以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下では、一例として、ケーブルテレビの放送信号を準ミリ波帯である23GHz帯で空間伝送する無線システムを説明する。
図1は、無線システム1の概要を示す図である。図1に示すように、無線システム1は、送信装置2及び受信装置3を有する。送信装置2は、不図示の光ファイバ又は同軸ケーブルを介して入力されるコンテンツ信号6を周波数変換する。コンテンツ信号6は、ケーブルテレビの放送信号であるOFDM信号又は64QAM信号である。ケーブルテレビの放送信号の周波数帯は、70〜770MHzであり、そのうち地上デジタル放送は470〜710MHzである。空間伝送信号7は、送信用のアンテナ4を介して空間を伝送される信号である。「JCTEA STD−023−2.0」の標準規格によれば、空間伝送信号7の規定の伝送帯域は、固定局であれば23.2〜23.6GHz、陸上移動局であれば23.28〜23.52GHzである。受信装置3は、受信用のアンテナ5を介して受信される空間伝送信号7を周波数変換する。コンテンツ信号8は、コンテンツ信号6と同じ周波数帯に周波数変換された信号であり、不図示の光ファイバ又は同軸ケーブルを介して更に伝送される。
以下、図2〜図4を参照しながら、第1の実施形態における無線システム1aについて説明する。無線システム1aは、送信装置2a及び受信装置3aを有する。
図2は、第1の実施形態に係る送信装置2aの一例を示すブロック図である。図2に示すように、送信装置2aは、主ローカル信号12を発振する主発振手段としての発振部11と、主ローカル信号12よりも低い発振周波数の送信側副ローカル信号15を発振する送信側副発振手段としての発振部14と、送信側副ローカル信号15に基づいて、主ローカル信号12を周波数変換し、送信側調整後ローカル信号18とする送信側調整後ローカル信号生成手段としての周波数変換部16及び信号増幅部17と、送信側調整後ローカル信号18に基づいて、コンテンツ信号6を周波数変換し、周波数変換信号20とする周波数変換信号生成手段としての周波数変換部19と、主ローカル信号12及び周波数変換信号20を合成し、空間伝送信号7aとする信号合成手段としての信号合成部21と、を備える。
発振部11は、主ローカル信号12を発振する。主ローカル信号12は、コンテンツ信号6の周波数変換に用いられるローカル信号、すなわち送信側調整後ローカル信号18の基になる信号である。ここで、本実施形態におけるローカル信号は、ローカル信号を作るための基準となる信号、すなわち基準信号とは異なる。本実施形態では、混乱を避けるために、基準信号については図面に示していない。本実施形態では、主ローカル信号12の発振周波数は11GHz程度であるが、位相雑音品質が低くても良いから、発振部11は安価な発振器で良い。信号分配部13は、主ローカル信号12を周波数変換部16と信号合成部21に分配する。
発振部14は、送信側副ローカル信号15を発振する。送信側副ローカル信号15は、送信装置2aにおいて主ローカル信号12を調整するための信号である。送信側副ローカル信号15は高い周波数安定度を確保する必要があるが、本実施形態では、送信側副ローカル信号15の発振周波数は150〜300MHzであるため、生産が容易な発振器、すなわち比較的安価な発振器を用いることができる。例えば、水晶発振器等によって要求特性を容易に達成できる。
ここで、主ローカル信号12の発振周波数は、空間伝送信号7aの規定の伝送帯域の少なくとも1/10以上、望ましくは1/5以上である。一方、送信側副ローカル信号15の発振周波数は、空間伝送信号7aの規定の伝送帯域よりも、少なくとも1/10未満、望ましくは1/50未満である。従って、送信側副ローカル信号15の発振周波数は、少なくとも主ローカル信号12の発振周波数よりも低く、望ましくは1/10未満である。
