本発明の目的は、前述した問題を少なくとも部分的に回避する鉄道分岐機構を提供することである。この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。
冬季の信頼性の低い切替えの問題は、主に、分岐ブレードの水平動作時に、雪や氷が基本レールと分岐ブレードとの間に挟み込まれ易いという事実に起因する。水平方向の転轍動作中に雪や氷が挟み込まれるのを回避するための有効な手段が存在していない。同様の問題は、岩屑、石又は他の粒子が水平方向に動く分岐ブレードによって挟み込まれるときに発生する可能性がある。本発明によって提供される解決策は、代わりに分岐ブレードの垂直方向の転轍動作を使用することに基づいている。
垂直方向の転轍動作を用いることにより、分岐ブレードと分岐機構の別の構成要素との間に雪や氷を挟み込む危険性が大幅に低減される。分岐ブレードと基本レールとの間の水平方向の空間は、分岐ブレードの両方の切替え位置において実質的に同一であり、それにより雪や氷がこの空間にいつでも入らないようにする。さらに、たとえ雪や氷が分岐ブレードの領域内に位置するようになっても、転轍動作中に雪や氷が、押し出される機会が多く、分岐器の信頼性又は機能性に悪影響を与えるような2つの部分の間に挟み込まれることがないため、雪や氷が大きな害を与える可能性は低い。
このような分岐交差部(switch frog)は、固定された固定交差部に存在するギャップをなくす又は少なくとも減少させることによって、安全性、機能性、及び乗客の快適性を向上させる。ギャップは、各車輪のフランジが交差部の各進行方向にこの交差部を通過できるようにするために必要である。従って、固定交差部を通過する車輪は、一般的に、一時的に適切な横方向支持を欠いており、車輪は、ギャップの反対側に延びるレール経路に当たる前にギャップ内に一定距離下降し、振動を誘発させ且つ騒音を発生させる。分岐交差部、すなわち少なくとも1つの切替え要素を切り替えることによって交差ポイントと関連するリード軌道との間のギャップを選択的に埋めることができる交差部は、これらの問題を低減又は実質的に排除する。分岐交差部の既知の解決策は、例えばスイングノーズ(swingnose)交差部等の水平方向に移動するレールセグメントを切り替えることに依存している。しかしながら、このタイプの分岐交差部は、分岐ブレードに関して上述したのと同じ問題、すなわち雪や氷による分岐レールセグメントの適切な転轍動作の不具合を経験する。独立請求項によって規定される解決策、すなわち分岐交差部において垂直方向に移動する分岐レールセグメントを使用することは、分岐ブレードに関して説明した分岐交差部と本質的に同じ利点を提供する。
雪や氷による垂直方向の転轍動作の遮断は、転轍動作中に互いに接近する対向する面がないため、水平方向の転轍動作を遮断することよりはるかに困難性を伴う。水平方向の転轍動作では、分岐ブレードの側面は、基本レールの側面の反対側に対向して配置され、その分岐ブレードの側面は、転轍動作中互いに近づくか又は後退する。しかしながら、垂直方向に上昇する転轍動作では、分岐ブレード又は分岐交差部のレールセグメントの上に垂直方向の表面がないので、基本的に遮断が生じない。さらに、分岐ブレード又は分岐交差部のレールセグメントの垂直方向に降下する転轍動作では、雪や氷が分岐ブレード又は分岐交差部のレールセグメントの下側に閉じ込められる可能性が理論上あるが、これは、分岐ブレード及び分岐交差部のレールセグメントの下に十分な垂直方向の空間を設けることにより回避される。垂直方向に移動可能な分岐ブレード又は分岐交差部のレールセグメントの下の空間は、水平方向の転轍動作を含む従来の鉄道分岐機構と比較して、雪や氷の侵入からより良く保護されシールされ得る。
本発明の第1の態様によれば、目的は、第1及び第2の分岐ブレードを有する鉄道分岐機構によって少なくとも部分的に達成され、第1及び第2の分岐ブレードのそれぞれの分岐ポイントが、それぞれの分岐ポイントでの転轍動作をもたらすために、移動機構によって垂直方向に移動可能であり、各移動機構は、下楔部及び上楔部を有する少なくとも一対の協働する楔部を有し、少なくとも一対の協働する楔部の少なくとも1つの楔部が、分岐ブレードの長手方向に略平行な方向に、又は分岐機構の長手方向と平行な方向に移動するように構成され、分岐ブレードは、分岐ブレードの垂直方向の移動を可能にするために、垂直方向に弾性変形可能であるか、又は第1及び第2のリードレールそれぞれへのヒンジ連結部によって旋回可能に接続される。
本発明の第2の態様によれば、目的は、分岐交差部を含む鉄道分岐機構によって少なくとも部分的に達成され、分岐交差部は、分岐交差部での転轍動作をもたらすために、垂直方向に移動可能な第1及び第2のレールセグメントを含み、分岐交差部の各レールセグメントにはそれぞれの移動機構が設けられ、それにより分岐交差部の第1及び第2のレールセグメントの少なくとも一部を垂直方向の少なくとも上部位置又は下部位置に移動させることができ、各移動機構は、下楔部及び上楔部を含む少なくとも一対の協働する楔部を有し、少なくとも一対の協働する楔部の少なくとも1つの楔部は、分岐機構の長手方向に移動するか、又は分岐交差部のレールセグメントの長手方向に対して略平行な方向に移動するように構成される。
本発明の第3の態様によれば、目的は、第1及び第2の分岐ブレードと分岐交差部とを含む鉄道分岐機構によって少なくとも部分的に達成され、第1及び第2の分岐ブレードのそれぞれの分岐ポイントが、それぞれの分岐ポイントでの転轍動作をもたらすために、垂直方向に移動可能であり、分岐交差部は、分岐交差部での転轍動作をもたらすために、垂直方向に移動可能な第1及び第2のレールセグメントを含み、各軌道分岐ブレード及び分岐交差部の各レールセグメントにはそれぞれ移動機構が設けられ、各移動機構は、下楔部及び上楔部を含む少なくとも一対の協働する楔部を有し、少なくとも一対の協働する楔部は、下楔部と上楔部との間の相対的な移動によって少なくとも上楔部の垂直方向の移動を生じさせるように構成され、少なくとも一対の協働する楔部の少なくとも1つの楔部が、分岐機構の長手方向に、又は分岐ブレードの長手方向に略平行な方向に、又は分岐交差部のレールセグメントの長手方向に略平行な方向に移動するように構成される。
本発明の第4の態様によれば、目的は、第3の態様による鉄道分岐機構を操作する方法によって少なくとも部分的に達成される。
垂直方向の移動は、雪や氷の挟込みを避けるという観点から、水平方向の移動に対して有利である。移動機構は、必要な垂直方向の移動を提供し、例えば、1つ又は複数の楔部、油圧ピストン、旋回運動等の垂直方向の移動を与える様々な異なる技術を含むことができる。
それぞれの移動機構に、下楔部及び上楔部を含む少なくとも一対の協働する楔部を設けることによって、大きな支持面を提供することができ、移動機構上の荷重/面積を比較的小さく保つことができる。この結果、磨耗が減少し、より低コストの材料の使用が可能になる。
2つの協働する楔部の相対的な移動は、移動機構を実現するための効率的且つ費用効果の高い解決策を提供する。
さらに、少なくとも一対の協働する楔部の少なくとも1つの楔部が、分岐機構の長手方向に、又は分岐ブレードの長手方向に略平行な方向に、又は分岐交差部のレールセグメントの長手方向に略平行な方向に移動するような分岐器を構成することによって、単一のアクチュエータによる長いセグメントの垂直方向の移動が可能になる。単一のアクチュエータを、直列に配置された複数の楔部/支持要素に直接的に及び/又は間接的に接続してもよい。さらに、移動機構は、分岐機構のフレーム構造が使用される場合に、分岐機構のフレーム構造により一層容易に一体化させることができ、それによって、必要に応じて移動機構の加熱が簡単になる。さらに、アクチュエータの並列配置は、複数の分岐器が互いに近接して配置される場合に重要な要素である、よりコンパクトな分岐機構の設計も提供する。
さらに、分岐ブレードを垂直方向に弾性変形させて所望の垂直方向の移動を可能にすることによって、リードレールに対する別個のヒンジ接続点がなくなり、より連続的なレールが提供される。レールの各ギャップ、各中断部は、騒音をより多く発生させ、振動をより多く発生させ、堅牢性及び信頼性を低くすることを意味する。従って、連続したレールが一般的に有利である。分岐ブレード及びリードレールは、分岐ブレードをリードレールから切り離す特定の位置を特定することができないので、基本的に同じ要素である。さらに、分岐ブレードの自然な垂直方向の弾性を使用することにより、従来の鉄道軌道要素を分岐機構に使用することができ、それによって分岐機構のコストを低減することができる。旋回可能に接続された分岐ブレードを含む別の設計が使用される場合に、レールを曲げるために必要な力は少なくてすみ、すなわち、少ない力で分岐ブレードを押し下げて車輪を支線に導くように通過させることができる。
更なる利点は、従属請求項の特徴の1つ又は複数を実施することによって達成される。
少なくとも一対の協働する楔部は、分岐ブレード又は分岐交差部のレールセグメントに接続され、それにより少なくとも上楔部の垂直方向の運動が、第1及び第2の分岐ブレードの少なくとも一部又は分岐交差部の第1及び第2のレールセグメントの少なくとも一部の垂直方向の運動に伝達される。
例示的な実施形態によれば、分岐機構は、第1及び第2の方向に分岐する軌道を走行する鉄道車両の鉄道車輪を切り替えるのに適しており、分岐機構は、第1の対の走行レールを第2及び第3の対の走行レールに分岐させ、第1の対の走行レールは、第1及び第2の外側レールを有してもよく、分岐交差部は、第1及び第2の内側レールに分岐してもよく、第2の対の走行レールは、第1の外側レール及び第1の内側レールを有してもよく、第3の対の走行レールは、第2の外側レール及び第2の内側レールを有してもよく、第1の分岐ブレードは、第1の外側レールと分岐交差部との間に少なくとも部分的に延びてもよく、第2の分岐ブレードは、第2の外側レールと分岐交差部との間に少なくとも部分的に延びてもよい。
例示的な実施形態によれば、各移動機構は、少なくとも1つの楔部を含んでもよい。楔部は、静止していても、移動可能であってもよく、別の楔部形状又は非楔部形状の構成要素と協働してもよい。非静止部分の移動運動は、典型的には、略水平な場所、特に関連する分岐ブレード/レールセグメントの長手方向に平行な方向に、又は分岐機構の長手方向と平行な方向にある。
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの楔部の移動又は下楔部と上楔部との間の相対的な移動は、少なくとも1つの楔部に、すなわち上楔部及び下楔部の少なくとも一方に作用するアクチュエータによって与えてもよい。1つ又は複数のアクチュエータを各移動機構に設けてもよい。上楔部及び下楔部の一方は静止してもよく、他方の楔部は垂直方向に移動可能であってもよい。相対的な移動のために摺動接触が使用される場合に、潤滑を与えてもよい。
