JP6670212B2 - 放射性物質で汚染された廃棄物の処理装置及び処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性物質で汚染された廃棄物を処理する装置及び方法に関し、特に、放射性物質で汚染された廃棄物を焼成して放射性物質を回収すると共に焼成物を有効利用するための装置及び方法に関する。
先年の震災に伴う原発事故により、被災地では放射性セシウム等の放射性物質により汚染された廃棄物が膨大な量に及んでおり、被災地周辺の多量の廃棄物から放射性物質を回収することが求められている。一方、放射性物質で汚染された多量の廃棄物から放射性物質を回収するには多大なコストを要するため、このような回収に要するコストを実質的に低減するために、放射性物質を回収した後の廃棄物を有効利用することが望ましかった。
そこで、特許文献1には、放射性セシウムで汚染された廃棄物をロータリーキルンで加熱して廃棄物中の放射性セシウムを揮発させ、加熱により生じたガスを冷却して放射性セシウムを回収すると共に、加熱により得られた焼成物をクーラで冷却して土工資材等に有効利用することが提案されている。これにより、放射性セシウムで汚染された廃棄物を多量に処理できると共に、放射性セシウム濃度が低下して有効利用可能な焼成物を得ることができる。
特開2013−108782号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、ロータリーキルン内でのコーチングの成長や脱落等による運転状況の変動、或いはロータリーキルンに供給する廃棄物の流動性や化学組成、放射性セシウム濃度等の物性の変動により、ロータリーキルン内で放射性セシウムを揮発させるのに十分な加熱温度や加熱時間を確保できないことがあり、放射性セシウム濃度の高い焼成物がロータリーキルンから排出される虞があった。
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、放射性物質で汚染された廃棄物を加熱して放射性物質を回収すると共に、放射性物質濃度の低い焼成物を安定して製造することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、放射性物質で汚染された廃棄物を加熱する加熱装置と、前記加熱によって揮発した放射性物質を回収する回収装置と、前記加熱装置から排出された焼成物が供給され、該焼成物から発せられる放射線量を測定する測定装置と、前記加熱装置から排出された焼成物を前記測定装置に供給せずに系外へ排出するバイパスルートとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、放射性物質で汚染された廃棄物を加熱して放射性物質を回収すると共に、バイパスルートを用いて放射性セシウム濃度が高い焼成物を測定装置に供給しないことで、測定装置の放射性セシウム濃度の測定精度を高く維持し、放射性セシウム濃度の低い焼成物を安定して製造することができる。
上記放射性物質で汚染された廃棄物の処理装置において、前記測定装置は、前記加熱装置から排出された焼成物を受け入れるタンクと、該タンク内に設けられて放射線を検出する検出器と、放射線検出後に前記タンク内に残留した焼成物を該タンクから排出する空気を前記タンク内に吹き込むエアパージ手段とを備えることができる。これによって、空の状態のタンクから発せられる放射線量を少なくし、測定装置の放射性セシウム濃度の測定精度をさらに向上させることができる。
また、本発明は、放射性物質で汚染された廃棄物の処理方法であって、放射性物質で汚染された廃棄物を加熱装置を用いて加熱し、該加熱によって揮発した放射性物質を回収すると共に、前記加熱により得られた焼成物を測定装置に供給して該焼成物から発せられる放射線量を測定するにあたり、前記加熱により得られた焼成物の放射性物質濃度が所定値以上の焼成物を前記測定装置に供給せずに系外へ排出することを特徴とする。
本発明によれば、上記発明と同様、放射性物質で汚染された廃棄物を加熱して放射性物質を回収することができると共に、放射性物質濃度が所定値以上の焼成物を系外へ排出することで、測定装置の放射性セシウム濃度の測定精度を高く維持し、放射性セシウム濃度の低い焼成物を安定して製造することができる。
上記放射性物質で汚染された廃棄物の処理方法において、前記加熱装置において所定温度以下で焼成された焼成物、前記加熱装置における火止め後に該加熱装置から排出された焼成物、又は前記測定装置の前段で測定した放射性物質濃度が前記所定値以上の焼成物を前記測定装置に供給せずに系外へ排出することができる。