周波数変換部16は、送信側副ローカル信号15に基づいて、主ローカル信号12の周波数を、コンテンツ信号6の周波数変換に用いるための周波数に変換する。信号増幅部17は、周波数変換部16から出力される信号を増幅し、送信側調整後ローカル信号18とする。
周波数変換部19は、送信側調整後ローカル信号18に基づいて、コンテンツ信号6を高周波に上昇変換し、周波数変換信号20とする。信号合成部21は、主ローカル信号12を逓倍して周波数変換信号20と合成し、空間伝送信号7aとする。ここで、信号合成部21は、空間伝送信号7aに含まれる主ローカル信号12の周波数を空間伝送信号7aの規定の伝送帯域内とする。
図3は、第1の実施形態に係る空間伝送信号7aの模式図である。前述の通り、合成後の主ローカル信号12は、空間伝送信号7aの規定の伝送帯域内に含まれる。従って、主ローカル信号12は、周波数変換信号20とともに、「JCTEA STD−023−2.0」の標準規格に従って空間伝送が可能となる。
表1は、規定の伝送帯域が23.2〜23.6GHzの固定局における、コンテンツ信号6の伝送帯域と、主ローカル信号12の発振周波数、送信側副ローカル信号15の発振周波数、送信側調整後ローカル信号18の周波数、周波数変換信号20の伝送帯域及び空間伝送信号7aに含まれる主ローカル信号12の周波数の対応関係の例を3パターン示している。
第1パターンの場合、コンテンツ信号6の伝送帯域は450〜770MHz、発振部11によって発振される主ローカル信号12の発振周波数は11.6005GHz、発振部14によって発振される送信側副ローカル信号15の発振周波数は0.2055GHzである。
周波数変換部16は、主ローカル信号12の周波数を、主ローカル信号12と送信側副ローカル信号15の周波数の差の2倍に変換し、送信側調整後ローカル信号18の周波数とする。従って、送信側調整後ローカル信号18の周波数は、(11.6005−0.2055)×2=22.79GHzとなる。
周波数変換部19は、コンテンツ信号6の周波数を、送信側調整後ローカル信号18とコンテンツ信号6の和の周波数に変換し、周波数変換信号20の周波数とする。従って、周波数変換信号20の伝送帯域は、0.45+22.79=23.24GHzから、0.77+22.79=23.56GHzまでとなる。これは、固定局における空間伝送信号7aの規定の伝送帯域、すなわち23.2〜23.6GHz内である。
信号合成部21は、主ローカル信号12の周波数を2倍に変換し、周波数変換信号20と合成する。従って、空間伝送信号7aに含まれる主ローカル信号12の周波数は、11.6005×2=23.201GHzとなる。これは、固定局における空間伝送信号7aの規定の伝送帯域、すなわち23.2〜23.6GHz内である。
第2パターンの場合、コンテンツ信号6の伝送帯域が390〜710MHz、主ローカル信号12の発振周波数が11.6005GHz、送信側副ローカル信号15の発振周波数が、0.1755GHz、送信側調整後ローカル信号18の周波数が、(11.6005−0.1755)×2=22.85GHzである。第3パターンの場合、コンテンツ信号6の伝送帯域が350〜670MHz、主ローカル信号12の発振周波数が11.6005GHz、送信側副ローカル信号15の発振周波数が、0.1555GHz、送信側調整後ローカル信号18の周波数が、(11.6005−0.1555)×2=22.89GHzである。
第2パターン及び第3パターンの場合も、第1パターンの場合と同様、周波数変換信号20の伝送帯域が23.24〜23.56GHz、空間伝送信号7aに含まれる主ローカル信号12の周波数が23.201GHzとなり、いずれも固定局における空間伝送信号7aの規定の伝送帯域内である。
表2は、規定の伝送帯域が23.28〜23.52GHzの陸上移動局における、コンテンツ信号6の伝送帯域と、主ローカル信号12、送信側副ローカル信号15、送信側調整後ローカル信号18及び周波数変換信号20の伝送帯域の対応関係の例を4パターンを示している。陸上移動局の4パターンについても、固定局と同様、周波数変換信号20の伝送帯域と空間伝送信号7aに含まれる主ローカル信号12の周波数は、陸上移動局における空間伝送信号7aの規定の伝送帯域内である。