例示的な実施形態によれば、軌道分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントの各移動機構は、少なくとも第1及び第2の分岐ブレードの一部及び/又は分岐交差部の第1及び第2のレールセグメントの一部の上に分布する複数の対をなす協働する楔部を含んでもよい。特定部分の上に分布する複数の対をなす協働する楔部は、広く分散した負荷を与え、その部分の長さに亘ってコスト効率の良い漸進的な垂直方向の移動を可能にする。
例示的な実施形態によれば、軌道分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントの各移動機構の複数の対をなす協働する楔部の少なくとも2つには、異なる楔部傾斜が設けられ、それにより2つの異なる対の協働する楔部の水平方向の同じ相対的な移動は、それぞれの対をなす協働する楔部の垂直方向に異なる大きさの動きを与える。この設計は、レール部分の長さに亘ってコスト効率の良い漸進的な垂直方向の移動を与える。
例示的な実施形態によれば、分岐交差部は交差先端部を含み、垂直方向に移動可能な第1及び第2のレールセグメントは、第1及び第2の分岐ブレードから交差先端部までの連続レール経路を選択的にもたらすように構成される。連続レール経路は、固定交差部に通常設けられる従来のギャップを効果的に排除するか、又は少なくとも低減する。ギャップは、車輪のフランジがギャップを通過する際に横方向支持が減少するため、安全上の問題を引き起こす可能性がある。また、ギャップを通過する車輪が利用可能な垂直方向の負荷面積が減少して、過剰な応力が交差部にかかり、車輪が通過する際にギャップに所定量落下した場合に、騒音及びチョック(chock)が誘発され、列車乗客の快適性が減少し、摩耗が増大する。
例示的な実施形態によれば、軌道分岐ブレードの移動機構は、移動機構の下側の支持構造に及び分岐ブレードに積極的に固定してもよく、及び/又は分岐交差部のレールセグメントの移動機構は、移動機構の下側支持構造に及び分岐交差部のレールセグメントに積極的に固定してもよい。移動機構を、下側の支持構造体及び分岐ブレードに及び/又は下側の支持構造体及び分岐交差部のレールセグメントに積極的に固定することにより、移動機構の作動位置によって各軌道分岐ブレード及び/又は各分岐交差部のレールセグメントの垂直方向の位置を確実に制御することが可能である。軌道分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントは、移動機構にかかわらず、常に上昇した位置に留まる危険性があり、それにより分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントの誤った切替え位置によって潜在的な脱線が発生する可能性がある。ここで、積極的なロックとは、正及び負のロック力モードの両方で、すなわち移動機構が分岐ブレードをその上部位置に向けて上方に押すときと、移動機構が分岐ブレードをその下部位置に向けて下方に引くときの両方で機能を維持する締結手段を意味する。この機能は、分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントの純粋な弾性変形が、所望の垂直方向の移動を得るために使用される場合に特に有利である。なぜなら、重力は、下部位置に到達させるために必要な垂直方向下向きの十分な力を与えるには不十分だからである。積極的な固定は、例えば、部品同士の間の相対的な移動を可能にしなければならない場合に、溝内に位置するアンダーカットを有するタング(tongue)によって実現してもよい。相対的な移動が必要でない場合に、積極的なロックは、ねじ込み要素、鋳造等の製造中に埋め込まれた締結具等によって達成してもよい。
例示的な実施形態によれば、その所望の垂直方向の移動を可能にするために、分岐交差部のレールセグメントを垂直方向に弾性変形してもよい。この設計は有利である。なぜなら、各レールセグメントは、不連続レールが少なくなるように、リードレールに対する別個のヒンジ接続点がないからである。レール内の各ギャップ、各中断部は、騒音が多くなり、振動が多くなり、堅牢性及び信頼性が低くなることを意味する。従って、連続レールが一般的に有利である。この例示的な実施形態では、レールセグメントをリードレールから切り離す特定の位置を特定することができないので、分岐交差部のレールセグメント及びリードレールは基本的に同じ要素である。さらに、分岐交差部のレールセグメントの自然な垂直方向の弾性をより多く用いることにより、従来の鉄道軌道要素を分岐機構に使用することができ、それによって分岐機構のコストを低減することができる。
例示的な実施形態によれば、分岐交差部のレールセグメントは、分岐交差部のレールセグメントの所望の垂直方向の移動を可能にするために、ヒンジ連結部によって第1及び第2のリードレールに旋回可能に接続してもよい。これは上記の例示的な代替実施形態である。レールセグメントをリードレールに旋回接続すると、レールを曲げるのに必要な力が小さくなる。すなわち、小さい力でレールセグメントを押し下げて、車輪を支線に導くように通過させる。さらに別の例示的な実施形態によれば、分岐ブレードは、垂直方向の移動を達成するためにその弾性を使用することができる一方、分岐交差部のレールセグメントは、レールセグメントとリードレールとの間の旋回接続に依存する、又は逆になる。
例示的な実施形態によれば、分岐機構は、底部と、底部から延びる少なくとも2つの側壁とが設けられた少なくとも1つのフレームに少なくとも部分的に配置され、第1の外側レール及び第2の外側レールが、少なくとも2つの側壁上に配置され、移動機構は、底部及び少なくとも2つの側壁によって規定される空間内に少なくとも部分的に配置される。フレームは、分岐機構の要素の相対位置の高い制御及び正確さ、並びに分岐機構の加熱を可能にする。フレームの底部は、四角形の形状を有し、及びその各辺に側壁、すなわちフレームの中空の内部を取り囲む4つの側壁を有することができる。
例示的な実施形態によれば、分岐機構は、第1及び第2の分岐ブレードを少なくとも部分的に取り囲むように配置された第1のフレーム上に少なくとも部分的に配置され、分岐交差部を少なくとも部分的に取り囲む第2のフレームが配置される。この設計は、分岐機構のコスト効率の高い設計及び製造を可能にする。
例示的な実施形態によれば、第1のフレームは、分岐ブレードの後端(heel end)に隣接する横方向側壁をさらに有してもよく、この横方向側壁は、分岐ブレードの所望の垂直方向の移動を可能にするための支持を与えるように構成してもよく、第2のフレームは、分岐交差部のレールセグメントの後端に隣接する横方向側壁をさらに有してもよく、この横方向側壁は、分岐交差部のレールセグメントの所望の垂直方向の移動を可能にするための支持を与えるように構成してもよい。
例示的な実施形態によれば、カバーが、移動機構を少なくとも部分的に覆うために、第1及び第2のフレームの少なくとも一方の上に設けられる。このカバーは、各フレームの内部空間をクリーンに保ち、雪や氷が入らないようにし、断熱性が向上するように補助する。
例示的な実施形態によれば、移動機構を覆うために断熱カバーをフレーム上に設けてもよい。断熱カバーは、フレームの内部に入る冷気に対する熱伝達障壁を維持するように設計される。断熱カバーは、フレームの内部に入る雪、雨、及び氷に対する障壁としても機能することができ、その結果、移動機構等の任意の構成要素がより良く保護される。
例示的な実施形態によれば、フレームは、コンクリートから作製してもよく、電気加熱機構を設けてもよい。フレーム加熱は、分岐機構の冬場の機能性をさらに高めるための有利な追加の特徴となり得る。
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのフレームは、少なくとも1つの移動機構に横方向支持を与えるように構成してもよい。横方向支持は、垂直方向の移動中の移動機構の少なくとも1つの部材の長手方向の動きに対する横方向支持を意味する。このような横方向支持は、協働する楔部等の移動機構の要素を適切な相互関係に維持し、垂直方向の移動中の移動機構の動きを制御する働きをする。フレームの長手方向側壁は、横方向支持を与えるのに特に適している。
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの移動機構は、少なくとも1つの移動機構に横方向支持を与える金属チャネル内に少なくとも部分的に配置してもよい。金属チャネルは、両方の横方向に強力な横方向支持を与えるように設計してもよい。金属チャネルは、可動楔部等の垂直方向の移動機構の任意の可動部材に対して良好な摺動面を提供することもできる。
例示的な実施形態によれば、金属チャネルは、少なくとも1つのフレームの側壁と並んで配置してもよい。このような配置は、フレームの側壁によって与えられる強力な横方向支持を利用することができ、それにより金属チャネル自体がより小さい横方向支持を与えるようにすることができる。これにより、金属チャネルの肉厚を薄くしてコストを削減することができる。
例示的な実施形態によれば、金属チャネルは、移動機構の垂直方向の移動を上方向に制限するための停止装置を含んでもよい。移動機構における遊び、振動、及びガタを低減するために、分岐ブレード又はレールセグメントの上部位置において垂直方向の移動機構を所定の張力で設定することが有利となり得る。上部位置で垂直方向の移動機構を停止装置に押し付けることにより、より高い信頼性及び堅牢性の分岐機構が提供される。
例示的な実施形態によれば、停止装置は、金属チャネル内に突出し、第1及び第2の分岐ブレード又は第1及び第2のレールセグメントの一方の上部位置で移動機構又は中間支持部材と係合するように構成された少なくとも1つの当接部材を有してもよい。
例示的な実施形態によれば、第1及び第2の分岐ブレード及び第1及び第2のレールセグメントの少なくとも1つの移動機構は、移動機構を取り囲む底部、2つの横方向側壁、及び2つの長手方向側壁を有するフレーム内に配置される。これにより、外部からの雪や泥土に対する保護が強化される。
例示的な実施形態によれば、フレームは基礎をなす複数の枕木に固定される。レールと分岐機構を支持するためのコスト効率の高い解決策として、枕木を使用する。
例示的な実施形態によれば、フレームを支持する少なくとも1つの枕木は、鉄道分岐機構の第1及び/又は第2の外側レールも支持する。これにより、枕木の二重の機能性が可能になる。
例示的な実施形態によれば、第1及び第2の分岐ブレード及び第1及び第2のレールセグメントの少なくとも一方が中間支持部材にそれぞれ締結され、移動機構は、中間支持部材に接続され、且つ中間支持部材を垂直方向に移動させるように構成される。中間支持部材を使用することは、単に分岐ブレードを中間支持部材に締結するだけであるので、分岐ブレードの取付けを簡素化する。
例示的な実施形態によれば、中間支持部材の少なくとも1つは、各フレームによって規定される内部空間の上面を閉じる。これにより、フレームによって取り囲まれた移動機構の保護がさらに強化される。
例示的な実施形態によれば、中間支持部材の少なくとも1つは、第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分の一端は、第1の旋回点においてフレームの横方向側壁の上側に旋回可能に接続され、第1の部分の反対側の端部は、第2の旋回連結部において第2の部分に旋回可能に接続される。この設計は、分岐ブレードの長いセグメントを、分岐ポイントの下部位置に過度の空間を必要とせずに、垂直方向に移動させることを可能にする。
