JP6664200B2 - 複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合材料の製造方法に関するものである。具体的には、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを含む複合材料の製造方法に関するものである。
金属、なかでも銅は、導電性が高く、圧延性にも優れるため、配線材料、電線等の導電材料として広く活用されている。
一方、カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することがある。)などの繊維状炭素ナノ構造体は、導電性、熱伝導性、摺動特性、機械特性等に優れるため、幅広い用途への応用が検討されている。
そこで、近年、繊維状炭素ナノ構造体の優れた特性を活かし、銅をはじめとした金属と繊維状炭素ナノ構造体とを複合化することで、導電性および熱伝導性をより一層向上させた複合材料を提供する技術の開発が進められている。
しかしながら、金属と繊維状炭素ナノ構造体とでは、材料間の比重差が大きいため、上記複合材料の調製には、複合化が非常に難しいという問題があった。
そこで、上記問題を解決するための方法として、例えば、CNTをめっき液中に混入させ、そのめっき液によりめっき皮膜を形成することで、金属とCNTとを良好に複合化させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−156074号公報
ここで、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを含む複合材料に、例えば、導電性および熱伝導性などの優れた物性を十分に発揮させるためには、製造された複合材料において、金属と繊維状炭素ナノ構造体とが良好に密着した状態で複合化されている必要がある。
しかしながら、上記従来の技術では、金属と、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体との間の密着性については着目しておらず、金属と繊維状炭素ナノ構造体との間の密着性には改善の余地があった。
そこで、本発明は、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを良好な密着性をもって複合化させ、導電性および熱伝導性などの物性に優れる複合材料を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく、鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、金属と繊維状炭素ナノ構造体とをめっき液中で混合させるのではなく、繊維状炭素ナノ構造体を膜状に集合させてなる炭素膜を用い、当該炭素膜の表面を予め粗化した上で所定のめっき処理を行うことにより、金属と繊維状炭素ナノ構造体が良好な密着性をもって複合化され、その結果、導電性および熱伝導性などの物性に優れた複合材料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合材料の製造方法は、繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜の少なくとも一方の面に表面粗化加工を施す工程(B)と、前記表面粗化加工が施された炭素膜に、めっき液を用いてめっき処理を行う工程(C)とを含むことを特徴とする。このように、表面粗化加工が施された、繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜にめっき処理を行えば、炭素膜の内部および表面に金属を析出させ、金属と繊維状炭素ナノ構造体とが良好な密着性をもって複合化した複合材料を製造することができる。そして、製造された複合材料は、導電性および熱伝導性などの物性に優れる。
また、本発明の複合材料の製造方法における表面粗化加工は、プラズマエッチング処理であることが好ましい。プラズマエッチング処理を炭素膜表面に施すことにより、当該炭素膜に含まれる繊維状炭素ナノ構造体と、当該炭素膜にめっきされた金属とを、より高い密着性をもって複合化することができる。
ここで、本発明の複合材料の製造方法は、前記工程(B)に先んじて、前記繊維状炭素ナノ構造体と溶媒とを含む分散液を用いて前記炭素膜を準備する工程(A)を更に含むことが好ましい。溶媒中に繊維状炭素ナノ構造体が分散した分散液を用いて得られる炭素膜は、密度が疎となり易い。そのため、めっき処理においてめっき液が炭素膜中に浸透し易く、炭素膜内部における金属の析出が容易となる。よって、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを一層良好に複合化することができ、複合材料の物性を更に高めることができる。
また、本発明の複合材料の製造方法において、前記炭素膜の密度が0.01g/cm3以上1.8g/cm3以下であることが好ましい。密度が上述の範囲内である炭素膜を用いれば、得られる複合材料の強度を確保しつつ、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを一層良好に複合化することができる。
なお、本発明において、「炭素膜の密度」は、炭素膜の質量、面積および厚さを測定し、炭素膜の質量を体積で割って求めることができる。
そして、本発明の複合材料の製造方法において、前記めっき液がノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。ノニオン系界面活性剤を含むめっき液は炭素膜中に浸透しやすく、炭素膜内部における金属の析出が容易となる。そのため、金属と繊維状炭素ナノ構造体を一層良好に複合化することができ、複合材料の物性を更に高めることができる。
なお、前記ノニオン系界面活性剤がポリエーテル系界面活性剤であることが好ましい。ポリエーテル系界面活性剤を含むめっき液を用いれば、金属と繊維状炭素ナノ構造体をより一層良好に複合化することができる。
また、本発明の複合材料の製造方法において、前記繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含むことが好ましい。カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いれば、複合材料の物性、とりわけ熱伝導性および導電性を一層高めることができる。
ここで、前記カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体は、比表面積が600m2/g以上であることが好ましい。比表面積が600m2/g以上である繊維状炭素ナノ構造体を用いれば、複合材料の物性、とりわけ熱伝導性および導電性をより一層高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