尚、周波数の具体的な数値は、表1及び表2の例に限定されるものではない。主ローカル信号12や送信側副ローカル信号15の発振周波数は他の数値でも良いし、各周波数変換部による変換や信号合成部による合成は他の数式に従っても良い。
図4は、第1の実施形態に係る受信装置3aの一例を示すブロック図である。図4に示すように、受信装置3aは、空間伝送信号7aから主ローカル信号12を抽出する主ローカル信号抽出手段としての信号抽出部32と、発振周波数が送信側副ローカル信号15と同一に設定されている受信側副ローカル信号34を発振する受信側副発振手段としての発振部33と、受信側副ローカル信号34に基づいて、主ローカル信号12を周波数変換し、受信側調整後ローカル信号37とする受信側調整後ローカル信号生成手段としての周波数変換部35及び信号増幅部36と、受信側調整後ローカル信号37に基づいて、空間伝送信号7aを周波数変換し、コンテンツ信号8aとするコンテンツ信号生成手段としての周波数変換部38と、を備える。
信号分配部31は、受信用のアンテナ5を介して受信される空間伝送信号7aを信号抽出部32の周波数変換部322と、周波数変換部38に分配する。
信号抽出部32は、発振部321、周波数変換部322、帯域通過フィルタ部323及び周波数変換部324を備え、空間伝送信号7aから主ローカル信号12を抽出する。発振部321は、信号抽出部32内で用いられる基準信号を発振し、周波数変換部322及び周波数変換部324に供給する。周波数変換部322は、発振部321によって供給される基準信号に基づいて、空間伝送信号7aを低周波に下降変換する。帯域通過フィルタ部323は、周波数変換部322によって低周波に下降変換される信号のうち、主ローカル信号12を通過させ、それ以外の周波数変換信号20等の信号を減衰させる。周波数変換部324は、発振部321によって供給される基準信号に基づいて、帯域通過フィルタ部323を通過する信号を高周波に上昇変換し、主ローカル信号12として抽出する。
発振部33は、受信側副ローカル信号34を発振する。受信側副ローカル信号34は、受信装置3aにおいて主ローカル信号12を調整するための信号である。発振部33において発振される受信側副ローカル信号34の発振周波数は、送信側副ローカル信号15の発振周波数と同一に設定される。受信側副ローカル信号34も、送信側副ローカル信号15と同様、高い周波数安定度を確保する必要があるが、本実施形態では、受信側副ローカル信号34の発振周波数は150〜300MHzであるため、生産が容易な発振器、すなわち比較的安価な発振器を用いることができる。例えば、水晶発振器等によって要求特性を容易に達成できる。
周波数変換部35は、受信側副ローカル信号34に基づいて、主ローカル信号12の周波数を空間伝送信号7aの周波数変換に用いるための周波数に変換する。信号増幅部36は、周波数変換部35から出力される信号を増幅し、受信側調整後ローカル信号37とする。
周波数変換部38は、受信側調整後ローカル信号37に基づいて、空間伝送信号7aを低周波に下降変換し、コンテンツ信号8aとする。
以上の通り、第1の実施形態における無線システム1aは、送信装置2aと受信装置3aが主ローカル信号12を共用し、主ローカル信号12を基にする信号、すなわち送信側調整後ローカル信号18に基づいてコンテンツ信号6の周波数変換を行い、受信装置3aは、空間伝送信号7aの一部として空間を伝送される主ローカル信号12を基にする信号、すなわち受信側調整後ローカル信号37に基づいて周波数変換信号20の周波数変換を行い、コンテンツ信号8aに戻す。これによって、主ローカル信号12の位相雑音特性が相殺される。
