JP6665432B2 - ジャム類用離水低減剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ジャム類の離水低減剤およびこれを含有するジャム類に関する。
ジャム類は、一定量の水分を含有し、保型性を有しているものが多くあり、例えば、ジャムやゼリー等がある。ジャムは、例えば、パンに塗ったり、挟んだりして食べられているものであるが、ジャムが離水することにより、ジャムを包んでいるパンに水移りをし、風味、食感、見た目を悪くする問題がある。また、ゼリーでは、流通時の振動により、ゼリーがゆれて離水し、食感を悪くする問題があった。
このような問題に対する改善策として、高粘度の増粘多糖類を使用した、離水低減方法を提案されている。例えば、フィリング材に対し、(a)グルコマンナン、(b)エステル化澱粉及び/又はエーテル化澱粉、(c)ガティガム及び/又はアラビアガムを含有することを特徴とするフィリング材用品質改良剤を用いる方法(特許文献1)や、耐熱性を有するゲル化剤(ジェランガム及び/又は寒天)、ローカストビーンガム及びκ-カラギナン、並びに加工澱粉を含有する方法(特許文献2)や、乾燥こんにゃく加工品を加工食品用離水防止剤として用いる方法(特許文献3)等が開示されている。
特開2007-274927号公報 特開2014-093975号公報 特開2004-215646号公報
このように従来では、ジャム類の離水の問題を解決するために、高粘度の増粘多糖類を使用する技術があった。しかし、離水の問題は解決できるものの、増粘することで、食品の風味、食感を悪化させるという問題があった。
従って、本発明では、食品の風味、食感を良好に保ちつつ、離水低減効果があるジャム類用離水低減剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題解決のため様々な物質を検討した。その中で、ジャム類のようなゲル状の食品の硬さに影響を及ぼす可能性があり、通常ジャム類に添加することはしない、低粘度である大豆やエンドウ豆等の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類をあえて添加したところ、意外にも風味、食感を良好に保ちつつ離水低減効果にも優れることがわかった。
従来技術においては、多糖類を離水低減剤として利用する技術はあったが、高粘度の増粘多糖類を主体とするものであった。大豆やエンドウ豆等の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類のような、低粘度の増粘多糖類を主体とした離水低減剤が、ジャム類の離水を低減できることは予期せぬ効果であった。
さらに、検討したところ、該豆類由来の水溶性多糖類のガラクツロン酸のメチルエステル化度が一定量以下の場合、特に離水低減効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含み、該水溶性多糖類の10重量%水溶液の粘度が20℃で150mPa・s以下である、ジャム類用離水低減剤、
(2)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類のメチルエステル化度が50%以下である、(1)に記載のジャム類用離水低減剤、
(3)離水低減効果が、離水低減剤の無添加時の離水量に対して15%以上低減するものである、(1)または(2)に記載のジャム類用離水低減剤、
(4)(1)〜(3)何れか1つに記載のジャム類用離水低減剤を含有することを特徴とするジャム類、
(5)(1)〜(3)何れか1つに記載のジャム類用離水低減剤をジャム類中に豆類由来のガラクツロン酸を含有する多糖類量の換算で0.03〜5重量%添加することを特徴とする、ジャム類の製造方法、
(6)(1)〜(3)何れか1つに記載のジャム類用離水低減剤をジャム類中に豆類由来のガラクツロン酸を含有する多糖類量の換算で0.03〜5重量%添加することを特徴とする、ジャム類の離水低減方法、
(7)(4)記載のジャム類をパンに塗布ないし充填した、パン、
である。
本発明により、離水が低減され、風味、食感の良いジャム類を提供できる。
(ジャム類用離水低減剤)
本発明のジャム類用離水低減剤は、豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含み、該水溶性多糖類の10重量%水溶液の粘度が20℃で150mPa・s以下である多糖類を含有することを特徴とする。
本発明で使用する水溶性多糖類は、10重量%水溶液の粘度が20℃で150mPa・s以下であり、低粘度のものである。
本発明においては、低粘度の豆類由来のガラクツロン酸を含有する低粘度多糖類を用いることが必要である。低粘度の多糖類でもアラビアガムでは本発明の効果は低い。
なお、ジャム類は塗布や充填する際、あるいはジャム類を撹拌すること等の物理的作用により離水が生じることがある。
本発明に係るジャム類用離水低減剤は、特にパンへの充填や塗布等の物理的作用によって生じる離水を効率的に低減できる点で特徴がある。