本発明の複合材料の製造方法によれば、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを良好な密着性をもって複合化させ、導電性および熱伝導性などの物性に優れた複合材料を製造することができる。
実施例1に従った、表面粗化加工(出力:50W、処理時間:5分)された炭素膜表面における断面の電界放出型走査電子顕微鏡画像である。 実施例2に従った、表面粗化加工(出力:50W、処理時間:10分)された炭素膜表面における断面の電界放出型走査電子顕微鏡画像である。 実施例3に従った、表面粗化加工(出力:100W、処理時間:5分)された炭素膜表面における断面の電界放出型走査電子顕微鏡画像である。 実施例4に従った、表面粗化加工(出力:100W、処理時間:10分)された炭素膜表面における断面の電界放出型走査電子顕微鏡画像である。 比較例に従った、表面粗化加工されていない炭素膜表面における断面の電界放出型走査電子顕微鏡画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の複合材料の製造方法は、金属と繊維状炭素ナノ構造体とが複合化された複合材料を製造する際に用いることができる。そして、本発明の複合材料の製造方法を用いて製造した複合材料は、導電性や熱伝導性などの物性に優れているため、高い導電性や高い熱伝導性などが求められる種々の用途に用いられることができる。
(複合材料の製造方法)
本発明の複合材料の製造方法は、繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜の少なくとも一方の面に表面粗化加工を施す工程(B)と、表面粗化加工が施された炭素膜にめっき処理を行う工程(C)とを含む。また、本発明の複合材料の製造方法は、上記工程(B)の前に、繊維状炭素ナノ構造体と溶媒とを含む分散液を用いて炭素膜を準備する工程(A)を更に含むことができる。
そして、本発明の複合材料の製造方法は、上記工程(B)および工程(C)を含むため、炭素膜内部にめっき液由来の金属を析出させた際に、金属と繊維状炭素ナノ構造体とが良好に密着された状態で複合化した複合材料を製造することができる。また、製造された複合材料は、金属と繊維状炭素ナノ構造体とが良好に複合化しているため、優れた導電性や熱伝導性などの物性を発揮することができる。従って、例えば、本発明の製造方法を用いて製造された複合材料は、エレクトロニクス関連分野において幅広い応用が期待される。
<工程(A)>
工程(A)は、本発明の複合材料の製造方法に任意に含まれる工程である。そして、工程(A)では、繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜が得られる。
[炭素膜の準備]
炭素膜は、複数本の繊維状炭素ナノ構造体を膜状に集合させてなる繊維状炭素ナノ構造体の集合体を含む。ここで、複数本の繊維状炭素ナノ構造体を膜状に集合させて炭素膜を準備する方法は、特に限定されないが、例えば、
(1)複数本の繊維状炭素ナノ構造体と溶媒とを含む分散液から溶媒を除去することにより製膜する方法:
(2)基材上に略垂直方向に成長させて得られた繊維状炭素ナノ構造体の集合体を基材に倒伏させ、その後必要に応じて圧縮することにより製膜する方法:
が挙げられる。中でも、(1)の方法が好ましい。(1)の方法を経て得られた炭素膜は、密度が疎となり易く、めっき処理においてめっき液が炭素膜中に浸透し易い。そのため、炭素膜内部での金属析出が容易となり、金属と繊維状炭素ナノ構造体が一層良好に複合化され、複合材料の物性を更に向上させることができる。
以下、(1)の方法を例に挙げて工程(A)について詳述する。
[分散液]
炭素膜の準備に用いる分散液としては、特に限定されることなく、既知の分散処理方法を用いて繊維状炭素ナノ構造体の集合体を溶媒に分散させてなる分散液を用いることができる。具体的には、分散液としては、繊維状炭素ナノ構造体と、溶媒とを含み、任意に分散剤などの分散液用添加剤を更に含有する分散液を用いることができる。
[[繊維状炭素ナノ構造体]]
繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、例えば、アスペクト比が10を超える繊維状炭素ナノ構造体を使用することができる。具体的には、繊維状炭素ナノ構造体としては、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、及びそれらの切断物などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において、「アスペクト比」は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)および長さを測定して求めることができる。
中でも、繊維状炭素ナノ構造体としては、カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、複合材料の物性を更に向上させることができるからである。
―カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体―
ここで、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
なお、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、複合材料の物性を更に向上させることができるからである。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が0.5nm以上であれば、炭素膜中において複数の繊維状炭素ナノ構造体間に金属が析出するための空間が十分に確保され、金属と繊維状炭素ナノ構造体がより良好に複合化した複合材料を得ることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が15nm以下であれば、複合材料の物性を更に向上させることができる。
なお、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)」は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)は、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
