JP6679884B2 - 圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 - Google Patents
圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6679884B2 JP6679884B2 JP2015213921A JP2015213921A JP6679884B2 JP 6679884 B2 JP6679884 B2 JP 6679884B2 JP 2015213921 A JP2015213921 A JP 2015213921A JP 2015213921 A JP2015213921 A JP 2015213921A JP 6679884 B2 JP6679884 B2 JP 6679884B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piezoelectric
- electrode
- film
- piezoelectric film
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 229910000314 transition metal oxide Inorganic materials 0.000 claims description 26
- 239000000463 material Substances 0.000 claims description 20
- 239000000203 mixture Substances 0.000 claims description 12
- 239000000470 constituent Substances 0.000 claims description 9
- 229910052719 titanium Inorganic materials 0.000 claims description 6
- 229910052726 zirconium Inorganic materials 0.000 claims description 5
- 229910052745 lead Inorganic materials 0.000 claims description 3
- 239000012528 membrane Substances 0.000 claims 4
- 239000010410 layer Substances 0.000 description 70
- 239000000758 substrate Substances 0.000 description 59
- 239000002344 surface layer Substances 0.000 description 42
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 41
- 230000010287 polarization Effects 0.000 description 35
- 230000035945 sensitivity Effects 0.000 description 35
- 229910052451 lead zirconate titanate Inorganic materials 0.000 description 19
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 17
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 15
- 239000000523 sample Substances 0.000 description 15
- 238000000034 method Methods 0.000 description 13
- 238000007789 sealing Methods 0.000 description 12
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 10
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 10
- 239000010936 titanium Substances 0.000 description 10
- 230000008569 process Effects 0.000 description 9
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 8
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 7
- 230000006870 function Effects 0.000 description 7
- 239000007772 electrode material Substances 0.000 description 6
- 238000005530 etching Methods 0.000 description 6
- 230000007935 neutral effect Effects 0.000 description 6
- 239000003990 capacitor Substances 0.000 description 5
- 230000004048 modification Effects 0.000 description 5
- 238000012986 modification Methods 0.000 description 5
- 229910004298 SiO 2 Inorganic materials 0.000 description 4
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 4
- 238000006073 displacement reaction Methods 0.000 description 4
- 230000003647 oxidation Effects 0.000 description 4
- 238000007254 oxidation reaction Methods 0.000 description 4
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 3
- 230000014509 gene expression Effects 0.000 description 3
- 210000000056 organ Anatomy 0.000 description 3
- 239000004065 semiconductor Substances 0.000 description 3
- 239000002356 single layer Substances 0.000 description 3
- 241000877463 Lanio Species 0.000 description 2
- 229910004121 SrRuO Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910010413 TiO 2 Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910003087 TiOx Inorganic materials 0.000 description 2