なお、豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類の10重量%水溶液の20℃における粘度はB型粘度計により測定する。
本発明のジャム類用離水低減剤には、前述以外に、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、必要に応じて、食品、食品添加物或いは本発明の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類以外の多糖類を添加することができる。
また、本発明のジャム類用離水低減剤は、粉末状、フレーク状、粒状、ペースト状、水溶液のいずれの形態でも用いることができる。
本発明の離水低減剤をジャム類に添加することにより、離水を低減することができる。なお、本発明において「離水低減」とは、離水低減剤が無添加のものに比べて離水量を好ましくは15%以上、より好ましくは28%以上低減させることをいう。
(豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類)
本発明の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類の原料として、大豆、エンドウ豆、小豆、ササゲ、インゲン豆、ソラ豆、ヒヨコ豆、レンズ豆、落花生、ルピン豆等が挙げられ、中でも大豆、エンドウ豆が商業的に入手しやすい点で好ましい。
(豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類の製造)
原料として、大豆の例を挙げれば、特許第2599477号に記載された大豆多糖類を用いることができる。大豆を用いた製造の一例を示せば、豆腐や豆乳、分離大豆蛋白質の製造時に副産物として得られるオカラや、脱脂大豆粕(ミール)を原料として、水系下で大豆蛋白質の等電点付近である弱酸性域、好ましくはpH4〜6で高温抽出し、固液分離により不溶性繊維分を除去し、水溶性大豆多糖類を得ることができる。油分,蛋白質が共に少ない、分離大豆蛋白質製造時のオカラが原料に好ましい。抽出温度は100℃を超えると抽出効率が高いために好ましく、130℃以下が更に好ましい。
商業上入手できる水溶性大豆多糖類として、例えば、不二製油株式会社製の「ソヤファイブ-S」が挙げられる。
次に、エンドウ豆の例を挙げる。
エンドウを用いた製造の一例を示せば、工業的にはエンドウに含まれるタンパク質画分並びに澱粉画分を除去した繊維画分を原料として抽出するのが好ましい。抽出時のpHはpH3未満の酸性条件下では多糖類の加水分解が促進され、pH12よりアルカリ側では多糖類の脱離分解が促進されるため、pH3からpH12が適切であり、pH4からpH10が好ましい。
原料に加水したのち、酸或いはアルカリを添加してpH3からpH12の範囲に調整後、好ましくは60℃以上150℃以下、更に好ましくは80℃以上130℃以下の温度で抽出し、不溶性繊維分を固液分離により除去し、水溶性エンドウ多糖類を得る。
抽出時間は概ね0.5〜3時間であるが、原料の状態や温度等により、任意に調整することができる。使用する酸とアルカリに特に制限は無い。塩酸,硫酸,燐酸,クエン酸,酒石酸,酢酸,蟻酸等の酸、水酸化ナトリウム,水酸化カルシウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム,アンモニア等のアルカリを使用することが出来る。また、セルラーゼ,ヘミセルラーゼ,ペクチナーゼ、アミラーゼを単独乃至併用して抽出することもできる。
商業上入手できる水溶性エンドウ多糖類として、例えば、不二製油株式会社製の「ファイピー」が挙げられる。
(精製)
抽出した豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類は、不溶性繊維分を分離した後、そのまま乾燥することもできるが、より機能を発揮させるために蛋白質の除去,脱塩等の精製を行なうことが望ましい。蛋白質の除去方法としては、pH調整により蛋白質を凝集させ、圧濾分離,遠心分離,膜分離等の物理的分離手段により除去することが出来る。また、任意の蛋白質分解酵素を用いて蛋白質を分解し、分解物を透析膜,活性炭,イオン交換や疎水性樹脂を用いて吸着除去することが出来る。脱塩の方法としては、電気透析やイオン交換樹脂,UF膜分離など、これらを除去する方法であれば何れの方法も利用できる。精製処理を施した豆類由来の水溶性多糖類は、任意の殺菌処理を施し、凍結乾燥,噴霧乾燥,エタノール沈殿物の風乾などの方法にて乾燥物を得る。
(エステル分解)
抽出した豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類は、エステル分解処理することもできる。水酸化ナトリウム等のアルカリを豆類由来の水溶性多糖類の水溶液に添加し、好ましくはpH8以上、より好ましくはpH10以上、さらに好ましくはpH12以上で処理する。
(酵素処理)
抽出した豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類は、除澱粉処理のため、酵素処理することもできる。酵素処理には、β-アミラーゼ、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ等が好ましい。
