JP6673128B2 - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP6673128B2
JP6673128B2 JP2016193997A JP2016193997A JP6673128B2 JP 6673128 B2 JP6673128 B2 JP 6673128B2 JP 2016193997 A JP2016193997 A JP 2016193997A JP 2016193997 A JP2016193997 A JP 2016193997A JP 6673128 B2 JP6673128 B2 JP 6673128B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laminated film
coat layer
layer
carbon atoms
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016193997A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018053194A (ja
Inventor
洋介 飯塚
洋介 飯塚
伊藤 賢哉
賢哉 伊藤
志野 佐藤
志野 佐藤
安弘 白石
安弘 白石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
Original Assignee
JNC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JNC Corp filed Critical JNC Corp
Priority to JP2016193997A priority Critical patent/JP6673128B2/ja
Publication of JP2018053194A publication Critical patent/JP2018053194A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6673128B2 publication Critical patent/JP6673128B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明はペイントプロテクションフィルムの材料として使用可能な積層フィルムに関する。
ペイントプロテクションフィルム(PPF)は、屋外で使用される工業製品の表面保護に用いられるフィルム状の製品である。PPFの基本構造は、柔軟で透明な樹脂フィルムからなる基材と粘着層の少なくとも2層を含む積層体であり、一般的には基材の粘着層と反対側の面に基材の防汚機能や耐傷付性を高めるためのコート層と、粘着層の基材と反対側の面に剥離層とをさらに有する積層フィルムの状態で市場に供給されている。PPFを使用する際には、まず、保護しようとする表面部位に合わせてPPFを裁断し、裁断されたPPFの粘着層を目的の表面に密着させる。PPFで表面を被覆した製品は、その塗装や形状、外観が損なわれない状態で外界からの様々な刺激、例えば、風雨、埃、砂、河川水、微生物、動植物や昆虫の接触や排泄などによる汚れや傷つきから保護される。具体的には、PPFがいわゆるクッションとなって外界からの圧力や打撃を干渉したり、PPFが雨水や汚物を撥いたりすることによって、外界の刺激が製品そのものに与える影響が抑えられる。
このようなPPFは当初は飛行機のような過酷な環境で使用される工業製品向けに開発されたものであるが、今日では自動車やバイクなどのボディの表面保護部材として普及しつつある。例えば、自動車のルーフ、ボンネット、フロント、ドア、トランクドアをPPFで被覆することにより、ドライバーを悩ませている鳥の糞、昆虫の死骸、猫の足跡、いたずら、荷物搬出による傷、飛び石による傷などからボディを守ることができる。通常は、PPFで被覆された表面を水で洗浄することによりPPF表面の汚れを簡単に除去することができるため、PPFは比較的長い期間にわたってその機能を発揮する。一定期間使用されたPPFはボディから剥がされて新しいPPFと簡単に交換することができる。
近年の世界各地における自動車、バイクなどの車両の普及によって、より広範な環境下、例えば寒冷地、熱帯、乾燥地などより厳しい気候の下で使用可能なPPFが求められている。しかも、PPFの市場の拡大に伴って、より簡単に、特別な技能を持たない作業者でも適切に施工できるPPFが望まれるようになっている。したがって近年のPPFには、自動車やバイクなどの変化に富む表面形状に馴染む柔軟性と、長期間にわたる外界からの刺激に耐える耐久性、製品そのものの外観を損なわない透明性と平滑性、取替時の良好な剥離性など、様々な性能が求められている。
このようなPPFとして、例えば特許文献1には、基材フィルムと表面粗さが制御された粘着層とを積層することによって、貼り付け特性に優れ且つ糊残りが抑制されたPPFを提供することが記載されている。しかしこのPPFでは基材フィルムの表面に追加する防汚層について具体的な検討がなされておらず、外観が重要視される自動車やバイクに対する実用性には問題があった。
また例えば特許文献2には、ポリウレタンを含む第1層、熱可塑性ポリウレタンを含む第2層、感圧接着剤を含む第3層をこの順で積層したPPFが記載されている。しかしながらこのPPFでも諸性能の一層の改善が求められる。
特開2016− 20079号公報 特表2008−539107号公報
そこで本発明者はPPFの諸性能を一層改善させるべく、最適な積層体の構成を探求した。
その結果、ウレタンアクリレート硬化物を含む第1コート層、多官能アクリレート硬化物を含む第2コート層、熱可塑性ポリウレタンからなる基材層、感圧型接着剤からなる粘着層がこの順で接してなる4層構造を含む積層フィルムが、PPFに求められる諸性能、特に優れた作業性を発現することを見出した。さらに本発明者は、上記第1コート層にフッ素含有化合物、典型的にはフルオロシルセスキオキサン誘導体に由来する構造単位を含むウレタンアクリレート硬化物を用いた場合に、上記積層体が特に優れた性能を発揮することを見出した。すなわち本発明は以下のものである。
(1) ウレタンアクリレート硬化物を含む第1コート層、多官能アクリレート硬化物を含み上記第1コート層と異なる第2コート層、熱可塑性ポリウレタンからなる基材層、感圧型接着剤からなる粘着層がこの順で接してなる4層構造を含む、積層フィルム。
(2) 第1コート層に含まれるウレタンアクリレート硬化物がフッ素原子を含む、(1)の積層フィルム。
(3) 第1コート層に含まれるウレタンアクリレート硬化物が、以下の式(1)で表されるフルオロシルセスキオキサン誘導体に由来する構造単位を含む、(1)または(2)の積層フィルム。
Figure 0006673128
(式(1)において、R 〜R はそれぞれ独立して、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20の、直鎖状もしくは炭素数3〜20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、Aは、下記式(1−1)または式(1−2)で表される基である。)
Figure 0006673128
(式(1−1)において、Yは炭素数2〜10のアルキレン好ましくは炭素数2〜6のアルキレンを示し、Rは水素、または炭素数1〜5の直鎖もしくは炭素数3〜5の分岐鎖のアルキル、または炭素数6〜10のアリール、好ましくは水素または炭素数1〜3のアルキルを示す。)
Figure 0006673128
(式(1−2)において、Yは単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。)
(4) 第1コート層に含まれるウレタンアクリレート硬化物が、以下の式(5)で表されるγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンに由来する構造単位を含む、(1)〜(3)のいずれかの積層フィルム。
Figure 0006673128