以上のように、本発明によれば、放射性物質で汚染された廃棄物を加熱して放射性物質を回収すると共に、放射性物質濃度の低い焼成物を安定して製造することができる。
本発明に係る放射性物質で汚染された廃棄物の処理装置の一実施の形態を示す全体構成図である。 図1に示す処理装置の測定装置内のタンクの断面図であり、(a)は空の状態のタンクを示す図、(b)は焼成物を貯留したタンクを示す図である。 図2に示す測定装置において、空の状態のタンク内の放射線量(バックグラウンド値)毎に、放射性セシウム濃度の測定値と、実際の焼成物の放射性セシウム濃度との関係を示すグラフである。
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、放射性物質で汚染された廃棄物として、放射性セシウムで汚染された廃棄物を処理する場合を例にとって説明する。また、放射性セシウムとは、セシウムの放射性同位体であるセシウム134及びセシウム137である。
図1は、本発明に係る放射性物質で汚染された廃棄物の処理装置の一実施の形態を示し、この処理装置1は、放射性セシウムで汚染された廃棄物Wを貯留する貯槽3と、反応促進剤としての酸化カルシウム源(以下「CaO源」という。)を貯留する貯槽4と、反応促進剤としての塩素源(以下「Cl源」という。)を貯留する貯槽5と、貯槽3〜5に貯留される廃棄物W、CaO源及びCl源を引き出して調合する調合装置6とを備える。
また、処理装置1は、調合装置6から排出された調合原料Mを焼成するロータリーキルン7と、ロータリーキルン7の排ガスGを冷却する冷却塔8と、冷却塔8の排ガスG1を分級するサイクロン9と、サイクロン9の排ガスG2を集塵する第1集塵機10と、第1集塵機10の排ガスG3を集塵する第2集塵機11と、第2集塵機11の排ガスG4を脱硝する脱硝装置12と、脱硝装置12の排ガスG5を大気へ放出する煙突13とを備える。
さらに、処理装置1は、ロータリーキルン7から排出された焼成物B1を貯留するバッファタンク21と、バッファタンク21から排出された焼成物B1の供給ルートを必要に応じて切り替える切替装置22と、切替装置22から排出された焼成物B2の放射性セシウム濃度を測定する測定装置23と、測定装置23での測定値に基づいて焼成物B2を供給するルートを切り替える切替装置24と、切替装置24からの良品Pを冷却するクーラ26とを備える。
貯槽3に貯留される廃棄物Wとしては、放射性セシウムで汚染された土壌、焼却灰、伐採木、ごみ由来の溶融スラグ、下水汚泥、下水汚泥乾粉、浄水汚泥、建設汚泥、下水スラグ、貝殻、草木、がれきなどの廃棄物であって放射性セシウムを含むものすべてを対象とすることができ、これらの群に含まれる1種を単独で、又は2種以上を組み合わせることができる。さらに、放射性セシウムをほとんど含まない部分(土壌の場合には、砂や石)を予め取り除いて得られる、放射性セシウムが濃縮された中間処理物も、本発明における放射性セシウムで汚染された廃棄物Wに含まれる。
貯槽4に貯留されるCaO源としては、炭酸カルシウム、生石灰、消石灰、石灰石、ドロマイト、高炉スラグ等を含むものを用いることができる。また、CaO源に代えて又はCaO源と共に酸化マグネシウム源(MgO源)を供給することもできる。MgO源には、炭酸マグネシウム(MgCO3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、ドロマイト、蛇紋岩、フェロニッケル合金スラグ等を含むものを用いることができる。
また、貯槽5に貯留されるCl源としては、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩素を有する廃プラスチック等を用いることができ、このうちCaCl2は、効果的に放射性セシウムを除去できるので好ましい。
ロータリーキルン7は、調合原料Mを焼成するキルン本体7aと、バーナが備えられる窯前部7bと、調合原料Mが投入される投入口が設けられる窯尻部7cとを備える。尚、ロータリーキルン7以外の加熱装置を用いることもできる。
