JP6681859B2 - 集積回路装置、蛍光表示管 - Google Patents
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Description
周知のようにVFDは、電子を放出するフィラメント(直熱形カソード)と、電子の移動を制御するアノード電極上に蛍光体が形成されたアノードとが密封容器内に配置される。フィラメントに電圧を印加し加熱させることで熱電子を放出させ、熱電子をアノード上の蛍光体に衝突させることでアノードが点灯される。アノードは、所定のパターンで配列されており、点灯対象とするアノードに対して選択的に駆動電圧(直流電圧)を印加することで、該アノードの蛍光体のみがフィラメントより放出された熱電子によって励起発光され、所要の情報表示が実現される。
なお、VFDにおいては、フィラメントから放出された熱電子を加速させるグリッドがフィラメントとアノードとの間に配置される場合がある。
このため、フィラメントごとに異なるタイミングで駆動電圧を印加するいわゆる分割駆動を行う場合がある(例えば下記特許文献2を参照)。これにより、駆動回路に流れる電流の値はフィラメント1本分に流すべき電流の値と一致させることが可能となり、駆動回路のサイズ大型化等の問題を解消することができる。
例えば、出力スイッチが10個、すなわち駆動チャンネルが10チャンネルあるとして、出力パットを1チャンネルにつき二つ設けた場合には、対応可能なフィラメントの本数は、チャンネルごとに片方のパットのみにフィラメントを接続した場合における10本から、チャンネルごとに双方のパットにフィラメントを接続した場合の20本までの任意の本数とすることができる。また、10チャンネルのうち任意のビットを不使用とすることも可能であり、その場合は、フィラメント本数が9本以下とされる場合にも対応可能となる。
接触抵抗にばらつきがある場合には、各フィラメントの駆動電流にばらつきが生じ、これに起因して輝度ムラが発生する虞がある。すなわち、該輝度ムラによる表示品質の低下を招く虞がある。
例えば、上記で例示したように駆動チャンネルが10、1チャンネルあたりの駆動電圧出力端子数が2である場合において、VFDが備えるフィラメントの本数が偶数本であれば、駆動チャンネルごとのフィラメント接続本数は1本又は2本で共通とできるが、奇数本の場合には、一つの駆動チャンネルのみ1本接続、他の駆動チャンネルが全て2本接続となることがある。例えば、フィラメント本数が11、13、15等の場合である。
駆動チャンネルごとの駆動電圧出力端子数をmとすると、フィラメント本数がmで割り切れない本数である場合には、このような駆動チャンネル間におけるフィラメント接続本数の差が生じ得る。
また、上記のように検出トランジスタに対し複数の出力トランジスタが並列接続された構成とすることで、各駆動チャンネルにおいては、駆動電圧出力端子の使用数によらず、制御部に検出入力される電流値が一定とされる。このため、駆動電圧出力端子の使用数が変化しても、フィラメントに流れる電流に差が生じないようにすることが可能とされる。
なお、説明は以下の順序で行う。
<1.第一実施形態>
[1-1.表示装置の構成]
[1-2.第一実施形態のフィラメント駆動]
[1-3.第一実施形態のまとめ]
<2.第二実施形態>
[2-1.第二実施形態の集積回路装置]
[2-2.第二実施形態のまとめ]
<3.第三実施形態>
[3-1.第三実施形態の集積回路装置及び蛍光表示管]
[3-2.第三実施形態のまとめ]
<4.変形例>
[1-1.表示装置の構成]
図1は、本発明に係る第一実施形態としての蛍光表示管1を備えた表示装置100の回路構成を示した図である。なお、以下の説明では蛍光表示管を「VFD」(Vacuum Fluorescent Display)と表記することもある。
コントローラ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、蛍光表示管1による表示動作を制御する。
蛍光表示管1は、表示管基板1aと表示管基板1aの表面を覆うカバー部材1bとで構成された密封容器1cを備え、密封容器1c内においてフィラメント(直熱形カソード)FiとアノードAnとグリッドGrとを有する表示部4が形成されている。ここで、密閉容器1c内は真空状態とされている。
なお、表示ブロックについて、図2Aに示すような7セグメント分のアノードAnの配列パターンはあくまで一例であり、表示ブロックを構成するアノードAnの配列パターンは該パターンに限定されるものではない。
