JP6680291B2 - 重合体およびポジ型レジスト組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体およびポジ型レジスト組成物に関し、特には、ポジ型レジストとして好適に使用し得る重合体および当該重合体を含むポジ型レジスト組成物に関するものである。
従来、半導体製造等の分野において、電子線などの電離放射線や紫外線などの短波長の光(以下、電離放射線と短波長の光とを合わせて「電離放射線等」と称することがある。)の照射により主鎖が切断されて現像液に対する溶解性が増大する重合体が、主鎖切断型のポジ型レジストとして使用されている。
そして、例えば特許文献1には、高感度な主鎖切断型のポジ型レジストとして、α−メチルスチレン単位とα−クロロアクリル酸メチル単位とを含有するα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体よりなるポジ型レジストが開示されている。
特公平8−3636号公報
ここで、未露光部と露光部との間の現像液に対する溶解速度の差を利用してレジストパターンを形成する場合、高解像度のレジストパターンを効率良く形成するためには、以下のことが求められる。すなわち、未露光部の現像液への溶解を抑制してレジストパターンの解像度を確保する一方で、露光部が現像液に溶解せず一部残存してしまう現象(裾引き)を抑えることで、解像度を向上させつつレジストパターン形成に要する電離放射線等の照射量を低減することが求められている。
しかし、特許文献1に記載のα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体よりなるポジ型レジストは、裾引きと、未露光部の現像液への溶解との双方を、高いレベルで抑制することが困難であった。また近年、現像工程の条件(処理時間やシャワー現像における現像台の回転速度等)を調整することにより裾引きを解消する手法も検討されているが、この手法では現像工程が煩雑となり易く、また未露光部が現像液に過度に溶解してしまう虞もあった。よって、ポジ型レジストを構成する重合体の性状を改良することにより、ポジ型レジストにおける裾引き抑制および未露光部の耐溶解性確保の双方をバランスよく達成する技術が望まれる。
そこで、本発明は、裾引きが抑制され、且つ未露光部の現像液に対する耐溶解性が十分に確保されたポジ型レジストとして良好に使用し得る重合体を提供することを目的とする。
また、本発明は、高解像度のレジストパターンを効率良く形成し得るポジ型レジスト組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の分子量分布を有し、且つ分子量が6000未満の成分の割合が所定の範囲内であるα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体が、裾引きが十分に抑制され、そして未露光部の現像液に対する耐溶解性が十分に確保されたポジ型レジストとして良好に使用し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の重合体は、α−メチルスチレン単位と、α−クロロアクリル酸メチル単位とを含有し、分子量分布(Mw/Mn)が1.25未満であり、分子量が6000未満の成分の割合が0.5%超5.0%以下であることを特徴とする。分子量分布(Mw/Mn)が1.25未満であって、分子量が6000未満の成分の割合が0.5%超5.0%以下であるα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体は、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きが十分に抑制され、また未露光部の現像液に対する耐溶解性に優れており、ポジ型レジストとして良好に使用することができる。
ここで、本発明において、「分子量分布(Mw/Mn)」とは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比を指す。そして、本発明において、「数平均分子量(Mn)」および「重量平均分子量(Mw)」は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。また、本発明において、「分子量が6000未満の成分の割合」は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって得られるクロマトグラムを使用し、クロマトグラム中のピークの総面積(A)に対するクロマトグラム中の分子量が6000未満の成分のピークの面積の合計(B)の割合(=(B/A)×100%)を算出することにより求めることができる。
ここで、本発明の重合体は、分子量が20000超の成分の割合が35%以上70%以下であることが好ましい。分子量が20000超の成分の割合が35%以上70%以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際の未露光部の現像液に対する耐溶解性を十分に確保しつつ裾引きを更に抑制し、また感度を高めることができるからである。
ここで、本発明において、「分子量が20000超の成分の割合」は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって得られるクロマトグラムを使用し、クロマトグラム中のピークの総面積(A)に対するクロマトグラム中の分子量が20000超の成分のピークの面積の合計(C)の割合(=(C/A)×100%)を算出することにより求めることができる。
そして、本発明の重合体は、重量平均分子量(Mw)が25000以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が25000以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを更に抑制しつつ、感度を高めることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のポジ型レジスト組成物は、上述した重合体の何れかと、溶剤とを含むことを特徴とする。上述した重合体をポジ型レジストとして含有すれば、高解像度のレジストパターンを効率良く形成することができる。
本発明の重合体によれば、裾引きが抑制され、且つ未露光部の現像液に対する耐溶解性が十分に確保されたポジ型レジストを提供することができる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物によれば、高解像度のレジストパターンを効率良く形成することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の重合体は、電子線などの電離放射線や紫外線などの短波長の光の照射により主鎖が切断されて低分子量化する、主鎖切断型のポジ型レジストとして良好に使用することができる。そして、本発明のポジ型レジスト組成物は、ポジ型レジストとして本発明の重合体を含むものである。
