以下、本発明の一実施形態について、図1〜図9を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。
本実施形態の蓄電素子は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子と組み合わされて蓄電装置に用いられる。前記蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子が電気エネルギーを供給する。
具体的に、蓄電素子は、図1〜図4に示すように、電極体2と、電極体2が収容されるケース3と、電極体2と導通された状態でケース3に配置される外部端子4と、少なくともケース3と外部端子4との間に配置される絶縁部材9と、を備える。本実施形態の絶縁部材9は、ケース3の内部に配置される内部絶縁部材91と、少なくとも一部がケース3の外部に配置される外部絶縁部材92と、を含む。また、蓄電素子1は、ケース3の内部において電極体2と外部端子4とを導通させる集電体5と、電極体2とケース3との間に配置される絶縁カバー7等も備える。
電極体2は、巻芯21と、正極23と負極24とが互いに絶縁された状態で積層され、且つ巻芯21の周囲に巻回された積層体22と、を備える(図2、図4参照)。この電極体2においてリチウムイオンが正極23と負極24との間を移動することにより、蓄電素子1が充放電する。
正極23は、帯状の金属箔231と、金属箔231の一部(本実施形態の例では、幅方向の一方端部)が露出した状態で該金属箔231の上に形成された正極活物質層232と、を有する。負極24は、帯状の金属箔241と、金属箔241の一部(本実施形態の例では、幅方向の他方端部)が露出した状態で該金属箔241の上に形成された負極活物質層242と、を有する。本実施形態の電極体2では、正極23と負極24とが帯状のセパレータ25によって絶縁された状態で巻回される。
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。
ケース3は、ケース本体31の開口周縁部34(図3参照)と、蓋板32の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。このケース3は、ケース本体31と蓋板32とによって画定される内部空間33(図2参照)を有する。そして、ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間33に収容する。このため、ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成されている。
ケース本体31は、板状の閉塞部311と、閉塞部311の周縁に接続される筒状の胴部312と、を備える。
閉塞部311は、開口が上を向くようにケース本体31が配置されたときに、ケース本体31の下端に位置する(即ち、前記開口が上を向いたときのケース本体31の底壁となる)部位である。閉塞部311は、長方形状の輪郭を有する板状である。以下の説明では、閉塞部311の短辺方向を直交座標系におけるX軸方向とし、閉塞部311の長辺方向を直交座標系におけるY軸方向とし、閉塞部311の法線方向を直交座標系におけるZ軸方向とする。また、各図面に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに対応する直交座標軸を補助的に図示する。
胴部312は、閉塞部311の輪郭に沿った角筒状、詳しくは、扁平な角筒状である。具体的に、胴部312は、閉塞部311の周縁における長辺から延びる一対の長壁部313と、閉塞部311の周縁における短辺から延びる一対の短壁部314とを有する。この胴部312の一端は、閉塞部311によって閉塞され、他端は、開口する。即ち、ケース本体31は、扁平な有底角筒形状である。
蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ板状の部材である。具体的に、蓋板32は、Z軸方向から見て、ケース本体310の開口周縁部34に対応した輪郭を有する。本実施形態の蓋板32には、一対の外部端子4が電極体2の各極(正極23、負極24)に電気的に接続された(導通した)状態で取り付けられている。
