JP6663222B2 - 撮像レンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特に車載カメラに好適な撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
近年、車にカメラを搭載し、ドライバーの側方および/または後方等の死角領域の確認補助に用いたり、車両周辺の車、歩行者、および/または障害物等の画像認識に用いるようになってきている。この内、自動車の衝突防止および/または自動ブレーキ用途でのフロントセンシング用カメラは、主に自動車の正面遠方の信号機および/または前方を走行する自動車のブレーキランプを撮像し、画像識別ソフトウエアにて信号機および/またはブレーキランプ等を検出するために用いられる。このような車載カメラに使用可能な撮像レンズとしては、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1では、6枚構成のレンズ系が開示されている。
特開2014−85559号公報
上記のようなフロントセンシング用カメラは車内のフロントガラス近傍に設置される場合が多いが、特に夏場に車を停止させた状態では温室効果により車外に比べ車内の方が劇的に温度が高くなる傾向があるため、車外にカメラを設置する場合と比較して温度変動に起因するピントずれが大きくなるおそれがある。
従来、車載カメラ用の撮像レンズでは、黄変および/または傷対策のために最も物体側(1枚目)のレンズはガラス製とし、2枚目以降のレンズはコスト低減のため樹脂製とすることが一般的であった。また車載カメラ用の撮像レンズではある程度の広角性能が要求されるため、物体側から1枚目ないしは2枚目までのレンズにある程度の負のパワーを持たす必要があるが、温度変動に起因するピントずれの対策として、温度変動に起因する変形が小さいガラス製の1枚目のレンズのパワーを強くし、温度変動に起因する変形が大きい樹脂製の2枚目のレンズのパワーを弱くすることが一般的であった。
しかしながら、上記のフロントセンシング用カメラでは、閉空間である車内に設置されるとともに、1枚目のレンズには日光が直接当たることになるため、たとえ1枚目のレンズをガラス製としてもパワーが強いために温度変動に起因するピントずれが大きくなってしまうおそれがあった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、温度変動に起因するピントずれが小さい撮像レンズおよびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、正の屈折力を有する第5レンズと、負の屈折力を有する第6レンズとから実質的になり、下記条件式(1)〜(4)を満足することを特徴とするものである。
−0.89<f/f12<−0.53 …(1)
−0.19<f/f1<−0.1 …(2)
−0.70<f/f2<−0.45 …(3)
2.4<f1/f2<5.7 …(4)
ただし、
f:全系の焦点距離
f12:第1レンズと第2レンズの合成焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
とする。
本発明の撮像レンズにおいては、上記条件式(1)〜(4)を満足した上で、下記条件式(1−1)〜(4−1)のいずれか1つあるいは複数の組合せを満足することが好ましい。
−0.81<f/f12<−0.61 …(1−1)
−0.17<f/f1<−0.11 …(2−1)
−0.64<f/f2<−0.47 …(3−1)
2.7<f1/f2<5.2 …(4−1)
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明の撮像レンズを備えたことを特徴とするものである。
なお、上記「〜から実質的になる」とは、構成要素として挙げたもの以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、絞りやマスクやカバーガラスやフィルタ等のレンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および/または手ぶれ補正機構等の機構部分等を含んでもよいことを意図するものである。
また、上記のレンズの面形状、曲率半径、および/または屈折力の符号は、非球面が含まれている場合は近軸領域で考えるものとする。
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、正の屈折力を有する第5レンズと、負の屈折力を有する第6レンズとから実質的になり、下記条件式(1)〜(4)を満足するものとしたので、温度変動に起因するピントずれが小さい撮像レンズとすることが可能となる。
−0.89<f/f12<−0.53 …(1)
−0.19<f/f1<−0.1 …(2)
−0.70<f/f2<−0.45 …(3)
2.4<f1/f2<5.7 …(4)
また、本発明の撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えているため、広い温度範囲で適切に撮影を行うことができる。
本発明の一実施形態にかかる撮像レンズ(実施例1と共通)のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例2の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例3の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例1の撮像レンズの各収差図 本発明の実施例2の撮像レンズの各収差図 本発明の実施例3の撮像レンズの各収差図 本発明の一実施形態にかかる撮像装置の概略構成図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図である。図1に示す構成例は、後述の実施例1の撮像レンズの構成と共通である。図1は、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさおよび/または形状を表すものではなく、光軸Z上の絞りの位置を示すものである。また、軸上光束waおよび最大画角の光束wbも合わせて示している。
図1に示すように、この撮像レンズは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する第1レンズL1と、負の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、正の屈折力を有する第4レンズL4と、正の屈折力を有する第5レンズL5と、負の屈折力を有する第6レンズL6とから実質的に構成されている。
