JP6672168B2 - 肉腫の転移を検出するための方法およびバイオマーカー - Google Patents

肉腫の転移を検出するための方法およびバイオマーカー Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、その全体が参照により本明細書に援用される「method and biomarker for detecting metastasis of sarcoma」という表題で2014年4月22日に出願されたPCT出願第PCT/CN2014/075944号および「method and biomarker for detecting metastasis of sarcoma」という表題で2014年4月23日に出願されたPCT出願第PCT/CN2014/076048号に関し、それに基づく優先権の利益を主張する。
本出願は概して、肉腫の転移に関する分子生物学および細胞生物学および検出試薬の分野に関する。
がん転移は、がん細胞が元々の腫瘍部位から離れて、血流、リンパ系を介してまたは直接的に広がることにより、身体のその他の部位へと遊走する複雑な一連のステップを含む。転移は、悪性腫瘍および腫瘍の発達段階の非常に重要な徴候である。しかしながら、転移性がん患者は症状を有さないか、または転移性がん患者が有する症状はその他の疾患にも共通するために、転移性がんは評価が難しい。したがって、肉腫転移を検出する新たな方法を開発することが必要とされ続けている。
ERMタンパク質ファミリには、エズリン、ラディキシンおよびモエシンが含まれる。ERMタンパク質は細胞膜中で主に発現され、アクチンリッチな細胞表面構造中で濃縮される。ERMタンパク質は、細胞膜とアクチンベースの細胞骨格との間の構造的リンカーとして作用する。ERMタンパク質は、高程度の種間および分子間の相同性を共有する。ERMタンパク質は、典型的には下記の3つのドメイン:バンド4.1タンパク質との相同性のためにFERMドメイン(バンド4.1、エズリン、ラディキシン、モエシン相同性ドメイン)と呼ばれるN末端ドメイン、中央のらせんドメインおよびC末端ドメインを有する。C末端ドメインはFアクチンに結合するが、N末端ドメインは細胞膜中の接着分子との結合に関与する(Louvet−Vallee(2000))。いくつかの証拠によれば、ERMタンパク質のNH2末端ドメインおよびCOOH末端ドメインが細胞質中で分子内および/または分子間結合し、これらの結合により内在性膜タンパク質およびアクチンフィラメントへの結合能力がそれぞれ抑制されることが示されている(Ken Hayashiら、J.Cell Sci.112:1149〜1158(1999))。
モエシンは、フィロポディア中に、ならびに細胞間認識および細胞間シグナル伝達ならびに細胞運動にとって重要なその他の膜突起中に局在化される(Louvet−Vallee、Biol.Cell 92:305〜16(2000)を参照されたい)。ヒトモエシンタンパク質は577個のアミノ酸を含み、典型的には下記の3つのドメイン:N末端FERMドメイン、中央のらせんドメインおよびC末端ドメインからなる。更に、ヒトモエシンタンパク質は、マウスモエシンおよびウシモエシン等のその他の種からのモエシンとの高程度の配列相同性を共有する(Satoら、Cell Sci.J.103:131〜143(1992))。
本出願の発明者らは、驚くべきことに、完全長のモエシンタンパク質ではなくモエシンのN末端セグメントのレベルの上昇が肉腫の転移と関連していることを発見した。したがって、本出願は、肉腫転移を評価する方法、肉腫転移を評価するためのバイオマーカーおよびキットならびにそのようなバイオマーカーおよびキットの使用を提供する。本出願はまた、肉腫転移を治療する方法も提供する。
一態様では、本出願は、対象における肉腫転移を評価するための方法であって、対象の生体サンプルを得ること、生体サンプル中におけるモエシンのN末端セグメントのレベルを検出することを含み、対象の生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが、対象が肉腫の転移を発症していること、または対象が肉腫の転移を発症する可能性が高いことを示す、方法を提供する。
一部の実施形態では、肉腫転移を評価する方法で使用するN末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297からなる。ある特定の実施形態では、モエシンは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するヒトモエシンである。一部の実施形態では、N末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の領域からの少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、N末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の領域からの少なくとも50個の連続したアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、N末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜94、95〜201または202〜297を含む。
一部の実施形態では、生体サンプル中のモエシンのN末端セグメントのレベルが、このサンプルと、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬とを接触させることにより検出される。一部の好ましい実施形態では、この試薬は、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する抗体またはこの抗体断片である。一部の実施形態では、この抗体はモノクローナル抗体である。
一部の実施形態では、対象の生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが、参照サンプルから検出したモエシンのN末端セグメントの参照レベルと比較される。一部の実施形態では、モエシンのN末端セグメントの参照レベルと比べて、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが高いことは、対象が肉腫の転移を発症していること、または対象が肉腫の転移を発症する可能性が高いことを示す。生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍または20倍である。一部の実施形態では、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは好ましくは、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも2倍である。一部の実施形態では、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも5倍である。一部の実施形態では、参照サンプルは腫瘍を有さない対象に由来しており、この腫瘍を有さない対象とは、臨床的に検出可能な腫瘍を有さない対象のことである。一部の実施形態では、参照サンプルは腫瘍が非転移性である対象に由来しており、この腫瘍が非転移性である対象とは、腫瘍を有すると臨床的に診断されているが、腫瘍転移が臨床的に検出されていない対象のことである。
一部の実施形態では、生体サンプルは、全血、血清および血漿からなる群から選択される。
一部の実施形態では、肉腫は骨肉腫または軟骨肉腫である。
別の態様では、本出願は、モエシンのN末端セグメントから本質的になる、肉腫転移を評価するためのバイオマーカーを提供する。一部の実施形態では、このバイオマーカーは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の内の少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、このバイオマーカーは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の内の少なくとも50個の連続したアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、このバイオマーカーは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の内の少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、105個、110個、115個または120個の連続したアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、モエシンのN末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297からなる。本出願はまた、対象における肉腫転移を評価するためのバイオマーカーとしてのモエシンのN末端セグメントの使用、および対象における肉腫転移を評価するための検出剤を製造するための、モエシンのN末端セグメントの使用も提供する。一部の実施形態では、N末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜94、95〜201または202〜297を含む。一部の実施形態では、ヒトモエシンは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する。