ここで、主ローカル信号12の位相雑音特性の相殺とは、送信装置2aにおいて発振される主ローカル信号12の位相雑音が多いとしても、受信装置3aにおいて受信され、抽出される主ローカル信号12にも同程度の位相雑音が含まれているため、送信装置2aによる周波数変換と受信装置3aによってコンテンツ信号8aへ戻した結果として、位相雑音の影響が相殺されることを意味する。従って、第1の実施形態の技術的思想は、送信側のローカル信号の周波数と受信側のローカル信号の周波数を完全に同期させるように構成される従来の技術とは大きく異なる。そして、システム全体の伝送品質としては、第1の実施形態の技術的思想は、送信側と受信側のそれぞれにおいて、極めて高品質なローカル信号を発振するローカル発振器を備えることと同等の効果がある。
無線システム1aによれば、位相雑音特性の相殺によって、主ローカル信号12を発振する発振部11は、必ずしも位相雑音品質が高い必要はないので、安価な発振器で構成することができ、イニシャルコストやメンテナンスコストを低減することが可能となる。
また、無線システム1aでは、表1及び表2に示すように、送信側副ローカル信号15の発振周波数及び受信側副ローカル信号34の発振周波数は可変であり、コンテンツ信号6の伝送帯域を選択可能である。これによって、必要に応じて伝送するコンテンツを変更することができる。例えば、災害時には、地域の災害情報や避難情報を優先して伝送することが考えられる。このように、無線システム1aは、ケーブルテレビ局等のユーザにとって柔軟性が高く、利便性が高いシステムと言える。
以下、図5〜図7を参照しながら、第2の実施形態における無線システム1bについて説明する。無線システム1bは、送信装置2b及び受信装置3bを有する。
図5は、第2の実施形態に係る送信装置2bの一例を示すブロック図である。図5に示すように、送信装置2bは、主ローカル信号42を発振する主発振手段としての発振部41と、主ローカル信号42よりも低い発振周波数の副ローカル信号46を発振する副発振手段としての発振部45と、副ローカル信号46に基づいて、主ローカル信号42を周波数変換し、第1調整後ローカル信号51とする第1調整後ローカル信号生成手段としての周波数変換部48、帯域通過フィルタ部49及び信号増幅部50と、副ローカル信号46に基づいて、主ローカル信号42を周波数変換し、第1調整後ローカル信号51とは異なる第2調整後ローカル信号53とする第2調整後ローカル信号生成手段としての周波数変換部52と、第1調整後ローカル信号51に基づいて、コンテンツ信号6を周波数変換し、周波数変換信号55とする周波数変換信号生成手段としての周波数変換部54と、主ローカル信号42、第2調整後ローカル信号53及び周波数変換信号55を合成し、空間伝送信号7bとする信号合成手段としての信号合成部57と、を備える。
発振部41は、主ローカル信号42を発振する。主ローカル信号42は、コンテンツ信号6の周波数変換に用いられるローカル信号、すなわち第1調整後ローカル信号51や、受信側において第1調整後ローカル信号51を生成するための信号、すなわち第2調整後ローカル信号53の基になる信号である。本実施形態では、主ローカル信号42の発振周波数は11GHz程度であるが、位相雑音品質が低くても良いから、発振部41は安価な発振器で良い。信号分配部43は、主ローカル信号42を信号分配部44と周波数変換部48に分配する。信号分配部44は、主ローカル信号42を周波数変換部52と信号合成部56に分配する。
発振部45は、副ローカル信号46を発振する。副ローカル信号46は、主ローカル信号42を調整するための信号である。副ローカル信号46は高い周波数安定度を確保する必要があるが、本実施形態では、副ローカル信号46の発振周波数は200〜400MHzであるため、生産が容易な発振器、すなわち比較的安価な発振器を用いることができる。例えば、水晶発振器等によって要求特性を容易に達成できる。
ここで、主ローカル信号42の発振周波数は、空間伝送信号7bの規定の伝送帯域の少なくとも1/10以上、望ましくは1/5以上である。一方、副ローカル信号46の発振周波数は、空間伝送信号7bの規定の伝送帯域よりも、少なくとも1/10未満、望ましくは1/50未満である。従って、副ローカル信号46の発振周波数は、少なくとも主ローカル信号42の発振周波数よりも低く、望ましくは1/10未満である。
