JP6679423B2 - 高粘度流体ポンプ - Google Patents
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Description
1.プランジャーに類して真空を生成し円滑に高粘度流体をポンプ室に吸引可能とし、
2.プランジャーに類して流体摩擦を排しつつ、高粘度流体をポンプ室から押出吐出し、
3.ポンプ駆動体とハウジング間の動粘性摩擦による高粘度流体の変質、損傷を回避し、
4.ポンプ移送を停止後の再起動時も高付加の静摩擦が生ぜず、
5.吸入弁、吐出弁という複雑な構成を不要とし、
6.ポンプ室への高粘度流体の吸入吐出時の流体抵抗を減じつつ流体の変質を回避し、
7.高粘度流体ポンプをより少ない部品点数で実現する低コストの高粘度流体ポンプ、
等を提供することである。
ポンプハウジングには対向して吸入口と吐出口が設けられている。
このポンプは前記歯車の回転方向により吸入口と吐出口が決定され、吸入側と吐出側が前記噛み合う二つのロータの噛み合い部によって吸入口と吐出口はポンプ室内で分離されている。一方は吸込み側スペースとして高粘度流体を吸引する部分であり、もう一方が吐出側スペースであり、プランジャーポンプと異なり弁(バルブ)は不要である。
凸円弧を有するロータ側の方が内径の大きな第一ポンプ室であり、凹形円弧を有するロータ側の方が内径の小さな第二ポンプ室であり、第一及び第二ポンプ室は、ロータの噛み合いを構成する円弧部とハウジング内壁によってさらに複数のロータリチャンバーを形成している。
このポンプの流体入口側のスペースはロータの回転により体積が拡大し又出口側のスペースは体積が縮小し、プランジャーポンプと同様な吸入/吐出が行われるが、本発明では吸入された流体は回転ポンプの作用により吐出側に運ばれる。すなわち、ロータの回転によって円弧部の旋回に伴い、流体入口側のスペース拡大によって高粘度流体が吸入口から真空吸引され、円弧部とポンプ室内壁に囲まれる空間、凸円弧部とハウジング内壁で囲まれる山形のロータリチャンバーが第一ポンプ室側で軸周りに旋回され、凹円弧部とハウジング内壁で囲まれる半月形の回転チャンバーがそれぞれ軸回りを旋回回転するという押出しによって吐出口側へ回転移送され、流体を吐出口外に吐出し、吸入、移送、吐出が流体の変質を回避しつつ完結することになる。
発明の変形として、2つの円弧面には互いに対向する面が粘着しない様に円弧面に溝が掘られていてもよい。
このように溝が彫られていると、溝によって対向面間の面距離が増し動粘性抵抗が減じられる効果を得られる。
このように溝が彫られていると、溝によって対向面間の面距離が増し静止時のメニスカス形成が妨げられ静粘着抵抗が減じられる効果を得られる。
本発明のもう一つの変形として、開口部に連接して開口部及び前記第二ポンプ室に通じ軸方向に円筒形の空洞を形成する前記ハウジングである高粘度流体ポンプを提供されてもよい。
この円筒部(請求項における「窪み部」)によって、吸引時の流体摩擦抵抗を減じつつ、かつ、半月形の前記回転チャンバーと高粘度流体入口開口部の接続時間が増し、吸引効果を増すことが可能となり、真空吸引によるキャビティ発生を防止し、ポンプ効率を向上可能である。
1.ポンプ駆動体とハウジング間の動粘性摩擦による高粘度流体の変質、損傷を回避し、
2.ポンプ移送を停止後の再起動時も高付加の静摩擦、吸着、粘着が生ぜず、
3.吸入弁、吐出弁という複雑な構成を不要とし、
4.ポンプ室への高粘度流体の吸入吐出時の流体抵抗を減じつつ流体の変質を回避し、
5.高粘度流体ポンプをより少ない部品点数で実現する低コストの
高粘度流体ポンプを提供可能である。
