JP6673542B2 - 凍土の造成状況管理システム、凍土の造成状況処理装置、及び凍土の造成状況管理方法 - Google Patents
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Description
図1は、実施形態に係る凍土の造成状況管理システムの概要を示す。実施形態に係る凍土の造成状況管理システム100(以下、単に管理システム100ともいう。)は、地盤6の温度情報を取得する温度測定装置200、予測値としての凍土の造成状況を算出する凍土の造成状況処理装置300を備える。
温度測定装置200は、本発明の温度測定部の一例であり、光ファイバ201と、光ファイバ201にレーザを入射するとともに散乱光を測定して温度を測定する測定器202とを含む構成である。測定器202の機能は、凍土の造成状況処理装置300に持たせるようにしてもよい。
ファイバ201が埋め込まれた鋼矢板・中詰めコンクリート91は、例えば、光ファイバ201を埋め込むための孔を形成し、隣接する鋼矢板・中詰めコンクリート91の孔の位置を合わせて現場で鋼矢板・中詰めコンクリート91を組み立てた後、形成した孔に光ファイバ201を通すことで実現できる。光ファイバ201を孔に通した後、孔の内面と光ファイバ201の外面との間に隙間が形成されている場合には、その隙間に凍結しにくい充填材(例えば、熱伝導性シリコン材やグリース材など)を充填してもよい。
図6は、実施形態に係る凍土の造成状況処理装置の構成を示す。処理装置300(以下、単に処理装置300ともいう。)は、汎用のコンピュータによって構成することができ、処理装置300は、制御部301、表示部304、操作部305、記憶部306、通信部307を備える。制御部301は、CPU302、メモリ303を含み、メモリ303に格納されたプログラムに従って、処理装置300又は管理システム100を制御する。例えば、制御部301は、温度測定装置200で取得した壁の温度情報と、地盤6の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出し、表示部304に表示する。
次に、凍土の造成状況管理方法について説明する。図7は、実施形態に係る凍土の造成状況管理方法のフローを示す。
まず、構造物(例えば、シールドトンネル5や立坑9)の施工前において、凍土7を造成する地盤6の3次元解析モデルが構築される(ステップS01)。この3次元解析モデルは、設計図面などを参考にして鋼製セグメント51、地盤6の部分を格子状モデル(節点・要素)でモデル化したものであり、設計図面などの位置情報を参考に、汎用ソフトにより作成できる。作成した3次元解析モデルは処理装置300のメモリ303に格納し、処理装置内の操作部305により、確認が必要な対象範囲の解析モデルを選抜できるようになっている。また選抜された3次元解析モデルは表示部304に表示することができる。
次に、地盤6内の熱特性値が算出される(ステップS02)。地盤6内の熱特性値は、本発明の地盤のパラメータの一例であり、3次元解析モデルの地盤6内の節点に紐づけられるものである。地盤6が一様な地盤(例えば、砂地盤)と判断される場合は、一種類のパラメータを算出して設定するが、複数種の地盤(例えば、粘土、砂、礫など)に分類される場合は、その種類の数だけパラメータを算出して設定する。設定される地盤6内の熱特性値には、土の初期温度(本発明の地盤の初期温度の一例)、凍結前後の土の密度(本発明の地盤の密度の一例)、凍結前後の土の熱伝導率(本発明の地盤の熱伝導率の一例)、凍結前後の土の比熱(本発明の地盤の比熱の一例)が含まれる。これらの地盤6内の熱特性値は、その地盤の種類に関わらず、一般的な土質試験で得られる「土粒子密度」、「含水比」、及び「飽和度」により算出することができる。
次に、構造物(例えば、シールドトンネル5や立坑9)の施工中において、温度測定装置200により、鋼製セグメント51の温度計測データ(本発明の壁の温度情報の一例)が取得される(ステップS03)。換言すると、鋼製セグメント51に埋め込まれた光ファイバ201により、多点の温度データが取得される。ステップS03は、本発明の壁の温度情報取得ステップの一例である。
