(移動通信システム)
実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。実施形態に係る移動通信システムは、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)システムである。図1は、実施形態に係るLTEシステムの構成を示す図である。図2は、MBMSに係るネットワーク構成を示す図である。
図1に示すように、LTEシステムは、無線端末(UE:User Equipment)100、無線アクセスネットワーク(E−UTRAN:Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)20を備える。E−UTRAN10及びEPC20は、LTEシステムのネットワークを構成する。
UE100は、移動型の通信装置である。UE100は、自身が在圏するセル(サービングセル)を管理するeNB200との無線通信を行う。
E−UTRAN10は、基地局(eNB:evolved Node−B)200を含む。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200は、1又は複数のセルを管理する。eNB200は、eNB200が管理するセルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。
EPC20は、モビリティ管理エンティティ(MME)及びサービングゲートウェイ(S−GW)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。S−GWは、データの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
次に、MBMS向けのネットワークエンティティについて説明する。E−UTRAN10は、MCE(Multi−Cell/Multicast Coordinating Entity)11を含む。MCE11は、M2インターフェイスを介してeNB200と接続され、M3インターフェイスを介してMME300と接続される(図2参照)。MCE11は、MBSFN無線リソース管理・割当等を行う。具体的には、MCE11は、MBSFN伝送のスケジューリングを行う。これに対し、SC−PTM伝送のスケジューリングはeNB200により行われる。
EPC20は、MBMS GW(MBMS Gateway)21を含む。MBMS GW21は、M1インターフェイスを介してeNB200と接続され、Smインターフェイスを介してMME300と接続され、SG−mb及びSGi−mbインターフェイスを介してBM−SC22と接続される(図2参照)。MBMS GW21は、eNB200に対してIPマルチキャストのデータ伝送及びセッション制御等を行う。
また、EPC20は、BM−SC(Broadcast Multicast Service Center)22を含む。BM−SC22は、SG−mb及びSGi−mbインターフェイスを介してMBMS GW21と接続され、SGiインターフェイスを介してP−GW23と接続される(図2参照)。BM−SC22は、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)の管理・割当等を行う。
EPC20の外部のネットワーク(すなわち、インターネット)には、GCS AS(Group Communication Service Application Server)31が設けられてもよい。GCS AS31は、グループ通信用のアプリケーションサーバである。GCS AS31は、MB2−U及びMB2−Cインターフェイスを介してBM−SC22と接続され、SGiインターフェイスを介してP−GW23と接続される。GCS AS31は、グループ通信におけるグループの管理及びデータ配信等を行う。
図3は、実施形態に係るUE100(無線端末)の構成を示す図である。図3に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換する。受信機は、ベースバンド信号を制御部130に出力する。
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換する。送信機は、無線信号をアンテナから送信する。
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含む。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理を実行する。
図4は、実施形態に係るeNB200(基地局)の構成を示す図である。図4に示すように、eNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換する。送信機は、無線信号をアンテナから送信する。
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換する。受信機は、ベースバンド信号を制御部230に出力する。
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含む。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各種の処理を実行する。
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNBと接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に用いられる。バックホール通信部240は、M1インターフェイス上で行う通信及びM2インターフェイス上で行う通信にも用いられ得る。
図5は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタックを示す図である。図5に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1レイヤ乃至第3レイヤに区分されており、第1レイヤは物理(PHY)レイヤである。第2レイヤは、MAC(Medium Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤを含む。第3レイヤは、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
物理レイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理レイヤとeNB200の物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
MACレイヤは、データの優先制御、HARQ(Hybrid ARQ)による再送処理等を行う。UE100のMACレイヤとeNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMACレイヤは、スケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))、及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとeNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRCレイヤは、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRCレイヤとeNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態である。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態である。
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。
図6は、LTEシステムの下りリンクのチャネルの構成を示す図である。図6(a)は、論理チャネル(Downlink Logical Channel)とトランポートチャネル(Downlink Transport Channel)との間のマッピングを示す。
図6(a)に示すように、PCCH(Paging Control Channel)は、ページング情報、及びシステム情報変更を通知するための論理チャネルである。PCCHは、トランスポートチャネルであるPCH(Paging Channel)にマッピングされる。
BCCH(Broadcast Control Channel)は、システム情報のための論理チャネルである。BCCHは、トランスポートチャネルであるBCH(Broadcast Control Channel)及びDL−SCH(Downlink Shared Channel)にマッピングされる。
CCCH(Common Control Channel)は、UE100とeNB200との間の送信制御情報のための論理チャネルである。CCCHは、UE100がネットワークとの間でRRC接続を有していない場合に用いられる。CCCHは、DL−SCHにマッピングされる。
