JP6663500B2 - 植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置 - Google Patents

植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置に関する。
内部環境をコントロールした閉鎖的又は半閉鎖的な空間で植物を計画的に生産するシステムである植物工場では、従来より、温度、肥料、光照射時間、及び、照度等を調整することによって成長制御が行われている。
近年、このような植物工場において、光質を制御することによる植物の育成促進方法が報告されている。
ここで、植物の成長は、赤色の円偏光によって促進されることが知られている。
植物は、様々な光吸収化合物を有しており、植物の成長または有用物化合物の生成の源となっている。光吸収化合物は、キラリティを有しており、右円偏光と左円偏光とで吸収の違いがある円偏光二色性を有しているものが多い。したがって、吸収の良い円偏光を照射することで植物の成長を促進することができる。
例えば、クロロフィルの場合には、660nm付近に吸収ピークがある。したがって、660nm付近の円偏光を照射することで成長を促進できる。
そのため、偏光照射により植物の成長を促進することができる照明装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、発光光源と、発光光源からの入射光の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射する反射型偏光板と、反射型偏光板から反射した光の偏光状態を変化させて反射型偏光板に再度照射させる再照射手段と、反射型偏光板を透過した光を円偏光に変換させる円偏光変換手段とを有する照明装置が記載されている。
また、特許文献2には、対象物に特定の円偏光を選択的に照射するためのシステムであって、光の偏光状態を制御して円偏光を生じさせる偏光状態制御部材と、円偏光反射部材とを含み、円偏光反射部材は、偏光状態制御部材から出射する円偏光が入射できる位置に配置されており、円偏光反射部材は、入射した偏光状態制御部材からの円偏光と同一のセンスの円偏光を選択的に含む反射光を生じさせ、円偏光反射部材は、反射光の少なくとも一部を対象物に照射できるように配置されているシステムが記載されている。
また、特許文献3には、植物栽培用の照明装置であって、300nm以上600nm以下のいずれかの波長域の光を、右円偏光成分を優勢に含む波長域の光に変更する手段を含む照明装置が記載されている。
これら特許文献1〜3には、光源の光を円偏光に変換する部材として、直線偏光板とλ/4板を用いることが記載されている。
特開2012−223163号公報 特開2013−243971号公報 特開2014−000049号公報
しかしながら、赤色光のみを照射すると葉の形などの形態に悪影響を与える場合がある。
植物の成長には、赤色以外の波長の光がないと、形態がくずれるなどするため、赤色光だけで育てるのは好ましくない。そのため、他の波長、例えば、460nm付近の青色光を加えて照射するのが好ましい。したがって、光源から照射される光は、広範囲な波長で照射される。しかしながら、このような広い発光波長帯域にわたって円偏光効率を高めるのは困難である。そのため、従来は、偏光板の反射効率が最も高い波長、及び/または、λ/4板の円偏光率の最も高い波長を、光源の発光波長帯域の中心付近(例えば、550nm付近)とすることで、発光波長帯域全域での円偏光効率を確保しているが十分ではなかった。
本発明は、上記実情に鑑みて、植物の成長に利用される円偏光をより効率よく得られる植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、入射光の第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分を反射する反射型直線偏光板と、反射型直線偏光板を透過した直線偏光を円偏光に変換するλ/4板と、を有し、λ/4板の波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmであることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 反射型直線偏光板と、
反射型直線偏光板を透過した直線偏光を円偏光に変換するλ/4板と、を有し、
λ/4板の波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmである植物成長用積層フィルム。
(2) λ/4板は、順分散波長依存性を示す(1)に記載の植物成長用積層フィルム。
(3) 反射型直線偏光板の波長660nmにおける反射効率が、波長450nmにおける反射効率よりも高い、(1)又は(2)に記載の植物成長用積層フィルム。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の植物成長用積層フィルムと、
発光光源と、を有する植物成長用照明装置。
(5) 植物成長用照明装置の出射光の、波長450nmにおける円偏光度が、波長660nmにおける円偏光度よりも低い(4)に記載の植物成長用照明装置。
本発明によれば、植物の成長に利用される円偏光をより効率よく得られる植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置を提供することができる。
本発明の植物成長用積層フィルムの一例を概念的に示す断面図である。 本発明の植物成長用照明装置の一例を概念的に示す断面図である。
