E〜図1Hで説明した例は、HFT市場参加者と非HFT市場参加者を示しているが、これらレインテンシーアービトラージ及び/又はオーダブックアービトラージは、HFT参加者及び/又は非HFT参加者の任意の組み合わせ間で生じ得る。POPハードウェアアクセスポイントは、様々な市場参加者に対して適用することができる。レインテンシーアービトラージとオーダブックアービトラージを管理する例と様々なシナリオについては、図6A〜図6Hで説明する。
図2は、TLLの実施形態におけるTLLサーバ220とPOP210との間のデータフロー、TLL市場データ配信及び取引注文約定の提携取引エンティティを示すデータフロー図である。幾つかの実施形態において、TLLサーバ220、その提携及び/又は独立POP210、市場センタ240、市場参加者202a〜n、HFT参加者202x、TLLデータベース219等は、通信ネットワーク(例えば、インターネット、通信ネットワーク、決済処理ネットワーク、電話ネットワーク、携帯ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク、3G/4Gネットワーク等)を介して市場データ更新及び/又は取引注文要求を相互通信する。
一実施例において、様々な市場参加者202a〜nは、市場センタ240と通信し、例えば、ビッド要求及び/又はオファー要求201a〜b等の取引注文を約定させる。一実施例において、市場参加者は、個人投資家、ブローカ、ポートフォリオマネージャ等を含むが、これに限らない。一実施例において、注文データ201a〜bは、市場参加者202a〜bから市場センタ240に対して直接送信されず、以下に説明するようにPOP210を介してルーティングされる。
一実施例において、市場センタ240は、1以上の集中及び/又は分散電子取引プラットフォーム及び/又は市場取引所を備える。例えば、NASDAQ、NYSE、BATS、Direct Edge、Euronext、ASX等を含むが、これに限らない。一実施例において、市場センタ240は、ビッド/オファーデータフィード204を取得及び更新し、その市場データ更新206を参加者に対して提供する。一実施例において、市場データ更新206は、HFT参加者202xに対して直接提供される専用フィードを含む。リアルタイム市場データフィードは、CSVファイルフォーマット、ITCHプロトコルを介したもの、及び/又はその他の電子取引プロトコルによるものを含む。これは、様々な金融データベンダからのデータフィードを含む。例えば、Google、Knoema、Netfonds、Oanda、Quandl、Yahoo、Xignite等を含むが、これに限らない。一実施例において、HFT参加者202xは、CSVファイルをパースして市場データ情報を取得する。QuandlからのCSVファイルをテストする疑似コードセグメントは、例えば、以下のようなものである。
Figure 0006682514
他の実施例において、市場センタ240は、XML形式でフォーマットされたHFT参加者202xのための市場データフィードを含む(Secure)Hypertext Transfer Protocol(HTTP(S))POSTメッセージを生成する。XML形式データを含むHTTP(S)POSTメッセージの形態の市場データフィード206のリスト例を、以下に示す。
Figure 0006682514
一実施例において、HFT参加者202xは、市場データフィード206を取得すると、自身の取引ストラテジに基づき取引注文207を生成する。例えば、最新のビッド/オファー価格に基づくビッド要求等である。そして注文を送信するためPOPを検索/照会する。例えば、一実施例において、TLLは、参加者の地理的位置、意図する取引交換タイプ等に基づき、取引注文をPOPに対してルーティングする。例えば、HFT参加者202xは、データベーステーブル(例えば、図6のPOP919c)に対してPHP/SQLコマンドを発行してPOPをクエリする。HFT参加者の位置と意図する取引交換に基づきPOP210をクエリするPOPクエリ207の例を、PHP/SQLコマンドの形態で以下に示す。
Figure 0006682514
HFT参加者202xは、ビッド/オファー要求209を送信し、その要求は、POP210に配信される。例えば、ビッド/オファー要求209を含む取引注文は、図4Bのような電子取引ユーザインタフェースを介して個人によって入力される。他の実施例において、取引注文は、ブラックボックス取引システム、注文エントリ(例えば、FIXプロトコル)、自動データ取引センタ等を介して入力される。ビッド/オファー要求メッセージ209のリスト例を、XML形式データの形態で以下に示す。
Figure 0006682514
一実施例において、POP210は、例えば、地理的近さに基づき市場センタ240と同じ場所に収容される。他の実施例において、POP210は、集中TLLサーバ220に統合される。例えば、全ての取引注文は、市場センタ240に対してルーティングされ約定される前に、リモートのPOP/TLLサーバに対してルーティングされる。
一実施例において、POP210は、HFT参加者202x(及び/又はその他の参加者)からビッド/オファー要求209を受け取ると、その注文要求211をTLL220に対して引き渡す。TLL220は、その注文要求を市場センタ240に対して約定のためルーティングする。一実施例において、他の市場参加者202a〜nは、例えば、物理的位置が市場センタ240から離れており、及び/又は比較的遅い連結市場フィードを受け取る。他の市場参加者202a〜nは、市場データ更新212a〜bを受け取る。一実施例において、市場参加者202nは、同様にビッド/オファー要求214を送信する。これら要求は、POP210に対してルーティングされる。
一実施例において、POP210は、ケーブル接続等の通信リンクを介して受信したビッド/オファー要求(例えば、209、214等)を受け取り、ビッド/オファーデータ215を含むその取引注文をTLL220に対して送信し、及び/又はその取引注文は、約定のためにTLLから市場センタ240(例えば、他の取引所)に対してルーティングされる。一実施例において、取引注文215は、例えば、疑似同期してバッチ送信される。他の実施例において、POP210は、ビッド/オファーデータ215を市場センタ240に対して送信する「時間」を「ホールド」及び/又は予測する必要はない。POP210における通信媒体(例えば、ケーブル、マイクロ波等)を介した再ルーティングは、本質的にレインテンシーを生じさせ、HFT参加者202xからの取引注文209は、他の参加者202a〜nからの取引注文214に対してアービトラージを実施できないからである。
一実施例において、TLL220及び/又は市場センタ240は、受信した注文216を約定させ、ビッド/オファーがマッチングすれば取引を進める。一実施例において、TLLは、TLLサーバ220がTLLデータベース219に格納する取引レコード218(例えば、TLL220が約定させた取引、及び/又は他の市場センタ240において約定された取引に関する情報)を生成する。一実施例において、POP210は、取引注文がPOPを介して引き渡されると取引レコード218にタイムスタンプを付与する。例えば、取引レコード218は、アービトラージを抑制することに成功したか否かをTLLサーバ220が分析するための、HFT注文及びその他の市場参加者202a〜nからの注文に関するタイミングパラメータを含む。レコード218は、周期的に生成してもよく、間欠的及び継続的に生成してもよく、及び/又はTLLサーバ220からの要求により生成してもよい。
取引レコード218のリスト例を、XML形式のデータで以下に示す。
Figure 0006682514
図3は、TLLの実施形態において、POPルーティングによりレインテンシーアービトラージを抑制するロジックフローである。幾つかの実施形態において、様々な市場参加者は、注文要求を市場センタに対して送信する(例えば、301)。この注文要求は、市場センタに対して直接送信され、及び/又は図2で説明したようにPOPに対して送信された後にTLLへ引き渡される。一実施例において、市場センタは、注文要求302を受け取ると、現在のビッド/オファー価格リストを更新する(304)。別実施例において、市場センタは、ビッド/オファー価格リストデータをデータ取引所から取得する(例えば、NBBO)。
一実施例において、市場センタは、様々な市場参加者に対してデータフィードを提供する。この市場参加者は、HFT参加者及び/又は非HFT参加者を含む。一実施例において、図1Fで説明したように、HFT参加者は、専用フィードを受け取るとき市場更新を速く受け取り(306)、受け取った専用フィードに基づき取引注文を生成する(307)。そして、HFT参加者は、取引要求を送信する(309)。POPアクセスポイントは、これを受け取り、HFT参加者の物理的位置、取引要求に含まれる金融商品タイプ、所望する取引所等に基づき、レインテンシーを生じさせる(310)。一実施例において、POPは、取引要求をTLLに引き渡し、TLLは、注文を受け取ってルーティングし(311)、HFT参加者からの注文要求を保持する必要はない。一実施例において、TLLは、取引注文を約定させ、及び/又は約定のために他のデータセンタへルーティングすべきか否かを判定する(312)。ルーティングしない場合は、注文を約定させる(319)。
別実施例において、他の市場参加者(例えば、非HFT参加者)は、例えば、連結市場データフィードを介して市場更新を受け取る(313)。この市場更新は、相対的にレインテンシーを有している。一実施例において、市場参加者は、ビッド/オファー要求を含む取引注文を生成してこれをTLL POPに対し送信する(314)。別実施例において、市場センタの物理的近くにない非HFT市場参加者のため、TLLは、取引注文をPOPに対して送信するよう要求してもよく、しなくてもよい。
一実施例において、TLL/POPが取引注文を手放すと(312)、市場センタは、これを受け取り約定させる(315)。例えば、市場センタは、注文をパースして金融商品ID、ビッド/オファー価格を取得し、ビッドが成功するか否かを判定する(316)。成功である場合、市場センタは、取引を進め、新取引に基づき現在のビッド/オファー価格リストを更新する(317)。
一実施例において、TLL/POPは、POPレコードを生成する(318)(例えば、図2の218参照)。POPレコードは、注文ルーティングとレインテンシーのタイミングパラメータを記録し、アービトラージ抑制性能を分析するために用いることができる。
図4A〜図4Bは、TLLの実施形態におけるTLL POPルーティングシステム設定及び/又は顧客設定を示すUIの例である。図4Aは、POP割当の管理UIである。例えば、一実施例において、TLL管理者は、例えば、zipコード及び/又はエリアコード412によって構成されているPOPエンティティ411の分布を見ることができる。一実施例において、図4Aに示すように、TLLダッシュボードは、当該領域における各POPの位置、及びPOPに関する詳細を提示する。例えば、サーバIP、住所、取引所/市場までの距離(送信時間)等である。一実施例において、TLL管理者は、HFT参加者416を1以上のPOPエンティティに対して割り当てる。この割り当ては、例えば、HFT参加者の地理的位置、取引量、取引パターン、所望する取引所等に基づく。幾つかの実施例において、TLLとその他の市場参加者との間の距離は、POP位置を定める要因になり得る。他の実施例において、この距離は、考慮しないこともできる。POP「距離」は、ケーブル長等によって較正できるからである。POPが他の市場センタから遠くレインテンシーが過大に増え参加者の取引体験が過剰に不利になる可能性がある場合、他の市場センタに対するPOPの位置は、重要である。
例えば、TLLは、TLL管理者毎に異なるPOPエンティティをセットアップすることができる。例えば、TLLは、NYSEに対して向けられる注文に関してNew Jerseyに配置されたPOPをHFT参加者に対し割り当てることができる(417)。またNASDAQに対して向けられる注文に関してNew Yorkに配置されたPOPを割り当てることができる(418)。一実施例において、TLLは、管理者にテスト配置させることができる。これは、例えば、割り当てたPOPから所望するデータ取引所までの推定送信時間を提示することにより実施する。
図4Bに示す実施例において、ブローカの顧客は、ウェブベースダッシュボードアプリケーションにログインし、ポートフォリオをレビューする。例えば、顧客は、ビッド/オファーフィード401のリストを目視確認し、又は顧客投資プロファイル405を見て設定406〜407を変更する。
例えば、顧客は、ブローカが設けた注文の約定に関する設定をセットしようとする場合がある。ブローカは、一般に顧客の指示を順守する必要があるが、現在の市場において、ブローカは、顧客の注文をどのように約定させるかについてある程度の計らいを行う権利を有しており、ブローカの計らいにより、顧客の最終指示とは異なる注文を市場で約定させる場合がある。
一実施例において、TLLは、UIを提供し、ブローカの顧客が市場に対して直接的に計らい設定できるようにする(407)。これら設定は、以下の要因の1以上に基づき顧客がいつ取引を所望するかを示す:シンボル、市場資本、過去のスプレッドと比較した現在のスプレッド、提示されている流動性、関連商品価格、ストラテジタイプ、平均日中取引量、平均日中取引量と比較した注文サイズ、最小フィルサイズ、想定元本、価格、最少取引サイズ、オープン価格、及び/又は注文タイプ等。
一実施例において、顧客は、ブローカに対して、顧客IDと共に注文を市場へルーティングするよう指示する。市場は、その指示を認識し、顧客が先に設定した計らい設定と注文をマッチングし、注文を約定させる際に顧客の計らい設定を順守する。これによりブローカが顧客の注文指示から逸脱する権限を除去できる。すなわち、専門用語が不明確でありその結果注文が顧客のブローカに対する指示又は顧客の利益に反することを回避できる。
例えば、顧客は、設定416〜418において、「Synthetic all or none」注文タイプを設定する。一実施例において、電子取引注文は、「all−or−none」(AON)で実行してもよく、これは、注文全体の要求を満たすだけの十分な流動性がある場合のみ約定させてもよい。注文の一部のみを満たす流動性しかない場合、AON注文は、その全体が約定されない。AONではない注文は、その流動性の下でも約定され、一部が充足されない場合がある。一実施例において、この注文タイプの制約は、単一市場における流動性に対してのみ約定されることである。例えば、AON注文は、2以上の市場からの流動性を満たすように約定されることはない。
一実施例において、TLLは、「Synthetic AON」注文タイプを実行する。例えば、この注文タイプの場合、市場参加者は、最小約定量と注文約定価格を指定することができる。TLLは、当該TLL自身に対して提示されている流動性と提示されていない流動性、及び当該TLLが注文をルーティングするその他の全ての取引ベニューに対して提示されている流動性に対して、この最小量を約定可能か否か判定する。市場参加者が指定した価格よりも不利ではない価格で注文を約定できるだけの連結流動性がある場合、TLLは、注文を部分的に約定させ、一部を他の取引ベニューへルーティングする。これにより、注文の約定された部分とルーティングされた部分が、指定された最小量を満たすようにする。ルーティングされた注文のうち1以上は、部分的に充足され、又は全く充足されない場合がある。したがって、従来のAON注文タイプとは異なり、Synthetic AON注文は、「ベストエフォート」で実行される。TLLが最初に約定させた取引がルーティングされた注文の約定に対して与える影響を最小化し、TLL約定をシグナルとして用いてTLLがルーティングした注文を他の市場センタに急がせることにより他の参加者がSynthetic AON注文タイプのアドバンテージを得る可能性を最小化するため、TLLは、注文をルーティングするとき、ルーティングされた注文が十分遠くまで伝搬してその宛先に急がされる可能性が排除されるまで、TLL注文約定に関する情報を市場参加者が受信できないようにする。このプロセスは、上述のPOP設備を用いることを含む。一実施例において、完全に充足される保証はないものの、POP構造は、Synthetic AON注文の有効性を高める。
別実施例において、TLLは、様々な要因に基づき注文をマッチング及び/又は優先付けする。この要因は、例えば、価格、ディスプレイ、ブローカ、時間優先等である。オーダブックにおける最良価格注文は、その他の全ての注文に優先される場合がある。同一価格であれば、表示注文は、非表示注文よりも優先される。価格と表示状態が同じである場合、当該ブローカの注文がオーダブックに対してテスト中であれば、ブローカの未約定注文は、他のブローカの注文よりも優先される。ブローカ自身の注文のなかで、Agencyマークされた注文は、Principalマークされた注文よりも優先される。同一優先度レベルにおける全ての競合注文のなかで、最も古い注文が優先される。所与の価格で表示される注文のなかで、まずAgencyマークされた注文が時間優先され、注文が処理されると、次に同一サブスクライバに属するPrincipalマークされた注文が時間優先され、次にその価格における他の表示注文が時間優先される。最古注文は、高い優先度を有する。所与の価格における非表示注文のなかで、まずAgencyマークされた注文が時間優先され、次に同一サブスクライバに属するPrincipalマークされた注文が時間優先され、次にその価格における他の非表示注文が時間優先される。最古注文は、高い優先度を有する。一実施例において、最小量(Minimum Quantity)等の特定の注文条件パラメータが、非表示注文やImmediate Or Cancel(IOC)注文に対して選択される。TLLのオーダブックにおいて、優先度を有する未約定注文がその条件に起因して約定されない場合、その未約定注文は、オーダブックにおけるそのプロセスサイクル時間に関する優先度を放棄する。
一実施例において、TLLがオーダブック上の未約定注文に対して再値付け、表示更新、ブック再チェック、又はルーティング動作(まとめて「ブック動作」)を実施する毎に、価格/時間優先度において、これを実施する。このときのタイムスタンプは、時間優先度を決定するためのアクションを実施したときにおける注文の一部のタイムスタンプであり、このときの未約定価格は、価格優先度を決定するための当該注文又はその一部のオーダブック上における未約定価格である。
一実施例において、TLLが表示注文又は予約注文の表示部分を再値付けする毎に、オーダブックの価格/時間優先度における時間を判定するため、TLLは、注文(又は注文の一部)に対して新たなタイムスタンプを割り当てる。
図5A〜図5Cは、TLLの実施形態におけるTLLネットワークインフラを示すデータ図である。一実施例において、TLLサブスクライバ510(例えば、個人投資家、取引エンティティ、及び/又は市場参加者)は、POPアクセスポイントに接続されている。POPアクセスポイントは、例えば、FIXプロトコルを実施してFIXエンジン507と通信するアクセスポイントである。一実施例において、POP FIX/CUSTアクセスポイントは、取引エンジン515と同じデータセンタ及び/又は別のデータセンタに配置されたハードウェア構造を備える。一実施例において、FIXエンジン507は、FIXプロトコルを介してデータを送受信するロジック部品を備える。図5Cは、データメッセージパケット構造519dの例を示す。
例えば、TLLサブスクライバ510は、FIX APIを通じて(例えば、データ取引所そのものとして動作する)TLL上で取引される商品を購入又は売却する注文を電子送信する。一実施例において、サブスクライバは、TLLが提供するFIX APIに準拠する通信を介して、あるインターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)アドレスにおいて、TLLに対するダイレクトアクセスを利用することができる。
一実施例において、シーケンサ506は、データをパースし、取引エンジン515に対してデータを送信する。データメッセージパケット構造519cの例を図5Cに示す。一実施例において、取引データ(例えば、ビッド/オファー要求)は、取引ゲートウェイ505に対して送信され、取引所502において約定される。取引所502は、例えば、NYSE502a、BTLL502b、EDGE、CHSX、NSX502c、NASDAQ502d等である。一実施例において、TLLは、取引データをデータベース519のストレージに対して送信する。一実施例において、TLLは、内部ウェブ511を介してデータフィードを配信するCNCを介して取引データを配信し、及び/又はDMZを介して外部ウェブ512において、データフィードを配信する。図5Bは、データメッセージパケット構造519a〜bの例を示す。
別実施例において、TLLは、注文を他の市場センタ(例えば、図1Hの134)へルーティングする際の様々なルーティングオプションを提供する。ルーティングオプションは、様々な注文タイプ及びTIFと組み合わせることができる。但し、ルーティングオプションの条件と整合しない注文タイプ及びTime in Force(TIF)を除く。幾つかの実施例において、TLLは、1以上のシステムルーティングテーブルを保持する。このテーブルは、システムが注文をルーティングする宛先となる取引ベニューを決定するためのものである。この注文は、遠隔取引ベニューに留まることを意図してルーティングされるものを含む。システムルーティングテーブルは、システムが注文をルーティングする手順も記述している。TLLは、複数のルーティングオプションについて複数のシステムルーティングテーブルを保持することができ、事前の通知なしでシステムルーティングテーブルを変更することができる。
例えば、TLLは、Route to Takeプロトコルを実装することができる。例えば、そのルーティングオプションにおいて、利用可能な取引をオーダブック上でシステムがチェックし、未約定取引をimmediate−or−cancel注文としてシステムルーティングテーブル上の宛先へルーティングする。ルーティング後も取引が未約定のままである場合、これらは、オーダブック上に留め置かれる。オーダブック上において、注文が他のアクセス可能な市場センタによりロックされ又は干渉された場合、システムは、その注文がサブスクライバ(例えば、クライアント、投資家等)によって再ルーティング可能である旨をマークされていれば、その注文又はその一部をロック又は干渉した市場センタへルーティングする。
他の実施例として、TLLは、Route to Restプロトコルを実装することができる。このプロトコルにおいて、TLLシステムは、利用可能な取引をオーダブック上でチェックし、未約定取引をimmediate−or−cancel注文としてシステムルーティングテーブル上の宛先へルーティングする。ルーティング後も取引が未約定のままである場合、システムは、TLLルーティングテーブルの定義にしたがって、その注文の表示サイズをオーダブックと他の取引ベニューとの間で分割する。Pre−Market Session又はPost−Market Trading Sessionの間にTLL上で約定される任意の取引について、適用可能注文価格は、最高自動値付けビッド又は最低自動値付けオファー(NBBO)と同額又はより有利でなければならない。但し、注文がISOマークされ、又は自動値付けビッドが自動値付けオファーとクロスしている場合は除く(或いは、取引約定が他の条件に合致する場合、例えば、Regulation NMS 規則611(b)の例外に相当するような場合)。
一実施例において、サブスクライバ注文指示が反対指示しない限り、到着する注文は、まず、オーダブックにおいて、約定マッチングされる。約定されない取引は、キャンセルされ、オーダブックに留め置かれる。或いは、買い注文と売り注文がオーダブック上でマッチングし、又は遠隔ベニューにルーティングされた注文がそのベニューにおいてマッチングする場合は、ルーティング約定される。システムは、到着する注文を受け取った順に処理する。この注文は、ルーティング先の遠隔ベニューから戻ってきた未約定注文又はその一部を含む。注文又はその一部が遠隔ベニューにルーティングされている間、その注文又はその一部は、システムの到着注文処理キューの一部ではなくなり、後続の注文が優先処理される。
オーダブックに対して送信された注文を約定させる際、システムは、サブスクライバが自身のアカウントから送信した注文と、サブスクライバがその顧客のために送信した注文との間の区別ができない場合がある。但し、ブローカ優先機能を除く。ブローカ優先において、未約定のAgency注文は、未約定のPrincipal注文よりも優先される。
一実施例において、サブスクライバは、リモートからシステムに対して注文を送信し、オーダブック上にある注文に対して同等のアクセスを有する。同様に、TLL上の注文は、自動約定されるので、サブスクライバは、約定のタイミングを制御することができず、約定前に注文を変更又はキャンセルできるに過ぎない。オーダブックに対して送信された買い注文は、オーダブックに対して送信された同一商品の売り注文と同額又は超える価格に値付けされ、注文を送信したサブスクライバが選択した条件が満たされるまで、システムにより自動的に約定される。この買い注文は、オーダブック上において優先権を有する最低価格の売り注文の価格で約定される。
一実施例において、オーダブックに対して送信された売り注文は、オーダブックに対して送信された同一商品の買い注文と同量又はそれ以下の量で値付けされ、注文を送信したサブスクライバが選択した条件が満たされるまで、システムにより自動約定される。この売り注文は、オーダブック上において、優先権を有する最高価格の買い注文と約定される。未約定注文のフルサイズ以下が約定される場合、表示注文か非表示注文かによらず、注文の未約定サイズ部分は、サブスクライバの指示に整合した状態でオーダブック上に残り、表示する場合は、その価格で再表示される。この部分的に約定された注文は、同じ価格で優先権を保持する。オーダブック又はNBBOが変更されたとき、又は到着メッセージの処理の一部として、システムは、注文を市場の片側又は両側において、オーダブックの反対側に対してテストし、TLLの変化の結果として新たに注文をinside market又はNBBOで約定できるか否かを判定する。最小量条件を有する非表示未約定注文、及び/又は現在オーダブック上にある価格よりも積極的な指値は、最初にオーダブックに記載されたときには約定不能又は注文条件を満たしていなかった更新後のオーダブックにおける注文に対して取引可能となる。未約定注文は、それぞれの予約された価格/時間優先度に基づいて再チェックされる。オーダブックを再チェックする注文は、保護された値付け(Protected Quotations)又はオーダブックの反対側の未約定注文を通じて取引されることはない。