次に、予測値としての凍土の造成状況が算出される(ステップS04)。予測値としての凍土の造成状況は、処理装置300の制御部301が、メモリ303に格納された、予測値としての凍土の造成状況算出プログラムを実行することで実現される。具体的には、まず、ステップS02で算出された地盤6内の熱特性値、及びステップS03で取得された鋼製セグメント51の温度計測データが処理装置300に入力され、記憶部306に記憶される。地盤6内の熱特性値、及び鋼製セグメント51の温度計測データは、操作部305を介して入力することができる。また、地盤6内の熱特性値を処理装置300で算出した場合には、算出された地盤6内の熱特性値が自動的に記憶部306に記憶される。また、処理装置300が測定器202の機能を有している場合には、測定された鋼製セグメント51の温度計測データが自動的に記憶部306に記憶される。
次に、処理装置300の制御部301は、ステップS04で算出した、予測値としての凍土の造成状況を出力する(ステップS05)。具体的には、処理装置300の制御部301は、予測値としての凍土の造成状況を、表示部304に表示する。ここで、図9は、予測値としての凍土の造成状況(0℃以下の範囲)の表示例を示す。図9の表示例は、シールドトンネル5における、予測値としての凍土の造成状況であり、3次元解析モデルのある任意の断面および位置におけるメッシュ図に、0℃以下の温度分布が併記された、温度分布のコンター図で示されている。また、図9の表示例は、30日後、60日後、90日後の、予測値としての凍土の造成状況を含む。また、図9の表示例では、凍土の造成範囲が、5℃刻みで色分けして表示されている。図9に示す例では、0.00〜−5.00℃が7a、−5.00〜−10.00℃が7b、−10.00〜−15.00℃が7c、−15.00〜−20.00℃が7dで示されている。日数の経過に伴い、凍結管2を中心に凍土の造成範囲が徐々に広がっていくことを確認することができる。そして、90日後において、凍土の造成範囲が既定値に達することが確認できる。
次に、測温管により地盤6内の温度が測定され、実測値としての凍土の造成状況が取得される(ステップS06)。具体的には、鋼製セグメント51の内側から地盤6内に測温管が挿入され、地盤6内の温度が測定される。測温管は、多点(複数の計測位置)での温度の取得が可能であり、測定された地盤6内の温度に基づいて、実測値としての凍土の造成状況が取得される。
次に、ステップS05で出力された予測値としての凍土の造成状況と、ステップS06で取得した実測値としての凍土の造成状況とが比較される(ステップS07)。予測値と実測値との比較は、処理装置300の制御部301が、メモリ303に格納された、予測値と実測値とを比較するための比較用プログラムを実行することで実現される。なお、予測値と実測値とを比較するための比較用プログラムは、先に説明した、凍土の造成状況算出プログラムに組み込んでもよい。具体的には、まず、ステップS06で取得した実測値としての凍土の造成状況が処理装置300に入力され、記憶部306に記憶される。実測値としての凍土の造成状況、換言すると、複数の計測値における温度は、操作部305を介して入力することができる。また、実測値としての凍土の造成状況を処理装置300で算出して取得した場合には、取得した実測値としての凍土の造成状況値が自動的に記憶部306に記憶される。
次に、処理装置300の制御部301は、ステップS07の比較結果を出力する(ステップS08)。具体的には、処理装置300の制御部301は、予測値としての凍土の造成状況と、実測値としての凍土の造成状況とを、表示部304に表示する。ここで、図10は、予測値としての凍土の造成状況と、実測値としての凍土の造成状況との比較結果の表示例を示す。図10の表示例は、図9で説明した、シールドトンネル5における、予測値としての凍土の造成状況(90日後)と、測温管の温度計測位置が示されている。測温管の計測位置における温度は、計測位置の横に実測値をそのまま表示してもよい。また、測温管の計測位置における温度は、計測位置を示す丸印を、例えば予測値としての凍土の造成範囲の表示方法に合わせて、−5℃刻みで色分けして表示してもよい。更に、例えば、予測値としての凍土の造成状況と、実測値としての凍土の造成状況との差が既定値を上回る場合には、既定値を上回る箇所が確認できるよう、他の計測位置を示す丸印と色分けするなどして、表示するようにしてもよい。
