JP6679608B2 - 非接触トルク計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転トルク伝達系において伝達トルクの大きさを非接触構造にて計測する被接触トルク計測方法に関する。
従来の技術では、例えばダイアフラムカップリングにおける伝達トルクの大きさを計測する際、ひずみゲージを用いて、ひずみ量を計測しトルクを算出している(ひずみゲージ方式)。またこの外、光学系を利用する光学読み取り方式や回転部に磁気円盤を組み付ける磁気ヘッド読み取り方式で回転を計測し、回転位相差からトルクを算出する技術が開発されている。
実開昭62−155338号公報 実開平2−88140号公報
しかしながらこれらの従来技術に対しては、以下の問題が指摘される。
(1)ひずみゲージ方式や磁気ヘッド読み取り方式では、カップリング回転部にひずみゲージや磁気円盤などの検出体を組み付けるため、これらの検出体に対し常に運動負荷が作用する。したがってこのように検出体に常に運動負荷が作用することによって検出体に故障または、異常が発生することがある。また、これらの方式では計測装置の部品数や組立工数が多いため、装置の製造費用が高い。
(2)光学読み取り方式では、読み取り部周囲に粉塵等が発生した場合、この粉塵等によって誤作動が起こることがある。また、読み取り部に油や汚れが付着することで計測が不可能になることもある。
(3)磁気ヘッド読み取り方式では、ギア部分が高速で回転すると危険であるため、装置を密閉構造にする必要がある。
上の点に鑑みて、運動負荷による故障や異常が発生しにくく、トルク検出に必要な部品数や組立工数を削減することができ、粉塵、油や汚れによる誤作動や計測不可能が発生しにくく、装置を密閉構造にする必要もない非接触トルク計測方法を提供することを目的とする。
ルク伝達系における駆動側金属回転体及び従動側金属回転体間で伝達するトルクを計測するトルク計測方法であって、外周部に凹凸状のマーカー部を設けた前記金属回転体に対して、それぞれ電磁コイルを非接触で近接配置し、発振させた前記電磁コイルから得られる負荷変動の出力波形をサンプリングし、サンプリングデータが閾値と交差するパルス期間内の基準点を前記マーカー部の位置として検出し、前記マーカー部の位置の検出に際して、前記パルス期間の最小値を保持し、当該パルス期間を経て次の前記パルス期間が到来する前のサンプリングデータの平均からベース値を求め、前記保存した最小値と前記ベース値との平均値を、前記次のパルス期間を検出するための前記閾値として用い、トルク伝達に伴って前記両金属回転体の間に発生する回転位相差と前記両金属回転体の回転速度とを前記マーカー部の検出位置に基づいて算出し、算出した回転速度及び回転位相差から伝達トルク値を算出する。
転負荷によって電磁コイルに故障や異常が発生することがない。トルク検出に必要な部品数や組立工数を大幅に削減することができる。構造が簡単となり、密閉構造にする必要がない。電磁コイルの配置について自由度が増大する。粉塵、油や汚れなどによる誤作動や計測不可能が発生しにくい。
施例に係る非接触トルク計測方法において計測対象とするダイアフラムカップリングの説明図及び非接触トルク計測装置の説明図 誘導負荷波形を示す説明図 無負荷/低速回転時の出力波形を示す説明図 負荷/高速回転時の出力波形を示す説明図 (A)はマーカー部の実測データを示す説明図、(B)は周期計算の基準点を示す説明図 (A)はマーカー部のサンプリングデータを示す説明図、(B)は計算対象差分データを示す説明図 サンプリング時間の重心位置を示す説明図 可変スレッシュを示す説明図
施例を図面にしたがって説明する。
当該実施例に係る非接触トルク計測方法は、トルク伝達系としてダイアフラムカップリングにおける駆動側ダイアフラム(駆動側金属回転体)及び従動側ダイアフラム(従動側金属回転体)間で伝達する伝達トルクの大きさを計測するものである。
図1に示すように、ダイアフラムカップリング1は、駆動側ダイアフラム2及び従動側ダイアフラム3をセンターチューブ4を介して互いに連結したものであって、駆動側ダイアフラム2からセンターチューブ4を介して従動側ダイアフラム3へトルクを伝達する。駆動側ダイアフラム2は駆動側フランジ5及びガード6間に挟持され、駆動側フランジ5は駆動側の回転軸(図示せず)に接続される。従動側ダイアフラム3は従動側フランジ7及びガード8間に挟持され、従動側フランジ7は従動側の回転軸(図示せず)に接続される。駆動側ダイアフラム2及び従動側ダイアフラム3はそれぞれ導電性を備える金属材質よりなる。