(5) 基材層を構成する熱可塑性ポリウレタンが、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンあるいはポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンである、(1)〜(4)のいずれかの積層フィルム。
(6) さらに剥離層を有する(1)〜(5)のいずれかの積層フィルム。
(7) (1)〜(6)のいずれかの積層フィルムを含むペイントプロテクションフィルム(PPF)。
本発明の積層フィルムは、作業性に優れ、しかも、自己修復性、撥水性、防汚性、撥油性、伸張性、表面滑り性、粘着力、意匠性もバランスよく備える。このような本発明の積層フィルムはPPFの材料として好適である。
本発明の積層フィルムの1例。 本発明の積層フィルムの1例。 本発明の積層フィルムをPPFとして使用した例。
本発明の積層フィルムは、ウレタンアクリレート硬化物を含む第1コート層、多官能アクリレート硬化物を含み上記第1コート層と異なる第2コート層、熱可塑性ポリウレタンからなる基材層、感圧接着剤を含む粘着層を含む積層体であり、典型的には、上記第1コート層、第2コート層、基材層、粘着層をこの順で積層してなるフィルムである。以下、上記第1コート層、第2コート層、基材層、粘着層について詳述する。
[1.第1コート層]
本発明の積層フィルムを構成する第1コート層はウレタンアクリレート硬化物を必須に含む。ウレタンアクリレート硬化物は、硬化性ウレタンアクリレートオリゴマー(いわゆるウレタンアクリレート)を重合開始剤の存在下に硬化させて得られる樹脂である。
本発明の第1コート層は、上記ウレタンアクリレートと上記重合開始剤とを必須に含む第1コート液層を、後述の第2コート層上で硬化させることによって形成される。本発明の積層フィルムにおける第1コート層の厚みは、一般的には1〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
[1.1. ウレタンアクリレート]
上記ウレタンアクリレートは、イソシアネート化合物、ポリオール、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー、イソシアネート基含有(メタ)アクリルモノマーの反応によって得られる、末端に反応性のアクリロイル基を有するオリゴマー状の化合物の総称である。
本発明で用いられるウレタンアクリレートは、典型的には紫外線硬化型ウレタンアクリレートであり、好ましくは、脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂環族イソシアネート化合物からなるイソシアネート化合物と、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオール又はポリカーボネート系ポリオールから選ばれる1種以上のポリオール化合物と、水酸基を有するアクリレート化合物とを反応させてなるウレタンアクリレートである。
上記脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。上記脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネードなどが挙げられる。
上記エステル系ポリオールとしては、例えば、ジオール類とジカルボン酸とを反応させてなるエステル化合物が挙げられる。上記ジオール類としては、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオぺンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどが挙げられる。ジカルボン酸としては、セバチン酸、アジピン酸、ダイマー酸、琥珀酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シトラコン酸などが挙げられ、それらの無水物であってもよい。
エーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコールなどが挙げられる。当該ポリエーテルジオールの具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレン変成ポテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、カーボネート誘導体とジオール類との反応生成物が挙げられる。当該カーボネート誘導体の例としては、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアリルカーボネートが挙げられる。又、当該ジオール類としては、上述の化合物が挙げられる。
水酸基を有するアクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このようなウレタンアクリレートの製造においては、その必須構成成分であるイソシアネ−ト化合物、ポリオ−ル化合物、水酸基を有するアクリレート化合物を一括仕込みにより反応させることができる。あるいは、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させ、一旦、イソシアネート基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存イソシアネート基と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物と反応させることもできる。またあるいは、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とこれらイソシアネート化合物とを反応させ、一旦、イソシアネート基過剰のプレポリマーを製造し、次いで、残存イソシアネート基とポリオール化合物と反応させることもできる。またあるいは、イソシアネート化合物とウレタン基含有のジオール化合物を反応させ、一旦、水酸基過剰のプリポリマーを製造し、次いで、残存水酸基とポリイソシアート化合物を反応させることで、末端水酸基を持つプレポリマーを製造する。その後さらに、プレポリマーの末端水酸基とイソシアネート基含有の(メタ)アクリレート化合物を反応させることもできる。
本発明では、ウレタンアクリレートとして、市販品である、日本合成化学社の紫光UT−5569、亜細亜化学社製のRUA−062S、RUA−058SY2を使用することができる。
[1.2. 重合開始剤]
本発明でウレタンアクリレートの硬化に用いられる重合開始剤としては、光重合開始剤の名で流通しているものを制限なく使用することができる。このような光重合開始剤として、例えば、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパンオン}等のヒドロキシケトンのポリマー体、1−ヒドロキシジシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−{4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフインオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフインオキサイド等を使用することができる。
[1.3. その他の共重合成分]
本発明では、ウレタンアクリレートの硬化時に、他の共重合成分を追加することができる。このような共重合成分としては、末端にウレタンアクリレートとの反応性を有する基を有する化合物(以下「共重合成分」)を制限なく使用することができる。このような共重合成分として、一般に光硬化性アクリルモノマーと称される化合物、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルやヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルのような単官能アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの二官能アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートのような3官能以上の多官能アクリレートなどを、使用することができる。このような共重合成分は、上記光硬化性アクリルモノマーを含む反応性化合物を重合して得られるオリゴマーであってもよい。