DCCH(Dedicated Control Channel)は、UE100とネットワークとの間の個別制御情報を送信するための論理チャネルである。DCCHは、UE100がRRC接続を有する場合に用いられる。DCCHは、DL−SCHにマッピングされる。
DTCH(Dedicated Traffic Channel)は、データ送信のための個別論理チャネルである。DTCHは、DL−SCHにマッピングされる。
SC−MTCH(Single Cell Multicast Traffic Channel)は、SC−PTM伝送のための論理チャネルである。SC−MTCHは、SC−PTM伝送を用いてネットワークからUE100にデータを送信するための1対多チャネル(point−to−multipoint downlink channel)である。
SC−MCCH(Single Cell Multicast Control Channel)は、SC−PTM伝送のための論理チャネルである。SC−MTCHは、1又は複数のSC−MTCHのためのMBMS制御情報をネットワークからUE100に送信するための1対多チャネル(point−to−multipoint downlink channel)である。SC−MCCHは、SC−PTMを用いてMBMSを受信する又は受信に興味を持つUE100に用いられる。また、SC−MCCHは、1つのセルに1つのみ存在する。
MCCH(Multicast Control Channel)は、MBSFN伝送のための論理チャネルである。MCCHは、ネットワークからUE100へのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるMCH(Multicast Channel)にマッピングされる。
MTCH(Multicast Traffic Channel)は、MBSFN伝送のための論理チャネルである。MTCHは、MCHにマッピングされる。
図6(b)は、トランポートチャネル(Downlink Transport Channel)と物理チャネル(Downlink Physical Channel)との間のマッピングを示す。
図6(b)に示すように、BCHは、PBCH(Physical Broadcast Channel)にマッピングされる。
MCHは、PMCH(Physical Multicast Channel)にマッピングされる。MCHは、複数のセルによるMBSFN伝送をサポートする。
PCH及びDL−SCHは、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)にマッピングされる。DL−SCHは、HARQ、リンクアダプテーション、及び動的リソース割当をサポートする。
PDCCHは、PDSCH(DL−SCH、PCH)のリソース割り当て情報及びDL−SCHに関するHARQ情報等を運搬する。また、PDCCHは、上りリンクのスケジューリンググラントを運ぶ。
図7は、LTEシステムの無線フレームの構成を示す図である。LTEシステムにおいて、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
図7に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。また、UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御信号を伝送するためのPDCCHとして用いられる領域である。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するためのPDSCHとして使用できる領域である。また、下りリンクにおいて、MBSFN伝送向けのサブフレームであるMBSFNサブフレームが設定され得る。
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御信号を伝送するためのPUCCHとして用いられる領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するためのPUSCHとして使用できる領域である。
(セル再選択動作の概要)
RRCアイドル状態にあるUE100は、開始条件が満たされた場合に、現在のサービングセルに隣接する隣接セルの品質を測定し、選択条件を満たすセルの中からサービングセルとして用いるセルを選択する。
第1に、開始条件は、以下に示す通りである。
(A1)現在のサービングセルの周波数の優先度よりも高い優先度を有する周波数:
UE100は、高い優先度を有する周波数の品質を常に測定する。
(A2)現在のサービングセルの周波数の優先度と等しい優先度又は低い優先度を有する周波数:
UE100は、現在のサービングセルの品質が所定閾値を下回った場合に、等しい優先度又は低い優先度を有する周波数の品質を測定する。
第2に、選択条件は、以下に示す通りである。
(B1)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度よりも高い:
UE100は、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSqual>ThreshX,HighQの関係を満たすセル、若しくは、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSrxlev>ThreshX,HighPの関係を満たすセルを選択する。このようなケースにおいて、隣接セルが満たすべき基準を“S−criteria”と称することもある。
但し、Squalは、セル選択品質レベルを表す。Squalは、Squal=Qqualmeas-(Qqualmin+Qqualminoffset)−Qoffsettempによって算出される。Qqualmeasは、隣接セルの品質レベル(RSRQ)であり、Qqualminは、最小要求品質レベルであり、Qqualminoffsetは、隣接セルに定常的に適用される所定オフセットであり、Qoffsettempは、隣接セルに一時的に適用されるオフセットである。ThreshX,HighQは、所定閾値である。
また、Srxlevは、セル選択受信レベルを表す。Srxlevは、Srxlev=Qrxlevmeas-(Qrxlevmin+Qrxlevminoffset)-Pcompensation−Qoffsettempによって算出される。Qrxlevmeasは、隣接セルの受信レベル(RSRP)であり、Qrxlevminは、最小要求受信レベルであり、Qrxlevminoffsetは、隣接セルに定常的に適用される所定オフセットであり、Pcompensationは、アップリンクの能力に関するパラメータであり、Qoffsettempは、隣接セルに一時的に適用されるオフセットである。ThreshX,HighPは、所定閾値である。
(B2)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度と同じである:
UE100は、現在のサービングセルのランキングRs及び隣接セルのランキングRnを算出するとともに、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってRsよりも高いランキングRnを有するセルを対象セルとして選択する。このようなケースにおいて、隣接セルが満たすべき基準を“R−criteria”と称することもある。
但し、Rsは、Rs=Qmeas,s+QHyst−Qoffsettempによって算出される。Rnは、Rn=Qmeas,n−Qoffset−Qoffsettempによって算出される。Qmeas,sは、現在のサービングセルの受信レベル(RSRP)であり、Qmeas,nは、隣接セルの受信レベル(RSRP)である。QHystは、現在のサービングセルが対象セルとして再選択されやすくするためのヒステリシス値である。Qoffsettempは、現在のサービングセル及び隣接セルに一時的に適用されるオフセットである。
(B3)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度よりも低い:
UE100は、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSqual<ThreshServing,LowQが満たされる、若しくは、所定期間(TreselectionRAT)に亘ってSrxlev<ThreshServing,LowPが満たされるという前提下において、上述した(B1)と同様の手法によって隣接セルの中から対象セルを選択する。
但し、ThreshServing,LowQ及びThreshServing,LowPは、ThreshX,HighQ及びThreshX,HighPと同様に、所定閾値である。