以下、本発明の植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「直交」及び「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」及び「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、「直交」及び「平行」以外で表される角度、例えば、15°や45°等の具体的な角度についても、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、本発明においては、角度は、具体的に示された厳密な角度に対して、±5°未満であることなどを意味し、示された厳密な角度に対する誤差は、±3°以下であるのが好ましく、±1°以下であるのが好ましい。
可視光は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。
またこれに限定されるものではないが、可視光のうち、420nm〜490nmの波長域の光は、青色光であり、495nm〜570nmの波長域の光は、緑色光であり、620nm〜750nmの波長域の光は、赤色光である。
赤外光のうち、近赤外光は780nm〜2500nmの波長域の電磁波である。紫外光は波長10〜380nmの範囲の光である。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び、厚さ方向のレターデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
本明細書において、屈折率Nx、Ny、及び、Nzは、アッベ屈折計(NAR−4T、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定する。また、波長依存性を測定する場合は、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて、干渉フィルタとの組み合わせで測定できる。
また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することもできる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
本発明の植物成長用積層フィルムは、
反射型直線偏光板と、
反射型直線偏光板を透過した直線偏光を円偏光に変換するλ/4板と、を有し、
λ/4板は、λ/4板の波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmである植物成長用積層フィルムである。
また、本発明の植物成長用照明装置は、上記植物成長用積層フィルムと発光光源とを有する。
<植物成長用積層フィルム>
以下に、本発明の植物成長用積層フィルムの好適な実施態様の一例について図面を参照して説明する。
図1に、本発明の植物成長用積層フィルムの一例の概略断面図を示す。
なお、本発明における図は模式図であり、各層の厚みの関係及び位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。以下の図も同様である。
図1に示すように、植物成長用積層フィルム(以下、成長用フィルムともいう)10は、反射型直線偏光板12と、λ/4板14とを有する。
なお、成長用フィルム10は、他の各種の機能層を有していてもよい。例えば、層同士を貼り合わせるための粘着層を有していてもよい。
成長用フィルム10は、反射型直線偏光板12と、λ/4板14とを有することで、反射型直線偏光板12側から入射する光に対して、反射型直線偏光板12が入射光の第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分を反射し、λ/4板14が、反射型直線偏光板12を透過した第1の直線偏光成分を円偏光に変換するものである。
<植物成長用照明装置>
次に、本発明の植物成長用照明装置の好適な実施態様の一例について図面を参照して説明する。
図2に、本発明の植物成長用照明装置の一例の概略断面図を示す。
図2に示すように、植物成長用照明装置(以下、照明装置ともいう)20は、椀状(中空の半球状)の筐体22と、筐体22の内側の表面に配置される反射部材24と、筐体22の内側に配置される発光光源26と、筐体22の開口部に配置される成長用フィルム10とを有する。
また、成長用フィルム10は、反射型直線偏光板12側を発光光源26側に向けて配置される。
また、発光光源26は、筐体22内部の底部に、発光面を筐体22の開口部に向けて配置される。
このような構成を有する照明装置20においては、発光光源26が所定の波長域の光を発し、発光光源26から出射された光が、直接または反射部材24で反射されて成長用フィルム10に入射する。
前述のとおり、成長用フィルム10は、反射型直線偏光板12により入射光の第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分を反射し、λ/4板14により、反射型直線偏光板12を透過した第1の直線偏光成分を円偏光に変換して出射する。
また、反射型直線偏光板12により反射された第2の直線偏光成分は、反射部材24で反射されて再度、反射型直線偏光板12に入射する。その際、第2の直線偏光成分は、反射部材24で反射されることで偏光状態が変化する。そのため、成長用フィルム10は、反射部材24で反射されて再入射した光の一部も円偏光に変換して出射する。すなわち、反射型直線偏光板12により反射された他方の直線偏光成分も、反射部材24で反射することで再利用して利用効率をより高くできる。