更に、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることがより好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることがより好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が600m2/g以上であれば、複合材料の物性を更に向上させることができる。また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2500m2/g以下であれば、炭素膜中および複合材料中での繊維状炭素ナノ構造体の過度な密集を抑制して、金属と繊維状炭素ナノ構造体を一層良好に複合化することができる。
更に、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、後述のスーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該集合体としての、繊維状炭素ナノ構造体の質量密度は、0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体同士の結びつきが弱くなるので、繊維状炭素ナノ構造体を均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。中でも、CNTの開口処理が施されておらず、t−プロットが上に凸な形状を示すことがより好ましい。なお、「t−プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt−プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、S1は、600m2/g以上1400m2/g以下であることが好ましく、800m2/g以上1200m2/g以下であることが更に好ましい。一方、S2は、30m2/g以上540m2/g以下であることが好ましい。
ここで、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
そして、上述した性状を有するCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
ここで、スーパーグロース法により製造したCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTと、非円筒形状の炭素ナノ構造体とから構成されていてもよい。具体的には、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体には、内壁同士が近接または接着したテープ状部分を全長に亘って有する単層または多層の扁平筒状の炭素ナノ構造体(以下、「グラフェンナノテープ(GNT)」と称することがある。)が含まれていてもよい。
なお、本明細書において「テープ状部分を全長に亘って有する」とは、長手方向の長さ(全長)の60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%に亘って連続的に又は断続的にテープ状部分を有することを指す。
また、GNTは、その合成時から内壁同士が近接または接着したテープ状部分が全長に亘って形成されており、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成された物質であると推定される。そして、GNTの形状が扁平筒状であり、かつ、GNT中に内壁同士が近接または接着したテープ状部分が存在していることは、例えば、GNTとフラーレン(C60)とを石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)して得られるフラーレン挿入GNTを透過型電子顕微鏡で観察すると、GNT中にフラーレンが挿入されない部分(テープ状部分)が存在していることから確認することができる。
そして、GNTの形状は、幅方向中央部にテープ状部分を有する形状であることが好ましく、延在方向(軸線方向)に直行する断面の形状が、断面長手方向の両端部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法が、いずれも、断面長手方向の中央部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法よりも大きい形状であることがより好ましく、ダンベル状であることが特に好ましい。
ここで、GNTの断面形状において、「断面長手方向の中央部近傍」とは、断面の長手中心線(断面の長手方向中心を通り、長手方向線に直交する直線)から、断面の長手方向幅の30%以内の領域をいい、「断面長手方向の端部近傍」とは、「断面長手方向の中央部近傍」の長手方向外側の領域をいう。
なお、非円筒形状の炭素ナノ構造体としてGNTを含む炭素ナノ構造体は、触媒層を表面に有する基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成する際に、触媒層を表面に有する基材(以下、「触媒基材」と称することがある。)を所定の方法で形成することにより、得ることができる。具体的には、GNTを含む炭素ナノ構造体は、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布し、塗布した塗工液Aを乾燥して基材上にアルミニウム薄膜(触媒担持層)を形成した後、アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布し、塗布した塗工液Bを温度50℃以下で乾燥してアルミニウム薄膜上に鉄薄膜(触媒層)を形成することで得た触媒基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成することで得ることができる。
[[溶媒]]
また、分散液の溶媒(繊維状炭素ナノ構造体の分散媒)としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[[分散液用添加剤]]
更に、分散液に任意に配合される分散液用添加剤としては、特に限定されることなく、分散剤などの分散液の調製に一般に使用される添加剤が挙げられる。
なお、例えばろ過により分散液から溶媒を除去する際にろ紙が目詰まりするのを防止する観点、および、得られる複合材料の物性(例えば、導電性)の低下を抑制する観点からは、分散剤などの分散液用添加剤の添加量は少量であることが好ましい。
そして、分散液の調製に用いる分散剤としては、繊維状炭素ナノ構造体を分散可能であり、前述した溶媒に溶解可能であれば、特に限定されることなく、界面活性剤、合成高分子または天然高分子を用いることができる。
ここで、界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、合成高分子としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