図1は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の斜視模式図を示し、図2は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の分解斜視模式図を示し、図3は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の正面模式図で正面カバー板を外した場合のハウジング部5の内部構成を示し、図4は、本発明に係る高粘度流体ポンプ1の一実施形態である高粘度流体ポンプ1の背面模式図で背面カバーを外した場合のハウジング内部構成を示し、図5は、本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1の組立て状態のロータ20,30の回転を制御するタイミング機構40のタイミングギア22,32の構造を概念的に示す側面概念模式図であり、図6は、本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のシャフト2,3が回転した場合の吸気口7近傍の高粘度流体のチャンバーへの吸引の動きを経時的に示す正面からの模式透視図であり、図7は本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のシャフト2,3が回転した場合の排気口8近傍の高粘度流体のチャンバーから吐出される動きを経時的に示す遷移図であり、図8は本発明に係る高粘度流体ポンプの一実施形態である高粘度流体ポンプ1のポンプサイクルチャート図であり、これらの模式図のうち、縦断面模式図を含む、図5のロータ噛み合い部はハッチングを施し縦断面を明示し、図3では、ハウジング部5にハッチングを施し縦断面模式図で示し、図4、図5のタイミングギアはハウジング内部を透視する側面概念模式図で示すものである。
本発明に係る高粘度流体ポンプ1は、凸形曲面21を形成する断面を有する第一のロータ20と、; 凹形曲面31を形成する断面を有し前記ロータ20に軸方向AXに平行配置の第二のロータ30と、;
二つの前記ロータ20,30を互いに逆向きに回転駆動可能である各ロータ20,30に各タイミング制御部材22,32が同心に結合されて当該各ロータ20,30の回転を同期可能であるタイミング機構40と;そして、
前記第一のロータと軸方向同心円筒形に形成された第一ポンプ室23及び前記第一ポンプ室23と軸方向AXに並列されて前記第二の前記ロータ30と軸方向同心円筒形に形成された第二ポンプ室33を有し前記二つのロータ20,30に結合されたシャフト2,3を回転自在に支持可能な軸受部11,13を有するハウジング6、軸受部12,14を有するハウジング背面カバー9、ハウジング正面カバー10を含むハウジング部5;、
を有する高粘度流体ポンプであって、前記二つのロータ20,30がその軸断面形状の外縁が互いに噛み合い可能な同数の凹凸面形である複数の凹凸曲面部21,31を含み、かつ、前記ハウジング6は前記二つの前記ロータ20,30の前記噛み合い部の中央部に軸方向垂直の一方側に高粘度流体の吸込口7及びもう一方に前記吸込口7へ対向して吐出口8を備える高粘度流体ポンプ1である。 二つのロータ20,30はシャフト2,3にキーによって固定連結され、ロータ20,30は噛み合い連結され、タイミングギア22,32で同期回転制御されている。吸込口7に隣接し前記第二のポンプ室33と前記吸込口7を連接する窪み部18,19が前記第二のポンプ室内壁面33に設けてられている。ここで噛み合いは必ずしも接触しなくてもよく、僅かに離隔配置されてもよい。
本発明に係る高粘度流体ポンプ1によって二つのポンプ室23,33が連携し高粘度度流体を圧送するが、この高粘度流体ポンプ1の稼働状態での作用効果をポンプ運転の各段階の遷移図6を参照しつつ説明する。
(1)第一行程:S10 チャンバーの形成開始から1/4サイクル経過まで
(2)第二行程:S20 1/4サイクルから1/2サイクルまで
(3)第三行程:S30 1/2サイクルから3/4サイクルまで
(4)第四行程:S40 3/4サイクルからチャンバー完成まで
(5)第一行程の繰り返し 図6中の高粘度流体ポンプ1の上方から次サイクルの高粘度流体に対してサイクルを繰り返す。以下の(1)〜(5)は複数のチャンバーの一つ又は二つに着目し、吸引又は吐出の経時段階を説明する。ここで、段階とは高粘度流体を基準とするポンプ機能の経時変化を表現する切り口を指し、()内記載の行程とはロータ回転を基準とする回転の経時変化を表現する切り口を指す。なお、ロータ20,30は各々キーによってシャフト2,3に固定結合されており、さらにシャフト2のタイミングギア22側端部では(図示しない)モーター駆動機構の駆動軸に固定結合されている。
吸引口7付近の高粘度流体のポンプ吸引の段階を複数のチャンバー26,27,28,29,37,38,39の一つ又は二つに着目し、これらの経時行程に応じて吸引段階に分類説明すると以下となる。
(1)吸引前段階(第一行程:S10)
(2)吸引段階(初期)(第二行程:S20)
(3)吸引段階(中期)(第三行程:S30)
(4)吸引段階(後期)(第四行程:S40)
(5)搬送段階(第一行程S10に戻る。ロータ回転下流に位置する隣接凹凸部について吸引前段階に相当し、以下S10以降を繰返す)
第二行程S20とは、1/4行程であり、シャフトは1/24回転している
第三行程S30とは、2/4行程であり、S10よりシャフトは1/12回転している
第四行程S40とは、3/4行程であり、S10よりシャフトは1/8回転している
状態を、シャフト回転との関係で指す。
(2)吸引段階(初期)(第二行程:S20)は、シャフトは1/24回転後、ロータ20,30の回転により吸引口7近傍の体積が増加しこの部分の真空度が増し吸気口7外から新しい高粘度流体団400を吸引し、1/4行程の進展により新しいチャンバーが元の26,37のチャンバーが存在していた場所に形成されつつある段階である。
(3)吸引段階(中期)(第三行程:S30)では、シャフトは1/12回転しており、ロータ20,30の回転により1/2行程の進展により新しいチャンバーの半分程度形成が進んでおり、なお、高粘度流体201は吸引口7近傍から新しいチャンバー形成部へ取り込まれつつ高粘度流体202と変形し双方のチャンバーへ取り込まれる。
(4)吸引段階(後期)(第四行程:S40)では、シャフトは1/8回転しており、ロータ20,30の回転により新しいチャンバー形成が3/4程度まで進んでおり、なお、高粘度流体201は吸引口7近傍から新しいチャンバー形成部へ取り込まれつつある段階である。本発明は高粘度流体が対象のポンプであるからできるだけ吸引を促す観点で、吸込口に隣接し前記第二のポンプ室33と前記吸込口7を連接する窪み部18,19を前記第二のポンプ室内壁面33に設け、第二行程後もなおロータ30に設けられている凹曲面31と第二のポンプ室内面33で形成されようとしているチャンバー内への吸引を促進する構成を取る。吸込み口7近傍の高粘度流体201は第四行程完了までも連絡接続可能であり、吸引能力を増している。ロータ20に設けられている凸曲面21と第一のポンプ室内面23で形成されようとしているチャンバーは、同様の窪みを第一ポンプ側に設けなくとも第一のポンプ室内面、ロータ20に設けられている凸曲面21と回転下流側に隣接する噛み合い部の凸曲面及びポンプ室内面33で形成されようとしているチャンバー内と吸引口7近傍の高粘度流体201は第四行程完了まで接続可能であり、別途の前記窪みの手当てを要することもないが、設けても差し支えない設計も可能である。
(5)搬送段階(第一行程S10に戻る)は、新たにチャンバー26,37が形成されこの部分に高粘度流体201は、各々高粘度流体203,303にチャンバー26,37空間領域内に拘束されている状態である。この段階で新たな高粘度流体400が元の高粘度流体201のように吸引口7近傍に噛み合い部が開くにつれて真空吸引され、高粘度流体が順次補給されている。爾後ロータ回転に伴いチャンバー内に拘束された高粘度流体203,303は吐出口8に向かい旋回される。
吐出口8付近の高粘度流体のポンプ吐出の段階を複数のチャンバーの一つ又は二つに着目し、これらの経時段階で分類説明すると以下となる。
(1)吐出前段階(第一行程:S10)
(2)吐出段階(初期)(第二行程:S20)
(3)吐出段階(中期)(第三行程:S30)
(4)吐出段階(後期)(第四行程:S40)
(5)搬送段階(S50、隣接凸部についてS10に相当し、以下S10からの繰返し)
二つの前記ロータ720,730を互いに逆向きに回転駆動可能である各ロータに各タイミング制御部材(図示しない)が同心に結合されて当該各ロータの回転を同期可能である(図示しない)タイミング機構740と;そして、