ここで、本発明の成長用フィルム10においては、λ/4板14は、波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmである。これにより、照明装置20からの出射光の円偏光度を高くすることができる。
なお、光の右円偏光成分の強度をI、左円偏光成分の強度をIとしたとき、|I−I|/(I+I)を円偏光度と定義する。
光の偏光状態は、右円偏光と左円偏光の和によって表すことができる。例えば、左右の円偏光成分の強度が等しい場合には、その和は直線偏光となり、左右円偏光の位相差によって決まる方位でその電気ベクトルは振動する。右円偏光成分と左円偏光成分の強度が異なる場合には楕円偏光になり、いずれかの成分のみの場合には完全な円偏光となる。
また、円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右偏光であり、反時計回りに回る場合が左偏光である。
また、λ/4板の円偏光への変換効率(以下、円偏光効率ともいう)とは、ある波長の直線偏光をλ/4板に入射した際の出射光の円偏光度と定義する。
したがって、出射光が右円偏光成分100%、あるいは、左円偏光成分100%の場合には、出射光の円偏光度が100%であり、λ/4板の円偏光効率も100%である。一方、出射光が右円偏光成分50%で左円偏光成分50%の場合には、出射光の円偏光度は、0%であり、λ/4板の円偏光効率も0%である。
一般に、λ/4板等の波長板では、複屈折光の位相差が波長ごとに異なり、λ/4板として機能しうる波長が特定のものに限られる。すなわち、例えば、波長が550nmの光に対してλ/4板として機能するものの場合、波長が450nm及び660nmの光に対しては完全なλ/4板として機能せず、出射光は楕円偏光となる。言い換えると、波長550nmの光に対して円偏光効率が最も高いものとした場合には、波長が450nm及び660nmの光に対しては、円偏光効率が低くなる。
ここで、前述のとおり、植物の成長は、赤色の円偏光(例えば、波長660nmの円偏光)によって促進されるが、赤色光のみを照射すると葉の形などの形態に悪影響を与える場合がある。そのため、他の波長、例えば、460nm付近の青色光を加えて照射するのが好ましい。したがって、光源から照射される光は、広範囲な波長で照射される。しかしながら、このような広い発光波長帯域にわたって円偏光効率を高めるのは困難である。そのため、従来は、λ/4板の効率のピーク波長(すなわち、円偏光効率が最も高くなる波長)を、光源の発光波長帯域の中心付近、例えば、550nmとすることで、発光波長帯域全域での円偏光効率を確保しているが、十分ではなかった。
これに対して、本発明においては、λ/4板の波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmであるので、λ/4板の円偏光効率を660nm付近で最も高くすることができ、これにより、照明装置の出射光の赤色の円偏光の割合をより多くすることができ、植物の成長に利用される円偏光をより効率よく得ることができる。
なお、光源から出射された光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計又はスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がI、左円偏光板を通して測定した光の強度がIに相当する。また、白熱電球、水銀灯、蛍光灯、LED(light emitting diode)等の通常光源は、ほぼ自然光を発しているが、これらの光源から出射され成長用フィルムを通過して得られた光の特性(偏光の状態)は、例えば、AXOMETRICS社製の偏光位相差解析装置AxoScanなどを用いて測定することができる。
ここで、λ/4板14の波長660nmにおける面内レターデーションは、165±40nmであるのが好ましく、165±30nmであるのがより好ましく、165±20nmであるのがさらに好ましく、165±10nmが特に好ましい。
この範囲とすることで、λ/4板14に対して斜め方向から光が入射した場合、例えば、λ/4板14の主面に対する垂線に20°〜40°の方向から光が入射した場合に、斜め方向から入射する光に関して、波長660nm付近で円偏光効率が最も高くなり好ましい。
また、照明装置の出射光の、波長450nmにおける円偏光度が、波長660nmにおける円偏光度よりも低いことが好ましい。
また、λ/4板14は、順分散波長依存性を示しても、逆分散波長依存性を示してもよいが、順分散波長依存性を示すことが好ましい。
λ/4板14が順分散波長依存性を示し、波長660nmでの円偏光効率が最も高くなる構成とした場合には、波長450nm付近の領域では波長660nmでの円偏光のセンスとは逆のセンスの円偏光成分が多く含まれる。
<反射型直線偏光板>
反射型直線偏光板12は、入射光の第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分を反射する手段である。
反射型直線偏光板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)全反射型偏光子、(2)複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、(3)ワイヤーグリッド型偏光子、(4)薄膜型偏光子、(5)複屈折型偏光子などが挙げられる。これらの中でも、(2)複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、(3)ワイヤーグリッド型偏光子が、円偏光照明装置の大きさを小さくできる点で特に好ましい。