蛍光表示管1において情報が表示される側の面(つまり上記透明部分におけるアノードAnとの対向面とは逆側の面)を「表面S1」と表記する。また、蛍光表示管1における表面S1とは逆側の面を「裏面S2」と表記する。
第一IC2は、図2に示した表示部4のアノードAnとグリッドGrの駆動を行う駆動回路が内蔵されている。
また、第二IC3は、フィラメントFiの駆動を行う駆動回路が内蔵されている。
フィラメント端子f1a〜fnaは、それぞれ第二IC3に設けられた駆動電圧出力端子Tf1〜Tfnのうち対応する一つと接続されている。フィラメント端子f1b〜fnbは、アノードが接地されたツェナーダイオードZDのカソードに対して接続されている。
第一IC2は、これらの指示信号に従ってアノードAn及びグリッドGrの駆動を行う。なお、アノードAnの発光輝度の調整は、例えばアノードAnに対する駆動信号のONデューティを変化させることで行われる。
本例において、第二IC3は、駆動電圧出力端子Tf1〜Tfnがフィラメント端子f1a〜fnaと個別に接続されて、各フィラメントFiを個別に駆動可能とされている。そして、第二IC3は、コントローラ101からの上記信号により指示されるフィラメントFiを駆動可能とされている。
全域表示モード時には、コントローラ101からは全てのフィラメントFiを駆動する指示が、また一部表示モード時には一部のフィラメントFiのみを駆動する指示が第二IC3に行われる。
一部表示モード時には、一部表示領域におけるアノードAnの点灯に必要な一部のフィラメントFiのみが駆動される。すなわち、該アノードAnの点灯に不要とされるフィラメントFiが無駄に駆動されることがなくなり、これにより消費電力の削減が図られる。なお、このようなフィラメントFiの一部駆動機能を実現するための回路構成については図示を省略している。
これにより、複数本のフィラメントFiに駆動電圧を一斉に印加する一斉駆動を行う場合に比べて、第二IC3内に流れる電流を小さくすることができる。例えば、1本のフィラメントFiに30mAの電流を流す必要があるとすれば、本例ではフィラメントFiを1本ずつ駆動し、同時に2本以上駆動することがないので、瞬間電流としてはフィラメントFiの1本分である30mAの電流で済む。一方、一斉駆動の場合は30mA×フィラメントFiの本数分の電流が流れることとなるため、フィラメントFiが例えば4本あれば120mAの電流が流れることになる。
一般にICに電流をより多く流すためにはIC内部の配線幅をより太くする必要があり、IC外形が大きくなり、ICのコストアップに繋がる。本例によれば、第二IC3内部に流れる電流量を少なくできるため、第二IC3内部の配線幅を縮小化でき、コスト削減を図ることができる。
また、第二IC3に流れる電流を小さくできることで、放射ノイズの低減を図ることができる。
入力電圧VINは、第二IC3に設けられた入力端子Tviに供給される。
図3は、第二IC3の内部回路構成について説明するための図である。なお、図3では第二IC3の内部回路構成のうち、主としてフィラメントFiの駆動に係る部分のみを抽出して示している。
図中では、各出力トランジスタQ1、各検出トランジスタQ2を区別するため、Q1、Q2の符号の末尾にハイフン(−)と1〜nの数値を付している。
検出トランジスタQ2−1、Q2−2、…、Q2−nは、それぞれ符号末尾の数値が一致する出力トランジスタQ1と並列接続されている。
出力トランジスタQ1−1、Q1−2、…、Q1−nのソースと、検出トランジスタQ2−1、Q2−2、…、Q2−nのソースとの各接続点は、入力端子Tviと接続されており、入力電圧VINが供給される。
以下では、出力トランジスタQ1−1、Q1−2、…、Q1−nが出力するそれぞれの駆動電圧Efについては、符号末尾の数値を一致させて駆動電圧Ef1、Ef2、…、Efnと表記する。
各制御信号Sgにより、対応する出力トランジスタQ1と検出トランジスタQ2の組が共通にON/OFF制御される。
ここで、上記した各出力トランジスタQ1と各検出トランジスタQ2の接続形態によると、出力トランジスタQ1がONされた場合には、対応する検出トランジスタQ2のソース−ドレイン間に、該ONされた出力トランジスタQ1のソース−ドレイン間に流れる電流の電流値に応じた電流値による電流が流れる。つまり、制御回路30は、各検出トランジスタQ2のソース−ドレイン間を流れる電流を入力することで、各フィラメントFiの駆動電流値を検出することができる。
