JP6673929B2 - めっき液安定剤及び無電解白金めっき液、並びにこれらの製造方法、並びに無電解白金めっき方法 - Google Patents

めっき液安定剤及び無電解白金めっき液、並びにこれらの製造方法、並びに無電解白金めっき方法 Download PDF

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Description

本発明は、メラノイジンを有効成分とするめっき液安定剤及び無電解白金めっき液、並びにこれらの製造方法、並びに無電解白金めっき方法に関する。
従来、無電解白金めっき液としては、白金のニトロ錯塩又は白金のニトロアンミン錯塩と、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムと、を含むめっき液が知られている。しかし、水素化ホウ素ナトリウムは還元力が強いため、白金イオンが還元されてめっき液中に白金が析出し易い問題がある。
上記の問題を解決する無電解白金めっき液として、水素化ホウ素ナトリウムの還元力を緩和するためにチオール化合物又は互変異性によりチオール化合物に変換される化合物を配合する無電解白金めっき液が知られている(特許文献1)。特許文献1によれば、チオール化合物又は互変異性によりチオール化合物に変換される化合物は、析出する金属核上の活性点に吸着して触媒毒になることにより、急激な白金の析出を抑制すると記載されている。
しかし、上記無電解白金めっき液を用いる場合、めっき皮膜を形成するのに長時間を要している。例えば、特許文献1の場合、実施例、比較例の記載によれば、めっき時間は6時間である。
特許文献2には、白金塩と、錯化剤と、水素化ホウ素塩と、から成り、安定剤としてタリウム化合物及び/又はテルル化合物を含む無電解白金めっき液が開示されている。このめっき液を用いて形成される白金皮膜は、パターン外析出が生じ難く優れた特性を示す。しかし、一部の条件下、例えば白金濃度が10g/L(白金として)以上であり、安定剤としてタリウム化合物のみを用いる場合には、パターン外析出を生じる場合があった。また、めっき液の安定性をさらに向上させるために酸化剤を加えると、めっき速度が低下し易かった。
特許第3416901号公報 WO2014/162935号国際公開公報
本発明の目的は、めっき液の分解を抑制してめっき液を安定に保ち、パターン外析出を高度に抑制することができるめっき液安定剤を提供することである。また、該めっき液安定剤が添加されてなる無電解白金めっき液であって、白金濃度を高くしても白金錯体の分解が生じず、パターン外析出やめっき治具への析出を抑制することができ、めっき時間を短縮することができる無電解白金めっき液を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、種々検討を行った。その結果、めっき液にメラノイジンを含有させると、白金錯体が分解してめっき液中に白金が析出する現象を防止できるとともに、パターン外析出やめっき治具への析出を高度に抑制することができるため、白金濃度を高くして高速でめっきを行うことが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 メラノイジン及び/又はメラノイジン生成原料を含有することを特徴とするめっき液安定剤。
〔1〕のめっき液安定剤は、メラノイジンを有効成分とする。メラノイジンは予め生成させておいても良いし、メラノイジンを生成する原料をめっき液に配合して、該めっき液中でメラノイジンを生成させてもよい。
〔2〕 前記メラノイジン生成原料が、アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、の組み合わせである〔1〕に記載のめっき液安定剤。
〔3〕 前記アミノ化合物が、下記一般式(1)
Figure 0006673929
[式中、R基は水素原子;炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基;アミノ基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基の何れかであり、R基が水素原子以外である場合には、置換基を有していても良い。]
で表される化合物である〔2〕に記載のめっき液安定剤。
〔4〕 前記アミノ化合物が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン、グルタミン酸、リジン、ヒドロキシリジン、チロシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシンから選択される1種又は2種以上である〔2〕に記載のめっき液安定剤。
〔5〕 前記糖類が、グルコース、キシロース、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、アラビノース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、セロビオース、トレハロース、スクロースから選択される1種又は2種以上である〔2〕に記載のめっき液安定剤。
〔6〕 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド及び/又はアセトアルデヒドである〔2〕に記載のめっき液安定剤。
〔7〕 白金イオンとして0.0005〜0.15mol/Lの白金塩と、
0.015〜6mol/Lの錯化剤と、
0.003〜0.8mol/Lの水素化ホウ素塩と、
〔1〕乃至〔6〕の何れかに記載のめっき液安定剤を有機物固形分として0.01〜100g/Lと、
を含むことを特徴とする無電解白金めっき液。
