JP6665484B2 - 非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、及び非水系二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系二次電池接着層用組成物、非水系二次電池用接着層、及び非水系二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池(以下、「二次電池」と略記する場合がある。)は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そして、二次電池は、一般に、正極、負極、及び、正極と負極とを隔離して正極と負極との間の短絡を防ぐセパレータなどの電池部材を備えている。
ここで、近年、二次電池においては、電池部材同士を接着するための接着層を設けた電池部材が使用されている。接着層を設けることで二次電池の内部抵抗が増大し、二次電池の低温出力特性が劣化することを抑制するために、電解液に対する膨潤度(以下、「電解液膨潤度」ともいう)が比較的高い重合体をコア部とし、電解液膨潤度が比較的低い重合体をシェル部とするコアシェル構造を有する粒子状重合体を含む接着層用組成物や、かかる組成物を用いて形成された接着層を備えるセパレータ基材が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の接着層用組成物又はセパレータによれば、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。
国際公開第2015/005145号
特許文献1に記載の従来の接着層用組成物は、一の粒子状重合体にて高膨潤度の重合体と低膨潤度の重合体を並存させることで、双方の重合体の特性を発揮させて、二次電池の低温出力特性を向上させている。
ここで、非水系二次電池の製造に際しては、セパレータ基材などの基材に接着層などの機能層を形成してなる電池部材を、そのまま捲き取って保存及び運搬することが一般的であるため、電池部材には、保存及び運搬中に接着層を介して隣接する電池部材同士が膠着する(即ち、ブロッキングする)のを抑制するという要求がある。しかし、上記従来の接着層用組成物は、二次電池の低温出力特性の向上に加えて、ブロッキングを抑制するという点で改善の余地があった。
そこで、本発明は接着層に優れた耐ブロッキング性を発揮させることができ、かつ、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる、非水系二次電池接着層用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐ブロッキング性に優れると共に、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる非水系二次電池用接着層を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、低温出力特性に優れる非水系二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、少なくとも2種類の粒子状重合体を含有させた非水系二次電池接着層用組成物において、2種類の粒子状重合体の電解液膨潤度を、それぞれ特定範囲の値とすると共に、電解液膨潤度が比較的低い粒子状重合体のガラス転移温度を特定値以下とすることにより、接着層の耐ブロッキング性を向上させるとともに、二次電池の低温出力特性を優れたものとすることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、電解液膨潤度が6倍以上である粒子状重合体Aと、電解液膨潤度が2倍以下、且つ、ガラス転移温度が80℃以上である粒子状重合体Bと、を含むことを特徴とする。このように、電解液膨潤度が比較的高い粒子状重合体と、電解液膨潤度が比較的低い粒子状重合体であって特定温度以上のガラス転移温度を有する粒子状重合体とを含有させることで、耐ブロッキング性の高い接着層を形成することができ、さらに、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる組成物を得ることができる。
なお、粒子状重合体の「電解液膨潤度」及び「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
ここで、本発明の非水系二次電池接着層用組成物において、前記粒子状重合体Bの含有量が、前記粒子状重合体Aの含有量に対して、質量基準で、2/3倍以上9倍以下であることが好ましい。このように、電解液膨潤度が異なる2種類の粒子状重合体の含有量を特定の比率とすることで、接着層の耐ブロッキング性を一層向上させるとともに、接着層の接着性を向上させることができ、さらに、二次電池の低温出力特性を一層向上させることができるからである。
また、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、前記粒子状重合体Aのガラス転移温度が、10℃以上100℃以下であることが好ましい。このように、ガラス転移温度が特定温度範囲内である、電解液膨潤度が比較的高い粒子状重合体を含有させることで、接着層の耐ブロッキング性を向上させるとともに、接着性を向上させることができるからである。
さらに、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、前記粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bが、前記粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aの0.6倍以上1.4倍以下であることが好ましい。このように、体積平均粒子径の比率が特定範囲にある2つの粒子状重合体を含有させることで、接着層の接着性を向上させることができ、さらに二次電池の低温出力特性を向上させることができるからである。
さらに、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、結着剤を更に含有し、前記非水系二次電池接着層用組成物の全固形分に対する、前記粒子状重合体Aと前記粒子状重合体Bの合計含有量の比率が、50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。このように、粒子状重合体の含有比率を特定範囲とすることで、接着層の耐ブロッキング性を向上させるとともに、接着性を向上させることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用接着層は、上述の非水系二次電池接着層用組成物の何れかを用いて形成されることを特徴とする。このように、上述の組成物の何れかを用いれば、耐ブロッキング性に優れ、かつ、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる接着層を得ることができる。
さらに、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池は、上述の非水系二次電池用接着層を備えることを特徴とする。このように、上述の接着層を用いれば、低温出力特性に優れる非水系二次電池を得ることができる。