TLLがNBBOと同額又はより有利な価格の適格な株を有していない場合、又はこの適格な株が品切れであり、未約定の株のみが残っている場合、システムは、到着した注文をルーティング適格性に基づいて処理する。ルーティングに適格とマークされ、NBBOに対して取引可能な注文について、システムは、これをより有利な価格の保護値付けを表示する遠隔取引センタへルーティングする。このとき、サブスクライバ注文指示、注文タイプ、ルーティングストラテジ定義、「TLLルーティングテーブル」に準拠する。
図6A〜図6Hは、EBOMの実施形態において、余剰データ送信レインテンシーを生じさせるネットワークアクセスポイントを通じてレインテンシーアービトラージとオーダブックアービトラージを管理する様々なシナリオを示す。一実施例において、市場参加者は、代替可能証券を取引する取引所(及び/又は他の市場センタ)間のデータ送信レインテンシー差のアドバンテージを得る。一実施例において、ブローカが投資家に代わってBroker Smart Order Router(BSOR)を介して市場間で注文をルーティングする場合、又は取引所がブローカと投資家に代わってExchange Smart Order Router(ESOR)を介して市場間で注文をルーティングする場合、レインテンシーアービトラージが適用される。但し、これに限らない。
図6Aは、BSORを介して生じるレインテンシーアービトラージの例を示す。例えば、取引所1 605aは、$10.00におけるXYZ株の売り注文1,000株を有し、取引所2 605bは、$10.00におけるXYZ株の売り注文2,000株を有する(取引所2 605bのオファーは、HFT606によって先に入力されたものである。全米最良売り気配(national best offer)は、$10.00におけるXYZ3,000株の連結オファーとなる)。
一実施例において、投資家614は、XYZ3,000株を$10.00で購入しようとし、ブローカ615に対してXYZ3,000株を$10.00で購入する注文を送信する。投資家の注文を受け取ると、ブローカ615は、買い注文A613aを取引所1 605aに対してルーティングしてXYZ1,000株を$10.00で購入すると共に、買い注文D613dを取引所2 605bに対してルーティングしてXYZ2,000株を$10.00で購入する。注文A613aと注文D613dは、ブローカ614から取引所1 605aまでの物理的距離とブローカ614から取引所2 605bまでの物理的距離に起因して、異なるレインテンシーを有する(よって、ケーブル、マイクロ波等の物理通信媒体に沿って異なる通信時間を有する)。接続性、ネットワーク機器、情報技術インフラ、ネットワーク回路抵抗、その他の様々な要因によっても、送信時間の異なるレインテンシーが生じ得る。
一実施例において、ブローカ注文A613aは、取引所1 605aと投資家614(例えば、ブローカ614を通じて)に到着し、取引所Aにおいて、1,000株を$10.00で購入したことを示す。一実施例において、HFTは、取引レポートB613bを取引所1 605aから受け取る。一実施例において、HFTが同一場所に配置されることにより、取引レポート613bを「数十マイクロ秒」で受け取ることができる。一実施例において、HFTは、取引所2 605bに対して注文訂正C613c(先に入力した$10.00におけるXYZ2,000株に対する訂正)を送信する。HFTは、取引所1 605aにおいて、XYZ株が$10.00で取引された知識から利益を得ることを試みる。例えば、他の買い注文(D)が取引所2 605bへルーティングされることを予測し、注文C613cを$10.01まで調整する。この例において、買い指値$10.00の注文D613dは約定されず、ブローカは、$10.01で別注文を送信しなければならない。最終的に、取引所2 605bにおいて、新たな買い注文が約定されると、投資家614は、XYZの残り2,000株を購入するために$20.00を更に支払うことになる($0.01*2,000=$20.00)。注文C613cのレインテンシーは、接続性と情報伝送方法(例えば、マイクロ波vsファイバ)によって定まる。このように、レインテンシー(Aの送信時間+Bの送信時間+Cの送信時間)<Dの送信時間であれば、ブローカ615(投資家614の代理)は、取引所2 605bにおいて、$10.00でXYZ2,000株の買い注文を約定させることができない。その結果、注文は、その時点において、充足されず、或いは、投資家614は、残り2,000株を購入するためにより高い価格を支払わなければならない。
図6Bは、EBOMの実施形態において、POPアクセスポイントを設置することによりレインテンシーアービトラージを管理する例を示す。一実施例において、取引所1 605Aは、$10.00におけるXYZ1,000株の売り注文を有し、取引所2 605bは、$10.00におけるXYZ2,000株の売り注文を有している(取引所2 605bにおけるものは、HFT606によって先に入力されたものである。全米最良売り気配は、$10.00におけるXYZ3,000株の連結オファーとなる)。投資家614は、XYZ3,000株を$10.00で購入しようとし、ブローカ615に対してXYZ3,000株を$10.00で購入する注文を送信する。ブローカ615は、投資家614の注文を受け取り、買い注文Aを取引所1 605Aに対してルーティングしてXYZ1,000株を$10.00で購入すると共に、買い注文Dを取引所2 605bに対してルーティングしてXYZ2,000株を$10.00で購入する。注文Aと注文Dは、ブローカ614から取引所1 605aまでとブローカ614から取引所2 605bまでの物理的距離、接続性、ネットワーク機器、その他の様々な要因に起因して、異なるレインテンシーを有する。接続性、ネットワーク機器、情報技術インフラ、ネットワーク回路抵抗、その他の様々な要因により、送信時間の異なるレインテンシーが生じ得る。
ブローカ615の注文A613aは、取引所1 605Aに到着し、投資家614は、(ブローカ615を通じて)取引所1 605Aにおいて、$10.00で1,000株を購入する。HFT606は、POP610から取引レポートB613bを受け取る。EBOM POPアーキテクチャ POP610により、EBOMサブスクライバ(HFT606を含む)は、取引情報(Aiiの送信時間+Bの送信時間)を「数百マイクロ秒」で受け取る。
一実施例において、HFT606は、先に入力した$10.00におけるXYZ2,000株の売り注文の注文訂正C613cを、取引所2 605bに対して送信する。HFTは、取引所1 605aにおいて、XYZ株が取引された知識から利益を得ることを試みる。例えば、他の買い注文(D)が取引所2 605bへルーティングされることを予測し、注文Cを$10.01まで調整する。この例において、買い指値$10.00の注文Dは、約定されず、ブローカ615は、別の買い注文$10.01を送信しなければならない。最終的に、新たな買い注文が取引所2 605bにおいて約定されると、投資家は、XYZ2,000株を購入するために$20.00を余分に支払うことになる($0.01*2,000=$20.00)。注文Cのレインテンシーは、接続性や情報送信方法(例えば、マイクロ波vsファイバ)によって定まる。
但し、EBOM POPアーキテクチャPOP 610により、BSORは、レインテンシーアービトラージからクライアントの注文を保護する機会を得ることができる。これは、HFT606が取引レポートBを受け取ってシグナルとして用いる前に時間量に対してレインテンシー(距離又は媒体により)を追加することによってなされる。(Aの送信時間+Aiの送信時間+Aiiの送信時間+Bの送信時間+Cの送信時間)>Dの送信時間となるからである。この場合ブローカ615(投資家614の代理)は、HFT606の注文訂正C613cが取引所2 605bに到着する前に、取引所2 605bにおいて、$10.00でXYZ2,000株の買い注文D613dを約定させるだけの十分な時間を有する。その結果、注文A613aは、指値で完全に充足され、投資家614は、図6Aに示すように新たな買い注文を通じて残り2,000株を購入するためにより高い価格を支払う必要はない。
図6Cは、EBOMの実施形態において、ESORによって生じるレインテンシーアービトラージを示す図である。一実施例において、取引所1 605aは、$10.00のXYZ1,000株の売り注文を有し、取引所2 605bは、$10.00のXYZ2,000株の売り注文を有している(取引所2 605bにおける注文は、HFT606によって先に入力されたものである。全米最良売り気配は、$10.00のXYZ3,000株の連結売り価格である)。投資家614は、XYZ3,000株を$10.00で購入しようとし、ブローカ615に対して$10.00でXYZ3,000株の買い注文を送信する。ブローカ615は、取引所1 605aのSmart Order Router(ESOR)を使おうとし、注文を受け取った後、$10.00でXYZ3,000株を購入する注文A613a全体を取引所1 605aに対してルーティングする。取引所1 605aは、このとき、ブローカ615に代わって(投資家614のために)2,000株の買い注文D613dを取引所2 605bに対してルーティングする役割を担う。
一実施例において、ブローカ615の注文A613aは、取引所1 605aに到着し、投資家614は、(ブローカ615を通じて)取引所1 605aにおいて、$10.00で1,000株を購入する。注文を約定させた後、取引所1 605aは、取引所1 605aのESORを用いて、残り2,000株の買い注文D613dを取引所2 605bに対してルーティングする。
一実施例において、HFT606は、取引所1 605aから取引レポートB613bを受け取る。一実施例において、同一場所に配置されていることにより、HFT606は、取引レポートB613bを「数十マイクロ秒」で受け取ることができる。HFT606は、取引所2 605bに対して注文訂正C613c(先に入力した、$10.00でXYZ2,000株を売る注文に対する訂正)を送信する。HFT606は、取引所1 605aにおいて、XYZ株が取引された知識から利益を得ることを試みる。例えば、他の買い注文(D)が取引所2 605bへルーティングされることを予測し、注文Cを$10.01まで調整する。この例において、買い指値$10.00の注文D613dは、約定されず、ブローカ615は、別の買い注文$10.01を送信しなければならない。最終的に、新たな買い注文が取引所2 605bにおいて約定されると、投資家は、残りのXYZ2,000株を購入するために$20.00を余分に支払うことになる($0.01*2,000=$20.00)。注文C613cのレインテンシーは、接続性や情報送信方法(例えば、マイクロ波vsファイバ)によって定まる。
一実施例において、レインテンシー(Aの送信時間+Bの送信時間+Cの送信時間)<Dの送信時間である場合、ブローカ615(投資家614の代理)は、取引所2 605bにおいて、$10.00でXYZ2,000株の買い注文を約定させることができない。その結果、注文は、その時点で充足されず、又は投資家614は、新たな買い注文を通じて残り1,000株を購入するためにより高い価格を支払わなければならない。
図6Dは、PEBOMの実施形態において、POPアクセスポイントを備えるESORを介してレインテンシーアービトラージを管理する例を示す。一実施例において、取引所1 605aは、$10.00のXYZ1,000株の売り注文を有し、取引所2 605bは、$10.00のXYZ2,000株の売り注文を有する(取引所2 605bにおける注文は、HFT606によって先に入力されたものである。全米最良売り気配は、$10.00のXYZ3,000株の連結売り価格である)。
一実施例において、投資家614は、XYZ3,000株を$10.00で購入しようとし、ブローカ615に対して$10.00でXYZ3,000株の買い注文を送信する。一実施例において、ブローカ615は、取引所1 605aのSmart Order Router(ESOR)を使おうとし、注文を受け取った後、$10.00でXYZ3,000株を購入する注文A613a全体を取引所1 605aに対してルーティングする。取引所1 605aは、このとき、ブローカ615に代わって残り2,000株の買い注文D613dをルーティングする役割を担う。
一実施例において、ブローカ615の注文A613aは、取引所1 605aに到着し、投資家614は、(ブローカ615を通じて)取引所1 605aにおいて、$10.00で1,000株を購入する。注文を約定させた後、取引所1 605aは、取引所1 605aのESORを用いて、注文D613dを取引所2 605bに対してルーティングする。HFT606は、取引所1 605aから取引レポートB613bを受け取る。一実施例において、同一場所に配置されていることにより、HFT606は、取引レポートB613bを「数十マイクロ秒」で受け取ることができる。HFT606は、取引所2 605bに対して注文訂正C613c(先に入力した、$10.00でXYZ2,000株を売る注文に対する訂正)を送信する。HFT606は、取引所1 605aにおいて、XYZ株が取引された知識から利益を得ることを試みる。例えば、他の買い注文(D)が取引所2 605bへルーティングされることを予測し、注文Cを$10.01まで調整する。この例において、買い指値$10.00の注文D613dは、約定されず、ブローカ615は、$10.01で別の買い注文を送信しなければならない。このように、投資家614は、残りのXYZ株を購入するために$20.00を余分に支払うことになる($0.01*2,000=$20.00)。注文C613cのレインテンシーは、接続性や情報送信方法(例えば、マイクロ波vsファイバ)によって定まる。
但し、EBOM POPアーキテクチャPOP 610により、ESORは、レインテンシーアービトラージからクライアントの注文を保護する機会を得ることができる。これは、HFT606が取引レポートBを受け取ってシグナルとして用いる前に時間量に対してレインテンシー(距離又は媒体により)を追加することによってなされる。(Aの送信時間+Aiの送信時間+Aiiの送信時間+Bの送信時間+Cの送信時間)>Dの送信時間となるからである。この場合ブローカ615(投資家614の代理)は、HFT606の注文訂正C613cが取引所2 605bに到着する前に、取引所2 605bにおいて、$10.00でXYZ2,000株の買い注文D613dを約定させるだけの十分な時間を有する。その結果、注文は、完全に充足され、投資家614は、図6Aに示すように新たな買い注文を通じて残り2,000株を購入するためにより高い価格を支払う必要はない。
図6E〜図6Hは、オーダブックアービトラージの管理に関する例である。実施例において、市場参加者は、オーダブックアービトラージのアドバンテージを得る。このストラテジは、代替可能証券を取引する取引所間(又は市場センタ間)のレインテンシー差から仲介者が利益を得ることができるようにするものである。オーダブックアービトラージは、受動的に実行されることもあり、積極的に実行されることもある。例えば、受動的オーダブックアービトラージは、仲介者が最新の市場データを有しており、先に送信された注文を劣った価格でそのまま取引所(又は他の市場センタ)に留め置く場合に生じ、これにより、積極的注文を入力した古くなった市場データに基づき、その注文がより低速な参加者によって約定されることを期待するものである。一方、積極的オーダブックアービトラージは、取引所(又は他の市場センタ)が自身のオーダブック上に残っている注文を再値付けし、他の取引所(又は他の市場センタ)における市場データ変化を処理する速度が仲介者よりも遅い場合に、生じるものである。最新市場データを有する仲介者は、古くなった市場データに基づき低速取引所上で取引を約定させ、これは、その取引所(又は他の市場センタ)のオーダブック上の注文にとって不利益となる。
図6Eは、EBOMの実施形態における受動的オーダブックアービトラージの例を示す。例えば、一実施例において、ブローカ615、HFT606、取引所1 605a、及び取引所2 605bは、XYZのNBBOが$10.00×$10.02であることを知っている。HFT606は、取引所1 605aにおいて、XYZ1,000株を$10.00で購入する注文A613aを入力する。注文A613aの約定に続き、取引所2 605bにおける$10.01×$10.02への市場更新、値付け更新B613b、Bi、及びBiiは、HFT606、取引所1 605a、及びブローカ615に対してそれぞれ送信される。新たなNBBOは、$10.01×$10.02となる。距離差に起因して、取引所1 605aと取引所2 605bは、異なるNBBOを有していることになる。すなわち、それぞれの取引ブックの価格が異なっている。すなわち、取引所1 605aでは、$10.00×$10.02、取引所2 605bでは、$10.01×$10.02である。
一実施例において、HFT606は、値付け更新B613bを受け取り、よって取引所2 605bにおける新たなNBBO($10.01×$10.02)を知る。HFT606は、また、自身の$10.00の1,000株買い注文A613aが取引所1 605aに留まっていることを知っている。低速な市場参加者(例えば、ブローカ615)は、最新市場情報Biiを受け取っていないので、取引所1 605aにおいて、XYZ株を$10.00で売ろうとすることを期待して、HFT606は、その買い注文A613aを$10.00に留めておく。
1000一実施例において、ブローカ615は、前のNBBO($10.00×$10.02)に基づき$10.00のXYZ1,000株売り注文C613cを取引所1 605aに対して入力する。この後、ブローカ615がBiiを受け取る前に値付け変更B、Bi、Biiが続く。取引所1 605aがBiを受け取る前に、注文C613cは、不利な価格による約定($10.00×$10.02)を受け取る。取引所1 605aが他の市場において値付けされた不利な価格による取引から自身のオーダブック上における注文を保護する義務がある場合(例えば、USにおいては、Regulation MSに準拠する必要がある)、取引所1 605aが値付け更新B613bを受け取り、より有利なビッド価格($10.01)が存在することを知ると、売り注文C613cを$10.00で取引することを許可しない($10.00における約定は、Regulation MSの下では、「trade through」とみなされる)。
但し、値付け更新B613bを受け取る前に取引所1 605aが売り注文C613cを受け取る場合、取引所1 605aは、売り注文C613cを$10.00で約定させることを許可する(値付け変化に気づかないため)。これは、現在の最良買い気配$10.01よりも不利な価格である。この場合投資家614は、XYZ株売りにおいて、受取額が$10.00少なくなる(1,000×$0.01=$10.00)。
このように、HFT606が値付け更新B613bを受け取った後、注文A613aを変化させないままにしておけば、HFT606は、XYZ株を$10.00で購入し、即座に取引所2 605bにおいて、$10.01で売却し、投資家614を犠牲にして利益を得ることができる。
図6Fは、EBOMの実施形態において、受動的オーダブックアービトラージをPOPアクセスポイントによって中立化することにより管理する例を示す。例えば、一実施例において、ブローカ615、HFT606、取引所1 605a、及び取引所2 605bは、XYZのNBBOが$10.00×$10.02であることを知っている。HFT606は、取引所1 605aにおいて、XYZ1,000株を$10.00で購入する注文A613aを入力する。取引所2 605bにおける$10.01×$10.02への市場更新、値付け更新B613b、Bi、及びBiiは、HFT606、取引所1 605a、及びブローカ615に対してそれぞれ送信される。新たなNBBOは、$10.01×$10.02となる。距離差に起因して、取引所1 605aと取引所2 605bは、異なるNBBOを有していることになる。すなわち、取引所1 605aでは、$10.00×$10.02、取引所2 605bでは、$10.01×$10.02である。
一実施例において、HFT606は、値付け更新B613bを受け取り、よって取引所2 605bにおける新たなNBBO($10.01×$10.02)を知る。HFT606は、また、自身の$10.00の1,000株買い注文A613aが取引所1 605aに留まっていることを知っている。低速な市場参加者(例えば、ブローカ615)は、最新市場情報Biiを受け取っていないので、取引所1 605aにおいて、XYZ株を$10.00で売ろうとすることを期待して、HFT606は、その買い注文A613aを取引所1 605aにおいて、$10.00に留めておく。
一実施例において、ブローカ615は、投資家615に代わって取引所1 605aに対して1,000株の売り注文C613cを入力する。取引所1 605aが他の市場において値付けされた不利な価格による取引から自身のオーダブック上における注文を保護する義務がある場合(例えば、USにおいては、Regulation MSに準拠する必要がある)、取引所1 605aが値付け更新Bi618aを受け取り、より有利なビッド価格($10.01)が存在することを知ると、売り注文C613cを$10.00で取引することを許可しない。
一実施例において、EBOM POPアーキテクチャPOP610により、取引所1 605aは、ブローカ615の注文D613dが取引所1 605aに到着する前に、値付け変化Bi618aを受け取ることができる。したがって取引所1 605aは、最新市場データが$10.01×$10.02であることを知り、注文C613cを$10.00で取引することを許可しない。
このように、HFT606が値付け更新B613bを受け取った後、注文A613aを変化させないままにする場合、EBOM POPアーキテクチャPOP610は、投資家614が古い値付け情報で取引することを防ぎ、HFT606が投資家614を犠牲にして利益を得ることを防ぐ。
図6Gは、EBOMの実施形態における積極的オーダブックアービトラージの例を示す。図6Gに示すように、この例は、古い値付けアービトラージvsミッドポイントペッグ注文で取引する。但し、メカニズムは、同じである。したがって、全米最良買い気配(National Best Bid:NBB)又は全米最良売り気配(National Best Offer:NBO)において、同じアービトラージ機会が古い値付けに対して適用される可能性がある。
一実施例において、ブローカ615、HFT606、取引所1 605a、及び取引所2 605bは、XYZのNBBOが$10.01×$10.03であることを知っている。ブローカ615は、投資家614に代わり、取引所1 605aに対して注文A613aを入力する。注文A613aは、XYZ1,000株を購入するものであり、NBBOミッドポイント($10.02)にペッグされている。取引所2 605bにおける$10.00×$10.02の市場更新、値付け更新B613b、Bi618a、及びBii618bは、HFT606、取引所1 605a、及びブローカ615に対してそれぞれ送信される。新たなNBBOは、$10.00×$10.02になり、新たなミッドポイントは、$10.01になる。距離差に起因して、取引所1 605aと取引所2 605bは、異なるNBBOとミッドポイントを有していることになる。すなわち、取引所1 605aでは、$10.01×$10.03でミッドポイントは、$10.02、取引所2 605bでは、$10.00×$10.02でミッドポイントは、$10.01である。
一実施例において、HFT606は、値付け更新B613bを受け取り、よって新たなNBBOとミッドポイント($10.00×$10.02と$10.01)を知っている。HFT606は、また、取引所1 605aにおけるミッドポイントが未だ以前のNBBO($10.01×$10.03と$10.02)に基づき値付けされていることを知っている。HFT606は、古いミッドポイント$10.02において、売り注文C613cを取引所1 605aに対して送信し、ブローカ615の注文A613aを不利なミッドポイント価格で取引する。これにより投資家614に対して$10.00のコスト負担をかけることになる(1,000*0.01=$10.00)。
したがって、(Bの送信時間+Cの送信時間)<Biの送信時間であれば、HFT606は、取引所1 605aにおいて、即座にXYZ株を$10.02で売り、取引所2 605bにおいて、即座にXYZ株をミッドポイント$10.01で購入する。これにより投資家614を犠牲にして利益を得ることになる。
図6Hは、EBOMの実施形態において、POPアクセスポイントにより積極的オーダブックアービトラージを管理する例を示す。図6Gの古い値付けアービトラージに続いてPOP610が設置されると、HFT606の注文C613cは、EBOM POPアーキテクチャPOP610を通過する必要がある。(Bの送信時間+Cの送信時間+Ciの送信時間)>Biの送信時間であれば、取引所1 605aは、値付け更新Biをタイミングよく受け取ることができ、ミッドポイントを最新情報($10.00×$10.02と$10.01)に更新する。ブローカ615の注文A613aは、不利なミッドポイント価格で約定されない。
TLLの別実施形態は、以下を含む。
実施形態において、TLLは、買い手及び売り手からの売買注文をマッチングし、約定させる市場である。TLLは、また、当該TLL上でマッチングできない場合、これら注文を他の市場へルーティングする。TLLは、買い手及び売り手に対して米国内で流通する現金等価商品を提供する義務がある場合がある。但し、システム組織の原則は、米国その他の国家規制、地理的規制、及び/又は規制地域と同様に、その他の商品、金融商品、その他の有価物の売買に対して適用することができる。
TLLは、コンピュータハードウェア上で動作する複数のコンポーネントを備えることができる。これは、以下を含むが、これらに限らない:クライアントFIXゲートウェイ、マッチングエンジン、ルーティングエンジン、取引所/ベニューFIXゲートウェイ、市場データティッカープラント、注文取引データベース、決済、請求、調査システム及びインタフェース等。これらは、内部メッセージバスを介して相互通信し、他の取引所、ベンダ、商品ブローカ等と外部通信する。以下に、新規かつ有用なコンポーネントとシステムの要素を説明する。
TLLは、既存の取引ベニューの取引において、「高頻度取引」(high-frequency trading:HFT)として知られる手法を用いた取引ストラテジによるアドバンテージに対抗する。
<信頼性>