- RTAQQCXQSZGOHL-UHFFFAOYSA-N Titanium Chemical compound [Ti] RTAQQCXQSZGOHL-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 230000003321 amplification Effects 0.000 description 2
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 2
- 229910052454 barium strontium titanate Inorganic materials 0.000 description 2
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 2
- 230000007547 defect Effects 0.000 description 2
- 230000005684 electric field Effects 0.000 description 2
- 238000010304 firing Methods 0.000 description 2
- 229910052741 iridium Inorganic materials 0.000 description 2
- VRIVJOXICYMTAG-IYEMJOQQSA-L iron(ii) gluconate Chemical compound [Fe+2].OC[C@@H](O)[C@@H](O)[C@H](O)[C@@H](O)C([O-])=O.OC[C@@H](O)[C@@H](O)[C@H](O)[C@@H](O)C([O-])=O VRIVJOXICYMTAG-IYEMJOQQSA-L 0.000 description 2
- 238000003199 nucleic acid amplification method Methods 0.000 description 2
- 238000000059 patterning Methods 0.000 description 2
- 229910052697 platinum Inorganic materials 0.000 description 2
- 230000009467 reduction Effects 0.000 description 2
- 238000004544 sputter deposition Methods 0.000 description 2
- HLLICFJUWSZHRJ-UHFFFAOYSA-N tioxidazole Chemical compound CCCOC1=CC=C2N=C(NC(=O)OC)SC2=C1 HLLICFJUWSZHRJ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- ATJFFYVFTNAWJD-UHFFFAOYSA-N Tin Chemical compound [Sn] ATJFFYVFTNAWJD-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- VNSWULZVUKFJHK-UHFFFAOYSA-N [Sr].[Bi] Chemical compound [Sr].[Bi] VNSWULZVUKFJHK-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 1
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000017531 blood circulation Effects 0.000 description 1
- 239000011248 coating agent Substances 0.000 description 1
- 238000000576 coating method Methods 0.000 description 1
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 1
- 230000008602 contraction Effects 0.000 description 1
- 230000003247 decreasing effect Effects 0.000 description 1
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 1
- 230000007274 generation of a signal involved in cell-cell signaling Effects 0.000 description 1
- HFGPZNIAWCZYJU-UHFFFAOYSA-N lead zirconate titanate Chemical compound [O-2].[O-2].[O-2].[O-2].[O-2].[Ti+4].[Zr+4].[Pb+2] HFGPZNIAWCZYJU-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 239000004973 liquid crystal related substance Substances 0.000 description 1
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000002184 metal Substances 0.000 description 1
- 239000011347 resin Substances 0.000 description 1
- 229920005989 resin Polymers 0.000 description 1
- VSZWPYCFIRKVQL-UHFFFAOYSA-N selanylidenegallium;selenium Chemical compound [Se].[Se]=[Ga].[Se]=[Ga] VSZWPYCFIRKVQL-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 238000000992 sputter etching Methods 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)
Description
特許文献1に記載の超音波変換器は、基板と、当該基板上に設けられた圧電体と、圧電体の同じ面上に配置された第1の電極及び第2の電極と、を備える。圧電素子では、例えば超音波を受信する際に、可撓膜の歪に応じて圧電体が歪み、当該歪に応じて電極間に発生する電位差が、電気信号として出力される。
そして、本適用例において、圧電体は、上記厚み方向に可撓膜から遠ざかり、圧電体の歪み量が大きくなるにしたがって、比誘電率すなわち圧電定数が大きくなる。一方、圧電体は、可撓膜に近づき、圧電体の歪み量が小さくなるにしたがって、比誘電率(圧電定数)が小さくなる。
すなわち、振動膜の歪みに応じた圧電体の歪み量が小さい領域において、他の領域よりも比誘電率を小さくして静電容量の低減を図るとともに、歪み量が大きい領域において、他の領域よりも圧電定数を大きくして出力の増大を図ることができる。したがって、本適用例によれば、圧電素子の受信感度を向上させることができる。
本適用例によれば、圧電体は、第一圧電層と、第二圧電層との二層の圧電層を備える。このような構成では、各圧電層の比誘電率、圧電定数、及び厚み寸法等を適宜設定することにより、より確実に受信感度を向上させることができる。また、所望の圧電特性及び厚み寸法等で各圧電層を形成することにより、所望の特性(圧電特性)を有する圧電体を形成することができ、より容易に圧電素子の受信感度を向上させることができる。
