JP6667845B2 - 次亜塩素酸水の生成方法および生成器 - Google Patents

次亜塩素酸水の生成方法および生成器 Download PDF

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Description

本発明は、水道水などの原水に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液および塩酸を混合して所定濃度、pHの次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水の生成方法および生成器に関する。
植物などの殺菌水として次亜塩素酸水を用いることが知られている。本発明者は、特許文献1において、次亜塩素酸水を用いた植物の洗浄農法を提案している。例えば、次亜塩素酸水を用いた洗浄農法をイチゴ苗の栽培に適用することにより、イチゴの炭そ病感染などを確実に防止できる。
次亜塩素酸水の生成方法としては、電解法および二液法が知られている。農業などにおいて殺菌水として次亜塩素酸水を用いる場合には電解法では生成量が不足するので、二液法が採用される。
特許文献2には、二液法により次亜塩素酸水を生成する殺菌水製造装置が提案されている。この殺菌水製造装置では、原水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液と塩酸を添加して、所定のpH値、所定の残留塩素濃度の次亜塩素酸水を生成している。
特許第5866147号公報 特許第3719589号公報
ここで、次亜塩素酸ナトリウムは塩酸と反応して有毒な塩素ガスが発生する。このため、特許文献2に開示の殺菌水製造装置では、次亜塩素酸ナトリウムおよび塩酸を、それぞれ別個に原水によって希釈し、希釈後の次亜塩素酸ナトリウム水溶液と希釈塩酸を混合することにより、有毒ガスの発生を抑制している。また、配管経路を上流側から下流側に向けて垂直方向の下方に向かうように配置して、運転中断状態、停止状態などにおいて次亜塩素酸ナトリウム水溶液と塩酸とが接触して有毒ガスが発生することを回避すると共に配管経路からのガス抜きを容易にしている。
特許文献2に開示の殺菌水製造装置などの従来の二液法による次亜塩素酸水の生成器は、次亜塩素酸ナトリウム、塩酸を原水に供給(添加)するために一般的なターボ型ポンプ(非容積型ポンプ)を用いている。ポンプを駆動して、タンクに貯留されている次亜塩素酸ナトリウム、塩酸を、ポンプを経由する配管経路を通して原水に供給している。運転停止時には、配管経路内に残留する次亜塩素酸ナトリウム、塩酸を、配管経路を含む循環経路を介してタンクに戻すようにしている。
従来における次亜塩素酸水の生成器では、原水によって希釈される前の次亜塩素酸ナトリウム、塩酸を、ポンプおよび配管経路に沿って流している。これらの薬液によってポンプ内部、配管などの劣化が早く、寿命が短いという問題がある。また、従来の二液法による生成器では、必要されるpH値あるいは残留塩素濃度の次亜塩素酸水を精度良く生成することが困難である。さらには、特許文献2に記載されているように、配管経路を垂直に配置しなければならない等の機器レイアウト上の制約もある。このような理由により、今まで、二液法による次亜塩素酸水の生成器は殆ど実用化されていないのが現状である。
本発明の課題は、簡単な構成により、所定のpH値、濃度の次亜塩素酸水を有毒ガスを発生させることなく生成可能な次亜塩素酸水の生成方法および生成器を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の次亜塩素酸水の生成方法は、
所定の圧力で供給される原水流を形成し、
前記原水流を第1、第2分岐流に分岐させ、
前記第1分岐流に、当該第1分岐流の管路である第1分岐管路に吐出口が連通している第1定量ポンプを用いて、第1薬液タンクに貯留されている予め設定された濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、所定量ずつ断続的に供給し、
前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液が供給された後の前記第1分岐流を、第1ディスクフィルタに通して攪拌混合して、均一な次亜塩素酸ナトリウムの均一な希釈水溶液流を生成し、
前記第2分岐流に、当該第2分岐流の管路である第2分岐管路に吐出口が連通している第2定量ポンプを用いて、第2薬液タンクに貯留されている予め設定された濃度の塩酸を所定量ずつ断続的に供給し、
前記塩酸が供給された後の前記第2分岐流を、第2ディスクフィルタに通して攪拌混合して均一な希釈塩酸流を生成し、
