JP6668976B2 - 電動圧縮機 - Google Patents

電動圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP6668976B2
JP6668976B2 JP2016131958A JP2016131958A JP6668976B2 JP 6668976 B2 JP6668976 B2 JP 6668976B2 JP 2016131958 A JP2016131958 A JP 2016131958A JP 2016131958 A JP2016131958 A JP 2016131958A JP 6668976 B2 JP6668976 B2 JP 6668976B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
arm switching
switching element
pattern
switching elements
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016131958A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017044205A (ja
Inventor
章光 市原
章光 市原
河村 真一
真一 河村
川島 隆
隆 川島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Industries Corp filed Critical Toyota Industries Corp
Priority to KR1020160107587A priority Critical patent/KR101859833B1/ko
Priority to DE102016115719.8A priority patent/DE102016115719B4/de
Priority to US15/247,109 priority patent/US10087935B2/en
Publication of JP2017044205A publication Critical patent/JP2017044205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6668976B2 publication Critical patent/JP6668976B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C28/00Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids
    • F04C28/08Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids characterised by varying the rotational speed
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C28/00Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids
    • F04C28/06Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids specially adapted for stopping, starting, idling or no-load operation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H2001/3286Constructional features
    • B60H2001/3292Compressor drive is electric only
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2270/00Control; Monitoring or safety arrangements
    • F04C2270/70Safety, emergency conditions or requirements
    • F04C2270/72Safety, emergency conditions or requirements preventing reverse rotation

Description

本発明は、電動圧縮機に関する。
従来から、固定スクロール及び固定スクロールに対して公転運動が可能な可動スクロールを有する圧縮部と、ロータを有するものであって可動スクロールを公転運動させる電動モータとを備えた電動圧縮機が知られている(例えば特許文献1参照)。また、例えば特許文献1には、電動圧縮機は、固定スクロールと可動スクロールとによって区画されたものであって吸入流体が吸入される圧縮室を有しており、可動スクロールが公転運動することにより圧縮室の吸入流体を圧縮し、その圧縮された圧縮流体を吐出することが記載されている。
また、特許文献1には、圧縮室に対して、吸入流体よりも高圧の中間圧流体を導入するインジェクションポートが設けられた電動圧縮機と、当該電動圧縮機を有する空調装置とについて記載されている。空調装置は、例えばインジェクションポートに接続されたインジェクション配管と、インジェクション配管に接続された気液分離器とを備えている。気液分離器によって分離された中間圧流体が、インジェクション配管及びインジェクションポートを介して圧縮室に流入することにより、圧縮室に流入する流体流量が大きくなる。
特開2003−120555号公報
上記のような中間圧流体が圧縮室に導入される構成においては、電動圧縮機の運転停止時において、インジェクション配管に残存する中間圧流体が、インジェクションポートを介して、圧縮室に流入する場合がある。この場合、可動スクロールが正方向とは逆方向に公転運動し、ロータも逆回転する逆回転現象が発生し得る。
ここで、例えば電動圧縮機を起動させる時に、上記逆回転現象が発生している場合、ロータの逆回転が停止するまで待機することが考えられる。しかしながら、ロータの逆回転が停止するまで待機する構成では、電動圧縮機の起動に要する期間が長くなり易いため、応答性の低下が懸念される。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的はロータの逆回転を早期に停止させることができる電動圧縮機を提供することである。
上記目的を達成する電動圧縮機は、ロータを有する三相モータと、流体が吸入される吸入口が形成されたハウジングと、前記三相モータによって駆動されるものであって、前記吸入口から吸入された吸入流体を圧縮し、且つ、その圧縮された圧縮流体を吐出する圧縮部と、前記三相モータを駆動させる駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御部と、を備え、前記圧縮部は、前記ハウジングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと噛み合うものであって前記固定スクロールに対して公転運動が可能な可動スクロールと、前記固定スクロールと前記可動スクロールとによって区画された圧縮室と、を有し、前記ロータが予め定められた正方向に回転する場合に前記可動スクロールが正方向に公転運動することにより、前記圧縮室に吸入される前記吸入流体を圧縮するものであり、前記電動圧縮機は、前記吸入流体よりも高圧であって前記圧縮流体よりも低圧の中間圧流体を前記圧縮室に導入するインジェクションポートを備え、前記駆動回路は、互いに接続されたu相上アームスイッチング素子及びu相下アームスイッチング素子と、互いに接続されたv相上アームスイッチング素子及びv相下アームスイッチング素子と、互いに接続されたw相上アームスイッチング素子及びw相下アームスイッチング素子と、を備え、前記制御部は、前記ロータが前記正方向とは逆方向に回転していることに基づいて、三相の上アームスイッチング素子及び三相の下アームスイッチング素子のうち少なくとも1つのスイッチング素子をON状態にすることにより、前記ロータを減速させる減速制御を行うものであり、前記減速制御における前記制御部のスイッチング制御態様は、前記三相の上アームスイッチング素子及び前記三相の下アームスイッチング素子のうち1又は複数のスイッチング素子がON状態となり且つ他のスイッチング素子がOFF状態となる組み合わせの第1態様と、前記第1態様の組み合わせとは異なる組み合わせの第2態様と、を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、ON状態となるスイッチング素子に対応する相電流が流れることにより、ロータの運動エネルギが熱エネルギに変換される。これにより、ロータを減速させることができる。特に、本構成によれば、減速制御におけるスイッチング制御態様に、第1態様と第2態様とが含まれている。両態様は、三相の上アームスイッチング素子及び三相の下アームスイッチング素子のON/OFFの組み合わせが互いに異なっている。これにより、第1態様と第2態様とで、発熱するスイッチング素子が異なるため、特定のスイッチング素子が過度に発熱するという事態を抑制できる。よって、特定のスイッチング素子の局所的な発熱を抑制しつつ、ロータの逆回転を早期に停止させることができる。
上記電動圧縮機について、前記減速制御における前記制御部のスイッチング制御態様は、ON状態となる上アームスイッチング素子が順次切り替わるように前記三相の上アームスイッチング素子をスイッチング動作させる態様、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わるように前記三相の下アームスイッチング素子をスイッチング動作させる態様、又は、同一相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とが同時にON状態とならない条件下でON状態となる相のスイッチング素子が順次切り替わるように、前記三相の上アームスイッチング素子及び前記三相の下アームスイッチング素子の双方をスイッチング動作させる態様のいずれかを含むとよい。かかる構成によれば、三相の上アームスイッチング素子及び三相の下アームスイッチング素子のうち少なくとも一方においてON状態となる相のスイッチング素子が順次切り替わるようにスイッチング動作が行われるため、各相において電流が流れる。これにより、三相モータに流れる電流が過度に高くなることを抑制しつつ、ロータを減速させる効果を高めることができる。よって、三相モータに流れる電流が過度に高くなることに起因して駆動回路の動作に支障が生じることを抑制しつつ、ロータの逆回転を早期に停止させることができる。
なお、本構成によれば、いずれの態様であっても、ON状態となる相のスイッチング素子が順次切り替わっている。すなわち、三相の上アームスイッチング素子及び三相の下アームスイッチング素子のON/OFFの組み合わせが順次異なっている。このため、いずれの態様であっても、第1態様及び第2態様を含んでいる。
上記電動圧縮機について、前記ロータの回転方向及び回転数を把握する把握部を備え、前記制御部は、前記減速制御では、前記把握部によって把握された前記回転数に基づいて、前記三相モータに流れる電流が予め定められた許容値を超えないように、前記減速制御においてスイッチング動作対象である三相の対象アームスイッチング素子のスイッチングパターン及びデューティ比の少なくとも一方を可変制御するとよい。かかる構成によれば、回転数に応じて三相モータに流れる電流が変化する場合であっても、当該電流が許容値を超えないようにすることができる。また、回転数に基づいて、スイッチングパターン及びデューティ比の少なくとも一方を可変制御することにより、三相モータに流れる電流が許容値を超えない範囲内で、ロータを減速させる効果を高めることができるため、ロータを、より早期に停止させることができる。