このような共重合成分として、トップコート層の防汚性、撥水性、撥油性をさらに向上させるために、分子内にフッ素原子を有する光硬化性アクリルモノマー及び/又はオリゴマーを使用することもできる。本発明で使用可能なフッ素系(メタ)アクリレート化合物の市販品として、オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)、メガファックRS−75(DIC株式会社製)、ビスコートV−3F(大阪有機化学工業社製)などが挙げられる。このようなフッ素系(メタ)アクリレート化合物は、上記ウレタンアクリレート100重量部に対して一般的には0.1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜7重量部の割合で存在させることが好ましい。
さらに、分子内にフッ素原子を有する光硬化性アクリルモノマーとして以下の一般式(1)で表されるフルオロシルセスキオキサン誘導体(1)も使用することができる。
Figure 0006673128
式(1)において、R 〜R はそれぞれ独立して、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20の直鎖状もしくは炭素数3〜20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、Aは、下記式(1−1)または式(1−2)で表される基である。
好ましくは、式(1)におけるR 〜R はそれぞれ独立して、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α−トリフルオロメチルフェニルを示す。
より好ましくは、式(1)におけるR 〜R はそれぞれ独立して、3,3,3−トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルを示す。
Figure 0006673128
式(1−1)において、Yは炭素数2〜10のアルキレン好ましくは炭素数2〜6のアルキレンを示し、Rは水素、または炭素数1〜5の直鎖もしくは炭素数3〜5の分岐鎖のアルキル、または炭素数6〜10のアリール、好ましくは水素または炭素数1〜3のアルキルを示す。
Figure 0006673128
式(1−2)において、Yは単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。
上記フルオロシルセスキオキサン誘導体(1)は、以下の方法により製造される。まず、以下の式(2)で表される3官能の加水分解性基を有するケイ素化合物(2)をアルカリ金属水酸化物の存在下、含酸素有機溶剤中で加水分解し重縮合させることにより、以下の式(3)で表される化合物(3)を製造する。
Figure 0006673128
Figure 0006673128
式(3)中、Mはアルカリ金属であれば特に限定されない。このようなアルカリ金属として例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムが挙げられる。
式(2)、(3)におけるRはそれぞれ独立して上記式(1)のRf〜Rfから選ばれる1つの基に一致し、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20の直鎖状もしくは炭素数3〜20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、式(2)のXは、加水分解性基を示す。
好ましくは、式(2)、(3)におけるRはそれぞれ独立して、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α−トリフルオロメチルフェニルを示す。
より好ましくは、式(2)におけるRはそれぞれ独立して、3,3,3−トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルを示す。
次に、上記化合物(3)に以下の式(4)で表される化合物(4)を反応させることによって、上記フルオロシルセスキオキサン誘導体(1)が製造される。
Figure 0006673128
式(4)における基Xは、上記式(1−1)または式(1−2)で表される基である。
このようなフルオロシルセスキオキサン誘導体(1)の中で、以下の式(5)で表されるγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンが好ましい。
Figure 0006673128
γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンは、本発明の第1コート層を構成するウレタンアクリレート硬化物に導入され、第1コート層の防汚機能を一層向上することができる。
上記共重合成分として使用可能な化合物から選ばれる1種以上の化合物を、あらかじめ架橋及び/又は重合して製造したオリゴマーを上記ウレタンアクリレートの硬化時に存在させてもよい。本発明のトップコート層を構成するウレタンアクリレート硬化物にγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサン由来の構造単位を導入する場合には、上記ウレタンアクリレートと、γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンと上記単官能アクリレート、上記二官能アクリレート、上記多官能アクリレートから選ばれる1種以上のアクリレート系共重合成分とを共重合した架橋重合体と、上記重合開始剤とを含む、硬化性のトップコート液を重合開始剤の存在下に重合してトップコート層を形成する。この場合、上記架橋重合体として、γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサン100重量部と上記アクリレート系共重合成分50重量部〜150重量部とを重合してなる架橋重合体が好ましく使用される。このようなγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンの架橋重合体は、一般的には、上記ウレタンアクリレート100重量部に対して0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.05重量部〜5重量部の割合で存在させることが好ましい。
[1.4. 添加剤]
本発明の第1コート層には、一般的に塗料やフィルムの材料に配合される酸化防止剤、耐候安定剤、調色剤、希釈剤などの添加剤を配合することができる。その配合量は、第1コート層の機能を低下させない範囲であれば制限されない。
[2. 第2コート層]
本発明の積層フィルムを構成する第2コート層は多官能アクリレート硬化物を含む。本発明の積層フィルムは、第1コート層に加え、これに接する位置に第1コート層とは異なる第2コート層を設けることを特徴の一つとする。
本発明の第2コート層に含まれる多官能アクリレート硬化物は、多官能アクリレートと上記重合開始剤とを必須に含む第2コート液層を基材上で硬化させることによって形成される。本発明の積層フィルムにおける第2コート層の厚みは、一般的には1〜50μm、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜15μmである。
このような第2コート層に含まれる多官能アクリレート硬化物は、先述の多官能アクリレートを重合開始剤の存在下に重合して得られる。多官能アクリレートとしては公知の化合物を制限なく使用することができる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどから選ばれる1種以上を用いることができる。このような多官能アクリレートとして、東亞合成社製アロニックス(ARONIX)シリーズを使用することができる。
これら多官能アクリレートに加え、他の共重合成分として、(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアルキレンオキサイド変性(メタ)クリレート類などの単官能アクリレートや、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類などの二官能アクリレートから選ばれる1種以上を使用することもできる。