例示的な実施形態によれば、第1の部分の動きを制御する移動機構は、長手方向に間隔を空けて配置された複数の対をなす協働する楔部を含み、各楔部は固有の傾斜角を有する。これにより、第1の部分に対する分散支持が提供される。
例示的な実施形態によれば、第2の部分の動きを制御する移動機構は、その水平方向の向きを固定したまま、第2の部分を垂直方向に移動させるように構成される。この設計は、分岐ブレードの長いセグメントを、分岐ポイントの下部位置に過度の空間を必要とせずに、垂直方向に移動させることを可能にする。
例示的な実施形態によれば、第2の部分の動きを制御する移動機構は、長手方向に間隔を空けて配置された複数の対をなす協働する楔部を含み、各楔部は同じ傾斜角を有する。この設計は、分岐ブレードの長いセグメントを、分岐ポイントの下部位置に過度の空間を必要とせずに、垂直方向に移動させることを可能にする。
例示的な実施形態によれば、移動機構は、基礎をなす支持構造体及び中間支持部材に接続された引下げ制御部材を有し、引下げ制御部材は、傾斜路を含む軌道と、この軌道によって案内されるように構成された案内部材とを含む。
例示的な実施形態によれば、移動機構は、アクチュエータに駆動接続された長手方向に延びる長手方向に摺動可能な制御部材を有し、引下げ制御部材又は楔部の一部が制御部材に取り付けられ、制御部材は、垂直方向の移動に対して固定される。
更なる適用領域は、本明細書に与えられる記述から明らかになるであろう。
以下の詳細な説明では、以下の図を参照する。
これ以降、本開示の様々な態様を、添付の図面と併せて以下に説明するが、その態様は本開示を例示するものであり、本開示を限定するものではない。同様の表示は同様の要素を示し、記載される態様の変形は、具体的に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の他の変形例に適用可能である。
図面の図1は、第1及び第2の方向A,Bに分岐する線路上を走行する鉄道車両の鉄道車輪を切り替えるのに適した鉄道右分岐機構100を概略的に示す。分岐機構100は、第1の対の走行レール110を第2及び第3の対の走行レール120,130に分岐する。第1の対の走行レール110は、時には基本レールと呼ばれることもある第1及び第2の外側レール111,112を含む。分岐機構100は、第1及び第2の分岐内側レール121,132に接続された分岐交差部150をさらに含む。第2の対の走行レール120は、第1の外側レール111及び第1の内側レール121を含み、第1の外側レール111は、時には直線状の外側リードレールと呼ばれる。第3の対の走行レール130は、第2の外側レール112及び第2の内側レール132を含み、第2の外側レール112は、時には内側カーブリードレールと呼ばれる。
第1の分岐ブレード141が、第1の外側レール111と分岐交差部150との間に少なくとも部分的に延びており、第2の分岐ブレード142が、第2の外側レール112と分岐交差部150との間に少なくとも部分的に延びる。第1及び第2の分岐ブレード141,142のそれぞれの第1及び第2の分岐ポイント145b,146bは、各分岐ポイント145b,146bにおいて転轍動作をもたらすために、垂直方向に移動可能である。
図1の実施形態では、第1及び第2の分岐ブレード141,142は、第1及び第2の分岐ブレードの両方が分岐ブレード141,142の弾性変形によって垂直方向に移動可能であるため、明確な伸長部を有していない。こうして、分岐交差部に近づくと、分岐ブレード141,142が固定レールセグメントに徐々に変形する。分岐交差部と分岐ブレード141,142との間に位置する固定レールセグメントは、第1及び第2のリードレール170,171と呼ばれる。
各軌道分岐ブレード141,142には、それぞれの移動機構200a,201aが設けられており、この移動機構によって、第1及び第2の分岐ブレードの少なくとも一部を、少なくとも上部位置又は下部位置に垂直方向に移動させることができる。個々の移動機構200a,201aは、好ましくは、分岐ブレード141,142の所望の垂直方向の移動を可能にするために、第1及び第2の分岐ブレード141,142の下にそれぞれ配置される。
図1の例示的な実施形態では、分岐機構100は、第1のフレーム160a及び第2のフレーム160b上に配置される。第1及び第2のフレーム160a,160bは、分岐機構100に強力な構造的支持を部分的に与えるために、垂直方向の移動機構200a,201aが分岐ブレード141,142及び外側レール111,112との正確な相対位置に確実に留まるのを保証するために、及びレールセグメント、分岐ブレード、リードレール、分岐交差部、フレーム等を含む分岐機構の事前作製を可能にすることにより分岐機構のコスト効率の良い設置を可能にするために、設けられている。
第1のフレーム160aには、底部161aと、底部から上方に延びる2つの長手向側壁壁162aと、2つの横方向側壁164aとが設けられる。これらの側壁162a,164a及び底部161aによって内部空間163aが規定され、この空間163a内に移動機構200a,201aが配置される。空間163a内に移動機構200a,201aを配置することは、気候、岩屑、雪、氷等に対する移動機構200a,201aのより保護された設置を可能にするという利点を有する。さらに、フレームエンクロージャによって、移動機構200a,201a及び分岐ブレード141,142のコスト効率の良い加熱が可能になる。
ここで、長手方向Lとは、分岐機構100の直前の第1の対の走行レール110に平行な方向を指し、横方向Tは、長手方向Lに対して垂直方向に延びる方向を指す。
分岐ブレード141,142の移動機構200a,201aの長手方向距離D1は、典型的には、分岐交差部150のギャップと移動機構200a,201aの遠位端との間の長手方向距離D2の10〜70%、具体的には10〜50%の範囲、より具体的には20〜40%の範囲内であってもよい。移動機構200a,201aの長手方向距離D1は、コンパクトでコスト効率の良い移動機構200a,201aの使用を可能にするために短くすることが好ましいが、分岐ブレード141,142の剛性は、鉄道車輪の車輪フランジが、分岐ブレード141,142の間と接触することなく、垂直方向下向きに配置された分岐ブレード141,142及び経時変化を許容するための追加的な安全マージンを通過できるように、分岐ブレード141,142の十分な段階的な弾性変形を可能にする比較的長い長手方向距離D1を必要とし得る。長手方向距離D1の長さは、典型的には、例えば分岐する鉄道軌道の曲率半径に応じて、3〜12メートルの範囲、具体的には4〜8メートルの範囲であってもよい。
図1の例示的な実施形態では、第1及び第2の外側レール111,112は、第1のフレーム160aの2つの長手方向側壁162a上に少なくとも部分的に配置される。第1のフレーム160aの例示的な実施形態では、第1のフレーム160aの形状は、第1及び第2の移動機構200a,201a全体を実質的に取り囲むように、第1及び第2の外側レール111,112の位置及び伸長部に適合する。その結果、第1のフレーム160aは非対称形状を有し得る。
第1及び第2の外側レール111,112の両方は、第1のフレーム160aの実質的に長手方向の全長に沿って長手方向側壁162a上に配置してもよい。図1に示される例では、分岐軌道側に位置する第1のフレーム160aの長手方向側壁162aは、第2の外側レール112が、第1のフレーム160aの実質的に長手方向の全長に沿って側壁162aの上部に取り付けられ、側壁162aの伸長部に追従させるように、分岐軌道に向けて外側に向けて徐々に分岐するように形成される。しかしながら、第1のフレーム160aは、代替的に、長方形の形状を有してもよく、第2の外側レール112が、第2の分岐ポイント145aに隣接する領域において、長手方向側壁から第2の方向Bに向けて分岐し始める。
分岐機構100は、分岐交差部150をさらに含む。分岐交差部は、切替え可能なクロッシングとも呼ばれる。分岐交差部150は、分岐交差部150での転轍動作をもたらすように、交差先端部151と、垂直方向に移動可能な第1及び第2のレールセグメント144,143とを含む。分岐交差部における転轍動作は、第1及び第2のリードレール170,171と交差先端部151との間の連続的なレール経路を選択的にもたらすように構成される。
従来の固定式及び非制御式交差部は、鉄道車輪のフランジが交差部を通過することを可能にするために、交差先端部155において各レールにギャップを含む。このようなギャップがなければ、鉄道車輪は、レールの上部転がり面の下に下向きに延びる車輪フランジのために、左右のレール軌道の境界から脱出することができない。しかしながら、交差部のギャップによって、鉄道車両がある軌道から別の軌道に切り替わることができるように、この脱出が可能になる。しかしながら、交差部での快適性、操作性、及び安全性を改善するために、交差部でのギャップを閉じることが時には望ましい。従来の分岐交差部は、分岐交差の切替えを可能にするために交差先端部の水平運動を使用する。本発明による分岐交差部のレールセグメント144,143は、その代わりに、所望の垂直方向の移動を可能にするために垂直方向に弾性変形するように構成される。
図1の例示的な実施形態では、分岐交差部の各レールセグメント144,143には、個々の垂直方向の移動機構200b,201bが設けられ、それにより分岐交差部の第1及び第2のレールセグメント144,143の少なくとも一部を垂直方向に少なくとも上部位置及び下部位置に移動させることができる。分岐ブレード141,142に関して説明したように、垂直方向の移動は、分岐交差部150において水平方向に配置された交差先端部と比較して、冬場の信頼性及び堅牢性を著しく改善する。
図1の例示的な実施形態によれば、分岐交差部のレールセグメント144,143の垂直方向の移動をより良く制御するために、第2のフレーム160bが設けられる。第2のフレーム160bは、分岐交差部のレールセグメント144,143を実質的に取り囲むように構成される。図1の例示的な実施形態では、第2のフレーム160bには、底部161bと、この底部から上方に延びる2つの長手方向側壁162bと、2つの横方向側壁164bとが設けられる。これら側壁162b,164b及び底部161bによって内部空間163bが規定され、この空間163a内に移動機構200b,201bが配置される。空間163a内に移動機構200b,201bを配置することは、気候、岩屑、雪、氷等に対する移動機構200b,201bのより保護された設置を可能にするという利点を有する。さらに、フレームエンクロージャによって、移動機構200b,201b及び分岐交差部のレールセグメント144,143のコスト効率の良い加熱が可能になる。