〔7〕に記載の無電解白金めっき液は、本発明のめっき液安定剤を含有する。めっき液安定剤として予め生成されたメラノイジンが添加されている場合、このめっき液はそのまま使用に供する。一方、めっき液安定剤としてメラノイジン生成原料が添加されている場合、めっき液を加熱してメラノイジンを生成させた後、使用に供する。
〔8〕 前記白金塩が、塩化白金酸塩、白金アンミン錯塩、白金ニトロ錯塩、白金ニトロアンミン錯塩又は白金エチレンジアミン錯塩である〔7〕に記載の無電解白金めっき液。
〔9〕 前記錯化剤が、エチレンジアミン、1,2−アミノプロパン又は1,3−アミノプロパンである〔7〕に記載の無電解白金めっき液。
〔10〕 タリウム化合物をさらに含む〔7〕に記載の無電解白金めっき液。
タリウム化合物は、第2の安定剤として作用する。
〔11〕 pH(25℃)が、10.0〜14.0である〔7〕に記載の無電解白金めっき液。
〔12〕 アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、を溶媒中に溶解し、pH(25℃)5.0以上の条件下、40℃以上で1〜300分間加熱することを特徴とする〔1〕に記載のめっき液安定剤の製造方法。
〔13〕 アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、を溶媒中に溶解し、pH(25℃)5.0以上の条件下、40〜100℃で1分間〜24時間加熱することを特徴とする〔7〕乃至〔11〕の何れかに記載の無電解白金めっき液の製造方法。
〔14〕 〔7〕乃至〔11〕の何れかに記載の無電解白金めっき液と、めっき対象物と、を20〜70℃で0.3〜6時間接触させて、厚み0.4μm以上の白金皮膜を形成する無電解白金めっき方法。
本発明のめっき液安定剤は、めっき液を安定に保持する。また、許容される添加量の範囲が広いため、めっき液の調製や維持管理等が極めて容易である。
本発明のめっき液安定剤を含有する無電解白金めっき液は、めっき中における白金錯体の分解を抑制する。そのため、めっき液を高温にしてめっき速度を高くすることができる。
本発明のめっき液安定剤を含有する無電解白金めっき液は、パターン外析出が生じ難い。そのため、白金濃度を高くして少量のめっき液で厚い白金皮膜を迅速に形成できる。
本発明のめっき液安定剤を含有する無電解白金めっき液は、めっき治具への白金の析出が抑制される。そのため、めっき治具の洗浄工程が簡略化される。
図1は、めっき対象物であるジルコニア管の一例を示す側面図である。 図2は、無電解白金めっきをめっき対象物に施す状態を示す説明図である。 図3は、めっき対象物のセルの構造を示す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)めっき液安定剤
本発明のめっき液安定剤は、メラノイジンを有効成分とする。メラノイジンは、アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、のメイラード反応によって生じる褐色色素であり、多様な高分子化合物からなる混合物である。本発明のめっき液安定剤には、予め生成されたメラノイジンを用いることができる。また、メラノイジンを生成する原料をめっき液又はめっき液の構成成分の一部に配合し、該めっき液又はめっき液の構成成分中でメラノイジンを生成させてもよい。なお、以下の説明において、アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、を併せてメラノイジン生成原料ともいう。
メラノイジンは、多様な物質の混合物であり、その生成経路は十分に解明されていない。また、メラノイジン生成原料が異なれば、得られる物質の化学構造も異なる。そのため、メラノイジンの化学構造を特定してその含有量を規定することは困難であるし、現実的ではない。
また、メラノイジンは、味噌や醤油等の食品にも含まれる物質であり、食品分野においては酸化防止剤等の添加剤として利用されている。その化学構造のすべては明らかになっていないが、化学構造が相違する何れのメラノイジンであっても添加剤としての効果を有している。めっき液安定剤としての用途においても、メラノイジン生成原料が相違しても添加剤としての効果を発揮することが確認された(後述の製造例1〜30(26及び27を除く))。したがって、本発明におけるメラノイジンは、アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、のメイラード反応によって生じる褐色色素であればよく、その化学構造は何ら限定されるものではない。
(2)めっき液安定剤の製造方法
予め生成されたメラノイジンをめっき液安定剤とする場合、その製造方法としては、アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、を溶媒中に溶解して40℃以上に加熱し、1〜300分間保持する方法が例示される。
アミノ化合物としては、下記一般式(1)
Figure 0006673929
[式中、R基は水素原子;炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基;アミノ基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基の何れかであり、R基が水素原子以外である場合には、置換基を有していても良い。]
で表される化合物が挙げられる。置換基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、グアニジノ基、イミダゾリル基などが例示される。
このようなアミノ化合物としては、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン、グルタミン酸、リジン、ヒドロキシリジン、チロシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシンが例示される。これらのアミノ化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