この蓋板32には、図5〜図8にも示すように、ケース3の内部と外部とを連通させる一対の貫通孔(穴)322が設けられる。貫通孔322は、ケース3の内部に収容された電極体2とケース3の外部に少なくとも一部が配置された外部端子4とを導通させるのに用いられる。具体的に、貫通孔322は、蓋板32をZ軸方向(厚さ方向)に貫通する。そして、貫通孔322は、Y軸方向における蓋板32の両端部にそれぞれ設けられる。即ち、一対の貫通孔322は、蓋板32においてY軸方向に間隔を空けて設けられる。貫通孔322には、外部端子4の一部が挿通される。
本実施形態の蓋板32では、外面から内面側に向かって凹む凹部321が配置され、この凹部321内に貫通孔322が配置されている。即ち、蓋板32は、貫通孔322の周縁部にケース3の内部に向かって凹む凹部321を有する。この凹部321は、X−Y面方向に広がる底部3211と、底部3211の周縁から立ち上がる周面部3212と、を有する。本実施形態の凹部321は、Z軸方向から見て円形であり(円形の輪郭を有し)、凹部321の中央部に、円形の貫通孔322が配置されている。本実施形態の凹部321は、蓋板32の貫通孔322の周囲をコイニング等によって加工硬化させることで形成されている。
外部端子4は、他の蓄電素子の外部端子又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子4は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、正極の外部端子(以下、「正極外部端子」とも称する。)41は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。また、負極の外部端子(以下、「負極外部端子」とも称する。)42は、銅又は銅合金等の銅系金属材料と、前記アルミニウム系金属材料と、によって形成される。
正極外部端子41は、図1〜図3、図5、図6に示すように、蓋板32(ケース3)の外側に配置される端子ヘッド411と、端子ヘッド411から延びて蓋板32を貫通する軸部415と、を有する。また、正極外部端子41は、軸部415から蓋板32の内面に沿って広がる大径部416も有する。本実施形態の正極外部端子41では、端子ヘッド411と軸部415と大径部416とが一体である。尚、図3及び図6に示す大径部416は、かしめられる前の状態である。
端子ヘッド411は、板状の部位である。本実施形態の端子ヘッド411は、Z軸方向から見て矩形状の板状の部位である。この端子ヘッド411は、蓋板32に沿って広がるヘッド本体412と、ヘッド本体412からケース3に向けて突出する第一凸部413と、を有する。
ヘッド本体412は、蓋板32の外面に沿って広がり且つ外部絶縁部材92と対向する第一対向面4121を有する。また、ヘッド本体412は、第一対向面4121の反対側においてバスバ等が溶接等によって接続される接続面4122も有する。本実施形態の接続面4122は、平面状である。
第一凸部413は、ヘッド本体412と蓋板32との間において、第一対向面4121より外部絶縁部材92(蓋板32)側に突出し且つ軸部415を囲う(軸部415の周方向に延びる)。この第一凸部413は、突出方向(図5及び図6における下方側)の先端に、外部絶縁部材92を押圧している押圧面(当接面)4131を有する。この第一凸部413は、軸部415と隣接している。本実施形態の押圧面4131は、軸部415からX−Y面に沿って広がり、Z軸方向から見て円形の輪郭を有する。即ち、本実施形態の押圧面4131は、Z軸を含む面に沿った断面(図5及び図6参照)が直線状となり且つZ軸方向から見て環状の面である。この第一凸部413(押圧面4131)の外縁は、蓋板32の凹部321の外縁(周面部3212)と対応している。具体的に、第一凸部413の直径(外径)は、凹部321の直径(内径)より小さい。この直径の差は、外部絶縁部材92の厚さ寸法等に基づいて設定されている。また、第一凸部413の第一対向面4121からの突出量は、押圧面4131と凹部321の底部3211との間隔αが、第一対向面4121と、蓋板32における該第一対向面4121と対向する外面(凹部321の外側の外面)との間隔βより小さくなるように、設定されている(図5参照)。
以上のように構成される端子ヘッド411では、第一凸部413が設けられた部位の厚さ寸法(Z軸方向の寸法)T1が、他の部位の厚さ寸法T2より大きい(図6参照)。