本例の分割駆動では、制御信号Sg1、Sg2、…、Sgnの順でONパルスを順に発生させている。この際、各制御信号Sg間において、ON期間は重複させないようにしている。これにより、上述のように第二IC3内に流れる電流を小さくすることができる。
なお、本例では、各出力トランジスタQ1、及び各検出トランジスタQ2として上述のようにp型のMOSFETを採用していることから、各制御信号SgのON期間は実際にはLレベルの期間となる。すなわち、制御信号SgがLレベルのとき、対応する出力トランジスタQ1及び検出トランジスタQ2がONされるものである。図4は、各制御信号Sgの実際の波形イメージを表すものではなく、あくまで各制御信号SgのON期間とOFF期間の別を表したものである。
本例では、駆動電圧Efを出力する順番が駆動電圧出力端子Tf1、Tf2、…、Tfnの順(符号末尾の数値の昇順)とされているが、この場合の分割駆動では、駆動の順番が隣接している駆動電圧出力端子Tf間で単位駆動期間が重複しないようにされている。これにより、異なる駆動電圧出力端子Tfに接続されたフィラメントFi同士が同時駆動されないことが保証されている。
制御回路30は、検出トランジスタQ2−1、Q2−2、…、Q2−nを介して入力される電流(フィラメントFiの駆動電流値)に基づいて、出力トランジスタQ1−1、Q−2、…、Q1−nのONデューティを調整するフィードバック制御を行う。すなわち、PWM(Pulse Width Modulation)によるフィードバック制御を行う。
この際、各出力トランジスタについてのPWM制御は、図4に示したような単位駆動期間を最大ON期間として、制御信号SgのONデューティを調整する制御となる。
このため、本実施形態では、フィラメントFiの温度を一定とするべく、制御回路30を以下のように構成する。
なお、図5では、第二IC3が備える出力トランジスタQ1と検出トランジスタQ2の各組のうち出力トランジスタQ1−1と検出トランジスタQ2−1の組のみを抽出して示しており、また駆動電圧出力端子Tfについては出力トランジスタQ1−1と接続される駆動電圧出力端子Tf1のみを抽出して示している。
また、制御回路30は、図示のようにNANDゲート回路35を備えているが、図5に示すNANDゲート回路35は、後述する図7においては「NANDゲート回路35−1」に相当するものである。
IV変換回路31aは、検出トランジスタQ2−1を介して入力される電流、すなわち、フィラメントFiの駆動電流値に応じた電流値による電流について、電流−電圧変換を行う。
2乗アンプ31bは、IV変換回路31aにより電流−電圧変換された電流値の2乗値を得る。
2乗アンプ31bにより得られた2乗値は、VI変換回路31cによって電圧−電流変換され、判定回路31dに入力される。
コンデンサCcは、VI変換回路31cの電流出力端子とアースとの間に挿入され、リセットスイッチSWrは、該電流出力端子とアースとの間においてコンデンサCcと並列に接続されている。
コンパレータCmpは、反転入力端子がコンデンサCcとリセットスイッチSWrとの接続点に接続され、非反転入力端子が基準電圧Vrefに接続されている。
タイミング信号Tm1、Tm2、…、Tmnは、出力トランジスタQ1−1、Q1−2、…、Q1−nごとの単位駆動期間を表す信号として、制御回路30内部で生成される信号である。なお、タイミング信号Tm1、Tm2、…、Tmnを生成するための構成については後に改めて説明する。
上記のような制御により、フィラメントFiの駆動電流の「2乗値の時間積」を一定値とするフィードバック制御が実現される。
ジュールの法則より、駆動電力Pは、フィラメントFiの駆動電流値、駆動電圧値をそれぞれI、Vとすると、
P=I^2・θ
P=V^2/θ
と表される。但し、「^」はべき乗を意味する。
この点から理解されるように、フィラメントFiの駆動電力Pを一定とするには、駆動電流値I又は駆動電圧値Vの2乗値を一定とすればよいことが分かる。
このように フィードバック制御を各出力トランジスタQ1ごとに個別に行うのは、出力トランジスタQ1とフィラメントFiとの間に生じる接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラの発生防止を図るためである。