更に、天然高分子としては、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロース、並びに、その塩または誘導体が挙げられる。
そして、これらの分散剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
[[分散液の性状]]
そして、分散液は、1mm以上の凝集体が目視で確認されないことが好ましい。また、分散液中の繊維状炭素ナノ構造体は、粒度分布計で測定した際のメジアン径(平均粒子径)の値が150μm以下となるレベルで分散していることが好ましい。分散液中で繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させれば、溶媒を除去して得られる炭素膜の密度むらが抑制される。そして密度むらの少ない炭素膜には、めっき液が満遍なく浸透し易く、金属と繊維状炭素ナノ構造体を一層良好に複合化することができる。その結果、複合材料の物性が更に向上する。
また、分散液の固形分濃度は、繊維状炭素ナノ構造体の種類にもよるが、0.001質量%以上20質量%以下が好ましい。固形分濃度が0.001質量%未満の場合、溶媒を除去して得られる炭素膜の量が少なくなり、製造効率を十分に高めることができない虞がある。また、固形分濃度が20質量%超の場合、分散液中での繊維状炭素ナノ構造体の分散性が低下する虞があると共に、分散液の粘度が増加し、流動性が低下する。
[[分散液の調製]]
なお、分散液として、繊維状炭素ナノ構造体の集合体を溶媒に分散させてなる市販の分散液を用いてもよいが、炭素膜調製工程の前に分散液調製工程を実施して調製した分散液を用いることが好ましい。中でも、溶媒中で繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散した分散液を使用し、炭素膜の密度むらを抑制して物性に優れる複合材料を得る観点からは、分散液としては、溶媒中に繊維状炭素ナノ構造体を添加してなる粗分散液をキャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供して得た分散液を用いることがより好ましい。
具体的には、上述した溶媒に対して上述した繊維状炭素ナノ構造体と任意の分散液用添加剤とを添加してなる粗分散液を、以下に詳細に説明するキャビテーション効果が得られる分散処理または解砕効果が得られる分散処理に供して得た分散液を用いることが好ましい。
―キャビテーション効果が得られる分散処理―
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。この分散方法を用いることにより、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができる。
ここで、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波による分散処理、ジェットミルによる分散処理および高剪断撹拌による分散処理が挙げられる。これらの分散処理は一つのみを行なってもよく、複数の分散処理を組み合わせて行なってもよい。より具体的には、例えば超音波ホモジナイザー、ジェットミルおよび高剪断撹拌装置が好適に用いられる。これらの装置は従来公知のものを使用すればよい。
繊維状炭素ナノ構造体の分散に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、粗分散液に対し、超音波ホモジナイザーにより超音波を照射すればよい。照射する時間は、繊維状炭素ナノ構造体の量等により適宜設定すればよく、例えば、3分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、また、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。また、例えば、出力は20W以上500W以下が好ましく、100W以上500W以下がより好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合、処理回数(サイクル)は、繊維状炭素ナノ構造体の量等により適宜設定すればよく、例えば、2サイクル以上が好ましく、100サイクル以下が好ましく、50サイクル以下がより好ましい。また、例えば、圧力は20MPa以上250MPa以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
さらに、高剪断撹拌を用いる場合には、粗分散液に対し、高剪断撹拌装置により撹拌および剪断を加えればよい。旋回速度は速ければ速いほどよい。例えば、運転時間(機械が回転動作をしている時間)は3分以上4時間以下が好ましく、周速は5m/秒以上50m/秒以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
なお、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理は、50℃以下の温度で行なうことがより好ましい。溶媒の揮発による濃度変化が抑制されるからである。
―解砕効果が得られる分散処理―
解砕効果が得られる分散処理は、繊維状炭素ナノ構造体を溶媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波による繊維状炭素ナノ構造体の損傷を抑制することができる点で有利である。
この解砕効果が得られる分散処理では、粗分散液にせん断力を与えて繊維状炭素ナノ構造体の凝集体を解砕・分散させ、さらに粗分散液に背圧を負荷し、また必要に応じ、粗分散液を冷却することで、気泡の発生を抑制しつつ、繊維状炭素ナノ構造体を溶媒中に均一に分散させることができる。
なお、粗分散液に背圧を負荷する場合、粗分散液に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
ここに、粗分散液にせん断力を与えて繊維状炭素ナノ構造体をさらに分散させるには、例えば、以下のような構造の分散器を有する分散システムを用いればよい。
すなわち、分散器は、粗分散液の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(例えば10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)の粗分散液が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速の粗分散液は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、粗分散液の流速が低下すると共に、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散する。そして、終端部から、流入した粗分散液の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、繊維状炭素ナノ構造体の分散液として流出することになる。