本適用例によれば、第一圧電層及び第二圧電層は、異なる組成比を有するものの、同一の構成材料により構成される。したがって、異なる材料を用いて形成する場合と比べて、製造コストの増大を抑制できる。また、製造時に、各圧電層について異なる材料を供給可能な装置を用いたり、材料を交換する作業を実施したりする必要がなく、製造工程の簡略化を図ることができる。
本適用例では、圧電体としてペロブスカイト型遷移金属酸化物を用いる。ペロブスカイト型遷移金属酸化物は圧電材料において圧電特性(e定数)が高い。このため、可撓膜を変位させた際に圧電体から出力される電圧を大きくできる。
本適用例では、圧電体は、PbとZrとTiを含む。このような圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が挙げられ、ペロブスカイト型遷移金属酸化物において特に圧電特性が高い。よって、可撓膜を変位させた際に圧電体から出力される電圧をより高くできる。
ここで、第一層は複数層により構成された可撓膜のうちの一層であってもよく、可撓膜が一層(遷移金属酸化物の第一層のみ)により構成されていてもよい。
本適用例では、可撓膜の圧電体に接する第一層が、絶縁性を有する遷移金属酸化物により構成されている。このような可撓膜上に圧電体を形成する場合、(100)配向の圧電体を形成しやすく、圧電体における圧電特性を高めることができる。
本適用例では、上記第一層が、ZrO2により構成されているため、圧電体の結晶配向を、(100)配向により揃えやすくなり、圧電体における圧電特性をより高めることができる。
本適用例では、第一電極と第二電極との間が2μm以上8μm以下となる。第一電極と第二電極との間のギャップ寸法が2μm未満である場合、圧電体の歪み量に対する、圧電体から出力される電圧が小さくなる。この場合、例えば可撓膜の変位量を、圧電体からの出力電圧に基づいて検出する場合に、出力電圧が小さくなるので検出精度も低下する。一方、第一電極と第二電極との間のギャップ寸法が8μmより大きい場合、圧電体を分極処理する際の印加電圧を高電圧にする必要がある。これに対して、本適用例では、上記範囲のギャップが設けられることで、圧電体の歪み量に対する圧電体から出力される電圧を大きくでき、かつ、分極処理時における印加電圧も実用的な範囲に留めることができる。
以下、本発明に係る第一実施形態の電子機器としての超音波測定装置について、図面に基づいて説明する。
[超音波測定装置1の構成]
図1は、本実施形態の超音波測定装置1の概略構成を示す斜視図である。図2は、超音波測定装置1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の超音波測定装置1は、本発明における電子機器に相当し、図1に示すように、超音波プローブ2と、超音波プローブ2にケーブル3を介して電気的に接続された制御装置10と、を備えている。
この超音波測定装置1は、超音波プローブ2を生体(例えば人体)の表面に当接させ、超音波プローブ2から生体内に超音波を送出する。また、生体内の器官にて反射された超音波を超音波プローブ2にて受信し、その受信信号に基づいて、例えば生体内の内部断層画像を取得したり、生体内の器官の状態(例えば血流等)を測定したりする。
図3は、超音波プローブ2における超音波センサー24の概略構成を示す平面図である。
超音波プローブ2は、筐体21と、筐体21内部に設けられた超音波デバイス22と、超音波デバイス22を制御するためのドライバ回路等が設けられた配線基板23と、を備えている。なお、超音波デバイス22と、配線基板23とにより超音波センサー24が構成され、当該超音波センサー24は、本発明の圧電モジュールを構成する。
筐体21は、図1に示すように、例えば平面視矩形状の箱状に形成され、厚み方向に直交する一面(センサー面21A)には、センサー窓21Bが設けられており、超音波デバイス22の一部が露出している。また、筐体21の一部(図1に示す例では側面)には、ケーブル3の通過孔21Cが設けられ、ケーブル3は、通過孔21Cから筐体21の内部の配線基板23に接続されている。また、ケーブル3と通過孔21Cとの隙間は、例えば樹脂材等が充填されることで、防水性が確保されている。
なお、本実施形態では、ケーブル3を用いて、超音波プローブ2と制御装置10とが接続される構成例を示すが、これに限定されず、例えば超音波プローブ2と制御装置10とが無線通信により接続されていてもよく、超音波プローブ2内に制御装置10の各種構成が設けられていてもよい。
超音波デバイス22は、図3に示すように、超音波を送信する送信アレイTRと、超音波を受信する受信アレイRRと、が形成されたアレイ領域Ar1を有する。なお、図3では、送信アレイTRと受信アレイRRとが略同一アレイ面積を有しているが、これに限定されず、例えば、受信アレイRRが送信アレイTRよりも小さいサイズに構成されていてもよい。また、送信アレイTR及び受信アレイRRの配置位置に関しても、図3の例に限られず、例えば、送信アレイTR内の一部に、受信アレイRRが設けられる構成や、送信アレイTRと受信アレイRRとが例えばX方向(スキャン方向)に沿って交互に配列される構成などとしてもよい。
送信アレイTRは、超音波を送信する複数の送信用超音波トランスデューサー51(以降、送信用トランスデューサー51と略す)がアレイ状に配置され構成される。また、受信アレイRRは、超音波を受信する複数の受信用超音波トランスデューサー52(以降、受信用トランスデューサー52と略す)がアレイ状に配置され構成される。このように構成された超音波デバイス22では、送信アレイTRから超音波を送信し、測定対象で反射された反射波を受信アレイRRで受信する。
なお、以下の説明では、後述する1次元アレイ構造を有する送信アレイTRのスキャン方向をX方向とし、スキャン方向に直交するスライス方向をY方向とする。
超音波センサー24を構成する超音波デバイス22は、図5及び図8に示すように、素子基板41と、封止板43と、音響整合層44と、音響レンズ45(図1参照)と、により構成されている。本実施形態では、図5から図8に示すように、送信アレイTR及び受信アレイRRにおいて、素子基板41、封止板43、音響整合層44、及び音響レンズ45は共通となる。
送信アレイTRは、図4に示すように、素子基板41の送信領域Ar11にアレイ状に配置された複数の送信用トランスデューサー51により構成される。
送信アレイTRでは、Y方向(スライス方向)に並ぶ複数の送信用トランスデューサー51により、1つの送信チャンネルとしての送信用トランスデューサー群51Aが構成される。また、送信アレイTRでは、複数の送信用トランスデューサー群51Aが、X方向(スキャン方向)に沿って設けられて1次元アレイを構成する。
送信用トランスデューサー51は、図5に示すように、素子基板41と、素子基板41上に設けられた駆動素子413と、を含み構成される。
素子基板41は、基板本体部411と、基板本体部411に積層された支持膜412と、を備えている。また、素子基板41のアレイ領域Ar1の外側には、端子領域Ar2が設けられており、各送信用トランスデューサー51に接続された電極線が引き出されている。
基板本体部411は、例えばSi等の半導体基板である。この基板本体部411の送信領域Ar11内には、各送信用トランスデューサー51に対応した開口部411Aが設けられている。これらの開口部411Aの開口サイズは、送信アレイTRから送信する超音波の周波数に基づいたサイズとなる。