別の態様では、本出願は、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬を含む、対象における肉腫転移を評価するためのキットを提供する。一部の実施形態では、この試薬は抗体である。一部の実施形態では、この試薬はモノクローナル抗体またはその断片である。
別の態様では、本出願は、対象における肉腫転移を治療する方法であって、モエシンのN末端セグメントの機能を特異的に調節する試薬と、薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、この試薬は、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する。一部の実施形態では、この試薬は抗体である。一部の実施形態では、この試薬はモノクローナル抗体またはその断片である。別の態様では、本出願は、対象における肉腫転移を治療するための薬剤を製造するためのモエシンのN末端セグメントの使用を提供する。
完全長のヒトモエシンタンパク質をコードするcDNA配列(配列番号1)を示す図である。 完全長のヒトモエシンタンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。 ヒトモエシンタンパク質の1〜297位のアミノ酸残基のアミノ酸配列(配列番号3)を示す図である。 転移性肉腫または非転移性肉腫の患者におけるN末端モエシンセグメントおよびC末端モエシンセグメントの濃度を示すグラフである。
本開示をより詳細に説明する前に、本開示は説明された特定の実施形態に限定されず、したがって当然のことながら多様であり得ることが理解されるものとする。また、本開示の範囲は添付した特許請求の範囲によってのみ限定され得るため、本明細書で使用される用語は個々の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しないことも理解されるものとする。値の範囲が記載されている場合、この範囲の上限値および下限値の間にある各値(別途文脈が明確に指示しない限り下限値の単位の10分の1まで)、および述べられた範囲中の任意のその他の述べられた値またはその間にある値が本開示に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、独立してそのより小さい範囲に包含される場合があり、また、述べられた範囲内で具体的に限界のいずれかが除外される場合も本開示に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの述べられた限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology第2版、J.Wiley&Sons(New York、N.Y.1994)およびMarch、Advanced Organic Chemistry Reactions、Mechanisms and Structure第4版、John Wiley&Sons(New York、N.Y.1992)は、本出願で使用される多くの用語の一般的な指針を当業者に提供する。本明細書に記載されているものと類似のまたは等価のあらゆる方法および材料を本開示の実施または試験で使用することもできるが、本明細書では好ましい方法および材料が記載されている。
本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が参照により援用されると具体的におよび個々に示されたのと同様に参照により本明細書に援用され、引用される刊行物と関連して方法および/または材料を開示するために、および説明するために参照により本明細書に援用される。いずれの刊行物の引用もそれ自体の開示は本出願日前であるが、開示が先であることにより本開示がそのような刊行物に先行する権利はないということの承認として解釈すべきではない。更に、記載された刊行物の日付は、独立して確認する必要があるかもしれない実際の刊行日とは異なる可能性がある。
本開示を読む際には当業者に明らかなように、本明細書に記載されているおよび図示されている個々の実施形態それぞれは、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなくその他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離され得るまたは組み合わされ得る別々の構成要素および特徴を有する。記載されたあらゆる方法を、記載した事象の順序で実施することができる、または論理的に可能である任意のその他の順序で実施することができる。
本開示の実施形態は、別途指示されない限り、化学の技法、固体化学、無機化学、有機化学、物理化学、分析化学、材料化学、生化学、生物学、分子生物学、組換えDNA技法、薬理学、画像処理等を用いることができ、これらは当業界の技術範囲内である。そのような技法は文献中に完全に説明されており、この文献として、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版(Sambrookら、1989)、「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編、1984)、「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編、1987)、「Methods in Enzymology」シリーズ(Academic Press,Inc.)、「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら編、1987および定期的な改訂)、「PCR:The Polymerase Chain Reaction」、(Mullisら編、1994)が挙げられる。本出願で用いられるプライマー、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを、当業界公知の標準的技法を使用して生成することができる。
本開示の実施形態を詳細に説明する前に、別途指示されない限り、本開示は特定の材料、試薬、反応材料、製造プロセス等に限定されず、したがって多様であり得ることが理解されるものとする。本明細書で使用される用語は個々の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されるものとする。本開示では、異なる順序が論理的に可能である場合には異なる順序でステップを実行することも可能である。
下記の実施形態は、本明細書で開示されているおよび特許請求されている方法ならびにバイオマーカーおよびキットの使用をどのようにして実施するかの完全な開示および説明を当業者に提供するために提示される。数字(例えば量、温度等)に関して正確を期すために努力が払われているが、ある程度の誤差および偏差を考慮すべきである。
本明細書および添付した特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、別途文脈が明確に指示しない限り、同じものの複数形を含むことに留意しなければならない。そのため、例えば「化合物(a compound)」への言及は複数の化合物を含む。本明細書および後続の特許請求の範囲では、反対の意図が明らかでない限り下記の意味を有すると定義すべきである多くの用語が言及されるだろう。
本出願は、肉腫転移を評価する方法、肉腫転移を評価するためのバイオマーカーおよびキット、ならびにそのようなバイオマーカーおよびキットの使用を提供する。本出願はまた、肉腫転移を治療する方法も提供する。
肉腫転移を評価する方法
本出願の第1の態様は、対象における肉腫転移を評価するための方法を提供する。この方法は、対象の生体サンプルを得ること、およびこの生体サンプル中におけるモエシンのN末端セグメントのレベルを検出することを含む。対象の生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは、この対象が肉腫の転移を発症していること、またはこの対象が肉腫の転移を発症する可能性が高いことを示す。
用語「評価する」または「評価」は本明細書で使用する場合、肉腫転移を罹患している対象からのサンプルと、肉腫転移を罹患していない対象からのサンプルとを識別する能力、または肉腫転移のステージが異なる対象からのサンプルを識別する能力に関する。ある特定の実施形態では、この評価は、対象の腫瘍が転移期に入っているかどうかの決定、または対象の腫瘍が転移期に入っている可能性が高いかどうかの決定に関する。ある特定の実施形態では、この評価は、対象の腫瘍の転移が減少しているかどうか、またはより重症化しているかどうかの決定に関する。ある特定の実施形態では、この評価は、治療の臨床的利益の見込みを評価するのに役立つことができる。ある特定の実施形態では、この評価は、患者が処置(例えば特定の治療薬による処置)後に好転するかどうかおよび/またはこの好転の可能性に関することができる。本出願の評価する方法を臨床的に使用することにより、あらゆる個々の患者に最適な処置モダリティを選択して処置を決断することができる。本出願の評価する方法は、ある治療レジメン後(例えば、例えば所与の治療薬または組合せの投与、外科的介入、ステロイド処置等を含む所与の治療レジメン後)の患者の長期生存が期待できるかどうかの評価での有益なツールであることができる。
当業者が理解するように、識別することまたは識別は、分析するサンプルの100%で正確であることを目的とすることはできない。しかしながら、分析するサンプルの統計的に有意な量が正確に分類されることが求められる。当業者は、様々な統計学的ツールの使用により、限定されないが例えば信頼区間の決定により、p値の決定により、スチューデント検定により、またはフィッシャーの識別関数(Fisher’s discriminating function)により、統計的に有意である量を確定することができる。詳細はDowdyおよびWearden、Statistics for Research、John Wiley&Sons、New York 1983で見出される。ある特定の実施形態では、信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%である。ある特定の実施形態では、p値は0.1未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満または0.0001未満である。ある特定の実施形態では、本出願により、分析する集団のある特定の群の対象の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%で肉腫転移を正確に検出することが可能になる。
用語「転移」は本明細書で使用する場合、対象においてがんが最初に始まる元々の器官または部位から、この器官または部位に隣接していない別の器官または部位へのがんの拡散に関する。
「生体サンプル」は本明細書で使用する場合、例えば物理的特性、生化学的特性、化学的特性および/または生理学的特性に基づいて、特徴を明らかにするおよび/または同定する細胞実体(cellular entity)および/またはその他の分子実体を含む目的の対象から得られるまたはこの対象に由来する生物学的組成物を意味する。生体サンプルとして、対象の細胞、組織、器官および/または体液が挙げられるがこれらに限定されず、この生体サンプルは、当業者に既知のあらゆる方法により得られる。ある特定の実施形態では、生体サンプルは液体サンプルである。ある特定の実施形態では、この液体サンプルは、全血、血漿または血清である。好ましくは、この液体サンプルは血清である。
用語「対象」は本明細書で使用する場合、動物を意味しており、好ましくは哺乳動物を意味しており、より好ましくはヒトを意味する。用語「対象」は、あらゆる態様において限定することを目的とせず、あらゆる年齢、性別および健康状態であることができる。
用語「モエシン」は、LankesおよびFurthmayr(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.,88:8297〜8301に記載されているように、膜組織化伸張スパイクタンパク質(membrane−organizing extension spike protein)を表す。モエシンポリペプチドのアミノ酸配列を、National Center for Biotechnology Information等の公共のデータベースで見出すことができる。ポリペプチドおよびタンパク質という用語は、本出願全体を通して互換的に使用される。ある特定の実施形態では、モエシンはヒトモエシンである。完全長のヒトモエシンタンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する577個のアミノ酸ポリペプチドである。ヒトモエシンタンパク質は、マウスモエシンおよびウシモエシン等のその他の種に由来するモエシンと高度の配列相同性を共有する(Satoら、Cell Sci.J.103:131〜143(1992)。
「モエシンのN末端セグメント」は、モエシンタンパク質のN末端FERMドメインまたはN末端FERMドメインの一部を意味する。モエシンタンパク質のN末端FERMドメインは、タンパク質のアミノ末端に構造的に最も近いおよびタンパク質を細胞膜への局在化に機能的に関与するおよび接着分子と相互作用する野生型モエシンタンパク質の球状タンパク質を意味する。バンド4.1タンパク質との相同性によりバンド4.1、エズリン、ラディキシン、モエシン相同性ドメインを表すFERMドメインは、バンド4.1スーパーファミリのメンバーを定義し、このメンバーとして、赤血球バンド4.1、タリンおよびエズリン−ラディキシン−モエシン(ERM)タンパク質ファミリ等の細胞骨格タンパク質ならびにいくつかのチロシンキナーゼおよびホスファターゼおよび腫瘍抑制タンパク質マーリンが挙げられる。ある特定の文献では、FERMドメインはN−ERM関連ドメイン(N−ERMAD)としても知られており、このN−ERM関連ドメインは本明細書における定義に含まれる。Bretscherら(1995)Biochem.34、16830〜7。ある特定の実施形態では、モエシンのN−末端セグメントという用語は、ヒトモエシンタンパク質の最初の約297個のアミノ酸残基を意味する。具体的には、モエシンのN末端セグメントという用語は、ヒトモエシンタンパク質の最初の約297個のアミノ酸残基内のアミノ酸配列の少なくとも10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、105個、110個、115個または120個の連続したアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、モエシンのN末端セグメントは、配列番号3に記載のヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297からなる。好ましくは、モエシンのN末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の領域からの少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む。より好ましくは、N末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の領域からの少なくとも50個の連続したアミノ酸残基を含む。
用語「モエシンのN末端セグメントのレベル」は本明細書で使用する場合、サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントの量または濃度を意味する。用語「検出」は本明細書で使用する場合、モエシンのN末端セグメントの量または濃度を測定するあらゆる方法を意味する。検出方法は半定量的または定量的であることができる。測定を直接的にまたは間接的に行うことができる。直接的な測定は、ペプチド自体から得られるシグナルおよびサンプル中に存在するペプチドの分子の数と直接相関するシグナルの強度に基づくペプチドの量および濃度の測定に関する。そのようなシグナル(本明細書において強度シグナルと呼ばれる場合もある)を、例えばペプチドの具体的な物理的特性または化学的特性の強度値を測定することにより得ることができる。間接的な測定として、二次成分(即ち、ペプチド自体ではないもしくはポリペプチド自体ではない成分)または生物学的読み取りシステム(例えば測定可能な細胞応答、リガンド、標識もしくは酵素反応生成物)から得られるシグナルの測定が挙げられる。
本出願によれば、モエシンのN末端セグメントのレベルの検出を、サンプル中のペプチドの量を測定するためのあらゆる適切な手段により達成することができる。ある特定の実施形態では、検出方法として、標識された分子を様々なサンドイッチ、競合またはその他のアッセイフォーマットで利用することができる免疫アッセイ装置および免疫アッセイ方法が挙げられる。前記アッセイは、目的のペプチドの存在または非存在を示すシグナルを生じさせることができる。更に、シグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在する目的のペプチドの量と直接的にまたは間接的に(例えば反比例で)相関することができる。更に適切な方法として、正確な分子量またはNMRスペクトル等の目的のペプチドに特異的な物理的特性または化学的特性の測定が挙げられる。適切な検出方法として、バイオセンサー、イムノアッセイと接続された光学装置、バイオチップ、分析装置、例えば質量分析計、NMR分析器またはクロマトグラフィー装置も挙げることができる。更に、適切な検出方法として、マイクロプレートELISAをベースとする方法、全自動イムノアッセイまたはロボットイムノアッセイ(例えばELECSYS分析器で使用可能)、CBA(酵素コバルト結合アッセイ、例えばRoche−Hitachi分析器で使用可能)、およびラテックス凝集アッセイ(例えばRoche−Hitachi分析器で使用可能)を挙げることもできる。ある特定の実施形態では、サンプル中のペプチドから得られる特異的な強度シグナルを測定することにより、目的のペプチドのレベルを検出する。上記に記載したように、そのようなシグナルは、目的のペプチドに特異的な質量スペクトルまたはNMRスペクトルで観測される、目的のペプチドに特異的なm/z(質量対電荷の比)変数で観測されるシグナル強度であることができる。
ある特定の実施形態では、モエシンのN末端セグメントのレベルが、サンプルと、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬とを接触させることにより検出される。この試薬の結合により、強度シグナルを生成することができる。本出願に係る結合として、共有結合および非共有結合の両方が挙げられる。本出願に係るモエシンのN末端セグメントに結合する試薬は、あらゆる化合物であることができ、例えば、本明細書に記載のモエシンのN末端セグメントに結合するペプチド、ポリペプチド、核酸または小分子であることができる。ある特定の実施形態では、結合する試薬として、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド(例えば、ペプチドの受容体もしくは結合パートナーまたはこのペプチドへの結合ドメインを含むこれらの断片)、およびアプタマー(例えば核酸アプタマーもしくはペプチドアプタマー)が挙げられる。そのような試薬を調製する方法は当業界公知である。例えば、適切な抗体またはアプタマーの同定および製造も商業用供給業者により提供される。当業者は、そのような試薬の親和性または特異性がより高い誘導体を開発する方法に精通している。例えば、ランダム変異を核酸、ペプチドまたはポリペプチドに導入することができる。次いで、この誘導体を、当業界公知のスクリーニング手順(例えばファージディスプレイ)に従って、結合に関して試験することができる。
本出願に係る特異的結合とは、試薬が、分析するサンプル中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質と実質的に結合(「交差反応」)すべきではないことを意味する。好ましくは、特異的に結合するペプチドまたはポリペプチドは、あらゆるその他の関連するペプチドまたはポリペプチドと比べて少なくとも3倍高い親和性で結合すべきであり、より好ましくは少なくとも10倍高い親和性で結合すべきであり、更により好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合すべきである。例えばウェスタンブロット上でのサイズに従って、またはサンプル中に比較的豊富に存在することによって、非特異的結合を依然として識別することができるおよび明白に測定することができる場合には、非特異的結合を許容することができる。試薬の結合を、当業界公知のあらゆる方法により測定することができる。好ましくは、前記方法は半定量的または定量的である。適切な方法として下記が挙げられる。(1)試薬の結合を例えばNMRまたは表面プラズモン共鳴により直接的に測定することができる。(2)試薬が目的のペプチドの酵素活性の基質としての役割も果たす場合、酵素反応生成物を測定することができる(例えば、切断された基質の量を例えばウェスタンブロットで測定することにより、プロテアーゼの量を測定することができる)。あるいは、試薬が酵素特性自体を示すことができ、ペプチドが結合した試薬を、強度シグナルの生成により検出を可能にする適切な基質と接触させることができる。酵素反応生成物を測定するために、好ましくは、基質の量を飽和状態にする。反応前に、検出可能な標識で基質を標識することもできる。好ましくは、サンプルを十分な期間にわたり基質と接触させる。十分な期間とは、検出可能な(好ましくは測定可能な)量の生成物を生成するのに必要な時間を意味する。生成物の量の測定の代わりに、所与の(例えば検出可能な)量の生成物の出現に必要な時間を測定することができる。(3)試薬を、試薬の検出および測定を可能にする標識に共有的にまたは非共有的に連結させることができる。標識を直接的なまたは間接的な方法で行うことができる。直接的な標識として、標識の試薬への直接的な(共有的なまたは非共有的な)連結が挙げられる。間接的な標識として、二次試薬の一次試薬への(共有的なまたは非共有的な)結合が挙げられる。この二次試薬は一次試薬に特異的に結合すべきである。前記二次試薬を、適切な標識と連結させることができる、および/または、この二次試薬は、この二次試薬に結合する三次試薬の標的(受容体)であることができる。二次試薬、三次試薬またはより高次の試薬を使用してシグナル強度を高めることが多い。適切な二次試薬およびより高次の試薬として、抗体、二次抗体および公知のストレプトアビジン−ビオチンシステム(Vector Laboratories,Inc.)を挙げることができる。試薬または基質に、当業界公知であるように、1種または複数種の「タグを付与する」こともできる。更に、そのようなタグは、より高次の試薬の標的であることができる。適切なタグとして、ビオチン、ジゴキシゲニン、His−Tag、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、インフルエンザAウイルスヘムアグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質等が挙げられる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは好ましくはN末端および/またはC末端に存在する。
適切な標識とは、適切な検出法で検出可能なあらゆる標識のことである。典型的な標識として、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル(acridan ester)、ルミノール、ルテニウム、酵素的に活性な標識、放射性標識、磁気標識(常磁性標識および超常磁性標識等の例えば「磁気ビーズ」)ならびに蛍光標識が挙げられる。酵素的に活性な標識として、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼおよびこれらの誘導体が挙げられる。検出に適した基質として、ジ−アミノ−ベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート、Roche Diagnosticsから既製ストック溶液として入手可能)、CDP−Star(Amersham Biosciences)、ECF(Amersham Biosciences)が挙げられる。適切な酵素−基質の組合せにより、有色反応生成物、蛍光または化学発光を生じさせることができ、これらを(例えば感光フィルムまたは適切なカメラシステムを使用して)当業界公知の方法に従って測定することができる。酵素反応の測定に関しては、上記の基準を同様に適用する。
典型的な蛍光標識として、蛍光タンパク質(例えばGFPおよびこの誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセインおよびAlexa色素(例えばAlexa 568)が挙げられる。更なる蛍光標識が例えばMolecular Probes(オレゴン州)から入手可能である。また、蛍光標識としての量子ドットの使用も考慮される。典型的な放射性標識として、35S、125I、32P、33P等が挙げられる。放射性標識を、既知のおよび適切なあらゆる方法(例えば感光フィルムまたは蛍光体撮像装置)で検出することができる。本出願に係る適切な測定法として、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電気的に生成される化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチ免疫アッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光免疫アッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、濁度測定、比濁分析、ラテックス増強濁度測定もしくは比濁分析、または固相免疫試験も挙げられる。当業界公知の更なる方法(例えば、ゲル電気泳動、2Dゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウェスタンブロッティングおよび質量分析)を、単独でまたは上記の標識もしくはその他の検出法と組み合わせて使用することができる。
ある特定の好ましい実施形態では、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬は、抗体または抗体断片である。本明細書で言及される抗体として、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方、多価抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)ならびにこれらの断片、例えば単鎖抗体、抗原またはハプテンに結合可能であるFv断片、Fab断片およびF(ab)2断片が挙げられる。
ある特定の実施形態では、抗体は好ましくはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一種の抗原を対象とする。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体として、標的結合性ポリペプチド配列を含む抗体であって、この標的結合性ポリペプチド配列が、複数種のポリペプチド配列からの単一標的結合性ポリペプチド配列の選択を含むプロセスにより得られた、抗体が典型的には挙げられる。例えば、この選択プロセスは、複数種のクローン(例えばハイブリドーマクローン、ファージクローンまたは組換えDNAクローンのプール)からの特有のクローンの選択であることができる。選択された標的結合性配列を、例えば標的への親和性を改善する、標的結合性配列をヒト化する、細胞培養での産生を改善する、in vivoでの免疫原性を低減する、多重特異性抗体を生成する等のために、更に改変することができ、改変された標的結合性配列を含む抗体も本発明のモノクローナル抗体であることを理解すべきである。目的の抗体が結合する抗原上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、HarlowおよびDavid Lane編(1988)に記載されているアッセイ等の所定の交差ブロッキングアッセイを実施することができる。
ある特定の実施形態では、モエシンのN末端セグメントのレベルは、下記のように検出することができる:(a)上記に詳述したモエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬を含む固体支持体と、モエシンのN末端セグメントを含むサンプルとを接触させる、および(b)この支持体に結合しているモエシンのN末端セグメントの量を測定する。核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体およびアプタマーからなる群から好ましくは選択される試薬は、好ましくは、固定化された状態で固体キャリア上に存在する。試薬を多種多様なキャリアに結合させることができる。公知のキャリアの例として、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然セルロースおよび改質セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよび磁鉄鉱が挙げられる。キャリアの性質は、本発明の目的のために可溶性または不溶性であることができる。前記試薬をキャリアに取り付ける/固定するのに適した方法は公知であり、この方法として、イオン性相互作用、疎水性相互作用、共有結合性相互作用等が挙げられるがこれらに限定されない。本出願に係るアレイとして「懸濁液アレイ」を使用することも考慮される(Nolan 2002、Trends Biotechnol.20(1):9〜12)。そのような懸濁液アレイでは、キャリア(例えばマイクロビーズまたはマイクロスフェア)は懸濁状態で存在する。このアレイは、様々な試薬を保有する様々なマイクロビーズまたはマイクロスフェア(これらは標識された可能性がある)からなる。例えば固相化学および感光性保護基に基づいてそのようなアレイを生成する方法が一般に知られている(米国特許第5,744,305号)。
ある特定の実施形態では、モエシンのN末端セグメントのレベルは、本出願で定義したように対象から得た血液サンプルで検出される。好ましくは、そのような検出をELISAで行う。
ある特定の実施形態では、対象の生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは、参照サンプルから検出したモエシンのN末端セグメントの参照レベルと比較される。
用語「比較する」は本明細書で使用する場合、分析する生体サンプルに含まれるモエシンのN末端セグメントのレベルと適切な参照サンプルのレベルとを比較することを包含する。この用語は本明細書で使用する場合、対応するパラメーターまたは値の比較を意味しており、例えば、絶対量を絶対参照量と比較する、濃度を参照濃度と比較する、または試験サンプルから得た強度シグナルを参照サンプルの同じタイプの強度シグナルと比較することが理解されるものとする。比較を手動でまたはコンピュータを使用して実行することができる。コンピュータを使用して比較する場合、コンピュータプログラムにより、測定した量の値と、データベースに保存されている適切な参照に対応する値とを比較することができる。このコンピュータプログラムにより、比較の結果を更に評価することができ、所望の評価が適切な出力フォーマットで自動的に提供される。検出したモエシンのN末端セグメントのレベルと適切な参照レベルとの比較に基づいて、前記対象における肉腫転移の評価が可能である。
したがって、用語「参照レベル」は本明細書で使用する場合、対象における肉腫転移の確定または除外を可能にする閾値レベルを意味する。例えば、サンプルのモエシンのN末端セグメントのレベルが参照レベルと比べて高い場合、このサンプルは、肉腫の転移を発症しているまたは肉腫の転移を発症する可能性が高いと見なされ得る。モエシンのN末端セグメントの参照レベルは1種または複数種の参照サンプルに由来することができ、この参照レベルは、目的のサンプルを試験するための実験と同時に行われる実験から得られる。あるいは、参照レベルをデータベースで得ることができ、このデータベースには、データ、基準または1種もしくは複数種のサンプルもしくは疾患参照サンプルからのレベルが収集されている。ある特定の実施形態では、データ、基準またはレベルのそのような収集物を、これらを1種または複数種のサンプルからのデータとの比較を目的として使用することができるように正規化する。「正規化する」または「正規化」とは、測定の生データが、その他のそのように正規化されたデータと直接比較することができるデータに変換されるプロセスのことである。正規化を使用することにより、アッセイ毎に変動し得る因子によって引き起こされるアッセイに特異的な誤差(例えば、負荷される量、結合効率、検出感度およびその他の様々な誤差の変動)が克服される。ある特定の実施形態では、参照データベースは、1種または複数種の参照サンプル由来のモエシンのN末端セグメントの濃度ならびに/またはその他の実験室データおよび臨床データを含む。ある特定の実施形態では、参照データベースは、参照サンプルと同じ条件下で試験した対照サンプルのモエシンのN末端セグメントのレベル(例えば、モエシンのN末端セグメントの既知の量)の割合として各々正規化されたモエシンのN末端セグメントのレベルを含む。モエシンのN末端セグメントのそのように正規化されたレベルと比較するために、試験サンプルのモエシンのN末端セグメントのレベルも測定し、試験サンプルと同じ条件下で試験した対照サンプルのモエシンのN末端セグメントのレベルの割合として算出する。ある特定の実施形態では、健康な対象、がんではない対象(即ち、がんを有さないことが分かっている対象)および/または転移していない対象(即ち、がんが転移していないことが分かっている対象)から得られた参照サンプルからの参照レベルデータをコンパイルすることにより、参照データベースを確立する。ある特定の実施形態では、肉腫転移の処置下の個体由来の参照サンプルのからの参照レベルデータをコンパイルすることにより、参照データベースを確立する。ある特定の実施形態では、例えばモエシンのN末端セグメントの様々なレベルにより証明された肉腫転移の様々なステージでの個体由来の参照サンプルからのデータをコンパイルすることにより、参照データベースを確立する。
当業者は、所望の感度および特異性に従って参照レベルを選択することができる。適切な参照レベルを決定する方法は当業者に既知であり、例えば、参照レベルを、臨床研究で収集したデータから決定することができる。
一部の実施形態では、モエシンのN末端セグメントの参照レベルと比べて、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが高いことは、対象が肉腫の転移を発症していること示す、または対象が肉腫の転移を発症する可能性が高いことを示す。好ましくは、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも2倍である。より好ましくは、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルは、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも5倍である。
「可能性が高い」とは本明細書で使用する場合、参照サンプルが得られる対象と比較して、対象が転移を発症する見込みのレベルで5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはより高い全体的な増加を意味する。
用語「肉腫」は、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋肉細胞、血管細胞または造血細胞等の間葉起源の形質転換細胞から生じる腫瘍を一般に意味する。肉腫の例として、骨肉腫、軟骨肉腫、腫瘍のユーイングファミリ(例えば、ユーイング肉腫(骨のユーイング腫瘍とも呼ばれる)、アスキン腫瘍、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、ブドウ状肉腫、軟組織肉腫(例えば、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、葉状嚢肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、類腱腫、線維形成性小細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、血管周囲細胞腫、血管肉腫、カポシ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、悪性線維性組織球腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、神経線維肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、悪性線維性組織球腫)、骨外性ユーイング(EOE)および末梢性原始神経外胚葉性腫瘍(PPNET))、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、アベメシー肉腫(Abemethy’s sarcoma)、脂肪性肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫(chloroma sarcoma)、絨毛がん腫、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、クッパー細胞肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球性肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫および毛細管拡張性肉腫が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、本出願の方法により転移が評価され得る肉腫として骨肉腫および軟骨肉腫が挙げられる。
バイオマーカーおよびキット
本出願の別の態様は、モエシンのN末端セグメントから本質的になる、肉腫転移を評価するためのバイオマーカーを提供する。
本明細書で使用する場合、「バイオマーカー」は、対象中での正常なプロセスもしくは異常なプロセスまたは対象の疾患もしくはその他の状態の徴候を示すまたはこの徴候である標的分子を意味する。バイオマーカーは通常、実験室アッセイおよび医用撮像等の様々な方法により検出可能および測定可能である。
ある特定の実施形態では、本出願のバイオマーカーは、モエシンのN末端セグメントの少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む。ある特定の実施形態では、本出願のバイオマーカーは、モエシンのN末端セグメントの少なくとも50個の連続したアミノ酸残基を含む。ある特定の実施形態では、モエシンのN末端セグメントは、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297からなる。
別の態様では、本出願は、対象における肉腫転移を評価するためのバイオマーカーとしてのモエシンのN末端セグメントの使用を提供する。
別の態様では、本出願は、対象における肉腫転移を評価するための検出剤を製造するための、モエシンのN末端セグメントの使用に関する。
別の態様では、本出願は、対象における肉腫転移を評価するためのキットであって、サンプル中に存在するモエシンのN末端セグメントのレベルを検出するための手段を含むキットを提供する。このキットは、サンプル中に存在するモエシンのN末端セグメントのレベルの検出に適したあらゆる手段を使用することができる。ある特定の実施形態では、このキットは、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬を含む。用語「試薬」および「特異的に結合する」は本出願において上記で開示されている。好ましい実施形態では、この試薬は抗体である。
ある特定の実施形態では、このキットは、本出願で定義したように対象における肉腫転移の評価に関して任意の測定結果を解釈するためのユーザーズマニュアルを更に含むことができる。具体的には、そのようなマニュアルは、測定したレベルがどのような種類の評価に対応するかについての情報を含むことができる。更に、そのようなユーザーズマニュアルは、モエシンのN末端セグメントのレベルを検出するためのキットの構成要素の正確な使用に関する指示を提供することができる。ある特定の実施形態では、検出手段およびキットの指示マニュアルを単一の容器内に設けることができる。
転移を処置する方法
本出願の別の態様は、対象における肉腫転移を治療するための方法に関する。この方法は、モエシンのN末端セグメントの機能を特異的に調節する試薬と、薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む。
用語「処置する」とは本明細書で使用する場合、処置される対象の疾患または状態の自然経過を変更しようとする臨床的介入を意味しており、臨床病理の予防のためにまたは臨床病理の経過中に実施され得る。処置の望ましい効果として、疾患または状態の発症または再発の予防、症状の軽減、疾患または状態のあらゆる直接的なまたは間接的な病理学的帰結の縮小、疾患または状態の進行速度の低下、病状の改善または緩和、および寛解または予後の改善が挙げられる。
用語「調節する」とは本明細書で使用する場合、モエシンのN末端セグメントの機能をコントロールすることおよび制御することを意味する。例えば、試薬は、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合して、その他の分子との相互作用からN末端セグメントを隔離することができる。別の例では、試薬は、N末端セグメントと、このN末端セグメントの相互作用パートナー(例えば、通常はモエシンのN末端ドメインが結合する接着分子)との結合に関して競合することができる。別の例では、試薬は、N末端セグメントの特性が変更されるようにN末端セグメントを修飾(例えばリン酸化)することができる。更に別の例では、試薬は、モエシンのN末端セグメントを分解して対象から除去することができる。
ある特定の実施形態では、試薬は、モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する。好ましい実施形態では、この試薬は抗体である。より好ましくは、この試薬はモノクローナル抗体またはその断片である。ある特定の実施形態では、この試薬は、所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列がヒトアクセプター抗体の配列と結合しているヒト化ハイブリッド抗体である。ドナー配列は通常、少なくともドナーの抗原結合性アミノ酸残基を含むが、ドナー抗体のその他の構造的におよび/または機能的に関連したアミノ酸残基を更に含んでもよい。そのようなハイブリッドを、当業界公知のいくつかの方法により調製することができる。
ある特定の実施形態では、この試薬は、接着分子、細胞膜、またはモエシンのN末端ドメインが通常結合するその他の細胞成分もしくは分子成分への結合に関して、モエシンのN末端セグメントを競合することができる。好ましい実施形態では、この試薬は、モエシンのN末端セグメントまたはそのバリアントから本質的になる単離ペプチドである。
用語「単離」は本明細書で使用する場合、下記のペプチドまたはヌクレオチドを意味する:1)天然では通常伴うもしくは相互作用する成分を実質的に含まない、または2)天然培地で見られる場合、人間の介入により改変されているおよび/もしくは元々は有さない細胞に導入されている。