以上説明した実施形態に係る凍土の造成状況管理システム100によれば、凍土の造成
状況を予測値として算出することで、従来よりも容易に凍土を管理することができる。具体的には、線状の光ファイバ201を壁(鋼製セグメント51や鋼矢板・中詰めコンクリート91)に埋設することで、従来多大な労力を要していた測温管を埋設する作業を大幅に削減することができる。また、線状の光ファイバ201を壁に埋設することで、構造物(シールドトンネル5や立坑9)の壁に沿う方向において、点ではなく、線状に温度を測定することができる。一本の線で多点の温度を測定できることから、配線数を大幅に削減できる。また、予測値としての凍土の造成状況を算出する際に用いる地盤6の属性情報(地盤6の含水比、地盤6の土粒子密度)は、一般的な土質試験結果から得ることができる。その結果、実施形態に係る凍土の造成状況管理システム100では、従来よりも容易に凍土を管理することができる。
ここで、上述した実施形態では、光ファイバ201が埋め込まれた鋼製セグメント51について、光ファイバ201を埋め込むための孔を形成し、形成した孔に光ファイバ201を通す構成を一例として説明した。この構成とは異なる例として、例えば、光ファイバ201が埋め込まれた鋼製セグメント51は、光ファイバ201を設置した上で、鋼製セグメント51の中詰めコンクリートを打設して作製してもよい。ここで、図11は、シールドトンネルに光ファイバを設置した他の例を示す。図12は、図11のシールドトンネルに用いられる、接続アダプタを用いて光ケーブルを接続する鋼製セグメントを示す。図11、図12に示す例では、光ファイバ201の端部が鋼製セグメント51から露出しており、露出する光ファイバ201の端部に接続アダプタ203が設けられている。光ファイバ201は、現場で鋼製セグメント51を組み立てる際、接続アダプタ203を接続することで、鋼製セグメント51に埋め込まれた一本のケーブルとして機能する。なお、図4、図5で説明した立坑に光ファイバ201を設置する場合においても、鋼矢板・中詰めコンクリート91から光ファイバ201の端部を露出しておき、露出する光ファイバ201の端部に接続アダプタ203を設け、光ファイバ201を一本のケーブルとして機能させるようにしてもよい。なお、図12に示す例は、光ファイバ201を鋼製セグメント51の内側に設置する態様を示しているが、図13に示す態様のように光ファイバ201を鋼製セグメント51の外側に設置してもよい。
2・・・凍結管
3・・・被覆材
4・・・断熱材
5・・・トンネル
51・・・鋼製セグメント(中詰めコンクリート)
6・・・地盤
7・・・凍土
9・・・立坑
91・・・鋼矢板・中詰めコンクリート
100・・・凍土の造成状況管理システム
200・・・温度測定装置
201・・・光ファイバ
202・・・測定器
203・・・接続アダプタ
300・・・凍土の造成状況処理装置
301・・・制御部
302・・・CPU
303・・・メモリ
304・・・表示部
305・・・操作部
306・・・記憶部
307・・・通信部
Claims (7)
- 地盤内に構築される構造物の周囲に造成される凍土の造成状況を管理する凍土の造成状況管理システムであって、
地盤内に構築される構造物の壁に設けられ、壁の温度情報を取得する線状の温度測定部と、
前記温度測定部で取得された壁の温度情報と、地盤の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出し、出力する、凍土の造成状況処理部と、
を備え、
前記凍土の造成状況処理部は、地盤の属性情報として、地盤の含水比、地盤の土粒子密度、及び地盤の飽和度を取得し、地盤のパラメータとして、地盤の初期温度、地盤の密度、地盤の熱伝導率、地盤の比熱を算出し、算出した地盤のパラメータと前記壁の温度情報とに基づいて、凍土の造成状況を算出する、凍土の造成状況管理システム。 - 地盤内に構築される構造物の周囲に造成される凍土の造成状況を管理する凍土の造成状況管理システムであって、