しかしながら、パルス幅制御部31を出力トランジスタQ1ごとに設けることは第二IC3の回路規模増大に繋がり、望ましくない。
そこで、本例では、出力トランジスタQ1ごとのフィードバック制御を、単一のパルス幅制御部31を用いて時分割で行うものとしている。
なお、図7では入力端子Tviの図示は省略している。
タイミング生成回路32は、発振回路33が出力する一定周期による周期信号に基づき、タイミング信号Tm1、Tm2、…、Tmn、及びリセット信号Srsを生成する。
前述のようにタイミング信号Tm1、Tm2、…、Tmnは、出力トランジスタQ1−1、Q1−2、…、Q1−nごとの単位駆動期間を表す信号である、
本例では、発振回路33が出力する周期信号は、例えば、図4に示したスキャン期間の開始タイミングごとにHレベルに立ち上がる信号とされる。タイミング生成回路32は、該周期信号によって表されるスキャン期間をn等分した各期間を表す信号をタイミング信号Tm1、Tm2、…、Tmnとして出力する。具体的に、該n等分した各期間のうち、1番目の期間でのみHレベルとなる信号をタイミングTm1として出力し、以降、2番目、…、n番目の期間でのみそれぞれHレベルとなる信号をタイミングTm2、…、Tmnとしてそれぞれ出力する。
具体的に、設定レジスタ34には、スキャン期間に対し単位駆動期間が占める割合(%)の値を設定可能とされている。例えば、n=10とする場合には、該割合の値として「10%」を示す値が設定される。
タイミング生成回路32は該割合の値に基づき、タイミング信号Tmの出力本数、及び各タイミング信号TmのHレベル期間を可変設定する。例えば、上記「10%」の設定であれば、タイミング信号Tmとして、それぞれHレベル期間をスキャン期間の10%とした10本のタイミング信号Tmを出力する。
これにより、単一のタイミング生成回路32によってフィラメントFiの本数がそれぞれ異なる場合に対応することができる。
NANDゲート回路35−1、35−2、…、35−nの各他方の入力は、パルス幅制御部31が出力するOFF指示信号Tcとされる。図示のようにNANDゲート回路35−1、35−2、…、35−nの出力が、それぞれ制御信号Sg1、Sg2、…、Sgnとされる。
図示のように、検出トランジスタQ2−1、Q2−2、…、Q2−nの各ドレインは、パルス幅制御部31におけるIV変換回路31aと接続されているため、IV変換回路31aには、順次ONされる検出トランジスタQ2−1、Q2−2、…、Q2−nを介して順に検出電流が入力される。
つまり、この点から理解されるように、図7に示す制御回路30の構成によれば、単一のパルス幅制御部31によって各出力トランジスタQ1ごとのフィードバック制御が時分割で行われるものである。
このようなリセット信号Srsは、フィードバック制御の対象とする出力トランジスタQ1が切り替わる際に、リセットスイッチSWrを順次ONとする信号であると換言できる。
従って、出力トランジスタQ1のONパルス幅を正確に制御でき、フィードバック制御の正確性向上を図ることができる。
これにより、フィラメントFiの目標温度を蛍光表示管1の仕様に応じて任意に変更することができる。
上記のように第一実施形態の集積回路装置(第二IC3)は、電子を放出するフィラメント(同Fi)を有した蛍光表示管(同1)におけるフィラメントを駆動する集積回路装置であって、フィラメントに対する駆動電圧の出力制御を行う出力スイッチ(出力トランジスタQ1)と、フィラメントに流れる駆動電流の電流値、又はフィラメントに印加される駆動電圧の電圧値を検出する検出部(検出トランジスタQ2等)と、検出部が検出した電流値又は電圧値に基づき、該電流値又は該電圧値の何れかの2乗値の時間積が一定値となるように出力スイッチのスイッチング動作を制御するフィードバック制御を行う制御部(制御回路30)と、を備えている。
従って、フィラメントの温度を一定に保つことができる。
フィラメントの温度が一定に保たれることで、フィラメントの寿命低下の抑制を図ることができる。
従って、該接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラの抑制を図ることができ、表示品質の向上を図ることができる。
すなわち、接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラの抑制を図るにあたっての回路構成を簡略化でき、部品点数削減によるコスト削減を図ることができる。