溶媒中に溶解するアミノ化合物の濃度は、特に限定されないが、一般に0.05〜5モル/Lであり、0.25〜1モル/Lであることが好ましい。0.05モル/L未満の場合、安定剤としての効果を得るための添加量が増大するため好ましくない。5モル/Lを超える場合、得られるめっき液安定剤の溶解性が低下し易い。
糖類としては、特に限定されないが、グルコース、キシロース、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、アラビノース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、セロビオース、トレハロース、スクロースが例示される。これらの糖類は単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
溶媒中に溶解する糖類の濃度は、特に限定されないが、一般に0.05〜5モル/Lであり、0.25〜1モル/Lであることが好ましい。
また、アミノ化合物に対する糖類の割合は、特に限定されないが、アミノ化合物1モルに対して0.1〜10モルであり、0.2〜5モルであることが好ましく、0.5〜2モルであることがより好ましい。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド及び/又はアセトアルデヒドが例示される。
溶媒中に溶解するアルデヒド類の濃度は、特に限定されないが、一般に0.05〜5モル/Lであり、0.25〜1モル/Lであることが好ましい。
また、アミノ化合物に対するアルデヒド類の割合は、特に限定されないが、アミノ化合物1モルに対して0.1〜10モルであり、0.2〜5モルであることが好ましく、0.5〜2モルであることがより好ましい。
溶媒としては、メラノイジン生成原料を溶解するものであれば特に限定されないが、水や含水アルコール、含水グリセリンが例示される。
メラノイジン生成原料を溶解した溶液のpH(25℃)は、5.0以上であり、7.0〜14.0であることが好ましく、10.0〜13.8であることがより好ましい。pHの調整は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いて行えばよい。pHが5.0未満である場合、メラノイジンの生成が非常に遅くなる。
メイラード反応は常温でも徐々に進行するため、加熱温度は特に限定されないが、通常40℃以上であり、40〜120℃であることが好ましく、60〜110℃であることがより好ましく、70〜100℃であることが特に好ましい。120℃を超える場合、メイラード反応は進行するが、溶媒として水を用いる場合には溶媒の蒸発量が多くなり、制御が煩雑となる。40℃未満である場合、メラノイジンの生成に要する時間が長くなる。
加熱時間は、1〜300分間であることが好ましく、10〜240分間であることがより好ましく、30〜180分間であることが特に好ましい。
(3)めっき液安定剤の使用方法
本発明のめっき液安定剤はめっき液中に添加される。めっき液安定剤が予め生成されたメラノイジンである場合は、めっき液にそのまま添加して使用に供する。めっき液安定剤がメラノイジン生成原料である場合、めっき液に添加した後、めっき開始前に該めっき液を加熱してメラノイジンを生成させるか、めっき液を構成する成分の一部に添加後、これを加熱してメラノイジンを生成させてめっき液を調製し、使用に供する。
上述のとおり、メラノイジンは多様な物質の混合物であることから、めっき液への添加量を明確に規定することは困難であるし、現実的ではない。予め生成されたメラノイジン(メラノイジン混合物)を用いる場合、めっき液への添加量の目安としては、有機物固形分として0.01〜100g/Lであり、0.02〜50g/Lであることがより好ましい。ここで、有機物固形分とは、アミノ化合物、糖類及び/又はアルデヒド類、及びこれらの反応物をいい、メラノイジンの生成時に用いる水や有機溶媒、水酸化ナトリウム等は除外される。また、メラノイジン混合物中の褐色物質の含有量は、波長600nmにおける吸光度と相関があることが知られている。そのため、メラノイジン混合物の波長600nmにおける吸光度を添加濃度の目安とすることも可能である。本発明のめっき液安定剤の添加量は、同濃度の水溶液とした場合における波長600nmの吸光度が0.01〜2.00となる濃度であることが好ましく、0.05〜1.50となる濃度であることがより好ましい。添加量が少なすぎる場合、めっき液安定剤としての効果を十分に奏さない。添加量が多すぎる場合、めっき速度が低下する場合がある。
(4)無電解白金めっき液
本発明の無電解白金めっき液は、
白金イオンとして0.0005〜0.15mol/Lの白金塩と、
0.015〜6mol/Lの錯化剤と、
0.003〜0.8mol/Lの水素化ホウ素塩と、
本発明のめっき液安定剤を有機物固形分として0.01〜100g/Lと、
を含むことを特徴とする。
(白金塩)
本発明の無電解白金めっき液に配合される白金塩は、特に制限がなく、任意の白金塩が使用できる。具体的には、ジニトロジアンミン白金塩、塩化白金酸塩、白金アンミン錯塩、白金ニトロ錯塩、白金ニトロアンミン錯塩、白金エチレンジアミン錯塩が例示される。めっき液の安定性が良好な点で、白金エチレンジアミン錯塩が特に好ましい。
本発明の無電解白金めっき液に配合される白金塩の配合量は、白金イオンとして、0.0005〜0.15mol/Lであり、0.001〜0.10mol/Lであることが好ましい。白金塩の配合量が0.0005mol/L未満の場合は、めっき速度が低下する。白金塩の配合量が白金イオンとして0.15mol/L(15g/L)を超える場合は、めっき液の安定性が低下し、パターン外析出を生じやすい。