支持膜412は、基板本体部411の一方の面に設けられ、開口部411Aを閉塞する。支持膜412のうち、開口部411Aを閉塞する領域は、後述する駆動素子413の駆動により、膜厚方向に振動される振動部412Cとなり、振動部412Cが振動されることで、超音波が出力(送信)される。つまり、上述する送信用トランスデューサー51を構成する素子基板41の一部とは、開口部411Aを閉塞する支持膜412の振動部412Cであり、振動部412Cと駆動素子413により送信用トランスデューサー51が構成される。
支持層412Aは、例えばSiO2等により構成されている。基板本体部411をSiにより構成し、支持層412AをSiO2により構成する場合、例えば、基板本体部411の一面側を熱酸化処理することで、容易に支持層412Aを形成することが可能となる。また、この支持層412Aは、後述するように、エッチングにより基板本体部411に開口部411A及び開口部411B(図8参照)を形成する際のエッチングストッパー膜として機能する。
表面層412Bの遷移金属酸化物は絶縁性を有していることが求められる。表面層412Bが絶縁性を有しているとき、第一電極425と第二電極426の間に形成された電極ギャップ直下の圧電体内に直接電気力線が走ることで、小さな静電容量のキャパシターを形成することができ、結果として高い受信感度を実現できる。もし表面層412Bが導電性を有していると、第一電極425の電極ギャップ端部から伸びた電気力線は表面層412Bに、まず入り、表面層412B内を走ったのちに、第二電極426のギャップ端部に戻ることになる。この場合はキャパシターとしての静電容量が大きくなり、高い受信感度を得ることができない。
このような駆動素子413は、下部電極414及び上部電極416の間に所定周波数の矩形波電圧が印加されることで、圧電膜415が、面内方向に伸縮する。圧電膜415の支持膜412側は下部電極414を介して支持膜412に接合されているので、圧電膜415の支持膜412側と、反対側とでは、伸縮量が異なり、この差によって圧電膜415が膜厚方向に変位して振動する。この圧電膜415の振動により、支持膜412の振動部412Cも振動して超音波が送出される。
ここで、下部電極414は、Y方向に沿う直線状に形成され、Y方向に沿って並ぶ複数の送信用トランスデューサー51に跨って設けられている。下部電極414で連結されたY方向(スライス方向)に並ぶ複数の送信用トランスデューサー51により上述の送信用トランスデューサー群51Aが構成される。また、下部電極414は、端子領域Ar2まで延出する。端子領域Ar2において、下部電極414の端部に設けられた下部電極端子414Pは、配線基板23に電気的に接続されている。
受信アレイRRは、図6に示すように、素子基板41のアレイ領域Ar1における受信領域Ar12にアレイ状に配置された複数の受信用トランスデューサー52により構成される。本実施形態の受信アレイRRでは、複数の受信用トランスデューサー52により1つの受信チャンネルとしての受信用トランスデューサー群52Aが構成され、当該受信用トランスデューサー群52Aが、X方向に複数設けられている。
電極線521,522は、受信領域Ar12から端子領域Ar2に亘って設けられ、端子領域Ar2の端子521P,522Pにて配線基板23に電気的に接続されている。
受信用トランスデューサー52は、本発明の圧電素子であり、図6に示すように、素子基板41の一部と、当該素子基板41の支持膜412上に積層された受信素子421と、を備えている。
上述のように、本実施形態では、送信アレイTRと受信アレイRRとにおいて、素子基板41は共通部材であり、基板本体部411及び支持膜412により構成されている。
基板本体部411の受信領域Ar12内には、図6,7,8に示すように、各受信用トランスデューサー52に対応した開口部411Bが設けられている。これらの開口部411Bは、受信する超音波の周波数に応じた開口サイズを有する。例えば、送信アレイTRから測定対象に超音波を送信し、測定対象にて反射された2次高調波を受信アレイRRにて受信する場合、開口部411Bの開口サイズは、送信用トランスデューサー51における開口部411Aよりも小さい開口サイズとなる。
これらのうち第二圧電膜424は、ZrとTiとの組成比が52:48となるように形成される。上記組成比となるように、PZTを成膜することにより、比誘電率が最大となることが知られており、第二圧電膜424の比誘電率εを大きくすることができる。
一方、第一圧電膜423は、ZrとTiとの組成比が第二圧電膜424とは異なるように形成される。これにより、第一圧電膜423の比誘電率を、第二圧電膜424よりも小さくすることができる。特に、ZrよりもTiを多くすることにより、誘電率をより小さくすることができる。
これらの第一電極425及び第二電極426は、例えば、Ir,Pt,IrOx,Ti,TiOx,SrRuO3,LaNiO3等の導電性の電極材料により形成される。この際、支持膜412の表面層412Bが遷移金属酸化物であるZrO2により構成されていることで、電極材料を表面層412B上に好適に密着させることが可能となる。
第二電極426は、平面視において、電極線522から開口部411Bの+X側の所定位置まで、X方向に沿って開口部411Bの内外に亘って支持膜412上に設けられている。
これら第一電極425及び第二電極426は、平面視において、開口部411Bの中心点を通りY方向と平行な仮想線L(図7参照)に対して線対称な形状となる。
上述の受信素子421を含む受信用トランスデューサー52では、測定対象により反射された反射超音波が可撓部412Dで受信されると、可撓部412Dが振動する。この可撓部412Dの振動により受信素子421も振動し、圧電膜422が変形する。これにより、圧電膜422の変形(歪み)に応じて、圧電膜422の表面に電荷が生じ、第一電極425及び第二電極426間に電位差が発生する。この第一電極425及び第二電極426間の電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
V=Q/C ・・・(1)
Q=Sq ・・・(2)
C=Sε/d ・・・(3)
q=eη ・・・(4)
V=(de/ε)×η ・・・(5)
表面層412Bが絶縁性を有しているとき、第一電極425と第二電極426の間に形成された電極ギャップ直下の圧電体内に直接電気力線が走ることで、小さな静電容量を形成することができ、結果として高い受信感度を実現できる
ここで、本実施形態では、第一電極425及び第二電極426の距離dは、2μm以上8μm以下となる。通常、圧電膜422は400nm程度の厚み寸法に構成されている。つまり、圧電膜422の厚み寸法が大きすぎると、可撓部412Dの振動を阻害することになり、良好な受信感度が得られない。また、厚み寸法を小さくしすぎると、例えばPZTであればPbの抜けの影響が大きくなる等により、圧電膜422の圧電特性が劣化してしまう。以上から、圧電膜422としては、圧電特性の劣化が生じない程度に十分に薄く形成されていることが好ましく、400nm程度の厚み寸法とされることが好ましい。
このような圧電膜422に対して、例えば、膜厚方向から一対の電極で挟み込む構成とすると、距離dが圧電膜422の膜厚となって、非常に小さい値となり、圧電膜422の歪みηに対する出力電圧Vが小さくなってしまう。すなわち、電極間の距離dが2μm未満となる構成では、圧電膜422から十分な出力電圧Vが得られないため、受信用トランスデューサー52の受信感度が低下する。
これに対して、本実施形態では、上記のように、支持膜412上に第一電極425及び第二電極426を配置する構成となるため、電極425,426間の距離を大きくでき、2μm以上8μm以下とすることが可能となる。これにより、従来のように圧電膜422を膜厚方向から一対の電極で挟み込む構成に比べて、受信素子421から出力される電圧Vを大きくできる。