本発明の第2コート層には、上記第1コート層と同様に、一般的に塗料やフィルムの材料に配合される酸化防止剤、耐候安定剤、調色剤、希釈剤などの添加剤を配合することができる。その配合量は、第2コート層の機能を低下させない範囲であれば制限されない。
[3. 基材層]
本発明の積層フィルムの基材層としては熱可塑性ポリウレタンからなるフィルムが用いられる。このような基材フィルムとして公知の熱可塑性ポリウレタンフィルムが制限なく使用されるが、一般的には、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンからなるフィルム、あるいは、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンからなるフィルムが用いられる。
ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンは、末端に水酸基を有するポリカーボネート化合物(ポリカーボネートジオール)とイソシアネート化合物とを反応させてなる熱可塑性ポリウレタンであり、ポリウレタン成分をハードセグメントとし、ポリカーボネートをソフトセグメントとしたブロック共重合体である。ポリカーボネートとしてはアルカンジオールカーボネート、即ち炭素数2〜10のアルカンジオールを主体とするカーボネートが一般的に用いられ、例えばポリヘキサンジオールカーボネートが用いられる。イソシアネート化合物としては上述のような化合物が用いられる。
このようなポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンとして、例えば、数平均分子量500〜10,000のポリカーボネートジオール単位と有機ジイソシアネ−ト単位とを有するソフトセグメントブロック、及び数平均分子量60〜400の有機ジオールから選択される鎖伸長剤と有機ジイソシアネ−ト単位とを有するハードセグメントブロックを有するものが用いられる。このようなポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンとしては、前記ソフトセグメントブロックとして、ジエチルカーボネート単位又はジフェニルカーボネート単位と、1,6−ヘキサンジオール単位とを有するポリエステル型ポリオールからなる長鎖ポリオール単位と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート単位とを有し、前記ハードセグメントブロックとして、1,4−ブタンジオール単位と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート単位とを有するものが例示される。
ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、高分子(長鎖)ジオールからなるソフトセグメントと、低分子(短鎖)ジオールとジイソシアネートからなるハードセグメントとの構造単位を有機ジイソシアネートで結合したものが挙げられる。
ソフトセグメントに用いられる高分子ジオールは、ポリカプロラクトンである。高分子ジオールの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。ハードセグメントに用いられる低分子ジオールとしては、炭素数2〜15のジオール、例えば、炭素数2〜15の脂肪族二価アルコール、炭素数5〜15の脂環式二価アルコール、炭素数6〜15の芳香族二価アルコール等が使用できる。これらのうち好ましいのは、二価アルコール及び二価フェノールであり、さらに好ましくは脂肪族二価アルコール、単環二価フェノール及びビスフェノール、特に好ましくはエチレングリコール、ハイドロキノン及びビスフェノールAである。
ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンエラストマーに用いられる有機ジイソシアネートとしては、炭素数(イソシアネート基NCO中の炭素を除く。以下、同様である。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートのいずれか又はこれらの二種以上の混合物が使用できる。これらのうち、好ましいのは芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートのいずれか又は混合物であり、さらに好ましくはTDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)のいずれか又は混合物であり、特に好ましいのはHDIである。
本発明では基材層の厚みは特に限定されないが、通常は25〜300μmであり、好ましくは100〜200μmである。
[4. 粘着層]
本発明の積層フィルムの粘着層は感圧型接着剤からなる。本発明で用いる感圧型接着剤としては、PPF施行温度下で粘着性、すなわち約20℃〜約30℃の温度で粘着性を示し、熱可塑性ポリウレタン系材料からなる成形品とガラスや金属、プラスチック、紙などの物品との接着に用いられるものであれば、公知の物を制限なく使用することができる。このような感圧型接着剤として、市販のアクリル系感圧型接着剤、ウレタン系感圧型接着剤を使用することができ、好ましくはアクリル系感圧型接着剤が用いられる。粘着層の厚みは特に限定されないが、通常は10〜200μm程度である。
[5. 剥離層]
上記粘着層の基材と反対側の面には、さらに剥離層を設けることができる。剥離層の材料としては公知の剥離材が制限なく用いられ、例えばポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂などの樹脂製フィルム、セロハン紙、グラシン紙や、これらにフッ素系あるいはシリコン系剥離剤で表面被覆したものを使用することができる。剥離層の厚みは特に限定されないが、通常は20〜200μm程度である。
[6. 保護層]
本発明の積層フィルムには、その保管、運搬、販売の形態に応じて、最外面にさらに保護層を設けることもできる。このような保護層の材質に制限はなく、一般的に使用されているプラスチック製フィルムや剥離処理された紙類などを適宜選択することができる。
[7. 積層フィルムの製造]
本発明の積層フィルムの製造方法において、上記基材の片面に上記第2コート層を形成し、次いで、上記第2コート層の上記第1コート層を形成する。その一方で、上記基材のもう一方の面に粘着層を形成する。
[7.1 第2コート層の形成]
本発明の第2コート層は、上記基材層の片面に上記多官能アクリレート、上記重合開始剤と、任意に上記その他の共重合成分及び/又は上記添加剤とを含む第2コート液を、上記基材層の片面に塗布し、第2コート液を乾燥・硬化させて形成される。この時の塗布手段としては、第2コート液を均一にコーティングするためにウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法としては、グラビアコート法やダイコート法等を用いることができる。
グラビアコート法は、表面に凸凹の彫刻加工が施されたグラビアロールを塗布液に浸し、グラビアロール表面の凸凹部に付着したコーティング剤をドクターブレードで掻き落とし凹部に液を貯めることで正確に計量し、基材に転移させる方式である。グラビアコート法により、低粘度の液を薄くコーティングすることができる。
ダイコート法は、ダイと呼ばれる塗布用ヘッドから液を加圧して押出しながらコーティングする方式である。ダイコート法により、高精度なコーティングが可能となる。さらに、塗布時に液が外気にさらされないため、乾きによるコーティング剤の濃度変化などが起こりにくい。
その他のウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロットコート法などを挙げることができる。コーティングする方法は、これらの方法から必要とする膜厚に応じて適宜選択することができる。さらに、ウェットコーティング法を用いることにより、毎分数十メートルのライン速度(例えば約20m/分)でコーティングできるため、大量に製造でき、生産効率を上げることができる。
第1コート液の硬化、乾燥の方法は、通常の光重合性塗料の方法に従う。
[7.2 第1コート層の形成]
本発明では完成した第2コート層の表面に、上記ウレタンアクリレート、上記重合開始剤と、任意に上記その他の共重合成分及び/又は上記添加剤とを含む第1コート液を、上記基材層の片面に塗布し、第1コート液を硬化・乾燥させて形成される。第1コート液の塗布、硬化、乾燥の手段は第2コート層の場合と同様である。
[7.3 粘着層の形成]
上記第1コート層が形成された上記基材層の第1コート層と反対側の面に感圧型接着剤を塗布する手段としては、公知の手段、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ホットメルトコート法、カーテンコート法等のいずれも用いることができる。
本発明の積層フィルムに剥離層を設ける場合には、上記第1コート層が形成された上記基材層の第1コート層と反対側の面に、片面に上記手段と同様の手段によって粘着剤が塗布された剥離層を、ロールなどを用いて貼りあわせることもできる。
[8. PPFとしての利用]
このようにして完成した本発明の積層フィルムは、適当な長さの単位で切断、積載、あるいは巻き取られて、PPFとして利用することができる。PPFを施行する際には、施行面に合わせた形状に本発明の積層フィルムを裁断し、裁断された積層フィルムを適度な力で展張して施行面に粘着層を密着させる。
本発明の積層フィルムでは、強度、平滑性、撥水性、撥油性に優れる第1コート層が施行面に対する外界の刺激を緩和する。それとともに、第1コート層、基材層、粘着層のそれぞれの柔軟性や耐久性と各層間の密着性が調和することによって、積層フィルム全体が長期にわたり施行面に密着し、しかも、施行後に、施行面に粘着層の残留などの問題を与えることなく施行面から積層フィルムを除去することができる。
[使用材料]
(第1コート液成分)
以下の材料を配合した。
・ウレタンアクリレート: 以下の手順により得られた重合体Aを使用した。 温度計、攪拌装置、還流冷却器を取り付けた1L 3口フラスコに、1,5−ペンタンジオール/1,6 −ヘキサンジオールからなるポリカーボネートジオール(デュラノールT5650E: 旭化成ケミカルズ社製、水酸基価; 112 mg KOH/g) 100.00 g、イソホロンジイソシアネート(IPDI) 38.90g を仕込んだ。溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)142.90 gを投入し、さらに、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.02 g、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を0.07 g 添加して、75℃ にて4 時間反応させた。このときの反応比は、ポリカーボネートジオール/IPDI = 71.99/28.01(質量比)である。4時間反応後、HDIイソシアヌレート型ポリイソシアネート(デュラネートTLA−100、NCO含有量: 23.2質量%、旭化成ケミカルズ社製)を4.30 g、及びMEKを4.30 g投入し、さらに75℃で1時間反応させた。1時間反応後、2−イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズAOI:昭和電工社製)を3.71 g 、重合禁止剤としてメトキノンを0.08 g、及びMEKを10.00 g投入し、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.03g 追添加し、さらに75℃で3 時間反応させた後、MEKを63.36 g投入し、ウレタンアクリレート共重合体のMEK溶液を得た。得られた重合体の分子量は13,000であり、そのMEK溶液(不揮発分40%)の粘度は21mPa・s(25℃)であった。こうしてウレタンアクリレートとしての重合体Aが得られた。
・重合開始剤:BASF社製光重合開始剤「IRGACURE 127」。
・その他の共重合成分:パーフルオロアルキル基含有エチレンオキサイド付加物(DIC製「RS−75」)、及び、γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンの架橋重合体(*)。
・添加剤:耐候安定剤としてのBASF製「Tinuvin292」及び「Tinuvin479」、及び、調色剤としてのCIKナノテック製「青色顔料分散液:CBDMIBK15WT%−R13」。
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン (MIBK)。
(*)以下の方法で合成されたものである。
(γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンの合成)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた内容積1リットルの4つ口フラスコに、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(100g)、THF(500ml)、イオン交換水(10.5g)および水酸化ナトリウム(7.9g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら、室温からTHFが還流する温度までオイルバスにより加熱した。還流開始から5時間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、フラスコをオイルバスから引き上げ、室温で1晩静置した後、再度オイルバスにセットし固体が析出するまで定圧下で加熱濃縮した。析出した生成物は孔径0.5μmのメンブランフィルターを備えた加圧濾過器を用いて濾過した。次いで、得られた固形物をTHFで1回洗浄し、減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、74gの白色粉末状の固形物を得た。
滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた内容積50mlの4つ口フラスコに、上記の白色粉末状の固形物(1.0g)、THF(10g)、およびトリエチルアミン(1.0g)を仕込み、乾燥窒素にてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、室温でクロロトリメチルシラン(3.3g)を約1分間で滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間撹拌を継続して反応を完結させた。ついで、純水(10g)を投入して、副成した塩化ナトリウムを溶解し、未反応のクロロトリメチルシランを加水分解した。このようにして得られた反応混合物を分液漏斗に移して有機層と水層とに分離し、得られた有機層をイオン交換水を用いて洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、1.2gの白色粉末状の固形物を得た。
得られた白色粉末状の固形物について、GPC、H−NMR、29Si−NMR、および13C−NMRにより構造解析を行った。GPCチャートから白色粉末状の固形物は単分散性を示し、その分子量はポリスチレン換算で重量平均分子量1570であり、純度98重量%であることが確認された。H−NMRチャートから、トリフルオロプロピル基とトリメチルシリル基が7:3の積分比で存在することが確認された。29Si−NMRチャートから、トリフルオロプロピル基を有しT構造に由来するピークが1:3:3の比で3つ、トリメチルシリル基に由来するピークが12.11ppmに1つ存在することが確認された。13C−NMRチャートでも131〜123ppm、28〜27ppm、6〜5ppmにトリフルオロプロピル基に由来するピークが存在し、1.4ppmにトリメチルシリル基に由来するピークが存在することが確認された。これらの値は、構造解析の対象である白色粉末状の固形物が以下の式(6)の構造を有することを示している。TMSはトリメチルシリル基を示す。従って、トリメチルシリル化される前の化合物は、以下の式(7)の構造であると判断される。
Figure 0006673128
Figure 0006673128