軸部415は、ケース3の内部に配置される集電体5と、ケース3の外部に配置される端子ヘッド411とを導通させる。軸部415は、端子ヘッド411(ヘッド本体412)から蓋板32の貫通孔322を通ってケース3内に延びる。本実施形態の軸部415は、Z軸方向に延びる柱状(詳しくは、円柱状)の部位である。
大径部416は、端子ヘッド411(詳しくは、第一凸部413)との間に外部絶縁部材92及び蓋板32等を挟み込む。詳しくは、大径部416は、軸部415からX−Y面方向に広がり、端子ヘッド411と共同して、外部絶縁部材92、蓋板32、内部絶縁部材91、及び集電体5をZ軸方向に挟み込む。これにより、正極外部端子41側において、正極外部端子41、外部絶縁部材92、内部絶縁部材91、及び集電体5が蓋板32に固定される。この大径部416は、後述する外部絶縁部材92の第二凸部925の位置又は該位置の外側まで広がっている(図5参照)。本実施形態の大径部416は、図6に示す状態で、軸部415が外部絶縁部材92の貫通孔926(蓋板32の貫通孔322)、内部絶縁部材91の貫通孔912、集電体5の貫通孔54に挿通された状態で、該軸部415の先端側に延び且つ開口した円筒状の部位(図6において符号416で示す部位)をかしめることによって形成される。このかしめによって、正極外部端子41と集電体5とが十分に接触し、互いに導通する。
負極外部端子42は、図1〜図3、図7、図8に示すように、蓋板32(ケース3)の外側に配置される端子ヘッド(ヘッド部)421と、端子ヘッド421から延びて蓋板32を貫通する軸部425と、を有する。また、負極外部端子42は、軸部425から蓋板32の内面に沿って広がる大径部426も有する。本実施形態の負極外部端子42では、端子ヘッド421がアルミニウム系金属材料によって形成され、軸部425及び大径部426が銅系金属材料によって形成されている。即ち、端子ヘッド421と、軸部425及び大径部426とは、別部材である。尚、図3及び図8に示す大径部426は、かしめられる前の状態である。
端子ヘッド421は、外部絶縁部材92(詳しくは、外部絶縁部材92の基部921:図7参照)と間隔をあけた状態でケース3(本実施形態の例では、蓋板32)の外面に沿って広がる。本実施形態の端子ヘッド421は、蓋板32に沿って広がる板状の部材(部位)である。この端子ヘッド421は、Z軸方向から見て、Y軸方向(蓋板32の外面に沿った所定の方向)に長い。具体的に、端子ヘッド421は、Y軸方向に長い矩形状の板部材である。この端子ヘッド421は、中央部に貫通孔4210を有する。端子ヘッド421は、蓋板32の外面に沿って広がり且つ外部絶縁部材92と対向する第一対向面4211を有する。また、端子ヘッド421は、第一対向面4211の反対側においてバスバ等が溶接等によって接続される接続面4212も有する。本実施形態の接続面4212は、平面状である。この端子ヘッド421のZ軸方向の寸法(厚さ寸法)T3は、正極外部端子41のヘッド本体412の厚さ寸法T2より小さい(図6及び図8参照)。また、端子ヘッド421のX軸方向の寸法及びY軸方向の寸法は、正極外部端子41の端子ヘッド411のX軸方向の寸法及びY軸方向の寸法より大きい。
軸部425は、ケース3の内部に配置される集電体5と、ケース3の外部に配置される端子ヘッド421とを導通させる。軸部425は、蓋板32の貫通孔322を通って延びる軸部本体4251と、端子ヘッド421が固定されるヘッド固定部4252と、を有する。
軸部本体4251は、Z軸方向に延びる柱状の部位であり、本実施形態の軸部本体4251は、Z軸方向に延びる円柱状の部位である。この軸部本体4251の直径は、正極外部端子41の軸部415の直径と同じである。
ヘッド固定部4252は、軸部本体4251より径の大きな第一部位4253と、端子ヘッド421(詳しくは、端子ヘッド421における貫通孔4210の周縁部)を第一部位4253との間に挟み込む第二部位4254と、を有する。本実施形態の第一部位4253は、軸部本体4251の他の部位より径の大きな円柱状の部位である。また、本実施形態の第二部位4254は、第一部位4253からZ軸方向に延び且つ貫通孔4210の径に対応した大きさの円柱状の部位(図8参照)を、貫通孔4210に挿通させた状態でかしめることによってX−Y面方向に広げた部位(図7参照)である。この第一部位4253は、正極外部端子41の第一凸部413の外径と同じ外径を有すると共に、正極外部端子41の押圧面4131と同様の押圧面4253Aを外部絶縁部材92(蓋板32)側の端部に有する。尚、図8に示すヘッド固定部4252の第二部位4254は、かしめられる前の状態である。