なお、電極425,426間の距離dを8μm以下とすることで、後述する分極回路235による分極処理の効率性を向上させることが可能となる。つまり、電極425,426間の距離dが8μmを超えると、圧電膜422の分極処理を行う際に、電極425,426間に印加する分極電圧を高める必要が生じる。この場合、分極回路235に組み込まれる電源構成として、高価格の電源を用いる必要があり、装置コストが増大してしまう。これに対し、距離dを8μm以下とすることで、分極処理時の分極電圧を小さくでき、すなわち、分極回路235に組み込む電源として低コストの電源を用いればよいので、装置コストの低減を図れる。
また、上記式(4)に示すように、圧電膜422の圧電e定数を大きくすることにより、圧電膜422の歪みに応じて、当該圧電膜422の表面に生じる電荷の電荷密度qの値を大きくすることができる。しかしながら、各電極425,426とともにキャパシターを構成する圧電膜422の圧電e定数を大きくすると、上述のように圧電膜422の比誘電率εが大きくなる。このため、上記式(5)に示すように、各電極425,426間に生じる電位差が小さくなり、受信用トランスデューサー52の出力電圧Vが低減することとなる。一方で、圧電膜422の比誘電率εを小さくすると、圧電膜422の圧電e定数が小さくなるため、やはり、受信用トランスデューサー52の出力電圧Vが低減することとなる。
これに対して、本実施形態では、第一圧電膜423及び第二圧電膜424のうちの超音波受信時の面内歪が小さい第一圧電膜423の比誘電率ε1を小さくし、超音波受信時の面内歪が大きい第二圧電膜424の圧電e定数を大きくする。これにより、第二圧電膜424の圧電e定数が低減することによる、受信感度の低下を抑制しつつ、圧電膜422の比誘電率εを低減させることができ、受信用トランスデューサー52の受信感度を向上させることができる。以下に、本実施形態の圧電膜422の構成により、受信感度が向上することについて示す。
ここでは、圧電体が比誘電率の異なる二層から形成されているとしたが、一層の圧電膜であっても、比誘電率が膜厚方向で変化していれば、同等の効果を有する。すなわち、超音波受信時の面内歪が大きい側(表面層412B側)の比誘電率を大きく、面内歪が小さい側(表面層412B側とは反対側)の比誘電率を小さくする場合である。
なお、図9乃至図11では、受信用トランスデューサー52に対して−Z方向に1気圧の圧力を印加した場合を一例として示している。また、支持膜412のうち支持層412Aは、1070nmの厚み寸法とされ、表面層412Bは、400nmの厚み寸法とされ、圧電膜422は、400nmの厚み寸法とされている。また、図11では、第一圧電膜423は、120nmの厚み寸法とされている。また、第二圧電膜424の比誘電率ε2は、1500とされている。可撓部412Dの横幅(キャビティ幅)は、共振周波数が8.0MHzになるように36〜40μm程度に調整されている。
また、図10において、P1は、圧電膜422における第一圧電膜423の−Z側(支持膜412側)の端面の、P2は、圧電膜422の第二圧電膜424における+Z側(支持膜412とは反対側)の端面の値である。また、P0は、受信用トランスデューサー52における面内歪みが0となる点(以下、中立点とも称する)である。
つまり、本実施形態では、圧電膜422は、ペロブスカイト型遷移金属酸化物のPZTにより構成されているため、圧電特性を高くできる。また、圧電膜422が、電極425,426上、または、遷移金属酸化物(ZrO2)により構成された表面層412B上に形成されているため、圧電膜422の結晶配向性を好適に(100)配向に揃えることができる。この点からも、圧電膜422の圧電特性をより高めることが可能となる。
封止板43は、素子基板41の強度を補強するために設けられ、例えば42アロイ等の金属板や、半導体基板等により構成され、素子基板41に接合されている。封止板43の材質や厚みは、送信用トランスデューサー51及び受信用トランスデューサー52の周波数特性に影響を及ぼすため、送受信する超音波の中心周波数に基づいて設定することが好ましい。
音響レンズ45は、音響整合層44上に設けられ、図1に示すように、筐体21のセンサー窓21Bから外部に露出する。
これらの音響整合層44や音響レンズ45は、送信用トランスデューサー51から送信された超音波を測定対象である生体に効率よく伝搬させ、また、生体内で反射した超音波を効率よく受信用トランスデューサー52に伝搬させる。このため、音響整合層44及び音響レンズ45は、素子基板41の各トランスデューサー51,52の音響インピーダンスと、生体の音響インピーダンスとの中間の音響インピーダンスに設定されている。
配線基板23は、超音波デバイス22が接合され、各トランスデューサー51,52を制御するためのドライバ回路等が設けられる。この配線基板23は、図2に示すように、端子部231、選択回路232、送信回路233、受信回路234、分極回路235、及びコネクタ部236(図3参照)を備えている。
端子部231は、配線基板23に超音波デバイス22が接合された際に、素子基板41の端子領域Ar2に引き出された各電極線(下部電極414、上部電極416、電極線521,522)が電気的に接続される。各電極線と端子部231とは、FPC(Flexible Printed Circuits)25(図3参照)により接続される。
また、本実施形態では、受信用トランスデューサー52に接続される電極線521,522のうちの一方、例えば、電極線522が接続された端子部231は、例えばグランド回路等に接続され、第二電極426が、共通電位(例えば0電位)に設定される。
送信回路233は、制御装置10の制御により送信接続に切り替えられた際に、選択回路232を介して超音波センサー24に超音波を発信させる旨の送信信号を出力する。
受信回路234は、制御装置10の制御により受信接続に切り替えられた際に、選択回路232を介して超音波センサー24から入力された受信信号を制御装置10に出力する。受信回路234は、例えば低雑音増幅回路、電圧制御アッテネーター、プログラマブルゲインアンプ、ローパスフィルター、A/Dコンバーター等を含んで構成されており、受信信号のデジタル信号への変換、ノイズ成分の除去、所望信号レベルへの増幅等の各信号処理を実施した後、処理後の受信信号を制御装置10に出力する。
また、分極回路235は、端子521P及び端子522Pの間に、第二分極電圧を印加して、受信素子421の圧電膜422の分極処理を行う。
ここで、本実施形態では、受信用トランスデューサー52の第一電極425及び第二電極426の間のギャップG1の寸法が大きく、圧電膜422の圧電特性を十分に高めるためには、第一分極電圧よりも大きい第二分極電圧が必要となる。この第二分極電圧は、各受信用トランスデューサー52の第一電極425及び第二電極426の間に、10kV/cm以上の電界が加わるように設定されている。
なお、本実施形態では、電極425,426間の距離dは、d=6μmであり、第二分極電圧として30Vが印加される。したがって、各受信用トランスデューサー52の圧電膜422に500kV/cmの電界が印加されることになる。
制御装置10は、図2に示すように、例えば、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、演算部14と、を備えて構成されている。この制御装置10は、例えば、タブレット端末やスマートフォン、パーソナルコンピューター等の端末装置を用いてもよく、超音波プローブ2を操作するための専用端末装置であってもよい。