用語「バリアント」は本明細書で使用する場合、同一の生理学的効果、代謝効果もしくは免疫学的効果を有するまたは目的のペプチド(もしくはヌクレオチド)と同じように使用される、目的のペプチド(またはヌクレオチド)と実質的に相同なペプチド(またはヌクレオチド)を意味する。ペプチドバリアントとして、翻訳後の改変により生じるペプチドも挙げられ、この改変として、目的のペプチドのグリコシル化、リン酸化またはメチル化が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書で使用する場合、ペプチド(またはヌクレオチド)バリアントは、ペプチドバリアントのアミノ酸(またはヌクレオチドバリアントの核酸)の配列が目的のペプチド(またはヌクレオチド)のアミノ酸(または核酸)の配列と少なくとも70%同一である場合に、目的のペプチド(またはヌクレオチド)と「実質的に相同」である。ある特定の実施形態では、そのような配列同一性は少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%である。
ペプチド配列またはヌクレオチド配列に関する用語「同一性」は、必要に応じて、配列同一性の割合最大化を達成するための、および配列同一性の一部としての保存的な置換を全く考慮しない、配列のアラインメントおよびギャップの導入の後での、目的のペプチド中のまたはヌクレオチド中のアミノ酸残基または核酸残基と同一であるバリアント配列中のアミノ酸残基または核酸残基の割合として定義される。配列同一性の割合を決定するためのアラインメントを当業界の技術範囲内である様々な方法で達成することができ、例えば、BLASTソフトウェア、BLAST−2ソフトウェア、ALIGNソフトウェアまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される完全長の配列全体にわたり最大のアラインメントを達成するのに必要なあらゆるアルゴリズム等の、アラインメントを測定するのに適したパラメーターを決定することができる。
ある特定の実施形態では、試薬は、配列番号3のアミノ酸配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するモエシンのN末端セグメントのバリアントである。ある特定の実施形態では、試薬は、配列番号3のアミノ酸配列との少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するモエシンのN末端セグメントのバリアントである。
用語「添加剤」は本明細書で使用する場合、剤形の調製を容易にするためにまたは活性成分の放出を適応させるために含まれる、化学的におよび薬学的に不活性の成分を意味する。添加剤として、結合剤、崩壊剤、賦形剤(または希釈剤)、流動促進剤、潤滑剤、香料、甘味料および色素が挙げられるがこれらに限定されない。添加剤は、製剤のその他の成分に適合するおよびこの製剤の受容者に過度に有害ではいという意味で薬学的に許容され、活性剤のあらゆる望ましくない副作用も軽減することもできる。Wangら、J.Parent.Drug Assn.,34(6):452〜462(1980)(参照により本明細書に援用される)を参照されたい。本発明に係る組成物での使用に適した例示的な医薬品添加剤が、Remington:The Science&Practice of Pharmacym、第21版、Lippincott Williams&Wilkins(2006)、Physician’s Desk Reference、第64版、Thomson PDR(2010)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、第6版、Raymond C.Roweら編、Pharmaceutical Press(2009)に列挙されており、これらは参照により本明細書に援用される。
「有効量」は、所望の治療結果または予防結果を達成するのに(必要な投与量でおよび必要な期間にわたり)有効な量を意味する。本出願の試薬の有効量は、対象の病状、年齢、性別および体重ならびに試薬の対象中で所望の応答を誘発する能力等の因子に従って変動し得る。有効量はまた、試薬の毒性または悪影響を治療上有益な効果が上回る量である。有効量および投与の適切な投与量または投与経路の決定法は当業者に公知である。
別の態様では、本出願は、対象における肉腫転移を治療するための薬剤を製造するためのモエシンのN末端セグメントまたはそのバリアントの使用に関する。
別の態様では、本出願は、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297をコードする単離ヌクレオチド配列またはそのバリアントに関する。
下記の実施例は、本出願を説明するために提示されている。下記の実施例は、いかなる形でも限定することを意図していない。
モエシンのN末端セグメントまたはモエシンのC末端セグメントに結合するモノクローナル抗体の調製
モエシンのN末端セグメントに対するモノクローナル抗体を、従来のハイブリドーマ法を使用して調製することができる。配列番号3の配列を有するモエシンのN末端セグメントを生成するために、PCRを使用して、図3に示す配列番号3に記載のN末端セグメントに対応するcDNA断片を増幅させる。
PCRで増幅させたN末端セグメントモエシンDNA断片を、pET32a(+)およびpET28a(+)から選択される発現ベクター中にクローニングする。次いで、構築したベクターを使用して、培養および発現のための大腸菌(E.coli)宿主細胞株BL21(DE3)を形質転換させる。N末端ドメイン用に構築した発現系を制限酵素消化とその後のシークエンシングとにより検証して、N末端セグメントの発現用の正しいリーディングフレームを確認する。
十分な培養後に、N末端セグメントが発現されている宿主細胞を回収し、標準的なタンパク質の発現および精製プロトコルに従ってN末端セグメントを集めて精製する。得られたタンパク質断片をSDS−PAGEでアッセイし、このタンパク質断片の同一性および純度を確認する。
次いで、発現されたN末端セグメントを使用して、BALB/Cマウスを使用する従来のハイブリドーマ法に従って、モエシンのN末端セグメントに対するモノクローナル抗体を作る。
ハイブリドーマ法はKohlerおよびMilstein、Nature、256:495(1975)により初めて説明されており、この文献はその全体が参照により本出願に援用される。典型的なハイブリドーマ法では、マウス(例えばBALB/Cマウス)を抗原(例えば、上記に記載した、発現されたモエシンのN末端セグメント)で免疫付与し、次いで、この免疫付与したマウスからの脾細胞を骨髄腫細胞と融合させる。この融合細胞を、ハイブリドーマの増殖を選択的に可能にする培地中で回収し、生存可能なハイブリドーマコロニーを生じさせる。十分な時間後に、上清を、ELISA検定、および抗原(例えばN末端セグメント)を使用する免疫組織化学アッセイでスクリーニングする。陽性細胞を、更なるサブクローニングのために選択する。選択したクローンを限界希釈によりサブクローニングする。全てのクローンがELISA陽性となるまでサブクローニングを実施する。次いで、陽性クローンを選択して、抗原に対してモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマを得る。
モエシンタンパク質のC末端セグメントに対する抗体を、WO2012045274A1(このパンフレットの全体および一部が本出願に援用される)に記載したようにして得た。
完全長のまたはセグメントのモエシンタンパク質に対する抗体も市販されている。
転移性肉腫の患者の血清でのモエシンタンパク質の特異的セグメントの検出
様々なステージの肉腫を有する患者から血清サンプルまたは血漿サンプルを採取し、化学発光酵素免疫アッセイを使用して、N末端セグメント(アミノ酸残基1〜297)およびC末端セグメント(アミノ酸残基471〜577)等のヒトモエシンの特異的セグメントの存在に関して試験した。簡潔に言うと、セグメントに特異的に結合する抗体をコーティングしたプレートへの結合を競合させるために、ビオチン標識N末端セグメントまたはビオチン標識C末端セグメントでサンプルを希釈した。次いで、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ)標識ストレプトアビジンを添加してビオチンに結合させた。洗浄後、発光シグナルを発現させて、プレートに結合した酵素標識ストレプトアビジンを測定した。この発光シグナルは、サンプル中のN末端セグメントまたはC末端セグメントの濃度に反比例していた。
材料および方法
最初に、天然状態で抗体を保存することができる条件下で、ポリスチレンマイクロウェルプレートのウェルに、モエシンタンパク質のN末端セグメントまたはC末端セグメントに対する高純度の抗体をコーティングした。具体的には、ELISAプレート(LUMITRAC(商標)600 96−ウェルの白色の免疫プレート、Greiner 655074)の各マイクロウェルを、12〜16時間にわたり2℃〜8℃にて、モエシンのN末端セグメントまたはC末端セグメントに対する抗体 約100ngと共にインキュベートした。次いで、このプレートをPBSで1回洗浄した後、保存して後に使用するために、ブロッキング溶液でブロックして真空乾燥した。
N末端モエシンセグメントの割合を測定するために、転移性肉腫を有すると臨床的に診断された患者または転移性肉腫を有さないと診療的に診断された患者から血清サンプルまたは血漿サンプルを採取して調製した。健康な個体からも対照としてサンプルを採取した。EZ−Link(商標)NHS−PEG4−Biotinylation Kit(Thermo Scientific、製品番号21455)で調製したビオチン標識N末端モエシンセグメント20ng/mlを含むPBS−T緩衝液(0.05%(v/v)Tween−20)を使用して、サンプルを希釈した。次いで、希釈したサンプル100μlを各ウェルに添加し、サンプル中に存在するビオチン標識N末端モエシンセグメントまたはあらゆるN末端モエシンセグメントを、各ウェル中で固定化された抗体に結合させた。PBS−T緩衝液を使用して、未結合の(ビオチン標識されているまたは未標識の)N末端モエシンセグメントを洗い流した。次いで、ストレプトアビジン−HRP(Invitrogen Life Technologies、SA100−01)を各ウェルに添加して、マイクロウェルに付着しているビオチン標識N末端モエシンセグメントに結合させた。あらゆる未結合のストレプトアビジンHRPを洗い流した後、化学発光基質(SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate、Pierce 37074)を添加し、ルミノメーター(Thermo Scientific Luminoskan Ascent)により発光シグナルを検出して測定した。
上記と同様の方法を使用して、C末端モエシンセグメントの存在を測定した。
発明者らはまた、サンドイッチELISA法も使用して、サンプル中での完全長のモエシンタンパク質の存在を確認した。簡潔に言うと、N末端モエシンセグメントに対する抗体がコーティングされたプレートを、上記に記載したように調製した。ビオチン標識N末端モエシンセグメントを混合することなく、サンプルをプレートに添加した。未結合のタンパク質を洗浄した後、C末端モエシンタンパク質に対する抗体を各マイクロウェルに添加して、完全長のモエシンタンパク質の存在を検出した。
統計的分析のために、スチューデントのt検定(両側)を用いて、様々な群間のN末端モエシンセグメントまたはC末端モエシンセグメントの濃度の差異を評価した。この差異は、p<0.05である場合に統計的に有意であった。
結果
図4および表1に示すように、転移性肉腫の患者からのサンプルは、健康な個体と比べて有意に高い濃度のN末端モエシンセグメントを含んでいた(p<0.05)。これに対して、非転移性肉腫の患者でのN末端モエシンセグメントの濃度は健康な個体と比べて有意に高くはなく(p=0.11)、転移性肉腫の患者および非転移性肉腫の患者の両方でのC末端モエシンセグメントは、健康な個体と比べて有意に高かった(p<0.001)。これらのサンプルでは、完全長のモエシンタンパク質を検出しなかった。したがって、N末端モエシンセグメントの存在を、転移性肉腫のバイオマーカーとして使用することができる。
具体的な実施形態(この内の一部は好ましい実施形態である)を参照して本発明を具体的に示して説明したが、本明細書で開示した本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を行うことができることを当業者は理解していると予想される。

Claims (23)

  1. 対象における肉腫転移を評価するための方法であって、
    対象から得られた生体サンプルを提供すること、ここで前記生体サンプルは血清または血漿である、と、
    生体サンプル中におけるモエシンのN末端セグメントのレベルを検出することを含み、
    対象の生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが、対象が肉腫の転移を発症していること、または対象が肉腫の転移を発症する可能性が高いことを示す、方法。
  2. N末端セグメントがヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297からなる、請求項1に記載の方法。
  3. モエシンが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するヒトモエシンである、請求項2に記載の方法。
  4. N末端セグメントが、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の領域からの少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む、請求項1に記載の方法。
  5. N末端セグメントが、ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の領域からの少なくとも50個の連続したアミノ酸残基を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 生体サンプル中におけるモエシンのN末端セグメントのレベルが、前記サンプルとモエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬とを接触させることにより検出される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記試薬が、モエシンのN末端セグメントに結合する抗体またはこの抗体断片である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項7に記載の方法。
  9. 対象の生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが、参照サンプルから検出したモエシンのN末端セグメントの参照レベルと比較される、請求項1に記載の方法。
  10. モエシンのN末端セグメントの参照レベルと比べて、生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが高いことが、対象が肉腫の転移を発症していること、または対象が肉腫の転移を発症する可能性が高いことを示す、請求項8に記載の方法。
  11. 生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも2倍である、請求項9に記載の方法。
  12. 生体サンプルで検出されたモエシンのN末端セグメントのレベルが、モエシンのN末端セグメントの参照レベルの少なくとも5倍である、請求項9に記載の方法。
  13. 参照サンプルが、腫瘍を有さない対象または腫瘍が非転移性である対象に由来する、請求項10に記載の方法。
  14. 肉腫が、骨肉腫、ユーイング肉腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、軟骨肉腫、巨細胞腫、脂肪肉腫または平滑筋肉腫である、請求項1に記載の方法。
  15. モエシンのN末端セグメントから本質的になる、肉腫転移を評価するためのバイオマーカー。
  16. ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の内の少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む、請求項15に記載のバイオマーカー。
  17. ヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297の内の少なくとも50個の連続したアミノ酸残基を含む、請求項15に記載のバイオマーカー。
  18. モエシンのN末端セグメントがヒトモエシンのアミノ酸残基1〜297からなる、請求項15に記載のバイオマーカー。
  19. モエシンのN末端セグメントに特異的に結合する試薬を含む、対象における肉腫転移を評価するためのキット。
  20. 前記試薬が抗体である、請求項19に記載のキット。
  21. 対象における肉腫転移を評価するためのバイオマーカーとしてのモエシンのN末端セグメントの使用。
  22. 対象における肉腫転移を評価するための検出剤を製造するための、モエシンのN末端セグメントの使用。
  23. 対象における肉腫転移を治療するための薬剤を製造するためのモエシンのN末端セグメントの使用。
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