(錯化剤)
本発明の無電解白金めっき液に配合される錯化剤は、特に制限がなく、任意の錯化剤が使用できる。具体的には、エチレンジアミン、1,2−アミノプロパン、1,3−アミノプロパン、エチレンアミン、メチルアミン、ピペリジンが例示される。錯化力の点で、エチレンジアミン、1,2−アミノプロパン、1,3−アミノプロパンが特に好ましい。
本発明の無電解白金めっき液に配合される錯化剤の配合量は、0.015〜6mol/Lであり、0.075〜3mol/Lであることが好ましい。錯化剤の配合量が0.015mol/L未満の場合は、めっき液が不安定になり、めっき液中に白金が析出しやすくなる。錯化剤の配合量が6mol/Lを超える場合は、めっき液が安定となりすぎ、めっき速度が低下する。白金イオン1モルに対する錯化剤の配合量は、2〜15モルであることが好ましく、6〜12モルであることがより好ましい。
(水素化ホウ素塩)
本発明の無電解白金めっき液には、還元剤として水素化ホウ素塩が配合される。水素化ホウ素塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、水素化ホウ素ナトリウムがより好ましい。
本発明の無電解白金めっき液に配合される水素化ホウ素塩の配合量は、0.003〜0.8mol/Lであり、0.015〜0.5mol/Lであることが好ましい。水素化ホウ素塩の配合量が0.003mol/L未満の場合は、めっき液中の白金の全量を析出させることができなくなり、不経済になる。水素化ホウ素塩の配合量が0.8mol/Lを超える場合は、めっき液の安定性が低下する場合がある。
(めっき液安定剤)
本発明の無電解白金めっき液に配合されるめっき液安定剤の配合量は、前述のとおりである。即ち、予め生成されたメラノイジン混合物を用いる場合、有機物固形分として0.01〜100g/Lであり、0.02〜50g/Lであることがより好ましい。
メラノイジン生成原料を用いる場合、メラノイジン生成原料として、0.01〜100g/Lであり、0.02〜50g/Lであることがより好ましい。
例えば、後述の製造例1に記載する方法により製造されたメラノイジン混合物水溶液の場合、その添加量は1〜200ml/Lであることが好ましく、10〜100ml/Lであることがより好ましい。
メラノイジン混合物の波長600nmにおける吸光度を添加濃度の目安とすることも可能である。本発明のめっき液安定剤の添加量は、予め生成されたメラノイジン混合物を用いる場合、水に添加した場合に波長600nmの吸光度が0.01〜2.00となる濃度であることが好ましく、0.05〜1.50となる濃度であることがより好ましい。また、メラノイジン生成原料を用いる場合は、任意の添加量でメラノイジン生成原料を添加し、波長600nmの吸光度が0.01〜2.00増加するまで、メイラード反応を進行させることが好ましい。
換言すれば、本発明のめっき液安定剤の添加量は、水に添加した場合に波長600nmの吸光度を0.01〜2.00増加させる量であることが好ましく、0.05〜1.50増加させる量であることがより好ましい。
添加量が少なすぎる場合、めっき液安定剤としての効果を十分に奏さない。添加量が多すぎる場合、めっき速度が低下する場合がある。本発明のめっき液安定剤は、その許容される添加範囲が広いため、簡単な実験を行うことにより最適な添加量を見出すことができる。
(タリウム化合物)
本発明の無電解白金めっき液には、タリウム化合物が配合されても良い。タリウム化合物としては、硫酸タリウム、酢酸タリウム、硝酸タリウム、ギ酸タリウムが例示される。タリウム化合物の配合量は、タリウムイオンとして0.001〜60mg/Lであり、0.03〜50mg/Lが好ましく、0.5〜30mg/Lが特に好ましい。タリウムイオンとして0.001〜60mg/Lの範囲で配合される場合は、めっき速度を保持したまま、パターン外析出を抑制する効果を高くすることができる。タリウムイオンとして60mg/Lを超える場合は、めっき速度が低下する。タリウムイオンとして0.001mg/Lよりも低い場合、タリウム化合物の添加効果を十分に奏さない。
(pH)
本発明の無電解白金めっき液のpH(25℃)は、10.0〜14.0であり、10.5〜13.8が好ましく、11.0〜13.0がより好ましい。pHが10.0未満の場合は、白金皮膜の形成速度が低下する場合がある。pHが13.8を超える場合は、めっき液が不安定になりやすい。めっき液のpHは、NaOH、KOH等の強アルカリを添加することにより調節できる。
(その他)
本発明の無電解白金めっき液には、硫酸塩のように硫黄原子を含む物質を含まないことが好ましい。硫黄原子を含む物質を含む場合、酸素センサ等の一部用途において不具合が生じる場合がある。
(無電解白金めっき液の製造方法)
本発明の無電解白金めっき液は、上記各成分を所定の濃度で水に溶解し、pHを調整することにより製造される。なお、還元剤は、めっき液を使用する直前に配合することが好ましい。めっき液安定剤としてメラノイジン生成原料を添加した場合には、めっき液の使用前までに加熱等を行い、メラノイジンを生成させることが必要である。加熱温度は40〜100℃であることが好ましく、40〜75℃であることがより好ましく、40〜70℃であることが特に好ましい。100℃を超える場合、白金錯体が分解し易くなる。40℃未満である場合、メラノイジンの生成に要する時間が長くなる。加熱時間は、1分間〜24時間であることが好ましく、1〜20時間であることがより好ましい。
(めっき方法)
本発明の無電解白金めっきは、本発明のめっき液の温度を所定温度に保ち、めっき対象物とめっき液とを接触させることにより行われる。めっき対象物とめっき液との接触は、めっき液中にめっき対象物を浸漬することにより、又はめっき対象物を用いてセルを構成し、該セル内にめっき液を注入することにより行われる。