上記ダイアフラムカップリング1に特有の構成として、駆動側ダイアフラム2の外周部(外周面又は軸方向端面)及び従動側ダイアフラム3の外周部(外周面又は軸方向端面)にそれぞれ円周上の位置を合わせて円周上一部の凹凸状のマーカー部9,10を設ける(予め凹凸状マーカー部9,10のずれ量が分かっていれば、必ずしも円周上の位置を合わせる必要はない)。凹凸状のマーカー部9,10の具体例としては、切削加工によって円周上一部の凹部を形成するが、そのほか例えば厚み約0.1〜0.2mmのステンレスシールを各ダイアフラム2,3の外周部に貼付することによりこれを円周上一部の凸部としても良い。
図1は、上記ダイアフラムカップリング1に取り付ける非接触トルク計測装置の構造を併せて示している。
上記したように駆動側ダイアフラム2の外周部及び従動側ダイアフラム3の外周部にそれぞれ円周上の位置を合わせて円周一部の凹凸状のマーカー部9,10を設け、各ダイアフラム2,3の外周側であって一定距離離れた位置にそれぞれ電磁コイルよりなる検出部11,12を非接触で配置する。検出部(コイル)11,12はこれをケーブル13,14を介して誘導負荷センサー本体15及び計測MPU16に接続する。誘導負荷センサー本体15は検出部(コイル)11,12を発振させ、その負荷変動から検出部(コイル)11,12及びダイアフラム2,3間の距離を計測する。凹凸状のマーカー部9,10はそれ以外の凹凸加工のされていない部分と比べ、検出部(コイル)11,12及びダイアフラム2,3間の距離が変化するため、回転検出のマーカーとして作用する。検出部(コイル)11,12としては、安価なPCBパターンコイルを使用することができる。
つぎに、上記距離の計測にもとづくトルク計算方法について説明する。
回転時、検出部(コイル)11,12の誘導負荷変動の出力波形は例えば図2に示すようになる。この例では、凹凸状のマーカー部9,10として凸加工でなく凹み加工を行った際の実測波形データを示しているので、マーカー部9,10の位置P〜Pで負荷値が極端に低減している。
両ダイアフラム2,3に対し非接触で近接配置した検出部(コイル)11,12は、無負荷時または低速回転時に図3に示すとおり両検出部(コイル)11,12の位相が合うように適切な調整を行う。調整は機械的に行い、又は電気回路上若しくはソフトウェア上で行う。図では、線Aが駆動側の検出部11、線Bが従動側の検出部12を示している。
負荷が掛かるとセンターチューブ4が捩れるため、図4に示すように両側の出力位相がずれてくる(ずれをgにて示す)。したがってこの位相差を検出し、回転速度と位相差から計測MPU16で演算処理を行うことにより伝達トルク値を計算で求めることになる。
尚、凹凸状のマーカー部9,10についてはこれを、ダイアフラム2,3ではなく、ダイアフラム2,3に接合するフランジ5,7又はガード6,8に設けるようにしても良い。
上記計測方法はダイアフラムカップリングに限らず、2つの金属回転体とこれを接続する円柱の駆動側と従動側のトルクを計測する際に有効である。
記位相差検出を行うには、以下の手法を用いる。
1.重心検出
(1)概要
図5(A)(B)に示すように、従来の周期計算のための基準点算出方法によると、マーカー部のデータをパルス化し、サンプリングデータの立ち上がりとスレッシュ(閾値)とが交差する立ち上がりエッジの位置を位相検出の基準点(エッジによる基準点)としているが、この方法では、サンプリングデータがスレッシュより大きいか小さいかのみを見ており、サンプリングデータの量的な変化を考慮していない。これに対し図5(B)に示すように、上記立ち上がりエッジの位置に代えて、重心の位置を位相検出の基準点(重心による基準点)とすることにより、サンプリングデータの量的な変化を考慮し、基準点検出精度を向上することができる。
(2)実現方法
図6(A)に示すように、スレッシュ以下の値を示すサンプリングデータを計算対象データとして重心を求める。先ず、計算対象データの合計を求め、合計データの1/2から各計算対象データを順々に差し引き、減算結果が0以下になるタイミングの計算対象データを、重心を含むサンプリングデータとする。次いで、この重心を含むサンプリングデータと残差分値との割合から、サンプリング時間内の位置を求め、重心とする。重心計算に用いるスレッシュは、後記する可変スレッシュにて決定するスレッシュである。1サンプリング時間は回転速度等の使用条件により最適な時間の設定を行う。