また、反射型直線偏光板は、波長450nmの光に対する反射効率よりも波長660nmの光に対する反射効率が高いのが好ましい。
これにより、赤色光の偏光状態をより高い精度で選別することができ、赤色光の円偏光への変換効率をより高くすることができる。
ここで、反射型直線偏光板の反射効率とは、『(第1の直線偏光成分の強度−第2の直線偏光成分の強度)/全光の強度』である。
−(1)全反射型偏光子−
全反射型偏光子は、光学軸を持つ結晶(屈折率の軸特性)を組み合わせて作製することで入射偏光方向によって全反射を起こすことにより偏光方向を決定する偏光子であり、非常に高い偏光特性を示す。
全反射型偏光子としては、例えば、グラントムソンプリズム、グランテーラープリズムなどが挙げられる。
グラントムソンプリズムは、方解石製の偏光プリズムで、非偏光のビームを入射すると直線偏光が得られる偏光子である。
グランテーラープリズムは、方解石製の偏光プリズムで、非偏光のビームを入射すると直線偏光が得られる偏光子であり、短波長において良好な透過率を示す。
−(2)複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子−
複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、例えば、特表平9−506837号公報などに記載されたものを用いることができる。
具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光子を形成できる。一般に、第一の材料の一つが、選ばれた方向において、第二の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、又はフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。更に、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
好ましい組み合わせとしては、第一の材料として結晶性又は半結晶性有機ポリマー、第二の材料として有機ポリマーが挙げられる。第二の材料は、結晶性、半結晶性、もしくは非晶質であってよく、又は第一の材料とは逆の複屈折を有していてもよい。
好ましい材料の具体例としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、又は2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、又はポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、又はポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、アセチルセルロースブチレート、又は硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、又はポリ(4-メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、又はポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン、又はポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、又はネオプレン)、ポリウレタンなどが挙げられる。
コポリマーとしては、例えば、PENのコポリマー[例えば、(a)テレフタル酸又はそのエステル、(b)イソフタル酸又はそのエステル、(c)フタル酸又はそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステルとのコポリマー]、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー[例えば、(a)ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル、(b)イソフタル酸又はそのエステル、(c)フタル酸又はそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と、テレフタル酸又はそのエステルとのコポリマー]、並びにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、又はスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4−ビ安息香酸、エチレングリコール、或いは各層はそれぞれ、2種又はそれ以上の上記のポリマー又はコポリマーのブレンド(例えば、SPSとアタクチックポリスチレンとのブレンド)を包含してよい。
偏光子の場合、特に好ましい層の組み合わせとしては、PEN/co−PEN、ポリエチレンテレフタレート(PET)/コ−PEN、PEN/SPS、PET/SPS、PEN/イーストエアー(Eastair)、PET/イーストエアーが挙げられる。
ここで、「co−PEN」とは、ナフタレンジカルボン酸をベースとするコポリマー又はブレンドを意味する。「イーストエアー」は、イーストマン・ケミカル・カンパニーから市販されているポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである。