TLLは、クライアント/サーバモデルを採用することができる。「クライアント」は、例えば、他のプログラムが提供するサービスを用いるプログラムである。このサービスを提供するプログラムは、「サーバ」と呼ばれる。サーバは、クライアント要求に対して、データ、ステータス情報等を返信することにより機能する。幾つかの実施形態において、クライアントは、他のバックエンドサービスやストレージとやり取りする前にビジネスプロセスロジックを実施するサーバに接続し、及び/又はサーバに対して応答し、サーバは、クライアントに対して返信する。
TCP−to−Multicast(T2M)は、メッセージが単一のフロントエンドサーバから複数のバックエンドサーバに対して配信されるものである。幾つかの実施形態において、これによりリソース使用を最適化し、スループットを最大化し、フォールトトレランスを向上させ、その他のセキュリティ及び品質保証(QA)を実現することができる。
T2Mは、外部クライアントがバックエンドサービスにアクセスするため接続するポートに接続するコンポーネントである。プログラムは、クライアントからの通信をTCPプロトコルで保持し、マルチキャスト(UDPプロトコル)配信によりバックエンドサービスに対してデータペイロードを送信する。TCPプロトコルは、一対一通信を提供する一方で、マルチキャストは、一対多通信を提供する。これにより、複数のバックエンドサービスは、データを処理し及び/又は別のバックエンド/ダウンストリームサービスに対して送信する前に、単一ソースからの元のデータペイロードを同時に受け取ることができる。
T2Mを介した一対多通信により、クライアントは、単一TCP接続を生成することができる。このTCP接続は、N個のバックエンドリソースに対する接続として広がる。この一対多通信は、クライアントにとって見えないが、多くの利点を提供する。具体的には、以下のうち少なくとも1つを実現する:アーキテクチャロジックからビジネスロジックを抽象化することに起因する配信リスクを最小化する;複数サーバに対してクライアント通信セッションを複製する;フロントエンドサービスから独立してバックエンドサービスをスケーリングする;クライアントは、バックエンドサービスに対して直接接続せず、これにより内部ネットワーク構造とカーネルネットワークスタックを隠蔽し、システムセキュリティを向上させる;クライアントポート接続に負担をかけることなく日中キャパシティスケーリングとロードバランシングを実現する;データセンタ内又はデータセンタ間におけるクライアント通信のリアルタイムシームレスフェイルオーバを実現し、フォールトトレランス、レジリエンス、災害復帰性能を向上させる;元のデータペイロードを用いたリアルタイムQA分析のための個別のパラレルストリーム;等。
<物理ハードウェアとネットワーク>
<地理的に異なるシステムに対する確実な同時情報配信>
異なる地理的場所から中央ポイントに対してデータを送信するためには、通信時間及び通信距離に応じて異なる時間長が必要である。その結果、2つの地理的場所から中央ポイントに対して同時に送信されたデータは、異なる時刻に到着する。幾つかの実施形態において、この補正は、ソフトウェアを用いてなされるが、そのようなシステムは、複雑であり、エラーを生じ易く、不正確である。
様々なチャネルによるデータ送信は、様々な制約により制限される。例えば、一実施例において、これは、光ファイバチャネルによりなされる。この場合、通信速度は、チャネル媒体を介して光速度により制限される。この実施形態において、伝搬時間は、伝搬距離を媒体の光速度で除算することにより求められる。したがって伝搬時間は、媒体に距離を追加するか又は媒体を変更することにより、平準化することができる。短いチャネルに距離を追加することにより送信媒体の長さを平準化すると、情報を同時配信することができる。幾つかの実施形態において、これは、ナノ秒以内の同時配信を保証する。
<地理的に異なる取引システムに対する確実な同時情報配信>
多くの取引システムは、地理的に異なる場所に物理的に配置された取引システムに対して、光技術を用いて情報を送信する。少なくとも部分的には、取引システムの地理的違いに起因して、更に現行通信手法と規制の組み合わせにより、全ての取引システムから完全に等しい距離にある点はない。その結果、多くの取引システムは、情報配信を時間平面上で実施し、このタスクを実施するためには、複雑でエラーを生じ易く不正確なソフトウェア駆動の手法を用いなければならない。
先に述べたように、情報は、光通信を介して光ファイバに沿って各場所に対して送信される。受信確認応答は、同じ経路の別の光ファイバチャネルに沿って送信される。これらは、何れも、光ファイバチャネルが使用する媒体に起因して、光速度の制約を受ける。幾つかの実施形態において、光ファイバチャネルの送信距離(d)をチャネルの媒体の光速度で除算すると、情報を送信元から宛先に対して送信するのに必要な送信時間(t)を求めることができる。全ての取引システムから完全に等しい距離にある点は存在しないので、距離が異なる光ファイバチャネル(但し、媒体は、同じ)上の送信距離は異なり、したがって送信元システムから送信される情報は、各宛先システムに異なる時刻に到着する。
情報の同時配信は、各送信側光ファイバチャネルの光チャネルケーブルに対して距離を追加し、及び/又はチャネル媒体を変更する等により、情報が伝搬する距離を平準化することによって可能となる。すなわち、情報の配信時間(d/s=t)が全てのチャネルにおいて、等価となるようにすることである。一実施形態において、通信プロバイダが提供するチャネルセットの距離を測定し、短いチャネルに対して長さを追加して長さを平準化することにより、情報配信は、実質的に同時となる。すなわち、例えば、ナノ秒範囲内となる。これに対し、ソフトウェア駆動手法を用いた場合では、ミリ秒範囲となる。
<ネットワークアプリケーションにおける混雑通知及び回避のためのアプリケーションバッファ利用率レポート>
バッファブロート(bufferbloat)は、過剰に大きいバッファを用いることによりネットワーク化されたアプリケーションに対して非決定的レインテンシーを導入するものとみなすことができる。幾つかの実施形態において、これは、レインテンシーターゲットをセットすると共に、特定のレインテンシー測定について、これらのターゲットを維持するように動作することによって達成される。これら技術は、TCPソケットを利用するシステムにおいてのみ用いられ、2つの重要な制約を有する:(1)大きく広がったアプリケーションを効率的に取り扱うことができない、(2)アプリケーションに対して非透過的である。
これら2つの制約(非透過性と非効率な広がり)により、CoDelアルゴリズムを用いるTCPは、広範囲に分散したシステムにおいて、バッファブロートの課題を取り扱うのに不十分となる。分散システムは、通常、プライベートネットワーク上にホストされており、プライベートネットワークは、専用アプリケーションに対してオペレータが完全にコントロールすることができるので、各アプリケーションのバッファ利用に関する情報を上下流アプリケーションに対して特定のデータパス内において、直接的に配信する方がより効率的である。
バッファ利用に関する情報を例えば、0〜255の単一数値で配信することにより、各アプリケ−ションは、そのすぐ隣における負荷を把握し、更にデータ送信するか否かをスマートに決定することができる。例えば、バッファ利用に関する情報が規定閾値に達すると、アプリケーションは、配線上で更にデータを送信することを停止する。この「一時停止」により、停止したアプリケーションのバッファ利用は、増加する。この情報が上流アプリケーションに対して配信される。以下同様である。アプリケーションに対してバッファ利用情報を明示的に通知することにより、アプリケーションは、送信を停止でき、下流アプリケーションのバッファが飽和して新たにデータを受け取ることができなくなった後にアプリケーションがデータ送信を続けたとき起こるパケットロスを防止することができる。またこれにより、アプリケーションがロストパケットを再送信しようとするとき生じる過剰な再送信遅延を回避することができる。更に、バッファ利用情報を明示的に通知することにより、分散システムの末端間レインテンシーは、単一アプリケーションバッファを枯渇させる遅延の50%近辺で振動する。
<アクティブ/パッシブフェイルオーバシステムのアクティブメンバを確実かつ効果的に停止させる自動化方法>
TLLは、パッシブシステムメンバが新たなアクティブシステムメンバになるため幾つかの動作セットが必要な特徴を備えた、アクティブ/パッシブシステムである場合がある。アクティブ/パッシブシステムの一実施例において、1つのメンバのみがアクティブであり、所与の時刻において、データを処理しており、他のメンバは、アクティブになるのを待っているものとする。アクティブ/パッシブシステムの特性に起因して、TLLは、フェイルオーバを実施する間に「アクティブ」システムによる動作を停止させる。この停止は、一般に、「shoot the other node in the head」又はSTONITHとして知られている。これにより、フェイルオーバ後にアクティブであるメンバが1つのみとなることを保証する。これにより、以前のマスタは、システムの制御を再アサートしようとすることはなくなり、或いは、2つ目のマスタとして動作し続けることはなくなる。このような動作は、アクティブ/パッシブシステムの性質に起因して、メッセージを不正確に多重化する可能性がある。
STONITHは、第2ノードがプライマリシステムとシャットダウンについてやり取りすることにより、自動的に実現することができる。或いは、管理者が現在のアクティブ(マスタ)ノードにログインし、アクティブノードの動作を終了させるコマンドを実行することにより、手動で実現することもできる。但し、この方法が失敗する状況が幾つかある。
アクティブノードを適切に終了させるため、TLLは、ノードが動作しているハードウェア(例えば、サーバ)に対する接続を遠方側の接続において、遠隔終了させる。厳密なケーブル規格と組み合わせると、アクティブ/パッシブシステムのアクティブメンバの位置は、パッシブメンバによりアルゴリズム的に決定される。このときアクティブメンバの状態は、関係ない。パッシブメンバがアクティブノードの不具合を検出すると、パッシブノードは、アクティブノードが接続されているネットワークデバイスと直接通信し、アクティブノードが接続しているネットワークポートを無効化する。アクティブノードも必要であれば、ネットワーク接続された電力供給装置に直接接続し、同様に以前のアクティブノードから電力を除去する。これら2つの動作により、以前アクティブノードであったものが自身をシステムのアクティブメンバとして再アサートすることを防止できる。
<演算効率/テスト/メッセージング>
<クライアントゲートウェイにおけるIDマッピング及び管理(luggage+IexID)>
外部FIXクライアントを有する多くの取引システムインタフェースは、取引システムに対して送信される注文ID(FIXフィールドClOrdId)を処理するのが困難である。これらIDは、外部システムに対してのみ一意的であり(例えば、システム1とシステム2は、共に取引システムに対してid=ABCDの注文を送信する)、その長さと内容は、外部システム間で大幅に異なる。‘幾つかの実施形態において、これら注文を一意に識別するための解決手段は、顧客ID(FIXフィールドSenderComID)と注文ID(例えば、システム1の注文A=‘Customer1−ABCD’)を連結することにより、外部システムの注文に対して内部的にアドレスを付与することである。これは、有効なアプローチであるが、性能問題が生じる可能性がある。システム内において、外部システムを一意に識別するために長い文字列を使用しなければならず、クロスレファレンスを生成して各データベース、ファイルシステム、キャッシュメモリ内に格納しなければならないからである。これにより、そのIDへアクセスする必要があるプロセスにとって多大なオーバヘッドが生じ、失敗したプロセスから復元する必要がある場合に技術的な課題が生じる。
代替実施形態においては、TLLは、内部システムフォーマット(IexID)に基づいて、外部システムの注文ID(ClOrdId)を一意生成したIDと置き換え、クロスレファレンス情報をマルチキャストメッセージストリームに公開する。幾つかの実施形態においては、「luggage」と呼ばれる別のメッセージを用いて外部システムの元のClOrdIdを保存し、これにより、外部システムIDとIexIDとの間のマッピングがTLLに保存される。TLLは、非クリティカルな「luggage」データをメインデータパス外で送信する。FIXゲートウェイ自身又は他のレポーティングシステム等の宛先エンドポイントも、必要に応じて「luggage」メッセージを収集し、IexIDをClOrdIdへデコード(アンマップ)する。但し、多くの場合、システムは、元の外部システム注文IDを見る必要はない。幾つかの実施形態において、これによりシステムのデータ処理効率を高めることができる。一意生成したIexIDは、マルチキャストメッセージストリーム上における全リスナが知っている既知の効率的なフォーマットで生成することができる。これにより、処理の一貫性を保つと共に、必要に応じてメッセージストリームとやり取りする全システムに対してIexIDを公開することができる。
図7は、実施例のサンプルデータフローを示す。顧客1 702は、注文情報を入力し(705)、注文ABCDを送信する(710)。注文IDは、Customer1−ABCDである。クライアントFIXゲートウェイは、注文を受け取り、IDをマッピングし(715)、システムに対して情報を送信する。TLLは、内部注文ID1001等の一意的IDを生成する(715)。TLLは、「luggage」メッセージをTLLに対して送信し(720)、これは、関連するコンポーネントのために保存される(Luggage[Customer=1,ClOrdId=ABCD,IexID=1001])。TLLは、注文メッセージをIexID=1001で送信する。次に注文は、充足され又はマッチングされる(725)。この情報は、マッチングエンジンクライアントゲートウェイによってID=1001で送信される。クライアントゲートウェイは、顧客1についてIexID=1001をABCDに復元し(730)、顧客に対して元のIDでフィルインディケータを送信する(735)。取引レポートアプリケーションも、適切なポスト取引システムのために「luggage」に基づきフィルインディケータを変換すると共に、IDをアンマップする。
<メッセージの一意的識別子としてのシーケンス番号の使用>
マルチプロセスマルチマシンシステムにおいて、一意的IDを生成することは、困難な課題である。カウンタを用いるシンプルなアプローチは、有用でない場合がある。複数の場所において、同一IDが生成される可能性があり、状態の種類によっては、プロセスが再スタートするとき重複IDが生成されないように保存しておかなければならないからである。一実施形態において、生成された場所を示す記述子をIDに対して追加することにより、これを解決することができる。例えば、machine01.process02.session01.[counter]である。これは、比較的簡易であり集中的な障害点(centralized point of failure)が存在しないが、IDは、本来必要なものよりも長くなり、再起動するときセッションをトラッキングすることが困難になる。またマシンとプロセスを一意的に名付ける必要がある。他の実施形態においては、集中的ID生成を用いてもよく、この場合、IDは、サービス、データベース等の専用プロセスによって作成される。これは、シンプルであり集中制御することができるが、IDを取得するオーバヘッドと集中的な障害点が問題となる可能性がある。
他の実施形態において、システムの専用マルチキャストミドルウェアが提供するメッセージシーケンス番号を、一意的IDとして用いることができる。TLLが受信する全てのメッセージは、日単位で一意であることを保証され、単調増加する番号である。集中IDシステム(データベース、ファイル、メモリ等)を呼び出す必要はない。またIDは、現在のシステム状態に対する参照も提供する。この技術は、TLLの複数の場所において、利用することができるが、特に一意的顧客注文チェーンIDを生成するときに利用することができる。
例えば、TLLを介して設定1〜10を送信し、このときシーケンス番号=10であり、TLLを介して市場データ値付け1〜3を送信し、このときシーケンス番号=13である。顧客注文1が到着するとき、シーケンス番号=14である。TLLは、システム一意的IDが必要な注文チェーンを生成する。TLLは、これを生成し、又は中央サービスに対して新IDを生成するよう要求する一方で、TLLは、注文チェーンを生成する契機となった顧客注文メッセージのシーケンス番号を用いる。注文チェーンID=シーケンス番号=14である。これにより、IDは、一意的かつコンパクトとなり、更なる演算は不要である。このシーケンス番号は、システムのそのときの状態に対応する時刻点も表しているため、TLLは、注文が生じた時刻における最新市場データを判定することができる。
<順番付けされた市場データ>
取引システムにおける金融市場データのスピードと量は、困難な課題である。毎日数億件のデータ更新があり、データは、即座に消費されるときに最も価値が高いからである。古いデータは、価値が低い。取引システムは、複数のプロセスと機能の間でプロセスを分割するように設計することができる。例えば、取引エンジン1に対して「A」で開始するシンボルのみを見るように指示する。或いは、市場データを個別に使用するアプリケーションを有している場合もある。市場データを分割することにより、決定に関する課題が生じる。市場データに関心があるプロセスは、互いに異なる状態を有している場合があるからである。これらプロセスは、データを個別に見ており、システム状態は、プロセス間で不整合となる可能性があるからである。以下に例を示す。
市場データ(MSFT)→プロセス1→注文#2を処理しているプロセス1は、MSFT@$10.01を知っている。
市場データ(MSFT)→プロセス2→注文#2を処理しているプロセス2は、MSFT@$10.02を知っている。
TLLは、代わりに、順番付け/シリアライズする全ての市場データをミドルウェア経由で送信する。これにより、市場の状態は、任意の時刻において、システム全体にわたって各アプリケーションにおいて、同一となる。以下に例を示す。
市場データ(MSFT)→シーケンサ→プロセス1→注文#2を処理しているプロセス1は、MSFT@$10.01を知っている。
プロセス2→注文#2を処理しているプロセス2は、MSFT@$10.01を知っている。
TLL全体にわたって市場データが同一状態であることは、複数の利点がある。例えば、ある取引において、TLLは、その取引についての市場データ状態更新のメッセージID(シーケンス番号)をノートすることにより、取引メッセージ上の市場データ状態にラベル付けする。(例えば、取引15が発生し、値付け52は、現在の市場状態を表す)これは、特定時刻における市場状態を識別する便利かつ効率的な手法である。市場データを順番付けしない場合、その他の解決策は、顧客毎に現在の市場状態を書きだすことになり、或いは、市場状態を時刻ベースで引き出すことになる(これは、不完全及び/又は不正確である)。
<トリガフレームワーク>
TLLトリガフレームワークにより、厳密に制御され、透過性が高く、均一な態様で、複雑なビジネスロジックを配置することができる。一実施形態において、目的は、モジュール化されたロジックを構築することである。これにより、開発者は、特定のタスクに専念することができ、多くのアプリケーションがロジックを再利用することができる。トリガフレームワークは、2タイプのコンポーネントを有する:条件(Condition)とアクション(Action)である。
これら2つのコンポーネントは、条件が本体でありアクションがブランチであるバイナリデシジョンツリーとして構成することができる。
条件は、アプリケーション内のオブジェクトの現在状態を評価すると共に、その条件が満たされるか否かを示すtrue又はfalseを戻す個々のクラスである。オブジェクトは、例えば、FIXプロトコルのNewOrderSingle要求のような一時的メッセージ、又はParentOrderオブジェクトのような状態ベースデータ構造である。
アクションは、条件が満たされたときビジネスロジックを実行する個々のクラスである。一般にアクションクラスは、特定の状態変化が生じたときメッセージを生成する。アクションは、評価されているオブジェクト及び/又は他のオブジェクトやアプリケーションとやり取りしているオブジェクトを変更する。
条件とアクションは、モジュール化されたコンポーネントとして記述することができ、設定ファイル(例えば、JSONフォーマット)を通じてデシジョンツリー内で連結させることができる。このフレームワークにより、コンポーネントの再利用性、デバッグ、メンテナンス、ロジックの視覚的理解を高めて効率化することができる。
ワークフローの例において、アプリケーションにメッセージを入力してもよい。そのメッセージは、トリガキューに追加され、及び/又はそのメッセージにより他のオブジェクトがトリガキューに追加される。オブジェクトは、トリガキューから1つずつ引き出され評価される。オブジェクトが評価されるとき、そのオブジェクトが状態ベースオブジェクトである場合、関連する状態ツリーがその状態に基づき引き出されるか、或いは、そうでなければそのオブジェクトタイプに対応するデフォルトツリーが読み出される。関連ツリー内の条件がトップから開始して評価される。例えば、条件がtrueと評価された場合、ifTrue分岐が続き、或いは、その反対も同様である。条件ツリーは、アクションに到達し実施されるまで横断される。アクションを実施すると:トリガされたオブジェクト又は他のオブジェクトに対して状態変化が実施され;他のオブジェクトを生成し;トリガキューに他のオブジェクトを追加し;1以上のメッセージを配信し;又はこれらの組み合わせが実施される。トリガキューが完全に評価されると、アプリケーションは、次に入力されたメッセージを処理する。
条件は、多くの異なるオブジェクトタイプに対して評価することができる。例えば、オブジェクトの関連商品シンボルが中止されているか否かをチェックする条件は、NewOrderSingle FIXメッセージ、市場データ更新メッセージ、ParentOrderオブジェクト、ルータオブジェクト等に対して評価することができる。
<テストハーネス>
テストハーネスにより、テスト担当者は、アプリケーションの自動テストを実施することができる。テストハーネスは、テストするアプリケーションを読み出し、ハーネスをアプリケーションの入出力バルブに接続する。予め例えば、JSONフォーマットで記述したインジェクトメッセージ及び期待メッセージを読み出す。インジェクトメッセージは、アプリケーションに対して入力され、これにより出力メッセージが得られる。メッセージは、アプリケーションによって出力され、出力メッセージは、予め読み出した期待メッセージリストと比較される。幾つかの実施形態において、出力メッセージが期待メッセージに合致しない場合、出力メッセージが範囲外である場合、又はテストハーネスが期待した出力メッセージを出力しない場合、テストは、失敗する。それ以外であればテストは、通過する。
幾つかの実施形態において、テストハーネスは、メッセージテンプレートを実装する。ユーザは、テスト間にまたがって再利用できるメッセージテンプレートを生成する。テストを生成するとき、各メッセージは、テスト生成者により指定されて使用するテンプレートを単純参照し、テストハーネスは、メッセージをパースして呼び出したテンプレートフィールドの全ての値を自動的に読み出す。またテストにおいて、フィールド値が指定された場合、その指定値は、テンプレートからコピーされた値を上書きする。これによりテストの生成と変更が簡単になる。テストに関連するメッセージ上の関連フィールドのみを指定/修正すればよいからである。その他のフィールドは、テンプレート設計のときデフォルト値を割り当て、これにより時間と負担を節約できる。
幾つかの実施形態において、テストハーネスにより期待メッセージに対して選択的にフィールド検証を実施することができる。テストにおいて、検証のため用いる期待メッセージは、完全に整形したメッセージである必要はない。任意個数のフィールドを備えることができる。指定したフィールドのみが検証され、出力メッセージ上のその他の全フィールドは、無視される。この機能により、期待テストは、特定フィールドを検証することに専念でき、メッセージ全体を検証するよりも効率的である。また、効果的に予測することができないタイムスタンプのような動的フィールドを取り扱う際に特に有用である。
幾つかの実施形態において、テストハーネスにより期待メッセージに対して選択的メッセージ検証を実施することができる。ユーザは、テストにおいて、検証するメッセージタイプのリストを指定する。アプリケーションが出力するその他のメッセージタイプは、全て無視される。これにより、テストに関連しないメッセージ、例えば、ハートビートメッセージをフィルタリングすることができる。
幾つかの実施形態において、テストハーネスによりケースを生成することができる。テストハーネスは、インジェクトメッセージのリストのみを使用するモードを有し、アプリケーションに対してそのメッセージを1つずつ投入する。アプリケーションが出力する全メッセージが収集され、新たなテストケースファイルが両リストから生成される。
幾つかの実施形態において、テストハーネスによりケースをマス生成することができる。テストハーネスは、設定したインジェクトメッセージのリストと個別メッセージのリストを使用するモードを有する。テストハーネスは、テストするアプリケーションを読み出し、アプリケーションに対して設定したメッセージを投入し、個別メッセージリストから1つのメッセージを投入する。テストハーネスは、アプリケーションから全ての出力を収集し、完全整形したテストケースを生成する。次にテストハーネスは、アプリケーションを再スタートし、個別メッセージリストの次メッセージに対して以下のサイクルを繰り返す:読み出し>設定したメッセージを投入する>個別メッセージを投入する>収集する。このプロセスは、個別メッセージリスト内の各メッセージについてテストファイルが生成されるまで繰り返される。このようにテストハーネスは、例えば、顧客が送信した注文のフィールドの全ての順列をテストする等、多数の類似テストを自動生成することができる。
幾つかの実施形態において、テストハーネスにより複数アプリケーションをテストすることができる。テストハーネスは、複数アプリケーションを読み出し、その個々の機能と共に、他のアプリケーションとやり取りする各アプリケーションの機能をテストすることができる。テストハーネスは、指定された順序で指定されたアプリケーションセットを読み出す。幾つかの実施形態において、これは、順次やり取りするアプリケーションセットを通過するメッセージフローに基づく。テストハーネスは、セット内の最初のアプリケーションに対してインジェクトメッセージを入力し、出力メッセージを検証し、その出力メッセージを次のアプリケーションに対して投入し、検証し、以下同様である。