本発明によれば、接着層に優れた耐ブロッキング性を発揮させることができ、かつ、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる非水系二次電池接着層用組成物が得られる。
また、本発明によれば、耐ブロッキング性に優れ、かつ、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる非水系二次電池用接着層が得られる。
さらに、本発明によれば、低温出力特性に優れる非水系二次電池が得られる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、本発明の非水系二次電池用接着層を形成する際に用いることができる。また、本発明の非水系二次電池用接着層は、電池部材同士を接着する際に用いることができる。そして、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用接着層を備えることを特徴とする。
(非水系二次電池接着層用組成物)
本発明の非水系二次電池接着層用組成物は、粒子状重合体A及び粒子状重合体Bを含む。そして、粒子状重合体Aの電解液膨潤度は6倍以上であり、粒子状重合体Bは、電解液膨潤度が2倍以下であるとともに、ガラス転移温度が80℃以上である。
ここで、上述のような粒子状重合体A及びBを非水系二次電池接着層用組成物に配合することで、上述したような優れた効果が得られる理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
すなわち、比較的高膨潤度である粒子状重合体Aは、電解液の保液性に富むので、電解液中において、例えば、リチウムイオンなどの電池反応に寄与するイオンが通過可能な間隙を粒子状重合体中にて創出することができる。これにより、接着層の抵抗を下げることができるので、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。反面、粒子状重合体Aは膨潤度が高いために、変形し易く、さらには、電解液中においてフィルム状に広がり、接着層内に含まれる粒子状重合体A同士や、他の固形成分との間の間隙を狭める或いは塞ぐ虞がある。そこで、本発明では、比較的低膨潤度の粒子状重合体Bを接着層に含有させることで、接着層を形成した際(電解液に浸漬する前)に接着層内に存在する間隙が、電解液により膨潤した粒子状重合体Aにより狭められる或いは塞がれることを物理的に阻害する。このような粒子状重合体Bの作用により、本願発明により、二次電池の低温出力特性を一層向上させることができたと推察される。さらに、本発明では、比較的低膨潤度の粒子状重合体Bのガラス転移温度を特定温度以上とすることで、接着層を変形しにくくして、接着層の耐ブロッキング性を向上させることができたと推察される。
<粒子状重合体>
本発明の非水系二次電池接着層用組成物が含有する粒子状重合体A及びBについて、以下に性状及び組成について説明する。ここで、粒子状重合体とは、組成物やスラリー中において粒子形状を維持した状態で分散している成分である。なお、粒子状重合体は、組成物を用いて形成した接着層中では、粒子形状であってもよいし、その他の任意の形状であってもよい。
−粒子状重合体の性状−
[粒子状重合体A]
電解液膨潤度が6倍以上である粒子状重合体Aは、本発明の非水系二次電池接着層用組成物を用いた接着層における電解液保液性を向上させ、当該接着層を備える二次電池に優れた低温出力特性を発揮させうる成分である。
[[粒子状重合体Aの電解液膨潤度]]
粒子状重合体Aの電解液膨潤度は6倍以上であることが必要であり、8倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、また、30倍以下であることが好ましく、20倍以下であることがより好ましい。粒子状重合体Aの電解液膨潤度を上記下限値以上とすることにより、組成物を用いて形成した接着層の電解液保液性を向上させて、当該接着層を備える二次電池の内部抵抗の上昇を抑制して、低温出力特性を発揮させることができる。さらに、粒子状重合体Aの電解液膨潤度を上記上限値以下とする事により、二次電池の低温出力特性を一層向上させることができる。
なお、粒子状重合体Aの電解液膨潤度は、例えば、電解液のSP(Solubility Parameter)値を考慮して、粒子状重合体Aを調製するために用いる単量体の種類および量を適切に選択することにより調節することができる。
[[粒子状重合体Aのガラス転移温度]]
また、粒子状重合体Aのガラス転移温度(Tg)は、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることがさらに好ましく、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。粒子状重合体Aのガラス転移温度が上記範囲内であれば、組成物を用いて形成される接着層の電池部材間における接着性を向上させることができる。
なお、粒子状重合体Aのガラス転移温度を調整する方法としては、例えば、粒子状重合体を調製するために用いる単量体の種類及び量を適切に選択することが挙げられる。
[[粒子状重合体Aの構造]]
粒子状重合体Aは、コア部とコア部の外表面を覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有していても良い。また、シェル部は、コア部の外表面を部分的に覆っていても良い。即ち、粒子状重合体Aのシェル部は、コア部の外表面を覆っているが、コア部の外表面の全体を覆ってはいない被覆態様であってもよい。
[[粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50A]]
粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aが上記下限値以上であれば、接着層を備える二次電池の内部抵抗の上昇を抑制し、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aが上記上限値以下であれば、接着層の接着性を一層向上させることができる。
なお、粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aは、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
また、粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aは、重合時に添加する乳化剤や単量体の量などに基づいて、調節することができる。
[粒子状重合体B]
電解液膨潤度が2倍以下であるとともに、ガラス転移温度が80℃以上である粒子状重合体Bは、接着層の耐ブロッキング性を向上させると共に、電解液中における接着層の強度を向上させて、接着層中における保液空間を確保し、当該接着層を備える二次電池に優れた低温出力特性を発揮させうる成分である。
[[粒子状重合体Bの電解液膨潤度]]