なお、対象セルの選択で用いる各種パラメータは、eNB200からブロードキャストされる情報(SIB:System Information Block)に含まれる。各種パラメータは、周波数の優先度(cellReselectionPriority)、所定期間(TreselectionRAT)、各種オフセット(Qqualminoffset、Qrxlevminoffset、Qoffsettemp、QHyst、Qoffset)、各種閾値(ThreshX,HighQ、ThreshX,HighP、ThreshServing,LowQ、ThreshServing,LowP)を含む。
(SC−PTMの概要)
MBMS用の無線伝送方式としては、MBSFN伝送及びSC−PTM伝送の2つの方式がある。MBSFN伝送においては、複数のセルからなるMBSFNエリア単位で、PMCHを介してデータが送信される。これに対し、SC−PTM伝送においては、セル単位で、PDSCHを介してデータが送信される。以下においては、UE100がSC−PTM受信を行うシナリオを主として想定するが、MBSFNを想定してもよい。
UE100は、RRCコネクティッド状態でMBMSサービスを受信してもよいし、RRCアイドル状態でMBMSサービスを受信してもよい。以下において、UE100がRRCアイドル状態でMBMSサービスを受信するケースを主として想定する。
図8は、SC−PTMの動作例を示す図である。
図8に示すように、ステップS11において、UE100は、eNB200を介してEPC20からUSD(User Service Description)を取得する。USDは、各MBMSサービスの基本的な情報を提供する。USDは、MBMSサービスごとに、当該MBMSサービスを識別するTMGIと、当該MBMSサービスが提供される周波数と、当該MBMSサービスの提供開始・終了時間と、を含む。
ステップS12において、UE100は、BCCHを介してeNB200からSIB20を受信する。SIB20は、SC−MCCHの取得に必要な情報(スケジューリング情報)を含む。図9は、SIB20を示す図である。図9に示すように、SIB20は、SC−MCCHの内容が変更され得る周期を示すsc−mcch−ModificationPeriod、SC−MCCHの送信(再送)時間間隔を無線フレーム数で示すsc−mcch−RepetitionPeriod、SC−MCCHがスケジュールされる無線フレームのオフセットを示すsc−mcch−Offset、及びSC−MCCHがスケジュールされるサブフレームを示すsc−mcch−Subframe等を含む。
ステップS13において、UE100は、SIB20に基づいて、SC−MCCHを介してeNB200からSCPTM設定情報(SCPTM Configuration)を受信する。物理レイヤにおいてSC−MCCHの送信にはSC−RNTI(Single Cell RNTI)が用いられる。図10は、SC−MCCH中のSCPTM設定情報(SCPTM Configuration)を示す図である。図10に示すように、SCPTM設定情報は、SC−MRB(Single Cell MBMS Point to Multipoint Radio Bearer)を介して送信されるMBMSサービスに適用可能な制御情報を含む。SCPTM設定情報は、当該情報を送信するセルにおける各SC−MTCHの設定を含むsc−mtch−InfoList、及びSC−MRBを介してMBMSサービスを提供する隣接セルのリストであるscptmNeighbourCellListを含む。sc−mtch−InfoListは、1又は複数のSC−MTCH−Infoを含む。各SC−MTCH−Infoは、SC−MRBを介して送信される進行中のMBMSセッションの情報(mbmsSessionInfo)、当該MBMSセッションに対応するG−RNTI(Group RNTI)、及びSC−MTCHのためのDRX情報であるsc−mtch−schedulingInfoを含む。mbmsSessionInfoは、MBMSサービスを識別するTMGI及びセッションID(sessionId)を含む。G−RNTIは、マルチキャストグループ(具体的には、特定グループ宛てのSC−MTCH)を識別するRNTIである。G−RNTIは、TMGIと1対1でマッピングされる。sc−mtch−schedulingInfoは、onDurationTimerSCPTM、drx−InactivityTimerSCPTM、schedulingPeriodStartOffsetSCPTMを含む。schedulingPeriodStartOffsetSCPTMは、SC−MTCH−SchedulingCycle及びSC−MTCH−SchedulingOffsetを含む。
ステップS14において、UE100は、SCPTM設定情報(SCPTM Configuration)中のSC−MTCH−SchedulingInfoに基づいて、SC−MTCHを介して、自身が興味のあるTMGIに対応するMBMSサービス(マルチキャストデータ)を受信する。物理レイヤにおいて、eNB200は、G−RNTIを用いてPDCCHを送信した後、PDSCHを介してマルチキャストデータを送信する。
なお、図10に関連して説明した制御信号(シグナリング)は一例であり、省電力受信のための最適化等により、一部の制御信号が適宜省略されたり、制御信号の順序が入れ替わったりしてもよい。
(eMTC及びNB−IoTの概要)
実施形態において、新たなカテゴリのUE100が存在するシナリオを想定する。新たなカテゴリのUE100は、システム送受信帯域の一部のみに送受信帯域幅が制限されるUE100である。新たなUEカテゴリは、例えば、カテゴリM1及びNB(Narrow Band)−IoTカテゴリと称される。カテゴリM1は、eMTC(enhanced Machine Type Communications)UEである。NB−IoT UEは、カテゴリNB1である。カテゴリM1は、UE100の送受信帯域幅を1.08MHz(すなわち、6リソースブロックの帯域幅)に制限するとともに、繰り返し送信等を用いたカバレッジ強化(CE:Enhanced Coverage)技術をサポートする。NB−IoTカテゴリは、UE100の送受信帯域幅を180kHz(すなわち、1リソースブロックの帯域幅)にさらに制限するとともに、カバレッジ強化技術をサポートする。繰り返し送信は、複数のサブフレームを用いて同一の信号を繰り返し送信する技術である。一例として、LTEシステムのシステム帯域幅は10MHzであり、そのうちの送受信帯域幅は9MHz(すなわち、50リソースブロックの帯域幅)である。一方、カテゴリM1のUE100は、6リソースブロックよりも広い帯域幅で送信される下りリンク無線信号を受信することができないため、通常のPDCCHを受信することができない。このため、MTC向けのPDCCHであるMPDCCH(MTC−PDCCH)が導入される。同様な理由で、NB−IoT向けのPDCCHであるNPDCCH(NB−PDCCH)が導入される。
図11は、eMTC UE向けの下りリンク物理チャネルを示す図である。図11に示すように、eNB200は、6リソースブロック以内でMPDCCHを送信する。MPDCCHは、PDSCHを割り当てるためのスケジューリング情報を含む。一例として、MPDCCHは、当該MPDCCHが送信されるサブフレームとは異なるサブフレームのPDSCHを割り当てる。eNB200は、6リソースブロック以内でPDSCHを送信する。また、eNB200は、同一の信号の繰り返し送信を行うために、複数のサブフレームに亘ってPDSCHを割り当てる。カテゴリM1のUE100は、MPDCCHを受信することで割り当てPDSCHを特定し、割り当てPDSCHで送信されるデータを受信する。
図12は、eMTC UE及びNB−IoT UE向けのランダムアクセスプロシージャを示す図である。図12の初期状態において、UE100は、RRCアイドル状態にある。UE100は、RRCコネクティッド状態に遷移するためにランダムアクセスプロシージャを実行する。
UE100は、eNB200のセルをサービングセルとして選択している。UE100は、通常のカバレッジのための第1のセル選択基準(第1のS−criteria)が満たされず、強化カバレッジ(enhanced coverage)のための第2のセル選択基準(第2のS−criteria)が満たされた場合、自身が強化カバレッジに居ると判断してもよい。「強化カバレッジに居るUE」とは、セルにアクセスするためにカバレッジ強化技術(強化カバレッジモード)を用いることが必要とされるUEを意味する。なお、eMTC UEは、強化カバレッジモードを用いることが必須である。