冷却塔8は、ロータリーキルン7の排ガスGを冷却し、廃棄物Wから揮発した放射性セシウム等を固体状で回収するために備えられる。排ガスGの冷却は、冷却塔8の下端部に設置された散水装置8aから水を噴霧することにより行う。尚、この散水装置8aは、揮発した塩化セシウム等の放射性セシウムを固体状となるまで冷却して回収し得る程度の機能を備えていればよい。また、水による冷却ではなく、冷却塔8の内部に冷却空気を導入することによって冷却してもよく、水と冷却空気とを併用してもよい。
分級機としてのサイクロン9は、冷却塔8の排ガスG1からカルシウム成分を主体とする粗粉Cを回収するために設けられる。
第1集塵機10は、サイクロン9の排ガスG2から、上述のようにして濃縮されたセシウム塩等を含むダストD1を集塵するために備えられ、バグフィルタ等が用いられる。
第2集塵機11は、セシウム塩等を除去した後の排ガスG3に含まれる酸性ガス等を除去するために設けられ、カルシウム成分を含んでいる中和剤Nを中和剤添加装置(不図示)から添加し、酸性ガス等を吸着したダストD2を回収する。第2集塵機11にもバグフィルタ等が用いられる。
脱硝装置12は、アンモニアガス添加装置(不図示)から供給されたアンモニアガス(NH3)が注入された第2集塵機11の排ガスG4が導入され、導入された排ガスG4に含まれるNOxを窒素に還元して無害化するために設けられる。
バッファタンク21は、焼成物B1を一時的に貯留すると共に一定時間毎に所定量の焼成物B1を排出するために備えられる。
切替装置22は、例えば、ロータリーキルン7から所定温度、例えば1250℃以下で焼成された焼成物B1、ロータリーキルン7における火止め(窯前部7bに設置されたバーナから燃料や燃焼用空気をキルン本体7a内に供給するのを停止すること)後にロータリーキルン7から排出された焼成物B1等、放射性セシウム濃度の高い、例えば数百〜数千Bq/kgを超える焼成物B1をバイパスルート25を介して貯槽3に戻すために設けられる。
測定装置23は、供給される焼成物B2から発せられる放射線(ガンマ線)量と焼成物B2の重量とを利用し、供給される焼成物B2の放射性セシウム濃度を測定するために備えられる。この測定装置23は、図2に示すように、切替装置22から焼成物B2を受け入れるタンク23aと、タンク23a内に設けられて放射線を検出する検出器23b等を備える。また、測定装置23は、一定量の焼成物B2をタンク23aに受け入れ、受け入れた焼成物B2から発せられる放射線量を測定し、測定後にタンク23aから焼成物B2を全て排出し、新たにタンク23aに焼成物B2を受け入れるバッチ方式のものを用いることができる。検出器23bとしてはNaI検出器が用いられる。
また、測定装置23は、焼成物B2をタンク23aから排出した後に、タンク23aの内壁に付着するなどしてタンク23a内に残留している焼成物B2の粉末をタンク23aから排出するため、空気をタンク23aに吹き込むエアパージ手段(不図示)を備える。
図2に示すように、切替装置24は、測定装置23における焼成物B2の放射性セシウム濃度の測定値が所定値V〔Bq/kg〕以下の場合に、測定装置23から排出された焼成物B2をクーラ26に良品Pとして供給し、この測定値が所定値V〔Bq/kg〕を超える場合に、焼成物B2をバイパスルート25を介して貯槽3に不良品I2として戻すために備えられる。
クーラ26は、上記良品Pを冷却するために設けられ、焼成物B3を排出する。クーラ26には、ロータリークーラやエアークエンチングクーラ等を用いることができる。
次に、上記構成を有する処理装置1の動作について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
調合装置6において、放射性セシウムで汚染された廃棄物Wと、反応促進剤としてのCaO源及びCl源を貯槽3〜5から引き出し、これらを調合して調合原料Mを得る。調合原料Mは、焼成した場合にC3S(エーライト)が生成しない土工資材、又はセメント混合材や、C3Sを含むセメントクリンカの組成とする。
土工資材又はセメント混合材を製造する場合には、調合原料M中のCaO、SiO2及びMgOの関係が(CaO+1.39×MgO)/SiO2=1.0〜2.7を満たすように、廃棄物WとCaO源をその種類や配合割合を定めた上で調合することが好ましい。尚、上記関係式において、CaOの1モルの質量は、MgOの1.39モルの質量に相当することから、MgOの質量に1.39を乗じている。
上記質量比が1.0未満であると、焼成温度が高温になるにつれて液相が生じ易くなり、放射性セシウムの揮発量が減少する虞がある。上記質量比が2.7を超えると、放射性セシウムで汚染された廃棄物W及び調合原料M中のカリウム及びナトリウムの揮発量の総和が増加し、粗粉C中のアルカリ成分が増加したり、排ガスG2を冷却して得られるダストの量が増加する虞がある。