一層詳細には先ず、計算対象とするサンプリングデータの値を合計する。これには図6(B)に示すように、計算対象データごとに、スレッシュから計算対象データを差し引いた計算対象差分データを算出し、この計算対象差分データを合計する。
計算対象差分データ:D=スレッシュ−サンプリングデータ
Figure 0006679608
次いで、上記合計データの1/2から各計算対象差分データを先頭から順々に差し引き、減算結果が0以下となる点を、重心があるサンプリングデータとする。
S/2−D1=S1
S1−D2=S2
S2−D3=S3
以下、減算結果が0以下となるまで繰り返す。
次いで、上記重心位置のサンプリングデータと残差分値との割合から重心を算出し、サンプリング時間に対する重心位置を決定する。
差分が0以下になるときの、重心があるサンプリングデータ:D
残差分値:S
サンプリング時間:T
重心=S/D*T
例えば、D=1000、S=200、T=75の場合、
重心=200/1000*75=15
により図7に示すように、重心位置データの75usのうちの15usの位置に重心が求められる。
2.可変スレッシュ
(1)概要
従来の方法では、機器使用者がスレッシュを決定し、レジスタに設定しているが、回転によって偏心が生じた場合や、軸方向に変位があった場合、センサーデータのベース値が変動し、設定したスレッシュ値が適正条件から外れることが予想される。そこで、現在のベース値を反映して最適なスレッシュを自動決定することにより、パルス化精度を向上することができる。
(2)実現方法
現在のパルスから次のパルス、または1回転後の自パルスに対するスレッシュを求める。すなわち図8に示すように先ず、パルス期間の最小値を保持する。次いで、パルス期間が終了したら、パルス期間の半分の時間を待つ。時間経過後、サンプリングデータの平均からベース値を求める。次いで、最小値とベース値の平均からスレッシュを算出する。この方法によれば、レジスタ設定にて立ち下がりと立ち上がりのスレッシュにオフセットを与えることが可能となる。尚、ベース値の平均数はパルス期間のサンプリングデータ数としている。
1 ダイアフラムカップリング
2 駆動側ダイアフラム(駆動側金属回転体)
3 従動側ダイアフラム(従動側金属回転体)
4 センターチューブ
5,7 フランジ
6,8 ガード
9,10 凹凸状のマーカー部
11,12 検出部(コイル)
13,14 ケーブル
15 誘導負荷センサー本体
16 計測MPU

Claims (3)

  1. トルク伝達系における駆動側金属回転体及び従動側金属回転体間で伝達するトルクを計測するトルク計測方法であって、
    外周部に凹凸状のマーカー部を設けた前記金属回転体に対して、それぞれ電磁コイルを非接触で近接配置し、
    発振させた前記電磁コイルから得られる負荷変動の出力波形をサンプリングし、サンプリングデータが閾値と交差するパルス期間内の基準点を前記マーカー部の位置として検出し、
    前記マーカー部の位置の検出に際して、前記パルス期間の最小値を保持し、当該パルス期間を経て次の前記パルス期間が到来する前のサンプリングデータの平均からベース値を求め、前記保存した最小値と前記ベース値との平均値を、前記次のパルス期間を検出するための前記閾値として用い、
    トルク伝達に伴って前記両金属回転体の間に発生する回転位相差と前記両金属回転体の回転速度とを前記マーカー部の検出位置に基づいて算出し、算出した回転速度及び回転位相差から伝達トルク値を算出する
    ことを特徴とする非接触トルク計測方法。
  2. 請求項1記載の非接触トルク計測方法において、
    前記回転位相差の算出時に、前記パルス期間内のサンプリングデータにおける重心の位置を位相検出の基準点とする
    ことを特徴とする非接触トルク計測方法。
  3. 請求項1又は2記載の非接触トルク計測方法において、
    前記駆動側金属回転体及び従動側金属回転体は、ダイアフラムカップリングにおける駆動側ダイアフラム及び従動側ダイアフラムである
    ことを特徴とする非接触トルク計測方法。
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