図12に示すように、ステップS21において、eNB200は、PRACH(Physical Random Access Channel)関連情報をブロードキャストシグナリング(例えば、SIB)により送信する。PRACH関連情報は、カバレッジ強化レベル(CEレベル)ごとに設けられた各種のパラメータを含む。CEレベルは、「enhanced coverage level」と称されてもよい。一例として、CEレベルは、CEレベル0乃至3の合計4つのレベルが規定される。各種のパラメータは、RSRP(Reference Signal Received Power)閾値、PRACHリソース、及び最大プリアンブル送信回数を含む。PRACHリソースは、無線リソース(時間・周波数リソース)及び信号系列(プリアンブル系列)を含む。UE100は、受信したPRACH関連情報を記憶する。
ステップS22において、UE100は、eNB200から送信される参照信号に基づいてRSRPを測定する。
ステップS23において、UE100は、測定したRSRPをCEレベルごとのRSRP閾値と比較することにより、自身のCEレベルを決定する。CEレベルは、UE100に必要とされるカバレッジ強化の度合いを示す。CEレベルは、少なくとも繰り返し送信における送信回数(すなわち、Repetition回数)と関連する。
ステップS24において、UE100は、自身のCEレベルに対応するPRACHリソースを選択する。
ステップS25において、UE100は、選択したPRACHリソースを用いてMsg 1(ランダムアクセスプリアンブル)をeNB200に送信する。eNB200は、受信したMsg 1に用いられたPRACHリソースに基づいて、UE100のCEレベルを特定する。
ステップS26において、eNB200は、UE100に割り当てたPUSCHリソースを示すスケジューリング情報を含むMsg 2(ランダムアクセス応答)をUE100に送信する。なお、UE100は、Msg 2を正常に受信するまで、自身のCEレベルに対応する最大プリアンブル送信回数までMsg 1を複数回送信し得る。
ステップS27において、UE100は、スケジューリング情報に基づいて、Msg 3をeNB200に送信する。Msg 3は、RRC Connection Requestメッセージであってもよい。
ステップS28において、eNB200は、Msg 4をUE100に送信する。
ステップS29において、UE100は、Msg 4の受信に応じてRRCコネクティッド状態に遷移する。その後、eNB200は、特定したCEレベルに基づいて、UE100への繰り返し送信を制御する。
(第1実施形態)
以下において、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、上述した新たなカテゴリのUE100に対して、MBMSを用いたマルチキャスト/ブロードキャストによりファームウェア等の一括配信を行うシナリオを想定する。また、RRCアイドル状態のUE100がSC−PTMにより配信されるMBMSサービスを受信するケースを主として想定する。
第1実施形態に係るUE100は、繰り返し送信を含むカバレッジ強化技術を用いてeNB200から配信されるMBMSサービスを受信する受信部110と、所定のイベントが発生したか否かを判断する制御部130と、所定のイベントが発生したことに応じて、UE100が必要とするCEレベルを示す通知(以下、「CEレベル通知」と称する)をeNB200に送信する送信部120と、を備える。所定のイベントは、CEレベル通知の送信をeNB200から要求されたこと、又はMBMSサービスを正常に受信できないことである。
CEレベル通知は、上述したMsg 1(ランダムアクセスプリアンブル)であってもよいし、Msg 1とは異なるメッセージであってもよい。但し、Msg 1を用いる方法は、CEレベル通知に伴うシグナリングが多く、かつ、UE100が不必要にRRCコネクティッド状態に遷移し得る。Msg 1を用いる場合、UE100をRRCコネクティッド状態に遷移させないための情報をMsg 1又はMsg 3に含めてもよい。もしくは、CEレベル通知である事を示すシーケンス(信号系列)を用いてもよいし、CEレベル通知用のリソース(時間・周波数リソース)を用いて送信してもよい。この場合、UE100及びeNB200は、RRC接続を確立することなくランダムアクセスプロシージャを途中で終了させてもよい。
CEレベル通知は、UE100が決定したCEレベルの値を直接的に示す情報を含んでもよい。或いは、CEレベル通知は、UE100が決定したCEレベルの値を間接的に示す情報を含んでもよい。このような情報は、CEレベルに対応する繰り返し送信回数であってもよいし、UE100が測定したRSRPであってもよい。さらに、CEレベル通知は、UE100が受信している又は受信に興味を持つ1又は複数のMBMSサービスのサービス識別子(TMGI)を含んでもよい。
第1実施形態の動作パターン1において、UE100の受信部110は、MBMSサービスの受信開始前において、CEレベル通知の送信を要求する通知要求をeNB200から受信する。UE100の送信部120は、通知要求の受信に応じて、CEレベル通知をeNB200に送信する。すなわち、動作パターン1は、UE100がeNB200の要求に従ってCEレベルを通知するパターンである。これにより、eNB200は、UE100のCEレベルに基づいて、適切な繰り返し送信回数及び/又はMCSをMBMS配信に適用することができる。
第1実施形態の動作パターン2において、UE100の制御部130は、MBMSサービスの受信開始後において、MBMSサービスを正常に受信できるか否かを判断する。UE100の送信部120は、MBMSサービスを正常に受信できないと判断されたことに応じて、CEレベル通知をeNB200に送信する。すなわち、動作パターン2は、UE100が自律的にCEレベルの通知タイミングを決定するパターンである。これにより、eNB200は、UE100のCEレベルに基づいて、MBMS配信に適用する繰り返し送信回数及び/又はMCSを適切に変更することができる。
eNB200は、動作パターン1を適用すべきか又は動作パターン2を適用すべきかを指定するためのトリガ指定情報をUE100に送信してもよい。UE100は、指定された動作パターンに従ってCEレベル通知の送信を制御する。
第1実施形態において、UE100の受信部110は、CEレベル通知を送信するために複数のUE100が共用する共通リソースを示す設定情報をeNB200から受信してもよい。UE100の送信部120は、共通リソースを用いてCEレベル通知をeNB200に送信してもよい。このような共通リソースを用いることにより、eNB200がUE100に個別にリソース割り当てを行う必要がなくなるため、RRCアイドル状態のUE100であってもCEレベル通知をeNB200に送信することができる。
第1実施形態において、UE100の制御部130は、CEレベル通知を送信してから所定時間が経過するまで、次のCEレベル通知の送信を禁止してもよい。UE100の制御部130は、CEレベル通知を送信してから所定時間が経過した後、次のCEレベル通知の送信を可能にしてもよい。当該所定時間は、例えば設定情報中でeNB200からUE100に設定されてもよい。これにより、同一のUE100が連続的にCEレベル通知を送信することを防止することができる。
第1実施形態において、UE100の制御部130は、受信状態(例えば、RSRP)が閾値よりも良好であることに応じて、CEレベル通知の送信を禁止してもよい。UE100の制御部130は、受信状態が閾値よりも劣悪であることに応じて、CEレベル通知の送信を可能にしてもよい。eNB200は、ブロードキャストシグナリング(例えば、SIB)により閾値をUE100に設定してもよい。閾値は、強化カバレッジのための第2のセル選択基準に含まれる閾値であってもよいし、他の閾値であってもよい。言い換えると、強化カバレッジに居るUE100のみを対象としてCEレベル通知の送信を可能にしてもよいし、所定のCEレベル以下のUE100のみを対象としてCEレベル通知の送信を可能にしてもよい。
図13は、第1実施形態の動作パターン1の一例を示す図である。UE100は、RRCアイドル状態である。また、UE100は、強化カバレッジに居るUE、すなわち、カバレッジ強化技術(強化カバレッジモード)を用いることが必要とされるUEである。
図13に示すように、ステップS101において、eNB200は、複数のUE100がCEレベル通知の送信に共通に用いるべき共通リソースを示す設定情報を送信する。設定情報は、ブロードキャスト又はマルチキャストで送信される。例えば、eNB200(送信部210)は、SIB、SC−MCCH、又はMCCHを用いて設定情報を送信する。設定情報は、共通リソース(時間リソース、周波数リソース、及び/又は信号系列)を示すパラメータを含む。共通リソースは、CEレベルごとに確保されてもよい。設定情報は、CEレベル通知の送信電力を制御するための電力制御パラメータをさらに含んでもよい。時間リソースパラメータは、システムフレーム番号(SFN)を示す情報、サブフレームを示す情報(ビットマップ)等を含んでもよい。周波数リソースパラメータは、リソースブロックの始点又は終点を示す情報、連続するリソースブロックの範囲(リソースブロック数)を示す情報等を含んでもよい。設定情報は、共通リソースが提供される期間(又は、開始時間/終了時間)を含んでもよい。当該期間は、秒として定義されてもよく、フレーム番号(SFN、サブフレーム等)で定義されてもよい。当該期間は、予め決められた値(例えば、10サブフレーム期間等)であってもよい。当該期間が存在する場合、UE100は、当該期間内においてCEレベル通知を送信する。言い換えると、UE100は、当該期間の経過後はCEレベル通知を送信しない。