前記次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液流と前記希釈塩酸流とを合流させた後に、第3ディスクフィルタに通して攪拌混合して、所定濃度およびpHの次亜塩素酸水を生成し、
生成される前記次亜塩素酸水の濃度およびpHの制御を、供給される原水流量を計測し、計測結果に基き、前記第1、第2定量ポンプによる前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液および前記塩酸の供給量を増減することにより行うことを特徴としている。
また、本発明の次亜塩素酸水の生成器は、
上流側管路と、
前記上流側管路の下流端から分岐して再び合流する第1分岐管路および第2分岐管路と、
前記第1、第2分岐管路の下流端の合流点から延びている下流側管路と、
原水を、前記上流側管路から前記第1、第2分岐管路のそれぞれを経由して前記下流側管路に圧送する原水供給ポンプと、
予め設定した濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留する第1薬液タンクと、
予め設定した濃度の塩酸を貯留する第2薬液タンクと、
前記第1分岐管路を流れる原水に、前記第1薬液タンクから次亜塩素酸ナトリウム水溶液を所定量ずつ断続的に供給する第1定量ポンプと、
前記第2分岐管路を流れる原水に、前記第2薬液タンクから塩酸を所定量ずつ断続的に供給する第2定量ポンプと、
前記第1分岐管路の途中において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が供給された後の原水を攪拌混合する第1攪拌混合器である第1ディスクフィルタと、
前記第2分岐管路の途中において、塩酸が供給された後の原水を攪拌混合する第2攪拌混合器である第2ディスクフィルタと、
前記下流側管路を流れる次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液および希釈塩酸を攪拌混合する第3攪拌混合器である第3ディスクフィルタと、
を有しており、
前記第1定量ポンプの吐出口は前記第1分岐管路に連通しており、
前記第2定量ポンプの吐出口は前記第2分岐管路に連通していることを特徴としている。
本発明においては、上記のように、溝の入ったディスクの積層体をろ過部分として備えたディスクフィルタを攪拌混合器として用いている。
本発明では、定量ポンプ、例えば、ダイヤフラム型定量ポンプを用いて、次亜塩素酸ナトリウム水溶液および塩酸を原水に供給している。定量ポンプによって原水に供給される次亜塩素酸水溶液、塩酸の量を正確に制御することができる。これにより、予め設定したpH値あるいは残留塩素濃度の次亜塩素酸水を確実に得ることができる。
また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、塩酸が流れる定量ポンプのポンプ室内には、ターボ型ポンプのようなロータ、その軸受などの駆動部分が無いので、これらの水溶液によってポンプが劣化して寿命が短くなる可能性もない。さらに、運転停止後などにおいて、配管内に濃度の高い次亜塩素酸ナトリウム、塩酸が残留することがなく、希釈されたものが僅かの量で混合攪拌器内に残るだけである。よって、有毒ガスが発生せず、また、基本的にガス抜き機構も不要である。
さらには、配管経路のレイアウトの自由度が高く、従来のように、上流から下流に向かって垂直方向に配管しなければならないなどの制約も少ない。箱型などの定まった形状の筐体内に、配管などの構成部品を簡単に組み込むことができる。よって、本発明によれば、実用的な二液法による次亜塩素酸水の生成器を実現できる。
本発明を適用した次亜塩素酸水の生成器の概略構成を示す説明図である。
以下に、図面を参照して本発明を適用した次亜塩素酸水の生成器の実施の形態を説明する。図1は、次亜塩素酸水の生成器の概略構成を示す説明図である。次亜塩素酸水の生成器1は、水道水などの原水の配管経路として、上流側管路2と、この上流側管路2の下流端から二股に分岐して延びる第1分岐管路3および第2分岐管路4と、これら第1、第2分岐管路3、4の下流端の合流点5から延びている下流側管路6とを備えている。例えば、40mm径の硬質塩化ビニル管が用いられる。この構成の配管経路が、図1において二点鎖線で示す生成器筐体7の内部に組み込まれている。
上流側管路2には、給水ポンプ8、開閉弁9、減圧弁10および流量計11が、上流側からこの順序で配置されている。給水ポンプ8によって、水道水などの原水が、上流側管路2から第1、第2分岐管路3、4のそれぞれを経由して下流側管路6に圧送される。流量計11によって、圧送される原水の流量が計測される。
また、次亜塩素酸水の生成器1は、第1薬液タンク21、第2薬液タンク22および第3薬液タンク23を備えている。これらのタンク容量は例えば200リットルである。第1薬液タンク21には、予め設定した濃度、例えば、濃度4%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が貯留され、第2薬液タンク22には、予め設定した濃度、例えば濃度4%の塩酸が貯留される。また、第3薬液タンク23には、生成された次亜塩素酸水が貯留され、ここから、殺菌あるいは消毒対象の植物などに次亜塩素酸水を供給可能である。これら第1〜第3薬液タンク21〜23は、外付けのタンクであってもよいし、内蔵のタンクであってもよい。
さらに、次亜塩素酸水の生成器1は、第1定量ポンプ31および第2定量ポンプ32を備えている。これらの第1、第2定量ポンプ31、32は例えば電磁駆動式のダイヤフラム型定量ポンプであり、ダイヤフラムを所定ストロークで変位させることにより、ポンプ室容積を増減させ、所定量の液体を断続的に繰り返し吐出可能である。
第1定量ポンプ31は、その吸入口31aが第1薬液タンク21に連通し、その吐出口31bが第1分岐管路3の途中位置に連通している。第1定量ポンプ31を駆動することによって、第1分岐管路3を流れる原水に、第1薬液タンク21から次亜塩素酸ナトリウム水溶液を所定量ずつ断続的に供給(添加)することができる。
第2定量ポンプ32は、その吸入口32aが第2薬液タンク22に連通し、その吐出口
32bが第2分岐管路4の途中位置に連通している。第2定量ポンプ32を駆動することによって、第2分岐管路4を流れる原水に、第2薬液タンク22から塩酸を所定量ずつ断続的に供給(添加)することができる。
第1分岐管路3において、第1定量ポンプ31の吐出口31bに連通している部位と、その下流端の合流点5との間には、第1ディスクフィルタ41が配置されている。次亜塩素酸ナトリウム水溶液が供給された後の原水は、第1ディスクフィルタ41を通って流れる間に攪拌混合されて、均一な希釈水溶液となって下流側に流れる。希釈倍率は、例えば、400倍(100ppm)〜4000倍(10ppm)である。
第2分岐管路4の途中において、第2定量ポンプ32の吐出口32bに連通している部位と、その下流端の合流点5との間には、第2ディスクフィルタ42が配置されている。塩酸が供給された後の原水は、第2ディスクフィルタ42を通って流れる間に攪拌混合されて、均一な希釈塩酸となって下流側に流れる。希釈倍率は、例えば、400倍(100ppm)〜4000倍(10ppm)である。
下流側管路6には、第1分岐管路3から次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液が供給され、第2分岐管路4から希釈塩酸が供給される。また、下流側管路6には第3ディスクフィルタ43が配置されている。次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液および希釈塩酸は、第3ディスクフィルタ43を通って流れる間に攪拌混合される。これにより、所定のpH値あるいは所定の残留塩素濃度の次亜塩素酸水が生成される。生成された次亜塩素酸水は、開閉弁12を介して、第3薬液タンク23に一時的に貯留され、ここから、散布対象の植物などへ供給される。例えば、第1〜第3ディスクフィルタの容量は5リットル以上とされる。
次亜塩素酸水の生成器1には制御盤50が配置されている。制御盤50は各部の駆動制御を司る。例えば、生成される次亜塩素酸水のpH値、残留塩素濃度が設定値となるように制御するために、流量計11による計測結果に基き、第1定量ポンプ31による次亜塩素酸ナトリウム水溶液の供給量および第2定量ポンプ32による塩酸の供給量を増減する。
本例では、制御盤50はパルス変換器51を備えており、流量計11によって計測された原水流量を表す流量パルスに基き、必要とされる次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量に対応するパルス信号、および、必要とされる塩酸の量に対応するパルス信号を生成する。これらのパルス信号に基き、第1、第2定量ポンプ31、32をパルス駆動する。具体的には、パルス数に対応する回数だけダイヤフラムを駆動して、必要量の薬液を第1、第2分岐管路3、4に供給する。
以上説明したように、本例の次亜塩素酸水の生成器1では、原水を第1、第2分岐管路3、4に分岐させている。第1分岐管路3を流れる原水に、第1定量ポンプ31を用いて、所定濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を定量ずつ断続的に供給し、第1ディスクフィルタ41を通して攪拌混合して、次亜塩素酸ナトリウムの均一な希釈水溶液を得ている。これと並行して、第2分岐管路を流れる原水に、第2定量ポンプ32を用いて所定濃度の塩酸を定量ずつ断続的に供給し、第2ディスクフィルタ42に通して攪拌混合して均一な希釈塩酸を得ている。得られた次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液と希釈塩酸とを混合して、第3ディスクフィルタ43に通して攪拌混合している。これにより、所定濃度およびpHの次亜塩素酸水が生成される。
1 次亜塩素酸水の生成器
2 上流側管路
3 第1分岐管路
4 第2分岐管路
5 合流点
6 下流側管路
7 生成器筐体
8 給水ポンプ
9 開閉弁
10 減圧弁
11 流量計
12 開閉弁
21 第1薬液タンク
22 第2薬液タンク
23 第3薬液タンク
31 第1定量ポンプ
31a 吸入口
31b 吐出口
32 第2定量ポンプ
32a 吸入口
32b 吐出口
41 第1ディスクフィルタ
42 第2ディスクフィルタ
43 第3ディスクフィルタ
50 制御盤
51 パルス変換器

Claims (3)

  1. 所定の圧力で供給される原水流を形成し、
    前記原水流を第1、第2分岐流に分岐させ、
    前記第1分岐流に、当該第1分岐流の管路である第1分岐管路に吐出口が連通している第1定量ポンプを用いて、第1薬液タンクに貯留されている予め設定された濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、所定量ずつ断続的に供給し、
    前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液が供給された後の前記第1分岐流を、第1ディスクフィルタに通して攪拌混合して、均一な次亜塩素酸ナトリウムの均一な希釈水溶液流を生成し、
    前記第2分岐流に、当該第2分岐流の管路である第2分岐管路に吐出口が連通している第2定量ポンプを用いて、第2薬液タンクに貯留されている予め設定された濃度の塩酸を所定量ずつ断続的に供給し、
    前記塩酸が供給された後の前記第2分岐流を、第2ディスクフィルタに通して攪拌混合して均一な希釈塩酸流を生成し、
    前記次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液流と前記希釈塩酸流とを合流させた後に、第3ディスクフィルタに通して攪拌混合して、所定濃度およびpHの次亜塩素酸水を生成し、
    生成される前記次亜塩素酸水の濃度およびpHの制御を、供給される原水流量を計測し、計測結果に基き、前記第1、第2定量ポンプによる前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液および前記塩酸の供給量を増減することにより行うことを特徴とする次亜塩素酸水の生成方法。
  2. 上流側管路と、
    前記上流側管路の下流端から分岐して再び合流する第1分岐管路および第2分岐管路と、
    前記第1、第2分岐管路の下流端の合流点から延びている下流側管路と、
    原水を、前記上流側管路から前記第1、第2分岐管路のそれぞれを経由して前記下流側管路に圧送する原水供給ポンプと、
    予め設定した濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯留する第1薬液タンクと、
    予め設定した濃度の塩酸を貯留する第2薬液タンクと、
    前記第1分岐管路を流れる原水に、前記第1薬液タンクから次亜塩素酸ナトリウム水溶液を所定量ずつ断続的に供給する第1定量ポンプと、
    前記第2分岐管路を流れる原水に、前記第2薬液タンクから塩酸を所定量ずつ断続的に供給する第2定量ポンプと、
    前記第1分岐管路の途中において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が供給された後の原水を攪拌混合する第1攪拌混合器である第1ディスクフィルタと、
    前記第2分岐管路の途中において、塩酸が供給された後の原水を攪拌混合する第2攪拌混合器である第2ディスクフィルタと、
    前記下流側管路を流れる次亜塩素酸ナトリウムの希釈水溶液および希釈塩酸を攪拌混合する第3攪拌混合器である第3ディスクフィルタと、
    を有しており、
    前記第1定量ポンプの吐出口は前記第1分岐管路に連通しており、
    前記第2定量ポンプの吐出口は前記第2分岐管路に連通していることを特徴とする次亜塩素酸水の生成器。
  3. 前記上流側管路を流れる原水流量を計測する流量計と、
    前記流量計による計測結果に基き、前記第1定量ポンプによる次亜塩素酸ナトリウム水溶液の供給量および前記第2定量ポンプによる塩酸の供給量を増減して、第3薬液タンクに得られる次亜塩素酸水の濃度およびpHを制御する制御盤と、
    を有している請求項2に記載の次亜塩素酸水の生成器。
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