第2のフレームの多くの異なる幾何学的設計が実現可能であり、図1に示される設計はその単なる例示的な実施形態に過ぎない。ここでは、分岐ブレード141,142から最も離れて位置する第2のフレーム160bの横方向側壁164bが、第2の対の走行レール120を横切って実質的に横方向Tに延び、且つ交差先端部の少なくとも一部の下にあり、交差先端部への十分堅い支持を与える。交差先端部の周りでは、横方向側壁164bの方向は、第3の対の走行レール130の長手方向に対して垂直方向に延びるように僅かに変化する。第2フレーム160bの2つの長手方向側壁162bは、第1及び第2の外側レール111,112に略沿って延び、第1及び第2の外側レール111,112は、長手方向側壁162bの上部に配置される。残りの横方向側壁164bは、第2のフレーム160bを閉鎖し、内部空間163bを規定する。
分岐ブレード141,142及び分岐交差部のレールセグメント144,143のそれぞれの垂直方向の移動機構200a,201a,200b,201bは、一般に細長い形状を有する。この形状の背後にある理由は、分岐ブレード141,142、レールセグメント144,143及び任意のリードレール170の弾性変形のみに基づいて、分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143の垂直方向の移動を部分的に行うのを可能にするためであり、及び許容不可能なレベルの撓みなしに鉄道車両の荷重を担持するために、分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143に必要な垂直方向支持を部分的に与えるためである。
分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143は、これらが一端、すなわち後端(end heel)でのみ永久的に固定される意味で片持ち梁に類似している。分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143は、典型的には鋼製であり、従って分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143の永久変形の限界を超えることなく、分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143の分岐ポイント145b,146b,145b,146bでの所望の垂直方向の移動を可能にするために十分な長さを有さなければならない。移動機構200a,201a,200b,201bが分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143に分散支持を与えない限り、それら分岐ブレード及びレールセグメントは、通過する鉄道車両の荷重を担持するときに、局所的に下方に撓むことがある。このような撓みは、分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143を早く劣化させることによる安全を損なう危険性を誘発させるだけでなく、不均一なレール軌道を誘発させる可能性がある。従って、移動機構200a,201a,200b,201bは、その実質的な長さに亘って分岐ブレード141,142及びレールセグメント144,143に実質的に連続した支持を与えるように、又はその長さに亘って規則的に又は不規則に分布する複数の個々の支持を与えるように構成される。
結果として、移動機構200a,201a,200b,201bは、上から視たときに、その幅を実質的に超える長さを有する細長い形状をたびたび示すことになる。移動機構200a,201a,200b,201bの伸長方向、すなわちそれらの長手方向は、分岐機構の長手方向Lに実質的に延びるように図1に概略的に示される。この構成は、多くの可能な代替構成のうちの1つの例示的な実施形態で示される。1つの有利な代替実施形態は、例えば、各移動機構200a,201a,200b,201bの長手方向が、その移動機構が制御するレール部分により整列するように向き合わせされる構成である。このような構成では、分岐交差部の各移動機構200b,201bは、図1に示されるように長手方向Lに配置されるのではなく、代わりに分岐交差部の第1及び第2のレールセグメント144,143とそれぞれ位置合わせされる。
枕木303は、本発明の理解を高めるために図1に概略的に含まれているが、本発明に影響を与えない。本発明の範囲を逸脱することなく、分岐機構100の多くの代替構成が可能である。例えば、第1及び第2のフレーム160a,160bは、第1及び第2のフレーム160a,160bの相対的な位置が経時的に変化しないことを保証するために、いくつかの接続装置によって相互接続してもよい。さらに、分岐ブレード141,142及び分岐交差部150の両方を取り囲む単一のフレームを代わりに実装してもよい。このような単一のフレームには、例えば、移動機構200a,201a,200b,201bに支持を与え、且つ分岐ブレード141,142及び分岐交差部のレールセグメント144,143の弾性曲げを可能にするために、横方向Tに延びる少なくとも2つの中間フレーム壁が設けられる。
分岐機構100の機能が、図1に関連して説明される。分岐ブレード141,142の一方のみが上部位置にあり、分岐ブレード141,142の他方が下部位置にあるように第1及び第2の分岐ブレード141,142を制御することにより、第1の対の走行軌道110上の分岐機構100に近づく鉄道車両の鉄道車輪の切替えを行うことができ、それにより鉄道車両を第1及び第2の方向A,Bのいずれかに選択的に追従させることができる。例えば、第1の対の走行レール110の分岐機構100に到達する鉄道車両が、分岐機構100上を真直ぐに通過して第1の方向Aに沿って進むことが望まれる場合に、第1の分岐ブレード141はその下部位置に移動し、第2の分岐ブレード142はその上部位置に移動する。これにより、鉄道車両の左側の鉄道車輪のフランジは、このフランジが分岐ブレード141の上方を通過するので第1の分岐ブレード141と接触しないため、第1の分岐ブレード141に全く追従しない。また、右側の鉄道車輪は、右車輪のフランジが第2の分岐ブレード142の内面に潜在的に接触することにより、第2の外側レール112に追従することが防止される。その結果、鉄道車両の左側車輪は、第1の外側レール111に沿って進み、右側車輪は第2のリードレール172に向けて第2の分岐ブレード142に追従する。
別の例では、第1の対の走行レール110上の分岐機構100に到達する鉄道車両が分岐し、代わりに第2の方向に沿って進むことが望まれる場合に、第1の分岐ブレード141はその上部位置に移動し、第2の分岐ブレード142はその下部位置に移動する。これにより、鉄道車両の左側の鉄道車輪409のフランジ412が第1の分岐ブレード141に追従するように強制され、右側の車輪が第2の外側レール112に追従する。
分岐交差部150は、分岐ブレード141,142に従って切り替わるように制御することができる。これは、第1の分岐ブレード141がその上部位置に位置するように制御されるときに、分岐交差部の第1のレールセグメント144がその上部位置に位置するように制御され、第2の分岐ブレード142がその上部位置に位置するように制御されるときに、分岐交差部の第2のレールセグメント143がその上部位置に位置するように制御されることを意味する。この制御装置は、一度に単一の分岐ブレード141,142のみを上部位置に置くことと組み合わせて、鉄道車両が第2の方向Bに向けて走行しているときに第1のレールセグメント144が上部位置にあり、鉄道車両が第1の方向Aに向けて走行しているときにレールセグメント143が上部位置にあることを保証する。
移動機構は、フレーム160の底部161だけでなく分岐交差部のレールセグメントにも固定すべきである。これにより、移動機構の作動位置によって各レールセグメントの垂直方向位置を確実に制御することができる。上述したように、積極的な固定は、上楔部212と下楔部211との間の実質的に長手方向に延びるインターロック・タング及び溝接続部(図示せず)によって実現することができ、それにより長手方向の相対摺動移動が可能になる。
図2は、図1のB−B切断部で切断された分岐機構100の断面を概略的に示し、第2の分岐ブレード142が上部位置にある。第1のフレーム160aは、底部161aと、2つの平行な横方向側壁164aとを有するように示される。第2の外側レール112は、第1のフレーム160aの側壁の上面に位置付けされ、第1のフレーム160aを超えて延びる。第2のリードレール171は、分岐交差部150に最も近接して位置付けされた横方向側壁164aの上面に位置付けされて示される。第2のリードレール171及び第2の分岐ブレード142を形成する連続レールの弾性変形が、レール寸法、レール材料、フレーム設計、垂直方向の移動機構設計等の多くのパラメータに依存するので、第2のリードレール171が第2の分岐ブレード142に変形する明確な位置はない。レールが、第2のリードレール171の領域内ではなく、第1のフレーム160a内でのみ下方に機械的に撓むので、おそらく、撓みは、分岐交差部に最も近く位置付けされた横方向側壁164aに隣接して開始する。
移動機構20a1の例示的な実施形態が図2に示されており、例示的な移動機構201は、複数の対をなす協働する楔部311a,312a,313a,314a,315aを含む。各対をなす協働する楔部311a,312a,313a,314a,315aは、下楔部211aと上楔部212aとを含み、各対は、下楔部211aと上楔部212aとの間の相対的な移動によって上楔部212aの垂直方向の動きが生じるように構成される。下楔部211aは、第1のフレーム160aの底部161aによって直接的又は間接的に支持され、下降することができない。矢印によって示されるように、下楔部211aが図2の左側に向けて長手方向に移動すると、上楔部212aは、結果的に底部161aに向けて垂直方向下向きに移動する。上楔部212aは、長手方向Lに実質的に固定され、垂直方向Vにのみ移動するように構成される。
第2の中間支持部材214aが、図2の上楔部212aの上に位置付けされて示される。第2の中間支持部材214aは、ここでは、垂直方向の移動機構201と第2の分岐ブレード142との間の中間部材であり、第2の分岐ブレード142は、中間支持部材214aの上に配置される。第2の中間支持部材214aは、例えば金属製であってもよい。第2の中間支持部材214aは、例えば旋回式又は固定式の接続部178aによってレールセグメント144,143の後端(heel end)175bに位置する第1のフレーム160aの横方向側壁164aに接続することもできる。さらに、第2の分岐ブレード142は、任意の適切な方法で第2の中間支持部材214aに締結してもよい。あるいはまた、第2の中間支持部材214aを省略して、第2の分岐ブレード142を垂直方向の移動機構201に直接的に、例えば上楔部212aに直接的に固定してもよい。このような別の実施形態は、単一の上楔部212aが使用される場合に、単一の上楔部212aが移動機構201のカバーとしても機能することができるので、特に有利となり得る。しかしながら、図2に示されるように、複数の上楔部212aが使用される場合に、連続的な中間支持部材214aを使用することが有利となり得る。