操作部11は、ユーザーが超音波測定装置1を操作するためのUI(user interface)であり、例えば表示部12上に設けられたタッチパネルや、操作ボタン、キーボード、マウス等により構成することができる。
表示部12は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、画像を表示させる。
記憶部13は、超音波測定装置1を制御するための各種プログラムや各種データを記憶する。
演算部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算回路や、メモリー等の記憶回路により構成されている。そして、演算部14は、記憶部13に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、送信回路233に対して送信信号の生成及び出力処理の制御を行い、受信回路234に対して受信信号の周波数設定やゲイン設定などの制御を行う。
次に、受信用トランスデューサー52の製造方法を説明する。
図12は、本実施形態の受信用トランスデューサー52の製造方法を示すフローチャートである。図13(A)〜図13(E)及び図14(A),(B)は、受信用トランスデューサー52の製造方法における各工程を模式的に示す図である。
受信用トランスデューサー52の製造では、まず、Siにより構成された基板本体部411の一面に対して、熱酸化処理を実施する(図12のステップS1:基板熱酸化工程)。このステップS1により、図13(A)に示すように、基板本体部411の表面のSiが酸化処理されてSiO2となり、支持膜412の支持層412Aが形成される。
次に、表面層412Bの上に、溶液法でBiFeTiO3を10nm積層することが有効である。BiFeTiO3の焼成温度は600〜700℃である。
このステップS3では、まず、図13(C)に示すように、表面層412B上に第一圧電膜423を形成する(図12のステップS31:第一圧電膜形成工程)。その後、図13(D)に示すように、第一圧電膜423上に第二圧電膜424を形成する(図12のステップS32:第二圧電膜形成工程)。
このステップS31及びS32では、例えば溶液法によりPZTを形成する。ここで、第二圧電膜424におけるPZTの各成分の組成比としては、Zr:Ti=52:48とすることが好ましい。このような組成とすることで、圧電膜422の圧電特性の更なる向上を図れる。また、この場合、第一圧電膜423は、第二圧電膜424と異なる組成比となるように形成される。
溶液法を用いたPZTの形成では、第一圧電膜423を形成する場合は表面層412B上に、第二圧電膜424を形成する場合は第一圧電膜423上にPZT溶液を塗布する(塗布工程)。この後、塗布されたPZT溶液を焼成する(焼成工程)。焼成工程では、例えばプレベーク400℃、RTA焼成700℃の条件にて実施する。この際、上述したように、ZrO2により構成された表面層412B上にPZTが形成されることで、PZTの結晶配向性を(100)配向に揃えやすくなる。なお、塗布工程及び焼成工程は、複数回繰り返して実施され、これにより、所望厚み寸法の圧電膜が形成される。
この後、形成された圧電膜を、エッチング処理(イオンミリング)によりパターニングし、図13(E)に示すような圧電膜422を形成する(図12のステップS33:パターニング工程)。
以上により、受信用トランスデューサー52が形成される。
本実施形態の超音波測定装置1は、超音波プローブ2を備え、当該超音波プローブ2には、配線基板23と超音波デバイス22とにより構成された超音波センサー24が設けられている。また、超音波デバイス22は、超音波を受信する受信用トランスデューサー52が複数設けられた受信アレイRRを備えている。そして、受信用トランスデューサー52は、可撓部412Dと、可撓部412D上に設けられた圧電膜422と、少なくとも一部が圧電膜422上に設けられ、平面視においてギャップG1を介して対向する第一電極425及び第二電極426と、を備える。これらのうち、圧電膜422は、可撓部412D上に設けられた第一圧電膜423と、第一圧電膜423上に設けられた第二圧電膜424と、を備える。これら圧電膜423,424のうち、積層方向に可撓部412Dから遠く、超音波の受信時の面内歪みが大きい第二圧電膜424の方が、第一圧電膜423よりも比誘電率ε及び圧電e定数が大きく、すなわち、面内歪みが小さい第一圧電膜423の方が、比誘電率ε及び圧電e定数が小さい。
このような構成では、第二圧電膜424の圧電e定数が低減することによる、受信感度の低下を抑制しつつ、圧電膜422の比誘電率εを低減させることができ、超音波受信時における受信用トランスデューサー52からの出力電圧Vを増大させる、すなわち、受信用トランスデューサー52の受信感度を向上させることができる。したがって、高精度な超音波測定を実施可能な超音波センサー24及び超音波測定装置1を得ることができる。
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、受信用トランスデューサー52は、第一電極425及び第二電極426が対向して配置されていた。これに対して、第二実施形態では、第一電極425及び第二電極426の間に、中間電極が配置される点で相違する。
本実施形態の受信用トランスデューサー53は、図15及び図16に示すように、受信素子421Aは、第一電極425と、第二電極426と、圧電膜422と、中間電極427と、を備える。
一方、中間電極427は、端子領域Ar2において配線基板23の受信回路234に接続されている。これにより、中間電極427と第一電極425との間の電位差、及び中間電極427と第二電極426との間の電位差に応じた信号が、配線基板23の受信回路234において検出される。すなわち、中間電極427は、上記電位差に応じた信号を出力する信号電極(SIG電極)として機能する。
なお、本実施形態では、中間電極427をSIG電極とし、第一電極425及び第二電極426をCOM電極とする例を示したが、これに限定されず、例えば、中間電極427をCOM電極とし、第一電極425及び第二電極426をSIG電極として機能させてもよい。この場合、第一電極425及び第二電極426から出力された電圧信号を加算して、超音波の受信信号として検出する。
本実施形態では、第一電極425及び第二電極426の間に中間電極427が配置され、第一電極425及び中間電極427の間と、第二電極426及び中間電極427の間とに静電容量が形成される。このような構成では、互いに対向する各電極間の対向面の面積を増大させることができ、受信用トランスデューサー52における合成静電容量を増大させることができる。
ここで、受信用トランスデューサー52が有する合成静電容量をC0とし、外部回路(例えば配線基板23の受信回路234までの回路等)における浮遊容量をC1とすると、受信回路234において検出される出力電圧Vは、以下式(6)により示される。
V=Q/(C0+C1)
=(Q/C0)×{C0/(C0+C1)} ・・・(6)
これに対して、本実施形態では、上述のように、受信用トランスデューサー52が有する合成静電容量C0を大きくできるため、式(6)におけるC0/(C0+C1)の値を「1」に近付けることが可能となる。このため、外部回路の浮遊容量C1の影響を抑制でき、高い受信感度を得ることができる。
次に、本発明に係る第三実施形態について説明する。
上記第二実施形態では、第一電極425と、第二電極426との間に一つの中間電極427が配置されていた。これに対して、第三実施形態では、複数の中間電極が第一電極及び第二電極との間に配置される点で、上記第二実施形態と相違する。