粒子状重合体Bの電解液膨潤度は2倍以下であることが必要であり、1.7倍以下であることが好ましく、1.5倍以下であることがより好ましい。また、粒子状重合体Bの電解液膨潤度は、通常1倍超である。粒子状重合体Bの電解液膨潤度を上記上限値以下とすることで、膨潤に起因する接着層中におけるポリマー密度の低下を抑制して接着層の物理的な強度を維持し、接着層中における保液空間を確保し、当該接着層を備える二次電池の低温出力特性を向上させることができる。なお、粒子状重合体Bの電解液膨潤度は、粒子状重合体Aと同様の方途により調節することができる。
[[粒子状重合体Bのガラス転移温度]]
また、粒子状重合体Bのガラス転移温度は、80℃以上であることが必要であり、90℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。また、粒子状重合体Bのガラス転移温度は、通常、300℃以下である。粒子状重合体Bのガラス転移温度が上記下限値以上であれば、接着層中において粒子状重合体Bが変形しにくくなり、耐ブロッキング性が向上するとともに、当該接着層を備える二次電池の低温出力特性を向上させることができる。なお、粒子状重合体Bのガラス転移温度は、粒子状重合体Aと同様の方途により調節することができる。
[[粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50B]]
粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bが上記下限値以上であれば、接着層の内部抵抗の上昇を抑制し、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bが上記上限値以下であれば、接着層の接着性を一層向上させることができる。なお、粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bは、粒子状重合体Aの場合と同様の方途により調節することができる。
[[粒子状重合体Bの構造]]
粒子状重合体Bも、粒子状重合体Aと同様のコアシェル構造を有していても良い。
−粒子状単量体の組成−
[粒子状重合体A]
粒子状重合体Aは、電解液膨潤度を6倍以上とすることができる限りにおいてあらゆる組成とすることができる。粒子状重合体Aを調製するために用いうる単量体としては、特に限定されることなく、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系単量体;酢酸ビニル等の酢酸ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、ブトキシスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルアミン等のビニルアミン系単量体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル単量体;2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート単量体;マレイミド;フェニルマレイミド等のマレイミド誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを意味し、(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルを意味する。
さらに、粒子状重合体Aは、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。
そして、カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
さらに、リン酸基を有する単量体としては、例えば、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
また、水酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アリルとは、アリルおよび/またはメタリルを意味し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
さらに、粒子状重合体Aは、上記単量体単位に加え、架橋性単量体単位を含んでいることが好ましい。架橋性単量体とは、加熱またはエネルギー線の照射により、重合中または重合後に架橋構造を形成しうる単量体である。架橋性単量体単位を含むことにより、重合体の電解液膨潤度を、前記の範囲に容易に収めることができる。
架橋性単量体としては、例えば、当該単量体に2個以上の重合反応性基を有する多官能単量体が挙げられる。このような多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリル酸エステル化合物;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体;などが挙げられる。これらの中でも、粒子状重合体Aの電解液膨潤度を容易に制御する観点から、ジメタクリル酸エステル化合物およびエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、ジメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粒子状重合体Aを調製するにあたり、上記各種単量体の組合せ及び配合割合は、目的とする粒子状重合体Aの膨潤度、ガラス転移温度、粒子径、構造などに応じて、任意に変更することができる。
[粒子状重合体B]
粒子状重合体Bは、電解液膨潤度を2倍以下とし、ガラス転移温度を80℃以上とすることができる限りにおいて、あらゆる組成とすることができる。粒子状重合体Bを調製するにあたり、粒子状重合体Aについて上述した単量体を用いることができる。さらに、粒子状重合体Bを調製するにあたり、上記各種単量体の組合せ及び配合割合は、目的とする粒子状重合体の性状に応じて、任意に変更することができる。
−粒子状重合体の調製方法−
上述した粒子状重合体A及びBは、特に限定されることなく、既知の重合方法により調製することができる。重合様式は、特に限定されず、例えば溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの様式も用いることができる。重合方法としては、例えばイオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などいずれの方法も用いることができる。また、乳化重合においては、シード粒子を用いるシード重合を採用してもよい。さらに、コアシェル構造を有する粒子状重合体A/Bを調製する場合には、段階的な重合法であって、先の段階で形成された重合体を後の段階で形成される重合体で順次被覆させるような、連続した多段階懸濁重合法及び多段階懸濁重合法を採用することができる。
そして、重合に使用される乳化剤、分散剤、重合開始剤、重合助剤などは、一般に用いられるものを使用することができ、その使用量も、一般に使用される量とすることができる。
−粒子状重合体A及びBの含有比率−
粒子状重合体A及び粒子状重合体Bの含有比率は、粒子状重合体Bの含有量が、粒子状重合体Aの含有量に対して、質量基準で、2/3倍以上であることが好ましく、9/11倍以上であることがより好ましく、1倍以上であることがより好ましく、9倍以下であることが好ましく、17/3倍以下であることがより好ましく、4倍以下であることがより好ましい。粒子状重合体Bの含有量を上記下限値以上とすることで、比較的高膨潤度の粒子状重合体Aの含有量が過剰に多くなることを抑制して、接着層の耐ブロッキング性及び二次電池の低温出力特性を向上させることができる。粒子状重合体Bの含有量を上記上限値以下とすることで、接着層の接着性を向上させることができる。すなわち、電池部材間における接着層の接着性と、基材と接着層との接着性を向上させることができる。