複数の対をなす協働する楔部は、上楔部212aの垂直方向の動きによって第2の分岐ブレード142の垂直方向の対応する動きが生じるように第2の分岐ブレード142に接続される。
図2に示されるように、複数の対をなす楔部は、第2の分岐ブレード142の長手方向の長さに亘って分布している。さらに、複数の対をなす協働する楔部には、楔部の異なる傾斜α1,α2,α3,α4,α5が設けられており、それによって各対をなす協働する楔部の長手方向における同じ相対的な移動が、各対をなす協働する楔部の垂直方向における運動の大きさを異なるようにする。最大の傾斜を有する対315aは、下楔部211aの長手方向の所与の移動のために垂直方向の最大の移動を与える。この設計は、分岐ブレード142の長さに亘って分岐ブレード142の段階的な撓みを得るために使用される。
分岐ブレードの長さに亘って分布した複数の対をなす協働する楔部311a,312a,313a,314a,315aによって誘導される段階的な撓みは、分岐ブレード142の長さに亘る分岐ブレードの撓みの制御性の点で有利である。この制御可能性は、分岐ブレードが、分岐ブレード142の後端における横方向側壁164a支持の近くで容易に塑性変形しないことを確実にする。
図2に示される垂直方向の移動機構201の例示的な実施形態では、上楔部212aは、溶接、ねじ部材等の締結部材等によって第2の中間支持部材214aの下側に静止状態で固定してもよい。
各対をなす協働する楔部311a,312a,313a,314a,315aの傾斜した摺動面は、相対的な摺動運動を可能にするが、摺動面同士の係合が外れることを防止する何らかのタイプの接続部を含むことが好ましい。第2の分岐ブレード142、おそらく第2の中間支持部材214aを弾性的に曲げるのに必要な力は、おそらく第2の分岐ブレード142を下部位置に下向きに押されなければならないように重力よりも大きい。そのような強制(forcing)は、一対の協働する楔部211a,212aが互いに係合が外れて垂直方向に離れることが許される場合には不可能である。楔部211a,212aの傾斜した摺動面上の長手方向に延びるいくつかのタイプのインターロック溝及びタング装置は、必要な係合を提供する。
下楔部211aは、そのような装置が使用される場合には第1のフレーム160aの底部に沿って、底部に直接的に、又は金属チャネル307aの底部で摺動する。また、この摺動接続には、長手方向の相対摺動運動を可能にするが、摺動面が互いに垂直方向に係合が外れるのを防止する何らかのタイプの接続部が設けられることが好ましい。第1のフレーム160a又は金属チャネル307aの摺動面と摺動係合する下楔部211aの摺動面上の長手方向に延びるいくつかのタイプのインターロック溝及びタング装置は、必要な係合を提供する。
下楔部211aの所要の長手方向移動を与えるための作動機構は、例えばロッド177を介して少なくとも1つの下楔部211aに接続された油圧式、空気式又は電気機械式アクチュエータを含む。ねじ式ロッド177を駆動する電動モータ等の電気機械式アクチュエータは、作動油の漏れのリスクを排除することができるので有利である。
楔部211a,212aの長手方向Lの長さは、全ての楔部で同じであってもよいが、第2の分岐ブレード142の後端に最も近く位置する一対の協働する楔部311aは、後端に位置する一対の協働する楔部が分岐ポイント145aの近くに位置する一対の楔部より多く荷重を担持するので、残りの対の協働する楔部よりも長手方向に長くなるのが好ましい。この理由は、第2の分岐ブレード142がその上部位置において鉄道車輪を第2の外側レール112から離し、代わりに第2のリードレールに進みその後第1の内側レール121に追従させるからである。第2の外側レール112から第2のリードレール171までのこの移行の開始において、荷重は依然として第2の外側レール112によってのみ担持される。しかしながら、あるポイントで、鉄道車輪は第2の外側レール112を離れ、そのポイントにおいて、鉄道車輪の全荷重は、第2の分岐ブレード142によって担持される。一対の協働する楔部の楔部の長手方向の長さが長くなると、保持される荷重/面積単位により増大した荷重に対応可能になる。
第1のフレーム160aには、第1のフレーム160aの一部に又は第1のフレーム160aの内面に埋め込まれた導電体等の加熱手段を設けてもよい。楔部211a,212a、中間支持部材213a,214a、及び/又は分岐ブレード141,142等の、分岐機構100の他の部分も、又はこれに代えて加熱することができる。天候が急変した場合に動的応答を増大させるために、第1のフレーム160a内に電気空気加熱器を設けてもよい。フレーム加熱は、分岐機構100の冬場の機能性をさらに高めるための有利な追加の特徴となり得る。電気加熱手段は、代わりに又はフレーム加熱と組み合わせて、分岐ブレード141,142及び/又は分岐交差部のレールセグメント144,143に直接的に適用してもよい。電気空気加熱は、代わりに又は上述の加熱手段と組み合わせて、例えば電気送風機によって少なくとも1つのフレーム160a,160b内に提供してもよい。電気空気加熱は、気象条件の急激な変化の場合に有利となり得る。埋め込まれた加熱ワイヤによるフレーム加熱は比較的ゆっくりと反応するが、送風機はフレーム160a,160b内の内部空間を比較的迅速に加熱することができる。
さらに、第1のフレーム160aからの熱損失を低減するために、第1のフレーム160aの断熱材422aを設けてもよい。断熱材は、好ましくは、第1のフレーム160aの下に、及び/又は側壁162a,164aの外側及び/又は内側に配置される。
図3は、図2と同じB−B切断部を概略的に示しているが、第2の分岐ブレード142が下部位置にある。ここで、全ての下楔部211aは、楔部の傾斜α1,α2,α3,α4,α5によりそれぞれの上楔部212aの下方に所望の垂直方向の移動を可能にするように、図の左側に向けてある距離だけ移動しており、上楔部212aは長手方向Lに実質的に固定される。結果として、第2の中間支持部材214aは、第2の分岐ブレード142と一緒に、底部に向けて徐々に垂直方向に移動する。第2の分岐ブレード142の後端175a付近では実質的に移動することなく、第2の分岐ポイント145aに垂直方向の最大の移動がある。
垂直方向の第2の移動機構201によって第2の中間支持部材214aを介して支持される第2の分岐ブレード142は、第2の分岐ブレードの長さに沿って徐々に垂直方向に移動し、分岐ポイントで垂直方向の最大の移動を生じる。固定リードレール171が分岐ブレード142へと変形する領域から、分岐ブレード142は弾性的に変形し始め、下側分岐部に達する。弾性変形は、第2の分岐ブレード142に沿って分岐ポイント145aに向けて幾分か徐々に変化する。
第2の分岐ブレード142の垂直方向の移動は、鉄道車輪411のフランジ412が、第2の方向Bに向けて第2の外側レール112に追従する間に、第2の分岐ブレード42の上側を通過できるようにするのに十分な移動でなければならない。図3のD3が、フランジ412が第2の分岐ブレード142をちょうど完全に通過した距離に対応する場合に、第2の分岐ブレード142の垂直方向の移動310は、フランジ410の深さ以上にしなければならず、時間の経過とともに及び気象条件が変化しても安全運転を確保するための安全マージンを追加することが好ましい。
図4は、図1のA−A切断部における分岐機構100の断面を概略的に示すが、図3に対応して、第1の分岐ブレード141が上部位置にあり、第2の分岐ブレード142が下部位置にある。図4では、底部161a及び長手方向側壁162aを有する第1のフレーム160aが示される。第1及び第2の外側レール111,112の両方が側壁162aの上に配置されることが明確に確認される。
分岐ブレード141,142の第1及び第2の移動機構200a,201aの各々は、下楔部211a及び上楔部212aを含むように示される。各上楔部212aの上方には、第1及び第2の中間支持部材213a,214aがそれぞれ配置される。最後に、第1及び第2の分岐ブレード141,142は、第1及び第2の中間支持部材213a,214aの上にそれぞれ配置される。こうして、第1及び第2の分岐ブレード141,142は、第1及び第2の移動機構200a,201aによって垂直方向に移動可能である。図示された実施形態では、第1及び第2の移動機構200a,201aは、側壁162aのすぐ隣に配置され、それによってフレームの中央の空間163aを実質的に空にする。
図4の例示的な実施形態では、第1及び第2の移動機構200a,201aは、金属チャネル307a内に配置される。金属チャネル307aは、第1及び第2の移動機構200a,201に対して横方向Tに信頼性の高い支持を提供し、楔部211a,212aのための耐摩耗性で制御可能な摺動面を提供する。第1のフレーム160aの鋳造後にコンクリートの第1のフレーム160aへの接続を改善するために、金属接続装置316を金属チャネル307aに締結してもよい。
図1〜図4の例示的な実施形態では、下楔部211aは、アクチュエータ176によって実質的に長手方向に移動される。各金属チャネル307aは、下楔部211aに必要な垂直方向支持を与えるように構成され、各分岐ブレード141,142の切替え時に下楔部211aが垂直方向に移動し始めるのを回避する。分岐ブレードがその自然位置から下部位置に下方に歪められるときに、下楔部211aは垂直方向Vに持ち上げられるのを防止すべきであり、また、分岐ブレードが列車の荷重を担持するときに、下楔部211aが垂直方向Vに下方に移動するのを防止すべきである。
図4の例示的な実施形態では、下楔部211aのこの垂直方向支持は、下楔部211aの垂直方向位置を維持しながら、下楔部211a及び金属チャネル307aの相対的な移動を可能にするロック装置416aによって実現される。具体的には、下楔部211aのロック装置416aは、インターロック溝及びタング装置308aを含む。溝及びタング308aは、下楔部211a及び金属チャネル307aが垂直方向に係合解除されることを防止する何らかのタイプのアンダーカットを含む。
図4では、インターロック溝及びタング装置308aが金属チャネル307aの側壁に配置されるが、このインターロック溝及びタング装置308aは、代わりに下楔部211aの底面側に配置してもよい。下楔部211aは、さらに、分岐ブレード141,142から金属チャネル307aへの垂直方向荷重の伝達を改善するために、金属チャネル307aの内部底面と摺動接触する底面を有するように構成することができる。
分岐ブレードがその自然位置から下部位置へと下方に歪められるときに、上楔部212aが垂直方向Vに持ち上げられないようにするために、各対をなす協働する楔部の下楔部211aと上楔部212aとの間にロック手段が必要とされ得る。図4の例では、これは、下楔部211aと上楔部212aとの間の接触領域に配置されたロック装置415a、例えばインターロック溝とタング装置によって解決される。溝及びタング装置415aは、上楔部212a及び下楔部211aが垂直方向に係合解除されることを防止する何らかのタイプのアンダーカットを含む。溝及びタング装置415aによって、上楔部212aと下楔部211aとの間の相対的な摺動運動も可能になる。