大径部426は、ヘッド固定部4252(詳しくは、第一部位4253)との間に外部絶縁部材92及び蓋板32等を挟み込む。詳しくは、大径部426は、軸部本体4251からX−Y面方向に広がり、ヘッド固定部4252(詳しくは、第一部位4253)と共同して、外部絶縁部材92、蓋板32、内部絶縁部材91、及び集電体5をZ軸方向に挟み込む。これにより、負極外部端子42側において、負極外部端子42、外部絶縁部材92、内部絶縁部材91、及び集電体5が蓋板32に固定される。本実施形態の大径部426は、正極外部端子41の大径部416と同様に、図8に示す状態で、軸部本体4251が外部絶縁部材92の貫通孔926(蓋板32の貫通孔322)、内部絶縁部材91の貫通孔912、集電体5の貫通孔54に挿通された状態で、該軸部本体4251の先端側に延び且つ開口した円筒状の部位(図8において符号426で示す部位)をかしめることによって形成される。このかしめによって、負極外部端子42と集電体5とが十分に接触し、互いに導通する。
内部絶縁部材91は、絶縁性を有し、蓋板32と集電体5とを絶縁する。内部絶縁部材91は、図2、図3、図5、及び図7に示すように、ケース3の内部において蓋板32と集電体5との間に配置される。本実施形態の内部絶縁部材91は、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。
この内部絶縁部材91は、熱可塑性樹脂によって形成される。本実施形態の内部絶縁部材91は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂に、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)の少なくとも一方によって構成されるポリオレフィン系エラストマを均一に混合した熱可塑性樹脂によって形成される。
内部絶縁部材91の材料は、上述の熱可塑性樹脂に限定されない。内部絶縁部材91の材料は、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)であってもよい。
具体的に、内部絶縁部材91は、板状の部材である。本実施形態の内部絶縁部材91は、X軸方向に長い矩形の板状部材である。内部絶縁部材91は、集電体5と対向する部位(蓋板32と反対側の部位)に、集電体5の一部が嵌め込まれる凹部911を有する。内部絶縁部材91は、蓋板32の貫通孔322とZ軸方向に重なる位置に、軸部415、425が挿通される貫通孔912を有する。本実施形態の内部絶縁部材91は、蓋板32における正極外部端子41側と負極外部端子42側とのそれぞれに配置される。即ち、蓄電素子1は、一対の内部絶縁部材91を備える。
外部絶縁部材92は、絶縁性を有し、蓋板32と外部端子4とを絶縁する。また、外部絶縁部材92は、蓋板32と外部端子4との間を密閉する。即ち、外部絶縁部材92は、絶縁部材と密閉部材(封止部材)とを兼ねている。外部絶縁部材92は、ケース3の外側において蓋板32と外部端子4との間に配置される。本実施形態の外部絶縁部材92は、樹脂によって形成されている。
具体的に、外部絶縁部材92は、熱可塑性樹脂材料によって形成される。本実施形態の外部絶縁部材92は、例えば、PPS樹脂に、PE及びPPの少なくとも一方によって構成されるポリオレフィン系エラストマを均一に混合した熱可塑性樹脂材料によって形成される。
外部絶縁部材92の材料は、上述の熱可塑性樹脂に限定されない。外部絶縁部材92の材料は、例えば、PFAであってもよい。
本実施形態の外部絶縁部材92は、内部絶縁部材91と同様に、正極外部端子41側と、負極外部端子42側とのそれぞれに配置される。即ち、蓄電素子1は、一対の外部絶縁部材92を備える。
正極側の外部絶縁部材92は、図5及び図6に示すように、ヘッド本体412と対向する第二対向面9210及び蓋板32(ケース3)と対向する第三対向面9215の少なくとも一方の対向面における第一凸部413と対応する領域において、軸部415を囲み且つ押圧面4131の外部絶縁部材92への押圧によって押し潰されている第二凸部925を有する。
具体的に、外部絶縁部材92は、軸部415の周囲において蓋板32(ケース3の外面)に沿って広がる基部921と、基部921の周縁に接続される周壁部922と、基部921における周壁部922と反対側に接続される筒部923と、を有する。
基部921は、板状の部位である。基部921は、Z軸方向から見て正極外部端子41の端子ヘッド411より大きい。本実施形態の基部921は、端子ヘッド411より一回り大きく且つ端子ヘッド411の輪郭と対応した矩形状である。この基部921は、第二対向面9210と第三対向面9215とを有する。また、基部921は、第二対向面9210と第三対向面9215との少なくとも一方の対向面における第一凸部413と対応する領域(本実施形態の例では、Z軸方向に重なる位置)において、軸部415を囲み且つ押圧面4131の外部絶縁部材92への押圧によって押し潰されている第二凸部925を有する。本実施形態の第二凸部925は、第二対向面9210と第三対向面9215とのそれぞれに配置されている。これら二つの第二凸部925、即ち、第二対向面9210に配置された第二凸部925と、第三対向面9215に配置された第二凸部925とは、Z軸方向に重なっている。
基部921は、第二対向面9210の中央部に、凹部9211を有する。具体的に、凹部9211は、X−Y面方向に広がる平面部9212と、平面部9212の周縁から延びる内周面部9213と、を有する。本実施形態の凹部9211は、Z軸方向から見て円形の輪郭を有し、該輪郭の直径(内径)は、正極外部端子41の第一凸部413の直径と対応する。これら平面部9212と内周面部9213とは、第二対向面9210に含まれる。
また、基部921は、第三対向面9215の中央部に、凸部9216を有する。具体的に、凸部9216は、X−Y面方向に広がる平面部9217と、平面部9217の周縁から延びる外周面部9218と、を有する。これら平面部9217と外周面部9218とは、第三対向面9215に含まれる。本実施形態の凸部9216は、Z軸方向から見て凹部9211と同心の円形の輪郭を有し、該輪郭の直径(外径)は、凹部9211の直径(内径)より大きい。
また、基部921は、中央部に、正極外部端子41の軸部415が挿通可能な貫通孔921Aを有する。本実施形態の貫通孔921Aは、凹部9211部及び凸部9216と同心の円形の貫通孔であり、Z軸方向に基部921を貫通する。貫通孔921Aの直径(内径)は、正極外部端子41の軸部415の直径(外径)と対応する。
第二凸部925は、Z軸方向から見て、凹部9211の平面部9212と凸部9216の平面部9217とのそれぞれにおいて、該凹部9211及び該凸部9216と同心の円方向に延びている。これら二つの第二凸部925のそれぞれは、外部絶縁部材92が蓄電素子1に組み込まれた状態では(即ち、蓄電素子1においては)、図5に示すように、全体が押し潰されている(圧縮されている)。この状態において、第二凸部925のZ軸方向への投影面積は、第一凸部413の押圧面4131のZ軸方向への投影面積より小さい(図9参照)。一方、二つの第二凸部925のそれぞれは、外部絶縁部材92が蓄電素子1に組み込まれる前の状態では、図6に示すように、平面部9212、9217からZ軸方向に突出している。即ち、第二凸部925は、押圧面4131によって押し潰される前の状態では、第二対向面9210及び第三対向面9215のそれぞれからZ軸方向に突出し且つ軸部415を囲うように延びている。この第二凸部925は、Z軸方向から見て、軸部415の中心軸(凹部9211及び凸部9216)と同心の円形である。この突出した状態の第二凸部925の幅(軸部415の径方向の寸法)は、押圧面4131の同方向の幅より小さい。
周壁部922は、基部921から蓋板32と反対側に立ち上がる(立設される)。具体的に、本実施形態の周壁部922は、基部921の周縁に沿って延びると共に基部921の周縁から蓋板32と反対側に延びる。これにより、正極外部端子41の端子ヘッド411が嵌り込む凹部924が構成される。
筒部923は、基部921から延びる筒状の部位である。本実施形態の筒部923は、円筒状である。筒部923は、基部921から蓋板32の貫通孔322内に延びる。筒部923の貫通孔923Aを画定する内周面と基部921の貫通孔921Aを画定する内周面とは連続している。この貫通孔921Aを画定する内周面と筒部923の貫通孔923Aを画定する内周面とによって、外部絶縁部材92において正極外部端子41の軸部415が挿通される貫通孔926が画定される。即ち、基部921の貫通孔921Aと、筒部923の貫通孔923Aとが連なって、外部絶縁部材92の貫通孔926が形成されている。筒部923は、蓋板32の貫通孔322に挿通される軸部415と、蓋板32の貫通孔322を画定する内周面との間に隙間なく嵌り込む。これにより、筒部923は、軸部415と蓋板32(詳しくは、蓋板32の貫通孔322を画定する内周面)とを絶縁する。また、筒部923は、軸部415と蓋板32の貫通孔322を画定する内周面との間を封止(密閉)する。
負極側の外部絶縁部材92は、図7及び図8に示すように、正極外部端子41側の外部絶縁部材92と同じ構成である。即ち、負極側の外部絶縁部材92も、正極側の外部絶縁部材92と同様に、貫通孔921Aを有する基部921と、基部921の周縁から延びる周壁部(基部921から突出する突出部)922と、貫通孔923Aを有する筒部923とを有する。尚、基部921の貫通孔921Aと筒部923の貫通孔923Aとが連通して外部絶縁部材の貫通孔926を構成する。そして、基部921は、凹部9211を含む第二対向面9210と、凸部9216を含む第三対向面9215と、これら第二対向面9210(詳しくは、凹部9211の平面部9212)と第三対向面9215(詳しくは、凸部9216の平面部9217)とに配置される二つの第二凸部925と、を有する。
本実施形態の蓄電素子1において、負極外部端子42の端子ヘッド421は、正極外部端子41の端子ヘッド411より大きい。このため、正極外部端子41側の外部絶縁部材92では、端子ヘッド411が基部921と周壁部922とによって構成される凹部924に嵌り込んでいるが(図5参照)、負極外部端子42側の外部絶縁部材92では、周壁部(支持部)922の端部(凹部924の開口周縁部)が、端子ヘッド421の周縁部(第一対向面4211の周縁部)に対して僅かに離間した位置にある(図7参照)。即ち、周壁部922の端部(基部921からの突出方向の端部)は、端子ヘッド421の第一対向面4211との間に間隔を有している。これにより、負極外部端子42の端子ヘッド421の周縁部は、該端子ヘッド421に蓋板32(ケース3)に向けた力が加わって端子ヘッド421が撓んだときに、周壁部(支持部)922に当接して支持される。
また、端子ヘッド421の周縁部は、ケース3(蓋板32)の外面に沿った方向において、周壁部922から突出している。この端子ヘッド421の周壁部922からの突出量が大きいと、接続面4212側から端子ヘッド421の周縁部にケース3に向けた力が加わったときに、端子ヘッド421における周壁部922から突出している部位が曲がり易くなるため、前記力が加わったときに端子ヘッド421(詳しくは、端子ヘッド421の周縁部)がケース3と接触し易くなる。このため、蓄電素子1において、端子ヘッド421の周端部の周壁部922からの突出量が、端子ヘッド421の厚み寸法(図7における上下方向の寸法)以下である構成が好ましい。かかる構成によれば、端子ヘッド421の周縁部に前記力が加わっても、端子ヘッド421における周壁部922から突出している部位の剛性が十分に確保されて該突出している部位が曲がり難く、これにより、前記曲がりに起因する端子ヘッド421とケース3との接触を防ぐことができる。
図2及び図3に戻り、集電体5は、ケース3内に配置され、電極体2と通電可能に直接又は間接に接続される。本実施形態の集電体5は、クリップ部材50を介して電極体2と通電する。即ち、蓄電素子1は、電極体2と集電体5とを通電させるクリップ部材50を備える。
集電体5は、導電性を有する部材によって形成される。この集電体5は、蓄電素子1の正極と負極とにそれぞれ配置される。具体的に、集電体5は、ケース3の内面に沿って配置される。本実施形態の集電体5は、外部端子4とクリップ部材50とを通電し、X軸方向から見てL字状である。本実施形態の集電体5は、所定形状に裁断された板状の金属材料を曲げ加工することによって形成される。また、集電体5は、外部端子4との接続位置に、貫通孔54を有する。
絶縁カバー7は、例えば、袋状である。この絶縁カバー7は、ケース3(詳しくはケース本体31)と電極体2との間に配置される。絶縁カバー7は、絶縁性を有する部材によって形成される。本実施形態の袋状の絶縁カバー7は、所定の形状に裁断された絶縁性を有するシート状の部材を折り曲げることによって形成されている。この絶縁カバー7は、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂製である。本実施形態の蓄電素子1では、袋状の絶縁カバー7に収容された状態の電極体2(詳しくは、電極体2及び集電体5)がケース3内に収容される。
以上の蓄電素子1によれば、負極外部端子42において端子ヘッド421に蓋板32(ケース3)の外面へ向かう力が加わっても、外部絶縁部材92の周壁部(支持部)922が端子ヘッド421を支持するため、該端子ヘッド421が変形し難い。
本実施形態の蓄電素子1における負極外部端子42の端子ヘッド421のような、Y軸方向に長い矩形の板状部材は、端部が自由端となった状態で長く延びている部位(例えば、長手方向の端部)に力が加わると曲がり易い(即ち、変形し易い)。しかし、本実施形態の蓄電素子1では、端子ヘッド421に蓋板32に向かう力が加わったときに、外部絶縁部材92の周壁部922によって端子ヘッド421の長手方向の端縁が支持されるため、変形し難い。
本実施形態の蓄電素子1では、負極外部端子42の端子ヘッド421を支持する部位(周壁部922)が外部絶縁部材92に含まれている。このため、蓄電素子1では、図10に示すような前記支持する部位(支持部)8が負極外部端子42に含まれ、且つ端子ヘッド421から基部921(蓋板32)に向けて延びる構成に比べ、蓋板32と負極外部端子42の一部である端子ヘッド421との間隔が確保される。これにより、蓄電素子1では、蓋板32と端子ヘッド421との接触がより生じ難くなる。
また、本実施形形態の蓄電素子1では、負極外部端子42の端子ヘッド421が、蓋板32の外面に沿って広がる板状の部材であり、外部絶縁部材92の周壁部922が、端子ヘッド421の周縁の全周において該周縁に沿って延びている。このため、負極外部端子42の端子ヘッド421に蓋板32へ向けた力が加わったときに、周壁部922が端子ヘッド421の周縁部を全周に亘って支持し、これにより、端子ヘッド421が板状であっても変形し難い。
本実施形態の蓄電素子1では、周壁部922の基部921からの突出方向の端部は、負極外部端子42の端子ヘッド421(詳しくは、端子ヘッド421の第一対向面4211)との間に間隔を有している。このため、周壁部922が端子ヘッド421に当接することに起因する応力が負極外部端子42において常に生じることを防ぐことができる。また、端子ヘッド421に対して蓋板32に向けた力が加わって該端子ヘッド421が撓む等によって僅かに変形したときに、周壁部922が端子ヘッド421に当接する(即ち、周壁部922が端子ヘッド421を支持する)ため、該端子ヘッド421の塑性変形(弾性限界を超えた変形)を防ぐことができる。
さらに、外部絶縁部材92において周壁部922を設けることで、バスバ部材(図22の符号12の部材参照)の溶接等によって端子ヘッド421に熱が加わったときに、この熱が周壁部922を介して基部921に伝わる場合がある。本実施形態の蓄電素子1では、周壁部922の基部921からの突出方向の端部は、負極外部端子42の端子ヘッド421(詳しくは、端子ヘッド421の第一対向面4211)との間に間隔を有しているため、前記溶接等によって端子ヘッド421に加わった熱が周壁部922を介して基部921やケース3に伝わることを抑制することができる。
また、本実施形態の蓄電素子1では、外部絶縁部材92は、負極外部端子42と蓋板32との間を密閉する密閉部材も兼ねている。このため、負極外部端子42と蓋板32との間を絶縁しつつ端子ヘッド421の変形を防ぐと共に、負極外部端子42と蓋板32との間の気密性を確保することができる。
また、本実施形態の蓄電素子1は、端子ヘッド421と基部921との間に間隔を有している(即ち、空間が形成されている)。このため、バスバ部材(図22の符号12の部材参照)の溶接等によって端子ヘッド421に熱が加わったときに、端子ヘッド421と基部921とが接している場合に比べ、前記熱が基部921に伝わり難くなる。
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記実施形態の蓄電素子1では、外部絶縁部材92の周壁部922の端部と、負極外部端子42の端子ヘッド421(第一対向面4211)との間に隙間があるが、この構成に限定されない。例えば、周壁部922の端部が端子ヘッド421(第一対向面4211)に接していてもよい。この構成によれば、端子ヘッド421に周壁部922が接しているため、端子ヘッド421に対してケース3に向けた力が加わったときに、端子ヘッド421が直ぐに周壁部922によって支持され、これにより、端子ヘッド421がより変形し難くなる。
また、上記実施形態の蓄電素子1では、端子ヘッド421を支持する支持部(上記実施形態の例では、周壁部(基部921から突出する突出部)922)が外部絶縁部材92の一部によって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、図10に示すように、支持部8は、端子ヘッド421の一部(図10に示す例では、端子ヘッド421の第一対向面4211から外部絶縁部材92に向けて延びている部位)によって構成されてもよい。この場合、図11に示すように、端子ヘッド421から延びる支持部8の外側に、基部921から立ち上がる周壁部922が配置されることで、端子ヘッド421と蓋板32(ケース3)との沿面距離を十分に確保することができる。また、図12に示すように、支持部8は、外部絶縁部材92の一部と端子ヘッド421の一部とによって構成されていてもよい。即ち、蓄電素子1において、外部絶縁部材92と端子ヘッド421との少なくとも一方が、相手に向けて突出すると共に、端子ヘッド421にケース3の外面へ向かう力が加わったときに端子ヘッド421(詳しくは、端子ヘッド421において外部絶縁部材92の基部921との間に間隔をあけた状態で該ケース3に沿って広がる部位)を支持する部位(支持部)を有していればよい。
また、蓄電素子1において、端子ヘッド421を支持する支持部8の具体的形状(配置)は、限定されない。上記実施形態の蓄電素子1では、周壁部(支持部)922は、端子ヘッド421の周縁の全周において該周縁に沿って延びているが、例えば、図13〜図15に示すように、支持部8は、端子ヘッド421の周縁の一部に配置されてもよく、周縁に沿って断続に延びてもよい。また、図16に示すように、支持部8は、周縁より内側(即ち、周縁より軸部425側)に配置されてもよい。また、支持部8は、図17に示すように軸部425の径方向において複数配置されてもよく、図18及び図19に示すように端子ヘッド421の周縁に沿った位置と異なる位置に配置されてもよい。また、支持部8は、端子ヘッド421の法線方向から見て線状に延びる形状でなく、図20に示すような柱状等の他の形状であってもよい。端子ヘッド421が長方形等の所定の方向に延びる形状である場合、支持部8は、図14に示すように、端子ヘッド421の長手方向の端縁のみに配置されていてもよい。即ち、支持部8は、端子ヘッド421の長手方向の少なくとも一部に配置されていればよい。
また、上記実施形態の蓄電素子1では、端子ヘッド421は、Z軸方向から見て、略長方形の輪郭を有しているが、この構成に限定されない。端子ヘッド421は、Z軸方向から見て、正方形や多角形等の他の輪郭形状であってもよい。
また、上記実施形態においては、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
また、上記実施形態の蓄電素子1では、端子ヘッド421にケース3に向けた力が加わったときに、周壁部922の先端面(突出方向の先端の面:図7における周壁部922の上端面)が端子ヘッド421に当接することで該周壁部922が端子ヘッド421を支持するが、この構成に限定されない。例えば、図21に示すように、周壁部922の先端部の内側に設けられた切り欠き部(又は、前記先端面よりケース3側に寄った位置に設けられた段差面)922Aが、端子ヘッド421の周縁部を支持する構成であってもよい。この場合も、切り欠き部922Aと端子ヘッド421の周縁部との間に空間が設けられてもよく、切り欠き部922Aと端子ヘッド421の周縁部とが当接していてもよい。
蓄電素子(例えば電池)1は、図22に示すような蓄電装置(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)11に用いられてもよい。蓄電装置11は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材12と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子1に適用されていればよい。