なお、粗分散液の背圧は、粗分散液の流れに負荷をかけることで粗分散液に負荷することができ、例えば、多段降圧器を分散器の下流側に配設することにより、粗分散液に所望の背圧を負荷することができる。
そして、粗分散液の背圧を多段降圧器により多段階で降圧することで、最終的に繊維状炭素ナノ構造体の分散液を大気圧に開放した際に、分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
また、この分散器は、粗分散液を冷却するための熱交換器や冷却液供給機構を備えていてもよい。というのは、分散器でせん断力を与えられて高温になった粗分散液を冷却することにより、粗分散液中で気泡が発生するのをさらに抑制できるからである。
なお、熱交換器等の配設に替えて、粗分散液を予め冷却しておくことでも、繊維状炭素ナノ構造体を含む溶媒中で気泡が発生することを抑制できる。
上記したように、この解砕効果が得られる分散処理では、キャビテーションの発生を抑制できるので、時として懸念されるキャビテーションに起因した繊維状炭素ナノ構造体の損傷、特に、気泡が消滅する際の衝撃波に起因した繊維状炭素ナノ構造体の損傷を抑制することができる。加えて、繊維状炭素ナノ構造体への気泡の付着や、気泡の発生によるエネルギーロスを抑制して、繊維状炭素ナノ構造体を均一かつ効率的に分散させることができる。
以上のような構成を有する分散システムとしては、例えば、製品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)などがある。そして、解砕効果が得られる分散処理は、このような分散システムを用い、分散条件を適切に制御することで、実施することができる。
[溶媒の除去]
分散液から溶媒を除去する方法としては、特に限定されることなく、乾燥やろ過などの既知の溶媒除去方法を用いることができる。中でも、効率的に溶媒を除去する観点からは、溶媒除去方法としては、減圧乾燥、真空乾燥またはろ過を用いることが好ましい。更に、容易かつ迅速に溶媒を除去する観点からは、溶媒除去方法としては、ろ過を用いることが好ましく、減圧ろ過を用いることが更に好ましい。迅速かつ効率的に溶媒を除去すれば、一度分散させた繊維状炭素ナノ構造体が再び凝集するのを抑制し、得られる炭素膜の密度むらを抑制することができる。
ここで、分散液中の溶媒は完全に除去する必要はなく、溶媒の除去後に残った繊維状炭素ナノ構造体が集合体(炭素膜)としてハンドリング可能な状態であれば、多少の溶媒が残留していても問題はない。
[炭素膜の性状]
得られる炭素膜の厚みは、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、また200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましい。炭素膜の厚みが2μm以上であれば、得られる複合体の強度を確保することができる。一方、炭素膜の厚みが200μm以下であれば、めっき液が炭素膜の厚み方向中心部まで容易に浸透し、金属と繊維状炭素ナノ構造体が一層良好に複合化した複合材料を得ることができる。
また、炭素膜の密度は、0.01g/cm3以上であることが好ましく、0.1g/cm3以上であることがより好ましく、0.5g/cm3以上であることが更に好ましく、また、1.8g/cm3以下であることが好ましく、1.5g/cm3以下であることがより好ましく、1.2g/cm3以下であることが更に好ましい。炭素膜の密度が0.01g/cm3以上であれば、得られる複合体の強度を確保することができる。一方、炭素膜の密度が1.8g/cm3以下であれば、めっき液が炭素膜の厚み方向中心部まで容易に浸透し、金属と繊維状炭素ナノ構造体が一層良好に複合化した複合材料を得ることができる。
<工程(B)>
本発明の複合材料の製造方法は工程(B)を含むことを必要とする。そして、工程(B)では、繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜の少なくとも一方の面に表面粗化加工を施す。つまり、炭素膜の片面のみに表面粗化加工を施してもよく、炭素膜の両面に表面粗化加工を施してもよい。また、後述する工程(C)において析出される金属と繊維状炭素ナノ構造体との密着性をより高める観点からは、炭素膜の両面に表面粗化加工を施すことが好ましい。
ここで、表面粗化加工は、炭素膜のごく表面のみを改質し、平滑性を低下させる加工であれば特に制限されることなく、例えば、ドライエッチング処理およびウェットエッチング処理などのエッチング処理が挙げられる。
ドライエッチング処理としては、例えば、ガスをプラズマ化し、化学反応および/または加速したイオン等を用いて表面を化学的および/または物理的に改質するプラズマエッチング処理が挙げられる。また、プラズマエッチング処理以外のドライエッチング処理としては、例えば、強電場中の部分的な絶縁破壊により生じる放電を利用したコロナ放電、紫外線またはガンマ線などを利用したラジカル活性化処理、紫外線照射により生成したオゾンを利用したオゾン処理等が挙げられる。
ここで、プラズマエッチング処理に用いられるプラズマ中の反応種としては、例えば、イオン高速中性粒子、ラジカル中性活性種、ガス等を用いることができる。これらの反応種は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、プラズマエッチング処理は、特に制限されることなく、バレル型プラズマアッシング装置、平行平板型イオンエッチング装置、高密度プラズマエッチング装置、ケミカルドライエッチング装置などの一般的な装置を用いて、任意の条件により行うことができる。
また、ウェットエッチング処理としては、特に限定されることなく、例えば、炭素膜を、既知の溶剤に既知の条件を用いて浸漬および/または噴霧させることにより、表面を化学的に粗化加工する方法が挙げられる。ここで、既知の溶剤としては、例えば、酸またはアルカリ性の溶液、オゾン水などが挙げられる。
上述した処理の中でも、プラズマエッチング処理が好ましい。プラズマエッチング処理を用いれば、例えば、反応種、エッチング装置などの選択により、所望の表面状態に微細加工することが容易だからである。また、プラズマを発生させる際の雰囲気ガスとしては、特に制限されることなく、アルゴンガス、窒素ガス、酸素ガス等が挙げられる。