(重合体)
本発明の重合体は、α−メチルスチレン単位と、α−クロロアクリル酸メチル単位とを含有するα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.25未満であり、分子量が6000未満の成分の割合が0.5%超5.0%以下であることを特徴とする。そして、本発明の重合体は、α位にクロロ基(−Cl)を有するα−クロロアクリル酸メチルに由来する構造単位(α−クロロアクリル酸メチル単位)を含んでいるので、電離放射線等(例えば、電子線、KrFレーザー、ArFレーザー、EUVレーザーなど)が照射されると、主鎖が容易に切断されて低分子量化する。また、本発明の重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が1.25未満であり、且つ分子量が6000未満の成分の割合が0.5%超5.0%以下であるので、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きが抑制され、且つ未露光部の現像液に対する耐溶解性が十分に確保されており、主鎖切断型のポジ型レジストとして良好に使用することができる。
<α−メチルスチレン単位>
ここで、α−メチルスチレン単位は、α−メチルスチレンに由来する構造単位である。そして、本発明の重合体は、α−メチルスチレン単位を有しているので、ポジ型レジストとして使用した際に、ベンゼン環の保護安定性により優れた耐ドライエッチング性を発揮する。
なお、本発明の重合体は、α−メチルスチレン単位を30mol%以上70mol%以下の割合で含有することが好ましい。
<α−クロロアクリル酸メチル単位>
また、α−クロロアクリル酸メチル単位は、α−クロロアクリル酸メチルに由来する構造単位である。そして、本発明の重合体は、α−クロロアクリル酸メチル単位を有しているので、電離放射線等が照射されると、塩素原子が脱離し、β開裂反応によって主鎖が容易に切断される。従って、本発明の重合体よりなるポジ型レジストは、高い感度を示す。
なお、本発明の重合体は、α−クロロアクリル酸メチル単位を30mol%以上70mol%以下の割合で含有することが好ましい。
<分子量分布>
本発明の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.25未満であることが必要であり、1.20以下であることが好ましく、1.19以下であることがより好ましく、1.16以下であることが更に好ましい。重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.25以上の場合、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを抑制することができない。なお、重合体の調製の容易性の観点からは、本発明の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.10以上であることが好ましい。
[重量平均分子量]
本発明の重合体の重量平均分子量(Mw)は、25000以下であることが好ましく、18000以下であることがより好ましく、9000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、12000以上であることが更に好ましく、15000以上であることが特に好ましい。重合体の重量平均分子量(Mw)が25000以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを更に抑制することができ、また感度を高めることができる。一方、重合体の重量平均分子量(Mw)が9000以上であれば、ポジ型レジストとして使用した際に、未露光部の現像液に対する耐溶解性を十分に確保することができる。
[数平均分子量]
本発明の重合体の数平均分子量(Mn)は、20000以下であることが好ましく、16000以下であることがより好ましく、8000以上であることが好ましく、9000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましく、13000以上であることが特に好ましい。重合体の数平均分子量(Mn)が20000以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを更に抑制することができ、また感度を高めることができる。一方、重合体の数平均分子量(Mn)が8000以上であれば、ポジ型レジストとして使用した際に、未露光部の現像液に対する耐溶解性を十分に確保することができる。
<分子量が6000未満の成分の割合>
本発明の重合体は、分子量が6000未満の成分の割合が、0.5%超5.0%以下であることが必要であり、1.0%以上であることが好ましく、2.0%以上であることがより好ましく、4.0%以下であることが好ましい。分子量が6000未満の成分の割合が0.5%以下の場合、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを抑制することができず、また感度が低下する。一方、分子量6000未満の成分の割合が5.0%超の場合、ポジ型レジストとして使用した際に、未露光部の現像液に対する耐溶解性を確保することができない。
<分子量が20000超の成分の割合>
本発明の重合体は、分子量が20000超の成分の割合が、35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更に好ましい。分子量が20000超の成分の割合が35%以上であれば、ポジ型レジストとして使用した際に、未露光部の現像液に対する耐溶解性を十分に確保することができる。一方、分子量が20000超の成分の割合が70%以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを更に抑制することができ、また感度を高めることができる。
<分子量が40000超の成分の割合>
本発明の重合体は、分子量が40000超の成分の割合が、0.1%以上であることが好ましく、4.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。分子量が40000超の成分の割合が0.1%以上であれば、ポジ型レジストとして使用した際に、未露光部の現像液に対する耐溶解性を十分に確保することができる。一方、分子量が40000超の成分の割合が4.0%以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを更に抑制することができ、また感度を高めることができる。