このように、第1レンズL1の物体側の面を凸面にすることで、広角のレンズにおいても周辺部の歪曲収差の補正が容易となる。
また、最も物体側から順に配置された2枚のレンズである第1レンズL1と第2レンズL2をともに負レンズとすることで、レンズ系全体を広角化することが容易となる。
また、上記第1レンズL1および第2レンズL2に続いて配置される第3レンズL3を正レンズとすることで、像面湾曲を良好に補正することが可能となる。
また、この撮像レンズは、下記条件式(1)〜(4)を満足するように構成されている。
まず、条件式(1)について説明する。条件式(1)の上限以上とならないようにすることで、第1レンズL1と第2レンズL2の負の合成屈折力が弱くなり過ぎるのを抑えることができるため、広角化の達成に寄与する。条件式(1)の下限以下とならないようにすることで、第1レンズL1と第2レンズL2の負の合成屈折力が強くなり過ぎるのを抑えることができ、結果としてこれらレンズの各面の曲率半径の絶対値が小さくなりすぎるのを抑えることができるため、高次収差の発生を抑えることができる。
次に、条件式(2)〜(4)について説明する。この条件式(2)〜(4)を満足するように、第1レンズL1および第2レンズL2について広角化に必要な負のパワーを持たせつつ、最も温度変動の大きい第1レンズL1のパワーを比較的弱めにし、第1レンズL1よりは温度変動が少ない第2レンズL2のパワーを比較的強めにすることで、レンズ系全体の温度変動に起因するピントずれを低減させることが可能となる。
特に、条件式(2)の上限以上とならないようにすることで、広角化が容易となる。条件式(2)の下限以下とならないようにすることで、第1レンズL1で光線を緩やかに曲げることになるため、ディストーションの補正が容易となる。
また、条件式(3)の上限以上とならないようにすることで、広角化が容易となる。
条件式(3)の下限以下とならないようにすることで、第2レンズL2で光線を緩やかに曲げることになるため、ディストーションの補正が容易となる。
また、条件式(4)の上限以上とならないようにすることで、広い画角から入射する光線を段階的に屈折させることができるため、高次収差の発生を抑えることができる。条件式(4)の下限以下とならないようにすることで、倍率色収差の補正が容易となる。
−0.89<f/f12<−0.53 …(1)
−0.19<f/f1<−0.1 …(2)
−0.70<f/f2<−0.45 …(3)
2.4<f1/f2<5.7 …(4)
ただし、
f:全系の焦点距離
f12:第1レンズと第2レンズの合成焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
f2:第2レンズの焦点距離
とする。
なお、上記条件式(1)〜(4)を満足した上で、下記条件式(1−1)〜(4−1)のいずれか1つあるいは複数の組合せを満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
−0.81<f/f12<−0.61 …(1−1)
−0.17<f/f1<−0.11 …(2−1)
−0.64<f/f2<−0.47 …(3−1)
2.7<f1/f2<5.2 …(4−1)
本撮像レンズが厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コートを施すようにしてもよい。
また、この撮像レンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、レンズ系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、および/または赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置してもよい。なお、これらの各種フィルタをレンズ系と像面Simとの間に配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよいし、いずれかのレンズのレンズ面に各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
次に、本発明の撮像レンズの数値実施例について説明する。
まず、実施例1の撮像レンズについて説明する。実施例1の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図1に示す。なお、図1および後述の実施例2〜3に対応した図2〜3においては、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさおよび/または形状を表すものではなく、光軸Z上の絞りの位置を示すものである。
実施例1の撮像レンズの基本レンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に、非球面係数に関するデータを表3に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜3についても基本的に同様である。
表1のレンズデータにおいて、面番号の欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加する面番号を示し、曲率半径の欄には各面の曲率半径を示し、面間隔の欄には各面とその次の面との光軸Z上の間隔を示す。また、nの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数を示す。
ここで、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りStも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(絞り)という語句を記載している。
表2の諸元に関するデータに、全系の焦点距離f´、バックフォーカスBf´、F値FNo.、および全画角2ωの値を示す。
基本レンズデータおよび諸元に関するデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
表1のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表3の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号と、これら非球面に関する非球面係数を示す。非球面係数は、下記式で表される非球面式における各係数KA、Am(m=3…20)の値である。