一方、セメントクリンカを製造する場合には、調合原料M中のCaO、SiO2及びMgOの関係が(CaO+1.39×MgO)/SiO2=2.7〜3.7を満たすように、廃棄物WとCaO源をその種類や配合割合を定めた上で調合することが好ましい。
上記質量比が2.7以上であると、調合原料Mが溶融し難くなるため、放射性セシウムをより多く揮発させることができる。一方、上記質量比が3.7を超えると、セメントクリンカに含まれるフリーライム(遊離石灰)が増加するためセメントの品質が低下する虞がある。これらをより確実に防止するため、上記質量比が2.8〜3.5を満たすことが好ましい。さらに、調合原料Mのケイ酸率(S.M.)を1.3〜3.0、鉄率(I.M.)を1.3〜2.8に調整することで、所望のセメントクリンカを製造することができる。
また、上記Cl源の量は、土工資材、セメント混合材、及びセメントクリンカのいずれを製造する場合にも、廃棄物Wに含まれる放射性セシウムに対して当量以上となるように調合することが好ましい。Cl源の量の上限は、塩素と、セシウム及びカリウムとのモル比Cl/(Cs+K)が好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下になる量である。このモル比が1.0以下であると、カリウムやナトリウムの揮発量を抑制しながら放射性セシウムが揮発するため、放射性セシウム含有廃棄物の減容化を図ることができる。
尚、良品Pから土工資材又はセメント混合材を製造する場合には、良品Pの酸化カルシウム濃度が50質量%以上となるように、上記調合及び下記焼成を行うことが好ましい。これにより、硫黄分が土工資材中に保持されたり、後述する第1集塵機10において硫黄化合物として、排ガスG2のダストD1として集塵されるため、硫黄分の循環を抑制でき、排ガス処理の負荷の増大やコーチングの増加を低減することができる。
次に、調合原料Mを窯尻部7cの投入口を介してロータリーキルン7に投入し、1200℃以上1550℃以下で焼成し、得られた焼成物B1をロータリーキルン7から排出する。ここで、ロータリーキルン7内の酸素分圧を3%以上、好ましくは5%以上とする。これにより、ロータリーキルン7内での硫黄化合物の分解が抑制され、硫黄分の循環が抑制されるので、中和剤Nの使用量の増加及びロータリーキルン7や冷却塔8へのコーチング付着量の増加を抑制することができる。
ロータリーキルン7内で、廃棄物Wに含まれていた放射性セシウムをCl源と反応させて塩化セシウムを生成させ、生成して揮発した塩化セシウムを含むロータリーキルン7の排ガスGを冷却塔8へ導入する。冷却塔8で散水装置8aから排ガスGに水を噴霧して排ガスGを急激に冷却し、排ガスGに含まれていた塩化セシウムを固体状のセシウム塩とする。冷却塔8の排ガスG1に含まれるダストをサイクロン9で分級し、分級して得られた粗粉Cを調合原料Mと合流させてロータリーキルン7に投入する。
一方、セシウム塩を含有するサイクロン9の排ガスG2を第1集塵機10に導入し、固体状の濃縮セシウム塩を含むダストD1を回収する。回収したダストD1は、必要に応じて圧縮、水洗、吸着等により、さらに減容化処置をした後、コンクリート製の容器等に密閉して保管することができ、放射性セシウムを含む廃棄物を外部に漏洩させることなく減容化し、保管することができる。
濃縮セシウム塩を回収した後の第1集塵機10の排ガスG3には、酸性ガス等の有害ガスが含まれているため、排ガスG3に中和剤添加装置から中和剤Nを添加した後、酸性ガス等を吸着したダストD2を第2集塵機11で排ガスG3から回収する。ここで、中和剤Nとして、消石灰、生石灰、ドロマイト、軽焼ドロマイト及び水酸化ドロマイトからなる群から選択される一以上を含むものを用いることができる。回収したダストD2は、消石灰、石膏、塩化カルシウムが主成分であるので、CaO源やCl源として貯槽4や貯槽5に戻して廃棄物Wに添加して再利用できる。
第2集塵機11の排ガスG4にアンモニア添加装置からアンモニアガスを添加し、添加後の排ガスG4を脱硝装置12で脱硝する。脱硝後の排ガスG5は、煙突13から大気に放出する。
一方、ロータリーキルン7から排出された焼成物B1をバケットコンベア等で搬送してバッファタンク21に供給する。バッファタンク21から一定時間毎に60kg程度の焼成物B1を排出して切替装置22に供給する。ここで、経験的に放射線濃度が基準を上回ることが予想されるロータリーキルン7から所定温度以下で焼成された焼成物B1、ロータリーキルン7における火止め後にロータリーキルン7から排出された焼成物B1等、放射性セシウム濃度の高い、例えば数百〜数千Bq/kgを超える焼成物B1を不良品I1としてバイパスルート25を介して貯槽3に戻す。また、放射線濃度が基準を上回る測定値が出た後の一定の期間の焼成物B1も不良品I1として扱うこともできる。
また、切替装置22から排出された焼成物B2を測定装置23に供給する。ここで、測定装置23において焼成物B2中の放射性セシウム濃度を次のように測定する。まず、図2(a)に示すように、空の状態のタンク23a内の放射線量(バックグラウンド値)を予め測定する。次に、図2(b)に示すように、焼成物B2をタンク23aに供給し、タンク23aで焼成物B2から発せられる放射線量を測定する。さらに、これらの差を焼成物B2から発せられる放射線量とし、この放射線量から焼成物B2に含まれる放射性セシウム量を算出する。また、焼成物B2の重量を測定し、焼成物B2の重量と、焼成物B2に含まれる放射性セシウム量とから焼成物B2の放射性セシウム濃度を算出する。
しかし、放射性セシウム濃度が数百〜数千Bq/kgを超えるような高濃度の焼成物B2が一旦測定装置23に供給されてしまうと、焼成物B2に含まれる微細な粒子がタンク23aの内壁や隅或いは検出器23bの表面に付着・残留することで測定装置23を汚染してしまい、バックグラウンド値が高くなってしまう。バックグラウンド値が高くなる程測定装置23の検出限界値が高くなるため、例えば100Bq/kgというクリアランスレベル以下のものを測定するには信頼性を欠くことになる。
また、測定装置23が汚染された状態で焼成物B2を測定すると、焼成物B2の放射性セシウム濃度が低かった場合にはこれが遮蔽材の役割をしてしまうため、検出器23bが検出する放射線量がバックグラウンド値より低くなり、結果、測定装置23で計測される放射性セシウム濃度がマイナスとなる場合がある。
図3は、空の状態のタンク23a内の放射線量(バックグラウンド値)が各々21cps、23cps、25cpsである場合の測定装置23による焼成物B2の放射性セシウム濃度の測定値と、これと同じ焼成物B2を別途分取してゲルマニウム半導体検出器で測定した焼成物B2の実際の放射性セシウム濃度との関係を示す(同図において、各々「BG21cpsのグラフ」、「BG23cpsのグラフ」、「BG25cpsのグラフ」に相当)。
ここで、「BG25cpsのグラフ」は、測定装置23が汚染されてしまった状態における測定結果である。焼成物B2による遮蔽の影響を受け、測定装置23による放射性セシウム測定値がマイナスになってしまうケースがある。また、実際の放射性セシウム濃度とも大きく乖離する。
一方、「BG21cpsのグラフ」及び「BG23cpsのグラフ」は、測定装置23の汚染度が低い状態での測定結果であり、測定装置23による放射性セシウム測定値と実際の放射性セシウム濃度とにそれ程大きな差はなく、測定装置23による測定値から実際の放射性セシウム濃度を把握することができる。この際、測定装置23による焼成物B2の放射性セシウム濃度の測定値と、Ge検出器における焼成物B2の放射性セシウム濃度との関係を予めグラフにし、測定装置23の測定値から上記グラフを用いて焼成物B2の放射性セシウム濃度を算出してもよい。
そのため、空の状態のタンク23a内における放射線量が24cps程度以下となるように、焼成物B1のうち放射性セシウム濃度が高いものは切替装置22から不良品I1としてバイパスルート25を介して貯槽3に戻すと共に、測定装置23に設けられたエアパージ手段によりタンク23aに適宜空気を吹き込み、タンク23a内の放射性セシウムをタンク23aから排出するのが好ましい。
また、測定装置23から排出した焼成物B2を切替装置24に供給し、測定装置23における焼成物B2の放射性セシウム濃度の測定値が所定値V〔Bq/kg〕以下の場合に、測定装置23から排出された焼成物B2をクーラ26に良品Pとして供給し、この測定値が所定値V〔Bq/kg〕を超える場合には不良品I2として不良品I1と共に不良品I3として貯槽3に戻す。また、上記例の空の状態のタンク23a内の放射線量が25cps以上である場合は、これを下回るまで焼成物B2を不良品I2として扱うこともできる。
良品Pは、クーラ26で冷却されて焼成物B3として、必要に応じて解砕や粉砕を行い、セメントクリンカ、セメント混合材、土工資材(骨材(コンクリート用骨材、アスファルト用骨材)、埋め戻し材、盛り土材、路盤材等)の建築資材として利用することができる。尚、焼成物B3の用途は、焼成物B3の放射性セシウム濃度を測定し、良否判定の基準値に応じて変更する。
上記良否判定の基準は、基本的には建築資材に利用可能となるクリアランスレベル(100Bq/kg)とするが、高濃度に汚染された区域の土壌・瓦礫等の放射性セシウム含有廃棄物を対象とし、該区域で従事する作業者の被曝線量を現状より少しでも低減することを目的とするのであれば、これを超える基準にしてもよい。すなわち、対象処理物である焼成物B3の放射性セシウム濃度や良品Pの用途により任意に良否判定の基準を変更することができる。
以上のように、上記実施の形態によれば、放射性セシウムで汚染された廃棄物Wを加熱して放射性セシウムを回収すると共に、放射性セシウム濃度が高い不良品I1を測定装置23に供給しないことで測定装置23の放射性セシウム濃度の測定精度を高く維持し、放射性セシウム濃度の低い良品P、さらに放射性セシウム濃度の低い焼成物B3を安定して製造することができる。
また、上記実施の形態では、ロータリーキルン7から排出された焼成物B1を測定装置23に供給して品質の判定を行ったが、クーラ26から排出された焼成物B3を品質判定の対象としてもよく、ロータリーキルン7及びクーラ26から排出された焼成物B1、B3の両方を品質判定の対象としてもよい。クーラ26から排出された焼成物B3を品質の判定の対象とする場合には、クーラ26の前段で測定した焼成物の放射性物質濃度が所定値以上のものを予めバイパスルートを介して系外へ排出することで品質判定の対象外とすることができる。
さらに、上記実施の形態では、バッファタンク21の後段に切替装置22を設けたが、バッファタンク21の前段に切替装置22を設けてもよい。
1 放射性セシウムで汚染された廃棄物の処理装置
3〜5 貯槽
6 調合装置
7 ロータリーキルン
7a キルン本体
7b 窯前部
7c 窯尻部
8 冷却塔
8a 散水装置
9 サイクロン
10 第1集塵機
11 第2集塵機
12 脱硝装置
13 煙突
21 バッファタンク
22 切替装置
23 測定装置
23a タンク
23b 検出器
24 切替装置
25 バイパスルート
26 クーラ
B1〜B3 焼成物
C 粗粉
D1、D2 ダスト
G、G1〜G5 排ガス
I1〜I3 不良品
M 調合原料
N 中和剤
P 良品
W (放射性セシウムで汚染された)廃棄物

Claims (4)

  1. 放射性物質で汚染された廃棄物を加熱する加熱装置と、
    前記加熱によって揮発した放射性物質を回収する回収装置と、
    前記加熱装置から排出された焼成物が供給され、該焼成物から発せられる放射線量を測定する測定装置と、
    前記加熱装置から排出された焼成物を前記測定装置に供給せずに系外へ排出するバイパスルートとを備えることを特徴とする放射性物質で汚染された廃棄物の処理装置。
  2. 前記測定装置は、
    前記加熱装置から排出された焼成物を受け入れるタンクと、
    該タンク内に設けられて放射線を検出する検出器と、
    放射線検出後に前記タンク内に残留した焼成物を該タンクから排出する空気を前記タンク内に吹き込むエアパージ手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質で汚染された廃棄物の処理装置。
  3. 放射性物質で汚染された廃棄物を加熱装置を用いて加熱し、該加熱によって揮発した放射性物質を回収すると共に、前記加熱により得られた焼成物を測定装置に供給して該焼成物から発せられる放射線量を測定するにあたり、
    前記加熱により得られた焼成物の放射性物質濃度が所定値以上の焼成物を前記測定装置に供給せずに系外へ排出することを特徴とする放射性物質で汚染された廃棄物の処理方法。
  4. 前記加熱装置において所定温度以下で焼成された焼成物、前記加熱装置における火止め後に該加熱装置から排出された焼成物、又は前記測定装置の前段で測定した放射性物質濃度が前記所定値以上の焼成物を前記測定装置に供給せずに系外へ排出することを特徴とする請求項3に記載の放射性物質で汚染された廃棄物の処理方法。
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