還流冷却器、温度計を取り付けた内容積100ミリリットルの3つ口フラスコに、上記式(7)で表される化合物(2.85g)、THF(50g)、トリエチルアミン(0.4g)を仕込み、乾燥アルゴンにてシールした。マグネチックスターラーで撹拌しながら、室温で3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリクロロシラン(1.0g)を滴下した。滴下終了後、室温で更に3時間撹拌を継続して反応を完結させた。反応液を加圧濾過(アルゴン圧力:0.2〜0.3MPa、PTFE製メンブランフィルター:0.1μm)により副生した塩化ナトリウムを除去し、次いでこの濾液を十分の一に濃縮した後、メタノール(150g)を加えて沈殿物を得た。沈殿物溶液は1時間撹拌した後、孔径0.1μmのメンブランフィルターを備えた吸引濾過器を用いて濾過した。得られた固体成分を減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、白色粉末状の固形物(1.6g)を得た。
得られた白色粉末状の固形物について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、H−NMR、29Si−NMR、13C−NMR分析により、構造解析を行った結果は次のとおりであった。GPCから白色粉末状の固形物は単分散であり、その分子量はポリスチレン換算で重量平均分子量1430(未補正)で純度99%であることが確認された。H−NMRチャートから、トリフルオロプロピルとメタクリロイルオキシの末端二重結合との積分比が28:2で存在することが確認された。29Si−NMRチャートから、3−(メタクリロイルオキシ)プロピル基を有するT構造とフェニルを有するT構造に由来するピークが1:4:3の比で3種類存在することが確認された。13C−NMRチャートでも167〜125ppm、68〜4ppmに3−(メタクリロイルオキシ)プロピル基に由来するピークが存在し、131〜123ppmにトリフルオロプロピル基に由来するピークが存在することが確認された。これらのデータにより、以下の式(5)で示される構造が支持された。このようにしてγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンが得られた。
(γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンの架橋重合)
還流器、滴下漏斗を取り付けた窒素シールされた4口丸底フラスコ中に、γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサン(25g)、サイラプレーンFM0721(6.3g、JNC(株)製)、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル(18.8g)、メタクリル酸メチル(12.5g)、メチルエチルケトン(62g)を加え、オイルバスを用い15分還流・脱気させた後、アゾビスイソブチロニトリル(0.48g)、メルカプト酢酸(0.054g)をメチルエチルケトン(4.8g)に溶解させた溶液を投入し、重合を開始させた。重合開始3時間後にアゾビスイソブチロニトリル(0.48g)をメチルエチルケトン(4.3g)に溶解させ添加し、5時間熟成させ得られた共重合体の溶液を得た。さらに重合禁止剤としてパラメトキシフェノール(0.16g)、ジラウリル酸ジブチルスズ(0.15g、昭和電工(株)製)をメチルエチルケトン(1.5g)に溶解させ添加した後、カレンズAOI(26.4g)を液温35℃から50℃となるように滴下漏斗を用いて滴下し、滴下後3時間45℃で熟成させた。
その後メタノール(9g)を添加し処理した後、さらにパラメトキシフェノール(0.16g)を加え、これをメチルイソブチルケトン(107.3g)で希釈することでγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンの架橋重合体の30重量%溶液を得た。
得られた架橋重合体は、重量平均分子量:Mw42,000、多分散指数:Mw/Mn1.9であった。なお重量平均分子量、多分散指数は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、型番:アライアンス2695、ウォーターズ社製、カラム:ShodexGPC KF−804L×2本(直列)、ガードカラム:KF−G)を用いて測定した。
このようにして、γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサン、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸メチルの反応物である、架橋構造を有する重合体が得られた。
(第2コート液成分)
以下の材料を配合した。
・多官能アクリレート:東亞合成社製トリメチロールプロパントリアクリレート系多官能アクリレート「アロニックス M−305」。
・重合開始剤:BASF社製光重合開始剤「IRGACURE 127」。
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン (MIBK)。
(基材層)
以下のフィルムのいずれかの片面に厚さ50μmのポリエチレンテレフタラート製保護フィルムを貼り合わせたものを用意した。
・ポリカーボネート系熱可塑性フィルム:シーダム社製「ハイグレスDUS450」(厚み150μm)
・ポリカプロラクトン系熱可塑性フィルム:日本マタイ社製「エスマーURS PX−98」(厚み150μm)
(粘着層)
アクリル系感圧型接着剤:Avery Dennison社製「S8721」を用意した。
[積層フィルムの製造]
表1に示す各層の材料の配合にて、本発明の積層フィルム(実施例1、2、3)と比較用の積層フィルム(比較例1)を製造した。なお、表1の「架橋重合体」は上記γ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンの架橋重合体を、「コバルトブルー」はCIKナノテック製コバルトブルー微粒子パウダーを示す。表1中、「−」は配合あるいは形成しなかったことを示す。コート層のウレタンアクリレート硬化物を構成する樹脂材料にはそれぞれのウレタンアクリレート硬化物全量に占める割合(重量%)を付している。
いずれの場合も以下の手順で積層フィルムを作成した。まず、基材層のポリカーボネート系熱可塑性フィルム面にアクリル系感圧型接着剤をダイコートにより塗布し、70℃で3分間乾燥した。こうして基材層の片面に厚み40μmの粘着層が形成された。
次に、この粘着層面上と、シリコン樹脂で剥離処理された厚さ75μmのポリエチレンテレフタラートフィルムとを、ゴムローラーを用いて圧着させ、45℃の環境で1日間養生を行った。こうして粘着層に接して剥離層が形成された。
さらに、基材層に貼り合わせられたポリエチレンテレフタラート製保護フィルムを剥がして基材層の片面を露出させた。
実施例1、2、3では、露出した面に第2コート液を、表1に示す厚みに対応する量で、R.D.S.Webster社製ワイヤーバーコーターNo.9を用いて塗布し、90℃で3分間乾燥した。その後、フュージョンUVランプ搭載ベルトコンベア硬化ユニット(ヘレウス社製)を用いて、積算光量:850mJ/cmで第2コート液を硬化させた。こうして第2コート層が基材層上に形成された。実施例1、2、3では、こうして形成された第2コート層上に、同様の手順で第1コート液を塗布、乾燥、硬化させて、第1コート層を形成した。
比較例1、2、3では、第1コート層のみ、あるいは第2コート層のみを、基材層上に形成した。各層の形成方法は実施例1、2、3と同様の方法を用いた。
こうして、第1コート層、第2コート層、基材層、粘着剤、剥離層がこの順で積層した本発明の積層フィルム(実施例1、2、3)と、第1コート層または第2コート層と、基材層、粘着剤、剥離層がこの順で積層した比較用の積層フィルム(比較例1、2、3)が得られた。
[評価]
各積層フィルムを以下の点で評価した。結果を表1に示す。
(1) 自己修復性:真鍮ブラシ傷復元性テスト