積層数は、経済上の理由から、最小の積層数を用いて所望の光学特性を達成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、偏光子の場合には、10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、2,000以下が更に好ましい。
複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、3M社製の商品名:DBEFなどが挙げられる。
−(3)ワイヤーグリッド型偏光子−
ワイヤーグリッド型偏光子は、金属細線の複屈折によって、偏光の一方を透過し、他方を反射させる偏光子である。
ワイヤーグリッド偏光子は、金属ワイヤーを周期的に配列したもので、テラヘルツ波帯域で主に偏光子として用いられる。ワイヤーグリッドが偏光子として機能するためには、ワイヤー間隔が入射電磁波の波長よりも十分小さいことが必要となる。
ワイヤーグリッド偏光子では、金属ワイヤーが等間隔に配列されている。金属ワイヤーの長手方向と平行な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子において反射され、垂直な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子を透過する。
ワイヤーグリッド型偏光子としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、エドモンドオプティクス社製のワイヤーグリッド偏光フィルタ50×50、NT46−636などが挙げられる。
−(4)薄膜型偏光子−
薄型偏光子は、誘電体薄膜の反射率の入射角度依存性(ブリュースター角)によるものであり、対パワー性が高く大きい面積のものが製造でき、ハイパワーレーザ装置などに用いられる。
薄型偏光子は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層してなるものが挙げられる。積層数は、2層〜20層が好ましく、2層〜12層がより好ましい。
高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、例えば、Sb、Sb、Bi、CeO、CeF、HfO、La、Nd、Pr11、Sc、SiO、Ta、TiO、TlCl、Y、ZnSe、ZnS、ZrO、などが挙げられる。これらの中でも、Bi、CeO、CeF、HfO、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOが好ましく、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOが特に好ましい。
低屈折率の誘電体薄膜の材料としては、例えば、Al、BiF、CaF、LaF、PbCl、PbF、LiF、MgF、MgO、NdF、SiO、Si、NaF、ThO、ThF、などが挙げられる。これらの中でも、Al、BiF、CaF、MgF、MgO、SiO、Siが好ましく、Al、CaF、MgF、MgO、SiO、Siが特に好ましい。
なお、誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
誘電体薄膜の成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましく、スパッタリング法が特に好ましい。
スパッタリング法としては、成膜レートの高いDC(直流)スパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
薄型偏光子としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、TFPシリーズ(メレスグリオ社製)などが挙げられる。
−(5)複屈折型偏光子−
複屈折型偏光子は、複屈折結晶の光学軸に角度を持って入射することにより出射方向の異なるデバイスであり、光通信に用いられている。複屈折型偏光子としては、例えば、ウォラストンプリズムなどが挙げられる。
ウォラストンプリズムは、方解石のような複屈折性のある結晶を2つ、結晶軸をずらして貼り合せたものである。このプリズムが、光の偏光性に基づく屈折率の差異によって光を分割することができる。
<λ/4板>
λ/4板としては、波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜などが挙げられる。
ここで、λ/4板(λ/4機能を有する板)とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。より具体的には、所定の波長λnmにおける面内レターデーション値がRe(λ)=λ/4(または、この奇数倍)を示す板である。すなわち、本発明においては、660nm付近の波長において、上記式が達成されるものである。したがって、本発明におけるλ/4板は、660nm付近の波長の直線偏光を、より高い効率で円偏光に変換することができる。
λ/4板としては、例えば、(1)特開平5−27118号公報、及び特開平5−27119号公報に記載された、レターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折性フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、(2)特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4波長となっているポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2波長となっているポリマーフィルムとを積層させた位相差板、(2)特開平10−90521号公報に記載された、二枚のポリマーフィルムを積層することによりλ/4波長を達成できる位相差板、(3)国際公開第2000/26705号パンフレットに記載された変性ポリカーボネートフィルムを用いたλ/4波長を達成できる位相差板、(4)国際公開第2000/65384号パンフレットに記載されたセルロースアセテートフィルムを用いたλ/4波長を達成できる位相差板、などが挙げられる。
また、λ/4板は、液晶化合物を用いて形成されたものであってもよい。より具体的には、重合性基を有する液晶化合物を配向させ、硬化させ、配向状態を固定してなるλ/4板であってもよい。
ここで、λ/4板の面内レターデーションの調整方法には限定はない。例えば、配向度合、Δn、および、厚さ等を調整することにより、λ/4板の面内レターデーションを調整することができる。
λ/4板14と反射型直線偏光板12とは、反射型直線偏光板12の偏光吸収軸に対してλ/4板14の遅相軸が45±10度となるように貼り合せられることが好ましい。貼り合せ方法としては、例えば、粘着フィルムを用いてロール同士のラミネーションを行う方法、などが挙げられる。
<発光光源>
発光光源26としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光ランプ、LED、水銀灯等の放電ランプ、タングステンランプ、レーザーライト、有機発光ダイオード(OLED)ランプ、メタルハライドランプ(メタハラ)、キセノンランプ、などが挙げられる。これらの中でも、効率性の観点からLEDが特に好ましい。
発光によって得られた波長の光をそのまま用いてもよく、蛍光体によって変換された光を用いてもよい。
なお、本発明においては、植物の成長に効率の高い波長を発光するLEDを用いるのが好ましい。具体的には、波長エネルギーのピーク波長が、波長400nm〜500nmの範囲と、波長600nm〜700nmの範囲にある光源を用いるのが好ましく、460nm付近と660nm付近のいずれか又は両方の波長のエネルギーが高い光源を用いることが好ましい。また、例えば、460nm付近の波長のエネルギーが高い光源と、660nm付近の波長のエネルギーが高い光源とを組み合わせて用いてもよい。
<筐体及び反射部材>
筐体としては限定はなく、公知の照明装置において光源用の筐体として用いられている筐体が各種利用可能である。
また、反射部材としては限定はなく、公知の照明装置において、筐体の内側に設けられる反射部材が各種利用可能である。
<その他の部材>
本発明の照明装置は、その他の部材として、更に必要に応じて、熱線遮蔽層、反射層、熱線透過層、熱伝導性材料、偏光解消抑制壁などを有することができる。
<用途>
本発明の照明装置は、高い光量の赤色光の右円偏光成分を照射することで、植物の成長を促進することができると共に、青色光を照射することで、葉の形などの形態に悪影響を与えることを防止できる。
ここで、本発明の照明装置に関するメカニズムについては、以下のように推定している。
植物の花芽形成促進、抑制、成長制御等に関わるフィトクロム、クリプトクロム、フォトトロピン、ZTL(ZEITLUPE)などの光受容体に含まれる発色団のフィトクロモビン、フラビンは光学活性化合物であるため、光吸収波長領域近傍において円偏光に対する吸収二色性を有する。つまり、光受容体が吸収する光は左右いずれかの円偏光であり、もう一方のセンスの円偏光はそれと比較して吸収されにくいために、これを照射しても光受容体の機能を誘起することが難しい。そのため左右それぞれの円偏光のみの照射する場合、成長が異なる現象が生じるものと推定している。ただ、これらの吸収二色性は実験室レベルでの溶液系で確認できる現象であって、実際には発色団に偏光がいたるまでに細胞内の物質による散乱のため偏光状態がくずされ、前述のような現象は見られないと考えることが一般的である。しかし、驚いたことに、本発明においては、これらが存在する葉又は茎の中においても、照射光の偏光状態に応じて植物の成長が制御可能であることが分かった。
植物の光周性に関わるフィトクロムの場合、660nm付近に吸収極大を有する赤色光吸収型と750nm付近に吸収極大を有する遠赤色光吸収型があり、660nm付近の光照射で赤色光吸収型が遠赤色光吸収型に転換される。一方、750nm付近の光照射で赤遠色光吸収型が赤色光吸収型に転換される。更に、暗状態経時によっても赤遠色光吸収型の赤色光吸収型への転換が進む。これらの反応によって生じた赤遠色光吸収型の量が植物の開花時期を制御している。この反応を人工的に制御することで、例えば菊の栽培で行われているような夜間照明などで開花時期を制御することが可能である。この照明として本発明の照明装置のフィトクロムの吸収波長領域でのみフィトクロムが吸収する右円偏光を照射する光源を用いた場合、電照の効果を落とさずに必要な消費電力押さえることが可能となる。
地球上には、さまざまな植物があり幾種類もの発色団が存在するので植物、制御目的に応じて円偏光波長帯域、センスを変えることが重要である。当然、ある波長では右円偏光を、別な波長帯域では左円偏光をというように別々なセンスの円偏光を同時に照射することが好ましい場合もあり、その目的にも本発明の照明装置は使用することができる。
本発明の照明装置は、休眠、発芽、成苗、細胞伸長期間、花芽分化などの植物の成長過程の時期に応じて偏光変換波長帯域を、成長用フィルムを交換することによって使い分けることができる。また日周の時期に応じて照射のタイミング、又は光強度、偏光状態を調節することもできる。更にパルス的な発光を用いたり、照射する植物の部位に応じて、異なる偏光状態での照射をするなどの使い分けをすることができる。また、植物工場において、本発明の照明装置による光照射と湿度、温度、ガス濃度の制御と組み合わせてもよい。
(植物の成長制御方法)
本発明の照明装置を植物の成長制御方法に応用することができる。
植物の成長制御方法には、植物の成長促進と植物の成長抑制とがある。
植物の成長促進には、草丈、茎長、節間等の伸長による植物体の増大、側枝の長さの増大等を意味する。
植物の成長促進作用により、農作物の重量や丈を早く大きくできるため生産性が上がる。また、大きな農作物を作りやすくなる。また育種において、早く成熟するため、世代交代の回数をかせげるという利点がある。
植物の成長抑制には、草丈、茎長、節間等の伸長の抑制による植物体の矮化、側枝の長さの抑制等を意味する。また、矮化とは、植物の茎、枝が太く、頑丈になり、風、雨等の自然の悪条件に対して強くなるとともに、単位面積当たりの葉緑素、ビタミン等の栄養素量が増加することを意味する。
植物の成長抑制作用により、背丈が低いことは、台風などの風害に強い、穀粒が増えても倒れにくいといった利点がある。例えば、イネの場合、苗を植える列数を増やせるために、単位面積当たりの植苗密度をより大きくすることができる。高さが数メートルになる果樹(バナナ、マンゴなど)、ヤシの木(ナツメヤシ、ココナツなど)に適用すると果実の収穫作業が容易になる。また通常より小さいということは、切花、観葉植物、盆栽植物における商品価値があがる、購買者の興味を引く、などの利点がある。
植物の成長制御方法においては、照射のタイミング調節(日周、成長過程(休眠、発芽、成苗、細胞伸長期間とか))、パルス照明、偏光変換波長帯域を日周、成長過程によって変えることが好ましい。植物及び目的に応じて照射のタイミング調節、パルス照明、偏光変換波長帯域を変える。部分的に照射する。更には、湿度、温度、ガス濃度、照度、照射時間の制御と組み合わせてもよい。
具体的には、日長による花芽形成、回帰反応、葉緑体運動、間隙開放、フラボノイド生合性、植物病害防除(UVを当てて病気に対する耐性を上げる方法)でも片方の効く円偏光照射でUVダメージを低減させることができる。
また、光屈曲、遺伝子転写のオン、オフ、遺伝子発現の制御、二次代謝物の制御(栄養成分、芳香成分、うまみ、抗酸化物質、薬効成分)、ストレスを与える、DNA光修復性、青色光バイオスイッチなどが挙げられる。
−対象植物−
植物の成長制御方法に用いられる対象植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウリ科、ナス科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、アカザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショウガ科、スイレン科、サトイモ科の野菜、キク科、バラ科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ科、リンドウ科、ボマノハグサ科、マメ科、ボタン科、アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、リュウゼツラン科、ミズキ科、アカネ科、ヤナギ科、ツツジ科、モクセイ科、モクレン科、サクラソウ科、シュウカイドウ科、シソ科、フウロソウ科、ベンケイソウ科、キンポウゲ科、イワタバコ科、サボテン科、シダ類、ウコギ科、クワ科、ツユクサ科、パイナップル科、クズウコン科、トウダイクサ科、コショウ科、タカトウダイ科、ユキノシタ科、アカバナ科、アオイ科、フトモモ科、ツバキ科、オシロイバナ科の切り花類、あるいは鉢物類の花卉、バラ科、ブドウ科、クワ科、カキノキ科、ツツジ科、アケビ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミカン科、ウルシ科、パイナップル科、フトモモ科の果樹、藻類などが挙げられる。
更に詳しく例示すると、キュウリ、メロン、カボチャ、ニガウリ、ズッキーニ、スイカ、シロウリ、トウガン、ヘチマ、キンシウリ、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス、ペピーノ、シシトウ、エンドウ、インゲンマメ、ササゲ、エダマメ、ソラマメ、シカクマメ、サヤエンンドウ、サヤインゲン、フジマメ、イチゴ、トウモロコシ、オクラ、ブロッコリー、カイワレダイコン、クレソン、コマツナ、ツケナ、レタス、フキ、シュンギク、食用ギク、セルリー、パセリー、ミツバ、セリ、ネギ、ワケギ、ニラ、アスパラガス、ホウレンソウ、オカヒジキ、ウド、シソ、ショウガ、ダイコン、カブ、ワサビ、ラディシュ、ルタバカ、コカブ、ニンニク、ラッキョウ、レンコン、サトイモ等の野菜;アスター、ローダンセ、アザミ、ナデシコ、ストック、ハナナ、スターチス、トルコキキョウ、キンギョソウ、スィートピー、ハナショウブ、キク、リアトリス、ガーベラ、マーガレット、ミヤコワスレ、シャスターデージー、カーネーション、シュツコンカスミソウ、リンドウ、シャクヤク、ホウズキ、リオン、ダリア、カラー、グラジオラス、アイリス、フリージア、チューリップ、スイセン、アマリリス、シンビジューム、ドラセナ、バラ、ボケ、サクラ、モモ、ウメ、コデマリ、キイチゴ、ナナカマド、ミズキ、サンシュ、サンダンカ、ブルバディア、ヤナギ、ツツジ類、レンギョウ、モクレン、シラネリア、ディモルホセカ、プリムラ、ペチュニア、ベゴニア、リンドウ、コリウス、ゼラニュウム、ペラルゴニューム、ロケヤ、アンスリューム、クレマチス、スズラン、セントポーリア、シクラメン、ラナンキュラス、グロキシニア、デンドロビューム、カトレア、ファレノプシス、バンダ、エビデンドラム、オンシジウム、シャコバサボテン、カニバサボテン、クジャクサボテン、カランコエ、ネフロレピス、アジアンタム、タニワタリ、ポトス、ディフェンバキヤ、スパティフラム、シンゴニューム、オリヅルラン、シエフレラ、ヘデラ、ゴムノキ、ドラセナ、コルジリネ、ブライダルベール、アナナス類、カラテヤ、クロトン、ペペロミヤ、ポインセチア、ハイドランジア、フクシア、ハイビスカス、ガーデニア、ギョリュウバイ、ツバキ、ブーゲンビレア、ボタン等の花卉;ニホンナシ、モモ、オウトウ、スモモ、リンゴ、プルーン、ネクタリン、アンズ、ラズベリー、ウメ、ブドウ、イチジク、カキ、ブルーベリー、アケビ、キウィフルーツ、パッションフルーツ、ビワ、ウンシュウミカン、マーコレット、レモン、ユズ、仏手柑、ハッサク、ブンタン、花ユズ、キンカン、セミノール、イヨカン、ネーブルオレンジ、アンコール、ノバ、日向夏、ライム、スダチ、カボス、晩白柚、タンカン、マンゴー、パインアップル、グアバ等の果樹;又は藻類などが挙げられる。
これらの中でも、葉物野菜、アブラナ科ツケナ類のコマツナ(小松菜)が特に好ましい。
以上、本発明の植物成長用積層フィルム及び植物成長用照明装置について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
実施例1として、図2に示すような照明装置20を作製した。
(反射型直線偏光板)
反射型直線偏光板としては、高分子多層膜構造を有する反射偏光子を用いた。
この反射型直線偏光板の反射効率が最も高くなる波長は、660nmである。
(λ/4板)
λ/4板としては、市販のエドモンド社製:ポリマー位相差フィルム#88-252を用いた。
このλ/4板の660nmにおける面内レタデーションを測定したところ、150nmであった。
(植物成長用積層フィルム)
反射型直線偏光板と、λ/4板とを、偏光子の透過軸とλ/4板の遅相軸が45度になるように貼り合わせて、植物成長用積層フィルムを作製した。
(植物成長用照明装置)
発光光源(ならびに筐体及び反射部材)として市販の拡散反射板付き白色LEDランプ(Beautiful Light Technology Corporation製、PAR30)を用いて、この白色LEDランプの放射面に植物成長用積層フィルムを配置して植物成長用照明装置を作製した。
なお、植物成長用積層フィルムの反射型直線偏光板側を白色LEDランプの放射面に対面させて配置した。
白色LEDランプの赤色領域におけるピーク波長は660nmであり、青色領域におけるピーク波長は460nmであった。
[実施例2〜4、比較例1〜2]
反射型直線偏光板の反射効率が最も高くなる波長、λ/4板の660nmにおける面内レタデーション、偏光子の透過軸とλ/4板の遅相軸のなす角度をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして植物成長用照明装置を作製した。
なお、表1において、反射型直線偏光板の反射効率が最も高くなる波長を「偏光板ピーク波長」と表し、λ/4板の面内レタデーションを「波長板レタデーション」と表し、偏光子の透過軸とλ/4板の遅相軸のなす角度を「遅相軸の角度」と表す。
<評価>
作製した実施例及び比較例の照明装置について、出射光の円偏光度及び植物の成長促進効果を評価した。
(円偏光度)
照明装置から出射された光の各波長ごとの偏光状態を、AXOMETRICS社製の偏光位相差解析装置AxoScanを用いて測定した。
出射光の波長660nmにおける円偏光度、及び、波長450nmにおける円偏光度とを表1に示す。
(植物成長促進効果)
作製した各照明装置を用い、照明装置からの出射光を38日間連続照射して小松菜を栽培し、その後、小松菜の重量を測定し、照射前から増加した重量を求め、下記基準で成長促進効果の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1での植物の重量増加に対して、20%以上の重量増加を示した場合を「成長促進効果あり」、0%以上20%未満の重量増加を示した場合を「成長促進効果なし」と評価した。
表1に示すように、本発明である実施例1〜4の照明装置を用いた場合には、植物の成長促進効果が高くなっていることがわかる。
以上より本発明の効果は明らかである。
10 植物成長用積層フィルム
12 反射型直線偏光板
14 λ/4板
20 植物成長用照明装置
22 筐体
24 反射部材
26 発光光源

Claims (5)

  1. 反射型直線偏光板と、
    前記反射型直線偏光板を透過した直線偏光を円偏光に変換するλ/4板と、を有し、
    前記λ/4板の波長660nmにおける面内レターデーションが165±40nmである植物成長用積層フィルム。
  2. 前記λ/4板は、順分散波長依存性を示す請求項1に記載の植物成長用積層フィルム。
  3. 前記反射型直線偏光板の波長660nmにおける反射効率が、波長450nmにおける反射効率よりも高い、請求項1又は2に記載の植物成長用積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物成長用積層フィルムと、
    発光光源と、を有する植物成長用照明装置。
  5. 前記植物成長用照明装置の出射光の、波長450nmにおける円偏光度が、波長660nmにおける円偏光度よりも低い請求項4に記載の植物成長用照明装置。
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