めっき対象物に無電解白金めっきを施す場合、白金皮膜の形成箇所をパラジウム等の金属を用いて、予め活性化しておく。このようにしてめっき対象物に無電解白金めっきを施すと、前記活性化した部分に白金皮膜が形成され、活性化されていない部分には白金皮膜が形成されない。なお、活性化方法は、当業者に周知である。
めっき液の使用温度は、20〜70℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。めっき時間は、0.3〜6時間が好ましく、0.5〜5時間がより好ましい。この条件でめっきを施すことにより、通常0.4μm以上、好ましくは0.6〜1.4μm、より好ましくは0.8〜1.2μmの膜厚の白金皮膜を形成できる。
白金皮膜の形成に際しては、めっき時間短縮やめっき皮膜の均質性の観点から、めっき液を撹拌したり、めっき対象物をめっき液中で振動させ、又は回転させたりすることは有効である。めっき対象物を回転させる場合、回転数は600〜3000rpmが好ましく、800〜2000rpmがより好ましく、900〜1500rpmが特に好ましい。さらに、めっき対象物を回転させる場合、回転軸に対してめっき対象物を1〜40度傾けることが好ましい。
しかし、本発明の無電解白金めっき液は、このような撹拌や回転を行わなくても迅速に均質なめっき皮膜を形成することができる。そのため、めっき装置が簡略化できる。
めっき対象物のめっき形成箇所が板状物や筒状物の一面側のみである場合、めっき液にめっき対象物を全没させてめっきを行うと、活性化されていない面(めっきを形成しない面)にまで白金皮膜が形成される場合がある。本発明のめっき液は強アルカリ性であるため、ドライフィルム等を用いてめっき不要箇所をマスキングすることが困難である。そのため、めっき対象物をめっき液中に全没させずに、めっきを形成する面のみにめっき液を接触させてめっきを行うことは有効である。
めっき対象物が板状物である場合、めっきを形成する面を内側に向けてセル構造を形成し、このセル内にめっき液を注入する。また、めっき対象物が筒状物であり、その内面のみにめっきを施す場合、該筒状物の筒内にめっき液を注入する。これにより、めっき対象物のめっきを形成する面のみにめっき液を接触させることができる。この方法によれば、めっき対象物をめっき液中に全没させる必要がない。そのため、めっき液の使用量を低減できる。
このようなめっき方法に使用するめっき液は、白金濃度を高くすることが好ましい。白金濃度を高くすることにより、少量のめっき液で厚い白金皮膜を形成でき、板状物又は筒状物の内面のような少量のめっき液しか注入できない場合であっても、厚い白金皮膜を形成することを可能にする。また、白金濃度が高いため、めっき速度が向上する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。各実施例、比較例における評価項目は以下に説明する方法により評価した。
(析出速度)
めっき開始後、30分間経過した後に膜厚を測定し、該膜厚に基づいて算出した。
(膜厚)
めっき終了後、めっき対象物をめっき液から取り出し、形成された白金皮膜の膜厚を測定した。膜厚の測定は、蛍光X線膜厚計EA6000VX(旧:セイコーインスツル社、現:日立ハイテクサイエンス社)を使用して行った。膜厚平均値は、9点測定した平均値を用いた。
(パターン外析出)
めっき終了後、めっきパターンから漏れて形成されている白金皮膜の面積を測定し、以下の基準により評価した。なお、面積はめっき対象物を写真撮影し、画像処理ソフトを用いて測定した。
◎:漏れ部面積/パターン部面積=0
○:漏れ部面積/パターン部面積<0.1
△:0.1≦漏れ部面積/パターン部面積<0.5
×:漏れ部面積/パターン部面積≧0.5
(安定剤としての効果)
実施例4の試験におけるめっき液安定剤を、各製造例で得られためっき液安定剤に変更してめっきを行い、前述のパターン外析出と同様に評価した。
(治具付着)
めっき終了後の治具を観察し、以下の基準により評価した。
○:冶具に付着している白金が目視で確認できない。
×:冶具に付着している白金が目視で確認できる。
(めっき液中異常析出)
めっき終了後のめっき液を常温で12時間放置した後に観察し、以下の基準により評価した。
○:めっき液中に白金の析出が目視で確認できない。
×:めっき液中に白金の析出が目視で確認できる。
(治具の再利用可能性)
同一の治具を洗浄することなく用いて、他の試験結果に影響を及ぼさずに繰り返しめっきを行うことができる回数を測定し、以下の基準により評価した。
○:治具を4回以上繰り返して使用することができる。
△:治具を1〜3回繰り返して使用することができる。
×:治具を繰り返して使用することができない(使い捨て)。
(総合判定)
○:析出効率が95%以上であって、かつ他項目が全部○以上である。
△:析出効率が95%以上であるが、他項目に△の項目がある。
×:析出効率が95%以下であるか、他項目に×の項目がある。
(製造例1)
グリシン0.05mol及びD(+)−グルコース0.05molを100g/L水酸化ナトリウム水溶液に溶解して液量を100mLとし、100℃で60分間加熱してメラノイジン混合物水溶液を得た。得られたメラノイジン混合物水溶液は、波長400nmにおける吸光度が4.37であり、波長600nmにおける吸光度が3.37であり、波長800nmにおける吸光度が0.80であった。また、このメラノイジン混合物水溶液を50mL/Lで添加して後述の実施例4のめっき液を調製してめっきを行ったところ、パターン外析出は観察されなかった。結果は表1に示した。
(製造例2〜31)
メラノイジン生成原料、水酸化ナトリウム水溶液の濃度、加熱温度、加熱時間を表1に記載するとおり変更した他は製造例1と同様に操作して、メラノイジン混合物水溶液を得た。得られたメラノイジン混合物の評価結果は表1に示した。