−粒子状重合体の体積平均粒子径D50の比率−
ここで、粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bは、粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aの0.6倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましく、0.8倍以上が更に好ましく、1.4倍以下が好ましく、1.2倍以下がより好ましく、1.1倍以下が更に好ましい。粒子状重合体A及びBの各体積平均粒子径D50が上記条件の下限値以上であれば、接着層の耐ブロッキング特性を向上させることができると共に、電解液中において接着層内に保液間隙を保持することができ、二次電池の低温出力特性を向上させることができる。上記上限値以下であれば、接着層の電池部材間における接着性を向上させることができる。
<結着材>
そして、非水系二次電池接着層用組成物は、上述した粒子状重合体A及びBの他に結着材を含むことが好ましい。結着材としては、上述した粒子状重合体A及びBを接着層から脱落しにくくし得る成分であれば、特に限定されることなく、既知の結着材、例えば、熱可塑性エラストマーを用いることができる。そして、熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエン系重合体およびアクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がより好ましい。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン単量体単位を含む重合体を指し、共役ジエン系重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの、芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む重合体や、アクリルゴム(NBR)(アクリロニトリル単位およびブタジエン単位を含む重合体)などが挙げられるが、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。また、アクリル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体を指す。ここで、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、粒子状重合体を調製するために用いる単量体と同様のものを用いることができる。
なお、これらの結着材は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、結着材は粒子状であっても良いが、この場合の粒子径は粒子状重合体A及びBよりも小さいことが好ましく、通常0.05μm以上0.4μm未満である。結着材が粒子状である場合に、粒子径が粒子状重合体A及びBよりも小さければ、粒子状重合体A及びBの接着層からの脱落を効果的に抑制することができるからである。
<その他の成分>
非水系二次電池接着層用組成物は、上述した粒子状重合体、結着材以外にも、任意のその他の成分を含んでいてもよい。これらのその他の成分としては、例えば、濡れ剤、粘度調整剤、電解液添加剤などの既知の添加剤が挙げられる。これらのその他の成分は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
−粒子状重合体A及びBの含有量−
本発明の非水系二次電池接着層用組成物における粒子状重合体A及びBの合計含有量は、粒子状重合体A及びB、並びに結着剤を含有する組成物中の全固形分を100質量%として、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。組成物中の全固形分に対する、粒子状重合体A及びBの合計含有量の比率が上記範囲内であれば、接着層の耐ブロッキング性を十分に向上させることができる。なお、粒子状重合体A及びBの合計含有量の比率が上記上限値以下であれば、基材と接着層との接着性を十分に高めることができる。
<非水系二次電池接着層用組成物の調製方法>
ここで、非水系二次電池接着層用組成物の調製方法は、特に限定はされないが、例えば、粒子状重合体A及びBと、任意に結着材と、濡れ剤などのその他の成分とを溶媒に溶解または分散させて接着剤組成物を調製する。具体的には、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等の分散機を使用し、粒子状重合体A及びBと、結着材やその他の成分とを溶媒中に分散または溶解させて非水系二次電池接着層用組成物を調製する。
(非水系二次電池用接着層)
本発明の非水系二次電池用接着層は、上述した非水系二次電池接着層用組成物を用いて形成される。非水系二次電池用接着層には、上述した粒子状重合体A及びB、並びに、任意で結着材やその他の成分が含有されている。粒子状重合体A及びBは、組成物やスラリー中では粒子形状で存在するが、組成物やスラリーを用いて形成された接着層中では、粒子形状であってもよいし、その他の任意の形状であってもよい。そして、本発明の非水系二次電池用接着層は、本発明の非水系二次電池を製造する際に用いられる。具体的には、本発明の非水系二次電池用接着層は、基材(例えば、セパレータや電極)に対して適用されて、基材上に接着層が形成されてなる電池部材を相互に接着するために用いられる。そして、本発明の非水系二次電池用接着層は、上述した粒子状重合体A及びBを含んでいるので、耐ブロッキング性に優れ、かつ、当該接着層を備える二次電池の低温出力特性を優れたものとすることができる。
また、接着層は、製造される二次電池の構造に従い、セパレータや電極の片面のみに形成してもよく、両面に形成してもよい。例えば、基材としてセパレータを用いる場合はセパレータの両面に接着層を形成することが好ましく、基材として電極を用いる場合は片側、とりわけ電極合材層上に形成することが好ましい。
なお、本発明の非水系二次電池用接着層は、電池部材と、アルミニウム包材外装などの電池容器(外装体)との接着に用いてもよい。
<非水系二次電池用接着層の形成方法>
本発明の非水系二次電池用接着層は、例えば、上述した非水系二次電池接着層用組成物又はかかる組成物を用いて調製したスラリーを、既知の電極やセパレータを基材として、かかる基材上に塗布し、塗布した組成物又はスラリーを乾燥させることにより形成することができる。
(非水系二次電池)
本発明の非水系二次電池は、上述した非水系二次電池用接着層を備え、当該非水系二次電池用接着層を介して電池部材同士を接着したことを特徴とする。そして、本発明の非水系二次電池は、低温出力特性に優れている。
具体的には、本発明の非水系二次電池は、例えば、正極と、負極と、セパレータと、電解液とを備え、正極上、負極上及びセパレータ上の少なくとも1つ以上に上述した非水系二次電池用接着層を形成したものである。好ましくは、本発明の非水系二次電池は、セパレータ上に本発明の非水系二次電池用接着層を備える。そして、本発明の非水系二次電池の一例では、非水系二次電池用接着層を介して、正極とセパレータ、及び/または、負極とセパレータが接着されて一体化される。