ステップS102において、eNB200は、CEレベル通知の送信を要求する通知要求を送信する。通知要求は、ブロードキャスト又はマルチキャストで送信される。例えば、eNB200(送信部210)は、システム情報ブロック(SIB)、SC−MCCH、又はMCCHを用いて通知要求を送信する。通知要求は、CEレベル通知の対象とする1又は複数のMBMSサービスのサービス識別子(TMGI)を含んでもよい。通知要求は、RRCアイドル状態のUE100を対象とすることを示す情報を含んでもよい。
なお、ステップS102は、ステップS101の前に行われてもよい。或いは、ステップS102は、ステップS101と同時に行われてもよい。この場合、通知要求及び設定情報は、1つのメッセージに含まれてもよい。
UE100は、通知要求及び設定情報を受信する。
ステップS103において、UE100は、通知要求の受信に応じて、自身がMBMSサービスの受信に興味を持つか否かを判断してもよい。一例として、MBMSサービスの受信を開始するよう上位レイヤから設定されている場合、自身がMBMSサービスの受信に興味を持つと判断する。MBMSサービスの受信に興味を持たない場合、UE100は、CEレベル通知をeNB200に送信しなくてもよい。ここでは、UE100がMBMSサービスの受信に興味を持つと仮定して説明を進める。また、CEレベル通知の対象とするMBMSサービスが指定されている場合、UE100は、指定されたMBMSサービスと自身が興味を持つMBMSサービスとが一致するか否かを判断してもよい。指定されたMBMSサービスと自身が興味を持つMBMSサービスとが一致しない場合、UE100は、CEレベル通知をeNB200に送信しなくてもよい。
ステップS104において、UE100は、設定情報に基づいて、共通リソースに含まれるリソース(時間リソース、周波数リソース、及び/又は信号系列)を選択する。UE100は、自身のCEレベルに対応するリソースを共通リソースの中から選択してもよい。
ステップS105において、UE100は、選択されたリソースを用いて、CEレベル通知をeNB200に送信する。CEレベル通知は、UE100のCEレベルを示す情報及び/又はUE100が受信に興味を持つMBMSサービスを示す情報(TMGI)を含んでもよい。ここで、UE100は、RRCアイドル状態であっても、共通リソースを用いてCEレベル通知をeNB200に送信可能である。
eNB200は、CEレベル通知を受信する。なお、複数のUE100間でリソースの衝突が発生した場合、eNB200は、当該リソースを用いて送信されたCEレベル通知の復号に失敗し得る。これに対し、リソース衝突が発生しない場合、eNB200は、CEレベル通知の復号に成功する。eNB200は、CEレベル通知に基づいて、MBMSサービスの受信に興味を持つ各UE100のCEレベルを把握する。eNB200は、UE100から受信したCEレベル通知をMME300及び/又はMCE11等に転送してもよい。
ステップS106において、eNB200は、把握したCEレベルに基づいて、SC−PTMにより配信するMBMSサービスに適用する繰り返し送信回数及び/又はMCSを決定する。
ステップS107において、eNB200は、決定した繰り返し送信回数及び/又はMCSを用いて、MBMSサービスをSC−PTMにより配信する。
図14は、第1実施形態の動作パターン2の一例を示す図である。ここでは、動作パターン1との相違点を主として説明し、重複する説明を省略する。UE100は、RRCアイドル状態であって、強化カバレッジに居るUEである。
図14に示すように、ステップS201において、eNB200は、複数のUE100がCEレベル通知の送信に共通に用いるべき共通リソースを示す設定情報を送信する。
ステップS202において、eNB200は、所定の繰り返し送信回数及び/又は所定のMCSを用いて、MBMSサービスをSC−PTMにより配信する。受信状態が非常に劣悪なUEでもMBMSサービスを受信できるように、所定の繰り返し送信回数及び/又は所定のMCSは、例えば最大の繰り返し送信回数及び/又は最低のMCSであってもよい。最低のMCSとは、最もデータレートが低く、かつ最も誤り耐性が高いMCSである。
ステップS203において、UE100は、SC−PTMにより配信されるMBMSサービスの受信を開始する。ここで、「MBMSサービスの受信を開始する」とは、MBMSサービス(SC−PTM)のための制御情報及び/又はデータの受信を開始することを意味する。よって、SC−MTCHの受信を開始することに限らず、SC−MCCHの受信を開始することであってもよいし、SIB20の受信を開始することであってもよい。
ステップS204において、UE100は、自身が興味を持つMBMSサービスを正常に受信できるか否かを判断する。一例として、UE100は、自身が興味を持つMBMSサービスに属するデータを運搬するSC−MTCHの復号に失敗したことに応じて、当該MBMSサービスを正常に受信できないと判断する。或いは、UE100は、受信状態の指標値(例えば、RSRP、誤り率等)が閾値よりも劣化したことに応じて、当該MBMSサービスを正常に受信できないと判断してもよい。
他の例として、UE100は、自身が興味を持つMBMSサービスに属するデータを運搬するSC−MTCHの復号に成功するか否かを予測してもよい。eNB200は、当該予測に用いる情報をUE100に提供してもよい。eNB200は、当該予測に用いる情報として、SC−MTCH(データ)の初送の繰り返し送信回数及び/又はMCSを示す情報をSC−MCCH(SC−PTM設定情報)中で送信してもよい。もしくは、予測に用いる情報は、SC−MTCH及び/又はSC−MCCHの最小繰り返し送信回数でもよい。すなわち、eNB200は、SC−PTM伝送(もしくはMBMSセッション)において各パケットを、少なくとも最小繰り返し送信回数だけ繰り返し送信する事を報知する。当該報知情報により、UE100は、強化カバレッジのレベルに応じて、当該SC−PTM伝送を受信できるか否かを判断する事ができる。もしくは、予測に用いる情報は、SC−MTCH及び/又はSC−MCCHの最大繰り返し送信回数であってもよい。UE100は、当該情報により、当該SC−PTM伝送を受信できる見込みがあるのか否かを判断する事ができる。
他の例として、UE100は、自身が興味を持つMBMSサービスに属する制御情報を運搬するSC−MCCHの復号に成功するか否かを予測してもよい。繰り返し送信回数及び/又はMCSが異なる複数のSC−MCCHが提供される場合、eNB200は、SC−MCCHとMBMSサービス(TMGI)との対応関係に関する情報をSIB20中でUE100に送信する。UE100は、SIB20に基づいて、自身が興味を持つMBMSサービスに属する制御情報を運搬するSC−MCCHの繰り返し送信回数及び/又はMCSを特定し、当該SC−MCCHの復号に成功するか否かを予測する。
自身が興味を持つMBMSサービスを正常に受信できないと判断した場合(ステップS204:YES)、UE100は、CEレベル通知を送信するための動作を行う。
ステップS205において、UE100は、前回のCEレベル通知を送信してから所定時間が経過した否かを判断してもよい。一例として、UE100は、CEレベル通知の送信時又はCEレベル通知の送信決定時に、eNB200から設定されたタイマを開始させる。UE100は、タイマの動作中は、CEレベル通知の送信を禁止(無効化)する。UE100は、タイマの満了後に、CEレベル通知の送信を有効化する。
ステップS206において、UE100は、設定情報に基づいて、共通リソースに含まれるリソース(時間リソース、周波数リソース、及び/又は信号系列)を選択する。UE100は、自身のCEレベルに対応するリソースを共通リソースの中から選択してもよい。
ステップS207において、UE100は、選択されたリソースを用いて、CEレベル通知をeNB200に送信する。CEレベル通知の内容は、動作パターン1と同様であってもよい。動作パターン2において、CEレベル通知は、受信できない旨を示す情報を含んでもよいし、NACKを含んでもよい。
eNB200は、CEレベル通知を受信する。eNB200は、CEレベル通知に基づいて、MBMSサービスの受信に興味を持つ各UE100のCEレベルを把握する。eNB200は、UE100から受信したCEレベル通知をMME300及び/又はMCE11等に転送してもよい。
ステップS208において、eNB200は、把握したCEレベルに基づいて、SC−PTMにより配信するMBMSサービスに適用する繰り返し送信回数及び/又はMCSを変更する。そして、eNB200は、変更後の繰り返し送信回数及び/又はMCSを用いて、MBMSサービスをSC−PTMにより配信する。
なお、ステップS204において、MBMS受信不可と判断した場合、UE100の所定レイヤ(例えばRRCレイヤ)は、UE100の上位レイヤ(例えばNASレイヤ)に対して、当該MBMS受信が不可である事を通知してもよい。その際、所定レイヤは、受信が不可であるMBMSサービスの情報(例えばTMGI情報)を上位レイヤに通知してもよい。或いは、ステップS204において、MBMS受信不可と判断した場合、UE100は、ユニキャストによるMBMSサービス受信を行うために、RRCコネクティッド状態への遷移を試みてもよい。具体的には、UE100は、RRC Connection RequestメッセージをeNB200に対して送信してもよい。当該RRC Connection Requestメッセージの送信は上位レイヤからの指示によって実施されてもよい。なお、この場合、ステップS205以降のCEレベル通知は行わなくてもよい。もしくは、UE100は、ステップS201の設定情報においてCEレベル通知に関する情報が無い場合に、本動作を行ってもよい。
図15は、第1実施形態に係る共通リソースの第1の例を示す図である。図15において、時間方向の1つの区画は、1つの無線フレーム(又は1つのサブフレーム)を示す。
図15に示すように、共通リソース(A set of resources)は、eNB200の上りリンク無線リソースの一部である。一例として、共通リソースは、複数のリソースブロック(PRB:Physical Resource Block)からなる。UE#1乃至#6は、eNB200から受信する通知要求及び設定情報に基づいて、共通リソースに含まれるリソースブロックを用いてCEレベル通知をeNB200に送信する。リソースブロックは、ランダムに選択されてもよい。
図15の例において、UE#1がリソースブロックAを選択し、UE#2がリソースブロックBを選択し、UE#3がリソースブロックCを選択し、UE#4乃至#6がリソースブロックDを選択している。すなわち、UE#4乃至#6間でリソースブロックの衝突が発生している。eNB200は、衝突が発生したリソースブロックDを用いて送信されたCEレベル通知の復号に失敗し得る。これに対し、リソースブロックA、B、Cについては衝突が発生していないため、eNB200は、UE#1乃至#3のそれぞれのCEレベル通知の復号に成功する。なお、CEレベル通知の送信に用いるリソースブロックの数は、1つである場合に限らず、2以上の数であってもよい。CEレベル通知の送信に用いるリソースブロックの数は、設定情報のパラメータの1つとしてeNB200が設定してもよい。
図16及び図17は、第1実施形態に係る共通リソースの第2の例を示す図である。第2の例は、複数のUE100間でリソースの衝突が生じる可能性を低下させる例である。UE100は、自身が発生させた乱数又は自身の固有識別子を取得する。固有識別子は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)であってもよい。或いは、固有識別子は、S−TMSI(SAE−Temporary Mobile Subscriber Identity)であってもよいし、電話番号であってもよい。或いは、固有識別子は、eNB200がUE100に割り当てた識別子であってもよい。UE100は、乱数又は固有識別子に基づいて、CEレベル通知の送信が許可されるか否かを判断する。UE100は、乱数又は固有識別子に基づいて、CEレベル通知の送信タイミングを決定してもよい。送信タイミングは、無線フレームを識別するシステムフレーム番号(SFN)により定義されてもよいし、サブフレームフレームを識別するサブフレーム番号により定義されてもよい。また、UE100は、eNB200から送信された所定値を受信してもよい。所定値は、乱数又は固有識別子が所定の条件を満たしたか否かを判断するための閾値又は変数であってもよい。UE100は、乱数又は固有識別子と、所定値とに基づいて、CEレベル通知の送信が許可されるか否かを判断してもよい。さらに、UE100は、乱数又は固有識別子と、所定値とに基づいて、CEレベル通知の送信タイミングを判断してもよい。
図16に示すように、UE#1乃至#6のそれぞれは、自身のCEレベル通知の送信が許可されているか否かを判断する。図16の例において、UE#1、#3、及び#4は条件を満たすが、UE#2、#5、及び#6は条件を満たさない。この場合、UE#1、#3、及び#4は、共通リソース内のリソースブロックを用いてCEレベル通知を送信する。一方、UE#2、#5、及び#6は、CEレベル通知の送信が禁止される。一例として、UE100は、乱数(0〜1の範囲)を発生させ、eNB200から通知された閾値(0〜1の範囲)と乱数とを比較する。UE100は、乱数が閾値条件を満たした場合に、CEレベル通知の送信が許可されていると判断し、CEレベル通知の送信機能を有効化する。「乱数が閾値条件を満たす」とは、乱数が閾値条件を超えたことであってもよいし、乱数が閾値条件を下回ったことであってもよい。一方、UE100は、乱数が閾値条件を満たさない場合に、CEレベル通知の送信が許可されていないと判断し、CEレベル通知の送信機能を無効化する。他の例として、UE100は、自身のIMSIを取得し、eNB200から通知された変数(”N”、”T”)により定義される条件をIMSIが満たすか否かを判断する。このような条件として、「(IMSI) mod (N) = (T)」という条件式を用いてもよい。当該条件式において、IMSIそのものを用いることに代えて、IMSIに基づく値(例えば、IMSI mod 1024)を用いてもよい。当該条件式において、等式を用いることに代えて、不等式(>、<、≦、又は≧)を用いてもよい。UE100は、IMSIが条件を満たした場合に、CEレベル通知の送信が許可されていると判断し、CEレベル通知の送信機能を有効化する。一方、UE100は、IMSIが条件を満たさない場合に、CEレベル通知の送信が許可されていないと判断し、CEレベル通知の送信機能を無効化する。
図17に示すように、UE#1乃至#6のそれぞれは、自身のCEレベル通知の送信タイミングをIMSI(又は乱数)に基づいて決定する。図17の例において、UE#1及び#2はSFN#1をCEレベル通知の送信タイミングとして決定し、UE#3及び#4はSFN#2をCEレベル通知の送信タイミングとして決定し、UE#5及び#6はSFN#3をCEレベル通知の送信タイミングとして決定している。このように、複数のUEのCEレベル通知の送信タイミングを時間方向に分散させることができる。一例として、UE100(制御部130)は、自身のIMSIを取得し、eNB200から通知された変数(”N”)及びIMSIにより定義される条件を満たすSFNを決定する。このような条件として、「(IMSI) mod (N) = (SFN) mod (N)」という条件式を用いてもよい。当該条件式において、IMSIそのものを用いることに代えて、IMSIに基づく値(例えば、IMSI mod 1024)を用いてもよい。UE100は、条件を満たしたSFNにおいてCEレベル通知を送信することを決定する。一方、UE100は、条件を満たさないSFNにおいてCEレベル通知を送信しないことを決定する。他の例として、IMSIに代えて乱数を用いてもよい。
図18は、第1実施形態に係る共通リソースの第3の例を示す図である。第3の例において、設定情報は、複数のCEレベルに対応する共通リソースからなる複数の共通リソースを示す。UE100は、自身のCEレベルに対応する共通リソースを複数の共通リソースの中から選択し、選択した共通リソースに含まれるリソースを用いてCEレベル通知をeNB200に送信する。このように、CEレベルと共通リソースとを対応付ける。このような対応関係を導入することにより、CEレベル通知の情報量を削減することができる。一例として、CEレベル通知は、スケジューリング要求(SR)のような1ビットのフラグにより構成してもよい。eNB200は、共通リソースごとにCEレベル通知をカウントすることにより、MBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つ各UE100のCEレベルを把握する。
図18(a)に示すように、CEレベル0乃至3に対応する4つの共通リソースが設定されている。UE100は、自身のCEレベルに対応する共通リソースを複数の共通リソースの中から選択し、選択した共通リソースに含まれるリソースを用いてCEレベル通知をeNB200に送信する。