テストハーネスは、テストを個別に実施してもよく、同時に複数のテストを実施してもよい。幾つかの実施形態において、テスト間でアプリケーションを再スタートしてもよい。テストハーネスは、自動ビルドプロセスに組み込み、テストケースの全リストを実施し、開発者がコードをコミットする毎にレポートを生成することができる。
<テストケースを動的構築するウェブユーザインタフェース>
テストビルダユーザインタフェース(test builder user interface)は、任意のJSONデータスキーマに基づきテストケースを動的構築する手段を提供する。幾つかの実施形態において、テストUIは、JSONフォーマットで読み出すスキーマファイルを特定する。このスキーマファイルは、システムメッセージセットを定義する。スキーマのフォーマットに基づき、ユーザは、生じ得るメッセージリストの提示を受ける。ユーザがメッセージを選択すると、メッセージのフォーマットに基づきフォームが動的に構築される。これは、特定のデータ検証ルールと共にスキーマにおいて定義することができる。ユーザは、次に、規定のメッセージテンプレートリストの提示を受ける。このテンプレートを選択してフォームを埋めることができる。ユーザがメッセージフォームの入力を完了すると、これは、ソート可能リストに追加される。ユーザは、各メッセージアイテムをテストフレームワークに対して投入する順序でソートする。完了したメッセージ集合は、テンプレートとして保存することができ、テンプレートを組み合わせて複雑なテストケースを形成することができる。ユーザは、テストハーネスがメッセージをインジェクトメッセージとして又は期待メッセージとして取り扱うべきか否かを指定する。期待すべきメッセージが何であるかをユーザが確信していない場合、UIは、全ケースを完了する前にテストケースの一部を投入することを許可する。部分テストケースは、RESTによりサーバに対して供給することができる。サーバは、テストハーネスのインスタンスを呼び出し、テストメッセージの部分セットを投入する。テストハーネスが生成する出力メッセージは、UIに戻され、ユーザに対して表示される。ユーザは、各メッセージを検証する。ユーザがメッセージを承認する場合、テストケース完了ボタンをクリックすることにより、メッセージが現在のテストケースに追加される。このメッセージは、テンプレートとして保存される。テストケースが完了すると、ボタンをクリックしてJSON形式のテストケースファイルを生成する。このテストケースは、テストハーネスによって実行され、継続ビルドプロセス内で実装される。
テストUIは、スタンドアロンテストハーネスが実行するテストケースを構築するための、完全動的なウェブベースインタフェースを提供する。テストUIは、JSON形式データスキーマにのみ基づき、完全データ検証するフォームを生成する。できる限り少ない単一メッセージを有する部分テストケースは、スタンドアロンテストハーネスに対してオンザフライ形式で投入され、ユーザに対してシステム出力メッセージを提示する。ボタンクリックにより完全動作するテストケースが生成され、テストハーネスは、これを用いる。個々のテストケースを組み合わせて、新しいより複雑なテストケースを生成することもできる。
<単一UI要素を用いて複雑なデータクエリを生成する方法>
ウェブアプリケーションのなかには、マルチカラムデータをクエリする手段をユーザに対して提供するものがある。幾つかの実施形態において、インタフェースは、フォーム要素を提供する。ユーザは、これにより、データ要素タイプ毎に検索語を入力することができる。これに代えて、単一検索ボックスを提供し、複数データタイプにまたがって適用される検索語をユーザが入力できるようにしてもよい。
別実施形態において、構造化検索フィールドを用いることができる。ユーザは、単一入力ボックスの提示を受ける。これは、規定スキーマに基づき構造化入力にしたがう。
一実施形態において、ユーザは、入力ボックスを選択し、ボックスの現在のコンテキストを示唆するツールティップの提示を受ける。入力ボックスは、複数データタイプを含む場合もある。各データタイプは、スペース等の文字で区切ることができ、注文ID、ベニュー、ブローカ、価格、シンボル等を含む。
幾つかの実施形態において、例えば、スペースボタンを押下することによりユーザが選択ボックスを進めると、入力ボックスのコンテキストは、次の検索語に進む。新たなツールティップが提示され、ユーザに対して検索語を示す。
幾つかの実施例では、ユーザは、検索ボックスを進め、コンテキストがこれにともなって変わると、ボックスは、可能性のある検索語をドロップダウンリストとして表示するように構成されている。
幾つかの実施形態において、ユーザが検索ボックスを進める毎に、データベース、データビュー、及び/又はファイルに対して動的クエリが実施され、最終結果がユーザに対して速やかに表示される。
別実施形態において、構造化検索フィールドは、:規定スキーマに準じた単一入力ボックスにおいて、複数の検索語を使用する;スキーマをその場でスイッチし、これにより検索語のタイプ又は検索語を入力する順番を変更する;ユーザが検索ボックスを進めると各検索語についてオートコンプリート検索語を表示する;ユーザがスペースバーをヒットすると検索ボックスを進めることができるようにし、検索ワイルドカードを自動入力できるようにする;ユーザが検索ボックスを前方又は後方にナビゲートできるようにする;ユーザによる先の検索語入力を利用して、後の検索語として可能性のあるものを得る;ユーザが検索ボックスを進めるとツールティップを表示して、カーソル位置において、検索語を示唆する;複数カラムにまたがる複雑なクエリに対する応答を動的に改善及び最適化する;等。
<取引ロジック発明>
<ミッドポイント制約>
株取引約定の価格付けは、パッシブ注文がオーダブックに対して投入された(及び価格優先のためランク付けされた)ときの価格を用いてなされる。積極的に値付けされた2つの注文が互いに対して約定される場合、オーダブックに対して最初に到着し入力された注文の価格で約定される。具体的には、早い方の注文は、自身の積極的な価格を支払い、遅い方の注文は、「より有利な価格」を得る。別手法において、TLLオーダブックは、約定価格を変更しない。これに代えて、TLLオーダブックに対して積極的に入力することができる限度を設定する。
TLLは、ミッドポイント制約と呼ばれるコンセプトを用いる。TLLオーダブックにおいて、積極的隠れ注文又は非表示注文は、全米最良気配(national best bid/offer:NBBO)のミッドポイント以上に積極的な価格で投入されることはない。2つの積極的に値付けされた隠れ注文がブックに投入され、ミッドポイントに再値付けされると、ミッドポイント価格で約定される。購入者は、より高い価格を支払う意図を有しており、売却者は、より低い価格で売却する意図を有しているので、何れもよりよい約定価格(すなわち価格が改善される)を得ることができる。これにより、TLLブックに到着した注文によらず、2つの反対売買者の間でスプレッド(ビッド価格とオファー価格との間の差分)を公平に分配することができる。
ミッドポイント制約は、その他の利点も提供する。ブックに入力された注文が価格優先のためにランキングされるときの価格を制約することにより、ミッドポイント制約は、隠れキューにおける価格優先のための不必要な競争を抑制する。これは、「pennying」の形態でなされる。すなわち、僅かに積極的な指値で注文を送信することにより、一方が他方に対して優先権を得ようと試みることである。ミッドポイント制約は、実効価格による方向性の情報リークも抑制する。ビッド価格とオファー価格との間のミッドポイントで約定すると、方向性がない取引履歴となる。したがって、この時点においては、価格が何れの方向に動くか(高値に動くか、それとも安値に動くか)、また新たな注文が供給増加又は需要増加の何れを表しているかを識別することが難しい。また、TLLオーダブックにおける積極的に値付けされた条件注文の公平なランキングを維持することができる。
ミッドポイント制約は、隠れ注文がTLLオーダブックに投入されることを試みる毎にその指値が約定できるか否か反対側の未約定注文と比較されるように実装することができる。約定することができない場合、注文の指値は、NBBOミッドポイントと比較される。注文価格がミッドポイントよりも積極的に値付けされている場合、ミッドポイントでオーダブックに格納される。注文価格がミッドポイントと比較して積極的ではない場合、注文は、指値でオーダブックに格納される。このプロセスは、ミッドポイント制約価格を先行処理することにより高速化することができる。これは、市場データ変化によりミッドポイントが変化したときNBBOのミッドポイントを計算することによりなされる。幾つかの実施形態において、これは、制約ミッドポイントを先行計算してTLLオーダブックに投入しようとする注文に対しその計算結果を適用することにより実施される。
<最小量>
最小量注文は、インバウンド(新規)である場合、反対側単一注文そのもの又は集約した多数注文が集合的にインバウンド注文の最小量条件を満たす限り、反対側の単一注文又は多数注文に対する取引に適格である。但し、インバウンド注文の最小量条件を満たす単一注文又は多数注文がない場合、そのインバウンド注文は約定されず、代わりにオーダブックに格納される。この注文がオーダブックに格納されると、合計して最小量条件を満たす新たな反対側インバウンド注文に対してのみ受動的に約定される。インバウンド最小量注文がオーダブックに挿入された場合、将来の何れかの時点において、市場条件が変化し及び/又は新たな反対側注文がオーダブックに入力されると、その最小量注文は、最小量条件を満たす多数注文に対する取引について適格ではなくなることがある。
<ブック再チェック>
ブック再チェックにより、最小量注文は、より利便性が増す。これは、TLLオーダブックに格納した後、複数の反対側注文に対して最小量条件を満たす機会を改めて付与することによりなされる。TLLオーダブックにおける適格な市場取引可能注文をブック優先度順で繰り返し、何れかがブックの反対側に対して取引可能であるか否かチェックし、ブックの反対側の注文が新たなインバウンド注文であれば注文を処理することにより、ブック再チェックは動作する。これは、オーダブックのマッチングロジックにとって演算負荷が高く、コスト高なプロセスである。
オーダブックのマッチングロジックに対する演算コストを緩和するため、外部プロセスは、再チェックした注文をキャンセルし、マッチングエンジンに対して新たなものとして戻す。これにより、再チェックが注文を完全に約定しない場合、キャンセルされた注文は、時間優先度を失う。
TLLは、再チェックされた注文に対する参照を保持する。これにより、オーダブック内の注文を削除又は再注文することなくブック再チェックを実施できるようにする。これにより再チェックされた注文は、完全充足されなかった場合でも時間優先度を完全に維持できる。これら注文参照を更新し、成功した再チェックと失敗した再チェックの双方に適用し、これによりブック優先度がプロセス全体を通じて維持されるようにする。
成功するブック再チェックプロセスは、任意個数のイベントによってトリガされる。このイベントは、以下を含むがこれに限らない:サブスクライバからの新注文指示;全米最良気配の変化;その他の市場データ変数の変化。これらデータは、コンパイル及びプリプロセスされ、集約株数等の数値と様々な規制取引制約に変換される。これにより、再チェック動作を実際に実施する前に、約定することができそうか、できなさそうか、或いは、保証されているかを確定する。このように、プリプロセスによりブック再チェックの演算コストを更に抑制することができる。
<最小量ティア>
最小量指示は、0から注文総数までの任意の丸め数値取引数を認めることができる(注文の取引数に等しい最小量は、all−or−none注文条件として取り扱う)。理論的に無限数の最小量条件を認めることによりサブスクライバにとっては、最も柔軟性が高まるが、これは、非現実的である。多数の注文を有し最小量条件をともなう注文が散在しているオーダブックにおいて、注文が約定可能であるか否か比較するプロセスは、理論的に無限となる。換言すると、注文ペア又は複数注文を組み合わせて注文の最小量条件を満たし約定できるか否かを判定するため、ブック内において、理論的に無限個数の注文組み合わせの比較が生じ得る。最小量指示は、オーダブック全体にわたって無限に変化し得るので、ブック全体にわたって各未約定注文が充足された最小量指示を有しているか否かを判定することなしに、所与のインバウンド注文に対して何株が利用可能であるかを判定する手段はない。また、インバウンド注文に対して取引したくない(すなわち、充足されてない最小量指示を有している)多数の注文をオーダブックが有している場合、各注文を個別にチェックしてスキップすることなしに、それら注文を分離する効率的な手段はない。
TLLは、有効最小量及び最小量ティアを備えることができる。有効な最小量ティアのセットにより、順列の個数を制限し、最も一般的に選択されている最小量値を把握する(例えば、200、300、500、1,000、5,000、10,000株)。サブスクライバの注文に対する最小量指示がティアと整合していない場合、TLLマッチングエンジンとオーダブックは、有効最小量を用いて動作し、その値を次に低いティアに対してルーティングする。サブスクライバの従前の値を維持し、マッチングロジックについては有効値を用いるようにしてもよい。
最小量指示を有限組の共通に使用される値にまとめることにより、最小量注文の約定をよりスムーズにすることができる。標準値を用いることにより、最小量指示が僅かな差でニアミスする可能性が低くなるからである。例えば、最小量575株の注文は、最小量550株や525株等の注文とは、マッチングされない。このようなニアミスは、過剰に細かい最小量を用いることにより生じる。この場合、注文を入力したサブスクライバが、サイズが非常に近い反対側注文があることを知れば、取引を望んだと考えられる状況でも、2つの注文は、マッチングされない。ティアに対する最小量オプションを制約することにより、この課題を減殺することができる。例えば、ティアに100株ずつ100〜1,000株(100、200、300、400、500等)まで増やすことを強制することにより、先の例の注文は、全て最小量条件500に丸められ、互いに取引に適格になる。これにより、最少取引サイズ制約を設定する注文目的がバランスされ、同様のサイズの反対側注文と取引をすることを妨げて不利益とならないようにする。
TLLオーダブックは、ティアによる最小量注文を管理及び格納する。TLLオーダブックは、最小量ティアにより有限個数の個々にソートされたオーダブックへパーティショニングされる。最小量でパーティショニングした結果、ブック内の最小量指示は、全注文について同一となる。よってマッチングロジックは、より高速に、インバウンド注文又は再チェック注文に対して利用可能なオーダブック内の株数を評価することができる。ブック内の全注文は、インバウンド注文又は再チェック注文に対して均一に、取引を所望し又は所望しないからである。このコンセプトをTLLオーダブックの各パーティションに対して適用することにより、TLLは、インバウンド注文又は再チェック注文に対して利用可能な株数を一定時間内で評価することができる。
最小量ティアは、約定途中においても有用である。約定のためにブック全体の優先度に基づいてパーティションを再結合する際、あるパーティションがインバウンド注文に対して最小量を満たさない場合、TLLマッチングエンジンは、そのパーティションから注文を一切引き出さない。取引を所望するパーティションのみを結合することにより、どの注文がインバウンド注文に対して取引を所望するかに基づき、オーダブック全体をフィルタリングすることができる。これにより、最小量指示に基づき個々の注文を確認してスキップする必要がなくなり、演算効率を向上させることができる。
<最小量参加>
未約定の最小量注文が注文キューの前面にない場合、最小量の実装を制限してもよい。十分に大きい積極的値付けした反対側注文が到着したとしても、その注文は、ブック優先度に基づいて、当該注文に先だって未約定注文に対して約定され、当該最小量注文に到達するときまでに十分な株数が残らない可能性がある。例えば、最小量500株の1,000株注文よりも先に、100株の買い注文がオーダブック内にあるものとする。500株のインバウンド売り注文が到着すると、最初の買い注文と100株取引し、400株は、残る。最小量注文は、500株未満では、取引しないので、元の売り注文のサイズが最小量条件500株を満たすとしても、残り400株のインバウンド売り注文とは、取引しないことになる。極端な例として、単元未満買い注文75株の後に最小量条件100,000株のブロック買い注文100,000株がオーダブック内にあるものとする。インバウンド売り注文100,000株が到着すると、75株買い注文が約定され、99,925株が残る。99,925株は、ブック内の未約定買い注文の最小量条件100,000株を満たさないので、2つのブロック注文は、マッチングされない。
TLLは、新たな最小量挙動を用いる。これは、Participation(参加)と呼ばれる。TLLの最少量注文の挙動は、インバウンドの場合、上記実施例と同一である。但し、オーダブック内に留まっている場合、注文の最少量条件は、約定プロセスの開始時に、最少量注文に対して約定を試みるとき、残り株数ではなくインバウンド注文の株数に対して評価される。これにより、最初の時点で最少量指示が存在した目的に寄与することができる。すなわち、約定する株と約定を断念するシグナル/取引情報との間のバランスを維持すること、及び十分大きい注文とやり取りすることである。
上記ブロック注文の例において、100,000株のインバウンド売り注文は、75株の買い注文と取引されると共に、元の注文サイズ100,000株は、残買い注文100,000株の最少量注文に合致するため、未約定の100,000株の買い注文が取引に「参加」し、99,925株を約定させる。
参加をパーティション化したオーダブックと組み合わせることによって、マッチングロジックは、オーダブック内のオーダ数によらず、インバウンド注文又は再チェック注文の最少量指示を満たすだけの十分な取引株をオーダブックが含んでいるか否かを高速に評価することができる。これにより、約定しない場合の演算負荷と時間を最小化することができる。
<TLL+1>
TLL+1は、取引ベニューを選択し、投入する注文を取引ベニューに対してルーティングする。TLL+1は、注文を送信するベニューを選択し、約定手数料等の明確なコストをバランスしつつ約定できる機会を最大化し、特定のベニューにおける注文の一部を常に表そうとするときの値付けによる影響を回避する。
TLL+1は、以下のように機能する:TLL Smart Order Routerは、注文を分割して複数のベニューに留める決定をし、優先ベニューを選択し、場合によっては、少なくとも1つの追加的ベニューを選択する。1つのベニューを優先させる理由は、幾つかある。例えば、TLLが市場ベニュー自体である場合、遠隔ベニューに注文を送信して約定させるよりもTLL上で注文を約定させる方が望ましい。追加的ベニューを選択する理由は、優先取引ベニューが、必ずしもブローカが注文を送信するベニューとして最初に選択するベニューではない可能性があり、よい追加的引ベニューを選択して注文の価格を広告することにより、約定を受け取る可能性が増すからである。追加的ベニューは、市場状態と、各ベニューにおいて注文が部分的に約定されるとき反対側のブローカに対して課金される可能性がある料金とに基づいて選択することができる。TLL Smart Order Routerは、現在の市場(全米最良気配)内で表されているベニューのなかからベニューを選択することができる。既に全米最良気配を提示する市場のオーダブックに参加する注文を送信することによって、値付け内部に新たなベニューを導入することが避けられ、すなわち値付けに対する影響を回避できる。これらベニューのなかで最もコスト効果が高いものが反対側のブローカのために選択され、取引が生じる。殆どのブローカは、少なくとも部分的に経済状況に基づきルーティングを決定し、TLLによって遠隔ベニューにルーティングされた注文が市場価格内で流動性を有する最もコスト効果の高い注文となる場合、TLL注文は、他のベニューにおける注文よりも先に、遠隔ベニューにおいて約定される。
注文が準備流動性を有している場合、すなわち注文の一部が表示され一部が隠れている場合、準備流動性は、優先ベニューに留まる。これにより、注文の隠れた部分を最もよく制御することができる。
準備注文の表示部分が充足されると、すなわち優先ベニューにおけるもの又は追加的ベニューにおけるものが充足されると、優先ベニューにおける準備流動性は減少し、元の注文が充足された取引ベニューに対して新たな表示注文が送信される。ロジックは、一般的な準備注文の更新方法と同様に機能する。但し、1つの市場センタではなく異なる市場センタにおいて、注文が2つの(又は多数の)表示部分を有する点を除く。
最終的に、残りの準備流動性がないとき何れかの公開部分が完全に充足されると、他のベニューに残っている公開株は、注文が完全充足されたベニューに再ルーティングされる。
<バイナリサーチツリー>
本システムは、汎用目的コンピュータの揮発性メモリ内に実装され、又は物理コンピュータ読取可能媒体上に実装された、ツリーデータ構造に関する。ツリーは、複数のデータノードを有する。各データノードは、数値キーと、そのキーに対応するゼロ以上のデータ値(null値であってもよい)と、子ノードとして指定された他の2つのデータノード、すなわち左子ノード及び右子ノードへの参照とを含む。各参照は、null参照であってもよい。親ノードの子ノード、その子ノードの子ノード等は、親ノードの下位ノードである。親ノードがnullではない左子ノードを有している場合、その左子ノードの数値キーとその左子ノードの各下位ノードは、親ノードの数値キー未満でなければならない。同様に、右子ノードがnullでない場合、その右子ノードの数値キーとその右子ノードの各非null下位ノードは、親ノードの数値キー超でなければならない。ツリーは、ルートノードとして指定されたノードを有し、これは、他のノードの子ノードではない。
全ての数値キーは、有限範囲内に収まる。ノードの子ノード及び下位ノードのそれぞれの数値キーが取り得る範囲は、当該ノード自身が取り得る値範囲により定まる。このデータ構造内において、親ノードの各子ノードの値は、当該ノードが取り得る値範囲から計算により生成される。キーとこれに対応するデータ値がツリーに追加されると、ツリーは、ルートノードからキーが配置されている場所まで横断される。この横断によって子ノードに対するnull参照に到達すると、当該キーについて計算生成した値、ゼロデータ値、及び左右子ノードに対するnull参照によって新データノードが生成され、横断されたノードにおけるnull参照は、新ノードへの参照によって置き換えられる。追加するキーを有するノードに到達すると、対応するデータへの参照が、到達したノードに追加される。このように、ツリー構造は、各場所において、キーを決定的に生成することにより、予め定義される。キー生成のために用いる方法の選択により、ツリーに対してキーを挿入する順番に関係なく、既知の最大ノード深度を有する自動バランスされたツリーが正確に生成される。最大ノード深度は、固定され、ツリーは、再バランスされないので、最悪の挿入時間は、再バランスが必要なツリーと比較して非常に小さい。したがって、このツリーは、金融取引システムのように高信頼性が求められるアプリケーションに適している。
本発明の望ましい実施形態において、キー値を事前定義する方法は、ノードが取り得るキー値範囲の中央値を選択することである。但し、その他の方法も本発明の範囲内で用いることができる。オプションとして、ルートノードとその下の子ノードのレイヤは、手動で定めたキー値により初期的に作成してもよく、これらの下位ノードは、上述の所定のキー値を有するようにしてもよい。
他のオプションとして、非nullデータを有する全ノードが、ルートノード以外のノードが取り得る値範囲内のキーを有する場合、そのルートノード以外のノードを「一時的ルートノード」として指定することができ、元のルートノードに代えて全ツリーを横断する開始点として用いることができる。一時的ルートノードの範囲外のキーがツリーに対して追加されると、一時的ルートノード指定は削除され、元のルートノード又は新たに指定された一時的ルートノードを開始点としてツリーを横断することができる。
別実施例は、値を有する可能性があるノードに対する参照アレイによってツリーを補うことである。例えば、金融商品取引ベニューのオーダブックの場合において、アレイは、商品の前日のクローズ価格範囲内のビッド/オファー価格を含む。可能性があるノードアレイに対するインデックスは、数値キー値から計算される。ノードが「可能性のある」キーによってアクセスされる場合、ツリーに優先してアレイを用いる。ツリーは、新規挿入するときと、アレイの範囲外の「可能性がなさそうな」キーの場合のみ用いられる。
上記発明は、金融商品の売買注文を価格順で整理するために用いることができる。この目的のため、注文価格を数値キーとして用い、注文に関するその他の情報は、関連データとして格納される。ツリーは、価格順で整列された全ノードのリンクリストと共に用いられる。このリンクは、現在の最高価格買い注文と最低価格売り注文(最良買い/売り気配)を有するノードへの特別なリンクを有する。このツリーは、リンクリストを横断することなく新規注文を高速に挿入することを補助する。約定済注文の削除は、リンクリストを用いて実現される。約定は、最良買い/売り気配において、最も多く発生するからである。注文や子ノードを有していないノードは、ツリーとリンクリストから削除される。
但し、本発明のアプリケーションは、この特定のアプリケーションよりも広く適用できる。本発明の範囲は、全ての可能な実施形態を包含するものと解釈すべきである。
図8Aは、ツリー構造におけるノードとその内容を示す。すなわち、数値キー、ノード配下に配置することができるキー範囲、値アレイ、左右子ノードへの参照である。
図8Bは、ツリーの固定スケルトンを示す。取り得るキーは、1〜12の整数である。各ノードの値を生成するルールは、取り得る値範囲のミッドポイントを取り、ミッドポイントが取り得るキーでない場合は、端数を切り捨てることである。各位置におけるノードのキー値は、予め定められているが、必要なノードのみが割り当てられ、ツリーにおいて、インスタンス化される。これにより、アレイのような事前割り当てするデータ構造と比較して、メモリを節約することができる。