(ガラクツロン酸とメチルエステル化度)
豆類由来の水溶性多糖類は構成糖としてガラクツロン酸を含む。またガラクツロン酸は6位のカルボキシル基がメチルエステル化されているが、全ガラクツロン酸分子を占めるメチルエステル化ガラクツロン酸を示すメチルエステル化度は、50%以下が好ましい。メチルエステル化度を50%以下にすることにより、ジャム類の離水低減効果をさらに高めることができる。
尚、ガラクツロン酸含量はBlumenkrantz法を用いた比色定量法にて測定する。またメチルエステル化度は、Doesburg滴定法にてガラクツロン酸量とメチルエステル化ガラクツロン酸を定量し、メチルエステル化ガラクツロン酸÷全ガラクツロン酸×100 (%)にて算出する。
(ジャム類)
本発明のジャム類として、ジャム、マーマレード、ゼリーが挙げられる。
本発明のジャム類用離水低減剤を使用したジャム類の加工方法は、水中で膨潤溶解できるようなものに加工できればどのような製法をとっても良い。本発明の離水低減剤の好ましい使用方法としては本発明の離水低減剤を水に概ね5〜20重量%の濃度で溶解したものを他の原料と混合することが良い。
また、ジャム類中の離水低減剤の含有量は、豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類量の換算で、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは、0.1〜0.7重量%である。
また、本発明のジャム類には、通常使用される食品や食品添加物を配合することができ、例えばタンパク質、油脂、糖質、乳化剤、ゲル化剤、色素、調味料、香料、酸味料等より選択された食品、食品添加物を使用することができる。
(タンパク質)
乳由来のタンパク質(脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、生クリーム等)、卵由来のタンパク質、植物由来のタンパク質を挙げることができる。
(油脂)
バター、生クリーム等の乳脂肪分、植物油脂あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の中から、一種又は二種以上を併用することができる。植物油脂の例としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油を挙げることができる。
(糖質)
砂糖、グラニュー糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類等をあげることができる。また、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイド等の高甘味度甘味料等も添加しても良い。
(乳化剤)
クエン酸あるいは乳酸等の有機酸モノグリセリド類、モノグリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン等を挙げることができる。
(ゲル化剤)
ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、ガラクトマンナン、ジェランガム(ネイティブ型、脱アシル型)タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、カードラン、プルラン、寒天、アルギン酸類、トラガントガム、カラヤガム、グルコマンナン、CMC、微結晶セルロース、澱粉、加工澱粉等が挙げられる。
本発明により、ジャム類の風味と食感に影響を及ぼさず、離水を有意に低減することができる。
また、本発明のジャム類を使用した加工食品においても有用である。例えば、ジャム類をはさんだパンのような加工食品においても、ジャム類からの離水が低減されるため、パンの良好な食感を保つことができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお処方中、特に記載のない限り単位は重量部を示す。
(製造例1)水溶性大豆多糖類の製造(脱エステル処理有り)
分離大豆蛋白質製造工程において得られた生オカラに2倍量の水を加え、塩酸を用いてpH5に調整し、125℃で150分間加熱抽出した。この抽出物を冷却後、不溶性繊維を遠心分離(10,000×g, 30分間) にて除去して上清を回収した。この上清を40℃に加温し、水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、60分間保持して脱メチルエステル処理を施した。塩酸にてpH5に調整し、90重量%の含水エタノールを加えて多糖類を沈殿させ、得られた沈殿を風乾して水溶性大豆多糖類Aを得た。
(製造例2)水溶性大豆多糖類の製造(脱エステル処理無し)
分離大豆蛋白質製造工程において得られた生オカラに2倍量の水を加え、塩酸を用いてpH5に調整し、125℃で150分間加熱抽出した。この抽出物を冷却後、不溶性繊維を遠心分離(10,000×g, 30分間) にて除去して上清を回収した。この上清を90重量%の含水エタノールを加えて多糖類を沈殿させ得られた沈殿を風乾して水溶性大豆多糖類Bを得た。
(製造例3)水溶性エンドウ多糖類の製造(脱エステル処理有り)
エンドウの種子(Yellow Peas)50kgを脱皮した後、5倍量の水を加えて24時間浸漬した。ホモミキサー(5,000rpm, 30分間)にて種子を砕き、蛋白質と澱粉を抽出した。遠心濾過機を用いて1,500×g,20分間で水に分散している蛋白質や澱粉などの成分を除去し、繊維質を回収した。更に、繊維質に5倍量の水を加えてホモミキサー(3,000rpm, 30分間)で攪拌し、遠心濾過(1,500×g,20分間)により繊維質を回収した。この操作を2回繰り返し、凍結乾燥して10kgのエンドウ繊維を得た。エンドウ繊維80部を920部の水に分散し、塩酸を用いてpH5に調整した後、120℃にて90分間加熱して多糖類を抽出した。不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm, 30分間)にて除去して上清を回収した。この上清を40℃に加温し、水酸化ナトリウムにてpH12に調整し、60分間保持して脱メチルエステル処理を施した。塩酸を加えてpH7に調整し、60℃に加温した後、固形分の0.1重量%に相当するアミラーゼ(液化酵素T エイチビィアイ株式会社)を添加して1時間澱粉を分解した。塩酸にてpH5に調整し、90重量%の含水エタノールを加えて多糖類を沈殿させ得られた沈殿を風乾して水溶性エンドウ多糖類Aを得た。
(製造例4)水溶性エンドウ多糖類の製造(脱エステル処理無し)
エンドウの種子(Yellow Peas)50kgを脱皮した後、5倍量の水を加えて24時間浸漬した。ホモミキサー(5,000rpm, 30分間)にて種子を砕き、蛋白質と澱粉を抽出した。遠心濾過機を用いて1,500×g,20分間で水に分散している蛋白質や澱粉などの成分を除去し、繊維質を回収した。更に、繊維質に5倍量の水を加えてホモミキサー(3,000rpm, 30分間)で攪拌し、遠心濾過(1,500×g,20分間)により繊維質を回収した。この操作を2回繰り返し、凍結乾燥して10kgのエンドウ繊維を得た。エンドウ繊維80部を920部の水に分散し、塩酸を用いてpH5に調整した後、120℃にて90分間加熱して多糖類を抽出した。不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm, 30分間)にて除去して上清を回収した。水酸化ナトリウムを加えてpH7に調整し、60℃に加温した後、固形分の0.1重量%に相当するアミラーゼ(液化酵素T エイチビィアイ株式会社)を添加して1時間澱粉を分解した。塩酸にてpHを5に調整し、90重量%の含水エタノールを加えて多糖類を沈殿させ得られた沈殿を風乾して水溶性エンドウ多糖類Bを得た。
離水低減剤として使用した多糖類の分析値は表1の通りである。
(表1)
Figure 0006665432
また、ジャム類を調製するためゲル化剤として使用した多糖類は以下の通りである。
(1)LMペクチン:LM-101AS-J (三晶株式会社製)
(2)κカラギーナン:カラギニンCSK−1(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
また、実施例に使用した他の原材料は以下の通りである。
(1)濃縮果汁グレープフルーツ:グレープフルーツ濃縮果汁(雄山株式会社製)
(2)濃縮果汁パインアップル:パインアップル濃縮果汁(雄山株式会社製)
(3)砂糖:グラニュ糖(和田製糖株式会社製)
(4)クエン酸ナトリウム:クエン酸三ナトリウム(磐田化学工業株式会社製)
(5)クエン酸:クエン酸(キシダ化学株式会社製)
(6)食パン:超熟 Pasco(敷島製パン株式会社製)
ジャム類の調製(実施例1〜6、比較例1〜4)
ジャム類として、ジャムを調製し評価を行った。
表2の処方割合の通り原料の計量を行い、水にゲル化剤、砂糖、本発明の離水低減剤を添加し、80℃,10分間加熱、撹拌しながら溶解した。これに、濃縮果汁、残りの砂糖、クエン酸ナトリウム、クエン酸を添加し、鍋にいれ混合し、へらでよく混ぜながら、全量を100部になるまで煮詰め、ジャムを調製した(実施例1〜6)。
また、離水低減剤を使用しないもの(比較例1)、離水低減剤として、HMペクチン、ローカストビーンガム、アラビアガムを使用したもの(比較例2〜4)を調製した。
調製したジャムについて離水量の測定、官能評価(風味・食感)を行った。
(離水量の測定方法)
ジャム類3gをリング(直径15mm)に詰め、20℃で、60分間保存後に濾紙(Filter Paper 5C、アドバンテック東洋株式会社製)に浸み込んだ水分の重量を離水量として計算した。
離水低減剤が無添加のものの離水量に対して離水低減剤を添加したものの離水量が15%以上低下した場合、離水低減効果があるものとして合格と判断した。
(官能評価 風味・食感)
官能評価はパネリスト10名で行い、下記5点法にて、対照(離水低減剤を添加していないもの)を5点として評価し、10名の平均点が4.0点以上の場合、合格とした。
5点:対照と同等である。
4点:対照と比べてほとんど差がない。
3点:対照と比べて多少の変化がみられる。
2点:対照と比べてかなりの変化がみられる。
1点:対照と比べて非常に変化がみられる。
(表2)
Figure 0006665432
比較例1の離水量に対して、実施例1〜6は離水量が低く、風味及び食感が比較例1と同等で良好であった。比較例2、3の離水量は低いが、使用する多糖類の粘度が高いため、風味が悪く、食感が重たかった。比較例4のアラビアガムは、離水を低減する効果は低かった。
また、実施例1及び2、実施例3及び4の結果から脱エステル処理した多糖類を用いる方が離水低減効果が高いことがわかった。
ゼリーの調製(実施例7〜10、比較例5〜6)
ジャム類として、ゼリーを調製し評価を行った。
表3の処方割合の通り原料の計量を行い、水にゲル化剤、砂糖、本発明の離水低減剤を添加し、80℃,10分間加熱、撹拌しながら溶解した。これに、濃縮果汁、残りの砂糖、クエン酸ナトリウム、クエン酸を添加し、鍋にいれ混合し、へらでよく混ぜながら、全量を100部になるまで煮詰め、ゼリーを調製した(実施例7〜10)。また、離水低減剤を使用しないもの(比較例5)、離水低減剤としてローカストビーンガムを使用したもの(比較例6)を調製した。
得られたゼリーについて、実施例1と同様にして離水量の測定、官能評価を行った。
(表3)
Figure 0006665432
比較例5の離水量に対して、実施例7〜10の離水量は低く、風味及び食感が比較例5と同等で良好であった。比較例6はゼリーの粘度が上がり、風味が悪く、食感が重たかった。
また、実施例7及び8、実施例9及び10の結果から、脱エステル処理した多糖類を用いる方が離水低減効果が高いことがわかった。
パンの食感評価(実施例11〜16、比較例7〜10)
実施例1〜6及び比較例1〜4で調製したジャムをパンにはさんで保存した場合のパンの食感について評価を行った。
(パンの食感評価方法)
食パン1枚に30gのジャムを塗った後、食パンを2つ折りにしてジャムを挟み、20℃、24時間保存後、食パンの食感を評価した。評価は、ジャムを挟んだ直後の食パンをコントロールとして、ジャムの離水に起因する食パンの食感のべちゃつき度合を、以下の5段階の基準で評価した。パネリスト10名の平均点が3.5点以上の場合、商品価値があるとして合格とした。
5点:コントロールと同等でべちゃつきがなく食感は非常に良好である。
4点:コントロールと比べて、若干べちゃつきがあるもののほとんど差はなく食感は良好である。
3点:コントロールと比べてややべちゃつき多く、食感はやや悪い。
2点:コントロールと比べてべちゃつきが多く、食感は悪い。
1点:コントロールと比べてべちゃつきが非常に多く、食感は非常に悪い。
(表4)
Figure 0006665432
パンの食感を確認したところ、比較例7、10はジャムからの離水量が多く、パンの食感はべちゃつき、悪くなった。比較例8、9は離水量が少なくパンの食感としては問題なかったが、ジャムの食感は悪かった。実施例11〜16は、ジャムからの離水量が少なく、パンの食感は良好であった。

Claims (2)

  1. 豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類として、水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類を含み、該水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類の10重量%水溶液の粘度が20℃で150mPa・s以下であり、メチルエステル化度が50%以下である、ジャム類用離水低減剤をジャム類中に豆類由来のガラクツロン酸を含有する多糖類として、水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類量の換算で0.05〜2重量%添加することを特徴とする、ジャム類の製造方法。
    (但し、ジャム類用離水低減剤中に架橋化大豆多糖類を含む態様を除く。)
  2. 豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類として、水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類を含み、該水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類の10重量%水溶液の粘度が20℃で150mPa・s以下であり、メチルエステル化度が50%以下である、ジャム類用離水低減剤をジャム類中に豆類由来のガラクツロン酸を含有する多糖類量として、水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類量の換算で0.05〜2重量%添加することを特徴とする、ジャム類の離水低減方法。
    (但し、ジャム類用離水低減剤中に架橋化大豆多糖類を含む態様を除く。)
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