従って、フィードバック回路の構成を簡易化することができ、部品点数削減によるコスト削減を図ることができる。
従って、出力スイッチのONパルス幅を正確に制御でき、フィードバック制御の正確性向上を図ることができる。
[2-1.第二実施形態の集積回路装置]
続いて、本発明に係る第二実施形態について、図8乃至図10を参照して説明する。
第二実施形態は、駆動電圧Efの最大ON期間の拡大化に係るものである。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
このため、各出力トランジスタQ1の最大ON期間(各フィラメントFiの駆動電圧Efの最大ON期間)は、スキャン期間(図4参照)をn等分した期間よりも拡大することができない。
図8Aの場合、各出力トランジスタQ1の最大ON期間は、スキャン期間の10%(1/10)となり、図8Bの場合、各出力トランジスタQ1の最大ON期間はスキャン期間の20%(1/5)となる。
実効値=駆動電圧Efの電源電圧値(入力電圧VINの電圧値)×パルス電圧のONデューティの平方根
例えば、入力電圧VINが5Vであるとして、駆動電圧Efの実効値を2V得たいとした場合、図8Aの例では、駆動電圧Efの実効値は最大でも5V×1/√10=1.58Vであり、目標の2Vを達成できない。
一方、図8Bの例では、駆動電圧Efの実効値は最大で5V×1/√5=2.24Vであり、目標の2Vを達成可能となる。
なお第二実施形態において、表示装置100における第二IC3A以外の構成については第一実施形態の場合と同様となるため図示による説明は省略する。
一方の制御回路30は、駆動電圧Efを出力する順番が奇数番目の出力トランジスタQ1(Q1−1、Q1−3、…、Q1−(n−1))を対象として各出力トランジスタQ1のフィードバック制御を時分割で行い、他方の制御回路30は、駆動電圧Efを出力する順番が偶数番目の出力トランジスタQ1(Q1−2、Q1−4、…、Q1−n)を対象として各出力トランジスタQ1のフィードバック制御を時分割で行う。なお、ここでの「n」は偶数である。
何れの制御回路30においても、フィードバック制御は、制御対象とする出力トランジスタQ1間でON期間が重複しないように行われる。
他方の制御回路30は、検出トランジスタQ2−2、Q2−4、…、Q2−nからの検出電流をIV変換回路31aに入力可能とされると共に、出力トランジスタQ1−2及び検出トランジスタQ2−2の各ゲート、出力トランジスタQ1−4及び検出トランジスタQ2−4の各ゲート、…、出力トランジスタQ1−n及び検出トランジスタQ2−nの各ゲートに制御信号Sg2、Sg4、…、Sgnをそれぞれ出力する。
これにより、駆動順番が隣接するフィラメントFi間において、駆動電圧のON期間をオーバーラップさせることが可能とされる。
図8Aに示したように10個全ての出力トランジスタQ1を使用する場合に第二IC3Aの構成を適用することによっては、各出力トランジスタQ1の最大ON期間は、図8Aの場合の2倍である20%(スキャン期間の20%)に拡大可能となる。一方、図8Bのように10個のうち5個の出力トランジスタを使用する場合にあっては、第二IC3Aの構成の適用により、各出力トランジスタQ1の最大ON期間は20%から33%(1/3)に拡大可能となる。
従って、第二IC3Aによれば、接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラによる表示品質低下の防止を図りながら、最大ONデューティの拡大化により、入力電圧変動(入力電圧VINの変動)に対する表示品質のロバスト性向上を図ることができる。
駆動電圧Efの最大ON期間の拡大化を図るにあたっては、少なくとも、駆動電圧Efの出力順番が隣接している各出力トランジスタQ1のフィードバック制御を、異なる制御回路30が行うようにされていればよい。
上記のように第二実施形態の集積回路装置(第二IC3A)は、電子を放出する複数のフィラメント(同Fi)を有した蛍光表示管(同1)におけるフィラメントを駆動する集積回路装置であって、それぞれが異なるフィラメントに対する駆動電圧の出力制御を行う複数の出力スイッチ(出力トランジスタQ1)と、出力スイッチを順次にONさせて異なるフィラメントにパルス状の駆動電圧を順次に印加させる制御部(制御回路30及び制御回路30)と、を備え、制御部は、フィラメントに流れる駆動電流の電流値又はフィラメントに印加される駆動電圧の電圧値に基づき、該フィラメントに接続される出力スイッチのONデューティを制御するフィードバック制御を行うフィードバック回路(制御回路30)を複数有し、該複数のフィードバック回路を用いて各出力スイッチについてのフィードバック制御を個別に行うと共に、駆動電圧を出力する順番が隣接している出力スイッチごとに、異なるフィードバック回路を用いてフィードバック制御を行っている。