図8C〜図8Dは、1〜12の範囲で新たなツリーを生成する様子、図8Bのミッドポイントルール、及びキー値7を挿入する様子を示す。最初に3aに示すようにルートはnullであり、ルートの範囲は、ツリーのフルレンジ1〜12である。図8Dにおいて、ルートが生成されキー6が割り当てられる。これは、レンジ1〜12のミッドポイントを切り捨てたものである。7は、キー値6よりも大きいので、ルートノードの右子ノード下に挿入される。3cにおいて、ルートの右子ノードがレンジ7〜12で生成され、中央値9に切り捨てられる。ここで、7は、9よりも小さいので、9の左子ノード下に配置される。最終的に図8Dにおいて、ノード9の左子ノードがレンジ7〜8で生成され、中央値7に切り捨てられる。このキーが挿入しようとしているものなので、関連値がキーノードに対して追加され、操作が完了する。ノード6と9がツリー内に存在しているが、関連値は、割り当てられておらず、関連値を有するノード7とは、異なる形式で表示されている。
図8Dは、3dに示すツリーに対してキー5を挿入する様子を示す。図8D.aにおいて、キー6のルートノードから横断を開始する。5は、6よりも小さいので、左子ノードが選択される。以下の図面において、図面を明確にするためnull子ポインタは、省略する。図8D.bにおいて、新ノードとして左子ノードが生成され、レンジ1〜5と値3を有する。キー5は、このノードの右子ノード下に配置される。図8D.cは、右子ノード3を生成する様子を示す。レンジは、4〜5、値は、4である。図8D.dは、ノード5の生成、ノード4の右子ノードの生成(レンジは、5〜5)、及びそのノードの挿入を示す。ツリーには、6ノードが存在し、そのうち2つが値を有し、4つは、値を有していない。ノード配置は、2のスケルトンツリーにおける配置と正確に対応しており、ツリーにより全てのキーとノードが同じ位置を有することを保証する。ツリーに対して挿入する順序は、関係ない。
<無限メモリアドレス空間(IMAS)>
IEXメッセージバスマルチキャスト送信コンポーネントは、以下の部分を含む:
1.ストレージ/メモリ又はファイルバックアップ
2.ネットワークIO
3.JNIインタフェース
4.パフォーマンス
<ストレージ>
メッセージバスは、メモリマップアプローチを用いて、「無限」メモリアドレス空間を実現する。これは、マシンの物理メモリとディスクストレージの合計容量と同じ大きさである。具体的には、既存OSの仮想アドレス空間−物理メモリ変換機能を利用する。したがって、もう1つのオプションであるリングバッファアプローチに関する限界/課題を回避することができる。リングバッファの限界/課題は、リングバッファ境界を交差するときのストリームフラグメンテーション、メッセージングマイクロバーストにおけるメッセージ消失、所与のサーバ上における固定/スタティックメモリ構成である。
無限メモリアドレス空間は、スタート時は、仮想メモリ4テラバイトを有し、進行するスライドウィンドウを用いる。アプリケーションから見ると、アドレス空間は、連続しているように見える。したがってIMASは、メッセージフラグメンテーション、ラップアラウンド、メッセージ消失、一般的な設計における複雑なロジックに関する不要なオーバヘッドを回避することができる。要するに、スライドウィンドウにより、常時使用されるメモリブロックは、現在利用可能なメモリ内に配置され、不要となったメモリは、自動的に破棄及び再利用される。アプリケーションから見ると、1つの巨大な連続メモリを用いることができる。この設計は、本システムのようなストリームベースメッセージシステムにおいて、好適に動作する。
<ゼロコピーとマルチキャストデータストリーミングを実現する線形メモリバッファメカニズム>
従来のネットワークI/Oは、小バッファのリストを用い、これらを固定サイズメモリページへコピーする。或いは、アプリケーションが消費する固定サイズを用いる。このアプローチは、以下のような幾つかの欠点がある。
1.メッセージの大バーストを吸収できない
2.ゼロコピーではなく、レインテンシーが生じる
3.複数ページ又はリングバッファを用いる場合、メッセージフラグメンテーションを生じさせる
別アプローチは、論理上の巨大仮想メモリピース(16テラバイト)を割り当て、ネットワークI/Oがこの仮想メモリに対して直接ストリーミングすることである。メモリは、MMAPを用いて割り当てられる。ストリームが進行すると、消費されたメモリ空間は、MADVISEを用いて自動的に削除される。これにより、シンプルで論理的に進行し続ける非常にシンプルなカーソルが実現する。
<アプリケーション同期及びフェイルオーバ>
システムは、所与のアプリケーションのn個のインスタンスを実行する。1つのインスタンスは、プライマリであり、他のインスタンスは、バックアップである。プライマリとバックアップとの間で同一レコードを保持するため、バックアップアプリケーションは、プライマリアプリケーションと同じコードパスを用いる。但し、バックアップアプリケーションにおいて、1ステップが省略される。すなわち、バックアップは、メッセージを出力しない。バックアップアプリケーションによるメッセージ処理は、出力点までのフル実行パスを介して実行される。フルパスを実行し書き込みを短停止する利点は、プライマリアプリケーションとバックアップアプリケーションの状態ができる限り同一に保たれることである。これは、java登録商標で記述されたシステムにおいて、特に有用である。バックアップアプリケーションがメッセージ処理を介して一部処理し、出力メッセージがパスのjavaセグメントを出る前に停止する設計においては、メッセージストリームが完了し、プライマリと同期していても、正確に同じ状態ではない。
Javaは、特定パスを最適化する際のjust−in−timeコンパイル機能の一部として「ウォームアップ」期間を必要とする。just−in−timeコンパイルにおいて、javaは、無関係なコードパスを除去することによりアプリケーションを「優先付け」し、使用中のパスをより効率的に最適化する。例えば、パスが10,000回実行されると、高い優先権を得る。javaステップを含む処理パスを実行するがjava内で書き込みステップを実行しないバックアップアプリケーションの場合、「書き込み」コードは、アクティブにならない。バックアップがプライマリになる必要がある場合、例えば、プライマリがダウンしたとき、書き込みコードがアクティブではなければ(すなわち最適化されていなければ)、javaランスルーにおけるコード実行速度を低下させることによりjavaパフォーマンスに影響する。例えば、書き込みパスを10,000回繰り返すことによる「ウォームアップ」が必要である。これにより、ウォームアップ期間の時間のためにアプリケーション速度が低下する可能性がある。
別設計としては、メッセージ処理パスをjavaセグメントの終端まで実行し、javaがメッセージ出力を次ステップに対して書き込むことができるようにすると共に、次ステップ開始前にパスを停止することが挙げられる。これにより、フルjavaパスが実行され、プライマリアプリケーションとバックアップアプリケーションは、共に同一状態を維持する。これらは、javaと「ウォームアップ」によって共に最適化されるので、プライマリがバックアップへフェイルオーバするイベントにおいて、バックアップは、即座にプライマリがダウンした箇所をピックアップするため、性能は低下しない。
<ストリームセグメントリピータノードを介したメッセージ再送信>
通常システム動作において、全アプリケーションは、アクションを実施し又は外部イベントに対して応答すると、ジャーナルに対してメッセージを書き込む。これは、外部サードパーティからメッセージを受信し処理することを含む(例えば、FIX注文入力メッセージ、市場データメッセージ)。
アプリケーションは、全アプリケーションがジャーナルに対して書き込んだ全メッセージを読み込み保持するように設計されるが、ネットワーク層における送信問題の結果としてメッセージを消失する場合がある。アプリケーションがジャーナルメッセージを処理する際にギャップを発見すると、消失したメッセージを復元する手段が必要になる。-これは、困難な課題である。アプリケーションは、定期的に消失メッセージに対して再アクセスしなければならず、ジャーナルにこれを要求すると、各要求は、他のアプリケーションからの要求と競合する可能性があるからである。これにより、ジャーナルにおいて、アプリケーション待ちキューが生じ、待機中において、更に遅れが生じることになる。これは、更に多くのメッセージを復元しなければならないことを意味する。これは、復元アプリケーションの復帰時間を増加させ、チェーンリアクションがキュー待ちを増やして後続アプリケーションの復帰時間を増加させることにより、問題を更に悪化させる。
1つの解決手法は、複数ジャーナルによってアプリケーションに対して2以上の復帰ソースを与えることである。すなわち、負荷分散プロセスを増やしてより短いキューを増やすことである。但し、アプリケーションが新規起動し、及び/又は大量メッセージを消失した場合(例えば、アプリケーションが1日の遅くに起動し、処理済みの全メッセージに追いつかなければならない場合)、全消失メッセージを復元し処理するために長時間を要する。この場合、アプリケーションがメッセージを復元する際に用いるジャーナルは、アプリケーション復元完了まで他のアプリケーションが利用できないことになる。
システムは、アプリケーションが消失メッセージを復元することができる完全メッセージジャーナルのコピーを有するn個のジャーナルを有する。1つのジャーナルがあるアプリケーションによって占有された場合、他のアプリケーションは、その他の利用可能ジャーナルから消失メッセージを復元することができる。但し、ジャーナルリソースを長時間消費して他のアプリケーションの長いキューを生じさせるアプリケーションの影響を最小化するため、別解決手法として、全メッセージジャーナルをセグメントへ分割し、特定のセグメントを特定のジャーナルに対して割り当てる。このように、各ジャーナルセグメントは、復元アプリケーションに対して記録したメッセージセグメントを提供し、アプリケーションを移動させて、待機中の次アプリケーションがより速く順番を得ることができるようにする。切断したアプリケーションが依然としてメッセージギャップを有する場合、関連するストリームセグメントを有するジャーナルに対して接続し、別メッセージに対してアクセスする等することができる。これにより、アプリケーションがジャーナルキューにおいて、消費する時間制約を解消し、メッセージギャップをより速く充足させることができる。
<TLLコントローラ>
図9は、TLLコントローラ901のブロック図である。この実施形態において、TLLコントローラ901は、様々な技術及び/又はその他の関連データを介して、コンピュータとのやり取りを集約し、処理し、格納し、検索し、補助し、識別し、指示し、生成し、マッチングし、及び/又は促進する。
ユーザ933aは、人及び/又は他のシステムであり、情報技術システム(例えば、コンピュータ)を操作して、情報処理を実施する。コンピュータは、情報を処理するプロセッサを用いる。プロセッサ903は、中央演算装置(CPU)と呼ばれる場合もある。プロセッサの1形態は、マイクロプロセッサである。CPUは、通信回路を用いて、命令として動作するバイナリ符号化信号を送信し、様々な動作を実施する。これら命令は、動作命令及び/又はデータ命令であり、他の命令を含み及び/又は参照し、様々なプロセッサがアクセスして動作することができるメモリ領域929(例えば、レジスタ、キャッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ等)に格納される。通信命令は、プログラムとして及び/又はデータコンポーネントとしてバッチで(例えば、バッチ命令で)格納され及び/又は送信され、所望の動作を実施する。これら格納されている命令コード(例えば、プログラム)は、CPU回路部品やその他のマザーボード及び/又はシステムに組み込まれ、所望の動作を実施する。プログラムのタイプとしては、例えば、コンピュータオペレーティングシステムがあり、CPUがコンピュータ上でこれを実行する。オペレーティングシステムにより、ユーザは、コンピュータ情報技術とリソースにアクセスし動作させることができる。情報技術システムが使用するリソースとしては、以下が挙げられる:データがコンピュータに対して入力され又はコンピュータから出ていく入出力メカニズム;データを保存するメモリストレージ;情報を処理するプロセッサ。これら情報技術システムを用いてデータを収集し、その後に取得し、分析し、操作する。これら動作は、データベースプログラムによりなされる。これら情報技術システムは、ユーザが様々なシステムコンポーネントにアクセスして操作するインタフェースを提供する。
一実施形態において、TLLコントローラ901は、以下に限定されるわけではないが、以下のようなエンティティと接続し、及び/又は通信することができる:ユーザ入力デバイス911からの1以上のユーザ;周辺デバイス912;予備暗号プロセッサデバイス928;及び/又は通信ネットワーク913。例えば、TLLコントローラ901は、ユーザ933a、クライアント操作デバイス933bと接続し、及び/又は通信することができる。クライアント操作デバイス933bは、以下を含むが、これに限られない:パーソナルコンピュータ、サーバ、及び/又は様々なモバイルデバイス。モバイルデバイスは、以下を含むが、これに限られない:携帯電話、スマートフォン(例えば、iPhone(登録商標)、Blackberry(登録商標)、AndroidOSベース携帯電話等)、タブレットコンピュータ(例えば、Apple iPad(登録商標)、HP Slate、Motorola Xoom等)、eBookリーダ(例えば、Amazon Kindle、Barnes and NobleのNook eReader等)、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ネットブック、ゲーム端末(例えば、XBOX Live、Nintendo(登録商標)DS、Sony PlayStation(登録商標)Portable等)、携帯スキャナ等。
ネットワークは、一般に、グラフトポロジーにおけるクライアント、サーバ、及び中間ノードの相互接続と相互動作を備えるように構成される。本願における「サーバ」という用語は、包括的に、コンピュータ、その他のデバイス、プログラム、或いは、これらの組み合わせを指し、これらは、通信ネットワークを介したリモートユーザの要求を処理し、これに応答する。サーバは、要求側「クライアント」に情報を提供する。本願における「クライアント」という用語は、一般に、コンピュータ、プログラム、その他のデバイス、ユーザ、及び/又はこれらの組み合わせを指す。これらは、要求を処理及び作成し、通信ネットワークを介してサーバからの応答を取得し処理することができる。情報と要求を処理し、及び/又は送信元ユーザから宛先に対して情報を引き渡す、コンピュータ、その他のデバイス、プログラム、又はこれらの組み合わせは、「ノード」と呼ぶ。ネットワークは、一般に、送信元から宛先に対して情報を伝搬する。送信元から宛先に対して情報を引き渡すタスクを実施するノードは、「ルータ」と呼ばれる。ネットワークの形態としては、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、Picoネットワーク、広域ネットワーク(WAN)、無線ネットワーク(WAN)等がある。例えば、インターネットは、一般に、複数ネットワークの相互接続として受け入れられている。これによりリモートクライアントとサーバは、互いにアクセスし相互動作することができる。
TLLコントローラ901は、コンピュータシステムに基づく。このコンピュータシステムは、例えば、メモリ929に接続されたコンピュータシステム902のようなコンポーネントを備えるが、これに限らない。
<コンピュータシステム>
コンピュータシステム902は、クロック930、中央演算装置(CPU及び/又はプロセッサ(これら用語は、本明細書において、明示しない限り相互交換可能である))903、メモリ929(例えば、読取専用メモリ(ROM)906、ランダムアクセスメモリ(RAM)905等)、及び/又はインタフェースバス906を備える。これらは全て、必ずしも必要ではないが、多くの場合、相互接続され及び/又はシステムバス904を介して通信を行う。システムバス904は、1以上のマザーボード902上に設けられている。マザーボード902は、導電及び/又は伝搬回路経路を有する。この回路経路を通じて、命令(例えば、バイナリ符号化信号)が伝搬し、通信、動作、記憶等を実現する。コンピュータシステムは、電源986に接続することができる。電源は、内部のものであってもよい。オプションとして、暗号プロセッサ926及び/又はトランシーバ(例えば、IC)964をシステムバスに接続してもよい。他の実施形態において、暗号プロセッサ及び/又はトランシーバは、内部及び/又は外部周辺デバイス912としてインタフェースバスI/Oを介して接続することができる。トランシーバは、アンテナ965に接続され、これにより無線通信と様々な通信及び/又はセンサプロトコルの受信を可能にする。例えば、アンテナは、以下に接続することができる:Texas Instruments WiLink WL1283 トランシーバチップ(例えば、802.11n、Bluetooth(登録商標)3.0、FM、GPS(これによりTLLコントローラは、位置を判定できる)を提供する);Broadcom BCM4329FKUBG トランシーバチップ(例えば、802.11n、Bluetooth2.1+EDR、FM等を提供する)、BCM28150(HSPA+)、及びBCM2066(Bluetooth4.0、GPS等);Broadcom BCM4650IU88レシーバチップ(例えば、GPS);Infineon Technologies X−Gold618−PMB9800(例えば、2G/3G HSDPA/HSUPA通信を提供する);Intel XMM6160(LTE&DC−HSPA)、Qualcom CDMA(2,000)、Mobile Data/Station Modem,Snapdrago等。システムクロックは、水晶発振器を有し、コンピュータシステムの回路経路を介してベース信号を生成する。クロックは、システムバス及び様々なクロック増幅器に接続される。クロック増幅器は、コンピュータシステムに相互接続された他のコンポーネントのベース動作周波数を増減させる。クロックとコンピュータシステム内の各コンポーネントは、システム全体にわたって情報を格納する信号を駆動する。コンピュータシステム全体にわたって情報を格納した命令を送受信することは、通信と呼ばれる。これら通信命令は、更に送受信され、本コンピュータシステムから通信ネットワーク、入力デバイス、他のコンピュータシステム、周辺デバイス等に対する応答を生じさせる。他の実施形態において、上記各コンポーネントは、互いに直接接続し、CPUに接続し、及び/又は多様なコンピュータシステムが採用する様々な変形物内に構成できることは明らかである。
CPUは、ユーザ及び/又はシステムが生成した要求を実行するプログラムコンポーネントを実行するのに適した少なくとも1つの高速データプロセッサを備える。プロセッサ自身は、様々な専用処理ユニットを備える場合もある。例えば、浮動点演算ユニット、整数演算ユニット、統合システム(バス)コントローラ、論理演算ユニット、メモリ管理制御ユニット等を含むが、これらに限らない。また、グラフィック処理ユニット、デジタル信号処理ユニット等の専用サブユニットを含む場合もある。更に、プロセッサは、内部高速アクセスアドレスメモリを備える場合もあり、メモリ929のマッピングやアドレシングをプロセッサ自身が実施することができる。内部メモリは、以下に限定されるわけではないが、高速レジスタ、様々なレベルのキャッシュメモリ(レベル1、2、3等)、RAM等を含む。プロセッサは、メモリアドレス空間を介してこのメモリにアクセスする。メモリアドレス空間は、命令アドレスを介してアクセスすることができる。命令アドレスは、プロセッサが構築しデコードするものであり、これにより、回路パスにアクセスしてメモリ状態/値を有する特定メモリアドレス空間にアクセスすることができる。CPUは、例えば、以下のようなマイクロプロセッサでもよい:AMD Athlon、Duron、及び/又はOpteron;従前のARM(例えば、ARM6/9/11)、embedded(Cortex−M/R)、application(Cortex−A)、embedded及びsecureプロセッサ;IBM及び/又はMotorola DragonBall及びPowerPC;IBM及びSony Cellプロセッサ;Intel Atom、Celeron(Mobile)、Core(2/Duo/i3/i5/i6)、Itanium、Pentium、Xeon、及び/又はXScale;等。CPUは、命令を通過させる導体及び/又は伝搬経路(例えば、(プリント)電子及び/又は光回路)を介してメモリと通信し、格納されている命令(すなわち、プログラムコード)を実行する。この命令引き渡しにより、TLLコントローラ内及び各インタフェースを介した通信を実施する。処理要件が多大な速度及び/又は性能を必要とする場合、分散プロセッサ(例えば、Distributed TLL)、メインフレーム、マルチコア、パラレル、及び/又はスーパーコンピュータアーキテクチャを同様に用いることができる。これに代えて、配置要件が可搬性を必要とする場合、小型モバイルデバイス(例えば、スマートフォン、携帯個人端末(PDA)等)を採用することができる。
実装によっては、TLLの機能は、マイクロコントローラを実装することによって実現できる。マイクロコントローラは、例えば、CAST R8051XC2マイクロコントローラ、Intel MCS51(すなわち8051マイクロコントローラ)等である。TLLの機能を実装するため、組込コンポーネントを用いることもできる。例えば、特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、Field Programmable Gate Array(FPGA)、及び/又は同様の組込技術である。例えば、TLLのコンポーネントコレクション(分散配置されているものであってもよく、以外であってもよい)及び/又は機能は、マイクロプロセッサ及び/、又は組込コンポーネントを用いて実装することができる。例えば、ASIC、コプロセッサ、DSP、FPGA等である。これに代えて、幾つかの実施例では、TLLの機能は、多様な機能や信号処理を実現するように構成された組込コンポーネントにより実装することができる。
実装によっては、組込コンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はハードウェア/ソフトウェアの組み合わせを含むことができる。例えば、TLL機能は、FPGAを実装することにより実現できる。FPGAは、「論理ブロック」というプログラム可能論理部品とプログラム可能相互接続を含む半導体デバイスである。FPGAの例は、Xilinxが製造する高性能FPGA Virtexシリーズ及び/又はSpartanシリーズである。論理ブロックと相互接続は、FPGAが製造された後、顧客や設計者によってプログラムすることができる。これにより、TLL機能を実装する。プログラム可能相互接続の階層により、論理ブロックは、TLLシステム設計者/管理者が必要であれば相互接続することができる。これは、1チッププログラム可能breadboardに似ている。FPGAの論理ブロックをプログラムして、AND、XOR等の基本論理ゲートの動作、又はデコーダや簡易数式等のより複雑な演算子の組み合わせを実施することができる。多くのFPGAにおいて、論理ブロックもメモリを備える。このメモリは、例えば、回路フリップフロップ又はより複雑なメモリブロックである。状況によっては、TLLを通常のFPGA上に開発し、ACICにより近い固定バージョンに移行することもできる。代替又は協調実装は、TLLコントローラ機能をFPGAに代えて又はFPGAに加えて最終ASICに移行することができる。実装によっては、上記組込コンポーネントの全て及びマイクロプロセッサは、TLLの「CPU」及び/又は「プロセッサ」とみなすことができる。
<電源>
電源986は、小型電子回路基板デバイスに電源を供給する如何なる標準的な形式を有していてもよく、例えば、アルカリ、水素化リチウム、リチウムイオン、リチウムポリマ、ニッケルカドミウム、太陽電池等の電池であってもよい。他のタイプのAC又はDC電源も同様に使用することができる。一実施形態において、太陽電池の場合、太陽電池が光エネルギを捕捉するための開口をケースに設けてもよい。パワーセル986は、相互接続されたTLLコンポーネントの少なくとも1つに接続され、これによって、これらに相互接続された全ての部品に電流を供給する。一例において、電源986は、システムバスコンポーネント904に接続される。代替実施形態において、I/Oインタフェース908をまたがる接続を介して、外部電源986を提供することもできる。例えば、USB及び/又はIEEE1394接続は、接続を介してデータ及び電力の両方を伝送し、したがって、適切な電源となる。
<インタフェースアダプタ>
インタフェースバス906は、複数のインタフェースアダプタに対して、受信し、接続し、及び/又は通信する。必須ではないが、アダプタカードの形態をとることができる。例えば、以下を含むが、これらに限らない:入出力インタフェース(I/O)908、ストレージインタフェース909、ネットワークインタフェース910等。暗号プロセッサインタフェース926も同様に、インタフェースバスに接続することができる。インタフェースバスは、インタフェースアダプタ同士の接続のために提供してもよく、コンピュータステムの他のコンポーネントのために提供してもよい。インタフェースアダプタは、適合するインタフェースバスのために調整することができる。インタフェースアダプタは、拡張及び/又はスロットアーキテクチャを介してインタフェースバスに接続する。使用できる様々な拡張及び/又はスロットアーキテクチャは、例えば、以下に限定されるわけではないが、アクセラレーテッドグラフィックポート(Accelerated Graphics Port:AGP)、カードバス、ExpressCard、(拡張:Extended)業界標準アーキテクチャ(:(E)ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(Micro Channel Architecture:MCA)、NuBus、周辺コンポーネントインターコネクト(拡張)((Extended):PCI(X))、PCIExpress、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)、Thunderbolt等を含む。様々な拡張及び/又はスロットアーキテクチャを採用することができる。例えば、以下を含むがこれに限らない:Accelerated Graphics Port(AGP)、Card Bus、ExpressCard、(Extended)Industry Standard Architecture((E)ISA)、Micro Channel Architecture(MCA)、NuBus、Peripheral Component Interconnect(Extended)(PCI(X))、PCI Express、Personal Computer Memory Card International Association(PCMCIA)、Thunderbolt等。