本実施形態の受信用トランスデューサー54の受信素子421Bは、図17に示すように、第一電極425及び第二電極426と、圧電膜422との他に、第一中間電極428と、第二中間電極429と、を備える。
そして、これらのギャップG4、ギャップG5、及びギャップG6のギャップ寸法(電極間の離間距離)は、同一寸法となる。
本実施形態では、第二実施形態と同様の作用効果に加えて、更に、以下の作用効果を奏する。
すなわち、本実施形態では、圧電膜422の中心位置と重ならない位置に、中間電極428,429が設けられている。すなわち、圧電膜422の歪みが最大となる位置に電極が配置されておらず、圧電膜422からの出力電圧Vを大きくすることができ、検出感度を向上させることができる。
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
上記各実施形態では、圧電膜422として、第一圧電膜423と第二圧電膜424との二層の圧電膜が積層された構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、三層以上の圧電膜が積層された構成としてもよい。この場合でも、各圧電膜の比誘電率は、可撓部412Dから遠ざかるにしたがって、大きくなるように設定されている。
また、圧電膜422として、可撓部412Dから遠ざかるにしたがって比誘電率が大きくなる一層の圧電膜を用いてもよい。一層の圧電膜であっても、比誘電率が膜厚方向で変化していれば、本発明と同等の効果を有する。この膜厚方向での比誘電率のコントロールは、下地層、この場合は表面層412Bからのエピタキシャル応力を用いて実現することができる。すなわち表面層412Bが圧電膜422に圧縮応力をかけるのであれば、圧電体の分極モーメントはZ方向(膜面に垂直方向)に向き、その結果として、表面層412Bに近い圧電膜ほど比誘電率が低下することになる。特に、前記した圧電膜422への圧縮応力印加について有効な手段として、表面層412B層と圧電膜422の間に、ペロブスカイト型構造を有するBiFeTiO3を10nm程度積層することが有効である。
また、第二実施形態及び第三実施形態では、第一実施形態の受信用トランスデューサー52に対して、中間電極427,428,429を可撓部412D上に設ける構成を例示したが、これに限定されず、第一電極425や第二電極426と異なる平面に形成してもよい。例えば、中間電極427,428,429が、圧電膜422と可撓部412Dとの間や圧電膜422の内部に設けられる構成としてもよい。
ただし、この場合、圧電膜422を分極処理する際の分極電圧も増大する。したがって、中間電極の数としては、第二実施形態や第三実施形態のように、1〜2個とすることが好ましい。
圧電膜422を構成するペロブスカイト型遷移金属酸化物として、PZTの他、例えばBiBaFeTiO3、KNaNbO3、BST(チタン酸バリウムストロンチウム:(BaxSr1−x)TiO3)、SBT(タンタル酸ビスマスストロンチウム:SrBi2Ta2O9)等を用いてもよい。
さらに、表面層412Bとして、ZrO2層により構成される例を示したがこれに限定されない、例えばTiO2等により構成されていてもよい。
図19は、受信アレイRRの一変形例を模式的に示す平面図である。
図19に示す例の受信用トランスデューサー群52Bは、Y方向に沿って設けられた一対の電極線521,522と、これら一対の電極線521,522の間で複数(図19に示す例では3つ)の受信用トランスデューサー52がX方向に沿って直列に接続された直列部SCと、を有する。そして、直列部SCは、Y方向に沿って複数配置され、一対の電極線521,522の間で並列に接続されている。
このような構成では、直列部SCに接続された各受信用トランスデューサー52から出力される電圧信号が加算されて出力されるので、受信信号を大きくでき、受信感度の向上を図れる。
例えばギャップG1の寸法としては、2μm未満としてもよい。ただし、この場合では、上述したように、電極間の距離dが小さく、圧電膜422からの出力電圧Vが低下することが考えられるが、分極処理における第二分極電圧を小さくできる。また、図19に示すように、複数の受信用トランスデューサー52により、直列部SCを構成することで、受信信号の増大を図れる。
また、分極回路235として、分極処理に各受信用トランスデューサー52に印加する第二分極電圧として、より大きい電圧を印加可能な電源構成を用いる場合では、ギャップG1の寸法を8μmより大きくしてもよい。
例えば、送信用素子基板に送信アレイTRを設け、受信用素子基板に受信アレイRRを設ける構成としてもよい。封止板43、音響整合層44、及び音響レンズ45においても同様に、送信アレイTRと受信アレイRRとにおいて、それぞれ別部材としてもよい。
例えば、音響整合層44及び音響レンズ45が支持膜412(可撓部412D)の基板本体部411側に設けられ、開口部411A,411B内に音響整合層44が充填される構成としてもよい。この場合、封止板43は、支持膜412の基板本体部411とは反対側に設けられ、平面視において、開口部411A,411Bに対向する位置に凹溝を備える構成とする。このような構成では、送信用トランスデューサー51や受信用トランスデューサー52,53,54の各電極が、音響整合層44側に露出せず、超音波デバイス22における防水性を高めることができる。
Claims (8)
- 可撓膜と、
前記可撓膜に設けられる圧電体と、
前記圧電体に設けられる第一電極と、
前記圧電体に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と所定のギャップを介して対向する第二電極と、を備え、
前記圧電体の比誘電率は、前記可撓膜から遠ざかるにしたがって大きくなり、
前記圧電体は、複数層により構成され、前記可撓膜上に設けられる第一圧電層と、前記第一圧電層よりも比誘電率が大きい第二圧電層を備え、
前記第一圧電層及び前記第二圧電層は、同一の構成材料により構成され、それぞれ構成する組成比が異なる、
ことを特徴とする圧電素子。 - 請求項1に記載の圧電素子において、
前記圧電体は、ペロブスカイト型遷移金属酸化物により構成される
ことを特徴とする圧電素子。 - 請求項2に記載の圧電素子において、
前記圧電体は、PbとZrとTiを含む
ことを特徴とする圧電素子。 - 請求項1に記載の圧電素子において、
前記可撓膜は、前記圧電体に接する第一層を含み、当該第一層は、絶縁性を有する遷移金属酸化物により構成されている
ことを特徴とする圧電素子。 - 請求項4に記載の圧電素子において、
前記第一層は、ZrO2により構成されている
ことを特徴とする圧電素子。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の圧電素子において、
前記ギャップは、2μm以上、8μm以下である
ことを特徴とする圧電素子。 - 可撓膜と、
前記可撓膜に設けられる圧電体と、
前記圧電体に設けられる第一電極と、
前記圧電体に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と所定のギャップを介して対向する第二電極と、
前記第一電極及び前記第二電極と電気的に接続される端子部を有する配線基板と、を備え、
前記圧電体の比誘電率は、前記可撓膜から遠ざかるにしたがって大きくなり、
前記圧電体は、複数層により構成され、前記可撓膜上に設けられる第一圧電層と、前記第一圧電層よりも比誘電率が大きい第二圧電層を備え、
前記第一圧電層及び前記第二圧電層は、同一の構成材料により構成され、それぞれ構成する組成比が異なる、