Zd=C・h/{1+(1−KA・C・h1/2}+ΣAm・h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数(m=3…20)
とする。
実施例1の撮像レンズの各収差図を図4に示す。なお、図4中の左側から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。これらの収差図は、物体距離を無限遠としたときの状態を示す。球面収差、非点収差、および歪曲収差を表す各収差図には、d線(波長587.6nm)を基準波長とした収差を示す。球面収差図にはd線(波長587.6nm)、C線(波長656.3nm)、およびF線(波長486.1nm)についての収差をそれぞれ実線、長破線、および短破線で示す。非点収差図にはサジタル方向およびタンジェンシャル方向の収差をそれぞれ実線および短破線で示す。倍率色収差図にはC線(波長656.3nm)およびF線(波長486.1nm)についての収差をそれぞれ長破線および短破線で示す。なお、球面収差図のFNo.はF値、その他の収差図のωは半画角を意味する。
上記の実施例1の説明で述べた各データの記号、意味、および記載方法は、特に断りがない限り以下の実施例のものについても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
次に、実施例2の撮像レンズについて説明する。実施例2の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図2に示す。また、実施例2の撮像レンズの基本レンズデータを表4に、諸元に関するデータを表5に、非球面係数に関するデータを表6に、各収差図を図5に示す。
次に、実施例3の撮像レンズについて説明する。実施例3の撮像レンズのレンズ構成を示す断面図を図3に示す。また、実施例3の撮像レンズの基本レンズデータを表7に、諸元に関するデータを表8に、非球面係数に関するデータを表9に、各収差図を図6に示す。
実施例1〜3の撮像レンズの条件式(1)〜(4)に対応する値を表10に示す。なお、全実施例ともd線を基準波長としており、下記の表10に示す値はこの基準波長におけるものである。
以上のデータから、実施例1〜3の撮像レンズは全て、条件式(1)〜(4)を満たしており、温度変動に起因するピントずれが小さい撮像レンズであることが分かる。
また、上記特許文献1で開示されているレンズ系は、画角が130°から190°と広角であるため、近年一般的なフルHD(1920×1080画素)クラスの撮像素子との組み合わせでは、撮像素子の画素のうち正面遠方領域に割り当てられる画素数が少なくなる、すなわち正面遠方領域の解像度が低くなるため、画像識別ソフトウエアによる信号機および/またはブレーキランプ等の検出が難しいという問題があるが、上記実施例1〜3の撮像レンズの画角はいずれも110°程度であり、正面遠方領域に割り当てられる画素数を多くできるため、このような問題を解消することができる。
次に、本発明の実施形態にかかる撮像装置について説明する。ここでは、本発明の撮像装置の一実施形態として車載カメラに適用した場合の例について説明する。図7に自動車に車載カメラを搭載した様子を示す。
図7において、自動車100は、ルームミラーの背面に取り付けられ、ドライバーと同じ視野範囲を撮影するための車内カメラ101(撮像装置)を備えている。この車内カメラ101は、本発明の実施の形態による撮像レンズと、撮像レンズにより形成される光学像を電気信号に変換する撮像素子とを備えている。本実施形態の車載カメラ(車内カメラ101)は本発明の撮像レンズを備えているため、広い温度範囲で適切に撮影を行うことができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、およびアッベ数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
また、本発明の実施形態にかかる撮像装置についても、車内カメラのみならず車外カメラとして設置してもよい。また、車載カメラに以外にも、携帯端末用カメラ、監視カメラ、またはデジタルカメラとする等、種々の態様とすることができる。
100 自動車
101 車内カメラ
L1〜L6 レンズ
Sim 像面
St 開口絞り
wa 軸上光束
wb 最大画角の光束
Z 光軸

Claims (6)

  1. 物体側から順に、
    物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する第1レンズと、
    負の屈折力を有する第2レンズと、
    正の屈折力を有する第3レンズと、
    物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第4レンズと、
    正の屈折力を有する第5レンズと、
    負の屈折力を有する第6レンズとから実質的になり、前記第1レンズ乃至前記第6レンズはすべて接合レンズではなく、
    下記条件式(1)〜(4)を満足する
    ことを特徴とする撮像レンズ。
    −0.89<f/f12<−0.53 …(1)
    −0.19<f/f1<−0.1 …(2)
    −0.70<f/f2<−0.45 …(3)
    2.4<f1/f2<5.7 …(4)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    f12:前記第1レンズと前記第2レンズの合成焦点距離
    f1:前記第1レンズの焦点距離
    f2:前記第2レンズの焦点距離
    とする。
  2. 下記条件式(1−1)を満足する
    請求項1記載の撮像レンズ。
    −0.81<f/f12<−0.61 …(1−1)
  3. 下記条件式(2−1)を満足する
    請求項1または2記載の撮像レンズ。
    −0.17<f/f1<−0.11 …(2−1)
  4. 下記条件式(3−1)を満足する
    請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    −0.64<f/f2<−0.47 …(3−1)
  5. 下記条件式(4−1)を満足する
    請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    2.7<f1/f2<5.2 …(4−1)
  6. 請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
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