ストレージインタフェース909は、複数のストレージデバイスに対して、受信し、通信し、及び/又は接続する。ストレージデバイスは、例えば、以下のようなものであるが、これに限らない:ストレージデバイス914、リムーバブルディスクデバイス等。ストレージインタフェースは、通信プロトコルを採用することができる。通信プロトコルは、例えば、以下のものを含むが、これに限らない:(Ultra)(Serial)Advanced Technology Attachment(Packet Interface)((Ultra)(Serial)ATA(PI))、(Enhanced)Integrated Drive Electronics((E)IDE)、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)1394、Ethernet、ファイバチャネル、Small Computer Systems Interface(SCSI)、Thunderbolt、Universal Serial Bus(USB)等。
ネットワークインタフェース910は、通信ネットワーク913に対して、受信し、通信し、及び/又は接続する。通信ネットワーク913を介して、ユーザ933aは、リモートクライアント933b(例えば、ウェブブラウザを備えるコンピュータ)経由でTLLコントローラにアクセスすることができる。ネットワークインタフェースは、通信プロトコルを採用することができる。通信プロトコルは、例えば、以下のものがあるが、これに限らない:直接接続、Ethernet(thick、thin、twisted pair 10/100/1,000Base T等)、トークンリング、IEEE802.11a−x等の無線接続等。処理要件が多大な速度及び/又は性能を必要とする場合、分散ネットワークコントローラ(例えば、分散TLL)アーキテクチャを同様に採用して、TLLコントローラが必要とする通信帯域幅をプールし、負荷分散し、及び/又は増加させることができる。通信ネットワークは、以下の何れか又は組み合わせを用いることができる:直接相互接続;インターネット;ローカルエリアネットワーク(LAN);メトロポリタンエリアネットワーク(MAN);Operating Missions as Nodes on the Internet(OMNI);セキュアカスタム接続;Wide Area Network(WAN);無線ネットワーク(例えば、Wireless Application Protocol(WAP)、I−mode等のプロトコルを採用したものが挙げられるが、これらに限らない);等。ネットワークインタフェースは、入出力インタフェースの特殊形態とみなすことができる。更に複数のネットワークインタフェース910を用いて、様々な通信ネットワークタイプ913に接続することができる。例えば、複数のネットワークインタフェースを用いて、ブロードキャスト、マルチキャスト、及び/又はユニキャストネットワーク上で通信することができる。
入出力インタフェース(I/O)908は、ユーザ入力デバイス911、周辺デバイス912、暗号プロセッサデバイス928等に対して、受信し、通信し、及び/又は接続する。I/Oは、以下のような通信プロトコルを用いることができるが、これに限らない:オーディオ:アナログ、デジタル、モノラル、RCA、ステレオ等;データ:Apple Desktop Bus(ADB)、Bluetooth、IEEE1394a〜b、シリアル、USB;赤外線;ジョイスティック;キーボード;midi;光;PC AT;PS/2;パラレル;無線;ビデオインタフェース:Apple Desktop Connector(ADC)、BNC、同軸、コンポーネント、コンポジット、デジタル、DisplayPort、Digital Visual Interface(DVI)、high−definition multimedia interface(HDMI(登録商標))、RCA、RF antenna、S−Video、VGA等;無線トランシーバ:802.11a/b/g/n/x;Bluetooth;携帯(例えば、code division multiple access(CDMA)、high speed packet access(HSPA(+))、high−speed downlink packet access(HSDPA)、global system for mobile communications(GSM(登録商標))、long term evolution(LTE)、WiMax等);等。出力デバイスは、例えば、ビデオディスプレイである。ビデオディスプレイは、以下の形態をとることができる:Cathode Ray Tube(CRT)、Liquid Crystal Display(LCD)、Light Emitting Diode(LED)、Organic Light Emitting Diode(OLED)、プラズマ等。ビデオディスプレイは、ビデオインタフェースから信号を受け取るインタフェース(例えば、VGA、DVI回路及びケーブル)を備える。ビデオインタフェースは、コンピュータシステムが生成した情報を複合し、複合した情報に基づきビデオメモリフレーム内でビデオ信号を生成する。他の出力デバイスは、例えば、テレビセットである。テレビセットは、ビデオインタフェースから信号を受け取る。ビデオインタフェースは、ビデオディスプレイインタフェース(例えば、RCAコンポジットビデオケーブルを接続するRCAコンポジットビデオコネクタ;DVIディスプレイケーブルを接続するDVIコネクタ、HDMI等)を接続するビデオ接続インタフェースを介して複合ビデオ情報を提供する。
ユーザ入力デバイス911は、周辺デバイス912(下記参照)のタイプである場合もあり、以下を含む:カードリーダ、ドングル、指紋リーダ、グローブ、グラフィックタブレット、ジョイスティック、キーボード、マイクロフォン、マウス、リモコン、網膜リーダ、タッチスクリーン(容量型、抵抗型等)、トラックボール、センサ(例えば、加速度計、環境光、GPS、ジャイロスコープ、近接センサ等)、スタイラス等。
周辺デバイス912は、I/O及び/又は、ネットワークインタフェース、ストレージインタフェース、インタフェースバス直接、システムバス、CPU等のその他のデバイスと接続し、及び/又は通信することができる。周辺デバイスは、外部デバイス、内部デバイス、及び/又はTLLコントローラの一部である。周辺デバイスは、以下を含む:アンテナ、オーディオデバイス(例えば、line−in、line−out、マイクロフォン入力、スピーカ等)、カメラ(例えば、静止カメラ、ビデオカメラ、webcam等)、ドングル(例えば、デジタル署名で安全な通信を保証するコピー保護したもの等)、外部プロセッサ(例えば、暗号デバイス928等の追加機能のためのもの)、力フィードバックデバイス(例えば、振動モータ)、近接場通信(NFC)デバイス、ネットワークインタフェース、プリンタ、無線ID(RFID)、スキャナ、ストレージデバイス、トランシーバ(例えば、携帯、GPS等)、ビデオデバイス(例えば、ゴーグル、モニタ等)、ビデオソース、visors等。周辺デバイスは、入力デバイスタイプを含む(例えば、マイクロフォン、カメラ等)。
ユーザ入力デバイスと周辺デバイスを採用してもよいが、TLLコントローラは、組込デバイス、専用デバイス、及び/又はモニタなし(すなわちヘッドなし)デバイスとして実装することもできる。この場合アクセスは、ネットワークインタフェース接続を介してなされる。
マイクロコントローラ、プロセッサ926、インタフェース926、及び/又はデバイス928等の暗号ユニットをTLLに取り付け、及び/又はTLLと通信することができる。Motorola製のMC68HC16マイクロコントローラを暗号ユニット内で用いることができる。MC68HC16マイクロコントローラは、16MHz設定で16ビット積和演算命令を利用し、512ビットRSAプライベートキー動作を1秒以下で実施する。暗号ユニットは、通信エージェントからの通信認証をサポートし、匿名通信も許可する。暗号ユニットは、CPUの一部として構成することができる。同等のマイクロコントローラ及び/又はプロセッサを用いることもできる。その他の商用利用可能な専用暗号プロセッサとして以下が含まれる:Broadcom CryptoNetXその他のセキュリティプロセッサ;nCipher nShield(例えば、Solo、 Connect等)、SafeNet Luna PCI(例えば、6100)シリーズ;Semaphore Communications 40MHz Roadrunner184;sMIP(例えば、208956);Sun Cryptographic Accelerator(例えば、Accelerator6000 PCIeボード、Accelerator500 Daughtercard);500+MB/sの暗号命令を実施できるVia Nano Processor(例えば、L2100、L2200、U2400)ライン;VLSI Technology 33MHz 6868;等。
<メモリ>
一般に、プロセッサがストレージに影響を及ぼし、及び/又は情報を取得できるようにするデバイスは、メモリ929とみなすことができる。但し、メモリは、代替可能な技術及びリソースであり、よって任意個数のメモリを代わりに又は連携して用いることができる。TLLコントローラ及び/又はコンピュータシステムは、様々な形態のメモリ929を採用できることは明らかである。例えば、コンピュータシステムは、オンチップCPUメモリ、RAM、ROM、その他のストレージデバイスが紙パンチテープ又は紙パンチカードによって提供されるように構成することができる。但し、そのような実施形態は、動作レートが非常に遅い。一実施例において、メモリ929は、ROM906、RAM905、ストレージデバイス914を含む。ストレージデバイス914は、任意個数のコンピュータストレージデバイス/システムを採用することができる。ストレージデバイスは、以下を含む:ドラム;(固定及び/又はリムーバブル)磁気ディスクドライブ;光磁気ドライブ;光ドライブ(すなわちBlueray、CD ROM/RAM/RecoTLLble(登録商標)/ReWritable(RW)、DVD R/RW、HD DVD R/RW等);デバイスアレイ(例えば、RAID);固体メモリデバイス(ISBメモリ、solid stateドライブ(SSD)等);その他のプロセッサ読取可能記憶媒体;等。したがって、コンピュータシステムは、一般に、メモリを利用する。
<コンポーネントコレクション>
メモリ929は、プログラム及び/又はデータベースコンポーネント及び/又はデータのコレクションを含む。例えば、以下を含むがこれに限らない:OSコンポーネント915(オペレーティングシステム);情報サーバコンポーネント916(情報サーバ);ユーザインタフェースコンポーネント916(ユーザインタフェース);ウェブブラウザコンポーネント918(ウェブブラウザ);データベース919;メールサーバコンポーネント921;メールクライアントコンポーネント922;暗号サーバコンポーネント920(暗号サーバ);TLLコンポーネント935;等(すなわちまとめてコンポーネントコレクション)。これらコンポーネントは、ストレージデバイスに格納し、ストレージデバイスからアクセスし、及び/又はインタフェースバスを介してアクセスできるストレージデバイスからアクセスすることができる。上記コンポーネントコレクションのようなプログラムコンポーネントは、ローカルストレージデバイス914に格納することができるが、メモリに読み出し、及び/又は格納することができる。メモリは、例えば、以下を含む:周辺デバイス、RAM、通信ネットワークを介したリモートストレージ、ROM、様々なメモリ等。
<オペレーティングシステム>
OSコンポーネント915は、実行可能プログラムコンポーネントであり、TLLコントローラの動作を実施する。オペレーティングシステムは、I/O、ネットワークインタフェース、周辺デバイス、ストレージデバイス等へのアクセスを実施する。オペレーティングシステムは、フォールトトレランスが高くスケーラブルでセキュアなシステムである。例えば、以下を含む:Apple Macintosh OS X(サーバ);AT&T Plan 9;Be OS;Unix(登録商標)及びUnixライクなシステム(例えば、AT&T UNIX;Berkley Software Distribution(BSD)系列、例えば、FreeBSD、NetBSD、OpenBSD等;Linux(登録商標)ディストリビューション、例えば、RedHat、Ubuntu等);その他の同様のOS。但し、より限定的及び/又はセキュリティの低いOSを採用することもできる。例えば、AppleMacintosh OS、IBM OS/2、Microsoft DOS、Microsoft Windows2,000/2003/3.1/95/98/CE/Millenium/NT/Vista/XP(サーバ)、PalmOS等。また、モバイルOSを採用することもできる。例えば、Apple iOS、Google Android、Hewlett Packard WebOS、Microsoft Windows Mobile等である。これらOSは、NICKコントローラのハードウェアに組み込み、及び/又はメモリ/ストレージに格納/ロードすることができる。OSは、自らを含むコンポーネントコレクションの他のコンポーネント等と通信することができる。多くの場合、OSは、他のプログラムコンポーネント、ユーザインタフェース等と通信する。例えば、OSは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。CPUがOSを実行すると、通信ネットワーク、データ、I/O、周辺デバイス、プログラムコンポーネント、メモリ、ユーザ入力デバイス等との通信が可能になる。OSは、通信プロトコルを提供する。通信プロトコルにより、TLLコントローラは、通信ネットワーク913を介して他のエンティティと通信することができる。TLLコントローラは、サブスクライバ通信メカニズムとして様々な通信プロトコルを使用することができる。例えば、マルチキャスト、TCP/IP、UDP、ユニキャスト等を含むが、これに限らない。
<情報サーバ>
情報サーバコンポーネント916は、CPUが実行するプログラムコンポーネントである。情報サーバは、例えば、インターネット情報サーバであり、以下を含むがこれに限らない:Apache Software FoundationのApache、Microsoft Internet Information Server等。情報サーバにより、プログラムコンポーネントを実行することができる。例えば、以下のような機能を介して実行する:Active Server Page(ASP)、ActiveX、(ANSI)(Objective−)C(++)、C#、及び/又は.NET、Common Gateway Interface(CGI)スクリプト、dynamic(D)hypertext markup language(HTML)、FLASH、Java(登録商標))、JavaScript(登録商標)、Practical Extraction Report Language(PERL)、Hypertext Pre−Processor(PHP)、パイプ、Python、wireless application protocol(WAP)、WebObjects等。情報サーバは、セキュア通信プロトコルをサポートする。例えば、以下を含むがこれに限らない:File Transfer Protocol(FTP);HyperText Transfer Protocol(HTTP);Secure Hypertext Transfer Protocol(HTTPS)、Secure Socket Layer(SSL)、メッセージングプロトコル(例えば、America Online(AOL)Instant Messenger(AIM)、Apple iMessage、Application Exchange(APEX)、ICQ、Internet Relay Chat(IRC)、Microsoft Network(MSN)Messenger Service、Presence and Instant Messaging Protocol(PRIM)、Internet Engineering Task Force(IETF)Session Initiation Protocol(SIP)、SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、open XML−based Extensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)(すなわち、Jabber or Open Mobile Alliance(OMA)Instant Messaging and Presence Service(IMPS))、Yahoo! Instant Messenger Service等。情報サーバは、ウェブブラウザに対してウェブページの形態で結果を提供し、他のプログラムコンポーネントとのやり取りを通じてウェブページの生成を操作する。HTTP要求のうちDomain Name System (DNS)が解決する部分が情報サーバに対して提供されると、情報サーバは、HTTP要求の残部分に基づきTLLコントローラ上の特定場所における情報要求を取得する。例えば、要求http://123.124125.126/myInformationhtmlは、DNSサーバが解決して情報サーバに対して提供するIP部分「123.124.125.126」を有する。情報サーバは、次に、http要求をパースして「/myInformation.html」部分を取得し、「myInformation.html」を含むメモリ位置を特定する。その他の情報提供プロトコルを様々なポートで用いることもできる。例えば、ポート21のFTP通信等である。情報サーバは、コンポーネントコレクションの他のコンポーネントと通信する。情報サーバは、多くの場合、TLLデータベース919、OS,他のプログラムコンポーネント、ユーザインタフェース、ウェブブラウザ等と通信する。
TLLデータベースに対するアクセスは、データベースブリッジメカニズムを介して実現することができる。例えば、以下に列挙するスクリプト言語(例えば、CGI)や、以下に列挙するアプリケーション間通信チャネル(例えば、CORBA、WebObjects等)を用いることができる。ウェブブラウザを介したデータ要求は、ブリッジメカニズムを介してパースされ、TLLが要求する適切な文法に変換される。一実施形態において、情報サーバは、ウェブブラウザがアクセス可能なウェブフォームを提供することができる。ウェブフォーム上で提供するフィールドに対する入力は、入力した旨をタグ付され、そのようにパースされる。入力された語句は、フィールドタグと共に引き渡され、適当なテーブル及び/又はフィールドへのクエリを生成するようパーサに対して指示する。一実施形態において、パーサは、タグ付けされたテキスト入力に基づき適当なjoin/selectコマンドを含む検索文字列を有する標準SQLクエリを生成する。得られたコマンドは、ブリッジメカニズムを通じてTLLに対してクエリとして提供される。クエリから結果を生成すると、その結果は、ブリッジメカニズムを介して引き渡され、ブリッジメカニズムによってフォーマット化及び新たな結果ウェブページを生成するためにパースしてもよい。新たな結果ウェブページは、情報サーバに提供され、情報サーバは、これを要求元のウェブブラウザへ提供する。
情報サーバは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを、含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。
<ユーザインタフェース>
コンピュータインタフェースは、幾つかの点で自動車運転インタフェースと類似する。自動車運転インタフェース要素、例えば、操作ハンドル、ギアシフト、及び速度計は、自動車リソース及び状態のアクセス、操作及び表示を実現する。コンピュータインタラクションインタフェース要素、例えば、チェックボックス、カーソル、メニュー、スクローラ及びウィンドウ(集合的に及び一般的にウィジェットと呼ばれる)は、同様に、データ及びコンピュータハードウェア及びオペレーティングシステムリソース、並びに状態のアクセス、能力、操作及び表示を実現する。操作インタフェースは、一般的に、ユーザインタフェースと呼ばれる。グラフィカルユーザインタフェース(graphical user interface:GUI)は、基本機能及び情報にアクセスしグラフィカル表示する手段をユーザに対して提供する。GUIの例は、以下である:Apple Macintosh Operating System AquaとiOS Cocoa Touch、IBM OS/2、Google Android Mobile UI、Microsoft Windows 2,000/2003/3.1/95/98/CE/Millenium/Mobile/NT/XP/Vista/6/8(すなわちAero、Metro)、Unix X−Windows(例えば、以下のようなUnixグラフィックインタフェースライブラリを含む:K Desktop Environment(KDE)、mythTV、GNU Network Object Model Environment(GNOME))、ウェブインタフェースライブラリ(例えば、ActiveX、AJAX、(D)HTML、FLASH、Java、JavaScript等、以下のようなインタフェースライブラリ(但し、これらに限らない):Dojo、jQuery(UI)、MooTools、Prototype、script.aculo.us、SWFObject、Yahoo! User Interface)。
ユーザインタフェースコンポーネント916は、CPUが実行する保存されたプログラムコンポーネントである。ユーザインタフェースは、OS及び/又は上記動作環境が提供し、これらと共に提供され、及び/又はこれら上に提供されるグラフィックユーザインタフェースである。ユーザインタフェースは、テキスト及び/又はグラフィック情報によってプログラムコンポーネント及び/又はシステム設備の表示、実行、インタラクション、操作及び/又は演算を実現する。ユーザインタフェースにより、ユーザは、コンピュータシステムに影響を与え、コンピュータシステムとインタラクトし及び/又はコンピュータシステムを操作できる。ユーザインタフェースは、コンポーネントコレクションの他のコンポーネントと通信する。ユーザインタフェースは、それ自体及び/又は設備等を含むコンポーネントコレクション内で他のコンポーネントに及び/又は他のコンポーネントと通信してもよい。ユーザインタフェースは、OS、他のプログラムコンポーネント等と通信する。ユーザインタフェースは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ及び/又はデータ通信、要求及び/又は応答を含み、これらと通信し、これらを生成、取得及び/又は提供する。
<ウェブブラウザ>
ウェブブラウザコンポーネント918は、CPUによって実行される保存されたプログラムコンポーネントである。ウェブブラウザは、例えば、グーグルの(モバイル)Chrome、マイクロソフトInternet Explorer、Netscape Navigator、アップル(モバイル)Safari、例えば、アップルのCocoa(Touch)オブジェクトクラスを介する埋め込みウェブブラウザオブジェクト等のハイパーテキスト閲覧アプリケーションであってもよい。安全なウェブブラウジングのために、HTTPS、SSL等によって128ビット(又はこれ以上)の暗号化を提供してもよい。ウェブブラウザは、例えば、ActiveX、AJAX、(D)HTML、FLASH、Java、JavaScript、ウェブブラウザプラグインAPI(例えば、Chrome、FireFox、Internet Explorer、Safari Plug−in及び/又はこれらに類するAPI)等を介してプログラムコンポーネントの実行を実現してもよい。ウェブブラウザ及び同様の情報アクセスツールは、PDA、携帯電話、スマートフォン及び/又は他のモバイル機器に統合してもよい。ウェブブラウザは、それ自体及び/又は設備等を含むコンポーネントコレクション内で他のコンポーネントに及び/又は他のコンポーネントと通信してもよい。ウェブブラウザは、情報サーバ、OS、統合プログラムコンポーネント(例えば、プラグイン)等と通信する。ウェブブラウザは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを、含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。ウェブブラウザと情報サーバに代えて、組み合わせアプリケーションを開発し、これら双方と同様の動作を実施することもできる。組み合わせアプリケーションは、同様に、TLL実装ノードからユーザやユーザエージェントに対して情報取得又は提供を実施する。組み合わせアプリケーションは、標準ウェブブラウザを採用したシステムにとっては、無用である。
<メールサーバ>
メールサーバコンポーネント921は、CPU903が実行するプログラムコンポーネントである。メールサーバは、以下のようなインターネットメールサーバであるが、これらに限らない:Apple Mail Server(3)、dovect、sendmail、Microsoft Exchange等。メールサーバにより、以下のような機能を介してプログラムコンポーネントを実行することができる:ASP、ActiveX、(ANSI)(Objective−)C(++)、C#、及び/又は.NET、CGIスクリプト、Java、JavaScript、PERL、PHP、パイプ、Python、WebObjects等。メールサーバは、以下のような通信プロトコルをサポートするが、これらに限らない:Internet message access protocol(IMAP)、Messaging Application Programming Interface(MAPI)/Microsoft Exchange、post office protocol(POP3)、simple mail transfer protocol(SMTP)等。メールサーバは、TLLに対して送信され、リレーされ、及び/又は通過する発着メールメッセージをルーティングし、転送し、処理する。