製造例28で製造したメラノイジン混合物水溶液を10ml/L、25ml/L、50ml/L、100ml/L、200ml/Lでの各濃度で添加して後述の実施例4のめっき液を調製した。このめっき液を用いて安定剤としての効果を評価した。また、各めっき液の400nm、600nm、800nmにおける吸光度を測定した。結果は表2に示した。
Figure 0006673929
Figure 0006673929
製造例1〜31(26、27を除く)の何れのメラノイジン混合物もめっき液安定剤として優れた効果を示すことが確認された。
(実施例1〜6及び比較例1〜8のめっき対象物の調製)
図1に示す有底円筒状のジルコニア管100(直径7mm、長さ32mm)の表面に、円筒軸方向に沿って、幅1mmの帯状パラジウム触媒層パターン2と、前記帯状パターン2の一端に、前記ジルコニア管100の周方向に沿って形成した環状パターン4とからなる触媒層パターン6を形成しためっき対象物を得た。触媒層パターン6の形成は定法によった。触媒層6の全パターン面積は1.0cmであった。
(実施例1のめっき方法)
表3に記載の配合により、無電解白金めっき液を調製した。めっき液安定剤としては、製造例1で得たメラノイジン混合物水溶液を10ml/Lの割合で添加した。これは、有機物固形分1.3g/Lに相当する。pH(25℃)は12.0であった。
内径18mm、長さ12cmのポリエチレン製試験管20に無電解白金めっき液22を11.0ml加えた。図2に示すように、めっき対象物の触媒層パターン6が完全にめっき液22中に浸漬されるように、試験管20内のめっき液22中に、めっき対象物を挿入した。めっき対象物の上部は、シリコーンゴム管から成る治具28を接続した。冶具28もめっき液22中に完全浸漬された。めっき対象物は回転させなかった。温度60℃で90分間めっきを行った。30分間経過時に触媒層パターン6に形成された白金皮膜の膜厚を測定したところ、0.4μmであった。90分間経過後にめっき対象物を取り出し、膜厚、パターン外析出、治具付着、めっき液中異常析出を評価した。結果は表3に示した。また、水洗した同一の治具28を用いて同じ試験を繰り返したところ、治具28を王水洗浄することなく、少なくとも4回の繰り返し使用が可能であった。
(実施例2のめっき方法)
表3に記載の配合により、無電解白金めっき液を調製した。めっき液安定剤としては、製造例1で得たメラノイジン混合物水溶液を1.0ml/Lの割合で添加した。これは、有機物固形分0.13g/Lに相当する。pH(25℃)は12.5であった。
内径18mm、長さ12cmポリエチレン製試験管20に無電解白金めっき液22を2.2ml加えた。図2に示すように、めっき対象物の触媒層パターン6が完全にめっき液22中に浸漬されるように、試験管20内のめっき液22中に、めっき対象物を挿入した。めっき対象物の上部は、シリコーンゴム管から成る治具28を接続した。冶具28の一部もめっき液22中に浸漬された。めっき対象物は回転させなかった。温度60℃で90分間めっきを行った。30分間経過時に触媒層パターン6に形成された白金皮膜の膜厚を測定したところ、0.4μmであった。90分間経過後にめっき対象物を取り出し、膜厚、パターン外析出、治具付着、めっき液中異常析出を評価した。結果は表3に示した。また、水洗した同一の治具28を用いて同じ試験を繰り返したところ、治具28を王水洗浄することなく、少なくとも4回の繰り返し使用が可能であった。
(実施例3〜6及び比較例1〜2、6のめっき方法)
めっき液の組成及びめっき条件を表3に記載するとおり変更した他は、実施例2と同様に操作して白金皮膜を形成した。評価結果は表3に示した。
(比較例3〜5、7〜8のめっき方法)
表3に記載の配合により、無電解白金めっき液を調製した。内径18mm、長さ12cmポリエチレン製試験管20に無電解白金めっき液22を2.2ml加えた。図2に示すように、めっき対象物の触媒層パターン6が完全にめっき液22中に浸漬されるように、試験管20内のめっき液22中に、めっき対象物を挿入した。めっき対象物の上部は、シリコーンゴム管から成る治具28を用いて回転軸30に接続した。冶具28の一部もめっき液22中に浸漬された。接続の際、めっき対象物の軸心と、回転軸の軸心とは、3°傾けて接続した。回転軸は1000rpmで回転させた。温度40℃で90分間めっきを行った。30分間経過時に触媒層パターン6に形成された白金皮膜の膜厚を測定した。90分間経過後にめっき対象物を取り出し、膜厚、パターン外析出、治具付着、めっき液中異常析出を評価した。結果は表3に示した。また、水洗した同一の治具28を用いて同じ試験を繰り返した。
Figure 0006673929
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実施例1〜6は、本発明のめっき液安定剤を含んでいる。そのため、析出速度の低下を生じることがなく、析出効率が高く、パターン外析出を高度に抑制した。また、めっき治具への白金の付着がなく、めっき治具を王水等で洗浄することなく繰り返し使用が可能であった。また、めっき液中での白金錯体の分解を高度に抑制した。
比較例1〜8は、本発明のめっき液安定剤を含まない。そのため、パターン外析出が生じやすく、治具への付着も多く見られた。また、治具の再利用が困難であった。比較例8は安定剤を多く含有しているため、パターン外析出や白金錯体の分解は生じ難かったが、析出効率が著しく低下した。比較例2と4、及び比較例6と7は、めっき液の組成が同一である。めっき対象物の撹拌を行わない場合、パターン外析出及び治具付着が著しく悪化した。
(実施例7〜12及び比較例9〜13のめっき対象物の調製)