また、プラズマエッチング処理を行う際の条件は、特に制限されることなく、任意の出力および処理時間を適用することができる。例えば、出力は10W以上200W以下とすることができる。また、処理時間は1分以上60分以下とすることができる。
<工程(C)>
本発明の複合材料の製造方法は、上述の工程(B)に加え、工程(C)を含むことを必要とする。そして、工程(C)では、工程(B)を経て表面が粗化加工された炭素膜にめっき液を用いてめっき処理を行うことにより、当該炭素膜の内部および表面に所望の金属を析出させる。析出された金属と、炭素膜に含まれる繊維状炭素ナノ構造体とは、高い密着性をもって複合化され、良好な複合材料を成す。
ここで、炭素膜に工程(B)および工程(C)を施すことにより金属と繊維状炭素ナノ構造体との密着性が向上する理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、予め炭素膜の少なくとも一方の面に表面粗化加工を施すことにより炭素膜表面に凹凸が発現する。そして、当該凹凸の発現により平滑性が低下した表面を有する炭素膜をめっき液に浸漬させると、炭素膜表面とめっき液中の金属イオンとの接触面積が増大する。従って、炭素膜表面に金属がより析出され易くなる。また、当該凹凸の凹部分を通じて、金属イオンが炭素膜の内部にもより浸透し易くなる。結果として、炭素膜全体にわたって金属を密にかつ良好に析出させることができる。炭素膜全体にわたって密に析出された金属は、析出金属同士および繊維状炭素ナノ構造体と互いに接触する箇所を多く有するため、炭素膜中の繊維状炭素ナノ構造体と析出金属とが高い密着性をもって良好に複合化され得る。
これに対し、炭素膜に表面粗化加工を施すことなく、炭素膜をめっき液に浸漬させた場合、炭素膜表面とめっき液中の金属イオンとの接触面積は小さいままである。また、金属イオンが炭素膜内部に入り込むことを誘導する部分(上記の凹部分に相当)も不十分である。結果として、炭素膜内部における金属の析出が不十分となり、析出金属と繊維状炭素ナノ構造体との接触箇所が比較的少なくなる。従って、表面粗化加工を施さない炭素膜中では、繊維状炭素ナノ構造体と析出金属との密着性に劣る。
ここで、めっき処理は、上述した所定の炭素膜に対してめっき液を用いること以外は特に制限されないが、通常は、上記炭素膜をめっき液に浸漬させることにより行うことができる。また、めっき処理としては、電解めっき処理を行ってもよく、無電解めっき処理を行ってもよい。中でも、電解めっき処理を行って複合材料を得ることが好ましい。
[めっき液]
めっき処理に用いるめっき液は、少なくともめっき可能な金属イオンを含み、
任意に添加剤(ノニオン系界面活性剤や、その他めっき液に一般に添加される添加剤)を更に含む。
[[めっき可能な金属イオン]]
めっき可能な金属イオンとしては、特に限定されることなく、めっき処理可能な金属のイオン、例えば、銅、ニッケル、錫、白金、クロム、亜鉛のイオンなどが挙げられる。これらの中でも、めっき可能な金属イオンとしては、銅イオンが好ましい。銅は、導電性、熱伝導性などに優れており、繊維状炭素ナノ構造体と複合化させれば、優れた性能(例えば、導電性および熱伝導性)を有する複合材料を得ることができるからである。
なお、めっき可能な金属イオンは、特に限定されることなく、例えば硫酸銅五水和物や硫酸ニッケル六水和物などの既知の金属化合物を溶解させることによりめっき液中に導入することができる。また、めっき液中におけるめっき可能な金属イオンの濃度は、特に限定されない。
[[ノニオン系界面活性剤]]
めっき液は、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。ノニオン系界面活性剤を含むめっき液は、ノニオン系界面活性剤が繊維状炭素ナノ構造体との親和性に優れるためと推察されるが、炭素膜内部に容易に浸透することができる。そのため、ノニオン系界面活性剤を含むめっき液を用いれば、金属と繊維状炭素ナノ構造体を一層良好に複合化することができ、複合材料の物性を更に高めることができる。
そして、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエーテル系界面活性剤、アルキルフェノール系界面活性剤、ポリエステル系界面活性剤、ソルビタンエステルエーテル系界面活性剤、アルキルアミン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、複合材料の物性をより一層高める観点からは、ポリエーテル系界面活性剤が好ましい。ポリエーテル系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体が挙げられる。これらの中でもポリエチレングリコールが特に好ましい。なお、ノニオン系界面活性剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤の重量平均分子量は、特に限定されないが、500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることが更に好ましく、また20000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましく、5000以下であることが更に好ましく、4000以下であることが特に好ましい。ノニオン系界面活性剤の重量平均分子量が上述の範囲内であれば、金属と繊維状炭素ナノ構造体を一層良好に複合化することができ、複合材料の物性を更に高めることができる。
なお、ノニオン系界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めることができる。
めっき液中におけるノニオン系界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、5質量ppm以上であることが好ましく、10質量ppm以上であることがより好ましく、50質量ppm以上であることが更に好ましく、また500質量ppm以下であることが好ましく、300質量ppm以下であることがより好ましく、200質量ppm以下であることが更に好ましい。ノニオン系界面活性剤の濃度が上述の範囲内であれば、金属と繊維状炭素ナノ構造体を一層良好に複合化することができ、複合材料の物性を更に高めることができる。
[[その他の添加剤]]
めっき液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外に、光沢レベリング剤、めっき促進剤などの既知の添加剤を含有していてもよい。
光沢レベリング剤としては、特に制限されることなく、例えば、サッカリン、ヤヌスグリーンBなどが挙げられる。また、めっき促進剤としては、例えば、塩化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、ホウ酸、シュウ酸、マロン酸、並びに3,3’−ジチオビス(1−プロパンスルホン酸)2ナトリウムおよびチオ尿素などの硫黄系化合物などが挙げられる。