TLLメールへのアクセスは、個々のウェブサーバコンポーネント及び/又はOSが提供するAPIを通じて実現できる。
メールサーバは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを、含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。
<メールクライアント>
メールクライアントコンポーネント922は、CPU903が実行するプログラムコンポーネントである。メールクライアントは、以下のようなメールを見るアプリケーションである:Apple(Mobile)Mail、Microsoft Entourage、Microsoft Outlook、Microsoft Outlook Express、Mozilla、Thunderbird等。メールクライアントは、以下のような通信プロトコルをサポートする:IMAP、Microsoft Exchange、POP3、SMTP等。メールクライアントは、コンポーネントコレクションの他のコンポーネントと通信することができる。メールクライアントは、メールサーバ、OS、他のメールクライアント等と通信する。メールクライアントは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを、含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。一般にメールクライアントは、電子メールメッセージを編集し送信する機能を提供する。
<暗号サーバ>
暗号サーバコンポーネント920は、CPU903、暗号プロセッサ926、暗号プロセッサインタフェース926、暗号プロセッサデバイス928等が実行するプログラムコンポーネントである。暗号プロセッサインタフェースにより、暗号コンポーネントは、暗号及び/又は復号要求を実行する。但し、暗号コンポーネントは、これに代えて、CPU上で動作することもできる。暗号コンポーネントにより、提供されたデータを暗号化し及び/又は復号化することができる。暗号コンポーネントにより、対称/非対称(例えば、Pretty Good Protection(PGP))暗号及び/又は復号を実施することができる。暗号コンポーネントは、以下のような暗号技術を採用できるが、これらに限らない:デジタル証明書(例えば、X.509認証フレームワーク)、デジタル署名、デュアル署名、enveloping署名、パスワードアクセス保護、公開鍵管理等。暗号コンポーネントにより、以下のようなセキュリティプロトコル(暗号化及び/又は復号化)を実施することができるが、これらに限らない:checksum、Data Encryption Standard(DES)、Elliptical Curve Encryption(ECC)、International Data Encryption Algorithm(IDEA)、Message Digest 5(MD5、1方向ハッシュ)、パスワード、Rivest Cipher(RC5)、Rijndael、RSA(1966年にRon Rivest、Adi Shamir、Leonard Adlemanが開発したアルゴリズムを用いるインターネット暗号及び認証システム)、Secure Hash Algorithm(SHA)、Secure Socket Layer(SSL)、Secure Hypertext Transfer Protocol(HTTPS)等。これら暗号セキュリティプロトコルを用いて、TLLは、全ての発着通信を暗号化し、より広い通信ネットワークを有する仮想プライベートネットワーク(VPN)内のノードとして動作する。暗号コンポーネントは、「セキュリティ認証」プロセスを実施し、ソースに対するアクセスは、セキュリティプロトコルによって禁止される。暗号コンポーネントは、セキュアリソースに対するアクセス認証を実施する。また暗号コンポーネントは、コンテンツの一意的IDを提供する。例えば、MD5ハッシュを採用してデジタルオーディオファーイルの一意的IDを取得する。暗号コンポーネントは、コンポーネントコレクションの他のコンポーネントと通信することができる。暗号コンポーネントは、通信ネットワーク上で情報を安全に送信する暗号方式をサポートし、TLLコンポーネントは、これによりセキュア通信を実施できる。暗号コンポーネントは、TLL上のリソースに対するセキュアアクセスを実現し、リモートシステム上のリソースに対するセキュアアクセスを実現する。すなわち、セキュアリソースのクライアント及び/又はサーバとして動作する。暗号コンポーネントは、情報サーバ、OS,他のプログラムコンポーネント等と通信する。暗号コンポーネントは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを、含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。
<TLLデータベース>
TLLデータベースコンポーネント919は、データベースとそのデータ内に実装することができる。データベースは、プログラムコンポーネントであり、CPUが実行する。プログラムコンポーネントは、格納されているデータをCPUに処理させる。データベースは、任意個数のフォールトトレラント、関係、スケーラブル、セキュアデータベースであり、例えば、DB2、MySQL、Oracle、Sybase等である。リレーショナルデータベースは、フラットファイルの拡張である。リレーショナルデータベースは、関係テーブルによって構成される。テーブルは、キーフィールドによって相互接続される。キーフィールドを用いて、キーフィールドに対してインデックスすることにより、テーブルを組み合わせることができる。キーフィールドは、複数のテーブルからの情報を組み合わせる次元ピボットポイントとして動作する。関係は、一般に、プライマリキーをマッチングすることにより、テーブル間で維持されたリンクを識別する。プライマリキーは、リレーショナルデータベース内のテーブルの行を一意に識別するフィールドを表す。より正確には、プライマリキーは、一対多関係における「一方の」テーブルの行を一意に識別する。
これに代えて、TLLデータベースは、様々な標準データ構造を用いて実装することができる。例えば、アレイ、ハッシュ(リンク)リスト、構造、構造化テキストファイル(例えば、XML)、テーブル等である。このデータ構造は、メモリ及び/又は(構造化)ファイルに格納することができる。他の実施例において、オブジェクト指向データベースを用いることもできる。例えば、Frontier、ObjectStore、Poet、Zope等である。オブジェクトデータベースは、共通属性によりグループ化され及び/又はリンクされたオブジェクトコレクションを含む。オブジェクトコレクションは、共通属性により他のオブジェクトコレクションに関連付けることができる。オブジェクト指向データベースは、リレーショナルデータベースと同様に動作する。但し、オブジェクトは、単なるデータではなくそのオブジェクトにカプセル化された機能タイプを有する点を除く。TLLデータベースがデータ構造として実装されている場合、TLLデータベース919をTLLコンポーネント935等の他のコンポーネントと統合して用いることができる。またデータベースは、データ構造、オブジェクト、関係構造の組み合わせとして実装することができる。データベースは、標準データ処理技術を通じて様々なバリエーションで統合し及び/又は分散させることができる。データベースの一部(例えば、テーブル)は、エクスポート及び/又はインポートすることができ、したがって、分割及び/又は統合することができる。
一実施形態において、データベースコンポーネント919は、複数のテーブル919a〜kを含む。ユーザテーブル919aは、以下のようなフィールドを含むが、これらに限らない:user_id、user_device_id、username、password、dob、first_name、last_name、age、state、address_firstline、address_secondline、zipcode、devices_list、contact_info、contact_type、alt_contact_info、alt_contact_type等。ユーザテーブルは、TLL上の複数要素のアカウントをサポート及び/又はトラッキングする。データソーステーブル919bは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:source_ID、source_name、source_server_ID、device_domain、source_url、source_security_protocol、source_ftp、device_securekey等。POPテーブル919cは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:pop_id、pop_address、pop_server_ip、pop_exchange、pop_transmittion_time、pop_history等。インデックステーブル919dは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:index_id、index_name、index_attribute、index_value、index_rate、index_volume、index_timestamp、index_source等。属性テーブル919eは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:geo−location、industry、size、daily_volume、strategy_type、max_size、min_size、trade_order_id等。ビッドテーブル919fは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:bid_id、bid_time、bid_attribute、bid_ad_type、bid_ad_name、bid_ad_description、bid_rate、bid_result等。注文テーブル919gは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:order_id、order_name、order_participant、order_user_id、order_volume、order_bid_id、order_status、order_pop_id、order_latency、order_routing等。金融商品テーブル919hは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:instrument_id、instrument_type、instrument_Reg、instrument_structure、instrument_asset_id、instrument_index、instrument_index_value、instrument_exchange_id等。分析テーブル919iは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:Analytics_id、analytics_time、analystics_ad_id、analytics_source_id、analytics_plot、analytics_prejection、analytics_map、analytics UI_template、analytics_buy_point等。ニューステーブル919jは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:news_id、news_time、news_date、news_title、news_source、news_geo、news_zipcode、news_type、news_industry、news_target_audience、news_impact_audience、news_description、news_tag等。市場データテーブル919kは、以下のようなフィールドを含むが、これに限らない:market_data_feed_ID、asset_ID、asset_symbol、asset_name、spot_price、bid_price、ask_price等。一実施形態において、市場データテーブルは、市場データフィードによって埋めることができる(例えば、Bloomberg PhatPipe、Dun & Bradstreet、Reuter Tib、Triarch等)。これは、例えば、Microsoft Active Template Library and Dealing Object Technology リアルタイムツールキットRtt.Multiを通じて実施できる。
一実施形態において、TLLデータベースは、他のデータベースシステムと通信する。例えば、TLLコンポーネントが分散データベース、クエリ、データアクセスを採用すると、TLLデータベースの組み合わせを単一データベースの統合データセキュリティレイヤとして取り扱うことができる。
一実施形態において、ユーザプログラムは、様々なユーザインタフェースを含むことができる。これらは、TLLを更新することができる。またアカウントは、環境やTLLがサービスを提供する必要があるクライアントタイプに応じて、カスタムデータベーステーブルを必要とする場合がある。一意フィールドは、キーフィールドとして指定することができる。代替実施形態において、これらテーブルは、自身のデータベース及びデータベースコントローラ(すなわち各テーブルのデータベースコントローラ)に分離することができる。標準データ処理技術を用いて、何れかを更に複数のコンピュータシステム及び/又はストレージデバイスに分散することができる。同様に分散データベースコントローラの構成は、データベースコンポーネント919a〜kを統合し及び/又は分散させることにより、変更することができる。TLLは、データベースコントローラを介して、様々な設定、入力、パラメータをトラッキングするように構成することができる。
TLLデータベースは、コンポーネントコレクションの他のコンポーネントと通信することができる。TLLデータベースは、TLLコンポーネント、他のプログラムコンポーネント等と通信することができる。データベースは、他のノード及びデータに関する情報を含み、保持し、提供することができる。
<TLL>
TLLコンポーネント935は、CPUが実行するプログラムコンポーネントである。一実施形態において、TLLコンポーネントは、先の図面で説明したTLL機能の任意及び/又は全組み合わせを備えることができる。TLLは、通信ネットワークを介して、情報、サービス、トランザクションにアクセスし、取得し、提供することができる。TLLの機能及び実施形態は、データ送信要求を減少させてより効率的なデータ構造とメカニズムを用いて送信及び格納することにより、ネットワーク効率を向上させる。その結果、より多くのデータをより短い時間で送信することができ、トランザクションに関するレインテンシーが減少する。多くの場合、ストレージ、送信時間、帯域幅要件、レインテンシー等の減少は、TLLの機能をサポートするため必要な性能と構造インフラを減少させ、更に多くの場合、コスト、エネルギ消費/要件を減少させ、TLLの基盤インフラの寿命を延ばす。これは、TLLの信頼性を高める追加的利点である。同様に多くの機能及びメカニズムは、ユーザが使用しアクセスし易いように設計され、これによりTLLの機能セットを利用する対象者を広げることができる。この使いやすさにより、TLLの信頼性を高めることができる。また機能セットは、暗号コンポーネント920、926、928を通じて述べたように、向上したセキュリティを備えており、機能とデータに対するアクセスをより信頼性高くかつ安全にしている。
TLLコンポーネントは、TLLコンポーネントを介してビッド/取引要求(例えば、図2の203参照)を変換する。例えば、市場データコレクション942、POP割当943、POPルーティング944、注文約定945等を、取引レコード(例えば、図2の218参照)等に変換し、TLLの使用は、レインテンシーアービトラージ及び/又はオーダブックアービトラージを抑制する。
ノード間の情報アクセスを可能にするTLLコンポーネントは、標準開発ツール及び言語により開発することができる。例えば、以下を含むがこれらに限らない:Apacheコンポーネント、アセンブリ、ActiveX、バイナリ実行ファイル、(ANSI)(Objective−)C(++),C#、及び/又は.NET、データベースアダプタ、CGIスクリプト、Java,JavaScript、マッピングツール、手続型及びオブジェクト指向開発ツール、PERL,PHP,Python、シェルスクリプト、SQLコマンド、ウェブアプリケーションサーバ拡張、ウェブ開発環境及びライブラリ(例えば、Microsoft ActiveX、Adobe AIR、FLEX&FLASH;AJAX;(D)HTML;Dojo、Java;JavaScript;jQuery(UI);MooTools;Prototype;script.aculo.us;Simple Object Access Protocol(SOAP);Representational State Transfer(REST);SWFObject;Yahoo! User Interface;等)、WebObjects等。一実施形態において、TLLサーバは、暗号サーバを採用し、通信を暗号化及び復号化する。TLLコンポーネントは、コンポーネントコレクションの他のコンポーネント等と通信する。TLLコンポーネントは、多くの場合、TLLデータベース、OS、他のプログラムコンポーネント等と通信する。TLLは、プログラムコンポーネント、システム、ユーザ、及び/又はデータ通信、要求、及び/又はレスポンスを含み、通信し、生成し、取得し、及び/又は提供する。
<分散型TLL>
TLLノードコントローラコンポーネントの構造及び/又は動作は、任意の方法で組み合わせ、連結し、及び/又は分散させて、開発及び/又は配置を進めることができる。同様にコンポーネントコレクションは、任意の方法で組み合わせて、配置及び/又は開発を進めることができる。これを実現するため、コンポーネントを共通コードベースに統合し、又はオンデマンドでコンポーネントを動的に読みだして統合することができる。
コンポーネントコレクションは、標準データ処理及び/又は開発技術を介して、様々な態様で統合し及び/又は分散させることができる。プログラムコンポーネントコレクション内のプログラムコンポーネントの複数のインスタンスは、単一ノード上及び/又は複数ノードにまたがってインスタンス化し、ロードバランス及び/又はデータ処理技術を通じてパフォーマンスを向上させることができる。更に単一インスタンスを複数コントローラ及び/又はストレージデバイス、例えば、データベースに分散させることができる。全てのプログラムコンポーネントインスタンス及び連動するコントローラは、標準データ処理通信技術を介してこれを実施できる。
TLLコントローラの構成は、システム配置に依拠する。予算、性能、位置、及び/又はハードウェアリソース等の要因は、配置要件と構成に影響する。構成がより統合され及び/又は統合プログラムコンポーネントになるか否かによらず、より分散したプログラムコンポーネントになるか否かによらず、及び/又は統合コンポーネントと分散コンポーネントの組み合わせになるか否かによらず、データを通信し、取得し、及び/又は提供することができる。プログラムコンポーネントコレクションから共通コードベースへ統合したコンポーネントのインスタンスは、データを通信し、取得し、及び/又は提供することができる。これは、アプリケーション内データ処理通信技術を通じて実現できる。例えば、以下のようなものであるが、これに限らない:データ参照(例えば、ポインタ)、内部メッセージング、オブジェクトインスタンス変数通信、共有メモリ空間、変数引き渡し等。
コンポーネントコレクションコンポーネントが離散し、分割され、及び/又は互いに外部コンポーネントである場合、他のコンポーネントに対するデータ通信、取得、及び/又は提供は、アプリケーション間データ処理通信技術を介して実現できる。例えば、以下を含むがこれに限らない:Application Program Interface(API)情報引き渡し;(Distributed)Component Object Model((D)COM)、(Distributed)Object Linking and Embedding((D)OLE)等)、Common Object Request Broker Architecture(CORBA)、Jini local and remote application program interface、JavaScript Object Notation(JSON)、Remote Method Invocation(RMI)、SOAP、プロセスパイプ、共有ファイル等。アプリケーション間通信又は単一コンポーネントのメモリ空間内でアプリケーション間通信として分離コンポーネント間で送信されたメッセージは、文法を生成しパースすることにより実施される。文法は、yacc、XML等の開発ツールを用いて開発できる。これにより、文法生成とパース機能を実現し、コンポーネント間の通信メッセージの基盤を形成することができる。
例えば、文法は、以下のようなHTTP postコマンドのトークンを認識するように、構成することができる:
w3c −post http://...Value1
Value1は、パラメータとして認識される。「http://」は、文法シンタックスの一部であり、その後は、post値とみなすことができるからである。同様にこの文法において、変数「Value1」は、「http://」postコマンドに挿入して送信することができる。文法シンタックスそのものは、構造化データとして提示することができる。この構造化データを解釈及び/又は用いて、パースメカニズムを生成することができる(例えば、lex、yacc等が処理するシンタックス記述テキストファイル)。パースメカニズムを生成及び/又はインスタンス化すると、パースメカニズムは、構造化データを処理し、及び/又はパースする。構造化データは、例えば、以下のようなものであり、これらに限らない:文字(例えば、タブ)区切りテキスト、HTML、構造化テキストストリーム、XML等。別実施形態において、アプリケーション間処理プロトコル自身が、統合された及び/又は容易に利用できるパーサ(例えば、JSON,SOAP等のパーサ)を備え、これらを用いてデータをパース(例えば、通信)できる。更にパース文法は、メッセージパースに用いてもよく、データベース、データコレクション、データストア、構造化データ等のパースに用いてもよい。所望する構成は、コンテキスト、環境、システム配置要件に依拠する。
例えば、幾つかの実施例では、TLLコントローラは、PHPスクリプトを実行する。PHPスクリプトは、情報サーバを通じてSecure Socket Layer(SSL)ソケットサーバを実装する。情報サーバは、クライアントがデータを送信するサーバポート上で到着する通信を待ち受ける。フォーマットは、例えば、JSON形式である。到着した通信を識別すると、PHPスクリプトは、クライアントデバイスから到着メッセージを読み取り、JSONエンコードされたテキストデータをパースし、JSONエンコードされたテキストデータから情報を抽出してPHPスクリプト変数に格納し、そのデータ(例えば、クライアント識別情報等)を保存、及び/又は抽出された情報は、リレーショナルデータベースに格納されStructured Query Language(SQL)を用いてアクセスできる。PHP/SQLコマンドの形式で記述され、JSONエンコード入力データをクライアントデバイスからSSL経由で受け取り、そのデータを抽出して変数に格納し、データベースに格納するプログラムリストを、以下に示す。
Figure 0006682514
以下のリソースを用いて、SOAPパーサに関する実施形態を提供することができる: http://www.xav.com/perl/site/lib/SOAP/Parser.html http://publiclib.boulder.ibm.com/infocenter/tivihelp/v2r1/index.jsp?topic=/com.ibm.IBMDI.doc/referenceguide295.htm 他のパーサ実施例は、以下である: http://publiclib.boulder.ibm.com/infocenter/tivihelp/v2r1/index.jsp?topic=/com.ibm.IBMDI.doc/referenceguide259.htm。 これら全ては、参照により本願に組み込まれる。
<ファシリテーションクロスオーダ>
一部の投資家、特に大規模な機関投資家又は資産家は、比較的短期間に多数の証券を買い又は売る必要があることがある。しかしながら、市場では、このような大規模な取引を直ちに充足させるために十分な反対側注文が存在しない場合がある。このような大規模な取引が市場に直接的に送信された場合、少なくとも短期的な価格の動きが取引投資家にとって不利になることがある。例えば、大規模な売り注文は、売り価格を引き下げ、大規模な買い注文は、価格を押し上げる。
このため、資本市場業界において、ブローカは、顧客投資家へのサービスとして、ブローカの顧客投資家から証券を買い又は顧客投資家に証券を売ることがある。証券を急いで売買する必要がある典型的な状況では、顧客投資家は、取引を速やかに完了する代償として、割増金(マークアップ)を支払い又は割引価格(ディスカウント)で売ることに同意する。ブローカは、通常、自らの在庫から顧客投資家に証券を売り(又はショートポジションを引き受け)、或いは顧客から証券を買い、ロングポジションとして自己の在庫に追加する。ブローカが新しいショート/ロング証券ポジションを取っている場合、ポジションがクローズされるまで、ブローカは、市場リスクに晒される。
このようなリスクを軽減するために、新しいポジションを取るブローカ内の取引オペレーション(「リスクデスク」とも呼ばれる)は、可能な限り速やかにポジションをヘッジし及び/又は解消することによって、損失の可能性を最小限に抑え及び/又は証券を売買するために顧客が支払ったマークアップ/ディスカウントによって得られた利益を保存しようとする。しかしながら、従来の手法では、ブローカは、(a)まず、顧客と取引し、(b)可能な限り新しいポジションをクローズするために取引機会を求めて公開市場を回り、(c)残りのポジションについては、市場におけるプリンシパル取引(principal trade:相対取引)をプリントする。このような複数ステップのプロセスは、時間がかかり、市場がブローカにとって不利な方向に急速に動いた場合、ブローカに遅れが生じる可能性がある