従って、接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラによる表示品質低下の防止を図りながら、最大ONデューティの拡大化により入力電圧変動に対する表示品質のロバスト性向上を図ることができる。
従って、制御部の回路構成の簡略化が図られ、部品点数の削減によるコスト削減が図られる。
従って、制御部の回路構成の簡略化が図られ、部品点数の削減によるコスト削減が図られる。
従って、フィラメントの温度を一定に保つことができる。フィラメントの温度が一定に保たれることで、フィラメントの寿命低下の抑制を図ることができる。
従って、フィードバック回路の構成を簡易化することができ、部品点数削減によるコスト削減を図ることができる。
従って、出力スイッチのONパルス幅を正確に制御でき、フィードバック制御の正確性向上を図ることができる。
[3-1.第三実施形態の集積回路装置及び蛍光表示管]
第三実施形態は、フィラメントFiを駆動するための駆動チャンネルごとに複数の駆動電圧出力端子Tfを設けた場合の対策である。
蛍光表示管1が備えるフィラメントFiの本数は、仕様により様々である。フィラメントFiの本数が異なる場合にも共通の駆動回路を使用可能とするため、出力トランジスタQ1の一つにつき、換言すれば、フィラメントFiを駆動するチャンネル(駆動チャンネル)の一つにつき、駆動電圧出力端子Tfを複数設けるということが行われる。
図11では、出力トランジスタの数n=10とされ、駆動チャンネルごとの駆動電圧出力端子Tfの数が2とされた例を示している。
ここで、駆動チャンネルとは、フィラメントFiの駆動電圧Efの出力1ビットに相当するものであり、それぞれが別の制御信号Sgによって駆動電圧Efの出力制御が為される系統を意味する。
また、10個の駆動チャンネルのうち任意の駆動チャンネルを不使用とすることも可能である(先に説明した設定レジスタ34に対する割合の設定により)。その場合は、フィラメントFiの本数が9本以下とされる場合にも対応可能となる。
例えば、上記で例示したように駆動チャンネルが10、1チャンネルあたりの駆動電圧出力端子Tfの数が2である場合において、蛍光表示管1が備えるフィラメントFiの本数が偶数本であれば駆動チャンネルごとのフィラメント接続本数は1本又は2本で共通とできるが、奇数本の場合には、一つの駆動チャンネルのみ1本接続、他の駆動チャンネルが全て2本接続となることがある(フィラメント本数が11、13、15等の場合)。
駆動チャンネルごとの駆動電圧出力端子Tfの数をmとすると、フィラメントFiの本数がmで割り切れない本数である場合には、このような駆動チャンネル間におけるフィラメント接続本数の差が生じ得る。
具体的に、図12では任意の駆動チャンネルについて、二つ設けられた駆動電圧出力端子Tfn1、Tfn2の双方にフィラメントFiを接続した場合(図12A)と、駆動電圧出力端子Tfn1にのみフィラメントFiを接続した場合(図12B)のそれぞれについて、フィラメントFiに流れる電流の差を例示している。
なお、電流比は、出力トランジスタQ1や検出トランジスタQ2がMOSFETとされる場合には、ゲート長やゲート幅により変更可能なものである。検出トランジスタQ2−nについては、検出電流としてフィードバック制御が可能な程度の電流が流れればよいため、出力トランジスタQ1−nと比較して電流比の値が大幅に小さくされている。
この場合、各フィラメントFiの駆動電流値は10mAであると仮定する。
これによると、図12Aのように駆動電圧出力端子Tfn1、Tfn2の双方にフィラメントFiが接続された場合において、電流Io1、Io2の電流値はそれぞれ10mAであると表記でき、また、電流Ioの電流値は20mAと表記することができる。この場合、検出電流Idの電流値は、20mA×(1/1000)=0.02mAと表記することができる。
なお、表示装置100における第二IC3B以外の構成については第一実施形態の場合と同様となるため図示による説明は省略する。