ことを特徴とする圧電モジュール。 - 可撓膜、前記可撓膜に設けられる圧電体、前記圧電体に設けられる第一電極、及び、前記圧電体に設けられ、前記可撓膜の厚さ方向から見た平面視で、前記第一電極と所定のギャップを介して対向する第二電極を備えた圧電素子と、
前記圧電素子を制御する制御部と、を備え、
前記圧電体の比誘電率は、前記可撓膜から遠ざかるにしたがって大きくなり、
前記圧電体は、複数層により構成され、前記可撓膜上に設けられる第一圧電層と、前記第一圧電層よりも比誘電率が大きい第二圧電層を備え、
前記第一圧電層及び前記第二圧電層は、同一の構成材料により構成され、それぞれ構成する組成比が異なる、
ことを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015213921A JP6679884B2 (ja) | 2015-10-30 | 2015-10-30 | 圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015213921A JP6679884B2 (ja) | 2015-10-30 | 2015-10-30 | 圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017085029A JP2017085029A (ja) | 2017-05-18 |
JP6679884B2 true JP6679884B2 (ja) | 2020-04-15 |
Family
ID=58713335
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015213921A Active JP6679884B2 (ja) | 2015-10-30 | 2015-10-30 | 圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6679884B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5585197B2 (ja) * | 2010-05-13 | 2014-09-10 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子 |
JP2013128075A (ja) * | 2011-12-19 | 2013-06-27 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子 |
WO2013132747A1 (ja) * | 2012-03-08 | 2013-09-12 | コニカミノルタ株式会社 | 圧電デバイス、超音波探触子、液滴吐出装置および圧電デバイスの製造方法 |
JP6164405B2 (ja) * | 2013-03-28 | 2017-07-19 | セイコーエプソン株式会社 | 圧電素子モジュール、超音波トランスデューサー、超音波デバイス、液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電素子モジュールの製造方法 |
-
2015
- 2015-10-30 JP JP2015213921A patent/JP6679884B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017085029A (ja) | 2017-05-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6728630B2 (ja) | 圧電素子、圧電モジュール、電子機器、及び圧電素子の製造方法 | |
JP6724502B2 (ja) | 超音波装置 | |
US11529126B2 (en) | Ultrasonic device, ultrasonic module, and ultrasonic measuring apparatus | |
TWI632710B (zh) | 超音波轉換器裝置及超音波探針及電子機器及超音波影像裝置 | |
US11800809B2 (en) | Piezoelectric element, piezoelectric actuator, ultrasonic probe, ultrasonic apparatus, electronic apparatus, liquid jet head, and liquid jet apparatus | |
CN109848022B (zh) | 超声波器件以及超声波测量装置 | |
CN107773271B (zh) | 超声波器件、超声波组件以及超声波测定装置 | |
US11018291B2 (en) | Ultrasonic device and ultrasonic apparatus | |
CN107028621B (zh) | 超声波换能器、超声波探头以及超声波装置 | |
JP6732099B2 (ja) | 超音波センサおよび超音波センサ装置 | |
JP2017117981A (ja) | 圧電素子、圧電モジュール、電子機器、及び圧電素子の製造方法 | |
JP6593104B2 (ja) | 圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 | |
JP6672877B2 (ja) | 超音波デバイス、超音波プローブ、超音波装置、及び超音波デバイスの製造方法 | |
JP6679884B2 (ja) | 圧電素子、圧電モジュール及び電子機器 | |
JP2016225420A (ja) | 圧電デバイスの製造方法、圧電デバイス、圧電モジュール、及び電子機器 | |
JP2017069662A (ja) | 圧電素子基板、圧電モジュール、超音波モジュール、及び超音波装置 | |
JP2019165307A (ja) | 超音波センサ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20180906 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181005 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20181116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190507 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190426 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190611 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20191029 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200114 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20200122 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200218 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200302 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6679884 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |