JP6669148B2 - エネルギーシステム最適化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を最適化するエネルギーシステム最適化装置に関する。
近年、エネルギーシステムの運転計画の立案等を行うために、所定の制約条件のもとで、所定の目的関数の最適化を行う装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、需要家にエネルギーを供給するために、コージェネレーションシステムの発電及び発熱、並びに伝熱変換設備の伝熱交換に関するスケジュールを含む運転スケジュールを作成するエネルギー需給調整装置が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、蓄電装置を含む出力制御可能な機器と再生可能エネルギーにより発電を行う発電機と負荷とを備えると共に外部電力系統に接続されたマイクログリッドにおける、エネルギーの需給計画を最適化するエネルギーマネジメントシステムが開示されている。
特開2017−20426号公報 特開2016−42748号公報
ところで、エネルギーシステムの運転計画の立案等に当たっては、エネルギーシステムのエネルギー流量や設備容量を最適化することが望まれている。また、エネルギーシステムを運用する事業者は、エネルギーシステムにおけるCO排出量やコストを抑えたいというニーズがある。
そこで、本発明では、エネルギーシステムにおけるCO排出量やコストに配慮した最適なエネルギー流量及び設備容量を算出することができるエネルギーシステム最適化装置を提供することを目的とする。
本実施形態は、エネルギー需要部、前記需要部にエネルギーを供給するエネルギー供給部、前記供給部と前記需要部との間に介在し、前記エネルギーの貯蔵、変換、或いは合流を行う機器、を有するエネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を最適化するエネルギーシステム最適化装置であって、前記需要部におけるエネルギー需要データ、前記供給部におけるエネルギー供給データ、前記機器における機器特性データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記エネルギー需要データ、前記エネルギー供給データ、前記機器特性データから、前記エネルギーシステムのCO排出量又はコストを目的関数とする最適化計算を行い、前記CO排出量又はコストが最小となる前記エネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を算出する算出部と、を備える。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記エネルギー供給部は、バイオマスエネルギー供給部、再生可能エネルギー供給部、系統電力供給部、及びガス供給部のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記バイオマスエネルギー供給部における前記エネルギー供給データは、バイオマスエネルギーのコスト、CO排出係数、及び利用可能量を含み、前記再生可能エネルギー供給部における前記エネルギー供給データは、再生可能エネルギーのコスト、CO排出係数、利用可能量を含む第1データ群、又は再生可能エネルギーの発電量、コスト、LCCO排出量、効率、耐用年数、容量、運転条件を含む第2データ群を含み、前記系統電力供給部における前記エネルギー供給データは、電力のコスト、及びCO排出係数を含み、前記ガス供給部における前記エネルギー供給データは、ガスのコスト、及びCO排出係数を含むことが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記エネルギー需要データは、エネルギー需要量、及びデマンドレスポンス設定値を含むことが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記機器特性データは、機器のコスト、LCCO排出量、効率、耐用年数、容量、運転条件を含むことが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記算出部による最適化計算は、線形計画法により行われることが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記算出部は、前記エネルギーシステムにおけるCO排出量及びコストの目的関数に重み付けした和で表される評価値を目的関数として最適化計算を行い、前記評価値が最小となる前記エネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を算出することが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、前記エネルギーシステムが複数存在し、複数のエネルギーシステム間を結合する電力融通線により複数のエネルギーシステム間において電力融通している場合、前記記憶部は、前記電力融通線における電力融通データを記憶し、前記算出部は、前記電力融通データを考慮して、前記最適化計算を行うことが好ましい。
上記エネルギーシステム最適化装置において、外部の系統電力から、前記電力融通線を介して複数のエネルギーシステムに電力を供給している場合、前記記憶部は、前記外部の系統電力における電力供給データを記憶し、前記算出部は、前記電力供給データを考慮して、前記最適化計算を行うことが好ましい。
本発明によれば、エネルギーシステムにおけるCO排出量やコストに配慮した最適なエネルギー流量及び設備容量を算出することができる。
本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置の構成の一例を示すブロック図である。 最適化計算処理の対象となるエネルギーシステムのモデルの一例を示す図である。 本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置における最適化計算処理の流れを示すフロー図である。 図2に示すエネルギーシステムの場合に設定される制約条件を説明するための図である。 本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置の構成の他の一例を示すブロック図である。 式17におけるCO排出量とコストのトレードオフ関係を示す曲線を示す。 最適化計算処理の対象となる複合型のエネルギーシステムのモデルの一例を示す図である。
図1は、本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すエネルギーシステム最適化装置は、後述するように、エネルギー需要部、前記需要部にエネルギーを供給するエネルギー供給部、前記供給部と前記需要部との間に介在し、前記エネルギーの貯蔵、変換、或いは合流を行う機器、を有するエネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を最適化するものである。
図1に示すエネルギーシステム最適化装置1は、CPU等を含む情報処理装置、RAM等を含む記憶装置等から構成され、機能ブロックとして、情報記憶部10、目的関数記憶部12、流量・容量算出部14、算出結果記憶部16を有する。エネルギーシステム最適化装置1には、入力装置18、表示装置20が接続されている。入力装置18は、ユーザーからの入力操作を受け付けるためのユーザインターフェースであり、例えば、マウスやキーボード等である。表示装置20は、エネルギーシステム最適化装置1が出力する情報や計算結果等を表示するためのユーザインターフェースであり、例えば、ディスプレイなどである。
情報記憶部10には、入力装置18を介して入力された、エネルギー需要部におけるエネルギー需要データ、エネルギー供給部におけるエネルギー供給データ、機器における機器特性データが、記憶される。
目的関数記憶部12には、入力装置18を介して入力された、目的関数に関するデータが記憶される。目的関数に関するデータは、エネルギーシステムのCO排出量又はコストを求める関数、及び制約条件を含む。
流量・容量算出部14は、情報記憶部10に記憶された各データから、目的関数記憶部12に記憶された目的関数及び制約条件を用いた最適化計算を行い、エネルギーシステムのCO排出量又はコストが最小となるエネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を算出する。最適化計算には、例えば、線形計画法、混合整数計画法、又は非線形計画法等が用いられる。
算出結果記憶部16には、流量・容量算出部14により算出されたエネルギーシステムのエネルギー流量、設備容量が記憶される。また、算出結果記憶部16には、最小化されたCO排出量又はコストも記憶される。
情報記憶部10、目的関数記憶部12、流量・容量算出部14、算出結果記憶部16等は、例えば、CPU等の情報処理装置がRAMにロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。情報記憶部10、目的関数記憶部12、算出結果記憶部16等のデータは、例えば、RAM等の情報記録装置に格納される。
次に、図1に示すエネルギーシステム最適化装置1の動作、すなわちエネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量の最適化計算処理について説明する。
以下では、最適化計算処理の対象となるエネルギーシステムの具体的モデルを例に挙げて説明する。
図2は、最適化計算処理の対象となるエネルギーシステムのモデルの一例を示す図である。図2に示すエネルギーシステム100は、例えば、工場のエネルギーシステムを想定したものである。図2に示すエネルギーシステム100は、エネルギー供給部として、系統電力供給部、再生可能エネルギー供給部、ガス供給部としての水素供給部及び都市ガス供給部、バイオマスエネルギー供給部を備えている。また、図2に示すエネルギーシステム100は、エネルギー需要部として、電力需要部、熱需要部、ガス需要部を備えている。また、これらのエネルギー供給部とエネルギー需要部との間には、エネルギーを貯蔵する貯蔵機器(図2では貯蔵と表記)、エネルギーを変換する変換機器(図2では変換と表記)、エネルギーを合流する合流機器(図2では合流と表記)が介在している。
図2に示す系統電力供給部は、需要部側に電力を供給する装置であり、例えば、受電設備(変圧器、避雷器、変流器)等が挙げられる。図2に示す再生可能エネルギー供給部は、例えば、風力、太陽光、地熱、潮力、波力等の再生可能エネルギーを使用して発電し、需要部側に電力を供給する発電設備、或いは、再生可能エネルギー発電事業者等から買い受けた電力を、需要部側に供給する設備に分けられる。上記発電設備は、例えば、太陽光発電装置、風力発電装置等が挙げられ、以下、再生可能エネルギー発電設備と称する場合がある。再生可能エネルギー発電事業者等から買い受けた電力を、需要部側に供給する設備は、例えば、受電設備等が挙げられ、以下再生可能エネルギー受電設備と称する場合がある。水素ガス供給部や都市ガス供給部は、水素ガスや都市ガスを需要部側に供給する装置である。また、バイオマスエネルギー供給部は、木質チップやペレット、バイオガス等のバイオマスエネルギーを需要部側に供給する装置である。
図2に示すエネルギーを貯蔵する貯蔵機器は、供給されるエネルギーを貯蔵し、貯蔵したエネルギーを需要部側に供給(放出)するものであり、例えば、二次電池、PtG(水電解、メタン製造、アンモニア製造)、CAES等が挙げられる。図2に示すエネルギーを合流する合流機器は、供給される複数のエネルギーを合流し、需要部側に供給するものであり、例えば、自営線、ガス配管等が挙げられる。なお需要部側への供給は複数のエネルギーに分岐して供給する場合も含まれる。図2に示すエネルギーを変換する変換機器は、供給されたエネルギーを別種のエネルギーに変換(供給されたエネルギーを使用して別種のエネルギーを生成)して、需要部側に供給するものであり、例えば、コージェネレーションシステム、燃料電池、ガス変換装置(例えば、水素からメタン)等が挙げられる。
図2に示すエネルギーシステム100において、各設備間の矢印はエネルギーの流れを表している。矢印のうち、実線の矢印は電力の流れを表し、一点鎖線の矢印は熱の流れを表し、破線の矢印は、その他のエネルギー(ガス、バイオマスエネルギー等)の流れを表している。図2に示すエネルギーシステム100では、例えば、系統電力供給部、再生可能エネルギー供給部等のエネルギー供給部から供給されるエネルギー(電力、ガス、バイオマスエネルギー)が、貯蔵機器、変換機器、合流機器を介して、電力需要部、熱需要部、ガス需要部に供給される。このような設備間のエネルギーの流れを、エネルギーフローと称する。
エネルギーシステムにおいては、エネルギーコストやCO排出量を抑えたエネルギーフローとすることが望まれる。そして、本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置1を用いれば、CO排出量又はコストが最小となるエネルギーシステムのエネルギー流量(すなわち、各設備間を流れるエネルギー流量)及び設備容量が算出されるため、CO排出量又はコストを抑えたエネルギーフローを作成することが可能となる。
図3は、本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置における最適化計算処理の流れを示すフロー図である。
まず、入力装置18を介して入力された、エネルギー供給部におけるエネルギー供給データ、エネルギー需要部におけるエネルギー需要データ、機器における機器特性データが、情報記憶部10に記憶される(ステップS10)。
図2に示すエネルギーシステム100の場合、エネルギー供給部におけるエネルギー供給データとして、バイオマスエネルギー供給部におけるエネルギー供給データ、再生可能エネルギー供給部におけるエネルギー供給データ、系統電力供給部におけるエネルギー供給データ、都市ガス供給部におけるエネルギー供給データ、水素供給部におけるエネルギー供給データが、情報記憶部10に記憶される。バイオマスエネルギー供給部におけるエネルギー供給データは、例えば、任意期間の単位時間ごとの任意地域における、バイオマスエネルギーの利用可能量(AS )、単位量当たりのコスト(P )、単位量当たりのCO排出係数(P’ )等である。また、再生可能エネルギー供給部が再生可能エネルギー受電設備の場合におけるエネルギー供給データは、例えば、任意期間の単位時間ごとの任意地域における、再生可能エネルギーの利用可能量(AS )、単位量当たりのコスト(P )、単位量当たりのCO排出係数(P’ )等である。また、再生可能エネルギー供給部が再生可能エネルギー発電設備の場合におけるエネルギー供給データは、任意期間の単位時間ごとの任意地域における、再生可能エネルギー供給部の発電量(S )、再生可能エネルギー供給部の単位容量あたりのコスト(初期コスト及び維持コスト:P)、LCCO排出量(ライフサイクルCO排出量:P’)、効率(η)、耐用年数(T)、容量(C又はy)、運転条件(最低負荷:L、負荷の上げ幅:uW、負荷の下げ幅:dW)等である。また、系統電力供給部におけるエネルギー供給データは、例えば、任意期間の任意時間における、電力の単位量当たりのコスト(P )、単位量当たりのCO排出係数(P’ )等である。また、都市ガス供給部及び水素ガス供給部におけるそれぞれのエネルギー供給データは、例えば、任意期間の任意時間における、ガスの単位量当たりのコスト(P )、単位量当たりのCO排出係数(P’ )等である。なお、上記は、図2に示すエネルギーシステム100の場合であり、計算対象となるエネルギーシステムにおいて使用されるエネルギー供給部に対応したエネルギー供給データが情報記憶部10に記憶されればよい。
図2に示すエネルギーシステム100の場合、エネルギー需要部におけるエネルギー需要データとして、電力需要部におけるエネルギー需要データ、熱需要部におけるエネルギー需要データ、ガス需要部におけるエネルギー需要データが、情報記憶部10に記憶される。電力需要部、熱需要部、ガス需要部それぞれのエネルギー需要データは、例えば、任意期間の任意時間における、エネルギー需要量(D )、デマンドレスポンス設定値(DR設定値:R )等である。なお、デマンドレスポンスを利用しない系では、DR設定値は不要である。
図2に示すエネルギーシステム100の場合、機器における機器特性データとして、貯蔵機器における機器特性データ、変換機器における機器特性データ、合流機器における機器特性データが、情報記憶部10に記憶される。機器特性データは、例えば、任意期間の任意時間における、機器のコスト(初期コスト及び維持コスト:P)、LCCO排出量(ライフサイクルCO排出量:P’)、効率(η)、耐用年数(T)、容量(C又はy)、運転条件(最低負荷:L、負荷の上げ幅:uW、負荷の下げ幅:dW)等である。
次に、入力装置18を介して入力された、エネルギーシステムのCO排出量又はコストを求める関数及び制約条件を含む目的関数に関するデータが、目的関数記憶部12に記憶される(ステップS12)。
図4は、図2に示すエネルギーシステムの場合に設定される制約条件を説明するための図である。以下、x はエネルギーシステムの設備間を流れるエネルギー流量を示し、上付きのtは単位時間、下付きiは設備間IDを示す。以下の他の記号の上付きのtは単位時間を示し、下付きiは設備IDを示す。
(1)エネルギー供給の制約
図4(1)に示すエネルギー供給部から、他の設備へのエネルギー供給において、下式(1)に示す制約条件が設定される。AS は、エネルギー供給部のエネルギーの利用可能量を示し、上記のバイオマスエネルギーの利用可能量等である。また、再生可能エネルギー供給部が再生可能エネルギー受電設備の場合には、再生可能エネルギーの供給に対しても下式(1)の制約条件が設定され、AS は、上記の再生可能エネルギーの利用可能量(AS )である。また、なお、エネルギーシステムの設備間を流れるエネルギー流量x の下付きiにおいては、説明の便宜上、数字を当てはめている。以下同様である。
≦AS (t=1,2,3・・・n) (1)
(2)再生可能エネルギー供給の制約
再生可能エネルギー供給部が再生可能エネルギー発電設備の場合には、図4(2)に示す再生可能エネルギー供給部から、他の設備へのエネルギー供給において、下式(2)に示す制約条件が設定される。S は、上記の再生可能エネルギー供給部の発電量である。また、Cは、上記の再生可能エネルギー供給部の固定された設備容量を示している。設備容量を算出する場合は、Cを最適化する設備容量yに置き換えればよい。以下同様である。
≦C×S (t=1,2,3・・・n) (2)
(3)変換機器の制約
図4(3)に示すエネルギーを変換する変換機器において、式(3)〜(6)に示す制約条件が設定される。ηは、上記のエネルギー変換機器の効率である。図4(3)に示す変換機器は、1つのエネルギーの供給から2つ以上のエネルギーの出力があるコージェネレーションシステムの場合の例であり、この場合には、式(3)〜(4)に示すようにそれぞれの効率をかける。また、変換機器の設備容量Cが入力側エネルギーを基準としている場合、式(5)のように設定され、変換機器の設備容量Cが出力側エネルギーを基準としている場合、式(6)のように設定される。
=x ×η (t=1,2,3・・・n) (3)
=x ×η (t=1,2,3・・・n) (4)
≦C (t=1,2,3・・・n) (5)
≦C (t=1,2,3・・・n) (6)
(4)エネルギーの合流・分岐の制約
図4(4)に示すエネルギーを合流する合流機器でのエネルギーの合流・分岐において、式(7)に示す制約条件が設定される。図4(4)に示すエネルギーの合流・分岐は、2つのエネルギーが合流し、2のエネルギーに分岐している場合の例であるが、合流・分岐するエネルギーの数は特に制限されるものではない。
+x =x +x (t=1,2,3・・・n) (7)
(5)エネルギーの貯蔵の制約
図4(5)に示すエネルギーを貯蔵する貯蔵機器でのエネルギーの貯蔵において、式(8)及び(9)に示す制約条件が設定される。図4(5)に示すx は、時刻tに貯蔵機器に貯蔵されたエネルギー流量であり、x t−1は、時刻t−1に貯蔵機器に貯蔵されたエネルギー流量である。なお、1つ前の時刻(t−1)のエネルギー流量を入力側に持ってくることで、貯蔵機器でのエネルギー貯蔵を表現している。また、二次電池のような蓄電装置の場合には、充放電効率の制約条件を設定することが好ましく、この場合には、貯蔵機器の前後に変換設備を追加し、上式(3)及び(4)を貯蔵の制約条件として追加する。
+x t−1=x +x (t=1,2,3・・・n) (8)
≦C (t=1,2,3・・・n) (9)
(6)エネルギー需要の制約
図4(6)に示すエネルギー需要部でのエネルギー需要において、式(10)及び(11)に示す制約条件が設定される。図4(6)に示すx 及びx t−1は、DRしたエネルギー流量を表現しており、下げDRを正の値、上げDRを負の値として入れる。D は、上記のエネルギー需要量であり、R は、上記のDR設定値である。
−x t−1≧D −x (t=1,2,3・・・n) (10)
=x ×R (t=1,2,3・・・n) (11)
(7)各種設備の運転条件の制約
図4(7)に示す各設備における運転条件において、式(12)〜(14)に示す制約条件が設定される。ここで、図4(7)の各種設備は、発電設備、貯蔵機器又は変換機器である。上記発電設備は、再生可能エネルギー供給部が再生可能エネルギー発電設備の場合に適用される。Lは、上記の最低負荷を示し、uWは、上記の負荷の上げ幅、dWは、上記の負荷の下げ幅を示す。式(12)〜(14)は、運転条件が、入力側エネルギーを基準とする場合であるが、運転条件が、出力側エネルギーを基準とする場合には、式(12)〜(14)のx をx 、x t−1をx t−1と読み替えればよい。
≧C×L (t=1,2,3・・・n) (12)
≦x t−1+C×uW (t=1,2,3・・・n) (13)
≦x t−1−C×dW (t=1,2,3・・・n) (14)
エネルギーシステムのCO排出量を目的関数とする式は、以下の式(15)のように定義される。式15の右辺の第1項はエネルギーのCO量を表し、第1項におけるP’ は、エネルギーのCO排出係数であり、第1項におけるx は、エネルギー供給部から流れるエネルギー流量である。また、式15の右辺の第2項は設備のCO量を表し、第2項におけるCは、上記の各設備の容量であり、第2項におけるP’は、上記の各設備のLCCO排出量であり、Tは、上記の各設備の耐用年数であり、ATは、例えば、1年に相当する単位時間である。
(15)
エネルギーシステムのコストを目的関数とする式は、以下の式(16)のように定義される。式16の右辺の第1項は、エネルギー購入コストを表し、第1項におけるP は、上記の各種エネルギーのコストであり、第1項におけるx は、エネルギーシステムの設備間を流れるエネルギー流量である。また、式(16)の右辺の第2項は、設備コストを表し、第2項におけるCは、上記の各設備の容量であり、第2項におけるPは、上記の各設備の単位容量あたりのコスト(初期コスト及び維持コスト)であり、Tは、上記の各設備の耐用年数であり、ATは、例えば、1年に相当する単位時間である。
(16)
図3に戻り、流量・容量算出部14は、目的関数記憶部12から、上記制約条件及び目的関数を含む目的関数に関するデータを取得すると共に、情報記憶部10から、エネルギー需要データ、エネルギー供給データ、機器特性データを取得する(ステップS14)。そして、上記制約条件及び目的関数に、情報記憶部10から取得したデータを当てはめて、例えば線形計画法による最適化計算を行い、エネルギーシステムのCO排出量又はコストが最小となるエネルギー流量及び設備容量を算出する(ステップS16)。
流量・容量算出部14により算出されたエネルギー流量及び設備容量は、算出結果記憶部16に格納される(ステップS18)。
本実施形態により算出されたエネルギーシステムのエネルギー流量、具体的にはエネルギーシステムにおける各設備間のエネルギー流量、及び設備容量の結果は、エネルギーシステムのエネルギーフローにおいて、CO排出量或いはコストを配慮した最適なエネルギーフローを示すこととなる。また、ユーザーは、本実施形態により算出されたエネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量の結果から、エネルギーシステムの設備構成、エネルギーシステムの各設備の運転計画、設備導入計画、又はエネルギー購入計画等を作成することが可能である。ひいては、作成したエネルギーシステムの各設備の運用計画を実行するための処理プログラムを有する制御装置をエネルギーシステムに設置して、各設備の運用計画に基づいた各設備の自動運転も可能である。さらには、想定地域や工場において、運用前に、事業性やCO削減効果を評価したり、導入すべきエネルギー種を選定したり、デマンドレスポンス効果を評価したりすることも可能である。
図5は、本実施形態に係るエネルギーシステム最適化装置の構成の他の一例を示すブロック図である。図5に示すエネルギーシステム最適化装置2において、図1に示すエネルギーシステム最適化装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すエネルギーシステム最適化装置2は、図1に示すエネルギーシステム最適化装置1の構成に加え、エネルギーフロー図作成部22、パラメータ作成部24を備える。エネルギーフロー図作成部22は、エネルギーシステムのエネルギーフロー図を作成するためのインターフェースであり、例えば、Microsoft Visioのマクロプログラム等によって構成される。エネルギーフロー図作成部22は、例えば、図3に示すようなエネルギー供給部、変換、貯蔵、合流等の機器、エネルギー需要部等のオブジェクト、設備間のエネルギーの流れ等のオブジェクトを図形として備えている。エネルギーフロー図作成部22は、例えば、ユーザーにより、上記オブジェクトを示す図形が作業シート上に配置され、エネルギーシステムのエネルギーフロー図(例えば、図3)が作成されると、エネルギーフロー情報として、パラメータ作成部24に出力する。
パラメータ作成部24は、エネルギーフロー図作成部22からエネルギーフロー情報を取得すると、エネルギーフロー情報に対応する制約条件を入力するための作業シートを生成する。例えば、エネルギーフロー情報として、図2に示す再生可能エネルギー供給部から他の設備へのエネルギー供給を示す情報が含まれていれば、上式(2)に示す制約条件を入力するための作業シートが生成される。
ユーザーにより、作業シートを介してエネルギーフロー情報に対応する制約条件が入力されると、制約条件のデータとして、流量・容量算出部14に出力する。
流量・容量算出部14は、パラメータ作成部24から制約条件のデータを取得する共に、情報記憶部10に格納されている各種データを取得し、また、目的関数記憶部12に格納されている目的関数に関するデータを取得する。なお、目的関数記憶部12には、式(15)、式(16)等の目的関数のみが格納されていればよい。流量・容量算出部14では、パラメータ作成部24から取得した制約条件及び目的関数記憶部12から取得した目的関数に、情報記憶部10から取得したデータを入力し、前述の最適化計算を行う。
以下に、他の実施形態について説明する。
エネルギーシステムにおけるCO排出量及びコストを目的関数として最適化計算を実施することが好ましい。この場合には、更に、CO排出量及びコストそれぞれの目的関数に重み付けした和で表される評価値を目的関数として最適化計算を行い、評価値が最小となるエネルギーシステムの流量及び設備容量を算出することが好ましい。評価値の目的関数は、例えば、式(17)で表される。式(17)の右辺の第1項は、エネルギーシステムのコストの目的関数をその最小値で除して正規化し、重み付け(w)を掛けた関数である。式17の右辺の第2項は、エネルギーシステムのCO排出量の目的関数をその最小値で除して正規化し、重み付け(1−w)を掛けた値である。なお、図6に、式17におけるCO排出量とコストのトレードオフ関係を示す曲線を示す。
(17)
上記式(17)に示す評価値を目的関数として最適化計算を行うことで、CO排出量及びコスト両方のバランスがとれた最適なエネルギーフローを示すことが可能となる。
本実施形態では、1つのエネルギーシステムに対して最適化計算処理を実行する例について説明したが、複数のエネルギーシステム間で電力融通する複合型のエネルギーシステムに対して最適化計算処理を実行してもよい。複合型のエネルギーシステムは、例えば、複数の工場それぞれに設置されたエネルギーシステム間で電力融通するエネルギーシステムが考えられる。
図7は、最適化計算処理の対象となる複合型のエネルギーシステムのモデルの一例を示す図である。図7に示す複合型のエネルギーシステムは、A工場に設置されるエネルギーシステム100A、B工場に設置されるエネルギーシステム100B、エネルギーシステム100Aとエネルギーシステム100Bとの間を結合し、両者の間で電力融通させる電力融通線、を備える。また、図7に示す複合型のエネルギーシステムでは、外部の系統電力から、電力融通線を介して、A工場に設置されるエネルギーシステム100A及びB工場に設置されるエネルギーシステム100Bに電力が供給されている。A工場に設置されるエネルギーシステム100A及びB工場に設置されるエネルギーシステム100Bは、説明を容易とするため、図2に示すエネルギーシステム100と同様とする。
図7に示すような複合型のエネルギーシステムに対する最適化計算処理は、電力融通線における電力融通データ、外部の系統電力における電力供給データを考慮することが好ましい。
本実施形態では、複合型のエネルギーシステムに対して最適化計算処理を行う場合、情報記憶部10には、前述のデータに加え、電力融通線における電力融通データ、外部の系統電力における電力供給データが記憶される。
図7に示す複合型のエネルギーシステムの場合、電力融通線における電力融通データは、例えば、単位時間毎のエネルギー融通可能量等である。また、外部の系統電力における電力供給データは、例えば、任意期間の単位時間のLCCO、コスト等である。
また、図7に示す複合型のエネルギーシステムに対して最適化計算処理を行う場合、前述の制約条件に加え、電力融通線から、エネルギーシステム間でエネルギーを融通する制約条件、外部の系統電力の電力供給の制約条件等が設定される。これらの制約条件は、図4(4)に示す合流ブロックを電力融通に置き換えることで、1つの制約条件として扱うことが可能であり、式(7)に示す制約条件が適用される。
電力融通データ、外部の系統電力における電力供給データから、上記制約条件を追加した最適化計算を行うことで、複合型のエネルギーシステム全体のエネルギーフローを最適化することが可能となる。
最適化計算処理を行うエネルギーシステムの対象施設は、工場に限定されるものではなく、例えば、自動車、飛行機、船、家、ビル、マイクログリッド等でもよい。いずれにしろ、本実施形態では、エネルギー需要部、エネルギー供給部、当該需要部と供給部との間に介在する貯蔵機器、変換機器、或いは合流を行う機器を有するエネルギーシステムが最適化計算処理の対象である。
1,2 エネルギーシステム最適化装置、10 情報記憶部、12 目的関数記憶部、14 流量・容量算出部、16 算出結果記憶部、18 入力装置、20 表示装置、22 エネルギーフロー図作成部、24 パラメータ作成部、100,100A,100B エネルギーシステム。

Claims (9)

  1. エネルギー需要部、前記需要部にエネルギーを供給するエネルギー供給部、前記供給部と前記需要部との間に介在し、前記エネルギーの貯蔵、変換、或いは合流を行う機器、を有するエネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を最適化するエネルギーシステム最適化装置であって、
    前記需要部におけるエネルギー需要データ、前記供給部におけるエネルギー供給データ、前記機器における機器特性データを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶されている前記エネルギー需要データ、前記エネルギー供給データ、前記機器特性データから、前記エネルギーシステムのCO排出量又はコストを目的関数とする最適化計算を行い、前記CO排出量又はコストが最小となる前記エネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を算出する算出部と、を備えることを特徴とするエネルギーシステム最適化装置。
  2. 前記エネルギー供給部は、バイオマスエネルギー供給部、再生可能エネルギー供給部、系統電力供給部、及びガス供給部のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  3. 前記バイオマスエネルギー供給部における前記エネルギー供給データは、バイオマスエネルギーのコスト、CO排出係数、及び利用可能量を含み、
    前記再生可能エネルギー供給部における前記エネルギー供給データは、再生可能エネルギーのコスト、CO排出係数、利用可能量を含む第1データ群、又は再生可能エネルギーの発電量、コスト、LCCO排出量、効率、耐用年数、容量、運転条件を含む第2データ群を含み、
    前記系統電力供給部における前記エネルギー供給データは、電力のコスト、及びCO排出係数を含み、
    前記ガス供給部における前記エネルギー供給データは、ガスのコスト、及びCO排出係数を含むことを特徴とする請求項2に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  4. 前記エネルギー需要データは、エネルギー需要量、及びデマンドレスポンス設定値を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  5. 前記機器特性データは、機器のコスト、LCCO排出量、効率、耐用年数、容量、運転条件を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  6. 前記算出部による最適化計算は、線形計画法により行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  7. 前記算出部は、前記エネルギーシステムにおけるCO排出量及びコストの目的関数に重み付けした和で表される評価値を目的関数として最適化計算を行い、前記評価値が最小となる前記エネルギーシステムのエネルギー流量及び設備容量を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  8. 前記エネルギーシステムが複数存在し、複数のエネルギーシステム間を結合する電力融通線により複数のエネルギーシステム間において電力融通している場合、
    前記記憶部は、前記電力融通線における電力融通データを記憶し、
    前記算出部は、前記電力融通データを考慮して、前記最適化計算を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のエネルギーシステム最適化装置。
  9. 外部の系統電力から、前記電力融通線を介して複数のエネルギーシステムに電力を供給している場合、
    前記記憶部は、前記外部の系統電力における電力供給データを記憶し、
    前記算出部は、前記電力供給データを考慮して、前記最適化計算を行うことを特徴とする請求項8に記載のエネルギーシステム最適化装置。
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