中でも、光沢レベリング剤としてはヤヌスグリーンBが好ましく、めっき促進剤としては、塩化物イオンおよび3,3’−ジチオビス(1−プロパンスルホン酸)2ナトリウムが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[[めっき液の製造方法]]
めっき液は、上述した成分を水などの既知の溶媒中に溶解または分散させることにより調製することができる。
[めっき処理の方法]
炭素膜にめっき処理を施す方法は、炭素膜の内部にめっき液中の金属イオン由来の金属を析出させ得る方法であれば特に限定されない。例えば、電解めっき処理を行う場合、陰極として、炭素膜のみを使用してもよいし、基板表面にカーボンテープ等を介して炭素膜を接着してなる積層体を使用してもよい。炭素膜内部へのめっき液の浸透を容易として、金属と繊維状炭素ナノ構造体とが複合化した複合材料を効率良く製造する観点からは、炭素膜のみからなる陰極を使用することが好ましい。また、炭素膜の両面に接するように二枚の陰極を配置した状態で電解めっき処理を行うことで、炭素膜の両面から炭素膜の内部にかけて、めっき液中の金属イオン由来の金属を析出させることもできる。
また、陽極としては、特に限定されないが、通常は、銅を使用することができ、含リン銅を使用することが好ましい。
更に、めっき処理としては、上述した通り、電解めっきに限らず、無電解めっきを適用することもできる。また、電解めっきの場合、直流めっきに限定されることはなく、電流反転めっき法やパルスめっき法も採用することができる。なお、めっき処理中、めっき液の分散状態を維持するため、例えばスターラー等でめっき液を撹拌してもよい。
そして炭素膜にめっき処理を行うに際し、めっき液中に炭素膜を浸漬させてからめっき処理を開始(例えば、電解めっき処理の場合においては通電を開始)するまでの待ち時間(めっき処理前待ち時間)を設けるのが好ましい。めっき処理前待ち時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上である。めっき処理前待ち時間が5分以上あれば、炭素膜内部にまで、めっき液の浸透を促すことができる。
さらに、電解めっき処理の場合、通電量は、好ましくは40C以上であり、より好ましくは50C以上である。通電量が40C以上あれば、炭素膜内部まで十分にめっき処理を実施可能である。なおめっき処理時間としては、通常10分以上である。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
なお、実施例において製造した、表面粗化加工された/されない炭素膜の表面観察、および複合材料における金属と繊維状炭素ナノ構造体との密着性の評価は、以下の通り行った。
<炭素膜の表面観察>
表面粗化加工された/されない炭素膜表面における断面の観察は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて行った。具体的には、以下の各実施例および比較例の工程(B)においてプラズマエッチング処理が施された/されない炭素膜を試料とし、当該試料の表面のうちプラズマエッチング処理を施した側の表面の断面図を観察した。なお、加速電圧は2.0kV、倍率は50000倍(実施例)および400倍(比較例)とした。得られたFE−SEM画像を図1〜5に示す。
<金属と繊維状炭素ナノ構造体との密着性>
以下の各実施例および比較例によって製造された複合材料の膜を、手で略直角に5回曲げることにより撓ませた。そして、撓ませた後の当該複合材料の膜の表面を目視観察し、炭素膜から銅めっきが剥がれるか否かを確認した。評価においては、銅めっきの剥がれが観察されない場合に、炭素膜に含まれる繊維状炭素ナノ構造体と銅とが良好な密着性をもって複合化されていると判断した。また、銅めっきの剥がれが観察される場合に、繊維状炭素ナノ構造体と銅との密着性が不十分であり、複合化が良好になされていないと判断した。
(実施例1)
<工程(A)>
[CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体の調製]
CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を、国際公開第2006/011655号の記載に従って、スーパーグロース法により調製した。なお、金属触媒の鉄薄膜層の厚さは2nmとした。
調製された繊維状炭素ナノ構造体を、ラマン分光光度計を用いて測定したところ、単層CNTに特徴的な100〜300cm-1の低波数領域におけるラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。これより、調製された繊維状炭素ナノ構造体は主に単層CNTを含むことが分かった。
また、調製された繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積は1050m2/g(未開口状態)、平均直径(Av)は3.3nmであった。更に、未開口状態におけるtプロットは上に凸な形状を示し、その屈曲点は0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあり、かつ、全比表面積S1と内部比表面積S2との比は0.05≦S2/S1≦0.30を満たしていた。
[分散液の調製]
上述で調製された繊維状炭素ナノ構造体を400mgと、溶媒としてのメチルエチルケトンを2Lとを混合し、ホモジナイザーを用いて2分間撹拌することにより、粗分散液を得た。湿式ジェットミル(株式会社常光製、製品名「JN−20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させることにより、繊維状炭素ナノ構造体をメチルエチルケトンに分散させた。そして、繊維状炭素ナノ構造体を含む、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
なお、得られた分散液の性状を評価したところ、分散液中の繊維状炭素ナノ構造体のメジアン径(平均粒子径)は24.1μmであった。
[炭素膜の準備]
上述で調製された分散液を、ろ紙(桐山社製、製品名「No.5A」)を用いて減圧ろ過することにより、厚みが40μm、密度が0.85g/cm3である、繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜を得た。
<工程(B)>
[炭素膜の表面粗化加工]