なお、上述した正極、負極及びセパレータ、並びに、電解液としては、非水系二次電池において用いられている既知の正極、負極、セパレータ及び電解液を使用することができる。
具体的には、電極(正極及び負極)としては、電極合材層を集電体上に形成してなる電極を用いることができる。なお、集電体としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金等の金属材料からなるものを用いることができる。これらの中でも、負極用の集電体としては、銅からなる集電体を用いることが好ましい。また、正極用の集電体としては、アルミニウムからなる集電体を用いることが好ましい。更に、電極合材層としては、電極活物質と結着材とを含む層を用いることができる。
また、電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。例えば、非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合には、支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましく、LiPF6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
更に、電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類を用いることが好ましく、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物を用いることが更に好ましい。
また、電解液には、既知の添加剤、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)やエチルメチルスルホンなどを添加してもよい。
また、上述したセパレータとしては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
<非水系二次電池の製造方法>
本発明の非水系二次電池は、例えば、正極と、負極とを、セパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造することができる。非水系二次電池の内部の圧力上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、複数種類の単量体を共重合して製造される重合体において、ある単量体を重合して形成される構造単位の上記重合体における割合は、特に断らない限り、通常は、その重合体の重合に用いる全単量体に占める当該ある単量体の比率(仕込み比)と一致する。
実施例及び比較例において、電解液膨潤度、ガラス転移温度、粒子状重合体の体積平均粒子径D50、接着性(電池部材間の接着性、及び基材と接着層との接着性)、接着層の耐ブロッキング性、二次電池の低温出力特性は、下記の方法で測定及び評価した。
<電解液膨潤度>
実施例、比較例で製造した粒子状重合体(1)及び(2)を含む水分散液をポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、25℃、48時間の条件で乾燥して粉末を作成した。その粉末0.2g程度を、200℃、5MPaで、2分プレスしフィルムを得た。そして、得られたフィルムを1cm角に裁断し、試験片を得た。この試験片の質量W0を測定した。
また、上述の試験片を、電解液に60℃で72時間浸漬した。その後、試験片を電解液から取り出し、試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬試験後の試験片の質量W1を測定した。
測定した質量W0及びW1を用いて、電解液膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算した。
なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)と、ビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(体積比:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5に、支持電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度で溶かしたものを用いた。
<ガラス転移温度>
実施例、比較例にて製造した粒子状重合体(1)及び(2)を、それぞれ、測定試料とした。測定試料10mgをアルミパンに計量し、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)にて、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分で、JIS Z 8703に規定された条件下で測定を実施し、示差走査熱量分析(DSC)曲線を得た。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/分/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点を、ガラス転移温度(℃)として求めた。
<粒子状重合体の体積平均粒子径D50>
実施例、比較例で製造した各粒子状重合体(1)、(2)について、固形分濃度0.1質量%に調整した水分散溶液の、レーザー回折式粒子径分布測定装置(ベックマン・コールター社製、製品名「LS−230」)により測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径(μm)として求め、体積平均粒子径D50とした。
<電池部材間の接着性>
実施例、比較例で作成した、非水系二次電池用接着層を形成した正極、及びセパレータを、それぞれ幅10mm、長さ50mmに切り出した。さらに、正極とセパレータとを積層させて積層体とした。そして、温度80℃、荷重10kN/mのロールプレスでかかる積層体をプレスし、試験片を得た。この試験片を、電極(正極)の集電体側の面を下にして、電極の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。そして、セパレータ基材の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値をピール強度として求めて、下記の基準で評価した。ピール強度の値が大きいほど、電池部材間の接着性が高いことを示す。
A:ピール強度が10N/m以上
B:ピール強度が5N/m以上10N/m未満
C:ピール強度が5N/m未満
<基材と接着層との接着性>
実施例および比較例で作成した、非水系二次電池用接着層を形成したセパレータ又は正極を、幅1cm×長さ5cmに裁断して試験片とした。この試験片に対して、接着層形成面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは水平な試験台に固定しておいた。そして、基材の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値をピール強度として求めた。なお、実施例1〜10については、セパレータを用いて試験片を作製し、実施例11については、正極を用いて試験片を作製した。測定により得られたピール強度の値を以下の基準で評価した。ピール強度の値が大きいほど、基材と接着層との接着性が高いことを示す。