なお、本発明において、「分子量が40000超の成分の割合」は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって得られるクロマトグラムを使用し、クロマトグラム中のピークの総面積(A)に対するクロマトグラム中の分子量が40000超の成分のピークの面積の合計(D)の割合(=(D/A)×100%)を算出することにより求めることができる。
<分子量が60000超の成分の割合>
本発明の重合体は、分子量が60000超の成分の割合を含有しないことが好ましい。分子量が60000超の成分を含有しなければ、ポジ型レジストとして使用した際の裾引きを更に抑制することができ、また感度を高めることができる。
ここで、本発明において、「分子量が60000超の成分の割合」は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって得られるクロマトグラムを使用し、クロマトグラム中のピークの総面積(A)に対するクロマトグラム中の分子量が60000超の成分のピークの面積の合計(E)の割合(=(E/A)×100%)を算出することにより求めることができる。
(重合体の調製方法)
そして、上述した性状を有する重合体は、例えば、α−メチルスチレンとα−クロロアクリル酸メチルとを含む単量体組成物を重合させた後、得られた重合物を精製することにより調製することができる。
なお、重合体の組成、分子量分布、重量平均分子量および数平均分子量、並びに、重合体中の各分子量の成分の割合は、重合条件および精製条件を変更することにより調整することができる。具体的には、例えば、重量平均分子量および数平均分子量は、重合温度を高くすれば、小さくすることができる。また、重量平均分子量および数平均分子量は、重合時間を短くすれば、小さくすることができる。
<単量体組成物の重合>
ここで、本発明の重合体の調製に用いる単量体組成物としては、α−メチルスチレンおよびα−クロロアクリル酸メチルを含む単量体と、溶媒と、重合開始剤と、任意に添加される添加剤との混合物を用いることができる。そして、単量体組成物の重合は、既知の方法を用いて行うことができる。中でも、溶媒としては、シクロペンタノンなどを用いることが好ましく、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
なお、重合体の組成は、重合に使用した単量体組成物中の各単量体の含有割合を変更することにより調整することができる。また、重合体中に含まれている分子量が高い成分の割合は、重合開始剤の量を変更することにより調整することができ、例えば重合開始剤の量を少なくすれば、分子量が高い成分の割合を増加させることができる。
そして、単量体組成物を重合して得られた重合物は、特に限定されることなく、重合物を含む溶液にテトラヒドロフラン等の良溶媒を添加した後、良溶媒を添加した溶液をメタノール等の貧溶媒中に滴下して重合物を凝固させることにより回収し、以下のようにして精製することができる。
<重合物の精製>
得られた重合物を精製して上述した性状を有する重合体を得る際に用いる精製方法としては、特に限定されることなく、再沈殿法やカラムクロマトグラフィー法などの既知の精製方法を用いることができる。中でも、精製方法としては、再沈殿法を用いることが好ましい。
なお、重合物の精製は、複数回繰り返して実施してもよい。
そして、再沈殿法による重合物の精製は、例えば、得られた重合物をテトラヒドロフラン等の良溶媒に溶解した後、得られた溶液を、テトラヒドロフラン等の良溶媒とメタノール等の貧溶媒との混合溶媒に滴下し、重合物の一部を析出させることにより行うことが好ましい。このように、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に重合物の溶液を滴下して重合物の精製を行えば、良溶媒および貧溶媒の種類や混合比率を変更することにより、得られる重合体の分子量分布、重量平均分子量、数平均分子量および分子量が低い成分の割合を容易に調整することができる。具体的には、例えば、混合溶媒中の良溶媒の割合を高めるほど、混合溶媒中で析出する重合体の分子量を大きくすることができる。
なお、再沈殿法により重合物を精製する場合、本発明の重合体としては、所望の性状を満たせば、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中で析出した重合体を用いてもよいし、混合溶媒中で析出しなかった重合体(即ち、混合溶媒中に溶解している重合体)を用いてもよい。ここで、混合溶媒中で析出しなかった重合体は、濃縮乾固などの既知の手法を用いて混合溶媒中から回収することができる。
(ポジ型レジスト組成物)
本発明のポジ型レジスト組成物は、上述した重合体と、溶剤とを含み、任意に、レジスト組成物に配合され得る既知の添加剤を更に含有する。そして、本発明のポジ型レジスト組成物は、上述した重合体をポジ型レジストとして含有しているので、本発明のポジ型レジスト組成物を塗布および乾燥させて得られるレジスト膜を使用すれば、高解像度のレジストパターンを効率良く形成することができる。
<溶剤>
なお、溶剤としては、上述した重合体を溶解可能な溶剤であれば既知の溶剤を用いることができる。中でも、適度な粘度のポジ型レジスト組成物を得てポジ型レジスト組成物の塗工性を向上させる観点からは、溶剤としてはアニソールを用いることが好ましい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、実施例および比較例において、重合体の重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布、重合体中の各分子量の成分の割合、並びに、重合体よりなるレジストの感度および裾引き、未露光レジスト膜の現像液に対する耐溶解性は、下記の方法で測定および評価した。
<重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布>
得られた重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
具体的には、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー製、HLC−8220)を使用し、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を標準ポリスチレン換算値として求めた。そして、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<重合体中の各分子量の成分の割合>
ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー製、HLC−8220)を使用し、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、重合体のクロマトグラフを得た。そして、得られたクロマトグラムから、ピークの総面積(A)、分子量が6000未満の成分のピークの面積の合計(B)、分子量が20000超の成分のピークの面積の合計(C)、分子量が40000超の成分のピークの面積の合計(D)、および分子量が60000超の成分のピークの面積の合計(E)を求めた。そして、下記式を用いて各分子量の成分の割合を算出した。
分子量が6000未満の成分の割合(%)=(B/A)×100
分子量が20000超の成分の割合(%)=(C/A)×100
分子量が40000超の成分の割合(%)=(D/A)×100
分子量が60000超の成分の割合(%)=(E/A)×100
<感度>
スピンコーター(ミカサ製、MS−A150)を使用し、ポジ型レジスト組成物を直径4インチのシリコンウェハ上に厚さ500nmになるように塗布した。そして、塗布したポジ型レジスト組成物を温度180℃のホットプレートで3分間加熱して、シリコンウェハ上にレジスト膜を形成した。そして、電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS−5700)を用いて、電子線の照射量が互いに異なるパターン(寸法500μm×500μm)をレジスト膜上に複数描画し、レジスト用現像液として酢酸アミル(日本ゼオン社製、ZED−N50)を用いて温度23℃で1分間の現像処理を行った後、イソプロピルアルコールで10秒間リンスした。なお、電子線の照射量は、4μCから152μCの範囲内で4μCずつ異ならせた。次に、描画した部分のレジスト膜の厚みを光学式膜厚計(大日本スクリーン製、ラムダエース)で測定し、電子線の総照射量の常用対数と、現像後のレジスト膜の残膜率(=現像後のレジスト膜の膜厚/シリコンウェハ上に形成したレジスト膜の膜厚)との関係を示す感度曲線を作成した。そして、得られた感度曲線(横軸:電子線の総照射量の常用対数、縦軸:レジスト膜の残膜率(0≦残膜率≦1.00))の残膜率0.20〜0.80の範囲において感度曲線を二次関数にフィッティングし、得られた二次関数(残膜率と総照射量の常用対数との関数)上の残膜率0の点と残膜率0.50の点とを結ぶ直線(感度曲線の傾きの近似線)を作成した。次いで、得られた直線の残膜率が0となる際の、電子線の総照射量Eth(μC/cm)を求めた。そして以下の基準に従って評価した。Ethの値が小さいほど、レジストの感度が高いことを示す。
A:Ethが55μC/cm未満
B:Ethが55μC/cm以上60μC/cm未満
C:Ethが60μC/cm以上
<裾引き>
「感度」の評価と同様にして、シリコンウェハ上にレジスト膜を形成し、感度曲線を作成した。そして、得られた感度曲線(横軸:電子線の総照射量の常用対数、縦軸:レジスト膜の残膜率(0≦残膜率≦1.00))から、残膜率が0.1から0.01になるまでに要する電子線の照射量E(μC/cm)、残膜率が0.07から0.01になるまでに要する電子線の照射量E(μC/cm)、および残膜率が0.05から0.01になるまでに要する電子線の照射量E(μC/cm)を求め、それぞれ以下の基準に従って評価した。E、EおよびEの値が小さいほど、露光したレジスト膜の現像液に対する溶解性が高く、裾引きが抑制されていることを示す。
[裾引き(1)−電子線の照射量E−]
A:Eが10μC/cm以下
B:Eが10μC/cm超15μC/cm以下
C:Eが15μC/cm
[裾引き(2)−電子線の照射量E−]
A:Eが10μC/cm以下
B:Eが10μC/cm超15μC/cm以下
C:Eが15μC/cm
[裾引き(3)−電子線の照射量E−]
A:Eが4μC/cm以下
B:Eが4μC/cm超10μC/cm以下
C:Eが10μC/cm
<未露光レジスト膜の現像液に対する耐溶解性>
「感度」の評価と同様にして、シリコンウェハ上にレジスト膜を形成した。そして、レジスト膜を形成したシリコンウェハを温度23℃の酢酸アミルよりなる現像液(日本ゼオン社製、ZED−N50)に1分間浸漬し、その後、イソプロピルアルコールでリンスした。そして、未露光残膜率(=浸漬後のレジスト膜の膜厚/シリコンウェハ上に形成したレジスト膜の膜厚)を求め、以下の基準に従って評価した。未露光残膜率が大きいほど、未露光のレジスト膜の現像液に対する溶解性が低いことを示す。
A:未露光残膜率が0.985以上
B:未露光残膜率が0.965以上0.985未満
C:未露光残膜率が0.965未満
(実施例1)
<重合体の調製>
[単量体組成物の重合]
単量体としてのα−クロロアクリル酸メチル3.0gおよびα−メチルスチレン6.88gと、溶媒としてのシクロペンタノン2.47gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.08728gとを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で6.5時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)30gを加えた。そして、THFを加えた溶液をメタノール300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合物)を得た。得られた重合物の重量平均分子量(Mw)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.46であった。また、得られた重合物は、α−メチルスチレン単位とα−クロロアクリル酸メチル単位とを50mol%ずつ含んでいた。
[重合物の精製]
次いで、得られた重合物を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF500gとメタノール(MeOH)500gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物(α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸メチル単位を含有する重合体)を析出させた。その後、析出した重合体を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の重合体を得た。そして、得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布、重合体中の各分子量の成分の割合を測定した。結果を表1に示す。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
得られた重合体を溶剤としてのアニソールに溶解させ、重合体の濃度が11質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。そして、レジストの感度および裾引き、並びに未露光レジスト膜の現像液に対する耐溶解性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.10910gに変更した以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は15000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.42であった。
(実施例3)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.21821gに変更した以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は10000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.47であった。
(比較例1)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.32731gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF450gとMeOH550gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は8200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.48であった。
(比較例2)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.43641gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF450gとMeOH550gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は6700であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.48であった。
(比較例3)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.54552gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF400gとMeOH600gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は5900であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.47であった。
(比較例4)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.81827gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF350gとMeOH650gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は5000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.43であった。
(比較例5)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を1.09103gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF300gとMeOH700gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表1に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は4000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.38であった。
(比較例6)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.01091gに変更し、重合物の精製を実施することなく、単量体組成物を重合した際にろ過により回収した重合物をそのまま重合体として用いてポジ型レジスト組成物を調製した以外は実施例1と同様にして、重合物(α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸メチル単位を含有する重合体)およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例7)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.01091gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF600gとMeOH400gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は55000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。
(比較例8)
<重合体の調製>
[単量体組成物の重合]
重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.01091gに変更した以外は実施例1と同様にして単量体組成物を重合し、重合物を得た。なお、重合物の重量平均分子量(Mw)は55000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。
[重合物の精製]
得られた重合物を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF600gとMeOH400gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物を析出させた。その後、凝固物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、ろ液を回収した。そして、ろ液を濃縮乾固し、白色の凝固物(α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸メチル単位を含有する重合体)を得た。得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布、重合体中の各分子量の成分の割合を実施例1と同様にして測定した結果を表2に示す。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
上述のようにして調製した重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例9)
<重合体の調製>
[単量体組成物の重合]
重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.01091gに変更した以外は実施例1と同様にして単量体組成物を重合し、重合物を得た。なお、重合物の重量平均分子量(Mw)は55000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。
[重合物の精製]
得られた重合物を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF600gとMeOH400gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物を析出させた。その後、凝固物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、析出した白色の凝固物を得た。得られた凝固物の重量平均分子量(Mw)は65000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.47であった。
次いで、得られた凝固物を100gのTHFに再び溶解させ、得られた溶液をTHF650gとMeOH350gとの混合溶媒に再び滴下し、白色の凝固物を再び析出させた。その後、再析出した凝固物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、ろ液を回収した。そして、ろ液を濃縮乾固し、白色の凝固物(α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸メチル単位を含有する重合体)を得た。得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布、重合体中の各分子量の成分の割合を実施例1と同様にして測定した結果を表2に示す。
<ポジ型レジスト組成物の調製>
上述のようにして調製した重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例10)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.02182gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF600gとMeOH400gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は35000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.60であった。
(比較例11)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.02182gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF550gとMeOH450gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は35000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.60であった。
(比較例12)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.03273gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF550gとMeOH450gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は29000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.56であった。
(比較例13)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.04364gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF550gとMeOH450gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は24000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.53であった。
(比較例14)
単量体組成物の重合時に使用する重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルの量を0.06546gに変更し、重合物の精製時に混合溶媒としてTHF550gとMeOH450gとの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、重合物、重合体およびポジ型レジスト組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして測定および評価を行った。結果を表2に示す。
なお、精製前の重合物の重量平均分子量(Mw)は20000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.48であった。
Figure 0006680291
Figure 0006680291
表1および表2より、分子量分布(Mw/Mn)が1.25未満であり、分子量が6000未満の成分の割合が0.5%超5.0%以下である重合体を用いた実施例1〜3では、裾引きが抑制され、そして未露光部の現像液に対する耐溶解性が十分に確保されたポジ型レジストを提供可能であることがわかる。また表1および表2より、実施例1〜3では、ポジ型レジストの感度も優れていることがわかる。
本発明の重合体によれば、裾引きが抑制され、且つ現像液に対する未露光部の耐溶解性が十分に確保されたポジ型レジストを提供することができる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物によれば、高解像度のレジストパターンを効率良く形成することができる。

Claims (2)

  1. α−メチルスチレン単位と、α−クロロアクリル酸メチル単位とを含有し、
    重量平均分子量(Mw)が10000以上17000以下であり、
    分子量分布(Mw/Mn)が1.25未満であり、
    分子量が6000未満の成分の割合が0.5%超5.0%以下であり、
    分子量が20000超の成分の割合が35%以上70%以下である、重合体。
  2. 請求項に記載の重合体と、溶剤とを含む、ポジ型レジスト組成物。
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