信号分配部47は、副ローカル信号46を周波数変換部48と周波数変換部52に分配する。周波数変換部48は、副ローカル信号46に基づいて、主ローカル信号42の周波数を、コンテンツ信号6の周波数変換に用いるための周波数に変換する。帯域通過フィルタ部49は、周波数変換部48によって変換される信号のうち、コンテンツ信号6の周波数変換に用いるための周波数に係る信号を通過させ、それ以外の信号を減衰させる。信号増幅部50は、帯域通過フィルタ部49を通過する信号を増幅し、第1調整後ローカル信号51とする。
周波数変換部52は、副ローカル信号46に基づいて、主ローカル信号42の周波数を、第1調整後ローカル信号51とは異なる周波数に変換し、第2調整後ローカル信号53とする。
周波数変換部54は、第1調整後ローカル信号51に基づいて、コンテンツ信号6を高周波に上昇変換し、周波数変換信号55とする。信号合成部56は、主ローカル信号42を逓倍して第2調整後ローカル信号53と合成する。信号合成部57は、信号合成部56から出力される信号、すなわち主ローカル信号42及び第2調整後ローカル信号53を含む信号と周波数変換信号55を合成し、空間伝送信号7bとする。ここで、信号合成部56及び信号合成部57は、空間伝送信号7bに含まれる主ローカル信号42及び第2調整後ローカル信号53の周波数を空間伝送信号7bの規定の伝送帯域内とする。
図6は、第2の実施形態に係る空間伝送信号7bの模式図である。前述の通り、合成後の主ローカル信号42及び第2調整後ローカル信号53は、空間伝送信号7bの規定の伝送帯域内に含まれる。従って、主ローカル信号42及び第2調整後ローカル信号53は、周波数変換信号55とともに、「JCTEA STD−023−2.0」の標準規格に従って空間伝送が可能となる。
表3は、規定の伝送帯域が23.2〜23.6GHzの固定局における、コンテンツ信号6の伝送帯域と、主ローカル信号42の発振周波数、副ローカル信号46の発振周波数、副ローカル信号46の分周後の周波数、第1調整後ローカル信号51の周波数、周波数変換信号55の伝送帯域、空間伝送信号7bに含まれる第2調整後ローカル信号53の周波数及び空間伝送信号7bに含まれる主ローカル信号42の周波数の対応関係の例を2パターン示している。
第1パターンの場合、コンテンツ信号6の伝送帯域は437〜757MHz、発振部41によって発振される主ローカル信号42の発振周波数は11.6005GHz、発振部45によって発振される副ローカル信号46の発振周波数は0.398GHzとし、これを分周器によって1/2に分周し、0.398GHz×1/2=0.199GHzとする。
周波数変換部48は、主ローカル信号42の周波数を、主ローカル信号42と副ローカル信号46の周波数の差の2倍に変換し、第1調整後ローカル信号51の周波数とする。従って、第1調整後ローカル信号51の周波数は、(11.6005−0.199)×2=22.803GHzとなる。
周波数変換部54は、コンテンツ信号6の周波数を、第1調整後ローカル信号51とコンテンツ信号6の和の周波数に変換し、周波数変換信号55の周波数とする。従って、周波数変換信号55の伝送帯域は、0.437+22.803=23.24GHzから、0.757+22.803=23.56GHzまでとなる。これは、固定局における空間伝送信号7bの規定の伝送帯域、すなわち23.2〜23.6GHz内である。
周波数変換部52は、主ローカル信号42の周波数を、主ローカル信号42と副ローカル信号46の分周後の周波数の和の2倍に変換し、第2調整後ローカル信号53の周波数とする。従って、第2調整後ローカル信号53の周波数は、(11.6005+0.199)×2=23.599GHzとなる。これは、固定局における空間伝送信号7bの規定の伝送帯域内である。
信号合成部56及び信号合成部57は、主ローカル信号42の周波数を2倍に変換し、周波数変換信号55と合成する。従って、空間伝送信号7bに含まれる主ローカル信号42の周波数は、11.6005×2=23.201GHzとなる。これは、固定局における空間伝送信号7bの規定の伝送帯域内である。
