以下、本発明の実施の形態における振動発生装置を備える電子機器について説明する。
以下の各図において示される座標は、振動発生装置の姿勢を示すためのものである。座標のX軸方向を左右方向(原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(原点から見てY軸で正となる方向が後方向)、Z軸方向(XY平面に垂直な方向)を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。また、Z軸に垂直な方向を水平ということがある。なお、ここでいう左右、前後、上下、及び水平等の呼称は、あくまで構造や動作の説明のためのものであり、振動発生装置や電子機器が使用される状況における姿勢や用途に何ら関係するものではない。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における電子機器を示す斜視図である。
図1に示されるように、電子機器1001は、筐体1010と、接触部材1020と、振動発生装置1とを備えている。電子機器1001は、例えば、いわゆるスマートフォンである。
接触部材1020は、例えばタッチパネルである。接触部材1020は、筐体1010に取り付けられている。
振動発生装置1は、電子機器1001に伝達させる振動力を発生させる。本実施の形態において、振動発生装置1は、接触部材1020に直接又は他の部材を介して連結又は固定されている。なお、振動発生装置1は、接触部材1020に直接又は他の部材を介して連結又は固定されているものに限られず、筐体1010に直接又は他の部材を介して連結又は固定されていてもよい。
[振動発生装置1の構造]
図2は、振動発生装置1の斜視図である。図3は、振動発生装置1の内部構造を示す斜視図である。図4は、振動発生装置1の分解斜視図である。図5は、振動発生装置1の平面図である。図6は、図5のA1−A1線断面図である。図7は、図5のA2−A2線断面図である。
図2に示されるように、振動発生装置1は、全体として、薄型の板形状に形成されている。振動発生装置1は、偏平な形状を有している。振動発生装置1は、例えば、左右方向、前後方向のそれぞれの外形寸法が数十ミリメートル程度で、上下方向の外径寸法が数ミリメートル程度の小型のものである。振動発生装置1は、大まかに、孔部11が設けられている部分を除いて外径が例えば20ミリメートル程度で厚さが3ミリ程度の円盤形状を有している。
図3に示されるように、振動発生装置1は、ベース10と、プレート30と、コイル40と、弾性部材51とを有している。
ベース10は、磁性体で形成されている。ベース10は、例えば、金属製である。ベース10は、例えば鉄製である。ベース10は、例えば、鋼板等をプレス等により成型することにより形成されている。なお、ベース10は、切削等の加工が行われて形成されていてもよい。
図4に示されるように、ベース10は、フランジ部15と、フランジ部15より下方に凹んだ凹部14とを有する。凹部14は、例えば、平面視で円形を有している。換言すると、ベース10は、上方に開口する薄型の柱形状の部分(底面を有する筒形状の部分)を有している。柱形状の部分は、例えば、円柱形状である。そして、柱形状の部分の上端部は、フランジ状に外周方向に開いたフランジ部15となっている。本実施の形態において、フランジ部15は、左右方向において他の部分よりも広がっており、広がった部分に孔部11が形成されている。図5に示されるように、孔部11は、凹部14の左右両側に配置されており、振動発生装置1を電子機器1001等に取り付ける際などに用いることができる。
図6に示されるように、凹部14は、底部14aと側壁部14bとを有する。図4に示されるように、側壁部14bのうち前方の一部は取り除かれている。換言すると、側壁部14bの一部は、切り欠かれたように凹んでいる。
側壁部14bのうち切り欠かれている部分には、底部14aから前方に延びる端子板19が設けられている。端子板19は、側壁部14bから外側に突出する突出部である。端子板19には、コイル40に通電するための端子19a,19bが設けられている。端子19a,19bは、例えば、フレキシブル基板等に形成され、端子板19に接着されている。なお、端子板19が設けられておらず、側壁部14bや底部14aの一部分が取り除かれており、取り除かれた部分を通るように、ベース10の下方又は側方からコイル40に通電するための経路が設けられるようにしてもよい。
本実施の形態において、底部14aの上面には、窪み17と、溝部18とが形成されている。底部14aの上面から窪み17や溝部18までの深さは、凹部14の上下方向の深さ(フランジ部15の上面から底部14aの上面までの距離)よりも浅くなっている。窪み17は、凹部14の略中央部に形成されている。窪み17は、後述する凸部20の形状に適合する形に形成されている。例えば、窪み17は、平面視で円形である。溝部18は、凹部14の略中央部から、端子板19の近傍に至るまで形成されている。溝部18は、前後方向が長手方向となるように、前後方向に、窪み17から端子板19に延びている。
図6に示されるように、ベース10には、凸部20が設けられている。凸部20は、ベース10の中央部に配置されている。凸部20は、例えば、柱形状を有している。本実施の形態では、凸部20は、円柱形状を有している。凸部20の上端部の上下方向の位置は、フランジ部15の上面と略同じ位置になっている。なお、凸部20の上端部の上下方向の位置は、フランジ部35aの上面よりも上であってもよいし、下であってもよい。
本実施の形態において、凸部20は、例えば鋼板等により形成されるベース10の本体とは別に形成され、ベース10の本体に取り付けられている。凸部20は、窪み17にはめ込まれるようにして、ベース10の本体に取り付けられている。凸部20は、例えば、窪み17に接着されたり、溶接されたりして取り付けられている。凸部20は、ベース10の本体と同様に、磁性体で形成されている。凸部20は、例えば、金属製である。凸部20は、例えば鉄製である。凸部20は、コイル40を用いた電磁石のコア(鉄心)として機能する。
図4に示されるように、コイル40は、環状で偏平な形状を有している。コイル40は、巻回軸方向の寸法が、巻回軸方向に直交する方向の寸法よりも小さい薄型のコイルである。コイル40は、例えば導線を巻き回してなる、全体として円環状で平板状のコイルである。なお、コイル40は、金属箔を巻き回したものをスライスしてなるものであったり、シートコイルを積層したものであったりしてもよい。また、コイル40の外形は、平面視で、円形や、四角形形状などの多角形形状を有していてもよい。
コイル40は、凸部20を囲むように、環状に巻き回されている。すなわち、コイル40は、凹部14の内部に納められている。すなわち、コイル40は、凸部20の外周と側壁部14bの内周との間に配置されている。コイル40は、コイル40の上面がフランジ部15の上面よりも上に位置しないように形成され、ベース10に取り付けられている。予めドーナツ状の板状に巻き回されたコイル40が、凹部14にはめ込まれるようにしてベース10に取り付けられるようにしてもよいし、凸部20を囲むようにベース10に対して直接に導線を巻き回すことによりコイル40をベース10に形成してもよい。
ベース10の外周部である側壁部14bの内面と、コイル40の外周側面41との間には、間隙が設けられている。また、凸部20の外周側面と、コイル40の内面42との間には、間隙が設けられている。これにより、ベース10とコイル40とが非接触の絶縁状態が確保されている。
コイル40は、例えば、φ0.15の導線を100ターンから200ターン程度(例えば150ターン)巻き回したものである。コイル40の仕様はこれに限られず、振動発生装置1の大きさや用途等に応じて適宜選択することができる。
コイル40の外側の導線の端部(巻回端部)43aは、側壁部14bが取り除かれた部分を通して、凹部14の内部からベース10の外側に引き出される。また、コイル40の内側の導線の端部(巻回端部)43bは、コイル40の下側を通して、側壁部14bが取り除かれた部分からベース10の外側に引き出される。
本実施の形態において、巻回端部43bは、溝部18を通して、コイル40の内側から、端子板19側まで引き出される。これにより、巻回端部43bに至る導線がコイル40の下面と底部14aの上面との間で挟まれて、導線に負荷がかかったり絶縁が損なわれたりすることを防止することができる。なお、コイル40とベース10との絶縁を確保するため、コイル40の導線を貫通させるための筒状の絶縁部材を挿入してもよい。
側壁部14bが取り除かれた部分を通してベース10の外側に引き出された巻回端部43a,43bは、それぞれ端子19a,19bに半田付け等により接続されている。外部からの導線を端子19a,19bに接続することで、導線を通してコイル40に通電することができる。端子19a,19bは端子板19状に配置されているので、容易に外部からの導線を端子19a,19bに接続することができる。
プレート30は、本実施の形態において、水平面に平行な、円形の板状である。プレート30は、磁性体で形成されている。プレート30は、例えば、金属製である。プレート30は、例えば鉄製である。プレート30は、例えば、鋼板等をプレス等により成型することにより形成されている。なお、プレート30は、切削等の加工が行われて形成されていてもよい。
プレート30は、ベース10の上方に、ベース10に対向するようにして配置されている。図5に示されるように、プレート30は、孔部11が設けられている部分を除くフランジ部15の周縁部の外径寸法と、略同じ外径寸法を有している。プレート30は、孔部11が設けられている部分を除き、フランジ部15を覆うように形成されている。図7に示されるように、プレート30の外周部の近傍部分の下面は、フランジ部15の上面に対面している。換言すると、フランジ部15は、ベース10のコイル40の外周部よりも外側の部位に設けられており、プレート30の表面に対向する。
図7に示されるように、プレート30は、ベース10に対して、磁気回路を構成するように間隔をわずかに空けて配置されている。プレート30とベース10との間には、弾性部材51が配置されている。弾性部材51が配置されていることにより、プレート30とベース10との間には、コイル40に通電されていない状態において一定の間隔が設けられている。すなわち、プレート30は、ベース10のフランジ部15より、弾性部材51の厚さ分だけ、上側に高い位置にある。
弾性部材51は、例えば復元力を有する樹脂部材であり、変形可能である。弾性部材51は、プレート30をベース10に対して支えている。弾性部材51は、プレート30とベース10との間に設けられている。本実施の形態において、弾性部材51は、フランジ部15とプレート30との間に挟まれるようにして配置されている。すなわち、弾性部材51は、コイル40の外側に位置するベース10の外周部と、コイル40の外側に位置するプレート30の外周部との間に配置されている。
弾性部材51は、例えば、フランジ部15に接着剤を用いて接着されて固定されている。なお、弾性部材51の配置方法は、接着に限られない。また、弾性部材51は、プレート30に固定されていてもよいし、フランジ部15とプレート30とのそれぞれに接着等されて固定されていてもよい。また、弾性部材51は、フランジ部15にもプレート30にも固定されていなくてもよい。
弾性部材51としては、4つの部材(弾性部材51a,51b,51c,51d;以下において、これらの各々を弾性部材51ということがある)が設けられている。4つの弾性部材51は、周方向に複数並べて配置されている。4つの弾性部材は、周方向に所定の間隔を空けて配置されている。すなわち、図5に示されるように、本実施の形態においては、凸部20の左後方に弾性部材51aが配置されている。凸部20の右後方に弾性部材51bが配置されている。凸部20の右前方に弾性部材51cが配置されている。凸部20の左前方に弾性部材51dが配置されている。ある弾性部材51に注目した場合、周方向に隣り合う弾性部材51は、大まかに、凸部20を中心に90度回転した位置に配置されている。
4つの弾性部材51は、周方向に隣り合う弾性部材51とは離れた位置に配置されている。すなわち、側方から振動発生装置1を見たときに、プレート30とベース10との間に弾性部材51がない部分がある。
弾性部材51は、プレート30とベース10との間にあるスペースS、周方向において4つの弾性部材51のうち隣接する2つの弾性部材の間にあるスペースS、ベース10の内側にあるスペースSとしての凹部14に向かって変形可能である。よって、スペースSは変形した弾性部材51の一部を収容し、このようなスペースSを設けることで、弾性部材51は凹部14に向かって変形可能となっている。
なお、弾性部材51は、4つに限られず、2つ又は3つでもよい。また、5つ以上が設けられていてもよい。また、後述するように、弾性部材51は環状であってもよい。弾性部材51は、フランジ部15とプレート30との間に限られず、コイル40の上面とプレート30との間に配置されていてもよいし、凸部20の上面とプレート30との間に配置されていてもよい。
本実施の形態において、プレート30とベース10とは、磁気回路を構成する。プレート30は、外周部分においてフランジ部15と所定の間隔を空けて近接しており、中央部分において凸部20と所定の間隔を空けて近接している。そのため、プレート30と、凸部20を含むベース10とで、磁気回路が構成されている。プレート30とベース10とは弾性部材51の厚み分だけ離れているため、その厚み分の磁気ギャップが磁気回路に設けられている。磁気ギャップは、プレート30の振幅が大きくなる点で(磁気回路の磁気効率を高める観点で)、小さければ小さいほどよい。
振動発生装置1は、コイル40に電流が流れる状態とコイル40に電流が流れない状態とが繰り返されることにより、駆動される。すなわち、コイル40とベース10とで構成される電磁石を磁化させ、磁化を消すことを繰り返すことにより、振動発生装置1で振動を発生させることができる。