最後に、第1及び第2の中間支持部材213a,214aは、相互の係合解除を防止し、且つ分岐ブレード141,142をその自然位置から下部位置に下方に歪めさせるために、上楔部212aにそれぞれ締結しなければならない。これは、例えば、図4に示されるように、上楔部212aと第1及び第2の中間支持部材213a,214aとの間の接触領域にインターロック溝及びタング装置を有するロック装置309aによって構成することができる。溝及びタング装置は、上楔部212a及び第1及び第2の中間支持部材213a,214aがそれぞれ垂直方向に係合解除されることを防止する何らかのタイプのアンダーカットを含む。しかしながら、図4の実施形態の第1及び第2の中間支持部材213a,214aと上楔部212aとの間には実質的に相対的な摺動運動がないことを考慮すると、溶接、リベット止め、ねじ締結具等の他のタイプのロック装置を使用してもよい。
分岐ブレード141,142の下方への歪みを確実にするために、移動機構200a,201a,200b,201bの楔部に組み込まれたロック装置を使用することにより、鉄道分岐機構100を第1及び第2の移動機構200a,201aを相互接続する制御部材から外すことができる。これにより可動性の低い部品が提供され、雪、氷、又は泥土による不具合の危険性が低減される。
図4の例示的な実施形態では、金属チャネル307aは、移動機構200a,201aの垂直方向の移動を上方向に制限するための停止装置を含む。例示的な停止装置は、金属チャネル307a内に突出し、第1及び第2の中間支持部材213a,214aとそれぞれ係合するように構成された当接部材305a,306aを有する。停止装置によって、垂直方向の移動機構200a,201aを、第1及び第2の分岐ブレードの一方の上部位置で圧縮状態に設定することができるので、遊びが低減され、より堅牢で信頼性の高い支持が分岐ブレードに提供される。圧縮状態は、下楔部211aに押圧力を加えるようにアクチュエータ176を制御することによって達成することができる。
各移動機構200a,201aを長手方向側壁162aと並べて配置することによって、移動機構200a,201aに横方向支持を与えることができる。内部空間163aの内部からの追加の横方向支持は、第1のフレーム160aの一部が必要な横方向支持を与えることによって、例えば鋳造された固定コンクリート支持構造304aを用いて提供してもよい。代替的に、又は固定コンクリート支持構造と組み合わせて、例えば、空間163aの内面に固定された支持部材又は第1及び第2の移動機構200a,201aを押し離す支持部材によって、取り外し可能な横方向支持を与えることができる。
鉄道車両の鉄道車輪409,411及び共通軸413が、第1及び第2の外側レール111,112、並びに第1の分岐ブレード141と係合した状態で図4に示される。図示された切替えモードでは、第2の分岐ブレード142は、右側車輪411のフランジ412の深さ410を十分に越えた距離310だけ垂直方向下向きに移動し、及び分岐器は、第1及び第3の対の走行レール110,130を相互接続する。
上述したように、第1のフレーム160aは、典型的にはコンクリートで作製される。図示された実施形態では、第1のフレーム160aには、フレーム16を加熱するように構成された加熱機構が設けられる。図4の例示的な実施形態では、分岐機構の加熱特性を改善し、且つ分岐機構を覆うために断熱カバー421aも設けられる。断熱カバー421aは、金属チャネル307a又は第1及び第2の中間支持部材213a,214a上に配置してもよい。断熱層422aが、フレーム160の外側に、特に側壁162a,164aの外側に及び断熱カバー421a上に設けられる。
第1のフレーム160aの全体的な寸法及びスケールは、本発明の可読性及び理解を高めるためにいくつかの態様で誇張され、図4では正しく示されていない。例えば、分岐ブレード141,142の必要とされる垂直方向の動きは比較的小さく、分岐ポイントで約100ミリメートル(mm)、およそ距離D3で約50mmとなり得る。車輪フランジは、一般に、約45mmを超えて大きくすることができない。第1のフレーム160aの高さは結果的に比較的低くてもよく、図4の距離D5が200〜1000mmの範囲、具体的には200〜700mmの範囲にある。第1のフレーム160aの幅D4は、一般に、例えば1435mmの標準的なヨーロッパのゲージよりも大きい。従って、幅D4は、大抵の場合、高さD5よりも大きくしなければならない。
図5は、図1のD−D切断部の分岐機構100、すなわち分岐交差部150を通る断面を概略的に示す。第1のレールセグメント144は上部位置に配置され、第2のレールセグメント143は下部位置に配置される。図5では、底部161b及び長手方向側壁162bを有する第2のフレーム160bが示される。第1及び第2の外側レール111,112は、長手方向側壁162bの上に配置されることが明確に確認される。
図5に示される第1及び第2の移動機構200b,201b及び第2のフレーム160bの本質的に全ての態様は、図4に関して先に説明した第1及び第2の移動機構200a,201a及び第1のフレーム160aに正確に対応し、参照がこれらの態様に関する前述の説明になされる。これは、特に、第1及び第2の移動機構200b,201b及びそれらの楔部211b,212b及び中間支持部材213b,214bの設計、配置及び/機能に関する。
1つの相違点は、第1及び第2の移動機構200b,201bが互いに近接して配置され、それによって第1及び第2のレールセグメント144,143の両方の移動機構200b,201bに単一の金属チャネル部材を使用できるということである。こうして、金属チャネル部材は、2つの金属チャネルを含み、各チャネルはその内部に単一の移動機構200b,201bを含む。図5の例示的な実施形態では、単一の金属チャネル部材は、その両側に1つのチャネルを規定する共通の壁320が設計される。従って、第1及び第2の移動機構200b,201bは共通の壁320を共有している。
別の相違点は、第2のフレーム160bの空間163b内での第1及び第2の移動機構200b,201bの位置である。図5では、第1及び第2の移動機構200b,201bは、実質的に内部空間163bの中央領域に配置される。その結果、その横方向の両側から横方向支持が要求される。図5の例では、第2フレーム160bの部分が必要な横方向支持を与えることによって、すなわち鋳造された固定コンクリート支持構造304bの形態で横方向支持を与えることによって、移動機構200b,201bに横方向支持が提供される。代わりに、又は固定コンクリート支持構造体と組み合わせて、例えば、空間163bの内面に固定された支持部材、又は単一の金属チャネル部材の外壁及び長手方向側壁162bの内面と接触する支持部材によって、着脱可能な横方向支持を与えることができる。
少なくとも1つの断熱カバー421b、好ましくは少なくとも2つの断熱カバー421bが、雪や氷が第2のフレームの内部空間163bに入るのを防止し、熱が第2のフレーム160bから逃げるのを防止するために設けられる。
前述したように、分岐交差部の各移動機構200b,201bの長手方向の向きは、図1に示されるように、長手方向Lと平行である必要はなく、ある程度変更することができる。図示の例では、両方の移動機構200b,201bの下楔部211bは、長手方向Lに移動するように構成される。しかしながら、第2のフレーム160bの第1及び第2の移動機構200b,201bは、代わりに非平行な向きを有してもよい。例えば、第1及び第2の移動機構200b,201bの有利な代替構成によれば、第2の移動機構201bは、第2のレールセグメントに143に対応するため、分岐機構100の長手方向Lに本質的に配置されたままであり得る。第1の移動機構200bは、分岐交差部150の第1のレールセグメント144の配向角に対応する角度に向き合せされ得る。
図6は、図1のC−C切断部における分岐機構100の断面を概略的に示しており、第2のレールセグメント143が上部位置にあり、第2の移動機構201bの代替実施形態である。この代替実施形態では、第2のレールセグメント143の必要とされる垂直方向の移動を与えるために、単一対の協働する楔部311bが使用される。こうして、単一の上楔部212bは、単一の下楔部211bに係合するように適合され、楔部の傾斜は、移動機構201bの全作業長さに亘って一定である。
代替実施形態はまた、上楔部212bが長手方向に移動可能であり、下楔部211bが固定される点で異なる。これにより、例えば下楔部を第2のフレーム160bと一体化させることができる。あるいはまた、固定下楔部211bは、鋼又はアルミニウム等の金属製であってもよい。
上楔部212b及び下楔部212aの両方は、好ましくは、全長又は少なくともその実質的な長さに沿って第2のレールセグメント143に垂直方向支持を与えるために、第2のレールセグメント143の全長又は少なくとも実質的な長さに沿って延びる。分岐交差部のレールセグメント144,143は、鉄道車輪がレールセグメント144,143の分岐ポイント145b,146bに至るまでレールセグメント144,143を通過させることによって及ぼされる全負荷を担持し、それにより、上部位置の垂直方向支持に対する特別な要求が高まる。分岐ブレード141,142の垂直方向支持要件は、分岐ブレードが上部位置において分岐ブレード141,142の分岐ポイント145b,146bにおける垂直荷重を担持しないので、それほど厳しいものではないが、単に鉄道車輪を所望の方向A,Bに向けて操縦するように機能する。最初に、鉄道車輪が第1又は第2の外側レール111,112を離れると、分岐ブレード141,142は、鉄道車輪が分岐ブレード141,142を通過することよって及ぼされる全負荷を担持する。
少なくとも1つの楔部の相対的な移動は、上楔部及び下楔部の少なくとも一方の単一の楔部に作用するアクチュエータによって与えられる。1つ又は複数のアクチュエータを各移動機構に設けてもよい。
あるいはまた、2つの移動機構に対して1つのアクチュエータを設けてもよい。これは、例えば、各移動機構に、少なくとも1つの楔部の長手方向の移動を制御するためにねじ式作動機構とこのねじ式作動機構に結合されたウォームギヤとを設け、両方のウォームギヤを単一の電気モータに駆動接続することによって実現することができる。この構成は、モータからの同じ回転入力方向に対して異なる方向に動作するように構成されたウォームギヤを単に有する分岐ブレード又はレールセグメントの互いに排他的な位置を自動的に制御するという利点をさらに有することができる。従って、この構成は、単一の分岐ブレード又は単一のレールセグメントのみが常に上部位置に配置されることを保証し、競合する切替えのリスクが生じる。
相対的な移動のために摺動接触が使用される場合に、潤滑を与えてもよい。単一の潤滑ポンプを含む集中型潤滑システムを、複数の移動機構200a,201a,200b,201bに使用してもよい。図2〜図4では、空気圧又は油圧ピストンが、分岐器(turnout)を制御するための信頼できる試験済みの解決策として実装されることが示される。別の解決策が図6に示されており、電気モータ176及びねじ付きロッド177が垂直方向の移動を制御するように構成される。