図3に示す構造のセルを作製した。先ず、2枚のセラミックス板(35mm×35mmの四角形)を30℃フッ化水素中に15分間浸漬してエッチングした。その後、この2枚のセラミックス板を水洗して乾燥させた。セラミックス板の一部をテープでマスキングし、筆を用いて活性化液をそれぞれのセラミックス板の片面に塗布した後、400℃の炉内で12分間焼成してパラジウム触媒層パターンを形成した。この2枚のセラミックス板51の3辺の外縁部にシリコン製チューブ52(直径2mm)を挟んで、パラジウム触媒層パターンが形成された面を内側に向けて対向させ、クリップ(不図示)で固定してセル50を作製した。めっき対象箇所はこのセル50の内側である。露出しているパラジウム触媒層パターンの面積は3.0cmであった。
(実施例13〜18のめっき対象物の調製)
セラミックス板は25mm×25mmの四角形のものを用い、パラジウム触媒層パターンの面積を5.5cmとした他は上記と同様に操作してセルを作製した。
(実施例7のめっき方法)
表4に記載の配合により、無電解白金めっき液を調製した。pH(25℃)は12.8であった。
セル50内に無電解白金めっき液を1.6ml加え、温度35℃で75分間めっきを行った。30分間経過時に触媒層パターンに形成された白金皮膜の膜厚を測定したところ、0.5μmであった。75分間経過後にめっき対象物を取り出し、膜厚、パターン外析出、治具付着、めっき液中異常析出を評価した。結果は表4に示した。めっき後、治具(シリコン製チューブ52)を水洗後、同一の治具を用いて同じ試験を繰り返したところ、治具を王水洗浄することなく、少なくとも4回の繰り返し使用が可能であった。
(実施例8〜18及び比較例9〜13のめっき方法)
めっき液の組成及びめっき条件を表4に記載するとおり変更した他は、実施例7と同様に操作して白金皮膜を形成した。評価結果は表4に示した。

Figure 0006673929
Figure 0006673929
Figure 0006673929
実施例7〜18は、本発明のめっき液安定剤を含んでいる。そのため、析出速度の低下を生じることがなく、析出効率が高く、パターン外析出を高度に抑制した。また、めっき治具への白金の付着がなく、めっき治具を王水等で洗浄することなく繰り返し使用が可能であった。また、めっき液中での白金錯体の分解を高度に抑制した。
比較例9〜13は、本発明のめっき液安定剤を含まない。そのため、めっき液中で白金錯体が分解して白金が析出した。また、パターン外析出が生じやすく、治具への付着も多く見られ、析出効率が著しく低下した。さらには、治具の再利用が困難であった。
(実施例19)
ビス(エチレンジアミン)白金錯塩0.005mol、エチレンジアミン0.45mol、グリシン1.9g(0.025mol)、D(+)−グルコース4.6g(0.025mol)を溶媒である純水900mlに添加し、めっき開始前に該めっき液を60℃で5時間加熱してメラノイジンを生成させた。この液を冷却した後、還元剤である水素化ホウ素ナトリウム0.05molを添加し、pHを12.5、液量を1Lに調整した。このめっき液の600nm吸光度は0.32であった。このめっき液を用いて実施例4と同じ方法でめっきを行った。その結果、析出速度は0.8(μm/時間)、析出効率は98(%)、膜厚平均値は1.0(μm)、パターン外析出は◎、冶具付着は○、めっき液中異常析出は○、治具の再利用可能性は○、総合判定は○であった。
(参考例1)
製造例1で得られたメラノイジン混合物水溶液をそれぞれ0ml/L、25ml/L(有機物固形分として3.25g/L)、50ml/L(有機物固形分として6.50g/L)、100ml/L(有機物固形分として13.0g/L)、200ml/L(有機物固形分として26.0g/L)の5水準で添加しためっき液を作製した。めっき液安定剤を除いためっき液の組成は、実施例1に記載のとおりとした。また、上記のメラノイジンに加えてそれぞれギ酸タリウム0.005mmol/Lを添加しためっき液を作製した。各めっき液を用いて表5に記載の温度でそれぞれめっきを行った。パターン外析出が生じた場合又は析出効率が95%未満の場合は×と評価し、パターン外析出が生じず、且つ析出効率が95%以上である場合は該析出効率を表中に記載した。
Figure 0006673929
(参考例2)
製造例1で得られたメラノイジン混合物水溶液をそれぞれ0ml/L、25ml/L(有機物固形分として3.25g/L)、50ml/L(有機物固形分として6.50g/L)、100ml/L(有機物固形分として13.0g/L)、200ml/L(有機物固形分として26.0g/L)の5水準で添加しためっき液を作製した。めっき液の他の組成は、ビス(エチレンジアミン)白金錯塩を白金として0.0075mol/Lとし、エチレンジアミンを0.225mol/Lとし、水素化ホウ素ナトリウムを0.15mol/Lとした。また、上記のメラノイジンに加えてそれぞれギ酸タリウム0.005mmol/Lを添加しためっき液を作製した。各めっき液を用いて表6に記載の温度でそれぞれめっきを行った。パターン外析出が生じた場合又は析出効率が95%未満の場合は×と評価し、パターン外析出が生じず、且つ析出効率が95%以上である場合は該析出効率を表中に記載した。
Figure 0006673929
(参考例3)
製造例1で得られたメラノイジン混合物水溶液をそれぞれ0ml/L、25ml/L(有機物固形分として3.25g/L)、50ml/L(有機物固形分として6.50g/L)、100ml/L(有機物固形分として13.0g/L)、200ml/L(有機物固形分として26.0g/L)の5水準で添加しためっき液を作製した。めっき液の他の組成は、ビス(エチレンジアミン)白金錯塩を白金として0.041mol/Lとし、エチレンジアミンを1.2mol/Lとし、水素化ホウ素ナトリウムを0.4mol/Lとした。また、上記のメラノイジンに加えてそれぞれギ酸タリウム0.005mmol/Lを添加しためっき液を作製した。各めっき液を用いて表7に記載の温度でそれぞれめっきを行った。パターン外析出が生じた場合又は析出効率が95%未満の場合は×と評価し、パターン外析出が生じず、且つ析出効率が95%以上である場合は該析出効率を表中に記載した。
Figure 0006673929
(参考例4)
製造例1で得られたメラノイジン混合物水溶液をそれぞれ0ml/L、25ml/L(有機物固形分として3.25g/L)、50ml/L(有機物固形分として6.50g/L)、100ml/L(有機物固形分として13.0g/L)、200ml/L(有機物固形分として26.0g/L)の5水準で添加しためっき液を作製した。めっき液の他の組成は、ビス(エチレンジアミン)白金錯塩を白金として0.082mol/Lとし、エチレンジアミンを2.4mol/Lとし、水素化ホウ素ナトリウムを0.6mol/Lとした。また、上記のメラノイジンに加えてそれぞれギ酸タリウム0.005mmol/Lを添加しためっき液を作製した。各めっき液を用いて表8に記載の温度でそれぞれめっきを行った。パターン外析出が生じた場合又は析出効率が95%未満の場合は×と評価し、パターン外析出が生じず、且つ析出効率が95%以上である場合は該析出効率を表中に記載した。
Figure 0006673929
白金濃度が低い場合、パターン外析出は生じにくいが、低温ではめっき速度が低い。白金濃度が高い場合、高温で使用するとパターン外析出を生じやすくなる。これらの参考例の結果から、めっきの目的に応じて本発明のめっき液安定剤の添加量を適宜調整することができる。
100・・・ジルコニア管
2、4・・・パターン
6・・・触媒層パターン
20・・・試験管
22・・・無電解白金めっき液
28・・・治具
30・・・回転軸
50・・・セル
51・・・セラミック板
52・・・シリコン製チューブ

Claims (14)

  1. メラノイジン及び/又はメラノイジン生成原料を含有することを特徴とするめっき液安定剤。
  2. 前記メラノイジン生成原料が、アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、の組み合わせである請求項1に記載のめっき液安定剤。
  3. 前記アミノ化合物が、下記一般式(1)
    Figure 0006673929
    [式中、R基は水素原子;炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基;アミノ基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基の何れかであり、R基が水素原子以外である場合には、置換基を有していても良い。]
    で表される化合物である請求項2に記載のめっき液安定剤。
  4. 前記アミノ化合物が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン、グルタミン酸、リジン、ヒドロキシリジン、チロシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシンから選択される1種又は2種以上である請求項2に記載のめっき液安定剤。
  5. 前記糖類が、グルコース、キシロース、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、アラビノース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、セロビオース、トレハロース、スクロースから選択される1種又は2種以上である請求項2に記載のめっき液安定剤。
  6. 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド及び/又はアセトアルデヒドである請求項2に記載のめっき液安定剤。
  7. 白金イオンとして0.0005〜0.15mol/Lの白金塩と、
    0.015〜6mol/Lの錯化剤と、
    0.003〜0.8mol/Lの水素化ホウ素塩と、
    請求項1乃至6の何れか1項に記載のめっき液安定剤を有機物固形分として0.01〜100g/Lと、
    を含むことを特徴とする無電解白金めっき液。
  8. 前記白金塩が、塩化白金酸塩、白金アンミン錯塩、白金ニトロ錯塩、白金ニトロアンミン錯塩又は白金エチレンジアミン錯塩である請求項7に記載の無電解白金めっき液。
  9. 前記錯化剤が、エチレンジアミン、1,2−アミノプロパン又は1,3−アミノプロパンである請求項7に記載の無電解白金めっき液。
  10. タリウム化合物をさらに含む請求項7に記載の無電解白金めっき液。
  11. pH(25℃)が、10.0〜14.0である請求項7に記載の無電解白金めっき液。
  12. アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、を溶媒中に溶解し、pH(25℃)5.0以上の条件下、40℃以上で1〜300分間加熱することを特徴とする請求項1に記載のめっき液安定剤の製造方法。
  13. アミノ化合物と、糖類及び/又はアルデヒド類と、を溶媒中に溶解し、pH(25℃)5.0以上の条件下、40〜100℃で1分間〜24時間加熱することを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の無電解白金めっき液の製造方法。
  14. 請求項7乃至11の何れか1項に記載の無電解白金めっき液と、めっき対象物と、を20〜70℃で0.3〜6時間接触させて、厚み0.4μm以上の白金皮膜を形成する無電解白金めっき方法。
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