コイル40に電流が流れると、ベース10が励磁する。これにより、ベース10の上部と、フランジ部15とが磁極部となり、磁気回路を構成するプレート30も磁化する。ベース10の上部とプレート30の中央部との間、及びフランジ部15とプレート30の外周部との間で、比較的強い磁気吸引力が発生し、ベース10に対してプレート30が吸引される。これにより、弾性部材51を圧縮させながらベース10に対してプレート30が下方に変位し、プレート30とベース10との間隔が小さくなる。弾性部材51は、コイル40に電流が流れていない状態から圧縮されると、復元力を生じ、プレート30をベース10から離れる方向に付勢する。そのため、プレート30の最大の変位量は、磁気吸引力と弾性部材51の復元力とが釣り合う位置までになる。ここで、本実施形態において、ベース10の上部は凸部20となる。なお、ベース10の上部は凸部20に限定されず、ベース10の底部14aよりプレート30側に位置する部位であっても構わない。
コイル40に電流が流れている状態から、コイル40に電流が流れない状態になると、磁化が消えるので、磁気吸引力が消失する。そうすると、ベース10に対するプレート30の変位に伴って圧縮されている弾性部材51の復元力がプレート30に作用している状態となるため、プレート30がベース10に対して上方に変位する。これにより、プレート30とベース10との間隔が大きくなる。
コイル40に電流が流れる状態とコイル40に電流が流れない状態とが繰り返されることにより、プレート30がベース10に対して上下方向に変位することを繰り返す。すなわち、プレート30は、ベース10に対して遠近する方向に変位する。これにより、振動発生装置1で振動力を発生させることができる。ここで、遠近する方向とは、例えば、プレート30がベース10に対して振動する方向、プレート30、ベース10の厚さ方向が挙げられる。
本実施の形態では、プレート30の外周部が、ベース10のフランジ部15に対向している。したがって、コイル40の外側部分において、磁気回路を通る磁束が漏れにくくなり(磁気抵抗が低下し)、強い磁気吸引力が発生する。そのため、振動発生装置1の効率を向上させることができる。また、振動面となるプレート30を、フランジ部15の大きさだけ拡大することができる。したがって、効率良く振動を電子機器1001等に伝達させることができる。
弾性部材51がプレート30とベース10との間に挟まれるように配置されている。そのため、コイル40に電流が流れている場合でも、プレート30とベース10とが接触することがない。したがって、振動発生装置1の駆動時において、プレート30とベース10とが接触することによる異音の発生を防止することができる。
側方から振動発生装置1を見たときに、プレート30とフランジ部15との間に弾性部材51が配置されていない部分がある。そのため、ベース10に対してプレート30が下方に変位して弾性部材51が圧縮されたときに、弾性部材51は、径方向だけでなく、周方向にも広がるように変形可能となる。また、弾性部材51の厚さ、幅などの寸法を変えることにより、振動発生装置1に必要な復元力(弾性力ともいう)を獲得することができる。そのため、磁気吸引力の強さに対するプレート30の変位量を大きくすることができる。また、コイル40が設けられている空間と、振動発生装置1の外部とが、プレート30とフランジ部15との間の弾性部材51が配置されていない部分を通して連通している。したがって、コイル40が発生する熱を効果的に放熱させることができる。
なお、図3及び図4に二点鎖線で示すように、振動発生装置1のプレート30の上面にはウエイト30wが配置されていてもよい。プレート30にウエイト30wが配置されている場合には、プレート30がウエイト30wと共に変位するので、より強い振動力を発生させることができる。
[弾性部材に関する変形例の説明]
振動発生装置に用いる弾性部材としては、上述の弾性部材51のようなものに限られず、種々の形態のものを用いることができる。すなわち、弾性部材の形態は、振動発生装置のサイズや、コイルを利用して発生させる磁気吸引力の大きさや、必要な振動力の大きさ等、様々な要因に応じて、適宜選定すればよい。
また、弾性部材の素材も、上述のような要因に応じて、適宜選定すればよい。弾性部材としては、ゴム、合成樹脂、ゲル状の部材、及び各種の気泡を有するスポンジのような樹脂部材を用いることができる。また、弾性部材としては、金属製の板ばねやコイルばね等のばねなどの、金属部材を用いることができる。これらは一例であり、弾性部材として、変形可能であってベース10に対してプレート30を支持することができる種々のものを用いることができる。
弾性部材として、磁性材料を含む素材を用いてもよい。これにより、弾性部材を、ベース及びプレートと共に磁気回路を構成する部材として用いるようにしてもよい。これにより、磁気回路における磁束漏れの発生を抑制し(磁気抵抗を低下させ)、振動発生装置1の効率を向上させることができる。
例えば、弾性部材は、以下のような形態のものであってもよい。
図8は、第1の変形例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図8において、上段には、環状に構成された弾性部材50Aが示されている。下段には、それぞれ環状の弾性部材50Aの一部分を構成するような形状の、4つの弾性部材51A(51Aa,51Ab,51Ac,51Ad)が示されている。4つの弾性部材51Aは、上述の弾性部材51と同様に、周方向に所定の間隔を空けて配置されればよい。弾性部材50A,51Aは、シート状の復元力を有する樹脂部材である。
環状の弾性部材50Aの内側には、弾性部材50Aの一部を収容可能なスペースSが設けられている。
図9は、第2の変形例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図9において、上段には、環状に構成された弾性部材50Bが示されている。下段には、それぞれ環状の弾性部材50Bの一部分を構成するような形状の、4つの弾性部材51B(51Ba,51Bb,51Bc,51Bd)が示されている。4つの弾性部材51Bは、上述の弾性部材51と同様に、周方向に所定の間隔を空けて配置されればよい。弾性部材50B,51Bは、断面が円形状の復元力を有する樹脂部材である。
環状に構成された弾性部材50B、環状に配置された弾性部材51Bの内側には、弾性部材50B、51Bの一部を収容可能なスペースSが設けられている。また、4つの弾性部材51Bのうち、隣接する2つの弾性部材51Bの間に、スペースSが設けられている。
図10は、第3の変形例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図10において、上段には、それぞれ半円弧状より若干短い2つの弾性部材50C(50Ca、50Cb)が示されている。下段には、それぞれ環状の弾性部材の一部分を構成するような形状の、4つの弾性部材51C(51Ca,51Cb,51Cc,51Cd)が示されている。4つの弾性部材51Cは、上述の弾性部材51と同様に、周方向に所定の間隔を空けて配置されればよい。弾性部材50C,51Cは、円筒型のパイプ状の復元力を有する樹脂部材である。円筒状にすることにより、弾性部材50B,51Bと比べて、ベース10に対するプレート30の変位量を大きくすることができる。