分岐機構について、主として、垂直方向に移動可能な分岐ブレードと分岐交差部のレールセグメントとの両方を有するものとして説明してきた。しかしながら、本発明は、分岐ブレードにのみ適用される場合、又は分岐交差部にのみに適用される場合にも適用可能である。分岐ブレード及び固定交差部を有する分岐機構は、例えば低速及び/又はまれにしか運転されない場所で、快適性の低下及び摩耗の増大の問題が固定交差部と比較して分岐交差部の複雑さの増大を促すことがない場所で、特定の用途に好ましい。そのような設置では、分岐機構100のサイズ、形状、及び形成に応じて、分岐ブレード141,142は、分岐交差部150まで多少なりとも延びてもよい。
分岐ブレード及び分岐交差部のレールセグメントについて、主として、上部位置と下部位置との間の転轍動作中に及びその反対の転轍動作中に所望の垂直方向の移動を達成するために、弾性変形(曲げ)に依存するものとして説明してきた。しかしながら、分岐ブレード141,142及び/又は分岐交差部のレールセグメント144,143のいずれか一方を、代わりに、それぞれの固定リードレール170,171に旋回可能に接続し、代わりに分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントの所望の垂直方向の移動を可能にすることができる。さらに、分岐ブレード141,142は弾性変形に依存するが、分岐交差部のレールセグメント144,143は、逆に旋回運動に依存する。
図7に概略的に示される例示的な代替実施形態によれば、第1及び第2の分岐ブレード141,142を支持する第1のフレーム160aは、より小型でよりコンパクトな設計を有し、複数の枕木304aによって支持してもよい。
同様に、図7の例示的な代替実施形態でも示されるように、分岐交差部150の垂直方向に移動可能な第1及び第2のレールセグメント144,143を支持する第2のフレーム160bは、より小型でコンパクトな設計を有し、複数の枕木304bによって支持してもよい。枕木304a,304bは、例えば木材又はコンクリートで作製された従来の枕木であってもよい。
第1及び第2のフレーム160a,160bの小さいバージョンは、例えば10〜200mmの範囲、具体的には20〜150mmの範囲、より具体的には25〜100mmの範囲の比較的薄い側壁を有することができる。第1及び第2のフレーム160a,160bは、第1及び第2のフレームとその下の枕木304a,304bとの間の堅牢で強固な接続によって、枕木304a,304bから横方向及び長手方向の支持を受けることができる。接続は、例えば、第1及び第2のフレーム160a,160bをその下の枕木304a,304bに締め付けるねじ付き部材、ブラケット等によって実現することができる。枕木304a,304bには、例えば、第1及び第2のフレームをそれぞれ受容するために上面に1つ又は2つの凹部を設けてもよい。1つ又は2つの凹部は、凹部の側壁を介して第1及び第2のフレームに横方向支持を与えるように設計してもよい。
枕木304a,304bには、第1及び第2のフレーム160a,160bの外側に位置する第1及び第2の外側レール111,112に垂直方向支持を与えるために、枕木304a,304bの一方又は両方の端部に隆起部をさらに設けてもよい。
第1及び第2のフレーム160a,160bのより小型でコンパクトな設計は、例えば、レールの長手方向の長さに沿って規則的に離間した位置で、すなわち枕木304a,304bが利用可能である場所で、下にある枕木304a,304bから支持を受けるように設計してもよい。
第1及び第2のフレーム160a,160bは、底壁161a,161bと、2つの対向する横方向側壁164a,164bと、2つの対向する長手方向側壁162a,162bとを含む。フレーム160a,160bの閉じた設計は、雪、泥土及び動物等に対してフレーム内に配置された移動機構200b,201bの保護を提供する。
フレーム160a,160bは、コンクリート及び/又は金属材料で作製してもよい。熱抵抗導体等の電気加熱機構を、フレームの1つ又は複数の壁内に又はその上に、及び/又はフレーム内の適切な位置に設置することができる。
第1及び第2のレールセグメント144,143の中間支持部材213b,214bは、フレーム160a,160bの上側に配置される。中間支持部材213b,214bは、好ましくは、フレームの上部の開口部を完全に覆うように寸法決めされ、それにより雪、泥土、及び動物が移動機構200b,201bに入るのが防止される。
第1及び第2のレールセグメント144,143の中間支持部材213b,214bは、第1及び第2のレールセグメント144,143の垂直方向の転轍動作をもたらすために、個別に垂直方向に移動可能である。第1及び第2のレールセグメント144,143は、第1及び第2のレールセグメント144,143を中間支持部材213b,214bの上側に従来の締付け又は溶接する手段等の任意の適切な方法で中間支持部材213b,214bの上側に固定される。
第1及び第2のレールセグメント144,143の垂直方向の転轍動作は、フレーム160a,160b内に配置され、フレームの底部161a,161b及び中間支持部材213b,214bの下側に関連して動作する移動機構200b,201bによって制御される。
分岐交差部150のフレームの移動機構200b,201bは、任意のタイプの適切なアクチュエータ176によって動力を受けることができる。図8に示される例では、アクチュエータ176は、2つの電気モータを含み、各モータは、ウォームギヤを介して個々の移動機構200b,201bの動きを制御する。各移動機構200b,201bに対して1つの電気モータが設けられる。あるいはまた、流体動力式アクチュエータを使用してもよい。
図8の開示された例示的な実施形態では、第1及び第2のレールセグメント144,143の各中間支持部材213b,214bは、第1の部分810b,812b及び第2の部分811b,813bを含む。この設計は、図9a及び図9bを参照してより詳細に開示され、図7のF−F切断部に沿ったフレーム及び分岐交差部150の移動機構200b,201bの断面を概略的に示す。図9aは、鉄道車両が第2の方向Bに走行する切替え位置を示し、図9bは、鉄道車両が第1の方向Aに走行する切替え位置を示す。
各部分810b,811b,812b,813bは、中間支持部材213b,214bの固有の部分を規定する。各中間支持部材213b,214bの第1の部分810b,812bは、第1の旋回点178bでフレーム160bの横方向側壁164bの上部又はその近くに旋回可能に接続される。第1の中間支持部材213bの第1の部分810b及び第2の部分811bは、第2の旋回連結部814bで互いに旋回可能にさらに接続され、第2の中間支持部材214bの第1の部分812b及び第2の部分813bは、第2の旋回連結部815bで互いに旋回可能にさらに接続される。
各中間支持部材213b,214bの第1の部分810b,812bの長手方向Lの長さL1は、典型的には、各中間支持部材213b,214bの第2の部分811b,813bの長手方向Lの長さL2未満である。第1の部分810b,812bの長さL1は、第2の部分811b,813bの長さL2の30%〜90%の範囲であってもよい。
上で詳細に説明したように、第1及び第2のレールセグメント143,144は、固定リードレール170,171と一体化してもよく、上部位置と下部位置との間の転轍動作中に所望の垂直方向の移動を達成するために弾性変形(曲げ)に依存するように設計される。あるいはまた、レールセグメント144,143は、セグメント144,143の所望の垂直方向の移動を可能にするために、それぞれの固定リードレール170,171に旋回可能に接続された個別の部品であってもよい。
第1及び第2のレールセグメント144,143は、第1及び第2のレールセグメント144,143を中間支持部材213b,214bの上側に従来の締付け又は溶接する手段等の任意の適切な方法で、中間支持部材213b,214bの上側に固定される。
分岐交差部150の各中間支持部材213b,214bの長手方向の長さに沿った2つの旋回点178b,814b,815bの使用によって、中間支持部材213b,214bが比較的長い距離に亘って垂直方向下部位置に置くことを可能にする。実際には、各中間支持部材213b,214bの第2の部分811b,813bの全長L2は、第2の部分811b,813bがリードレール170,171と略平行となる位置まで下げてもよい。こうして、この設計によって、長手方向に比較的大きな長さに亘り比較的大きな垂直方向の移動が可能になる。
分岐交差部150の各移動機構200b,201bは、2つの異なる構成要素、すなわち引下げ制御部材900と、二対の協働する楔部311b,312bとを含む。
引下げ制御部材900は、第2の旋回連結部814b,815bの近くの各中間支持部材213b,214bの第1の部分810b,812bに配置される。しかしながら、その制御部材900は、第2の旋回連結部814b,815bの近くの各中間支持部材213b,214bの第2の部分811b,813bに配置してもよい。引下げ制御部材900は、ベース部材901に形成された軌道904と、この軌道904を貫通するシャフト903の形態の案内部材とを有し、案内部材は、軌道904の経路に追従するように配置される。シャフト903は、ブラケット902を介して各中間支持部材213b,214bの第1の部分810b,812bの下側に取り付けられる。
軌道は、シャフト903及びブラケット902を介して垂直方向上部位置において各中間支持部材213b,214bの第1の部分810b,812bに垂直方向支持を与えるように構成された水平方向経路904aを有する。軌道904はまた、ブラケット902、従って各中間支持部材213b,214bの第1及び第2の部分810b,812b,811b,813bが、ベース部材901及びシャフト903の長手方向移動時に垂直方向下部位置に移動することを保証するために、シャフト903と協働する傾斜路904bを有する。傾斜路は、水平方向から約5〜30度の範囲の傾斜910を有することができる。
引下げ制御部材900にシャフト903を設け、このシャフト903が少なくとも2つの個別の方向を含む軌道904内を摺動するように構成することにより、2つの機能、すなわち上部位置での垂直方向支持と下部位置での垂直方向の移動とが得られる。引下げ制御部材900は、多くの代替設計を有することができる。例えば、ベース部材901は、各中間支持部材213b,214bの第1の部分810b,812b又は第2の部分811b,813bに締結され、ブラケット902は、アクチュエータ176によって長手方向に移動され得る。引下げ制御部材900は、図5の楔部211b,212b及び溝及びタング装置415aと同様に、協働する溝を有する2つの協働する楔部としてさらに設計することができる。