A:ピール強度が70N/m以上
B:ピール強度が40N/m以上70N/m未満
C:ピール強度が40N/m未満
<接着層の耐ブロッキング性>
実施例、比較例で作成した非水系二次電池用接着層を形成したセパレータ及び正極を、幅5cm×長さ5cm、にそれぞれ正方形に裁断した。得られた正方形片を、接着層付きセパレータ同士、及び接着層付き正極同士が、それぞれ、接着層面が向かい合うように、2枚重ね合わせ、重ね合わせた後に40℃、10g/cm2の加圧下に置いて、測定試料を作製した。得られた測定試料を24時間放置し、接着層付きセパレータ同士、及び接着層付き正極同士が接着しているか確認した。24時間放置後の測定試料において、重ね合わせられた非水系二次電池用接着層を形成したセパレータ、又は正極同士が接着している場合、重ね合わせられたセパレータ、又は正極の正方形片1枚全体を固定し、もう1枚を0.3N/mの力で引っ張り、剥離可能か否かを確認し、接着状態(ブロッキング状態)を下記基準で評価した。接着が観察されないほど耐ブロッキング性が良好であることを表す。
A:正方形片同士が接着していない。
B:正方形片同士同士が接着しているが剥がれる。
C:正方形片同士同士が接着し剥がれない。
<二次電池の低温出力特性>
実施例、比較例にて製造した容量40mAhの積層ラミネート型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置した。その後、25℃の環境下で、0.1Cの充電レートで5時間の充電の操作を行い、その時の電圧V0を測定した。その後、−10℃環境下で、1Cの放電レートにて放電の操作を行い、放電開始15秒後の電圧V1を測定した。
そして、電圧変化ΔVを、ΔV=V0−V1にて計算し、下記の基準で評価した。この電圧変化ΔVの値が小さいほど、二次電池が低温出力特性に優れることを示す。
A:電圧変化ΔVが350mV未満
B:電圧変化ΔVが350mV以上500mV未満
C:電圧変化ΔVが500mV以上
(実施例1)
<粒子状重合体(1)の調製>
粒子状重合体(1)として、粒子状重合体A1を調製した。粒子状重合体A1は、コアシェル構造を有していた。まず、コア部の形成にあたり、攪拌機付き5MPa耐圧容器に、メタクリル酸メチル単量体42部、アクリル酸ブチル24.5部、メタクリル酸単量体2.8部、エチレングリコールジメタクリレート0.7部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、イオン交換水150部、及び、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で、シェル部を形成するために、スチレン29.7部、メタクリル酸単量体0.3部を連続添加し、70℃に加温して重合を継続し、転化率が96%になった時点で、冷却し反応を停止して、粒子状重合体A1を含む水分散液を製造した。そして、粒子状重合体A1の膨潤度、体積平均粒子径D50(1)、及びガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
<粒子状重合体(2)の調製>
粒子状重合体(2)として、粒子状重合体B1を調製した。
撹拌機を備えた反応器に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.06部、過硫酸アンモニウムを0.23部、及びイオン交換水を100部入れて混合し混合物Aとし、80℃に昇温した。一方、別の容器中でアクリル酸ブチル96部、メタクリル酸2.0部、アクリロニトリル2.0部、ドデシル硫酸ナトリウム0.2部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物1の分散体を調製した。この単量体混合物1の分散体を、4時間かけて混合物A中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物1の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。
これにより、平均粒子径220nmのシードポリマー粒子Aの水分散体を得た。
次に、撹拌機を備えた反応器に、シードポリマー粒子Aの水分散体を固形分基準(即ちシードポリマー粒子A質量基準)で20部、エチレングリコールジメタクリレート単量体を100部、アクリル酸単量体を1部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを4.0部、及びイオン交換水を200部入れ、35℃で12時間撹拌することで、シードポリマー粒子Aに単量体及び重合開始剤を完全に吸収させた。その後、これを90℃で5時間重合させた。その後、スチームを導入して未反応の単量体および開始剤分解生成物を除去して、粒子状重合体B1の水分散体を得た。そして、粒子状重合体B1の膨潤度、体積平均粒子径D50(2)、及びガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
<接着層用結着材の作製>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過流酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器でイオン交換水50部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、重合性単量体として、アクリル酸ブチル94部、アクリロニトリル2部、メタクリル酸2部、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド1部及びアリルグリシジルエーテル1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、接着層用結着材としてアクリル重合体を含む水分散液を製造した。
得られた接着層用結着材の体積平均粒子径D50は0.36μm、ガラス転移温度は−35℃であった。
<非水系二次電池接着層用組成物スラリーの作製>
固形分相当で、上記粒子状重合体(1)50質量部と、上記粒子状重合体(2)50質量部とを撹拌容器内で混合し、さらに上記接着層用結着材22質量部混合し、非水系二次電池接着層用組成物を得た。
さらに上記粒子状重合体(1)と(2)の固形分100質量部に対し、表面張力調整剤(エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体)1部を添加し、さらにイオン交換水により希釈し、固形分濃度30%の非水系二次電池接着層用組成物スラリーを得た。
<非水系二次電池用接着層を形成したセパレータの作製>
セパレータ(ポリプロピレン製、セルガード2500)基材上に、上記接着層用組成物スラリーを塗布し、50℃で3分間乾燥させた。この操作をセパレータ基材の両面について行い、片面厚み1μmずつの非水系二次電池用接着層を両面に備えるセパレータを得た。得られたセパレータにつき、上述の方法に従って試験片を作成して、接着層の耐ブロッキング性及び接着性を評価した。結果を表1に示す。
<負極の作製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33部、イタコン酸3.5部、スチレン63.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部及び重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止して、粒子状の負極用結着材(SBR)を含む混合物を得た。上記負極用結着材を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、負極用結着材を含む水分散液を得た。
次に、負極活物質としての人造黒鉛(体積平均粒子径D50:15.6μm)100部を、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部に添加して、イオン交換水で固形分濃度68%に調整した後、25℃で60分間混合した。さらにイオン交換水で固形分濃度62%に調整した後、さらに25℃で15分間混合した。次いで、得られた混合液に、上記の負極用結着材を固形分相当量で1.5部添加し、イオン交換水で最終固形分濃度が52%となるように調整し、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理して二次電池負極用スラリー組成物を得た。
そして、上記で得られた負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理してプレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極合材層の厚みが80μmのプレス後の負極を得た(片面負極)。
<正極の作製>
正極活物質としてのLiCoO2(体積平均粒子径D50:12μm)100部と、導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を2部と、正極用結着材としてのポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、#7208)を固形分相当で2部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えて全固形分濃度を70質量%とした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリー組成物を調製した。
そして、上記正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミ箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の正極原反を得た。このプレス前の正極原反をロールプレスで圧延して、正極合材層の厚みが80μmのプレス後の正極を得た(片面正極)。
<リチウムイオン二次電池の製造>
上記で得られたプレス後の正極を4cm×4cmの正方形に切り出し、正極の正極合材層の面上に上記で得られた非水系二次電池用接着層付きセパレータを5cm×5cmに切り出し配置した。さらに上記の通り作製したプレス後の負極を4.2cm×4.2cmに切り出し、これを非水系二次電池用接着層付きセパレータ上に、負極合材層側の表面が対向するよう配置し、積層体とした。次いで得られた積層体を温度60℃、0.5MPaでプレスして接着させた。続いて接着した積層体を電池の外装としてのアルミ包材外装で包み、電解液(溶媒:エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)/ビニレンカーボネート(VC)(体積比)=68.5/30/1.5、電解質:濃度1MのLiPF6)を空気が残らないように注入した。そして、150℃で、当該アルミ包材外装の開口をヒートシールし、アルミ包材外装を密封閉口し、40mAhの積層ラミネート型リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、製造したリチウムイオン二次電池について、低温出力特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
粒子状重合体(1)として、粒子状重合体A2を調製した。粒子状重合体A2の調製時に、コア部の製造に用いる単量体組成物について、アクリル酸ブチルの量を24.99部に変更し、エチレングリコールジメタクリレートに代えて、メタクリル酸アリルを0.21部配合した以外は実施例1と同様にして、粒子状重合体A2、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
以下の点以外は実施例1と同様にして、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<粒子状重合体(1)の調製>
粒子状重合体(1)として、粒子状重合体A3を調製した。
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、過流酸アンモニウム0.3部を供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器でイオン交換水50部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、並びに、重合性単量体として、メタクリル酸メチル60部、アクリル酸ブチル35部、メタクリル酸4部、架橋性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続添加して、60℃で重合を行った。添加終了後、70℃に加温して3時間撹拌して反応を終了し、粒子状重合体A3を含む水分散液を製造した。
<非水系二次電池接着層用組成物スラリーの作製>
固形分相当で、上記粒子状重合体(1)50質量部と、実施例1と同様にして得られた粒子状重合体(2)50質量部を撹拌容器内で混合し、さらに上記接着層用結着材を50質量部混合し、非水系二次電池接着層用組成物を得た。これ以外は実施例1と同様にして、接着層用組成物スラリーを得た。
(実施例4)
粒子状重合体(2)として、以下のようにして得られた粒子状重合体B2を用いた以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<粒子状重合体(2)の調製>
粒子状重合体(2)として、粒子状重合体B2を調製した。
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、過流酸アンモニウム0.3部を供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器でイオン交換水50部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、並びに、重合性単量体として、スチレン95部、アクリル酸3部、架橋性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート2部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加し、60℃に加温して重合反応を行った。添加終了後、さらに70℃に加温して3時間撹拌して重合反応を終了し、粒子状重合体B2を含む水分散液を製造した。
(実施例5)
粒子状重合体(2)として、粒子状重合体B3を調製した。粒子状重合体B3の調製時に、スチレンの配合量を73部とし、アクリル酸2−エチルヘキシルを22部配合した以外は実施例4と同様にして粒子状重合体B3を含む水分散液を製造した。これ以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6〜7)
非水系二次電池接着層用組成物スラリーの調製にあたり、粒子状重合体A1及びB1の配合比率を表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
粒子状重合体(1)として、粒子状重合体A4を調製した。粒子状重合体A4の調製時に、メタクリル酸メチルの配合量を73部とし、アクリル酸ブチルの配合量を22部に変更した以外は実施例3と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
粒子状重合体(1)として、粒子状重合体A5を調製した。粒子状重合体A5の調製時に、乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの添加量を1.5部に変更した以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
粒子状重合体(2)として、粒子状重合体B3を調製した。粒子状重合体B3の調製時に、乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの添加量を0.6部に変更した以外は実施例4と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1と同様にして、粒子状重合体A1及びB1を調製して、非水系二次電池接着層用組成物スラリーを調製した。そして、リチウムイオン二次電池の製造時に、接着層を形成することなくセパレータ基材をそのままセパレータとして使用し、負極、正極として、接着層を備える負極、接着層を備える正極を使用した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。なお、接着層を備える負極及び接着層を備える正極の作製方法は、それぞれ以下の通りである。
<接着層を備える負極/正極の作製>
実施例1と同様にして、集電体上に厚さ80μmの負極/正極合材層を形成し、電極基材を得た後、負極/負極合材層側の面に、接着層用組成物スラリーを塗布し、50℃で3分間乾燥させた。これにより、厚さ1μmの接着層を片面に備える負極/正極を作製した。
(比較例1)
粒子状重合体(1)として、電解液膨潤度が6倍未満である粒子状重合体C1を調製した。粒子状重合体C1の調製時に、メタクリル酸メチル単量体の配合量を21部に変更し、スチレンを21部配合した以外は実施例1と同様にして、粒子状重合体C1を含む水分散液を製造した。それ以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
粒子状重合体(2)として、ガラス転移温度が80℃未満である粒子状重合体D1を調製した。粒子状重合体D1の調製時に、スチレンの配合量を80部とし、アクリル酸2−エチルヘキシルを15部配合した以外は実施例4と同様にして粒子状重合体D1を含む水分散液を製造した。これ以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
粒子状重合体(2)として、電解液膨潤度が2倍超である粒子状重合体D2を調製した。粒子状重合体D2の調製時に、スチレンの配合量を60部とし、メタクリル酸メチルを35部配合した以外は実施例4と同様にして粒子状重合体D2を含む水分散液を製造した。これ以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池接着層用組成物スラリー、接着層を備えるセパレータ、負極、正極、及びリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006665484
表1の実施例1〜11より、電解液膨潤度が6倍以上である粒子状重合体Aと、電解液膨潤度が2倍以下であり、ガラス転移温度が80℃以上である粒子状重合体Bとを含む組成物から形成される接着層は、耐ブロッキング性に優れることが分かる。加えて、当該接着層を備える二次電池は低温出力特性に優れることが分かる。
一方、表1の実施例1及び比較例1より、電解液膨潤度が6倍以上である粒子状重合体Aを含有しない場合には、二次電池の低温出力特性を十分に向上させることができないことが分かる。
また、表1の実施例1と、比較例2〜3から、電解液膨潤度が2倍以下であり、ガラス転移温度が80℃以上である粒子状重合体Bを含有しない場合には、接着層の耐ブロッキング性を十分に向上させることができず、また、低温出力特性に優れた二次電池を得られないことが分かる。
本発明によれば、接着層に優れた耐ブロッキング性を発揮させることができ、かつ、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる非水系二次電池接着層用組成物が得られる。
また、本発明によれば、耐ブロッキング性に優れ、かつ、二次電池に優れた低温出力特性を発揮させることができる非水系二次電池用接着層が得られる。
さらに、本発明によれば、低温出力特性に優れる非水系二次電池が得られる。

Claims (6)

  1. 電解液膨潤度が6倍以上である粒子状重合体Aと、
    電解液膨潤度が2倍以下、且つ示差走査熱量分析曲線を取得した場合に検出される、最大の吸熱ピーク後に現れる変曲点に基づいて決定したガラス転移温度が80℃以上である粒子状重合体Bと、
    を含み、
    前記粒子状重合体Bの含有量が、前記粒子状重合体Aの含有量に対して、質量基準で、2/3倍以上9倍以下である、
    非水系二次電池接着層用組成物。
  2. 前記粒子状重合体Aについて、示差走査熱量分析曲線を取得した場合に検出される、最大の吸熱ピーク後に現れる変曲点に基づいて決定したガラス転移温度が、10℃以上100℃以下である、請求項1に記載の非水系二次電池接着層用組成物。
  3. 前記粒子状重合体Bの体積平均粒子径D50Bが、前記粒子状重合体Aの体積平均粒子径D50Aの0.6倍以上1.4倍以下である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池接着層用組成物。
  4. 結着材を更に含有し、
    前記非水系二次電池接着層用組成物の全固形分に対する、前記粒子状重合体Aと前記粒子状重合体Bの合計含有量の比率が、50質量%以上95質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系二次電池接着層用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系二次電池接着層用組成物を用いて形成した、非水系二次電池用接着層。
  6. 請求項5に記載の非水系二次電池用接着層を備える非水系二次電池。
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