環状に構成された弾性部材50C、51Cの内側には、弾性部材50C、51Cの一部を収容可能なスペースSが設けられている。また、2つの弾性部材50Cの間、4つの弾性部材51Cのうち隣接する2つの弾性部材51Cの間には、スペースSが設けられている。
図11は、第4の変形例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図11においては、4つの弾性部材51D(51Da,51Db,51Dc,51Dd)が示されている。4つの弾性部材51Dは、上述の弾性部材51と同様に、周方向に所定の間隔を空けて配置されればよい。弾性部材51Dのそれぞれは、球状の復元力を有する樹脂部材である。
環状に配置された4つの弾性部材51Dの内側には、弾性部材51Dの一部を収容可能なスペースSが設けられている。また、4つの弾性部材51Dのうち、隣接する2つの弾性部材51Dの間に、スペースSが設けられている。
図12は、第5の変形例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図12において、上段には、環状に構成された弾性部材50Eが示されている。下段には、それぞれ環状の弾性部材50Eの一部分を構成するような形状の、4つの弾性部材51E(51Ea,51Eb,51Ec,51Ed)が示されている。4つの弾性部材51Eは、上述の弾性部材51と同様に、周方向に所定の間隔を空けて配置されればよい。弾性部材50E,51Eは、シート状の復元力を有する樹脂部材である。弾性部材50E,51Eの表面には、凹凸がある。具体的には、弾性部材50E,51Eの表面には、小さな突起55Eが多数設けられている。このような突起55E等が設けられて、凹凸があることにより、弾性部材50E,51Eが圧縮されたときの弾性部材50E,51Eの変形の仕方が、凹凸がない場合から変化する。そのため、振動発生装置1で発生させる振動を変化させることができる。
環状に構成された弾性部材50E、環状に配置された弾性部材51Eの内側には、弾性部材50E、51Eの一部を収容可能なスペースSが設けられている。また、4つの弾性部材51Eのうち、隣接する2つの弾性部材51Eの間に、スペースSが設けられている。
図13は、第6の変形例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図13において、上段には、環状に構成された弾性部材50Fが示されている。弾性部材50Fは、復元力を有する樹脂部材である。弾性部材50Fは、環状に構成されたシート状の環状部55Fと、環状部55Fから上方に突出する複数の突出部56Fとを有している。突出部56Fのそれぞれは、弾性部材50Fの径方向に延びるリブ形状を有している。
環状に構成された弾性部材50Fの内側には、弾性部材50Fの一部を収容可能なスペースSが設けられている。また、複数の突出部56Fのうち隣接する2つの突出部56Fの間にスペースSが設けられている。
弾性部材50Fは、例えば、突出部56Fの上部がプレート30に接触する状態で用いられる。プレート30が下方に変位するとき、各々の突出部56Fが上下方向に圧縮される。突出部56F同士は周方向に離れており、突出部56Fが周方向に変形可能な空間があるため、各突出部56Fは上下方向に圧縮されやすくなっている。したがって、一体に形成された弾性部材50Fを利用しながら、複数の弾性部材を用いた場合と同様に、磁気吸引力の強さに対するプレート30の変位量を大きくすることができ、また、コイル40が発生する熱を放熱させることができる。
なお、環状に構成された弾性部材を用いるか、複数の弾性部材を周方向に間隔を空けて配置するかどうかは、振動発生装置1の用途等に応じて適宜選択すればよい。上述のように、複数の弾性部材を周方向に間隔を空けて配置する場合には、磁気吸引力の強さに対するプレート30の変位量を大きくすることができ、また、コイル40が発生する熱を放熱させることができる。他方、環状に構成された弾性部材を用いる場合には、弾性部材の内側と外側とで、プレート30とフランジ部15との間の隙間をなくすことができる。したがって、弾性部材の内側の領域に異物などが入り込んでプレート30の変位が阻害されるというような不具合が発生することを防止することができる。
[振動発生装置1の取り付け構造についての説明]
図14は、振動発生装置1の電子機器1001への取り付け構造を示す図である。
図14において、細部の構造は、説明のため簡略化されて示されている。図14において、コイル40に電流が流れていない状態が示されている。
電子機器1001では、フォースセンサ(第3の弾性部材の一例)1040が、接触部材1020と筐体1010との間に配置されている。すなわち、接触部材1020は、筐体1010に、フォースセンサ1040を介して固定されている。フォースセンサ1040は、接触部材1020を筐体1010に押し付ける力が接触部材1020に加えられたとき、その力を検出する。フォースセンサ1040は、弾性を有する弾性部材で形成されている。なお、フォースセンサ1040に代えて、又はフォースセンサ1040と共に、板バネ、コイルバネ、ゴムや合成樹脂等の弾性部材が、接触部材1020と筐体1010との間に配置されていてもよい。
振動発生装置1は、プレート30の上面が接触部材1020の下面に対向する向きで、接触部材1020に固定されている。ベース10は、例えば、フランジ部15の上面と接触部材1020との間にスペーサ1091を挟んだ状態で、フランジ部15の下側から上方に孔部11及びスペーサ1091を貫通するようにして差し込まれたねじ1090により、接触部材1020に固定されている。
筐体1010に対向する振動発生装置1のベース10の下面と、振動発生装置1に対向する筐体1010の底面の上面との間には、間隙が設けられている。
プレート30は、ベース10に対して遠近する方向すなわち上下方向において、接触部材1020に接触可能及び離間可能である。本実施の形態においては、コイル40に電流が流れていない状態で、プレート30の上面が接触部材1020の下面に接触している。このようにプレート30が接触部材1020に接触しているときに、弾性部材51は、自然状態(プレート30をベース10に遠近させる力が加わっていない状態)よりも縮んでいる。換言すると、接触部材1020に接触したプレート30を支持する弾性部材51は、変形している。すなわち、プレート30が接触部材1020に接触することによりプレート30がベース10に若干押し付けられた状態で、振動発生装置1が接触部材1020に固定されている。振動発生装置1が接触部材1020に固定され、プレート30が接触部材1020に接触している状態で、弾性部材51は、ベース10に対して遠近する方向において、プレート30を接触部材1020に向けて付勢しており、プレート30は接触部材1020に作用を及ぼしている。
図15は、コイル40に電流が流れている状態の振動発生装置1を示す図である。
コイル40に電流が流れると、プレート30が変位して、ベース10に近づく。このとき、ベース10の位置は変わらない。すなわち、このとき、図15に示されるような、プレート30が接触部材1020から離れた(離間した)状態になる。
