図面を参照して実施例の電源システム2を説明する。電源システム2は、ハイブリッド車100に搭載されている。図1に電源システム2を含むハイブリッド車100の電気系統のブロック図を示す。ハイブリッド車100は、エンジン61の動力、及び/又は、第1モータ6、第2モータ8の動力により走行することができる。モータを利用する場合、ハイブリッド車100は、メインバッテリ4から供給される電力により第2モータ8を駆動し、第2モータ8の動力によって駆動輪(図示せず)を回転させる。エンジン61を利用して走行する場合には、ハイブリッド車100は、第1モータ6をセルモータとして使用しエンジン61を始動させる。そして、ハイブリッド車100は、動力分配機構62によって、エンジン61が発生させた動力の一部を駆動輪に伝達する一方で、残りの動力を第1モータ6に伝達させて第1モータ6で発電する。第1モータ6で発電した電力は、第2モータ8に供給して駆動輪の回転に利用したり、メインバッテリ4に充電したりすることもできる。
なお、エンジン61を利用して走行している際、メインバッテリ4から第2モータ8に電力を供給して、駆動力を増大させることも可能である。一方、走行中のハイブリッド車100が減速する際には、第2モータ8で回生発電し、第2モータ8で発電した電力でメインバッテリ4を充電することができる。このように、第1モータ6と第2モータ8は、発電機としても機能する。その意味で、第1モータ6と第2モータ8は、「モータジェネレータ」と称することができる。図1の「MG1」が第1モータ6(第1モータジェネレータ)を表し、「MG2」が第2モータ8(第2モータジェネレータ)を表す。第1モータ6と第2モータ8は、「走行モータ」と称することもできる。
電源システム2は、メインバッテリ4、サブバッテリ22、電力制御ユニット12、システムメインリレー20、第1DC−DCコンバータ28、第2DC−DCコンバータ30、電子制御ユニット60を備えている。以下では説明を簡単にするため、便宜上、電力制御ユニット12をPCU12と表記し、システムメインリレー20をSMR20と表記し、電子制御ユニット60をECU60と表記する。さらに、第1DC−DCコンバータ28を第1DDC28と表記し、第2DC−DCコンバータ30を第2DDC30と表記する。図1では、第1DDC28は「DDC1」と表記されており、第2DDC30は「DDC2」と表記されている。また、ECU60は、SMR20、第1DDC28、第2DDC30、PCU12等と通信線で接続されており、それらを制御する。図1では、ECU60と他のユニットを接続する通信線は描かれていない。
メインバッテリ4は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(充電可能電池)である。本実施例では、メインバッテリ4の電圧は約300V(ボルト)である。メインバッテリ4は、メイン電力線10を介してPCU12に接続されている。メイン電力線10は、メインバッテリ4の正極端子に接続された正極線10aと、メインバッテリ4の負極端子に接続された負極線10bを備えている。SMR20よりもメインバッテリ4の側のメイン電力線10に、メインバッテリ4の電圧(バッテリ電圧VB)を計測する電圧センサ19が備えられている。バッテリ電圧VBは、SMR20よりもメインバッテリ4の側のメイン電力線10の電圧に相当する。
メイン電力線10には、SMR20が備えられている。SMR20は、メインバッテリ4とPCU12の間の導通と非導通を切り換える。メインバッテリ4は、正極線10a及び負極線10bのメインバッテリ4側を介してSMR20に接続されている。なお、「非導通」は、「遮断」と表現する場合もある。また、メインバッテリ4とPCU12の間を導通させることを、「SMR20を閉じる」と表現し、メインバッテリ4とPCU12の間を遮断することを、「SMR20」を開く、と表現する場合がある。
PCU12は、メインバッテリ4と、第1モータ6及び第2モータ8との間に設けられている。PCU12は、平滑コンデンサ14、15、電圧センサ18、コンバータ16及びインバータ17を備えている。平滑コンデンサ14は、メイン電力線10の電流を平滑化する。より詳しく表現すると、平滑コンデンサ14は、メインバッテリ4から供給される電力の電流を平滑化する。電圧センサ18は、平滑コンデンサ14の両端電圧VLを測定する。平滑コンデンサ14の両端電圧VLは、SMR20よりもPCU12の側のメイン電力線10の電圧に相当する。平滑コンデンサ15は、コンバータ16とインバータ17の間に流れる電力の電流を平滑化する。
PCU12は、メインバッテリ4から供給される電力を第1モータ6及び第2モータ8(走行モータ)の駆動用電力に変換する。コンバータ16は、メインバッテリ4から供給される電力の電圧を、必要に応じて第1モータ6や第2モータ8の駆動に適した電圧まで昇圧する。またコンバータ16は、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力の電圧を、メインバッテリ4の充電に適した電圧まで降圧させたりもする。即ち、コンバータ16は、双方向DC−DCコンバータである。コンバータ16には、メインバッテリ4からの電流が流れる複数のパワー素子が実装されている。双方向DC−DCコンバータの回路構成は良く知られているので詳しい説明は省略する。本実施例では、第1モータ6や第2モータ8の駆動に用いる電圧は約600Vである。
インバータ17は、2個のモータ(第1モータ6と第2モータ8)の夫々に対応して、2組のインバータ回路を備えている。インバータ17は、コンバータ16から供給される直流電力をU相、V相、W相の交流電力に変換して第1モータ6や第2モータ8を駆動する三相交流電力を供給したり、第1モータ6や第2モータ8が発電した三相交流電力を直流電力に変換してコンバータ16へ供給したりする。また、インバータ17は、第1モータ6及び第2モータ8の一方が発電した三相交流電力を、一旦、直流電力に変換しさらに三相交流電力に変換して、第1モータ6及び第2モータ8の他方に供給したりもする。インバータ17にも、メインバッテリ4からの電流が流れる複数のパワー素子が実装されている。インバータ回路の構成もよく知られているので詳しい説明は省略する。
平滑コンデンサ14が放電した状態でSMR20を閉じると、メインバッテリ4からPCU12へ突入電流が流れ、コンバータ16とインバータ17のパワー素子がダメージを受ける虞がある。突入電流対策については後述する。
SMR20よりもPCU12の側のメイン電力線10には、エアコン50も接続されている。エアコン50は消費電力が大きいので、サブ電力線24ではなく、メイン電力線10に接続されており、メインバッテリ4から電力供給を受けるようになっている。
サブバッテリ22について説明する。サブバッテリ22の出力電圧は、メインバッテリ4の出力電圧よりも低い。サブバッテリ22は、典型的には、鉛蓄電池で構成される二次電池(充電可能電池)である。本実施例では、サブバッテリ22の電圧は約13Vである。サブバッテリ22は、サブ電力線24を介して、補機26に接続されている。図1では、記号「AUX」が補機を意味する。補機26は、メインバッテリ4の電圧よりも低い電圧(サブバッテリ22の電圧)で動作する機器(低電圧機器)の総称である。図1では、補機26を一つの矩形で表しているが、補機26は、ルームランプ、ナビゲーションシステム、カーオーディオなど、複数の低電圧機器を含む。ECU60も補機26の一つとして、サブバッテリ22から電力供給を受ける。サブ電力線24は、サブバッテリ22の正極端子に接続された正極線24aと、サブバッテリ22の負極端子に接続された負極線24bを備えている。車両の導電性のボデーが、サブ電力線24の負極線24bを兼ねる場合がある。は、負極線24bの電位は接地電位(基準電位)と呼ばれることがある。
SMR20よりもPCU12側のメイン電力線10とサブ電力線24との間に、第1DDC28(第1DC−DCコンバータ)が接続されている。第1DDC28は、メイン電力線10を流れる電力を降圧してサブ電力線24へ供給する降圧動作と、サブ電力線24を流れる電力を昇圧してメイン電力線10へ供給する昇圧動作を行うことができる。第1DDC28も、先のコンバータ16と同様に、双方向DC−DCコンバータである。ハイブリッド車100では、第1DDC28が降圧動作を行うことで、SMR20が非導通のときであっても、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力でサブバッテリ22を充電することができる。また、ハイブリッド車100では、第1DDC28が昇圧動作を行うことで、SMR20が非導通のときでも、サブバッテリ22の電力を利用して第1モータ6や第2モータ8を駆動することができる。
SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電力線10とサブ電力線24の間に、第2DDC30(第2DC−DCコンバータ)が接続されている。第2DDC30は、メイン電力線10を流れる電力を降圧してサブ電力線24へ供給する降圧動作を行うことができる。第2DDC30は、いわゆる降圧コンバータである。ハイブリッド車100では、SMR20の導通時に、第1DDC28が降圧動作を行い、かつ第2DDC30が降圧動作を行う。これにより、メインバッテリ4からの電力や、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力を、第1DDC28と第2DDC30の両方を介して、サブバッテリ22に充電することができる。この場合、第1DDC28と第2DDC30のいずれか一方を介してサブバッテリ22に充電する場合に比べて、サブバッテリ22に供給される電流が大きくなる。そのため、サブバッテリ22の充電に要する時間が短くなる。
ECU60には、電圧センサ18、19など、ハイブリッド車100に搭載された各種のセンサの検出信号が入力される。本実施例では、電圧センサ18から平滑コンデンサ14の両端電圧VLの検出信号が入力される。また、電圧センサ19から、メインバッテリ4の電圧(バッテリ電圧VB)の検出信号が入力される。ECU60は、PCU12、SMR20、第1DDC28、第2DDC30など、ハイブリッド車100の電気系統を構成する各構成要素を制御する。また、ECU60は、エンジン61の点火機構、燃料噴射機構、給排気機構等の動作を制御する。図1では、ECU60を一つの矩形で描いているが、ECU60の機能は、複数のプロセッサの連携で実現されてもよい。
SMR20は、不図示の車両メインスイッチ(イグニッションスイッチ)がOFFの間は開かれており、メインバッテリ4とPCU12の間を遮断している。車両メインスイッチがONに切り換えられると、ECU60がSMR20を閉じ、メインバッテリ4とPCU12を接続する。メインバッテリ4とPCU12が接続されると、第1モータ6と第2モータ8に電力を供給可能な状態、即ち、走行可能な状態になる。前述したように、平滑コンデンサ14が放電された状態、即ち、平滑コンデンサ14の両端電圧VLが低い状態でSMR20を接続すると、メインバッテリ4からPCU12(コンバータ16とインバータ17)に突入電流が流れる。突入電流は、コンバータ16やインバータ17のパワー素子にダメージを与える可能性がある。そこで、ECU60は、SMR20を閉じるのに先立って、第1DDC28と第2DDC30を使って平滑コンデンサ14を充電する(プリチャージする)。より具体的には、第2DDC30に降圧動作を行わせてメインバッテリ4の電力をサブ電力線24に供給するとともに、第1DDC28に昇圧動作を行わせ、メインバッテリ4の電力を、サブ電力線24を介して、SMR20よりもPCU12の側のメイン電力線10に供給する。SMR20よりもPCU12の側のメイン電力線10には、平滑コンデンサ14が並列に接続されているため、上記の処理により、メインバッテリ4の電力で平滑コンデンサ14がプリチャージされる。
図2に、車両メインスイッチがONされたときにECU60が実行するプリチャージ処理のフローチャートを示す。図2を参照しつつ、プリチャージ処理を詳しく説明する。まず、ECUは、第2DDC30の目標出力電流I2を算出する(S3)。目標出力電流I2は、I2=Ia+Ib+Icの式で求められる。次に、電流Ia、Ib、Icについて説明する。
まず、電流Iaについて説明する。電流Iaは、目標出力電流I2のうち、サブバッテリ22へ供給する電流分を意味する。電流Iaは、Ia=Eh/dTの式で得られる。ここで、Ehは、サブバッテリ22の充電可能エネルギであり、サブバッテリ22の残電力量(SOC:State Of Charge)から求められる。また、dTは、平滑コンデンサ14のプリチャージに要する目標時間である。電流Iaの値は、目標時間dTでサブバッテリ22を満充電まで充電するために必要な電流を意味する。
電流Ibについて説明する。電流Ibは、目標出力電流I2のうち、補機26へ供給すべき電流分を意味する。ECU60は、補機26の動作をモニタしており、補機26の動作状況から、補機26へ供給すべき電流分の大きさ(電流Ib)を特定する。なお、ECU60は、補機26の過去の動作履歴に基づいて適切な大きさの電流Ibを決定してもよい。
次に、電流Icについて説明する。電流Icは、目標出力電流I2のうち、平滑コンデンサ14のプリチャージに使われる電流分を意味する。電流Icは、Ic=0.5×Ch×VLa2/dTの式で求められる。ここで、Chは、平滑コンデンサ14の容量を表す。dTは、先に述べたように、プリチャージに要する目標時間を表す。また、VLaは、プリチャージの目標電圧を表し、変数VLaには、過去にPCU12とメインバッテリ4が導通していたときの平滑コンデンサ14の両端電圧VLの値が代入される。
上記の処理により、ECU60は、第2DDC30の目標出力電流I2(=Ia+Ib+Ic)を算出する。目標出力電流I2は、別言すれば、サブ電力線24に接続されている補機の消費電力と、サブバッテリ22への充電用電力を考慮して決定される。
第2DDC30の目標出力電流I2が求まると、ECU60は、第2DDC30に降圧動作を開始させる(S4)。ECU60は、第2DDC30の出力電流が目標出力電流I2に一致するように、第2DDC30を制御する。即ち、ECU60は、第2DDC30の出力電流が一定となるように、第2DDC30を制御する。後述するように、プリチャージ中に補機26の負荷が変動する可能性があるが、ECU60は、補機26の負荷変動に関わらず、第2DDC30の出力電流がなるべく目標出力電流I2を保持するように、第2DDC30を制御する。
第2DDC30が起動すると、第2DDC30がメインバッテリ4の電力を降圧してサブ電力線24に供給するので、メインバッテリ4の電圧が下がる。ECU60は、第2DDC30を起動してから所定の時間後(例えば3秒後)に、メインバッテリ4の電圧を電圧センサ19により計測する(S5)。そのときの計測値を初期バッテリ電圧VB0と表記する。
次にECU60は、第1DDC28に昇圧動作を開始させる(S6)。第1DDC28が昇圧動作を開始すると、サブ電力線24から電力がSMR20よりPCU12側のメイン電力線10に供給され、平滑コンデンサ14のプリチャージが始まる。平滑コンデンサ14のプリチャージが進むにつれて、平滑コンデンサ14の両端電圧VLが上昇する。ECU60は、平滑コンデンサ14の両端電圧VLと初期バッテリ電圧VB0との差が所定の電圧差閾値dVxより小さくなるまで第1DDC28と第2DDC30を駆動する(S7:NO)。平滑コンデンサ14の両端電圧VLと初期バッテリ電圧VB0との差が所定の電圧差閾値dVxより小さくなったら、ECU60は、平滑コンデンサ14の両端電圧VLがそのまま一定値を保持するように第1DDC28を制御する(S7:YES、S8)。電圧差閾値dVxは、例えば10ボルトに設定される。
ステップS8において、両端電圧VLが一定値を保持するようにECU60が第1DDC28を制御するのは次の理由による。先に述べたように、SMR20よりもPCU12の側のメイン電力線10には、エアコン50などのデバイスが接続されている。即ち、平滑コンデンサ14には、エアコン50などの他のデバイスが接続されている。また、平滑コンデンサ14には、不図示の放電抵抗も接続されている。平滑コンデンサ14に接続されている他のデバイス(エアコン50や放電抵抗など)が電力を消費すると、平滑コンデンサ14の両端電圧VLが低下してしまう。ステップS8の処理により、他のデバイスが電力を消費しても両端電圧VLは一定に保たれる。
次にECU60は、タイマをスタートさせ(S9)、平滑コンデンサ14の両端電圧VLとメインバッテリ4の電圧(バッテリ電圧VB)の差が電圧差閾値dVxより小さくなるまで待つ(S10:NO、S13:NO、S10)。タイマは、両端電圧VLとバッテリ電圧VBとの差が電圧差閾値dVxより小さくなるのを待つ猶予時間を計測するために導入される。以下では、平滑コンデンサ14の両端電圧VLとメインバッテリ4の電圧(バッテリ電圧VB)の差を、電圧差dVと表記する。
電圧差dVが電圧差閾値dVxよりも小さくなることをもって、プリチャージが完了する。ECU60は、電圧差dVが電圧差閾値dVxよりも小さくなったら(S10:YES)、SMR20を閉じ、メインバッテリ4とPCU12の間を導通させる(S12)。
ECU60は、猶予時間Txの間、電圧差dVが電圧差閾値dVxよりも小さくなるのを待つ(S13:NO、S10)。ECU60は、ステップS9でスタートしたタイマが所定の猶予時間Txを越えても電圧差dVが電圧差閾値Vxよりも小さくならない場合(S13、YES)、何らかの異常が発生していると判断し、エラー処理を実行する(S14)。
上記処理の利点を説明する。図3(A)に、バッテリ電圧VBと両端電圧VLの時間変化を示し、図3(B)に補機26の負荷変動を示し、図3(C)に第2DDC30の出力電流の時間変化を示す。図3では、時刻T0にプリチャージが開始され、時刻T1にステップS10の電圧差dVの最初のチェックが行われると仮定する。
まず、第2DDC30の出力電流を一定値に維持させない場合について説明する。先に述べたように、サブ電力線24には補機26が接続されており、補機26の動作により、補機26が消費する電流(補機負荷)は変化する。図3(B)の波線グラフが、補機の負荷変動を模式的に表している。サブ電力線24には、第2DDC30によってメインバッテリ4の電力が降圧されて供給される。補機の負荷変動に対応するためには、第2DDC30の出力電流も図3(B)の負荷変動に合わせて変化させる必要がある。図3(C)の破線I2aが、補機負荷変動に合わせた第2DDC30の出力電流を示している。第2DDC30の入力側はメインバッテリ4に接続されている。それゆえ、メインバッテリ4の電圧(バッテリ電圧VB)は、メインバッテリ4の内部抵抗の値に出力電流I2aの変動分を乗じた分だけ変動する。図3(A)の破線VBaが、第2DDC30の出力電流I2aの変動によって生じるメインバッテリ4の電圧変化を表している。
一方、時刻T0以降、第1DDC28が昇圧動作を開始し、サブ電力線24の電力を昇圧してメイン電力線10に供給するので平滑コンデンサ14の両端電圧VLが徐々に上昇する。図3(A)の破線が示しているように、バッテリ電圧VBaは、第2DDC30の出力変動に応じて大きく変動する。それゆえ、両端電圧VLとバッテリ電圧VBaの差(電圧差dV)も変動する。時刻T1において、両端電圧VLとバッテリ電圧VBaの電圧差はdVaとなる。図3に例示されているように、バッテリ電圧VBaの計測タイミングが悪いと、例えば時刻T1にて電圧変動の山を計測してしまうと、電圧差dVaは大きくなってしまう。時刻T2に、第2回目の電圧計測が行われ、このとき、電圧変動の谷を計測してしまうと、電圧差dVcはやはり大きくなってしまう。ECU60は、バッテリ電圧VBと両端電圧VLの差(電圧差dV)が所定の電圧差閾値dVxよりも小さくなったことを検知するとSMR20を閉じるが、図3(A)の破線の例だと、なかなか電圧差dVが小さくならない虞がある。
一方、実施例の電源システム2では、ECU60は、第2DDC30の出力電流が補機26の負荷変動に関わらずに一定値を保持するように第2DDC30を制御する。図3(C)の実線のグラフI2bが、出力電流が一定値を保持するように制御したときの第2DDC30の出力を表す。なお、一定値を保持するように制御しても、第2DDC30の実際の出力は、補機26の負荷変動の影響を受け、わずかに変動する。
第2DDC30の出力電流が図3(C)の実線I2bのとき、メインバッテリ4の電圧は、図3(A)の実線VBbとなる。バッテリ電圧VBbの変動が小さいので、時刻T1における電圧差dVbも小さくなる。それゆえ、両端電圧VLが上昇し、バッテリ電圧VBbとの差(電圧差dV)が電圧差閾値dVxよりも小さくなったことが直ちに検知される。図2のステップS10、S12で示したように、電圧差dVが電圧差閾値dVxよりも小さくなったことが検知されると、ECU60は、SMR20を閉じる。実施例の電源システム2は、平滑コンデンサ14の両端電圧VLとバッテリ電圧VBとの差が電圧差閾値dVxよりも小さくなったことを速やかに検知することができ、その後に直ちにSMR20を閉じることができる。別言すれば、実施例の電源システム2は、平滑コンデンサ14のプリチャージの完了を速やかに検知することができる。実施例の電源システム2は、プリチャージの開始からSMR20を閉じるまでの所要時間を短縮することができる。
なお、第2DDC30の出力電流が一定となるように制御した場合、サブバッテリ22から補機26へ供給される電流が、図3(B)の補機負荷変動に応じて変化することになる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。実施例のSMR20が請求項の「システムスイッチ」の一例に相当する。
第2DDC30は、メイン電力線10の電力を降圧してサブ電力線24へ供給する降圧動作の他に、サブ電力線24の電力を昇圧してメイン電力線10に供給する昇圧動作が可能な双方向DC−DCコンバータであってもよい。実施例の電源システム2は、走行用にエンジンとモータの双方を備えるハイブリッド車に適用されている。本明細書が開示する電源システムは、エンジンを備えない電気自動車に適用することも可能である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。