積層フィルムから40mm×130mmの片を切り出し、この片から剥離フィルムを除去した。別途、自動車用黒色塗料で塗装されたアルミ板(幅50mm、縦150mm、厚み1.2mm)を用意した。上記積層フィルム片の粘着層表面と塗装板の塗装面とに水(ただしジョンソン・エンド・ジョンソン社製ベビーシャンプーが体積基準で1万倍に希釈されている)を噴霧した後、積層フィルムの粘着層面を塗装面に接触させ、市販のゴム製スキージで積層フィルムと塗装面との間に生じる気泡、水泡を除きながら積層フィルムを押圧して、積層フィルムを塗装板に貼り付けた。積層フィルムが貼り付けられた塗装板を、表面に気泡、水泡が目視観察されなくなるまで室温に静置した。こうしてテストサンプルが完成した。
アズワン社製4行真鍮ブラシを付けた表面測定器TYPE14(新東科学社製)を用いて、引掻の条件を、押圧力:1000gf、ブラシ移動速度3000mm/min、ブラシ移動経路:片道100mmの直線往復を10往復に設定して、上記テストサンプルの最外表面を形成するコート層を引掻いた。
上記引掻の終了後、サンプルの引掻かれたコート層表面を目視観察して、引掻の終了から引掻傷が消失するまでの時間に基づく以下のような基準によって、積層フィルム層の自己修復性を判定した。
+: 引掻の終了から1分以内に引掻傷が消失した。
−: 引掻の終了から1分を超えても引掻傷が観察された。
(2)撥水性:水接触角測定
自動接触角計DMs−400(協和界面科学社製)を用いて積層フィルムのトップコート層の水接触角を測定した。プローブ水としては窒素・りん測定用蒸留水(関東化学社製)を用いた。
(3)防汚性・撥油性:マジックインキ拭き取りテスト
積層フィルムの第1コート層の表面に黒色油性マーカー(Sharpie製)で描画し、油性インキの撥かれ方を観察した。さらに描画部分を不織布(小津産業社製ダスパーK−3)で擦って油性インキの拭き取り性を観察した。観察結果を以下の基準により判定した。
+: インキがはじかれ、きれいに拭き取れた。
−: 拭き取れなかった。
(4)伸長性:破断伸度測定
積層フィルムから35mm×200mmの片を切り出してこの片の剥離フィルムを除去した。これをテストサンプルに用いた。このテストサンプルの破断試験を、引張・圧縮・曲げ試験機ストログラフVG(東洋精機製作所社製)を用いて、チャック間距離:100mm、クロスヘッド上方移動速度:127mm/分にて行った。テストサンプル表面にクラックが発生する地点を目視で検出し、この地点でのクロスヘッドの初期位置からの移動距離(クロスヘッド移動距離)を測定した。下記の式にて破断伸度を算出した。
破断伸度(%)=(クロスヘッド移動距離(mm)/チャック間距離(100mm))×100
(5)滑り性:スキージテスト
積層フィルムから40mm×130mmの片を切り出してこの片の剥離フィルムを除去した。これをテストサンプルに用いた。別途、自動車用黒色塗料で塗装されたアルミ板(幅50mm、縦150mm、厚み1.2mm)を用意した。テストサンプルの粘着層表面と塗装板の塗装面とに水(ただしジョンソン・エンド・ジョンソン社製ベビーシャンプーが体積基準で1万倍に希釈されている)を噴霧した後、積層フィルムの粘着層面を塗装面に接触させ、市販のゴム製スキージで積層フィルムと塗装面との間に生じる気泡、水泡を除きながら積層フィルムを押圧して、積層フィルムを塗装板に貼り付けた。この時の積層フィルムの滑り性(スキージ滑り性)を以下の基準で判定した。
+: スキージが積層フィルム表面で滑り、積層フィルムを困難なく貼り付けられた。
−: スキージが積層フィルム表面に引っかかり、積層フィルムの貼り付けに支障があった。
(6)初期粘着力:引張時最大応力
積層フィルムから25mm×180mmの片を切り出してこの片の剥離フィルムを除去した。これをテストサンプルに用いた。別途、自動車用黒色塗料で塗装された板(幅50mm、縦150mm、厚み1.2mm)を用意した。テストサンプルの長手方向が上記塗装板からはみ出すように、テストサンプルの粘着層が上記塗装板上に密着させ、テストサンプルの外表面をゴムローラーで押圧した。押圧条件は、ロール重量:2kg、ロール移動速度:5mm/秒、ロール押圧回数:テストサンプルの両端にかけて1往復とした。そして、テストサンプルが密着した塗装板を温度:23±2℃、相対湿度:50±5%の環境下で20分保管した。その後、塗装板に密着していないテストサンプルの端を引っ張ってテストサンプルを塗装板から剥がすために要した力をテストサンプルの粘着力として測定した。上記粘着力は、固定した塗装板からテストサンプル端部を、引張・圧縮・曲げ試験機(東洋精機製作所社製)で、クロスヘッド荷重:100N、クロスヘッド速度300mm/分の条件で引き剥がした時の最大応力として測定した。
(7)作業性:被施工面に対する追随性
積層フィルムをPPFとして施工する際に、積層フィルムに十分なたわみ剛度(ステフネス(stiffness)、いわゆるコシ)があると、積層フィルムを被施工面に追随させやすく、施工作業が容易である。この場合の積層フィルムの追随性を評価した。
積層フィルムから25mm×150mmの片を切り出し、この片から剥離フィルムを除去した。この片をテストサンプルとして用いた。テストサンプルのループの潰れ抵抗(mN)を東洋精機製作所社製ループステフネステスタで測定した。測定は、ループ長:60mm、圧縮速度:3.3mm/秒、押込時間:15秒間の条件で行った。
(8)意匠性:塗装板端部における浮き性
積層フィルムをPPFとして自動車に施工する際には、出来上がりの意匠性も求められる、施工端部ではPPFを塗装面の裏側(非塗装面)に巻き込む際に、施工端部でPPFが塗装面から離れる(いわゆる「浮き」が観察される)と、施工後の塗装面の意匠性が損なわれる。そこで、以下の施行テストを行って積層フィルムをPPFに用いた場合の積層フィルムの意匠性を評価した。
積層フィルムから25mm×150mmの片を切り出し、この片から剥離フィルムを除去した。別途、自動車用黒色塗料で塗装されたアルミ板(幅50mm、縦150mm、厚み1.2mm)を用意した。上記積層フィルム片の粘着層表面と塗装板の塗装面とに水(ただしジョンソン・エンド・ジョンソン社製ベビーシャンプーが体積基準で1万倍に希釈されている)を噴霧した後、積層フィルムが塗装板から長さ50mmはみ出るように積層フィルムの粘着層面を塗装面に接触させた。次いで、市販のゴム製スキージで積層フィルムと塗装面との間に生じる気泡、水泡を除きながら積層フィルムを押圧して、積層フィルムを塗装板に貼り付けた。5分後に積層フィルムが貼り付けられた塗装板を平らな作業板に静置し、塗装面に張り付いている積層フィルム端部の状態を目視観察した。それぞれの施工端部の意匠性を以下の基準で判定した。
+: 塗装面の端部に積層フィルムが密着しており、いわゆる「浮き」が観察されない。積層フィルムを通して塗装色が再現されており、意匠性の高い施行面が形成されている。
−: 塗装面の端部に積層フィルムが密着しておらず、いわゆる「浮き」が観察される。施行端部が白く見えるため、施工により塗装面の意匠性が損なわれている。
Figure 0006673128
表1に示す結果から、本発明の積層フィルムは自己修復性、撥水性、防汚性・撥油性、伸長性、滑り性、初期粘着力、作業性、意匠性をバランスよく備えることが分かる。
本発明の、作業性に優れ、しかも撥水性、防汚性・撥油性、伸長性、滑り性、初期粘着力、作業性、意匠性をバランスよく備える積層フィルムは、PPFとして利用価値が高い。本発明の積層フィルムからなるPPFの適用対象として、自動車、バイクなどの車両の他、船舶、建築物、電気製品、展示物、内装、家具、工場設備、産業機器、医療機器など広範な対象を期待することができる。
1 第1コート層
2 第2コート層
3 基材層
4 粘着層
5 積層フィルム
6 剥離層
7 積層フィルム
8 積層フィルムからなるPPF
9 塗装

Claims (7)

  1. ウレタンアクリレート硬化物を含む第1コート層、多官能アクリレート硬化物を含み上記第1コート層と異なる第2コート層、熱可塑性ポリウレタンからなる基材層、感圧型接着剤からなる粘着層がこの順で接してなる4層構造を含む、積層フィルム。
  2. 第1コート層に含まれるウレタンアクリレート硬化物がフッ素原子を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 第1コート層に含まれるウレタンアクリレート硬化物が、以下の式(1)で表されるフルオロシルセスキオキサン誘導体に由来する構造単位を含む、請求項1または2に記載の積層フィルム。