その後、コイル40に流れている電流が止められると、磁気吸引力が消失する。そうすると、弾性部材51の復元力によりプレート30が上方に付勢され、プレート30が接触部材1020に向けて変位する。プレート30が接触部材1020に接触するまで変位すると、プレート30が接触部材1020に接触した状態で停止し、図14に示されているような状態に戻る。
このように、コイル40に電流を流したり電流を止めたりすることを繰り返すことで、図14に示されるような状態と図15に示されるような状態とを繰り返し発生させる。プレート30が往復変位を繰り返すと、接触部材1020がプレート30に及ぼす反作用による振動が発生し、振動が接触部材1020に伝達される。接触部材1020は弾性部材であるフォースセンサ1040を介して筐体1010に連結されているので、接触部材1020は筐体1010に対して、若干変位することが許容されている。筐体1010にも振動が伝達されることで、電子機器1001を使用するユーザに振動を感じさせることができる。
なお、コイル40に流れている電流が止められてプレート30が接触部材1020に接触するとき、プレート30を勢いよく接触部材1020に当てることができる。衝撃を接触部材1020に生じさせることができるので、ユーザにクリック感のような、比較的特有の感触を感じさせることができる。
なお、振動発生装置1の取り付け構造は、これに限られるものではない。また、振動発生装置1は、電子機器1001のほか、種々の電子機器に用いることができる。
例えば、振動発生装置1は、電子機器の接触部材側ではなく、筐体側に取り付けられていてもよい。
図16は、振動発生装置1の取り付け構造の第1の変形例を示す斜視図である。図17は、振動発生装置1の取り付け構造の第1の変形例を示す断面図である。
図16及び図17に示されるように、電子機器1201は、例えばいわゆるスマートフォンであり、接触部材1020と、筐体1210と、フォースセンサ1040と、振動発生装置1とを備えている。電子機器1201は、上述の電子機器1001とは異なり、振動発生装置1が接触部材1020側ではなく、筐体1210側に取り付けられている。
図17に示されるように、筐体1010の内側には、振動発生装置1を取り付けるための、中央部に凹み1214を有する取付部1212が形成されている。取付部1212は、振動発生装置1のフランジ部15を支持するように、凹み1214よりも隆起している。振動発生装置1は、フランジ部15の孔部11が設けられている部位が取付部1212に載るように配置された状態で、上側から孔部11を貫通するようにしてねじ1090が取り付けられることで、取付部1212に取り付けられる。
本変形例において、取付部1212の上面から凹み1214の上面までの寸法は、振動発生装置1のフランジ部15の下面から凹部14の下面までの寸法より、若干大きくなっている。そのため、筐体1210に対向する振動発生装置1の面(ここでは、凹部14の下面)と、振動発生装置1に対向する筐体1210の面(ここでは、凹部1214の上面との間には、間隙が設けられている。
振動発生装置1のプレート30は、弾性部材1205(第2の弾性部材)を挟んで、接触部材1020に挟まれている。すなわち、弾性部材1205が、プレート30と接触部材1020との間に設けられている。また、弾性部材1205は、プレート30と接触部材1020に直接又は接着剤等の他の部材を介して連結又は固定されている。弾性部材1205は、クッション性を有する部材である。弾性部材1205は、例えば、ゴムや合成樹脂等の樹脂部材である。弾性部材1205が設けられていることにより、振動発生装置1で生じた振動が、弾性部材1205で若干緩和されて接触部材1020にも伝達される。また、筐体1210、フォースセンサ1040、及び接触部材1020を組み立てるときに、筐体1210と接触部材1020との間の寸法の公差は比較的大きくなってしまうところ、弾性部材1205でその公差を許容し、プレート30が変位することに伴う力を接触部材1020に加えることができる。
必要に応じて、弾性部材1205を設けずに、プレート30を接触部材1020に直接又は接着剤等の他の部材を介して連結又は固定しても構わない。
図18は、振動発生装置の取り付け構造の第2の変形例を示す平面図である。図19は、図18のC−C線断面図である。
図18及び図19に示されるように、電子機器1601は、例えばいわゆるタブレット型の電子計算機であり、接触部材1620と、筐体1610と、弾性部材1640と、振動発生装置1とを備えている。接触部材1620は、タッチパネルである。弾性部材1640は、例えば、ゴムや合成樹脂等の弾性部材であり、接触部材1620と筐体1610との間に配置されている。弾性部材1640は、例えば、接触部材1620の外周部を囲むように配置されている。
図18に示されるように、電子機器1601において、振動発生装置1は、接触部材1620の外周部に固定されている。すなわち、振動発生装置1は、プレート30が接触部材1620の外周部の一部に接触するようにして、接触部材1620に連結されている。図19に示されるように、振動発生装置1のベース10の表面と筐体1620の内面との間には、間隙が設けられている。図19において、振動発生装置1の内部構造の図示は省略されている。
このように、接触部材1620の外周部に振動発生装置1が固定されている場合であっても、振動発生装置1が発生する振動を接触部材1620に伝達させることができ、振動発生装置1を利用することができる。
図20は、電子機器の一変形例を示す斜視図である。
図20に示されるように、電子機器1401は、例えば、自動車のステアリングホイールである。電子機器1401は、ハブ1405とハンドル1403とを繋ぐ3つのスポーク部1407のそれぞれに、接触部材1420を有している。それぞれの接触部材1420は、例えば自動車の各種機能についての選択や調整を行うための操作スイッチが複数集まった操作入力部である。振動発生装置1は、それぞれの接触部材1420の背部に取り付けられている。振動発生装置1を用いることで、各接触部材1420の操作スイッチが操作されたときにそれに応じた振動を発生させ、ユーザに、操作についてのフィードバックを与えることができる。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、振動発生装置1は、ベース10と、コイル40と、プレート30と、弾性部材51とを有する薄型の構造である。したがって、比較的大きな振動面を有する振動発生装置1を小型化できる。振動発生装置1においては、ベース10とプレート30とで磁気回路が構成されているので、効率良く、大きな振動を発生させることができる。ベース10にはフランジ部15が設けられており、フランジ部15に対向するようにプレート30が設けられているので、磁極部となるフランジ部15とプレート30との間で磁束が漏れにくく(磁気抵抗を低下でき)、より大きな振動を発生されることができる。