二対の協働する楔部311b,312bの各々は、同一の設計を有してもよく、各楔部が下楔部211b及び上楔部212bを含む。下楔部211bは、レールセグメント144,143の長手方向に略平行な方向に、又は鉄道分岐機構100の長手方向Lに略平行な方向に移動するように構成される。各対をなす協働する楔部の下楔部211b及び上楔部212bは、上楔部212b及び下楔部211aの一方の略水平な運動の際に、上楔部212bの垂直方向の移動を生じさせるように設計される。
図9a及び図9bの例示的な実施形態によれば、下楔部211bの上向き摺動面は、傾斜した摺動面セグメント912bに隣接して配置された略水平面セグメント911bを含む。傾斜した摺動面セグメント912bの傾斜角913は、5〜30度の範囲であってもよい。さらに、傾斜した摺動面セグメントの傾斜角913は、ベース部材901に形成された軌道904の傾斜路904bの傾斜910と実質的に同じであってもよい。これにより、各中間支持部材213b,214bの第2の部分811b,813bは、その傾斜角を変えずに、垂直方向に移動することができる。これは、各中間支持部材213b,214bの第2の部分811b,813bがコンパクトなパッケージ内で十分に垂直方向に移動することを可能にするので、有利であると考えられる。
各上楔部212bは、下楔部211bの設計に対応する設計を有する。こうして、各上楔部212bは、傾斜した摺動面セグメントに隣接して配置された略水平面セグメントを含む下向きの摺動面を有する。
図9a及び図9bの例示的な実施形態に示されるように、第2の中間支持部材214bのベース部材901及び下楔部211bは、単一の個々のアクチュエータ176によって水平方向に移動される。これは、単一のアクチュエータ176に駆動接続された長手方向に延び長手方向に摺動可能な制御部材915bによって、及び第2の中間支持部材214bのベース部材901及び下楔部211bを制御部材915bに締結することによって、実現される。制御部材915bは、金属プレートであってもよい。
制御部材915bは、垂直方向の移動に対して固定される。これは、第2の中間支持部材214bの下降動作をもたらすように意図された制御部材915bの水平方向の移動の際に、制御部材915bが上方に移動するのを避けるために必要である。長手方向の摺動運動を可能にしながら制御部材915bを垂直方向に固定することは、例えば任意の適切なインターロック溝及びタング装置を含むロック装置416bによって実現することができる。ロック装置416bは、図9a及び図9bに示されるように制御部材915bと、フレーム160bの底部161b等の下にある支持構造との間に、及び/又は制御部材915bとフレーム160bの長手方向側壁162bとの間に設けてもよい。
引下げ制御部材900、協働する一対の楔部311b,312b、制御部材915b、及びアクチュエータを含む、分岐交差部150の第1及び第2の移動機構200b,201bは、実質的に同一の設計を有してもよい。
図9aでは、第1の中間支持部材213bは、第1のレールセグメント144に垂直方向支持を提供し、第1のレールセグメント144と交差先端部151との間の切替えギャップを実質的に最小にするように準備された上部位置に配置され、第2の中間支持部材214bは、垂直方向下部位置に移動され、それにより第2の方向Bに沿って走行する鉄道車両の鉄道車輪が第2のレールセグメント143上を通過する。
図9bでは、第2の中間支持部材214bは、第2のレールセグメント143に垂直方向支持を提供し、第2のレールセグメント143と交差先端部151との間の切替えギャップを実質的に最小にするように準備された上部位置に配置され、第1の中間支持部材213bは、垂直方向下部位置に移動され、それにより第1の方向Aに沿って移動する鉄道車両の鉄道車輪が第1のレールセグメント144の上を通過する。
図8、図9a、図9bに示される垂直方向に移動可能な第1及び第2のレールセグメント144,143の移動機構200b,201bの例示的な実施形態の設計原理は、垂直方向に移動可能な第1及び第2の分岐ブレード141,142の移動機構200a,201aにも適用できる。この設計原理を適用する垂直方向に移動可能な第1及び第2の分岐ブレード141,142の例示的な実施形態を図10に概略的に示す。
図10の断面図は、原則として図7のE−E切断部に対応するが、第2の移動機構201aを大幅に拡張したものである。鉄道分岐機構100のこのような長手方向に伸びたバージョンは、高速設置のために必要とされる。第1の移動機構200aは、第2の移動機構201aと実質的に同一の設計を有するため、ここでは詳細には説明しない。
第1及び第2の分岐ブレード142の第2の移動機構201aは、底部161aと、2つの対向する横方向側壁164aと、2つの対向する長手方向側壁162aとを有する細長いフレーム160a内に設置することができる。第2の分岐ブレード142の第2の移動機構201aの大部分は、分岐交差部150の第2の移動機構201bと実質的に同一であり、再度繰り返し説明しない。
図10に示される第2の分岐ブレード142の第2の移動機構201aと、図9a及び図9bに示される分岐交差部150の第2の移動機構201bとの間の主な相違は、第2の移動機構201aの著しく大きな全長L3である。その結果、編成列車からの荷重を枕木700に分布させるために、多数の対をなす楔部が必要である。例えば、アクチュエータ176及び引下げ制御部材900,950の位置を除いて、略一対の協働する楔部を各枕木700の上に配置することができる。
第2の中間支持部材214aは、第1の部分812a及び第2の部分813aを含む。四対の協働する楔部340a,341a,342a,343aが、第1の部分812aの下に分布している。第1の部分812aが旋回連結部178aを中心に旋回し、第2の旋回連結部815aが垂直方向に移動するように構成されるので、各対をなす協働する楔部340a,341a,342a,343aの傾斜した摺動面セグメントの傾斜角α1,α2,α3,α4は、第2の旋回連結部815aのより近くに位置する各対をなす協働する楔部に対して徐々に増大する。
第2の中間支持部材214aの第2の部分813aの下には、複数の実質的に同一の一対の協働する楔部311a,312a,313a,314aが配置される。それら楔部全ては、同じ傾斜角913の傾斜した摺動面を有することができる。
第2の移動機構201aのより長い全長L3は、第2の部分813aが必要に応じて実際に下部位置に移動することを確実にするために、第2の中間支持部材214aの第2の部分813aに1つ又は複数の追加の引下げ制御部材950が設けられることを必要とする。隣接する引下げ制御部材900,950は、例えば、それら制御部材の間に配置された約3〜10対の協働する楔部、具体的には約4〜6対の協働する楔部を有してもよい。第1及び第2の中間支持部材213a,213b,214a,214bの第1及び第2の部分812a,813a,812b,813bの対をなす協働する楔部の数は、特定の状況に応じて変化させることができる。引下げ制御部材900,950のみを有し、対をなす協働する楔部が存在しない設計も可能である。1つ又は複数の引下げ制御部材900,950はまた、剛性の単一部品の第1及び第2の中間支持部材213a,213b,214a,214bと共に使用してもよい。このような実施形態では、第1及び第2の中間支持部材213a,213b,214a,214bの単一の旋回点178a,178bからの距離に対して垂直方向の移動を適合させるために、傾斜路904bの傾斜910を、各引下げ制御部材900,950に対して個別に選択しなければならない。
さらに代替実施形態(図示せず)によれば、第1及び第2の分岐ブレード141,142及び/又は第1及び第2のレールセグメント143,144の移動機構200a,201a,200b,201bは、一対の協働する楔部の代わりに単一の楔部を含んでもよい。単一の楔部は、制御部材915a,915b等の下側の支持構造体に締結され、又は中間支持部材213a,214a,213b,214bと一緒に締結してもよい。単一の楔部は、傾斜した摺動面セグメント912bと、隣接する略水平面セグメント911bとを含んでもよい。さらに、単一の楔部は、略水平支持面を有する部材等の、対向して配置された対応する部材と協働するように構成することができる。対応する部材の水平支持面は、過大な負荷圧力を回避するのに十分大きな表面積を可能にする。さらに、対応する部材の水平支持面によって、傾斜した摺動面セグメント912bに沿って摺動することが可能になる。
弾性変形という用語は、材料がその降伏強度に達したときに終了する範囲内の変形を意味する。この時点で塑性変形が始まる。弾性変形は可逆的である、つまり物体が元の形状に戻るが、塑性変形は不可逆的である。
本発明は、主に標準的な右分岐鉄道退避線の観点から開示され例示されるが、他の鉄道分岐器の実施形態、例えば標準的な左分岐器、単一又は二重の内外スリップスイッチ、スタブスイッチ、デルタ線(wye)スイッチ(Y字ポイント)等の分岐器を含んでもよい。
図1〜図6に開示された本発明の移動機構は、分岐ブレード及び分岐交差部のレールセグメントの所望の垂直方向の移動を達成するための1つ又は複数の対をなす協働する楔部を含む。しかしながら、特定の状況に応じて、代替の移動機構を使用してもよい。例えば、長手方向に移動可能な単一の楔部、1つ又は複数の長手方向に移動可能なスペーサと組み合わせた単一の固定楔部等を代わりに用いてもよい。
さらに、分岐ブレード及び/又は分岐交差部のレールセグメントがヒンジ連結部においてリードレールに旋回可能に接続される場合に、分岐ブレード及び/又はレールセグメントは、垂直方向に弾性的に曲がる必要がなく、これら分岐ブレード及び/又はレールセグメントは、ヒンジ連結部と1つの追加の位置でのみ支持される間に、鉄道車両の荷重に耐えるように補強される。これは、垂直方向に配置された油圧シリンダ、電気モータに駆動接続された垂直方向に配置されたねじ付きロッド等の、局所的に位置付けられた垂直方向の移動機構の使用を可能にする。
図面の全体的な寸法及びスケールは、分岐機構及びその部品の最終的な物理的な設置に対応するものではなく、単に本発明の概略的な説明であることに留意されたい。例えば、本発明の可読性及び理解を高めるために、分岐ブレード及び分岐交差部のレールセグメントにおける分岐ギャップは誇張して示される。
本発明は、その精神又は本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。上記の例の様々な特徴は、様々な他の選択肢を形成するために混合され適合され得ることが理解される。このように、記載された実施形態は、全ての点において、例示的なものであって限定的なものではないとみなすべきである。従って、本発明の範囲は、上記の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内にある全ての変更は、その特許請求の範囲内に含まれる。
特許請求の範囲に記載される参照符号は、特許請求の範囲によって保護される事項の範囲を限定するものと見なすべきではなく、その参照符号の唯一の機能は、特許請求の範囲の理解をより容易にすることである。