図18(b)に示すように、複数の共通リソースのそれぞれには、TMGIとCEレベルとが対応付けられていてもよい。一例として、TMGI#1且つCEレベル0に対応する共通リソースと、TMGI#1且つCEレベル1に対応する共通リソースと、・・・が設定される。eNB200は、TMGIとCEレベルと共通リソースとの対応関係を示す情報を設定情報中でUE100に送信してもよい。UE100は、自身が受信している又は受信に興味を持つMBMSサービスのサービス識別子(TMGI)に対応する複数の共通リソースを選択し、当該複数の共通リソースの中から自身のCEレベルに対応する共通リソースをさらに選択してもよい。
(第2実施形態)
以下において、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
第1実施形態において、eNB200は、UE100から受信するCEレベル通知に基づいて、SC−PTMにより配信するMBMSサービスに適用する繰り返し送信回数及び/又はMCSを決定していた。これに対し、第2実施形態において、eNB200は、UE100から受信するCEレベル通知に加えて又はCEレベル通知に代えて、他のネットワーク装置から受信する情報に基づいて繰り返し送信回数及び/又はMCSを決定する。第2実施形態に係るeNB200は、MBMSサービスに適用すべきCEレベルを示す通知を他のネットワーク装置から受信する受信部(バックホール通信部240)と、当該通知に基づいて、繰り返し送信を含むカバレッジ強化技術を用いてMBMSサービスを配信する制御部230と、を備える。他のネットワーク装置とは、MME300又はMCE11であってもよい。
図19は、第2実施形態の動作例を示す図である。
図19に示すように、ステップS301において、UE100は、自身のCEレベルをGCS−AS31又はBM−SC22に通知してもよい。一例として、UE100は、自身のCEレベルが変化する度に、変化後のCEレベルを通知する。GCS−AS31又はBM−SC22は、MBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つ各UE100のCEレベルを把握し、MBMSサービスに適用するCEレベル(繰り返し送信回数及び/又はMCS)を決定し、決定したCEレベルをMME300又はMCE11に通知してもよい(ステップS302)。
或いは、ステップS303において、UE100は、自身のCEレベルをMME300又はMCE11に通知してもよい。或いは、ステップS304において、eNB200は、ランダムアクセスプロシージャ時に把握したUE100のCEレベルをMME300又はMCE11に通知してもよい。一例として、eNB200は、UEコンテキスト解放時に、MPDCCHの繰り返し送信回数(CEレベル)をMME300に通知する。
MME300又はMCE11は、通知されたCEレベルに基づいて、MBMSサービスごとのCEレベルを決定及び/又は管理してもよい。
ステップS305において、MME300又はMCE11は、MBMSサービス(TMGI)ごとのCEレベルをeNB200に通知する。一例として、MME300又はMCE11は、MBMSサービスの配信開始又は変更のためのメッセージ(MBMS Session Start/Modification)等で、TMGI毎にCEレベルをeNB200に通知する。
ステップS306において、eNB200は、通知されたCEレベルに基づいて、SC−PTMにより配信するMBMSサービスに適用する繰り返し送信回数及び/又はMCSを決定又は変更する。そして、eNB200は、決定又は変更した繰り返し送信回数及び/又はMCSを用いて、MBMSサービスをSC−PTMにより配信する。
(第3実施形態)
以下において、第3実施形態について、第1及び第2実施形態との相違点を主として説明する。
第3実施形態は、強化カバレッジに居るRRCアイドル状態のUE100がMBMS受信を行うシナリオにおいて、MBMSサービスをUE100が継続的に受信可能とする実施形態である。
第3実施形態に係るUE100は、RRCアイドル状態においてサービングセルとして用いるセルを選択するセル再選択動作を行う制御部130を備える。繰り返し送信を含むカバレッジ強化技術がUE100に必要とされる場合(すなわち、UE100が強化カバレッジに居る場合)、制御部130は、無線品質に基づくランキングによりセルを選択する。
具体的には、UE100は、現在のサービングセルがカバレッジ強化技術を用いなければアクセスできない場合に、同一周波数(intra−frequency)及び別の周波数(inter−frequency)について、強化カバレッジのための“S−criteria”又は“R−criteria”を用いたランキングを適用する。言い換えると、強化カバレッジに居るUE100は、周波数優先度を考慮せずに、無線品質(受信レベル)が最も良好なセルを優先的に選択する。この場合の動作は、上述した「セル再選択動作の概要」の「(B2)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの優先度と同じである」場合の動作と同様である。
しかしながら、このような方法では、MBMSサービスが配信されない周波数又はセルをUE100が選択し得る。よって、MBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つUE100がMBMSサービスをUE100が継続的に受信できない虞がある。
よって、第3実施形態に係るUE100は、カバレッジ強化技術がUE100に必要とされる場合であっても、自身がMBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つ場合には、ランキングを用いることなく、MBMSサービスが配信される周波数に属するセルを優先的に選択する。一例として、強化カバレッジに居るUE100は、SC−PTMにより配信されるMBMSサービスの受信に興味がある場合、当該MBMSサービスが配信される周波数(又はセル)を最高優先度と見なすとともに、ランキング動作を行わない。これにより、強化カバレッジに居るUE100であっても、MBMSサービスを継続的に受信可能とすることができる。
第3実施形態に係る動作は、「MBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つUEは、当該MBMSサービスが提供される周波数でキャンプする間のみ当該MBMSサービスを受信できる場合、UEが強化カバレッジに居るか否かと無関係に、当該周波数を最高優先度とみなすことができる」と規定されてもよい。或いは、第3実施形態に係る動作は、「現在のサービングセルがカバレッジ強化技術を用いなければアクセスできない場合で、かつ、MBMSサービスを提供する最高優先度の周波数が設定されていない場合に、同一周波数(intra−frequency)及び別の周波数(inter−frequency)について、強化カバレッジのための“S−criteria”又は“R−criteria”を用いたランキングを適用する。」と規定されてもよい。
図20は、第3実施形態の動作例を示す図である。
図20に示すように、ステップS401において、RRCアイドル状態のUE100は、カバレッジ強化技術が自身に必要とされるか否か(すなわち、自身が強化カバレッジに居るか否か)を判断する。
カバレッジ強化技術が自身に必要とされない場合(ステップS401:NO)、ステップS402において、UE100は、上述した「セル再選択動作の概要」のような通常のセル再選択動作を行う。
一方、カバレッジ強化技術が自身に必要とされる場合(ステップS401:YES)、ステップS403において、UE100は、MBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つか否かを判断する。
MBMSサービスを受信しておらず、かつMBMSサービスの受信に興味を持たない場合(ステップS403:NO)、ステップS404において、UE100は、周波数優先度を考慮せずに、ランキングを用いて、無線品質が最も良好なセルを優先的に選択する。
一方、MBMSサービスを受信している又は受信に興味を持つ場合(ステップS403:YES)、ステップS405において、UE100は、ランキングを行わずに、MBMSサービスが配信される周波数に属するセルを優先的に選択する。
(その他の実施形態)
上述した実施形態において、「CEレベル」を送受信するケースを主として説明したが、「CEレベル」を「繰り返し送信回数」と読み替えてもよい。
上述した実施形態において、UE100における受信状態の指標値としてRSRPを用いる一例を説明したが、RSRP以外の指標値を用いてもよい。一例として、RSRQ(Reference Signal Received Quality)又はRS−SINR(Reference Signal signal−to−interference−plus−noise ratio)を受信状態の指標値として用いてもよい。
上述した各実施形態を別個独立に実施する場合に限らず、2以上の実施形態を組み合わせて実施してもよい。例えば、一の実施形態に係る一部の処理を他の実施形態に追加してもよい。或いは、一の実施形態に係る一部の処理を他の実施形態の一部の構成と置換してもよい。