駆動チャンネルごとの出力トランジスタQ1a、Q1bについては、符号末尾にハイフンと共に数値を昇順に振って区別している(本例では「−1」〜「−10」)。
なお、先の説明から理解されるように、本例では、検出トランジスタQ2−nと出力トランジスタQ1a−n、Q1b−nの電流比(Q2−n:Q1a−n:Q1b−n)は「1:500:500」と表記できる。
この場合も、各フィラメントFiの駆動電流値は10mAであると仮定する。
これによると、図14Aのように駆動電圧出力端子Tfn1、Tfn2の双方にフィラメントFiが接続された場合において、電流Io1、Io2の電流値はそれぞれ10mAであると表記でき、また、電流Ioa、Iobとしても、それぞれ電流値は10mAと表記することができる。そして、検出電流Idの電流値は、10mA×(1/500)=0.02mAと表記することができる。
従って、駆動チャンネル間での駆動電圧出力端子Tfの使用数の差に起因した輝度ムラの発生防止が図られ、該輝度ムラによる表示品質低下の防止を図ることができる。
この場合においても、駆動電圧出力端子Tfの使用数によらず、制御回路30に検出入力される電流値を一定とできることに変わりはない。すなわち、フィードバック制御により、駆動電圧出力端子Tfの使用数の差によってフィラメントFiの駆動電流実効値に差が生じてしまうことの防止が図られる。
つまり、このような電流比の設定によって、駆動チャンネルに接続された各フィラメントFi間での輝度ムラ発生防止が図られている。
なお、該輝度ムラ発生防止を図るにあたり、各出力トランジスタQ1間の電流比は厳密に「1:1」であることは必須ではなく、略「1:1」であればよい。
図15では、先の図13と同様に10番目の駆動チャンネルのみがフィラメントFiを1本接続、他の駆動チャンネルがフィラメントFiを2本接続する場合の例を示している。この場合、フィラメントFiを2本接続する駆動チャンネルでは、各駆動電圧出力端子Tfをそれぞれボンディングワイヤー等を介して共通の配線W(例えばアルミプリント配線)に接続し、該共通の配線Wに対し、対象とするフィラメントFiが接続される各フィラメント端子fを接続する。例えば、1番目の駆動チャンネルを例に挙げると、駆動電圧出力端子Tf11、Tf12を共通の配線W1に接続し、配線W1に対し、フィラメント端子f1a、f2aを接続する。
従って、同一の駆動チャンネルに接続された複数のフィラメントFi間で接触抵抗の差に起因した輝度ムラが発生することの防止が図られ、表示品質の低下防止を図ることができる。
上記のように第三実施形態の集積回路装置(第二IC3B)は、電子を放出する複数のフィラメント(同Fi)を有した蛍光表示管(同1)におけるフィラメントを駆動する集積回路装置であって、フィラメントを駆動する駆動チャンネルとして、それぞれが個別の制御信号(同Sg)に基づきフィラメントの駆動電圧を出力する複数の駆動チャンネルを備え、駆動電圧の出力制御を行う出力トランジスタであって、駆動電圧の電圧源に対し各々が並列の関係に接続された複数の出力トランジスタ(同Q1a、Q1b)と、出力トランジスタごとに個別に接続された駆動電圧出力端子(同Tf11、Tf12、Tf21、Tf22、…、Tf101、Tf102)と、電圧源に対し複数の出力トランジスタと並列の関係に接続されたトランジスタである検出トランジスタ(同Q2)と、を駆動チャンネルごとに有すると共に、駆動チャンネルごとに、検出トランジスタを介して入力される電流の値に基づき、駆動電圧出力端子に接続されたフィラメントに流れる電流について出力トランジスタのONデューティを調整することによるフィードバック制御を行う制御部(制御回路30)を備えている。
従って、該接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラの抑制を図ることができ、表示品質低下の防止を図ることができる。
また、上記のように検出トランジスタに対し複数の出力トランジスタが並列接続された構成とすることで、各駆動チャンネルにおいては、駆動電圧出力端子の使用数によらず、制御部に検出入力される電流値が一定とされる。このため、駆動電圧出力端子の使用数が変化しても、フィラメントに流れる電流に差が生じないようにすることが可能とされる。
従って、駆動チャンネル間での駆動電圧出力端子の使用数の差に起因した輝度ムラの発生防止が図られ、該輝度ムラによる表示品質低下の防止を図ることができる。
このように第三実施形態の集積回路装置によれば、フィラメント間で駆動電流がばらつくことに起因して生じる輝度ムラによる表示品質低下の防止を図ることができる。
また、第三実施形態の集積回路装置によると、駆動電圧出力端子の使用数の差に起因してフィラメントの駆動電流に差が生じないようにするにあたり、駆動電圧出力端子の使用数に応じてフィードバック制御の手法を切り替える必要がなくなるため、回路構成の簡易化が図られ、部品点数削減によるコスト削減を図ることができる。
従って、フィラメントの温度を一定に保つことができる。フィラメントの温度が一定に保たれることで、フィラメントの寿命低下の抑制を図ることができる。
従って、駆動チャンネルに接続された各フィラメント間での輝度ムラ発生防止を図ることができる。
すなわち、接触抵抗のばらつきに起因した輝度ムラの抑制を図るにあたっての回路構成を簡略化でき、部品点数削減によるコスト削減を図ることができる。
従って、同一の駆動チャンネルに接続された複数のフィラメント間で接触抵抗の差に起因した輝度ムラが発生することの防止が図られ、表示品質の低下防止を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、上記では、フィラメントFiから放出される電子を加速させるためのグリッドGrを有する蛍光表示管に対して本発明が適用される場合を例示したが、本発明は、グリッドGrが省略されたいわゆる2極管構造が採られた蛍光表示管にも好適に適用することができる。
Claims (6)
- 電子を放出する複数のフィラメントを有した蛍光表示管における前記フィラメントを駆動する集積回路装置であって、
前記フィラメントを駆動する駆動チャンネルとして、それぞれが個別の制御信号に基づき前記フィラメントの駆動電圧を出力する複数の駆動チャンネルを備え、
前記駆動電圧の出力制御を行う出力トランジスタであって、前記駆動電圧の電圧源に対し各々が並列の関係に接続された複数の出力トランジスタと、
前記出力トランジスタごとに個別に接続された駆動電圧出力端子と、
前記電圧源に対し前記複数の出力トランジスタと並列の関係に接続されたトランジスタである検出トランジスタと、を前記駆動チャンネルごとに有すると共に、
前記駆動チャンネルごとに、前記検出トランジスタを介して入力される電流の値に基づき、前記駆動電圧出力端子に接続された前記フィラメントに流れる電流について前記出力トランジスタのONデューティを調整することによるフィードバック制御を行う制御部を備えた
集積回路装置。 - 前記制御部は、
前記検出トランジスタを介して入力される電流の2乗値の時間積が一定となるように前記フィードバック制御を行う
請求項1に記載の集積回路装置。 - 前記駆動チャンネルにおいて、
各前記出力トランジスタ間の電流比が略1:1とされている
請求項1又は請求項2に記載の集積回路装置。 - 前記制御部は、
前記検出トランジスタを介して入力される電流の値に基づき前記フィードバック制御を行うフィードバック回路を有し、
単一の前記フィードバック回路が複数の前記駆動チャンネルについての前記フィードバック制御を時分割により行う
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の集積回路装置。 - 電子を放出するフィラメントと、
前記フィラメントを駆動する集積回路部と、を備え、
前記集積回路部は、
前記フィラメントを駆動する駆動チャンネルとして、それぞれが個別の制御信号に基づき前記フィラメントの駆動電圧を出力する複数の駆動チャンネルを有し、
前記駆動電圧の出力制御を行う出力トランジスタであって、前記駆動電圧の電圧源に対し各々が並列の関係に接続された複数の出力トランジスタと、
前記出力トランジスタごとに個別に接続された駆動電圧出力端子と、
前記電圧源に対し前記複数の出力トランジスタと並列の関係に接続されたトランジスタである検出トランジスタと、を前記駆動チャンネルごとに有すると共に、
前記駆動チャンネルごとに、前記検出トランジスタを介して入力される電流の値に基づき、前記駆動電圧出力端子に接続された前記フィラメントに流れる電流について前記出力トランジスタのONデューティを調整することによるフィードバック制御を行う制御部を有する
蛍光表示管。 - 前記駆動チャンネルにおける複数の前記駆動電圧出力端子が、同一の配線を介して複数の前記フィラメントに接続されている
請求項5に記載の蛍光表示管。
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