例えば、顧客投資家がMSFT(Microsoft Corp.)の購入を望んだとする。MSFTの現在の売値は、$34.10の相場が付いているとする。ブローカは、MSFTの100,000株を$34.15、すなわち5セントのマークアップで直ちに売ることに同意する。ブローカは、MSFTの株式を保有していないので、100,000株を売る必要がある。ブローカは、ショート100,000MSFT@$34.15を顧客投資家に売る取引を約定させたため、後に市場で100,000株のMSFTを買うことによってショートポジションをカバーする必要がある。価格が$34.10の現在の売値が上昇した場合、ブローカの5セントのサービス手数料(マークアップ)が損なわれ、ブローカの利益は、減少する。最悪の場合、価格が$34.15を超えると、ブローカは、顧客投資家に売った価格よりも高い価格で株式を買うことになり、ブローカは、損失を被る可能性がある。典型的には、顧客投資家は、取引が大規模であり、市場リスクがより大きくなるため、ブローカのリスクサービスを利用し、マークアップ/マークダウンを支払う。ブローカは、損失を回避し利益を確保するために十分な余地を有するマークアップ/マークダウンの価格を設定する必要がある。
本発明の実施形態によれば、ファシリテーションクロスオーダ(Facilitation Cross Order:FCO)タイプは、リスクトレーダが顧客投資家の取引要求を実現する一方で、同時に、市場のオーダブックにおける利用可能な相殺流動性(offsetting liquidity)、及び潜在的に遠隔市場の相殺流動性に対して約定を行うことにより、リスクトレーダ自身のリスクを同時に減少させることを可能にする。リスクトレーダは、顧客投資家との取引条件を交渉し、単一のステップで、FCOを使用することによって、上述した3ステップのプロセスを完了することができる上に、リスクトレーダのリスクを低めることができる。すなわち、リスクトレーダは、顧客投資家から受信した売買注文指示に基づいて、売買クロス(buy/sell cross)を入力する。例えば、顧客投資家が株式を買う/売ることを望む場合、ブローカは、全ての取引パラメータと共に売買FCO(buy/sell FCO)を市場に入力する。FCOが入力されると、市場は、まず、売買FCOを使用して市場のオーダブック(及び/又は他の市場のオーダブック)をテストし、顧客投資家の指値まで高め/低めて、オーダブック内の適格な株式に対して自動的に注文を約定させる。エージェントベースで(すなわち、顧客投資家に代わって取引を行い)市場で入手可能な全ての株式を完全に枯渇させると、FCOは、未約定株式の残高のプリンシパル取引を直ちに自動的にプリントする。FCOは、オプションとして、残存する株式を他の市場に引き渡して、これらの市場のオーダブック上の相殺可能な株式との約定を試みてもよい。
図11A〜図11Cは、本発明の一実施形態に基づくファシリテーションクロスオーダの例を示す。
ブローカの顧客投資家が100,000株のMSFTの購入を望む上述のシナリオと同じシナリオを使用する。MSFTの現在の売値は、公開市場で$34.14の相場が付いているとする。ブローカは、MSFTの100,000株を$34.15、すなわち5セントのマークアップで直ちに売ることに同意する。図11Aに示すように、ステップ1101では、Firm ABC(すなわち、顧客投資家)の注文が、取引日等の一定期間にわたって取引の記録及び取引の詳細を追跡し管理するブローカの注文控え帳(order blotter)に到着する。これは、MSFTの100,000株を$34.15で直ちに買う買い側の注文である。
ブローカは、MSFTの株式を在庫として保有していないので、潜在的に100,000株を売る必要がある。図11Bに示すように、ステップ1102において、ブローカは、取引端末上の買いFCOのパラメータを記入する。取引端末は、上述のTLL/POPインフラ及び市場取引所の電子取引システムに接続してもよい。特に、電子取引システムは、ファシリテーションクロスオーダタイプのための一連の動作を行うように構成又はプログラムしてもよい。ここでは、図11Bは、FCOの注文パラメータを入力するための例示的なユーザインタフェース(UI)の一部を示す。例えば、図11Bの左から右へ、ブローカが第1のメニューをクリックして所望の動作として「約定」(すなわち取引約定)を選択すると、第2のメニューが表示され、ブローカが注文をクロスすることを示す「ブローカ約定」を選択することができる。次に、「ファシリテーションクロス」ウィンドウがポップアウト又はその他の手法で表示される。このウィンドウには、関連する注文パラメータが入力される幾つかのデータフィールド、例えば、(a)買いFCO又は売りFCOのどちらを希望するか、(b)取引の数量、(c)取引される証券シンボル、(d)指値、(e)クロスタイプ、及び(f)ブローカが取引注文を約定するキャパシティ等が含まれる。ここでは、ブローカは、X−タイプフィールドで「IEX」を選択し、キャパシティフィールドで「Principal(プリンシパル取引)」を選択する。これらは、単なる例示的な注文パラメータであることは、当業者にとって明らかである。必要な全てのパラメータを入力すると(又はデフォルト値を選択すると)、ブローカは、「クロス」ボタンをクリックしてFCO注文設定を完了する。
次に、ステップ1103(図11C)において、IEXグループが提供する取引プラットフォーム等の市場に買いFCO注文が提出される。図11Cは、例示的なMSFTの仮想IEXオーダブックの一部も示している。ここでは、市場は、自らのオーダブックにおいて、1株あたり$34.14で、25,000株の売りを有している。買いFCOに応じて、市場は、直ちに、そのオーダブック上の「エージェント」キャパシティ内の株に対して、1株あたり$34.14で、MSFTの25,000株の買いを約定し、1株あたり$34.15で、MSFTの50,000株のショートを売る「プリンシパル」取引を即座にプリントする。これにより、ブローカは、$34.15における75,000株のプリンシパル取引と共に、エージェント取引を通じて投資家により有利な価格($34.14対$34.15)を提供でき、現時点で、100,000株ではなく、75,000株のみのショートポジションをカバーすればよく、市場リスクに晒される危険性が低下している。
<半公開市場>
買い手及び売り手が取引される資産に対する買い及び提供を行う既存の市場は、通常、2つの基本的な構造を有する。「公開(lit)」市場では、利用可能なビッド及びオファーは、コンピュータネットワークを介して自動的に相場及び取引情報を配信するウェブページ及び取引ソフトウェアユーザインタフェース等のチャネルを介して、全ての参加者に開示される。市場の他の形態は、買い情報又は提供情報が公開されていない「非公開(dark)」市場である。「非公開」市場では、有効な反対側注文に対してこの参加者の注文が約定されるまでは、参加者は、潜在的な反対側当事者の利用可能な注文(例えば、価格及びサイズ)に関する情報を受け取らない。金融市場では、これらの非公開市場は、「ダークプール」と呼ばれ、一部は、公開株、オプション、先物取引所等の伝統的な公開市場に匹敵する取引の主要な中心になっている。
但し、何れのモデルも欠点を有する。公開市場では、参加者の注文の表示は、市場への需要/供給に関する情報を提供し、反対側当事者がこれに反応して価格を変更すること(「情報漏洩」とも呼ばれる)を行う可能性があり、最初の参加者が取引できる価格が不利になる場合がある。例えば、投資家がXYZ株を$10.00で100,000株を買う注文を入力すると、現在$10.01で10,000株をオファーしている売り手は、10,000株の供給より遙かに大きい100,000株の需要を有する大規模な買い手が存在することを知る。この結果、売り手は、買い手が自らの要求を満たすために更に支払う意思を有することを見越して、提示価格を$10.05に引き上げることができる。一方、非公開市場では、投資家の100,000株の買いは、売り手には知られず、同様に、売り手の売り注文も買い手には知られない。この結果、非公開市場の参加者は、反対側の関心の程度を判断することが難しく、このため、情報漏洩が低減し、潜在的な反対側当事者の売り/買いの関心に関する知識ではなく、買い手/売り手自身の「公正な価値評価」における売買の意思に応じた注文の価格設定が促される。
ここに開示する本発明の実施形態は、市場における各参加者の現在の有効な注文に基づいて、オーダブックデータが参加者に選択的に配信される「半公開(semi-lit)」市場を構築するためのモデルを提案する。
図12は、本発明の一実施形態に基づく半公開市場を実現するための例示的な方法を示すフローチャートである。
ステップ1202において、確定注文のみを許可する電子取引の半公開市場を設定することができる。市場は、参加者がネットワークを介して接続されている電子取引システムとして実現することができ、ここには、取引されるアイテムのセットがある。これらのアイテムは、金融商品(証券、商品、デリバティブ等)又は電子的に取引可能な他のアイテム(スポーツ及び/又はエンターテインメントイベントのチケット及び/又はオンラインゲームの仮想アイテム等)であってもよい。市場における特定の商品の各注文は、単位あたり所与の価格(「注文価格」)で複数単位(「オーダサイズ」)のアイテムを買うためのビッド又は売るためのオファーである。
全ての注文は、注文の入力によって、注文がキャンセルされるか期限切れになるまで、注文価格で注文サイズを取引することが約束される確定注文であることが好ましい。取引は、価格及びサイズに基づいて2つの注文がマッチングした場合、すなわち、「関心の表示(indications of interest)」、「オープン注文(discretionary orders)」、「交渉可能な注文(negotiable orders)」、「不確定相場(non-firm quotations)」又はこの他の不確定注文が市場にない場合、直ちに約定され、注文をキャンセル又は期限切れにできる唯一の場合は、注文サイズ及び注文価格が一致する反対側注文とマッチングされる以前のみである。
ステップ1204において、各アイテムについて、市場は、注文がこの参加者に反対側注文に関する特定の情報にアクセスする資格を与えることができる「閾値価格」を設定することができる。
本発明の好ましい実施形態では、閾値価格は、1又は複数の公開市場(これは、注文が提出されている現在の半公開市場を含んでもよく、含まなくてもよい)から受信した相場に基づいて決定される。例えば、各アイテムについて、閾値価格は、何れかの公開市場(又は公開市場の集合体)で表示されたこのアイテムの最高価格の買い注文と、何れかの公開市場(又は公開市場の集合体)で表示されたこのアイテムの最低価格の売り注文との平均としてもよい。この実施形態は、基準価格を必要とするので、アイテムの閾値価格の算出については、公開市場の使用が好ましい場合がある。
本発明の他の実施形態によれば、公開市場が存在しない場合、又は半公開市場が有益な結果を得るための他の方法を発見した場合、他の方法によって閾値価格を設定してもよい。例えば、市場で約定された取引の最後に報告された取引価格を参照して、閾値価格を設定してもよい。
本発明の更なる実施例によれば、取引当事者のための閾値価格は、当事者の有効注文のサイズの関数としてもよい。例えば、当事者の注文の規模が大きいほど、当事者が取引情報をフィッシングしたり、不公正取引戦略を取ったりする可能性が低くなる。したがって、当事者のための閾値価格要件をより緩和してもよい。逆に、注文が小規模である市場参加者については、閾値価格要件をより厳しくしてもよい
次に、ステップ1206において、半公開市場において参加者から新規注文が受注された場合、又は基準価格の変化に応じて閾値価格が変化した場合、注文が有効であるか否か、及び有効であれば注文価格が閾値価格要求を満たすか否かを判定してもよい。すなわち、注文価格は、対応する閾値価格と比較される。
注文価格が閾値価格よりも「劣っている」(又は積極的でない)場合、すなわち、買いの有効注文については、この価格が閾値価格よりも低い場合、又は売りの有効注文については、この価格が基準価格よりも高い場合、注文価格は、閾値価格要求を満たさない。この場合、ステップ1208において、この注文を提出した参加者は、反対側注文のデータを受け取るためのアクセスが拒否される。
一方、注文価格が閾値価格よりも「優れている」(又は積極的である)場合、すなわち、買いの有効注文については、この価格が閾値価格よりも高い場合、又は売りの有効注文については、この価格が基準価格よりも低い場合、注文価格は、閾値価格要求を満たす。この場合、ステップ1210において、注文を行った参加者には、半公開市場において、反対側注文に関するデータを受け取る資格が与えられる。換言すれば、以前は、公開されていなかった注文が参加者に公開されることになる。資格が与えられた参加者は、自らの注文の反対側の注文であってサイズがこの参加者の注文サイズ以下である全ての注文の価格とサイズを受け取る(すなわち、買い注文を行った参加者は、売り注文に関するデータを受け取り、売り注文を行った参加者は買い注文に関するデータを受け取る)。受注データの更新は、注文の約定又はキャンセル、若しくは閾値価格の変化により、参加者の注文が適格ではなくなるまで、継続的に参加者に配信される。
このようにして、参加者が表明し、約束した取引の意思に基づいて、又はこれらの意思に比例して、参加者に情報が提供される。注文サイズが大きくなり、注文価格がより積極的になるほど、参加者に提供される情報及び取引への露出が増え、したがって、反対側注文に関する詳細な情報へのアクセスによって報われる。反対側の取引意思に関する情報を得るために、情報を提示し、取引の意思を表明させるこの要求は、情報の非対称性及び需給不均衡の知識に基づく取引行為を低減させる。
本発明の幾つかの実施形態によれば、買い注文及び売り注文の両方に同じ閾値価格を設定することに代えて、買い注文及び売り注文に対してそれぞれ異なる閾値価格を設定することができる。
図13は、本発明の一実施形態に基づく半公開市場における情報の選択的配信を説明するための例示的なオーダブックを示している。このオーダブックは、バンクオブアメリカ(Bank of America)の普通株式(ティッカシンボル:BAC)の仮想取引のためのものである。既に存在しているNBBは、$14.98であり、NBOは、$15.02であるため、ミッドポイントは、$15.00であり、これを閾値価格として使用することができる。
トレーダAが$15.00で1,000株の売り注文を提出すると、この注文は、($15.00の閾値価格と同じであるため)$15.00でオーダブックに記載され、トレーダAには、1,000株以下の全ての買い注文を見る権利が与えられる(ここでは、$14.85における2,000株の買い注文を除く全ての買い注文、又はこれに代えて、$14.85の買い注文のうち1,000株のみが他の適格な買い注文と共にトレーダAに表示される)。
同様に、トレーダBが2,000株のBACについて$14.99で更に積極的な売り注文を提出した場合、この注文は、($15.00の閾値価格よりも積極的であるため)$14.99でオーダブックに記載され、トレーダBは、2,000株以下の全ての買い注文を見る資格を得る(ここでは、リストされた全ての買い注文が表示される)。
他の例として、トレーダCが$15.02で2,000株のBACについて買い注文を提出した場合、900株の買い注文が$15.02における800株の売り注文と約定する。残りの1,200株は、$15.02でオーダブックに記載される。そして、トレーダCは、1,200株(又はオプションとして2,000株)以下の全てのアスクを見る資格が与えられる。幾つかの実施形態によれば、1,200株(又は2,000株)以上の株式のアスク注文がある場合、トレーダCが最大1,200株(又は2,000株)までのアスク注文を見られるようにしてもよく、これに代えて、又はトレーダCが見ることができる注文は、トレーダCが1,200株(又は2,000株)より大きなサイズのアスクが存在することを推定できないように変更してもよい。
本発明の他の実施形態によれば、異なる売買注文に対して異なる閾値価格をそれぞれ設定することができる。例えば、ここでは、買い注文の第1の閾値価格を$14.99に設定し、売り注文の第2の閾値価格を$15.01に設定してもよい。この結果、$14.99以上の有効なビッド又は$15.01以下の有効なアスクを行っている取引参加者には、(注文サイズ制限の対象となる)反対側注文へのアクセス権が付与される。
様々な課題を解決し技術を進めるため、本願(カバーページ、タイトル、ヘッダ、技術分野、背景技術、概要、図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、要約、図面、添付書類等)は、特許請求する発明を実施する様々な形態を説明するためのものである。本発明の利点及び特徴は、実施形態の代表例のみを示しており、それ以外を排除するものではない。これらは、特許請求範囲の原理の理解を促し教示するためのみのものである。これらは、特許請求する発明の全てを表しているものではないことは明らかである。したがって、本発明の一部は、本明細書には、記載されていない。本発明の特定部分の代替実施形態は、記載していない場合もあり、その代替実施形態は、特許請求範囲から除外されたものと解釈すべきではない。それら実施形態は、本発明と同じ原理を備え等価なものである。したがって、その他の実施形態を利用でき、本発明の範囲及び/又は原理から逸脱することなく機能的、論理的、動作的、組織的、構造的、及び/又はトポロジー的変更が可能であることは明らかである。全ての実施例及び/又は実施形態は、本明細書全体を通じて非限定的なものである。
また、実施形態の説明の省略は、紙面を節約し繰返しを避けるため以外のものとみなすべきではない。例えば、図面等に記載したデータフローシーケンス、プログラムコンポーネント(コンポーネントコレクション)、他のコンポーネント、及び/又は機能セットの組み合わせの論理及び/又はトポロジー構造は、固定された動作順序及び/又は配置に限定されるものではなく、説明した順序は、例示的であり等価で順序に関係しないものも本開示に含まれると解釈すべきである。更に、これら特徴は、順次実行のみに限定されるものではなく、非同期、一斉、平行、同時、同期等で実行する任意個数のスレッド、プロセス、プロセッサ、サービス、サーバ等も本開示の範囲内であることは明らかである。これらのうちの幾つかの特徴は、単一実施形態において同時に存在できないという意味において、相互矛盾することもある。同様に、幾つかの特徴は、本発明の一側面に対して適用できるものもあり、他の側面に対して適用できないものもある。出願人は、それら特許請求していない発明の全権利を留保する。これは、その発明を特許請求し、別出願し、継続出願し、一部継続出願し、及び/又は分割出願する権利を含む。本発明の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、論理、動作、組織、構造、トポロジーに関する側面は、特許請求範囲が定義する本発明の限定、又は特許請求範囲の等価物に対する限定とみなすべきではないことは明らかである。TLLのニーズ及び/又は特徴に応じて、個人及び/又は企業ユーザ、データベース構成及び/又は関係モデル、データタイプ、データ通信及び/又はネットワークフレームワーク、シンタックス構造、すなわちTLLの実施形態は、柔軟にカスタマイズ実装できることは明らかである。例えば、TLLの側面は、データネットワーク帯域幅管理に合わせることができる。TLLの様々な実施形態は、電子取引プラットフォームに関するものであるが、本実施形態は、様々な他のオークションベースシステム、アプリケーション、及び/又は実装のために容易に構成及び/又はカスタマイズできることは明らかである。

Claims (15)

  1. 半公開市場環境における電子取引のためのコンピュータ実装した方法であって、
    電子取引システム内でオーダブックを維持するステップであって、前記電子取引システムは、(a)通信インタフェースを介してまたはクライアントゲートウェイを介して取引注文を受信して前記取引注文を実行するように構成されたマッチングエンジン、(b)前記オーダブックを記録するように構成された記憶媒体、(c)電子データを取引参加者との間で送受信するインタフェース、を備える、ステップ
    少なくとも1つのコンピュータプロセッサにより、前記オーダブックの電子情報を前記取引参加者に対して条件付きで配信することを規制するステップであって、
    取引参加者によって提出されたオーダの少なくとも1つの価格パラメータと、規定の閾値価格点との比較に基づいて、前記取引参加者が前記オーダブックの選択された部分にアクセスすることを許可するか否かを判定するステップ、
    取引参加者との間で電子データを送受信する前記インタフェース上で、前記判定に基づいて、前記取引参加者にオーダブックデータを選択的に開示し又は前記オーダブックデータを隠すことにより、前記電子取引システムにおいて新たな半公開市場を実装するステップ、
    により前記規制を実施するステップ、
    を有する方法。
  2. 前記方法はさらに、前記取引参加者によって提出された前記注文の前記価格が前記閾値価格点と同じか又はこれよりも積極的である場合、前記取引参加者が前記オーダブックの反対側部分にアクセスすることを可能にするステップを有し、
    前記オーダブックの反対側部分は、前記取引参加者によって提出された前記注文と同じ対象に関するものである、
    請求項1記載の方法。
  3. 前記取引参加者によって提出された前記注文のサイズ以下のサイズの反対側取引のみが前記取引参加者によるアクセスを可能にされる請求項2記載の方法。
  4. 前記閾値価格は、前記同じ対象について公表されたビッド価格及びアスク価格に基づいて予め決定される請求項3記載の方法。
  5. 前記閾値価格は、前記同じ対象について公表された最高ビッド価格と、最低アスク価格との平均である請求項4記載の方法。
  6. 前記閾値価格点は、買い注文のための第1の閾値価格と、売り注文のための第2の閾値価格とを含む請求項2記載の方法。
  7. 前記方法はさらに、
    前記取引参加者によって提出された前記注文が有効な確定注文であるか否かを判定するステップ、
    前記注文が有効な確定注文である場合にのみ、前記取引参加者が前記オーダブックの前記選択された部分にアクセスすることを可能にするステップ、
    を有する請求項1記載の方法。
  8. 半公開市場環境における電子取引のためのコンピュータ実装した装置であって、
    取引参加者から取引注文を受信し前記取引注文を実行するように構成されたマッチングエンジン、
    オーダブックを維持するように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサ
    前記オーダブックを記録するように構成された記憶媒体、
    前記取引参加者との間で電子データを送受信するように構成された通信インタフェース
    備え、
    前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記オーダブックの電子情報を前記取引参加者に対して条件付きで配信することを規制するステップであって、
    取引参加者によって提出されたオーダの少なくとも1つの価格パラメータと、規定の閾値価格点との比較に基づいて、前記取引参加者が前記オーダブックの選択された部分にアクセスすることを許可するか否かを判定するステップ
    取引参加者との間で電子データを送受信する前記インタフェース上で、前記判定に基づいて、前記取引参加者にオーダブックデータを選択的に開示し又は前記オーダブックデータを隠すことにより、電子取引システムにおいて新たな半公開市場を実装するステップ
    により前記規制を実施するように構成されている、
    装置。
  9. 前記装置はさらに、前記取引参加者によって提出された前記注文の前記価格が前記閾値価格点と同じか又はこれよりも積極的である場合、前記取引参加者が前記オーダブックの反対側部分にアクセスすることを可能にするように構成されており、
    前記オーダブックの反対側部分は、前記取引参加者によって提出された前記注文と同じ対象に関するものである、
    請求項8記載の装置。
  10. 前記取引参加者によって提出された前記注文のサイズ以下のサイズの反対側取引のみが前記取引参加者によるアクセスを可能にされる請求項9記載の装置。
  11. 前記閾値価格は、前記同じ対象について公表されたビッド価格及びアスク価格に基づいて予め決定される請求項10記載の装置。
  12. 前記閾値価格は、前記同じ対象について公表された最高ビッド価格と、最低アスク価格との平均である請求項11記載の装置。
  13. 前記閾値価格点は、買い注文のための第1の閾値価格と、売り注文のための第2の閾値価格とを含む請求項9記載の装置。
  14. 前記装置はさらに、
    前記取引参加者によって提出された前記注文が有効な確定注文であるか否かを判定し、
    前記注文が有効な確定注文である場合にのみ、前記取引参加者が前記オーダブックの前記選択された部分にアクセスすることを可能にする、
    ように構成されている請求項8記載の装置。
  15. 半公開市場環境における電子取引システムであって、
    通信インタフェースまたはクライアントゲートウェイを介して取引注文を受信し前記取引注文を実行するように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサを備えるマッチングエンジン、
    前記マッチングエンジンに接続された記憶媒体、
    前記マッチングエンジンと接続して取引参加者との間で電子データを送受信するように構成された通信インタフェース、
    を備え、
    前記電子取引システムは、オーダブックの電子情報を前記取引参加者に対して条件付きで配信することを規制するステップであって、
    前記電子取引システムの前記記憶媒体に前記オーダブックを維持するステップ、
    取引参加者によって提出されたオーダの少なくとも1つの価格パラメータと、規定の閾値価格点との比較に基づいて、前記取引参加者が前記オーダブックの選択された部分にアクセスすることを許可するか否かを判定するステップ、
    取引参加者との間で電子データを送受信する前記インタフェース上で、前記判定に基づいて、前記取引参加者にオーダブックデータを選択的に開示し又は前記オーダブックデータを隠すことにより、前記電子取引システムにおいて新たな半公開市場を実装するステップ、
    により前記規制を実施するようにプログラムされている、
    システム。
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