上述の工程(A)で準備された炭素膜に対し、プラズマエッチング装置(サムコ社製、製品名「PT−500SH))を用い、プラズマエッチング処理を行った。なお、プラズマ中の雰囲気ガスとしてはアルゴンガスを使用し、温度25℃下、出力50W、処理時間5分の条件とした。
そして、プラズマエッチング処理により表面が粗化加工された炭素膜の表面を、上述の方法を用いて電子顕微鏡観察した。結果画像を図1に示す。図1より、工程(B)を経た炭素膜の表面は粗化されており、凹凸が出現していることが確認された。
<工程(C)>
[めっき処理]
上述の工程(B)で表面粗化加工が施された炭素膜を陰極とし、含リン銅板を陽極とし、以下の組成の銅めっき浴をめっき液として電解めっき処理を行った。そして、当該電解めっきにより炭素膜の内部および表面に銅を電析させることにより、繊維状炭素ナノ構造体および銅を含有する複合材料の膜を製造した。ここで、めっき条件は以下の通りである。
1)めっき液組成(溶媒:水、温度:25℃)
[[基本浴]]
CuSO4・5H2O:0.85M
2SO4:0.55M
[[添加剤]]
ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000):100質量ppm
塩化物イオン(塩酸由来):50質量ppm
3,3’−ジチオビス(1−プロパンスルホン酸)2ナトリウム:2質量ppm
ヤヌスグリーンB:2質量ppm
2)電析条件
電流モード:電流規制法
通電量:108.6C
めっき処理時間:30分
めっき処理前待ち時間:10分
製造された複合材料の膜における、繊維状炭素ナノ構造体と電析した銅との密着性を上述の方法にて確認したところ、当該複合材料の膜を撓ませても銅が剥がれ落ちることがなかった。これより、繊維状炭素ナノ構造体と銅とが、優れた密着性をもって良好に複合化されている様子が確認された。また、当該複合材料は優れた導電性および熱伝導性を示す。
(実施例2)
工程(B)において、プラズマエッチング処理の処理時間を10分に変更した以外は実施例1と同様にして、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体、分散液、炭素膜、表面粗化加工された炭素膜、および膜状の複合材料を製造した。
そして、実施例1と同様の方法で観察、評価した。表面粗化加工された炭素膜の表面断面画像を図2に示す。
図2より、工程(B)を経た炭素膜の表面は粗化されおり、凹凸が出現していることが確認された。
また、製造された複合材料の膜を撓ませても銅が剥がれ落ちることがなかった。これより、繊維状炭素ナノ構造体と銅とが、優れた密着性をもって良好に複合化されている様子が確認された。更に、当該複合材料は優れた導電性および熱伝導性を示す。
(実施例3)
工程(B)において、プラズマエッチング処理の出力を100Wに変更した以外は実施例1と同様にして、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体、分散液、炭素膜、表面粗化加工された炭素膜、および膜状の複合材料を製造した。
そして、実施例1と同様の方法で観察、評価した。表面粗化加工された炭素膜の表面断面画像を図3に示す。
図3より、工程(B)を経た炭素膜の表面は粗化されおり、凹凸が出現していることが確認された。
また、製造された複合材料の膜を撓ませても銅が剥がれ落ちることがなかった。これより、繊維状炭素ナノ構造体と銅とが、優れた密着性をもって良好に複合化されている様子が確認された。更に、当該複合材料は優れた導電性および熱伝導性を示す。
(実施例4)
工程(B)において、プラズマエッチング処理の出力を100W、処理時間を10分に変更した以外は実施例1と同様にして、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体、分散液、炭素膜、表面粗化加工された炭素膜、および膜状の複合材料を製造した。
そして、実施例1と同様の方法で観察、評価した。表面粗化加工された炭素膜の表面断面画像を図4に示す。
図4より、工程(B)を経た炭素膜の表面は粗化されおり、凹凸が出現していることが確認された。
また、製造された複合材料の膜を撓ませても銅が剥がれ落ちることがなかった。これより、繊維状炭素ナノ構造体と銅とが、優れた密着性をもって良好に複合化されている様子が確認された。更に、当該複合材料は優れた導電性および熱伝導性を示す。
(比較例)
工程(B)を経ず、即ち、プラズマエッチング処理による表面粗化加工を施さないで複合材料を製造した以外は実施例1と同様にして、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体、分散液、炭素膜、および膜状の複合材料を製造した。
そして、実施例1と同様の方法で観察、評価した。表面粗化加工がされていない炭素膜の表面断面画像を図5に示す。
図5より、炭素膜の表面は粗化されることなく、実施例1〜4と比較して平滑であることが確認された。
また、製造された複合材料の膜を撓ませたところ、銅が炭素膜から剥がれ落ちてしまった。これより、繊維状炭素ナノ構造体と銅との密着性が低く、複合化が不十分である様子が確認された。
本発明の複合材料の製造方法によれば、金属と繊維状炭素ナノ構造体とを良好な密着性をもって複合化させ、導電性および熱伝導性などの物性に優れた複合材料を製造することができる。

Claims (6)

  1. 繊維状炭素ナノ構造体を含む炭素膜の少なくとも一方の面に表面粗化加工を施す工程(B)と、
    前記表面粗化加工が施された炭素膜に、めっき液を用いてめっき処理を行う工程(C)と、
    を含む、複合材料の製造方法であって、
    前記工程(B)に先んじて、前記繊維状炭素ナノ構造体と溶媒とを含む分散液を用いて前記炭素膜を準備する工程(A)を更に含み、
    前記繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、複合材料の製造方法
  2. 前記表面粗化加工がプラズマエッチング処理である、請求項1に記載の複合材料の製造方法。
  3. 前記炭素膜の密度が0.01g/cm3以上1.8g/cm3以下である、請求項1又は2に記載の複合材料の製造方法。
  4. 前記めっき液がノニオン系界面活性剤を含む、請求項1〜の何れか1項に記載の複合材料の製造方法。
  5. 前記ノニオン系界面活性剤がポリエーテル系界面活性剤である、請求項に記載の複合材料の製造方法。
  6. 前記カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体の比表面積が600m2/g以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の複合材料の製造方法。
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