上述した実施形態において、MBMSサービスとしてファームウェア配信を想定していた。しかしながら、グループメッセージ配信、グループチャットメッセージ配信、ウィルス定義ファイルの配信、天気予報のような定期更新ファイルの配信、ニュース速報のような不定期ファイル配信、映像コンテンツ等の夜間ファイル配信(オフピーク配信)、音声/映像ストリーミング配信、電話/ビデオ電話(グループ通信)、ライブ映像配信、ラジオ音声配信等のMBMSサービスを想定してもよい。
上述した実施形態において、移動通信システムとしてLTEシステムを例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外の移動通信システムに本発明を適用してもよい。
(付記)
(1.はじめに)
FeMTCとeNB−IoTのマルチキャスト拡張に関する議論が開始され、以下のように合意に達した。
Rel−13 SC−PTMアーキテクチャは、NB−IoTおよびMTCのマルチキャスト設計に想定されている。
RAN2は、PDCCHによってSC−MTCHがスケジューリングされるレガシーSC−MTCHメカニズムが、NB−IoTおよびMTCのマルチキャストに再利用され、柔軟なスケジューリングを達成すると想定する。
RAN2は、NB−IoTおよびMTCにおけるマルチキャストのためにSC−MTCH送信の繰り返しが導入されると想定する。
CEレベル情報(例えば、繰り返し)は、SC−MTCHのためのAS構成の1つである。
この付記では、強化カバレッジ(CE)をサポートするマルチキャスト強化の内部について説明する。
(2.検討)
(2.1.CEレベルの情報ハンドリング)
「Rel−13 SC−PTMアーキテクチャは、NB−IoTおよびMTCのマルチキャスト設計に想定されている」と合意したが、マルチキャスティングのCEレベル、すなわち、繰り返し回数などを決定する責任がどのエンティティによってハンドルされるか結論されていない。いくつかのオプションがある。
GCS AS:GCS ASは、UE位置の知識、すなわちセルIDのリストを含むGCSセッションおよびグループ管理をハンドルする。従って、各セル内の各UEのCEレベルの管理を追加することが可能であり、CNの影響が予見され得る(例えば、GCS ASとBM−SCとの間のMB2)。
MME:MMEは、開始/停止などのMBMSセッション管理の責任を負っている。Rel−13ページングの最適化のために、UE Context Releaseが処理されるときに、MMEは、特定のUEのCEレベル、すなわち、mpdcch−NumRepetitionを含むUEPagingCoverageInformationについてeNBによって通知される。情報は、RRC IDLEにおけるUEモビリティの場合には有効性が保証されていないが、再利用されてもよい。
MCE:MCEは、MBMSセッション制御を決定する。SC−PTMの場合、MBMSベアラのセルIDおよびQoSのリストは、例えば、MBMSセッション開始要求を介してeNBに通知される。したがって、セル単位でCEレベルの管理を追加することは可能ですが、RANの仕様には影響がある。
eNB:eNBは、無線リソースを詳細に管理する。eNBは、各RRC ConnectedのUEに対するCEレベルを有するが、RRC IDLEのUEに対するCEレベルを有しないかもしれない。また、CEレベルは、(MO呼のために)PRACHが送信される時、又は(MT呼のために)ページングが開始される時にのみ通知される。したがって、eNBは、RRC IDLEまたは移動性のUEなど、SC−PTMに興味を持つUEのCEレベルの完全な知識を持っていない。RAN2がRel−13 SC−PTMの原則、すなわち、「スケジューリングはeNBによって行われる」に従うならばeNBが責任を持つべきである。
各オプションには長所と短所があるが、この時点ではSC−PTMのCEレベルの決定に関する完全な知識を有するオプションはない。CEレベルがRAN由来の情報であることを考慮すると、不要なクロスレイヤ相互作用を避けるために、RANノード内で処理することが望ましい。例えば、GCS ASまたはMMEのいずれかがUEのCEレベル情報を受信したとしても、SC−PTM送信の設定はeNBによって決定されるため、eNBと調整する必要がある。一方、eNBがCEレベルの情報を受信した場合、この情報は、コアネットワークまたはアプリケーションレイヤに対して透過的になる。また、CEレベルがUEのモビリティによって動的に変更されると仮定すべき場合、eNBは、スケジューリングのためにCEレベルを処理するためにわずかに優先されるノードである。
提案1:SC−PTMのCEレベルは、RANノード、好ましくはeNBによって決定されるべきである。
上述したように、エンティティは、Rel−14マルチキャスト拡張のためのCEレベルについての十分な知識を有することができない。したがって、特定のMBMSサービスのCEレベルを決定する方法が問題になる。いくつかの潜在的なアプローチが考えられる。
UEからの報告に基づく:どのエンティティが決定するかにかかわらず、UEが位置するCEレベルの報告、例えばGC1を介した報告は、正確/動的決定、すなわち適切な繰り返し回数及びアダプティブMCSに対して有用である。しかしながら、RAN2に指摘されているように、UEがCEレベルが変化するたびに報告する必要がある場合、それは過剰なオーバヘッドを引き起こす可能性がある。また、報告によるUEの電力消費が問題となる可能性がある。
ブラインド決定:エンティティは、例えば、最悪の場合を想定するために、ブラインド的にSC−PTMのCEレベルを決定することができる。これは、最大繰り返し回数と最低MCSでSC−PTMを送信する簡単な方法であり、この時点ではベースラインになる可能性がある。加えて、CEの繰り返しは、通常のカバレッジにおけるUEのより強固な受信を保証する。しかしながら、それはSC−PTMからの十分な利益を取らない、すなわち、静的/控えめのスケジューリングによってスペクトル効率が低い。さらに、UEは、SC−PTM受信の長い持続時間のために、実際に必要とする以上にバッテリを消費し得る。すなわち、セル中心のUEが短い期間で高いMCSで実際ファイルを受信することができても、低いMCSは、すべてのUEにファイルを配信するためにより多くのサブフレームを必要とする。
新たな報告が指定された場合、過剰なオーバヘッド及び追加のUE消費を避けるために、ULシグナリングの数を最小限に抑える必要がある。
最初のCEレベル決定の可能性の1つは、eNBは、MBMSサービスが既存のMBMSカウント手順のように、強化カバレッジで受信されるかどうか一度だけUEに問い合わせることである。IDLEのUEも報告を送信する必要がある場合は、RRC Connectedへの移行なしで処理する方がよい。この意味で、どのUEが報告を送信するかをeNBが決定する必要がないと仮定すると、RACH手順中の既存のCEレベル報告は、アプローチの1つと考えることができる。
SC−PTM中のCEレベル変更の別の可能性は、UEがもはやSC−PTMを成功に受信できなくなったときにのみ報告が開始されることである。提案されているように、これを再送のためのフィードバック方式内に統合してもよい。
しかし、技術的な観点から、優れたアプローチではないにもかかわらず、このWIに割り当てられた時間単位の制限のために、このリリースおけるブラインド決定に依存することも考えられる。
提案2:RAN2は、最小ULシグナリングとWIに割り当てられた時間単位を考慮して、CEレベルの報告を考慮する必要がある。
(2.2.セル再選択)
現在のアイドルモード手順によれば、MBMSサービスに興味を持つ又は受信しているUEは、他の周波数よりもSC−PTMを提供する周波数を優先させ得る、すなわち、最高優先度として考慮する。一方、「強化カバレッジ用のセル選択基準Sでのランキングは、現在のサービングセルが強化カバレッジを用いてのみアクセス可能である場合に周波数内および周波数間セル再選択に適用される」と指定されており、UEが強化カバレッジ内にある場合は、すべての周波数を等しい優先度とみなす。強化カバレッジにおけるSC−PTM受信がRel−13で明確に定義されていないので、現在の仕様により、強化カバレッジ内のUEは、通常のカバレッジで行われるようにSC−PTM周波数を優先させることができることを明確にすべきである。また、RAN2は、優先度の高いコンセプトを持つ仕様に注釈を追加するか、ランキングメカニズムを強化するなど、いくつかの小さな強化が必要かどうかについて議論すべきである。
提案3:RAN2は、強化カバレッジ内のUEが、興味のあるマルチキャストサービスを提供する周波数を優先させることができるか否かについて議論し、明確にするべきである。
米国仮出願第62/402161号(2016年9月30日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。