地盤内に構築される構造物の壁に設けられ、壁の温度情報を取得する線状の温度測定部と、
前記温度測定部で取得された壁の温度情報と、地盤の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出し、出力する、凍土の造成状況処理部と、
を備え、
前記凍土の造成状況処理部は、予測値としての凍土の造成状況と、実測値としての凍土の造成状況とを比較し、比較結果を出力する、凍土の造成状況管理システム。 - 前記凍土の造成状況処理部は、所定期間経過後における凍土の造成範囲を、凍土の温度を段階的に区分して出力する、請求項1又は2に記載の凍土の造成状況管理システム。
- 地盤内に構築される構造物の周囲に造成される凍土の造成状況を処理する凍土の造成状況処理装置であって、
情報の入力を受け付ける操作部と、
前記操作部で受け付けた、地盤内に構築される構造物の壁に設けられた線状の温度測定部で取得された壁の温度情報と、地盤の属性情報とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された、前記壁の温度情報と、前記地盤の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出する処理部と、
前記処理部で算出された予測値としての凍土の造成状況を表示する表示部と、
を備え、
、
前記処理部は、地盤の属性情報として、地盤の含水比、地盤の土粒子密度、及び地盤の飽和度を取得し、地盤のパラメータとして、地盤の初期温度、地盤の密度、地盤の熱伝導率、地盤の比熱を算出し、算出した地盤のパラメータと前記壁の温度情報とに基づいて、凍土の造成状況を算出する、凍土の造成状況処理装置。 - 地盤内に構築される構造物の周囲に造成される凍土の造成状況を処理する凍土の造成状況処理装置であって、
情報の入力を受け付ける操作部と、
前記操作部で受け付けた、地盤内に構築される構造物の壁に設けられた線状の温度測定部で取得された壁の温度情報と、地盤の属性情報とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された、前記壁の温度情報と、前記地盤の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出する処理部と、
前記処理部で算出された予測値としての凍土の造成状況を表示する表示部と、
を備え、
前記処理部は、予測値としての凍土の造成状況と、実測値としての凍土の造成状況とを比較し、比較結果を出力する、凍土の造成状況処理装置。 - 地盤内に構築される構造物の周囲に造成される凍土の造成状況を管理する凍土の造成状況管理方法であって、
地盤内に構築される構造物の壁に設けられた線状の温度測定部により、壁の温度情報を取得する壁の温度情報取得ステップと、
前記壁の温度情報取得ステップで取得した壁の温度情報と、地盤の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出し、出力する、凍土の造成状況処理ステップと、を含み、
前記凍土の造成状況処理ステップにおいて、地盤の属性情報として、地盤の含水比、地盤の土粒子密度、及び地盤の飽和度を取得し、地盤のパラメータとして、地盤の初期温度、地盤の密度、地盤の熱伝導率、地盤の比熱を算出し、算出した地盤のパラメータと前記壁の温度情報とに基づいて、凍土の造成状況を算出する、凍土の造成状況管理方法。 - 地盤内に構築される構造物の周囲に造成される凍土の造成状況を管理する凍土の造成状況管理方法であって、
地盤内に構築される構造物の壁に設けられた線状の温度測定部により、壁の温度情報を取得する壁の温度情報取得ステップと、
前記壁の温度情報取得ステップで取得した壁の温度情報と、地盤の属性情報とに基づいて、凍土の造成状況を予測値として算出し、出力する、凍土の造成状況処理ステップと、を含み、
前記凍土の造成状況処理ステップにおいて、予測値としての凍土の造成状況と、実測値としての凍土の造成状況とを比較し、比較結果を出力する、凍土の造成状況管理方法。
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