プレート30とベース10との間には、上下の寸法(厚さ)が等しい複数の弾性部材51が配置されている。したがって、プレート30を、水平姿勢を保ったまま変位させることができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態における振動発生装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第1の実施の形態で説明した構成と形状又は機能が実質的に同様である構成については、同一の符号を付して、説明を省略することがある。第2の実施の形態においては、弾性部材が配置されている態様や、ベースの構成などが第1の実施の形態とは異なっている。
図21は、第2の実施の形態に係る振動発生装置101の平面図である。図22は、図21のE−E線断面図である。
図21においては、振動発生装置101の内部構造を説明するため、プレート30の図示は省略されている。すなわち、本来の振動発生装置101の平面図ではプレート30に隠れている構成部材についても、図21においては実線で示されている。
図21及び図22に示されるように、振動発生装置101は、ベース110と、プレート30と、コイル40と、弾性部材151(151a,151b,151c,151d,151m)とを有している。
第2の実施の形態において、ベース110には、センター凸部120と、アウター凸部125とが取り付けられている。センター凸部120は、第1の実施の形態の凸部20と同様に、ベース110の凹部14の中央部の窪み17に配置されている。アウター凸部125は、環状の部材である。アウター凸部125は、コイル40の外周よりも外側に、コイル40の外周を囲むように形成され、配置されている。ベース110の凹部14の底部14aには、アウター凸部125が固定される環状の窪み117bが形成されている。センター凸部120とアウター凸部125とは、凸部20と同様に、磁性体で形成されている。例えば、センター凸部120とアウター凸部125とは、鉄製である。コイル40に電流が流れるのに伴い、ベース110が励磁し、センター凸部120の上部とアウター凸部125の上部とが、それぞれ磁極部となる。
センター凸部120とアウター凸部125とは、それぞれの上面がベース110の上面と同じ高さになるように形成されている。プレート30は、プレート30の外周部がアウター凸部125の上面に対向するように配置されている。なお、ベース110には、第1の実施の形態におけるような、凹部14の外周を囲むように配置された幅広のフランジ部15は設けられておらず、孔部11が設けられている凹部14の左右両側の部分のみがフランジ状に広がっている。
センター凸部120の上面の中央部には、弾性部材151m(以下、特にセンター弾性部材151mということがある)が配置される窪み120aが形成されている。また、アウター凸部125には、弾性部材151a,151b,151d,151d(以下、特にこれらをまとめてアウター弾性部材151ということがある)が配置される4箇所の窪み126が形成されている。第2の実施の形態において、アウター弾性部材151は、第1の実施の形態における弾性部材51と同様に、周方向に略等間隔に並べて配置されている。窪み120a,126の深さは例えば均一であるが、これに限られず、窪み120aの深さと窪み126の深さとが異なっていてもよい。
ベース110において、センター凸部120が配置される窪み17とアウター凸部125が配置される窪み117bとの間には、若干上方に盛り上がったコイル配置部116が設けられている。コイル配置部116の上方に、コイル40が配置されている。これにより、コイル40の体積を必要に応じて小さくしつつ、一定の大きさの振動面を有する振動発生装置1を構成することができる。また、ベース110とプレート30とで構成される磁気回路において、底部14a部分における磁束の飽和が発生することを防止することができる。また、コイル40の上面とセンター凸部120の上面を同じ高さに調整するために、コイル配置部116を設けても構わない。
コイル40の上面には、絶縁性を有するフィルム(樹脂フィルム)145が配置されている。また、コイル40の下面には、コイル配置部116との間に、絶縁性を有するフィルム(樹脂フィルム)146が配置されている。絶縁性を有するフィルム(樹脂フィルム)145,146は、例えば、絶縁性を有する樹脂部材である。これにより、コイル40とベース110との間、コイル40とプレート30との間の絶縁を確実に確保することができる。
第2の実施の形態においては、ベース110が、センター凸部120とアウター凸部125とを有しており、プレート30の外周部がアウター凸部125の上面に対向するように配置されている。したがって、プレート30と、ベース110のセンター凸部120、アウター凸部125、及び底部14a部分とで磁気回路が構成される。したがって、上述の第1の実施の形態と同様に振動発生装置101を機能させることができる。第2の実施の形態における振動発生装置101は、第1の実施の形態で説明したのと同様に、種々の電子機器に用いることができる。
アウター凸部125として比較的幅が広いものを用いることができるので、それに応じてプレート30の径を大きくすることができ、振動面を拡大させつつ、振動発生装置101の効率を向上させることができる。
また、センター凸部120とアウター凸部125とに窪み120a,126が形成されているので、プレート30とベース110の上面との間隔を小さくし、かつ、弾性部材151の上下方向の高さを長く確保することができる。ベース110に向かってプレート30を変位させて弾性部材151を圧縮させるとき、プレート30の変位量が大きくなるにつれて、それに抗する弾性部材151が発生する力が大きくなる度合いが増えていくが、この度合いは、自然状態における弾性部材151の上下方向の長さが長い方が小さくなる。したがって、コイル40に電流が流れたときに、プレート30とベース110との間に作用する磁気吸引力の大きさを大きくし、かつ、弾性部材151を圧縮しやすくすることができる。
センター弾性部材151mは、プレート30がベース110に対して下方に変位するのに伴って、径方向に広がりながら変形し、圧縮される。したがって、プレート30の中央部でプレート30が安定的に支えられるので、プレート30が上下方向に変位を繰り返す際、プレート30が水平方向に変位しにくくなる。したがって、安定して振動を発生させることができる。
図23は、第2の実施の形態の一変形例を示す図である。
図23に示されるように、振動発生装置201は、ベース210と、プレート30と、コイル40と、弾性部材151b,151dとを有している。振動発生装置201は、上述の第2の実施の形態に係る振動発生装置1と比較して、主に、センター弾性部材151mを有していない点と、コイル配置部116を有していない点とで異なっている。なお、図23においては、複数の弾性部材151のうち弾性部材151b,151dを通過する断面が示されている。
ベース210は、凸部20と、アウター凸部125と、スペーサ228とを有している。凸部20は、凹部14の底部14aの窪み17に配置されている。アウター凸部125は、底部14aに形成された環状の窪み117bに配置されている。スペーサ228は、凸部20とアウター凸部125との間において、底部14aの上に配置されている。スペーサ228は、アウター凸部125の内径よりわずかに小さい外径と、凸部20の外形よりわずかに大きい内径とを有する、リング形状を有している。スペーサ228は、凸部20やアウター凸部125と同様に、磁性体で構成されている。例えば、スペーサ228は、鉄製である。スペーサ228を磁性体で形成することで、磁気回路の磁気効率が向上し、振動発生装置1が発生させる振動の振幅を大きくすることができる。コイル40及び絶縁フィルム145,146は、スペーサ228の上に配置されている。なお、スペーサ228は樹脂等の非磁性体であってもよい。スペーサ228として、絶縁性を有する部材を用いて、コイル40の絶縁をより確実に確保することができるようにしてもよい。
振動発生装置201においても、プレート30と、ベース210の凸部20、アウター凸部125、底部14aとで、磁気回路が構成される。したがって、第2の実施の形態と同様に振動発生装置201を機能させることができる。なお、振動発生装置201は、センター弾性部材151mを有していないが、その他の弾性部材151が設けられていることにより、振動発生装置201を機能させることができる。センター弾性部材151mを設けて、より安定的に上下方向にプレート30を変位させることができるようにしてもよい。
[第3の実施の形態]
図24は、第3の実施の形態に係る振動発生装置401の平面図である。図25は、図24のG−G線断面図である。
図24及び図25に示されるように、振動発生装置401は、ベース410と、プレート430と、コイル40と、弾性部材151(151a,151b,151c,151d,151m)とを有している。コイル40及びその上下に配置されている絶縁フィルム145,146や、弾性部材151は、上述の第2の実施の形態と同様のものであるので、説明を省略する。
第3の実施の形態において、ベース410は、コア420と、底板411とを有している。
コア420は、磁性体である。コア420は、例えば鉄製である。コア420は、全体として例えば円柱形状を有している。コア420は、上面から下方に凹む溝部428を有している。これにより、溝部428から見て上方に突出するセンター凸部421とアウター凸部425とが設けられている。すなわち、センター凸部421とアウター凸部425とは、1つの部材で構成されている。
コイル40は、絶縁フィルム145,146と共に、溝部428の内部に配置されている。センター凸部421及びアウター凸部425は、振動発生装置401において、第2の実施の形態におけるセンター凸部120及びアウター凸部125と同様の役割を果たす。すなわち、コイル40に電流が流れるのに伴い、コア420が励磁し、センター凸部421の上部とアウター凸部425の上部とが、それぞれ磁極となる。
底板411は、例えば、大まかに平面視で正方形の板状部材である。コア420が配置される部分が、周辺部から凹んだ窪み414となっている。コア420は、窪み414に配置される。また、底板411の前方には、端子(図示せず)が配置される突出部419が形成されている。例えば、コア420の溝部428の下面又は側面の一部には、コア420の外表面との間に貫通する貫通孔又は切り欠き部(図示せず)が設けられており、貫通孔又は切り欠き部を通して、コイル40の導線が突出部419まで導かれるようになっている。
底板411は、例えば鉄などの磁性体で形成してもよいし、樹脂等の他種の部材で構成されていてもよい。底板411を磁性体で形成することで、磁気回路の磁気効率が向上し、振動発生装置1が発生させる振動の振幅を大きくできる。また、底板411は、例えば回路基板等であってもよい。底板411には、必ずしも窪み414や突出部419が設けられていなくてもよい。
弾性部材151は、センター凸部421の上面及びアウター凸部425の上面に配置されている。弾性部材151の上に、円盤状のプレート430が配置されている。これにより、プレート430と、センター凸部421及びアウター凸部425を有するコア420とで磁気回路が構成されている。溝部428が設けられている部分のコア420の上下方向の厚みは、比較的大きく確保されている。したがって、磁気回路において、磁束の飽和が発生しにくくなっている。
なお、底板411の角部には、上下方向が長手方向となるように配置された棒状の支持部461が設けられている。また、プレート430の上面には、上方に突出する突出部462が設けられている。支持部461と突出部462とには、環状のラバー部材465が架けられている。これにより、ベース410に対してプレート430を保持する保持構造460が構成されている。保持構造460は、例えば、振動発生装置401の右前部、右後部、左前部、左後部のそれぞれに設けられている。これにより、プレート430が脱落することを防止し、振動発生装置401を様々な用途や姿勢で用いることができる。
第3の実施の形態においても、プレート430と、センター凸部421及びアウター凸部425を有するコア420とで磁気回路が構成されている。したがって、上述の第1の実施の形態と同様に振動発生装置401を機能させることができる。第3の実施の形態における振動発生装置401は、第1の実施の形態で説明したのと同様に、種々の電子機器に用いることができる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態における振動発生装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第1の実施の形態で説明した構成と形状又は機能が実質的に同様である構成については、同一の符号を付して、説明を省略することがある。
図26は、第4の実施の形態に係る振動発生装置601の断面図である。
図26に示されるように、振動発生装置601は、ベース10と、プレート630と、コイル40と、弾性部材51(51a,51b)とを有している。弾性部材51は、図5及び図6のように、フランジ部15上に周方向に複数並べて配置されている。プレート630のベース10に対向する面には、突出部635が設けられている。突出部635は、ベース10の凸部620に対向するように配置されている。なお、凸部620の上下方向の高さは、突出部635が下方に突出している分だけ低くなっている。
第4の実施の形態においても、プレート630の突出部635及び外周部と、ベース10の凸部620、底部14a、及びフランジ部15とで、磁気回路が構成される。したがって、上述の第1の実施の形態と同様に、振動発生装置601を機能させることができる。プレート630の突出部635は、ウエイトとしての役割も果たす。すなわち、プレート630には、ウエイトとしての突出部635が設けられており、プレート630が比較的重くなっているので、より大きな振動力を発生させることができる。
なお、ウエイトは、プレート630の下面以外の面に配置されていてもよい。また、プレート630とは別部材として構成されたウエイトが、プレート630に取り付けられていてもよい。
図26に示されるコイル40の上面は、ベース部15の上面と同じ高さになっている。このようにコイル40の厚さを増すことで、磁気吸引力を増加させることができる。なお、これに限定されず、コイル40の上面を凸部620の上面と同じ高さにしても構わない。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態における振動発生装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第1の実施の形態で説明した構成と形状又は機能が実質的に同様である構成については、同一の符号を付して、説明を省略することがある。
図27は、第4の実施の形態に係る振動発生装置701の断面図である。
図27に示されるように、振動発生装置701は、ベース710と、プレート730と、コイル40と、弾性部材751(751a,751b)とを有している。
プレート730は、その外周端部732が屈曲している構造を有している。すなわち、外周端部732は、天面部731からコイル40に向かって屈曲している。外周端部732は、水平部分である天面部731から、下方に向かって屈曲している。
本実施の形態において、プレート730の外周端部732は、ベース710の外周端部よりも内側にある。具体的には、外周端部732は、ベース710の凹部14の外周端部すなわち側壁部14bよりも内側になる。プレート730は、ベース710の凹部14に外周端部732が入り込むようにしてベース710側に取り付けられている。外周端部732は、コイル40の外周側面とベース710の側壁部14bとの間に入り込んでいる。外周端部732の下端部と、ベース710の凹部14の底部14aの上面との間に、弾性部材751が配置されている。弾性部材751は、第1の実施の形態における弾性部材51と同様に、プレート730をベース710に対して支持する。
第5の実施の形態において、プレート730とベース710とで、磁気回路が構成される。したがって、第1の実施の形態と同様に、振動発生装置701を機能させることができる。プレート730の外周端部732がベース710の底部14aや側壁部14bに近接しているので、プレート730とベース710との間で磁束漏れが少なくなる(磁気抵抗が低下する)。したがって、振動発生装置701の効率を向上させることができる。
[第6の実施の形態]
図28は、第6の実施の形態に係る振動発生装置801を示す斜視図である。図29は、第6の実施の形態に係る振動発生装置801の構造を説明する図である。
図28及び図29を参照して、振動発生装置801は、全体として、直方体形状を有している。振動発生装置801は、ベース810と、プレート830と、コイル840と、弾性部材851(851a,851b)とを有している。
ベース810は、左右両側に孔部11が形成されたフランジ部815を有し、両フランジ部815間の中央部分に下方に凹む凹部814を有する。凹部814は、左右方向が前後方向よりも長い矩形形状を有している。凹部814には、コア820が配置されている。コア820の周囲に、コイル840が配置されている。コア820及びコイル840は、例えば、凹部814の形状にあわせて、左右方向が長いオーバル形状(2つの半円弧同士を2本の線分で結んだ形状を含む)に形成されている。
プレート830は、水平部分である天面部831と、右端部及び左端部であって、天面部831からコイル840の方向に屈曲した2つの屈曲部832とを有している。屈曲部832は、ベース810の外周端部よりも内側にある。具体的には、屈曲部832は、ベース810の凹部814の側壁部814aよりも内側になる。プレート830は、ベース810の凹部814に屈曲部832の下端部が入り込むようにしてベース810側に取り付けられている。屈曲部832の下端部は、コイル840の外周側面とベース810の側壁部814bとの間に入り込んでいる。屈曲部832の下端部と、ベース810の凹部814の上面との間に、弾性部材851が配置されている。弾性部材851は、第1の実施の形態における弾性部材51と同様に、プレート830をベース810に対して支持する。
第6の実施の形態において、プレート830とベース810とで、磁気回路が構成される。したがって、第1の実施の形態と同様に、振動発生装置801を機能させることができる。プレート830の屈曲部832がベース810の凹部814の上面に近接し側壁部814bに対向しているので、プレート830とベース810との間で磁束漏れが少なくなる(磁気抵抗が低下する)。したがって、振動発生装置801の効率を向上させることができる。
振動発生装置801のベース810やプレート830等の部材は、直線的な折り曲げ加工等で容易に製造することができる。
図30は、第6の実施の形態の一変形例に係る振動発生装置901を示す斜視図である。図31は、第6の実施の形態の一変形例に係る振動発生装置901の構造を説明する図である。
図30及び図31を参照して、振動発生装置901は、第6の実施の形態に係る振動発生装置801と基本的には同じ構造を有している。振動発生装置901においては、プレート830に代えて、平板状のプレート930が用いられている。そして、弾性部材851に代えて、ベース810のフランジ部815の上面に弾性部材951(951a,951b)が配置されている。プレート930の右側部と左側部とは、フランジ部815に対向している。弾性部材951は、プレート930の右側部と左側部と、フランジ部815とに挟まれるようにして配置されている。
振動発生装置901において、ベース810のフランジ部815は磁極部となり、プレート930とベース810とで、磁気回路が構成される。したがって、振動発生装置801と同様に、振動発生装置901を機能させることができる。プレート930の左右の両側部がフランジ部815に対向しているので、プレート930とベース810との間で磁束漏れが少なくなる(磁気抵抗が低下する)。したがって、振動発生装置901の効率を向上させることができる。
[その他]
上述の実施の形態やその変形例における個別の特徴点を、適宜組み合わせて振動発生装置を構成してもよい。例えば、図18に示される振動発生装置1の外形は、図4に示されるような円盤形状にしてもよいし、後述する図28に示されるような直方体形状にしてもよい。また、図18に示される振動発生装置1を、第2の実施の形態から第6の実施形態6の振動発生装置101,201,401,601,701,801,901のいずれかに適宜変更しても構わない。
他の部材としては、接着剤、前述の弾性部材、樹脂部材、などの公知の部材が挙げられる。
振動発生装置は、上記で例示したような薄型又は小型のものに限られない。基本的構成を同一とする大型な振動発生装置を構成してもよい。
振動発生装置は、上述のタイプの電子機器に限られず、種々のタイプの電子機器に用いることができる。例えば、パーソナルコンピュータやその周辺装置、テレビや冷蔵庫、洗濯機等の家庭用電子器具やそれを操作するためのリモートコントローラ等の電子機器、運輸用の機器に用いられる電子機器、建築物等に用いられる電子機器等、様々な電子機器に、振動発生装置を用いることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。