上記電動圧縮機について、前記スイッチングパターンは、前記三相の対象アームスイッチング素子のうち、一相の対象アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の二相の対象アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含み、且つ、複数相の対象アームスイッチング素子が同時にON状態とならない一相パターンと、前記三相の対象アームスイッチング素子のうち、二相の対象アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の一相の対象アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含む二相パターンと、を有し、前記制御部は、前記回転数が予め定められた閾値回転数以上である場合には前記スイッチングパターンを前記一相パターンに設定する一方、前記回転数が前記閾値回転数未満である場合には前記スイッチングパターンを前記二相パターンに設定するとよい。かかる構成によれば、回転数が閾値回転数以上である場合には、スイッチングパターンが一相パターンに設定される。当該一相パターンは、二相パターンと比較して、三相モータに流れる電流が低くなり易いスイッチングパターンである。これにより、回転数が比較的高い状況において、三相モータに流れる電流が過度に高くなることを抑制しつつ、ロータを減速させることができる。
一方、回転数が閾値回転数未満である場合には、三相モータに流れる電流が高くなりにくい。この場合、スイッチングパターンが二相パターンに設定される。当該二相パターンは、一相パターンと比較して、三相モータに流れる電流が高くなり易いスイッチングパターンである。したがって、ロータを減速させる効果を高めることができるため、より早期にロータを停止させることができる。
上記電動圧縮機について、前記制御部は、前記回転数が低くなるに従って前記デューティ比を高くするとよい。かかる構成によれば、回転数が低くなるに従って、ロータを減速させる効果を高めることができる。これにより、三相モータに流れる電流が過度に高くなることを抑制しつつ、より早期にロータを停止させることができる。
上記電動圧縮機について、前記把握部は、前記減速制御によって前記三相モータに流れる電流に基づいて、前記ロータの回転方向及び回転数を把握するとよい。かかる構成によれば、専用のセンサ等を設けることなく、ロータの回転方向及び回転数を把握できるため、センサレス化を図ることができる。また、減速制御によって流れる三相モータに流れる電流に基づいて、ロータの回転方向及び回転数を把握することにより、減速制御の有効活用を図ることができる。
上記電動圧縮機は、車両に搭載され、且つ、車両空調装置に用いられるものであるとよい。かかる構成によれば、電動圧縮機の運転停止後のロータの逆回転を早期に停止できることを通じて、電動圧縮機の再起動を早期に行うことができるため、快適性の向上を図ることができる。
この発明によれば、ロータの逆回転を早期に停止させることができる。
電動圧縮機の概要を模式的に示す側断面図。 圧縮部の縦断面図。 車両空調装置の概要を示す模式図。 インバータの電気的構成を示す回路図。 (a)は一相パターンにおけるu相下アームスイッチング素子のタイムチャートであり、(b)は一相パターンにおけるv相下アームスイッチング素子のタイムチャートであり、(c)は一相パターンにおけるw相下アームスイッチング素子のタイムチャート。 ロータが正方向に回転している場合の各相電流を模式的に示すグラフ。 ロータが正方向とは逆方向に回転している場合の各相電流を模式的に示すグラフ。 逆回転制御処理を示すフローチャート。 各減速制御の態様を示す概念図。 (a)は二相パターンにおけるu相下アームスイッチング素子のタイムチャートであり、(b)は二相パターンにおけるv相下アームスイッチング素子のタイムチャートであり、(c)は二相パターンにおけるw相下アームスイッチング素子のタイムチャート。 減速制御中のロータの回転数の時間変化を示すグラフ。
以下、電動圧縮機の一実施形態について説明する。
図1に示すように、電動圧縮機10は、流体が吸入される吸入口11a及び流体が吐出される吐出口11bが形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11は、全体として略円筒形状である。詳細には、ハウジング11は、有底円筒形状の2つのパーツ12,13を有している。第1パーツ12と第2パーツ13とは、互いに開口端同士が突き合わさった状態で組み付けられている。吸入口11aは、第1パーツ12の側壁部12a、詳細には当該側壁部12aのうち第1パーツ12の底部12b側の位置に設けられている。吐出口11bは、第2パーツ13の底部13aに設けられている。
電動圧縮機10は、回転軸14と、吸入口11aから吸入された吸入流体を圧縮して吐出口11bから吐出する圧縮部15と、圧縮部15を駆動する電動モータ16とを備えている。回転軸14、圧縮部15及び電動モータ16は、ハウジング11内に収容されている。電動モータ16は、ハウジング11内において吸入口11a側に配置されており、圧縮部15は、ハウジング11内において吐出口11b側に配置されている。
回転軸14は、回転可能な状態でハウジング11内に収容されている。詳細には、ハウジング11内には、回転軸14を軸支する軸支部材21が設けられている。軸支部材21は、例えば圧縮部15と電動モータ16との間の位置にてハウジング11に固定されている。軸支部材21には、回転軸14が挿通可能なものであって第1軸受22が設けられた挿通孔23が形成されている。また、軸支部材21と第1パーツ12の底部12bとは対向しており、当該底部12bには円筒状のボス24が突出している。ボス24の内側には第2軸受25が設けられている。回転軸14は、両軸受22,25によって回転可能な状態で支持されている。
圧縮部15は、ハウジング11に固定された固定スクロール31と、固定スクロール31に対して公転運動が可能な可動スクロール32とを備えている。
固定スクロール31は、回転軸14と同一軸線上に設けられた円板状の固定側基板31aと、固定側基板31aから起立した固定側渦巻壁31bとを有する。同様に、可動スクロール32は、円板状であって固定側基板31aと対向する可動側基板32aと、可動側基板32aから固定側基板31aに向けて起立した可動側渦巻壁32bとを備えている。
図1及び図2に示すように、固定スクロール31と可動スクロール32とは互いに噛み合っている。詳細には、固定側渦巻壁31bと可動側渦巻壁32bとは互いに噛み合っており、固定側渦巻壁31bの先端面は可動側基板32aに接触しているとともに、可動側渦巻壁32bの先端面は固定側基板31aに接触している。そして、固定スクロール31と可動スクロール32とによって圧縮室33が区画されている。図1に示すように、軸支部材21には、吸入流体を圧縮室33に吸入する吸入通路34が形成されている。
可動スクロール32は、回転軸14の回転に伴って公転運動するように構成されている。詳細には、回転軸14の一部は、軸支部材21の挿通孔23を介して圧縮部15に向けて突出している。そして、回転軸14における圧縮部15側の端面のうち回転軸14の軸線Lに対して偏心した位置には、偏心軸35が設けられている。そして、偏心軸35にはブッシュ36が設けられている。ブッシュ36と可動スクロール32(詳細には可動側基板32a)とは軸受37を介して連結されている。
また、電動圧縮機10は、可動スクロール32の公転運動を許容する一方、可動スクロール32の自転を規制する自転規制部38を備えている。なお、自転規制部38は、複数設けられている。
かかる構成によれば、回転軸14が予め定められた正方向に回転すると、可動スクロール32の正方向の公転運動が行われる。詳細には、可動スクロール32は、固定スクロール31の軸線(すなわち回転軸14の軸線L)の周りで正方向に公転する。これにより、圧縮室33の容積が減少するため、吸入通路34を介して圧縮室33に吸入された吸入流体が圧縮される。圧縮された圧縮流体は、固定側基板31aに設けられた吐出ポート41から吐出され、その後吐出口11bから吐出される。正方向とは、流体の圧縮が正常に行われる方向とも言える。
なお、図1に示すように、固定側基板31aには、吐出ポート41を覆う吐出弁42が設けられている。圧縮室33にて圧縮された圧縮流体は、吐出弁42を押し退けて吐出ポート41から吐出される。
図1及び図2に示すように、固定側基板31aには、吐出ポート41とは別に、インジェクションポート43が設けられている。インジェクションポート43は、例えば複数設けられており、詳細には2つ設けられている。インジェクションポート43は、固定側基板31aにおいて、吐出ポート41よりも径方向外側に配置されている。そして、インジェクションポート43にはインジェクション配管119が接続されている。インジェクション配管119の接続先等については後述する。
電動モータ16は、回転軸14を回転させることにより、可動スクロール32を公転運動させるものである。図1に示すように、電動モータ16は、回転軸14と一体的に回転するロータ51と、ロータ51を取り囲むステータ52とを備えている。ロータ51は、回転軸14に連結されている。ロータ51には永久磁石(図示略)が設けられている。ステータ52は、ハウジング11(詳細には第1パーツ12)の内周面に固定されている。ステータ52は、筒状のロータ51に対して径方向に対向するステータコア53と、ステータコア53に捲回されたコイル54とを有している。
電動圧縮機10は、電動モータ16を駆動させる駆動回路としてのインバータ55を備えている。インバータ55は、ハウジング11、詳細には第1パーツ12の底部12bに取り付けられた円筒形状のカバー部材56内に収容されている。インバータ55とコイル54とは電気的に接続されている。
ここで、本実施形態では、電動圧縮機10は、車両に搭載され、車両空調装置100に用いられる。すなわち、本実施形態では、電動圧縮機10の圧縮対象である流体は冷媒である。車両空調装置100について以下に詳細に説明する。
図3に示すように、車両空調装置100は、配管切換弁101、第1熱交換器102、第2熱交換器103、第1膨張弁104、第2膨張弁105及び気液分離器106を備えている。
配管切換弁101は、複数の口101a〜101dを有している。配管切換弁101は、第1口101aと第2口101bとが連通し、且つ、第3口101cと第4口101dとが連通する第1状態、又は、第1口101aと第3口101cとが連通し、且つ、第2口101bと第4口101dとが連通する第2状態に切り換わるものである。
車両空調装置100は、第1口101aと電動圧縮機10の吐出口11bとを接続する第1配管111と、第2口101bと第1熱交換器102とを接続する第2配管112と、第1熱交換器102と第1膨張弁104とを接続する第3配管113とを備えている。車両空調装置100は、第1膨張弁104と気液分離器106とを接続する第4配管114と、気液分離器106と第2膨張弁105とを接続する第5配管115と、第2膨張弁105と第2熱交換器103とを接続する第6配管116と、第2熱交換器103と第3口101cとを接続する第7配管117とを備えている。更に、車両空調装置100は、第4口101dと電動圧縮機10の吸入口11aとを接続する第8配管118を備えている。
かかる構成において、インジェクションポート43に接続されたインジェクション配管119は、気液分離器106に接続されている。そして、インジェクション配管119上には、逆止弁120が設けられている。
本実施形態の車両空調装置100は、冷房運転と暖房運転との双方が可能となっている。詳細には、車両空調装置100は、配管切換弁101を含めた車両空調装置100の全体を制御する空調ECU121を備えている。空調ECU121は、例えば冷房運転時には、配管切換弁101を第1状態にする。この場合、吐出口11bから吐出された冷媒は、第1熱交換器102に流れ、当該第1熱交換器102にて外気と熱交換が行われることによって凝縮する。凝縮された冷媒は、第1膨張弁104にて減圧されて、気液分離器106に流れる。そして、気液分離器106にて液体と気体とに分離される。液体の冷媒は、第2膨張弁105にて減圧され、第2熱交換器103に流れる。そして、液体の冷媒は、第2熱交換器103にて車内の空気と熱交換されることにより蒸発し、その結果車内の空気が冷却される。そして、第2熱交換器103にて蒸発した冷媒は、電動圧縮機10の吸入口11aに向けて流れる。なお、冷房運転時には、逆止弁120は閉鎖状態となっている。
一方、空調ECU121は、例えば暖房運転時には、配管切換弁101を第2状態にする。この場合、吐出口11bから吐出された冷媒は、第2熱交換器103に流れ、当該第2熱交換器103にて車内の空気と熱交換が行われることによって凝縮し、その結果車内の空気が加熱される。第2熱交換器103にて凝縮された冷媒は、第2膨張弁105によって減圧されて、気液分離器106に流れ、当該気液分離器106にて液体と気体とに分離される。分離された液体の冷媒は第1膨張弁104にて減圧されて、第1熱交換器102に流れ、当該第1熱交換器102にて外気と熱交換が行われることによって蒸発する。そして、蒸発した冷媒は吸入口11aに流れる。
ここで、逆止弁120は、暖房運転時には、開放状態となっている。これにより、気液分離器106にて分離された気体の冷媒が、インジェクション配管119及びインジェクションポート43を介して、圧縮室33に流れる。これにより、圧縮室33に流れ込む冷媒の流量が増加する。
ちなみに、気液分離器106にて分離された気体の冷媒、すなわちインジェクションポート43を介して圧縮室33に導入される冷媒の圧力は、吸入口11aから吸入される冷媒の圧力よりも高く、吐出口11bから吐出される冷媒の圧力よりも低い。説明の便宜上、以降の説明では、吸入口11aから吸入される冷媒を吸入冷媒とし、吐出口11bから吐出される冷媒を圧縮冷媒とし、インジェクションポート43から圧縮室33に導入される冷媒を中間圧冷媒とする。吸入冷媒が「吸入流体」に対応し、圧縮冷媒が「圧縮流体」に対応する。
上記のように構成された車両空調装置100においては、電動圧縮機10の運転停止後、インジェクション配管119内に残留した中間圧冷媒が圧縮室33に流れ込むことによって、可動スクロール32が正方向とは逆方向に公転運動し、その結果ロータ51が正方向とは逆方向に回転する逆回転現象が発生し得る。
これに対して、本実施形態の電動圧縮機10は、上記逆回転現象を早期に停止させるための構成を備えている。当該構成について、電動モータ16のコイル54及びインバータ55の電気的構成等と合わせて説明する。
まず、コイル54とインバータ55との電気的構成について説明すると、図4に示すように、コイル54は、例えばu相コイル54u、v相コイル54v及びw相コイル54wを有する三相構造となっている。すなわち、電動モータ16は三相モータである。各相コイル54u,54v,54wは例えばY結線されている。
インバータ55は、u相コイル54uに対応するu相上アームスイッチング素子Qu1及びu相下アームスイッチング素子Qu2を備えている。同様に、インバータ55は、v相コイル54vに対応するv相上アームスイッチング素子Qv1及びv相下アームスイッチング素子Qv2と、w相コイル54wに対応するw相上アームスイッチング素子Qw1及びw相下アームスイッチング素子Qw2と、を備えている。つまり、インバータ55は、所謂三相インバータである。
各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2(以降単に各スイッチング素子Qu1〜Qw2と示す)は例えばIGBTで構成されている。なお、これに限られず、パワー型のMOSFET等であってもよい。
インバータ55は、車両に搭載されたDC電源Eに接続された2つの電力線EL1,EL2と、両電力線EL1,EL2に接続され、且つ、u相の両スイッチング素子Qu1,Qu2が設けられたu相配線ELuと、を備えている。u相の両スイッチング素子Qu1,Qu2はu相配線ELuを介して互いに直列に接続されており、u相配線ELuにおけるu相の両スイッチング素子Qu1,Qu2の接続部分とu相コイル54uとが接続されている。なお、DC電源Eとは例えばバッテリや電気二重層キャパシタ等といった蓄電装置である。
同様に、インバータ55は、両電力線EL1,EL2に接続され、且つ、v相の両スイッチング素子Qv1,Qv2が設けられたv相配線ELvを備えている。v相配線ELvにおけるv相の両スイッチング素子Qv1,Qv2の接続部分とv相コイル54vとが接続されている。インバータ55は、両電力線EL1,EL2に接続され、且つ、w相の両スイッチング素子Qw1,Qw2が設けられたw相配線ELwを備えている。w相配線ELwにおけるw相の両スイッチング素子Qw1,Qw2の接続部分とw相コイル54wとが接続されている。
なお、インバータ55は、DC電源Eに対して並列に接続された平滑コンデンサC1を有している。また、インバータ55は、スイッチング素子Qu1〜Qw2に対して並列に接続された還流ダイオードDu1〜Dw2を有している。還流ダイオードDu1〜Dw2は、スイッチング素子Qu1〜Qw2の寄生ダイオードであってもよいし、スイッチング素子Qu1〜Qw2とは別に設けられている構成でもよい。
電動圧縮機10は、インバータ55(詳細には各スイッチング素子Qu1〜Qw2のスイッチング動作)を制御する制御部としての制御装置60を備えている。制御装置60は、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のゲートに接続されている。
制御装置60は、インバータ55をPWM制御するものである。詳細には、制御装置60は、キャリア信号(搬送波信号)と指令電圧値信号(比較対象信号)とを用いて、制御信号を生成する。そして、制御装置60は、生成された制御信号を用いて、各スイッチング素子Qu1〜Qw2に対して所定のパルス幅δTを有する電圧を周期的に印加することにより、各スイッチング素子Qu1〜Qw2を周期的にON/OFFさせ、DC電源Eからの直流電力を交流電力に変換する。そして、変換された交流電力が電動モータ16に入力されることにより、電動モータ16が駆動、すなわち回転する。また、制御装置60は、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のパルス幅δT、換言すればON/OFFのデューティ比Dを変更可能に構成されている。
制御装置60は、電動モータ16に流れる電流として、相コイル54u,54v,54wに流れる相電流Iu,Iv,Iwを把握可能に構成されている。詳細には、図4に示すように、インバータ55には、相配線ELu〜ELwを流れる電流を検出する電流検出部としての電流センサ61〜63が設けられている。電流センサ61〜63は、例えば相配線ELu〜ELwにおける下アームスイッチング素子Qu2〜Qw2と第2電力線EL2との間の部分に設けられている。電流センサ61〜63は、その検出結果を制御装置60に送信する。制御装置60は、各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて、u相コイル54uに流れる電流であるu相電流Iu、v相コイル54vに流れる電流であるv相電流Iv及びw相コイル54wに流れる電流であるw相電流Iwを把握可能となっている。
なお、電流センサ61〜63の具体的な構成については任意であるが、例えばシャント抵抗を有し、当該シャント抵抗に印加される電圧から相電流Iu〜Iwを推定する構成等が考えられる。
制御装置60と空調ECU121とは、電気的に接続されており、互いに情報のやり取りを行うことができる。制御装置60は、空調ECU121からの要求や異常判定結果等に応じて、電動圧縮機10の運転を開始したり、停止したりする。なお、電動圧縮機10の運転停止とは、電動モータ16への交流電力の供給を停止することであり、詳細には各スイッチング素子Qu1〜Qw2を全てOFF状態にすることである。
ここで、本実施形態の制御装置60は、電動圧縮機10の運転停止後、予め定められた待機期間が経過した後に、各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて、ロータ51の回転方向及び回転数(回転速度)rを把握する把握処理を実行する。当該把握処理等を実行する制御装置60が「把握部」に対応する。
詳細には、制御装置60は、各電流センサ61〜63が設けられていない側のスイッチング素子である各上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1を全てOFF状態に維持する。そして、制御装置60は、各電流センサ61〜63が設けられている側のスイッチング素子である各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を、予め定められたスイッチングパターンでスイッチング動作(換言すれば周期的にON/OFF)させる。なお、本実施形態では、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2がスイッチング動作(換言すればON/OFF動作)対象であり、「三相の対象アームスイッチング素子」に対応する。
例えば、制御装置60は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち一相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の二相の下アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含むスイッチングパターン(以降一相パターンという)で各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を制御する。本実施形態では、図5(a)〜図5(c)に示すように、一相パターンは、ON状態となる下アームスイッチング素子が、u相下アームスイッチング素子Qu2→v相下アームスイッチング素子Qv2→w相下アームスイッチング素子Qw2の順に切り替わるスイッチングパターンである。
例えば、Qu2:ON且つQu1,Qv1,Qw1,Qv2,Qw2:OFFの組み合わせの態様を第1態様とし、Qv2:ON且つQu1,Qv1,Qw1,Qu2,Qw2:OFFの組み合わせの態様を第2態様とする。この場合、制御装置60は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を周期的にON/OFFさせることにより、第1態様から第2態様へ切り替えているとも言える。換言すれば、減速制御(一相パターン)におけるスイッチング態様は、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のON/OFFの組み合わせが異なる第1態様と第2態様とを含んでいる。
一相パターンは、三相の下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち複数相(二相又は三相)の下アームスイッチング素子が同時にON状態となることがないように設定されたスイッチングパターンである。
なお、一相パターンは、図5(a)〜図5(c)に示すように、常時一相の下アームスイッチング素子がON状態となるスイッチングパターンに限られず、全下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2がOFF状態となるインターバル態様を含んでもよい。例えば、一相パターンは、上記インターバル態様を介して、一相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の二相の下アームスイッチング素子がOFF状態となるスイッチングパターンでもよい。
ここで、本実施形態では、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のONタイミングはそれぞれズレ量δaだけ異なっている。かかる構成においては、一相パターンは、パルス幅δTがズレ量δa以下に設定されているスイッチングパターンである。パルス幅δTがズレ量δa未満である場合には、一相パターンは、インターバル態様を介して、一相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンとなる。パルス幅δTがズレ量δaと同一である場合には、一相パターンは、インターバル態様を介することなく、一相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンとなる。
ここで、図6及び図7を用いて、ロータ51の回転方向及び回転数rと、各相電流Iu,Iv,Iwとの関係について説明する。
図6は、ロータ51が正方向に回転している状況において検出される各相電流Iu,Iv,Iwを模式的に示したグラフであり、図7は、ロータ51が逆方向に回転している状況において検出される各相電流Iu,Iv,Iwを模式的に示したグラフである。なお、図示の都合上、図6及び図7においては、各相電流Iu,Iv,Iwの最小単位波形(1つの三角波)の周期を実際よりも長く示す。
ちなみに、図6及び図7では、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を常にON/OFFした場合の各相電流Iu,Iv,Iwの電流波形を示す。このため、実際に、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を一相パターンでスイッチングした場合には、図6及び図7にて示された各相電流Iu,Iv,Iwよりも1/3の数の三角波が得られることとなる。
図6及び図7に示すように、各相電流Iu,Iv,Iw(詳細には各相電流Iu,Iv,Iwの包絡線)は互いに位相が異なっている。このため、正の値となる相電流は、時間経過に伴い順次遷移する。なお、相電流が正の値となるのは、当該正の値となる相電流に対応する相コイルにて発生する逆起電力が他の相コイルにて発生する逆起電力よりも低い場合である。
ここで、正の値となる相電流が遷移する順序は、ロータ51が正方向に回転している場合と、逆方向に回転している場合とで異なっている。詳細には、図6に示すように、ロータ51が正方向に回転している場合、正の値となる相電流は、u相電流Iu→v相電流Iv→w相電流Iwの順に遷移する。一方、図7に示すように、ロータ51が逆方向に回転している場合、正の値となる相電流は、w相電流Iw→v相電流Iv→u相電流Iuの順に遷移する。
また、相電流が正の値となっている期間である正電流期間Taは、ロータ51の電気角の1周期の1/3に対応する。
制御装置60は、上記特性と、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を一相パターンでスイッチングした場合に各電流センサ61〜63の検出結果から得られる電流波形とに基づいて、ロータ51の回転方向及び回転数rを把握する。
詳細には、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2が一相パターンでスイッチングすると、現在の回転方向及び回転数rに対応する各相電流Iu,Iv,Iwの電流波形が得られる。制御装置60は、これらの電流波形から、正の値となる相電流の遷移順序を把握し、その把握結果に基づいて、ロータ51の回転方向が正方向か逆方向かを判定する。
制御装置60は、一相パターンのスイッチングによって得られた電流波形から正電流期間Taを把握し、その把握された正電流期間Taに基づいて、ロータ51の回転数rを導出する。
ちなみに、これらの特性、詳細には正の値となる相電流が遷移する順序が回転方向に応じて異なる点、及び、正電流期間Taがロータ51の1周期の1/3に対応する点は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチングパターンに応じて変動しない。このため、制御装置60は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチングパターンが二相パターンである場合であっても、上記特性と、各電流センサ61〜63から得られる電流波形とに基づいて、ロータ51の回転方向及び回転数rを把握できる。二相パターンの詳細については後述する。
制御装置60は、上記把握処理によってロータ51が逆方向に回転していると把握されたことに基づいて、ロータ51を、自然に減速停止するよりも早期に減速停止させる逆回転制御処理を実行する。当該逆回転制御処理について説明する。
図8に示すように、制御装置60は、まずステップS101にて、ロータ51の回転数rを把握する。詳細には、制御装置60は、当該ステップS101の処理が1回目である場合には、逆回転制御処理の実行契機となった上記把握処理にて把握されたロータ51の回転数rを把握する。一方、制御装置60は、2回目以降のステップS101の処理では、ステップS103、S105、S107、S109のいずれかの処理にて実行された減速制御にて得られる各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて回転数rを導出する。
その後、制御装置60は、ステップS101にて把握された回転数rが比較的高い場合(詳細には第4閾値回転数rth4以上である場合)には、ステップS102〜ステップS109にて減速制御を実行する。制御装置60は、減速制御では、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のうち少なくとも1つのスイッチング素子をON状態にすることにより、ロータ51を減速させる。本実施形態では、制御装置60は、減速制御では、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を所定のスイッチングパターンでスイッチング動作(換言すれば周期的にON/OFF)させて、ON状態となる下アームスイッチング素子を順次切り替える。すなわち、減速制御における制御装置60のスイッチング制御態様は、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わるように各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2をスイッチング動作(ON/OFF動作)させる態様となっている。なお、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わるということは、各スイッチング素子Qu1〜Qw2(詳細には各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2)のON/OFFの組み合わせが順次変更されることとなる。
この場合、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチング周波数はそれぞれ同一に設定されている。また、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチング周波数は、中間圧冷媒によって逆回転する場合に想定されるロータ51の回転数rの最大値よりも十分高ければ任意である。
かかる構成によれば、ON状態となっている下アームスイッチング素子に対応する相電流が正である場合、ON状態となっている下アームスイッチング素子に対応する相コイルにて熱が発生する。このため、ロータ51が有する運動エネルギが熱エネルギに変換されて、ロータ51が減速する。なお、以降の説明において、ロータ51の運動エネルギが熱エネルギに変換されてロータ51が減速される効果をブレーキ効果という。
なお、ON状態となっている下アームスイッチング素子に対応する相電流及び相コイルとは、u相下アームスイッチング素子Qu2がON状態である場合にはu相電流Iu及びu相コイル54uを意味する。同様に、v相下アームスイッチング素子Qv2がON状態である場合にはv相電流Iv及びv相コイル54vを意味し、w相下アームスイッチング素子Qw2がON状態である場合にはw相電流Iw及びw相コイル54wを意味する。
この場合、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるほど、熱が発生し易いため、ブレーキ効果が高くなる。すなわち、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるほど、ロータ51に付与される減速に係る力が大きくなり易い。
また、各相コイル54u,54v,54wにて発生する逆起電力は、回転数rが高くなるほど高くなる。そして、各相電流Iu,Iv,Iwは、上記逆起電力が高くなるほど、高くなり易い。つまり、各相電流Iu,Iv,Iwは、回転数rに依存する。
これに対して、本実施形態では、制御装置60は、減速制御では、回転数rに基づいて、各相電流Iu,Iv,Iwが予め定められた許容値を超えないように、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチングパターン及びON/OFFのデューティ比D(換言すればパルス幅δT)を可変制御する。許容値は、例えば各スイッチング素子Qu1〜Qw2の定格電流値又はそれよりも所定のマージン分だけ低い値等である。
詳細には、制御装置60は、まずステップS102にて、ステップS101で把握された回転数rが、予め定められた第1閾値回転数rth1以上であるか否かを判定する。制御装置60は、回転数rが第1閾値回転数rth1以上である場合には、ステップS103に進み、第1減速制御を実行する。
図9に示すように、制御装置60は、第1減速制御では、スイッチングパターンを一相パターンに設定し、且つ、デューティ比Dを第1デューティ比D1に設定する。第1デューティ比D1は、回転数rが中間圧冷媒によって逆回転する状況下で想定される回転数rの最大値である場合に一相パターンのスイッチングによって流れる各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように、当該許容値及び回転数rが想定最大値である場合に生じる逆起電力に対応させて設定されている。すなわち、第1減速制御は、ロータ51の回転数rに関わらず各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定された減速制御である。
図8に示すように、制御装置60は、第1減速制御の実行後は、ステップS101に戻る。この場合のステップS101では、制御装置60は、第1減速制御によって得られる各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて、回転数rを把握する。
なお、制御装置60は、既に第1減速制御の実行中である状況において、ステップS102を肯定判定して、ステップS103に進んだ場合には、当該第1減速制御を継続する。すなわち、制御装置60は、回転数rが第1閾値回転数rth1以上である場合には、回転数rが第1閾値回転数rth1未満となるまで、第1減速制御を継続する。
制御装置60は、回転数rが第1閾値回転数rth1未満となった場合には、ステップS102を否定判定し、ステップS104に進む。ステップS104では、制御装置60は、回転数rが第1閾値回転数rth1よりも低い第2閾値回転数rth2以上であるか否かを判定する。
制御装置60は、回転数rが第2閾値回転数rth2以上である場合には、ステップS105に進み、第1減速制御よりも各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるように設定された第2減速制御を実行する。詳細には、図9に示すように、制御装置60は、第2減速制御では、デューティ比Dを第2デューティ比D2に設定し、スイッチングパターンを二相パターンに設定する。
ここで、図10(a)〜図10(c)に示すように、二相パターンとは、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の一相の下アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含むスイッチングパターンである。例えば、二相パターンでは、ON状態となる下アームスイッチング素子が、u相下アームスイッチング素子Qu2及びv相下アームスイッチング素子Qv2→v相下アームスイッチング素子Qv2及びw相下アームスイッチング素子Qw2→w相下アームスイッチング素子Qw2及びu相下アームスイッチング素子Qu2→…の順序で切り替わる。なお、本実施形態の二相パターンでは、各上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1は全てOFF状態を維持する。
例えば、Qu2,Qv2:ON且つQu1,Qv1,Qw1,Qw2:OFFの組み合わせの態様を第1態様とし、Qv2,Qw2:ON且つQu1,Qv1,Qw1,Qu2:OFFの組み合わせの態様を第2態様とする。この場合、制御装置60は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を周期的にON/OFFさせることにより、第1態様から第2態様へ切り替えているとも言える。換言すれば、減速制御(二相パターン)におけるスイッチング態様は、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のON/OFFの組み合わせが異なる第1態様と第2態様とを含んでいる。
ちなみに、二相パターンは、図10(a)〜図10(c)に示すように、常時二相の下アームスイッチング素子がON状態となるスイッチングパターンに限られず、一相の下アームスイッチング素子がON状態となり且つ二相の下アームスイッチング素子がOFF状態となる一相ON態様を含んでもよい。例えば、二相パターンは、Qu2:ON且つQv2,Qw2:OFF→Qu2,Qv2:ON且つQw2:OFF→Qv2:ON且つQu2,Qw2:OFF→Qv2,Qw2:ON且つQu2:OFF→Qw2:ON且つQu2,Qv2:OFF→Qu2,Qw2:ON且つQv2:OFF→…というスイッチングパターンでもよい。つまり、二相パターンとは、一相ON態様を介して、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンでもよい。
二相パターンは、全下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2がON状態となる三相ON態様を含んでもよい。例えば、二相パターンは、Qu2,Qv2:ON且つQw2:OFF→Qu2,Qv2,Qw2:ON→Qv2,Qw2:ON且つQu2:OFF→Qu2,Qv2,Qw2:ON→Qu2,Qw2:ON且つQv2:OFF→Qu2,Qv2,Qw2:ON→Qu2,Qv2:ON且つQw2:OFF→…となるスイッチングパターンでもよい。つまり、二相パターンとは、三相ON態様を介して、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンでもよい。
ここで、既に説明した通り、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のONタイミングはそれぞれズレ量δaだけ異なっている。そして、第2デューティ比D2は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のパルス幅δTが上記ONタイミングのズレ量δaよりも長くなるように設定されている。これにより、二相パターンが実現されている。つまり、本実施形態では、デューティ比Dを第2デューティ比D2にすることと、スイッチングパターンが二相パターンとなることとは等価である。
各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のパルス幅δTが上記ズレ量δaの2倍よりも短い場合、二相パターンは、一相ON態様を介して、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンとなる。上記パルス幅δTが上記ズレ量δaの2倍よりも長い場合、二相パターンは、三相ON態様を介して、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンとなる。上記パルス幅δTが上記ズレ量δaの2倍と同一である場合、二相パターンは、一相ON態様及び三相ON態様を介することなく、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンとなる。デューティ比Dが高くなるほど、ブレーキ効果は高くなり易い。
ちなみに、第1閾値回転数rth1及び第2デューティ比D2は、ロータ51が第1閾値回転数rth1で回転している状況下で第2減速制御が行われた場合に発生する各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定されている。このため、第2減速制御は、ロータ51の回転数rが第1閾値回転数rth1未満である条件下で各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定された減速制御と言える。
図8に示すように、制御装置60は、第2減速制御の実行後は、ステップS101に戻る。この場合のステップS101では、制御装置60は、第2減速制御によって得られる各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて、回転数rを把握する。
なお、制御装置60は、既に第2減速制御の実行中である状況において、ステップS104を肯定判定して、ステップS105に進んだ場合には、当該第2減速制御を継続する。すなわち、制御装置60は、回転数rが第2閾値回転数rth2以上且つ第1閾値回転数rth1未満である場合には、回転数rが第2閾値回転数rth2未満となるまで、第2減速制御を継続する。
制御装置60は、回転数rが第2閾値回転数rth2未満となった場合には、ステップS104を否定判定し、ステップS106に進む。ステップS106では、制御装置60は、回転数rが第2閾値回転数rth2よりも低い第3閾値回転数rth3以上であるか否かを判定する。
制御装置60は、回転数rが第3閾値回転数rth3以上である場合には、ステップS107に進み、第2減速制御よりも各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるように設定された第3減速制御を実行する。詳細には、図9に示すように、制御装置60は、第3減速制御では、スイッチングパターンを二相パターンに設定し、且つ、デューティ比Dを第2デューティ比D2よりも高い第3デューティ比D3に設定する。第3デューティ比D3は、回転数rが第2閾値回転数rth2未満である条件下で各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2が二相パターンでスイッチングした場合における各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定されている。すなわち、第3減速制御は、ロータ51の回転数rが第2閾値回転数rth2未満の範囲内である条件下で各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定された減速制御と言える。
図8に示すように、制御装置60は、第3減速制御の実行後は、ステップS101に戻る。この場合のステップS101では、制御装置60は、第3減速制御によって得られる各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて、回転数rを把握する。
なお、制御装置60は、既に第3減速制御の実行中である状況において、ステップS106を肯定判定して、ステップS107に進んだ場合には、当該第3減速制御を継続する。すなわち、制御装置60は、回転数rが第3閾値回転数rth3以上且つ第2閾値回転数rth2未満である場合には、回転数rが第3閾値回転数rth3未満となるまで、第3減速制御を継続する。
制御装置60は、回転数rが第3閾値回転数rth3未満となった場合には、ステップS106を否定判定し、ステップS108に進む。ステップS108では、制御装置60は、回転数rが第3閾値回転数rth3よりも低い第4閾値回転数rth4以上であるか否かを判定する。
制御装置60は、回転数rが第4閾値回転数rth4以上である場合には、ステップS109に進み、第3減速制御よりも各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるように設定された第4減速制御を実行する。詳細には、図9に示すように、制御装置60は、第4減速制御では、スイッチングパターンを二相パターンに設定し、且つ、デューティ比Dを第3デューティ比D3よりも高い第4デューティ比D4に設定する。第4デューティ比D4は、回転数rが第3閾値回転数rth3未満である条件下で各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2が二相パターンでスイッチングした場合における各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定されている。すなわち、第4減速制御は、ロータ51の回転数rが第3閾値回転数rth3未満の範囲内である条件下で各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように設定された減速制御と言える。
図8に示すように、制御装置60は、第4減速制御の実行後は、ステップS101に戻る。この場合のステップS101では、制御装置60は、第4減速制御によって得られる各電流センサ61〜63の検出結果に基づいて、回転数rを把握する。
なお、制御装置60は、既に第4減速制御の実行中である状況において、ステップS108を肯定判定して、ステップS109に進んだ場合には、当該第4減速制御を継続する。すなわち、制御装置60は、回転数rが第4閾値回転数rth4以上且つ第3閾値回転数rth3未満である場合には、回転数rが第4閾値回転数rth4未満となるまで、第4減速制御を継続する。
制御装置60は、回転数rが第4閾値回転数rth4未満となった場合には、ステップS108を否定判定し、ステップS110に進む。ステップS110では、制御装置60は、ロータ51の回転を停止させる停止制御を行う。詳細には、制御装置60は、全ての下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2をON状態に維持する。すなわち、制御装置60は、各相コイル54u,54v,54wを全て短絡させる。なお、停止制御は、三相の下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2が全てON状態に設定され、且つ、デューティ比Dが100%に設定された減速制御とも言える。
ちなみに、第4閾値回転数rth4は、各相コイル54u,54v,54wが全て短絡した場合であっても、各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないように、回転数rが第4閾値回転数rth4である場合に発生する逆起電力に対応させて設定されている。
なお、制御装置60は、減速制御中、又は、ロータ51の逆回転の停止後に、空調ECU121から再起動指令を受信している場合には、ロータ51の逆回転が停止していることを確認してから、ロータ51が正方向に回転するように、インバータ55を制御する。
次に、図11を用いて本実施形態の作用について説明する。図11は、減速制御が開始されてからの回転数rの時間変化を模式的に示すグラフである。なお、図11には、各電流センサ61〜63の検出結果から把握される回転数rを実線で示し、実際の回転数rを一点鎖線で示す。また、図11には、自然減速した場合の回転数rの時間変化を二点鎖線で示す。
図11に示すように、各電流センサ61〜63の検出結果から把握される回転数rと、実際の回転数rとはほぼ一致している。
また、逆回転制御処理の実行開始時に回転数rが第1閾値回転数rth1よりも高い場合、まず第1減速制御が実行される。その後、t1のタイミングにて、回転数rが第1閾値回転数rth1未満となると、減速制御が第1減速制御から第2減速制御に移行する。t2のタイミングにて、回転数rが第2閾値回転数rth2未満となると、減速制御が第2減速制御から第3減速制御に移行する。t3のタイミングにて、回転数rが第3閾値回転数rth3未満となると、減速制御が第3減速制御から第4減速制御に移行する。そして、t4のタイミングにて、回転数rが第4閾値回転数rth4未満となることにより、低速制御が行われて、t5のタイミングにて、ロータ51の回転が停止する。これにより、図11の二点鎖線に示すように、自然減速する場合と比較して、早期にロータ51の逆回転が停止する。
なお、減速制御がブレーキ効果の高いものに順次切り替わっているにも関わらず、回転数rの減速度の変化が小さいのは、回転数rの低下に伴う逆起電力の低下に起因するものと考えられる。
また、念のため説明すると、各減速制御は、第1減速制御→第2減速制御→第3減速制御→第4減速制御の順に各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるようにスイッチングパターン及びデューティ比Dが設定されているが、実際に各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるか否かは、回転数rの低下に伴う逆起電力の低下との関係で決まる。このため、実際の各相電流Iu,Iv,Iwが、必ずしも第1減速制御→第2減速制御→第3減速制御→第4減速制御の順に高くなるわけではない。つまり、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるようなスイッチングパターン及びデューティ比Dの可変制御とは、実際に各相電流Iu,Iv,Iwが高くなる必要はなく、減速に伴う各相電流Iu,Iv,Iwの低下を抑制できればよい。換言すれば、制御装置60は、減速制御では、回転数rが低くなるほど、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなり易いスイッチングパターン及びデューティ比Dを採用するとも言える。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)電動圧縮機10は、ロータ51を有する電動モータ16と、流体としての冷媒が吸入される吸入口11aが形成されたハウジング11と、吸入口11aから吸入された吸入冷媒を圧縮し、その圧縮された圧縮冷媒を吐出する圧縮部15とを備えている。圧縮部15は、ハウジング11に固定された固定スクロール31と、固定スクロール31と噛み合うものであって固定スクロール31に対して公転運動が可能な可動スクロール32と、固定スクロール31と可動スクロール32とによって区画された圧縮室33とを有している。そして、圧縮部15は、ロータ51が正方向に回転する場合に可動スクロール32が正方向に公転運動することにより、圧縮室33に吸入される吸入冷媒を圧縮するように構成されている。
かかる構成において、電動圧縮機10は、吸入冷媒よりも高圧であって圧縮冷媒よりも低圧の中間圧冷媒を圧縮室33に導入するインジェクションポート43と、電動モータ16を駆動させるインバータ55と、インバータ55を制御する制御装置60とを備えている。インバータ55は、同一相同士が接続された上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1と下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2とを有している。制御装置60は、ロータ51が正方向とは逆方向に回転していることに基づいて、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わるように各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2をスイッチング動作(換言すれば周期的にON/OFF)させることにより、ロータ51を減速させる減速制御を行う。
かかる構成によれば、ON状態となる下アームスイッチング素子に対応する相電流が流れることにより、ロータ51の運動エネルギが熱エネルギに変換される。これにより、ロータ51を減速させることができる。
ここで、仮に各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を、周期的にON/OFFさせることなくON状態に維持することも考えられる。しかしながら、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のON状態が維持されると、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなり、許容値を超えてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態では、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2を周期的にON/OFFさせる構成が採用されているため、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制できる。
さらに、本実施形態では、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わっているため、各相電流Iu,Iv,Iwはそれぞれ同等の大きさとなる。これにより、所望のブレーキ効果を得るための1つ当たりの相電流を小さくできる。よって、ロータ51を減速させるために、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制できる。
また、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わっているため、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2の発熱量のばらつきを抑制できる。これにより、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち特定の下アームスイッチング素子のみが過度に発熱するという事態を抑制できる。よって、特定の下アームスイッチング素子の局所的な発熱を抑制しつつ、ロータ51の逆回転を停止させることができる。
(2)特に、ブレーキ効果は、正の値となる相電流に対応する下アームスイッチング素子がON状態となることによって生じる。そして、正の値となる相電流は、予め定められた順序で順次切り替わっている。このため、仮に予め定められた固定相の下アームスイッチング素子のみを周期的にON/OFFさせる構成では、その固定相に対応する相電流が正の値となる期間のみ減速が行われる。この場合、ロータ51に対して断続的な減速が行われることとなり、例えば十分なブレーキ効果を得ることができなかったり、ロータ51の逆回転が不安定となったりする不都合が生じ得る。
これに対して、本実施形態では、ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わっているため、所定の頻度(本実施形態では少なくとも3回に1回)で正の値となっている相電流に対応する下アームスイッチング素子をON状態にすることができる。これにより、継続的に減速を行うことができ、上記不都合を抑制できる。
また、例えば、各相電流Iu,Iv,Iwの正電流期間Taを予め把握しておき、正電流期間Taに対応する相の下アームスイッチング素子のみを周期的にON/OFFさせる制御も考えられる。しかしながら、当該制御を行うためには、ロータ51の回転位置を把握し、且つ、当該回転位置と各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチングとを同期させる必要が生じる。すると、レゾルバ等の回転角センサが別途必要となったり複雑な制御が必要となったりして、構成の複雑化が懸念される。
これに対して、本実施形態では、上記のようにON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わっているため、ロータ51の回転位置を把握したり、当該回転位置と各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチングとを同期させたりすることなく、ロータ51を減速させることができる。よって、構成の複雑化を抑制できる。
(3)制御装置60は、ロータ51の回転方向及び回転数(回転速度)rを把握し、把握された回転数rに基づいて、各相電流Iu,Iv,Iwが予め定められた許容値を超えないように、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチングパターン及びデューティ比Dの双方を可変制御する。かかる構成によれば、回転数rに応じて各相電流Iu,Iv,Iwが変化する場合であっても、各相電流Iu,Iv,Iwが許容値を超えないようにすることができる。また、回転数rに基づくスイッチングパターン及びデューティ比Dの可変制御によって、ブレーキ効果を高めることができる。
(4)制御装置60は、回転数rが低くなるほど、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるようなスイッチングパターン及びデューティ比Dを選択する。かかる構成によれば、回転数rが低くなるほど、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるようなスイッチングパターン及びデューティ比Dが選択されるため、ブレーキ効果を高めることができる。これにより、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制しつつ、ロータ51を早期に停止させることができる。
詳述すると、既に説明した通り、各相電流Iu,Iv,Iwは、回転数rが高くなるほど高くなり易い。すると、回転数rが高い状況において、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるスイッチングパターンやデューティ比Dが採用されると、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなり、インバータ55の動作に支障が生じ得る。
これに対して、本実施形態では、回転数rが高い場合には各相電流Iu,Iv,Iwが低くなるようなスイッチングパターン及びデューティ比D(例えば一相パターン及び第1デューティ比D1)が採用される。これにより、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制できる。
一方、回転数rが低くなると、逆起電力は低くなる。すると、各相電流Iu,Iv,Iwは低くなり易い。これに対して、本実施形態では、回転数rが低くなるほど、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなるようなスイッチングパターン及びデューティ比D(例えば二相パターン及び第2デューティ比D2等)が採用される。これにより、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制しつつ、ブレーキ効果を高めることができる。
(5)スイッチングパターンは、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち、一相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、且つ、他の二相の下アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含む一相パターンを有する。一相パターンは、複数相の下アームスイッチング素子が同時にON状態とならないスイッチングパターンである。
スイッチングパターンは、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち、二相の下アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、且つ、他の一相の下アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含む二相パターンを有する。
制御装置60は、回転数rが第1閾値回転数rth1以上である場合には、スイッチングパターンが一相パターンである第1減速制御を実行し、回転数rが第1閾値回転数rth1未満である場合には、スイッチングパターンが二相パターンである減速制御、詳細には第2減速制御、第3減速制御又は第4減速制御のいずれかを実行する。
かかる構成によれば、回転数rが第1閾値回転数rth1以上である場合には、スイッチングパターンが一相パターンに設定される。当該一相パターンは、二相パターンと比較して、各相電流Iu,Iv,Iwが低くなり易いスイッチングパターンである。これにより、回転数rが比較的高い状況において、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制しつつ、ロータ51を減速させることができる。
一方、回転数rが第1閾値回転数rth1未満である場合には、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなりにくい。この場合、スイッチングパターンが二相パターンに設定される。当該二相パターンは、一相パターンと比較して、各相電流Iu,Iv,Iwが高くなり易いスイッチングパターンである。詳細には、同時に二相の下アームスイッチング素子がON状態となる態様が存在するため、当該態様に係る3回のスイッチングのうち2回の頻度で、正の値となっている相電流に対応する下アームスイッチング素子をON状態にすることができる。したがって、ブレーキ効果を高めることができるため、より早期にロータ51を停止させることができる。
(6)制御装置60は、回転数rが低くなるに従ってデューティ比Dを高くする。かかる構成によれば、回転数rが低くなるに従って、ブレーキ効果を高めることができる。これにより、各相電流Iu,Iv,Iwが過度に高くなることを抑制しつつ、より早期にロータ51を停止させることができる。
(7)制御装置60は、減速制御によって流れる各相電流Iu,Iv,Iwに基づいて、ロータ51の回転方向及び回転数rを把握する。かかる構成によれば、専用のセンサ等を設けることなく、ロータ51の回転方向及び回転数rを把握できるため、センサレス化を図ることができる。また、減速制御によって流れる各相電流Iu,Iv,Iwに基づいて、ロータ51の回転方向及び回転数rを把握することにより、減速制御の有効活用を図ることができる。換言すれば、ロータ51の回転方向及び回転数rを把握するための専用の通電制御を行う必要がない分だけ、制御の簡素化を図ることができる。
(8)電動圧縮機10は車両に搭載されるものであって、車両空調装置100に用いられるものである。ここで、電動圧縮機10を含む車両空調装置100は、車両に搭載される関係上、例えば低温環境下に晒される場合がある。このような低温環境下においては、冷媒の密度が低下するため、電動圧縮機10の能力が低下し易い。これに対して、本実施形態では、上記のように、インジェクションポート43を介して圧縮室33に中間圧冷媒を吸入させることにより、電動圧縮機10の能力を向上させることができる。しかしながら、この場合、電動圧縮機10の運転停止時に逆回転現象が発生し得る。すると、ロータ51が停止するまで、電動圧縮機10を再起動することができないため、運転停止から再起動までに要する期間が長くなり易い。
また、電動圧縮機10が車両空調装置100に用いられる場合、ユーザからの操作や車両の走行状況等、電動圧縮機10の運転停止及び再起動が行われる要因が複数存在する。そして、上記時間が長くなれば、室内の快適性が低下する。
これに対して、本実施形態では、上記のような減速制御を行うことにより、比較的早期にロータ51の回転を停止させることができるため、電動圧縮機10の再起動を早期に実現できる。これにより、低温時における車両空調装置100の能力低下の抑制と快適性の向上との両立を図ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、スイッチング動作対象である三相の対象アームスイッチング素子は、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2であったが、これに限られず、例えば各上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1であってもよい。詳細には、制御装置60は、ON状態となる上アームスイッチング素子が順次切り替わるように、各上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1を周期的にON/OFFさせることにより、ロータ51を減速させてもよい。この場合、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2は例えばOFF状態を維持するとよい。また、電流センサ61〜63は、相配線ELu〜ELwにおける上アームスイッチング素子Qu1〜Qw1と第1電力線EL1との間に設けられているとよい。
すなわち、減速制御における制御装置60のスイッチング制御態様は、ON状態となる上アームスイッチング素子が順次切り替わるように各上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1をスイッチング動作させる態様でもよい。
○ また、制御装置60は、各上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1及び各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2の双方をスイッチング動作(換言すれば周期的にON/OFF)させてもよい。すなわち、スイッチング動作対象である三相の対象アームスイッチング素子は、三相の上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1と三相の下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2との双方でもよい。この場合、制御装置60は、同一相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とが同時にON状態とならないように制御するとよい。詳細には、制御装置60のスイッチング制御態様は、同一相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とが同時にON状態とならないように、ON状態となる上アームスイッチング素子を順次切り替えるとともに、ON状態となる下アームスイッチング素子を順次切り替える態様でもよい。
つまり、制御装置60は、減速制御では、三相の上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1及び三相の下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のうち少なくとも1つのスイッチング素子をON状態にすることによりロータ51を減速させればよい。この場合、減速制御における制御装置60のスイッチング制御態様は、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のうち1又は複数のスイッチング素子がON状態となり且つ他のスイッチング素子がOFF状態となる組み合わせの第1態様と、第1態様の組み合わせとは異なる組み合わせの第2態様とを含んでいればよい。これにより、特定のスイッチング素子のみが局所的に発熱する事態を抑制でき、それを通じて好適にロータ51を停止させることができる。
なお、第2態様は、各スイッチング素子Qu1〜Qw2のON/OFFの組み合わせが第1態様と異なっていればよく、ON状態となる相のスイッチング素子の一部が第1態様と重複してもよい。例えば、二相パターンにおいて、Qu2,Qv2:ON且つQu1,Qv1,Qw1,Qw2:OFFの態様を第1態様とし、Qv2,Qw2:ON且つQu1,Qv1,Qw1,Qu2:OFFを第2態様とする。この場合、v相下アームスイッチング素子Qv2は、第1態様及び第2態様の双方においてON状態となっている。一方、第1態様ではu相下アームスイッチング素子Qu2がON状態となり、第2態様ではw相下アームスイッチング素子Qw2がON状態となっているため、第1態様と第2態様とは、ON状態となる相のスイッチング素子が異なっている。
○ 制御装置60は、スイッチングパターン又はデューティ比Dのいずれか一方を可変制御する構成でもよい。例えば、制御装置60は、スイッチングパターンを一相パターン又は二相パターンのいずれかに固定し、デューティ比Dのみを可変制御してもよいし、デューティ比Dを固定し、スイッチングパターンを、一相パターン又は二相パターンに切り替えてもよい。要は、制御装置60は、回転数rに応じて、スイッチングパターン及びデューティ比Dの少なくとも一方を可変制御すればよい。
○ 制御装置60は、回転数rが低くなるに従ってデューティ比Dが徐々に高くなるようにデューティ比Dを連続的に可変制御してもよい。
○ 一相パターンにおけるON状態となる下アームスイッチング素子の順序は任意である。例えば、一相パターンは、ON状態となる下アームスイッチング素子が、w相下アームスイッチング素子Qw2→v相下アームスイッチング素子Qv2→u相下アームスイッチング素子Qu2の順に切り替わる構成でもよい。二相パターンについても同様である。
○ 二相パターンにおいて、同時にON状態となる相の組み合わせは任意である。
○ スイッチングパターンは、ON状態となる対象アームスイッチング素子が順次切り替わるように設定されていれば、その具体的な態様は任意である。例えば、スイッチングパターンは、三相の対象アームスイッチング素子が全てON状態となる三相ON態様を介して、一相の対象アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となる態様でもよい。
○ 実施形態で説明した二相パターンは、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2がON状態となるタイミングがずれていたが、これに限られない。例えば、二相パターンは、ON状態となる二相の下アームスイッチング素子のONタイミングが一致するスイッチングパターンでもよい。例えば、二相パターンは、Qu2,Qv2:ON且つQw2:OFF→Qu2,Qv2,Qw2:OFF→Qv2,Qw2:ON且つQu2:OFF→Qu2,Qv2,Qw2:OFF→Qu2,Qw2:ON且つQv2:OFF→Qu2,Qv2,Qw2:OFF→Qu2,Qv2:ON且つQw2:OFF→…となるスイッチングパターンでもよい。すなわち、二相パターンは、三相の対象アームスイッチング素子の全てがOFF状態となるインターバル態様を介して、二相の対象アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となるスイッチングパターンでもよい。換言すれば、二相パターンは、インターバル態様を介するスイッチングパターンと、一相ON態様を介するスイッチングパターンと、三相ON態様を介するスイッチングパターンと、インターバル態様、一相ON態様及び三相ON態様のいずれの態様も介さないスイッチングパターンと、のうち少なくとも1つを含めばよい。
なお、実施形態では、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2におけるON状態となるタイミングがずれていた関係上、デューティ比Dを調整することにより、スイッチングパターンが一相パターン又は二相パターンに切り替わった。しかしながら、上記のように、各下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2におけるON状態となるタイミングが同時である場合(すなわち位相ずれがない場合)には、デューティ比Dを調整しても、スイッチングパターンは切り替わらない。すなわち、デューティ比Dとスイッチングパターンとは、互いに関連付けられていてもよいし、関連付けられていなくてもよい。
○ 制御装置60がロータ51の回転方向及び回転数rを把握するための具体的な構成は任意であり、例えばレゾルバ等の回転角センサを設け、当該回転角センサの検出結果に基づいて把握する構成でもよい。
○ インジェクションポート43の位置や数は任意である。
○ 電動圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず、任意である。
○ 電動圧縮機10は、車両空調装置100に用いられていたが、これに限られず、他の装置に用いられてもよい。例えば、車両が燃料電池を搭載した燃料電池車両(FCV)である場合には、当該電動圧縮機10は、上記燃料電池に空気を供給する供給装置に用いられてもよい。要は、圧縮対象の流体は、任意であり、冷媒であってもよいし空気などであってもよい。
○ 実施形態及び各別例を適宜組み合わせてもよい。例えば、制御装置60は、ON状態となる上アームスイッチング素子が順次切り替わるように三相の上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のスイッチング動作を行い、その後ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わるように三相の下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のスイッチング動作を行う構成でもよい。例えば、制御装置60は、三相の上アームスイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1又は三相の下アームスイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2についてスイッチング動作を行い、その後各スイッチング素子Qu1〜Qw2についてスイッチング動作を行う構成でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)前記制御部は、前記回転数が低くなるほど、前記三相モータに流れる電流が高くなるような前記スイッチングパターン及び前記デューティ比を選択する請求項に記載の電動圧縮機。
10…電動圧縮機、11…ハウジング、11a…吸入口、14…回転軸、15…圧縮部、16…電動モータ(三相モータ)、31…固定スクロール、32…可動スクロール、33…圧縮室、43…インジェクションポート、51…ロータ、55…インバータ(駆動回路)、60…制御装置、100…車両空調装置、119…インジェクション配管、Iu,Iv,Iw…相電流、Qu1,Qv1,Qw1…上アームスイッチング素子、Qu2,Qv2,Qw2…下アームスイッチング素子、r…ロータの回転数、D…デューティ比。

Claims (6)

  1. ロータを有する三相モータと、
    流体が吸入される吸入口が形成されたハウジングと、
    前記三相モータによって駆動されるものであって、前記吸入口から吸入された吸入流体を圧縮し、且つ、その圧縮された圧縮流体を吐出する圧縮部と、
    前記三相モータを駆動させる駆動回路と、
    前記駆動回路を制御する制御部と、
    を備えた電動圧縮機において、
    前記圧縮部は、
    前記ハウジングに固定された固定スクロールと、
    前記固定スクロールと噛み合うものであって前記固定スクロールに対して公転運動が可能な可動スクロールと、
    前記固定スクロールと前記可動スクロールとによって区画された圧縮室と、
    を有し、前記ロータが予め定められた正方向に回転する場合に前記可動スクロールが正方向に公転運動することにより、前記圧縮室に吸入される前記吸入流体を圧縮するものであり、
    前記電動圧縮機は、前記吸入流体よりも高圧であって前記圧縮流体よりも低圧の中間圧流体を前記圧縮室に導入するインジェクションポートを備え、
    前記駆動回路は、
    互いに接続されたu相上アームスイッチング素子及びu相下アームスイッチング素子と、
    互いに接続されたv相上アームスイッチング素子及びv相下アームスイッチング素子と、
    互いに接続されたw相上アームスイッチング素子及びw相下アームスイッチング素子と、を備え、
    前記制御部は、前記ロータが前記正方向とは逆方向に回転していることに基づいて、三相の上アームスイッチング素子及び三相の下アームスイッチング素子のうち少なくとも1つのスイッチング素子をON状態にすることにより、前記ロータを減速させる減速制御を行うものであり、
    前記減速制御における前記制御部のスイッチング制御態様は、
    ON状態となる上アームスイッチング素子が順次切り替わるように前記三相の上アームスイッチング素子をスイッチング動作させる態様、
    ON状態となる下アームスイッチング素子が順次切り替わるように前記三相の下アームスイッチング素子をスイッチング動作させる態様、又は、
    同一相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とが同時にON状態とならない条件下でON状態となる相のスイッチング素子が順次切り替わるように、前記三相の上アームスイッチング素子及び前記三相の下アームスイッチング素子の双方をスイッチング動作させる態様のいずれかを含むことを特徴とする電動圧縮機。
  2. 前記ロータの回転方向及び回転数を把握する把握部を備え、
    前記制御部は、前記減速制御では、前記把握部によって把握された前記回転数に基づいて、前記三相モータに流れる電流が予め定められた許容値を超えないように、前記減速制御においてスイッチング動作対象である三相の対象アームスイッチング素子のスイッチングパターン及びデューティ比の少なくとも一方を可変制御する請求項に記載の電動圧縮機。
  3. 前記スイッチングパターンは、
    前記三相の対象アームスイッチング素子のうち、一相の対象アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の二相の対象アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含み、且つ、複数相の対象アームスイッチング素子が同時にON状態とならない一相パターンと、
    前記三相の対象アームスイッチング素子のうち、二相の対象アームスイッチング素子が予め定められた順序でON状態となり、他の一相の対象アームスイッチング素子がOFF状態となる態様を含む二相パターンと、
    を有し、
    前記制御部は、前記回転数が予め定められた閾値回転数以上である場合には前記スイッチングパターンを前記一相パターンに設定する一方、前記回転数が前記閾値回転数未満である場合には前記スイッチングパターンを前記二相パターンに設定する請求項に記載の電動圧縮機。
  4. 前記制御部は、前記回転数が低くなるに従って前記デューティ比を高くする請求項又は請求項に記載の電動圧縮機。
  5. 前記把握部は、前記減速制御によって前記三相モータに流れる電流に基づいて、前記ロータの回転方向及び回転数を把握する請求項のうちいずれか一項に記載の電動圧縮機。
  6. 前記電動圧縮機は、車両に搭載され、且つ、車両空調装置に用いられるものである請求項1〜のうちいずれか一項に記載の電動圧縮機。
JP2016131958A 2015-08-28 2016-07-01 電動圧縮機 Active JP6668976B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1020160107587A KR101859833B1 (ko) 2015-08-28 2016-08-24 전동 압축기
DE102016115719.8A DE102016115719B4 (de) 2015-08-28 2016-08-24 Motorgetriebener Kompressor
US15/247,109 US10087935B2 (en) 2015-08-28 2016-08-25 Motor-driven compressor

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015168987 2015-08-28
JP2015168987 2015-08-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017044205A JP2017044205A (ja) 2017-03-02
JP6668976B2 true JP6668976B2 (ja) 2020-03-18

Family

ID=58211546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016131958A Active JP6668976B2 (ja) 2015-08-28 2016-07-01 電動圧縮機

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6668976B2 (ja)
KR (1) KR101859833B1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7006558B2 (ja) * 2018-09-28 2022-01-24 株式会社豊田自動織機 電動圧縮機
CN113389728B (zh) * 2021-06-11 2023-03-03 浙江科技学院 涡旋压缩机及其平面运动主动控制方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5768863B2 (ja) * 2013-11-18 2015-08-26 株式会社豊田自動織機 電動圧縮機
JP6211922B2 (ja) * 2013-12-26 2017-10-11 カルソニックカンセイ株式会社 電動コンプレッサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017044205A (ja) 2017-03-02
KR101859833B1 (ko) 2018-05-18
KR20170026200A (ko) 2017-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10087935B2 (en) Motor-driven compressor
JP2008104337A (ja) 冷媒圧縮機用電動機の制御装置
US9755565B2 (en) Motor drive device
KR101814899B1 (ko) 전동 압축기
JP2012127328A (ja) 圧縮機
JP6217667B2 (ja) 電動圧縮機
JP6668976B2 (ja) 電動圧縮機
JP6658356B2 (ja) 電動圧縮機
JP6235381B2 (ja) 圧縮機
JP6241441B2 (ja) 電動圧縮機
US20020008493A1 (en) Device for driving an air-conditioning compressor
JP7322808B2 (ja) インバータ制御装置及び車載用流体機械
JP2002027777A (ja) モータのトルク制御方法
JP6036604B2 (ja) 電動圧縮機
US10190587B2 (en) Motor-driven compressor
CN111034011B (zh) 电动机驱动装置和使用它的冷藏库
JP3829212B2 (ja) インバータ装置及び冷凍装置
JP7006558B2 (ja) 電動圧縮機
JP7380543B2 (ja) 車載用インバータ装置及び車載用流体機械
WO2024084913A1 (ja) スクロール式電動圧縮機
JP2016089748A (ja) 電動圧縮機
JP2023136220A (ja) 電動圧縮機
JP2024024880A (ja) 電動機
CN116892513A (zh) 电动压缩机
JPS623181A (ja) 圧縮機駆動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181005

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190806

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200210

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6668976

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151