前記第一のロータ720と軸方向同心円筒形に形成された第一ポンプ室及び前記第一ポンプ室と軸方向に並列されて前記第二の前記ロータと軸方向同心円筒形に形成された第二ポンプ室を有し、これらポンプ室内面と前記ロータの前記凸形曲面721又は前記凹形曲面731に囲まれる複数のチャンバー728,729,739を形成可能であって前記二つのロータ720,730を回転自在に支持可能な軸受部(図示しない)を有するハウジング部705;、
を備え、前記凸形曲面721及び前記凹形曲面731は二つのロータ720,730の軸断面形状の外縁が互いに噛み合い可能な凹凸曲面部を含み、かつ、
前記ハウジング705は前記二つの前記ロータ720,730の前記噛み合い部の中央部に軸方向垂直の一方側に高粘度流体の吸込口707及びもう一方に前記吸込口707へ対向して吐出口708を備え、
前記チャンバー728,729,739は高粘度流体を前記吸込口から取込み前記吐出口へ向けて前記ロータ中心を旋回可能である高粘度流体ポンプ705であり、マルチ旋回チャンバー型高粘度流体ポンプであり、4つのチャンバー構成はポンピングを平準化可能な最小構成である。
2、3 シャフト
5 ハウジング部
6 ハウジング本体
7 吸入口
8 吐出口
9 ハウジング背面板
10ハウジング正面板
18,19 窪み部
20 第一のロータ
21、24 凸曲面
22 タイミングギア
23 第一のポンプ室
26,27,28,29 チャンバー
30 第二のロータ
31、34 凹曲面
32 タイミングギア
33 第二のポンプ室
35,36 溝
37,38,39 チャンバー
40 タイミング機構
11,12,13,14 軸受部
201,202、203、303、403 高粘度流体
701 高粘度流体ポンプ
720,730ロータ
721,731 凹凸形曲面
705 ハウジング
707 吸入口
708 吐出口
723,733 ポンプ室
728,729,739 チャンバー
AX 軸方向
S1 ポンプサイクル
S10 第一行程
S20 第二行程
S30 第三行程
S40 第四行程
Claims (4)
- 連続数する円弧状の凸形曲面を形成する第一のロータと、; 前記凸形曲面に噛み合う連続する円弧状の凹形曲面を形成する前記第一のロータに軸方向に平行配置された第二のロータと、;
二つの前記ロータを互いに逆向きに回転駆動可能である各ロータに各タイミング制御部材が同心に結合されて当該各ロータの回転を同期可能であるタイミング機構と;そして、
前記第一のロータと軸方向同心円筒形に形成された第一ポンプ室及び前記第一ポンプ室と軸方向に並列されて前記第二の前記ロータと軸方向同心円筒形に形成された第二ポンプ室を有し前記二つのロータを回転自在に支持可能な軸受部を有するハウジング部;、
を有する高粘度流体ポンプであって、
前記第二のロータの外径は、第一のロータの外径よりも小さく形成され、
前記第二のロータが内嵌される第二ポンプ室の内径は、前記第一のロータが内嵌される第一ポンプ室の内径よりも小さく形成され、
正面視において、前記ハウジング部には、前記第一のロータと第二のロータの噛み合い部の中央部に軸方向垂直の一方側に高粘度流体の吸込口及びもう一方に前記吸込口へ対向して吐出口が形成され、
正面視において、前記第二ポンプ室の下部と吸込口の上部の連接部に径方向の外側に向かう円弧状の窪みを形成し、前記第二ポンプ室の下部と吐出口の上部の連接部に径方向の外側に向かう円弧状の窪み部を形成し、
前記第一のロータの凸形曲面と第二のロータの凹形曲面に軸方向に延在する溝を形成したことを特徴とする高粘度流体ポンプ。 - 前記タイミング機構は、平歯車機構からなる請求項1又は2記載の高粘度流体ポンプ。
- 前記第一のロータには6個の凸形曲面が形成され、前記第二のロータには6個の凹形曲面が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の高粘度流体ポンプ。
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