第2パターンの場合、コンテンツ信号6の伝送帯域が238〜558MHz、主ローカル信号42の発振周波数が11.6005GHz、副ローカル信号46の発振周波数が0.398GHz、分周器によって1/4に分周した副ローカル信号46の分周後の周波数が0.398GHz×1/4=0.0995GHz、第1調整後ローカル信号51の周波数が、(11.6005−0.0995)×2=23.002GHzである。
第2パターンの場合も、第1パターンの場合と同様、周波数変換信号55の伝送帯域が23.24〜23.56GHz、空間伝送信号7bに含まれる第2調整後ローカル信号53の周波数が23.599GHz、空間伝送信号7bに含まれる主ローカル信号12の周波数が23.201GHzとなり、いずれも固定局における空間伝送信号7bの規定の伝送帯域内である。
表4は、規定の伝送帯域が23.28〜23.52GHzの陸上移動局における、コンテンツ信号6の伝送帯域と、主ローカル信号42の発振周波数、副ローカル信号46の発振周波数、副ローカル信号46の分周後の周波数、第1調整後ローカル信号51の周波数、周波数変換信号55の伝送帯域、空間伝送信号7bに含まれる第2調整後ローカル信号53の周波数及び空間伝送信号7bに含まれる主ローカル信号42の周波数の対応関係の例を3パターン示している。陸上移動局の3パターンについても、固定局と同様、周波数変換信号55の伝送帯域、空間伝送信号7bに含まれる第2調整後ローカル信号53の周波数及び空間伝送信号7bに含まれる主ローカル信号42の周波数は、陸上移動局における空間伝送信号7bの規定の伝送帯域内である。
尚、周波数の具体的な数値は、表3及び表4の例に限定されるものではない。主ローカル信号42や副ローカル信号46の発振周波数は他の数値でも良いし、各周波数変換部による変換や信号合成部による合成は他の数式に従っても良い。
図7は、第2の実施形態に係る受信装置3bの一例を示すブロック図である。図7に示すように、受信装置3bは、空間伝送信号7bから主ローカル信号42を抽出する主ローカル信号抽出手段としての信号抽出部64と、空間伝送信号7bから第2調整後ローカル信号53を抽出する第2調整後ローカル信号抽出手段としての信号抽出部66及び信号増幅部67と、主ローカル信号42及び第2調整後ローカル信号53を入力として周波数変換し、副ローカル信号とする副ローカル信号生成手段としての周波数変換部68、帯域通過フィルタ部69及び信号増幅部70と、副ローカル信号46に基づいて、主ローカル信号42を周波数変換し、第1調整後ローカル信号51とする第1調整後ローカル信号生成手段としての周波数変換部71及び信号増幅部72と、第1調整後ローカル信号51に基づいて、空間伝送信号7bを周波数変換し、コンテンツ信号8bとするコンテンツ信号生成手段としての周波数変換部73と、を備える。
信号分配部61は、受信用のアンテナ5を介して受信される空間伝送信号7bを信号増幅部62と周波数変換部73に分配する。信号増幅部62は、信号分配部61から出力される空間伝送信号7bを増幅し、信号分配部63に出力する。信号分配部63は、信号増幅部62から出力される信号を、信号抽出部64の周波数変換部642と、信号抽出部66の周波数変換部662に分配する。
信号抽出部64は、発振部641、周波数変換部642、帯域通過フィルタ部643及び周波数変換部644を備え、空間伝送信号7bから主ローカル信号42を抽出する。発振部641は、信号抽出部64内で用いられる基準信号を発振し、周波数変換部642及び周波数変換部644に供給する。周波数変換部642は、発振部641によって供給される基準信号に基づいて、空間伝送信号7bを低周波に下降変換する。帯域通過フィルタ部643は、周波数変換部642によって低周波に下降変換される信号のうち、主ローカル信号42を通過させ、それ以外の周波数変換信号55や第2調整後ローカル信号53等の信号を減衰させる。周波数変換部644は、発振部641によって供給される基準信号に基づいて、帯域通過フィルタ部643を通過する信号を高周波に上昇変換し、主ローカル信号42として抽出する。信号分配部65は、信号抽出部64から出力される主ローカル信号42を周波数変換部68と周波数変換部71に分配する。
信号抽出部66は、発振部661、周波数変換部662、帯域通過フィルタ部663及び周波数変換部664を備え、空間伝送信号7bから第2調整後ローカル信号53を抽出する。発振部661は、信号抽出部66内で用いられる基準信号を発振し、周波数変換部662及び周波数変換部664に供給する。周波数変換部662は、発振部661によって供給される基準信号に基づいて、空間伝送信号7bを低周波に下降変換する。帯域通過フィルタ部663は、周波数変換部662によって低周波に下降変換される信号のうち、第2調整後ローカル信号53を通過させ、それ以外の周波数変換信号55や主ローカル信号42等の信号を減衰させる。周波数変換部664は、発振部661によって供給される基準信号に基づいて、帯域通過フィルタ部663を通過する信号を高周波に上昇変換し、第2調整後ローカル信号53の成分として抽出する。信号増幅部67は、信号抽出部66から出力される信号を増幅し、第2調整後ローカル信号53とする。
周波数変換部68は、主ローカル信号42と第2調整後ローカル信号53を入力として周波数変換する。帯域通過フィルタ部69は、周波数変換部68によって変換される信号のうち、副ローカル信号46の周波数に係る信号を通過させ、それ以外の信号を減衰させる。信号増幅部70は、帯域通過フィルタ部69を通過する信号を増幅し、副ローカル信号46とする。
周波数変換部71は、副ローカル信号46に基づいて、主ローカル信号42を変換する。信号増幅部72は、周波数変換部71から出力される信号を増幅し、第1調整後ローカル信号51とする。
周波数変換部73は、第1調整後ローカル信号51に基づいて、空間伝送信号7bを低周波に下降変換し、コンテンツ信号8bとする。
以上の通り、第2の実施形態における無線システム1bは、送信装置2bが、主ローカル信号42及び副ローカル信号46を発振し、これらに基づいて第1調整後ローカル信号51及び第2調整後ローカル信号53を生成し、第1調整後ローカル信号51に基づいてコンテンツ信号6の周波数変換を行い、受信装置3bは、空間伝送信号7bから主ローカル信号42及び第2調整後ローカル信号53を抽出し、これらを用いて第1調整後ローカル信号51を生成し、第1調整後ローカル信号51に基づいて周波数変換信号55をコンテンツ信号8bに戻す。これによって、周波数変換及びコンテンツ信号8bに戻すために用いられる第1調整後ローカル信号51は送信側と受信側で完全に同期され、伝送品質が確保される。
第2の実施形態における無線システム1bでは、送信装置2bがローカル発振器としての発振部41及び発振部45を備えるのみであり、受信装置3bはローカル発振器が不要なので、イニシャルコストやメンテナンスコストを低減することが可能となる。
コストの観点で第1の実施形態と第2の実施形態と比較すると、第1の実施形態は、受信装置3aもローカル発信器としての発振部33を備えるが、信号抽出部を2つ備える第2の実施形態よりも回路構成が簡易である。従って、イニシャルコストやメンテナンスコストの低減という観点では、両者とも一長一短がある。一方、利便性の観点で第1の実施形態と第2の実施形態と比較すると、第1の実施形態は、表1及び表2に示すように、コンテンツ信号6の伝送帯域が広いが、第2の実施形態は、表3及び表4に示すように、コンテンツ信号6の伝送帯域が狭い。また、第1の実施形態は、コンテンツ信号6の伝送帯域を選択可能である。従って、第1の実施形態の方が、第2の実施形態よりも利便性が高いと言える。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る無線システムの好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。