    Figure 0006673128
    (式(1)において、R 〜R はそれぞれ独立して、任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20の直鎖状もしくは炭素数3〜20の分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;またはアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、Aは、下記式(1−1)または式(1−2)で表される基である。)
    Figure 0006673128
    (式(1−1)において、Yは炭素数2〜10のアルキレンを示し、Rは水素、または炭素数1〜5の直鎖もしくは炭素数3〜5の分岐鎖のアルキル、または炭素数6〜10のアリールを示す。)
    Figure 0006673128
    (式(1−2)において、Yは単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。)
  4. 第1コート層に含まれるウレタンアクリレート硬化物が、以下の式(5)で表されるγ−メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)−T8−シルセスキオキサンに由来する構造単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
    Figure 0006673128
  5. 基材層を構成する熱可塑性ポリウレタンが、ポリカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタンあるいはポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. さらに剥離層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムを含むペイントプロテクションフィルム(PPF)。
JP2016193997A 2016-09-30 2016-09-30 積層フィルム Expired - Fee Related JP6673128B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193997A JP6673128B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193997A JP6673128B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 積層フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018053194A JP2018053194A (ja) 2018-04-05
JP6673128B2 true JP6673128B2 (ja) 2020-03-25

Family

ID=61832890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016193997A Expired - Fee Related JP6673128B2 (ja) 2016-09-30 2016-09-30 積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6673128B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6911648B2 (ja) * 2017-08-31 2021-07-28 東レ株式会社 積層フィルム
KR102656714B1 (ko) * 2018-09-21 2024-04-11 피피지 어드밴스드 서피스 테크놀로지스, 엘엘씨 신축성 다층 필름, 형성 및 적용 방법, 및 그로부터 물품
CN109837028B (zh) * 2019-02-21 2021-11-26 宁波激智科技股份有限公司 一种透明漆面保护膜及其应用
JP6767596B1 (ja) * 2020-03-27 2020-10-14 日本マタイ株式会社 多層フィルム
CN111363488A (zh) * 2020-04-23 2020-07-03 广东邦固薄膜涂料创新研究院有限公司 一种3d曲面屏自修复tpu保护膜及其制备方法
KR20240003768A (ko) * 2022-06-30 2024-01-10 주식회사 상보 페인트 보호필름

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2606441A1 (en) * 2005-04-29 2006-11-09 3M Innovative Properties Company Multilayer polyurethane protective films
JP2015168095A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 グンゼ株式会社 積層体
JP2015174902A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 日東電工株式会社 水生生物付着防止粘着テープ
JP6510192B2 (ja) * 2014-07-15 2019-05-08 株式会社スミロン 積層体、表面保護物品、積層体の製造方法
MX2017000469A (es) * 2014-07-15 2017-06-20 Jnc Corp Laminado, articulos de superficie protegida y método de fabricación del laminado.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018053194A (ja) 2018-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6700542B2 (ja) 積層フィルム
JP6673128B2 (ja) 積層フィルム
US6991851B2 (en) Dry-peelable temporary protective coatings
TWI697528B (zh) 塗佈劑、皮膜、積層體、表面保護物品
JP6611728B2 (ja) ポリウレタン組成物、フィルム、及びこれらの方法
US8742011B2 (en) Vehicle member and manufacturing method therefor
KR101950531B1 (ko) 스크래치 방지 필름
JP7238772B2 (ja) 積層フィルム
CN106132689B (zh) 叠层膜及叠层膜的制造方法
US8754167B2 (en) Actinic-light-curable composition, molded polycarbonate resin object with a cured film, and manufacturing method therefor
JP2020164677A (ja) 光重合性コーティング組成物およびその利用品
JP2019203076A (ja) コーティング液およびその利用品
JP2021121653A (ja) コーティング組成物およびその利用品
TWI797336B (zh) 光聚合性塗佈組成物、具有塗佈層的物品、積層膜與漆面保護膜
JP3794364B2 (ja) ポリオレフィン樹脂製積層フィルム
JPH11236532A (ja) コーティング剤
JP2021084972A (ja) コーティング組成物及び積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190404

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6673128

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees